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特表2023-513160エアロゾル粒子をモニタリングするための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】エアロゾル粒子をモニタリングするための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20230323BHJP
   G01N 27/68 20060101ALI20230323BHJP
   G01N 27/70 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G01N15/06 D
G01N27/68 A
G01N27/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547679
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 FI2021050070
(87)【国際公開番号】W WO2021156541
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】20205122
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518145651
【氏名又は名称】デカティ オサケユキチェア
【氏名又は名称原語表記】DEKATI OY
【住所又は居所原語表記】Tykkitie 1 36240 Kangasala Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】アルフマン アンシ
(72)【発明者】
【氏名】ウッコネン アリ
(72)【発明者】
【氏名】ニッカ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルンタ エサ
(72)【発明者】
【氏名】ラミネン エルキ
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041AA09
2G041CA04
2G041DA10
2G041EA07
2G041GA15
2G041GA25
(57)【要約】
エアロゾル粒子(P0)を測定するための装置(500)は、拡散荷電によってエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)を荷電することによって荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)と、荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供するための収集ユニット(200)と、を備えている。収集ユニット(200)の内部圧力(p)が低減値(pSET)に維持されることにより、異なる粒径(d)のナノ粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))が平坦になる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル粒子(P0)を測定するための装置(500)であって、
拡散荷電によってエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)を荷電することによって荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)と、
前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供するための収集ユニット(200)と、
前記エアロゾルサンプル流(FG1)の圧力を低減するための減圧ユニット(PDU1)と、
前記荷電ユニット(100)を介して前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記収集ユニット(200)に引き込むための吸引ユニット(VAC1)と、
を備えており、
荷電効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記拡散荷電が前記粒子(P1)を荷電する効率の関係を示し、
収集効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記荷電粒子(P1)の拡散により前記電荷を収集する効率の関係を示し、
前記減圧ユニット(PDU1)及び前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を80kPa以下の選択された圧力値(pSET)に維持するように構成されており、これにより、少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において前記収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が少なくとも部分的に前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償する
ことを特徴とする装置(500)。
【請求項2】
200nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となるように、前記収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)は前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償する、
請求項1記載の装置(500)。
【請求項3】
400nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))は、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲であり、
40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))は、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲である、
請求項1又は2記載の装置(500)。
【請求項4】
前記荷電ユニット(100)は、
対向電極(E2)と共にコロナ放電(DSR1)を形成することによりイオン(J1)を生成するコロナ電極(E1)と、
生成された前記イオン(J1)の拡散により前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成するための荷電空間(SPC1)と、
前記荷電空間(SPC1)内の前記エアロゾルサンプル流(FG1)における電界(EFIELD1)の最大強度が100V/cm未満となるように、受け取った前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記荷電空間(SPC1)に通して案内するための1つ又は複数の流れ案内部(BAF1)と、
を備えている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項5】
前記減圧ユニット(PDU1)は1つ又は複数の臨界オリフィス(OR1)を有する
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項6】
一次エアロゾルサンプル流(FG1)を希釈ガス流(DG0)と組み合わせることにより希釈エアロゾルサンプル流(FG1)を形成するための希釈ユニット(DIL1)を備えている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項7】
前記収集ユニット(200)から出た荷電粒子(P1)の電荷を示す補助電流(I(t))を提供するための補助検出ユニット(300)を備えている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項8】
エアロゾル粒子(P0)を測定するための方法であって、
荷電ユニット(100)を用いて、拡散荷電によりエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成することと、
前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記荷電ユニット(100)に通して収集ユニット(200)に案内することと、
前記収集ユニット(200)を用いて、前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供することと、
少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において、収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が少なくとも部分的に前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償するように、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を80kPa以下の選択された圧力値(pSET)に維持することと、
を含み、
前記荷電効率関数(η(d))は、粒径(d)に対する、前記拡散荷電が前記粒子(P1)を荷電する効率の関係を示し、
前記収集効率関数(η(d))は、粒径(d)に対する、前記荷電粒子(P1)の拡散により前記電荷を収集する効率の関係を示す
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
エンジン(SRC1)の排ガス(PG0)をサンプリングすることによって前記エアロゾルサンプル流(FG1)を得る、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記電流(I)から数密度値(n)を求めることと、求めた前記数密度値(n)を限界値(LIM1)と比較することと、前記数密度値(n)が前記限界値(LIM1)未満であるか否かを判定することと、を含む、
請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾルサンプル流(FG1)を第1の臨界オリフィス(OR1)に通して案内することと、希釈ガス流(DG0)を第2の臨界オリフィス(OR2)に通して案内することと、前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記希釈ガス流(DG0)と組み合わせることにより希釈エアロゾルサンプル流(FG1)を形成することと、を含む、
請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一部の実施形態はエアロゾル粒子の測定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のエアロゾルエミッションは環境に有害となり得る。エアロゾル測定は、例えば、内燃機関の排ガス中のエアロゾル粒子の質量濃度が所定の規制限界よりも低いかどうかを確認するために使用され得る。エアロゾル粒子の質量濃度は例えば、フィルタによってエアロゾル粒子を捕集し、フィルタの質量を計測して、捕集した粒子の総質量を求めることにより測定することができる。質量計測後、捕集した粒子の総質量を、フィルタに通されたガスの総体積で除することにより、平均粒子質量濃度を算出することができる。フィルタによって十分な量のエアロゾル粒子を捕集するためには、例えば数時間等の比較的長い期間が必要となり得る。フィルタの質量計測は手動の作業を要することがあり、又は、高価な自動質量計測装置を用いなければならないことがある。
【0003】
フィルタに捕集された粒子堆積物は、例えば顕微鏡視又は画像解析等によって分析することができる。しかし、捕集した粒子堆積物を分析することによって排ガス中のエアロゾル粒子の本来の個数濃度を求めることは困難又は不可能である場合がある。
【0004】
エアロゾル粒子の数密度は、例えばエアロゾル粒子カウンタ等を使用して測定することができる。粒子カウンタの動作は、典型的には光散乱に基づくものである。エアロゾル粒子カウンタは、例えばレーザビーム等をエアロゾルサンプル流に照射することができ、エアロゾル粒子カウンタは、エアロゾル粒子の光散乱により生じた光パルスを計数することができる。エアロゾル粒子カウンタは例えば、クリーンルーム内の空気の品質を検証したり、又は都市環境におけるエアロゾル粒子の数密度を測定するために使用されてきた。
【発明の概要】
【0005】
一部の実施態様は、エアロゾルサンプル流のエアロゾル粒子の数密度を測定するための装置に関する。一部の実施態様は、エアロゾルサンプル流のエアロゾル粒子の数密度を測定するための方法に関する。一部の実施態様は、排気管から排出されるエアロゾル粒子の数密度を測定するための装置に関する。一部の実施態様は、排気管から放出されるエアロゾル粒子の数密度が所定の限界値未満か否かを判定するための方法に関する。
【0006】
排ガス管は、例えば内燃機関の排ガス管等とすることができる。排ガス管は例えば、内燃機関を備えた車両の排ガス管等とすることができる。排気管は例えば、発電所のダクト等とすることができる。排気管は例えば、工場のダクト等とすることができる。
【0007】
一側面では、
-拡散荷電によってエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)を荷電することによって荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)と、
-前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供するための収集ユニット(200)と、
-減圧ユニット(PDU1)と、
-吸引ユニット(VAC1)と、
を備えており、
前記減圧ユニット(PDU1)及び前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択された圧力値(pSET)に維持するように構成された装置(500)を提供する。
【0008】
一側面では、
-拡散荷電によってエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)を荷電することによって荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)と、
-前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供するための収集ユニット(200)と、
-前記エアロゾルサンプル流(FG1)の圧力を低減するための減圧ユニット(PDU1)と、
-前記荷電ユニット(100)を介して前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記収集ユニット(200)に引き込むための吸引ユニット(VAC1)と、
を備えており、
荷電効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記拡散荷電が前記粒子(P1)を荷電する効率の関係を示し、
収集効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記荷電粒子(P1)の拡散により前記電荷を収集する効率の関係を示し、
前記減圧ユニット(PDU1)及び前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を80kPa以下の選択された圧力値(pSET)に維持するように構成されており、これにより、少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において前記収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が少なくとも部分的に前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償する装置(500)を提供する。
【0009】
特許請求の範囲に他の側面が記載されている。
【0010】
装置によって提供される電流は、入力流のエアロゾル粒子の瞬時数密度を示すことができる。粒径が異なる粒子を検出するための電流の応答は、収集ユニットの内部圧力を選択することによりカスタム調整することができる。収集ユニットの内部圧力は、粒径が異なるナノ粒子の数密度を検出するための電流の応答を実質的に平坦にするため、選択された低減値に維持することができる。装置は、実質的に平坦な計数応答を有することができる。内部圧力の選択された値は、大気圧よりも実質的に低い値とすることができる。内部圧力は、例えば40nm~200nmの粒径範囲において実質的に平坦な応答になるよう選択することができる。例えば、40nmの粒子を検出するための応答は、100nmの粒子を検出するための応答に実質的に等しくすることができ、また、200nmの粒子を検出するための応答は、100nmの粒子を検出するための応答に実質的に等しくすることができる。
【0011】
本装置は、拡散荷電と拡散捕集との組み合わせを用いて、実質的に粒径に依存しない計数応答を提供することができる。装置によって提供される電流は、入力流のエアロゾル粒子の瞬時数密度を示すことができ、この瞬時数密度は例えば、40nm~200nmの粒径範囲の粒子の瞬時数密度である。本装置は、40nm~200nmの粒径範囲の粒子の数密度を測定するために、実質的に一定の応答を提供することができる。本装置は、粒径分布が幅広い及び/又は未知であるエアロゾルサンプルであっても、実質的に一定の応答を提供することができる。
【0012】
拡散収集部の内部圧力は、当該拡散収集部が荷電粒子の電荷を収集する効率に影響を及ぼす可能性がある。拡散荷電により粒子を荷電する効率に荷電ユニットの内部圧力が及ぼす影響は変わり得る。粒径dが粒子の荷電に及ぼす影響は、荷電効率関数η(d)によって記述することができる。粒径dが荷電粒子の電荷の収集に及ぼす影響は、収集効率関数η(d)によって記述することができる。第1の粒径範囲では、荷電効率関数η(d)は粒径dの増大と共に増加することができると共に、収集効率関数η(d)は当該第1の粒径範囲では減少することができる。収集ユニット内のエアロゾルサンプル流の圧力は、収集効率関数η(d)の形状に影響を及ぼし得る。エアロゾルサンプル流の圧力を、選択された低減値(pSET)に維持することにより、収集効率(η(d))の負の勾配が荷電効率(η(d))の正の勾配を実質的に補償して、全体的に粒径に実質的に依存しない応答を提供することができる。
【0013】
数密度は個数濃度とも称され得る。装置は、エアロゾル粒子の数密度を連続モニタリングできる電流を提供することができる。装置は、例えば、排ガス中のエアロゾル粒子の数密度の急激な変化を検出するために使用することができる。モニタリング信号の応答時間は、例えば1s未満等とすることができ、又は0.1s未満とすることもできる。測定された結果はオプションとして、時間情報と関連付けるようにしてメモリに記録することができる。オプションとして、記録された測定結果にタイムスタンプを付与することができる。
【0014】
本装置は例えば、車両のエンジンの排ガス中のエアロゾル粒子の数密度が所定の限界未満であるか否かを確認するために使用することができる。本装置は例えば、車両の排ガス中のエアロゾル粒子の数密度が、規格及び/又は公的規制で規定された規制限界値を遵守しているか否かを確認するために使用することができる。
【0015】
収集ユニットの内部圧力を減圧することにより、エアロゾルサンプル流の1つ又は複数のガス物質の凝縮を低減又は回避しすることもできる。物質の凝縮は例えば、数密度の測定を妨げ得る新しい粒子を生じさせることがある。凝縮が減少することによって装置の内部表面を洗浄する必要性が減少し、及び/又は、装置の内部表面を洗浄する必要なく動作できる期間を長くすることができる。
【0016】
装置の内部圧力の減少は、例えば臨界オリフィス等を使用することによって達成することができる。内部圧力を一定かつ低減すると共に臨界オリフィスを用いることにより、流量を実質的に一定に維持することができる。数密度値は、例えば、測定された電流値に較正係数を単に乗じることによって算出することができる。
【0017】
第1の臨界オリフィスを介してサンプリングラインにエアロゾルサンプル流を案内すると共に、第2の臨界オリフィスを介して希釈ガス流を案内することにより、実質的に一定の既知の希釈比で希釈サンプルエアロゾル流を提供することができる。
【0018】
内部圧力の減圧により、サンプリングライン及び装置の各ユニットにおけるエアロゾルサンプル流の速度を速くすることができる。よって、内部圧力の減圧により、より高速な応答を実現することもできる。
【0019】
一実施形態では本方法は、(第1の)収集ユニットから出るエアロゾル粒子の電荷を示す第2の補助電流信号を測定することを含むことができる。第1の検出器電流は入力流の粒子の個数濃度を示すことができると共に、第2の補助信号は入力流のエアロゾル粒子の表面積濃度を示すことができる。第1の信号は、例えば40nm~200nmの粒径範囲等において粒径に実質的に依存しないと共に、第2の信号は40nm~200nmの粒径範囲において粒径に依存することが可能である。第1の信号及び第2の信号の相異なる挙動により、例えば、これら2つの信号から平均粒径を推定することが可能になる。本方法は、第1の検出器電流及び第2の補助電流からの平均粒径を決定することを含んでもよい。
【0020】
一実施形態では、第2の補助電流信号を用いて、測定された数密度の信頼性を確認し、及び/又は、測定装置が適正に動作しているか否かを確認することができる。入力流の粒径分布が不変であると分かっている状況では、一定の第2の補助電流信号は、測定結果が有効であることの示唆、及び/又は測定装置が適正に動作していることの示唆とすることができる。入力流の粒径分布が不変であると分かっている状況では、第2の補助電流信号が変化すると、これは測定結果が有効でないことの示唆、及び/又は測定装置が適正に動作していないことの示唆とすることができる。
【0021】
以下の事例では、添付の図面を参照して複数の実施態様を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図1b】エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図2a】拡散荷電により粒子を荷電する効率を例示する図である。
図2b】拡散により荷電粒子から電荷を収集する効率を例示する図である。
図2c】拡散荷電を行って拡散により荷電粒子から電荷を収集することにより粒子を荷電した場合の粒子を検出する複合効率を例示する図である。
図2d】粒径が異なる粒子を検出する応答を正規化したものを例示する図である。
図2e】粒径分布修正ユニットの透過率を例示する図である。
図2f】修正ユニットを用いた場合及び用いない場合の応答を正規化したものを例示する図である。
図3】エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図4a】粒子の総電荷を検出するための補助検出ユニットをさらに備えた、エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図4b】エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図5】希釈サンプル流を提供するための希釈ユニットをさらに備えた、エアロゾル粒子の数密度を測定するための装置を例示する図である。
図6a】拡散により荷電粒子から電荷を収集するための収集ユニットを例示する図である。
図6b】拡散により荷電粒子から電荷を収集するための収集ユニットを例示する図である。
図7a】拡散荷電により粒子を荷電するための荷電ユニットを例示する図である。
図7b】拡散荷電により粒子を荷電するための荷電ユニットを例示する図である。
図8a】低圧サンプリングラインを備えた、エアロゾル粒子を測定するための装置を例示する図である。
図8b】希釈部及び低圧サンプリングラインを備えた、エアロゾル粒子を測定するための装置を例示する図である。
図8c】希釈部と低圧サンプリングラインと修正ユニットとを備えた、エアロゾル粒子を測定するための装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1aを参照すると、測定システム1000はエアロゾル源SRC1及びエアロゾル測定装置500を備えることができる。測定装置500は、一次エアロゾルPG0のエアロゾル粒子P0を測定するように配置することができる。一次エアロゾルPG0は、エアロゾル源SRC1によって構成することができる。エアロゾル源SRC1は、例えば内燃機関等とすることができる。一次エアロゾルPG0はガス管DUC1内を案内することができ、又はガス管DUC1に収容することができる。装置500は、一次エアロゾルPG0からエアロゾルサンプル流FG0を得ることができる。一次エアロゾルPG0はエアロゾル粒子P0を運ぶことができる。測定装置500は、一次エアロゾルPG0のエアロゾル粒子P0の数密度を連続モニタリングすることができる。
【0024】
測定装置500は、排気管DUC1内の一次エアロゾルPG0のエアロゾル粒子P0の数密度n(t)を示す電流I(t)を提供するように配置することができる。記号tは、時間を示すことができる。
【0025】
測定装置500は、減圧ユニットPDU1と、荷電ユニット100と、収集ユニット200と、吸引ユニットVAC1とを備えることができる。
【0026】
荷電ユニット100は、例えばサンプリングライン50等を介して排気管DUC1からエアロゾルサンプル流(FG0、FG1)を受け取ることができる。荷電ユニット100はサンプリングライン50からエアロゾルサンプル流(FG1)を受け取ることができる。エアロゾルサンプル流FG0は、例えば入力流FG0とも称され得る。
【0027】
荷電ユニット100は、イオンJ1を生成するためのイオン源を備えることができる。イオンJ1は、中性粒子P0と電荷を交換することにより荷電粒子P1を形成することができる。イオン源は、例えばコロナ放電DSR1(図3)とすることができる。荷電ユニット100は、コロナ放電DSR1を発生させるためのコロナ電極E1を備えることができる。荷電ユニット100は、拡散荷電により中性粒子P0から荷電粒子P1を形成することができる。この粒子の付近をイオンが拡散により移動し、一部のイオンJ1が粒子と衝突して電荷を粒子に移動させることができる。荷電ユニット100は、イオンJ1の拡散によって中性粒子P0から荷電粒子P1を形成することができる。
【0028】
装置500はオプションとして、エアロゾルサンプル流(FG2、FG3)からイオンJ1を除去するためのイオントラップTRAP1を備えることができる。装置500は、拡散荷電により形成された荷電粒子P1を含む実質的にイオンフリーのエアロゾルサンプル流(FG3)を提供するように配置することができる。
【0029】
一実施形態では、荷電ユニット100はイオントラップTRAP1として動作できる1つ又は複数の領域を有することができ、収集ユニット200は、荷電ユニット100から直接エアロゾルサンプル流(FG2,FG3)を受け取ることができる。
【0030】
収集ユニット200は、荷電ユニット100からエアロゾルサンプル流(FG3)を受け取ることができる。収集ユニット200は、荷電粒子(P1)から電荷を収集するための1つ以上の収集要素(E3)を備えることができる。荷電粒子(P1)は拡散によって移動することができ、一部の粒子(しかし全部ではない)は収集要素(E3)と接触し得る。収集ユニット200は荷電粒子P1から電荷を収集することにより電流I(t)を提供することができる。電流I(t)は、荷電粒子から収集要素(E3)に移動する電荷の単位時間当たりの正味量に実質的に比例することができる。電流I(t)は、排気管DUC1から取り出されたエアロゾルサンプル流FG0のエアロゾル粒子P0の数密度n(t)を示すことができる。電流I(t)は、一次エアロゾルPG0中のエアロゾル粒子の数密度を示すことができる。
【0031】
装置500はオプションとして、一次エアロゾルPG0から取り出されたサンプル流FG0から希釈エアロゾル流(FG1)を提供する希釈システムを構成することができる。サンプル流はオプションとして、希釈比で希釈することができる。サンプル流(FG1,FG2)はオプションとして、希釈比で希釈することができる。一次エアロゾルPG0中のエアロゾル粒子の数密度は、サンプル流(FG1,FG2)によって運ばれるエアロゾル粒子の数密度に比例することができる。
【0032】
吸引ユニットVAC1は、荷電ユニット100を通って収集ユニット200へ流れるエアロゾルサンプル流を生じさせるための例えばエジェクタ又はポンプPUMP1等を備えることができる。吸引ユニットVAC1は、エアロゾルサンプル流FG1を荷電ユニット100に引き込むことができる。吸引ユニットVAC1は、荷電ユニット100から収集ユニット200にエアロゾルサンプル流(FG2,FG3)を引き込むことができる。吸引ユニットVAC1は、収集ユニット200から流れFG4を引き込むことにより荷電ユニット100から収集ユニット200へのエアロゾル流を生じさせることができる。また、吸引ユニットVAC1は、収集ユニット200の内部圧力pを、選択された圧力値pSETと実質的に等しく維持するように配置されることができる。吸引ユニットVAC1は減圧ユニットPDU1と協働して、収集ユニット200の内部圧力pを所定の値pSETに維持することができる。圧力値pSETは、通常の大気圧(100kPa)より実質的に小さくすることができる。値pSETは例えば80kPa以下とすることができる。値pSETは例えば50kPa以下とすることができる。値pSETは例えば20kPa以下とすることができる。
【0033】
エアロゾル流FG1の流量Qは、例えばポンプPUMP1及び/又はバルブVAL1(図3図8b)によって制御することができる。
【0034】
サンプル流(FG0,FG1,FG2,FG3)は、減圧臨界オリフィスOR1を介して案内されることができ、流量Qは、例えばオリフィスOR1の下流圧から求めることができる。オリフィスOR1の下流圧は例えば、内部圧力pと実質的に等しくすることができる。例えば、一次エアロゾルPG0の圧力が実質的に一定に維持され、内部圧力(p)が実質的に一定に維持される状況等では、流量Qを実質的に一定に維持することができる。特に、臨界オリフィスOR1を介してチョーク流れ(臨界流)を保証するため、圧力比p/pは0.5未満とすることができる。
【0035】
装置500はオプションとして、流量(FG0,FG1,FG2,FG3,FG4,FG5,FG6)をモニタリングするための流れセンサQSEN1(図8b)を備えることができる。
【0036】
吸引ユニットVAC1は、排気流EXG1を提供することができる。排気流EXG1は例えば、装置500外部の大気中又は換気ダクト内へ放出され得る。
【0037】
収集ユニット200の収集要素E3は、内部圧力pで動作するように配置することができる。内部圧力pは、例えば、80kPa以下、50kPa以下、又は20kPa以下とすることができる。
【0038】
収集ユニット200の内部圧力pの下限は、例えば2kPa(20mbar)等とすることができる。装置500は、内部圧力pが例えば2kPa以上になるように動作するように配置することができる。内部圧力pは、例えば2kPa~80kPaの範囲とすることができる。内部圧力pは、例えば2kPa~50kPaの範囲とすることができる。内部圧力pは、例えば2kPa~20kPaの範囲とすることができる。
【0039】
減圧ユニットPDU1は例えば1つ又は複数のオリフィスOR1を有することができ、この1つ又は複数のオリフィスOR1を介してエアロゾルサンプル流(FG0,FG1,FG2,FG3)が案内される状況では、排気管DUC1の元の圧力pと収集ユニット200の内部圧力pとの間に圧力差(p-p)を生じさせるためのものである。減圧オリフィスOR1は例えば、サンプリングライン50の流入端(IN0)、サンプリングライン50と荷電ユニット100との間、荷電ユニット100とイオントラップTRAP1との間、又はイオントラップTRAP1と収集ユニット200との間に配置することができる。
【0040】
収集ユニット200は、粒子の瞬時の数密度を示す検出器電流I(t)を出力することができる。粒子から電荷を収集することによって形成される一次電流I(t)は、非常に弱くなり得る。検出器電流I(t)の大きさは、例えば数フェムトアンペアのオーダとなり得る。装置500は、検出器電流I(t)を検出器信号S(t)に変換するための電流モニタリングユニットCMU1を備えることができる。装置は例えば、一次電流I(t)の大きさを測定するための電位計を備えることができる。電流モニタリングユニットCMU1は例えば、収集ユニット200から得られた電流I(t)を測定するための電位計を備えることができる。検出器信号S(t)は、検出器電流I(t)の大きさを示すことができる。検出器信号S(t)は、電流I(t)に実質的に比例することができる。信号処理を容易にするため、検出器信号S(t)は例えばデジタル信号等とすることができる。
【0041】
装置500は、較正データCAL1に基づいて検出器信号S(t)から数密度値N(t)を形成するための信号処理ユニットCNT1を備えることができる。求められた数密度値N(t)は例えば、エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)の数密度n(t)を示すことができる。求められた数密度値N(t)は例えば、一次エアロゾルPG0の粒子の数密度を示すことができる。
【0042】
較正データCAL1は例えば、検出器信号S(t)から数密度値N(t)を算出するための比例定数を含むことができる。較正データCAL1は例えば、測定された検出器電流I(t)から数密度値N(t)を算出するための比例定数を含むことができる。
【0043】
装置500は、荷電ユニット100の動作電圧V1を提供するための電圧供給部VSU1を備えることができる。荷電ユニット100の電位を安定化するため、電圧供給部VSU1の接続端(例えばT1又はT2等)を装置500のグラウンドGND1に直接的又は間接的に接続することができる。
【0044】
装置500は、イオントラップTRAP1の動作電圧V5を提供するための電圧供給部VSU2を備えることができる。イオントラップTRAP1の電位を安定化するため、電圧供給部VSU2の接続端T5,T6を装置500のグラウンドGND1に直接的又は間接的に接続することができる。一実施形態では、荷電ユニット100及びイオントラップTRAP1は同一の電圧供給部(VSU1)から動作電圧を受け取ることもできる。
【0045】
エアロゾル源SRC1は、例えば内燃機関等とすることができる。ダクトDUC1は、例えば機関の排ガス管等とすることができる。一次エアロゾルPG0は、例えば機関の排ガス等とすることができる。一次エアロゾルPG0は、例えばガスタービンの排ガス等とすることができる。
【0046】
エアロゾル源SRC1は例えば内燃機関等を含むことができる。エアロゾル源SRC1は例えば、内燃機関と、エミッションを制御及び/又は低減するための触媒コンバータとを組み合わせたもの等を含むことができる。
【0047】
内燃機関は例えば、天然ガス、合成ガス、ガソリン、ディーゼル燃料、燃料油及び/又はアルコールを、粒子エミッション試験の際の燃料として使用することができる。サンプル流FG0は、例えば機関のガスクリーニングユニットの前又は後で採取することができる。ガスクリーニングユニットは例えば、触媒コンバータ及び/又はガスクリーニングフィルタ等を備えることができる。
【0048】
装置500の収集ユニット100から得られた電流I(t)は例えば、機関の粒子エミッションが所定の限界(LIM1)未満であるか否かを確認するため等に使用されることができる。この限界は、例えば規格及び/又は公的規制において規定されたものとすることができる。測定された電流I(t)から数密度値を算出することができる。本方法は、電流(I)から数密度値(n)を求めることと、求めた数密度値(n)を限界値(LIM1)と比較することと、数密度値(n0)が限界値(LIM1)未満であるか否かを判定することと、を含むことができる。
【0049】
ガス管DUC1は、例えば機関の排ガス管SRC1等とすることができる。ダクトDUC1は希釈システムのダクトとすることができ、その際には一次エアロゾルPG0は、例えば機関の希釈された排ガス等とすることができる。ダクトDUC1は、例えば定容量サンプラのトンネル(CVTトンネル)等とすることができる。ダクトDUC1は、希釈された排ガスを含むことができる。エアロゾル源SRC1は例えば、燃焼炉、焼却炉、流動床ボイラ、工業プロセスユニット、又はガスタービン等とすることができる。ガス管DUC1は、例えば燃焼設備の煙道ガス管等とすることができる。オプションとして、粒子収集期間の間、例えば加熱した炉内等に装置500を維持して、例えば凝縮を安定化させることができる。
【0050】
エアロゾル源SRC1はオプションとして、プロセスインジケータ信号S0(t)を提供することができる。本方法は、機関SRC1の動作パラメータを示すプロセスインジケータ信号S0(t)を得ることを含むことができる。検出器電流I(t)をこのプロセスインジケータ信号S0(t)と比較して、粒子源SRC1の動作パラメータの変化が検出器電流I(t)の変化に対応するか否かを判定することができる。
【0051】
装置500は、例えば機関SRC1からの粒子エミッションの測定等に使用することができる。機関は、第1の試験手順に従って駆動することができる。第1の試験手順は例えば、機関の制御信号(例えばガスペダル位置等)及び/又は機関の負荷(すなわち出力)を所定のシーケンスに従って調整することを含むことができる。測定された検出器電流I(t)及び/又は測定された数密度n(t)をプロセスインジケータ信号S0(t)と比較することにより、検出器電流I(t)がプロセスインジケータ信号S0(t)と相関するか否かを判定することができる。プロセスインジケータ信号S0(t)は例えば、燃料流量、機関に供給される流入空気流量、機関の動作温度、機関のシリンダの動作温度、触媒コンバータの動作温度、フィルタの動作温度、プロセスの動作温度、ガスペダル設定、機関のバルブタイミング、燃料供給圧力、機関に結合された動力計の回転速度、機関のトルク、機関から動力計へ伝達される出力、又は添加剤の流量を示すものとすることができる。エアロゾル粒子源SRC1は、エアロゾル源SRC1の複数の異なる動作パラメータを示すことができる複数のプロセスインジケータ信号を同時に提供することができる。
【0052】
一般に装置500の各ユニットは、収集ユニット200が荷電ユニット100から荷電粒子を受け取るように、また収集ユニット200の内部圧力pが大気圧pより実質的に低くなり得るように配置されることができる。収集ユニット200は、荷電ユニット100の下流かつ減圧ユニットPDU1の下流に配置することができる。
【0053】
装置500はオプションとして、エアロゾルサンプル流の粒径分布を修正するための修正ユニットMOD1を備えることができる。修正ユニットMOD1は例えば、所定の限界(dcut)より大きい粒子を除去することができる。修正ユニットMOD1は、収集ユニット200の上流に配することができる。修正ユニットMOD1は例えば、荷電ユニット100の上流、又は荷電ユニット100と収集ユニット200との間に配することができる。
【0054】
図1bを参照すると、減圧ユニットPDU1は例えば荷電ユニット100と収集ユニット200との間等に配することができる。荷電ユニット100はエアロゾルサンプル流FG1を受け取ることができる。荷電ユニット100は、荷電粒子P1を含むエアロゾルサンプル流FG2を提供することができる。イオントラップTRAP1は、エアロゾルサンプル流FG2からイオンを除去することによって、エアロゾルサンプル流FG21を提供することができる。減圧ユニットPDU1は流れFG2を減圧することにより、エアロゾルサンプル流FG22を提供することができる。修正ユニットMOD1は、流れFG22の粒径分布を修正することによってエアロゾルサンプル流FG3を提供することができる。収集ユニット200は、流れFG3の荷電粒子から電荷を収集することができる。
【0055】
図2a~2dは、収集ユニット200の動作圧(p)を選択することによって、異なる粒径の粒子P0に対する装置500の応答をどのように調整できるかを例示している。また、装置500は、収集ユニット200の内部圧力pを、選択された圧力値pSETと実質的に等しく維持するように配置されることができる。
【0056】
図2aは、エアロゾルサンプル流のエアロゾル粒子P0の移動粒径(mobility size)dに対する、拡散荷電によってエアロゾル粒子を荷電するための効率η(d)の関係を示す。エアロゾル粒子P0は初期は中性とすることができ、又は初期電荷を有することができる。拡散荷電によって初期のエアロゾル粒子P0から荷電エアロゾル粒子P1を形成することにより、荷電効率η(d)に従ってエアロゾルサンプル流FG2を提供することができる。荷電効率η(d)は、荷電ユニットの流出口から提供されるエアロゾルサンプル流FG2中の粒子あたりの単位電荷(e)の平均個数を示すことができる。荷電効率η(d)は、エアロゾルサンプル流FG2の粒子集団を表すことができる。各個々の粒子の荷電は、統計的変化(statistical variation)を示すことができる。
【0057】
荷電効率関数η(d)は例えば、粒子の移動粒径に対する粒子当たりの単位電荷の平均個数の関係を示すことができる。単位電荷(e)は、1.602・10-19As(As=アンペア秒)に等しい。
【0058】
図2aの曲線は例として、荷電ユニット100の内部圧力p100が20kPaのときの荷電効率関数η(d)を示している。
【0059】
図2bは、荷電粒子P1からの電荷が荷電粒子P1の拡散によって収集されるときの、エアロゾル粒子P1の移動粒径dに対する、電荷を収集する収集効率η(d)の関係を示す。収集効率η(d)は、移動粒径dの粒子の電荷を収集する確率を示すことができる。収集効率η2(d)は、粒径dに依存して0%~100%の範囲をとることができる。
【0060】
例えば、収集効率η(d=40nm)は実質的に1%に等しくなり得、これは、40nm粒子P1の電荷を収集する確率が実質的に1%になり得ることを意味する。
【0061】
粒径dの粒子P1が電荷を収集ユニットに送ることなく収集ユニット200を通過する確率は、それぞれ1-η(d)に等しくなり得る。例えば、40nmの粒子が電荷を収集ユニットに送ることなく収集ユニットを通過する確率は、それぞれ100%-η(d=40nm)に等しくなり得る。
【0062】
0%の収集効率η(d)は、粒径dのすべての粒子が電荷を移動させることなく収集ユニット200を通過することを示すことができる。50%の収集効率η(d)は、粒径dの粒子の50%が電荷を移送することなく収集ユニット200を通過し、粒径dの粒子の50%が収集ユニット200に電荷を移動させることを示すことができる。100%の収集効率η(d)は、寸法dの実質的にすべての粒子が収集ユニット200に電荷を移動させることを示すことができる。
【0063】
図2bの実線の曲線は、収集ユニットの内部圧力pが20kPaの場合の収集効率を表す。図2bの破線の曲線は、内部圧力pが100kPaの場合の収集効率η(d)を表す。収集効率η(d)の形状は、収集ユニット200の内部圧力pに依存し得る。所与の粒径(例えばd=40nm等)における収集効率関数η(d)の勾配(Δη2/Δd)は、収集ユニット200の内部圧力pに依存し得る。
【0064】
荷電粒子P1は、一部の荷電粒子P1が収集要素E3と接触するまで拡散により収集要素E3の付近を移動する。荷電粒子P1は、収集要素E3を接触したときに(のみ)当該収集要素E3に電荷を移動させることができる。荷電粒子P1から収集要素E3に移動したすなわち収集された電荷は、収集ユニット200の検出器電流I(t)に寄与し得る。
【0065】
収集ユニットは、例えば拡散によって荷電粒子を収集すること等により、荷電粒子の電荷を収集することができる。収集ユニットユニットは永続的に粒子を収集することを要しない。収集ユニットによって収集された粒子が後で電気的に中性の粒子としてガス流に放出されて戻される場合であっても、収集ユニットは正味の電流を提供することができる。
【0066】
収集ユニットは、粒径が100nmの場合に荷電粒子を収集する確率が実質的に100%未満となって収集効率η(d)の傾きが負になるように動作する配置とすることができる。
【0067】
収集ユニット200の内部圧力pの減圧により、1000nm未満の粒子の空気力学的抗力が減少して拡散を促進することができる。内部圧力pは、空気力学的抗力を減らすことによっても、収集効率曲線η(d)の形状に影響を及ぼすことができる。
【0068】
図2cは、エアロゾル粒子P0が拡散荷電によって荷電し、荷電した粒子の電荷が拡散捕集により収集される場合の、エアロゾル粒子P0の移動粒径dに対する粒子を検出する複合効率ηCMB(d)を例示する図である。この複合検出効率ηCMB(d)は複数の効率の積として求めることができ、すなわち、ηCMB(d)=η(d)・η(d)として求めることができる。複合効率ηCMB(d)は、荷電ユニット100における粒子の荷電の寄与分と、収集ユニット200における粒子の電荷収集の寄与分と、を含むことができる。
【0069】
複合検出効率(ηCMB(d)=η(d)・η(d))は、荷電ユニット100からのエアロゾルサンプル流(FG1)の粒径dの各粒子(P0)から収集ユニット200の1つ又は複数の収集要素に移動した単位電荷(e)の平均個数を示すことができる。複合検出効率ηCMB(d)は、荷電ユニット100におけるエアロゾルサンプル流(FG1)の粒径dの各粒子(P0)に移動した単位電荷(e)の平均個数の寄与分を考慮することができ、また、複合検出効率ηCMB(d)は収集ユニット200における荷電粒子の電荷を収集する確率の寄与分を考慮することもできる。
【0070】
収集ユニット(200)の内部圧力(p)の変化(Δp)は、例えば40nm~200nmの粒径範囲等の所定の粒径範囲RNG1において収集効率関数(η(d))の勾配(Δη/Δd)に影響を及ぼすことができる。複合検出効率ηCMB(d)の勾配(ΔηCMB/Δd)は、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択することによってカスタム調整することができる。
【0071】
内部圧力pの目標値(pSET)を選択することにより、複合検出効率(ηCMB(d))の形状を最適な形状にすることができる。例えば、少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を少なくとも部分的に補償するように、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択することができる。
【0072】
例えば、40nm~200nmの粒径範囲において複合検出効率ηCMB(d)の勾配(ΔηCMB/Δdp)が実質的にゼロとなるように、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を所定の選択された値(pSET)に維持することができる。
【0073】
荷電ユニット100の内部圧力(p100)は、収集ユニット200の内部圧力(p)と実質的に等しくすることができ、又は、荷電ユニット100の内部圧力(p100)は、収集ユニット200の内部圧力(p)とは異なることができる。
【0074】
荷電ユニット100の内部圧力(p100)は、収集ユニット200の内部圧力(p)と実質的に等しくすることができる。例えば、荷電ユニット100の内部圧力(p100)が収集ユニット200の内部圧力(p)と実質的に等しくなるように荷電ユニット100及び収集ユニット200を減圧ユニットPDU1の下流に配することができる。
【0075】
また、収集ユニット200の内部圧(p2)は、荷電ユニット100の内部圧(p100)よりも実質的に低くてもよい。例えば、減圧ユニットPDU1は荷電ユニット100と収集ユニット200との間に配することができる。
【0076】
荷電ユニット100の内部圧力(p100)の変化は荷電効率η(d)に影響を与え、収集ユニット200の内部圧力(p)の変化は収集効率η(d)に影響を与え得る。内部圧力(p100)が荷電効率η(d)に与える影響は、内部圧力(p)が収集効率η(d)に与える影響とは異なり得る。その結果、荷電ユニット100の内部圧力(p100)が収集ユニット200の内部圧力(p)と実質的に等しい状況においても、収集ユニット200の内部圧力(p)を選択することにより複合検出効率ηCMB(d)をカスタム調整することができる。複合検出効率ηCMB(d)は、少なくとも粒径範囲RNG1において、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択することによってカスタム調整することができる。
【0077】
例えば、図2cの実線の曲線は、内部圧力pが20kPaに等しい場合における複合検出効率ηCMB(d)を表すことができる。図2cの破線の曲線は、内部圧力pが100kPaに等しい場合における複合検出効率ηCMB(d)を表すことができる。
【0078】
図2dは、複合検出効率ηCMB(d)を基準値ηREFで除することにより得られた正規化応答関数Rを示している。実線の曲線は、内部圧力pが20kPaに等しい場合の正規化応答関数Rを示している。破線の曲線は、内部圧力pが100kPaに等しい場合の正規化応答関数Rを示している。図2dの曲線は、複合検出効率ηCMB(d)を基準値ηREFで除することにより正規化したものである。基準値ηREFは、所定の粒径(例えば20nm又は100nm等)における複合検出効率に等しくすることができる。
【0079】
複合検出効率ηCMB(d)は、例えば40nm~200nmの粒径範囲では実質的に粒径に依存しないことが可能である。例えば、40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)は、例えば100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)の0.8~1.2倍の範囲等とすることができ、200nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)は、例えば100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)の0.8~1.2倍の範囲等とすることができる。
【0080】
複合検出効率ηCMB(d)は、例えば40nm~200nmの粒径範囲では実質的に粒径に依存しないことが可能である。例えば、40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMBは、例えば100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMBの0.9~1.1倍の範囲等とすることができ、200nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)は、例えば100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する効率ηCMB(d)の0.9~1.1倍の範囲等とすることができる。
【0081】
収集ユニット200の内部圧力値(p)は、所定の圧力値(pSET)に維持することができる。圧力値(pSET)は、複合効率関数ηCMB(d)が、上記にて列挙した基準のうち1つ又は複数に従って実質的に平坦になるように選択することができる。
【0082】
第1の粒径範囲(RNG1)では、荷電効率η(d)は粒径が増大すると減少し得る。第1の粒径範囲(RNG1)は、例えば粒径40nm~200nmの範囲とすることができる。減少する荷電効率関数は、前記第1の粒径範囲(RNG1)における第1の指数関数によって近似することができる:
η(d)≒k・(dα (1)
は比例定数を表し、dはエアロゾル粒子の移動粒径を表す。αは指数を表す。拡散荷電の場合、指数αは、例えば粒径範囲RNG1では1.05~1.50の範囲とすることができる。三極荷電器(図7b)による拡散荷電では、指数αは例えば、粒径範囲RNG1では実質的に1.1に等しくすることができる。
【0083】
第1の粒径範囲(RNG1)では、収集効率η(d)は粒径が増大すると減少し得る。増加する荷電効率関数は、前記第1の粒径範囲(RNG1)における第2の指数関数によって近似することができる:
η(d)≒k・(d-β (2)
は比例定数を表す。-βは指数を示す。指数-βの値は、例えば粒径範囲RNG1では-1.00~-0.85の範囲とすることができる。
【0084】
荷電ユニット100と収集ユニット100とを組み合わせたものの複合検出効率ηCMB(d)は、荷電効率η(d)と収集効率η(d)との積として形成することができる:
ηCMB(d)=η(d)・η(d) (3)
【0085】
(1),(2),(3)式に基づき、複合検出効率ηCMB(d)は指数関数の積によって近似することができる:
ηCMB(d)≒k・(dα・k・(d-β (4a)
ηCMB(d)≒k・k・(dα-β (4b)
【0086】
差α-βの値が低い場合、これは、粒径dが測定装置500の計数応答に及ぼす影響が小さい又は無視できる程度である動作状態に相当し得る。収集ユニット200の内部圧力pは、差α-βが例えば0~0.65の範囲内となるように選択することができる。
【0087】
収集ユニット200の内部圧力pは、指数βに影響を与え得る。荷電ユニット100の内部圧力p100が指数αに与える影響は、より小さい及び/又は異なることができる。収集ユニット200の内部圧力pは、例えば、指数βが指数α実質的に等しくなるように選択することができる。指数βが指数αに実質的に等しくなるように圧力が選択されている場合、複合検出効率ηCMB(d)は第1の粒径範囲(RNG1)では、粒径dに実質的に依存しないことが可能である。荷電ユニット100の内部圧力(p100)は例えば、収集ユニット200の内部圧力pと実質的に等しくすることができる。
【0088】
本実施形態では装置は、収集ユニット200の内部圧力pが荷電ユニット100の内部圧力p100と異なるように動作する配置とすることもできる。
【0089】
図2eを参照すると、装置500はオプションとして、エアロゾルサンプル流の粒径分布を修正するための1つ以上の修正ユニットMOD1を備えることができる。修正ユニットMOD1は例えば、荷電ユニット100の上流、又は荷電ユニット100と収集ユニット200との間等に配することができる。修正ユニットMOD1は、エアロゾルサンプル流の粒径分布を修正するために、例えば、フィルタ、インパクタ及び/又はサイクロンを備えることができる。所定の透過率関数ηMOD1(d)に従ってエアロゾルサンプル流から粒子を取り出すため、修正ユニットMOD1は例えばフィルタ、インパクタ及び/又はサイクロンを備えることができる。透過率ηMOD1(d)は例えばカットオフ粒径dCUTを有することができ、これは、取り出した粒子が荷電ユニット100から電荷を収集ユニット200に移動させないように当該カットオフ粒径dCUTより大きい粒子をエアロゾルサンプル流から消失させるためのものである。透過率ηMOD1(d)は、粒径dの粒子が修正ユニットMOD1を通過する確率を示すことができる。透過率ηMOD1(d)は、実質的に全ての粒子が修正ユニットMOD1を通過できる粒径範囲RNG1(例えば40nm~200nm等)の場合は、100%に実質的に等しくなり得る。カットオフ粒径dCUTより大きい粒子の場合、透過率ηMOD1(d)は50%より低くなり得る。修正ユニットMOD1が実質的にすべての粒子を取り除く粒径範囲では、透過率ηMOD1(d)は実質的に0%に等しくなり得る。
【0090】
装置500の総検出効率ηtot(d)は、透過率ηMOD1(d)と荷電効率η(d)と収集効率η(d)との積として形成することができる:
ηtot(d)=ηMOD1(d)・η(d)・η(d) (4c)
ηtot(d)=ηMOD1(d)・ηCMB(d) (4d)
【0091】
修正ユニットMOD1は、例えばインパクション及び/又はインターセプションによってエアロゾルサンプル流から粒子を取り出すように配置することができる。収集ユニット200の内部圧力(p)を選択することにより、例えば40nm~200nmの粒径範囲RNG1における総検出効率ηtot(d)の勾配をカスタム調整することができると共に、インパクション及び/又はインターセプションのメカニズムを用いて、上記の粒径範囲RNG1の範囲外のより大きな粒子の総検出効率ηtot(d)をカスタム調整することができる。
【0092】
収集ユニット200から得られる検出器電流I(t)は、エアロゾルサンプル流FG1の粒子数密度n(t)に比例し、エアロゾルサンプル流FG1の流量Qに比例し、また、総検知効率ηtot(d)に比例することができる。rは時間を示し、kは比例定数を示す。
(t)=k・Q1・ηtot(d)・n(t) (5)
【0093】
粒径dの単分散分布の粒子密度nに対する電流Iの応答R(d)は、例えば次のように定義することができる:
【数1】
【0094】
(5)と(6)を組み合わせることにより、応答R(d)を例えば次式のように総検出効率ηtot(d)から算出することができる:
(d)=k・Q1・ηtot(d) (7)
【0095】
このように、応答R(d)は総検出効率ηtot(d)に比例することができる。応答関数R(d)の形状は、総検出効率ηtot(d)の形状と類似することができる。粒径範囲RNG1において総検出効率ηtot(d)が実質的に粒径dに依存しない場合、応答R(d)は粒径範囲RNG1において粒径dに実質的に依存しないことが可能である。
【0096】
例えば、少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を少なくとも部分的に補償するように、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択することができる。
【0097】
例えば、移動粒径(d)が200nmの粒子(P0)を検出する電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となり、40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となるように、収集ユニット(200)の圧力(p)を選択することができる。
【0098】
例えば、移動粒径(d)が400nmの粒子(P0)を検出する電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出する応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となり、40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となるように、収集ユニット(200)の圧力(p)を選択することができる。
【0099】
例えば、40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となるように、また、1000nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))が100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.2倍の範囲となるように、収集ユニット200の圧力を選択することができる。
【0100】
流量Qは実質的に一定に維持することができる。総検出効率ηtot(d)は、測定装置500の検出粒径範囲RNG0において実質的に一定とすることができる。検出粒径範囲RNG0は、例えば40nm~400nmとすることができる。検出粒径範囲RNG0は、例えば40nm~1000nmとすることができる。定数k、流量Q及び総検出効率ηtot(d)を組み合わせて、較正定数KCALとして表すことができる。
【数2】
【0101】
数密度nは、測定された検出器電流Iから、例えば較正定数kCALを用いて求めることができる:
(t)=KCAL・I(t) (9)
【0102】
較正定数KCALは、例えば較正測定によって求めることができる。較正定数KCALは、例えば装置のメモリ(MEM1)に記憶することができる。装置500は、較正定数KCALを用いて測定電流I(t)から数密度n(t)を求めるように配置されることができる。一実施形態では、測定電流I(t)は補助コンピュータに通信接続することができ、補助コンピュータは、較正定数KCALを用いて測定電流I(t)から数密度n(t)を求めるように配置されることができる。
【0103】
数密度nとは、単位体積中のエアロゾル粒子の個数をいう。数密度nは個数濃度とも称され得る。
【0104】
図2dを参照すると、応答関数R(d)を基準値RREFで除することにより、応答関数R(d)を正規化することができる。
【数3】
【0105】
基準値RREFは例えば、粒径100nmにおける応答R(d)と等しくすることができる。
【0106】
内部圧力pを選択することにより、実質的に平坦な応答関数R(d)及び/又は実質的に平坦である正規化された応答関数R(d)を提供することができる。例えば、少なくとも40nmから400nmの粒径範囲では、応答関数R(d)、R(d)は限界±10%の範囲内で実質的に平坦となることができる。例えば、少なくとも20nmから1000nmの粒径範囲では、応答関数R1(d)、R0(d)は限界±20%の範囲内で実質的に平坦となることができる。
【0107】
所定の粒径範囲RNG2において収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償できるように、収集ユニット(200)の内部圧力(p)を選択することができる。
【0108】
例えば、収集ユニットの内部圧力(p)が20kPaに等しい場合、100nm~200nmの粒径範囲(RNG2)において、正規化された応答関数R(d)の勾配が例えば-1%/100nmに実質的に等しくなるように、負の勾配は正の勾配を補償することができる。
【0109】
比較例として、収集ユニットの内部圧力が100kPaに等しい場合、100nm~200nmの粒径範囲(RNG2)において、正規化された応答関数R(d)の勾配は例えば-17%/100nmに実質的に等しくなることができる。
【0110】
図2fを参照すると、修正ユニットMOD1の透過関数ηMOD1(d)は総検出効率ηtot(d)と応答関数R(d)とに影響を及ぼし得る。例えば、測定装置500の検出粒径範囲RNG0の上限付近において実質的に平坦な応答となるように、修正ユニットMOD1の透過関数ηMOD1(d)を選択することができる。例えば、測定装置500の検出粒径範囲RNG0の上限付近において実質的に平坦な応答となるように、透過関数ηMOD1(d)のカットオフ粒径dcutを選択することができる。
【0111】
図3を参照すると、装置500は例えば、収集ユニット200の内部圧力(p)を減圧するための臨界オリフィスOR1を備えることができる。減圧ユニットPDU1は、臨界オリフィスOR1を備えることができる。臨界オリフィスOR1は、例えば装置500のサンプリングライン50等に配置することができる。
【0112】
荷電ユニット100は、例えばコロナ放電DSR1等によってイオンJ1を生成するように配置することができる。荷電ユニット100は、コロナ放電DSR1を形成するためのコロナ電極E1を備えることができる。コロナ電極E1は、対向電極E2と共にコロナ放電DSR1を形成するように配置されることができる。一実施形態では、荷電ユニット100の導電性のハウジング150が対向電極E2として動作することができる。
【0113】
コロナ電極E1は、例えば鋭い先端を有する導体等とすることができる。コロナ電極E1は、例えば径が細い裸導体ワイヤ等とすることができる。電極E1は、例えばコネクタCON1等を介して電圧供給部VSU1の端子T1に接続することができる。コロナ電極は、例えば1つ又は複数の絶縁体(ISO1)によって機械的に支持されることができる。
【0114】
コロナ電極E1は、コロナ放電DSR1によりイオンJ1を生成するように配置されることができる。コロナ電極E1は対向電極E2と協働することができる。電極E1,E2は電圧差V1を有するように高電圧供給VSU1に接続されることができる。コロナ電極E1と対向電極E2とが合わさって、コロナ電極E1の近傍にコロナ放電DSR1を発生させる電界を形成することができる。電界の強度が局所的にガスの絶縁耐力を超えることにより、コロナ電極E1の付近にコロナ放電DSR1を形成することができる。
【0115】
生成されたイオンJ1は、拡散により粒子P0に対して移動することができる。一部の拡散イオンJ1は粒子P0と衝突して電荷を粒子に移動させることができる。荷電ユニットは、拡散荷電によって荷電粒子を形成することができる。イオンJ1から粒子への電荷の移動は、荷電ユニット100の荷電空間(SPC1)内で行うことができる。
【0116】
荷電ユニット200の流出エアロゾルサンプル流FG2は、電気的に中性の粒子と、荷電エアロゾル粒子P1と、イオンJ1とを含むことができる。エアロゾルサンプル流FG2の粒子P0,P1及びイオンJ1は、気体中に懸濁されることができる。
【0117】
荷電ユニット200の流出エアロゾルサンプル流FG2は、イオントラップTRAP1を通るように案内されてイオンJ1を取り除くことができる。
【0118】
イオントラップTRAP1は、荷電ユニット100の下流かつ収集ユニット200の上流に配置することができる。イオントラップTRAP1は、収集ユニット200に案内されるエアロゾル流FG2,FG3からイオンJ1の少なくとも一部を除去することができる。イオントラップTRAP1を用いることによって電流I(t)を安定化することができる。イオントラップTRAP1は例えば、電界を提供するために2つ以上の偏向電極E5,E6を備えることができ、これらの偏向電極E5,E6は、イオンJ1をエアロゾル流FG3から偏向することができる。電界は、電極E5,E6を通過するガス流FG3の方向に対して実質的に横方向とすることができる。イオントラップTRAP1は電極E5,E6を備えることができる。イオントラップは、例えば、一対の実質的に平行な電極E5、E6を含むことができる。電極E5,E6は、電界を生成するように電圧差V5に接続されることができる。荷電粒子P1の(第1の)適切な割合がイオントラップTRAP1を通過し、イオンJ1の(第2の)適切な割合がエアロゾル流FG3から離れる方向に偏向されるように、電極E5,E6間のスペースの電界の大きさ及び/又はこれを通過するガス流の速度を選択することができる。このようにして、荷電粒子P1の大部分がイオントラップTRAP1を通過して検出器DET1に到達することができる。電圧差V5を選択することにより、イオントラップを通過できる粒子のカットオフ粒径を小さくすることができる。オプションとして、イオントラップTRAP1の電圧V5は、総検出効率曲線ntot(d)の形状を調整するための追加のパラメータとして用いることができる。
【0119】
イオントラップTRAP1は、イオンJ1を除去することによって実質的にイオンフリーのエアロゾルサンプル流FG3を形成することができる。エアロゾルサンプル流FG3は、気体中に懸濁された中性粒子P0及び荷電粒子P1を含むことができる。
【0120】
エアロゾルサンプル流FG3を収集ユニット200に案内して、粒子P1から電荷を収集することができる。収集ユニット200は、拡散により電荷を収集するための1つ以上の収集要素E3を備えることができる。荷電粒子P1は拡散によって収集要素E3の付近を移動することができる。荷電粒子P1の一部が収集要素E3に接触して、正味量の電荷を収集要素E3に移動させることができる。収集した電荷を電流I(t)として電流測定ユニットCMU1に案内するため、収集要素E3を導体CON3に電気的に接続することができる。収集要素E3は、例えば導電性メッシュ要素とすることができる。
【0121】
収集ユニット200は、荷電粒子P1の拡散によって電荷を収集するように配置することができる。収集ユニット200は、荷電粒子P1が電界によって収集要素E3に向かって引き付けられないように動作する配置とすることができる。また、収集要素E3の電荷収集部付近の電界は、実質的に0に等しくすることができる。
【0122】
収集ユニット200はオプションとして、電界が実質的にゼロに等しい領域にエアロゾル流を閉じ込めるための1つ又は複数の電気絶縁シール部ISO3a,ISO3bを備えてもよい。
【0123】
収集ユニット200は、収集効率関数が、少なくとも100nm~200nmの粒径範囲において負の勾配を有するように動作する配置とすることができる。収集要素E3は、粒子の大部分が収集ユニット200を通過することができるように、粒子から電荷を収集するように配置することができる。収集要素E3の網目寸法は、移動粒径200nmの粒子の少なくとも80%が収集ユニット200を通過するように選択することができる。
【0124】
装置500は、導電性遮蔽部E4を備えることができる。遮蔽部E4は、収集要素E3を干渉静電気から保護するように収集要素E3を包囲することができる。遮蔽部E4は、例えばファラデーケージとして収集要素E3を包囲することができる。
【0125】
電流モニタリングユニットCMU1は、導体CON3を介して収集要素E3から検出器電流I(t)を受け取ることができる。導体CON3は、電流モニタリングユニットCMU1の入力端子(IN3)に接続することができる。装置500はオプションとして、収集要素E3から検出器電流I(t)を電流モニタリングユニットCMU1に導くための電気的フィードスルー部を備えることができる。電気的フィードスルー部は、電気絶縁体ISO3によって囲まれた導体CON3の一部を含むことができる。
【0126】
電流モニタリングユニットCMU1の基準端子(IN4)は、装置500の電気的なグラウンドGND1に直接又は間接的に接続することができる。また、遮蔽部E4は、例えば装置500の電気的グラウンドGND1等の固定電位に直接的又は間接的に接続することができる。
【0127】
吸引ユニットVAC1は、収集ユニット200から流れFG4を引き込むためのエジェクタ又はポンプPUMP1を備えることができる。吸引ユニットVAC1はオプションとして、当該吸引ユニットVAC1を流れる流量(Q)を制御するための調整可能なバルブVAL1を備えることができる。吸引ユニットVAC1は、収集ユニット200の内部圧力(p)をモニタリングするための圧力センサPSEN1を備えることができる。吸引ユニットVAC1は、収集ユニット200の内部圧力(p)を選択された圧力(pSET)に実質的に等しく維持するように、吸引ユニットVAC1の流量を調整するための制御ユニットCNT2を備えることができる。吸引ユニットVAC1の流量は例えば、バルブVAL1を調整することによって、及び/又はポンプPUMP1の動作を制御することによって、調整することができる。制御ユニットCNT2は、圧力センサPSEN1の信号に基づいてバルブVAL1の動作を制御し、及び/又はポンプの動作を制御するための制御信号を提供することができる。ポンプPUMP1は、例えばダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、回転翼ポンプ又は蠕動ポンプ等とすることができる。粒子P1が収集ユニット200によって検出される前にポンプPUMP1が流れFG3から粒子を除去しないように、ポンプPUMP1を収集ユニット200の下流に配置することができる。
【0128】
装置500は、測定されたデータを処理するため及び/又は装置500の動作を制御するための制御ユニットCNT1を備えることができる。制御ユニットCNT1は、データを処理するための1つ又は複数の信号処理プロセッサを備えることができる。制御ユニットCNT1は例えば、電流モニタリングユニットCMU1から得られた検出器信号S(t)から数密度値n0(tを求めることができる。装置は、較正データCAL1を記憶するためのメモリMEM1を備えることができる。装置は、メモリMEM1に較正データCAL1として記憶された比例定数を用いて、測定された検出器電流I(t)から数密度値N(t)を求めるように構成することができる。装置は、コンピュータプログラムコードPROG1を格納するためのメモリMEM2を備えることができる。装置は、プログラムコードPROG1を実行することにより1つ又は複数の測定値を求めるように構成することができる。コンピュータプログラムPROG1は、少なくとも1つのデータプロセッサ上で実行される際に、制御ユニットCNT1に装置500の動作を制御させるコンピュータプログラムコードを備えることができる。コンピュータプログラムPROG1は、少なくとも1つのデータプロセッサ上で実行される際に、測定されたデータ(例えば信号I(t)、S(t)等)を処理させるコンピュータプログラムコードを備えることができる。装置は、測定された検出器電流値Iを格納するため及び/又は求めた数密度値n(t)を格納するためのメモリMEM3を備えることができる。装置500はオプションとして、データを受信及び/又は送信するための通信ユニットRXTX1を備えることができる。装置500はオプションとして、測定値及び/又は求めた値を例えばサーバ等の外部装置に送信するための通信ユニットRXTX1を備えることができる。通信ユニットRXTX1は、例えば信号S(t)を例えば外部のポータブルコンピュータに送信することができる。通信ユニットRXTX1は、例えば信号S(t)を例えばインターネットサーバに送信することができる。通信ユニットRXTX1は、例えば無線送信、光ケーブル及び/又は電気ケーブルを使用すること等によってデータを受信及び/又は送信することができる。
【0129】
装置はオプションとして、ユーザ入力を受け取るため及び/又はユーザに情報を出力するためのユーザインタフェースUIF1を備えることができる。ユーザインタフェースUIF1は、例えばディスプレイ、タッチスクリーン及び/又はキーボード等を含むことができる。
【0130】
装置500はオプションとして、ユーザに情報を出力するため及び/又はユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェースUIF1を備えることができる。ユーザインタフェースUIF1は、例えばディスプレイ及び/又は1つ若しくは複数のキー等を含むことができる。ユーザインタフェースUIF1は例えばタッチスクリーン等を含むことができる。ユーザインタフェースUIF1は、例えば、電流Iの大きさ(t)、測定された数密度n(t)及び/又は補助電流I(t)の大きさ(図4a)を表示するように配置することができる。
【0131】
ユニット50、PDU1、100、TRAP1、200、300は、例えばキャビネット内、運転中の機関の近傍及び/又は希釈システムの近傍に配置することができる。インタフェースUIF1はまた、当該インタフェースUIF1を人間工学的及び/又は安全な位置に配するようにユニットから遠隔位置に配置することができる。ポータブルコンピュータ又はモバイルデバイス(例えばスマートフォン等)が通信ユニットRXTX1を介して装置500と通信するように構成することができ、また、前記ポータブルコンピュータ又はモバイルデバイスはインタフェースUIF1として動作するように構成することもできる。
【0132】
装置200によって測定されたデータは分散方式で処理されることができる。例えば、数密度値n(t)への信号Sの変換は別個のデータプロセッサで実行することができる。データは、例えばポータブルコンピュータ及び/又はインターネットサーバ等を用いて処理することができる。
【0133】
装置500はオプションとして、時間情報を提供するためのクロックCLK1を備えることができる。例えば、信号S(t)及び/又は測定個数密度n(t)をタイムスタンプに関連付けるようにメモリMEM3に記録することができる。記録されたデータにタイムスタンプを付与することができる。
【0134】
一実施形態では、荷電ユニット100のコロナ電極E1をエアロゾルサンプル流の粒子から保護するために希釈ガス流DG0を荷電ユニット100に送ることができる。この保護希釈ガス流DG0は、コロナ電極E1を清浄な状態に維持するように配することができる。第1の臨界オリフィスOR1を介してサンプルエアロゾル流を荷電ユニット100の減圧された圧力(p100,p)に送り、第2の臨界オリフィスOR2を介して保護ガス流DG0を荷電ユニット100に送ることにより、コロナ電極E1を保護できると共に、希釈サンプルエアロゾル流を実質的に一定の希釈比で提供することができる。荷電ユニット100は、コロナ電極E1に向かって希釈ガス流DG0を送ることにより、コロナ電極E1の周囲にこれを取り囲む実質的に無粒子の領域を形成するように構成することができる。希釈ガス流DG0は、コロナ電極E1をフラッシュ洗浄するように配することができる。
【0135】
入力エアロゾルFG0又はサンプル流FG1は、初期の粒径分布を有することができる。装置500は、例えばサンプルを希釈するため及び/又はエアロゾルサンプル流から大きな粒子を除去するために、修正ユニットMOD1を備えることができる。修正ユニットMOD1は、エアロゾルサンプル流の粒径分布を修正することができる。
【0136】
装置500は、例えばサンプルを希釈するため及び/又はエアロゾルサンプル流から所定のカットオフ粒径を超える大きな粒子を除去するために、修正ユニットMOD1を備えることができる。修正ユニットMOD1は例えば、エアロゾルサンプル流を希釈するための希釈ユニットDIL1及び/又はエアロゾルサンプル流から大きな粒子を除去するためのパーティクルフィルタ等を備えることができる。カットオフ粒径は、例えば1μm~10μmの範囲とすることができる。カットオフ粒径は、例えば40nm~1000nmの粒径範囲等において、総検出効率ηtot(d)の形状が実質的に線形になるように選択することができる。カットオフ粒径dcutは、40nmから200nmの粒径範囲における複合検出効率ηCMB(d)の実質的に線形の形状を有意に変形させないように選択することができる。カットオフ粒径dcutは、例えば0.5μm~5μmの範囲とすることができる。カットオフ粒径は、例えば1μm~2μmの範囲とすることができる。サンプル修正ユニットは、例えば荷電ユニット100の手前等に配置することができる。サンプル修正ユニットの内部圧力も減圧されるように、サンプル修正ユニットを減圧ユニットPDU1より後に配置することができる。サンプル修正ユニットは、例えばフィルタ、サイクロン及び/又はインパクタを備えることができる。減圧された内部圧力は、フィルタ、サイクロン及び/又はインパクタの動作を容易にすることができる。
【0137】
図4a及び4bを参照すると、装置500はオプションとして、第1の収集ユニット200から出た粒子P1の電荷を検出するための補助検出ユニット300を備えることができる。補助検出ユニット300は、エアロゾル流FG4によって運ばれる全電荷を検出することができる。補助検出ユニット300は例えば、収集ユニット200から出た荷電粒子の少なくとも50%を検出するように構成することができる。補助検出ユニット300は、補助検出ユニット300によって捕捉された粒子の単位時間当たりの電荷に比例する電流I(t)を出力することができる。
【0138】
本方法は、収集ユニット100から出るエアロゾル粒子の電荷を示す第2の補助電流I(t)を測定することを含むことができる。収集ユニット100の第1の検出器電流I(t)は、例えば入力流の粒子の個数濃度を示すことができ、第2の補助電流I(t)は、例えばエアロゾル粒子の表面積濃度を示すことができる。第1の電流I(t)は、例えば40nm~200nmの粒径範囲において粒径に実質的に依存しないと共に、第2の電流I(t)は40nm~200nmの粒径範囲において粒径に依存することが可能である。このように電流I(t),I(t)の挙動が異なることにより、これら2つの信号I(t),I(t)から平均粒径(dP,ave)を推定することが可能になる。本方法は、第1の検出器電流I(t)及び第2の補助電流I(t)から平均粒径(dP,ave)を求めることを含むことができる。
【0139】
本方法は、補助検出ユニット300を使用して、収集ユニット200を通過する荷電粒子(P1)の電荷を示す補助電流(I(t))を提供することを含むことができる。
【0140】
本方法は、収集ユニット200の電流(I(t))と補助検出ユニット300の補助電流(I(t))とから平均粒径(dP,ave)を求めることを含むことができる。
【0141】
第2の補助電流I(t)を用いて、測定された数密度n(t)の信頼性を確認し、及び/又は、測定装置が適正に動作しているか否かを確認することができる。入力流FG0の粒径分布が不変であると分かっている状況では、一定の第2の補助電流I(t)は、測定結果が有効であることの示唆、及び/又は測定装置500が適正に動作していることの示唆とすることができる。入力流FG0の粒径分布が不変であると分かっている状況では、第2の補助電流I(t)が変化すると、これは測定結果が有効でないことの示唆、及び/又は測定装置500が適正に動作していないことの示唆とすることができる。
【0142】
補助検出ユニット300は、流れFG4の粒子P1を捕集することができる。補助検出ユニット300は、粒子を捕捉するための例えばパーティクルフィルタFIL1等を備えることができる。フィルタFIL1は、例えばモニタリングフィルタ等と称され得る。フィルタFIL1は導電性又は電気絶縁性とすることができる。フィルタFIL1は、ファラデーケージFARA1によって包囲されることができ、又は、フィルタFIL1の導電性の外層がファラデーケージFARA1として動作することができる。フィルタFIL1及び/又はファラデーケージFARA1は、1つ又は複数の絶縁体ISO7によって支持されることができる。導電性のフィルタFIL1は、例えば焼結導電性粒子又は導電性繊維を含むことができる。ファラデーケージFARA1及び/又は導電性のフィルタFIL1は、第2の電流モニタリングユニットCMU2に電気的に接続することができる。電流モニタリングユニットCMU2は、第2の補助電流I(t)を測定することにより第2の電流信号S(t)を提供することができる。第2の電流信号S(t)は、第2の補助電流I(t)の大きさを示すことができる。信号S(t)は例えばデジタル信号等とすることができる。電流モニタリングユニットCMU2は例えば、第2の補助電流I(t)を測定するための電位計を備えることができる。
【0143】
ファラデーケージFARA1内のフィルタDFILによって捕捉された荷電粒子P1がファラデーケージFARA1に接触しなくても、ファラデーケージFARA1及び電流モニタリングユニットCMU2を用いて、荷電粒子P1により運ばれる電荷を検出することができる。
【0144】
フィルタFIL1は例えば、200nmの粒径を有する粒子のうち90%超を当該フィルタFIL1によって捕集できるように選択することができる。フィルタFIL1は、例えばインターセプション、慣性衝突、拡散、重力沈降及び/又は静電捕集等によってエアロゾル粒子を捕集することができる。フィルタFIL1は、粒子が検出器FIL1からガス流中に放出されて戻らないように、粒子を不可逆的に捕集することができる。検出器FIL1は、例えば、測定期間中に捕集された粒子のうち検出器FIL1から放出されてガス流FG5中に戻る割合が質量で10%未満となるように、測定期間中に粒子を捕集することができる。吸引ユニットVAC1は、補助検出ユニット300からガス流FG5を引き込むことによりエアロゾル流(F0,FG1,FG,FG3,FG4)を生じさせることができる。
【0145】
図5を参照すると、装置500は、例えば一定の希釈比でエアロゾルサンプル流を希釈するための希釈ユニットDIL1を備えることができる。希釈ユニットDIL1は例えば、希釈ガス流DG0をサンプリングライン50に案内するための第2の臨界オリフィスOR2を備えることができる。希釈ガスDG0のガスGAS1は、実質的に無粒子のガスとすることができる。希釈ガスGAS1は、例えばガスボンベ等から得ることができる。希釈ガスGAS1は、例えば大気AIR1等とすることができる。希釈ユニットDIL1はオプションとして例えば、希釈ガスGAS1から粒子を除去するためのフィルタFIL2を備えることができる。
【0146】
エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)は、第1の臨界オリフィスOR1を介して減圧された圧力pに送られることができ、希釈ガス流DG0は第2の臨界オリフィスOR2を介して同じ減圧された圧力pに送られることができる。希釈されたサンプルを提供するため、エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)は例えばサンプリングライン50又は荷電ユニット100等において希釈ガス流DG0と組み合わされることができる。オリフィスOR1,OR2を通るチョーク流れ(臨界流)を保証するために、圧力比p/pは例えば0.5未満とすることができる。これにより、一定の希釈比で希釈エアロゾルサンプル流を提供することができる。
【0147】
一実施形態では例えば、コンタミネーションの原因となる粒子からコロナ電極E1を保護するため、臨界オリフィス(OR2)を介して希釈ガス流(DG0)を荷電ユニット100に送ることもできる。
【0148】
図6aを参照すると、収集ユニット200の収集要素E3は例えば導電性メッシュ要素等とすることができる。収集要素E3によって収集された電荷(CHR1)は、導体CON3を介して電流モニタリングユニットCMU1に伝達することができる。導電性メッシュ要素は、導電性のハウジングE3aによって包囲することができる。要素E3及び/又はハウジングE3aは、1つ又は複数の絶縁体ISO3a,ISO3bによって支持されることができる。収集された電荷(CHR1)は電流I(t)として、導体CON3を介して電流モニタリングユニットCMU1の入力端T3に伝達することができる。
【0149】
収集ユニット200は、拡散捕集方式で動作するように構成することができる。収集ユニット200は、エアロゾル粒子の大部分が当該収集ユニット200を通過できるように動作する構成とすることができる。収集ユニット200は、粒径200nmの粒子のうち収集要素E3に捕捉されるのが20%未満となるように動作する配置とすることができる。例えば、粒径200nmの粒子のうち収集要素E3によって捕捉される割合が20%未満となるように、要素E3の網目寸法を選択することができる。
【0150】
収集ユニット200は、導電性遮蔽部E4を備えることができる。導電性遮蔽部E4は、要素E3及び/又はハウジングE3aを干渉静電気から保護するファラデーケージとして動作することができる。遮蔽部E4は、電流モニタリングユニットCMU1の入力端IN4及び/又は装置500の電気的グラウンドGND1に接続することができる。
【0151】
要素E3付近の電界が小さく又はゼロになり、静電力によって粒子が捕集されるのを低減又は回避できるように、要素E3及び/又はハウジングE3aを配置することができる。
【0152】
要素E3の寸法及び/又は要素E3間のギャップの寸法は、収集ユニット200が主に拡散によって電荷(CHR1)を収集できるように選択することができる。要素E3の寸法及び/又は要素E3間のギャップの寸法は、インターセプション、慣性衝突及び/又は静電引付けによる捕集を低減又は最小限にするように選択することができる。
【0153】
図6bを参照すると、収集ユニット200の収集要素E3は例えば板状要素等とすることもできる。
【0154】
図7aを参照すると、荷電ユニット100は、エアロゾル流とコロナ放電DSR1との間の距離を拡大するための1つ又は複数の流れ案内部BAF1,BAF2を備えることができる。距離を拡大することにより、コロナ電極E1と対向電極E2とによって生成される電界EFIELD1が弱い領域(SPC1)にエアロゾル流をシフトさせることができる。例えば、荷電空間(SPC1)内のエアロゾルサンプル流(FG1)における電界EFIELD1の最大強度が100V/cm未満となるように、荷電空間(SPC1)を通るようにエアロゾルサンプル流を案内することができる。電界EFIELD1を減少させることにより、拡散荷電の相対的な寄与分を増大させることができる。電界EFIELD1を減少させることにより、40nm~200nmの粒径範囲の粒子が主に拡散荷電によって荷電することを保証することができる。流れ案内部BAF1,BAF2は、エアロゾル流をコロナ放電DSR1から離れる方向に案内することができる。流れ案内部BAF1,BAF2は、対向電極E2付近の荷電領域SPC1にエアロゾル流を案内することができる。荷電領域SPC1は電極E1,E2の間に位置することができる。
【0155】
装置500は、荷電ユニット100の動作電力を供給するための電圧供給部VSU1を備えることができる。装置500は、荷電ユニット100のコロナ電極E1に高電圧V1を供給するための高電圧供給部VSU1を備えることができる。
【0156】
この高いコロナ電圧V1及びコロナ電流は、電圧供給部VSU1から導体CON1を介してコロナ電極E1に伝送することができる。荷電ユニット100は、ハウジング150を貫通してコロナ電極E1にコロナ電流を伝送するためのフィードスルー部を備えることができる。フィードスルー部は、導体CON1及び電気絶縁体ISO1の一部を含むことができる。
【0157】
サンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)は:
-エアロゾルサンプル流(FG1)が流入する流入口(IN1)と、-対向電極(E2)と共にコロナ放電(DSR1)を形成することによりイオン(J1)を生成するコロナ電極(E1)と、-生成されたイオン(J1)の拡散によってエアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成する荷電空間(SPC1)と、-荷電空間(SPC1)内のエアロゾルサンプル流(FG1)における電界(EFIELD1)の最大強度が100V/cm未満となるように、受け取ったエアロゾルサンプル流(FG1)を荷電空間(SPC1)に通して案内する1つ又は複数の流れ案内部(BAF1)と、を備えることができる。
【0158】
荷電ユニット100は、エアロゾルサンプル流(FG1)に荷電粒子(P1)を供給するための流出口OUT1を備えることができる。荷電ユニット100は、荷電粒子(P1)及び中性粒子(P0)を含む荷電エアロゾルサンプル流(FG2)を提供することができる。
【0159】
2つの電極(E1、E2)及び流れ案内部(BAF1)により荷電ユニット(100)を実現することにより、比較的低コストで十分な精度と頑丈な構造とを実現することが可能になる。
【0160】
図7bを参照すると、荷電ユニットの対向電極E2は、コロナ電極E1を包囲する導電性メッシュとすることもできる。生成されたイオンJ1は導電性メッシュを通過して、メッシュ電極E2の向こう側の荷電ゾーンSPC1に到達することができる。イオンJ1は、荷電ゾーンSPC1において拡散荷電により粒子を荷電することができる。
【0161】
荷電ユニット100のハウジングが補助電極E2aとして動作することができる。補助電極E2aは例えば、導体CON2aを介して補助電圧供給部VSU1aの接続端T2aに接続することができる。対向電極E2は、補助電圧供給部VSU1aの接続端T2bに接続することができる。
【0162】
コロナ電極E1と対向電極E2とが合わさって電界を形成することができる。対向電極E2と補助電極E2aとは、外部電界EFIELD1を形成することができる。内部電界EFIELD1は、放電領域DSR1から対向電極E2に向けてイオンJ1のドリフトを引き起こすことができる。荷電ゾーンSPC1における電界EFIELD1の強度は、内部電界EFIELD2の強度よりも実質的に低くすることができる。荷電ゾーンSPC1における電界EFIELD1の強度の低下により、拡散荷電の相対的な寄与分を増加させることができる。
【0163】
装置は、対向電極E2と補助電極E2aとの間に補助電圧V1aを供給する構成とすることができる。補助電圧V1aは、荷電ユニット100の荷電効率曲線η(d)の形状に影響を与えることができる。オプションとして、補助電圧V1aを追加的な動作パラメータとして使用することができ、この追加的な動作パラメータは、測定装置500の総検出効率ηtot(d)の形状を調整するように選択することができる。
【0164】
また、補助電極E2aは、荷電ゾーンSPC1における電界EFIELD1を最小化するように対向電極E2に(直接)接続されることができる。
【0165】
電流モニタリングユニットCMU1,CMU2が提供する信号S(t),S(t)はオプションとして、例えばバックグラウンド信号値等を用いて補償することができる。バックグラウンド信号値は、例えば流量(Q)がゼロであるとき、又はユニット100,200,300に通されるガスが実質的に無粒子であるとき等に、例えば電流信号I(t)、I(t)を測定することによって、実験により求めることができる。
【0166】
オプションとして、サンプル流を希釈することができる。希釈比は一定とすることができ、又は希釈比は、例えば希釈システムに案内される排ガスの流量に応じて変動することができる。例えば、機関の排ガスを定容量サンプラのトンネルに案内して、粒子エミッション実験中に例えば機関の出力等に応じて希釈比が変動するようにすることができる。
【0167】
図8a及び図8bを参照すると、測定システム1002はエアロゾル源SRC1及びエアロゾル測定装置502を備えることができる。
【0168】
測定装置502は、減圧ユニットPDU1と、低圧サンプリングライン50と、エアロゾル計測器INSTR1と、低圧サンプリングライン50を介してエアロゾルサンプル流FG1をエアロゾル計測器INSTR1に引き込むための吸引ユニットVAC1と、を備えることができる。
【0169】
計測器INSTR1は例えば、粒子の数密度を測定するための上述の装置500とすることができる。しかし、計測器INSTR1は他のエアロゾル測定装置とすることもできる。計測器INSTR1は、エアロゾル流FG1の1つ又は複数のエアロゾルパラメータ値を測定するように構成することができる。計測器INSTR1は例えば、粒子の数密度、粒子の質量濃度、粒径分布、平均粒径、表面積濃度から選択された1つ又は複数のエアロゾルパラメータ値を測定するように構成することができる。計測器INSTR1は、例えば光学粒子カウンタ等とすることができる。
【0170】
計測器INSTR1はオプションとして、1つ又は複数の測定されたエアロゾルパラメータ値を示す1つ又は複数の信号S11(t)を提供することができる。計測器INSTR1は、エアロゾルサンプル流FG1が流入する流入口IN1と、出力流FG12のための流出口OUT2とを有することができる。計測器INSTR1は、ガス相のエアロゾルサンプル流FG1を流入口IN1から流出口OUT2に案内することにより、エアロゾルサンプル流FG1から出力流FG12を形成することができる。
【0171】
装置(502)は、以下のものを備えることができる:
-エアロゾルサンプル流(FG1)の圧力(p50)を減圧するための臨界オリフィス(OR1)、-エアロゾルサンプル流(FG1)の1つ又は複数のエアロゾルパラメータ値を測定するためのエアロゾル計測器(INSTR1)、-エアロゾルサンプル流(FG1)を臨界オリフィス(OR1)からエアロゾル計測器(INSTR1)に案内するためのサンプリングライン(50)、及び、-臨界オリフィス(OR1)からサンプリングライン(50)を介してエアロゾル計測器(INSTR1)にエアロゾルサンプル流(FG1)を引き込むための吸引ユニット(VAC1)、ただし、臨界オリフィス(OR1)及び吸引ユニット(VAC1)は、サンプリングライン(50)の内部圧力(p50)を50kPa未満に維持するように配置されている。
【0172】
サンプリングライン50を介してエアロゾルサンプル流FG1を減圧した圧力(p50)で案内することは、以下の効果のうちの1つ以上を奏することができる:
-揮発性化合物が凝縮するリスクの減少、-凝縮により粒径分布が変化するリスクの減少、-サンプリングラインの粒子の速度の上昇による応答の高速化。
【0173】
図8bを参照すると、測定装置502は、希釈ユニットDIL1をさらに備えることができる。希釈ユニットDIL1は、入力エアロゾルサンプル流FG0を希釈ガス流DG0と組み合わせることによって希釈サンプル流FG1を形成するように配置することができる。希釈されたエアロゾルサンプル流FG1は、低圧サンプリングライン50を介して計測器INSTR1に案内されることができる。
【0174】
希釈されたサンプル流を形成することは、以下の効果のうちの1つ以上を奏することもできる:
-揮発性化合物が凝縮するリスクの減少、-凝縮により粒径分布が変化するリスクの減少、-サンプリングラインの粒子の速度の上昇による応答の高速化。
【0175】
測定装置502は、減圧ユニットPDU1と、オプションとして希釈ユニットDIL1とを備えることができる。また希釈ユニットDIL1は、減圧ユニットPDU1として動作するように構成することもできる。希釈ユニットDIL1は、エアロゾルサンプル流の圧力(p50)を減圧するためのための1つ又は複数のオリフィスOR1を備えることができる。希釈ユニットDIL1は、入力流FG0の流量を制御するための1つ又は複数の第1の臨界オリフィスOR1を備えることができる。希釈ユニットDIL1は、希釈ガス流DG0の流量を制御するための1つ又は複数の第2の臨界オリフィスOR2を備えることができる。希釈ユニットDIL1は例えば、希釈ガス流DG0をサンプリングライン50に案内するための第2の臨界オリフィスOR2を備えることができる。
【0176】
入力流FG0は、1つ以上の第1の臨界オリフィスOR1を介してライン50に案内することができる。希釈ガス流DG0は、1つ以上の第2の臨界オリフィスOR2を介してライン50に案内することができる。オリフィスOR1、OR2を介して臨界流(チョーク流れ)が流れることを保証するため、サンプリングライン50の内部圧力(p50)を例えば50kPa未満に維持することができる。入力流FG0は流量QFG0を有し、希釈ガスは流量QDG0を有することができる。サンプリングライン50の内部圧力(p50)を50kPa未満の所定値に維持し、オリフィスOR1,OR2を介して流れ(FG0、DG0)を案内することにより、実質的に一定の希釈比(QFG0/QDG0)にすることができる。
【0177】
エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)は、第1の臨界オリフィスOR1を介して減圧された圧力p50に送られることができ、希釈ガス流DG0は第2の臨界オリフィスOR2を介して同じ減圧された圧力p50に送られることができる。希釈されたサンプルを提供するため、エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)は例えばサンプリングライン50等において希釈ガス流DG0と組み合わされることができる。オリフィスOR1,OR2を通るチョーク流れ(臨界流)を保証するために、圧力比p50/pは例えば0.5未満とすることができる。これにより、一定の希釈比で希釈エアロゾルサンプル流を提供することができる。
【0178】
希釈ユニットDIL1は、エアロゾルサンプル流を、例えば一定の希釈比(QFG0/QDG0)で希釈することができる。希釈ガスDG0のガスGAS1は、実質的に無粒子のガスとすることができる。希釈ガスGAS1は、例えばガスボンベ等から得ることができる。希釈ガスGAS1は、例えば大気AIR1等とすることができる。希釈ユニットDIL1はオプションとして例えば、希釈ガスGAS1から粒子を除去するためのフィルタFIL2を備えることができる。
【0179】
装置(502)は、以下のものを備えることができる:
-入力エアロゾル流(FG0)を減圧するための第1の臨界オリフィス(OR1)と、希釈ガス流(DG0)を減圧するための第2の臨界オリフィス(OR2)と、を備えた希釈ユニット(DIL1)であって、入力エアロゾル流(FG0)と希釈ガス流(DG0)とを減圧した圧力(p50)で組み合わせることにより希釈エアロゾルサンプル流(FG1)を形成するように構成された希釈ユニット(DIL1)、-エアロゾルサンプル流(FG1)の1つ又は複数のエアロゾルパラメータ値を測定するためのエアロゾル計測器(INSTR1)、-希釈ユニット(DIL1)からエアロゾル計測器(INSTR1)へエアロゾルサンプル流(FG1)を案内するためのサンプリングライン(50)、-希釈ユニット(DIL1)からサンプリングライン(50)を介してエアロゾル計測器(INSTR1)へエアロゾルサンプル流(FG1)を引き込むための吸引ユニット(VAC1)。ただし、臨界オリフィス(OR1,OR2)及び吸引ユニット(VAC1)は、サンプリングライン(50)の内部圧力(p50)を50kPa未満の選択された値pSETに維持するように配置されている。
【0180】
吸引ユニットVAC1は例えば、サンプリングライン50を介してエアロゾルサンプル流FG1を計測器INSTR1に引き込むためのポンプPUMP1又はエジェクタを備えることができる。吸引ユニットVAC1は、計測器INSTR1から流れFG12を引き込むことによりエアロゾルサンプル流FG1を生じさせることができる。
【0181】
サンプリングラインの内部圧力p50の下限は、例えば2kPa(20mbar)等とすることができる。装置500,502は、サンプリングラインの内部圧力p50が2kPa以上になるように動作するように配置することができる。内部圧力pは、例えば2kPa~50kPaの範囲とすることができる。
【0182】
吸引ユニットVAC1はオプションとして、サンプリングライン50の内部圧力(p50)を直接的又は間接的にモニタリングするための圧力センサPSEN1を備えることができる。吸引ユニットVAC1はオプションとして、流れFG12の流量及び/又は圧力(p50)を制御するためのバルブVAL1を備えることができる。
【0183】
吸引ユニットVAC1はオプションとして、圧力センサPSEN1から得られる信号Sに基づいてポンプPUMP1及び/又はバルブVAL1の動作を制御するための制御ユニットCNT2を備えることができる。制御ユニットCNT2は、圧力センサPSEN1から得られる信号Sに基づいて、内部圧力(p50)を所定値(pSET)に維持するようにポンプPUMP1及び/又はバルブVAL1の動作を制御する構成とすることができる。
【0184】
圧力センサPSEN1は、収集ユニット200の内部圧力(p)を示す信号Sを提供することができる。圧力センサPSEN1は、サンプリングライン50の内部圧力(p50)を示す信号Sを提供することができる。バルブVAL1は制御信号SVALを提供することによって制御されることができ、及び/又は、ポンプは制御信号SPUMPを提供することによって制御されることができる。
【0185】
装置500,502はオプションとして、エアロゾルサンプル流(FG0,FG1)の流量(Q)を直接的又は間接的にモニタリングするための流れセンサQSEN1を備えることができる。流れセンサQSEN1は、エアロゾルサンプル流FG1の流量Qを示す信号Sを出力することができる。例えば装置500、502は、流量Qが所定の範囲内にないことを信号Sが示す場合に警報を出力するように構成することができる。
【0186】
計測器INSTR1の流出口OUT2から得られる流れFG12は粒子及び/若しくは揮発性化合物を含み得、又は、流れFG1は汚染物質を実質的に含まないことができる。吸引ユニットVAC1はオプションとして、流れFG12から粒子及び/又は揮発性ガスを除去するための保護フィルタFIL12を備えることができる。フィルタFIL12は、圧力センサPSEN1、バルブVAL1及び/又はポンプPUMP1を汚染から保護することができる。
【0187】
真空ユニットVAC1は排気流EXG1を提供することができる。吸引ユニットVAC1によって流れFG12が引き込まれた後、排気流EXG1は流出口から、例えば装置500外部の大気中又は換気ダクト内等へ放出されることができる。
【0188】
サンプリングライン50の低圧ゾーンの長さL50は、例えば0.5m~10mの範囲等とすることができる。装置502は例えば、車両の内燃機関から放出されるエアロゾルを測定するために使用することができる。入口流FG0を取り出すため、サンプリングプローブ(50a)の流入口(IN0)を車両の排気管(DUC1)に挿入することができる。
【0189】
エアロゾルサンプル流(FG0)は、排気管(DUC1)から排出される一次エアロゾル(PG0)中にサンプリングプローブ(50a)の流入口(IN0)を配置することによっても得ることができる。
【0190】
サンプリングライン50は、サンプリングプローブ(50a)から計測器INSTR1へエアロゾルサンプル流FG1を案内するために使用されることができる。計測器INSTR1は、例えば定置のキャビネット内又は可動のラック等に配置することができる。サンプリングプローブの流入口と計測器INSTR1との間の距離は、例えば0.5m~10mの範囲等とすることができる。
【0191】
図8cを参照すると、装置502はさらに、エアロゾルサンプル流の粒径分布を修正するための修正ユニットMOD1を備えることができる。修正ユニットMOD1は、第1のエアロゾルサンプル流FG01を、例えば希釈ユニットDIL1から、又はサンプリングプローブから受け取ることができる。修正ユニットMOD1は、第1のエアロゾルサンプル流FG01から粒子を除去することによってエアロゾルサンプル流FG1を形成することができる。修正ユニットMOD1は、例えば400nm~1000nmの粒径範囲において計測器INSTR1の応答が平坦になるように配置することができる。修正ユニットMOD1の透過関数ηMOD1(d)は、例えば400nm~1000nmの粒径範囲において計測器INSTR1の応答が平坦になるように選択することができる。修正ユニットMOD1は例えば、エアロゾルサンプル流から大きな粒子を除去するためのフィルタ(FIL0)、サイクロン及び/又はインパクタを備えることができる。フィルタ(FIL0)、サイクロン、及び/又はインパクタは、所定の粒径範囲において100%未満の粒子を除去することによってエアロゾルサンプル流の粒径分布を修正し、計測器INSTR1の応答(R(d))を実質的に平坦にするように構成することができる。
【0192】
例えば、エアロゾルサンプル流がカットオフ粒径dCUTよりも大きい粒子を含まない場合、修正ユニットMOD1を省略することができる。
【0193】
減圧ユニットPDU1は、例えば1つ又は複数のオリフィスOR1によって具現化することもできる。また減圧ユニットPDU1は、例えば流れ抵抗を生じさせるフィルタ要素によって具現化することもできる。例えば、フィルタ(FIL0)はエアロゾルサンプル流を減圧するように構成することができる。例えば、フィルタ(FIL0)が減圧ユニットPDU1及び/又は修正ユニットMOD1として動作するように構成することができる。
【0194】
圧力制御ユニットCNT2は、内部圧力(p、p50)を選択された値pSETに実質的に等しく維持するようにバルブVAL1及び/又はポンプPUMP1を制御する構成とすることができる。圧力制御ユニットCNT2は、例えば電子的及び/又は機械的とすることができる。電子的圧力制御ユニットCNT2は、例えば所定の圧力値pSETを記憶するためのメモリ等を備えることができる。機械的圧力調整器CNT2は、内部圧力(p,p50)を選択された値pSETに実質的に等しく維持するように、センサPSEN1によって測定された圧力に基づいてバルブVAL1を制御する構成とすることができる。
【0195】
本発明のシステム、装置、部品及び方法の改良形態や変形形態が可能であることが、当業者に明らかである。図は概略図である。上記にて添付の図面を参照して説明した特定の実施形態はあくまで例示であり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
【手続補正書】
【提出日】2022-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル粒子(P0)を測定するための装置(500)であって、
拡散荷電によってエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)を荷電することによって荷電粒子(P1)を形成するための荷電ユニット(100)と、
前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供するための収集ユニット(200)と、
前記エアロゾルサンプル流(FG1)の圧力を低減するための減圧ユニット(PDU1)と、
前記荷電ユニット(100)を介して前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記収集ユニット(200)に引き込むための吸引ユニット(VAC1)と、
を備えており、
荷電効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記拡散荷電が前記粒子(P1)を荷電する効率の関係を示し、
収集効率関数(η(d))が、粒径(d)に対する、前記荷電粒子(P1)の拡散により前記電荷を収集する効率の関係を示し、
前記減圧ユニット(PDU1)及び前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を80kPa以下の選択された圧力値(pSET)に維持するように構成されており、これにより、少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において前記収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が少なくとも部分的に前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償し、
前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)から流れ(FG4)を引き込むためのポンプ(PUMP1)、及び/又は、当該吸引ユニット(VAC1)の流量(Q )を制御するためのバルブ(VAL1)を備えており、
前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p )を示す信号を供給するための圧力センサ(PSEN1)と、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p )を前記選択された値(p SET )に実質的に等しく維持するように前記吸引ユニット(VAC1)の流量(Q )を調整するための制御ユニット(CNT2)と、を備えており、
前記制御ユニット(CNT2)は、前記圧力センサ(PSEN1)の信号に基づき前記バルブ(VAL1)の動作を制御するため及び/又は前記ポンプ(PUMP1)の動作を制御するための制御信号を出力するように構成されている
ことを特徴とする装置(500)。
【請求項2】
200nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))が、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲となるように、前記収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)は前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償する、
請求項1記載の装置(500)。
【請求項3】
400nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))は、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲であり、
40nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための電流(I(t))の応答(R(d))は、100nmの移動粒径(d)を有する粒子(P0)を検出するための応答(R(d))の0.9~1.1倍の範囲である、
請求項1又は2記載の装置(500)。
【請求項4】
前記荷電ユニット(100)は、
対向電極(E2)と共にコロナ放電(DSR1)を形成することによりイオン(J1)を生成するコロナ電極(E1)と、
生成された前記イオン(J1)の拡散により前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成するための荷電空間(SPC1)と、
前記荷電空間(SPC1)内の前記エアロゾルサンプル流(FG1)における電界(EFIELD1)の最大強度が100V/cm未満となるように、受け取った前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記荷電空間(SPC1)に通して案内するための1つ又は複数の流れ案内部(BAF1)と、
を備えている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項5】
前記減圧ユニット(PDU1)は1つ又は複数の臨界オリフィス(OR1)を有する
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項6】
一次エアロゾルサンプル流(FG1)を希釈ガス流(DG0)と組み合わせることにより希釈エアロゾルサンプル流(FG1)を形成するための希釈ユニット(DIL1)を備えている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項7】
前記収集ユニット(200)から出た荷電粒子(P1)の電荷を示す補助電流(I(t))を提供するための補助検出ユニット(300)を備えている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(500)。
【請求項8】
エアロゾル粒子(P0)を測定するための方法であって、
荷電ユニット(100)を用いて、拡散荷電によりエアロゾルサンプル流(FG1)の粒子(P0)から荷電粒子(P1)を形成することと、
減圧ユニット(PDU1)を用いて前記エアロゾルサンプル流(FG1)の圧力を低減することと、
吸引ユニット(VAC1)を用いて、前記荷電ユニット(100)を介して前記エアロゾルサンプル流(FG1)を収集ユニット(200)に引き込むことと、
前記収集ユニット(200)を用いて、前記荷電粒子(P1)の拡散によって当該荷電粒子(P1)から電荷を収集することにより、前記エアロゾルサンプル流(FG1)のエアロゾル粒子(P0)の数密度(n(t))を示す電流(I(t))を提供することと、
少なくとも40nm~200nmの粒径範囲において、収集効率関数(η(d))の負の勾配(Δη/Δd)が少なくとも部分的に前記荷電効率関数(η(d))の正の勾配(Δη/Δd)を補償するように、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p)を80kPa以下の選択された圧力値(pSET)に維持することと、
を含み、
前記荷電効率関数(η(d))は、粒径(d)に対する、前記拡散荷電が前記粒子(P1)を荷電する効率の関係を示し、
前記収集効率関数(η(d))は、粒径(d)に対する、前記荷電粒子(P1)の拡散により前記電荷を収集する効率の関係を示し、
前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)から流れ(FG4)を引き込むためのポンプ(PUMP1)、及び/又は、当該吸引ユニット(VAC1)の流量(Q )を制御するためのバルブ(VAL1)を備えており、
前記吸引ユニット(VAC1)は、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p )を示す信号を供給するための圧力センサ(PSEN1)と、前記収集ユニット(200)の内部圧力(p )を前記選択された値(p SET )に実質的に等しく維持するように前記吸引ユニット(VAC1)の流量(Q )を調整するための制御ユニット(CNT2)と、を備えており、
前記制御ユニット(CNT2)は、前記圧力センサ(PSEN1)の信号に基づき前記バルブ(VAL1)の動作を制御するため及び/又は前記ポンプ(PUMP1)の動作を制御するための制御信号を出力する
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
エンジン(SRC1)の排ガス(PG0)をサンプリングすることによって前記エアロゾルサンプル流(FG1)を得る、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記電流(I)から数密度値(n)を求めることと、求めた前記数密度値(n)を限界値(LIM1)と比較することと、前記数密度値(n)が前記限界値(LIM1)未満であるか否かを判定することと、を含む、
請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾルサンプル流(FG1)を第1の臨界オリフィス(OR1)に通して案内することと、希釈ガス流(DG0)を第2の臨界オリフィス(OR2)に通して案内することと、前記エアロゾルサンプル流(FG1)を前記希釈ガス流(DG0)と組み合わせることにより希釈エアロゾルサンプル流(FG1)を形成することと、を含む、
請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】