(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】胃腸管の壁への治療製剤の注入
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548058
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021018399
(87)【国際公開番号】W WO2021167993
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イムラン,ミール エイ.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB05
4C066CC01
(57)【要約】
デバイスは、膨張可能なバルーンと、膨張可能なバルーン内に配置されたリザーバと、バルーンおよびリザーバに取り付けられた針コンパートメントと、針コンパートメント内に配置された注入針と、膨張機構と、を含む。リザーバは、治療製剤を含む。膨張機構は、バルーンを膨張させるように構成されており、膨張すると、注入針は、リザーバに入るように構成されている。方法は、自動注入器を摂取するように指示することにより、自動注入器を対象に利用可能にすることを含む。自動注入器は、自動注入器の摂取に応答して、対象の胃腸管の壁に治療製剤を注入するように構成されている。自動注入器は、リザーバに取り付けられた針コンパートメントに配置された注入針を含む。注入針は、最初はリザーバから分離されており、針を通じて壁内へ流体治療製剤を送達するためにリザーバに入るように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動注入器デバイスであって、
膨張可能なバルーンと、
前記膨張可能なバルーン内に配置され、治療薬を含む流体治療製剤を含む、リザーバと、
前記バルーンおよび前記リザーバに取り付けられた針コンパートメントと、
前記針コンパートメント内に配置された注入針と、
前記バルーンを膨張させるように構成され、前記注入針が、前記バルーンの膨張時に前記注入針の近位端において前記リザーバに入るように構造化されている、膨張機構と、を備える、自動注入器デバイス。
【請求項2】
前記リザーバが、最大0.5立方センチメートルの流体を保持するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記リザーバが、0.5立方センチメートルの流体を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが、最大50ミリグラムの前記治療薬を含むように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記治療薬が、前記治療製剤に含まれる2つ以上の異なる治療薬のうちの1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記膨張機構が、2つの反応物を含み、前記膨張機構は、前記デバイスが流体環境に遭遇するまで前記2つの反応物を互いに分離させておくように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、胃腸管の壁を通じて、または前記壁を通じて腹腔内に前記治療製剤を送達するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
自動注入器を製造する方法であって、
針コンパートメントおよびリザーバを提供することと、
前記針コンパートメントの一端を密封することと、
前記針コンパートメントを部分的に前記リザーバ内に配置することと、
注入針を前記針コンパートメントによって画定された空洞に配置することと、
前記リザーバに、治療薬を含む液体治療製剤を追加することと、を含む、自動注入器を製造する方法。
【請求項9】
前記リザーバに追加することが、0.4~0.5立方センチメートルの前記治療製剤を前記リザーバに追加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リザーバに追加することが、20~50ミリグラムの前記治療薬を前記リザーバに追加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記治療製剤が、第1の治療製剤であり、前記治療薬が、第1の治療薬であり、前記リザーバに、前記第1の治療薬とは異なる第2の治療薬の用量を含む第2の治療製剤を追加することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記リザーバに追加することが、前記流体治療製剤をポートに通過させて、前記リザーバに流体的に結合されたチューブに入れることによって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記針コンパートメントの一端を密封することが、前記リザーバ内に配置される前記針コンパートメントの端部を密封することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
自動注入器を摂取するように指示することによって前記自動注入器を対象に利用可能にすることを含む方法であって、前記自動注入器が、前記自動注入器の摂取に応答して、治療薬を含む流体治療製剤を前記対象の胃腸管の壁に注入するように構成されており、前記自動注入器が、リザーバに取り付けられた針コンパートメントに配置された注入針を備え、前記注入針が、最初は前記リザーバから分離されており、前記注入針が、前記針を通じて前記壁内へ前記流体治療製剤を送達するために前記リザーバに入るように構成されている、方法。
【請求項15】
前記治療製剤を前記胃腸管の前記壁に注入することが、前記治療製剤を前記胃腸管の前記壁内にかつ前記胃腸管の前記壁を通じて、前記対象の腹膜または腹膜腔内に注入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記治療製剤の体積が、最大0.5立方センチメートルである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記治療製剤が、15~20ミリグラムの前記治療薬を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記治療薬が、前記治療製剤に含まれる2つ以上の異なる治療薬のうちの1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記自動注入器が、前記自動注入器の摂取に応答して、前記治療製剤を注入するように構成されており、前記自動注入器の摂取時に、前記自動注入器が、2つの反応物を混合させ、それにより、前記リザーバに対して圧力を加え、かつ前記治療製剤を前記リザーバから押し出すガスを生成するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記自動注入器が、前記ガスの生成に反応して、前記注入針の近位端が前記リザーバに入り、前記注入針の遠位端が前記針コンパートメントから露出されて前記治療製剤を送達するように構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記自動注入器が、消化物が注入部位の周りの前記胃腸管に存在するか否かにかかわらず、前記流体治療製剤を前記壁に効果的に注入するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、(i)GASTROINTESTINAL LIQUID AUTOINJECTIONという名称でかつ2020年2月18日に出願された米国仮特許出願第62/978,222号、およびLIQUID INJECTION OF A THERAPEUTIC AGENT INTO A WALL OF THE GASTROINTESTINAL TRACTという名称でかつ2020年5月6日に出願された米国仮特許出願第63/020,811号の各々について優先権の利益を主張する。前述の優先権出願はすべての目的のためにそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、胃腸管の壁への1つ以上の治療製剤の注入に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、胃腸管内の場所から流体を注入するための飲み込み可能な自律送達デバイスに関する。
【0003】
近年、様々な疾患および状態の治療のための治療薬の開発が進んでいるが、これらの多くは、多くのタンパク質、抗体、ペプチドなど、非経口注入を必要とする。
【0004】
非経口注入には、注入の痛み、注入部位での感染のリスク、注入中の無菌技術の使用の必要性、ならびに長期間にわたって対象に静脈ラインを配置および維持する必要性および関連するリスクを含む、多くの欠点がある。埋め込み型ポンプなどの他の送達アプローチが採用されてきたが、これらのアプローチは、デバイスの半永久的な埋め込みを必要とし、これには多くの制限がある。
【0005】
多くの治療薬を経口投与できないことは、胃の炎症および出血などの合併症を伴う不十分な経口耐性、治療薬の不十分な吸収、または吸収前の胃もしくは腸での治療薬の化合物のブレークダウンもしくは分解など、様々な理由で発生する可能性がある。
【0006】
摂取可能な送達デバイスを使用した固形用量の送達は、胃腸管の壁への固形用量の注入によっていくらかの成功を収めている。しかしながら、これらのデバイスは、数ミリグラムの治療薬の送達に制限され得る。一部の治療法では、かなり高い投与量が必要になるため、必要な投与イベントの数または頻度によって、利便性、コスト、または他の理由でこれらのデバイスの使用が魅力的でなくなる可能性がある。
【0007】
したがって、治療薬の経口送達のための追加の、代替の、および改善された方法、デバイス、および物品が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、自動注入デバイス(本明細書では自動注入器と称され得る)のため、自動注入器を製造するため、および自動注入器によって胃腸管内から送達される流体形態の治療製剤の自動注入を提供するための、デバイス、システムおよび方法を含む。様々な実施形態では、自動注入器は、経口送達デバイス内に提供される。様々な実施形態では、自動注入器には、ほとんどの治療レジメンに十分な治療薬の用量が提供されている。例えば、自動注入器は、最大約0.5立方センチメートル(cc)の治療製剤を保持することができ、治療製剤は、最大200ミリグラム(mg)以上の1つ以上の治療薬を含み得る。
【0009】
自動注入器は、注入針を含む。一実施形態では、針は、無菌である。一実施形態では、注入針は、使用後に分解する。
【0010】
自動注入器は、ガスによって膨張するバルーンを組み込んでおり、ガスはまた、注入針を通して流体を排出するためにリザーバに対して圧力を提供する。その後、バルーンは、収縮され得、バルーンは、肛門から排出されるまで胃腸管を通過する。
【0011】
自動注入器は、カプセルなどの外側シェルに収容されており、この外側シェルは、pHレベルが5.5を超えると分解するなど、設計しきい値において、またはそれより上または下で、全体的または部分的に分解する。外側シェルの分解による外側シェルの破れは、注入プロセスを開始し、これは、流体が自動注入器から注入針を通って胃腸管の壁(例えば、胃腸管の内腔の壁)内へ押し出されることによって達成される。
【0012】
これらのおよび他の実施形態および態様のさらなる詳細が、添付の図面を参照して以下により完全に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】1つ以上の実施形態による、自動注入器デバイスを例解する。
【
図2A-2D】自動注入器デバイスの追加の実施形態を例解する。
【
図3A】
図1の自動注入器デバイスの実施形態を例解する。
【
図3B】自動注入器の針コンパートメントのカラーの少なくとも一部が分解した後の
図1の自動注入器デバイスの実施形態を例解する。
【
図3C】針コンパートメントの折り畳み可能なチューブが折り畳まれた後の
図1の自動注入器デバイスの実施形態を例解する。
【
図3D】胃腸管への治療製剤の注入中の
図1の自動注入器デバイスの実施形態を例解する。
【
図5】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【
図6】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【
図7】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【
図8】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【
図9】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【
図10】治療製剤を流体の形で送達するための自動注入器デバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、胃の壁、または小腸または消化管の他の内腔の壁などの胃腸(GI)管の壁(胃腸管の壁は、本明細書では「GIW」と称され得る)内へ、またはそれを通じて、流体形態で治療製剤を送達するための自動注入器デバイスを含む飲み込み可能なデバイスを提供する。一実施形態では、薬物は、胃腸管の粘膜層を通じて(例えば、粘膜を通じて、粘膜下組織、筋肉、または漿膜内へ)送達される。一実施形態では、薬物は、GIWを通じて腹膜または腹腔内に送達される。
【0015】
本開示のデバイス、システム、および方法は、消化物が送達部位に存在する場合であっても、治療製剤をGIWに送達するのに適している。
【0016】
図1は、1つ以上の実施形態による、自動注入器デバイス(「自動注入器10」)を例解する。自動注入器10は、膨張可能なバルーン12の形状の拡張可能部材、収縮弁28、ポーチ32、導管34、ポーチ32内に含まれる第1の反応物38、第2の反応物35、放出弁36、リザーバ40、チューブ44を介してリザーバ40に結合された充填ポート46、リザーバ40に含まれる流体溶液48、針コンパートメント50、および注入針100を含む。自動注入器10は、バルーン12の膨張時に流体形態で1つ以上の治療製剤を送達することができる自動化された注入デバイスである。
【0017】
図1に例解される実施形態には、いくつかの実施形態では、コーティングまたはカプセル、カプセル上のコーティング、またはコーティング上のカプセルなどの外側シェルが示されていない。外側シェルは、最初、自動注入器10を取り囲んでいる。
【0018】
一実施形態では、バルーン12は、バルーン12が膨張していないときにバルーン12が折り畳まれ得るように、柔軟材料選択を含む。外側シェルを追加する前に、バルーン12は、好適なサイズ(例えば、00サイズのカプセルにおいて使い捨てするのに好適なサイズ)に折り畳まれかつ/または丸められ得る。一実施形態では、外側シェルはカプセルを含み、バルーン12は、カプセル内に配置される前に折り畳まれ、および/または巻かれる。一実施形態では、外側シェルはコーティングを含み、バルーン12は、コーティングされる前に折り畳まれ、および/または巻かれる。
【0019】
外側シェルは、外側シェルが分解するまで、流体環境から自動注入器10を保護することができる。一実施形態では、外側シェルは、腸管において一般的に見られるpHレベルと等しい約5.5を超えるpHレベルで分解する形状および組成を有する。一実施形態では、外側シェルは、胃において一般的に見られるpHレベルと等しい約5.5より低いpHレベルで分解する形状および組成を有する。外側シェルの分解は、全体的または部分的に発生し得、段階的に発生し得る。一実施形態では、外側シェルは、胃腸管内で分解するサイズ00カプセル、000カプセル、または他のサイズのカプセルを含む。
【0020】
一実施形態では、バルーン12は、バルーンが膨張中および/または膨張後にいくらかの伸長を生じるような材料で構造化されている。一実施形態では、バルーン12は、バルーンが膨張中および膨張後に最小限のまたはわずかな伸長を生じるような材料で構造化されている。バルーン12の材料は、複数の層を含み得、ここで、1つ以上の層は柔軟性を提供し、1つ以上の層は、別の層または他の層の伸長を最小化または防止する構造を提供する。一実施形態では、バルーン12は、伸縮性ポリマー(例えば、ポリエチレン)の第1の層、ナイロンメッシュの第2の層、および伸縮性ポリマー(例えば、ポリエチレン)の第3の層を有する材料を含む。ここで、ナイロンメッシュは、膨張中および膨張後のバルーン12の伸長を最小限に抑えるために伸縮性ポリマー層の間に配置される。伸縮性ポリマー層は、バルーン12を密封するためにバルーン12のエッジを熱ステーキングすることを提供し得る。
【0021】
バルーン12は、第1の反応物38を第2の反応物35と混合させることによって生成されたガスによって膨張される。第1の反応物38を含むポーチ32は、バルーン12の内部容積45内に含まれる。第1の反応物38は、放出弁36から導管34に適用される狭窄、圧力プラグ、または他のシーリング装置によってポーチ32内に保持される。バルーン12は、第2の反応物35を含む。
図1の例解では、第2の反応物35は、導管34に隣接するバルーン12の球根状セクション22に配置されている。他の実施形態では、第2の反応物35は、追加的または代替的に、バルーン12内の他の場所にある。導管34は、ポーチ32の内側容積およびバルーン12の内部容積45の両方と流体連絡している。
【0022】
一実施形態では、放出弁36は、反応弁を含み、それにより、外側シェルの分解およびその後の外側シェルの表面を通じた環境における流体の破れを介した流体環境(例えば、消化物)との接触時、放出弁36が弱まるまたは分解し、これにより、導管34に対する圧力を緩和する。一実施形態では、ポーチ32は、放出弁36による圧力の放出時に導管34が開くときに圧縮するように付勢され、それによって、導管34を通して、第1の反応物38をバルーン12の内部容積45に排出する柔軟なバルーンである。第1の反応物38は、内部容積45内の第2の反応物35と接触および/または混合する。一実施形態では、2つの反応物は、反応してガスを生成させて内部容積45を加圧し、それによってバルーン12を膨張させるように選択される。第1の反応物38および第2の反応物35は、いくつかの異なる生体適合性物質から選択され得る。一実施形態では、第1の反応物38はクエン酸を含み、第2の反応物35は重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを含み、第1の反応物38と第2の反応物35との組み合わせは二酸化炭素を生成させ、これはバルーン12を膨張させるのに役立つ。
【0023】
ガスはバルーン12を加圧し、バルーン12を膨張状態に膨張させる。バルーン12は、バルーン12内の圧力が、バルーン12の長い部分20を送達部位(例えば、GIW)の組織に対して整列させるように、周囲を有するように形作られている。
【0024】
バルーン12を加圧および膨張させるガスはまた、リザーバ40の外部に対して圧力を加えて、リザーバ40内の流体を注入針100を通して、したがって自動注入器10から押し出す。バルーン12が膨張すると、リザーバ40の膜42の表面積の高い割合に対して圧力が加えられ、その結果、膜42は、同時に多くの方向から圧搾される。この圧搾により、
図3A~
図3Dに関して詳細に説明されるように、リザーバ40に含まれる流体溶液48が注入針100に押し込まれ、続いて注入針100を通じて送達部位(例えば、GIW)の組織に注入される。
【0025】
本開示で使用される「流体」という用語は、流体特性を示すか、さもなければ、リザーバ40の外面への圧力によって注入針100を通じてリザーバ40から押し出されることができる任意の溶液を指す。流体は、例えば、気体、液体、コロイド懸濁液、ゲル、スラリー、ナノ粉末、または粉末の形態であり得る。流体は、治療製剤、水和製剤、もしくは他の製剤、または製剤の組み合わせを含むことができる。一実施形態では、リザーバ40は、最大約0.5ccの流体を含むように構成されている。
【0026】
リザーバ40内の流体溶液48は、治療製剤を含むことができる。以下で考察するように、治療製剤は、1つ以上の治療薬を含み得る。一実施形態では、流体溶液48は、約10mg~約15mgの治療薬を含む。一実施形態では、流体溶液48は、最大約50mgの治療薬(例えば、約10~40mg、約20~30mg、約10~50mg、50mg未満、10mg超)を含む。他の実施形態では、流体溶液48は、最大約100mg、最大約200mg、またはそれ以上の治療薬を含む。
【0027】
流体溶液48は、注入針100を通じて自動注入器10から推進される。注入針100は、針コンパートメント50内に位置決めされている。針コンパートメント50は、2つのサブアセンブリ、上部チャンバ60および下部チャンバ80を含み、これらは、注入針100を収容するための空洞を集合的に画定する。一実施形態では、空洞は、注入針100の長手方向軸(A
n)と整列するか、または実質的に一致する長手方向軸を有する。上部チャンバ60および下部チャンバ80は、1つの隣接する構造であるか、または
図1に例解されるように、別個の構造であり得る。
図1に例解される自動注入器10の実施形態は、バルーン12の外面に配置された上部チャンバ60を使用し、下部チャンバ80は、バルーン12の内側およびリザーバ40の膜42の内側に位置決めされて、流体溶液48に少なくとも部分的に沈められている。
【0028】
流体溶液48がリザーバ40から排出された後、バルーン12を収縮させて、胃腸管を通って直腸に向かうバルーン12の動きを促進し、それにより、バルーン12が膨らんだままである場合に可能であるよりも速い体からの排出を促進することが望まれ得る。収縮弁28は、注入の完了時にバルーン12の収縮を引き起こすために設けられている。一実施形態では、収縮弁28は、作用機構を含む反応弁を含み、それにより、破られた外側シェルを通って入る流体が収縮弁28を開き、バルーン12内からガスを放出させる。一実施形態では、複数の収縮弁28が、バルーン12上の様々な位置で自動注入器10に含まれ得る。収縮弁28は、例えば、放出弁36と同様の形態であり得、その結果、収縮弁28は、ガスがバルーン12を出るためのチャネル(図示せず)を開くように分解する。別の例では、収縮弁28は、カバーが分解したときにガスが穴を通ってバルーン12を出ることができるように、バルーン12の穴の上に配置された分解性カバーであり得る。
【0029】
収縮弁28は、リザーバ40からの流体溶液48の注入が完了するまで、破れに耐えるように設計されている。収縮弁28の早期の破れに対する抵抗を確実にするために、バルーン12が折り畳まれた(膨張していない)状態にある間に、選択的なフラップ24が収縮弁28の上に配置され得る。これは、収縮弁28への流体の侵入に対する障壁を提供し、したがって、少なくともバルーン12が膨張するまで、収縮弁28の分解および破れの遅延を確実にする。バルーン12の膨張および送達部位での流体溶液48の対応する注入は、外側シェルの破れの直後(例えば、数秒)に起こり、その結果、一実施形態では、収縮弁28の設計により、および/またはバルーン12が膨張するまでバルーン12の折り畳まれた部分で収縮弁28を覆うことによって、収縮弁28の破れを遅らせることが、フラップ24を使用せずに、注入後に収縮が起こることを確実にするのに十分である。
【0030】
一実施形態では、フラップ24は、バルーン12が折り畳まれている間、位置24aにテープで留められるか、タックされるか、さもなければ接着される。バルーン12が膨張すると、膨張のためにバルーン12の周囲が丸くなることによって、位置24aへのフラップ24の付着が解放され、フラップ24が、位置24aから
図1に示される位置に向かって軸(例えば、A
bf)を中心に曲げられる。これは、収縮弁28を胃腸管の流体環境に曝し、次に収縮弁28の分解を開始する。収縮弁28が、ガスがバルーン12の内部容積45から放出し始める程度まで分解すると、バルーン12は、急速に(例えば、数秒または1秒未満で)大幅に収縮し、したがって、より簡単に胃腸管を通過する。
【0031】
図1では、サイジング部材14が、ヒンジ部分16の、バルーン12の長い部分20とは反対側に位置決めされている。一実施形態では、バルーン12の選択された材料は、有意に伸縮可能ではないので、バルーン12の膨張は、長い部分20を含むバルーン12の本体の内部容積45内に圧力を生じ、かつサイジング部材14内に圧力を生じる。したがって、バルーン12の本体およびサイジング部材14は、膨張すると、大部分が柔軟でなくなる(例えば、かなり剛性になる)。ヒンジ部分16は、バルーン12が他の部分では完全に膨張している場合でさえ、その狭い寸法(例えば、幅、深さ、および/または直径)のために、柔軟なままであり得る。
【0032】
送達部位の内周(例えば、消化管の内腔の内周)に応じて、ヒンジ部分16は、(例えば、折り目Abに沿って)部分的に折り畳まれたままであるか、または完全に延在し得る。このようにして、バルーン12は、送達部位の特定の寸法(例えば、特定の対象の胃腸管の内部寸法)に対して自己調整することができ、バルーン12の単一のサイズは、まったく異なる対象(例えば、異なるサイズの人間、対象の異なる性別もしくは年齢、および/または異なる動物種)のすべてまたは多くに対して十分であり得る。一実施形態では、本開示による自動注入器は、00サイズのカプセルまたは000サイズのカプセル内に折り畳まれて送達されるように設計され、同じ設計がイヌ、ブタ、サル、およびヒトに使用される。
【0033】
例として、送達部位が胃腸管腔内にある場合、膨張したときのバルーン12の外周は、バルーン12を送達部位に一定時間または収縮するまで整列させて維持するのに十分な力で、管腔内の組織表面に対して押し付けられる(例えば、サイジング部材14および長い部分20が、管腔の内壁に対して押し付けられる)。その膨張に対する障害がない場合、バルーン12は、完全に膨張した構成を採る。しかしながら、バルーン12が膨張中に抵抗に遭遇した場合、例えば、管腔の内周がバルーン12の最大限に完全に膨張した寸法よりも小さいことにより、ヒンジ部分16は、いくらか広げられたままであり得る(例えば、サイジング部材14とバルーン12の本体との間で円弧または屈曲形状を占める)。このようにして、バルーン12は、流体溶液48の送達のためにバルーン12を所定の位置に保持するのに十分なサイズに膨張するので、同じサイズのバルーン12が広範囲の管腔内周に使用され得る。
【0034】
サイジング部材14は、胃腸管壁の一部に接触し、バルーン12の反対側(例えば、長い部分20、または長い部分20に隣接する部分)を胃腸管壁の別の部分に対して押し付けることができる。これは、針コンパートメント50および注入針100をGIWに対してほぼ垂直な方向に整列させかつ配置するのに役立ち、そこから、針コンパートメント50が作動され、流体溶液48の送達のために注入針100をGIW内に前進させ得る。
【0035】
本開示の自動注入器は、様々な異なる物理的形態を採ることができる。1つの形態が例として
図1に例解され、他のいくつかの形態がさらなる例として
図2A~2Dに例解されている。
【0036】
図2A~2Dは、
図1の自動注入器10の様々な実施形態を例解する。
図2A、
図2B、
図2C、
図2Dにおいて、自動注入器10の実施形態は、それぞれ、自動注入器10A、10B、10C、10Dとして参照される。バルーン12の実施形態は、それぞれバルーン12a、12b、12c、12dとして参照される。サイジング部材14の実施形態は、それぞれ、サイジング部材14a、14b、14c、14dとして参照される。ヒンジ部分16の実施形態は、それぞれ、ヒンジ部分16a、16b、16c、16dとして参照される。
【0037】
図2Aの自動注入器10Aでは、バルーン12aは、より狭いヒンジ部分16aによってサイジング部材14aに結合された拡張可能な本体(長い部分20を有する)を含む。サイジング部材14aは、バルーン12aの内部容積を最小化するために、一般に、バルーン本体よりも小さい。サイジング部材14aは、サイジング部材14aが主バルーン本体と関連して管腔壁(例えば、GIW)との位置合わせ/てこを提供して、バルーン12aを送達部位の所定の位置に保持できるように十分に大きい。
【0038】
図2Bの自動注入器10Bでは、バルーン12bは、ヒンジ部分16bによってサイジング部材14bに結合された拡張可能な主バルーン本体(長い部分20を有する)を含む。サイジング部材14bは、主バルーン本体とサイズが類似している。
【0039】
図2Cの自動注入器10Cにおいて、バルーン12cは、管腔壁(例えば、GIW)との位置合わせ/てこを提供するための表面積を提供しながらバルーン12の内部容積を最小化するために、開口17を有するヒンジ部分16cによってサイジング部材14cに結合された拡張可能な主バルーン本体(長い部分20を有する)を含む。
【0040】
図2Dの自動注入器10Dでは、バルーン12dは、拡張可能な主バルーン本体(長い部分20を有する)および一対のサイジング部材14dを含む。サイジング部材14dの対は、送達部位の不均一な内周に対する配置を提供し得、かつ/または管腔壁(例えば、GIW)との改善された位置合わせ/てこを提供し得る。
【0041】
図3A~3Dは、「3A~3D」と記された
図1の点線の四角でほぼ示される、
図1の自動注入器10の一部の拡大断面図を例解する。拡大図は、針コンパートメント50と、流体溶液48で充填された内部容積49を有するリザーバ40と、を含む。自動注入器10は、展開の様々な段階の間の
図3A~3Dに例解されている。
【0042】
図3Aでは、外側シェルまたはカプセルの分解後、およびバルーン12の膨張後に、GIWに隣接して配置された針コンパートメント50が例解されている。バルーン12の膨張は、自動注入器10が流体環境に曝された後、迅速に(例えば、数秒以内に)起こり得、膨張は、放出弁36が破られて、バルーン12内の第1の反応物38を放出させた後、急速(例えば、1秒未満)であり得る。
【0043】
針コンパートメント50の上部チャンバ60は、カラー62および折り畳み可能なチューブ64を含む。カラー62および折り畳み可能なチューブ64は、自動注入器10の製造、保管、輸送、取り扱い、および経口送達中に注入針100を保護する。カラー62はまた、自動注入器10の製造、保管、輸送、取り扱い、および経口送達中の折り畳み可能なチューブ64の支持および保護を提供する。カラー62は、鋳造、射出成形、堆積、または他のプロセスを介するなどして、折り畳み可能なチューブ64の周りに配置され得る(例えば、その周りに形成または配置され得る)。カラー62は、自動注入器10を取り囲む外側シェルを破った後、流体がカラー62に接触すると分解を開始する分解性材料で少なくとも部分的に形成されている。自動注入器10は、カラー62の構造的完全性および強度が、流体環境への曝露による分解によって迅速かつ著しく低下するように設計されている。一実施形態では、カラー62は、ポリビニルピロリドン(例えば、Ashlandから入手可能なPolyplasdone(商標)ポリマー)から形成されるか、またはそれを含む。
【0044】
折り畳み可能なチューブ64は、上部フランジ66および下部フランジ68を含み、これらの各々は、折り畳み可能なチューブ64と一体的に形成されるか、またはそれに取り付けられ得る。下部フランジ68は、接着剤、ホットステーク、または他のアタッチメントなどによって、バルーン12と結合される折り畳み可能なチューブ64のための表面を提供する。
【0045】
上部シール52は、上部フランジ66の外面に沿って折り畳み可能なチューブ64に取り付けられている。上部シール52および折り畳み可能なチューブ64は一緒になって、空洞88の上部範囲70を密封する。一実施形態では、上部シール52は、生体適合性接着剤などで、またはホットステークによって折り畳み可能なチューブ64に取り付けられたアルミホイルの薄膜である。
【0046】
カラー62によって支持されるような折り畳み可能なチューブ64は、注入針100を保護するための構造を提供する。折り畳み可能なチューブ64は、カラー62によって支持されていないときに垂直方向の圧力下で容易に折り畳まれるように構築されている。例えば、折り畳み可能なチューブ64を形成するために使用される材料は、圧力下で崩壊するように、薄く、および/またはパターン(例えば、ハニカム、ストリップ、格子、またはヘリンボーン)で形成され得る。
【0047】
針コンパートメント50の下部チャンバ80は、バルーン12およびリザーバ40内に延在する管状本体82を含む。管状本体82は、ボス86において(例えば、接着剤、ホットステーク、または他のアタッチメントによって)膜42に結合するように構造化された上部フランジ84を含む。下部チャンバ80は、注入針100の外面上の突起110によって、注入針100の下向きの動きに対するストップとして機能する内側ボス92を含む。突起110は、注入針100の周りに部分的または完全に円周方向に延在し、注入針100と一体的に形成されるか、または注入針100に追加され得る。内側ボス92は、管状本体82の内周の周りに部分的または完全に円周方向に延在する。内側ボス92および突起110は、突起110が内側ボス92に遭遇したときに、下部チャンバ80の管状本体82を通る注入針100の動きが停止するように設計されている。
【0048】
一実施形態では、下部チャンバ80は、注入針100の外径よりも小さいか、または少なくとも一致する内径を有するガスケット、Oリングまたは他のエラストマーラジアルシャフトシール90を含む。
【0049】
管状本体82の底面は、管状本体82に取り付けられた下部シール54によって覆われている。一実施形態では、下部シール54は、接着剤、ホットステーク、または他のアタッチメントなどによって管状本体82に取り付けられたアルミニウム箔の薄膜である。
【0050】
空洞88は、上部チャンバ60および下部チャンバ80によって画定される。折り畳み可能なチューブ64、管状本体82、上部シール52、および下部シール54は、バルーン12および膜42とともに、注入前に空洞88を閉じた環境に維持する。したがって、針コンパートメント50、注入針100、リザーバ40、およびバルーン12が、空洞88および注入針100が最初に無菌であるように組み立てられた場合、注入針100は、注入針100が展開されるまで空洞88内で無菌のままであり得る。
【0051】
一実施形態では、空洞88は、上部チャンバ60の折り畳み可能なチューブ64と、下部チャンバ80の管状本体82との実質的に円筒形の内面によって主に画定されており、これにより、空洞88は、針コンパートメント50の断面において実質的に円形の周囲を有する。他の実施形態では、針コンパートメント50の断面における空洞88の周囲は、円形以外の形状を有する。
【0052】
一実施形態では、管状本体82は、ポリエチレン(PE)などのポリマーで形成されている。一実施形態では、折り畳み可能なチューブ64は、PEなどのポリマーで形成されている。
【0053】
注入針100の実施形態は、
図3A~3Dに例解され、また、
図4にも単独で示されている。この実施形態では、注入針100は、遠位端104と近位端108との間に延在する中央チャネル106を備えた管状形状を有する。遠位端104は、針コンパートメント50から排出されたときに穿刺作用を提供するように、鋭利な先端102で終端する。一実施形態では、鋭利な先端102は、注入針100の残りの部分で使用される材料で形成される。一実施形態では、鋭利な先端102は、注入針100の残りの部分の材料とは異なる材料の挿入物である。例えば、鋭利な先端102は、金属などの任意の硬い材料であり得る。一実施形態では、鋭利な先端102は、分解可能なマグネシウムで形成されている。注入針100の残りの部分は、分解性材料から構成され得る。
【0054】
注入針100の近位端108は、点線Aによって示されるように角度付けられ得る。さらに、注入針100の近位端108の外面は、点線Bによって示されるように傾斜され得る。角度および傾斜は、別個にかつ組み合わせて、下部シール54を穿刺するための刃先を提供することができる。注入針100の遠位端104は、点線Cによって示されるように角度付けられ得、追加的または代替的に傾斜され得る。角度および傾斜は、別個に、または組み合わせて、上部シール52を穿刺するための刃先を提供することができる。角度の付いた遠位端104および鋭利な先端102はまた、送達部位で組織を穿刺する/貫通するのを助ける。
【0055】
図3Aは、胃腸管内の流体への曝露による針コンパートメント50のカラー62の分解前の自動注入器10の初期構成を例解する。この段階で、自動注入器10の外側シェルは、流体が外側シェルを破り、放出弁36に到達してバルーン12の膨張を開始することを可能にするのに十分に分解している。したがって、上部シール52は、流体溶液48をGIWに送達するのに好適な方向でGIWに隣接して位置決めされて示されている。示されていないが、外側シェルの一部は、上部シール52とGIWとの間を含めて、この段階でまだ残り得る。上部チャンバ60のカラー62は、折り畳み可能なチューブ64を引き続き支持する。
【0056】
図3B~3Dは、カラー62の分解中(
図3B)およびその後(
図3C~3D)の自動注入器10の進行を例解する。
【0057】
図3Bには、カラー62の分解中の自動注入器10が示されている。この段階で、胃腸管からの流体はカラー62に到達し、分解を開始している。カラー62は、
図3Bに示されるように断片または粒子62aに分解し得、または追加的もしくは代替的に、カラー62が折り畳み可能なチューブ64をその初期形態(例えば、円筒形)に維持するのに十分な支持をもはや提供しないように弱めることによって分解し得る。一実施形態では、カラー62は、流体、特に胃腸管内に存在する流体に曝されたときに分解を受けやすい、急速に分解する材料(例えば、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリビニルピロリドンなど)を含む。
【0058】
図3Cでは、バルーン12が膨張し続け、針コンパートメント50を送達部位(例えば、GIW)の組織に押し付けると、分解または部分的に分解したカラー62は、その分解状態のために最小限の抵抗を提供し、折り畳み可能なチューブ64の支持を減少させる。折り畳み可能なチューブ64は、バルーン12と送達部位の組織との間の針コンパートメント50に加えられる垂直方向の圧力のために折り畳まれる。折り畳み可能なチューブ64が折り畳まれているとき、注入針100は、上部シール52および下部シール54を同時にまたは連続して通過させられ、注入針100の遠位端105は、上部シール52を破り(穿刺し)、注入針100の近位端108が下部シール54を破る(例えば、穿刺する)。注入針100は、注入針100の突起110と協調して下部チャンバ80の内側ボス92によって提供される停止機能によってブロックされることによって、送達部位で組織内に前進するように促される。注入針100の近位端108が下部シール54に近づくと、ラジアルシャフトシール90は注入針100と接触する。近位端108は、下部シール54を破り、リザーバ40に入る。ラジアルシャフトシール90は、流体溶液48が、注入針100の外周の周りの空洞88を通ってリザーバ40を出るのをブロックする。
【0059】
図3Dでは、下部シール54が注入針100の近位端108によって破られた後、バルーン12内の圧力の蓄積によってリザーバ40の膜42の外面に加えられた圧力Pが、リザーバ40の圧縮と、リザーバ40から注入針100のチャネル106内への流体溶液48(1つ以上の治療製剤を含む)のその後の流れとを生じる。上部シール52が注入針100の遠位端104によって破られた場合、または破られたとき、流体溶液48は、送達部位において組織内へ送達される。ラジアルシャフトシール90は、注入針100と接触したままであり、流体溶液48が、注入針100の外周の周りの空洞88を通ってリザーバ40を出るのをブロックする。
【0060】
一実施形態では、注入針100、上部チャンバ60および/または下部チャンバ80の構成要素、または自動注入器10の他の構成要素のうちの1つ以上は、生分解性材料または生分解性材料の組み合わせを含む。生分解性材料の例には、生分解性ポリマー、セルロース、糖、およびマルトースが含まれる。生分解性ポリマーの例には、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)またはポリ(グリコリド-コ-ラクチド)(PGLA)などのPLAとPGAの組み合わせが含まれる。
【0061】
次に、自動注入器10を製造する方法の一実施形態について説明する。
【0062】
底部ハウジングセグメント(例えば、下部チャンバ80)が提供される。下部シール(例えば、下部シール54)は、底部ハウジングセグメントに取り付けられている。
【0063】
底部ハウジングセグメント(下部シール付き)は、リザーバ(例えば、リザーバ40)に配置されて固定され、底部ハウジングセグメントとリザーバとの組み合わせは、拡張可能部材(例えば、バルーン12)に配置されて固定される。
【0064】
折り畳み可能なチューブ(例えば、折り畳み可能なチューブ64)は、拡張可能部材および/または底部ハウジングセグメントに取り付けられている。一実施形態では、折り畳み可能なチューブは、PEで形成されている。
【0065】
カラー(例えば、カラー62)は、折り畳み可能なチューブの周りに配置されている。一実施形態では、カラーは、PVAまたはポリビニルピロリドンで形成されている。
【0066】
針(例えば、注入針100)は、底部ハウジングセグメントおよび折り畳み可能なチューブによって集合的に形成された空洞内に配置される。
【0067】
折り畳み可能なチューブには、シール(例えば、上部シール52)が固定されている。リザーバ(例えば、リザーバ40)は、ポートを通して(例えば、
図1の充填ポート46およびチューブ44を通して)治療製剤で充填される。
【0068】
リザーバを充填した後、拡張可能部材は、ヒートステーキングなどによって、その周囲の周りで完全に密封される。完成したシールは、ポートを切断する(例えば、充填ポート46および拡張可能部材の外側に延在するチューブ44の部分を切断し、したがって、チューブ44をシールする)。
【0069】
反応物および関連する集合体(例えば、第1の反応物38を有するポーチ32、導管34、および第2の反応物35)は、拡張可能部材が完全に密封される前に、任意の製造段階で拡張可能部材に追加され得る。さらに、拡張可能部材は、任意の製造段階で部分的に密封され得、リザーバを充填した後に密封が完了する。
【0070】
図5~10は、流体形態で薬物を送達するための飲み込み可能なデバイスの製造方法の実施形態を例解する。
【0071】
図5では、ラジアルシャフトシール506を組み込んだ底部ハウジングセグメント505が提供されている。シール510は、底部ハウジングセグメント505に固定されている。一実施形態では、底部ハウジングセグメント505はPEで形成され得、ラジアルシャフトシール506はエラストマーで形成され得、シール510はアルミニウム箔で形成され得る。
【0072】
図6では、底部ハウジングセグメント505(ラジアルシャフトシール506およびシール510を有する)がリザーバ520内に配置されて固定され、底部ハウジングセグメント505とリザーバ520との組み合わせがバルーン515内に配置されて固定される。
【0073】
図7では、折り畳み可能なチューブ525がバルーン515および底部ハウジングセグメント505に取り付けられている。一実施形態では、折り畳み可能なチューブ525は、PEで形成されている。
【0074】
図8では、カラー530は、折り畳み可能なチューブ525の周りに配置されている。一実施形態では、カラー530は、PVAまたはポリビニルピロリドンで形成されている。
【0075】
図9では、注入針535は、底部ハウジングセグメント505および折り畳み可能なチューブ525によって画定される空洞内に配置されている。
【0076】
図10では、シール540が折り畳み可能なチューブ525に固定され、底部ハウジングセグメント505、折り畳み可能なチューブ525、カラー530、シール510、およびシール540を含む針コンパートメントを完成させる。
【0077】
リザーバ520は、ポート(例えば、
図1のチューブ44を備えた充填ポート46と同様)を介して治療製剤(例えば、薬物または他の治療薬を含む)で充填される。一実施形態では、リザーバ520は、リザーバ520を充填する前に、リザーバ520内の任意のガスを除去するために真空に曝される。
【0078】
リザーバ520を充填した後、
図10に例解されるアセンブリは、自動注入器(例えば、それぞれ、
図1、2A、2B、2C、2Dの自動注入器10、10A、10B、10C、10Dのいずれか、または他の自動注入器設計)にさらに組み立てることができる。例えば、
図1の第1の反応物38を含むポーチ32、導管34、第2の反応物35、放出弁36、フラップ24、および収縮弁28は、
図10に例解されるアセンブリに組み込まれ得る(ここで、
図10のバルーン515は、
図1のバルーン12である)。次に、バルーン515は、ヒートステーキングなどによって、その周囲の周りを完全に密封することができる。完成したシールは、ポート(例えば、充填ポート46)を遮断し、ポートチューブ(例えば、チューブ44)を密封する。一実施形態では、リザーバ520を充填した後、ポートチューブは(例えば、ヒートステーキングによって)密封される。続いて、バルーン515は、その周囲の周りで完全に密封される。
【0079】
反応物および関連するアセンブリは、上記の製造方法の任意の段階でバルーン515に追加され得る。さらに、バルーン515は、上記の製造方法の任意の段階で部分的に密封され得、その後の段階で密封が完了する。
【0080】
一実施形態では、
図5~10に例解される構成要素の少なくとも一部は、アイソレータ内で組み立てられ、アイソレータに持ち込まれる前に滅菌されるか、またはアイソレータ内で滅菌される。このようにして、注入針535は、注入針535が展開され、シール510およびシール540を破るまで、底部ハウジングセグメント505、折り畳み可能なチューブ525、カラー530、シール510、およびシール540を含む針コンパートメント内で乾燥して無菌状態を維持できる。一実施形態では、
図10に例解されるアセンブリが完了した後、ポートチューブはアイソレータ内で密封され、アセンブリは、デバイスの完成のためにアイソレータから(例えば、クリーンルームに)取り出される。一実施形態では、アセンブリは、デバイスの完成のためにアイソレータ内に留まる。
【0081】
一実施形態では、底部ハウジングセグメント505、折り畳み可能なチューブ525、カラー530、シール510、およびシール540を含む針コンパートメントは、最初に組み立てられ、次に、リザーバ520の膜によって規定される開口部を通じて、リザーバ520内に延在するように位置決めされる。続いて、リザーバ520が充填される。
【0082】
実施形態は、治療製剤を含む様々な製剤の送達に使用することができる。「治療製剤」という用語は、本明細書では、製剤が治療的、診断的、または他の生物学的目的を目的とする1つ以上の成分を含む製剤を指す。各治療製剤は、1つ以上の構成要素を含むことができ、デバイスまたはシステムは1つ以上の治療製剤を含むことができる。治療製剤の構成要素は、例えば、薬理学的に活性な薬剤、DNAもしくはSiRNA転写物、細胞、細胞毒性剤、ワクチンもしくは他の予防剤、栄養補助食品剤、血管拡張剤、または血管収縮剤などの治療薬であることができ、あるいは送達増強剤、遅延剤、賦形剤、診断剤、または美容強化のための物質などの別のタイプの構成要素であることができる。
【0083】
薬理学的に活性な薬剤は、例えば、抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、血管新生阻害剤、神経保護剤、化学療法剤、ペプチド、タンパク質、免疫グロブリン(例えば、TNF-α抗体)、インターロイキンのIL-17ファミリーのインターロイキン、抗好酸球抗体、その他の抗体、ナノボディ、高分子、小分子、もしくはホルモン、または前述のいずれかの生物学的に活性な変異体または誘導体、であり得る。
【0084】
細胞は、例えば、幹細胞、赤血球、白血球、ニューロン、または他の生細胞であり得る。細胞は、生物によって、もしくは生物から生成されるか、または生物の成分を含むことができる。細胞は同種性または自家性の可能性がある。
【0085】
ワクチンは、例えば、インフルエンザ、コロナウイルス、髄膜炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、または水痘に対するものであり得る。ワクチンは弱毒化ウイルスに対応することができる。
【0086】
栄養補助食品は、例えば、ビタミンA、チアミン、ナイアシン、リボフラビン、ビタミンB-6、ビタミンB-12、その他のビタミンB、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、リン、鉄、カルシウム、またはマグネシウムであり得る。
【0087】
血管拡張剤は、例えば、l-アルギニン、シルデナフィル、硝酸塩(例えば、ニトログリセリン)、またはエピネフリンであり得る。
【0088】
血管収縮剤は、例えば、覚醒剤、アンフェタミン、抗ヒスタミン剤、エピネフリン、またはコカインであり得る。
【0089】
送達増強剤は、例えば、浸透促進剤、酵素遮断剤、粘膜を透過するペプチド、プロテアーゼ阻害剤などの抗ウイルス薬、崩壊剤、超崩壊剤、pH修飾剤、界面活性剤、胆汁塩、脂肪酸、キレート剤、またはキトサンであり得る。送達増強剤は、例えば、治療製剤の構成要素を送達するための送達媒体として役立つことができるか、または治療製剤の構成要素の体内への吸収を改善するのに役立つことができる。送達増強剤は、腸の上皮をプライミングして(例えば、細胞の外層を流動化する)、送達デバイスに含まれる1つ以上の他の構成要素の吸収および/または生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)を改善することができる。
【0090】
遅延剤は、例えば、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(l-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、その他のポリマー、またはヒドロゲルであり得る。遅延剤は、治療製剤からの他の構成要素の放出速度を遅くするために、治療製剤中の1つ以上の他の構成要素と一緒に含まれる(例えば、混合されるか、またはその周りに構造を提供する)ことができる。
【0091】
賦形剤は、例えば、結合剤、崩壊剤、超崩壊剤、緩衝剤、抗酸化剤、または防腐剤であり得る。賦形剤は、治療製剤の構成要素のための媒体を提供することができ(例えば、製造を支援するため)、または(例えば、製造中、貯蔵中、もしくは体内に分散する前の摂取後に)治療製剤の構成要素の完全性を維持するために提供することができる。
【0092】
診断剤は、例えば、検知剤、造影剤、放射性核種、蛍光物質、発光物質、放射線不透過性物質、または磁性物質であり得る。
【0093】
治療製剤は、様々な疾患および状態を治療するための治療有効量の様々な治療薬を含むことができる。治療薬には、いくつかの高分子ペプチドおよびタンパク質が含まれ、これらは、さもなければ、胃または腸における化学的分解および/または不活性化のために注入を必要とする。例には、抗体(例えば、TNF-アルファ抗体などの様々なモノクローナル抗体を含む)、成長ホルモン(例えば、IGFおよび他の成長因子)、副甲状腺ホルモン、インターフェロン、免疫化学療法剤、抗生物質、抗ウイルス剤、インスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP-1、エクセナチド)、抗発作剤(例えば、フロセミド)、抗片頭痛薬(例えば、スマトリプタン)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)および抗寄生虫剤(例えば、抗マラリア剤)が含まれる。
【0094】
特定の治療薬の投与量は、対象の体重、年齢、または他のパラメータに対して滴定することができる。本開示の自動注入器を介してGIW内にまたはGIWを通じて送達される所望の治療効果を達成するための投薬量は、GIWを介した吸収による従来の経口送達に必要とされる量よりも少ない場合がある。これは、部分的には、自動注入器からGIWへの流体の送達の瞬間まで、自動注入器のリザーバ内の流体を保護することによって、生物学的物質または消化器物質における治療薬の分解を最小化または防止することによる。比較すると、従来の経口送達によって送達される治療薬(例えば、ピル)は、吸収前に生物学的物質または消化器物質によって大幅に分解される可能性がある。さらに、従来の経口送達によって送達される治療薬の吸収率は低い場合がある。したがって、従来の経口送達によって送達される治療薬の生物学的利用能は、分解および/または不十分な吸収のために低い場合がある(例えば、絶対生物学的利用能が5%未満、または1%未満)。本明細書で使用される絶対生物学的利用能は、静脈注射(IV)によって送達される同じ量の治療薬の生物学的利用能と比較した試験下送達機構(DMT)によって送達される治療薬の量の生物学的利用能を意味し、生物学的利用能の曲線下面積(AUC)をIVの生物学的利用能のDMT対AUCによって割ることによって計算され、パーセンテージとして表される。
【0095】
一実施形態では、本開示の自動注入器によって送達される治療薬の絶対生物学的利用能は、少なくとも95%である。一実施形態では、本開示の自動注入器によって送達される治療薬の絶対生物学的利用能は、約100%である。一実施形態では、本開示の自動注入器によって送達される治療薬の絶対生物学的利用能は、100%超であり、これは、自動注入器によって送達される治療薬が、一定時間体内に保持される(例えば、腸壁または腹腔内に送達され、時間とともに血流に入り、体外へ排出される)のに対し、IVによって送達される治療薬は、より迅速に体外へ排出される(すなわち、血流内へ送達され、体外へ排出される)からである。体内で治療薬が費やす時間がより長くなると、治療薬が治療効果を発揮する時間がより長くなる可能性がある。
【0096】
治療薬に応じて、本開示の自動注入器によって送達される用量は、所望の治療効果を達成するために、従来の経口送達手段によって送達される用量の5%~100%の範囲であることができる。一実施形態では、本開示の自動注入器による投与量に対する従来の経口送達による投与量の比は、20:1よりも大きい。一実施形態では、本開示の自動注入器による投与量に対する従来の経口送達による投与量の比は、90:1よりも大きい。
【0097】
用量低減は、対象に利益をもたらす。例えば、本開示の自動注入器によって送達される特定の治療薬単独または1つ以上の他の治療薬との組み合わせの潜在的な毒性および他の副作用(例えば、胃けいれん、過敏性腸、出血など)は、送達される用量が、従来の経口投与と比較して、低下されるため、低減することができる。これにより、対象は副作用の重症度および発生率の両方が低減し得るため、コンプライアンスを改善する。追加の利点には、対象が治療薬に対する耐性を発現する、および抗生物質の場合、対象が耐性菌株を発現する、可能性の低減が含まれ得る。
【0098】
単一の治療薬の送達に加えて、実施形態は、複数の状態の治療のために、または特定の状態のための複数の治療プロングのために、複数の治療薬を送達するために使用することができる。使用において、そのような実施形態は、対象が、特定の状態または複数の状態のために複数の薬剤を服用しなければならない必要性を放棄することを可能にする。
【0099】
化学的構成、分子量、または他のパラメータの違いにより、治療薬は、従来の技術(例えば、ピル)によって異なる速度で送達されると、胃腸管から腸壁を通して吸収され、異なる薬物動態分布曲線をもたらし得る。実施形態は、実質的に同時に所望の治療薬混合物を注入することによってこの問題に対処する。これはしたがって、薬物動態、したがって、治療薬の選択された混合物の有効性を改善し得る。
【0100】
様々な用途において、治療薬を含む製剤を送達していくつかの病状および疾患の治療を提供するために、実施形態を使用することができる。実施形態で治療することができる病状および疾患には、がん、ホルモン状態(例えば、甲状腺機能低下症/甲状腺機能亢進症、成長ホルモン状態)、骨粗鬆症、高血圧、高コレステロールおよび高トリグリセリド、糖尿病および他のグルコース調節障害、感染症(局所性または敗血症)、てんかんおよび他の発作障害、骨粗鬆症、冠状動脈性不整脈(心房および心室の両方)、冠状動脈虚血性貧血または他の同様の状態が含まれ得るが、これらに限定されない。多発性硬化症、ギランバレー症候群、強直性脊椎炎、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、多巣性運動ニューロパチー、狼瘡および他の類似の状態を含む、様々な自己免疫障害などのさらに他の状態および疾患もまた、想定される。後者の状態の治療薬は、特にIgGおよびリツキシマブを含み得る。
【0101】
多くの実施形態では、本開示の自動注入器を使用する特定の疾患または状態の治療は、他の形態の治療を完全に置き換えることができる。他の実施形態では、本開示の自動注入器を使用する特定の疾患または状態の治療は、他の形態の治療を増強または低減することができる。
【0102】
本開示の説明および図面から明らかなように、実施形態は、これらに限定されないが、以下を含む。
・膨張可能なバルーン、膨張可能なバルーン内に配置されたリザーバ、バルーンおよびリザーバに取り付けられた針コンパートメントを含む自動注入器;針コンパートメント内に配置された注入針;ならびに膨張機構。リザーバは、治療薬を含む流体治療製剤を含む。膨張機構は、バルーンを膨張させるように構成されており、バルーンが膨張すると、注入針は、注入針の近位端でリザーバに入るように構成されている。
・自動注入器の製造方法は、針コンパートメントおよびリザーバを提供することと、針コンパートメントの一端を密封することと、針コンパートメントを部分的にリザーバ内に配置することと、針コンパートメントによって画定された空洞に注入針を配置することと、治療薬を含む流体治療製剤をリザーバに追加することと、を含む。
・方法は、自動注入器を摂取するように指示することにより、自動注入器を対象に利用可能にすることを含む。自動注入器は、自動注入器の摂取に応答して、治療薬を含む流体治療製剤を対象の胃腸管の壁に注入するように構成されている。自動注入器は、リザーバに取り付けられた針コンパートメントに配置された注入針を含み、注入針は、最初にリザーバから分離されている。注入針は、注入針を介して壁内へ流体治療製剤を送達するためにリザーバに入るように構成されている。
・上記の自動注入器または方法のいずれかは、以下の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを伴う。
-リザーバは、最大0.5ccの液体を保持するように構成されている
-リザーバは、0.5ccの流体を含む
-デバイスは、最大50ミリグラムの治療薬を含むように構成されている
-治療薬は、治療製剤に含まれる2つ以上の異なる治療薬のうちの1つである
-膨張機構は、2つの反応物を含み、膨張機構は、デバイスが流体環境に遭遇するまで、2つの反応物を互いに分離させておくように構成されている
-デバイスは、消化管の壁を通じて、または壁を通じて、腹腔内に治療製剤を送達するように構成されている
-流体治療製剤は、ポートを通過して、リザーバに流体結合されたチューブに送られる
-リザーバ内に配置される針コンパートメントの端は、密封されている
-自動注入器内のガスの生成に反応して、注入針の近位端がリザーバに入り、注入針の遠位端が針コンパートメントから露出されて、治療製剤を送達する
【0103】
本発明は、その特定の実施形態を参照して説明および例解されてきたが、これらの説明および例解は、本発明を限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、同等の構成要素を実施形態内で置き換えることができることを明確に理解することができる。また、一実施形態からの構成要素、特性、または行為は、本発明の範囲内で多数の追加の実施形態を形成するために、他の実施形態からの1つ以上の構成要素、特性、または行為と容易に再結合または置換することができる。さらに、他の要素と組み合わされるものとして示されているか、または説明されている要素は、様々な実施形態では、独立した要素として存在することができる。さらに、要素、特性、構成要素、特徴、行為、ステップなどの任意の肯定的な記載について、本発明の実施形態は、その要素、値、特性、構成要素、特徴、行為、ステップなどの除外を具体的に想定する。例解は、必ずしも一定の縮尺で描画されているとは限らない。本開示における芸術的表現と実際の装置との間には、区別があり得る。具体的に例解されていない本開示の他の実施形態が存在し得る。明細書および図面は、限定的なものではなく、例解的なものとみなされるべきである。特定の状況、材料、物質の組成、方法、またはプロセスを本開示の目的、趣旨、および範囲に適合させるために修正を加えることができる。そのようなすべての変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲内にあることを意図している。本明細書に開示される方法は、特定の順序で実行される特定の操作を参照して説明されてきたが、これらの操作は、本開示の指示から逸脱することなく、同等の方法を形成するために組み合わせる、細分する、または並べ替えることができることを理解することができる。したがって、本明細書で特に示されない限り、操作の順序およびグループ化は、本開示では制限されない。
【0104】
本明細書では、デシリットル(dl)、ミリリットル(ml)、マイクロリットル(μl)、国際単位(IU)、センチメートル(cm)、ミリメートル(mm)、ナノメートル(nm)、インチ(in)、キログラム(kg)、グラム(gm)、ミリグラム(mg)、マイクログラム(μg)、ミリモル(mM)、摂氏度(℃)、華氏度(°F)、ミリトール(mTorr)、時間(hr)、分(min)、または秒(sまたはsec)などの標準単位に様々な略字が使用され得る。
【0105】
本開示において使用される場合、「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」、「例えば(for example)」、「例のために」、「別の例のために」、「の例」、「例として」、および「など」という用語は、1つ以上の非限定的な例のリストの前または後にあることを示し、記載されていない他の例も本発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0106】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という単数形の用語は、文脈から明らかでない限り、複数の指示対象を含み得る。単数形の物体への参照は、明示的に述べられていない限り、「唯一の」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つ以上」を意味する。
【0107】
「実施形態では」という用語またはその変形例(例えば、「別の実施形態では」または「一実施形態では」)は、本明細書においては、1つ以上の実施形態において使用することを指し、いかなる場合においても、本発明の範囲を例解および/または説明された実施形態だけに限定されない。したがって、実施形態に関して本明細書に例解および/もしくは説明された構成要素は、省略され得るか、または別の実施形態において(例えば、本明細書に例解および説明された別の実施形態、または本開示の範囲内で、本明細書に例解および/もしくは説明されていない別の実施形態において)で使用され得る。
【0108】
「構成要素」という用語は、本明細書では、考察中のデバイス、製剤、またはシステムを一緒に構成する1つ以上のアイテムのセットのうちの1つのアイテムを指す。構成要素は、固体、粉末、ゲル、プラズマ、流体、気体、または他の形態であり得る。例えば、デバイスは、デバイスを構造化するために一緒に組み立てられる複数の固体構成要素を含み得、デバイス内に配置される流体構成要素をさらに含み得る。別の例として、製剤は、製剤を作製するために一緒に混合される2つ以上の粉末および/または流体構成要素を含み得る。
【0109】
「設計する(design)」という用語またはその文法的変形(例えば、「設計」または「設計された」)は、例えば、公差の推定値(例えば、部品公差および/または製造公差)および遭遇すると予想される環境条件(例えば、温度、湿度、外部または内部の周囲圧力、外部または内部の機械的圧力、外部または内部の機械的圧力によるストレス、製品の年齢、または貯蔵寿命、または体に導入された場合は生理学、体の化学、体液または組織の生物学的組成、体液または組織の化学組成、pH、種、食事、健康、性別、年齢、祖先、疾患、または組織の損傷)に基づいて意図的に組み込まれた特性を指し、納品前および/または納品後の実際の許容誤差および環境条件が特性に影響を与える可能性があるため、同じ設計の異なる構成要素、デバイス、製剤、またはシステムがそれらの特性に関して異なる実際の値を有する可能性があることを理解されたい。設計には、製造前または製造後のバリエーションまたは修正も含まれる。
【0110】
構成要素、デバイス、製剤、またはシステムに関連する「製造する(manufacture)」という用語またはその文法的変形(例えば、「製造」または「製造された」)は、本明細書では、構成要素、デバイス、製剤、またはシステムを作製または組み立てることを指す。製造は、全体的もしくは部分的に手作業で、かつ/または全体的もしくは部分的に自動化された方法で行うことができる。
【0111】
「構造化された」という用語またはその文法的変形(例えば、「構造」または「構造化」)は、本明細書では、概念または設計、またはその変形、またはそれに対する修正(そのような変更または修正が製造前、製造中、製造後のいずれに生じているか)に従って製造される構成要素、デバイス、製剤、またはシステムを指し、そのような概念または設計が文書に取り込まれるかどうかは問わない。
【0112】
「体」という用語は、本明細書では動物体を指す。
【0113】
「対象」という用語は、本明細書では、本開示の実施形態が送達される、または送達されることが意図されている体を指す。例えば、ヒトに関して、対象は、医療専門家の治療を受けている患者であり得る。
【0114】
「生物学的物質」という用語は、本明細書では、血液、組織、体液、酵素、間質液、および体の他の分泌物を指す。「消化物」という用語は、本明細書では、動物体の胃腸管に沿った生物学的物質、および胃腸管を横断する他の物質(例えば、粥状液などの未消化または消化状態の食物)を指す。
【0115】
「摂取する(ingest)」という用語またはその文法的変形(例えば、「摂取する(ingesting)」または「摂取した(ingested」)は、本明細書では、飲み込みによるか、または胃の中に配置する他の手段によるか(例えば、内視鏡を介して胃の中に配置することによる、またはポートを介して胃の中に配置することによる)にかかわらず、胃に取り込むことを指す。
【0116】
「分解する(degrade)」という用語またはその文法的変形(例えば、「分解する(degrading)」、「分解した」、「分解可能な」、および「分解」)は、本明細書では、溶解、化学的分解(生分解を含む)、分解、化学修飾、機械的分解、または崩壊などによる弱化、部分分解、または完全分解、を指し、これには、溶解、崩壊、変形、しぼませる、または収縮も含まれるが、これらに限定されない。「非分解性」という用語は、予想される環境で少なくとも予想される期間に、劣化が最小限であるか、または特定の許容可能な設計パーセンテージ内であるという予想を指す。
【0117】
本明細書で使用される場合、「実質的に」および「約」という用語は、小さな変動を説明および伝えるために使用される。例えば、数値と併せて使用されるとき、これらの用語は、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下など、その数値の±10%以下の変動範囲を指し得る。
【0118】
追加的に、量、比率、および他の数値は、本明細書に範囲形式で提示される場合がある。本明細書で使用される場合、数値の範囲は、範囲内の任意の数値、またはサブ範囲内の最小数および最大数が範囲内にある場合は任意のサブ範囲を含む。この範囲形式は、便宜および簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に規定される数値を含むが、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も、各数値および部分範囲が明示的に規定されているかのように含むと柔軟に理解されるべきであることを理解すべきである。したがって、例えば、「<9」は、9未満の任意の数値、またはサブ範囲の最小値がゼロ以上で、かつサブ範囲の最大値が9未満である数値のサブ範囲を指す場合がある。比率は、本明細書では範囲形式で提示することもできる。例えば、約1~約200の範囲の比率は、明示的に記載された約1および約200の限界を含むが、約2、約3、および約4などの個々の比率、および約10~約50、約20~約100などの部分範囲も含むと理解されるべきである。
【0119】
「内腔」という用語は、本明細書では、管状構造の内部空間を指す。体内の内腔の例には、動脈、静脈、臓器内の管状の空洞が含まれる。
【0120】
「内腔壁」という用語は、内腔の壁を指し、ここで、壁は、体内の内腔に関して、粘膜、粘膜下組織、筋層、漿膜、および内腔の外壁のような、内腔の内周から外周までのすべての層を、構成血管および組織とともに含む。
【0121】
「消化管」または「GI管」という用語は、本明細書では、例えば、口、咽頭、食道、胃、幽門、小腸、盲腸、大腸、結腸、直腸、肛門、およびそれらの間の弁または括約筋を含む体の摂取/排出システムを指す。
【国際調査報告】