(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】認知機能低下患者におけるアミロイドβモノマーレベルを減少させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4035 20060101AFI20230323BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230323BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61K31/4035
A61P25/28
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548088
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 US2021018023
(87)【国際公開番号】W WO2021163613
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511245064
【氏名又は名称】コグニション セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】カタラノ、スーザン
(72)【発明者】
【氏名】イゾ ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC02
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 本開示は、アミロイドβモノマーを減少させる方法および対象における認知低下を治療する方法に関し、治療が、アミロイドβオリゴマーの増加および認知低下の減少をもたらす。本開示は、認知低下を治療することに関し、治療後、臨床において標的関与が測定され得る。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるアミロイドβモノマーレベルを減少させる方法であって、治療上有効な量の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記対象がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記対象が認知機能低下を有する対象である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記認知機能低下がアルツハイマー病である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記対象がアルツハイマー病を有する対象である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記化合物を少なくとも6ヶ月間投与する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約10mg~約2000mgの1日の総投与量である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約300mgの1日の総投与量である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、100mgの1日の総投与量である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記アミロイドβモノマーが、Aβ1-40およびAβ1-42から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記アミロイドβモノマーレベルを減少させる方法が、前記化合物の投与前のアミロイドβモノマーレベルに対して相対的である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記アミロイドβレベルが、脳脊髄液、海馬間質液、血漿またはそれらの組み合わせから測定される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
治療上有効な量の前記化合物を投与する工程によって、治療前の前記対象のADAS-COGスコアと比較して、前記対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項14】
対象におけるアミロイドβモノマーレベルを減少させる方法であって、化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を含む治療上有効な量の医薬組成物を前記対象に投与する工程を含み、前記医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、方法。
【請求項15】
前記対象がヒトである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記対象が認知機能低下を有する対象である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記認知機能低下がアルツハイマー病である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、アルツハイマー病を有する対象である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物を少なくとも6ヶ月間投与する、請求項14記載の方法。
【請求項20】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約10mg~約2000mgの1日の総投与量である、請求項14記載の方法。
【請求項21】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約300mgの1日の総投与量である、請求項14記載の方法。
【請求項22】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、100mgの1日総投与量である、請求項14記載の方法。
【請求項23】
前記アミロイドβモノマーが、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項24】
前記アミロイドβモノマーレベルを減少させる方法が、前記化合物の投与前のアミロイドβモノマーレベルに対して相対的である、請求項14記載の方法。
【請求項25】
前記アミロイドβレベルが、脳脊髄液、海馬間質液、血漿またはそれらの組み合わせから測定される、請求項14記載の方法。
【請求項26】
前記治療上有効な量の医薬組成物を投与する工程によって、治療前の前記対象のADAS-COGスコアと比較して、前記対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす、請求項14記載の方法。
【請求項27】
対象におけるアミロイドβオリゴマーレベルを上昇させる方法であって、治療上有効な量の化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項28】
前記対象がヒトである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記対象が認知機能低下を有する対象である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記認知機能低下がアルツハイマー病である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記対象がアルツハイマー病を有する対象である、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記化合物を経口投与する、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記治療上有効な量が、約10mg~約2000mgの1日の総投与量である、請求項27記載の方法。
【請求項34】
前記治療上有効な量が、約560mgの1日総投与量である、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記治療上有効な量が、約300mgの1日総投与量である、請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記治療上有効な量が、100mgの1日総投与量である、請求項27記載の方法。
【請求項37】
前記アミロイドβオリゴマーレベルを上昇させる方法が、前記化合物の投与前のアミロイドβオリゴマーレベルに対して相対的である、請求項27記載の方法。
【請求項38】
前記アミロイドβレベルが、脳脊髄液、海馬間質液、血漿またはそれらの組み合わせから測定される、請求項27記載の方法。
【請求項39】
前記アミロイドβレベルが、CT1812投与後24時間以内に測定される、請求項27記載の方法。
【請求項40】
対象における認知機能低下を治療する方法であって、治療上有効な量化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項41】
前記対象がヒトである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記認知機能低下がアルツハイマー病である、請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記化合物を少なくとも6ヶ月間投与する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約10mg~約2000mgの1日の総投与量である、請求項40記載の方法。
【請求項45】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約300mgの1日の総投与量である、請求項40記載の方法。
【請求項46】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、100mgの1日総投与量である、請求項40記載の方法。
【請求項47】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程によって、対象におけるアミロイドβのレベルの変化をもたらす、請求項40記載の方法。
【請求項48】
前記アミロイドβのレベルが、前記化合物の投与前のアミロイドβモノマーレベルに対して相対的である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記アミロイドβのレベルの変化が、アミロイドβモノマーの減少、アミロイドβオリゴマーの増加、またはその両方から選択される、請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記アミロイドβモノマーが、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記アミロイドβレベルが、脳脊髄液、海馬間質液、血漿またはそれらの組み合わせから測定される、請求項47記載の方法。
【請求項52】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程によって、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす、請求項40記載の方法。
【請求項53】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程によって、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアが少なくとも3ポイント減少する、請求項40記載の方法。
【請求項54】
対象のアルツハイマー病を治療する方法であって、治療上有効な量の化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項55】
前記対象がヒトである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記化合物を少なくとも6ヶ月間投与する、請求項54記載の方法。
【請求項57】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約10mg~約2000mgの1日の総投与量である、請求項54記載の方法。
【請求項58】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、約300mgの1日の総投与量である、請求項54記載の方法。
【請求項59】
少なくとも6ヶ月間投与される前記治療上有効な量が、100mgの1日総投与量である、請求項54記載の方法。
【請求項60】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程が、前記対象におけるアミロイドβのレベルの変化をもたらす、請求項54記載の方法。
【請求項61】
前記アミロイドβのレベルが、前記化合物の投与前のアミロイドβモノマーレベルに対して相対的である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記アミロイドβのレベルの変化が、アミロイドβモノマーの減少、アミロイドβオリゴマーの増加、またはその両方から選択される、請求項60記載の方法。
【請求項63】
前記アミロイドβモノマーがAβ1~40およびAβ1~42から選択される、請求項60記載の方法。
【請求項64】
アミロイドβレベルが、脳脊髄液、海馬間質液、血漿またはそれらの組み合わせから測定される、請求項60記載の方法。
【請求項65】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程によって、治療前の前記対象のADAS-COGスコアと比較して、前記対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす、請求項54記載の方法。
【請求項66】
前記治療上有効な量の化合物を投与する工程によって、治療前の前記対象のADAS-COGスコアと比較して、前記対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイント減少する、請求項54記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月13日に出願された「Method of Decreasing Amyloid Beta Monomer Levels in Patients with Cognitive Decline」と題する米国仮出願第62/976,325号の優先権の利益を主張し、その全体は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、National Institute of Neurological Disorders and Strokeによって授与されたR43NS083175およびNational Institute on Agingによって授与されたR43AG037337、R44AG055247、R01AG051593、R01AG054176、R01AG057780、およびR01AG058660による政府の支援を受けて行われたものである。政府は、この発明について一定の権利を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、以下の通りである。本開示は、アミロイドβモノマーを減少させる方法および対象における認知低下を治療する方法に関し、治療が、アミロイドβオリゴマーの増加および認知低下の減少をもたらす。本開示は、認知低下を治療することに関し、標的関与は、治療後に臨床で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、マイクロ免疫電極で測定した患者のAβオリゴマーレベルの変化率を示す。
【
図2】
図2は、ウェスタンブロットで測定した患者のCSF中のAβオリゴマーレベルの変化率を示す。
【
図3】
図3は、Spearman相関分析により算出した、マイクロ免疫電極で測定したAβオリゴマーとウェスタンブロットで測定したAβオリゴマーの相関を説明する。
【
図4】
図4は、マイクロ免疫電極によって測定された、患者のCSFにおけるAβオリゴマーの経時的な増加に関連するCT1812を示す。
【
図5】
図5は、ウェスタンブロットで測定した患者CSF中のAβオリゴマーの経時的な増加に関連するCT1812を示す。
【
図6】
図6は、治療後の患者の血漿およびCSF中のCT1812の濃度を示す。
【
図7】
図7は、投与185日後の投与患者と未投与患者のアルツハイマー病評価尺度(ADAS-COG)スコアの3ポイント差を示す。
【
図8】
図8は、1日合計300mgのCT1812を185日間投与した患者におけるAβモノマー(Aβ1-42)レベルの減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
【0006】
本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、特に指示しない限り、「1つまたはそれ以上」または「少なくとも1つ」を意味する。すなわち、不定冠詞「a」または「an」による本発明の任意の要素への言及は、その要素の複数が存在する可能性を排除しない。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、それが使用されている数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。したがって、約50%とは、45%~55%の範囲にあることを意味する。
【0008】
「投与する」、または「投与」などは、本開示の化合物と関連して使用される場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる化合物または医薬組成物を、治療を必要としている対象に提供することを意味する。好ましくは、対象は哺乳類であり、より好ましくはヒトである。本発明は、本発明の化合物または医薬組成物を単独で、または他の治療剤と併用して投与する工程を含む。本発明の化合物または医薬組成物を他の治療剤と併用して投与する場合、本発明の化合物または医薬組成物と他の治療剤は、同時または異なる時間に、また同じ投与経路または異なる投与経路により投与することができる。化合物は、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、または当該技術分野で知られる他の投与経路によって投与することができる。
【0009】
本明細書で使用される「アミロイドβレベル」という用語は、対象から採取されたサンプルにおいて測定されるアミロイドβの量の任意の測定値を含む。サンプルは、脳脊髄液、海馬間質液、および血漿を含み得るが、これらに限定されるものではない。アミロイドβの量は、タンパク質の濃度または量を測定する任意の方法を用いて測定することができ、これには、マイクロ免疫電極またはウェスタンブロットを用いることが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本明細書で使用する「動物」という用語は、ヒト、および野生動物、家畜、家畜などの非ヒト脊椎動物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0011】
本明細書で使用する「認知機能の低下」は、動物の認知機能における任意の否定的な変化であり得る。例えば、認知機能低下には、記憶喪失(例えば、行動記憶喪失)、新しい記憶を獲得することの失敗、混乱、判断力低下、性格変化、方向感覚喪失、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。認知機能低下の治療に有効な化合物は、このように、長期ニューロン増強(LTP)もしくは長期ニューロン抑制(LTD)または電気生理学的に測定されるシナプス可塑性のバランスを回復すること、神経変性の阻害、治療、および/または軽減;一般的なアミロイドーシスの阻害、治療、および/または軽減、アミロイド生成、アミロイド集合、アミロイド凝集、およびアミロイドオリゴマー結合の1つまたはそれ以上の阻害、治療、軽減、ニューロン細胞に対するAβ種の1つまたはそれ以上の非致死的効果(シナプス損失または機能不全および異常膜輸送など)の阻害、治療、軽減;およびそれらの任意の組合せを行うこと、さらに、その化合物は、軽度のアルツハイマー病を含むアルツハイマー病(AD)、ダウン症、血管性認知症(脳アミロイド血管症および脳卒中)、レビー小体を伴う認知症、HIV認知症、軽度認知障害(MCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢に伴う認知機能低下(ARCD)、前臨床アルツハイマー病(PCAD)、認知機能障害なし(CIND)を含むが、これらに限定されない認知症を含むAβ関連神経変性疾患および障害の治療に有効であり得る。
【0012】
「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、一般に安全かつ無毒とみなされる化合物、材料、医薬組成物、および/または剤形を指す。特に、本開示の医薬組成物に使用される薬学的に許容される担体、希釈剤または他の賦形剤は、生理学的に許容され、他の成分と適合し、患者に投与された時にアレルギーまたは同様の不快な反応(例えば、胃の不調、めまい等)を通常生じないものである。好ましくは、本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されるか、または動物、より詳細にはヒトでの使用について米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸塩または塩基塩を作ることによって修飾された、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性基の鉱酸塩または有機酸塩、およびカルボン酸などの酸性基のアルカリ塩または有機酸塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒な無機または有機酸から形成される従来の無毒な塩または親化合物の第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸のような無機酸から得られるもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン、安息香酸、サリチル酸、サルバニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン、メタンスルホン、エタンジスルホン、シュウ酸およびイソチオニックなどの有機酸から調製した塩がある。本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部位を含む親化合物から通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中または有機溶媒中、あるいはこれらの混合物中で化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水系媒体は好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Company,Easton,PA,1990にあり、その開示は参照によりここに組み込まれるものとする。
【0014】
用語「対象」、「個体」または「患者」は互換的に用いられ、本明細書で用いられる場合、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。非ヒト動物には、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬、鶏、両生類、および爬虫類などの哺乳動物および非哺乳動物が含まれるが、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬なとの哺乳動物が好ましい。好ましい対象は、ヒトの患者を含む。本方法は、本明細書に記載の状態、疾患または障害を有するヒト患者を治療するために特に好適である。
【0015】
本明細書において、「治療」という用語は、患者の望ましくない状態または疾患を治療、闘病、改善、予防または改善するために利用される薬剤を意味する。
【0016】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または医薬組成物の「治療有効量」は、特定の疾患または障害の少なくとも1つの症状またはパラメータに選択された効果をもたらすのに十分な量である。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果を示す、または感じる、または医師が変化を観察する)であっても良い。本明細書で意図する効果には、適宜、医学的治療および/または予防的治療の両方が含まれる。治療的および/または予防的効果を得るために本開示に従って投与される化合物の特定の用量は、例えば、投与される化合物、投与経路、他の活性成分の共投与、治療される状態、採用される特定の化合物の活性、採用される特定の組成、患者の年齢、体重、一般健康、性別および食事、採用される特定の化合物の投与時間、投与経路、排泄速度および治療期間を含む、その事例を取り巻く特定の状況により決定される。投与される治療上有効な量は、前述の関連する状況に照らして、健全な医学的判断の行使により医師が決定することになる。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の治療有効量は、典型的には、生理学的に許容される賦形剤組成物中に投与された時に、有効な全身濃度または組織中の局所濃度を達成するのに十分であるような量である。
【0017】
本明細書で使用する「治療する」、「治療した」、または「治療している」という用語は、治療的処置と予防的または防止的措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害または疾患から保護(一部または全部)または遅らせ(例えば、発症を軽減または延期)、あるいは異常であるかまたは異常となるパラメータ、値、機能または結果の部分または全体の回復または低下における抑制などの有益または望ましい臨床結果を取得することである。本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、症状の緩和;状態、障害または疾患の程度または勢いまたは発症速度の減少;状態、障害または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと);状態、障害または疾患の発症の遅延または進行の遅延、状態、障害または疾患の状態の改善、および実際の臨床症状の即時軽減、または状態、障害または疾患の増強または改善につながるかどうかにかかわらず寛解(部分的または全体的かどうか)である。治療は、過剰な副作用を伴わずに臨床的に有意な反応を引き出すことを目指す。治療には、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
【0018】
方法
本開示は、ヒトにおける臨床結果に関するものであり、その結果は、当業者が入手可能な情報に照らして、驚くべきものであり、予想外であった。動物モデルおよび前臨床データは、CT1812がオリゴマーを選択的に置換し、脳脊髄液中および脳間質液中の濃度を高めることができるが、モノマーの濃度には影響を与えないことを示唆した。これは、CT1812で28日間処理したヒト被験者のデータによってサポートされ、その結果、脳髄液または間質液中のアミロイドβモノマー濃度に変化はなかった(62/976,325が参照により本明細書に含まれる)。本開示のいくつかの実施形態において、ヒト対象におけるアミロイドβを減少させる方法が記載されるように、ここに提示された結果は、驚くべきものであり、予想外のものである。本開示のいくつかの実施形態では、ヒト対象におけるアミロイドβオリゴマーレベルを上昇させる方法が記載される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療上有効な量の式の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与する工程を含む、対象におけるアミロイドβモノマーレベルを減少する方法を記載する。
【0020】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象であり、認知機能低下は、アルツハイマー病である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病を有する対象である。
【0021】
いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻内投与、皮内投与、局所投与、からなる群から選択される経路によって投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤として、カプセルとして、粉末として、溶液として、懸濁液として、および乳剤として配合され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、10mg~2000mgの、化合物の1日の総投与量が投与される。本開示の化合物の1日の総投与量は、単回投与または分割投与で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、用量は1日当たり100mgであり、いくつかの実施形態では、用量は1日当たり300mgであり、いくつかの実施形態では、用量は560mgである。いくつかの実施形態では、1日当たり100mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり300mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日当たりの総投与量560mgが、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約10mg~約2000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約2000mg、約300mg~約2000mg、約400mg~約2000mg、約500mg~約2000mg、約600mg~約2000mg,約700mg~約2000mg、約800mg~約2000mg、約900mg~約2000mg、約1000mg~約2000mg、約1200mg~約2000mg、約1400mg~約2000mg、約1600mg~約2000mg、約1800mg~約2000mg、またはこれらの範囲内の値である。具体例としては、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、2000mg、もしくはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、CT1812は、少なくとも6か月間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約50年の間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約1年の間、投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約6ヶ月、約3日~約6ヶ月、約1週間~約6ヶ月、約2週間~約6ヶ月、約3週間~約6ヶ月、約1ヶ月~約6ヶ月、約2ヶ月~約6ヶ月、約3ヶ月~約6ヶ月、約4ヶ月~約6ヶ月、約5ヶ月~約6ヶ月、またはこれらの範囲内の数値の間投与される。具体例としては、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年またはこれらの値の任意の2つの間の範囲内が挙げられ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβレベルの変化をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、アミロイドβモノマーレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、アミロイドβ単量体は、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβオリゴマーの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与後のアミロイドβのレベルは、CT1812の投与前のアミロイドβのレベルに対する相対的なものである。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、マイクロ免疫電極を使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ウェスタンブロットを使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて測定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能低下の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能の低下を阻止する。いくつかの実施形態では、CT1812の 投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアを維持する結果をもたらす。一部の実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイントの減少をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示は、式の化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の治療有効量を対象に投与する工程を含み、前記医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、対象におけるアミロイドβモノマーレベルを減少させる方法について記載する。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象であって、認知機能低下がアルツハイマー病である、対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病を有する対象である。
【0028】
いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻内投与、皮内投与、局所投与、からなる群から選択される経路によって投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤として、カプセルとして、粉末として、溶液として、懸濁液として、および乳剤として配合され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の10mg~2000mgの、1日の総用量が投与される。本開示の化合物の1日の総投与量は、単回投与または分割投与で対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の用量は、1日当たり100mgであり、いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の用量は、1日当たり300mgであり、いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の用量は、1日当たり560mgである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の1日当たりの総用量100mgは、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の1日当たりの総投与量300mgが、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の化合物の約560mgの1日当たりの総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約10mg~約2000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約2000mg、約300mg~約2000mg、約400mg~約2000mg、約500mg~約2000mg、約600mg~約2000mg.約700mg~約2000mg、約800mg~約2000mg、約900mg~約2000mg、約1000mg~約2000mg、約1200mg~約2000mg、約1400mg~約2000mg、約1600mg~約2000mg、約1800mg~約2000mg、またはこれらの範囲内の値である。具体例としては、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、2000mg、あるいはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1日~約50年間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1日~約1年の間、投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1日~約6ヶ月、約3日~約6ヶ月、約1週間~約6ヶ月、約2週間~約6ヶ月、約3週間~約6ヶ月、約1ヶ月~約6ヶ月、約2ヶ月~約6ヶ月、約3ヶ月~約6ヶ月、約4ヶ月~約6ヶ月、約5ヶ月~約6ヶ月、またはこれらの範囲内の値で投与される。具体例としては、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年またはこれら2値のいずれかの間の範囲内が挙げられ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβレベルの変化をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、アミロイドβモノマーレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、アミロイドβ単量体は、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβオリゴマーの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与後のアミロイドβのレベルは、CT1812の投与前のアミロイドβのレベルに対する相対的なものである。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、マイクロ免疫電極を使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ウェスタンブロットを使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて測定される。
【0032】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、認知低下の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、認知低下を阻止する。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアが維持されることをもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイントの減少をもたらす。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療上有効な量の式の化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与する工程を含む、対象におけるアミロイドβオリゴマーレベルを上昇させる方法を記載する。
【0034】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象であり、認知機能低下は、アルツハイマー病である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病を有する対象である。
【0035】
いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻内投与、皮内投与、局所投与、からなる群から選択される経路によって投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤として、カプセルとして、粉末として、溶液として、懸濁液として、および乳剤として処方されうる。
【0036】
いくつかの実施形態では、10mg~2000mgの、化合物の1日の総投与量が投与される。本開示の化合物の1日の総投与量は、単回投与または分割投与で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、用量は1日当たり100mgであり、いくつかの実施形態では、用量は1日当たり300mgであり、いくつかの実施形態では、用量は1日当たり約560mgである。いくつかの実施形態では、1日の総用量100mgの本化合物が1回投与される。いくつかの実施形態では、1日総投与量の300mgの化合物が1回投与される。いくつかの実施形態では、560mgの化合物の1日の総投与量が1回投与される。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約10mg~約2000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約2000mg、約300mg~約2000mg、約400mg~約2000mg、約500mg~約2000mg、約600mg~約2000mg,約700mg~約2000mg、約800mg~約2000mg、約900mg~約2000mg、約1000mg~約2000mg、約1200mg~約2000mg、約1400mg~約2000mg、約1600mg~約2000mg、約1800mg~約2000mg、またはこれらの範囲内の値である。具体例としては、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、2000mg、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、CT1812は1回投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、少なくとも6か月間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約50年間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約1年の間、投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約6か月、約3日~約6か月、約1週間~約6か月、約2週間~約6か月、約3週間~約6か月、約1か月~約6か月、約2か月~約6か月、約3か月~約6か月、約4か月~約6か月、約5か月~約6か月、またはこれらの範囲内の値で投与される。具体例としては、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーレベルは、CT1812の投与から24時間以内に測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーレベルは、CT1812投与後1週間以内に測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーレベルは、CT1812投与から1ヶ月以内に測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーレベルは、CT1812投与から6か月以内に測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーレベルは、CT1812投与後約15分~約12か月、CT1812投与後約15分~約24時間、CT1812投与後約30分~約24時間、CT1812投与後約45分~約24時間、CT1812投与後約1時間~約24時間、CT1812投与後約2時間~約24時間、CT1812投与後約3時間~約24時間、CT1812投与後約4時間~約24時間、CT1812投与後約6時間~約24時間、CT1812投与後約8時間~約24時間、CT1812投与後約10時間~約24時間、CT1812投与後約12時間~約24時間、CT1812投与後約16時間~約24時間、CT1812投与後約20時間~約24時間、CT1812投与後約1日~約7日、CT1812投与後約2日~約7日、CT1812投与後約1週間~約4週間、CT1812投与後約2週間~約4週間、CT1812投与後約3週間~約4週間、CT1812投与後約1ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約2ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約3ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約4ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約5ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約6ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約7ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約8ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約9ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約10ヶ月~約12ヶ月、CT1812投与後約11ヶ月~約12ヶ月の時点において測定される。
【0039】
いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、CT1812の投与後の対象の関与を示すものである。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、CT1812の投与後に増加し、アミロイドβレベルの増加は、対象の関与を示すものである。
【0040】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβレベルの変化をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、アミロイドβモノマーレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、アミロイドβ単量体は、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβオリゴマーの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与後のアミロイドβのレベルは、CT1812の投与前のアミロイドβのレベルに対して相対的である。いくつかの実施形態では、アミロイドβのレベルは、マイクロ免疫電極を用いて測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ウェスタンブロットを使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて測定される。
【0041】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能低下の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能の低下を阻止する。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアを維持する結果をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイントの減少をもたらす。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療上有効な量の式の化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与する工程を含む、対象における認知低下を治療する方法を記載する。
【0043】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象であり、認知機能低下は、アルツハイマー病である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病を有する対象である。
【0044】
いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻内投与、皮内投与、局所投与、からなる群から選択される経路によって投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤として、カプセルとして、粉末として、溶液として、懸濁液として、および乳剤として配合され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、10mg~2000mgの、化合物の1日の総投与量が投与される。本開示の化合物の1日の総投与量は、単回投与または分割投与で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、用量は1日当たり100mgであり、いくつかの実施形態では、用量は1日当たり300mgであり、いくつかの実施形態では、用量は約560mgである。いくつかの実施形態では、1日当たり100mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり300mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、約560mgの本化合物の1日当たりの総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約10mg~約2000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約2000mg、約300mg~約2000mg、約400mg~約2000mg、約500mg~約2000mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約2000mg.約700mg~約2000mg、約800mg~約2000mg、約900mg~約2000mg、約1000mg~約2000mg、約1200mg~約2000mg、約1400mg~約2000mg、約1600mg~約2000mg、約1800mg~約2000mg、またはこれらの範囲内の値である。具体例としては、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、2000mg、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、CT1812は、少なくとも6か月間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約50年の間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約1年の間、投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約6ヶ月、約3日~約6ヶ月、約1週間~約6ヶ月、約2週間~約6ヶ月、約3週間~約6ヶ月、約1ヶ月~約6ヶ月、約2ヶ月~約6ヶ月、約3ヶ月~約6ヶ月、約4ヶ月~約6ヶ月、約5ヶ月~約6ヶ月、またはこれらの範囲内の数値の間投与される。具体例としては、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβレベルの変化をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、アミロイドβモノマーレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、アミロイドβ単量体は、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβオリゴマーの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与後のアミロイドβのレベルは、CT1812の投与前のアミロイドβのレベルに対そて相対的である。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、マイクロ免疫電極を使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ウェスタンブロットを使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて測定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能低下の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能の低下を阻止する。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアを維持する結果をもたらす。一部の実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイントの減少をもたらす。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の式の化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与する工程を含む、対象におけるアルツハイマー病を治療する方法を記載する。
【0050】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、認知機能低下を有する対象であり、認知機能低下は、アルツハイマー病である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病を有する対象である。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻内投与、皮内投与、局所投与、からなる群から選択される経路によって投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤として、カプセルとして、粉末として、溶液として、懸濁液として、および乳剤として配合され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、10mg~2000mgの、化合物の1日の総投与量が投与される。本開示の化合物の1日の総投与量は、単回投与または分割投与で対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、用量は1日当たり100mgであり、いくつかの実施形態では、用量は1日当たり300mgであり、いくつかの実施形態では、用量は約560mgである。いくつかの実施形態では、1日当たり100mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり300mgの化合物の総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、560mgの本化合物の1日当たりの総投与量が、少なくとも約6ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約10mg~約2000mg、約100mg~約2000mg、約200mg~約2000mg、約300mg~約2000mg、約400mg~約2000mg、約500mg~約2000mg、約600mg~約2000mg,約700mg~約2000mg、約800mg~約2000mg、約900mg~約2000mg、約1000mg~約2000mg、約1200mg~約2000mg、約1400mg~約2000mg、約1600mg~約2000mg、約1800mg~約2000mg、またはこれらの範囲内の値である。具体例としては、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、2000mg、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、CT1812は、少なくとも6か月間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約50年の間投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約1年の間、投与される。いくつかの実施形態では、CT1812は、約1日~約6ヶ月、約3日~約6ヶ月、約1週間~約6ヶ月、約2週間~約6ヶ月、約3週間~約6ヶ月、約1ヶ月~約6ヶ月、約2ヶ月~約6ヶ月、約3ヶ月~約6ヶ月、約4ヶ月~約6ヶ月、約5ヶ月~約6ヶ月、またはこれらの範囲内の数値の間投与される。具体例としては、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年、またはこれらの値の任意の2つの範囲内の値などを挙げることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβレベルの変化をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、アミロイドβモノマーレベルの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、アミロイドβ単量体は、Aβ1~40およびAβ1~42から選択される。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、脳脊髄液(CSF)、海馬間質液、血漿、またはそれらの組合せにおけるアミロイドβオリゴマーの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与後のアミロイドβのレベルは、CT1812の投与前のアミロイドβのレベルに対して相対的である。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、マイクロ免疫電極を使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ウェスタンブロットを使用して測定される。いくつかの実施形態では、アミロイドβレベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)を用いて測定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能低下の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、認知機能の低下を阻止する。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの減少をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアを維持する結果をもたらす。いくつかの実施形態では、CT1812の投与は、治療前の対象のADAS-COGスコアと比較して、対象のアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)スコアの少なくとも3ポイントの減少をもたらす。
【実施例1】
【0056】
実施例1:CT1812の臨床的有効性
方法:軽度から中等度のアルツハイマー病患者(MMSE18-26)を登録した第2相臨床試験(NCT03522129)を実施した。無作為化、二重盲検、プラセボ対照、CT1812の単回投与後、留置カテーテルを介して腰部CSFを24時間ごとにサンプリングした。本試験の主要目的は、Aβオリゴマーの脳脊髄液(CSF)への置換を測定することにより、CT1812治療の標的への関与を評価することであった。この測定は、CT1812投与後のベースラインCSF Aβオリゴマー濃度からの変化をプラセボと比較して測定することにより定量化された。オリゴマー特異的抗体、A11でコーティングされたマイクロ免疫電極(Yuede et al 2016)をアルツハイマー病患者サンプルのCSFサンプルに配置し、CT1812(560mg)またはプラセボの単回投与後に可溶性Aβを検出した。
【0057】
結果:CSF中のAβオリゴマーのマイクロ免疫電極(MIE)測定により、薬剤依存的なAβオリゴマーの経時的な増加が示された。投与前のベースラインを設定した後、MIEによるオリゴマーレベルの測定では、CT1812の単回投与を受けた患者のCSFにおいて時間の経過とともに明らかな増加が見られたが(縦の破線)、プラセボを受けた患者では見られなかった(
図1)。患者1と患者3の傾きは、それぞれ有意に0ではない[p<0.001,R
2=0.7720(F=91.45)およびR
2=0.7898(F=101.5)、一方プラセボ投与患者(患者2)の線形傾きは0と差がなかった(p=0.6849,R2=0.06891F=1.998。
【0058】
MIE測定値は、ウェスタンブロットでタンパク質量を測定して確認した。アルツハイマー病患者CSFサンプル(N=3人)をAB特異的抗体82E1でプローブしたネイティブウェスタンブロットで測定した。CT1812の単回投与後(縦の破線)、CT1812を単回投与された患者のCSFでは、オリゴマーレベルが時間とともに明らかに上昇したが、プラセボを投与された患者では見られなかった(
図2)。患者1と3の傾きは有意にゼロでなかった(各患者についてp<0.001、R
2=0.9808(F=41.91)およびR
2=0.3997(F=17.31)、各々)。プラセボ投与患者(患者2)の線形傾きは0と差がなかった(p=0.6849,R
2=0.006437F=0.1684)。スピアマン相関分析により、MIEとウェスタンブロットによるオリゴマー測定値の間に有意な相関があることが示された(
図3、r-0.74,p=3x10
-13)。
【0059】
興味深いことに、薬物によるAβオリゴマーの経時的な増加は、オリゴマーに特異的であった。Aβ40および42単量体のベースラインからの変化率は、3人の患者すべてで同様であった(<50%の増加)。Aβオリゴマーは,治療を受けた2人の患者では200%以上増加したが,プラセボを投与された患者では増加しなかった。CSFのAβオリゴマーレベルは線形回帰に適合させ、各患者についてゼロからの傾きの差の有意性を決定した(
図4(マイクロ免疫電極による測定)、
図5(ウェスタンブロットによる測定))。血漿およびCSFデータの要約を表1および
図6に示す。
【表1】
【0060】
要約:本研究の結果は、アルツハイマー病患者における標的の関与を測定できるかもしれないという原理を早期に証明するものである。本試験の薬物動態は、オリゴマーの上昇に曝露依存的な関係があることを示唆する。
【実施例2】
【0061】
実施例2:CT1812投与による認知機能低下の抑制
CT1812を6カ月(185日)以上投与された患者さんとプラセボを投与された患者さんを比較した。CT1812を投与された患者は、185日目に治療患者と未治療患者の間でアルツハイマー病評価スコア(ADAS-COG)に3ポイントの差を示し、臨床的に意味のある大きさの変化として認知機能の改善傾向を示唆しました(
図7)。CT1812で少なくとも6カ月(185日)治療した患者では、治療群とプラセボ群の間でAβタンパク質が減少した(p=0.017)(
図8)。
【国際調査報告】