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特表2023-513251モジュール式のパワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】モジュール式のパワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548438
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021053757
(87)【国際公開番号】W WO2021165252
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】16/792,916
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】カートライト・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ノーレンバーグ・ライアン
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB03
3D333CB12
3D333CC12
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD10
3D333CD14
3D333CD16
3D333CD20
3D333CE05
(57)【要約】
【課題】モジュール式のパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの車輪の回転運動をもたらすために選択的に回転可能な回転可能なシャフトと、シャフト軸線を中心として、相対的に回転するように回転可能なシャフトを支持するハウジングと、ステアリング部材から回転可能なシャフトにステアリングコマンドを伝達するための第1の回転入力アセンブリと、回転可能なシャフトと作動的に結合された第2の回転入力アセンブリとを含む、モジュール式のパワーステアリング装置において、第2の回転入力アセンブリは、回転可能なシャフトに回転力を加えるように構成されており、装置は、複数の駆動ステーションを含み、各駆動ステーションは、異なる時間において、回転可能なシャフトへの作動的な結合のために第1及び第2の回転入力アセンブリの両方を選択的に受け入れるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車輪の回転運動をもたらすために選択的に回転可能な回転可能なシャフトと、シャフト軸線を中心として、相対的に回転するように回転可能なシャフトを支持するハウジングと、ステアリング部材から回転可能なシャフトにステアリングコマンドを伝達するための第1の回転入力アセンブリと、回転可能なシャフトと作動的に結合された第2の回転入力アセンブリとを含む、モジュール式のパワーステアリング装置であって、第2の回転入力アセンブリは、回転可能なシャフトに回転力を加えるように構成されており、装置は、複数の駆動ステーションを含み、各駆動ステーションは、異なる時間において、回転可能なシャフトへの作動的な結合のために第1及び第2の回転入力アセンブリの両方を選択的に受け入れるように構成されていることを特徴とするモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項2】
ハウジングが、少なくとも1つの駆動ステーションに関連する取外し可能なカバーを含み、カバーは、第1又は第2の回転入力アセンブリを同時に受け入れていない駆動ステーションに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項3】
第1の駆動ステーションが、シャフト軸線に沿って同軸に、かつ、回転可能なシャフトの第1の端部に直接隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項4】
第1の駆動ステーションが、第1及び/又は第2の回転入力アセンブリに作動的に結合するための内部駆動機能部及び外部駆動機能部のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項3に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項5】
第2の駆動ステーションが、シャフト軸線に沿って同軸に、かつ、第1の駆動ステーションとは反対に面しているとともにこれから離間して配置されている、回転可能なシャフトの第2の端部に直接隣接して配置されていることを特徴とする請求項3に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項6】
第1及び第2の駆動ステーションが、それぞれ、第1及び/又は第2の回転入力アセンブリに作動的に結合するための内部駆動機能部及び外部駆動機能部のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項5に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項7】
平行駆動ステーションが、回転可能なシャフトから離間して配置されているとともに、シャフト軸線に実質的に平行な回転入力アセンブリ軸線の周りに配向された第1又は第2の回転入力アセンブリから回転動力を受け入れるように構成された動力入力部を含んでおり、平行駆動ステーションは、受け入れられた回転動力を回転シャフトに伝達するように構成された動力伝達モジュールを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項8】
動力伝達モジュールは、受け入れられた回転動力を、第1又は第2の駆動ステーションを介して回転シャフトに伝達するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項9】
横方向駆動ステーションが、シャフト軸線に実質的に垂直な回転入力アセンブリ軸線の周りに配向された第1又は第2の回転入力アセンブリから回転動力を受け入れるように構成された動力入力部を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項10】
横方向駆動ステーションが、受け入れられた回転動力をシャフト軸線に対して平行な方向の周りに機械的に方向転換するように構成された動力方向転換モジュールを含んでいることを特徴とする請求項9に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項11】
第1及び第2の回転入力アセンブリが、回転可能なシャフトの異なる駆動ステーションに同時に作動的に結合されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項12】
各駆動ステーションが、回転可能なシャフトに対して相対的に、他の駆動ステーションとは異なる方向及び位置の少なくとも1つにおいて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール式のパワーステアリング装置。
【請求項13】
少なくとも1つの車輪の回転運動をもたらすために選択的に回転可能な回転可能なシャフトと、シャフト軸線を中心として、相対的に回転するように回転可能なシャフトを支持するハウジングと、装置にステアリングコマンドを提供するために、車両操作者によって操作されることが可能なステアリング部材と、ステアリング部材から回転可能なシャフトにステアリングコマンドを伝達するための第1の回転入力アセンブリと、回転可能なシャフトと作動的に結合された第2の回転入力アセンブリとを含む、操向可能な車輪の転舵に用いるための装置であって、第2の回転入力アセンブリは、回転可能なシャフトに回転力を加えるように操作可能であり、装置は、複数の駆動ステーションを含み、各駆動ステーションは、異なる時間において、回転可能なシャフトへの作動的な結合のために第1及び第2の回転入力アセンブリの両方を選択的に受け入れるように構成されていることを特徴とする操向可能な車輪の転舵に用いるための装置。
【請求項14】
第1の駆動ステーションが、シャフト軸線に沿って同軸に、かつ、回転可能なシャフトの第1の端部に直接隣接して配置されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1の駆動ステーションが、第1及び/又は第2の回転入力アセンブリに作動的に結合するための内部駆動機能部及び外部駆動機能部のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
第2の駆動ステーションが、シャフト軸線に沿って同軸に、かつ、第1の駆動ステーションとは反対に面しているとともにこれから離間して配置されている、回転可能なシャフトの第2の端部に直接隣接して配置されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
第1及び第2の駆動ステーションが、それぞれ、第1及び/又は第2の回転入力アセンブリに作動的に結合するための内部駆動機能部及び外部駆動機能部のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
平行駆動ステーションが、回転可能なシャフトから離間して配置されているとともに、シャフト軸線に実質的に平行な回転入力アセンブリ軸線の周りに配向された第13又は第2の回転入力アセンブリから回転動力を受け入れるように構成された動力入力部を含んでおり、平行駆動ステーションは、受け入れられた回転動力を回転シャフトに伝達するように構成された動力伝達モジュールを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項19】
横方向駆動ステーションが、シャフト軸線に実質的に垂直な回転入力アセンブリ軸線の周りに配向された第1又は第2の回転入力アセンブリから回転動力を受け入れるように構成された動力入力部を含んでいることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項20】
横方向駆動ステーションが、受け入れられた回転動力をシャフト軸線に対して平行な方向の周りに機械的に方向転換するように構成された動力方向転換モジュールを含んでいることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操向可能な車輪の転舵において用いる装置に関するものであり、より具体的には、操向可能な車輪、特に重量トラックのような商用車の車輪の転舵において用いるモジュール式の電動ステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の車両用操向装置は、特に重量トラックのような商用車のために、操向可能な車輪の転舵をもたらすために軸方向に可動なステアリング部材を含んでいる。ピニオンは、ステアリング部材のラック部と噛合するように配置されている。ステアリングコラムは、ピニオンと車両のステアリングホイールを相互に結合する。ボールナットアセンブリは、ステアリング部材の外側のネジ切りされた部分に結合されている。モータは、ボールナットアセンブリに結合されている。モータは、ステアリング部材を車両に対して相対的に軸方向へ移動させるために、ステアリング部材に対して相対的なボールナットアセンブリの回転をもたらすように動作可能である。ステアリング部材の動作は、ステアリングホイール又は他のオペレータ入力装置からオペレータコマンドを送信する入力ユニットによって制御される。例示的な車両用の電動パワーステアリング装置は、特許文献1及び特許文献2に開示されており、その両方が参照によりここに組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,567,554号明細書
【特許文献2】米国特許第8,360,197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、モジュール式のパワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、モジュール式のパワーステアリング装置が設けられる。回転可能なシャフトは、少なくとも1つの車輪の回転(転舵)運動をもたらすために選択的に回転可能である。ハウジングは、シャフト軸線を中心として、相対的な回転のために回転可能なシャフトを支持する。第1の回転入力アセンブリは、ステアリング部材から回転可能なシャフトにステアリングコマンドを伝達するために設けられている。第2の回転入力アセンブリは、回転可能なシャフトと作動的に結合されている。第2の回転入力アセンブリは、回転力を回転可能なシャフトへ加えるように構成されている。装置は、複数の駆動ステーションを含んでいる。各駆動ステーションは、異なる時間において、回転可能なシャフトへの作動的な結合のために、第1及び第2の回転入力アセンブリの両方を選択的に受け入れるように構成されている。
【0006】
一態様では、操向可能な車両の車輪を転舵する際に使用する装置が設けられる。回転可能なシャフトは、少なくとも1つの車輪の回転(転舵)運動をもたらすために選択的に回転可能である。ハウジングは、シャフト軸線を中心として、相対的な回転のために回転可能なシャフトを支持する。ステアリング部材は、装置にステアリングコマンドを提供するために、車両運転者によって操作されることが可能である。第1の回転入力アセンブリは、ステアリング部材から回転可能なシャフトにステアリングコマンドを伝達するために設けられている。第2の回転入力アセンブリは、回転可能なシャフトと作動的に結合されている。第2の回転入力アセンブリは、回転力を回転可能なシャフトへ加えるように操作可能である。装置は、複数の駆動ステーションを含んでいる。各駆動ステーションは、異なる時間において、回転可能なシャフトへの作動的な結合のために、第1及び第2の回転入力アセンブリの両方を選択的に受け入れるように構成されている。
【0007】
より良好な理解のために、添付の図面を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】モジュール式の電動パワーステアリング装置の一態様の概略的な断面側面図である。
図2A】第1の例示的な使用構成における図1の装置の斜視側面図である。
図2B図2Aに対応する分解斜視側面図である。
図2C図2Aに対応する斜視側面図である。
図3】第2の例示的な使用構成における図1の装置の斜視側面図である。
図4A】第3の例示的な使用構成における図1の装置の斜視側面図である。
図4B図4Aに対応する分解斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に規定しない限り、ここで用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有している。
【0010】
ここで用いられる際には、単数形「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)は、文脈上特に明示しない限り、複数形も含み得る。また、ここで用いられる「comprise(含む)」及び/又は「comprising(含んでいる(含んだ))」という用語は、記載された特徴(機能)、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定し得るが、1つ又は複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことが理解される。
【0011】
ここで用いられる際には、「and/or(及び/又は)」という用語は、1つ又は複数の関連して列挙されたものの全ての組合せを含み得る。
【0012】
「under(例えば「下方」)」、「below(例えば「より下」)」、「lower(例えば「低く」)」、「over(例えば「上方」)」、「upper(例えば「より上」)」などのような空間に関する用語は、ここでは、図面に図示されるように、他の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を記述するための説明を容易にするために使用されることができる。空間的に相対的な用語は、図面に描写された向きに加えて、使用時又は動作時に装置の異なる向きを訪韓し得ることが理解される。例えば、図面における装置が逆であれば、他の要素又は特徴の「下方の」又は「下に」と記載された要素は、当該他の要素又は特徴の「上に」向けられている。
【0013】
ここで用いられる際には、「X及びYのうち少なくとも1つ」という文言は、X、Y又はXとYの組合せを含み得る。例えば、要素がX及びYを有するものとして記載されていれば、当該要素は、ある特定の時間では、X、Y又はXとYの組合せを含み、その選択は、時として変化し得る。これに対して、「Xのうち少なくとも1つ」という文言は、1つ又はそれより多くのXを含むと解釈され得る。
【0014】
様々な要素を説明するために「第1の」、「第2の」などの用語がここでは用いられることができるものの、これら要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これら要素は、1つの要素の他の要素と区別するためだけに用いられる。したがって、以下で述べる「第1の」要素は、本開示の示唆から逸脱することなく「第2の」要素ということもできる。操作(又はステップ)のシーケンスは、特に示されない限り、特許請求の範囲又は図面に示された順序に限定されていない。
【0015】
本発明は、以下の特徴を全ての組合せにおいて含み、全ての組合せにおいて当該特徴から成り、又は本質的に全ての組合せにおいて当該特徴から成る。
【0016】
図1には、少なくとも1つの車輪(符号104において概略的に示されている)の転舵運動をもたらすために選択的に回転可能な、回転可能なシャフト102を含む、操向(操舵)可能な車輪を転舵する際に用いるためのモジュール式のパワーステアリング装置100が示されている。例えば、回転可能なシャフト102は、車輪を公知の態様で転舵させるために構成されたセクタギヤ106と駆動的に(インターフェースで)結合されている。
【0017】
ハウジング108は、ハウジング108に対して相対的にシャフト軸Sを中心として回転可能なシャフト102を回転させるために、回転可能な車輪102を支持している。ステアリング部材(例えば図1において符号110において概略的に示されたステアリングホイール)は、装置100へのステアリングコマンドを提供するために、車両操作者によって操作可能である。ステアリングコマンドは、ステアリング部材100から、又は他のステアリングコマンド元(例えば自動運転車両コンポーネント)から第1の回転入力アセンブリ112を用いることで回転可能なシャフト102へ伝達されることが可能である。第1の回転入力アセンブリ112は、図面ではトルク角度センサを有する入力シャフトモジュールとして示されているが、当業者は、適切な第1の回転入力アセンブリ112を設けることが可能である。第1の回転入力アセンブリ112は、図面に示されているように、所望の態様で回転シャフト102へ取り付けるための入力機能部(入力特徴部)114を含むことができる。例えば、示された入力機能部114はインプットシャフトであり、当該インプットシャフトは、所望の結合を達成するために、嵌合式に内部駆動機能部116へ挿入されることが可能である。
【0018】
第2の回転入力アセンブリ112(図1における符号118において、電子パワーパックとして概略的に示されている)は、回転可能なシャフト102に作動式に結合されることが可能である。第2の回転入力アセンブリ118は、回転力を回転可能なシャフト102へ加えるように構成されている。ここでも、第2の回転入力アセンブリ118は、所望の態様で回転シャフト102へ取り付けるための入力機能部(入力特徴部)114’を含むことができる。例えば、入力機能部114’はインプットシャフトであり、当該インプットシャフトは、内部駆動機能部120へ挿入されることが可能である。当業者は、本発明の特別な使用環境のために、回転可能なシャフト102と第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118のそれぞれとの間の機械的な結合を容易に提供することが可能である。
【0019】
図示された例示的な使用環境では、第1の回転入力アセンブリ112は、ステアリングコマンドの方向及び大きさを示す小さな回転力を提供する。第2の回転入力アセンブリ118は、第1の回転入力アセンブリ118からのステアリングコマンドに基づく回転入力に対応して、セクタギヤ106を動作させ、ひいては車輪104を転舵させるために回転可能なシャフト102を動作させる所望の作用を得るために機械的に十分なレベルへのステアリングアシストを提供することができる。異なる車両製造者は、装置100が取り付けられる車室範囲装置100において利用可能な空間の体積及び三次元的な形状に依存して、異なる所望の物理的構成を有している。例えば、いくつかの車両タイプについては、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118の両方をシャフト軸線Sに沿って一直線とすることが望ましいことがある一方、他の車両タイプについては、シャフト軸線Sに対して垂直に向けられた第2の回転入力アセンブリ112を設けることが望ましいことある。しかし、装置100の製造者は、一般的に、在庫、デザイン、記録管理を維持し、並びにその他の製造コスト及び在庫コストを低減するために、各車両の使用環境について別々の特注の装置100の構成を作成しなければならないことを避けることを望む。
【0020】
この構成の問題に対処するために、装置100は複数の駆動ステーション122を含んでおり、各駆動ステーション122は、回転可能なシャフト102に対して、他の駆動ステーション122とは異なる向き及び異なる位置のうち少なくとも1つにおいて配置されている。各駆動ステーション122は、異なる時間において、回転可能なシャフト102への作動的な結合のために、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118の両方を選択的に受け入れるように構成されている。換言すれば、装置100は、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118のそれぞれが駆動ステーション122及び関連する構成要素を介して様々な構成において回転可能なシャフト102に作動的に結合されることができるようにモジュール式の構成を有している。(しかし、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118のうち1つのみが所定の時間において選択された1つの駆動ステーション122に取り付けられることが考えられる。)
【0021】
例えば、装置100によって2つの駆動ステーション122が設けられていれば、第1の回転入力アセンブリ112は2つの駆動ステーション122のうち1つに選択的に作動的に結合されることができ、同時に、第2の回転入力アセンブリ118は2つの駆動ステーション122のうち他方に作動的に結合される。所望であれば、異なる車両構成についてより望ましい形状因子を提供するように、当該2つのステーションの例では、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118の位置は、利用可能な2つの駆動ステーション122において「交換」又は切り換えられることが可能である。広義に要約すれば、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118は、それぞれ回転可能なシャフト102の異なる駆動ステーション122に同時に作動的に結合されるように構成されている。
【0022】
しかし、特定の装置100は、装置100が特定の車両構成と共に使用するために組み立てられたときに、第1及び第2の回転入力アセンブリ118が所定の駆動ステーションに位置するように「設定」され、その「設定」は、その特定の装置100の寿命中に変更されないことも考えられる。しかし、当業者は、装置のモジュール式の性質を考慮すれば、予備装置100の部品の比較的控え目な在庫が、車両の最初の製造時又は後の修理中若しくは再構成中のいずれにおいても、広範囲の車両タイプのニーズに応えるために様々な構成で展開され得ることを容易に理解することができる。
【0023】
また、ハウジング108が1つ又は複数の取外し可能なカバー(図1では、符号124において1つが仮想線で示されている)を含むことができることも考えられる。各取外し可能なカバー124は、少なくとも1つの駆動ステーション122と関連付けられている。存在する場合には、カバー124は、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118のうちの1つを同時に受け入れていない駆動ステーション122に設置される。したがって、2つ以上の駆動ステーション122が特定の装置100に提供されることができ、カバー124は、使用されていない駆動ステーション122を「空白化」するために使用されることができる。いくつかの例では、第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118のみが装置100に設けられることができ、この場合には、カバー124は、特定の装置100の駆動ステーション122のうち1つを除いて全てと関連付けられることが可能である。
【0024】
駆動ステーション122は、それぞれ、異なる時間において第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118の両方に作動的にで結合するための適切な構成要素を含むことができる。当該構成要素は、アセンブリの両タイプについて同一の構成要素であってもよいし、又は各アセンブリタイプについて異なる構成要素を提供することが可能であり、所定の時間において、未使用の構成要素を単に非互換性のアセンブリに接続しないようにされる。しかし、当業者が駆動ステーション122を設けることも考えられ、非互換性の構成要素は、使用時に互換性の構成要素と機械的に結合されない。
【0025】
図2A図4Bには、図1の装置100の制限されない例示的ないくつかの使用構成が図示されており、各使用構成は、その使用構成の装置100を受け入れることが可能な対応する形状/体積を有する車両に含めるのに適しているが、他の使用構成の装置100は潜在的に受け入れられない。図2A図4Bの各使用構成は、同一のハウジング108(及び対向する内部構成要素)と、第1及び第2の回転入力アセンブリ112,118とを含むが、各使用構成は、駆動ステーション122を使用することでこれら構成要素を異なるように組み立てる。本明細書では、要素の符号「122」は、1つ又はより多くの駆動ステーションをまとめて、及び/又はこれらの間で区別することなく参照するために用いられている一方、「主な」符号の様々な組合せは、説明を明確にするために、駆動ステーションの特定の1つを示すために用いられている。
【0026】
図面には、第1の回転入力アセンブリ122’は、シャフト軸線Sに沿って同軸に配置されているとともに、回転可能なシャフト102の第1の端部126(図1参照)に直接隣接している。上述したように、第1の駆動ステーション122’は、第1の及び/又は第2の回転入力アセンブリ112,118に作動的に結合するために内部の駆動機能部116及び外部の駆動機能部120のうち少なくとも1つを含むことができるか、又は所望の作動的な結合を達成するための他の機械的な構成要素を含むことができる。
【0027】
同様に、第2の駆動ステーション122’’は、シャフト軸線Sに沿って同軸に配置されているとともに、回転可能なシャフト102の第2の端部128に直接隣接している。第2の駆動ステーション122’’は、第1の駆動ステーション122’とは反対に面しているとともに、当該第1の駆動ステーションから離間している。装置100に設けられた任意の駆動ステーション122のように、第2の駆動ステーション122’’は、第1の及び/又は第2の回転入力アセンブリ112,118に作動的に結合するために内部の駆動機能部116及び外部の駆動機能部120のうち少なくとも1つを含むことができるか、又は所望の作動的な結合を達成するための他の機械的な構成要素を含むことができる。
【0028】
図2A図2Cには、横方向駆動ステーション122’’’を含む装置100が示されている。横方向駆動ステーション122’’’は動力入力部(図2Bに符号230として示されている)を含んでおり、当該動力入力部は、第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118からの回転動力を受け入れるように構成されている。回転動力は、回転入力アセンブリ軸線Rの周りに向けられており、当該回転入力アセンブリ軸線は、シャフト軸線Sに対してほぼ垂直となっている。これに加えて、又はこれに代えて、動力入力部230は、第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118から、第1又は第2の駆動ステーション122’又は122’’のような別の駆動ステーション122に回転動力を伝達するように構成されてもよいが、これに限定されるものではない。図2A図2Cには、第1の回転入力アセンブリ112が第1の駆動ステーション122’に作動的に結合されており、取外し可能なカバー124は第2の駆動ステーション122’’を「遮断」しており、第2の回転入力アセンブリ118は横方向駆動ステーション122’’に作動的に結合されている。
【0029】
図3には装置100の他の使用構成が示されており、横方向駆動ステーション122’’は、より中央に位置する図2A図2Cの横方向駆動ステーション122’’とは対照的に、回転シャフト102の第2の端部128へ向けて配置されている。図3の横方向駆動ステーション122’’は、332において概略的に示された、ハウジング108の対応する部分の内部に位置する動力方向転換モジュールを含んでいる。動力方向転換モジュール332は、ギヤトレーン(歯車列)を含むことができるか、そうでなければ、受け入れられた回転動力を(回転入力アセンブリ軸線Rに沿って)シャフト軸線Sに平行な方向の周りに機械的に方向転換させるように構成されることができる。
【0030】
図4A図4Bには装置100の他の使用構成が示されており、平行駆動ステーション122ivは、回転可能なシャフト102から離間して配置されているとともに、受け入れられた回転動力を第1又は第2の駆動ステーション122’又は122’’に伝達するように構成された動力伝達モジュール434を含んでいる。これに加えて、又はこれに代えて、平行駆動ステーション122ivは、装置100の他の駆動ステーションから離間された「独立した」駆動ステーションであり得る。
【0031】
図4A図4Bに示されるように、平行駆動ステーション122ivは、第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118から回転動力を受け入れるように構成された動力入力部230を含んでおり、その回転動力は、シャフト軸線Sと実質的に平行である回転入力アセンブリ軸線Rの周りに向けられている。動力伝達モジュール434は、回転動力を第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118から第1又は第2の駆動ステーション122’又は122’’にシフトさせ、及び/又は方向転換(例えば、図4A図4Bに示すように、「Uターン」)させるために、ベルト、ギア及び/又は他の所望の機械構成要素を使用する。
【0032】
第2の回転入力アセンブリ118は、図4A図4Bの向きにおいて、ハウジング108の上部における「肩車」または「12時」の回転位置で平行駆動ステーション122ivと関連するものとして示されている。しかし、平行駆動ステーション122ivは、他の回転位置(例えば、「3時」、「6時」、「9時」又は回転シャフト102に対する他の所望の平行方向)に向けられることができ、特定の使用環境に対して所望のように第1又は第2の回転入力アセンブリ112又は118からの回転動力を方向転換し、及び/又はシフトするように適宜構成された動力入力部230及び動力伝達モジュール434を有することも考えられる。
【0033】
本開示の態様は、上記の例示的な態様を参照して特に示されるとともに説明された一方、当業者は、様々な追加的な態様が考えられ得ることを理解する。例えば、装置を使用するために上述した特定の方法は単なる例示であり、当業者は、上述した装置又はその構成要素を、本明細書に示され、説明されたものと実質的に同様の位置に配置するための任意の数の工具、ステップのシーケンス、又は他の手段/オプションを容易に決定することができる。図面の明確性を維持するために、示された重複する構成要素には特に符号を付していないが、当業者は、符号が付された構成要素に基づいて、符号が付されていない構成要素に関連付けられるべき要素の符号を理解し、図中の要素の符号の有無のみによって、類似の構成要素を区別することを意図又は暗示するものではない。「所定の」状態は、操作される構造が実際にその状態になる前であればいつでも決定でき、「あらかじめ規定すること」は、遅くとも、構造が所定の状態になる直前まで行われる。ここでは、「実質的な(又はほぼ)」という用語は、指定された品質が大部分であるが、必ずしも完全でないこと、すなわち、品質以外の項目が比較的わずかに含まれる潜在性を認める「実質的な」品質を示すために使用される。ここに記載される特定の構成要素は、特定の幾何学的な形状を有するものとして示されているが、本開示の全ての構造は、特定の用途に望ましい任意の適切な形状、サイズ、構成、相対的な関係、断面積又は他の任意の物理的な特性を有することができる。1つの態様又は構成を参照して説明した構造又は特徴は、他の態様又は構成に対して、単独で又は他の構造若しくは特徴と組み合わせて提供され得るが、ここで述べた態様及び構成のそれぞれを、他の態様及び構成の全てに関して述べたオプションの全てを有するものとして説明することは実際的ではない。これらの特徴のいずれかが組み込まれた装置又は方法は、以下の特許請求の範囲及びその均等物に基づき決定される本開示の範囲に含まれると理解されるべきである。
【0034】
他の態様、対象及び利点は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から得ることができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】