(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】天然ポリマーのエレクトロスピニング法
(51)【国際特許分類】
D01D 5/04 20060101AFI20230323BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230323BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230323BHJP
D01F 9/00 20060101ALI20230323BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20230323BHJP
【FI】
D01D5/04
A61K45/00
A61P25/04
A61P29/00
D01F9/00 Z
D04H1/728
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548885
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 IB2021051192
(87)【国際公開番号】W WO2021161252
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020000002833
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102021000000104
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522319767
【氏名又は名称】バケル エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】BAKEL S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Viale del Ledra, 56, 33100 Udine, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリス ラファエラ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレディーニ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトゥアーニ シルヴィア
【テーマコード(参考)】
4C084
4L035
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA10
4C084ZA081
4C084ZA211
4C084ZB111
4L035AA04
4L035BB02
4L035DD13
4L035FF05
4L035HH01
4L035JJ11
4L045AA01
4L045AA08
4L045BA34
4L045CB08
4L047AA29
4L047AB08
4L047CC03
4L047EA22
(57)【要約】
【課題】本発明は、エレクトロスピニング法に関する。
【解決手段】
エレクトロスピニング法は、エレクトロスピニングされる組成物を準備するステップと、エレクトロスピニングヘッドとコレクターとを有するエレクトロスピニング装置を準備するステップと、前記エレクトロスピニングヘッドと前記コレクターの間に電場を印加するステップと、前記エレクトロスピニングされる組成物を前記エレクトロスピニングヘッドを通して供給し、印加される電場によりエレクトロスピニングファイバ(繊維)の形成を生じさせるステップとを有する。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロスピニングするための組成物を準備すること、
間に電界が印加されるエレクトロスピニングヘッドとコレクターとを備えるエレクトロスピニング装置を準備すること、及び
前記エレクトロスピニングされる組成物を前記エレクトロスピニングヘッドを通して供給し、印加される前記電界によりエレクトロスピニングファイバーの形成を生じさせること、を含み
前記エレクトロスピニングされる組成物は、エレクトロスピニングされる第1の化合物、エレクトロスピニング補助剤、及び有効成分を含み、
前記エレクトロスピニングされる第1の化合物は、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、セルロース誘導体、アルブミン、デンプン、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、β-グルカン、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、水溶性多糖類及びそれらの誘導体から選択され、
前記エレクトロスピニング補助剤は、アルギン酸、プルラン及びそれらの混合物から選択され、
前記有効成分は、化粧品有効成分、医薬有効成分及び/又は栄養有効成分から選択されることを特徴とするエレクトロスピニング法。
【請求項2】
前記エレクトロスピニングヘッドが、少なくとも1本のニードルを有する送出部材を備えることを特徴とする、請求項1記載のエレクトロスピニング法。
【請求項3】
前記エレクトロスピニングヘッドと前記コレクターとの間に印加される前記電界は、少なくとも5kVであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレクトロスピニング法。
【請求項4】
前記エレクトロスピニングヘッドと前記コレクターは、一方が他方に対して相対的に移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のエレクトロスピニング法。
【請求項5】
前記電界が上から下へ鉛直に配向されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のエレクトロスピニング法。
【請求項6】
前記セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択され、
前記グリコサミノグリカンは、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びヒアルロン酸HAから選択され、
及び/又は前記水溶性多糖類は、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース並びに植物、細菌及び菌類由来の多糖類から選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のエレクトロスピニング法。
【請求項7】
前記エレクトロスピニングされる第1の化合物が、デンプン、エラスチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コラーゲン、ペクチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のエレクトロスピニング法。
【請求項8】
前記エレクトロスピニングされる第1の化合物、前記エレクトロスピニング補助剤及び前記有効成分が、共エレクトロスピニング、すなわち、一緒にエレクトロスピニングされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のエレクトロスピニング法。
【請求項9】
前記エレクトロスピニングされる第1の化合物と前記エレクトロスピニング補助剤を共エレクトロスピニングし、
前記エレクトロスピニングに続いて有効成分を添加することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記有効成分が、非ステロイド性抗炎症薬及び/又は1つ以上の鎮痛薬を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスピニング法に関するものである。より詳細には、本発明は、ポリマー、好適には生体適合性ポリマーに基づく組成物をエレクトロスピニングする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスピニング(電界紡糸)法は公知であり、エレクトロスピニングされる高分子(ポリマー)化合物をベースとした組成物を電界にかけることにより、ナノメートル又はマイクロメートルのオーダーの直径の連続繊維を得ることができるようになる。処理された化合物の種類に応じて、得られたナノファイバーは、医療、軍事防衛、環境、バイオテクノロジー、エネルギー、化粧品分野など、あらゆる分野で応用することができる。
【0003】
環境保護の観点から、エレクトロスピニングはエコロジーな溶媒、特に水を用いて行われる傾向にある。しかし、純水中での高分子のエレクトロスピニングは、その表面張力や得られる化合物の粘性により、容易ではない。
【0004】
この問題を克服するために、例えば、アンモニウムの水溶液、したがって高pHの溶液、あるいは40℃のジメチルホルムアミドDMFが存在する水中でのエレクトロスピニングによって、水の表面張力と粘性を下げる試みがなされてきた。また、ヘキサフルオロイソプロパノールHFIPやエタノールでも実験が行われている。しかし、この方法では、エコロジカルな側面が損なわれてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することができるエレクトロスピニング法を完成させる必要がある。特に、本発明の1つの目的は、サステナブルなエレクトロスピニング法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、連続的なナノファイバ、あるいはいずれにしても、直径が制御され、欠陥のないファイバーを製造することができるエレクトロスピニング法を提供することにある。
【0007】
本出願人は、従来技術の欠点を克服し、これら及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具現化したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項において規定され、特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴又は主発明思想に対する変形を記載する。
【0009】
上記目的に沿って、以下では、従来技術の限界を克服し、そこに存在する欠陥を解消するエレクトロスピニング法について説明する。
【0010】
いくつかの実施形態に従って、エレクトロスピニングされる組成物を準備するステップと、エレクトロスピニングヘッド及びコレクターを含むエレクトロスピニング装置を準備するステップと、エレクトロスピニングヘッドとコレクターとの間に電場を印加するステップと、エレクトロスピニングされる組成物をエレクトロスピニングヘッドを通して供給し、適用される電場がエレクトロスピニング繊維(エレクトロスピニングされた繊維)の形成を生じる、エレクトロスピニング方法が提供されている。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、エレクトロスピニングヘッドは、好適には少なくとも1つのニードル(針)からなる送出(放出)部材を含む。好適には、エレクトロスピニングヘッドとコレクターとの間に印加される電界は、少なくとも5kV、より好適には8kVの電位差を有する。さらに好適には、電位差は、15~40kVで構成される。
【0012】
好適には、エレクトロスピニングヘッドとコレクターは、一方が他方に対して相対的に移動するように、つまり、少なくとも一方が移動するように設定される。有利には、少なくともエレクトロスピニングステップ自体は、制御された一定の雰囲気の中で行われ、より有利には、制御された一定の温度及び相対湿度の条件下で行われる。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、エレクトロスピニングされる第1の化合物と、スピニング(紡糸)補助剤(スピニングプロモータ)と、有効成分とを含む。スピニング補助剤は、第1の化合物のスピニングを補助する機能、特に正常な繊維を得るようなエレクトロスピニング法を確立する機能を有する。
【0014】
エレクトロスピニングされる第1の化合物は、エレクトロスピニングされるのに適した生体適合性ポリマーであり、第1の多糖類(ポリサッカライド)、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、エラスチン及びそれらの誘導体からなる群から選択される。有利には、第1の多糖類は、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、セルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、β-グルカン、グリコサミノグリカン、ムコ多糖類、水溶性多糖類、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0015】
好適には、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC、ヒドロキシプロピルセルロースHPC、ヒドロキシエチルセルロースHEC、カルボキシメチルセルロースナトリウムNa-CMCから選択することができる。
グリコサミノグリカGAG又はムコ多糖類は、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びヒアルロン酸HAから選択することができる。
水溶性多糖類は、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース及び植物、細菌及び菌類由来の多糖類から選択することができる。
【0016】
スピニング補助剤は、キャリアポリマー(担体ポリマー)であり、フィラーを含まないこともあり得、第1の多糖類とは化学的に異なる第2の多糖類(ポリサッカライド)からなる群から選択され、ポリ(オキシエチレン)PEOの存在もあり得る。
好適には、キャリアポリマーは、また、フィラーを含まないこともあり得、生体適合性である。
【0017】
好適には、エレクトロスピニング補助剤は、プルラン及びアルギン酸から選択され、ポリ(オキシエチレン)と混合されることもあり得る。エレクトロスピニング補助剤は、また、プルランとアルギン酸の混合物からなることも可能である。より好適には、補助剤は、エレクトロスピニングされる第1の化合物と化学的に異なるものであり、すなわち、エレクトロスピニングされる第1の化合物は、プルラン又はアルギン酸ではない。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、この組成物はまた、有効成分を含んでいる。この有効成分は、例えば、化粧品有効成分、医薬有効成分、及び栄養有効成分から選択することができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、有効成分がエレクトロスピニングされる組成物中に存在せず、エレクトロスピニングの手段によって得られた生成物に添加されることを提供し得る。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、エレクトロスピニングに続いて得られる繊維の安定性を改善することができる安定剤も含む。好適には、安定剤は、架橋可能なポリマーである。
【0021】
上記のような方法の1つの利点は、天然ポリマーに基づく化粧品、医薬又は栄養製品を、従来の製剤で得られる濃度よりもはるかに高い局所濃度の対象化合物を有して、製造し得ることにある。これは、対象(目的)の化合物が最終製品の構造そのものに正確に組み込まれるためである。既知の方法では、多糖類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、エラスチン及びそれらの低分子量誘導体であっても、そのような高濃度に達することは実質的に不可能である。それは、製品の粘度が高くなりすぎて、5~10重量%を超えることができないためである。この組成で、対象の化合物の濃度を50重量%まで適用できる製品を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、非限定的な例として、添付図面に1つ以上の例が示されている本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。ここで使用される語句及び用語は、非限定的な例を提供する目的でもある。
【0023】
特に定義されない限り、ここ及び以下で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の経験を有する者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。ここに記載されたものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施及び試験において使用できるとしても、以下、その方法及び材料は一例として記載されている。矛盾が生じた場合は、その定義も含めて本願が優先されるものとする。材料、方法及び例は、純粋に例示的な目的であり、制限的に理解されてはならない。
【0024】
特に断りのない限り,すべての測定は25℃(室温),大気圧で行われた。特に断りのない限り、すべての温度は摂氏で表示されている。
こ こで示されるすべてのパーセント及び比率は、特に断らない限り、全組成物の重量(w/w)を指すと理解される。
ここで報告されるすべてのパーセンテージ間隔は、特に断りのない限り、全体の構成に関する和を100%とする規定で提供される。
ここで報告されるすべての間隔(区間)は、特に断りのない限り、2つの値の「間」の間隔を記載するものを含め、両端を含むと理解されるものとする。
【0025】
また、本説明では、特に断りのない限り、記載された2つ以上の区間を重ね合わせたり、一体化させたりすることで派生する区間も含まれる。
また、本説明では、特に断りのない限り、異なる点で取られた2つ以上の値の組合せから導き出される区間も含む。
水と記載されている場合は、特に指定がない限り、蒸留水を意味する。
【0026】
エレクトロスピニング法は、エレクトロスピニングされる組成物を供給装置(フィーダ)、例えば容積式ポンプによって供給されるシリンジに装填することを提供する。明らかに、組成物は、以下でより詳細に説明されるように、液体形態で提供される。供給は、制御された、好適には一定の体積流量で行われ、一般に0.1~60mL/hの間で構成される。シリンジは、特に、組成物が送り出される送出部材を含むエレクトロスピニングヘッドに接続される。
【0027】
好適には、送出部材は、例えば10G~40G、好適には20G~30Gの、既知の所定の直径を有する、ニードル(針)を有する。送出部材が、互いに並んで配置された複数のニードル、例えば要求に応じて2つ又は3つ、あるいはさらに多くのニードルを有し得る。また、互いに、同軸に位置する2つのニードルを有することも可能である。代替の実施形態によれば、送出部材は、特定のヘッドによって、組成物が適用される金属ワイヤを提供する。
【0028】
電界は、少なくとも5kV、好適には8kVの電位差で、組成物に印加される。好適には、電位差は15~40kVで構成される。電界は、電圧発生器によって印加され、例えば、皮膚に吸収されることができる膜基体を形成するために、エレクトロスピニングファイバー(エレクトロスピニングされた繊維)の形成を引き起こす目的を有する。
【0029】
電界は、正極、すなわち他極よりも高い電位を有する極として作用するエレクトロスピニングヘッドと、エレクトロピニング組成物が堆積されるコレクターとの間に印加され、コレクターは負極、すなわち他よりも低い電位を有する極として作用する。例えば、コレクターには0Vの電位を印加し、エレクトロスピニングヘッドには得ようとする電位差に等しい電位、例えば20~25kVを印加する。また、コレクターに負の電位、例えば-10kV程度まで印加することも可能である。
【0030】
電場を形成するために電位が印加される送出ヘッドとコレクターとの間の距離もまた、エレクトロスピニング中に制御され、好適には一定に保たれることに留意されたい。典型的には、この距離は2cmより大きく、好適には5cmより大きく、より好適には15cm以上である。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、組成物のエレクトロスピニング方向、すなわち繊維が送出部材からの出口で送出される方向、を決める電界の方向は、鉛直(上から下)である。言い換えれば、エレクトロスピニングヘッドは、コレクターの上方に配置され、コレクターと鉛直に整列している。
【0032】
しかしながら、この電界の方向は、下から上への鉛直方向(したがって、下から上への繊維の噴出(ジェット)を有する)、又は、右から左へ又はその逆の水平方向に設けることは可能である。
【0033】
コレクターは、好適には金属製で、静止していてもよいし、例えばエンドレスベルトのような形で移動可能であってもよい。いずれにしても、繊維の不織布の形態を得るために、エレクトロスピニングヘッドがエレクトロスピニング中に移動可能であることを提供することが有利である。例えば、エレクトロスピニングヘッドは、直線的な軌道に沿って前後に移動するようにされる。
【0034】
有利なことに、コレクターは、例えばアルミニウムやPBSAなど、作成される繊維を受けるのに適した材料のフィルム又は層でコーティングされる。
送出部材からの出口で帯電した組成物は固化し、連続した繊維の形態でコレクター上に堆積し、例えば不織布のフィルムを生成し、膜基体を形成することができる。好適には、上記のすべてのパラメータは、エレクトロスピニングステップ全体を通して一定に保たれ、一定の構造特性(特に直径)を有する連続繊維を得るようにする。
【0035】
典型的なエレクトロスピニング条件の一例は、20~50%、有利には30~40%の相対湿度(RH)、約24℃の温度、20~25kVの電界、1mL/hの組成物の供給の流量、22Gに等しいノズルの直径、及び約20cmに等しい送出ヘッドとコレクターとの間の距離である。「送出ヘッドとコレクターとの間の距離」とは、これら二つの部品の間の最小距離を意味する。
【0036】
溶液のポリマーをベースとした組成物に強い電界をかけると、組成物の表面張力に勝る静電気力が発生し、コレクターが配置されている反対側の電極の方向に噴射されるジェット(噴流)の形成が可能になる。送出部材からの出口で、帯電した溶液は変形し、第1ステップでテイラーコーン(Taylorコーン)と呼ばれる高密度の電荷を持つ領域が形成される。第二ステップでは、静電反発と溶媒の蒸発により、加速されて薄くなったジェットが発生し、粘弾性力がジェットの自然な分裂に対抗して、コレクター上で極めて細い繊維の不織布を固化させることにつながる。この方法で作られた繊維の直径は、一般にナノメートルオーダーであり、機械的な力で押し出された繊維の直径をはるかに下回るという事実を、強調したい。
【0037】
一方、エレクトロスピニングされる組成物に関しては、エレクトロスピニングされる第1の化合物、すなわち、エレクトロスピニングされるのに適した生体適合性ポリマーであり、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、ヒドロキシプロピルメチルセルロース HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース HPC、ヒドロキシエチルセルロース HEC、カルボキシメチルセルロースNa-CMC、アルブミン、デンプン、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸 HA、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース及び植物、細菌、菌由来の多糖類とそれらの誘導体から選ばれるものである。
【0038】
これらの化合物又は化合物のクラスは、その特性として、液体の粘度を変更することが可能であり、良好な機械的特性と吸収特性を有する正常なエレクトロスピニングファイバー(繊維)を形成するのに適している。また、これらはすべて生体適合性があり、天然由来であり、食品、医薬品及び/又は化粧品分野で使用することができる。
【0039】
特に、キサンタンガム、デキストラン、カラギーナン、Na-CMC、デンプン、ゼラチン、ガティガムは、食品分野において増粘剤、安定剤、場合によってはゲル化剤としても使用されている。さらに、キサンタンガムは、医薬及び化粧品分野において懸濁液及びエマルションの安定剤として用いられ、グアーガムも医薬及び化粧品分野において増粘剤及びゲル化剤として用いられ、カラギーナンは医薬分野において不活性賦形剤に用いられる。また、デキストランは医薬品分野の増粘剤として使用されている。
【0040】
キトサンは、食品分野では低カロリー食に、医薬品分野では賦形剤、特に吸入用製品に使用されている。一方、ペクチンは、食品分野ではゲル化剤として、医薬品分野では栄養剤やプロバイオティクスとして使用されている。
寒天、ガラクトマンナン、グルコマンナンは、栄養分野でゲル化剤として使用されている。
【0041】
セルロース誘導体のうち、HPMCは食品分野では安定剤、粘度調整剤、医薬品分野では洗眼液や内服薬の賦形剤として使用されています。HPCは、食品添加物として、医薬品分野では洗眼液や錠剤のバインダーとして使用されている。HECは、医薬品や化粧品の分野で増粘剤やゲル化剤として使用されている。
【0042】
β-グルカンは食物繊維として使用され、キシランも同様に使用される。コンドロイチン硫酸は、食品添加物として使用されるほか、変形性関節症の治療薬として使用されている。デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸は、医薬品分野では抗凝固剤として知られている。
【0043】
アラビアガムは、食品分野では安定化賦形剤及び粘度調整剤として使用されている。一方、アセマンナンは、製薬分野では、その免疫賦活特性で知られている。
【0044】
これらの化合物の中には、例えばデンプン、エラスチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コラーゲン、ペクチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びそれらの誘導体など、化粧品、医薬品又は食品分野で独自の機能を有するものがあることに注目すべきである。
したがって、これらの化合物をエレクトロスピニングすることが有利である。その対応する繊維を適用することにより、既知の溶液よりも高用量でこれらの化合物を適用することができ、その効果がより大きいという利点があるからである。
【0045】
エレクトロスピニングされる第1の化合物がヒアルロン酸である場合、それは鎖状型又は架橋型であり得、例えば100万ダルトン(Dalton)又はそれ以上のオーダーの高い質量を有することができ、あるいは代わりに低い質量、典型的には10000ダルトン又はそれ未満のオーダーを有することができる。また、鎖状ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の混合物を提供して、得られる糸の剛性を調節したり、糸をコレクター上に堆積させて得られるフィルムの三次元構造を調節することも可能である。
【0046】
第1の化合物は、有利には、水溶液又は水性ベースの溶液で、低濃度、例えば、0.1重量~10重量%、好適には0.5重量%~5重量%、より好適には0.6重量%~2.5重量%に希釈される。
【0047】
エレクトロスピニングされる組成物はまた、フィラーを含まないキャリアポリマーであるスピニング補助剤を含み、有利には生体適合性である。これは、アルギン酸、(PEOの存在もあり得)、及びプルランから選択される。スピニング補助剤は、最良の結果を得ることができるため、好適にはプルランである。
【0048】
アルギン酸とPEOを混合する場合、これらは水溶液又は水性ベースの溶液で、1重量%~40重量%、好適には2重量%~30重量%、より好適には4重量%~10重量%の濃度に、別々に希釈することができる。アルギン酸:PEO混合物は、存在する場合、好適には5:1~1:5、より好適には2:1~1:2の重量比で作られる。最良のエレクトロスピニングの結果は、1:1に等しい重量比で得られた。
【0049】
プルランは、好適には1重量%~40重量%、好適には3重量%~30重量%、より好適には10重量%~20重量%で構成される濃度で水溶液又は水性ベースの溶液に希釈することができる。
エレクトロスピニングされる第1の化合物と補助剤は、重量比で(第1の化合物):補助剤が好適には10:1~1:10、より好適には4:1~1:7、さらに好適には3:1~1:6の比で混合される。
【0050】
また、この組成物は、医薬、栄養及び/又は化粧品タイプの、少なくとも1つの有効成分を含んでいる。
なお、有効成分は、その作用分野にかかわらず、さまざまな種類の機能を有することができる。
【0051】
化粧品有効成分としては、以下の種類があり得る。:
抗脂漏薬(例えば、セバシン酸、アゼライン酸)、抗皮脂薬(例えば、炭粉)、抗菌薬(例えば、クリンバゾール、ピロクトンオラミン)、抗酸化薬(例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、コエンザイムQ10、レスベラトロール、グルタチオン)、制汗薬(例えば、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート)、収斂薬(例えば、シトラスオーランティフォリア(ライム)花エキス、乳酸カルシウム)、美白薬(例えば、グラブリジン、過硫酸アンモニウム)、メイク落とし(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム)、消臭薬(例えば、クエン酸トリエチル、リシノール酸亜鉛)、角質除去(例えば、グリコール酸、リンゴ酸、マンデル酸)、風味付け(例えば、シトラール、蜂蜜)、芳香薬(例えば、d、l-リモネン、クマリン)、湿潤薬(例えば、グリセリン、プロパンジオール)、角質溶解薬(例えば、クロロ酢酸、サリチル酸)、保湿薬(例えば、アロエ・アルボレセンス葉エキス)、香料(例えば、ゲラニオール、リナロール)、エモリエント(例えば、トリオレイン、スクアレン)、リフレッシュ薬(例えば、メントール、乳酸メンチル)、皮膚保湿薬(例えば、パンテノール、アラントイン)、皮膚保護薬(例えば、スフィンゴ脂質、酸化亜鉛)、スムージング薬(例えば、トウゴマ種子油)、スージング薬(例えば、ハマメリス・バージニアナエキス、カモミールエキス、ビサボロール)又はトニック薬(例えば、アルニカ・モンタナ、キダチトウガラシエキス)、紫外線フィルター(例えば、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、カフェイン、テイン、テオブロミン、テオフィリン)。
【0052】
医薬有効成分としては、以下の種類があり得る。:
5αリダクターゼ阻害薬(例えばフィナステリド)、5-アミノサリチル酸塩(例えば、メサラミン)、5HT3受容体拮抗薬(例えば、オンダンセトロン)、カルシウムチャネル遮断薬と併用するACE阻害薬(例えば、アムロジピン/ベナゼプリル)、チアジドと併用するACE阻害薬(例えば、ヒドロクロロチアジド)、アダマンタン系抗ウイルス薬(例えば、アマンタジン)、副腎皮質ホルモン阻害薬(例えば、アミノグルテチミド)、アドレナリン気管支拡張薬(例えば、アルブテロール)、高血圧緊急治療薬(例えば、ジアゾキシド)、肺高血圧治療薬(例えば、トレプロスチニル)、アルドステロン受容体拮抗薬(例えば、スピロノラクトン)、アルキル化薬(例えば、シクロホスファミド)、アレルゲン(例えば、チリダニアレルゲンエキス)、α-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、ミグリトール)、抗アメーバ薬(例えば、メトロニダゾール)、アミノグリコシド系(例えば、トブラマイシン)、アミノペニシリン系(例えば、アモキシシリン)、アミノサリチル系(例えば、アミノサリチル酸)、AMPA受容体拮抗薬(例えば、ペランパネル)、アミリン類似体(例えば、プラムリンタイド)、鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン)、アンドロゲン及びアナボリックステロイド(例えば、テストステロン)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、ラミプリル)、アンジオテンシンII阻害薬とカルシウムチャンネル遮断薬の併用(例えば、アムロジピン/オルメサルタン)、アンジオテンシンII阻害薬とチアジドの併用(例えば、ヒドロクロロチアジド/オルメサルタン)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(例えば、バルサルタン)、アンジオテンシン及びネプリライシン受容体阻害薬(例えば、サクビトリル/バルサルタン)、直腸薬(例えば、ヒドロコルチゾン/プラモキシン)、食欲抑制薬(例えば、フェンテルミン)、制酸薬(例えば、水酸化マグネシウム)、駆虫薬(例えば、ピランテル)、抗血管新生眼科薬(例えば、アフリベルセプト)、抗CTLA-4モノクローナル抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ニボルマブ)、チアジドと併用する抗アドレナリン作動薬(中枢)(例えば、ヒドロクロロチアジド/メチルドパ)、チアジドと併用する抗アドレナリン作動薬(末梢)(例えば、ポリチアジド/プラゾシン)、中枢性抗アドレナリン作動薬(例えば、グアンファシン)、末梢性抗アドレナリン作動薬(例えば、タムスロシン)、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド)、抗狭心症薬(例えば、ニトログリセリン)、(例えば、ジフィリン/グアイフェネシン)、抗生物質(例えば、メトロニダゾール)、抗生物質/抗悪性腫瘍薬(例えば、ドキソルビシン)、抗コリン性制吐薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、抗コリン性抗パーキンソン薬(例えば、プロシクリジン)、抗コリン性気管支拡張薬(例えば、チオトロピウム)、抗コリン薬/鎮痙薬(例えば、ヒヨスチアミン)、抗凝固薬(例えば、フィトナジオン)、抗けいれん薬(例えば、ラコサミド)、抗うつ薬(例えば、ブプロピオン)、止瀉薬(例えば、ロペラミド)、抗利尿ホルモン(例えば、デスモプレシン)、解毒薬(例えば、ナルトレキソン ドロナビノール)、抗真菌薬(例えば、グリセオフルビン)、抗ゴナドトロピン薬(例えば、ダナゾール)、痛風薬(例えば、コルヒチン)、抗ヒスタミン薬(例えば、セチリジン)、抗高脂血症薬及び組み合わせ(例えば、エゼチミブ/シンバスタチン)、高尿酸血症治療薬(例えば、フェブキソスタット)、抗マラリア薬(例えば、ドキシサイクリン)、抗マラリア薬併用薬、抗マラリア薬キノリン(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗躁薬(例えば、リチウム)、代謝拮抗薬(例えば、カペシタビン)、抗偏頭痛薬(例えば、リザトリプタン)、抗腫瘍薬(例えば、イソトレチノイン)、抗腫瘍薬配合薬(例えば、レトロゾール/リボシクリブ)、抗腫瘍性解毒薬(例えば、アミフォスチン)、抗腫瘍インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ-2b)、抗緑膿菌ペニシリン(例えば、カルベニシリン)、抗乾癬薬(例えば、アシトレチン)、抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)、抗リウマチ薬(例えば、アダリムマブ)、防腐・殺菌薬、抗甲状腺薬(例えば、ヨウ化カリウム)、抗毒素・抗ウイルス薬(例えば、アンチベニン(クロタリ科)多価)、鎮咳薬(例えば、デキストロメトルファン)、抗ウイルスブースター(例えば、リトナビル)、抗ウイルスインターフェロン(例えば、ペグインターフェロンアルファ2a)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アストロゾール)、非定型抗精神病薬(例えば、アリピプラゾール)、アゾール系抗真菌薬(例えば、フルコナゾール)、細菌ワクチン(例えば、13価肺炎球菌ワクチン)、バルビツール酸系抗けいれん薬(例えば、プリミドン等)、バルビツール系抗けいれん薬(例えば、フェノバルビタール等)、バルビツール酸系(例えば、フェノバルビタール)、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(例えば、イマチニブ)、抗けいれんベンゾジアゼピン系(例えば、ジアゼパムなど)、ベンゾジアゼピン系(例えば、クロナゼパム)、βブロッカーとチアジドの併用(例えば、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド)、βラクタマーゼ阻害薬(例えば、クラブラン酸)、胆汁酸封鎖薬(例えば、コレセベラム)、ビスフォスフォネート(例えば、ゾレドロン酸)、BTK阻害薬(例えば、イブルチニブ)、カルシウム受容体作動薬(例えば、シナカルセト)、カルシニューリン阻害薬(例えば、タクロリムス)、カルシトニン、カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ベラパミル)、抗痙攣カルバメート(例えば、フェルバメート)、カルバペネム(例えば、ドリペネム)、カルバペネム/β-ラクタマーゼ阻害薬(例えば、メロペネム/バボールバクタム)、抗けいれん炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、トピラメート)、炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、アセタゾラミド)、心臓ストレス薬(例えば、レガデノソン)、心臓選択的β遮断薬(例えば、ネビボロール)、カテコールアミン(例えば、エピネフリン)、CD20モノクローナル抗体(例えば、オクレリズマブ)、CD30モノクローナル抗体(例えば、ブレントキシマブ)、CD33モノクローナル抗体(例えば、ゲムツズマブ)、CD38モノクローナル抗体(例えば、CD52モノクローナル)、(例えば、アレムツズマブ)、CDK 4/6阻害薬(例えば、パルボシクリブ)、セファロスポリン/βラクタマーゼ阻害薬(例えば、アビバクタム/セフタジジム)、耳垢溶解薬(例えば、過酸化カルバミド)、CFTR併用(例えば、イバカフトール/ルマカフトール)、CFTR増強薬(例えば、イバカフトール)、CGRP阻害薬(例えば、エレヌマブ)、キレート薬(例えば、デフェラシロクス)、ケモカイン受容体阻害薬(例えば、マラビロク)、クロライドチャネルアクチベーター(例えば、ルビプロストン)、コレステロール吸収阻害薬(例えば、エゼチミブ)、コリン作動薬(例えば、セビメリン)、コリン作動性筋刺激薬(例えば、ピリドスチグミン)、コリンエステラーゼ阻害薬(例えば、ドネペジル)、中枢神経系刺激薬(例えば、フェンテルミン)、コロニー刺激因子(例えば、フィルグラスチム)、避妊薬(例えば、レボノルゲストレル)、コルチコトロピン、クマリン及びインダンジオン(例えば、ワルファリン)、Cox-2阻害薬(例えば、セレコキシブ)、充血除去薬(例えば、プソイドエフェドリン)、ジアリールキノリン、ジベンズアゼピン系抗てんかん薬(例えば、カルバマゼピン)、消化酵素(例えば、ラクターゼ)、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬(例えば、シタグリプチン)、ドーパミン作動性抗パーキンソン薬(例えば、ロピニロール)アルコール依存症用薬物(例えば、アカンプロサート)、エキノカンジン(例えば、カスポファンギン)阻害薬(例えば、エルロチニブ)、エストロゲン受容体拮抗薬(例えば、フルベストラント)、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、去痰薬(例えば、グアイフェネシン)、Xa因子阻害薬(例えば、リバーロキサバン)、脂肪酸誘導体抗けいれん薬(例えば、ジバルプロエクスナトリウム)、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート)、第一世代セファロスポリン(例えば、セファレキシン)、第四世代セファロスポリン(例えば、セフェピム)、胆石溶解薬(例えば、ウルソジオール)、γ-アミノ酪酸アナログ(例えば、ガバペンチン)、γ-アミノ酪酸再取り込み阻害薬(例えば、ティアガビン)、全身麻酔薬(例えば、プロポフォール)、GI刺激薬(例えば、メトクロプラミド)、グルココルチコイド(例えば、ブデソニド)、グルコース上昇薬(例えば、グルカゴン)、グリコペプチド系抗生物質(例えば、バンコマイシン)、糖タンパク血小板阻害薬(例えば、チロフィバン)、グリシルクリン(例えば、チゲサイクリン)、ゴナドトロピン放出ホルモン(例えば、ロイプロリド)、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬(例えば、エラゴリックス)、ゴナドトロピン(例えば、絨毛性ゴナドトロピン) I群抗不整脈薬(例えば、フェニトイン)、II群抗不整脈薬(例えば、プロプラノロール)、III群抗不整脈薬(例えば、ドロネダロン)、IV群抗不整脈薬(例えば、ベラパミル)、V群抗不整脈薬(例えば、ジゴキシン)、成長ホルモン受容体遮断薬(例えば、ペグビソマント)、成長ホルモン(例えば、ソマトロピン)、グアニル酸シクラーゼC作動薬(例えば、リナクロチド)、H.ピロリ除菌薬(例えば、亜硝酸ビスマスカリウム/メトロニダゾール/テトラサイクリン)、H2拮抗薬(例えば、ラニチジン)、ヘッジホッグ経路阻害薬(例えば、ビスモデギブ)、ヘパリン拮抗薬(例えば、プロタミン)、HER2阻害薬(例えば、ネラチニブ)、ハーブ系製薬(例えば、5-ヒドロキシトリプトファン、アロエベラ)、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(例えば、ロミデプシン)、ホルモン/抗腫瘍薬(例えば、メドロキシプロゲステロン)、ヒダントイン抗痙攣薬(例えば、フェニトイン)、ヒドラジド誘導体(例えば、イソニアジド)、免疫グロブリン、インポテンス薬(例えば、シルデナフィル)、インクレチン模倣薬(例えば、リラグルチド)、強心薬(例えば、ジゴキシン)、インスリン及び誘導体(例えば、インスリングラルギン)、インスリン様成長因子(例えば、メカセルミン)、インターフェロン(例えば、インターフォンβ1a)、インターロイキン阻害薬(例えば、デュピルマブ)、インターロイキン(例えば、アルデスロイキン)、鉄薬(例えば、硫酸第一鉄)、ケトライド(例えば、テリスロマイシン)、便秘薬(例えば、ビサコジル)、抗らい菌薬(例えば、クロファジミン)、ロイコトリエン修飾薬(例えば、モンテルカスト)、リンコマイシン誘導体(例えば、クリンダマイシン)、ループ利尿薬(例えば、フロセミド)、リソゾーム酵素(例えば、イミグルセラーゼ)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン)、肥満細胞安定化薬(例えば、クロモリン)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、メラノコルチン受容体作動薬(例えば、ブレメラノチド)、メチルキサンチン(例えば、テオコルチカス)ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、ミネラルと電解質(例えば、クエン酸/クエン酸カリウム)、各種抗ウイルス薬(例えば、バロキサビルマルボキシル)、各種抗不安薬、鎮静薬及び催眠薬(例えば、ゾルピデム)、各種骨吸収阻害薬(例えば、デノスマブ)、各種循環器系薬(例えば、ミドドリン)、各種中枢神経系薬(例えば、ダルファムプリジン)、各種凝固調節薬(例えば、トラネキサム酸)、各種利尿薬(例えば、パマブロム)、各種泌尿器系薬(例えば、フェナゾピリジン)、各種消化器系薬(例えば、ミソプロストール)、各種代謝系薬(例えば、ブロスマブ)、各種呼吸器系薬(例えば、α1-プロテイナーゼ阻害薬)、各種外用薬(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、各種膣薬(例えば、エストラジオール)、有糸分裂阻害薬(例えば、ビンクリスチン)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えば、フェネルジン)、口咽頭薬(例えば、フッ化物)、mTOR阻害
薬(例えば、エベロリムス)、粘液溶解薬(例えば、アセチルシステイン)、マルチキナーゼ阻害薬(例えば、ソラフェニブ)、麻薬性鎮痛薬の組み合わせ(例えば、ブプレノルフィン/ナロキソン)、麻薬性鎮痛薬(例えば、フェンタニル)、天然ペニシリン(例えば、ペニシリンVカリウム)、ノイラミニダーゼ阻害薬(例えば、オセルタミビル)、ニューロン カリウム チャネル オープナー(例えば、エゾガビン)、新世代セファロスポリン(例えば、セフタロリン)、NHE3阻害薬(例えば、セフタロリン)、ニコチン酸誘導体(例えば、エチオナミド)、NK1受容体拮抗薬(例えば、アプレピタント)、NNRTI(例えば、エファビレンツ)、非心臓選択的βブロッカー(例えば、カルベジロール)、非スルホニル尿素(例えば、メトホルミン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ジクロフェナック)、NS5A阻害薬(例えば、ダクラタスビル)、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)(例えば、テノホビル)、栄養補助食品(例えば、オメガ3多価不飽和脂肪酸)、経口栄養補助食品(例えば、アルギニン)、その他の免疫賦活薬(例えば、グラチラマー)、その他の免疫抑制薬(例えば、オマリズマブ)、オキサゾリジン系抗けいれん薬(例えば、トリメタジオン)、オキサゾリジン系抗菌薬(例えば、リネゾリド)、副甲状腺ホルモン及び類似体(例えば、テリパラチド)、PARP阻害薬(例えば、ニラパリブ)、PCSK9阻害薬(例えば、エボルクマブ)、ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン(例えば、オキサシリン)、末梢オピオイド受容体拮抗薬(例えば、ナロキセゴール)、混合型末梢オピオイド受容体作動薬(例えば、アゴニスト/エルクサドリン拮抗薬)、末梢血管拡張薬(例えば、イソクスプリン)、末梢作用型抗肥満薬(例えば、オルリスタット)、フェノチアジン系制吐薬(例えば、プロメタジン)、フェノチアジン系抗精神病薬(例えば、プロコチアジン)、フェニルピペラジン系抗うつ薬(例えば、トラゾドン)、リン酸カリウム阻害薬(例えば、トラゾドン)(例えば、イデラリシブ)、血小板凝集阻害薬(例えば、アスピリン)、血小板刺激薬(例えば、エルトロンボパグ)、ポリエン(例えば、ナイスタチン)、カリウム保持性利尿薬(例えば、スピロノラクトン)、プロバイオティクス(例えば、乳酸菌アシドフィルス)、プロゲステロン受容体モジュレーター(例えば、ウリプリスタル)、プロゲスチン レボノルゲストレル、プロラクチン阻害薬(例えば、カベルゴリン)、プロテアーゼ阻害薬(例えば、テラプレビル)、プロテアーゼ活性化受容体-1アンタゴニスト(例えば、ボラパキサル)、プロテアソーム阻害薬(例えば、ボルテゾミブ)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール)、ソラレン(例えば、メトキサレン)、プリンヌクレオシド(例えば、バラシクロビル)、ピロリジン系抗けいれん薬(例えば、レベチラセタム)、ヒトキノロン(例えば、シプロフロキサシン)、遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、レニン阻害薬(例えば、アリスキレン)、リファマイシン誘導体(例えば、リファンピシン)、サリチル酸(例えば、アスピリン)、第二世代セファロスポリン(例えば、選択的セフロキシム受容体)、モジュレーター(例えば、オスペミフェン)、選択的免疫抑制薬(例えば、ナタリズマブ)、選択的ホスホジエステラーゼ4 阻害薬(例えば、ロフルミラスト)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、エスシタロプラム)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン)、セロトニン作動性神経腸管調節薬(例えば、テガセロド)、SGLT-2阻害薬(例えば、エンパグリフロジン)、骨格筋弛緩薬(例えば、オナボツリヌムトキシンA)、禁煙薬(例えば、ニコチンアナログソマトスタット)(例えば、オクトレオチド)、スタチン(例えば、ロバスタチ)、ストレプトグラミン(例えば、ダルホプリスチン/キヌプリスチン)、ストレプトミセス誘導体(例えば、カプレオマイシン)、抗てんかん薬スクシンイミド(例えば、エトスクシミド)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール)、スルホニルウレア系覚醒薬(例えば、グリメピストル、クロミフェン)、四環系抗うつ薬(例えば、ミルタザピン)、テトラサイクリン(例えば、ミノサイクリン)、サイアザイド利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン)、チオキサンテン(例えば、チオチキセン)、第三世代セファロスポリン(例えば、セフトリアキソン)、トロンビン阻害薬(例えば、ダビガトゾン)、ストレプトリジン(例えば、レボチロキシン)、TNFα阻害薬(例えば、アダリムマブ)、陣痛抑制薬(例えば、テルブタリン)、ニキビ外用薬(例えば、トレチノイン)、局所麻酔薬(例えば、リドカイン)、外用感染防止薬(例えば、マラチオン)、外用抗酒さ薬(例えば、イベルメクチン)、外用抗生物質(例えば、スルファジアジン銀)、外用抗真菌薬(例えば、エコナゾール)、外用抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、外用抗腫瘍薬(例えば、イミキモド)、外用抗乾癬薬(例えば、タザロテン)、外用抗ウイルス薬(例えば、ペンシクロビル)、外用収斂薬(例えば、ヘーゼルナッツ)、外用デブリドマン薬(例えば、コラゲナーゼ)、外用脱色薬(例えば、ハイドロキノン)、外用皮膚軟化薬(例えば、エモリエント)、外用角質溶解薬(例えば、サリチル酸)、外用非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ジクロフェナク)、局所光化学薬(例えば、アミノレブリン酸)、外用発赤薬(例えば、メントール)、外用ステロイド薬(例えば、ベータメタゾン)、抗感染併用ステロイド外用薬(例えば、アシクロビル/ヒドロコルチゾン)、トランスサイレチン安定薬(例えば、タファミジス)、トリアジン系抗けいれん薬(例えば、ラモトリギン)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン)、尿素サイクル障害薬(例えば、フェニル酪酸ナトリウム)、尿路抗感染症薬(例えば、ニトロフラントイン)、尿路鎮痙薬(例えば、アミトリプチリン)修飾薬(例えば、クエン酸カリウム)、子宮収縮薬(例えば、ジノプロストン)、膣用抗感染症薬(例えば、クリンダマイシン)、血管拡張薬(例えば、アルプロスタジル)、バソプレシン拮抗薬(例えば、コニバプタン)、昇圧薬(例えば、エピネフリン)、VEGF/VEGFR阻害薬(例えば、パゾパン)、ウイルスワクチン、ビタミン・ミネラル配合薬、ビタミン(例えば、シアノコバラミン)、VMAT2阻害薬(例えば、バルベナジン)。
【0053】
栄養有効成分は、以下の種類があり得る。:
ビタミン(例えば、ビタミンA、B、C、D、E、K、葉酸、ビオチン)、ミネラル(例えば、カリウム、塩素、ナトリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ヨウ素、クロム、モリブデン、セレン、コバルト、フッ化物)、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質並びにそれらの代謝物及び誘導体(例えば、必須及び分岐アミノ酸、カルノシン、酵素及び酵素複合体、ラクトフェリン、N-アセチルシステイン、動物性又は植物性食品からのタンパク質))、脂肪酸(例えば、オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸)、植物、動物、藻類、菌類、地衣類又は細菌から抽出又は派生した物質又は無加工のソースを使用して製造された天然物(例えば、フィトステロール、エキナセア、緑茶エキス、ニンニク、アロエベラ、魚油、スピルリナ、クロレラ、きのこ由来の消化酵素)、糖及び多糖類(例えば、マンノース、リボース、トレハロース、デキストロース、グルクロノラクトン、デキストリン)、プロバイオティクス(例えば、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、サッカ ブラウディなどの生きた微生物)、プレバイオティクス(例えば、フラクトオリゴ糖やイヌリンなどのフルクタン、ガラクトオリゴ糖やキシロオリゴ糖などのガラクタン)、抗酸化物質(例えば、リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド、グルタチオン、レスベラトロール、カテキン)、栄養学的又は生理学的効果を有する他の物質(例えば、ベタイン、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、CDP-コリン、コリン、クレアチン、リン脂質、GABA、グルコサミン、イノシトール、メラトニン、メチルスルフォニルメタン、ヌクレオチド、スクワレン)。
【0054】
有効成分のエレクトロスピニング繊維への含有は、有効成分を第1の化合物と共エレクトロスピン化することにより得ることができる。この場合、エレクトロスピニングの対象となる第1の化合物と、有効成分を含むエレクトロスピニング補助剤との混合物を準備し、得られた混合物をエレクトロスピニングすることができる。
【0055】
あるいは、第1の化合物を単独でエレクトロスピニングし、その後、得られた繊維に有効成分を組み込むことも可能である。用途に応じて、有効成分がエレクトロスパン繊維に吸収されること、あるいは、エレクトロスピニング繊維で得られた三次元構造体に捕捉させたりすることも可能である。
【0056】
例えば、エレクトロスピニングされる第1の化合物は、鎖状ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の混合物からなることができる。架橋ヒアルロン酸は、得られたナノメートルファイバーの剛性を高める効果があるが、得られたファイバーを連続的に複数の層に堆積させることによって得られるフィルムの三次元構造の複雑さを高める効果もある。特に、架橋ヒアルロン酸の存在は、フィルムに空洞を形成させ、その空洞が有効成分の分子を収容することを可能にする。
【0057】
別の例によれば、有効成分は非ステロイド性抗炎症剤であり、例えば皮膚の熱傷に適用されるものである。また、熱傷によって引き起こされる痛みを軽減するために、追加の有効成分として1つ又は複数の鎮痛薬を加えるように提供することも可能である。この種の用途では、第1の化合物が、ヒアルロン酸のような、皮膚を再生させるタイプのものであることが特に有利である。
【0058】
皮膚の熱傷の治療における本発明による組成物の使用は、創傷部における有効成分及び第1の化合物の迅速な吸収を決定するため、有利である。これは、治療の有効性を向上させる。
【0059】
有利には、有効成分は、0.1重量%~30重量%、より好適には0.2重量%~20重量%、さらに好適には0.5重量%~10重量%の濃度で存在する。
【0060】
ヒアルロン酸は、エレクトロスピニングされる化合物として、上記の3種類のそれぞれ異なる有効成分と組み合わせるのに適した候補であることに留意する必要があある。
【0061】
例えば、化粧品有効成分として以下があげられる。抗脂漏物(セバシン酸、アゼライン酸)、抗酸化物(アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、レチナール)、シミ抑制物(グラブリジン、過硫酸アンモニウム)、軟化物(ハマメリスエキス、ビサボロール)及び保湿物(グリセリン、プロパンジオールなど)。
【0062】
好ましい栄養有効成分の中には、植物、動物、藻類、菌類、地衣類又は細菌から抽出又は誘導された物質又は無加工のソース(源)を用いて製造された天然物(フィトステロール、エキナセア、緑茶エキス、ガーリック、アロエベラ、魚油、スピルリナ、クロレラ、菌類由来の消化酵素等)、ビタミン(例えば、ビタミンA、B、C、D、E、K、葉酸、ビオチン)、及び抗酸化物質(例えば、リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド、グルタチオン、レスベラトロール、カテキン)がある。
【0063】
最も有益な医薬有効成分は、アンドロゲン及びアナボリックステロイド(例えば、テストステロン)、抗CTLA-4モノクローナル抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ニボルマブ)、抗狭心症薬(例えば、ニトログリセリン)、抗喘息配合薬(例えば、ジフィリン/グアイフェネシン)、抗生物質(例えば、メトロニダゾール)、抗生物質/抗腫瘍薬(例えば、ドキソルビシン)、抗腫瘍薬(例えば、イソトレチノイン)、抗腫瘍薬配合薬(例えば、レトロゾール/リボシクリブ)である。
【0064】
これらの有効成分は、例えばキサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸、コラーゲン又はデンプンなどのエレクトロスピニングされる他の化合物と有利に組み合わせることができることに留意されたい。
別の構成例では、エレクトロスピニングされる化合物としてヘパリンと、医薬有効成分、例えばアレルゲン抽出物やエルトロンボパグなどの血小板刺激剤を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、組成物はまた、好適には架橋性ポリマーである安定剤を含んでいる。安定化剤の一例はアルギン酸ナトリウムであり、これは補助剤としてプルランに添加される。好適には、プルラン:アルギン酸の割合は、3:1.5~3:0.5であり、より好適には、3:1に等しい。
【0066】
例
本明細書による組成物の実施例について、エレクトロスピニング試験を実施した。組成物の実施例において、エレクトロスピニングされる第1の化合物は、以下の表に記載された化合物から選択される。
【0067】
これらの化合物は、Esperis S.p.A.,Milan、Evonik Degussa Italia,Cremona、及びIRALAB S.p.A.,Usmate Velate(MI)から供給されている。分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル透過クロマトグラフィー)により決定した。
【0068】
エレクトロスピニングは,日本企業であるMecc社のNANON.01A装置で実施した。実験条件は、以下の各実施例で示される。
製造されたファイバーは、走査型電子顕微鏡によって評価された。具体的には、EMITECHK950x Turbo Evaporator sputter coater,EBSciences,East Granby,CTを使用して金をコーティングし、Cambridge Stereoscan 440 SEM,Cambridge,UK走査型電子顕微鏡で観察した。
【0069】
エレクトロスピニングされる化合物としてヒアルロン酸と、スピニング補助剤としてPEO:アルギン酸混合物とを含む組成物のエレクトロスピニングの例
スピニング補助剤は、5重量%のアルギン酸の水溶液と5重量%のPEOの水溶液とを1:1の割合で混合したものである。そして、この補助剤に、平均分子量1.2MDaの鎖状ヒアルロン酸の水溶液を0.5重量%で混合した。補助剤:(HA溶液)の比は5.6:1に等しい。この組成物は、相対湿度(RH)が24%~29%、温度22℃、電界20kV、ヘッドでの組成物の体積流量が0.7mL/hに等しく、スピニングヘッドと繊維が堆積するコレクタとの間の距離が15cmに等しく、使用したニードルが22Gタイプのニードルである条件でエレクトロスピニングされた。得られた繊維は正常で、欠陥の少ないものであった。
同じ補助剤を、13重量%のヒアルロン酸オリゴマーの水溶液と、補助剤:(HA溶液)の割合が1:3に等しくなるように混合した。この第2例の組成物を、上記の第1例と同じ操作条件でエレクトロスピニングすると、平均直径が250~350nmの、非常に正常で欠陥のない繊維が得られた。得られた繊維は、使用したコレクタを完全に覆った。
【0070】
エレクトロスピニングされる化合物としてヒアルロン酸を、スピニング補助剤としてプルランを含む組成物のエレクトロスピニングの例
使用したプルランは、株式会社HAYASHIBARAの食品グレードのものである。10重量%、15重量%、20重量%のプルラン水溶液を準備し、これらのプルラン水溶液(スピニング補助剤)をヒアルロン酸水溶液と混合して、エレクトロスピニングを行った。
【0071】
下の表は、エレクトロスピニングを行った組成物の例と、それに対応するエレクトロスピニングの操作条件を示したものである。
【0072】
例1では、欠陥のない、平均直径400~700nmの正常な繊維が得られた。しかし、試験中、堆積はほとんど観察されなかった。
【0073】
例2では、エレクトロスピニング溶液の粘度が高いため、得られた繊維は平均直径10μmと太い。
【0074】
例3では、得られた繊維は、50nm~2μmの平均直径を有する。この例では、繊維はアルミニウム上とPBSAのフィルム上の両方に堆積されたことが観察される。
【0075】
一方の例4と7(プルラン:HAの比率が1:2に等しい)、他方の例6と8(プルラン:HAの比率が1:3に等しい)により、補助剤とヒアルロン酸の比の影響を検証することができた。
例4では、得られた溶液は良好なエレクトロスピニングのための最適な特性を有しており、得られた繊維は800nmから1μmの範囲の平均直径を有している。酸性pHを有する例4の組成物について、pHを5.5まで増加させ(NaOH 1Mを加えることによって)、その結果、例7の溶液を得ることができた。後者では、エレクトロスピニングにより、平均直径が500~700nmと、例4よりも小さい正常で均一な繊維が得られた。
【0076】
ヒアルロン酸の割合を増やすことで、例6(酸性pHの場合)では、平均値が1~3μmに等しい、均一な直径の繊維が得られたが、例8(pH5.5の場合)では、700nm~3μmの範囲の不均一な直径を有する繊維が得られた。
【0077】
例5では、プルランに安定剤としてアルギン酸を添加した。補助剤:HAの比率を1:3とし、表に示した条件で、数ミクロンオーダーの平均直径を持つ太い繊維が得られた。
【0078】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明したようなエレクトロスピニング法に対して、部分又はステップの修正及び/又は追加を行うことができることは明らかである。
【0079】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照は読みやすくすることのみを目的としており、特定の特許請求の範囲で主張される保護範囲に関する制限要因として考慮されてはならない。
【国際調査報告】