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特表2023-513231増幅システムを含む、電気エネルギーを生成するために波エネルギーを活用するデバイス
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  • 特表-増幅システムを含む、電気エネルギーを生成するために波エネルギーを活用するデバイス 図1
  • 特表-増幅システムを含む、電気エネルギーを生成するために波エネルギーを活用するデバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】増幅システムを含む、電気エネルギーを生成するために波エネルギーを活用するデバイス
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/16 20060101AFI20230323BHJP
   F03C 2/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
F03B13/16
F03C2/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548192
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 MA2021000001
(87)【国際公開番号】W WO2021246855
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】48240
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522314968
【氏名又は名称】アドバンス サード エイジ リニューアブル エナジー (アタレック)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCE THIRD AGE RENEWABLE ENERGY (ATAREC)
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】ウサマ、ヌール
(72)【発明者】
【氏名】モハメド、タハ、エル、ウアリャチ
【テーマコード(参考)】
3H074
3H084
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB10
3H074BB11
3H074CC03
3H084AA21
3H084AA45
3H084BB30
(57)【要約】
本発明は、油圧エネルギーを介して波エネルギーを電気エネルギーに変換するために波エネルギーを使用するデバイスに関する。このデバイスは、垂直壁を含む海洋構造物上に設置され、かつ、垂直壁上に設置された三重レール横方向移動チャネリング・システムによって案内される、うねりに起因する垂直方向の海水面変動を活用する自由浮きエレメンティング要素と、上下両方の移動方向における機械エネルギーから油圧エネルギーへの変換を可能にするシリンダの油圧システムに浮きエレメンティング要素を接続する支持体と、デバイスの効率を最適化するためのエネルギー増幅システムと、油圧動力プラントと、蓄圧器と、油槽と、油圧エネルギーから電気エネルギーへの変換を可能にする水力発電タービンと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直壁上に設置された三重レール横方向移動チャネリング・システム(2)によって案内される、うねりによる垂直方向の海水面変動を活用する自由浮き要素(1)と、上下両方の移動方向における機械エネルギーから油圧エネルギーへの変換を可能にするシリンダ(5)の油圧システムに前記浮き要素を接続する支持体(3)と、デバイスの効率を最適化するためのエネルギー増幅システム(4)と、油圧動力プラント(6)と、蓄圧器(7)と、油槽(8)と、油圧エネルギーから電気エネルギーへの変換を可能にする水力発電タービン(9)と、を備える、波エネルギーを活用するデバイス。
【請求項2】
前記自由浮き要素(1)が、位置エネルギー(前記うねりの下方向移動中)および運動エネルギー(前記うねりの上方向移動中)の形態で前記うねりのエネルギーを取り込んで垂直方向の並進移動(水位の変動)を直接活用することを可能にする、請求項1に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【請求項3】
自己平衡システム(1-a)が、前記波増幅システム(4)に起因する前記浮き要素の下の海水面の変動の不定の超過圧力に拮抗する重量配分を提供するために、前記浮き要素内のチャンバの充填を調節する弁を使用する、請求項1または2に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【請求項4】
自動バラスティング・システム(1-b)が、前記浮き要素が荒天の際に(バラスティングにより)浸水されることまたは前記荒天の終了後に(排出またはデバラスティングにより)上昇されることを可能にする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の波エネルギーを活用するデバイス。
【請求項5】
ケーソン壁の支持および垂直性を利用する3本のレールを含む前記横方向移動チャネリング・システム(2)が、水平性および上方向/下方向移動の追跡を確実にし、かつ、閉塞を回避するために、水平面において増幅される前記うねりの方向に対して直角の軸上での回転の自由度を可能にする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【請求項6】
前記浮き要素(1)に取り付けられた前記支持体(3)の端部の位置が、前記浮き要素(1)への力の印加の中心に従って即座に変化する、請求項1から5までのいずれか一項に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【請求項7】
その幾何学的形状を介した入射うねりの収束によるエネルギー増幅システム(4)を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【請求項8】
電気エネルギーを作り出すために、垂直壁構造内に予め配置された波増幅システムを活用する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の波エネルギーを活用するデバイス。
【請求項9】
前記シリンダ(5)のシステムが、上方向および下方向の2つの移動方向を活用して、前記機械エネルギーを油圧エネルギーに変換する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の波エネルギーを活用するデバイス。
【請求項10】
ジャッキ(5)に起因する公称力および前記シリンダ(5)によって吸収される公称エネルギーが、前記増幅されるうねりの振幅に従ってサーボ制御される、請求項1から9までのいずれか一項に記載のうねりのエネルギーを活用するデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、エネルギーの生成を可能にする、沿海または港湾保護のための垂直防壁に取り付けられるように設計されたデバイスであり、より正確には、波エネルギーからの電気エネルギー生成の分野である。
【0002】
本発明の分野は、うねりの運動に含まれる、すなわち、海面への風の影響から生まれて場合により非常に長い距離にわたって伝えられる連続的な波からの、波エネルギーの活用である。このエネルギーを活用するための様々なデバイスが存在する。多くのシステムが現在研究されており、そのうちのいくつかは、すでに商業化されている。
【背景技術】
【0003】
波エネルギーを活用してグリーン電力を作り出すことは、世界中で広範囲の研究がなされている分野である。
【0004】
浮きエレメンティング要素に基づく技術の場合、本発明に最も近いものは、以下の間で異なる:
- 継手を有するものであるが、これは、回転から並進への変換を経ることによって取得されるエネルギーを制限するという欠点があり、そのことが、この解決策の性能に不利益をもたらすものであり、本発明者らは、Eco wave powerの名称の下で販売されている解決策WO2013054326A8、または半潜水型プラットホームWO2014162096A1も例にとる。
- 中央ピストンを有するものであるが、これは、海底上でのピストンの固定、および電気ネットワークへの接続に、かなりの投資を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの発明によって解決される問題は、以下の通りである:
- 低い負荷および荒天状況に起因する運用の制限;
- 遠方の沖合での活用を想定するシステムのための、海における電気的接続;
- 海洋環境における繋留、据え付け、および接近性;
- 様々な形態の運動を経験する、あらゆる入射エネルギーの吸収を軽減するデバイスの構成;
- 投資および維持管理にかかる相当な費用。
【0006】
本発明の目的は、以下の通りである:
- 波エネルギーから電気エネルギーへの変換効率を最適化すること;
- 同じ形態の移動(並進)に留まることによりエネルギー変換チェーン(enrgy transformation chain)を最小限に抑えること;
- 投資および運用費用を最小限に抑えること;
- 波の状態に依存するデバイスの動作範囲を広げること;
- 出て行くエネルギーの増減を制御すること;
- 港湾および沿海設備にできるだけ近いグリーン・エネルギー供給を確実にすること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題であるデバイスは、うねりに起因する垂直方向の海水面の変化を自由浮きエレメンティング要素を通じて直接取得する特殊性を有するものであり、つまり、本発明の主題であるデバイスは、並進運動を直接活用する。沿海または港保護の垂直防壁に本デバイスを装備することにより、沖合にありながら(減衰されていないうねり-垂直の保護防壁の近傍での全エネルギー)陸上の利点(接近性、接続、避難所、少ない投資および維持管理費)から恩恵を受ける。防潮壁壁上に設置された三重レール・システムのおかげで、固定要素との相互作用を制御することにより、デバイスは、より重要な波の振幅に使われることにより、波エネルギーの活用の分野を拡大することを可能にする。
【0008】
デバイスは、入射うねりを導くことおよびデバイスへの入射エネルギーを増幅することを可能にする増幅システムを備え、これは、デバイスの性能を最適化しかつ運用期間を延長する。
【0009】
デバイスは、寄生的運動(parasitic movement)を制限するための浮きエレメンティング要素の密度分布に基づく自己平衡システムと、酷い荒天の際の全体浸水のためのバラスティング・システムとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】増幅を含む垂直の保護防壁上に設置されたデバイスの上面図である。
図2】増幅を含む垂直の保護防壁上に設置されたデバイスの海側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
デバイスは、うねりのエネルギーを位置エネルギーとして取り込んで海面変動(sea variation)を直接活用することを可能にする自由浮きエレメンティング要素(1)で構成される。浮きエレメンティング要素は、0.8の最小平均密度を有し、バラスティング後の密度は、最大で1.05までである。この浮きエレメンティング要素は、以下のものを含む:
- 浮きエレメンティング要素の内側のチャンバの充填を制御する弁により、うねり増幅システム(4)に起因する浮きエレメンティング要素の下の海水面の変動の不定の超過圧力に拮抗する重量配分を確実にするための自己平衡システム(1-a)。
- 荒天の際に浮きエレメンティング要素を浸水させることまたは荒天の終了後に浮きエレメンティング要素を上昇させることを可能にする自動バラスティング・システム(1-b)。
【0012】
浮きエレメンティング要素(1)は、水平性および上方向/下方向移動の追跡を確実にするために、ケーソン壁の支持および垂直性を利用する3本のレールを含む横方向移動チャネリング・システム(2)によって案内される。移動チャネリング・システムの行程は、活用可能なうねりエネルギーを含む全ての状況を一掃するように設計される。壁の活用は、デバイスの動作範囲をうねりの重要な振幅まで広げることを可能にする。垂直防壁の壁と浮きエレメンティング要素(1)との間に接触がないことは、移動チャネリング・システム(2)のおかげで可能とされる。
【0013】
浮きエレメンティング要素をシリンダ(5)の油圧系に接続する剛性支持体(3)が、上下の両方の移動方向において機械エネルギーを油圧エネルギーに変換することを可能にし、支持体は、垂直方向の並進をシリンダ(5)のピストンの水平方向の並進に変換することを可能にする。
【0014】
垂直で平坦な壁ケーソン上に支持された膨張可能な構造のおかげでうねりのエネルギーを導くことを可能にする、デバイスの効率を最適化するためのエネルギー増幅システム(4)、浮きエレメンティング要素は、それが斜めまたは三角形であろうとなかろうと、この増幅の形態を提供する垂直防壁のために、エネルギー変換の中央ゾーン内に設置され、デバイスは、増幅システム(4)を必要とすることなしに、この増幅から直接恩恵を受ける。
【0015】
上方向および下方向の2つの移動方向を活用して、機械エネルギーを油圧エネルギーに変換する、シリンダ(5)。
【0016】
異なるシリンダ間の接合および流れを管理するための油圧ユニット(6)。
【0017】
可変の油圧エネルギーを受け取り、かつ、20サイクルまでの上昇および下降移動(最大10分)の容量を持つ出力において連続的かつ一様な流れを送る、制御された流れを有する蓄圧器(7)。
【0018】
タービン(9)から出る高圧油-低圧油の流体チェーンの連続性を確実にするための油槽(8)。
【0019】
油圧エネルギーの流れを電気エネルギーに変換するための水力発電タービン(9)。
【0020】
電圧と周波数の調和を可能にする、電気ネットワークにおける出力電流および注入の管理インターフェース(10)。
【0021】
高感度の構成要素は、最適な耐久性の状態で収容される。
【0022】
本発明は:
- 港湾施設:ケーソンまたは垂直壁における保護防壁
- 海に面する観光施設:垂直保護壁
- 海に接続する垂直壁を用いる沿海開発
において活用可能である。
【0023】
垂直壁の形状は、平坦または他の形状であってよいことに、留意されたい。
【0024】
目的は、うねりを仕留めることから、グリーン・エネルギーを作り出すためのうねりの活用に移行して、港湾または沿海保護設備の役割に革命をもたらすことである。
図1
図2
【国際調査報告】