(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】生体物質と連結し得る両性蛍光物質
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20230323BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20230323BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61K49/00
A61K31/4045
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548531
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 KR2020001852
(87)【国際公開番号】W WO2021162133
(87)【国際公開日】2021-08-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522316940
【氏名又は名称】シーバイオメックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャ,ジュンフェ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ハクス
【テーマコード(参考)】
4C063
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB08
4C063CC06
4C063DD04
4C063EE10
4C085HH11
4C085KB56
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC78
(57)【要約】
【課題】生体物質と連結し得る両性蛍光物質を提供する。
【解決手段】下記の構造式1で表される化合物のうち少なくとも一つを含む、
生体物質と連結し得る両性蛍光物質である。
<構造式1>
【化24】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式1で表される化合物のうち少なくとも一つを含む、
生体物質と連結し得る両性蛍光物質:
<構造式1>
【化18】
上記構造式1において、
Lは、-(L1)
n-(L2)であり、
L1は、-NH-CH
2-(CH
2-O-CH
2)
m-CH
2-C(=O)-であり、
L2は、アジド(azide)、アセチレン(acetylene)、マレイミド(maleimide)、ビオチン(biotin)、ヒドラジド(hydrizide)、
【化19】
、
【化20】
、-R
3-(C(=O)
2-NH-NH
2、及び-R
4-(S(=O)
2-NH-NH
2のうち一つであり、R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれC1~6の2価脂肪族炭化水素、C1~6のアルキレン又は2価芳香族炭化水素、及びこの誘導体であり、
nは、0又は1であり、
mは、0~4の定数である。
【請求項2】
上記構造式1で表される化合物は、下記の構造式2で表される化合物のうち少なくとも一つである、
請求項1に記載の生体物質と連結し得る両性蛍光物質:
<構造式2>
【化21】
上記構造式2において、L1、nは、それぞれ上記構造式1に定義したとおりである。
【請求項3】
上記構造式2で表される化合物のうち一つは、下記の構造式3で表される化合物である、
請求項2に記載の生体物質と連結し得る両性蛍光物質。
<構造式3>
【化22】
【請求項4】
上記構造式2で表される化合物のうち一つは、下記の構造式4で表される化合物である、
請求項2に記載の生体物質と連結し得る両性蛍光物質.
<構造式4>
【化23】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質と連結し得る両性蛍光物質に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光染料(fluorescent dye)は、生物学的研究において幅広く使用されてきており、最近は、臨床診断(免疫化学、分子診断等)のみならず、癌治療といった特殊な手術に活用されている。
【0003】
オーミクスに関連するマイクロアレイ技術、細胞分析研究等に蛍光染料が使用されてきており、最近は、ウエスタンブロット(western blot)、real-time PCR等、分子生物学的研究にも蛍光染料が活用されている。
【0004】
蛍光染料は、伝統的な免疫化学診断から最近開発されたPOCT(point of care testing)、分子診断(バイオセンサ等)までに幅広く活用されている。
【0005】
また、最近、標的治療剤及びそれに伴う診断技術が発達しつつ、蛍光染料を用いて癌手術と同時に癌細胞の転移の程度が確認できる技術が開発されている。
【0006】
既存に開発されて商品化したほとんどの蛍光染料は、電荷を帯びており、電荷を有するタンパク質、核酸、脂質等、バイオ巨大分子との非特異的結合を誘導する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
完璧な中性蛍光染料の場合、強い芳香性及び疎水性により、芳香性の大きいアミノ酸を多数含むタンパク質や、疎水性の大きい巨大生体分子との非特異的結合による偽陽性反応(false positive)を示す。これら偽陽性反応は、タンパク質の特異的ペプチド技術の免疫化学診断及びバイオチップの活用における信頼性の減少を引き起こす。
【0008】
一方、ペプチド、アプタマー等といった微細生体分子(small biomolecule)は、分子量が少なくて、既存の蛍光染料と結合する場合、蛍光染料の有する電荷的特性に支配されるようになる。
【0009】
蛍光染料と生体分子との非特異的結合を最小化するために、緩衝溶液や中性界面活性剤を用いる方法等が考えられるが、最近、蛍光染料がバイオセンサ、外科手術に使用されつつ、分析の精密性が要求されている。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するために発明されたものであり、本願発明者らは、蛍光染料をアミノ酸及びタンパク質の基本特性である両性物質として開発し、蛍光染料の生体分子に対する非特異的反応性自体を最小化し得ることに着目して、本発明を完成した。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、タンパク質の検出・分析の正確性を向上させることのできる新規な蛍光染料を提供することである。
【0012】
本発明の課題は、以上に言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者にとって明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明による生体物質と連結し得る両性蛍光物質は、下記の構造式1で表される化合物のうち少なくとも一つを含む。
【0014】
【0015】
上記構造式1において、Lは、-(L1)n-(L2)である。
【0016】
上記構造式1において、L1は、-NH-CH2-(CH2-O-CH2)m-CH2-C(=O)-である。
【0017】
上記構造式1において、L2は、アジド(azide)、アセチレン(acetylene)、マレイミド(maleimide)、ビオチン(biotin)、ヒドラジド(hydrizide)、
【化2】
、
【化3】
、-R
3-(C(=O)
2-NH-NH
2、及び-R
4-(S(=O)
2-NH-NH
2のうち一つであり、R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれC1~6の2価脂肪族炭化水素、C1~6のアルキレン又は2価芳香族炭化水素、及びこの誘導体である。
【0018】
上記構造式1において、nは、0又は1である。
【0019】
上記構造式1において、mは、0~4の定数である。
【0020】
その他実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、少なくとも次のような効果がある。
【0022】
本発明による両性蛍光物質は、生体物質に対する非特異的反応を最小化して、タンパク質の検出・分析の正確性を向上させることができる。
【0023】
本発明による効果は、以上に例示の内容によって制限されず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による両性蛍光物質のUPLC(Ultra-Performance Liquid Chromatography)分析結果。
【発明を実施するための最善の形態】
【0025】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述される実施例を参照すれば明確になる。本発明は、以下に開示の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現されるものである。ただし、実施例は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0026】
また、本明細書に開示の技術を説明することにおいて、関連する公知の技術に対する具体的な説明が本明細書に開示の技術の要旨を曖昧にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0027】
本明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「有する」とするとき、これは特に逆に記載されない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0028】
また、本明細書の全体において、「A~B」は、A以上かつB以下の範囲内であることを意味し、「A以上~B未満」は、A以上かつB未満の範囲内であることを意味し、「A超~B以下」は、A超かつB以下の範囲内であることを意味する。本明細書において、「Ca~b」は、炭素数がa~bであることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の両性蛍光物質は、カチオンとアニオンとが共存する両性イオン部分(moiety)を含むため、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質等といった生体物質に対する非特異的反応を最小化することができる。
【0030】
発明による生体物質と連結し得る両性蛍光物質(以下、「発明の両性蛍光物質」と言う)は、下記の構造式1で表される化合物のうち少なくとも一つを含む。
【0031】
【0032】
上記構造式1で表される化合物は、ペンタメチンシアニン染料(pentamethine cyanine dye)に対の両性イオン部分と、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質等といった生体物質に連結し得るリンカーとして、-Ph-CH
2-CH
2-C(=O)-Lを導入した化合物である。Phは、
【化5】
である。
【0033】
発明者らが確認したところによれば、リンカーとして-O-Ph-CH2-CH2-C(=O)-Lが導入された対照群は、バッファ水溶液(buffer aqueous solution)における構造が不安定であったし、タンパク質等の生体物質にラベル付け(labeling)したとき、時間が経過するにつれて、スクリーン時、蛍光強さが弱くなった。他方、リンカーとして-Ph-CH2-CH2-C(=O)-Lが導入された発明の両性蛍光物質は、前記対照群に比べてバッファ水溶液における構造的安全性が高かった。
【0034】
上記構造式1において、Lは、-(L1)
n-(L2)である。L1は、-NH-CH
2-(CH
2-O-CH
2)
m-CH
2-C(=O)-であり、L2は、アジド(azide)、アセチレン(acetylene)、マレイミド(maleimide)、ビオチン(biotin)、ヒドラジド(hydrizide)、
【化6】
、
【化7】
、-R
3-(C(=O)
2-NH-NH
2、及び-R
4-(S(=O)
2-NH-NH
2のうちの一つである。R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれC1~6の2価脂肪族炭化水素、C1~6のアルキレン又は2価芳香族炭化水素、及びこの誘導体である。
【0035】
上記構造式1において、nは、0又は1である。前記nが0である場合、-Ph-CH2-CH2-C(=O)-Lにおいて、-Lは、-L2である。前記nが1である場合、-Ph-CH2-CH2-C(=O)-Lにおいて、-Lは、-L1-L2である。
【0036】
上記構造式1において、mは、0~4の定数である。前記mが0である場合、L1は、-NH-CH2-CH2-C(=O)-であり、前記mが1である場合、L1は、-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-C(=O)-であり、前記mが2である場合、L1は、-NH-CH2-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-CH2-C(=O)-であり、前記mが3である場合、L1は、-NH-CH2-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-CH2-C(=O)-であり、前記mが4である場合、L1は、-NH-CH2-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-(CH2-O-CH2)-CH2-C(=O)-である。
【0037】
前記mの値が大きくなるほど、バッファ水溶液における発明の両性蛍光物質の溶解度が増加して、ラベル付け(labeling)を効果的に行うことができ、タンパク質等の生体物質と発明の両性蛍光物質との間の距離を空けて、発明の両性蛍光物質がタンパク質等の生体物質に及ぼす影響を最小化することができる。
【0038】
例えば、上記構造式1で表される化合物は、下記の構造式2で表される化合物のうち少なくとも一つであってもよい。
【0039】
【0040】
上記構造式2において、L1、nは、それぞれ上記構造式1に定義したとおりである。
【0041】
例えば、上記構造式2で表される化合物のうち一つは、下記の構造式3で表される化合物、又は下記の構造式4で表される化合物であってもよい。
【0042】
【0043】
【0044】
<合成例>
下記の合成スキーム(scheme)によって構造式4で表される化合物を合成した。
【化11】
【0045】
(E)-N-((Z)-2-Bromo-3-(phenylamino)allylidene)benzenaminium bromide(1)。
【0046】
ムコブロム酸(Mucobromic acid)(5.940g、23.04mmol)をエタノール(40mL)に溶解させた後、10分以上エタノール(20mL)で希釈したアニリン(4.286g、4.2mL、46.1mmol)を滴下した。
【0047】
反応槽を激しく攪拌して、40℃まで徐々に加熱した。アニリンの滴下を完了した後、反応が終了していないことを示す二酸化炭素(CO2)がさらに生成された。二酸化炭素の放出を完了後、黄金-茶色反応混合物を氷槽(ice bath)で冷凍させた。明るい黄色固体が沈殿するまでに低温で攪拌しつつ、ジエチルエーテル(50mL)を添加した。生成された固体を濾過し、エーテルで洗浄しており、乾燥した後、精製せずに後続反応で使用した。
【0048】
収率(Yield)75%;融点(mp)189℃~191℃;1H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ7.330(t、J=7.2Hz、2H)、7.496(t、J=8Hz、4H)、7.708(d、J=8Hz、4H)、9.559(s、2H)、11.513(s、2H);13C NMR(100MHz、DMSO-d6):d89.3、119.5、123.9、126.0、129.2、129.6、138.5、157.4。
【化12】
【0049】
2,3,3-Trimethyl-1-[3-(trimethylammonio)propyl]-3H-indolium-5-sulfonate dibromide(2)。
【0050】
2,3,3-トリメチル-3H-インドール-5-スルホン酸(2,3,3-trimethyl-3H-indole-5-sulfonic acid)(7.17g、36.4mmol)と、(3-ブロモプロピル)トリメチルアンモニウムブロム化物((3-bromopropyl)trimethyl ammonium bromide)(10.5g、40mmol)の混合物のトルエン(60mL)溶液を窒素雰囲気下で、72時間、130℃で加熱した。混合物を室温まで冷却して、溶媒を注いた。粗生成物(crude product)をメタノール及びMTBEから結晶化し、桃色結晶を得て、これをさらに精製せずに後続段階で使用した。
【0051】
収率(Yield)81%;融点(mp)232℃~235℃;1H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ1.56(s、6H)、2.51(s、3H)、3.07(m、2H)、3.12(s、9H)、3.62(t、J=7.2Hz、2H)、4.50(t、J=7.2Hz、2H)、7.71(d、J=8.0Hz、1H)、7.79(d、J=8.0Hz、1H)、8.01(s、1H)。13C NMR(100MHz、DMSO-d6):δ15.0、21.6、22.3、45.2、53.1、55.0、62.4、115.4、121.2、126.8、141.3、142.0、149.9、199.1。C
17H
27N
2O
3S[M]+に対するHRMS(ESI)m/z計算値339.1740、m/z実測値339.1742。
【化13】
【0052】
2-((1E,3Z)-3-bromo-5-((E)-3,3-dimethyl-5-sulfonato-1-(3-(trimethylammonio)propyl)indolin-2-ylidene)penta-1,3-dien-1-yl)-3,3-dimethyl-1-(3-(trimethylammonio)propyl)-3H-indol-1-ium-5-sulfonate bromide(3)。
【0053】
無水酢酸(acetic anhydride)(8mL)と酢酸ナトリウム(sodium acetate)(4mol eq)の存在下、70℃で、N-ヘテロサイクリク4級アンモニウム部分2(N-heterocyclic quaternary ammonium moiety2)(2mol eq)を有する、置換された2,3,3-トリメチルインドレニン塩(Substituted 2,3,3-trimethyl indolenine salts)をブロム化メチン試薬1(1mol eq)と反応させた。
【0054】
メタノール中のUV-Vis-NIR吸収分光法及びLC-MSを利用して反応をモニタリングした。2~4時間後、反応を完了した。溶媒を真空下で除去した。粗物質(crude material)をメタノールと水の勾配溶媒組成を利用したフルカ(Fluka)シリカゲル90ÅC18逆相クロマトグラフィーを用いて精製して、高純度の最終化合物を得た。
【0055】
収率(Yield)77%;融点(mp)252℃~254℃;1HNMR(400MHz、DMSO-d6):δ2.05(s、12H)、2.71(t、J=7.6Hz、4H)、3.47(s、18H)、3.86(tt、J=7.6Hz、7.2Hz、4H)、4.64(t、J=7.2Hz、4H)、6.78(d、J=13.2Hz、2H)、7.73(d、J=8.0Hz、2H)、8.21(d、J=8Hz、2H)、8.25(s、2H)、8.56(d、J=13.2Hz、2H);13CNMR(100MHz、DMSO-d6)、δ:20.3、26.3、40.6、49.7、52.3、63.6、103.0、110.2、116.4、119.1、126.6、140.3、141.3、142.5、150.6、176.7。理論的組成:(x3H
2O):C(47.95%)、H(6.31%)、N(6.05%);実際組成:C(47.46%)、H(6.48%)、N(6.05%);[C
37H
52BrN
4O
6S
2]+に対するHRMS(ESI)m/z理論値792.8822、m/z実測値792.8854。
【化14】
【0056】
3-(4-((1E,3Z,5E)-1-(3,3-dimethyl-5-sulfonato-1-(3-(trimethylammonio)propyl)-3H-indol-1-ium-2-yl)-5-(3,3-dimethyl-5-sulfonato-1-(3-(trimethylammonio)propyl)indolin-2-ylidene)penta-1,3-dien-3-yl)phenyl)propanoate(5)。
【0057】
ブロモ染料前駆体3(1.0mmol)と、3-(4-ボロノフェニル)プロピオン酸(3-(4-boronophenyl)propanoic acid)4(1.8mmol)の水溶液を72時間、Pd(PPh3)4(0.065mmol)の存在下で、還流下に加熱した。
【0058】
ブロモロシアニン(bromorocyanine)の吸収が消滅するまで、メタノールで希釈した分取量をもって、可視/近赤外線分光法により反応進行をモニタリングした。
【0059】
次いで、反応混合物を室温で冷凍させて、H2Oを減圧下で除去した。固体をMeOH/アセトンで沈殿させて分離し、沈殿物をアセトンでさらに洗浄した。
【0060】
開放-逆相コラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水で溶離)を用いて、最終蛍光物質を得た。
【0061】
収率(Yield)72%;融点(mp)>260℃;λmax=645nm in H2O;1H NMR(DMSO-d6)、δ:1.78(s、12H)、1.99(br s、4H)、2.65(br s、2H)、2.93(br s、2H)、3.08(s、18H)、3.25(br s、4H)、3.84(br s、4H)、5.65(d、J=7.0Hz、2H)、7.27(d、J=3.8Hz、2H)、7.35(d、J=4.2Hz、2H)、7.42(d、J=4.0Hz、2H)、7.60(d、J=4.2Hz、2H)、7.87(s、1H)、8.54(d、J=7.0Hz、2H)、12.33(s、1H);13C NMR(100MHz、D2O、70℃)、δ:21.16、27.51、32.25、39.42、41.30、49.82、53.84、63.95、102.87、111.37、120.49、127.51、129.92、130.67、133.25、137.19、141.23、142.04、143.57、155.23、175.21、181.88;C46H60N4O8S2に対するHRMS(TOF MS ES+)m/z理論値860.3853[M]+、m/z実測値862.4038[M+2H]+。
【0062】
化合物5に-NH-CH2-(CH2-O-CH2)4-CH2-C(=O)-NHSを導入して、構造式4で表される化合物を得た。
【0063】
【0064】
【0065】
図1には、構造式4で表される化合物のUPLC(Ultra-Performance Liquid Chromatography)分析結果が示されている。
【0066】
UPLC分析
UPLC:ウォーターズ(WATERS)。
カラム(Column):HSS C18 SB 1.8mm 2.1×50mm。
勾配(Gradient):3分以上、5~50%メタノールで行う。
【0067】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想や必須特徴を変更せずに、他の具体的な形態に実施できることを理解することができる。よって、以上に記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。
【産業上利用可能性】
【0068】
発明は、生体物質と連結し得る両性蛍光物質を提供する。
【0069】
前記両性蛍光物質は、下記の構造式1で表される化合物のうち少なくとも一つを含む。
【0070】
【0071】
上記構造式1において、Lは、明細書に定義したとおりである。
【国際調査報告】