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特表2023-513221分散型アクチュエータを搭載した真空環境ロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】分散型アクチュエータを搭載した真空環境ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20230323BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548092
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 US2021017353
(87)【国際公開番号】W WO2021163114
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/983,991
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/106,074
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/984,212
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/032,797
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,995
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,285
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/048,847
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/136,727
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
【住所又は居所原語表記】200 Harvard Mill Square Wakefield, MA 01880 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ハー トワン
(72)【発明者】
【氏名】プール デニス
(72)【発明者】
【氏名】サー スリパティ
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ ヒマーンシュ
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS25
3C707BS15
3C707BS26
3C707CV07
3C707CW07
3C707CX01
3C707CY04
3C707CY12
3C707CY13
3C707CY29
3C707CY34
3C707HS27
3C707HT15
5F131AA02
5F131CA37
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD76
5F131DD83
(57)【要約】
好適な実施形態の一例の装置は、駆動部と;肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で第2リンクに接続される第4リンクと、手首部で第2リンクに接続される第4リンクと有し、駆動部に接続される可動アームと;第2リンクに配置された少なくとも1つの第1のアクチュエータであって、第4リンクについて手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;第2リンクに配置され、手首部を中心とした第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;を備える。熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上が前記第2リンクを介して行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と;
前記駆動部に接続される可動アームであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備える可動アームと;
前記第2リンクに配置され、少なくとも1つの第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
を備え、熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上が前記第2リンクを介して行われる、装置。
【請求項2】
前記肩部、前記肘部、または前記手首部の少なくとも1つがサーマルカップリング構成を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サーマルカップリング構成が、第1の円筒状表面を有する第1の部分と、第2の円筒状表面を有すると共に該第2の円筒状表面が前記第1の円筒状表面に面するように位置付けられる第2の部分とを備え、前記第1の円筒状表面および前記第2の円筒状表面は、前記肩部、前記肘部または前記手首の少なくとも一つの回動ポイントと同軸上に配置され、前記第1の円筒状表面と前記第2の円筒状表面の間の間隙を横切って熱伝達が作用する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の円筒状表面および前記第2の円筒状表面は、前記第1の部分および前記第2の部分からそれぞれ延びる複数のフィンを規定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の円筒状表面と前記第2の円筒状表面との間に熱伝達媒体を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1リンクは、前記駆動部の上部を収容するように構成された凹部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上は、密閉された内部空間を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記駆動部は、前記可動アームを回転させるように構成される駆動シャフトを有するスピンドルアセンブリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記スピンドルアセンブリは、循環する冷却媒体を受け入れるように構成された1つ以上の冷却チャネルを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動部と前記可動アームの前記第1リンクとの間に第1電力カップリング部をさらに備え、前記第1電力カップリング部は、前記駆動部上にあり前記駆動部に対して動かないようにされている1次コイルと、前記第1リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第1電力カップリングに一体化した光通信リンクをさらに備える、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第1リンクと前記第2リンクとの間に第2電力カップリング部をさらに備え、前記第2電力カップリング部は、前記第1リンク上にあり前記第1リンクに対して動かないようにされている1次コイルと、前記第2リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える、請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第4リンクが、前記手首部を中心に回動するように構成される一対のエンドエフェクタであって、互いの位置が反対である一対のエンドエフェクタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第4リンクが4つのエンドエフェクタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
駆動部を提供することと;
前記駆動部に接続される可動アームであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備える可動アームを提供することと;
前記第2リンクに配置され、少なくとも1つの第4リンクについて手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータを提供することと;
を含み、熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上が前記第2リンクを介して行われる、方法。
【請求項16】
前記肩部、前記肘部、または前記手首部の少なくとも1つにサーマルカップリング構成を提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動部の上部を収容するべく前記第1リンクに凹部を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動部を冷却することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記駆動部を冷却することは、外部ソースから前記駆動部を通って冷却媒体を循環させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記駆動部を冷却することは、前記駆動部及び/又は前記可動アームの内部で冷却媒体を循環させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記駆動部と前記第1リンクとの間に電力カップリングを提供することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第1電力カップリングに一体化した光通信リンクを提供することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備える装置であって、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
駆動部に接続されるアームを動かすことであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備えるアームを動かすことと;
第2リンクに配置された少なくとも1つの第1のアクチュエータによって、少なくとも1つの第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;
を遂行させるように構成され、熱管理、電力供給、または通信手段のうちの1つ以上が前記第2リンクを介して作用する、装置。
【請求項24】
装置であって、
駆動部と;
ロボットアームと;
を備え、前記ロボットアームは、
第1の制御部を有すると共に前記駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、
第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、
第2の回転ジョイントで前腕に結合される少なくとも1つの第4リンクと、
を備え、前記装置は更に、
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品と;
を備え、前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる、装置。
【請求項25】
前記第1の回転ジョイントまたは前記第2の回転ジョイントの1つ以上に位置する少なくとも1つのサーマルカップリング構成を更に備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1リンクは、前記駆動部の上部を収容する凹部を備える、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上は、密閉された内部空間を有する、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第1のアクチュエータまたは前記少なくとも1つの第2のアクチュエータがそれぞれ、前記少なくとも1つの第1リンクまたは前記少なくとも1つ第2のリンク内の真空容器内に配置されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記真空容器は、空気、他の混合ガス、または単一のガスで満たされている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記駆動部と前記可動アームの前記第1リンクとの間に第1電力カップリング部をさらに備え、前記第1電力カップリング部は、前記駆動部上にあり前記駆動部に対して動かないようにされている1次コイルと、前記第1リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える、請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記能動部品はグリッパー、ヒータ、またはセンサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項32】
前記能動部品は温度センサを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項33】
前記温度センサが、プロセッサ及び少なくとも1つのメモリを有する制御装置に組み合わされている、請求項32記載の装置。
【請求項34】
前記温度センサは、前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上の温度を測定するように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記測定された温度は、前記第1リンク、前記第のリンク、または前記少なくとも1つの第のリンクのうちの1つ以上の温度膨張の影響を補償するために使用される、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの第4のリンクが、互いの位置が反対である2つのエンドエフェクタの第1の対と、互いの位置が反対である2つのエンドエフェクタの第2の対とを有し、前記第1の対の2つのエンドエフェクタも、前記第2の対の2つのエンドエフェクタも、剛的な方法で互いに接続されている、請求項24に記載の装置。
【請求項37】
方法であって、
駆動部を提供することと;
ロボットアームを提供することと;
を含み、前記ロボットアームは、
第1の制御部を有すると共に、前記駆動部に接続され該駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、
第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、
第2の回転ジョイントで前腕に結合される第4リンクと、
を備え、前記方法は更に、
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータを提供することと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品を提供することと;
を含み、前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる、方法。
【請求項38】
前記能動部品はグリッパー、ヒータ、またはセンサを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記能動部品は少なくとも1つの温度センサを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを有する制御部を提供することをさらに含み、該制御部は、前記少なくとも1つの温度センサからの少なくとも1つの入力を受け入れるように構成される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの入力は、前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上の温度膨張を計算するために使用される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記計算された温度膨張は、前記少なくとも1つの第4リンクの調整された終点位置を決定するために使用される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
装置であって、
駆動部と;
前記駆動部に接続された可動アームと;
を備え、前記可動アームは、
肩部において前記駆動部に回動可能に結合される上腕であって、内部に第1のアクチュエータを有する上腕と、
前記上腕に回動可能に結合される前腕であって、内部に第2のアクチュエータ及び第4のアクチュエータを有する前腕と、
回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第2のアクチュエータによって動かされるように構成される第1の対のエンドエフェクタと、
前記回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第4のアクチュエータによって動かされるように構成される第2の対のエンドエフェクタと、
を備え、
前記第1の対のエンドエフェクタは、前記第2の対のエンドエフェクタとは独立に動くように構成され、
少なくとも前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは制御部によって制御されるように構成され、前記制御部は、前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタに対する熱管理、電力分配、または通信の1つ以上を制御するように構成される、
装置。
【請求項44】
前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタは、前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタの中央部で前記回転ジョイントに回動可能に連結される、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは、プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを有するコントローラによって制御されるように構成される、請求項43に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的かつ非限定的な実施形態は、一般に、分散型アクチュエータを有するロボットに関し、より詳細には、機械的複雑さを低減し性能を向上させるためにロボットの構造内に分散したアクチュエータを有する材料ハンドリング真空環境ロボットに関連する。
【先行技術の簡単な説明】
【0002】
集中アクチュエータを利用する従来のアーキテクチャを有する例示的な材料ハンドリング真空環境ロボットの簡略化した断面図が、図1Aに図式的に描かれている。例示的なロボットは、ロボットアームと、駆動装置と、制御システムとを備える。
【0003】
本例のロボットの腕は、上腕と、それぞれがエンドエフェクタを搭載する2つの前腕を備え、これらは同軸回転関節(肘関節と呼ばれる)を介して上腕に結合される。上腕には2つのプーリーシステムがあり、それぞれが2つの前腕のうちの1つを作動させるように構成されている。
【0004】
ドライブユニットには、ロボットのすべてのアクチュエータが収納されている。ドライブユニットには、スピンドルアセンブリとZ軸機構が含まれる。Z軸機構は、モータMZを用いてスピンドルアセンブリを上下に動かすように構成されている。スピンドルアセンブリは、3つの同軸シャフトと3つのモータを備える。これらのモータは、それぞれが3つのシャフトのうちの1つを作動させるように構成されている。外側シャフトは上腕に接続され、モータMT1 によって作動する。中間シャフトは前腕の1つに結合されたプーリーに接続され、モータMT2 によって作動する。内側シャフトは他の前腕に結合されたプーリーに接続され、モータMT3 によって作動する。
【0005】
この例のロボットは、アームが動作する真空環境を封じ込めるために、モータMT1 , MT2 , MT3 のステータとロータの間にベローズと円筒形のバリアを設けているのが特徴である。ベローズは、スピンドルアセンブリの上下運動に対応するように構成されている。
【0006】
制御システムは、例えば、ユーザーまたはホストシステムから外部入力を受け取り、位置エンコーダ(簡単のために図1Aには示されていない)から個々の運動軸(モータ)の位置を読み取り、所望の運動を実行し、および/または所望の位置を達成するためにモータに電圧を印加するように情報を処理する。図1Aの例示的なロボットの動作は図1Bに図式的に描かれており、これは例示的なロボットについて、収縮位置と様々な伸長位置を示している。
【摘要】
【0007】
ある見方によれば、装置は駆動部と;
肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続される可動アームと;
前記第2リンクに配置され、前記第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
前記第2リンクに配置され、前記手首部を中心とした前記第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
を備える。熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0008】
別の見方によれば、方法は、駆動部を提供することと;
肩部で前記駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続される可動アームを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記手首部を中心とした前記第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータを提供することと;
を含む。熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0009】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備える装置であって、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続されるアームを動かすことと;
前記第2リンクに配置された少なくとも1つの第1のアクチュエータによって、前記第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;
前記第2リンクに配置された少なくとも1つの第2のアクチュエータによって、前記第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;
を遂行させるように構成される。熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0010】
別の見方によれば、装置は駆動部と;
第1の制御部を有すると共に前記駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、第2の回転ジョイントで前腕に結合される少なくとも1つの第4リンクとを有する可動アームと;
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品と;
を備える。前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる。
【0011】
別の見方によれば、方法は、駆動部を提供することと;
第1の制御部を有すると共に前記駆動部に接続されて該駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、第2の回転ジョイントで前腕に結合される少なくとも1つの第4リンクとを有する可動アームを提供することと;
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータを提供することと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品を提供することと;
を含む。前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる。
【0012】
別の見方によれば、装置は駆動部と;
前記駆動部に接続された可動アームと;
を備え、前記可動アームは、肩部において前記駆動部に回動可能に結合される上腕であって、内部に第1のアクチュエータを有する上腕と、前記上腕に回動可能に結合される前腕であって、内部に第2のアクチュエータ及び第4のアクチュエータを有する前腕と、回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第2のアクチュエータによって動かされるように構成される第1の対のエンドエフェクタと、前記回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第4のアクチュエータによって動かされるように構成される第2の対のエンドエフェクタとを備える。
前記第1の対のエンドエフェクタは、前記第2の対のエンドエフェクタとは独立に動くように構成される。
少なくとも前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは制御部によって制御されるように構成され、前記制御部は、前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタに対する熱管理、電力分配、または通信の1つ以上を制御するように構成される。
【0013】
別の見方によれば、方法は、ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;
を含む。
【0014】
別の見方によれば、装置は少なくとも1つのプロセッサと;
コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリと;
を備え、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;
を遂行させるように構成される。
【0015】
別の見方によれば、機械により読み取り可能な不揮発性プログラム記憶装置は、処理を遂行するために前記機械により実行可能な命令のプログラムを有形に具現化し、前記処理は、
ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
前述の態様や他の特徴について、添付図面を参照しつつ以下に説明する。
【0017】
図1A】従来のアーキテクチャを有する材料ハンドリング真空環境ロボットを示す概略図である。
【0018】
図1B】収縮位置および様々な伸長位置にある図1Aのロボットの概略図である。
【0019】
図2A】分散型アクチュエータを備える材料ハンドリング真空環境ロボットの実施形態の例を示す模式図である。
図2B】分散型アクチュエータを備える材料ハンドリング真空環境ロボットの実施形態の例を示す模式図である。
【0020】
図3A】熱伝達の様相を示すロボットの模式図である。
図3B】熱伝達の様相を示すロボットの模式図である。
図3C】熱伝達の様相を示すロボットの模式図である。
【0021】
図4A】ロボットにおける円筒面を介した熱伝達を模式的に表した図である。
図4B】ロボットにおける円筒面を介した熱伝達を模式的に表した図である。
【0022】
図4C】ロボットにおけるヒートパイプを介した熱伝達を模式的に示した図である。
【0023】
図4D】ロボットの誘導電力カップリングの構成例を示す模式図である。
【0024】
図4E】ロボットの光通信リンクの構成例を示す模式図である。
【0025】
図4F】光通信リンクを回転式電力カップリング器と組み合わせて一体型回転式結合器アセンブリを形成した様子を模式的に示す図である。
【0026】
図5】高周波通信システムを利用するロボットの一例を示す概略図である。
【0027】
図6】通信信号が電力カップリングを介してルーティングされるロボットの例を示す概略図である。
【0028】
図7】マルチチャンネル電気フィードスルーと真空対応サービスループを使用して、電力と通信信号が大気環境から真空環境に送られるロボットの例を模式的に示す図である。
【0029】
図8A】真空対応マルチチャンネル電気回転カップリングを利用したロボットの一例を示す概略図である。
【0030】
図8B】ロボットの静電容量式回転カップリングの例を示す模式図である。
図8C】ロボットの静電容量式回転カップリングの例を示す模式図である。
【0031】
図9】上腕の内部容積を密閉して気体を充填したロボットの例を示す模式図である。
【0032】
図10】通信および冷却装置が、電力および通信信号を伝送するためにサービスループによって接続された2つのフィードスルーを利用する、例示的なロボットの概略図である。
【0033】
図11A】フィードスルー間のサービスループが多媒体回転カップリングによって置き換えられる、図10の例示的なロボットの概略図である。
【0034】
図11B】真空対応サービスループを利用する図10の例示的なロボットの概略図である。
【0035】
図11C図11C(a)及び図11C(b)は、1つ又は複数のサービスループが1つまたは複数のチューブからなる、図11Aおよび11Bのサービスループの模式図である。
図11D図11D(a)及び図11D(b)は、1つ又は複数のサービスループが1つまたは複数のチューブからなる、図11Aおよび11Bのサービスループの模式図である。
【0036】
図11E図11C(a)、図11C(b)、図11D(a)、図11D(b)のサービスループがベローズによるピボットジョイントを介して両端で接続されている状態を模式的に示す図である。
【0037】
図11F】一連のベローズ、回動支持体、及び半円形の支持体に取り付けられたケーブル及び/又はホースからなる真空対応サービスループの一例を示す概略図である。
【0038】
図12】ダイナミックシールを組み込んだロボットの一例を模式的に示す図である。
【0039】
図13】サービスループが多媒体回転カップリングによって置き換えられる図12のロボットの概略図である。
【0040】
図14】ロボットの上腕とスピンドルアセンブリの間にダイナミックシールを組み込み、さらに上腕とスピンドルアセンブリのハウジングを相対的に回転させるためのサービスループを組み込んだロボットの例を示す概略図である。
【0041】
図15A】サービスループが多媒体回転カップリングによって置き換えられる図14のロボットの概略図である。
【0042】
図15B】ガス供給管が上腕にガスを供給するために利用される図14のロボットの概略図であり、ガス供給管はハウジングに対して動かないようになっている。
【0043】
図15C】ガス供給管が駆動装置の基部に対して動かないようにされている図14のロボットの概略図である。
【0044】
図15D】ロボットの外部にあるガス供給手段を利用するロボットの例を示す概略図である。
【0045】
図15E】3リンクアームを有するロボットの一例を示す概略図である。
【0046】
図15F図15F(a)、図15F(b)、図15F(c)は、それぞれ肘回転サーマルカップリングの構成例を示す概略図である。
【0047】
図15G】ヒートチョーク及び回転サーマルカップリングを有する図15Eのロボットの概略図である。
【0048】
図15H図15Gのロボットの熱モデルのフローである。
【0049】
図15I図15Gのロボットの熱モデルを、2軸手首関節を有するロボットアームを有する例示的なロボットに拡張した模式図である。
【0050】
図15J(a)】誘導電力カップリング構成を利用する図15Iの熱モデルの概略図である。
図15J(b)】誘導電力カップリング構成を利用する図15Iの熱モデルの概略図である。
図15J(c)】誘導電力カップリング構成を利用する図15Iの熱モデルの概略図である。
【0051】
図15K(a)】分散型アクチュエータを備え、熱管理、電力分配、通信スキームを組み込んだロボットの例を示す概略図である。
【0052】
図15K(b)】分散型アクチュエータを備え、熱管理、電力分配、通信スキームを組み込んだロボットの例を示す概略図である。
【0053】
図15L図15L(a)は、一例のロボットのモータのロータとステータを模式的に示す図である。図15L(b)は、一例のロボットのモータのロータとステータを模式的に示す図であり、モータは磁気シールドを有する。
【0054】
図16】マスターコントローラがロボット駆動装置の外部に存在する制御システムアーキテクチャを有する例示的なロボットを示す概略図である。
【0055】
図17】ロボット駆動装置内の集中制御装置が信号と電力を受信するロボットの例を模式的に示したものである。
【0056】
図18A】ロボット駆動装置の外部にある集中制御装置が信号と電力を受信するロボットの例を示す概略図である。
【0057】
図18B】追加のアクティブコンポーネントを組み込んだ例示的なロボットの模式図である。
【0058】
図18C】例示的なロボットの運動学的な例を示すグラフ表示である。
【0059】
図19A】電力、通信、冷却装置、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
図19B】電力、通信、冷却装置、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
図19C】電力、通信、冷却装置、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
【0060】
図20】ロボットアームと駆動装置との間のモータの変位を示す構成を模式的に示す図である。
図21】ロボットアームと駆動装置との間のモータの変位を示す構成を模式的に示す図である。
【0061】
図22】各モータがそれぞれのステータの外部にロータを有する例のロボットを模式的に示す図である。
図23】各モータがそれぞれのステータの外部にロータを有する例のロボットを模式的に示す図である。
【0062】
図24】電力、通信、および/または冷却の構成が、ロボットアーム内のモータとロボットアームの第1リンクとの間の可動ジョイントに拡張される、例示的なロボットの概略図である。
図25】電力、通信、および/または冷却の構成が、ロボットアーム内のモータとロボットアームの第1リンクとの間の可動ジョイントに拡張される、例示的なロボットの概略図である。
図26】電力、通信、および/または冷却の構成が、ロボットアーム内のモータとロボットアームの第1リンクとの間の可動ジョイントに拡張される、例示的なロボットの概略図である。
図27A】電力、通信、および/または冷却の構成が、ロボットアーム内のモータとロボットアームの第1リンクとの間の可動ジョイントに拡張される、例示的なロボットの概略図である。
【0063】
図27B】4つのエンドエフェクタを備えるロボットの一例を示す概略図である。
図27C】4つのエンドエフェクタを備えるロボットの一例を示す概略図である。
【0064】
図27D図27B及び図27Cのロボットの動作を模式的に示す図である。
【0065】
図28A】2つのアームを有し、電力、通信、冷却のための構成、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
図28B】2つのアームを有し、電力、通信、冷却のための構成、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
図28C】2つのアームを有し、電力、通信、冷却のための構成、および制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを組み込んだ、例示的なロボットの概略図である。
【0066】
図28D】収縮位置および様々な伸長位置にあるロボットを示す、図28Aの例示的なロボットの概略図である;および
【0067】
図29A】様々なロボットのアームの収縮位置及び伸長位置を示す例示的なロボットの動作の模式図である。
図29B】様々なロボットのアームの収縮位置及び伸長位置を示す例示的なロボットの動作の模式図である。
【実施形態の詳細説明】
【0068】
図1Aを参照すると、一例のロボットが一般的に10で示されており、以下、"ロボット10 "と呼ぶことにする。ロボット10は駆動装置14に結合されたロボットアーム12を備える。ロボットアーム12は真空環境に配置されて作動可能であり、駆動装置14は大気環境に配置されている。ロボットアーム12は、上腕18と、上腕18上の少なくとも1つの前腕20と、前腕20のそれぞれ上の対応するエンドエフェクタ22とを備え、エンドエフェクタ22はペイロードを受け入れるように構成されている。駆動ユニット14は、上腕18に結合されたスピンドルアセンブリ36と、スピンドルアセンブリ36を上下に動かすためのZ軸機構38と、モータの形態の1つまたは複数のアクチュエータ32とを備える。ロボットアーム12が動作する空間の真空環境を封じ込めるために、ベローズ24が使用されてもよい。ロボットアーム12の動作を制御するために、制御システム26が使用される。ロボットアーム12は、図1Bに示されるように、収縮した位置から様々な伸長位置へと伸長してもよい。
【0069】
ロボット10は、ベアリングやプーリーなどの精密機械部品を多数使用しているため、機械的に複雑であると考えることができる。これらの部品はロボットの性能(位置決め精度など)を規定する。このため、集中型アクチュエータを用いたアーキテクチャは、増え続けるアプリケーションで要求される、より多くの運動軸を有する構成に対してうまく対応することができない(以下の例を参照のこと)。
【0070】
本発明の目的は、アクチュエータ32(モータ)の一部を駆動装置14からロボットアーム12に移設し、機械的な複雑さを軽減し、性能を向上させることである。ロボットアーム12は真空環境下で動作するため、密閉性、電力供給、通信、熱除去(冷却)など、複数の技術的課題に対処する必要がある。
【0071】
図2Aを参照すると、分散型アクチュエータを有するロボットが一般的に110で示されており、以下、"ロボット110 "と称する。ロボット110は、材料ハンドリング真空環境ロボットの一例示的な実施形態である。図示されるように、例示的なロボット110は、ロボットアーム112と、駆動装置114と、制御システム126とを備える。
【0072】
この特定の例では、ロボットアーム112は、上腕118と、それぞれが(ペイロードを受け入れるように構成された)エンドエフェクタ122を搭載する2つの前腕120とを備え、これらは、同軸回転関節130(肘関節と呼ばれる)を介して上腕118に結合されてもよい。上腕は、それぞれが2つの前腕120のうちの1つに結合された2つのモータ(アクチュエータ132)を収容してもよい。
【0073】
駆動ユニット114は、スピンドルアセンブリ136と、Z軸機構138とを備える。Z軸機構138は、モータMzを用いて、例えばボールネジを介してスピンドルアセンブリ136を上下に動かすように構成されてもよい。スピンドルアセンブリ136は、上アーム118に接続され、モータM1によって作動する駆動シャフト140を含んでもよい。
【0074】
例示的なロボット110の駆動ユニット114は、ロボットアーム112が動作する空間に存在し得る真空環境を封じ込めるために、モータM1のステータとロータの間にベローズ124及び円筒形バリア125を備えてもよい。ベローズ124は、スピンドルアセンブリ136の上下動に対応するように構成されてもよい。あるいは、モータM1の固定子と回転子との間の障壁が使用されず、モータM1の固定子が真空環境内に配置されてもよい。
【0075】
制御システム126は、マスターコントローラ142と、駆動装置114に固定的に配置された1つ以上の制御モジュール144と、スピンドルアセンブリ136に取り付けられた1つ以上の制御モジュール146と、ロボットアーム112に配置された1つ以上の制御モジュール148とを含んでいてもよい。マスターコントローラ142と制御モジュール144、146、148は、通信ネットワークによって接続されてもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,538,000号は、気密容器内に密閉されるアーム上のアクチュエータを記載している。米国特許第10,224,232号は、その全体が参照によりここに組み込まれる、アーム上のモータを記載している。米国特許第10,569,430号は、ロボット駆動装置およびアームにおける熱伝達、ならびにモータの周囲の気密容器を開示しており、その全体が参照により本明細書に援用される。米国特許第10,424,498号(参照することによりその全体が本書に組み込まれる)は、冷却剤を供給するためのサービスループを開示している。米国特許第 10,541,167 号(参照することによりその全体が本書に組み込まれる)は、熱伝導を開示している。
【0076】
ロボットアーム112内のアクチュエータ132(モータM2及びM3)は、上腕118内に都合よく近接配置された制御モジュール148によって制御されてもよい。駆動ユニット114のスピンドルアセンブリ136内に位置する1つ又は複数のアクチュエータ、この特定の例ではモータM1は、スピンドルアセンブリ136に取り付けられた制御モジュール146によって制御されてよく、スピンドルアセンブリ136と共に上下に移動してよい。Z軸機構138を駆動するモータMzは、例えば、駆動ユニット114の基部に配置された静止制御モジュール144によって制御されてもよい。制御モジュール144、146、148は、例えば通信ネットワークを介して、同じく例えば駆動ユニット114の基部に配置されてもよいマスターコントローラ142によって調整されてもよい。
【0077】
その内部空間を含む上腕118は、真空環境内に配置され、真空環境にさらされることがある。制御モジュール148に関連するモータM2/M3は、真空容器に封入されてもよく、この真空容器は、空気、別の混合ガス、又は単一のガス、例えば、窒素で満たされてもよい。代替的に、または組み合わせて、M2/M3モータおよび制御モジュール148の筐体の内部空間は、熱伝達を強化し、ロボットアーム112内の気体の存在を排除するためにポッティングされてもよい。同様に、M2およびM3のステータも、空気、ガスの別の混合物、または単一のガスで満たされた密閉された筐体に囲まれてもよく、または、モータM2およびM3の筐体の内部空間は、熱伝達を高め、ロボットアーム112におけるガスの存在をなくすためにポッティングされてもよい。あるいは、M2およびM3のステータとM2/M3制御モジュール148は、複合ユニットにパッケージ化されてもよく、これは、筐体に(例えば、溶接、真空シール、または他の任意の適切な方法を用いて)密閉されてもよい。筐体の内部空間は、再び、空気、ガスの別の混合物、または単一のガスで満たされてもよく、またはポッティングされてもよい。同様の代替的な構成において、モータM2およびM3は、別々の制御モジュールによって制御されてもよく、これにより、各ステータおよび対応する制御モジュールが、上記に概説した方法で結合ユニットにパッケージ化されることが可能である。別の代替案として、モータM2及びM3は、その全体が真空環境内にあってもよい。
【0078】
別の例として、図2Bを参照すると、上腕118の内部空間111は、真空環境から密閉され、空気、別の混合ガス、または単一のガス、例えば、窒素で満たされてもよい。図示されるように、上腕118の内部空間111は、さらに、下端で密封されてもよい駆動シャフト140の中に延び、電気機械部品を都合よく収容し、(真空とは対照的に)適切なガス環境においてそれらの接続を可能にする密封キャビティ(図2Bでハッチングされた)を形成してもよい。一例として、密閉されたキャビティは、M2/M3制御モジュール、回転式電力カップリングモジュール(PCM)の一部、及び光通信モジュール(OCM)の一部を収容することができる。密閉されたキャビティの内部空間111は、モータM2及びM3のステータを収容してもよく、この場合、モータM2及びM3のステータとロータとの間の円筒形の障壁115は、上腕118の内部空間111を外部の真空環境から分離するために利用され得る。あるいは、モータM2及びM3のステータは、真空環境内に配置されてもよく、電気フィードスルーは、密閉されたキャビティ内に配置されたM2/M3制御モジュールと接続するために利用されてもよい。
【0079】
図2Aおよび図2Bの両方の例において、制御モジュール144、146、148の各々は、例えば、少なくとも1つのそれぞれのプロセッサおよび例えばソフトウェア上の命令のプログラムを記憶する少なくとも1つのそれぞれのメモリから構成されてもよい。別の例示的な実施形態では、制御モジュール144、146、148のうちの1つ以上は、サーボモータコントローラから構成されてもよい。
【0080】
例示的なロボット110の駆動ユニット114は、スピンドルアセンブリ136を駆動ユニット114の静止部分と電気的に接続するように構成され得るサービスループ151を備えてもよい。サービスループ151は、電力の伝送(PWR)や、信号伝送又は通信(COMM)のためだけでなく、電気的接地の目的のために使用されてもよい。適用可能であれば、サービスループ151はまた、スピンドルアセンブリ136との間で液体冷却剤を流すために使用されてもよい。
【0081】
例示的なロボット110はまた、スピンドルアセンブリ136から上腕118に非接触で電力を伝達するように構成された電力カップリング(PCMと表記)、例えば誘導式電力カップリング150を採用してもよい。この電力カップリングは回転式であってもよい。例示的な電力カップリングは、米国特許出願公開第2016/0229296号、2018/0105044号、及び2018/0105045号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。誘導電力カップリング150の好適な例示的構成の簡略化された断面図が、図4Dに図解的に描かれている。誘導電力カップリング150(または他の任意のPCM)は、制御モジュール148(M2/M3)に電力を供給し、ロボットアーム112内の位置エンコーダおよび他のセンサなどの他のアクティブデバイスに直接または間接的に電力を供給するために利用されてもよい。
【0082】
誘導電力カップリング150の静止側のACソースや誘導電力カップリング150の移動側のフィルタ付き整流器などのような、誘導電力カップリング150に関連するエレクトロニクスは、例えばプリント回路基板などの個別のモジュールの形態であってよい。あるいは、当該エレクトロニクスは電力カップリングに統合されてもよく、又は当該エレクトロニクスは、M1制御モジュールおよびM2/M3制御モジュールなどの他の電子アセンブリに統合されてもよい。
【0083】
例示的なロボット110は、光通信リンク160をさらに備えてもよい。この特定の例では、光通信リンク160は、2つの光通信モジュール(OCMとも表記される)を含んでもよく、一方はスピンドルアセンブリ136のハウジングに対して動かず、他方は上腕118と共に回転する。光通信リンク160の好適な例示的構成の簡略化された断面図が、図4Eに図解的に描かれている。光通信リンク160の2つの部分は、ロボット110の回転関節のベアリングを利用してアライメントを維持してもよく、または、様々な静的および動的負荷条件下でロボット110の構造が変形したとしても光通信リンク160の2つのモジュールの高度な位置合わせを維持するために、追加のベアリングを光通信リンク160に統合することができる。光通信リンク160は、スピンドルアセンブリ136と上腕118との間の非接触データ転送を可能としてもよい。一例として、光通信リンク160は、制御システムの通信ネットワークに組み込まれてもよく、制御モジュール148(M2/M3)との間の双方向のデータ転送を可能としてもよい。
【0084】
図3Aを参照すると、モータM2およびM3ならびにM2/M3制御モジュール148は、上腕118に放熱するようにされてもよい。この構成において、モータM2及びM3並びにM2/M3制御モジュール148によって生成された熱は、上腕118に伝わり、駆動シャフト140に伝搬し、スピンドルアセンブリ136のネック135に放射され、スピンドルアセンブリ136のハウジングに伝搬してもよい。スピンドルアセンブリ136のハウジングは、例えば、強制的な空気流によって冷却されてもよい。熱伝搬経路(HEAT FLOW)は、図3Aにおいて矢印で描かれている。
【0085】
あるいは、スピンドルアセンブリ136のネック135の温度を下げ、上腕118を駆動する駆動シャフト140とスピンドルアセンブリ136のネック135との間により効果的な熱伝達を達成するために、図3Bに図解的に示されるように、スピンドルアセンブリ136及び/又はスピンドルアセンブリ136のネック135は液体冷却されてもよい。例えば、スピンドルアセンブリ136のハウジング(ハウジング129)は、ハウジング129の壁を通って延びる冷却チャネル137と共に、駆動ユニット114のフレーム(フレーム127)内に配置されてもよい。一例として、液体冷却システムは、水などの液体が外部ソースからロボット110に供給される開ループ構成であってよい。別の例として、液体冷却システムは、水などの液体がロボット110の内部で循環される閉ループ構成であってもよい。閉ループ冷却システムは、冷却システムを通して液体を強制的に供給するように構成されたポンプ139を含んでもよい。ファン143を有する又は有しないラジエーター141は、液体から熱を抽出するために利用されてもよい。あるいは、液体の温度を下げるために、冷蔵装置145が採用されてもよい。冷却システムが閉ループ構成の場合、ポンプ139、ラジエーター141、ファン143、および冷蔵ユニット145のいずれかまたはすべてが、冷却システムのライン、例えばロボット110の内部に存在してもよい。
【0086】
図3Cを参照すると、スピンドルアセンブリ136の液体冷却の代替として、特に、ロボット110の駆動ユニット114の周囲の周囲温度が上昇したときにスピンドルアセンブリ136からのより効果的な熱除去を達成するために、149のように液体冷却剤をフレーム127に送り込むことによってロボット110の駆動ユニット114のフレーム127が液体冷却されても良い。冷却チャネル137は、フレーム127を貫通して延びていてもよい。図3Cに示されるように、スピンドルアセンブリ136及び駆動ユニット114のフレーム127は、例えば、フレーム127の内壁とスピンドルアセンブリ136のハウジング129の外壁との間に延びるフィン147などの交互配置された特徴部を備え、ロボット110の駆動ユニット114のフレームに対するスピンドルアセンブリ136の垂直運動を可能にしながら熱伝達に利用できる有効領域を増大させるよう構成されてもよい。ここでも、液体冷却システムは、例えば、水などの液体が外部ソースからロボット110に供給される開ループ構成であってもよい。別の例として、液体冷却システムは、水などの液体がロボット110の内部で循環する閉ループ構成のものであってよい。閉ループ冷却システムは、冷却システムを通して液体を強制的に供給するように構成されたポンプを含んでもよい。ファン付きまたはファンなしのラジエーターが、液体から熱を取り出すために利用されてもよい。あるいは、液体の温度を下げるために、冷蔵ユニットが採用されてもよい。
【0087】
図4A及び4Bを参照すると、上腕118を駆動する駆動シャフト140とスピンドルアセンブリ136のネック135との間の熱伝達は、図4Aに示されるように、ネック135の外側表面131に別の円筒形表面領域を導入することによって、及び/又は図4Bに示されるように、駆動シャフト140の内側表面133に別の円筒形表面領域を導入することによって、増強されてもよい。ここでも、熱伝達経路は、図4A及び図4Bにおいて矢印(HEAT FLOW)によって描かれている。あるいは、上腕118からスピンドルアセンブリ136のハウジングへの熱伝達のために利用可能な有効面をさらに増加させるために、スピンドルアセンブリ136のハウジングと上腕118に交互のパターンで接続された複数の交互配置された円筒形及び/又は平面形構造が採用されてもよい。
【0088】
図4Cを参照すると、ロボットアーム112を通る熱伝達は、1つまたは複数のヒートパイプ117の使用によって改善され得る。ヒートパイプは、熱伝導性と相転移の原理を組み合わせて、2つの熱伝導性界面間で熱を伝達する熱伝達デバイスである。ヒートパイプ117は、一端に高温界面121、他端に低温界面123を有する密閉管状の筐体、ウィック構造、及び作動流体から構成されてもよい。ヒートパイプ117の動作原理は、以下のように説明することができる。高温界面121において、液体状態の作動流体が熱伝導性の高温界面に接触し、高温界面121から熱を吸収して蒸気に変化する。この蒸気はヒートパイプ117に沿って低温界面123に移動し、そこで凝縮して液体状態に戻り、潜熱を放出する。このプロセスにより、ヒートパイプ117の高温側と低温側の界面間の実効的な熱伝導率が高くなる。
【0089】
1つ又は複数のヒートパイプ117は、上腕118の肘領域でモータM2及びM3によって生成された熱を上腕118の肩領域に伝達し(ここで、熱は、例えば、スピンドルアセンブリ136のネック135への放射を介して上腕118から除去されてよい)、二つの領域間の有効熱抵抗を有効に低減し、二つの領域間の有効熱伝導率を改善するように構成されてもよい。
【0090】
図4Dは、ロボット110の誘導電力カップリング150の好適な構成例を示す図である。誘導電力カップリング150は、一次コイル155を有する一次コア153と、二次コイル159を有する二次コア157とを備え、一次コア153と二次コア157は回転軸を中心に配置されている。電源161は、1次コイル155に交流(AC)を入力し、2次コイル159を経て整流フィルタ163に入力する。整流フィルタ163からは、直流(DC)が出力される。なお、二次側コア157、二次側コイル159、および整流フィルタ163は、一体型モジュールとして配置されてもよい。
【0091】
図4Eは、ロボット110の光通信リンク160の好適な構成例を簡略化して示す断面図である。光通信リンク160は、回転軸を中心に配置された第1光通信モジュール165と第2光通信モジュール167とを備える。第1光通信モジュール165は第1密閉型光学素子169を備え、第2光通信モジュール167は第2密閉型光学素子171を備え、第1密閉型光学素子169と第2密閉型光学素子171は真空環境の一部を挟んで互いに向き合うように配設されている。第1光通信モジュール165には第1光ファイバーケーブル173が延び、第2光通信モジュール167からは第2光ファイバーケーブル175が延びている。
【0092】
光通信リンク160は、電気信号を光信号に、またはその逆に変換するオプションのエレクトロニクスを備えてもよい(銅線-ファイバ変換ブロック177およびファイバ-銅線変換ブロック179を参照)。変換エレクトロニクス(銅線-ファイバ変換ブロック177およびファイバ-銅線変換ブロック179)は、例えばプリント回路基板などの別個のモジュールの形態であってもよい。あるいは、変換エレクトロニクスは、第1の光通信モジュール165及び第2の光通信モジュール167に統合されてもよく、あるいは、変換エレクトロニクスは、図2A及び図2Bの実施例に示すM1制御モジュール及びM2/M3制御モジュール等の他の電子アセンブリに統合されてもよい。
【0093】
光通信リンク160は、回転式電力カップリングと組み合わせて、統合型回転式カップリングアセンブリ610に都合よく組み入れることができる。誘導電力カップリング及び光通信リンクを含んでもよい統合型回転式カップリング610の例の簡略化された断面図が、図4Fに図解的に描かれている。この特定の例では、統合型回転式カップリング610の電力カップリング構成は、図4Dの例(同様の一次コア153、一次コイル155、二次コア157、及び二次コイル159を有する)に基づいており、統合型回転式カップリングの光リンク構成は、図4Eの例(銅線-ファイバ変換ブロック177及びファイバ-銅線変換ブロック179)に基づいている。
【0094】
図4Fに描かれているように、一体型回転カップリング610は、スピンドル組立体136のハウジングに対して固定されている下部612と、上腕118と共に回転する上部614の2つの部分により特徴付けられる。一体型回転カップリング610の2つの部分は、ロボット110の回転カップリングのベアリングを利用してアライメントを維持してもよく、または、様々な静的および動的負荷条件下でロボット110の構造が変形したとしても、光通信リンクの高度な位置合わせを維持するために、一体型回転カップリング610に追加のベアリングを利用してもよい。
【0095】
図5を参照すると、代替的に、無線周波数通信システム190が光通信リンク160の代わりに利用されてもよい(例えば、図2A及び図2Bのロボットにおいて)。図5の例に図式的に示すように、無線周波数通信システム190は、第1の無線周波数通信モジュール191(RFM191と表記)及び第2の無線周波数通信モジュール193(RFM193と表記)を備えてもよく、一方は固定され他方は上腕118と共に回転する。RFM191,193は、図5に示すように、別個の装置であってもよいし、制御システムの他の構成要素に統合されていてもよい。
【0096】
図6を参照すると、別の代替案として、通信信号は、第1の電力/通信モジュール195と第2の電力/通信モジュール197とからなる電力カップリングを介してルーティングされてもよい。誘導原理に基づく電力カップリングモジュール構成の場合、電力カップリングモジュール構成は、電力及びデータ伝送のために同じセットのコイルを採用してもよく、又はデータ伝送のために追加のコイルのセットが使用されてもよい。あるいは、データ伝送用のコイルは、別の装置にパッケージされてもよい。
【0097】
図7を参照すると、電力(PWR)及び通信信号(COMM)は、マルチチャンネル電気フィードスルー174を使用して大気環境から真空環境へルーティングされてもよい。真空対応サービスループ176は、スピンドルアセンブリ136のハウジングに対する上腕118の相対的な回転を可能にするために採用されてもよい。例えば、真空対応サービスループ176は、電力導体及び通信信号導体の両方を含むことができる単一のコイル状ケーブルの形態で実装されてもよい。
【0098】
別の例として、真空対応サービスループ176は、フレキシブルプリント回路基板を利用してもよい。スピンドルアセンブリ136のハウジングに対する上腕の相対回転を可能にしながら、電力供給及び信号伝送を容易にし得る真空対応サービスループタイプの曲がることが可能な構成の他の例は、米国特許第10,569,430号に見出すことができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
図8Aを参照すると、代替的に、真空対応マルチチャネル電気回転カップリング180が使用されてもよい。電気回転カップリング180は、それぞれが1つ以上の導電性ブラシと接触している1つ以上の導電性リングからなるスリップリング構成、イオン液体などの導電性流体によって湿潤したスリップリング構成、及び無接触容量性カップリングなどの様々な物理原理及びそれらの組み合わせに従って動作してもよい。一例として、スリップリングは直流電源と電気グランドに使用され、非接触型容量性カップリングは通信信号に利用されることがある。
【0100】
静電容量式回転カップリングの一例の簡略化した断面図が、図8Bの181において図式的に提供されている。円筒状の環状構造が回転軸の周りに配置され、当該円筒状の環状構造は、外筒部分183と内筒部分185とを含む。外筒部183の内周面には、第1外輪187が配置され、第1外輪187に対向して内筒部185の外周面には、第1内輪189が配置される。第2の外輪201および第2の内輪203は、同様に、第1の外輪187および第1の内輪189に近接して配置されている。信号は、内輪と外輪を経由して供給される。
【0101】
他の例が図8Cの205で描かれており、上部ディスク部分207と下部ディスク部分209が回転軸の周りに配置されている。上部ディスク部分207は上部リング211、213を含み、下部ディスク部分209は下部リング215、217を含む。信号は、上部リングおよび下部リングを介して供給される。
【0102】
図9を参照すると、上腕118の内部空間または上腕118の内部空間の一部は、空気、別の気体の混合物、または窒素などの単一の気体で密封して充填されてもよい。モータM2及びM3のステータとロータとの間に隔離バリア240が存在してもよい。この場合、ステータは、上腕118の密閉された内部空間の一部であってよく、一方、ロータは、真空環境において隔離障壁240の反対側に位置していてもよい。あるいは、モータM2及びM3は、その全体が真空環境内に配置されてもよい。上記の図2から図8Cに関して説明した電力供給、通信、および冷却のための構成は、図9の例示的な実施形態において利用されてもよい(図7および図8Aから図8Cの電力および通信構成は、電力および通信信号が上腕118の密封空間に入り得るように追加の電気フィードスルーを必要とする場合がある)。
【0103】
図10を参照すると、通信及び冷却装置の1つの例示的な実施形態が図式的に示されている。この例示的な実施形態では、フィードスルー250が、外部大気環境と真空環境との間でスピンドルアセンブリ136のハウジングに取り付けられてもよく、別のフィードスルー252が、上腕118の密閉内部空間と真空環境との間で上腕118に取り付けられてもよく、サービスループ254が、二つのフィードスルー250、252の接続に利用されてもよい。フィードスルー250、252及びサービスループ254は、スピンドルアセンブリ136と上腕118との間で電力(PWR)及び通信信号(COMM)を伝送するように構成されてもよい。フィードスルー250にはガスフィード256が供給され、上腕118の内部空間にガス(GAS)が供給される。ガス取出し口258は、フィードスルー250からガスを受け取って上腕118の内部空間の外に排出する。ガス(例えば、空気、ガスの別の混合物、又は窒素のような単一のガス)は、上腕118の内部の構成要素及び/又は上腕118に取り付けられた構成要素から熱を除去するために使用されてもよい。ガスの例示的な流れは、矢印(GAS FLOW)で示されている。
【0104】
図11Aを参照すると、代替的に、図10の例示的な実施形態におけるフィードスルー250の間のサービスループは、多媒体回転式カップリング260によって置換されてもよい。この例示的な実施形態において、回転式カップリング260は、電力(PWR)や通信信号(COMM)などの電気信号に加えてガス(GAS)を通してもよい。ガスは例えば、第1のチャネル262を介して(上腕118に)入り、第2のチャネル264を介して(上腕118から)出て行く、
【0105】
図11Bに図式的に示すように、別の代替案として、真空対応サービスループ270を使用して、上腕118の密閉部分の内部空間または制御モジュール148などの上腕118内の構成要素を駆動ユニット114の内部空間と直接接続してもよい。
【0106】
例えば、図11C(a)及び図11C(b)に図式的に描かれているように、サービスループ270は、チューブ272の両端にシール276を有するフランジ274などの取り付け及びシール機能を有するコイルスプリング形状に形成されたフラットチューブ272と、チューブ272の内側を通って配線されたリボンケーブルなどのフラットケーブル278とから構成されてもよい。フランジ274は、チューブ272の一端において上腕118の密封部分又は上腕118内の部品に接続され、チューブ272の他端においてスピンドルアセンブリ136のハウジングに接続されてもよい。
【0107】
あるいは、図11D(a)及び11D(b)に示されるように、図11C(a)及び11C(b)のフラットチューブ272に代えて、例えば円形断面のチューブ280の列が利用されてもよい。チューブ280の列は、フランジ284及びシール286を含んでもよい。チューブ280の各々は、ワイヤ、ケーブル、及び/又はホースのための通路を提供してもよく、又は流体(気体又は液体)を直接通すために用いられてもよい。あるいは、図11D(b)に示すように、チューブ280は、チューブ280の十分な屈曲を可能にする螺旋形状又は任意の他の適切な形状に形成されてもよい。
【0108】
取り付け点での曲げ荷重を制限するために、例示的なサービスループ270は、図11Eに図解的に示されるように、ベローズ124上のフランジ292または他の表面と1つまたは複数の旋回ジョイント290を介して各端部で接続されてもよい。
【0109】
図11C(a)、11C(b)、11D(a)、及び11D(b)の例では、ワイヤ、ケーブル、又はホースを含むことができるチューブ272,280は、チューブ272,280の内壁に対するワイヤ、ケーブル、又はホースの摩擦を防止するために、発泡体、同様の弾性材料、又は他の任意の適切な材料で充填されてもよい。
【0110】
真空対応サービスループの別の例が、図11Fに300で図式的に示されている。サービスループ300は、一連のベローズ302と、ベローズ302に接続された回動支持体304と、実質的に剛性の半円形の支持体308に取り付けられた1つ以上のケーブル306及び/又は1つ以上のホースとから構成されてもよい。サービスループ300は、シール311を有するフランジなどの取り付け及び密閉構造をさらに備えてもよい。この構造は、サービスループ300の一端において上腕118の密閉部分又は上腕118内の部品に接続され、サービスループ300の他端においてスピンドル組立体136のハウジングに接続され得る。
【0111】
圧力に依存した力またはトルクを引き起こす可能性のあるサービスループ300の内部と外部の真空環境との間の圧力差の影響を均衡させるために、反対方向に作用するように構成された2つの真空対応サービスループ300が採用される場合がある。
【0112】
図12を参照すると、別の例示的な実施形態が図式的に示されており、ここでは、上腕118(またはその延長部または上腕118に接続されたシャフト)とスピンドルアセンブリ136のハウジングとの間に、強流動性シール、リップシール、または任意の他の適切なシールなどのダイナミックシール320が使用されてもよい。図示されるように、上腕118の内部空間(又は上腕118の内部空間の一部)は、駆動ユニット114の内部空間に接続されてもよい。この通路は、上腕118への電力及び通信の経路、上腕118へのガスの供給、及び上腕118からのガスの排出のために利用されてもよい。上腕118とスピンドルアセンブリ136のハウジングとの間の相対回転を可能にするために、サービスループ322が利用されてもよい。(真空環境の外側に都合よく配置されている。)図11Aから図11Fの例と同様に、図12の例示的な実施形態におけるガスは、上腕118の内部及び/又は上腕118に取り付けられたコンポーネントを冷却するために使用されてもよい。例示的なガスの流れは、図12において矢印で示されている。
【0113】
あるいは、図12の例示的な実施形態におけるサービスループ322は、図13の例に図式的に示されるように、多媒体回転式カップリング330によって置き換えられてもよい。ここでも、例示的なガスフローが矢印で示されている。
【0114】
上記の例示的な実施形態では、上腕シャフト118及びモータM1のロータ(及びいくつかの実施形態ではモータM1のステータも)の軸受は、真空環境に曝される可能性がある。これは、図14及び図15Aに示されるように、ダイナミックシール320を上腕シャフトの上部軸受の上方に移動させることによって対処することができる。これらの例では、上腕シャフトのベアリング及びモータM1は、大気環境にある可能性がある。
【0115】
図14の例示的な実施形態は、上腕118とスピンドルアセンブリ136のネック135(スピンドルアセンブリ136のハウジングの一部であってもよい)との間に、強磁性体シール、リップシール、または任意の他の適切なシールなどのダイナミックシール320を採用している。サービスループ(例えば、176、254、270、300、322)が、上腕118とスピンドルアセンブリ136のハウジングとの相対回転を可能にするために利用され得る。あるいは、図15Aの例に図式的に描かれているように、サービスループ(例えば176、254、270、300、322)は、多媒体回転式カップリング(例えば260、330)に置き換えられてもよい。
【0116】
あるいは、回転カップリングとサービスループを組み合わせて利用してもよい。例えば、ガスを供給するために回転カップリング(例えば260、330)を使用し、電力および通信信号のためにサービスループ(例えば176、254、270、300、322)を使用することができる。
【0117】
別の代替案として、実質的に固定されたガス供給管332が、上腕118にガスを供給するために利用されてもよい。ガス供給管332は、図15Bの実施例に図解的に示されているように、スピンドルアセンブリ136のハウジングに対して固定されていてもよく(この例ではガス供給管332がサービスループ151の一部を形成している)、又は図15Cの実施例に図解的に示されているように、駆動ユニット114のベースに対して固定されていてもよい。図15B及び15Cの実施例では、上腕シャフトの上部軸受の上にダイナミックシール320が示されているが、ダイナミックシール320は、図12及び13の実施例のそれのように、任意の適切な位置にあってもよい。
【0118】
図10から図15Dの例示的な図は、ロボット110の外部からのガス供給(例えば、ガス供給管332)を使用することを提案している。代替的に、ロボット110は、内部閉ループガス循環システムを備えることを特徴としてもよい。又は、外部大気環境からの空気がロボット110を強制的に通過し、外部環境に戻って排気される開ループ空冷構成を利用してもよい。一例として、電気ファンをこの目的のために採用してもよい。
【0119】
上記の選択肢を包含する一般化された図が図15Dに提供されている。外部ガス供給の場合、GAS IN(ガス入口)336は、外部からのガス供給部を表わしてもよい。内部閉ループガス循環システムの場合、GAS IN 336は、ロボット110を通して循環されるガスを再利用してもよい。そして、オープンループの空冷構成の場合、GAS IN 336は、外部環境から空気を取り込んでもよい。
【0120】
代替的に、上腕118(又は上腕118に関連する構成要素)のために、液体冷却が採用されてもよい。この場合、液体が上腕118に流され、図12から図15Dの実施例においてガス循環のために使用され得るのと実質的に同じ構成を介して上腕118から戻ってもよい。一例として、液体冷却システムは、水などの液体が外部ソースからロボット110に供給される開ループ構成であってよい。別の例として、液体冷却システムは、水などの液体がロボット110の内部で循環される閉ループ構成であってもよい。閉ループ冷却システムは、冷却システムを通して液体を強制的に供給するように構成されたポンプを含んでもよい。ファン付きまたはファンなしのラジエーターが、液体から熱を取り出すために利用されてもよい。あるいは、液体の温度を下げるために、冷蔵ユニットが採用されてもよい。
【0121】
図12図14、及び15Bから15Dに示すような例示的な実施形態は、二段サービスループ構成を示している。この構成では、サービスループ151が、スピンドルアセンブリ136と駆動ユニット114の固定基部との間の並進運動を容易にするために使用されてもよく、(第2の)サービスループ(例えば176、254、270、300、322)が、上腕118とスピンドルアセンブリ136との間の回転運動を容易にするために利用され得る。あるいは、上腕118と駆動ユニット114の固定基部との間の並進運動及び回転運動の両方を可能にするように構成された単一のサービスループが使用されてもよい。一例として、このサービスループは、1つ以上のコイル状ケーブル、1つ以上のコイル状ホース、又は1つ又は複数のコイル状ケーブル及び1つ又は複数のホースの組み合わせ(例えば、1つ以上のバンドル)の形態であってよい。
【0122】
例えばマルチリンクシリアル機構を利用し得る、より複雑なロボットアーム構成では、ロボットアーム112内のアクチュエータ(モータ)から駆動ユニット114までの熱経路は追加の可動ジョイントを含み得る。本明細書に記載される熱管理スキームは、図15Eに図解的に示されるように、そのようなロボットアーム構成に拡張され得る。
【0123】
図15Eは、3リンクロボットアーム212を有するロボット210の簡略化された断面図の一実施形態である。これまでの例示的なロボットと同様に、ロボット210は、プロセッサ、メモリ、およびソフトウェアを有する適切なコントローラを組み込んでもよい。ロボット210は、ベローズ224、(ネック235を有する)スピンドルアセンブリ236、及び他の例示的な実施形態と同様のZ軸機構238を組み込んでいる。クーラントの出入りは、サービスループ251を通して管理されてもよい。図示されているように、ロボットアーム212は、直列に配置され、回転ジョイントを介して互いに結合され得る3つのリンクを含んでもよい。次の用語は、図15Eのロボットアームを説明するために使用される。例示的なロボットアーム212の第1リンクは、リンク1または上腕218と呼ばれ、第2リンクは、リンク2または上前腕220と呼ばれ、第4リンクは、リンク3または下前腕221と呼ばれる。スピンドルアセンブリ236と上腕218との間の回転ジョイントは肩関節340と呼ばれ、上腕218と上前腕220との間の回転ジョイントは肘関節342と呼ばれ、上前腕220と下前腕221との間の回転ジョイントは手首関節344と呼ばれる。一例は、2020年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/031,883号に示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
図15Eに示されるように、上腕218は、駆動ユニット214のスピンドルアセンブリ236に収容されてもよいモータM1によって作動させられてもよい。上前腕220は、ロボットアーム212の肘関節342において上腕218に収容されてもよいモータM2によって作動されてもよい。下前腕221は、ロボットアーム212の手首関節344において上前腕220に収容され得るモータM3によって作動させられてもよい。モータM1、M2、およびM3は、それぞれ、スピンドルモータ、肘モータ、および手首モータと便宜的に呼ばれることがある。下前腕221は、ペイロードを運ぶように構成されてもよい。一例として、それは、半導体ウェハを摘まんだり運んだり置いたりするのに適したエンドエフェクタ222を備えてもよい。
【0125】
ロボットアーム212の回転関節の1つ以上は、対応する回転関節によって接続されたリンクの間で熱を伝達するように構成された1つ以上のサーマルカップリング構成によって補完されることができる。図15Eの特定の例では、肩関節340は、肩回転サーマルカップリング構成231によって補完され、肘関節342は、肘回転サーマルカップリング構成233によって補完される。
【0126】
図15F(a)に示すように、回転関節、例えば、図15Eの例示的なロボットアーム212の肘関節342で利用され得る例示的な肘回転サーマルカップリング構成233は、2つの部分から構成されてもよい。第1の部分346aは、対応する回転関節(肘関節342)と同軸に整列した1つまたは複数の実質的に円筒形の表面348aを備え、実質的に円筒形の表面348aが肘回転サーマルカップリング構成233の第2の部分346b上の対向する実質的に円筒形の表面348bに面するように配置されている。対向する円筒面は、肘回転サーマルカップリング構成233の対向する実質的な円筒面348a、348bの間のギャップを横切って放射を介して熱を伝達するように構成されてもよい。放射機構は、真空環境中に残留ガスが存在する場合、肘回転サーマルカップリング構成233の対向する実質的に円筒形の表面348a、348bの間の環境を介した対流/伝導によって補完されてもよい。肩関節及び手首関節も同様に構成されてもよい。
【0127】
有効面積を増加させ、例示的な肘回転サーマルカップリング構成233によって占められる体積を最小にするために、実質的に円筒形である構造のアレイが、肘回転サーマルカップリング構成233の2つの部分の各々に設けられてもよい。これら2つのアレイはインターリーブ方式で配置されてもよい。例えば、部分346a、346bの各々から延びる交互配置されたフィンとして配置されてもよい。
【0128】
代替的に、図15F(b)の例に描かれているように、肘回転サーマルカップリング構成233の2つの部分は、それらの間のギャップを横切る非接触熱伝達のために構成された対向するディスク形状の構造を提供してもよい。別の代替案として、円錐形及び球形に限定されない回転サーマルカップリングの有効な構造の任意の他の適切な形状、及びそれらの組み合わせが利用されてもよい。
【0129】
肘回転サーマルカップリング構成233の有効表面は、その熱放射率を向上させるように処理されてもよい。例えば、肘回転サーマルカップリング構成233の2つの部分は、アルミニウムで作られてもよく、有効面は陽極酸化されてもよい。
【0130】
回転サーマルカップリング構成233を通る熱伝達は、図15F(c)の例に描かれているように、回転サーマルカップリング構成233の2つの部分の間の隙間に熱伝達媒体349を導入することによって増加されてもよい。熱伝達媒体349は、回転サーマルカップリング構成233の2つの部分の有効表面に接触し、それらの間(例えば、フィンの間)の空間を完全に又は部分的に満たして、伝導、対流、又はそれらの組み合わせの手段によって流体を介して熱伝達を可能にする流体であってもよい。
【0131】
適切な熱伝達媒体349の一例は、適切な蒸気圧を有するイオン液体であり、シールを必要とせずに機能することを可能にする。熱伝達媒体349の別の例は、フェロフルード(ferro fluid)又は磁性流体などの浮遊粒子を有する液体の溶液であり、粒子は、蒸気圧及び/又は熱伝導率を改善するように選択され得る。
【0132】
回転サーマルカップリング構成233は、熱伝達媒体349を周囲の真空環境から分離するシールを組み込んでもよい。シールは、真空環境の圧力よりも高い蒸気圧を有する熱伝達媒体349及び/又は相変化を通過する熱伝達媒体349の使用を可能にすることができる。
【0133】
任意の例示的な回転サーマルカップリング構成がロボットアーム(例えば、ロボットアーム212)の2つのリンク間の熱伝達を可能とするために、例示的な回転サーマルカップリング構成の一部分が、1つのリンク(例えば図15Eの上腕218)に取り付けられてもよく、また、例示的な回転サーマルカップリングの他の部分が、2つのリンクを接続する回転式関節と実質的に同軸の構成で、隣接するリンク(例えば図15Eにおける上前腕220)に取り付けられてもよい(例えば、図15Eの肘回転サーマルカップリング構成233)。あるいは、回転サーマルカップリングの特徴は、ロボットアームのリンクに直接組み込まれてもよい。
【0134】
図15Eに描かれているように、肩関節340における肩回転サーマルカップリング構成231は、本明細書に記載されているのと実質的に同じ構成に従う。肩関節340における肩回転サーマルカップリング構成231は、ロボットアーム212の上腕218から駆動ユニット214のスピンドルアセンブリ236のネックおよびハウジングに熱を伝達するように構成されてもよく、その結果、例えば、図15Eの例で描かれているように液体または他の冷却剤によって冷却されてもよい。
【0135】
ロボットアーム212のモータから熱を除去することに加えて、図15Eのロボット210に関して説明した熱管理方式は、ロボットアーム212によって運ばれるペイロードおよびロボットアーム212の周囲などの他のソースからロボットアーム212が受け取る熱を管理するために、都合よく拡張および利用されうる。これにより、ロボットアーム212の構成要素の温度の過度の上昇に起因する、熱膨張の問題、ベアリングの寿命の低下、早期潤滑剤分解、アクティブ構成要素(例えばロボットアーム212に統合され得るモータ制御モジュール、センサ、その他のエレクトロニクス)の熱損傷などの、様々な課題が防止され得る。
【0136】
高温のペイロードや、ペイロードが摘出されたり載置されたりする環境から発せられる可能性のある熱の流れを管理するために、図15Gに示されるように、ヒートチョーク350と別の回転サーマルカップリングが導入される場合がある。
【0137】
図15Gに図式的に示すように、リンク3または下前腕221は、エンドエフェクタ222によって運ばれるペイロードに隣接する第1の部分221aと、手首関節344に隣接する第2の部分221bと、第1の部分221aと第2の部分221bの間のヒートチョーク350とを含んでいてもよい。ヒートチョーク350は、第1の部分221aから第2の部分221bへの熱伝達を制限するように構成されてもよい。ヒートチョーク350を介して伝達される熱の量は、その熱抵抗によって制御されてもよく、これは、第1の部分221aの温度と第2の部分221bの温度との間の所望のバランスを達成するために他の設計パラメータと共に選択されてもよい。ヒートチョーク350は、例えば、セラミックのような熱伝導率の低い材料のセクションの形態で実装されてもよい。
【0138】
さらに、図15Gに描かれているように、ロボットアーム212の手首関節344を補完するために、回転サーマルカップリング(例えば、231、233)が含まれてもよい。回転サーマルカップリング部231、233は、第2部分221bからリンク2(上前腕220)に熱を伝達し、リンク3の第2部分221bの温度を低下させるように構成されてもよい。回転サーマルカップリング部231、233の特性は、ヒートチョーク350の熱抵抗及び他の設計パラメータと共に、リンク3の第2の部分221bの温度と上前腕220(リンク2)の温度との間の所望のバランスを達成するように選択されてもよい。
【0139】
図15Gの例示的なロボット210の簡略化された熱モデルが、図15Hのフロー図またがブロック図において360で示されている。図15Hにおいて以下の命名法が使用されている。
P01 周囲の環境からリンク1に伝わる熱量(W)
P02 周辺環境からリンク2へ伝わる熱量(W)
P03 ペイロード及び周辺環境からリンク 3 に伝わる熱量(W)
P1 リンク1からスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
P21 リンク2からリンク1に伝わる熱量(W)
P32 リンク 3 からリンク 2に伝わる熱量 (W)
PME 肘モータからリンク1へ伝わる熱量(W)
PM スピンドルモータからスピンドルハウジングに伝わる熱量(W)
PM 手首モータからリンク2へ伝わる熱量(W)
PSC スピンドルハウジングから冷却媒体へ伝わる熱量(W)
T01 リンク1周囲温度(℃)
T02 リンク2周囲温度(℃)
T1 リンク1(上腕)の温度(℃)
T2 リンク2(前腕)の温度(℃)
T31 リンク 3 の第1部分(ペイロードとヒートチョーク 350 の間)の温度(℃)
T32 リンク3の第2部分(ヒートチョーク350と手首関節344の間)の温度(℃)
TC スピンドルハウジングの冷却媒体入口温度(℃)
TME 肘モータの温度(℃)
TM スピンドルモータの温度(℃)
TMW 手首モータ温度(℃)
TS スピンドルハウジングの温度(℃)
【0140】
図15Hに示すように、スピンドルハウジング(またはスピンドルアセンブリ236のハウジング)、リンク1(上腕218)、リンク2(上前腕220)、リンク3の第1部分221a(ペイロードとヒートチョーク350との間)、およびリンク3の第2部分221b(ヒートチョーク350と手首関節344との間)などのロボット210の主要構成要素は、簡略化された熱モデル360において、離散集中熱質量(discrete lumped thermal mass)により表現されている。
【0141】
例示的なロボット210が高温のペイロードを扱い、高温環境で動作し得ることを考慮すると、ペイロードから、およびペイロードが摘出されたり載置されたりしる環境から、リンク3を定義する下前腕221に熱が伝達され得ることが想定される(これは図15Hの「熱源」ブロックによって表されている)。図15Hに示されるように、熱は、それらの周囲からリンク1およびリンク2(上腕218および上前腕220)に伝達され得ることも仮定される。熱伝達のメカニズムは、周囲からの放射だけでなく、真空環境に残留ガスが存在する場合には、対流/伝導を含んでもよい。図15Gの例と同様に、図15Hのブロック図は、スピンドルアセンブリ236のハウジングを冷却することによってロボット210から熱が除去されてもよいことを反映している。
【0142】
図15Hの熱モデル360は、11個の熱伝導方程式(heat transfer equation)と4個のエネルギー保存方程式(energy conservation equation)に変換することができ、ロボットの熱管理方式を分析するために使用することができる。例えば、熱源及び環境条件が与えられると、与えられたロボット設計について、TS、T1、T2、T31、T32、TMS、TME、TMW、及びP01、P02、P03、P32、P21、P1S、PSCを含むロボットアーム212コンポーネントの温度が得られてもよい。
【0143】
二軸手首関節366を有するロボットアーム312を有する例示的なロボット310への上記熱モデル360の熱管理方式の拡張が、図15Iに図式的に示されている。以前の例示的な実施形態と同様に、ロボットアーム312は、上部リンク318(リンク1)、リンク2、リンク3A、リンク3B、ならびにエンドエフェクタ323およびヒートチョーク350を有する。ロボットアーム312は、ベローズ324、スピンドルアセンブリ336、及びZ軸駆動機構338を有する駆動ユニット314から延びる。電力(PWR)、通信(COMM)、及び冷却水ラインは、サービスループ351を通過してもよい。
【0144】
図15Iはまた、ロボットアーム312を通る電気経路が追加の可動関節を含み得る、より複雑なロボットアーム構成に、先に説明された電力および通信の構成がどのように拡張され得るかを示している。先に説明した電力および通信の構成と整合して、肩関節340における第1の電気回転結合370および肘関節342における第2の電気回転結合372は、例えば、(例えばサービスループ151と同様の)サービスループ、電気スリップリング、誘導結合、容量結合、光通信リンク、無線周波数通信システム、およびこれらおよび他の適切な構成の任意の組合せを表してもよい。例えば、電気スリップリングまたは誘導結合を電力伝送に利用し、容量性結合または光通信リンクを通信信号に利用してもよい。
【0145】
図15J(a)から図15J(c)に図式的に描かれているように、一例として、無制限の回転範囲を有する非接触ソリューションを提供し得る図4Dの誘導電力カップリング150のコンセプトを、図15Iの例示的ロボットアームの回転式カップリング370、372に都合よく拡張することが可能である。好適な誘導電力カップリング構成の第1の例示的な構成が図15J(a)に示され、好適な誘導電力カップリング構成の第2の例示的な構成が図15J(b)に示され、好適な誘導電力カップリング構成の第4の例示的構成が図15J(c)に示される。図15J(a)は、肩関節電力カップリングが単一の二次巻線を備えること特徴としてもよい。この二次巻線は、肘関節電力カップリングの一次巻線と同様に、整流器エレクトロニクスに給電してもよい例示的な構成を示す。肩関節電力カップリングの静止側のAC電源や肩関節電力カップリングの移動側のフィルタ付き整流器など、誘導型電力カップリングのそれぞれに関連するエレクトロニクスは、例えばプリント回路基板など、別々のモジュールの形態であってもよい。あるいは、上記エレクトロニクスは、図15J(a)に示されるように、誘導電力カップリングに統合されてもよく、あるいは、図15J(b)に示されるように、隣接する制御モジュールなどの他の電子アセンブリに統合されてもよい。図15J(c)は、肩関節電力カップリングが2つの単一の二次巻線を備えてもよい別の例の構成を示している。この例では、一方は整流器エレクトロニクスに給電し、他方は肘関節電力カップリングの一次巻線に給電する。これら3つの例すべてにおいて、誘導電力カップリングの各々は、図4Fに関して先に説明したように誘導電力カップリングと光通信とを組み合わせてもよい統合回転式カップリングの一部であってもよい。
【0146】
図15K(a)は、分散型アクチュエータを有する上記例のロボットに適した熱管理、電力分配、および通信スキームの別の例を示す。図15K(a)の特定の例では、ロボットアーム312の肩部におけるリンク1の内部空間は、追加のサーマルカップリング構成237のために利用され得る。図15K(a)に示されるように、ロボットアーム312の肩部におけるリンク1の内部空間はまた、駆動ユニット314の上部および/またはベローズ124の一部を収容するために、380で示されるように凹んでいてもよく、または、他の方法で利用されてもよい。したがってロボット310の全高を減少させることが可能である。これは、図15K(a)による分散型アクチュエータ132を有する例示的なロボット310が、集中型アクチュエータを有する従来のロボット(図1A及び1B参照)とは異なり、肩プーリーを使用しないので可能なことである。図15K(b)に示すように、ロボット310は、2つ以上のエンドエフェクタ323を有するロボットアーム312を含んでもよく、例えば、図示のように3つまたは4つのエンドエフェクタ323を備えてもよい。各エンドエフェクタ323はモータまたはモータのバンクにより駆動される。他の例示的な実施形態と同様に、モータ又はモータのバンクは、1つ又は複数のプロセッサ及びメモリを有するコントローラを用いて制御されてもよい。
【0147】
例示的な熱管理、電力分配、および通信スキームは、本書中の様々な場所で詳細に説明された選択された要素、特に図2Bに見られるようなリンクの密閉された内部空間、図3Bに見られるような開ループ液体冷却スピンドルおよびネックアセンブリ、図15F(a)に見られるような、すべての関節における回転熱カップリング、図4Fに見られるような、肩および肘関節における統合された回転式カップリング、図15J(b)に見られるような、ロボットアームを通る電力分配、および、本明細書で説明した制御システムアーキテクチャ(例えばプロセッサ、メモリ、ソフトウェアを組み込むコントローラ)と整合する制御システムアーキテクチャ、の組み合わせおよび拡張として見ることができる。
【0148】
磁界の封じ込めに関して、ロボットアーム中に分散配置される電気モータなどのアクチュエータは、その動作に磁界を利用することができる。しかし、用途によっては、例えば、ロボットアームの近傍で行われているプロセスに干渉する恐れがあるため、磁界の影響に敏感な場合がある。この場合、ロボットアームを介して分布するアクチュエータからの潜在的な磁界の漏れを最小限に抑えることが有利になる場合がある。一例として、図15L(a)及び15L(b)に示されるように、磁気シールドが利用され得る。
【0149】
図15L(a)において、磁気シールドのない従来の構成の永久磁石型ブラシレス直流モータの一例の断面が660で示されている。ロータ664は、ステータ667に対して相対的に回転する。ロータ664は、ヨーク670および磁石671を含み、ステータ667は、コア670、巻線672、および歯674を含む。図15L(b)は、本発明による磁気遮蔽構成682の例を有する永久磁石式ブラシレス直流モータ680の断面を示す図である。
【0150】
図15L(b)に示されるように、モータ680のロータ684はステータ687に対して回転する。またモータ680のロータ684は、モータ680のロータ684の磁石686からの磁場を封じ込めるように構成された1つ以上の磁気シールド682を備えてもよい。この特定の例では、磁気シールド682は、2つのリング状の構造から構成されてもよい。これらは軟磁性材料で作られてもよく、ロータ684の上下に位置し、モータ680のロータ684の磁石686の外面によって画定される仮想円筒面まで(又はこれを超えて)半径方向に延びていてもよい。ここでもステータ689は、コア690と、巻線691と、歯692とを含む。
【0151】
図15L(b)の例示的な実施形態では、磁気シールド682は、磁気シールド682とモータ680のロータ684の磁石686との間に隙間がある状態で、モータ680のロータ684の磁石686に覆い被さるように示されている。あるいは、磁気シールド682とモータ680のロータ684の磁石686とは、実質的に隙間なく接触していてもよい。磁気シールド682は、モータ680のロータ684のヨーク685と一体的に設計されてもよいし、モータ680のロータ684に取り付けられた別個の部品として設計されてもよい。
【0152】
ここで制御システムアーキテクチャに目を向けると、例えば図15Aに図解的に示されているように、ロボットアーム112内のアクチュエータ132は、ロボットアーム112内のアクチュエータ132に近接して便利に配置された制御モジュール148によって制御されてもよい。ロボット駆動装置114のスピンドルアセンブリ136に配置されたモータM1は、スピンドルアセンブリ136に取り付けられた制御モジュール146によって制御されてもよい。ZモータMzは、ロボット駆動ユニット214内に固定されている制御モジュール144によって制御されてもよい。制御モジュール144、146、148は、例えば、通信ネットワークを介して、ロボット駆動ユニット114にも配置され得るマスターコントローラ142によって調整されてもよい。マスターコントローラ142は、例えば、少なくとも1つのプロセッサと、各プロセッサに、プログラム命令を格納する少なくとも1つのメモリとを含んでいてもよい。別の例示的な実施形態では、マスターコントローラ142は、サーボモータコントローラから構成されてもよい。マスターコントローラ142及びZモータ制御モジュール144は、別々の装置であってもよいし、単一の統合装置に結合されてもよい。あるいは、図16に図式的に描かれているように、マスターコントローラ142は、ロボット駆動装置114の外部に存在してもよい。
【0153】
それぞれ図17および図18Aに図式的に示すように、別の例示的な実施形態では、エンコーダ信号およびモータ線が、ロボット駆動装置114の内部またはロボット駆動装置114の外部に位置する集中コントローラ390にもたらされ得る。図中のMTR/ENCが、モータ線及びエンコーダ信号を表している。あるいは、図15Aから図18Aの構成のうち、任意の組み合わせが用いられてもよい。また、上記の例示的な制御システムアーキテクチャが、一例の電力、通信、及び冷却の構成に関して図15Aから図18Aに描かれているが、これらは先に説明した他の電力、通信、及び冷却の構成に適用可能である。
【0154】
図18Bの例示的な実施形態に示されるように、ロボットアーム512(およびベローズ524、駆動装置514、スピンドルアセンブリ536、Z軸機構538、およびサービスループ551、以前の例示的な実施形態と同様)を有するロボット500に、追加の能動コンポーネント400が組み込まれてもよい。図18Bのロボット500において、能動部品400は、(電気的またはその他の)電力および/または(電気的またはその他の)通信信号を利用し得る任意のデバイスであると理解される。例示的な能動部品は、アクチュエータ、グリッパ、ヒータ、センサ(近接、位置、温度、圧力)、およびカメラを含んでもよい。
【0155】
一例として、能動部品400は、1つ以上のエンドエフェクタ522上のペイロードの存在を検出するため、および/またはエンドエフェクタ522上のペイロードの位置を決定するために利用されてもよいセンサを含んでもよい。別の例として、能動部品400は、センサおよびカメラを含んでもよく、これらは、個々に、および/または連動して、周辺環境における特徴に関してエンドエフェクタ(1つまたは複数)522の位置を決定するために利用されてもよい。そのような能動部品400からの情報は、ワークステーションの位置を(自動的にまたは手動で)教示するため、および/またはペイロード位置の精度を向上させるために使用されてもよい。
【0156】
図18Bの特定の例を考慮すると、リンク2 406に位置する制御モジュール404は、(ロボットと共に使用するための材料処理コンポーネントなどのような)能動部品400と相互作用するために都合よく利用され得る。能動部品400は、下部アームまたはリンク3A 410および下部アームまたはリンク3B 412に関連する。これらのアーム又はリンクはそれぞれ、ペイロードを受容するように構成されたエンドエフェクタ522を有する図18Bに示されるように、下部アームまたはリンク3A 410とリンク2 406との間の回転ジョイントにおける回転カップリング470は、例えば、1つ又は複数の電気接続または光信号を介して、下部アームまたはリンク3A 410に関連する能動部品400と、リンク2 406内の制御モジュール404との間のやり取りを容易にするために使用されてもよい。同様に、下部アームまたはリンク3B 412とリンク2 406との間の回転ジョイントにおける回転カップリング416は、例えば、1つ又は複数の電気接続または光信号を介して、下部アームまたはリンク3B 412に関連する能動部品400と、リンク2 406内の制御モジュール404との間のやり取りを容易にするために使用されてもよい。この構成では、下部アームまたはリンク3A 410および下部アームまたはリンク3B 412に関連する能動部品400は、同じ通信チャネルを用いて制御またはその他のやり取りを行う。例えば、リンク2 406の制御モジュール404と通信するために利用され得る通信ネットワークと同じ通信チャネルを用いる。従って、ロボットアーム512を通る配線の複雑さを大幅に低減させることができる。先に説明した例示的な実施形態と同様に、モータ(またはその任意の部分)は、リンク内に密閉されてもよく、熱、電力、および通信は、密閉構造を通して作用してもよい。
【0157】
一例として、下部アーム又はリンク3A 410及び下部アーム又はリンク3B 412に関連する能動部品400は、静電チャックなどのグリッパー、又はウェハ処理又は本明細書に記載される例示的ロボットが使用され得る他の処理における使用に適した任意の他の材料処理器具又はデバイスを含んでよく、第2リンク406における制御モジュール404はグリッパーを操作するのに必要なエレクトロニクスを含んでもよい。この構成では、グリッパは、リンク2 406の制御モジュールと通信するために利用され得る通信ネットワークなどと同じ通信チャネルを介して都合よく制御され得る。
【0158】
代替的に、下部アームまたはリンク3A 410および下部アームまたはリンク3B 412に関連する能動部品400は、通信ネットワークに直接接続されてもよいし、リンク2 406の制御モジュールと別のチャネルを介して相互作用してもよい別のエレクトロニクスを使用して制御またはその他の方法で相互作用されてもよい。
【0159】
熱膨張補償に関して、ロボット500は、ロボットアーム512のリンクのようなその構造部品の温度を測定するように構成された温度センサ501を備えてもよい。一例として、温度センサ501は、ロボットアーム512のリンクに取り付けられた個々のデバイスの形態で実装されてもよいし、ロボットアーム512のリンクに熱的に接続された制御モジュール(例えば、第2リンク406の制御モジュール404および第1リンク411の制御モジュール409)などのエレクトロニクスに統合されてもよい。温度センサ501からの情報は、ロボット500の1つ又は複数のエンドエフェクタ522の位置に対するロボット500の構造部品の温度膨張の影響を補償するために、制御システム(例えば、プロセッサおよびメモリを有するコントローラ502であって、マスターコントローラ142に結合されても、統合されても、通信してもよい)により利用されることができる。
【0160】
一例として、ロボット500の構造部品の温度に関係なくロボット500がペイロードを正確に摘まんだり置いたりすることができるように、ロボット500の1つ又は複数のエンドエフェクタ522の位置に対するロボット500の構造部品の温度膨張の影響を補償するために制御システムによって以下のステップが使用されてもよい(方法A)。
A1.その寸法がロボット500のエンドエフェクタ(単数または複数)522の実際の位置に影響を与える、ロボット500の構造部品の温度を測定する。一例として、構造部品は、ロボットアーム512のリンクであってもよい。
A2.測定された温度を利用して、ロボット500の運動学的モデルのパラメータを推定する。ロボット500の運動学的モデルは、ロボット500の関節座標をロボット500のエンドエフェクタ座標に変換する(順運動学)、及びその逆(逆運動学)に利用される数学的表現(方程式)又はその集合であってもよい。ロボット500の運動学的モデルのパラメータは、例えば、ロボットアーム512のリンクの寸法、例えば、ロボットアーム512のリンクの関節間長さなどであってもよい。ロボット500の運動学的モデルの推定されたパラメータは、運動学的モデルの調整されたパラメータと称されてもよい。
A3.運動学モデルの調整されたパラメータを使用して、逆運動学を使用して、ロボット500の目的地エンドエフェクタ座標(移動の所望の終点におけるロボット500のエンドエフェクタ522の座標)に対応するロボット500の関節座標を計算する。ロボット500の計算された関節座標は、ロボット500の調整された目的地関節座標と呼ばれ得る。
A4.ロボット500の調整された目的地関節座標に基づき、運動学的モデルの公称パラメータを利用して、順運動学を使用してロボット500の対応するエンドエフェクタ座標を計算する。ロボット500の計算されたエンドエフェクタ座標は、ロボット500の調整された目的地エンドエフェクタ座標と呼ばれ得る。
A5.エンドエフェクタ座標空間において、ロボット500の現在の命令されたエンドエフェクタ座標から、ロボット500の調整された目的地エンドエフェクタ座標までの軌道を生成する。結果は、ロボット500の現在の命令されたエンドエフェクタ座標とロボット500の調整された目的地エンドエフェクタ座標との間の、エンドエフェクタ座標空間における命令された中間点の集合であってよい。
A6.エンドエフェクタ座標空間における各命令された中間点について、運動学モデルの公称パラメータを利用して、逆運動学を使用して、ロボット500の対応する関節座標を計算する。結果として得られるロボット500の関節座標は、ロボット500の命令された関節座標と呼ばれ得る。
A7.ロボット500の命令された関節座標を利用して、ロボット500の実際の関節座標がロボット500の命令された関節座標に忠実に追従するように、ロボット500のモータを制御する。
【0161】
上記のステップにおいて、関節座標は、例えば、ロボットアーム512のリンクを駆動するアクチュエータ(モータ)の角度位置であってもよく、エンドエフェクタ座標は、ロボットエンドエフェクタ上の基準点のデカルト座標であってもよい。別の例として、エンドエフェクタ座標は、ロボットエンドエフェクタ上の基準点のデカルト座標およびロボットエンドエフェクタの方向であってもよい。
【0162】
上記ステップA6は、ロボット500の移動の開始前に実行されてもよく、またはロボット500の移動の実行中に定期的に、例えば、ステップA7と実質的に並行して実行されてもよく、あるいは、これら2つの方式の組み合わせが使用されてもよい。例えば、ステップA5は、ロボット500の移動に先立って、エンドエフェクタ座標空間における命令される中間点の粗いセットを生成し、より細かい命令される中間点は、移動の実行中に計算されてもよい。この場合、ステップA6は、ロボットの移動の実行中に、命令される細かい中間点の各々に適用されてもよい。
【0163】
上記方法の目的は、移動の終点におけるロボット500のエンドエフェクタの位置を補正することであり、これにより、ロボット500は、その構造部品の温度に関係なくペイロードを正確に摘まんだり配置したりすることができる場合がある。しかしながら、制御システムが命令された関節座標を計算するために使用する運動学的パラメータの公称値が、ロボット500の構造部品の実際の寸法を反映していない場合があるので、終点間のロボット500のエンドエフェクタ522の実際の運動経路は、所望の経路に正確に従わない場合がある。例えば、ロボット500のエンドエフェクタ522の移動の終点までの所望の経路が直線である場合、エンドエフェクタ522の実際の経路は、移動の始点と終点との間の所望の直線経路から逸脱し得る。
【0164】
あるいは、端点間の正確な運動が望まれる場合、以下のステップを制御システムが使用して、運動中のロボット500の1つ又は複数のエンドエフェクタ522の位置についてのロボット500の構造部品の温度膨張の影響を補償してもよい(方法B)。
B1.その寸法がロボット500の1つ又は複数のエンドエフェクタ522の実際の位置に影響を与える、ロボット500の構造部品の温度を測定する。
B2.測定された温度を利用して、ロボット500の運動学的モデルのパラメータを推定する。ロボット500の運動学的モデルの推定されたパラメータは、運動学的モデルの調整されたパラメータと称されてもよい。
B3.ロボット500の現在の命令された関節座標に基づいて、運動学的モデルの調整されたパラメータを利用して、ロボット500の対応するエンドエフェクタ座標を計算するために順運動学を使用する。ロボット500の計算されたエンドエフェクタ座標は、ロボット500の調整された開始エンドエフェクタ座標と称され得る。
B4.エンドエフェクタ座標空間において、ロボットの調整された開始エンドエフェクタ座標からロボットの目的地エンドエフェクタ座標(移動の所望の終了点におけるロボットのエンドエフェクタの座標)までの軌道を生成する。その結果は、エンドエフェクタ座標空間における、調整されたロボットの開始エンドエフェクタ座標とロボットの目的エンドエフェクタ座標との間の、命令された中間点の集合とすることができる。
B5.エンドエフェクタ座標空間における各命令された中間点について、運動学モデルの調整されたパラメータを利用して、逆運動学を使用して、ロボット500の対応する関節座標を計算する。得られたロボット500の関節座標は、ロボット500の命令された関節座標と呼ばれ得る。
B6.ロボット500の命令された関節座標を利用して、ロボット500の実際の関節座標がロボット500の命令された関節座標に忠実に追従するように、ロボット500のモータを制御する。
【0165】
上記ステップB5は、ロボット500の移動の開始前に実行されてもく、またはロボット500の移動の実行中に定期的に、例えば、ステップB6と実質的に並行して実行されてもよい。あるいは、これら2つの方式の組み合わせが使用されてもよい。例えば、ステップB4は、ロボット500の移動に先立って、エンドエフェクタ座標空間における命令される中間点の粗いセットを生成し、より細かい命令される中間点は、移動の実行中に計算されてもよい。この場合、ステップB5は、ロボットの移動の実行中に、命令される細かい中間点の各々に適用されてもよい。
【0166】
上記の方法において、上記に概説したステップを実行する前に、目的地エンドエフェクタ座標(終点)は、ロボット500が動作するシステムの熱膨張を反映するように調整されてもよい。例えば、目的地エンドエフェクタ座標は、搬送チャンバ及びプロセスモジュールの熱膨張による搬送チャンバ内のロボット駆動ユニット514と半導体ウェハ処理システムのプロセスモジュール内のステーションとの間の距離の変化を反映するように調整されてもよい。
【0167】
上記の熱膨張補償方法は、例えば、図2Aまたは図2Bの例示的なロボットで説明することができる。この例示的なロボットの運動学的モデルは、ロボットの上腕(リンク1)および一方の前腕(リンク2)を描いた図18Cのグラフから導き出すことができる。図では、以下の命名法が使用されている。
L1 : リンク1(上腕)の肩関節から肘関節までの長さ(m)
L2 : リンク2(前腕)の肘関節からロボットエンドエフェクタの基準点までの長さ(m)
X : ロボットエンドエフェクタの基準点のx座標(m)
Y : ロボットエンドエフェクタの基準点のy座標(m)
θ1: 固定座標系に対するリンク1(上腕)の角度(rad)
θ2: リンク1(上腕)に対するリンク2(前腕)の角度(rad)
【0168】
図18Cの図を考慮すると、図2Aまたは図2Bの例示的なロボットの順運動学は、以下の式で記述することができる。
X = L1 cos θ1 + L2 cos (θ1+ θ2) (1)
Y = L1 sin θ1 + L2 sin (θ1+ θ2) (2)
【0169】
同様に、やはり図18Cを参照すると、図2Aまたは図2Bの例示的なロボットの逆運動学の方程式は、以下のように定式化することができる。
θ2 = acos [(X2 + Y2 - L12 - L22)/(2 L1 L2)] (3)
θ1 = atan (Y / X) - atan [L2 sin θ2 / (L1 + L2 cos θ2)] (4)
【0170】
先に確立した用語に従い、リンク1(上腕)の長さL1、リンク2(前腕)の長さL2を、例示のロボットの運動学的モデルのパラメータと呼ぶことにする。
【0171】
運動学モデルの上記パラメータの実際の値は、その公称値とリンク1(上腕)とリンク2(前腕)の温度測定値から、以下の式により推定することができる。
L1adj = L1nom CTE1 (T1act - Tnom) (5)
L2adj = L2nom CTE2 (T2act - Tnom) (6)
ここで、
CTE1 : リンク1(上腕)の熱膨張係数(1/K)
CTE2 : リンク2(前腕)の熱膨張係数 (1/K)
L1adj : リンク1(上腕)の調整された長さ (m)
L1nom : 温度Tnomにおけるリンク1(上腕)の公称長さ(K)
L2adj : リンク2(前腕)の調整された長さ (m)
L2nom : 温度Tnomにおけるリンク2(前腕)の公称長さ(K)
T1act : リンク1(上腕)の測定温度(K)
T2act : リンク2(前腕)の測定温度(K)
Tnom : ロボットアームの公称温度(K)
【0172】
上記の式を利用して、熱膨張補正方法Aは、図2Aまたは図2Bの例のロボットに以下のように適用することができる。
A1.リンク1(上腕)の温度T1actとリンク2(前腕)の温度(前腕)T2actを測定する。
A2.式(5)、(6)を用いて、リンク1(上腕)の調整長L1adj、リンク2(前腕)の調整長L2adjを算出する。
A3.逆運動学式(3)、(4)に基づいて、ロボットの調整された目的地関節座標θ1dstadj、θ2dstadjを算出する。
θ2dstadj = acos [(Xdst2 + Ydst2 - L1adj2 - L2adj2)/(2 L1adj L2adj)] (7)
θ1dstadj = atan (Ydst / Xdst) - atan [L2adj sin θ2dstadj / (L1adj + L2adj cos θ2dstadj)] (8)
ここで、
Xdst: 移動終了点におけるロボットエンドエフェクタ上の基準点のx座標(m)
Ydst: 移動終了点におけるロボットエンドエフェクタ上の基準点のy座標(m)
θ1dstadj: 所望の移動終了点におけるリンク1(上腕)の調整角度(rad)
θ2dstadj: 所望の移動終了点におけるリンク2(前腕)の調整角度(rad)
A4.順運動方程式(1)と(2)に基づいて、調整後の目的地エンドエフェクタ座標XdstadjとYdsadjを決定する。
Xdstadj = L1nom cos θ1dstadj + L2nom cos (θ1dstadj+ θ2dstadj) (9)
Ydstadj = L1nom sin θ1dstadj + L2nom sin (θ1dstadj+ θ2dstadj) (10)
ここで、
Xdstadj: 移動終了点におけるロボットエンドエフェクタ上の基準点の調整されたx座標(m)
Ydstadj: 移動終了点におけるロボットエンドエフェクタ上の基準点の調整されたy座標(m)
A5.エンドエフェクタ座標空間において、ロボットの現在の命令されたエンドエフェクタ座標Xcmd0及びYcmd0から、ロボットの調整された目的地エンドエフェクタ座標Ydstadj及びYdstadjまでの軌跡を生成する。結果は、命令された中間点Xcdmi、Ycmdiの集合(i=1、2、...、N(Nは軌道点の数))とすることができる。
A6.各命令中間点Xcmdi、Ycmdiについて、逆運動学式(3)、(4)に基づき、対応する命令する関節座標θ1cmdi、θ2cmdiを算出する。
θ2cmdi = acos [(Xcmdi2 + Ycmdi2 - L1nom2 - L2nom2)/(2 L1nom L2nom)] (11)
θ1cmdi = atan (Ycmdi / Xcmdi) - atan [L2nom sin θ2cmdi / (L1nom + L2nom cos θ2cmdi)] (12)
ここで、
θ1cmdi: 軌道点iにおけるリンク1(上腕)の調整角度(rad)
θ2cmdi: 軌道点iにおけるリンク2(前腕)の調整角度(rad)
A7.ロボットの命令関節座標θ1cmdi、θ2cmdiを利用して、ロボットのモータ、例えばモータM1、モータM2を制御し、ロボットの実際の関節座標がロボットの命令関節座標に忠実に追従するようにする。
【0173】
同様に、式(1)から式(6)を利用して、熱膨張補正方法Bを図2Aまたは図2Bの例のロボットに適用すると、以下のようになる。
B1.リンク1(上腕)の温度T1actとリンク2(前腕)の温度(前腕)T2actを測定する。
B2.式(5)、(6)を用いて、リンク1(上腕)の調整長L1adj、リンク2(前腕)の調整長L2adjを算出する。
B3.ロボットの現在の命令関節座標θ1cmd0とθ2cmd0に基づいて、運動学的モデルの調整パラメータL1adjとL2adjを利用して、順運動学式(1)と(2)を適応して、調整されたロボットの開始エンドエフェクタ座標Xcm0とYcmd0を算出する。
Xcmd0 = L1adj cos θ1cmd0 + L2adj cos (θ1cmd0+ θ2cmd0) (13)
Ycmd0 = L1adj sin θ1cmd0 + L2adj sin (θ1cmd0+ θ2cmd0) (14)
B4.エンドエフェクタ座標空間において、調整されたロボットの開始エンドエフェクタ座標Xcm0、Ycmd0からロボットの目的地エンドエフェクタ座標Xdst、Ydstまでの軌跡を生成する。結果は、エンドエフェクタ座標空間における、命令される中間点、XcmdiおよびYcmdi(i=1、2、...、N(Nは軌道点の数))の集合であってよい。
B5.各命令中間点Xcmdi、Ycmdiについて、逆運動学式(3)、(4)の運動学モデルの調整パラメータL1adj、L2adjを利用し、対応するロボットの命令関節座標θ1cmdi、θ2cmdiを算出する。
θ2cmdi = acos [(Xcmdi2 + Ycmdi2 - L1adj2 - L2adj2)/(2 L1adj L2adj)] (15)
θ1cmdi = atan (Ycmdi / Xcmdi) - atan [L2adj sin θ2cmdi / (L1adj + L2adj cos θ2cmdi)] (16)
【0174】
B6.ロボットの命令関節座標θ1cmdi、θ2cmdiを利用して、ロボットのモータ、例えばモータM1、モータM2を制御し、ロボットの実際の関節座標がロボットの命令関節座標に忠実に追従するようにする。
【0175】
本発明による材料ハンドリング真空環境ロボットの様々な例示的実施形態に関する例示的ロボット構成が、図19Aから図28C図19B、19C、および27Aを含む)の簡略化した断面図によって表されている。これらの実施形態は、先に説明した例示的な電力、通信、および冷却のための構成と制御システムアーキテクチャの様々な組み合わせを都合よく取り入れることができる。図19Aでは、アクチュエータ(モータM1)は駆動ユニット114に配置され、アクチュエータ132(モータM2/M3)は、それぞれ、上腕118と前腕120の間の肘関節において、ロボットアーム112内に搭載される。図19Bでは、アクチュエータ(モータM1)が駆動ユニット114から取り外され、肩関節の上腕118に配置され、アクチュエータ132(モータM2/M3)はやはり、それぞれ上腕118と前腕120の間の肘関節において、ロボットアーム112内に搭載される。図28Aから図28Cは、第1アーム112a及び第2アーム112bを有するロボット110を示す図である。
【0176】
図24から図27Aの例示的な実施形態のように、ロボットアーム112内のモータの一部とロボットアーム112の第1リンクとの間に可動ジョイントが存在する場合、先に説明した例示的な電力、通信、および冷却の構成は、これらのジョイントに都合よく拡張することができる。図24から図27Aのロボットアーム112の全てにおいて、少なくとも肩関節800が、駆動装置114内のモータとロボットアーム112内の変位したモータとの間に配置される。図19Cの例示的な実施形態では、全てのモータM1、M2、M3のステータは、ロボットアーム112の第1リンク(上腕118)に取り付けられている。(モータM1のステータがスピンドルアセンブリ136のハウジングに直接または間接的に接続されて示されている他の例とは異なる)。これにより、ロボットアーム112の上腕118と駆動ユニット114の固定基部との間の並進運動及び回転運動の両方を可能とするように構成され得る単一のサービスループを使用することができる。
【0177】
図19B、22、および23の例示的な図は、インサイドアウトモータ、すなわち、そのステータの外側にロータ700を有するモータ(外部ロータを有するモータ)Mの例示的な実施形態を示す。これは、利用可能なスペースを有効に利用するために使用されてもよい。しかしながら、内部ロータを有するラジアルモータ、外部ロータを有するラジアルモータ、アキシャルモータ、及びそれらの組み合わせを含む任意の適切なモータ構成が、実施形態のいずれにおいても利用され得る。図20は、ロボットアーム112が、駆動ユニット114に2つのモータM1/M2を有し、肘関節に2つのモータM3/M4を有する構成を示す図である。図21は、ロボットアーム112が、駆動ユニット114に1つのモータM1を有し、肘関節に3つのモータM2/M3/M4を有する構成を示す図である。
【0178】
図15E、15G、15I、15K(a)及び(b)、18B、並びに20から27Dの実施例に適合するロボットの動作が、ロボットが収縮位置と種々の伸長位置にあることを示す図29A及び29Bに図解的に描かれている。
【0179】
図27Bおよび図27Cは、4つのエンドエフェクタ922を有するロボットアーム112を備える駆動ユニット914を有するロボット900の例示的な実施形態を示すものである。図27Bに示されるように、少なくともモータM1、M2、M3、およびM4は、プロセッサおよびメモリを有する適切なコントローラを用いて制御されてよく、その一部または全部が通信システムを介してリンクされてもよい。図27Bは、ロボット900の側面図を簡略化した断面図の形で示し、図27Cは、ロボット900の上面図を図式的に描写したものである。図27Bおよび図27Cに示されるように、4つのエンドエフェクタ922は、アーム912上の位置が反対である2つのエンドエフェクタの2組として構成されてもよい。組の各々における、反対に位置する2つのエンドエフェクタは、実質的に互いに動かない方法で互いに接続され得る。例えば、位置が反対のエンドエフェクタAおよびCは、実質的に剛体的な方法で互いに接続されてもよく、位置が反対のエンドエフェクタBおよびDは、実質的に剛体的な方法で互いに接続されてもよい。エンドエフェクタの2つの対、例えば、対A-Cおよび対B-Dは、互いに独立して回転するように構成されてもよい。エンドエフェクタの2つの対は、2つの対がはさみのような動作で動くように、ロボットアーム912の手首上の回動ポイントを形成する中点925において、どちらかに結合されてもよい。
【0180】
図27Bおよび図27Cのロボットの動作は、図27Dの(a)から(h)に図解的に示されている。図(a)は、エンドエフェクタAとBが重なった状態にあり、伸長する準備が整った収縮位置にあるロボット900を示す図である。図(b)は、エンドエフェクタAとBが重なった状態で伸長したロボット900を示す。図(c)は、エンドエフェクタCとDが重なっており、伸長可能な状態で収縮位置にあるロボット900を示す図である。図(d)は、エンドエフェクタCおよびDが重なった状態で伸展した状態のロボット900を示す図である。図(e)は、エンドエフェクタAとBが扇状に広げられて横に並んだ状態で伸長する準備ができている、収縮位置にあるロボット900を示す。図(f)は、エンドエフェクタAとBが横に並んだ状態で伸長したロボット900を示す。図(f)は、エンドエフェクタCとDが扇状に広げられて横に並んだ状態で伸長する準備が整った、収縮位置にあるロボット900を示す図である。図(g)は、エンドエフェクタCとDが横に並んだ状態で伸長したロボット900を描いている。
【0181】
一例として、図27Cに示される動作を利用して、ロボット900は、ロードロックなどの積層ステーションと、それとは横に並んだステーション(例えばプロセスモジュールなどのステーション)との間で材料を搬送してもよい。例えば、ロボット900は、エンドエフェクタA及びBを利用して、一対の積層されたステーション(積層ロードロック)から新鮮なウェハの組をピックアップし、エンドエフェクタC及びDを利用して、横並びに配された一対のステーション(ツインプロセスモジュール)から処理済みウェハの組をピックアップしてもよい。サイド・バイ・サイド・ステーション(ツイン・プロセス・モジュール)の加工済みウェハ対を、直ちにエンドエフェクタA、B上の新鮮なウェハと交換し、エンドエフェクタC、D上の加工済みウェハ対を一対のスタックステーションに配置する(スタック・ロード・ロック)。
【0182】
図28Aから図28Cは、例えば、左リンクと右リンクの2つのリンクから構成されてもよい例示的なアームを有する例示的なロボットを図解的に示している。2つのリンケージの各々は、エンドエフェクタ(または以下に説明するように複数のエンドエフェクタ)を有する第1リンク(上腕とも呼ばれ得る)、第2リンク(前腕)、および第4リンク(手首アセンブリ)から構成されてもよい。2つのリンクの上腕は、互いに剛性的に接続され、ロボットの駆動装置の駆動シャフトに取り付けられてもよい。前腕の各々は、回転ジョイントを介して対応する上腕に結合され、電気モータなどのアクチュエータによって、対応する上腕に対して動かされてもよい。手首アセンブリの各々は、別の回転ジョイントを介して対応する前腕に結合され、ベルト、バンド、またはケーブル駆動などの伝達機構によって半径方向の配向(または半径方向から一定の距離および/または一定の角度だけオフセットした配向)を維持するように拘束されてもよい。
【0183】
図28Aから図28Cの例では、前腕の関節間長さは、上腕の関節間長さより短いことが示されており、これにより、複数の前腕が実質的に同じ垂直空間を共有し、アームの全高を減少させることができる場合がある。この場合、伝達機構は、非円形プーリーを有するベルト、バンド、またはケーブル駆動を利用してもよい。あるいは、前腕の関節間長さは、上腕の関節間長さと同じであってもよい。この場合、各前腕は、互いをクリアするために垂直方向に重ねられ、伝達機構は、円形プーリーを有するベルト、バンド、またはケーブルドライブを利用してもよい。(手首関節で手首アセンブリに接続されるプーリーの有効半径は、肘関節で上腕に接続されるプーリーの有効半径の2倍であってもよい)。別の選択肢として、前腕の関節間長さは、上腕の関節間長さより長くてもよい。
【0184】
図28の例示的なロボットの動作は、例示的なロボットが収縮位置と様々な伸長位置にあることを示す図28Dに図解的に描かれている。
【0185】
上記の例示的な実施形態のほとんどは独立して作動する、2つのエンドエフェクタを特徴とするが、独立して作動する3つ以上のエンドエフェクタを含む、任意の数のエンドエフェクタが用いられてもよい。独立して作動するエンドエフェクタの数が1つであってもよい。さらに、ロボットアーム912は、複数の剛性的に接続されたエンドエフェクタの1つまたは複数のアセンブリを担持してもよい。一例として、剛性的に接続されたエンドエフェクタのそのようなアセンブリは、単一平面内で横に並んで配置された一対のエンドエフェクタから構成されてもよく、または、実質的に互いの上に重ねられた複数のエンドエフェクタから構成されてもよい。
【0186】
上記の例示的な実施形態の一部として単一のZ軸機構が示されているが、任意の数のZ軸機構が使用されてもよい。Z軸機構を使用しない実施形態が存在してもよい。上記の例示的な実施形態は、ボールねじを経由して回転モータによって作動するZ軸を伴って描かれている。しかし、リンク機構またはリニアモータなどの任意の他の適切な構成が使用されてもよい。またz軸の構成はこれらに限定されない。
【0187】
本書の図に示されているベアリング、ベアリングの構成、およびベアリングの位置は、説明のためだけのものであり、その目的は、個々の部品が一般的に互いに対してどのように制約され得るかを伝えることであることに留意されたい。ベアリング、ベアリングの構成及びベアリングの位置は、任意の適切なものを使用することができる。
【0188】
制御システムの様々な構成要素間の通信手段として通信ネットワークを説明したが、無線ネットワークやポイントツーポイントバスなど、マスターコントローラと制御モジュール間の任意の他の適切な通信手段を利用することができる。
【0189】
ある実施例では、装置は、
駆動部と;
肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続される可動アームと;
前記第2リンクに配置され、前記第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
前記第2リンクに配置され、前記手首部を中心とした前記第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
を備える。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0190】
前記肩部、前記肘部、前記手首部の少なくとも1つはサーマルカップリング構成を備える。
前記サーマルカップリング構成は、第1の円筒状表面を有する第1の部分と、第2の円筒状表面を有すると共に該第2の円筒状表面が前記第1の円筒状表面に面するように位置付けられる第2の部分とを備えてもよい。前記第1の円筒状表面および前記第2の円筒状表面は、前記肩部、前記肘部または前記手首の少なくとも一つの回動ポイントと同軸上に配置されてもよい。前記第1の円筒状表面と前記第2の円筒状表面の間の間隙を横切って熱伝達が作用する。
前記第1の円筒状表面および前記第2の円筒状表面は、前記第1の部分および前記第2の部分からそれぞれ延びる複数のフィンを規定してもよい。
前記装置は、前記第1の円筒状表面と前記第2の円筒状表面との間に熱伝達媒体を備えてもよい。
前記第1リンクは、前記駆動部の上部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。
前記第1リンク、前記第2リンク、前記第4リンク、前記第4リンクの1つ以上は、密封された内部空間を有してもよい。
前記駆動部は、前記可動アームを回転させるように構成される駆動シャフトを有するスピンドルアセンブリを備えてもよい。
前記スピンドルアセンブリは、循環する冷却媒体を受け入れるように構成された1つ以上の冷却チャネルを含んでもよい。
前記装置は、前記駆動部と前記可動アームの前記第1リンクとの間に第1電力カップリング部をさらに備えてもよい。その場合、前記第1電力カップリング部は、前記駆動部上にあり前記駆動部に対して動かないようにされている1次コイルと、前記第1リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える。
前記装置は、前記第1電力カップリングに一体化した光通信リンクをさらに備えてもよい。
前記第1リンクと前記第2リンクとの間に第2電力カップリング部をさらに備えてもよい。その場合、前記第2電力カップリング部は、前記第1リンク上にあり前記第1リンクに対して動かないようにされている1次コイルと、前記第2リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える。
前記第4リンク及び前記第4のリンクはそれぞれ、前記手首部を中心に回動するように構成される一対のエンドエフェクタであって、互いの位置が反対である一対のエンドエフェクタを備えてもよい。
【0191】
別の実施例では、方法は、
駆動部を提供することと;
肩部で前記駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続される可動アームを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記手首部を中心とした前記第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータを提供することと;
を含む。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0192】
前記方法は、前記肩部、前記肘部、または前記手首部の少なくとも1つにサーマルカップリング構成を提供することを含んでもよい。
前記方法は、前記駆動部の上部を収容するべく前記第1リンクに凹部を形成することを含んでもよい。
前記方法は、前記駆動部を冷却することを含んでもよい。
前記冷却することは、外部ソースから前記駆動部を通って冷却媒体を循環させることを含んでもよい。
前記駆動部を冷却することは、前記駆動部及び/又は前記可動アームの内部で冷却媒体を循環させることを含んでもよい。
前記方法は、前記駆動部と前記第1リンクとの間に電力カップリングを提供することを含んでもよい。
前記方法は、前記第1電力カップリングに一体化した光通信リンクを提供することを含んでもよい。
【0193】
別の実施例では、装置は少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備え、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続される第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと、前記手首部で前記第2リンクに接続される第4リンクと有し、前記駆動部に接続されるアームを動かすことと;
前記第2リンクに配置された少なくとも1つの第1のアクチュエータによって、前記第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;
前記第2リンクに配置された少なくとも1つの第2のアクチュエータによって、前記第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;を遂行させるように構成される。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0194】
別の実施例では、装置は、
駆動部と;
第1の制御部を有すると共に前記駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、第2の回転ジョイントで前腕に結合される少なくとも1つの第4リンクとを有する可動アームと;
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品と;
を備える。
前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる。
【0195】
前記装置は、前記第1の回転ジョイントまたは前記第2の回転ジョイントの1つ以上に位置する少なくとも1つのサーマルカップリング構成を更に備えてもよい。
前記第1リンクは、前記駆動部の上部を収容する凹部を備えてもよい。
前記第1リンク、前記第2リンク、前記少なくとも1つの第4リンクの1つ以上は、密封された内部空間を有してもよい。
前記少なくとも1つの第1のアクチュエータまたは前記少なくとも1つの第2のアクチュエータは、それぞれ少なくとも1つの第1リンクまたは前記少なくとも1つ第2のリンク内の真空容器内に配置されもよい。
前記真空容器は、空気、他の混合ガス、または単一のガスで満たされてもよい。
前記装置は、前記駆動部と前記可動アームの前記第1リンクとの間に第1電力カップリング部をさらに備えてもよい。その場合、前記第1電力カップリング部は、前記駆動部上にあり前記駆動部に対して動かないようにされている1次コイルと、前記第1リンク上にあり前記1次コイルに対して回転可能な2次コイルとを備える。
前記能動部品はアクチュエータ、グリッパー、ヒータ、センサのいずれかを備えてもよい。
前記能動部品は温度センサを備えてもよい。
前記温度センサは、プロセッサ及び少なくとも1つのメモリを有する制御装置に組み合わされてもよい。
前記温度センサは、前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上の温度を測定するように構成されてもよい。
前記測定された温度は、前記第1リンク、前記第のリンク、または前記少なくとも1つの第のリンクのうちの1つ以上の温度膨張の影響を補償するために使用されてもよい。
前記少なくとも1つの第4のリンクは、互いの位置が反対である2つのエンドエフェクタの第1の対と、互いの位置が反対である2つのエンドエフェクタの第2の対とを有してもよい。また、前記第1の対の2つのエンドエフェクタも、前記第2の対の2つのエンドエフェクタも、剛的な方法で互いに接続されていてもよい。
【0196】
別の実施例では、方法は、
駆動部を提供することと;
第1の制御部を有すると共に前記駆動部に接続されて該駆動部を中心に回動可能な第1リンクと、第2の制御部を有すると共に第1の回転ジョイントで前記第1リンクに接続される第2リンクと、第2の回転ジョイントで前腕に結合される少なくとも1つの第4リンクとを有する可動アームを提供することと;
前記第1リンクに配置され、前記第1の回転ジョイントを中心とした前記第2リンクの回動を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第1のアクチュエータを提供することと;
前記第2リンクに配置され、前記第2の回転ジョイントを中心とした前記少なくとも1つの第4リンクの回転を生じさせるように構成される、少なくとも1つの第2のアクチュエータを提供することと;
前記少なくとも1つの第4リンクに関連する少なくとも1つの能動部品を提供することと;
を含む。
前記少なくとも1つの能動部品と前記第2のリンクの前記第2の制御部との相互作用を生じさせるために、前記第2の回転ジョイントを介して熱管理、電力分配、または通信のうちの1つまたは複数が行われる。
【0197】
前記能動部品はアクチュエータ、グリッパー、ヒータ、センサのいずれかを備えてもよい。
前記能動部品は少なくとも1つの温度センサを備えてもよい。
前記方法は、プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを有する制御部を提供することをさらに含んでもよい。また該制御部は、前記少なくとも1つの温度センサからの少なくとも1つの入力を受け入れるように構成されてもよい。
前記少なくとも1つの入力は、前記第1リンク、前記第2リンク、または前記少なくとも1つの第4リンクのうちの1つ以上の温度膨張を計算するために使用されてもよい。
前記計算された温度膨張は、前記少なくとも1つの第4リンクの調整された終点位置を決定するために使用されてもよい。
【0198】
別の実施例では、装置は、
駆動部と;
前記駆動部に接続された可動アームと;
を備え、前記可動アームは、肩部において前記駆動部に回動可能に結合される上腕であって、内部に第1のアクチュエータを有する上腕と、前記上腕に回動可能に結合される前腕であって、内部に第2のアクチュエータ及び第4のアクチュエータを有する前腕と、回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第2のアクチュエータによって動かされるように構成される第1の対のエンドエフェクタと、前記回転ジョイントで前記前腕に回動可能に結合され、前記第4のアクチュエータによって動かされるように構成される第2の対のエンドエフェクタと、を備える。
前記第1の対のエンドエフェクタは、前記第2の対のエンドエフェクタとは独立に動くように構成される。
少なくとも前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは制御部によって制御されるように構成され、前記制御部は、前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタに対する熱管理、電力分配、または通信の1つ以上を制御するように構成される。
【0199】
前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタは、前記第1の対のエンドエフェクタ及び前記第2の対のエンドエフェクタの中央部で前記回転ジョイントに回動可能に連結されてもよい。
前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは、プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを有するコントローラによって制御されるように構成されてもよい。その場合
【0200】
別の実施例では、装置は、ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;
を含む。
【0201】
前記少なくとも1つのモータを制御するために前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用することは、前記決定した軌道に沿って、また前記決定した軌道上の前記複数の中間点における前記推定した寸法に基づいて、前記エンドエフェクタを所望の目的地に移動することを含んでもよい。
【0202】
別の実施例では、装置は少なくとも1つのプロセッサと;
コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリと;
を備え、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;を遂行させるように構成される。
【0203】
別の実施例によれば、機械により読み取り可能な不揮発性プログラム記憶装置は、処理を遂行するために前記機械により実行可能な命令のプログラムを有形に具現化し、前記処理は、
ロボットの少なくとも1つの構造部品のそれぞれの少なくとも1つの温度を測定することと;
前記測定された少なくとも1つの温度を使用して、前記少なくとも1つの構造部品の寸法を推定することと;
前記少なくとも1つの構造部品の前記推定した寸法に基づいて、前記ロボットのエンドエフェクタの所望の目的地に対応する関節座標のセットを計算することと;
前記計算した関節座標のセットに基づいて、前記エンドエフェクタの最終目的地を計算することと;
前記エンドエフェクタの前記計算した最終目的地から前記エンドエフェクタの前記計算した所望の目的地までの軌道を決定することと;
前記決定した軌道上の複数の中間点を決定することと;
前記決定した軌道上の前記複数の中間点を使用して、前記エンドエフェクタの動きを生じさせる少なくとも1つのモータを制御することと;
を含む。
【0204】
別の実施例では、装置は、
駆動部と;
前記駆動部に接続される可動アームであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備える可動アームと;
前記第2リンクに配置され、少なくとも1つの第4リンクについて前記手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータと;
を備える。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0205】
別の実施例では、方法は、
駆動部を提供することと;
前記駆動部に接続される可動アームであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備える可動アームを提供することと;
前記第2リンクに配置され、少なくとも1つの第4リンクについて手首部を中心とした回動を生じさせるように構成される第1のアクチュエータを提供することと;
を含む。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0206】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラム命令を格納する少なくとも1つの不揮発性メモリとを備える装置であって、前記コンピュータプログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されると、前記装置に、
駆動部に接続されるアームを動かすことであって、肩部で駆動部に接続される第1リンクと、肘部で前記第1リンクに接続されっる第2リンクと、手首部で前記第2リンクに接続される少なくとも1つの第4リンクとを備えるアームを動かすことと;
第2リンクに配置された少なくとも1つの第1のアクチュエータによって、少なくとも1つの第4リンクを、前記手首部を中心として回動することと;を遂行させるように構成される。
熱管理、電力供給、または通信のうちの1つ以上は前記第2リンクを介して行われる。
【0207】
なお、上述の説明は単なる例であることも理解しなければならない。当業者は種々の変形および修正を考えることができるだろう。例えば、前述した様々な実施形態からの特徴を選択的に組合せて新たな実施形態とすることも可能である。本明細書は、そのような代替案、修正、及び変形をすべて包含することを意図している。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図15H
図15I
図15J(a)】
図15J(b)】
図15J(c)】
図15K(a)】
図15K(b)】
図15L
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図27C
図27D
図28A
図28B
図28C
図28D
図29A
図29B
【国際調査報告】