(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】多重還流流炭化水素回収法
(51)【国際特許分類】
F25J 3/02 20060101AFI20230324BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20230324BHJP
C10L 3/10 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
F25J3/02 B
F25J3/06
C10L3/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545066
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 US2021014542
(87)【国際公開番号】W WO2021150841
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522005594
【氏名又は名称】ルーマス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】グヴェリオグル, ガリップ ハカン
(72)【発明者】
【氏名】ヤミン, フェリドゥーン
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA09
4D047AB08
4D047CA03
4D047CA04
4D047CA16
4D047CA19
4D047DA01
4D047DA04
4D047EA04
(57)【要約】
本明細書のシステムは、メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離する。上記システムは、高エタン回収モード、高処理量モード、または実施形態によっては高プロパン回収モードで上記システムを運転することが柔軟にできるように構成された配管、弁、および制御装置を含んでいてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するシステムであって、
上記導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割する分流器、
上記第一の供給流を冷却する第一の熱交換器、
上記第二の供給流を冷却する第二の熱交換器、
冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離する分離器、
上記第一の蒸気流を脱メタン塔に供給するフローライン、
上記第一の液体流を上記脱メタン塔に供給するフローライン、
上記供給流を脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離する上記脱メタン塔、
上記脱メタン器オーバーヘッド流を圧縮して残部ガス流を形成する1つ以上の圧縮器、
還流流を上記脱メタン塔の上部に供給する脱メタン塔還流ライン、
上記残部ガス流の一部を上記脱メタン塔還流ラインに供給するフローライン、
上記導入ガス流の第三の部分を上記脱メタン塔還流ラインに供給するフローライン、
上記脱メタン塔還流ラインへの上記残部ガス流の一部の流れを許可または停止する第一の弁、および
上記脱メタン塔還流ラインへの上記導入ガス流の第三の部分の流れを許可または停止する第二の弁を含むシステム。
【請求項2】
上記第一の弁および第二の弁の位置を制御するように構成された制御システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記第一の熱交換器は、上記第一の供給流、上記脱メタン塔オーバーヘッド流、および上記還流流のうち1つ以上の間で熱交換するガス-ガス熱交換器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記第二の熱交換器は、上記脱メタン塔からの1つ以上の側部抜出しと上記第二の供給流との間で熱交換する再沸器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記第一の弁を閉じて上記第二の弁を開き、上記システムを高処理量モードで所定の時間運転すること、および
上記第二の弁を閉じて上記第一の弁を開き、上記システムを高エタン回収モードで所定の時間運転することを含む、請求項1に記載のシステムを運転する方法。
【請求項6】
メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するプロセスであって、
第一の期間では、
(a)導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割し、上記第一の供給流および第二の供給流を冷却すること、
(b)冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離すること、
(c)上記第一の液体流を膨張させて、これにより第一の脱メタン塔供給流を形成すること、
(d)上記第一のガス流をより低い圧力まで膨張させて、これにより第二の脱メタン塔供給流を形成すること、
(e)上記第一の脱メタン塔供給流および第二の脱メタン塔供給流を脱メタン器に供給し、脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離すること、
(f)上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して残部ガス流を形成すること、および
(g)製品流として上記残部ガスの第一の部分を回収し、還流として上記残部ガス流の第二の部分を上記脱メタン塔にリサイクルすること
を含む高エタン回収モードで上記プロセスを運転する工程、
還流としての上記残部ガスの第二の部分のリサイクルを中止する工程、
第二の期間では、
(aa)上記導入ガス流を上記第一の供給流、上記第二の供給流、および第三の供給流に分割し、上記第一の供給流、第二の供給流、および第三の供給流を冷却すること、
(bb)冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離すること、
(cc)上記第一の液体流を膨張させて、これにより第一の脱メタン塔供給流を形成すること、
(dd)上記第一のガス流をより低い圧力まで膨張させて、これにより第二の脱メタン塔供給流を形成すること、
(ee)上記第一の脱メタン塔供給流および第二の脱メタン塔供給流を脱メタン器に供給し、脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離すること、
(ff)上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して、製品として回収される残部ガス流を形成すること、および
(gg)還流として上記第三の供給流を上記脱メタン塔に供給すること
を含む高処理量モードで上記プロセスを運転する工程
を含むプロセス。
【請求項7】
第三の期間に、90%未満のエタンを回収しつつ上記プロセスをC3+回収運転モードで運転することをさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
第三の期間に、上記残部ガスの一部と上記第三の供給流を混合して混合還流流を形成し、上記混合還流流を還流として上記脱メタン塔に供給することをさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するシステムであって、
上記導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割する分流器、
上記第一の供給流を冷却し、冷却された第一の供給流を生成するガス-ガス熱交換器、
上記第二の供給流を冷却し、冷却された第二の供給流を生成する第二の熱交換器、
上記冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離する第一の分離器、
上記第一の蒸気流を第一の部分と第二の部分とに分割する分流器、
上記第一の蒸気流の第一の部分を膨張させ、上記第一の蒸気流の第一の部分から仕事を抽出する膨張器、
上記ガス-ガス熱交換器で上記第一の蒸気流の第二の部分を冷却するフローライン、
上記第一の蒸気流の冷却された第二の部分を第二の蒸気流と第二の液体流とに分離する第二の分離器、
上記第一の液体流を第一の塔供給流として脱メタン塔に供給するフローライン、
上記第一の蒸気流の膨張させた第一の部分を第二の塔供給流として上記脱メタン塔に供給するフローライン、
上記第二の液体流を第三の供給流として上記脱メタン塔に供給するフローライン、
上記第二の蒸気流を第四の供給流として上記脱メタン塔に供給するフローライン、
上記第一、第二、第三、および第四の供給流を脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離する上記脱メタン塔、
上記ガス-ガス交換器で上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温するフローライン、
加温された脱メタン器オーバーヘッド流を圧縮して残部ガス流を形成する1つ以上の圧縮器であって、少なくとも1つの圧縮器が上記膨張器で抽出された仕事により駆動される、圧縮器、
(i)上記残部ガス流の一部、(ii)上記導入ガス流の第三の部分、または(iii)(i)と(ii)の混合物を受容し、受容された(i)、(ii)、または(ii)を上記ガス-ガス交換器で冷却するように構成された第五の塔供給流、
還流流を上記脱メタン塔の上部に供給する還流フローラインであって、上記還流流が、上記第五の塔供給流から供給される(i)、(ii)、または(ii)のいずれかまたは上記第二の蒸気流を含むように弁および配管が構成された、還流フローライン、
上記第五の塔供給ラインへの上記残部ガス流の一部の流れを制御または停止する第一の弁、および
上記第五の塔供給ラインへの上記導入ガス流の第三の部分の流れを制御または停止する第二の弁を含むシステム。
【請求項10】
上記第二の蒸気の一部を上記ガス-ガス交換器で冷却するフローラインをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
上記第一の塔供給流は上記第二の塔供給流よりも上記脱メタン塔の下側の部分に供給され、上記第二の塔供給流は上記第三の塔供給流よりも上記脱メタン塔の下側の部分に供給され、上記第三の塔供給流は上記第四の塔供給流よりも上記脱メタン塔の下側の部分に供給される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
第一の構成では、上記第四の塔供給流は上記還流流であり、上記第五の塔供給流は上記脱メタン塔の、上記第三の塔供給流よりも上側でかつ上記還流流よりも下側の部分に供給され、第二の構成では、上記第五の塔供給流は上記還流流であり、上記第四の塔供給流は上記脱メタン塔の、上記還流流よりも下側の部分に供給される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
上記第一の液体流の少なくとも一部を上記第二の熱交換器に供給するように構成されたフローラインをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
上記第二の熱交換器は、上記脱メタン塔からの1つ以上の側部抜出しと上記第二の供給流との間で熱交換する再沸器を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
上記第一の分離器の上流に、上記冷却された第一の供給流および第二の供給流を混合して混合冷却供給流を生成する混合機、および上記混合冷却供給流をさらに冷却する交換器をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、炭化水素ガス流からのエタンおよびより重質の成分の回収に関する。特に、本明細書の実施形態は、プロセスを高処理量モードから高回収モードに容易に遷移させることができる、炭化水素流からエタンおよびより重質の成分を柔軟に回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、およびより重質の炭化水素成分など、貴重な炭化水素成分が様々なガス流中に存在する。ガス流の一部は天然ガス流、製油所オフガス流、炭層ガス流などである。また、これら成分は、いくつか例を挙げると、石炭、タールサンド、原油など、他の炭化水素源にも存在し得る。貴重な炭化水素の量は供給源によって異なり、これらの流のなかには、メタンおよびより軽質の成分(すなわち、窒素、一酸化炭素(CO)、水素など)、エタン、および二酸化炭素(CO2)を50%超含み得るものもある。プロパン、プロピレン、およびより重質の炭化水素成分は、一般に全供給の少量を構成する。天然ガスのコストのため、エタン、エチレン、およびより重質の成分の高い回収率を達成しつつ、そのプロセスに関連した運転コストおよび資本コストを低減することができるプロセスが必要とされている。また、これらプロセスは、得られる収益を最大にするために、運転が容易かつ効率的であることが必要とされる。
【0003】
いくつかのプロセスが天然ガスから炭化水素成分を回収するのに利用できる。これらのプロセスは、冷却法、リーンオイル法、冷却リーンオイル法、および極低温法を含む。最近では、極低温法は、他のプロセスに比べて、信頼性、効率、運転の容易性が良好であるため、大いに好まれてきた。回収される炭化水素成分、すなわち、エタンおよびより重質の成分、またはプロパンおよびより重質の成分によって、極低温法は異なる。典型的には、エタン回収法は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に示すように、還流流を有する1つの塔を採用して、回収量を増加させ、このプロセスを効率的にしている。還流源によっては、スキームから可能な最大回収量は限定されることがある。例えば、還流流を炭化水素ガス供給流、低温分離器蒸気流、または特許文献1のような第一の蒸気流から得る場合、還流流がエタンを含むことから、スキームによって可能な最大回収量は限定される。
【0004】
残部リサイクル法である特許文献4には、上部からの第一の供給として残部を塔の上部にリサイクルすることが開示されている。低温分離器のオーバーヘッドを2つの流に分け、一部が凝縮され、過冷却されて、上部からの第二の供給として塔に導入される。低温分離器のオーバーヘッドからの第二の流は、ターボ膨張器またはJT弁で膨張させた後、上部から第三の供給として導入される。
【0005】
特許文献5では、
図6において、残部リサイクルおよび/または供給ガスを還流分離器に供給することができる構成が用いられている。特許文献6の
図5~
図7では、供給ガスが塔上部に第二の供給として導入される。軽質炭化水素流の処理に関するその他の特許および出版物としては、とりわけ、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、および特許文献14を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,519,824号明細書(以下、824特許とも称される)
【特許文献2】米国特許第4,278,457号明細書
【特許文献3】米国特許第4,157,904号明細書
【特許文献4】米国特許第5,568,737号明細書
【特許文献5】米国特許第7,793,517号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2019/0170435号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2014/0260420号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2014/0075987号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2013/0014390号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2010/0043488号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0204774号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0172967号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0159122号明細書
【特許文献14】米国特許第6,244,070号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本明細書の実施形態は、メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分と、C2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するシステムに関する。上記システムは、上記導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割する分流器を含んでいてもよい。上記第一の供給流を冷却する第一の熱交換器が設けられていてもよく、上記第二の供給流を冷却する第二の熱交換器が設けられていてもよい。上記システムは、冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離する分離器に加えて、上記第一の蒸気流を脱メタン塔に供給するフローライン、および上記第一の液体流を上記脱メタン塔に供給するフローラインを含んでいてもよい。上記脱メタン塔は、上記供給流を脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離してもよい。上記脱メタン器オーバーヘッド流を圧縮して残部ガス流を形成する1つ以上の圧縮器が設けられていてもよく、脱メタン塔還流ラインが還流流を上記脱メタン塔の上部に供給してもよい。上記残部ガス流の一部は、フローラインを介して上記脱メタン塔還流ラインに供給されてもよく、フローラインが上記導入ガス流の第三の部分を上記脱メタン塔還流ラインに供給してもよい。上記システムは、上記脱メタン塔還流ラインへの上記残部ガス流の一部の流れを許可または停止する第一の弁、および上記脱メタン塔還流ラインへの上記導入ガス流の第三の部分の流れを許可または停止する第二の弁をさらに含む。
【0008】
実施形態によっては、上記システムは、上記第一の弁および第二の弁の位置を制御するように構成された制御システムをさらに含んでいてもよい。
【0009】
上記第一の熱交換器は、上記第一の供給流、上記脱メタン塔オーバーヘッド流、および上記還流流のうち1つ以上の間で熱交換するように構成されたガス-ガス熱交換器であってもよい。上記第二の熱交換器は、上記脱メタン塔からの1つ以上の側部抜出しと上記第二の供給流との間で熱交換するように構成された再沸器であってもよい。
【0010】
他の側面では、本明細書の実施形態は、上述したシステムを運転する方法に関していてもよい。上記方法は、上記第一の弁を閉じて上記第二の弁を開き、上記システムを高処理量モードで所定の時間運転すること、および上記第二の弁を閉じて上記第一の弁を開き、上記システムを高エタン回収モードで所定の時間運転することを含んでいてもよい。
【0011】
さらに他の側面では、本明細書の実施形態は、メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するプロセスに関する。上記プロセスは、
a.第一の期間では、
i.導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割し、上記第一の供給流および第二の供給流を冷却すること、
ii.冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離すること、
iii.上記第一の液体流を膨張させて、これにより第一の脱メタン塔供給流を形成すること、
iv.上記第一のガス流をより低い圧力まで膨張させて、これにより第二の脱メタン塔供給流を形成すること、
v.上記第一の脱メタン塔供給流および第二の脱メタン塔供給流を脱メタン器に供給し、脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離すること、
vi.上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して残部ガス流を形成すること、および
vii.製品流として上記残部ガスの第一の部分を回収し、還流として上記残部ガス流の第二の部分を上記脱メタン塔にリサイクルすること
を含む高エタン回収モードで上記プロセスを運転する工程、
b.還流としての上記残部ガスの第二の部分のリサイクルを中止する工程、
c.第二の期間では、
i.上記導入ガス流を上記第一の供給流、上記第二の供給流、および第三の供給流に分割し、上記第一の供給流、第二の供給流、および第三の供給流を冷却すること、
ii.冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離すること、
iii.上記第一の液体流を膨張させて、これにより第一の脱メタン塔供給流を形成すること、
iv.上記第一のガス流をより低い圧力まで膨張させて、これにより第二の脱メタン塔供給流を形成すること、
v.上記第一の脱メタン塔供給流および第二の脱メタン塔供給流を脱メタン器に供給し、脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離すること、
vi.上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して、製品として回収される残部ガス流を形成すること、および
vii.還流として上記第三の供給流を上記脱メタン塔に供給すること
を含む高処理量モードで上記プロセスを運転する工程を含んでもよい。
【0012】
他の実施形態では、上記プロセスは、第三の期間に、90%未満のエタンを回収しつつ上記プロセスをC3+回収運転モードで運転することをさらに含んでいてもよい。
【0013】
さらに他の側面では、本明細書で開示される実施形態は、メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離するシステムに関する。上記システムは、上記導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割する分流器を含んでいてもよい。上記第一の供給流を冷却し、冷却された第一の供給流を生成するガス-ガス熱交換器が設けられていてもよい。上記第二の供給流を冷却し、冷却された第二の供給流を生成する第二の熱交換器が設けられていてもよい。上記システムはまた、冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離する第一の分離器を含んでいてもよい。分流器が上記第一の蒸気流を第一の部分と第二の部分とに分割してもよく、上記第一の蒸気流の第一の部分を膨張させ、上記第一の蒸気流の第一の部分から仕事を抽出する膨張器が設けられていてもよい。上記ガス-ガス熱交換器で上記第一の蒸気流の第二の部分を冷却するフローラインが設けられていてもよく、上記第一の蒸気流の冷却された第二の部分を第二の蒸気流と第二の液体流とに分離する第二の分離器が設けられていてもよい。上記システムはまた、上記第一の液体流を第一の塔供給流として脱メタン塔に供給するフローライン、上記第一の蒸気流の膨張させた第一の部分を第二の塔供給流として上記脱メタン塔に供給するフローライン、上記第二の液体流を第三の供給流として上記脱メタン塔に供給するフローライン、および上記第二の蒸気流を第四の供給流として上記脱メタン塔に供給するフローラインを含んでいてもよい。上記脱メタン塔は、上記第一、第二、第三、および第四の供給流によって供給された供給を受容し、脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離するように構成されていてもよい。上記ガス-ガス交換器で上記脱メタン器オーバーヘッド流を加温するフローラインが設けられていてもよく、加温された脱メタン器オーバーヘッド流を圧縮して残部ガス流を形成する1つ以上の圧縮器であって、少なくとも1つの圧縮器が上記膨張器で抽出された仕事により駆動される、圧縮器が設けられていてもよい。第五の塔供給流は、(i)上記残部ガス流の一部、(ii)上記導入ガス流の第三の部分、または(iii)(i)と(ii)の混合物を受容し、受容された(i)、(ii)、または(ii)を上記ガス-ガス交換器で冷却するように構成されていてもよい。さらに、上記システムは、還流流を上記脱メタン塔の上部に供給する還流フローラインであって、上記還流流が、上記第五の塔供給流から供給される(i)、(ii)、または(ii)のいずれかまたは上記第二の蒸気流を含むように弁および配管が構成された、還流フローラインを含んでいてもよい。上記第五の塔供給ラインへの上記残部ガス流の一部の流れを制御または停止する第一の弁が設けられていてもよく、上記第五の塔供給ラインへの上記導入ガス流の第三の部分の流れを制御または停止する第二の弁が設けられていてもよい。
【0014】
その他の態様および利点は以下の記載および付属の請求項から自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書の実施形態によるC2+回収プロセスの簡略化したプロセスフロー図である。
【
図2】本明細書の実施形態によるC2+回収プロセスの簡略化したプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の実施形態は、導入ガスを軽質画分と重質画分とに分離することに関する。本明細書で用いる場合、導入ガスは炭化水素ガスを言い、このガスは、典型的には高圧ガスラインから受容され、実質的にはメタンからなり、残部がエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、およびより重質の成分、ならびに二酸化炭素、窒素、およびその他の微量のガスである。用語「C2+成分」は、アルカン、オレフィン、およびアルキン、特に、エタン、エチレン、アセチレンなどの脂肪族種を含む少なくとも2つの炭素原子を有するすべての有機成分を意味する。
【0017】
メタン、C2成分、C3成分、および必要に応じてより重質の炭化水素を含む導入ガス流を、メタンを含む揮発性ガス画分とC2+成分を含む低揮発性炭化水素画分とに分離する本明細書の実施形態によるシステムによれば、運転者は第一の高処理量モードおよび第二の高エタン回収モードで運転することが柔軟にできる。市場の要求やその他の要因により、高処理量モードまたは高エタン回収モードで運転することが望ましい場合があり、本明細書のシステムによれば、運転者は運転モードを容易に遷移させることができる。
【0018】
上記システムは、導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割する分流器を含んでいてもよい。上記第一の供給流を冷却する第一の熱交換器が設けられていてもよく、上記第二の供給流を冷却する第二の熱交換器が設けられていてもよい。分離器が、冷却された第一の供給流および第二の供給流を受容してもよく、その後、冷却された第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離してもよい。
【0019】
上記第一の蒸気流を脱メタン塔に供給するフローラインが設けられていてもよい。同様に、上記第一の液体流を上記脱メタン塔に供給するフローラインが設けられていてもよい。上記脱メタン塔では、上記供給ガスは、メタンを含む脱メタン器オーバーヘッド流とC2+成分を含む脱メタン器底部流とに分離されてもよい。上記脱メタン器オーバーヘッド流を圧縮して残部ガス流を形成する1つ以上の圧縮器が設けられていてもよい。
【0020】
還流流を上記脱メタン塔の上部に供給する脱メタン塔還流ラインが用いられてもよい。上記システムはまた、上記残部ガス流の一部を上記脱メタン塔還流ラインに供給するフローラインを含んでいてもよい。フローラインが、上記導入ガス流の第三の部分を上記脱メタン塔還流ラインに供給するように構成されていてもよい。上記脱メタン塔還流ラインへの上記残部ガス流の一部の流れを許可または停止する第一の弁が用いられてもよく、上記脱メタン塔還流ラインへの上記導入ガス流の第三の部分の流れを許可または停止する第二の弁が用いられてもよい。制御システムが、上記第一の弁および第二の弁の位置を制御するように構成されていてもよい。供給ガスを還流として用いて、上記第一の弁を閉じて上記第二の弁を開くと、上記システムが高処理量モードで運転される。上記残部ガスを還流として用いて、上記第二の弁を閉じて上記第一の弁を開くと、上記システムが高エタン回収モードで運転される。
【0021】
図1および
図2は、本明細書のC2+回収システムの実施形態を示しており、同様の数字は同様の部分を表している。さらに、
図1および
図2に関連する以下の記載は例示的な温度、圧力、またはこれらの範囲を提供するが、圧力または温度について範囲が示されている場合、例示的な温度または圧力が1つしか挙げられないとしても、関連する温度または圧力は範囲でもあり得ることを理解すべきである。さらに、示された温度および圧力は、各流の組成構成によって変動し得ることを理解すべきである。
【0022】
ここで、
図1および
図2を参照して、C2+回収システムへの原料供給ガスは、水、CO
2、H
2Sなどの特定の不純物を含んでいる可能性があるが、これらは極低温処理には不利である。CO
2およびH
2Sが多量に存在する場合は、原料供給ガス流を処理してCO
2およびH
2Sを除去してもよい。次いで、この処理されたガスは、乾燥・濾過されてから、導入供給ガス流20としてC2+回収システムの極低温部に送られる。導入供給ガス流20は、導入供給ガス流の流れの一部を含んでいてもよい第一の導入流20aと、導入供給ガス流の流れの残りを含む第二の導入流20bとに分割される。第一の導入流20aと第二の導入流20bは、同等の組成構成であってもよい。
【0023】
第一の導入流20aは、ガス-ガス熱交換器30にて冷流と熱交換接触することで0°F~-60°Fの範囲の温度、例えば-5°F~-35°F、-20°Fなどまで冷却されて、重質炭化水素を部分的に凝縮してもよい。第二の導入流20bは、脱メタン器再沸器40にて再沸器流71、73と熱交換接触することで0°F~-60°Fの範囲の温度、例えば-5°F~-35°F、-20°Fなどまで冷却されて、重質炭化水素を部分的に凝縮してもよい。本明細書のすべての実施形態において、ガス-ガス熱交換器30および脱メタン器再沸器40は、単一の多経路交換器であってもよく、複数の個々の熱交換器であってもよく、これらの組み合わせや変形であってもよい。
【0024】
次いで、冷却された導入流20a’、20b’は合流され、低温分離器50に送られる。この低温分離器は、例えば、約-20°F(-10~-30°Fなど)で運転する。導入供給ガス流20の組成および供給圧力によっては、交換器21を介して必要に応じて行われるプロパン冷却など、導入ガス流20a’、20b’を十分に冷却するためのプロパン冷却の形態の外部冷却がいくらか必要であり得る。プロパン冷却が示されているが、プロパンの代わりに他の冷却媒を用いることができる。分離器50は、例えば、フラッシュドラムまたは低温吸収器であってもよく、実施形態によっては、少なくとも1つの物質移動帯を備えていてもよい。実施形態によっては、物質移動帯はトレイまたは同様の平衡分離段であっても、フラッシュ帯であってもよい。
【0025】
低温分離器50によって分離器底部流52と分離器オーバーヘッド流54を得る。分離器底部流52は、第一の膨張弁130を通して、例えば、約330psia(例えば、275psia~500psiaの範囲)の圧力まで膨張され、これにより、例えば、約-70°Fまで該流を冷却する。この冷却・膨張された流は、第一の脱メタン器(すなわち、塔)供給流53として脱メタン器70に送られる。
【0026】
分離器オーバーヘッド流54は、膨張器100において、例えば約325psiaの圧力まで本質的に等エントロピー的に膨張させてもよい。圧力の低下および上記流からの仕事の抽出により、得られた膨張流56は、例えば、約-91°F(-80~-100°F)の温度まで冷却されてもよい。次いで、冷却された膨張流56は脱メタン器70に送られてもよい。実施形態によっては、流56は、例えば、第二の塔供給流として第三の塔供給流64の下に、例えば、第一の塔供給流53の上で第三の塔供給流64の下に供給されてもよい。この仕事は後に、膨張器100により駆動されるブースター圧縮器102において回収されて、脱メタン器オーバーヘッド流78の圧力を部分的に高める。実施形態によっては、膨張器100によって駆動されるブースター圧縮器(図示せず)を用いて導入流20の圧力を部分的に高めてもよい。
【0027】
実施形態によっては、オーバーヘッド流54の一部20cは、膨張器100の上流で引き抜かれ、必要に応じて還流分離器60に供給されてもよい。第三の導入蒸気流20cは、ガス-ガス熱交換器30で、例えば、約-30°F~-70°Fの温度まで冷却され、冷流との熱交換接触により部分的に凝縮されてもよい。次いで、部分的凝縮流は中間還流流55として還流分離器60に供給されてもよい。還流分離器60によって、還流分離器底部流62と還流分離器オーバーヘッド流66を得る。還流分離器底部流62は、第二の膨張弁140によって膨張され、第三の塔供給流64として脱メタン器70に、例えば、第四の塔供給流68の下に供給されてもよい。また、還流分離器オーバーヘッド流66は、冷流との熱交換接触によりガス-ガス熱交換器30でさらに冷却され、第三の膨張弁150により、例えば、約300~500psiaの範囲の圧力(例えば、約325psiaの圧力)まで膨張され、これにより上記流を、例えば-148°Fまで冷却し、冷却された膨張流を第四の塔供給流68として脱メタン塔70に供給してもよい。第四の塔供給流68は、脱メタン器還流流126の下に導入されてもよい。実施形態によっては、膨張還流分離器底部流64は、流56と合流され、合流した第二の塔供給流として脱メタン器70に供給されてもよい。他の実施形態では、
図2に図示するように、上記システムは、第四の塔供給流68および還流流126の供給点を切り替えて、流68を還流として供給する弁およびフローラインを設けることで、さらなる柔軟性を備えるように構成されていてもよい。
【0028】
よって、脱メタン器70には、第二の塔供給流56、第三の塔供給流64、第四の塔供給流68、および脱メタン器還流流126が供給され、これにより脱メタン器オーバーヘッド流78、脱メタン器底部流77、および1つ以上の再沸器側流71、73を得てもよい。
【0029】
脱メタン器70では、第一の塔供給流53から上がる蒸気を、第二の塔供給流56、第三の塔供給流64、第四の塔供給流68、および脱メタン器還流流126から落ちる液体と密接に接触させることで少なくとも部分的に凝縮させ、これにより、導入供給ガス流20からのメタンおよびより軽質の成分をかなりの量含む脱メタン器オーバーヘッド流78を得る。凝縮された液体は、脱メタン器70の下方へ降り、導入供給ガス流20からのエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、およびより重質の成分を多量に含む脱メタン器底部流77として取り出される。本明細書で用いられる場合、エタン回収は、供給20のエタン量と比較した脱メタン器底部流77を介して回収されるエタン量を言う。
【0030】
再沸器流71、73は、脱メタン器70の槽の下半分から取り出されてもよい。さらに、再沸器流71、73は、脱メタン器再沸器40内で加温され、それぞれ、再沸器還流流72、74として脱メタン器に戻されてもよい。この側部再沸器設計によって、脱メタン器70からの冷却の回収が可能になる。
【0031】
脱メタン器オーバーヘッド流78をガス-ガス熱交換器30で、例えば約90°F(例えば、80~100°F)の温度まで加温する。加温後、膨張器100によって生成された力によって、脱メタン器オーバーヘッド流78をブースター圧縮器102にて、例えば約380psia(例えば、350psia~400psia)の圧力まで圧縮する。次いで、中間圧力残部ガスを残部圧縮器110に送り、そこで圧力を、例えば800psia超、あるいはパイプラインの仕様まで高めて残部ガス流120を形成する。次いで、圧縮時に生成された熱を放出するために、残部後段冷却器112によって残部ガス流120を冷却する。残部ガス流120は、例えば、導入供給ガス流20からのメタンおよびより軽質の成分をかなりの量で、かつC2+成分およびより重質の成分を少量で含むパイプライン販売ガスであってもよい。
【0032】
また、本明細書の実施形態によって柔軟に運転することができ、運転者は高回収モードと高プラント処理量モードで運転することができる。
【0033】
高回収モードでは、残部ガス流120の少なくとも一部は、プロセスに戻されて残部ガス還流流122を生成してもよい。この残部ガス還流流122は、ガス-ガス熱交換器30にて冷流との熱交換接触によって、例えば-80~-150°Fの範囲の温度まで冷却されて、実質的に上記流を凝縮させてもよい。次いで、この冷却された残部ガス還流流124は、第四の膨張弁160を介して、例えば約325psia(275~500psia)の圧力まで膨張されて、これにより、例えば約-157°Fの温度まで冷却され、脱メタン器還流流126として脱メタン器70に送られてもよい。実施形態によっては、脱メタン器還流流126は、脱メタン器70への上部供給流として脱メタン器70の第四の塔供給流68の上に送られる。
【0034】
高処理量モードでは、例えば、弁170を閉じることで、残部リサイクル122を中止してもよい。脱メタン器70への還流として、導入供給ガスの第四の部分20dは、弁180を開いて還流ラインへ導入ガスを供給することで供給されてもよく、この導入ガスは、ガス-ガス熱交換器30にて冷流との熱交換接触により冷却されてもよい。次いで、この冷却された供給ガス還流流124は、第四の膨張弁160を介して膨張され、これにより、供給ガス還流は冷却され、脱メタン器還流流126として脱メタン器70に供給されてもよい。このような実施形態における還流は、供給と同じ組成を有する。
【0035】
高回収モードでは、圧縮後の残部ガスの一部は、回収プロセスで上部還流/供給流としてリサイクルされて、エタンおよびプロパンの回収を高めてもよい。リサイクルされた残部ガス(流122)は、例えば、圧縮器(102、110)から出る残部ガスの約10%から30%超であってもよい。
【0036】
高処理量モードでは、利点として、残部リサイクルをなくして、装置がより多くのガスを処理することができる。過剰乾燥供給ガスは残部リサイクル流路に送られて、同じ還流供給構成を用いる。この構成によって、この選択肢は同じ設備(還流ライン、膨張弁、膨張器、熱交換器、および圧縮器)を用いることができ、同時に装置により全体としてより多くのガスを処理することができる。
【0037】
実施形態によっては、弁170、180の位置を制御する制御システム200が設けられていてもよい。高処理量モードでの運転が望ましい場合、弁170を閉じて弁180を開け、これにより供給ガスの一部を還流として脱メタン塔に供給してもよい。高エタン回収モードでの運転が望ましい場合、弁180を閉じて弁170を開け、これにより残部ガスの一部を還流として脱メタン塔に供給してもよい。このように、上記システムは運転モードを容易に遷移させることができる。
【0038】
高エタン回収モードで上記システムを運転するのが望ましい場合、上記システム(例えば、弁、制御装置など)は、残部ガスを脱メタン塔への還流として用いるように構成されてもよい。よって、分離プロセス用の高エタン回収モードは、導入ガス流を第一の供給流と第二の供給流とに分割すること、および第一の供給流および第二の供給流を冷却することを含んでいてもよい。次いで、冷却された第一の供給流および第二の供給流は、第一の蒸気流と第一の液体流とに分離されてもよい。第一の液体流は、膨張させて、これにより第一の脱メタン塔供給流を形成してもよく、第一のガス流は、より低い圧力まで膨張させて、これにより第二の脱メタン塔供給流を形成してもよい。次いで、第一の脱メタン塔供給流および第二の脱メタン塔供給流は、脱メタン器に供給して、上記供給流を脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離してもよい。脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して残部ガス流を形成してもよく、この流の第一の部分は、製品流として回収してもよく、この流の第二の部分は、脱メタン塔への還流として供給してもよい。
【0039】
上記システムを高処理量モードで運転することが望ましい場合、上記システム(例えば、弁、制御装置など)は、供給ガスを脱メタン塔への還流として用いるように構成されていてもよい。よって、分離プロセス用の高処理量モードは、導入ガス流を第一の供給流、第二の供給流、および第三の供給流に分割すること、および第一の供給流、第二の供給流、および第三の供給流を冷却することを含んでいてもよい。高エタン回収モードと同様に、第一の供給流および第二の供給流を第一の蒸気流と第一の液体流とに分離してもよく、上記第一の蒸気流および第一の液体流はそれぞれ膨張させ、供給流として脱メタン塔に供給してもよく、上記供給は、脱メタン塔で脱メタン器オーバーヘッド流と脱メタン器底部流とに分離されてもよい。脱メタン器オーバーヘッド流を加温、圧縮して、製品として回収される残部ガス流を形成してもよい。残部ガスを還流として用いる代わりに、第三の供給流を脱メタン塔へ還流として供給し、これにより、上記システムを高処理量モードで運転可能としてもよい。
【0040】
比較的高いエタン回収を達成しつつ、処理量を増やすことが望ましいような他の実施形態では、制御システム200はまた、残部ガス122と供給20dを合流した供給が脱メタン塔に還流として供給されるように弁170および180を操作するように構成されていてもよい。
【0041】
さらに他の実施形態では、上記システムは、C3+回収運転モードで運転するように構成されていてもよい。C3+回収モードでは、弁130は、部分的または完全に閉じて、弁132を少なくとも部分的または完全に開けて、これにより液体供給の少なくとも一部または全部を分離器50から再沸器40に供給することができる。弁200を閉じて、これにより、フローライン71を介して側部抜出しを引き出さなくてもよいが、フローライン52を介して液体炭化水素を塔の該下部への供給として供給する方がよい。所望のエタン回収に応じて、弁201を開けたり閉じたりできるが、弁201を開けて20%超のエタン回収を達成できる。残部リサイクル122を用いてもよいトリム再沸器210、外部熱源(蒸気または熱油)、またはその他の熱源として好適な処理流によって、追加の熱が供給されてもよい。このようなフロースキームは、エタン回収が、例えば90%未満のエタン回収まで低減することもあるものの、供給中の多量のC3+成分、例えば95%超または98%超のC3+炭化水素を回収する能力を提供し得る。
【0042】
上述のように、本明細書の実施形態によれば、ガスプラントの運転者は高エタン回収と高プラント処理量とを選択することができる。富化供給ガスを上部還流として供給することは自明のことではない。というのは、これは回収率を低下させるからである。しかしながら、これは運転の柔軟性という利点をもたらす。最小の設備投資で、さらに15~20%の供給ガスを処理することができる。回収率が低くても、回収される天然ガス液体製品全体は多くなる。これは、プラント処理量を最大にしたい場合にガスプラント運転者に著しい利点をもたらす。
【0043】
2つの運転モードを、一方は残部ガスリサイクルを脱メタン器への還流として用いて、他方は供給ガスの一部を脱メタン器への還流として用いて、シミュレートした。このシミュレーションの結果を表1に示す。
【0044】
【0045】
上部還流として用いた場合、供給ガスがより富化されていると、エタン回収率が低下する(92%対97%)。しかしながら、上部還流としてより富化されている供給ガスを用いると、処理量を著しく増加させることができる(200百万標準立方フィート/日に対して240百万標準立方フィート/日、シミュレーション条件で処理量が20%の増加)。
【0046】
特に断りがなければ、用いられるすべての技術用語および科学用語は、これらシステム、装置、方法、プロセス、および組成物が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0047】
単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈中に明確に別段の指示がない限り、複数形を含む。
【0048】
本明細書および付属の請求項で用いられる場合、「含む(comprise)」、「有する(has)」、「備える(include)」、およびこれらのすべての文法的な変形はそれぞれ、追加の要素または工程を排除しないというオープンな非限定的意味を持つことを意図している。
【0049】
「必要に応じて」は、後述の事象または状況は起こることもあるし、起こらないこともあることを意味する。この記載は、その事象または状況が起こる例と、起こらない例を含む。
【0050】
用語「おおよそ」または「約」が用いられる場合、この用語は±10%まで、5%まで、2%まで、1%まで、0.5%まで、0.1%まで、または0.01%まで値に変動があり得ることを意味することがある。
【0051】
範囲は、おおよその1つの特定値からおおよその別の特定値(それらを含む)までとして表される場合がある。そのような範囲が表される場合、他の実施形態は、その範囲内のすべての特定値およびこれらの組み合わせと共に、上記1つの特定値から上記別の特定値までであることを理解されたい。
【0052】
本開示は限られた数の実施形態を含むが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施形態を考案し得ることを認識するであろう。したがって、その範囲は付属の請求項によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】