(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】加工対象物を機械加工するための工作機械の超音波発生器を制御する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B06B 1/02 20060101AFI20230323BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B06B1/02 Z
B23B1/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547852
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2021052407
(87)【国際公開番号】W WO2021156239
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】102020201540.6
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521565028
【氏名又は名称】デーエムゲー モリ ウルトラソニック レーザーテック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI ULTRASONIC LASERTEC GMBH
【住所又は居所原語表記】Gildemeisterstrasse 1, 55758 Stipshausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ マークス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトール ドリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン フランツマン
【テーマコード(参考)】
3C045
5D107
【Fターム(参考)】
3C045AA03
5D107AA20
5D107BB01
5D107CD03
5D107CD08
5D107DE02
(57)【要約】
本発明は、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御するシステムおよび方法に関する。本発明によれば、超音波の決定された位相変化は、周波数に応じて分析され、分析に基づいて、超音波発生器によって発生された超音波の周波数を制御するための調整アルゴリズムが決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御する方法であって、
前記超音波周波数範囲内にある周波数であって、加工対象物を機械加工するための異なる周波数を有する電気信号を生成する工程と、
前記電気信号によって工具に超音波を照射する工程と、
周波数に応じた前記超音波の位相変化を決定する工程と、
周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、
前記位相変化の分析に応じて、前記超音波発生器によって発生された前記超音波の前記周波数を制御するための調整アルゴリズムを決定する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記位相変化の分析により、1つの周波数点で、第1位相基準値を下回ることが示された場合に、前記方法は、
位相変化調整目標を指定する工程と、
前記位相変化調整目標を達成するために、前記超音波発生器によって発生された前記周波数を調整する工程と、
前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を加工する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位相変化調整目標が2つの異なる周波数によって達成され得る場合に、
前記位相変化調整目標を達成するための前記超音波発生器によって発生された前記周波数は、前記2つの異なる周波数のより高い周波数に調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記位相変化の分析により、全ての周波数点で、第1位相基準値を上回り、少なくとも1つの周波数点において、第2位相基準値を下回ることが示された場合に、前記方法は、
前記位相変化が最小となるように、前記超音波発生器によって発生された前記周波数を調整する工程と、
前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を機械加工する工程と、
を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記位相変化の分析により、全ての周波数点において、第2位相基準値を上回ることが示された場合に、前記方法は、
前記異なる周波数のうち、前記決定された位相変化が最小となる周波数を決定する工程と、
前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を機械加工する工程と、
加工対象物の機械加工中に、前記決定された周波数を中心に所定の周波数帯域で前記周波数を変化させる工程と、
を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記周波数を変化させながら、前記発生された超音波と前記反射された超音波との間の周波数に応じた前記位相変化を決定する工程と、
周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、
前記決定された周波数を中心とする前記周波数帯域から、位相変化が最小となる新しい周波数を決定する工程と、
前記新たに決定された周波数を中心とする前記所定の周波数帯域内で、前記周波数を変化させる工程と、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
加工対象物の機械加工中の前記発生された超音波と前記反射された超音波との間の周波数に応じた前記位相変化を決定する工程と、
加工対象物の機械加工中の周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、
前記位相変化の分析に応じて、前記超音波発生器によって発生された前記超音波の前記周波数を制御するための前記調整アルゴリズムを変更する工程と、
を含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
加工対象物を機械加工するための超音波を発生するための工作機械の超音波発生器を制御するシステムであって、
加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための超音波発生器と、
前記超音波の位相変化を決定するための位相決定部と、
周波数に応じた前記位相変化を分析し、前記位相変化の前記分析に応じて調整アルゴリズムを決定するための評価部と、
前記超音波の前記位相変化に応じて、かつ前記決定された調整アルゴリズムに応じて、前記周波数を調整するための制御部と、
を含む、システム。
【請求項9】
前記評価部は、加工対象物の機械加工中に、前記位相変化を分析し、調整アルゴリズムを決定するように構成され、および/または、
前記制御部は、加工対象物の機械加工中に、前記調整アルゴリズムを変更するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された、請求項8または9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、加工対象物の主に金属切削における柔軟な機械加工を可能にする。したがって、工作機械は、部品の寸法および機械加工される材料に応じて用いられる複数の異なる工具を含む。通常、金属材料の切削機械加工は、幾何学的に決められた切れ刃を用いたフライス加工または旋盤加工によって行われる。しかしながら、セラミックスのような脆性硬質な加工対象物は、それらの材料特有の特性のために、幾何学的に決められた切れ刃によって十分に機械加工されない場合がある。このような用途では、超音波による機械加工は、費用対効果が高く効率的に加工対象物を機械加工するのに適していると思われることが多い。
【0003】
この目的のために、工作機械が当技術分野で知られており、従来の研削または切削などの機械加工の工具運動学は、重畳される追加の高周波振動によって支えられる。この振動は、工具と加工対象物との間の接触部に、数マイクロメートルの範囲の動きの振幅を発生させ、加工力の低減をもたらす。
【0004】
超音波機能を有するこのような工作機械は、超音波振動を発生させる超音波発生器を含み、超音波振動は、主に圧電システムを介して、例えばフライス加工スピンドルにおいて交換可能で挿入可能な工具容器に伝達される。そこでは、超音波機械加工による加工対象物の機械加工の効率は、特に使用される工具の形状およびそのクランプ長に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、工作機械によって最適化された超音波機械加工を可能にする、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御する方法およびシステムを、それぞれ提供することである。
【0006】
この目的は、独立請求項1および8の特徴によって解決される。従属請求項は、それによって、本発明の特別な実施形態に言及する。
【0007】
本発明に係る、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御する方法は、前記超音波周波数範囲内にある異なる周波数を有する電気信号を生成させる工程を含む。これにより、加工対象物を機械加工するための振動システムの固有振動数の最適な使用は、達成されてもよい。ある実施形態では、異なる周波数を有する電気信号は、連続的に生成されてもよい。ある実施形態では、生成された電気信号は、異なる周波数を有する複数の重畳された電気信号を含んでもよい。
【0008】
好ましくは、異なる周波数の全ての周波数点は、周波数に関する可能な動作範囲を決定する所定の周波数帯域の一部である。これは、周波数の調整が周波数に関する加工対象物の機械加工の要件も満たすことを確実にするという利点を有してもよい。
【0009】
特に有利な実施形態では、異なる周波数を有する電気信号を生成することは、所定の周波数スペクトルの掃引(周波数掃引(frequency pass(Frequenzdurchlauf)))を含ん
でもよい。ある実施形態では、異なる周波数、特に掃引(周波数掃引)の周波数スペクトルは、工具(質量、温度)、機械加工パラメーター(送り、回転速度、切り込み)、および/または、材料、形状、大きさ、質量などの1つまたは複数の加工対象物特性に依存してもよい。
【0010】
本方法の別の工程は、電気信号を介して工具に超音波を照射することである。超音波を照射する場合、生成された電気信号は、例えば、特に圧電モーターなどのモーターによって機械的信号(超音波)に変換されてもよい。
【0011】
本方法は、周波数に応じた前記超音波の位相変化(位相変化角)を決定する工程と、周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、前記位相変化の分析に応じて、前記超音波発生器によって発生された前記超音波の前記周波数を制御するための調整アルゴリズムを決定する工程と、をさらに含む。
【0012】
超音波の位相変化を決定することは、例えば、生成された電気信号の電圧と生成された電気信号の電流との間の位相変化角(位相変化)を決定することを含んでもよい。
【0013】
位相変化の分析は、周波数に応じた位相変化を位相基準値と定量的に比較することを含んでもよい。
【0014】
これは、超音波による工作機械の様々な加工対象物の機械加工に対して、振動された工具ができるだけ共振するように、超音波の振動数を容易かつ効率的に調整できるという利点を有する。これにより、工具の動作範囲を所定の振幅で撓ませるための(超音波の形態の)エネルギー消費を低減できる。
【0015】
周波数に応じた位相変化の分析に基づく様々な調整アルゴリズムを用いることは、制御器 (調整アルゴリズム) を特に効率的かつ安定的に設計できるという利点を有する。さらに、調整変数としての位相変化を決定する際において、例えばノイズによる誤差は、無視されてもよい。
【0016】
本方法の特に有利な構成では、例えば、前記位相変化の分析により、1つの周波数点で、第1位相基準値を下回ることが示された場合に、前記方法は、位相変化調整目標を指定する工程と、前記位相変化調整目標を達成するために、前記超音波発生器によって発生された前記周波数を制御する工程と、前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を加工する工程と、を含んでもよい。1つの周波数点で周波数が第1位相基準値を下回るという条件で、指定された調整目標が(ほぼ)達成できるかどうか判断されてもよい。これに基づいて、調整アルゴリズムが最適化されてもよい。これは、制御器を特に効率的かつ堅牢に設計できるという利点を有する。
【0017】
位相変化調整目標は、例えば、位相変化が0°または0°に近い範囲であってもよく、これは、対応する周波数で、超音波を照射された物体が共振していることを意味する。これは、互いに重畳された超音波が増幅され、その結果、超音波の所定の振幅を達成するためのエネルギー消費を低減できるという利点を有する。
【0018】
第1位相基準値は、有利には、位相調整目標よりも特に3°高い値を有してもよい。これは、例えば、位相値0°に調整される位相調整目標で、調整/制御中にオーバーシュートが発生しても、調整アルゴリズムの変更をもたらさないという利点を有してもよい。
【0019】
特に効率的な実施形態では、前記位相変化調整目標が2つの異なる周波数によって達成され得る場合に、前記位相変化調整目標を達成するための前記超音波発生器によって発生
された前記周波数は、前記2つの異なる周波数のより高い周波数に調整されてもよい。これは、所定の撓みを発生させるための必要なエネルギー消費を低減できるという利点を有する。
【0020】
特に有利な構成では、例えば、2つ以上の異なる周波数によって位相変化調整目標が達成される場合、位相変化調整目標を達成するために超音波発生器によって発生された周波数は、超音波を発生させるためのインピーダンス(抵抗)が、2つ以上の異なる周波数のインピーダンス値と比較して、低い周波数に調整されてもよい。これは、例えば圧電モーターを用いた超音波発生において、所定の超音波励振を発生させるために必要な電圧がより低いという利点を有する。
【0021】
特に最適化された実施形態では、例えば、前記位相変化の分析により、全ての周波数点で、第1位相基準値を上回り、および/または、少なくとも1つの周波数点において、第2位相基準値を下回ることが示された場合に、前記方法は、前記位相変化が最小となるように、前記超音波発生器によって発生された前記周波数を調整する工程と、前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を機械加工する工程と、を含んでもよい。
【0022】
これは、例えば、0°の位相調整目標を達成できないことが予想される場合に、特に効率的な最小の制御で最小値を見つけるという利点を有してもよい。これにより、超音波発生器ひいては工作機械の制御が、省エネルギーおよび加工対象物の機械加工速度に関して、加工対象物の機械加工を改善するために最適化されてもよい。
【0023】
特に用途の広い実施形態では、例えば、前記位相変化の分析により、全ての周波数点において、第2位相基準値を上回ることが示された場合に、前記方法は、前記異なる周波数のうち、前記決定された位相変化が最小となる周波数を決定する工程と、前記超音波の前記周波数が調整されている間に、加工対象物を機械加工する工程と、加工対象物の機械加工中に、前記決定された周波数を中心に所定の周波数帯域で前記周波数を変化させる工程と、を含んでもよい。
【0024】
これは、特に位相ノイズおよび位相変化の最小値が小さい場合に、工具が可能な限り励振されて共振されるという利点を有してもよい。これにより、工具を所定の程度まで振動させるために必要なエネルギー消費を低減できる。
【0025】
好ましい実施形態では、機械加工周波数帯域は、中心周波数の±600Hzの帯域であってもよい。ある実施形態では、周波数掃引(frequency sweep(Frequenz-Sweep))の周波数を変化させることは、特に、周波数掃引(frequency pass(Frequenzdurchlauf))を含んでもよい。これは、例えば、電圧制御発振器(VCO)によって線形に生じてもよい。
【0026】
特に有利な実施形態では、特に周波数を離散値で変化させる場合、周波数帯域の端におけるステップサイズは、機械加工周波数帯域の中心における場合より大きくてもよい。
【0027】
特に有利な実施形態では、前記方法は、前記周波数を変化させながら、前記発生された超音波と前記反射された超音波との間の周波数に応じた前記位相変化を決定する工程と、周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、前記決定された周波数を中心とする前記周波数帯域から、位相変化が最小となる新しい周波数を決定する工程と、前記新たに決定された周波数を中心とする前記所定の周波数帯域内で、前記周波数を変化させる工程と、を含んでもよい。
【0028】
これは、特に、位相変化の最小値を検出することが困難な場合、工具のより共振周波数
範囲への周波数の制御を、反復調整によって改善できるという利点を有する。これにより、加工対象物の機械加工のためのエネルギー消費は、最小限に抑えられてもよい。
【0029】
特に柔軟な実施形態では、前記方法は、加工対象物の機械加工中の前記発生された超音波と前記反射された超音波との間の周波数に応じた前記位相変化を決定する工程と、加工対象物の機械加工中の周波数に応じた前記位相変化を分析する工程と、前記位相変化の分析に応じて、前記超音波発生器によって発生された前記超音波の前記周波数を制御するための前記調整アルゴリズムを変更する工程と、を含んでもよい。
【0030】
これは、特に調整アルゴリズムに関する超音波発生器の制御が、例えば、熱源、工具特性、加工対象物特性、機械加工特性などに起因して発生するシステムパラメーターの変動に、最適に、実施形態によっては瞬時に(特に加工対象物の機械加工中に)適応する、という利点を有する。これにより、加工対象物の機械加工は、品質、速度、およびエネルギー消費に関して、改善されてもよい。
【0031】
本発明に係る、加工対象物を機械加工するための超音波を発生するための工作機械の超音波発生器を制御するシステムは、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための超音波発生器と、前記超音波の位相変化を決定するための位相決定部と、周波数に応じた前記位相変化を分析し、前記位相変化の前記分析に応じて調整アルゴリズムを決定するための評価部と、発生された超音波と反射された超音波との間の位相変化に応じて、かつ前記決定された調整アルゴリズムに応じて、前記周波数を調整するための制御部と、を含む。
【0032】
超音波発生器は、例えば、電流を機械的運動に変換するための圧電モーター、および/または所定の周波数で電流および電圧をそれぞれ発生させるための周波数発生器を含んでもよい。
【0033】
ある実施形態では、超音波発生器は、異なる周波数を有する電気信号を生成してもよい。ある実施形態では、異なる周波数を有する電気信号は、連続的に生成されてもよい。ある実施形態では、生成された電気信号は、異なる周波数を有する複数の重畳された電気信号を含んでもよい。電気信号は、例えば、1つまたは複数の圧電モーターによって超音波に変換されてもよい。
【0034】
超音波の位相変化の一例は、超音波に変換される電気信号の電流と電圧との間の位相変化である。
【0035】
位相変化決定部は、位相変化を決定するためのアナログおよび/またはデジタル回路であってもよい。したがって、ある実施形態では、位相変化決定部は、1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)を含んでもよい。
【0036】
位相変化を分析するために、評価部は、アナログおよび/またはデジタル回路を含んでもよい。したがって、ある実施形態では、評価部は、1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器を含んでもよい。
【0037】
ある実施形態では、制御部は、アナログ調整回路および/またはデジタル調整を含んでもよい。ある実施形態では、制御は、離散時間で、または連続時間で行われてもよい。ある実施形態では、調整の制御パラメーターは、量子化値または連続値で出力されてもよい。制御部は、超音波発生器によって発生された超音波の周波数を、調整/制御するように構成されていてもよい。
【0038】
ある実施形態では、超音波発生器、位相変化決定部、評価部、および/または制御部、またはこれらの一部は、それぞれ、1つのユニットに組み合わされていてもよい。
【0039】
本発明の特に有利な実施形態では、評価部は、位相変化を分析し、加工対象物の機械加工中に調整アルゴリズムを決定するように構成されていてもよい。
【0040】
これにより、加工対象物の機械加工は、品質に関して監視されてもよい。ある実施形態では、工作機械は、位相変化の分析に応じて、機械加工速度を制御してもよい。これにより、摩耗が少なくなり、寿命が改善されてもよい。
【0041】
本発明の特に柔軟な実施形態では、制御部は、加工対象物の機械加工中に調整アルゴリズムを変更するように構成されていてもよい。これは、機械加工中に加工対象物を機械加工することが、システムパラメーターに適合されるという利点を有する。これにより、加工対象物の機械加工は、エネルギー消費および加工対象物の機械加工の品質に関して、改善されてもよい。
【0042】
本発明の特に最適化された実施形態では、システムは、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されていてもよい。これにより、システムは、加工対象物の機械加工に関して、システムパラメーターに合わせて最適化されてもよく、その結果、エネルギー消費、機械加工速度、および工具の摩耗は、最適化されてもよい。
【0043】
本発明に係る、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御する方法は、加工対象物を機械加工するために様々な周波数を有する電気信号を生成する工程と、特に圧電モーターによって、電気信号を介して工具に超音波を照射する工程と、周波数に応じた超音波の位相変化(位相変化角)を決定する工程と、位相変化が最小値を有する周波数を決定する工程と、決定された周波数を中心として所定の機械加工周波数帯域における周波数を変化させる工程と、加工対象物を機械加工する工程と、を含む。
【0044】
これにより、特に、工具の共振を検出することが困難な場合、または信号にノイズが重畳されている場合、少ないエネルギー消費で超音波の振幅を発生できるように、工具は、超音波によって励振されてもよい。
【0045】
特に有利な実施形態では、本方法は、加工対象物の機械加工中の周波数に応じた超音波の位相変化を決定する工程と、決定された周波数を中心とする所定の機械加工周波数帯域が変化された後、位相変化が最小値を有する新しい周波数を決定する工程と、新たに決定された周波数を中心とする所定の機械加工周波数帯域において周波数を変化させる工程と、をさらに含んでもよい。
【0046】
これは、温度、加工対象物の質量、加工対象物の形状、工具などの変化のようなシステムパラメーターの変化に、本方法が、特に効率的に反応するという利点を有する。
【0047】
本発明に係る、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための工作機械の超音波発生器を制御するシステムは、加工対象物を機械加工するための超音波を発生させるための超音波発生器と、超音波の位相変化を決定するための位相変化決定部と、超音波の位相変化を分析し、位相変化の分析に応じて位相変化が最小となる周波数を決定するための評価部と、決定された周波数と中心とする所定の機械加工周波数帯域において周波数を変化させるための制御部と、を含む。
【0048】
ある実施形態では、超音波発生器は、異なる周波数を有する電気信号を生成してもよい
。ある実施形態では、異なる周波数を有する電気信号は、連続的に生成されてもよい。ある実施形態では、生成された電気信号は、異なる周波数を有する複数の重畳された電気信号を含んでもよい。電気信号は、例えば、1つまたは複数の圧電モーターによって超音波に変換されてもよい。
【0049】
超音波の位相変化の一例は、超音波に変換される電気信号の電流と電圧との間の位相変化である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明のさらなる詳細、利点、および個々の例示的な実施形態は、図面の
図1から
図6の以下の説明に基づいて明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る工作機械の超音波発生器を制御する方法を模式的に示す。
【
図2】
図2は、周波数に応じた超音波の、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を示す。
【
図3】
図3は、周波数に応じた超音波の、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を示す。
【
図4】
図4は、周波数に応じた、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を示す。
【
図5】
図5は、周波数に応じた、本発明に係る決定された位相変化の位相応答21を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る工作機械の超音波発生器を制御するシステムを模式的に示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る超音波発生器を模式的に示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る評価部を模式的に示す。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る制御部を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明の実施形態に係る工作機械の超音波発生器を制御する方法を模式的に示す。本方法では、本発明から逸脱することなく、工程は、追加され、分割され、併合され、および/または並行して実行されてよい。さらに、工程の順序は、本発明を損なうことなく変更されてもよい。
【0052】
第1工程S11では、異なる周波数を有する電気信号が生成される。したがって、ある実施形態では、複数の周波数(広い周波数スペクトル)を有する電気信号が生成されてもよい。その結果、ある実施形態では、異なる周波数を有する電気信号が順番に生成されてもよい。
【0053】
別の工程S12では、超音波は、電気信号によって工具に照射される。これは、超音波が照射されることによって、工具または工具の一部が振動されることを意味する。超音波の照射は、例えば、特に1つまたは複数の圧電モーターによって、電気信号を超音波に変換することにより行われてもよい。ある実施形態では、超音波は、工具/工具上の対応するモーターによって工具/工具上で直接生成されてもよい。
【0054】
工程S13は、周波数に応じた超音波の位相変化を決定することを含む。これは、例えば、特に、超音波に変換される電気信号の電流と電圧との間の位相変化を決定するためのアルゴリズムによって行われてもよい。ある実施形態では、位相変化が同様に決定されてもよい。
【0055】
別の工程S14では、位相変化は、周波数に応じて分析される。これは、周波数に応じ
た位相変化を、1つまたは複数の位相基準値と比較することを含んでもよい。ある実施形態では、位相変化を分析することは、周波数に応じた位相変化の定性的評価を含んでもよい。
【0056】
ある実施形態では、所定の周波数帯域は、事前に決定されておらず、位相変化を分析することによって決定されてもよい。
【0057】
工程S14における分析に応じて、超音波の周波数を制御するための調整アルゴリズムは、工程S15において決定される。本発明の範囲内で用いられる調整アルゴリズムの好ましい例は、所定の周波数帯域で周波数を変化させること(周波数掃引)、特に、位相変化の最小値に応じて掃引後に周波数帯域が再決定される掃引である。調整パラメーター(操作変数)によって、特に凸最適化によって、調整の大きさを最小化するように構成された最小アルゴリズムと、操作変数(調整パラメーター)によって調整の大きさを、所定の値、例えばゼロ交差に調整するように構成された調整アルゴリズムとがある。
【0058】
最小アルゴリズムは、例えば、第1周波数で最小値を検出し、第1周波数を第2周波数に増加させる工程と、第1周波数の位相変化を、第2周波数の位相変化と比較する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも小さい場合に、第2周波数を第1周波数として採用する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも大きい場合に、第1周波数を第2周波数に減少させ、第2周波数の位相変化を第1周波数の位相変化と比較する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも小さい場合に、第2周波数を第1周波数として採用する工程と、を含んでもよい。
【0059】
第1周波数の増加と減少との間の切り替えの数に応じて、周波数を増加および減少させるステップサイズは、それぞれ、拡大および縮小されてもよい。
【0060】
別の工程S16では、加工対象物が機械加工される。加工対象物の機械加工S16の間、実施形態に応じて、工程S14に戻ることが可能である。これにより、超音波の周波数は、システムの変更(工具の共振周波数に影響する変更)に適合されてもよい。
【0061】
ある実施形態では、工程S11の前に、周波数帯域が指定される工程S10がある。好ましくは、工程S11で生成される異なる周波数は、工程S10で指定された周波数帯域に含まれる。これにより、超音波の周波数は、所定の共振に調整され、高次または低次の共振に調整されないことが保証されてもよい。
【0062】
図2は、周波数に応じた超音波の、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を示す。X軸に沿って、周波数は、キロヘルツ単位でプロットされている。Y軸に、位相変化Phiは、度単位でプロットされている。周波数に応じた
図2に示される位相応答21は、その最小値30において、第1位相基準値23を下回る。第1位相基準値は、例えば、3°の値を有してもよい。第1位相基準値23を下回る位相応答の最小値により、超音波の周波数は、位相変化調整目標31に調整される。
図2に示す例では、調整目標は、0°である。
【0063】
位相応答21の最小値30が第1位相基準値23と第2位相基準値24との間の範囲にある場合、超音波の周波数は、最小位相変化30を有する周波数に調整される。
【0064】
位相応答21の最小値30が位相基準値24を下回らない場合、または位相応答21の最小値30が位相基準値24を上回る場合、それぞれにおいて、本発明によれば、(所定の周波数帯域を掃引する)掃引アルゴリズムを用いることが有利である。これは、特にノイズによって重畳された位相応答の場合に、最適な結果を得ることができるという利点を
有する。
図2の図面では、第2位相基準値24は、約58°であり、第1位相基準値23は、約5°である。ここでは、調整目標31は、0°に設定されている。しかしながら、第1および第2位相基準値ならびに調整目標は、変更されてもよい。合理的には、これらの大きさの定性的比率は、維持されるべきである。
【0065】
ある実施形態では、第1位相基準値23は、第2位相基準値24と一致してもよく、1つの第1または第2位相基準値のみが存在してもよく、他の位相基準値が存在してもよく、その結果、超音波発生器によって発生された超音波の周波数を制御するための調整アルゴリズムは、位相変化の分析に応じて、周波数に関して超音波発生器を制御するための2つまたは複数の調整アルゴリズムから1つだけ決定される。
【0066】
図3は、周波数に応じた、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を例示的に示す。
図3では、
図2と同様に、最小値30を含む位相応答21が示されている。
図3では、位相スケーリングが右側に示され、インピーダンススケーリングがY軸に沿って左側に示されている。X軸には、周波数がヘルツ単位で示されている。
【0067】
図2に示された位相応答21に加えて、
図3は、インピーダンス応答22を示す。これにより、周波数に応じたインピーダンス応答22は、位相応答の第1ゼロ交差28で最大値を示すように決定されもよく、インピーダンス22は、位相応答の第2ゼロ交差29でほぼ最小値を示すように決定されてもよい。これにより、電流に応じて制御される超音波発生器において、低いインピーダンス値を有する周波数に周波数を制御することが有利となる。
【0068】
図3では、位相応答は、複数の最小値30,30aを含んでもよいことも分かる。したがって、例えば、下限25および上限26によって、周波数スペクトルに関する動作範囲を、所定の周波数帯域に制限することが合理的であってもよい。その結果、超音波発生器によって発生された周波数は、工具の所定の共振に調整されることが保証されてもよい。
【0069】
図4は、周波数に応じた、本発明に係る決定された位相変化の位相応答を示す。
図3と同様に、
図4でも、図の右側にY軸に沿って位相を示し、左側にY軸に沿ってインピーダンスを示している。X軸に沿って、周波数は、ヘルツ単位で示されている。
図4に示された位相応答は、第1位相基準値23を上回り、第2位相基準値24を下回る最小値30を含む。本実施形態における第1位相基準値は、3°であり、本実施形態における第2位相基準値は、67°である。しかしながら、これらの値は、拘束力がなく、単なる例示である。
【0070】
図2と同様に、
図4は、超音波発生器によって発生される周波数が、工具の所定の共鳴位置に明確に調整されるように、例えば、下限25および上限26によって、周波数(所定の周波数帯域)に関する動作範囲を指定することが妥当であってもよいことも示している。ある実施形態では、第1周波数掃引の後に、周波数に関する動作範囲(所定の周波数帯域)をより小さい周波数範囲27に制限することがさらに有用であってもよく、その結果、周波数掃引は、加速され、精度に関して改善されてもよい。
【0071】
本発明によれば、第2位相基準値24を下回り、第1位相基準値23を上回る最小値30により、位相変化が最小となるように超音波発生器によって発生される超音波の周波数を調整するための最小アルゴリズムが用いられる。
【0072】
図5は、周波数に応じた、本発明に係る決定された位相変化の位相応答21を示す。
図5では、位相は、Y軸に示され、周波数は、X軸に沿って示される。
図5では、周波数に応じた位相応答21は、第1位相基準値23および第2位相基準値24をいずれも下回ら
ない最小値30を有することが明らかである。したがって、有利には、最小位相変化30を中心周波数とした機械加工周波数帯域35において発生超音波の周波数を変化させる、発生超音波の周波数を調整するための制御器が用いられる。有利には、位相変化の周波数および最小値を変化させることは、機械加工周波数帯域35の中心と比較して、機械加工周波数帯域35の縁部において、それぞれ、より迅速に、かつ、周波数点の間隔がより大きい状態で行われもよい。これは、位相変化を決定する際の信号ノイズに起因する不安定な調整が防止されるという利点を有する。
【0073】
有利には、周波数帯域を掃引するたびに、位相変化の最小値は、再決定されてもよく、周波数が変化する周波数帯域は、それに応じて適合されてもよい。
【0074】
図6は、本発明の実施形態に係る工作機械の超音波発生器を制御するシステム50を模式的に示す。本発明のシステム内で、機能部は、それらの分割に関して、追加、分離、併合、および/または変更されてもよい。
【0075】
システム50は、超音波発生器51と、位相決定部52と、評価部53と、制御部54と、を含む。超音波発生器51は、加工対象物を機械加工するために、特に20~40kHzの周波数(超音波)で、工具55または工具55の一部を振動させるように構成されている。これにより、超音波発生器51は、周波数を変更するように構成されている。ある実施形態では、超音波発生器51は、異なる周波数を有する超音波を連続的に生成するように構成されていてもよい。ある実施形態では、超音波発生器51は、異なる周波数を有する複数の重畳された超音波を含む超音波を生成するように構成されていてもよい。
【0076】
好ましくは、超音波発生器51によって発生された異なる周波数の全ての周波数点は、周波数に関して可能な動作範囲を決定する所定の周波数帯域の一部である。これは、周波数の調整が周波数に関する加工対象物の機械加工の要件も満たすことを確実にするという利点を有してもよい。
【0077】
特に有利な実施形態では、超音波発生器51は、所定の周波数スペクトルの掃引(周波数掃引)によって、様々な周波数を有する超音波を生成するように構成されていてもよい。ある実施形態では、異なる周波数、特に掃引(周波数掃引)の周波数スペクトルは、工具(質量、温度、形状)、機械加工特性(送り、送り込み、回転速度)、および/または、材料、形状、大きさ、質量などの1つまたは複数の加工対象物特性に依存してもよい。したがって、ある実施形態では、超音波発生器51は、電圧制御発振器(VCO)を含んでもよい。
【0078】
有利な実施形態では、超音波発生器51は、超音波を工具55に照射するための圧電モーターを含んでもよい。
【0079】
ある実施形態では、超音波発生器は、所定の周波数で電気信号を生成するためのデジタル-アナログ変換器(Digital-Analog-Converter/DAC)を含んでもよく、これは、例えば、所定の周波数で圧電モーターによって超音波に変換されてもよい。
【0080】
超音波の位相変化を決定するための位相決定部は、例えば、特に圧電モーターによって、超音波を生成するための周波数を有する電気信号の電流と電圧との間の位相変化を含むように構成されていてもよい。
【0081】
これは、例えば、アナログまたはデジタル回路によって行われてもよい。したがって、ある実施形態では、位相決定部52は、1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)を含んでもよい。これにより、位相決定部52は、有利にはアナログまたはデジタ
ル信号伝達によって超音波発生器51に接続されていてもよい。ある実施形態では、位相決定部52は、アルゴリズムまたはプログラムコードをそれぞれ実行するための位相変化を決定するように構成されていてもよい。
【0082】
位相決定部は、例えば、2つの位相値を減算するための、および/または2つの信号の位相変化を決定するためのアルゴリズムを実行するためのユニットを含んでもよい。ある実施形態では、位相変化を決定するために、位相決定部は、位相変化を決定するためのアナログ回路を含んでもよい。
【0083】
ある実施形態では、位相決定部は、工具55に接続されていてもよい。
【0084】
評価部53は、決定された位相変化を分析し、位相変化の分析に応じて調整アルゴリズムを決定するように構成されていてもよい。これにより、分析は、周波数に応じた決定された位相変化を、1つまたは複数の位相基準値と定量的に比較することを含んでもよい。ある実施形態では、分析は、周波数に応じた決定された位相変化の定性的分析、特に、決定された位相変化の、周波数に応じた基準位相応答との比較を含んでもよい。
【0085】
本発明で用いられてもよい調整アルゴリズムの好ましい例は、最小値を中心として所定の周波数帯域で周波数を変化させること(周波数掃引)であり、特に、位相変化の最小値に応じた掃引後に、周波数帯域が再決定される掃引である。調整パラメーター(操作変数)によって、特に凸最適化によって、調整の大きさを最小化するように構成された最小アルゴリズムと、操作変数(調整パラメーター)によって調整の大きさを、所定の値、例えばゼロ交差に調整するように構成された調整アルゴリズムとがある。
【0086】
最小アルゴリズムは、例えば、第1周波数で最小値を検出し、第1周波数を第2周波数に増加させる工程と、第1周波数の位相変化を、第2周波数の位相変化と比較する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも小さい場合に、第2周波数を第1周波数として採用する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも大きい場合に、第1周波数を第2周波数に減少させ、第2周波数の位相変化を第1周波数の位相変化と比較する工程と、第2周波数の位相変化が第1周波数の位相変化よりも小さい場合に、第2周波数を第1周波数として採用する工程と、を含んでもよい。
【0087】
第1周波数の増加と減少との間の切り替えの数に応じて、周波数の増加および減少させるステップサイズは、それぞれ、拡大および縮小されてもよい。
【0088】
制御部54は、決定された調整アルゴリズムおよび決定された位相変化に応じて、周波数に関して超音波発生器51によって発生された超音波を制御するように構成されている。したがって、制御部54は、アナログまたはデジタル信号伝達によって超音波発生器51に接続されていてもよい。
【0089】
これは、超音波による工作機械の様々な加工対象物の機械加工に対して、振動された工具ができるだけ共振するように、超音波の振動数を容易かつ効率的に調整できるという利点を有する。これにより、工具の動作範囲を所定の振幅で撓ませるための(超音波の形態の)エネルギー消費を低減できる。
【0090】
周波数に応じた位相変化の分析に基づく様々な調整アルゴリズムを用いることは、制御器(調整アルゴリズム)が特に効率的かつ安定して設計されてもよいという利点を有する。さらに、これにより、調整変数としての位相変化を決定する際において、例えばノイズによる誤差は、無視されてもよい。
【0091】
好ましい実施形態では、評価部53は、加工対象物の機械加工中の位相変化を分析し、分析に基づいて調整アルゴリズムを決定するように構成されていてもよい。
【0092】
好ましい実施形態では、制御部は、加工対象物の機械加工中に調整アルゴリズムを変更するように構成されていてもよい。
【0093】
これは、例えば、加工対象物特性(例えば、大きさ、質量)、機械加工特性、および/または工具特性(質量、温度)に応じた、特にシステムパラメーターの変更において、超音波周波数を瞬時に適合できるという利点を有する。これにより、工具は、保護され、加工対象物の品質は、向上されてもよい。
【0094】
図7は、本発明の実施形態に係る超音波発生器を模式的に示す。超音波発生器51は、特に圧電モーターの形態の超音波発生部71を含んでもよい。さらに、超音波発生器51は、特に電圧制御発振器(VCO)の形態で周波数を変化させるためのユニット72を含んでもよい。
【0095】
ある実施形態では、超音波発生器51は、周波数掃引(frequency pass(Frequenzdurchlaufs))、特に周波数掃引(frequency sweep(FrequenzSweeps))を実行するためのユニット73を含んでもよい。ある実施形態では、周波数掃引を実行するためのユニット73は、超音波の周波数を変化させるためのユニット72、および/または超音波発生部を含んでもよい。
【0096】
図8は、本発明の実施形態に係る評価部53を模式的に示す。ある実施形態では、評価部53は、デジタル信号をアナログ信号に変換するための、特に電圧制御発振器を制御するための、または圧電モーターを制御するための、デジタル-アナログ変換器(DAC)92を含んでもよい。さらに、評価部53は、アナログ信号、特に情報として位相変化を含むアナログ信号をデジタル信号に変換するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)93を含んでもよい。
【0097】
評価部53は、周波数に応じた位相変化を分析するためのユニット94を含んでもよい。さらに、評価部は、特に位相変化の分析に応じて調整アルゴリズムを決定するためのユニット95を含んでもよい。
【0098】
図9は、本発明の実施形態に係る制御部54を模式的に示す。制御部は、特に、位相変化および/またはインピーダンスに応じて周波数を調整するための調整アルゴリズムを実行するためのユニット96を含んでもよい。
【0099】
さらに、制御部54は、特に加工対象物の機械加工中に、調整アルゴリズムを変更するためのユニット97を含んでもよい。
【0100】
ある実施形態では、制御部54は、デジタルまたはアナログ方式で位相決定部に直接接続されていてもよい。
【国際調査報告】