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特表2023-513340事象ベースの画像センサのアレイからの事象の読み出し及び画素回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】事象ベースの画像センサのアレイからの事象の読み出し及び画素回路
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/47 20230101AFI20230323BHJP
   H04N 25/77 20230101ALI20230323BHJP
【FI】
H04N25/47
H04N25/77
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548751
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2021053551
(87)【国際公開番号】W WO2021160859
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/976,868
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520207608
【氏名又は名称】プロフェシー
【氏名又は名称原語表記】PROPHESEE
【住所又は居所原語表記】74 rue du Faubourg Saint Antoine, 75012 PARIS, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マトリン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フィナテウ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオーニ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ポッシュ,クリストフ
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CY45
5C024GX03
5C024GX15
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX17
5C024HX27
5C024HX29
5C024HX51
(57)【要約】
回路は、事象視覚センサのラインの画素に電気的に結合された選択回路を含む。選択回路は、ラインのアクティブな画素からアクティブ化信号を受信し、アクティブ化信号の受信に応答してアクノリッジ信号を生成し、アクノリッジ信号をラインの画素に送信するように構成される。回路はまた、ラインの画素のうち選択回路までの距離が最も長い画素に電気的に結合される制御回路を含む。制御回路は、選択回路からアクノリッジ信号を受信し、アクノリッジ信号の受信に応答してプロセス読み出し信号を生成するように構成される。回路はまた、ラインの画素に電気的に結合されたインターフェース回路であって、プロセス読み出し信号を受信した後に、選択回路、制御回路、及びラインの画素のリセットを引き起こすように構成されたインターフェース回路を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象視覚センサの画素からデータをサンプリングするための回路であって、
前記事象視覚センサのラインの画素に電気的に結合された選択回路であって、
前記ラインのアクティブな画素からアクティブ化信号を受信し、
前記アクティブ化信号の受信に応答してアクノリッジ信号を生成し、
前記アクノリッジ信号を前記ラインの画素に送信するように構成され、ここで前記ラインの各画素は、前記アクノリッジ信号の受信時にその画素がアクティブであるときに、要求読み出し信号を生成するよう構成される、選択回路と、
前記ラインの画素のうち、前記選択回路までの距離が最も長い画素に電気的に結合された制御回路であって、
前記選択回路から前記アクノリッジ信号を受信し、
前記アクノリッジ信号の受信に応答してプロセス読み出し信号を生成するように構成された制御回路と、
前記ラインの画素に電気的に結合されたインターフェース回路であって、前記プロセス読み出し信号を受信した後に、前記選択回路、前記制御回路、及び前記ラインの画素をリセットさせるように構成されたインターフェース回路と
を含む回路。
【請求項2】
前記インターフェース回路が、前記プロセス読み出し信号の受信に応答して、ロード信号を生成するようにさらに構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記インターフェース回路と前記選択回路に電気的に結合された読み出しコントローラであって、前記インターフェース回路からの前記ロード信号の受信に応答して、前記選択回路、前記制御回路、及び前記ラインの画素をリセットするように構成された読み出しコントローラ、
をさらに備える、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記ラインの画素が前記アクノリッジ信号を受信したときに、前記画素によって決定された時間的コントラストが閾値を超える場合に、前記要求読み出し信号が前記画素によって生成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記要求読み出し信号が、前記時間的コントラストの正の変化を示す第1のステータスと、前記時間的コントラストの負の変化を示す第2のステータスとを含む、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記インターフェース回路が、前記要求読み出し信号の受信に応答して、前記要求読み出し信号を生成した画素からデータ信号を受信するようにさらに構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記ラインの画素及び前記選択回路に電気的に結合されたアドレス符号化回路であって、前記選択回路からの前記アクノリッジ信号の受信に応答して、前記要求読み出し信号を生成した画素に対するアドレス信号を生成するように構成されたアドレス符号化回路、
をさらに備える、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記インターフェース回路及び前記アドレス符号化回路に電気的に結合されたフォーマット回路であって、
前記インターフェース回路から前記データ信号を、前記アドレス符号化回路から前記アドレス信号を受信し、
前記データ信号及び前記アドレス信号を用いて出力データを生成する、
ように構成されたフォーマット回路、
をさらに備える、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記インターフェース回路及び前記ライン選択回路に電気的に結合されたタイマ回路であって、
前記アクティブ化信号の受信に応答して前記選択回路によって生成された開始信号を受信し、
前記開始信号を受信したタイムスタンプからの時間間隔が閾値時間を超えた後、前記インターフェース回路によってデータ信号が受信されない場合、前記選択回路、前記制御回路、及び前記ラインの画素をリセットする、
ように構成されたタイマ回路、
をさらに備える、請求項6~8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記読み出しコントローラが前記タイマ回路を含む、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
前記制御回路が、
前記ラインのすべての画素が前記アクノリッジ信号を受信した後に前記アクノリッジ信号を受信する、
ようにさらに構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
前記アクノリッジ信号を受信するとき、前記ラインのどの画素もアクティブでない、請求項1~10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
前記アクティブ化信号が、前記アクティブな画素の感光素子によって、前記感光素子に入射する光の輝度に応答して生成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
前記アクティブな画素によって決定された時間的コントラストが閾値を超えたときに、前記アクティブな画素によって前記アクティブ化信号が生成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
事象視覚センサの画素からデータをサンプリングするための回路であって、
前記事象視覚センサのラインの画素に電気的に結合されたライン選択回路であって、
前記ラインのアクティブな画素からアクティブ化信号を受信し、
前記アクティブ化信号の受信に応答してアクノリッジ信号及び開始信号を生成し、
前記アクノリッジ信号を前記ラインの画素に送信するように構成され、ここで前記ラインの各画素は、前記アクノリッジ信号の受信時に前記画素がアクティブであるときに、要求読み出し信号を生成するように構成される、ライン選択回路と、
前記ラインの画素に電気的に結合されたインターフェース回路であって、前記要求読み出し信号の受信に応答して、前記要求読み出し信号を生成した画素からデータ信号を受信するように構成されたインターフェース回路と、
前記インターフェース回路及び前記ライン選択回路に電気的に結合されたタイマ回路であって、
前記ライン選択回路から前記開始信号を受信し、
前記開始信号を受信したタイムスタンプからの時間間隔が閾値時間を超えた後に前記インターフェース回路によってデータ信号が受信されない場合、前記ライン選択回路及び前記ラインの画素をリセットさせるように構成される、タイマ回路と
を備える回路。
【請求項16】
前記インターフェース回路及び前記ライン選択回路に電気的に結合された読み出しコントローラであって、前記開始信号を受信したタイムスタンプからの前記時間間隔が前記閾値時間を超えた後に前記インターフェース回路によってデータ信号が受信されない場合、前記ライン選択回路、前記制御回路、及び前記ラインの画素をリセットするように構成された読み出しコントローラ、
をさらに備える、請求項15に記載の回路。
【請求項17】
前記読み出しコントローラが前記タイマ回路を含む、請求項16に記載の回路。
【請求項18】
前記ラインの画素及び前記ライン選択回路に電気的に結合されたアドレス符号化回路であって、前記ライン選択回路からの前記アクノリッジ信号の受信に応答して前記要求読み出し信号を生成した画素に対するアドレス信号を生成するように構成されたアドレス符合化回路、
をさらに備える、請求項15~17のいずれか一項に記載の回路。
【請求項19】
前記インターフェース回路及び前記アドレス符号化回路に電気的に結合されたフォーマット回路であって、
前記インターフェース回路から前記データ信号を、前記アドレス符号化回路から前記アドレス信号を受信し、
前記データ信号及び前記アドレス信号を用いて出力データを生成する、
ように構成されたフォーマット回路、
をさらに備える、請求項18に記載の回路。
【請求項20】
前記ラインの画素が前記アクノリッジ信号を受信したときに、前記画素によって決定された時間的コントラストが閾値を超える場合に、前記要求読み出し信号が前記画素によって生成される、請求項15に記載の回路。
【請求項21】
前記要求読み出し信号が、前記時間的コントラストの正の変化を示す第1のステータスと、前記時間的コントラストの負の変化を示す第2のステータスとを含む、請求項20に記載の回路。
【請求項22】
前記アクティブ化信号が、前記アクティブな画素の感光素子によって、前記感光素子に入射する光の輝度に応答して生成される、請求項15~21のいずれか一項に記載の回路。
【請求項23】
前記アクティブ化信号が、前記アクティブな画素によって決定される時間的コントラストが閾値を超える場合に前記アクティブな画素によって生成される、請求項15~21のいずれか一項に記載の回路。
【請求項24】
画像センサで使用するための画素回路であって、
比較器であって、前記比較器の入力信号が第1の条件に一致すると、第1の要求読み出し信号を生成するように構成され、前記入力信号は、感光素子に入射する光の輝度に応答して前記感光素子から生成される、比較器と、
第1のセット入力、第1のリセット入力、及び第1の出力を含む第1のラッチ回路であって、前記第1のリセット入力及び前記第1の出力はインターフェース回路に電気的に結合され、前記第1のセット入力は前記比較器に電気的に結合され、前記第1のラッチ回路は、
前記比較器から前記第1のセット入力によって前記第1の要求読み出し信号を受信し、
前記第1の要求読み出し信号を前記インターフェース回路に出力し、
前記第1のセット入力をロックして信号を受信せず、
前記第1のリセット入力によって前記インターフェース回路からアクノリッジ信号を受信することに応答して前記第1のセット入力をリセットして新たな信号を受信する、
ように構成された第1のラッチ回路と
を備える画素回路。
【請求項25】
前記比較器が、前記比較器の前記入力信号が第2の条件に一致するとき、第2の要求読み出し信号を生成するようにさらに構成される、請求項24に記載の画素回路。
【請求項26】
第2のセット入力、第2のリセット入力、及び第2の出力を含む第2のラッチ回路であって、前記第2のリセット入力及び前記第2の出力はインターフェース回路に電気的に結合され、前記第2のセット入力は前記比較器に電気的に結合され、前記第2のラッチ回路は、
前記比較器から前記第2のセット入力によって前記第2の要求読み出し信号を受信し、
前記第2の要求読み取り信号を前記インターフェース回路に出力し、
前記第2のセット入力をロックして信号を受信せず、
前記第2のリセット入力によって前記インターフェース回路からアクノリッジ信号を受信することに応答して、前記第2のセット入力をリセットして新たな信号を受信する、
ように構成された第2のラッチ回路
をさらに備える、請求項25に記載の画素回路。
【請求項27】
前記第1の条件が、前記入力信号によって示される時間的コントラストが第1の閾値を超えることを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項28】
前記第2の条件が、前記入力信号によって示される前記時間的コントラストが第2の閾値を超えることを含む、請求項27に記載の画素回路。
【請求項29】
前記第1の要求読み出し信号が、前記時間的コントラストの正の変化を表し、前記第2の要求読み出し信号が、前記時間的コントラストの負の変化を表す、請求項28に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月14日に提出された米国仮特許出願第62/976,868号に付与された優先権を主張し、その内容は、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、事象ベースの視覚感知の分野、並びに事象を処理するためのシステム及び方法に関する。より具体的には、限定はしないが、本開示は、事象ベースの画像感知のための事象アレイ読み出し制御に関する。本明細書に開示されるセンサ及び技術は、セキュリティシステム、自律走行車、及び迅速かつ効率的な動き又は事象の検出から恩恵を受ける他のシステムなどの様々な用途及びビジョンシステムにおいて使用することができる。
【背景技術】
【0003】
現行の画像センサは、シーンのデジタル画像をキャプチャするために、半導体電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、N型金属酸化膜半導体(NMOS)センサ、又は他のセンサを構成する複数の画素を使用する。しかしながら、従来の画像センサは、各フレームがシーンのフル画像としてキャプチャされるので、急な動きの検出に時間がかかる。さらに、このような画像センサは、大量のデータを生成し、キャプチャされた画像から、例えば、動き情報をふるい分けるために必要な後処理の量を指数関数的に増大させる。
【0004】
多くの既存技術は、フル画像をキャプチャする画像センサによって提供される膨大な詳細を必要としない。例えば、セキュリティシステム又は他の類似のシステムは、動きデータにのみ関心があり、動きのない画像の部分には関心がない場合がある。別の例では、自律走行車は、人間の知覚時間(一般に1秒以下のオーダー)に匹敵する判断を下すために、キャプチャしたデータを迅速かつ効率的に処理する必要がある。このような効率は、状況に関連するキャプチャしたデータの部分を得るために、大量のデータを(例えば、後処理によって)廃棄しなければならない場合に制限される。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、事象視覚センサの画素からデータをサンプリングするための回路を提供する。回路は、選択回路と、制御回路と、インターフェース回路とを含み得る。選択回路は、事象視覚センサのラインの画素に電気的に結合されてもよい。選択回路は、ラインのアクティブな画素からアクティブ化信号を受信し、アクティブ化信号の受信に応答してアクノリッジ信号を生成し、アクノリッジ信号をラインの画素に送信するように構成されてもよく、ここでラインの各画素は、アクノリッジ信号の受信時にその画素がアクティブであるときに、要求読み出し信号を生成するよう構成される。制御回路は、ラインの画素のうち、選択回路までの距離が最も長い画素に電気的に結合されてもよい。制御回路は、選択回路からアクノリッジ信号を受信し、アクノリッジ信号の受信に応答してプロセス読み出し信号を生成するように構成されてもよい。インターフェース回路は、ラインの画素に電気的に結合され、プロセス読み出し信号を受信した後に、選択回路、制御回路、及びラインの画素をリセットさせるように構成されてもよい。
【0006】
本開示の実施形態は、事象視覚センサの画素からデータをサンプリングするための回路を同じく提供する。回路は、ライン選択回路、インターフェース回路、及びタイマ回路を含み得る。ライン選択回路は、事象視覚センサのラインの画素に電気的に結合されてもよい。ライン選択回路は、ラインのアクティブな画素からアクティブ化信号を受信し、アクティブ化信号の受信に応答してアクノリッジ信号及び開始信号を生成し、アクノリッジ信号をラインの画素に送信するように構成されてもよく、ここでラインの各画素は、アクノリッジ信号の受信時にその画素がアクティブであるときに、要求読み出し信号を生成するように構成される。インターフェース回路は、ラインの画素に電気的に結合されてもよい。インターフェース回路は、要求読み出し信号を受信したことに応答して、要求読み出し信号を生成した画素からデータ信号を受信するように構成されてもよい。タイマ回路は、インターフェース回路及びライン選択回路に電気的に結合されてもよい。タイマ回路は、ライン選択回路から開始信号を受信し、開始信号を受信したタイムスタンプからの時間間隔が閾値時間を超えた後にインターフェース回路によってデータ信号が受信されない場合、ライン選択回路及びラインの画素をリセットさせるように構成されてもよい。
【0007】
本開示の実施形態は、画像センサで使用するための画素回路をさらに提供する。画素回路は、比較器と、第1のラッチ回路とを含み得る。比較器は、比較器の入力信号が第1の条件に一致すると、第1の要求読み出し信号を生成するように構成されてもよく、入力信号は、感光素子に入射する光の輝度に応答して感光素子から生成される。第1のラッチ回路は、第1のセット入力、第1のリセット入力、及び第1の出力を含んでもよく、第1のリセット入力及び第1の出力はインターフェース回路に電気的に結合され、第1のセット入力は比較器に電気的に結合される。第1のラッチ回路は、比較器から第1のセット入力によって第1の要求読み出し信号を受信し、第1の要求読み出し信号をインターフェース回路に出力し、第1のセット入力をロックして信号を受信せず、第1のリセット入力によってインターフェース回路からアクノリッジ信号を受信することに応答して第1のセット入力をリセットして新たな信号を受信するように構成されてもよい。
【0008】
本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、その記載とともに、開示された実施形態の原理及び特徴を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素の例示的なアーキテクチャの概略図である。
図2】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素のための読み出しインターフェースの例示的なアーキテクチャの概略図である。
図3】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのための例示的な回路の概略図である。
図4】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのための別の例示的な回路の概略図である。
図5】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素のための別の読み出しインターフェースの例示的なアーキテクチャの概略図である。
図6】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのためのさらに別の例示的な回路の概略図である。
図7】本開示の実施形態による、図6におけるプロトコル制御回路の例示的なアーキテクチャの概略図である。
図8】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの読み出し回路のための信号タイミング図の概略図である。
図9】本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのチップトップ回路設計の例示的なアーキテクチャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、非同期、時間ベースの感知を含む視覚感知のためのシステム及び方法に関する。開示される実施形態はまた、事象ベースの視覚感知のための事象アレイ読み出しアーキテクチャ及び制御に関する。有利には、例示的な実施形態は、高速かつ効率的な感知を提供することができる。本開示の実施形態は、セキュリティシステム、自律走行車、及び迅速かつ効率的な動き又は事象の検出から利益を得る他のシステムなど、様々な用途及びビジョンシステムにおいて実装及び使用され得る。本開示の実施形態は、概ねビジョンシステムを参照して記載されるが、そのようなシステムは、カメラ、LIDAR、又は他のセンサシステムの一部であり得ることが理解されよう。
【0011】
現行の画像又はビデオ処理システムにおいて、画像センサは、画像を再構成するために視覚情報を取得し、処理し得る。画像又はビデオ取得及び処理システムは、光センサのアレイを含むことができ、そのそれぞれは、視覚シーンの画像表現を再構成するために、視覚情報を取得し得る。このプロセスは、所定のペースで繰り返されてもよい。
【0012】
事象ベース(EB)視覚センサは、相対的な光変化の時間的発展を追跡するために、プリセットされた相対的閾値を超える時間的コントラストを画素ごとに検出し(コントラスト検出、CD)、絶対強度のフレームフリー画素レベル測定(露出測定、EM)用のサンプリングポイントを定めることができる。EBセンサは、記録データの時間精度、時間的冗長性の抑制による後処理コストの低減、及びシーン内の広いダイナミックレンジ動作のおかげで、高速かつ低消費電力のマシンビジョンアプリケーションで人気を博している。時間的コントラスト(CD)情報は、画素のX、Y座標、タイムスタンプ、及びコントラスト極性を含むデータパケットである「事象」の形で符号化することができる。高い時間精度で視覚情報をサンプリングする個々の画素の能力から最大限の利益を得るために、事象のタイミングを保持するために、早期のタイムスタンプと高い読み出しスループットが重要になり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、リアルタイム人工視覚(「コンピュータビジョン」又は「マシンビジョン」とも呼ばれる)のために、視覚取得及び処理システムは、以前に取得した視覚情報に対する現在の視覚情報の変化を表すデータのみを取得及び処理するように構成することができる。そのようなセンサ又は視覚システムは、画像のフレームを生成しないことがある。そのような視覚センサは、例えば、時間的コントラスト(TC)センサ、コントラスト検出(CD)センサ、又は動的視覚センサ(DVS)を含み得る。このようなセンサは、本開示において「事象ベースの視覚センサ」と呼ばれる。
【0014】
例えば、TCセンサは、現行の画像システムのようにフレームごとに画像を記録しない。その代わりに、TCセンサの各画素は、それが感知する光の時間微分を決定することができる。いくつかの実施形態では、任意選択的に、画素は、さらに時間微分に対して何らかの処理を行うことができる。時間微分がプリセットされた閾値を超えると、画素は信号を出力することによって「事象」を生成することができる。短い待ち時間で、画素は、事象に関連するデータをさらに送信することができる。いくつかの実施形態において、送信されたデータは、TCセンサ(例えば、2次元画素マトリックスを有する)内に位置する画素の位置(例えば、x座標及びy座標)を含むことができる。いくつかの実施形態では、送信されたデータは、画素によって感知された光強度の時間的発展の極性を表す符号ビット(例えば、正又は負の符号)と共に含むことができる。いくつかの実施形態では、送信されたデータは、事象の発生のタイムスタンプを含むことができる。いくつかの実施形態では、画素の送信されたデータは、(x、y、s)値のフローを含むことができ、ここで、x及びyは画素の座標を表し、sは極性を表す。sの値は、画素によって検出された光強度の相対的な変化を表し得、その際、sの値は変化の大きさを表すことができ、sの符号は変化の方向(例えば、増加又は減少)を表すことができる。典型的には、TCセンサの画素回路は、非同期的に動作し得る。すなわち、TCセンサの画素回路は、典型的には、時間ベースに対して量子化されない(例えば、クロックされない)。
【0015】
事象ベースの視覚センサ(例えば、TCセンサ)は、データ読み出しのためにアドレス-事象-表現読み出し(AER)を使用することができる。いくつかの実施形態では、AERは、画素と事象ベースの視覚センサの読み出し周辺部との間でハンドシェイクプロトコル(例えば、同期又は非同期ハンドシェイクプロトコル)を使用することができる。いくつかの実施形態では、AERは、読み出しシステムの後段に配置することができる。いくつかの実施形態では、AERは、事象ベースの視覚センサのチップと外部データレシーバとの間に配置することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、事象の読み出しサイクルは、2つの別個のハンドシェイクサイクルを含むことができる。例えば、画素は、行選択のために行方向読み出し周辺部に要求信号を送信することができる。さらに、又は任意選択的に、行アクノリッジ信号(例えば、成功した行選択を意味する)を受信した後、画素は、読み出し周辺部の列方向に要求信号を送信することができる。画素によって事象を出力するための読み出しサイクルは、画素が列アクノレッジ信号(例えば、成功した列選択を意味する)を受信すると終了し得る。いくつかの実施形態では、行アクノレッジ信号を受信した後、読み出しサイクルは終了してもよい(すなわち、画素は、読み出し周辺部の列方向への要求信号を送信しないか、又は列アクノレッジ信号を待たない)。
【0017】
本開示において、「行」及び「列」は、読み出し周辺部の2つの異なる次元を指し、その命名は任意である。読み出し周辺部の両方の次元は、読み出し周辺部の機能を変えることなく入れ替えることができる。以下、説明を容易にし、曖昧さを生じさせないために、画素によってアクセスされる第1及び第2の次元をそれぞれ「行」及び「列」と呼び、それぞれ次元指定子「Y」及び「X」で指定される。
【0018】
場合によっては、読み出しのための行を選択するために、2つ以上の画素が同時に行方向読み出し周辺部にアクセスすることがある。それらの場合、アービタ回路を使用して、要求に優先順位を付けることができる。いくつかの実施形態において、アービタは、通信のためのハンドシェークアプローチを使用する非同期論理回路又は同期(例えば、クロック)論理回路として実装することができる。いくつかの実施形態では、アクティブな行選択のシーケンスを制御するために、単純なスキャナを使用することができる。
【0019】
ハンドシェイクプロトコル(例えば、同期又は非同期ハンドシェイクプロトコル)を実装する読み出しを有する事象視覚センサ(例えば、TCセンサ)については、読み出しシステムにおける要求が確認されない場合に読み出しがブロックされ、ハンドシェイクプロトコルを停止させ得るリスク(「読み出しロックリスク」又は「読み出しロック問題」と称される)が依然として存在している。例えば、これは、画素が時間的コントラスト事象を検出し、対応する行要求(reqY)信号を生成するが、行アクノリッジ(ackY)信号が読み出し周辺部によって生成される前に、時間的コントラスト事象が消滅する(例えば、画素の光入力が検出閾値を超えたことに関連する電圧信号が検出閾値を下回り、比較器が非アクティブ状態にスイッチバックする)場合に起こり得る。このような場合、画素は列要求(reqX)信号を生成することができず(時間的コントラスト事象が消滅するため)、読み出しシステムは事象読み出しシーケンスの途中でフリーズする(すなわち、読み出しシステムは画素が要求信号生成プロトコルを完了するまで待つ)。同じ行の画素の1つに新しい事象が発生し、システムのロックが解除される可能性がある前に、事象ベースの視覚センサのすべての画素の読み出しが不定の時間停止される可能性がある。この好ましくない挙動により、デバイスが一時的に機能しなくなり、データが失われる可能性がある。
【0020】
本開示の一態様によれば、上記のリスク及び欠点に対処する、事象ベースの視覚センサ用の読み出しシステムが記載される。事象ベースの視覚センサは、複数の画素を有し得る。本明細書で使用される際、「画素」は、光を電気信号に変換するセンサの最小の素子を指す。また、本明細書で開示される際、画素は、感知システムに適した任意のサイズ及び形状のアレイで提供されてもよい。
【0021】
図1は、本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素100の例示的なアーキテクチャの概略図である。いくつかの実施形態において、画素は、感光素子102を含み得る。例えば、感光素子102は、フォトダイオード(例えば、p-n接合又はPIN構造)又は光104を電気信号に変換するように構成された任意の他の素子を含み得る。感光素子102は、感光素子102に衝突する光104の強度に比例する電流Iphを生成し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、各画素は、感光素子102に接続された光信号変換器(図1には示されていない)をさらに含み得る。光信号変換器は、感光素子102に衝突する光の強度に線形に比例する電流信号を第1の出力に提供し、感光素子102に衝突する光104の強度と対数である電圧信号を第2の出力に提供するように構成されてもよい。例えば、光信号変換器は、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタ、又は電子信号を増幅又は切り替えるように構成された他の任意の3端子回路要素など、複数のトランジスタ(図1には示されていない)を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、各画素は、検出器(図1には示されていない)をさらに含み得る。検出器は、光信号変換器の第2の出力の電圧信号に比例する検出器の信号が閾値を超えたときに、自律的に且つ他の画素の検出器から独立して、トリガ信号を生成するように構成されてもよい。例えば、検出器は、1つ又は複数の電圧比較器と、制御信号の受信時にリセットし、閾値を超えたときにトリガ信号を送信するように配置された1つ又は複数のコンデンサとを含み得る。本開示では、様々な形態のコンデンサを使用することができる。例えば、コンデンサは、任意選択的にその間に誘電体を有する2つの平行(又は実質的に平行)プレートを含むディスクリートデバイスであってもよく、又は回路ノードに存在する寄生容量(例えば、他の回路要素の半導体実装に起因する)であってもよい。金属-酸化膜-半導体(MOS)コンデンサ、金属-絶縁体-金属(MiM)コンデンサ、金属フリンジコンデンサ、トレンチコンデンサ、又はそれらに類するものなど、他の形態のコンデンサも可能である。
【0024】
さらなる例として、図1に示すように、画素100は、感光素子102(例えば、部分的にピン留めされたフォトダイオード)、サブスレッショルドMOSベースの対数光電流-電圧変換器106(図1において「log I/V変換器106」として示される)、非同期のデルタ変調又は「レベル交差」サンプラ108(図1において「ADM108」として示される)、電圧比較器110(例えば、両極性用)、ADM制御を有するロジック(図1において、ISL112とADM108との間に「CTRLADM」として示される)、及び読み出し周辺部へのインターフェース及び状態ロジック(図1において「ISL112」として示される)を含む。
【0025】
図2は、本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素のための読み出しインターフェース200の例示的なアーキテクチャの概略図である。読み出しインターフェース200は、図1のインターフェース及び状態ロジック又はISL112を実装するために使用することができる。いくつかの実施形態では、事象ベースの視覚センサの各画素は、読み出しインターフェース200と同様の読み出しインターフェースを含むことができる。
【0026】
読み出しインターフェース200は、すべての画素に少なくとも1つのメモリ素子(例えば、ラッチ)を追加することによって、読み出しロックリスクを軽減し得る。メモリ素子は、画素によって検出された時間的コントラストの各事象を直ちに「ロック」することができる。このロックは、同じ画素が受信した対応するアクノリッジ信号によってのみ解除することができる。このロックは、そこに入射する光信号のさらなる変化を検出する同じ画素によって解除されることはなく、同じ画素の要求生成プロトコルの完了を確実にすることができる。
【0027】
図2の例示的な実施形態に示すように、読み出しインターフェース200は、2つの入力ラッチ202及び204を含む。いくつかの実施形態では、入力ラッチ202及び204は、比較器のスイッチング(例えば、図1の電圧比較器110のスイッチング)が遅い場合に電力を低減することができる。いくつかの実施形態では、入力ラッチ202及び204は、リンギングをさらに防止又は低減することができる。いくつかの実施形態において、入力ラッチ202及び204は、それぞれゲート付きラッチ206及び208と関連付けられる。ゲート付きラッチ206及び208は、遅い要求生成又は事象損失を防止することができる。いくつかの実施形態では、読み出しインターフェース200の入力ラッチ202及び204は、事象を有する画素のみを格納することができる。
【0028】
入力ラッチ202及び204のそれぞれは、SET入力(「S」として表される)及びRESET入力(「R」として表される)を含み得る。第1の入力ラッチ202は、そのSET入力が、時間的コントラストの正の極性(図1~2において「CON」として表される)を検出する比較器(例えば、図1の電圧比較器110)の第1の出力に電気的に結合されていてもよい。第2の入力ラッチ204は、そのSET入力が、時間的コントラストの負の極性(図1~2において「COFF」として表される)を検出する比較器(例えば、図1の電圧比較器110)の第2の出力に電気的に結合されていてもよい。時間的コントラストが検出され、比較器の出力(例えば、CON又はCOFF)の1つがアクティブにされると、対応するラッチ(例えば、第1の入力ラッチ202又は第2の入力ラッチ204)はその状態を変更し得る。CONがアクティブにされると、第1の入力ラッチ202は、行選択のためにその出力(「Q」として表される)を介して正の極性を示す行要求信号(図2において「reqY ON」として表される)を送信し得る。COFFがアクティブにされると、第2の入力ラッチ204は、行選択のために、その出力(「Q」として表される)を介して、負の極性を示す行要求信号(図2において「reqY OFF」として表される)を送信し得る。行選択が成功した後、行選択回路(例えば、図3の行選択回路302)は、アクノリッジ信号(図2において「ackY」と表される)を読み出しインターフェース200(例えば、両方の入力ラッチ202及び204に)に送信することができる。ackYを受信した後、読み出しインターフェース200は、入力ラッチ202及び204にロックされた事象を送信するようにトリガされることができる。例えば、CONがアクティブにされ、reqY ONが送信されると、第1の入力ラッチ202は、そのロックされた事象(図1~2において「reqX ON」として表される)を送信することができる。別の例として、COFFがアクティブにされ、reqY OFFが送信されると、第2の入力ラッチ204は、そのロックされた事象を送信することができる(図1~2において「reqX OFF」として表される)。読み出しが進行中のとき(例えば、入力ラッチ202又は204の少なくとも1つがそのロックされた事象を送信しているとき)、読み出しインターフェース200は、ackYによってトリガされて、それらの有効化入力(「E」として表される)を介して入力ラッチ202及び204の両方を無効化する信号をアクティブにして事象損失を防止するためにCON及びCOFF経路を無効にし得る。読み出しを完了した後、次に読み出しインターフェース200は、両方の入力ラッチをリセットするために、2つの入力ラッチ202及び204のRESET入力(「R」で表される)に対する制御信号(図1~2において「CTRLADM」として示される)をアクティブにするようにトリガされることができる。CONやCOFFの変更は、入力ラッチ202及び204のリセットに何ら影響を及ぼさない。
【0029】
図3は、本開示の一実施形態による、事象ベースの視覚センサのための例示的な回路300の概略図である。回路300は、画素のアレイを含み、その座標は、(0、0)、(1、0)、...(M、N)によって表される。画素のそれぞれ(例えば、座標(m、n)における画素)は、画素に電気的に結合された行選択回路302に行要求信号(図3において「reqY」と表される)を送信し、行選択回路302から行選択アクノリッジ信号(図3において「ackY」と表される)を受信し得る。ackYを受信した後、画素はさらに、データ読み出しをアクティブにするために、インターフェースセルへの列要求信号(図3において「reqX」として表される)をアクティブにすることができる。reqXに続く「ON」及び「OFF」は、画素の出力データの極性を表すことができる。選択された行の画素(「reqX[0:2M-1]」)によってインターフェースセル306(例えば、[0:2M-1]と表示された合計2M個のインターフェースセル)に出力されたデータは、インターフェースセル306によってさらに出力フォーマット回路308に出力することができる。行アドレスエンコーダ304(「Yアドレスエンコーダ304」と称する)は、画素に電気的に結合され、選択された行の画素の座標(図3において「addrY[0:log(N)-1]」と表される)を抽出して出力フォーマット回路308に出力することができる。出力フォーマット回路308は、reqX[0:2M-1]とaddrY[0:log(N)-1]を組み合わせて、それらをフォーマットデータ310として出力することができる。読み出しコントローラ312は、出力フォーマット回路308、インターフェースセル306、及び行選択回路302を制御することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、読み出しロック問題を軽減するために、回路300の各画素は、画素100とすることができ、そのISLは、読み出しインターフェース200を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、各画素内部の追加の構成要素を減らすために、読み出しロック問題を軽減するために、事象ベースの視覚センサにおいて外部「ウォッチドッグ」タイマ回路(図3には示されていない)を使用することができる。このタイマ回路は、インターフェースセル306によってreqXが受信されたかどうかにかかわらず、行選択回路302から最後のackY信号を受信した後、プリセットされた非アクティブ時間の後に、読み出しシステムをロック解除することができる。いくつかの実施形態では、プリセット時間は、プログラム可能であってもよい。
【0032】
図4本開示の一実施形態による、事象ベースの視覚センサのための別の例示的な回路400の概略図。回路300と比較して、回路400の読み出しコントローラ402は、タイマ回路(例えば、上述したような外部「ウォッチドッグ」タイマ回路)を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、回路400の行(例えば、行n)中の画素(例えば、画素(m、n))が時間的コントラスト事象を検出すると、画素は行要求信号(reqY)を行選択回路302に送信することができる。次に、当該行がreqYの受信に応答して行選択回路302によって正常に選択されると、行選択回路302は、アクティブな行(例えば、行n)のいくつかの又はすべての画素にアクノリッジ信号ackYを送り返すことができる。また、行選択回路302は、「rowreq」信号を生成し、それを読み出しコントローラ402に送信することができる。「rowreq」信号は、タイマ回路を開始することができる。yアドレスエンコーダ304は、アクティブな行の行アドレスを構築し、それらをaddrY[0:log(N)-1]として出力することができる。
【0034】
ackYを受信した後、アクティブな行の事象を検出したすべての画素(まだアクティブにされている場合、reqYを送信するきっかけとなった画素、及びreqYが送信された後、及びackYを受信する前にアクティブな行の新しい事象を検出したいずれかの画素)は、インターフェースセル306にreqXを送信して、そのreqY信号を取り除くことができる。したがって、アクティブな行の共通行要求(reqY)信号線は、非アクティブにすることができる。
【0035】
インターフェースセル306は、reqX[0:2M-1]をそのメモリ素子にサンプリングし、ロード信号(図4において「ロード」と表される)を用いて読み出しコントローラ402に知らせることが可能である。ロード信号を受信した後、読み出しコントローラ402は、行選択回路302に「rowack」信号を送信して、行選択回路302をリセットすることができる。次に、行選択回路302は、アクティブな行に対するackYを解除することができる。共通のackY信号線の非アクティブ化は、アクティブな行のアクティブな画素に、それらのアクティブにされたreqX信号を除去させることができ、これは読み出しサイクルを終了させる。ここで新しい行は、別のreqYを受信することに応答して、行選択回路302によって選択されることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、読み出しロックが発生し、読み出しシステムがフリーズすると、回路400は、以下のように読み出しコントローラ402内のタイマ回路によって制御されるrowack信号によってロック解除されることができる。読み出しコントローラ402がrowreq信号を受信した後、プリセット時間の後にreqX信号がインターフェースセル306に送信されず(例えば、読み出すべき事象がない)、したがって読み出しコントローラ402がロード信号を受信しない場合、読み出しコントローラ402は、行選択回路302をリセットするためにrowack信号を行選択回路302に送信すべくアクティブにすることができる。リセット後、行選択回路302は、アクティブな行のackYを解除することができる。ここで新しい行は、別のreqYを受信することに応答して、行選択回路によって選択されることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、プリセット時間は、アクティブな行のアクティブな画素の数及び分布とは無関係に、行のすべてのアクティブな画素が中断されずにそれらのreqXの送信を完了できるようにプログラムすることができる。
【0038】
図5は、本開示の一実施形態による、事象ベースの視覚センサの画素のための別の読み出しインターフェース500の例示的なアーキテクチャの概略図である。図2と比較して、読み出しインターフェース500は、読み出しインターフェース200と同様であるが、いかなる入力ラッチも含んでいない。いくつかの実施形態において、図4の回路400の画素は、画素100であることができ、そのISLは、読み出しインターフェース200又は500を含むことができる。そうすることによって、回路400は、回路に大幅に追加の構成要素を追加することなく、読み出しロック問題を緩和することができる。
【0039】
図5において、読み出しインターフェース500は、比較器の出力のそれぞれ(すなわち、CON及びCOFFパスのそれぞれ)に対して、2つのスイッチ502及び504を含む。CON及びCOFFパスのそれぞれについて、第1のスイッチ502は、比較器(例えば、図1の電圧比較器110)の出力に接続され、第2のスイッチ504は、ackYパスに接続される。CON(又はCOFF)がアクティブにされると、第1のスイッチ502は、行選択のためのreqY ON(又はreqY OFF)を送信するように接続され得る。行選択が成功した後、行選択回路(例えば、図3~4の行選択回路302)は、ackYを読み出しインターフェース500に送信することができる。ackYを受信した後、読み出しインターフェース500は、事象を送信するためにトリガされることができる。例えば、CONがアクティブにされ、reqY ONが送信されると、読み出しインターフェース500は、reqX ONを送信することができる。別の例として、COFFがアクティブにされ、reqY OFFが送信されると、読み出しインターフェース500は、reqX OFFを送信することができる。読み出しが進行中のとき(例えば、事象が送信されているとき)、読み出しインターフェース500は、ackYによってトリガされ、スイッチ502及び504を切断して、事象損失を防止するためにCON及びCOFF経路を無効とすることができる。読み出しを完了した後、読み出しインターフェース500は、次に、CTRLADMをアクティブにして、reqX ON及びreqX OFFをリセットする(例えば、接地することによって)ようにトリガされることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、読み出しロック問題を緩和するために、図3実施形態の回路300の画素の各行の最後にプロトコル制御回路を追加することができる。図6は、本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのための例示的な回路600の概略図である。回路600は、回路300と同様であるが、プロトコル制御回路(「PCC 0」、「PCC 1」、…「PCC N」で表される)をさらに含む。いくつかの実施形態では、回路600の画素は、画素100であり得、そのISLは、読み出しインターフェース200又は500を含み得る。そうすることによって、回路600は、回路に大幅に追加の構成要素を追加することなく、読み出しロックの問題を緩和することができる。図7は、本開示の実施形態による、図6で使用するためのプロトコル制御回路700の例示的なアーキテクチャの概略図である。プロトコル制御回路700は、それが電気的に結合される行が選択されるとき、及びackYを受信するとき、列要求信号(図7において「reqX_t」として表される)を生成するようにトリガされることができる。プロトコル制御回路700は、画素と同じ電気的特性を有するように、画素インターフェースの出力部と類似させることができる。
【0041】
図6に戻ると、いくつかの実施形態では、プロトコル制御回路は、行選択回路302の反対側に追加することができる。いくつかの実施形態では、プロトコル制御回路は、行内の画素と同様に読み出しシステムに電気的に結合することができる。ackYを受信した後にアクティブであるときにのみreqXを生成できる画素とは異なり、プロトコル制御回路は、行選択回路302からackYを受信することに応答して、プロトコル列要求信号(図6において「reqX_t」として表される)を常に生成してインターフェースセル306に送信することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、図6に示すように、プロトコル制御回路は、行選択回路302までの距離が、同じ行のどの画素よりも長くなるように配置することができる。そうすることによって、行選択回路302によって生成されたいずれの信号も、プロトコル制御回路に最後に到着する(すなわち、同じ行のすべての画素がプロトコル制御回路より先に信号を受信する)。次に、プロトコル制御回路がackYを受信すると、reqX_tのアクティブ化が起こる。プロトコル制御回路は行の最後に配置されるので(すなわち、選択された行の画素と比較して、行選択回路302までの距離が最も長い)、プロトコル制御回路は行の最後の画素の直後にackYを受信し、アクティブな画素からのすべてのreqX(例えば、reqX ON又はreqX OFF)はreqX_tが送信される前に読み出しのために送信されることができる。reqX_tは、reqXを送信するアクティブな画素がない場合でも、常に生成することができるので、読み出しプロセスの継続を常にトリガすることができ、それによって、読み出しロック問題を防止することができる。また、回路600の設計により、reqXを送信するアクティブな画素がない場合、reqX_tを最小の遅延で生成することができる。このようにして、読み出しロック問題が発生した場合、読み出しプロセスのロックを解除するために必要な時間を自動的に最小化することができる。また、データ損失のリスクや不要な遅延を最小にすることができる。回路600は、デバイスの不一致、プロセスの変動、温度の変動、又は他の任意の作業条件に対して堅牢であることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、インターフェースセル306がreqX_tを受信すると、アクティブな行の画素からreqX信号を受信しなかったことを示すために、読み出しコントローラ602(例えば、図3の読み出しコントローラ312と同様)にロード信号を送信することができる。ロード信号を受信した後、読み出しコントローラ602は、rowack信号を行選択回路302に送信することができる。rowack信号を受信した後、行選択回路302は、リセットされ、アクティブな行のackYを解除することができる。ここで新しい行は、別のreqYを受信することに応答して、行選択回路302によって選択されることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、回路600は、読み出しコントローラ602(例えば、図4の読み出しコントローラ402と同様)内のタイマ回路(例えば、図4の回路400のタイマ回路)を追加的に含むことができる。いくつかの実施形態では、回路600の画素は、画素100であり得、そのISLは、読み出しインターフェース200又は500を含み得る。いくつかの実施形態では、回路600は、さらに、読み出しコントローラ602のタイマ回路を含むことができ、回路600の画素は、画素100であることができ、そのISLは、読み出しインターフェース200又は500を含むことができる。そうすることによって、読み出しロックの問題は、少なくとも2つの代替の独立した機構によって回避することができる。このような冗長設計により、読み出しロック問題が発生する可能性をさらに抑制することができる。
【0045】
図8は、本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサの読み出し回路の信号タイミング図の概略図である。図8において、異なる信号のタイムラインは整列され、矢印付きのダッシュ線は、信号間のトリガ関係を示す。図8は、回路600の2つのハンドシェイクサイクルを示し、第1のハンドシェイクサイクルは、reqYのアクティブ化から始まり、Ackのアクティブ化で終了し、第2のハンドシェイクサイクルは、Ackのアクティブ化から始まり、Ackの非アクティブ化で終了する。
【0046】
図8に示すように、行の画素が時間的コントラスト事象を検出すると、その画素はreqY信号をアクティブにすることができる。reqYに応答して行選択回路(例えば、図6の行選択回路302)によって行が正常に選択されると、行選択回路は、アクティブな行に対してackYをアクティブにすることができる。
【0047】
ackYのアクティブ化は、さらに、アクティブな行のアクティブな画素(例えば、図6の画素(1、1))によって生成されるreqX、アクティブな行のすべての画素がackYを受け取った後にアクティブな行のプロトコル制御回路(例えば、PCC1)によって生成されるreqX_t、及び行選択回路によって生成されるrowreqという、3つの信号をアクティブにすることができる。アクティブな行については、ackYを受信した後のすべてのアクティブな画素が、前述したようにreqX信号を生成することができる。
【0048】
読み出しコントローラ(例えば、図6の読み出しコントローラ602)は、プロトコル制御列によって生成されたreqX_t信号から派生したロード信号を受け取り、出力フォーマット回路(例えば、図6の出力フォーマット回路308)に対してReq信号をアクティブ化することができる。出力フォーマット回路は、インターフェースセル(例えば、図6のインターフェースセル306)からreqX[0:2M-1]を、yアドレスエンコーダ(例えば、図6のyアドレスエンコーダ304)からaddrY[0:log(N)-1]を受信することができる。reqX[0:2M-1]及びaddrY[0:log(N)-1]の受信を完了した後、出力フォーマット回路は、データを出力し、読み出しコントローラに対してAckをアクティブ化することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、インターフェースセルによってreqX[0:2M-1]が受信されない場合、インターフェースセルは最終的にプロトコル制御回路によって送信されたreqX_tを受信し、さらに読み出しコントローラへのロード信号(図8には示されていない)をアクティブにすることができる。ロード信号を受信すると、読み出しコントローラは、reqX信号がアクティブでなくても、プロトコルを継続するために出力フォーマット回路に対してReqをアクティブにすることができる。その後、出力フォーマット回路は、空の行の読み出しを抑制する。
【0050】
出力フォーマット回路からAckを受信すると、読み出しコントローラは、行選択回路に対してrowackをアクティブにすることができる。次に、行選択回路は、rowreqとackYの2つの信号を非アクティブにすることができる。ackYの非アクティブ化は、reqX、reqX_t、rowack、Req、及びAckを非アクティブ化するトリガとなり得る。rowreqの非アクティブ化は、ackYが非アクティブ化されたことを読み出しコントローラに示すことができ、さらにrowackを非アクティブ化することができる。
【0051】
図9は、本開示の実施形態による、事象ベースの視覚センサのためのチップトップ回路900の例示的なアーキテクチャの概略図である。チップトップ回路900は、画素アレイ902を含む。一例として、画素アレイ902は、16:9(例えば、1280×720画素)の表面アスペクト比を有することができる。チップトップ回路900はまた、選択的な読み出し(例えば、画素の行の読み出し)のための非同期読み出し回路904(「Yアービタ」又は「行セレクタ」)と、選択された読み出し(例えば、非同期読み出し回路906によって選択された画素の行)からの画素データを格納(例えば、一時的に格納)するためのXラッチ906と、Xラッチ906からデータを受け取り、受け取ったデータを同期化、パケット化、及びタイムスタンプ付け(例えば、データパケットにデジタルタイムスタンプを付けることによって)するためのベクトル読み出し及びタイムスタンプ回路908と、を含むことができる。さらに、チップトップ回路900は、ベクトル読み出し及びタイムスタンプ回路908からデータを受け取り、受け取ったデータをフィルタリング、フォーマット化、及び前処理するための事象信号処理(ESP)回路910と、データをオフチップへ送るためにESP回路910からデータを受け取るためのデジタルインターフェース912とを含むことができる。一例として、デジタルインターフェース912は、シリアルインターフェース、パラレルインターフェース、低電圧差動信号(LVDS)インターフェース、モバイルインダストリープロセッサインターフェース(MIPI)、又は別の適切なタイプのインターフェースとして実装することが可能である。一実施形態では、デジタルインターフェース912は、パラレルインターフェースとして実装され、16ビット幅などの好適な幅を有する。
【0052】
図9を再び参照すると、チップトップ回路900は、構成要素の高レベル統合のためのオンチップ電力管理回路914、クロッピング又はサブサンプリング構成のための構成可能ROI回路916、起動段階でチップトップ回路900に送られたセットアップデータを受信するためのデジタルデータインターフェース918(例えば、シリアル周辺インターフェース、別名「SPI」)、デジタルデータインターフェース918によって受信したセットアップデータを格納するレジスタマップ920、バイアス発生器922(例えば、デジタル-アナログ変換器、別名「DAC」)、レジスタマップ920に格納されたレジスタ設定データに基づいてバイアス発生器922内のアナログ回路を(例えば、SPIコマンドを介して)制御するためのバイアス発生器制御回路924、及び非同期読み出し回路904、Xラッチ906、ベクトル読み出し及びタイムスタンプ回路908との間で信号を送受信することによって読み出しプロトコルを制御するためのステートマシン926をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ESP回路910は、選択された事象(例えば、欠陥画素からの)を除去するためのルックアップテーブル(LUT)ベースのアドレスフィルタ(図9に示されていない)を含むことができる。本開示の実施形態と一致して、チップトップ回路900は、図9に関連して図示され記載された例以外の他の構成要素を追加的又は代替的に含むことができる。
【0053】
上記記載は説明のために提示されている。それは網羅的ではなく、また開示された正確な形態及び実施形態に限定されない。実施形態の変更及び適合が、明細書の考察及び開示された実施形態の実施から明らかになるであろう。例えば、記載した実践形態は回路及びハードウェアを含むが、本開示に一致するシステム及び方法は、ハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアの任意の適切な組み合わせによって実践することができる。さらに、特定の構成要素を互いに結合されているものとして記載したが、そのような構成要素は互いに一体化してもよいし、任意の適切な方法で分散させてもよい。
【0054】
さらに、説明に役立つ実施形態を本明細書に記載してきたが、その範囲は、本開示に基づく等価な要素、変更、省略、組合せ(例えば、本明細書に開示される様々な実施形態全体にわたる態様の組合せ)、適応及び/又は変形を有するありとあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲の要素は、特許請求の範囲で用いられる言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された例及び出願の審査中に限定されず、その例は非排他的であると解釈されるべきである。さらに、開示された方法のステップは、ステップの並べ替え及び/又はステップの挿入又は削除を含む任意の方法で変更することができる。
【0055】
本開示の特徴及び利点は、詳細な明細書から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲に含まれるすべてのシステム及び方法を網羅することが意図されている。ここで使用される際、不定冠詞“a”及び“an”は、「1つ又は複数」を意味する。同様に、複数の用語の使用は、与えられた文脈で明確でない限り、必ずしも複数を意味するわけではない。「及び(and)」又は「又は(or)」などの単語は、特段の定めがない限り「及び/又は(and/or)」を意味する。さらに、本開示の検討から多くの変形及び変更が容易に生じるので、本開示を図示及び記載された正確な構造及び動作に限定することは望ましくなく、したがって、本開示の範囲内にあるすべての適切な変更及び等価物に訴えることができる。
【0056】
他の実施形態は、本明細書及びここに開示された実施形態の実施の考慮から明らかになるであろう。本明細書及び実施例は、例としてのみ考慮されることが意図され、開示された実施形態の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
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図7
図8
図9
【国際調査報告】