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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】二輪車の油圧ブレーキの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62L 3/02 20060101AFI20230323BHJP
   B60T 11/20 20060101ALI20230323BHJP
   B60T 11/18 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B62L3/02 D
B60T11/20 B
B60T11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548520
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 IB2021051027
(87)【国際公開番号】W WO2021161160
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020000002530
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522243484
【氏名又は名称】ライカム・ドライブライン・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】RAICAM DRIVELINE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ボナルド,サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カナーレ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D047
【Fターム(参考)】
3D047AA01
3D047BB21
3D047CC13
3D047DD03
3D047FF23
(57)【要約】
制御装置は、2つのブレーキマスタシリンダ(13、14)を備え、これらの両方は、複合ブレーキングモードまたは一体型ブレーキングモードに従って、同じ単一の手動制御レバー(15)によって同時に操作することができる。手動制御レバー(15)に関連する切り替え要素(27)は、2つのブレーキマスタシリンダのうちの1つ(14)を除外することができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車輪用の第1のブレーキと第2の車輪用の第2のブレーキとを備えた二輪車の油圧ブレーキ用の制御装置(10)であって、
第1ブレーキマスタシリンダ(13)であって、マスタシリンダ本体(11)と、前記マスタシリンダ本体(11)内に形成され、前記第1のブレーキに油圧的に接続可能な第1油圧室(16)と、前記第1油圧室(16)内で移動可能な第1ピストン(17)と、を備える第1ブレーキマスタシリンダ(13)と、
前記マスタシリンダ本体(11)に対して回転可能であり、前記第1ピストン(17)に作用して前記第1のブレーキを操作する単一の手動制御レバー (15)と、を備え、
前記制御装置(10)は、さらに、
第2ブレーキマスタシリンダ(14)であって、前記マスタシリンダ本体(11)に形成され、前記第2のブレーキに油圧接続可能な第2油圧室(21)と、前記手動制御レバー(15)によって前記第2のブレーキを操作するために前記第2油圧室(21)内で移動可能な第2ピストン(22)と、を備える第2ブレーキマスタシリンダ(14)と、
前記第2ピストン(22)を選択的に作動および非作動にするための、前記手動制御レバー(15)に関連する切り替え要素(27)と、を備え、
前記切り替え要素(27)は、2つの代替位置を有し、
前記2つの代替位置は、
前記手動制御レバー(15)の回転が前記第2ピストン(22)を作動させない第1の受動位置、および、前記手動制御レバー(15)の回転が、複合または一体型ブレーキングモードに従って、前記第1のブレーキを作動させるために前記第1ピストン(17)と、前記第2のブレーキを作動させるための前記第2ピストン(22)とを同時に作動させる第2の能動位置である、
制御装置。
【請求項2】
前記切り替え要素(27)は、偏心面(30)を備えるカム装置である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記切り替え要素(27)は、前記手動制御レバー(15)に回転可能に取り付けられる、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記手動制御レバー(15)は、前記マスタシリンダ本体(11)に枢動可能に取り付けられている、
請求項1、請求項2、または請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
2つの油圧室(16、21)は、隣接し、平行であり、上下に配置されている、
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記手動制御レバー(15)は、第2中間スラストまたはトランスミッション部材(23)によって第2ピストン(22)にスラスト関係で作用し、前記マスタシリンダ本体(11)への手動制御レバー(15)のヒンジ軸と一致または平行な回転軸(25)を中心に、前記マスタシリンダ本体(11)に回転可能に取り付けられる、
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
第2中間トランスミッション部材(23)は、レバーとして作られ、特に、その上で、前記切り替え部材(27)が任意に作動することができ、第2ピストン(21)に対して作用するスラスト部分(24)と係合面(26)とを有する第2種のレバーとして作られる、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
切り替え要素(27)は、運転者がアクセスできるホイール(29)によって回転させることができるピン(28)と、前記ピン(28)に対して偏心している前記偏心面(30)とを含む、
請求項2ないし請求項7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記マスタシリンダ本体(11)は、第1油圧室(16)にブレーキ液を供給する上部リザーバ(31)を形成する、
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記手動制御レバー(15)は、
第1中間トランスミッションまたはスラスト部材(18)によって、前記第1ピストン(17)にスラスト関係で作用し、
前記第1中間トランスミッションまたはスラスト部材(18)は、前記手動制御レバー(15)が前記マスタシリンダ本体(11)に旋回可能に取り付けられるヒンジ軸と一致または平行な回転軸を中心にマスタシリンダ本体(11)に回転可能に取り付けられる、
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1中間トランスミッション部材(18)は、前記手動制御レバー(15)の静止位置を調整できるようにする調整要素(19)によって、前記制御レバー(15)に対して調整可能であり、前記制御レバー(15)を、車両のハンドルバーに近づけたり遠ざけたりする、
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
弾性要素(20)が挿入され、前記弾性要素(20)は、前記第1中間スラスト部材(18)と前記手動制御レバー(15)との間にスラスト関係で作用し、前記第1中間部材(18)を前記調整要素(19)に向かって常に付勢し、前記中間スラスト部材(18)と前記手動制御レバー(15)との間の遊びを取る、
請求項11に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ブレーキングを達成するために二輪車の油圧ブレーキを制御する装置に関する。特に、排他的ではないが、制御装置は、自転車、オートバイ、スクータなどの二輪車に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
前輪と後輪の両方に同時に制動力を分配できる、二輪車用の複合(または一体型)ブレーキングシステムが知られている。複合ブレーキングシステムでは、フロントおよびリアのブレーキの動作を2つの別々の制御に割り当てる代わりに、1つの制御でフロントおよびリアのブレーキを同時に作動させる。
【0003】
中国特許公報CN102745293Aは、ブレーキ流体用の2つの出口および2つの入口と連通する円筒形空洞を形成する外側本体を有する油圧ブレーキ分配器を備える複合ブレーキングシステムを開示している。
2つの別個のピストン弁要素が、円筒形空洞内で軸方向に移動可能に取り付けられ、これらのピストン弁要素は軸方向に整列し、空洞内で軸方向に移動可能である。弁要素には、円筒状空洞の内壁に対して作用するシールガスケットが設けられている。
2つのブレーキ制御装置の第1の作動により、ブレーキ流体が、2つのピストン弁要素の間の中間位置に配置された入口から円筒状空洞に流れ込む。第1のブレーキ制御装置の作動により、両方のピストン弁要素が移動し、その結果としてブレーキ液がフロントブレーキとリアブレーキの両方に向かって同時に流れる。第2のブレーキ制御装置を作動させると、ブレーキ液がフロントまたはリアのいずれか一方のブレーキのみに向かって流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許公報CN102745293A
【0005】
二輪車用のブレーキ制御装置は、ハンドルバー上に並んで配置された2つの制御レバーによって制御されるダブルブレーキマスタシリンダを有することが知られている。上のレバーでフロントブレーキ、下のレバーでリアブレーキを操作する。2つのレバーは近くにあり、別々の時間に操作することも、片手で一緒に操作することもできる。この装置は、二重作動用の 2つの別個の液体リザーバを備えた別個の二重油圧室を備えている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、二輪車の前輪と後輪の両方で同時に複合ブレーキをかける複合ブレーキング、あるいは、2つの車輪のうちの1つのみのブレーキに対するブレーキ動作を選択的に実行することができる二輪車の油圧ブレーキ用の制御装置を提供することである。
【0007】
以下でよりよく理解される上記および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、請求項1に定義された特徴を有するブレーキ制御装置によって達成される。装置の好ましい実施形態は、従属請求項で定義される。
簡単に要約すると、制御装置は2つのブレーキマスタシリンダを含み、これらは両方とも、複合ブレーキングモードまたは一体型ブレーキングモードに従って、同じ単一の手動制御レバーによって同時に操作することができる。手動制御レバーに関連付けられた切り替え要素は、2つのマスタシリンダの1つを除外することができる。
【0008】
ここで、本発明によるブレーキ制御装置のいくつかの好ましいが非限定的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ブレーキ制御装置の上方からの断面図である。
図2】第1の非作動位置にあるブレーキ制御装置を示す、図1よりも下側の断面による下からの断面図である。
図3】第2の作動位置にあるブレーキ制御装置を示す、図2と同様の断面図である。
図4図1-3の制御装置の分解図である。
図5図1のブレーキ制御装置の上面図である。
図6】ブレーキ制御装置の縦断面図である。
図7】ブレーキ制御装置の構成要素のいくつかの別の分解斜視図である。
図8】切り替え要素が非作動位置にある状態の制御装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を参照すると、符号10は、後輪用の第1のリアブレーキと前輪用の第2のフロントブレーキとを備えた二輪車(図示せず)の油圧ブレーキの制御装置全体を示している。
【0011】
制御装置10は、二輪車のハンドルバー(図示せず)に取り付けることができるマスタシリンダ本体11を備える。ハンドルバーに取り付けるために、マスタシリンダ本体11は、円筒形のシート12を有することができる。制御装置10は、第1ブレーキマスタシリンダ13および第2ブレーキマスタシリンダ14を含み、これらの両方は、同じ単一の手動制御レバー15によって操作することができる。
【0012】
マスタシリンダ本体11は、プラスチックまたは金属材料で作られてもよい。
【0013】
制御レバー15は、使用状態において、実質的に垂直に、またはわずかに傾斜して配向されるヒンジ軸を中心としてマスタシリンダ本体11にヒンジ結合される。
【0014】
全体の寸法を最適化するために、第1ブレーキマスタシリンダ13は、好ましくは、第2ブレーキマスタシリンダ14に隣接して配置される。好ましい実施形態によれば、第1ブレーキマスタシリンダは、第2ブレーキマスタシリンダのすぐ上に配置される。
【0015】
第1ブレーキマスタシリンダ13は、マスタシリンダ本体11に形成され、リアブレーキに油圧によって接続可能な第1油圧室16と、第1油圧室16内を移動可能な第1ピストン17とを備える。
【0016】
有利なことに、マスタシリンダ本体11はまた、ブレーキ液(例えばオイル)を第1油圧室16に、したがって第1のブレーキ、この例ではリアブレーキに供給する上部リザーバ31を形成する。第2油圧室21は、第2のブレーキ、この例ではフロントブレーキの油圧回路(図示せず)によって供給されてもよい。タンク31を閉じる蓋は符号32で示す。
【0017】
一実施形態によれば、制御レバー15は、ヒンジと一致または平行な回転軸を中心にマスタシリンダ本体11に回転可能に取り付けられた第1中間トランスミッションまたはスラスト部材18によって、第1ピストン17にスラスト関係で作用することができ、マスタシリンダ本体11に対してレバー15のヒンジ軸と一致または平行な回転軸を中心に、マスタシリンダ本体11に回転可能に取り付けられる。
【0018】
好ましくは、第1中間トランスミッション部材18は、例えば調節ねじ19によって、制御レバー15に対して調節可能である。調節ねじ19は、制御レバー15の静止位置を調節し、使用者の手の大きさに応じてハンドルバーに近づけたり遠ざけたりすることができる。
【0019】
一実施形態によれば、第1中間スラスト部材18と制御レバー15との間に挿入され、スラスト関係で作用する圧縮ばねなどの弾性要素20を設けて、第1中間部材18を調節ねじに対して常に付勢することができ、また、部材18とレバー15との間の遊びを吸収し、振動の伝達を防止する。中間スラスト要素18は、第1の材料、例えば鍛造アルミニウムで作ることができ、一方、制御レバー15は第2の軽量材料、例えばアルミニウム合金で作ることができる。
【0020】
レバー15は、矢印A(図1)で示す方向に回転すると、第1ブレーキマスタシリンダ13の第1ピストン17に作用してリアブレーキを作動させる。オプションとして、切り替え部材27を操作することによって、運転者は、制御レバー15の同じ作動運動で、フロントブレーキとリアブレーキを同時に作動させることができる。
【0021】
第2ブレーキマスタシリンダ14は、マスタシリンダ本体11に形成され、フロントブレーキに油圧的に接続可能な第2油圧室21と、第2油圧室21内を移動可能な第2ピストン22とを備える。
【0022】
好ましい特にコンパクトな実施形態によれば、2つの油圧室は隣接し、平行であり、一方が他方のすぐ上に配置される。
【0023】
一実施形態によれば、制御レバー15は、第2の中間スラストまたはトランスミッション部材23によって、第2ピストン22に対してスラスト関係で作用することができ、マスタシリンダ本体11に対してレバー15のヒンジ軸と一致または平行な回転軸25を中心にマスタシリンダ本体11に回転可能に取り付けられる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、第2中間トランスミッション部材は、スラスト部分24を有するレバー、特に第2種(second-class)のレバーとして得られ、第2ピストン21および係合面26に対して作用し、切り替え部材27が選択的に作用することができる。
【0025】
切り替え部材27は、手動制御レバー15に回転可能に取り付けられてもよい。切り替え部材27は、有利にはカム切り替え部材として得ることができる。図示の好ましい実施形態では、切り替え部材27は、運転者がアクセスできるホイール29によって回転作動することができるピン28と、ピン28に対して偏心している表面30とを含む。ホイール29に作用することにより、運転者は偏心面30の角度位置を受動位置と能動位置との間で変化させることができる。
【0026】
運転者が手動制御レバー15によってフロントとリアのブレーキを同時に操作したい場合、偏心面30が図2に示す位置、つまり、偏心面30が第2トランスミッション部材23と接触している位置に移動するようにホイール29を回転させなければならない。手動制御レバー15を回転させることにより、偏心面30が第2中間トランスミッション部材28に応力を加え、第2ピストン22(図3)を押してフロントブレーキを作動させる。この第1の動作モードでの手動制御レバー15の作動は、複合ブレーキングモードまたは一体型ブレーキングモードに従って、二輪車のフロントおよびリアブレーキの同時作動をもたらす。
【0027】
あるいは、運転者がフロントブレーキを手動制御レバー15の影響から除外したい場合、偏心面30が非作動位置(図8)、つまり、偏心面30が離間しており、手動制御レバー15が操作されたときに第2トランスミッション部材23と干渉しない位置に移動するようにホイール29を回転させなければならない。
【0028】
ブレーキ制御装置の様々な態様および実施形態を説明してきた。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができることが理解される。さらに、実施形態および構造上の詳細は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、純粋に非限定的な例として説明および図示されたものに関して広く変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】