(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】車両挙動予測方法及び装置、電子機器、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544173
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2020142082
(87)【国際公開番号】W WO2021169591
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】202010127544.X
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320015083
【氏名又は名称】北京京東乾石科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING JINGDONG QIANSHI TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM A1905, 19TH FLOOR, NO. 2 BUILDING, NO. 18 KECHUANG 11 STREET, BEIJING ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, BEIJING 100176, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 江 江
(72)【発明者】
【氏名】張 亮 亮
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC27
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
本発明は、車両挙動予測方法及び装置、電子機器、記憶媒体を提供し、スマート運転技術分野に関する。前記方法は、目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定するステップ(S210)と、目標信号灯、取得された目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、目標信号灯に対応して近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定するステップ(S220)と、障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するステップ(S230)と、全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するステップ(S240)と、を含み、ここで、近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。本発明は、車両の挙動に対する予測精度を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得するステップと、
前記経路に対応する目標信号灯を確定するステップと、
前記目標信号灯の指示状態を取得するステップと、
前記目標信号灯、前記目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、前記目標信号灯に対応して近接する信号灯及び前記近接する信号灯の指示状態を確定するステップと、
障害車両の位置を取得するステップと、
前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するステップと、
全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するステップと、を含む
車両挙動予測方法。
【請求項2】
電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、各走行可能な経路が初期車線及び目標車線を含むステップと、
各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立するステップと、をさらに含む
請求項1に記載の車両挙動予測方法。
【請求項3】
前記信号灯状態マッピング関係テーブルの確立方法は、
電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得するステップと、
前記単一の信号灯、前記単一の信号灯の指示状態と前記他の信号灯、前記他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、前記信号灯状態マッピング関係テーブルを得るステップと、を含む
請求項1に記載の車両挙動予測方法。
【請求項4】
前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するステップは、
前記位置に基づいて前記障害車両が位置する車線を確定するステップと、
前記車線トポロジ関係及び前記障害車両が位置する車線に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するステップと、を含む
請求項2に記載の車両挙動予測方法。
【請求項5】
各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、
前記各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するステップは、
初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係に基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定するステップと、
確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とするステップと、を含む
請求項2に記載の車両挙動予測方法。
【請求項6】
前記全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するステップは、
各走行可能な経路に対して、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップと、
前記障害車両の全ての走行可能な経路の集合を前記障害車両の最終的な走行可能な経路とするステップと、を含む
請求項5に記載の車両挙動予測方法。
【請求項7】
前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップは、
前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得するステップと、
前記障害車両の位置に基づいて、前記座標シーケンスにおける前記障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを得るステップと、
処理後の座標シーケンスにより形成される経路を前記障害車両の走行可能な経路とするステップと、を含む
請求項6に記載の車両挙動予測方法。
【請求項8】
前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップの後に、前記方法は、
前記障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行した場合、前記障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測するステップをさらに含む
請求項6に記載の車両挙動予測方法。
【請求項9】
目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定するための目標信号灯確定モジュールと、
前記目標信号灯の指示状態を取得し、前記目標信号灯、前記目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、前記目標信号灯に対応して近接する信号灯及び前記近接する信号灯の指示状態を確定するための信号灯及び状態確定モジュールと、
障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するための走行可能な経路予測モジュールと、
全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するための走行可能な経路確定モジュールと、を含み、
前記近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む
車両挙動予測装置。
【請求項10】
電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、各走行可能な経路が初期車線及び目標車線を含み、
各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立するための車線及び信号灯のマッピング関係確立モジュールをさらに含む
請求項9に記載の車両挙動予測装置。
【請求項11】
電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得し、
前記単一の信号灯、前記単一の信号灯の指示状態と前記他の信号灯、前記他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、前記信号灯状態マッピング関係テーブルを得るための信号灯状態相互排他確立モジュールをさらに含む
請求項9に記載の車両挙動予測装置。
【請求項12】
前記走行可能な経路予測モジュールは、障害車両の位置を取得し、前記位置に基づいて前記障害車両が位置する車線を確定し、前記車線トポロジ関係及び前記障害車両が位置する車線に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するためのものである
請求項10に記載の車両挙動予測装置。
【請求項13】
各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、
前記走行可能な経路予測モジュールは、
初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係に基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定するステップ、及び
確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とするステップによって各走行可能な経路に対応する信号灯を確定することを実現する
請求項10に記載の車両挙動予測装置。
【請求項14】
前記走行可能な経路確定モジュールは、各走行可能な経路に対して、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新し、
前記障害車両の全ての走行可能な経路の集合を前記障害車両の最終的な走行可能な経路とするためのものである
請求項13に記載の車両挙動予測装置。
【請求項15】
前記走行可能な経路確定モジュールは、
前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得するステップ、
前記障害車両の位置に基づいて、前記座標シーケンスにおける前記障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを得るステップ、及び
処理後の座標シーケンスにより形成される経路を前記障害車両の走行可能な経路とするステップによって前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新することを実現する
請求項14に記載の車両挙動予測装置。
【請求項16】
前記障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行した場合、前記障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測するための走行状態予測モジュールをさらに含む
請求項14に記載の車両挙動予測装置。
【請求項17】
プロセッサーと、
前記プロセッサーの実行可能な命令を記憶するためのメモリとを備え、
前記プロセッサーは、前記実行可能な命令を実行することによって請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される
電子機器。
【請求項18】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサーによって実行される場合、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法を実現するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年02月28日に出願され、出願番号が202010127544.Xであって、名称が「車両挙動予測方法及び装置、電子機器、記憶媒体」である中国特許出願に基いて優先権を主張し、前記中国特許出願の全ての内容を本願に援用する。
【0002】
技術分野
本発明は、スマート運転技術分野に関し、特に、車両挙動予測方法、車両挙動予測装置、電子機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
自動運転システムにおいて、自動運転車両が信号灯付きの交差点を通過する場合、現在のナビゲーション経路における信号灯の指示状態に基づいて、車両の走行状態を確定することができる。また、交差点における他の車両の挙動を予測することにより、車両の走行状態の正確性をさらに向上させることもできる。しかしながら、関連技術において他の車両の挙動に対する予測精度は低い。
【0004】
なお、上記の背景技術の部分に記載されている内容は、本発明の背景技術に対する理解を深めるためのものに過ぎないため、当業者に知られている従来技術を構成しない内容を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ある程度に関連技術の制限や欠陥による車両の挙動に対する予測精度が低いという問題を克服する車両挙動予測方法、車両挙動予測装置、電子機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、車両挙動予測方法を提供し、前記車両挙動予測方法は、
目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定するステップと、
前記目標信号灯の指示状態を取得するステップと、
前記目標信号灯、前記目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、前記目標信号灯に対応して近接する信号灯及び前記近接する信号灯の指示状態を確定するステップと、
障害車両の位置を取得するステップと、
前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するステップと、
全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するステップと、を含み、
ここで、前記近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0007】
一実施例において、前記方法は、
電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、各走行可能な経路が初期車線及び目標車線を含むステップと、
各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立するステップと、をさらに含む。
【0008】
一実施例において、前記信号灯状態マッピング関係テーブルの確立方法は、
電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得するステップと、
前記単一の信号灯、前記単一の信号灯の指示状態と前記他の信号灯、前記他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、前記信号灯状態マッピング関係テーブルを得るステップと、を含む。
【0009】
一実施例において、障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するステップは、
障害車両の位置を取得し、前記位置に基づいて前記障害車両が位置する車線を確定するステップと、
前記車線トポロジ関係及び前記障害車両が位置する車線に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するステップと、を含む。
【0010】
一実施例において、各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、
前記各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するステップは、
初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係に基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定するステップと、
確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とするステップと、を含む。
【0011】
一実施例において、前記全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するステップは、
各走行可能な経路に対して、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップと、
前記障害車両の全ての走行可能な経路の集合を前記障害車両の最終的な走行可能な経路とするステップと、を含む。
【0012】
一実施例において、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップは、
前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得するステップと、
前記障害車両の位置に基づいて、前記座標シーケンスにおける前記障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを得るステップと、
処理後の座標シーケンスにより形成される経路を前記障害車両の走行可能な経路とするステップと、を含む。
【0013】
一実施例において、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新するステップの後に、前記方法は、
前記障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行する場合、前記障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測するステップをさらに含む。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、車両挙動予測装置を提供し、前記車両挙動予測装置は、
目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定するための目標信号灯確定モジュールと、
前記目標信号灯の指示状態を取得し、前記目標信号灯、前記目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、前記目標信号灯に対応して近接する信号灯及び前記近接する信号灯の指示状態を確定するための信号灯及び状態確定モジュールと、
障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するための走行可能な経路予測モジュールと、
全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、前記障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するための走行可能な経路確定モジュールと、を含み、
ここで、前記近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0015】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、各走行可能な経路が初期車線及び目標車線を含み、
各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立するための車線及び信号灯のマッピング関係確立モジュールをさらに含む。
【0016】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得し、
前記単一の信号灯、前記単一の信号灯の指示状態と前記他の信号灯、前記他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、前記信号灯状態マッピング関係テーブルを得るための信号灯状態相互排他確立モジュールをさらに含む。
【0017】
一実施例において、前記走行可能な経路予測モジュールは、具体的には、障害車両の位置を取得し、前記位置に基づいて前記障害車両が位置する車線を確定し、前記車線トポロジ関係及び前記障害車両が位置する車線に基づいて、前記現在の交差点における前記障害車両の全ての走行可能な経路を予測するためのものである。
【0018】
一実施例において、各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、
前記走行可能な経路予測モジュールは、
初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係に基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定するステップ、及び
確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とするステップによって各走行可能な経路に対応する信号灯を確定することを実現する。
【0019】
一実施例において、前記走行可能な経路確定モジュールは、具体的には、各走行可能な経路に対して、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新し、
前記障害車両の全ての走行可能な経路の集合を前記障害車両の最終的な走行可能な経路とするためのものである。
【0020】
一実施例において、前記走行可能な経路確定モジュールは、
前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得するステップ、
前記障害車両の位置に基づいて、前記座標シーケンスにおける前記障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを得るステップ、及び
処理後の座標シーケンスにより形成される経路を前記障害車両の走行可能な経路とするステップによって前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新することを実現する。
【0021】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
前記障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行する場合、前記障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測するための走行状態予測モジュールをさらに含む。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、プロセッサーと、前記プロセッサーの実行可能な命令を記憶するためのメモリとを備える電子機器を提供し、ここで、前記プロセッサーは、前記実行可能な命令を実行することによって上記の方法のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータプログラムがプロセッサーによって実行される場合、上記の方法のいずれか1項に記載の方法を実現する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施例は、少なくとも以下の一部又は全部の有益な効果を有することができる。
【0025】
本発明の実施例に係る車両挙動予測方法及び装置において、目標車両が走行する場合、目標車両が走行しようとする経路に基づいて、対応する目標信号灯を確定するとともに、目標信号灯の指示状態に基づいて、他の近接する信号灯の指示状態を確定することができる。その後、障害車両の位置に基づいて、近接する信号灯の指示状態と組み合わせて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定し、障害車両の挙動に対する予測の正確性を向上させることができる。さらに、障害車両の最終的な走行可能な経路に基づいて、目標車両が走行する場合の安定性及び安全性を向上させることができる。
【0026】
なお、前記一般的な記載及び後述の詳細な記載は、単なる例示的で解釈的な記載であり、本発明を限定しない。
【0027】
以下の図面は明細書に組み入れて本明細書の一部分を構成し、本発明に前記該当する実施例を例示するとともに、明細書とともに本発明の原理を解釈し、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係る電子機器を実現するのに適したコンピュータシステムの構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施例における車両挙動予測方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例における走行経路と信号灯のマッピング関係の確立方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例における信号灯状態マッピング関係テーブルの確立方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例における車両挙動予測装置の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、例示的な実施形態をより全面的に説明する。ただし、例示的な実施形態は複数種類の形態で実施することができ、ここに記述する実施例に限定されないことを理解すべきである。逆に、これらの実施形態を提供することで、本発明がさらに全面で完全になるとともに、例示的な実施形態の思想を全面で当業者に伝達する。なお、説明される特徴、構成又は特性は、任意の適切な方式で1つ又は複数の実施形態に組み合わせることができる。以下の説明において、本発明の実施例を充分に理解するために、多くの具体的な細部を提供する。しかしながら、当業者であれば、特定の詳細の1つ又は複数を省略してもよく、又は他の方法、ユニット、装置、ステップなどを本発明の技術案を実施する際に使用してもよいことは理解されるべきである。他の場合において、主題を圧倒して本発明の各態様を不明瞭にすることを避けるために、公知の技術案を詳しく示し又は説明しない。
【0030】
なお、図面は、本発明の模式的な図示に過ぎず、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。図面における同じ符号は、同じ又は類似する要素を示すため、それらの重複する説明が省略される。図面に示されるいくつかのブロック図は機能的な実体であり、必ずしも物理的又は論理的に独立する実体に対応する必要はない。これらの機能的実体は、ソフトウェア形式で実現され、又は、1つ又は複数のハードウェアモジュール或いは集積回路で実現され、又は、異なるネットワーク及び/又はプロセッサー装置及び/又はマイクロコントローラ装置で実現されることができる。
【0031】
図1は、本発明の実施例に係る電子機器を実現するのに適したコンピュータシステムの構造を示す模式図である。
【0032】
なお、
図1に示す電子機器のコンピュータシステム100は、単なる一例に過ぎず、本発明の実施例の機能及び使用範囲に何ら制限を課すものではない。
【0033】
図1に示すように、コンピュータシステム100は、読み取り専用メモリ102に記憶されているプログラム又は記憶部分108からランダムアクセスメモリ103にロードされたプログラムに基づいて、適切な各種動作及び処理を実行することができる中央処理装置101を含む。ランダムアクセスメモリ103には、システム操作に必要な各種プログラム及びデータがさらに記憶される。中央処理装置101、読み取り専用メモリ102、及びランダムアクセスメモリ103は、バス104を介して互いに接続される。入力/出力インタフェース105もバス104に接続される。
【0034】
入力/出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどを含む入力部106、例えば陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)など及びスピーカなどを含む出力部107、ハードディスクなどを含む記憶部108及びローカルエリアネットワークカード、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信部109が接続される。通信部109は、例えばインターネットのようなネットワークを介して通信処理を実行する。ドライブ110も必要に応じて入力/出力インタフェース105に接続される。例えば磁気ディスク、光ディスク、磁光ディスク、半導体メモリなどのような取り外し可能な媒体111が必要に応じてドライブ110にインストールされることにより、それから読み出されたコンピュータプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
【0035】
本発明の実施例によれば、フローチャートを参照して以下で説明する過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができる。例えば、本発明の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に担持されるコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を含み、前記コンピュータプログラムは、フローチャートに示される方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例では、前記コンピュータプログラムは、通信部109を介してネットワークからダウンロード及びインストールされ、及び/又は取り外し可能な媒体111からインストールされることができる。前記コンピュータプログラムが中央処理装置101により実行される場合、本願の方法及び装置に限定される各種機能を実行する。
【0036】
なお、本発明に示されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光、電磁、赤外線、若しくは半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、又はそれらの任意の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例として、1つ以上のワイヤを有する電気接続、携帯型コンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。本発明において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと共に使用され得るプログラムを包含又は記憶する任意の有形媒体であってもよい。本発明において、コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドで、又は搬送波の一部として伝搬されるデータ信号を含むことができ、その中にコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが担持される。そのような伝搬されるデータ信号は、電磁信号、光信号、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な形態をとり得る。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、また、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらと関連して使用するためのプログラムを送信、伝播、又は伝送し得る、コンピュータ読み取り可能な記録媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体に含まれるプログラムコードは、無線、有線、光ケーブル、無線周波数等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体によって伝送されてもよい。
【0037】
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施例によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点で、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント又はコードの一部を代表することができ、上記のモジュール、プログラムセグメント又はコードの一部は、所定の論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む。また、いくつかの代替的な実施形態において、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序と異なる順序で実行されてもよいことに留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際に略並列に実行されてもよく、関連する機能によっては逆の順序で実行されることもある。なお、ブロック図又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行するための専用のハードウェアベースのシステムで実現され、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されてもよいことに留意されたい。
【0038】
本発明の実施例に係るユニットは、ソフトウェアとして実現されてもよく、ハードウェアとして実現されてもよく、記載されるユニットは、プロセッサーに設置されてもよい。ここで、これらのユニットの名称は、ある場合には、前記ユニットを限定するものではない。
【0039】
他の態様によれば、本願は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記の実施例に記載される電子機器に含まれるものであってもよく、単独で存在するが前記電子機器に組み込まれていないものであってもよい。上記のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、1つ又は複数のプログラムが担持され、上記の1つ又は複数のプログラムが前記電子機器により実行される場合、前記電子機器は、下記の実施例に記載される方法を実現する。例えば、前記電子機器は、
図2~
図4に示されるような各ステップなどを実現することができる。
【0040】
以下、本発明の実施例の技術案について詳細に説明する。
自動運転車両については、交差点での他の車両や歩行者に対してより正確な予測を行うことにより、自動運転車両が交差点を通過する場合の安全性及び信頼性をより向上させることができる。本発明の実施例は、他の車両や歩行者に対する予測の正確性を向上させることができる車両挙動予測方法を提供する。
【0041】
図2を参照すると、
図2は、本発明の実施例における車両挙動予測方法のフローチャートを示し、以下のステップを含む。
【0042】
S210において、目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定する。
【0043】
S220において、前記目標信号灯の指示状態を取得し、目標信号灯、取得された目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、目標信号灯に対応して近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定する。
【0044】
S230において、障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定し、ここで、近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0045】
S240において、全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定する。
【0046】
本発明の実施例に係る車両挙動予測方法において、目標車両が走行する場合、目標車両が走行しようとする経路に基づいて、対応する目標信号灯を確定するとともに、目標信号灯の指示状態に基づいて、他の近接する信号灯の指示状態を確定することができる。次に、障害車両の位置に基づいて、近接する信号灯の指示状態と組み合わせて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定し、障害車両の挙動に対する予測の正確性を向上させることができる。さらに、障害車両の最終的な走行可能な経路に基づいて、目標車両が走行する場合の安定性及び安全性を向上させることができる。
【0047】
以下、本発明の実施例に係る車両挙動予測方法についてより詳細に説明する。
S210において、目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定する。
【0048】
本発明の実施例において、目標車両は、自動運転車両であってもよく、自動運転車両は、通常、予め設定されたナビゲーション経路に従って走行することができるが、ナビゲーション経路において複数の交差点を含むことができるので、各交差点を通過する場合、目標車両は、直進、右折、左折などを行うことができる。目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路とは、左折しようとするもの、右折しようとするもの又は直進しようとするものを指し、且つ、各経路は、いずれも信号灯に対応することができる。例えば、直進する場合に1つの信号灯に対応することができ、左折する場合に1つの信号灯に対応することができ、右折する場合に1つの信号灯に対応することもできるが、当然ながら、右折する場合に対応する信号灯が存在しなくてもよく、即ち、障害車両又は歩行者が存在しない状況で、右折する場合に車はいつでも通行することができる。目標車両が走行しようとする経路が確定された後、前記経路に対応する目標信号灯を確定することができる。ここで、前記経路に対応する信号灯が存在しない場合は、本発明で考慮しなくてもよい。
【0049】
当然ながら、この前に、各交差点に対して、走行経路と信号灯とのマッピング関係を予め確立することができる。
図3を参照すると、以下のステップを含むことができる。
【0050】
S310において、電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、ここで、各走行可能な経路は、初期車線及び目標車線を含む。
【0051】
現在、電子地図には、各車線間のトポロジ関係が含まれてもよく、各交差点は、その形状が異なる可能性があり、十字型交差点、T字型交差点等であってもよい。対応する走行可能な経路は、交差点の形状によって異なり、交差点における走行可能な経路は、前記交差点で走行可能な経路である。ここで、走行可能な経路は、2つの車線で表すことができ、例えば、前記交差点におけるいずれかの車線を初期車線とし、走行しようとする車線を目標車線とし、初期車線及び目標車線は、連続して隣接する車線であってもよい。
【0052】
S320において、各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立する。
【0053】
本発明の実施例において、電子地図に基づいて、車線LANE1から車線LANE2まで信号灯TL1を通過すると確定された場合、集合S{LANE1_ID,LANE2_ID}と信号灯TL1とのマッピング関係を確立することができる。ここで、LANE1_ID、LANE2_IDは、それぞれ車線LANE1及び車線LANE2の唯一の識別子である。また、電子地図から信号灯の唯一の識別子、位置座標、向きなどの情報を取得することもできる。なお、1つの信号灯は、少なくとも1つの集合Sに対応し、且つ集合Sは、順序付けられており、2つの要素を含み、即ち集合Sの第1の要素で示される車線から集合Sの第2の要素で示される車線まで信号灯TL1を通過する。
【0054】
その後、上記のマッピング関係を記憶することができる。このように、任意の2つの車線で構成される順序付けられた集合に対して、前記マッピング関係において対応する信号灯が存在するか否かを探索することができる。具体的な探索アルゴリズムは、ハッシュ探索、順探索などを含むが、これらに限定されない。前述したように、右折時の2つの車線には、対応する信号灯が存在しなくてもよい。従って、2つの車線で構成される順序付けられた集合は、対応する信号灯が存在しない可能性もある。
【0055】
S220において、目標信号灯、取得された目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、目標信号灯に対応して近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定する。
【0056】
具体的には、目標信号灯が確定された後、カメラによって画像を収集し、且つ収集された画像を識別して前記信号灯の指示状態を取得することができる。指示状態には、赤信号、青信号、黄信号及び未知などが含まれてもよい。指示状態が未知である場合、目標信号灯の指示状態の取得に失敗したことが示され、障害車両の挙動に対する予測に失敗したと確定し、処理が終了される。
【0057】
目標信号灯の指示状態が赤信号、青信号又は黄信号である場合、信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて目標信号灯の近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定することができる。近接する信号灯とは、目標信号灯に近接する信号灯を指し、例えば、同じ交差点での他の信号灯は、目標信号灯の近接する信号灯である。
【0058】
ここで、信号灯状態マッピング関係テーブルには、同じ交差点の各信号灯の間の論理関係が記憶されてもよく、即ち、その中の1つの信号灯がある指示状態にある場合、他の信号灯の指示状態である。信号灯状態マッピング関係テーブルの確立方法は、
図4を参照することができ、以下のステップを含むことができる。
【0059】
S410において、電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得する。
【0060】
通常、信号灯の各指示状態は、いずれも一定時間持続することができ、例えば、同一の信号灯に対して、指示状態が赤信号である持続時間は、60秒であってもよく、指示状態が青信号である持続時間も60秒であってもよく、指示状態が黄信号である持続時間は、5秒であってもよい。
【0061】
この時、信号灯TL1の指示状態が青信号である持続時間内に、交差点での他の信号灯の指示状態が青信号の信号灯集合TGGであり、交差点での他の信号灯の指示状態が赤信号の信号灯集合TGRであることを確定することができ、
信号灯TL1の指示状態が赤信号である持続時間内に、交差点での他の信号灯の指示状態が青信号の信号灯集合TRGであり、交差点での他の信号灯の指示状態が赤信号の信号灯集合TRRであることを確定することができ、
信号灯TL1の指示状態が黄信号である持続時間内に、交差点での他の信号灯の指示状態が青信号の信号灯集合TYGであり、交差点での他の信号灯の指示状態が赤信号の信号灯集合TYRであることを確定することができる。
【0062】
ここで、上記の情報は、人工で取得することができ、即ち、交差点では、各信号灯の間のタイミングや状態関係を人工で判断し、上記の情報を生成する。当然ながら、自動化された方法で実現することもでき、例えば、サラウンドビューカメラにより交差点での全ての信号灯の状態変化のビデオを同時に収集することができ、前記ビデオは、交差点での各信号灯の1つの完全な状態周期(完全な赤信号、完全な青信号、完全な黄信号)を含むことができ、次に、信号灯識別アルゴリズム(畳み込みニューラルネットワーク、深層学習などを含むが、これらに限定されない)を利用して各信号灯の状態持続時間、状態切り替え時間などを識別し、信号灯の状態切り替え時間及び状態持続時間に基づいて上記の情報を生成する。
【0063】
S420において、単一の信号灯、単一の信号灯の指示状態と他の信号灯、他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、信号灯状態マッピング関係テーブルを得る。
【0064】
S410で生成される情報に基づいて、信号灯状態マッピング関係テーブルを確立することができる。このように、目標信号灯の指示状態に基づいて、近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定することができる。例えば、目標信号灯TL1の指示状態が青信号である場合、近接する信号灯は、{TGG,TGR}であり、TL1の指示状態が赤信号である場合、近接する信号灯は、{TRG,TRR}であり、TL1の指示状態が黄信号である場合、近接する信号灯は、{TYG,TYR}である。
【0065】
S230において、障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定し、ここで、近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0066】
なお、本発明は、障害車両を予測する以外に、歩行者の挙動などを予測することができるが、ここでは限定しない。本発明の実施例において、障害車両は、目標車両以外の他の車両であってもよく、障害車両の数は、1つ又は複数であってもよく、ここでは1つを例として説明する。
【0067】
本発明の一実施例において、センサを介して障害車両の位置を取得するとともに、障害車両の全ての走行可能な経路を予測することができる。例えば、交差点の反対側では、目標車両の走行方向と反対方向の障害車両は、直進、右折、左折などをすることができる。
【0068】
より具体的には、障害車両の位置及び交差点の車線トポロジ関係が確定された場合、障害車両の位置に基づいて障害車両が位置する車線を確定し、車線トポロジ関係及び障害車両が位置する車線に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測することができる。現在の交差点における障害車両の走行可能な経路がTRであると予測する場合、TR={L1,L2,…,Ln}であり、Liは、i番目の走行経路を示し、nは、走行可能な経路の総数を示す。
【0069】
ここで、各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、Li={LANE_1,LANE_2,…,LANE_m}であり、Liが車線LANE_1、LANE_2、…、LANE_mによって順に形成されることが示され、mは、車線の数を示す。
【0070】
障害車両の走行可能な経路を予測した後、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係、即ち
図3に確立されたマッピング関係テーブルに基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定し、確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とする。前述したように、全ての連続する2つの車線に対応する信号灯が存在するわけではない。通常、1つの走行経路は、1つの信号灯に対応してもよく、当然ながら、複数の信号灯に対応してもよく、又は、対応する信号灯が存在しなくてもよい。なお、近接する信号灯とは、前記交差点での目標信号灯以外の他の信号灯を指し、各走行可能な経路に対応する信号灯は近接する信号灯のうちの1つ又は複数である可能性があり、即ち近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0071】
S240において、全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定する。
【0072】
本発明の実施例において、S220において近接する信号灯の指示状態を確定することができ、近接する信号灯が各走行可能な経路に対応する信号灯を含むので、各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態を確定することができる。
【0073】
各走行可能な経路については、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が青信号である場合、前記経路が通行可能であることが示され、前記走行可能な経路は、障害車両の走行可能な経路である。同時に、等速、等加速、等減速又は三者の間の組み合わせで経路のために速度を生成することにより、障害車両の走行可能な軌跡を予測することもでき、ここで、走行軌跡は、走行経路、速度、加速度及び角速度などを含む。
【0074】
前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記経路が通行不能であることが示される。前記走行可能な経路における前記信号灯の後の車線は、通行不能であり、前記信号灯の前の車線は、通行可能であるので、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新することができる。
【0075】
例えば、前記走行可能な経路は、車線LANE_1、LANE_2及びLANE_3が順に接続されたものであり、信号灯は、車線LANE_1とLANE_2との間にあり、且つ信号灯の指示状態が赤信号である場合、障害車両が走行可能な車線は、LANE_1であり、車線LANE_1は、障害車両の走行可能な経路である。
【0076】
具体的には、電子地図から前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得し、且つ座標シーケンスに対して補間処理を行い、補間後の座標シーケンスを得ることができる。ここで、補間方法は、線形補間、放物線補間、ラグランジュ補間などのアルゴリズムを含むが、これらに限定されない。その後、障害車両の位置に基づいて、座標シーケンスにおける障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを取得し、処理後の座標シーケンスによって形成される経路を障害車両の走行可能な経路とする。例えば、制御アルゴリズムによって処理後の座標シーケンスを追跡し、走行可能な経路を取得することができる。ここで、制御アルゴリズムは、PID(Proportion Integral Differential、比例-積分-微分)アルゴリズム、LQR(Linear Quadratic Regulator、線形二次レギュレータ)、MPC(Model Predictive Control、モデル予測制御)、PP(Pure-Pursuit、純粋な追跡)アルゴリズムなどを含むことができる。
【0077】
その後、障害車両の全ての走行可能な経路の集合を障害車両の最終的な走行可能な経路とする。例えば、S230において、3つの走行可能な経路が得られることが予測された場合、最終的な走行可能な経路も3つとなる。
【0078】
一実施例において、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新した後に、障害車両の走行状態を予測することもできる。障害車両は赤信号に遭遇した時に停止する必要があるので、障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行する場合、障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測する。障害車両の前方に既に他の車両が停止している場合、障害車両は、自身から最も近い車両の後方の位置まで走行し、障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測する。同様に、障害車両が停止する前に、等速、等減速、又は両者の間の組み合わせで経路のために速度を生成することにより、障害車両の走行可能な軌跡を予測することもできる。
【0079】
このようにして、自動運転車両は、障害車両の走行可能な軌跡に応じて等速走行、減速走行又は停止することにより、自動運転車両の走行の安全性を向上させることができる。
【0080】
実施例1
図5を参照すると、
図5は、車線トポロジの模式図を示し、Lane1~Lane7は、車線を示し、tl1~tl3は、信号灯を示す。これから分かるように、Lane1からLane2まで走行する場合に信号灯tl1を通過するので、{Lane1,Lane2}は、信号灯tl1に対応する。同様に、{Lane3,Lane4}が信号灯tl2に対応し、{Lane3,Lane6}が信号灯tl3に対応することが分かる。
【0081】
現時点において、信号灯tl1の指示状態が青信号であり、tl2の指示状態が赤信号であり、tl3の指示状態が青信号であると仮定する。自動運転車両は、図面に示される位置でLane1からLane2までの方向に走行する。自動運転車両に取り付けられたカメラによって画像を収集し、赤信号tl1の状態が青信号であることを取得し、信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、TGG={tl3}、TGR={tl2}を取得することができ、即ち、tl2の指示状態が赤信号であり、tl3の指示状態が青信号であることを確定することができる。
【0082】
障害車両の位置に基づいて、障害車両が走行可能な車線シーケンス集合TR={tr1,tr2}を予測することができ、ここで、tr1={Lane3,Lane4,Lane5}であり、tr2={Lane3,Lane6,Lane7}である。tl2の指示状態が赤信号であるので、最終的に障害車両の走行車線シーケンス集合TR1={tr3,tr2}を取得し、ここで、tr3={Lane3}であり、Lane3からLane4が赤信号であるので、障害車両は、最大でtl2に対応する停止線までしか走行できず、且つここでの速度及び加速度は0であり、即ち、tr3に基づいて取得された予測軌跡の最終的な速度、加速度は0でなければならない。tr2には赤信号が存在しないので、tr2に基づく予測軌跡における速度、加速度を特に限定しなくてもよい。
【0083】
tl2の状態を正確に取得できない場合、tr1に基づく経路に自動運転車両の走行経路と交差する部分が存在する可能性があるので、自動運転車両を減速させ、自動運転の安定性に影響を与えることを理解することができる。
【0084】
以上から分かるように、本発明の実施例に係る車両挙動予測方法は、目標信号灯の指示状態を取得することにより、目標信号灯に対応して近接する信号灯の指示状態を確定することができる。1つの目標信号灯の指示状態のみを取得すればよいので、複数の信号灯の指示状態を取得することによる結果の不確実性を回避し、信号灯の指示状態の確定の正確性を向上させることができる。このように、障害車両の位置及び近接する信号灯の指示状態に基づいて障害車両の走行可能な経路を確定する場合、走行可能な経路に対する予測の正確性を向上させることができる。さらに、自動運転車両の走行の安定性及び安全性を向上させることができる。
【0085】
本発明における方法の様々なステップが、特定の順序で図面に記載されているが、これは、そのようなステップが特定の順序で実行されなければならないこと、または、所望の結果を達成するために、示されたステップの全てが実行されなければならないことを要求または暗示するものではないことに留意されたい。追加的に又は代替的に、いくつかのステップは省略されてもよく、複数のステップが1つのステップとして併合されて実行されてもよく、及び/又は1つのステップが複数のステップに分解されて実行されてもよい。
【0086】
さらに、例示的な本実施例において、車両挙動予測装置600をさらに提供し、
図6を参照すると、前記車両挙動予測装置600は、
目標車両が現在の交差点で走行しようとする経路を取得し、前記経路に対応する目標信号灯を確定するための目標信号灯確定モジュール610と、
目標信号灯、取得された目標信号灯の指示状態、及び信号灯状態マッピング関係テーブルに基づいて、目標信号灯に対応して近接する信号灯及び近接する信号灯の指示状態を確定するための信号灯及び状態確定モジュール620と、
障害車両の位置を取得し、前記障害車両の位置に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測し、且つ各走行可能な経路に対応する信号灯を確定するための走行可能な経路予測モジュール630と、
全ての走行可能な経路及び各走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態に基づいて、障害車両の最終的な走行可能な経路を確定するための走行可能な経路確定モジュール640と、を含み、
ここで、近接する信号灯は、各走行可能な経路に対応する信号灯を含む。
【0087】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
電子地図における車線トポロジ関係に基づいて、各交差点における走行可能な経路を確定し、各走行可能な経路が初期車線及び目標車線を含み、
各走行可能な経路に対して、初期車線から目標車線まで走行して通過する信号灯を確定し、初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係を確立するための車線及び信号灯のマッピング関係確立モジュールをさらに含む。
【0088】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
電子地図における各交差点に対して、前記交差点での単一の信号灯の指示状態、及び前記指示状態の持続時間内における前記交差点での他の信号灯の指示状態を取得し、
単一の信号灯、単一の信号灯の指示状態と他の信号灯、他の信号灯の指示状態との間のマッピング関係を確立し、信号灯状態マッピング関係テーブルを得るための信号灯状態相互排他確立モジュールをさらに含む。
【0089】
一実施例において、走行可能な経路予測モジュールは、具体的には、障害車両の位置を取得し、前記位置に基づいて障害車両が位置する車線を確定し、車線トポロジ関係及び障害車両が位置する車線に基づいて、現在の交差点における障害車両の全ての走行可能な経路を予測するためのものである。
【0090】
一実施例において、各走行可能な経路は、少なくとも2つの車線によって順に形成されており、
走行可能な経路予測モジュールは、
初期車線と目標車線と信号灯との間のマッピング関係に基づいて、各走行可能な経路における全ての連続する2つの車線に対応する信号灯を確定するステップ、及び
確定された信号灯を前記走行可能な経路に対応する信号灯とするステップによって各走行可能な経路に対応する信号灯を確定することを実現する。
【0091】
一実施例において、走行可能な経路確定モジュールは、具体的には、各走行可能な経路に対して、前記走行可能な経路に対応する信号灯の指示状態が赤信号又は黄信号である場合、前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新し、
障害車両の全ての走行可能な経路の集合を障害車両の最終的な走行可能な経路とするためのものである。
【0092】
一実施例において、走行可能な経路確定モジュールは、
前記信号灯の前の車線の座標シーケンスを取得するステップ、
障害車両の位置に基づいて、座標シーケンスにおける障害車両の後に位置する座標を除去し、処理後の座標シーケンスを取得するステップ、及び
処理後の座標シーケンスにより形成される経路を障害車両の走行可能な経路とするステップによって前記走行可能な経路を前記信号灯の前の車線に更新することを実現する。
【0093】
一実施例において、本発明の実施例に係る車両挙動予測装置は、
障害車両が前記信号灯に対応する停止線まで走行する場合、障害車両の速度及び加速度がいずれも0であると予測するための走行状態予測モジュールをさらに含む。
【0094】
上記の装置における各モジュール又はユニットの具体的な細部は既に対応する方法において詳細に説明されたので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0095】
なお、以上の詳細な説明では、動作を実行するための機器のいくつかのモジュール又はユニットを説明したが、このような区分は、強制的なものではない。実際には、本発明の実施形態によれば、上述した2つ以上のモジュール又はユニットの特徴及び機能は、1つのモジュール又はユニットで具体化されてもよい。逆に、上述した1つのモジュール又はユニットの特徴及び機能は、複数のモジュール又はユニットによりさらに具体化されてもよい。
【0096】
当業者は、本明細書を考慮し、本明細書に開示された発明を実施した後、本発明の他の実施形態を容易に想到できる。本願は、本発明の任意の変形、用途又は適応性の変更を含み、これらの変形、用途又は適応性の変更は、本発明の一般的な原理に従うと共に、本発明に開示されない当技術分野における公知な常識又はで慣用の技術手段を含む。明細書及び実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲において指摘されている。
【0097】
本発明は、前記で記述され、図面で図示した特定の構成に限定されず、その範囲を離脱しない状況で、様々な修正や変更を実施してもよい。本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲のみにより限定される。
【国際調査報告】