(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置および鉄道車両の電線
(51)【国際特許分類】
B61C 17/12 20060101AFI20230323BHJP
B60T 17/22 20060101ALI20230323BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B61C17/12 A
B60T17/22 B
B61D37/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548071
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2021051179
(87)【国際公開番号】W WO2021161241
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020000002917
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティオーネ, ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049AA04
3D049BB04
3D049HH03
3D049KK17
3D049PP01
3D049RR04
(57)【要約】
電線の開閉状態の監視装置(308)が開示される。装置(308)は、電線に接続された第1の接続端子(T1)および第2の端子(T2)と、両端で所定の最小電圧Vminより大きい電圧である場合、ゼロでない基準電流(Igen)を提供し、両端で所定の最小電圧Vmin未満の電圧である場合、ゼロ電流を提供する電流生成器(301)と、照明装置(305、603、612)および各感光性半導体素子(307、604、611)とを含む少なくとも1つの光アイソレータ手段(308、605、613)と、そこに流れる電流を検出する電流検出・電力供給モジュール(304)とを含み、検出された電流が基準電流(Igen)以上である場合、照明装置(305、603、612)に供給電流を提供し、検出された電流が基準電流(Igen)未満である場合、照明装置(305、603、612)にゼロ供給電流を提供する。感光性半導体素子(307,604,611)は、照明装置(305,603,612)がオフである場合、電線が開いていることを示す第1の状態をとり、照明装置(305,603,612)がオンである場合、第2の状態をとる。電線も開示される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)であって、
前記電線は、第1の側で前記鉄道車両のバッテリの端子(317)に接続され、第2の側で基準電位に接続され、前記電線は、前記電線を開閉するように構成された少なくとも1つの電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)を含み、
前記鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)は、
-前記電線の第1の点に接続されるように構成された第1の接続端子(T1)と、前記電線の第2の点に接続されるように構成された第2の端子(T2)と、
-電流生成器(301)と、
・前記電流生成器(301)の両端で所定の最小電圧Vminより大きい電圧である場合、ゼロでない所定の値を有する基準電流(Igen)を前記電線に供給し、
・前記電流生成器(301)の両端で所定の最小電圧Vminよりも低い電圧である場合、ゼロ電流を前記配線に供給するように構成され、
-照明装置(305、603、612)および感光性半導電性素子(307、604、611)を含む少なくとも1つの光アイソレータ手段(308、605、613)と、
-電流検出・電力供給モジュール(304)と、を含み、
・前記電流検出・電力供給モジュール(304)に流れる電流を検出し、
・前記電流検出・電力供給モジュール(304)に流れる前記検出された電流が前記電流生成器(301)によって生成された基準電流(Igen)の値以上の値を有する場合、前記照明装置(305、603、612)に供給電流を提供し、前記供給電流は、前記少なくとも1つの照明装置(305、603、612)をスイッチオンするように構成され、
・前記電流検出・電力供給モジュール(304)に流れる前記検出された電流が前記電流生成器(301)によって生成された基準電流(Igen)の値よりも低い値を有する場合、少なくとも1つの照明装置(305、603、612)をスイッチオフするように、実質的にゼロの供給電流を前記照明装置(305、603、612)に供給するように構成され、
前記少なくとも1つの感光性半導体素子(307、604、611)は、前記照明装置(305、603、612)がスイッチオフされ、前記少なくとも1つの感光性半導体素子(307、604、611)を照明しない場合、その出力端子(309)で第1の状態をとり、前記照明装置(305、603、612)がスイッチオンされ、前記少なくとも1つの感光性半導体素子(307、604、611)を照明する場合、その出力端子(309)で第2の状態をとり、
前記感光性半導体素子の前記第1の状態は、前記鉄道車両の前記電線が開状態である事実を示すことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光アイソレータ手段の前記照明装置(305、603、612)は、LEDである請求項1に記載の鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)。
【請求項3】
それぞれ、各照明装置(305、603、612)および各感光性半導体素子(307、604、611)を備える複数の光アイソレータ手段(308、605、613)を含む請求項1または2に記載の鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)。
【請求項4】
前記感光性半導体素子の前記第1の状態が開回路状態であり、前記感光性半導体素子の前記第2の状態が閉回路状態である先行請求項のいずれかに記載の鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)。
【請求項5】
前記感光性半導体素子の前記第1の状態が閉回路状態であり、前記感光性半導体素子の前記第2の状態が開回路状態である請求項1~3のいずれかに記載の鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置(308)。
【請求項6】
鉄道車両の電線であって、
前記電線は、
-鉄道車両のブレーキシリンダの上流側の圧力値に応じて、前記電線を開閉するように構成された少なくとも1つの電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)と、
-前記先行請求項のいずれかに記載の鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置とを含み、
前記電線は、第1の側で前記鉄道車両のバッテリの端子(317)に接続され、第2の側で基準電位に接続されていることを特徴とする電線。
【請求項7】
前記電線遮断手段(120、121、122)は、電気接点である請求項6に記載の電線。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電線遮断手段(501、502、・・・503)は、半導体スイッチ回路である請求項6に記載の電線。
【請求項9】
前記電線遮断手段は、少なくとも2つであり、その少なくとも1つは、電気接点であり、その少なくとも1つは、半導体スイッチ回路である請求項6に記載の電線。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)は、前記鉄道車両の前記ブレーキシリンダの上流側の圧力値が所定の閾値圧力を超えた場合、前記電線を開くように構成されている請求項6~9のいずれか1項に記載の電線。
【請求項11】
前記電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)は、
-前記鉄道車両の第1のブレーキシリンダの上流側の第1の圧力値に応じて、前記電線を開閉するように構成された第1の電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)と、
-前記鉄道車両の第2のブレーキシリンダの上流側の第2の圧力値に応じて、前記電線を開閉するように構成された第2の電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)との少なくとも2つである先行請求項のいずれかに記載の電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、鉄道ブレーキシステムの分野に分類され、特に、本発明は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置および鉄道車両の電線に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両のブレーキシリンダの上流側の圧力の状態を監視することは、従来から行われている。
【0003】
ブレーキシリンダの上流側の圧力を知ることは、鉄道車両に搭載された様々な機能に有用である。
【0004】
特に、1つの機能は、牽引システムが作動して列車を加速する場合、1つ以上のブレーキシリンダに過度のブレーキ圧力が供給されないことを検証することである。この特定の場合、1つ以上のブレーキシリンダに過度のブレーキ圧力が付与されると、以下の事象が発生する場合がある。
-過度のブレーキ圧力がブレーキシリンダに関連する車軸をロックするのに十分でない場合、列車は、ブレーキをかけた状態で通常運行し、ディスク/パッドまたはホイール/シューからなるブレーキ対は、その対の修復不可能な劣化につながるほど過熱し、周辺の非耐性部品に広がる火災を引き起こすリスクさえある。
-過度のブレーキ圧力がブレーキシリンダに関連する車軸をロックするのに十分である場合、車軸が負荷を受ける台車に属していれば、ロックされた状態で引きずられ、その後、車輪とレールとの間の摺接点において、車輪が回復不能なほどに平坦化される。
【0005】
このために、圧力スイッチ装置を使用するのが慣例である。圧力スイッチは、可変圧力が付与される空気圧入力を有する装置である。圧力は、圧力スイッチの内部の機構を介して、その瞬時値の変化に応じて、1つ以上の電気接点を移動する。圧力が圧力スイッチの特定の所定値よりも低い場合、1つ以上の電気接点は、第1の状態をとる。圧力が圧力スイッチの特定の所定値よりも高い場合、1つ以上の電気接点は、第2の状態をとる。第1の状態で電気接点が開き、第2の状態で圧力スイッチの構成に応じて、電気接点が閉じ、またはその逆もあり得る。
【0006】
図1は、同一の鉄道車両または列車において、複数のブレーキシリンダを監視するために好適な典型的用途を示す図である。
【0007】
複数のブレーキシリンダ101、102、・・・、103は、鉄道車両または列車に属するブレーキ車軸104、105、・・・、106にそれぞれ用いられる。
【0008】
空気圧供給ライン107、108、・・・、109は、排他的ではないが、通常、それぞれブレーキシリンダ101、102、・・・、103に、空気圧供給ライン107、108、・・・、109の上流側に存在する1つ以上のブレーキ制御システムによって生成される空気圧ブレーキ圧力を供給する。1つ以上のブレーキ制御システムは、
図1には示されていない。
【0009】
圧力スイッチ110、111、・・・、112は、それぞれ空気圧供給ライン107、108、・・・、109に空気圧的に接続されている。圧力スイッチ110、111、・・・、112は、それらの空気圧入口での圧力が所定の圧力値よりも低い場合、閉状態をとり、それらの空気圧入口での圧力が所定の圧力値よりも高い場合、開状態をとることを特徴とする少なくとも1つの電気接点を有する。
【0010】
所定の圧力値は、通常、関連する車軸にブレーキ力を付与できないように十分に低い値に予め設定される。圧力値は、通常、0.2barから0.4barの間である。
【0011】
電線113は、圧力スイッチ110、111、・・・、112の電気接点と、リレー115のコイル114とを直列に接続している。
【0012】
電線113の2つの端部は、それぞれ鉄道車両または列車のバッテリの正端子117と、このバッテリの負端子118に接続されている。
【0013】
リレー115は、接点116を備える。この接点は、鉄道車両または列車の車載ブレーキ状態信号システムを作動させるため、あるいは更なる鉄道車両または列車が鉄道車両または列車に連結される場合、更なる鉄道車両または列車に属する他の同等のリレーの接点と直列に配置させるために使用されて、より高い階層レベルで直列を生成する。
【0014】
空気圧供給ライン107、108、・・・、109に存在する全ての圧力が所定の圧力値よりも低い場合、圧力スイッチ110、111、・・・、112に属する全ての電気接点は、閉状態をとり、電気ライン113に電気的導通を与える。
【0015】
このようにして、コイル114は、バッテリ電圧117で給電され、リレー115の1つ以上の電気接点116を、全てのブレーキが解除されたことを示す状態にし、したがって、牽引システムは、上述したリスクを負うことなく、車両または列車を加速し得る。
【0016】
空気圧供給ライン107、108、・・・、109のうちの少なくとも1つが所定の圧力値よりも高い圧力で供給されると、少なくとも1つの空気圧供給ラインに関連する圧力スイッチの電気接点が開き、電線113を遮断してリレー115のコイル114を非通電にする。このようにして、リレー115の1つ以上の接点116は、少なくとも1つのブレーキシリンダがそれぞれの車軸にブレーキ力を付与していることを示す状態をとり、上述したリスクの1つを生じる。
【0017】
圧力スイッチ装置に固有の以下の技術課題が知られている。
-所定の圧力値の校正の不正確性
-経年変化による所定の圧力値の校正の変動
-接点の酸化、および
-電気接点の開閉動作の制限された最大保証数、圧力スイッチが点検され、場合によっては交換されるメンテナンスサイクルの期間を増加させる鉄道事業者からの要求に対してもはや十分ではない
【0018】
圧力スイッチ装置に固有の技術的な問題を解決するために、圧力スイッチ装置を、半導体回路のみで作製された機能的に同等の装置に置き換えることが市場のトレンドである。
【0019】
この特許は、以下のヨーロッパの鉄道規格を参照する。
-EN-50115「鉄道用途-車両に使用される電子機器」
-EN-50159「鉄道用途-通信・信号・処理システム-信号の安全関連電子システム」
【0020】
図2は、圧力スイッチ装置と等価な回路の好適な機能図である。以下、等価回路は、電子圧力スイッチと規定される。
【0021】
圧力変換器201は、圧力値202を電気信号203に変換する。増幅器204は、電気信号203を増幅し、増幅された電気信号205に変換する。
【0022】
電圧比較器207は、増幅された電気信号205を、圧力スイッチ装置の等価回路の機能出力が切り替わるべき所定の圧力値に対応する基準電圧値206と比較する。
【0023】
増幅された電気信号205が基準電圧206よりも低い場合、比較器207の出力208は、第1の状態をとり、増幅された電気信号205が基準電圧206よりも高い場合、比較器207の出力208は、第2の状態をとる。
【0024】
EN-50155規格では、電気回路の出力と電子回路の制御部とを分離するために、ガルバニック絶縁を使用することを推奨している。この推奨を満たすために、信号208は、光アイソレータ210のLEDダイオード209を駆動する。
【0025】
等価回路の第1の構成において、電気信号208によってとられる第1の状態は、光アイソレータ210のスイッチング装置211に閉回路状態をとらせるようなものであり、電気信号208によってとられる第2の状態は、光アイソレータ210のスイッチング装置211に開回路状態をとらせるようなものであり得る。等価回路の第2の構成において、電気信号208によってとられる第1の状態は、光アイソレータ210のスイッチング装置211に開回路状態をとらせるようなものであり、電気信号208によってとられる第2の状態は、光アイソレータ210のスイッチング装置211に閉回路状態をとらせるようなものであり得る。
【0026】
EN-50155規格では、鉄道の装置の電子出力回路に過電流に対する保護機能を備え、場合によっては出力状態の監視を可能にする診断機能を常設することを推奨している。
【0027】
スイッチング装置211と直列に配置され、回路性質が電子工学の当業者に知られた異なる形態をとり得る電子保護回路212は、当該保護回路212が設計される所定の電流値の場合、直列回路を遮断する。
【0028】
保護回路212は、更に、光アイソレータ214のLED装置213を駆動して、光アイソレータ214のスイッチング装置215を通電または非通電することにより出力回路の状態に関する診断情報を送信し得、スイッチング装置215は、長時間の過電流の場合、比較器207をオフにし、場合によっては
図2に示されない他のユーザのための更なる診断情報信号218を生成するように構成された後続の好適な回路に接続される。
【0029】
この回路は、比較的シンプルで、構成する電子部品の数も少ないため、次のような利点がある。
-回路のMTBF(Mean Time Between Failures)パラメーターは、従来の圧力スイッチ装置のそれよりも著しく高い。
-電子部品の値の経時的な安定性は、従来の圧力スイッチ装置の機械部品の安定性よりも遥かに高い。
【0030】
一方、この回路は、高いSIL安全レベルの場合、特に最大許容電流の周辺で、かつ規格EN50129によって推奨される第2の保護回路221が存在すると、その両端219、220で5ボルトに達し得る電圧降下を生じるという欠点がある。
【0031】
図1の電気回路では、圧力スイッチ110、111、・・・、112の一連の電気接点によって表される電圧降下は、数十ミリボルトのオーダーである。仮に、圧力スイッチ110をそれぞれ
図2に示す回路に置き換えると、その降下は、数ボルトと評価されることになる。
【0032】
中程度の長さの列車が、例えば4つの車両、8つの台車、または16つの車軸で構成され得ることを考慮すると、
図2に示されるような一連の同等の固体圧力スイッチから生じる総降下は、数十ボルトに達し得る。この事実は、バッテリ電圧の公称値に対して-30%から+25%の範囲のバッテリ電圧117の許容変動に加え、そのような電圧降下および変動の双方がある場合、コイル114が動作可能なリレー115を見出すことを不可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、本発明の目的は、上述した電子圧力スイッチ装置と同等の回路の機能図の利点、すなわち「平均故障間隔」に関する利点と電子部品の値の経時的な安定性を維持することができ、しかも電圧降下の影響が少ない鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置および鉄道車両の電線を提供することにある。
【0034】
上記および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、それぞれの独立請求項に規定される特徴を有する鉄道車両の電線および鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において規定されており、その内容は、本明細書の不可欠な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
次に、本発明による鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置および鉄道車両の電線のいくつかの好ましい実施形態の機能的特徴および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、同一の鉄道車両または列車における複数のブレーキシリンダを監視するための好適な典型的用途を示す。
【
図2】
図2は、電子圧力スイッチ装置と等価の回路の好適な機能図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る鉄道車両の電線の第1の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置にリレーが置き換えられた
図1と同等の図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置の更なる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の複数の実施形態を詳述する前に、本発明は、その適用において、以下の明細書中で述べられ、または図に示される構造の詳細およびコンポーネントの構成に限定されないということが明らかにされるべきである。本発明は、他の実施形態をとることができ、本発明を、種々に異なる方法で、実際に実施または構築し得る。また、表現および専門用語は、説明を目的とするものであって、限定として解釈されるべきではないことも理解されるべきである。「備える(include)」、「含む(comprise)」、またはそれらのバリエーションは、以下に記述される要素やそれらの均等物、並びに、それらの追加要素およびその均等物を包含するものと理解されるべきである。
【0037】
本発明は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308に関する。例えば
図4に見られるように、電線は、第1の側で鉄道車両のバッテリの端子317に接続され、第2の側で基準電位に接続されている。基準電位は、例えばグランドであり得る。
【0038】
電線は、電線を開閉するように構成された少なくとも1つの電線遮断手段(120、121、122、501、502、503)を含む。
【0039】
鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、電線の第1の点に接続されるように構成された第1の接続端子T1と、電線の第2の点に接続されるように構成された第2の端子T2とを含む。
【0040】
鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、電流生成器301をさらに含む。電流生成器301は、電流生成器301の両端で所定の最小電圧Vminより大きい電圧である場合、ゼロでない所定の値を有する基準電流Igenを電線に供給し、電流生成器301の両端で所定の最小電圧Vminより低い電圧である場合、ゼロ電流を電線に供給するように構成されている。
【0041】
鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、照明装置305、603、612およびそれぞれの感光性半導体素子307、604、611を含む少なくとも1つの光アイソレータ手段306、605、613をさらに含む。
【0042】
さらに、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、電流検出・電力供給モジュール304を含む。電流検出・電力供給モジュール304は、電流検出・電力供給モジュール304に流れる電流を検出するように構成されている。さらに、電流検出・電力供給モジュール304は、検出された電流が電流生成器301によって生成された基準電流Igenの値以上の値を有する場合、少なくとも1つの照明装置305、603、612をオンするために、照明装置305、603、612に供給電流を提供するように構成されている。さらに、電流検出・電力供給モジュール304は、検出された電流が電流生成器301によって生成された基準電流Igenの値よりも低い値を有する場合、少なくとも1つの照明装置305、603、612をオフするために、照明装置305、603、612に実質的にゼロの供給電流を提供するように構成されている。
【0043】
「実質的にゼロの供給電流」とは、ゼロ電流または照明装置305、603、612をオンにしないほど低い電流を意味する。
【0044】
少なくとも1つの感光性半導体素子307、604、611は、照明装置305、603、612がオフであり、少なくとも1つの感光性半導体素子307、604、611を照明しない場合、その出力端子309で第1の状態をとる。さらに、少なくとも1つの感光性半導体素子307、604、611は、照明装置305、603、612がオンであり、少なくとも1つの感光性半導体素子307、604、611を照明する場合、その出力端子309で第2の状態をとる。
【0045】
感光性半導体素子の第1の状態は、鉄道車両の電線が開状態にある事実を示す。すなわち、感光性半導体素子の第1の状態は、少なくとも1つの電線遮断手段120、121、122、501、502、503が電線を開いた事実を示す。
【0046】
図3を参照して、電圧発生器および可変抵抗付き抵抗器を用いた鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の動作例が詳細に説明される。単一ループ回路は、以下を備える。
-電圧値Vbatを生成する電圧発生器302
-瞬時抵抗値R303を有する可変抵抗器303
-本発明に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308
【0047】
例えば、電流生成器301は、理想電流生成器ではなく、実電流生成器である。理想電流生成器は、その両端における電圧値にかかわらず、ゼロ電圧値および無限電圧値を含む所定の電流値を生成することが電気工学的に知られている。
【0048】
電流生成器301は、その両端で最小電圧値Vmin以上の電圧値である場合、電流Igenを生成し、その両端で最小電圧値Vmin未満の電圧値である場合、ゼロ電流を生成するので、実電流生成器と規定される。この電圧値Vminは、電圧発生器302によって生成される値Vbat未満である。
【0049】
電流生成器301と直列に配置された電流検出・電力供給モジュール304は、所定値Iminより高い電流が流れる場合、光アイソレータ手段306の照明装置305、例えばLEDに供給し、ゼロ電流値を含む所定値Iminより低い電流が流れる場合、照明装置305に供給しない。
【0050】
電流検出・電力供給モジュール304は、部分的にまたは全体的に、電流生成器301によって生成された基準電流Igenを使用して、照明装置305に電力を供給する。純粋に説明の目的で、電流検出・電力供給モジュール304の両端での電圧降下は、基準電流Igenの場合、ゼロと推定される。
【0051】
光アイソレータ306は、感光性半導体素子307を含み、これは、照明装置305が光放射を放出しているか否かに応じて、開回路状態または閉回路状態をとり得る。光アイソレータ306は、市販されており、その感光性半導体は、光放射されている場合、閉回路状態をとり、光放射がされていない場合、開回路状態をとる。感光性半導体が光放射されていない場合に閉回路状態をとり、光放射されている場合に開回路状態をとる市販の光アイソレータ306も存在する。
【0052】
可変抵抗器303の抵抗値R303をリセットすることにより、電圧発生器302によって供給される全ての電圧Vbat>Vminが、電流生成器301の両端に存在することになる。この場合、電流生成器301は、基準電流Igenを生成し、これは電流検出・電力供給モジュール304によって検出された後、照明装置305、すなわちLEDに電力を供給する。
【0053】
可変抵抗器303の抵抗値R303を徐々に増加させることにより、電流生成器301は、抵抗値R303が次の値に到達しない限り、基準電流Igenを生成し続ける。
【数1】
【0054】
抵抗値R303をさらに増加させることにより、次の条件に到達する。
【数2】
【0055】
すなわち、電流生成器301が基準電流Igenの生成を停止する条件に到達する。この状況では、電流検出・電力供給モジュール304は、照明装置305、すなわちLEDへの供給を停止する。
【0056】
図4は、
図1で説明した配線図を示し、リレー115が本発明に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308に置き換えられ、この監視装置は、電流生成器301、電流検出・電力供給モジュール304、および光アイソレータ306を備えている。全ての電線遮断手段120、121、122が閉じた状態は、上述したR303=0状態に相当する。この場合、電流生成器301では、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の内部において、基準電流Igenが生成し、この基準電流Igenは、電流検出・電力供給モジュール304によって検出され、照明装置305に電力を供給する。電線遮断手段121、122、・・・、123の少なくとも1つが開いた状態は、電流生成器301の両端での電圧がゼロまたはVmin未満であり、よって、電流生成器301がゼロ電流を生成するR303=∞状態に相当する。この場合、電流検出・電力供給モジュール304は、基準電流Igenを検出しないので、照明装置305をオンにしない。
【0057】
照明装置305によってとられるオン状態またはオフ状態に応じて、感光性半導体307の出力端子309、すなわち鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の出力端子309は、全てのブレーキシリンダがゼロ圧力を有すること、または少なくとも1つのブレーキシリンダにブレーキ圧力が付与されていることを示す後続状態をとることになる。
【0058】
図4は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の内部に酸化を受ける可動機械接点が存在しないため、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308が、リレー115に代えて、信頼性および可用性を少なくとも1桁高めて有利に使用され得ることを示す。
【0059】
図5は、
図1に説明した配線図を示し、リレー115は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308に置き換えられ、電気機械圧力スイッチ110、111、・・・112は、電子圧力スイッチ501、502、・・・503の形態での電線遮断手段に置き換えられている。電子圧力スイッチ501、502、…503は、それぞれ、例えば
図2に示す略図に従って作製されるが、これに限定されない。
【0060】
上述したように、
図2に示すものと同等の電子回路がその端子219、220で閉接点と同等の構成をとる場合、電流が流れると、端子219、220で電圧降下Vcが生じ、例えば5V DCに近い値に達し得るが、それに限定されない。
【0061】
n個の電子圧力スイッチ501、502、…503の全てに、同等の閉接点状態をとる場合、ループの点510と511との間に、n×Vtボルトと同等の電圧降下が生じる。
【0062】
鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の内部の電流生成器301は、
図4に示されるように、全ての閉接点の存在下で基準電流Igenを生成し続けるためには、次式が遵守されなければならない。
【数3】
【0063】
以下は、実際のケースに適用された包括的な例である。
【0064】
例えば、鉄道車両に対するVbatの値は、110V DC+25%から-30%の値、または最悪の場合、Vbat=77V DCの値をとり得る。装置308が基準電流Igenを生成および検出するために、10V DCに等しいVminを必要とし、各電子圧力スイッチ501、502、・・・503がその端子219、220で最大降下Vt=5V DCをとると、式(1)によりn値が得られる。
【数4】
【0065】
この場合、13個までの電子圧力スイッチが直列とされ得る。
【0066】
電子圧力スイッチの少なくとも1つがその端子219、220で同等の開接点状態をとる条件は、
図4の略図について説明したのと同じ条件である。
【0067】
図5は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308が、リレー115の代わりに有利に使用され得ることを示し、これは、接点116を移動させるために、コイル114に電力を供給するのに必要な最小電圧要件により、従来のリレーが動作することができなかった一連の電子圧力スイッチの使用を可能にする。
【0068】
図1、
図4および
図5に示すような回路において、リレーの代わりに鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308と同等の電子回路を使用することの更なる利点は、コイル114によって消費される電力が電圧Vbatが-30%~+25%の範囲で変化するにつれて、二次則(ΔV
2×R)で増加するのに対して、装置308によって消費される電力が線形則(ΔV×Igen)で増加するという事実によって説明される。
図1に示すような鉄道用途のリレーは、通常、約45mA@110V DCの公称電流に対応する少なくとも5W@110V DCの公称の最小消費電力を有する。Vbat=(110V DC+25%)またはVbat=137.5V DCの場合、リレーは7.8Wを消費する。
【0069】
有利には、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、
図1および
図4の回路に存在する圧力スイッチの接点を洗浄するために、電気工学分野の当業者に知られているように、最小推奨電流値と同等の10mAに等しい公称基準電流Igenに設計し得る。
【0070】
Vbat=110V DCの場合、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308は、1W強の電力を消費し、Vbat=137.5V DCの場合、装置308は、1.37Wと同等の電力を消費する。いずれの値も同等の条件でのリレー115による消費より遥かに低く、したがって、遥かに低い熱量を生成だけなので、機能の信頼性および利用可能性をさらに増加させる。
【0071】
請求の目的のためではなく純粋に説明の目的で、
図6は、鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置308の好適な包括的実施形態を示し、電流生成器301と電流検出・電力供給モジュール304とを単一の単純回路に統合している。
【0072】
両端601、602に電圧が印加されない場合、照明装置、すなわちLED603内に電流は流れないので、光アイソレータ605の感光性半導体604は、励起されない。
【0073】
両端601、602にツェナーダイオード606を分極するような電圧が印加される場合、トランジスタ607が導通を開始し、照明装置、すなわちLED603をオンにするような大きさの電流608が流れ、光アイソレータ605の感光性半導体604を励起することが可能となる。
【0074】
電流値608は、ツェナーダイオード606の分極値、抵抗器609の抵抗値、トランジスタ608の典型的なVbe値、および照明装置、すなわちLED603の両端の電圧降下によって大きさが決定される。
【0075】
回路の活性化値Vminは、ツェナーダイオード606の電圧値と抵抗器610の値とによって大きさが決定され得る。
【0076】
追加の光アイソレータ611は、光アイソレータ605と直列に配置され、複数の接点を有するリレーの複製を可能にすることができる。光アイソレータ605、・・・611の適切な選択により、NAO(常開)またはNC(常閉)状態を有するそれぞれの等価の接点を構成することができる。
【0077】
本発明は、さらに、鉄道車両のブレーキシリンダの上流側の圧力値に応じて、電線を開閉するように構成された少なくとも1つの電線遮断手段120、121、122、501、502、503と、上述したいずれかの実施形態に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置とを備える鉄道車両の電線に関する。
【0078】
電線は、第1の側で鉄道車両のバッテリの端子317に接続され、第2の側で基準電位に接続されている。また、この場合、基準電位は、グランドであり得る。
【0079】
図4に示すように、少なくとも1つの電線遮断手段120、121、122は、電気接点であり得る。
【0080】
少なくとも1つの電線遮断手段501、502、・・・503も、
図5に示されるように、半導体スイッチ回路であり得る。
【0081】
また、電線遮断手段は、少なくとも2つであり、その少なくとも1つは、電気接点であり、その少なくとも1つは、半導体スイッチであり得る。
【0082】
電線遮断手段120、121、122、501、502、503は、鉄道車両のブレーキシリンダの上流側の圧力値がある閾値圧力を超えた場合、電線を開くように構成され得る。
【0083】
上述したように、電線遮断手段120、121、122、501、502、503は、少なくとも2つであり得る。特に、第1の電線遮断手段120、121、122、501、502、503は、鉄道車両の第1のブレーキシリンダの上流側の第1の圧力値に応じて、電線を開閉するように構成され、第2の電線遮断手段120、121、122、501、502、503は、鉄道車両の第2のブレーキシリンダの上流側の第2の圧力値に応じて、電線を開閉するように構成され得る。
【0084】
本発明に係る鉄道車両の電線の開閉状態の監視装置および鉄道車両の電線の様々な態様および実施形態について記載した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ得ることが理解される。さらに、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内で変更され得る。
【国際調査報告】