(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】任意のトポロジー用の電力システム順序付け方式
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20230324BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H02J3/38
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545067
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 US2021014513
(87)【国際公開番号】W WO2021150820
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522293700
【氏名又は名称】カミンズ パワー ジェネレイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アウフダーハー ケビン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダーレン ポール アール.
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド デニス ジー.
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC05
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA01
5G066AB01
5G066HA17
5G066HB01
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
システム及び装置は、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトを特定し、単線トポロジー上の第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの位置を決定し、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの動作パラメータを受信し、単線トポロジーを使用して、第1のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続されたオブジェクトを含む第1の経路を定義し、単線トポロジーを使用して、第2のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む第2の経路を定義し、そして第1の経路及び第2の経路の動作を制御するように構築された、回路を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトを特定し、
単線トポロジー上の前記第1のソースオブジェクト、前記第2のソースオブジェクト、及び前記負荷母線オブジェクトの位置を決定し、
前記第1のソースオブジェクト、前記第2のソースオブジェクト、及び前記負荷母線オブジェクトの動作パラメータを受信し、
前記単線トポロジーを使用して、前記第1のソースオブジェクトと前記負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続されたオブジェクトを含む第1の経路を定義し、
前記単線トポロジーを使用して、前記第2のソースオブジェクトと前記負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む第2の経路を定義し、そして
前記第1の経路及び前記第2の経路の動作を制御する
ように構築された回路を含む、装置。
【請求項2】
前記回路が、利用可能な全ての経路を含む経路テーブルを生成するように更に構築される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の経路の制御が、
前記第1の経路上に含まれるスイッチオブジェクトの閉動作を制御することによって前記第1の経路を選択的に有効化することと、
前記第1の経路上の少なくとも1つのスイッチオブジェクトの開動作を制御することによって前記第1の経路を無効化することと
を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1の経路を有効化することが、
前記第1の経路上の全てのオブジェクトと通信することと、
前記第1の経路上に含まれる前記スイッチオブジェクトの前記閉動作を開始する前に各オブジェクトの有効化動作を調整することと
を含む、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第1の経路を定義することが、関連する制御回路内において前記第1の経路上に包含されることを定義するための、前記第1のソースオブジェクトと前記負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトとの通信を含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記回路が、
前記第1の経路と異なり前記第1の経路に平行であり、且つ
第3の経路に沿って前記第1のソースオブジェクトと前記負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む、
前記第3の経路
を、前記単線トポロジーを使用して定義するように更に構築される、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記第1の経路が、第1の優先値を定義し、前記第3の経路が、前記第1の優先値よりも高い第2の優先値を定義する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記第1の優先値が、前記第1の経路に含まれるスイッチオブジェクトの数に比例し、前記第2の優先値が、前記第3の経路に含まれるスイッチオブジェクトの数に比例する、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記第1の経路及び前記第3の経路の一方のみが、移行時間後の連続使用中に同時に有効化される、請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記回路が、
前記第2の経路を使用不可にし、それによって前記第2の経路が有効化されるのを禁止する
ように、更に構築される、請求項1記載の装置。
【請求項11】
第1の発電設備(genset)と第1の発電設備スイッチとに関連付けられた第1の発電設備コントローラ、
第2の発電設備と第2の発電設備スイッチとに関連付けられた第2の発電設備コントローラ、
発電設備分岐母線を介して前記第1の発電設備スイッチと前記第2の発電設備スイッチとに結合された発電設備分岐スイッチに関連付けられた発電設備分岐スイッチコントローラ、
ユーティリティスイッチに関連付けられたユーティリティスイッチコントローラ、及び
前記発電設備分岐スイッチと前記ユーティリティスイッチとに結合された負荷母線に関連付けられた負荷母線コントローラ
を含み;
前記第1の発電設備と、前記第1の発電設備スイッチと、前記発電設備分岐母線と、前記発電設備分岐スイッチと、前記負荷母線とを含む、第1の経路、
前記第2の発電設備と、前記第2の発電設備スイッチと、前記発電設備分岐母線と、前記発電設備分岐スイッチと、前記負荷母線とを含む、第2の経路、及び
前記ユーティリティスイッチと前記負荷母線とを含む、第3の経路
を定義する経路テーブルを生成するように構築され;
前記第1の発電設備コントローラ、前記発電設備分岐スイッチコントローラ、及び前記負荷母線コントローラと通信することによって、前記第1の経路を選択的に有効化し;
前記第2の発電設備コントローラ、前記発電設備分岐スイッチコントローラ、及び前記負荷母線コントローラと通信することによって、前記第2の経路を選択的に有効化し;
前記ユーティリティスイッチコントローラ及び前記負荷母線コントローラと通信することによって、前記第3の経路を選択的に有効化する、
システム。
【請求項12】
前記負荷母線コントローラが、
前記第1の経路、前記第2の経路、及び前記第3の経路のうちどれを有効化又は無効化すべきかを決定する負荷母線ルーティング機能を含み、且つ
有効化又は無効化を達成するために、任意の経路上の任意のスイッチに関連付けられた各コントローラに移行タイプ機能を提供する、
請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の発電設備コントローラが、
前記負荷母線コントローラから前記移行タイプ機能を受信して、
前記第1の経路の前記有効化又は無効化を達成するために前記第1の発電設備及び前記第1の発電設備スイッチの動作を制御する
ように構築されたスイッチ動作処理機能を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記スイッチ動作処理機能が、
前記第1の発電設備スイッチが閉じられる前に、前記第1の発電設備の出力の電圧、周波数、及び位相角を調節するシンクロナイザ機能の有効化を要求する
ように更に構築される、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチ処理機能が、スイッチ状態機能を前記負荷母線ルーティング機能に通信するように構築され、経路状態機能が、前記スイッチ状態機能に基づいて前記負荷母線ルーティング機能によって生成される、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
ソースオブジェクトと、スイッチオブジェクトと、母線オブジェクトと、コントローラオブジェクトとを含む電力システムの単線トポロジーを生成する工程、
各オブジェクトに動作パラメータを投入する工程、
ソースオブジェクトと母線オブジェクトとの間の利用可能な経路を定義するルーティングテーブルを生成する工程であって、各経路が、前記経路のソースオブジェクトと母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む、工程、ならびに
経路を有効化及び無効化することによって前記電力システムを制御する工程
を含む、方法。
【請求項17】
各オブジェクトの動作パラメータが、オブジェクト構成のライブラリから選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
有効化又は無効化すべき経路のリストを含む有効経路リストを生成する工程、及び
経路の有効化又は無効化リストを制御するために移行タイプをスイッチオブジェクトに通信する工程
を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記ルーティングテーブルが、経路ID、使用可能属性、経路優先度、及び経路パスを各経路に割り振る、請求項16記載の方法。
【請求項20】
経路を有効化及び無効化することによって前記電力システムの制御を実施するために、各コントローラオブジェクトが、前記ソースオブジェクト、前記スイッチオブジェクト、及び前記母線オブジェクトのうちの1つ又は複数に割り当てられる、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/965,459号明細書の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は、電力システムに関する。より詳細には、本開示は、電力システム内の機械及び構成要素の調整された制御を行うためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
概要
一態様は、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトを特定し、単線トポロジー上の第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの位置を決定し、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの動作パラメータを受信し、単線トポロジーを使用して、第1のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続されたオブジェクトを含む第1の経路を定義し、単線トポロジーを使用して、第2のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む第2の経路を定義し、そして第1の経路及び第2の経路の動作を制御するように構築された回路を含む装置に関する。
【0004】
いくつかの態様では、回路は、利用可能な全ての経路を含む経路テーブルを生成するように更に構築される。
【0005】
いくつかの態様では、第1の経路の制御は、第1の経路上に含まれるスイッチオブジェクトの閉動作を制御することによって第1の経路を選択的に有効化することと、第1の経路上の少なくとも1つのスイッチオブジェクトの開動作を制御することによって第1の経路を無効化することとを含む。いくつかの態様では、第1の経路を有効化することは、第1の経路上の全てのオブジェクトと通信することと、第1の経路上に含まれるスイッチオブジェクトの閉動作を開始する前に各オブジェクトの有効化動作を調整することとを含む。
【0006】
いくつかの態様では、第1の経路を定義することは、関連する制御回路内において第1の経路上に包含されることを定義するための、第1のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトとの通信を含む。
【0007】
いくつかの態様では、回路は、
第1の経路と異なり第1の経路に平行であり、且つ
第3の経路に沿って第1のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む、
第3の経路
を、単線トポロジーを使用して定義するように更に構築される。いくつかの態様では、第1の経路は、第1の優先値を定義し、第3の経路は、第1の優先値よりも高い第2の優先値を定義する。いくつかの態様では、第1の優先値は、第1の経路に含まれるスイッチオブジェクトの数に比例し、第2の優先値は、第3の経路に含まれるスイッチオブジェクトの数に比例する。いくつかの態様では、第1の経路及び第3の経路の一方のみは、移行時間後の連続使用中に同時に有効化される。
【0008】
いくつかの態様では、回路は、第2の経路を使用不可にし、それによって第2の経路が有効化されるのを禁止するように、更に構築される。
【0009】
別の態様は、
第1の発電設備(genset)と第1の発電設備スイッチとに関連付けられた第1の発電設備コントローラ、
第2の発電設備と第2の発電設備スイッチとに関連付けられた第2の発電設備コントローラ、
発電設備分岐母線を介して第1の発電設備スイッチと第2の発電設備スイッチとに結合された発電設備分岐スイッチに関連付けられた発電設備分岐スイッチコントローラ、
ユーティリティスイッチに関連付けられたユーティリティスイッチコントローラ、及び
発電設備分岐スイッチとユーティリティスイッチとに結合された負荷母線に関連付けられた負荷母線コントローラ
を含むシステムであって、
第1の発電設備と、第1の発電設備スイッチと、発電設備分岐母線と、発電設備分岐スイッチと、負荷母線とを含む、第1の経路、
第2の発電設備と、第2の発電設備スイッチと、発電設備分岐母線と、発電設備分岐スイッチと、負荷母線とを含む、第2の経路、及び
ユーティリティスイッチと負荷母線とを含む、第3の経路
を定義する経路テーブルを生成するように構築された、システム
に関する。システムは、第1の発電設備コントローラと発電設備分岐スイッチコントローラと負荷母線コントローラと通信することによって、第1の経路を選択的に有効化する。システムは、第2の発電設備コントローラと発電設備分岐スイッチコントローラと負荷母線コントローラと通信することによって、第2の経路を選択的に有効化する。システムは、ユーティリティスイッチコントローラ及び負荷母線コントローラと通信することによって、第3の経路を選択的に有効化する。
【0010】
いくつかの態様では、負荷母線コントローラは、第1の経路、第2の経路、及び第3の経路のうちどれを有効化又は無効化すべきかを決定する負荷母線ルーティング機能を含み、且つ、有効化又は無効化を達成するために、任意の経路上の任意のスイッチに関連付けられた各コントローラに移行タイプ機能を提供する。いくつかの態様では、第1の発電設備コントローラは、負荷母線コントローラから移行タイプ機能を受信して、第1の経路の有効化又は無効化を達成するために第1の発電設備及び第1の発電設備スイッチの動作を制御するように構築されたスイッチ動作処理機能を含む。いくつかの態様では、スイッチ動作処理機能は、第1の発電設備スイッチが閉じられる前に、第1の発電設備の出力の電圧、周波数、及び位相角を調節するシンクロナイザ機能の有効化を要求するように、更に構築される。いくつかの態様では、スイッチ処理機能は、スイッチ状態機能を負荷母線ルーティング機能に通信するように構築され、経路状態機能は、スイッチ状態機能に基づいて負荷母線ルーティング機能によって生成される。
【0011】
別の態様は、ソースオブジェクト、スイッチオブジェクト、母線オブジェクト、及びコントローラオブジェクトを含む電力システムの単線トポロジーを生成する工程、各オブジェクトに動作パラメータを投入する工程、ソースオブジェクトと母線オブジェクトとの間の利用可能な経路を定義するルーティングテーブルを生成する工程であって、各経路は、経路のソースオブジェクトと母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む、工程、ならびに、経路を有効化及び無効化することによって電力システムを制御する工程を含む、方法に関する。
【0012】
いくつかの態様では、各オブジェクトの動作パラメータは、オブジェクト構成のライブラリから選択される。
【0013】
いくつかの態様では、方法はまた、有効化又は無効化すべき経路のリストを含む有効経路リストを生成する工程、及び、経路の有効化又は無効化リストを制御するために移行タイプをスイッチオブジェクトに通信する工程を含む。
【0014】
いくつかの態様では、ルーティングテーブルは、経路ID、使用可能属性、経路優先度、及び経路パスを各経路に割り振る。
【0015】
いくつかの態様では、経路を有効化及び無効化することによって電力システムの制御を実施するために、各コントローラオブジェクトは、ソースオブジェクト、スイッチオブジェクト、及び母線オブジェクトのうちの1つ又は複数に割り当てられる。
【0016】
別の態様は、非一時的コンピュータ可読媒体であって、電力システムの回路によって実行されたときに、経路を有効化及び無効化する機能を電力システムに実施させる、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれたコンピュータ実行可能命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。機能は、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトを特定し、単線トポロジー上の第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの位置を決定し、第1のソースオブジェクト、第2のソースオブジェクト、及び負荷母線オブジェクトの動作パラメータを受信し、単線トポロジーを使用して、第1のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続されたオブジェクトを含む第1の経路を定義し、単線トポロジーを使用して、第2のソースオブジェクトと負荷母線オブジェクトとの間に電気的に接続された全てのオブジェクトを含む第2の経路を定義し、そして第1の経路及び第2の経路の動作を制御することを含む。
【0017】
別の態様は、電力システムの第1の経路上に位置する第1の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第1のコントローラと、電力システムの第2の経路上に位置する第2の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第2のコントローラとを含むシステムに関する。第1のコントローラ及び第2のコントローラは両方とも、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む経路レベル機能を実施するように構築され、第1のコントローラは主コントローラであり、第2のコントローラは参加コントローラである。
【0018】
いくつかの態様では、参加コントローラは、経路レベル機能を実施することを禁止される。
【0019】
いくつかの態様では、参加コントローラは、主コントローラとは非同期的に経路レベル機能の出力を計算し、参加コントローラの出力は、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作を調整するためには使用されない。
【0020】
いくつかの態様では、参加コントローラは、主コントローラと同期して経路レベル機能の出力を計算し、参加コントローラの出力は、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作を調整するためには使用されない。
【0021】
いくつかの態様では、主コントローラによって実施される経路レベル機能は、主コントローラ及び参加コントローラから入力を受信する。
【0022】
いくつかの態様では、第2のコントローラは、第1のコントローラが経路レベル機能を実施できない場合に、経路レベル機能を実施する。
【0023】
いくつかの態様では、第1のコントローラは、第1のオブジェクトIDを定義し、第2のコントローラは、第1のオブジェクトIDよりも高い値を定義する第2のオブジェクトIDを定義し、主コントローラは、利用可能な最低のオブジェクトIDに基づいて選択される。
【0024】
いくつかの態様では、システムはまた、第1の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第3のコントローラを含む。第3のコントローラは、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む経路レベル機能を実施するように構築された冗長コントローラである。
【0025】
いくつかの態様では、第1の電力システムオブジェクトは、第1の経路と第2の経路の両方に配置される。
【0026】
別の態様は、電力システムの第1の経路上に位置する第1の電力システムオブジェクトを制御するように、且つ、経路レベル入力を受信して、第1の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む経路レベル機能を実施するように構築された、第1のコントローラと、電力システムの第2の経路上に位置する第2の電力システムオブジェクトを制御するように、且つ、経路レベル入力を受信して、第2の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む経路レベル機能を実施するように構築された、第2のコントローラとを含む、システムに関する。経路レベル入力は、第1の経路及び第2の経路に関する情報を含み、かつ経路レベル機能は、第1の経路及び第2の経路の動作に影響を及ぼす。
【0027】
いくつかの態様では、第1のコントローラは、第1の電力システムオブジェクトの動作の調整に関係する経路レベル入力のみを受信するように構築される。
【0028】
いくつかの態様では、第1のコントローラ及び第2のコントローラは、経路レベル機能を同期的又は非同期的に計算する。
【0029】
いくつかの態様では、システムはまた、第1の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第3のコントローラを含む。第3のコントローラは、経路レベル機能を実施するように構築された冗長コントローラである。
【0030】
いくつかの態様では、第1のコントローラは、第1の発電設備コントローラであり、第2のコントローラは、第2の発電設備コントローラであり、経路レベル機能は、負荷分担機能を含む。いくつかの態様では、第1の発電設備コントローラは、第1の負荷値データを公開し、第2の発電設備コントローラから第2の負荷値データを受信し、第1の負荷値データ及び第2の負荷値データに基づいて平均負荷を計算し、平均負荷を達成するように第1の電力システムオブジェクトの電力出力を制御するように構築される。
【0031】
別の態様は、電力システムの第1の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第1のコントローラと、電力システムの第2の電力システムオブジェクトを制御するように構築された第2のコントローラであって、第1のコントローラ及び第2のコントローラが両方とも、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第1の経路レベル機能を実施するように構築され、第1のコントローラが主コントローラであり、第2のコントローラが参加コントローラである、第2のコントローラと、電力システムの第3の電力システムオブジェクトを制御するように、且つ、経路レベル入力を受信して、第3の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第2の経路レベル機能を実施するように構築された第3のコントローラと、電力システムの第4の電力システムオブジェクトを制御するように、且つ、経路レベル入力を受信して、第4の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第2の経路レベル機能を実施するように構築された第4のコントローラとを含むシステムに関する。
【0032】
いくつかの態様では、参加コントローラは、第1の経路レベル機能を実施することを禁止される。
【0033】
いくつかの態様では、参加コントローラは、主コントローラとは非同期的に第1の経路レベル機能の出力を計算し、参加コントローラの出力は、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作を調整するためには使用されない。
【0034】
いくつかの態様では、参加コントローラは、主コントローラと同期して第1の経路レベル機能の出力を計算し、参加コントローラの出力は、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作を調整するためには使用されない。
【0035】
いくつかの態様では、システムはまた、第1の経路レベル機能又は第2の経路レベル機能の少なくとも一方を実施するように構築された冗長コントローラを含む。
【0036】
いくつかの態様では、第1のコントローラ、第2のコントローラ、第3のコントローラ、又は第4のコントローラのいずれかは、共有回路上に構築されることができる。
【0037】
別の態様は、非一時的コンピュータ可読媒体であって、電力システムの第1のコントローラ、第2のコントローラ、第3のコントローラ、及び第4のコントローラによって実行されたときに、経路を有効化及び無効化する機能を電力システムに実施させる、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれたコンピュータ実行可能命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。機能は、第1のコントローラを用いて電力システムの第1の電力システムオブジェクトを制御することと、第2のコントローラを用いて電力システムの第2の電力システムオブジェクトを制御することと、第1のコントローラ及び第2のコントローラを用いて、第1の電力システムオブジェクト及び第2の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第1の経路レベル機能を実施することであって、第1のコントローラは主コントローラであり、第2のコントローラは参加コントローラである、実施することと、第3のコントローラを用いて電力システムの第3の電力システムオブジェクトを制御することと、第3のコントローラを用いて経路レベル入力を受信することと、第3のコントローラを用いて、第3の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第2の経路レベル機能を実施することと、第4のコントローラを用いて電力システムの第4の電力システムオブジェクトを制御することと、第4のコントローラを用いて経路レベル入力を受信することと、第4のコントローラを用いて、第4の電力システムオブジェクトの動作の調整を含む第2の経路レベル機能を実施することとを含む。
【0038】
別の態様は、非一時的コンピュータ可読媒体であって、電力システムの回路によって実行されたときに、経路を有効化及び無効化する機能を電力システムに実施させる、非一時的コンピュータ可読媒体に含まれたコンピュータ実行可能命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。機能は、複数のソースオブジェクトを決定することであって、各々が、ソース機能を含み且つ単線トポロジー上の位置を割り振られる、ことと、1つ又は複数のスイッチオブジェクトを決定することであって、各々が、スイッチ機能を含み且つ単線トポロジー上の位置を割り振られる、ことと、1つ又は複数の母線オブジェクトを決定することであって、各々が、母線機能を含み且つ単線トポロジー上の位置を割り振られる、ことと、1つ又は複数の負荷オブジェクトを決定することであって、各々が、負荷機能を含み且つ単線トポロジー上の位置を割り振られる、ことと、各オブジェクトを複数のコントローラのうちの1つに割り当てることであって、コントローラの各々が、システムの操作を提供するために、ソース機能、スイッチ機能、母線機能、及び負荷機能を協調的に実施するように構築される、こととを含む。
【0039】
いくつかの態様では、ソース機能は、ソース状態機能、容量マネージャ機能、シンクロナイザ機能、負荷分担機能、ソース選択機能、ソース優先順位付け機能、及びグリッド並列化機能のうちの1つ又は複数を含む。スイッチ機能は、スイッチ状態機能、同期チェック機能、及びスイッチ動作処理機能のうちの1つ又は複数を含む。母線機能は、母線状態機能、ルータ機能、システムルーティングテーブル機能、経路状態機能、及び故障母線アクセス機能のうちの1つ又は複数を含む。負荷機能は、負荷状態機能、負荷減衰機能、負荷追加/制限機能、及び高感度負荷切断機能のうちの1つ又は複数を含む。
【0040】
いくつかの態様では、機能はまた、1つ又は複数の変圧器オブジェクトを決定することであって、各々が、変圧器機能を含み且つ単線トポロジー上の位置を割り振られる、ことを含む。
【0041】
いくつかの態様では、ソース機能、スイッチ機能、母線機能、及び負荷機能の各々は、利用可能なアルゴリズムのリストを含み、複数のコントローラは、オブジェクトタイプと単線トポロジー上の位置とに基づいて、利用可能なアルゴリズムのリストのサブセットを利用する。いくつかの態様では、サブセットは、利用可能な全てのアルゴリズムを含む。
【0042】
いくつかの態様では、各機能は、単線トポロジー内の関連するオブジェクトの動作を定義するように構成される。
【0043】
いくつかの態様では、複数のコントローラは、複数のコントローラの各々に共通のソフトウェアを使用してソース機能、スイッチ機能、母線機能、及び負荷機能を実行するように構築される。
【0044】
いくつかの態様では、各機能は、オブジェクトの仕様と単線トポロジー上の位置とに基づいて自動的に構成される。
【0045】
別の態様は、ソース状態機能とシンクロナイザ機能とを含むソースオブジェクトと、母線状態機能と経路状態機能とルータ機能とルーティングテーブル機能とを含む母線オブジェクトと、スイッチ状態機能とスイッチ動作処理機能とを含むスイッチオブジェクトと、負荷状態機能と負荷追加/制限機能とを含む負荷オブジェクトとを含む単線トポロジーと、ソースオブジェクトと母線オブジェクトとスイッチオブジェクトと負荷オブジェクトとの調整によって単線トポロジー上の経路を有効化及び無効化するように構築されたルータ機能を含む経路制御システムとを含むシステムに関する。
【0046】
いくつかの態様では、ソース状態機能は、ソースオブジェクトの現在の動作状態を特定し、シンクロナイザ機能は、ソースオブジェクトの周波数、電圧、及び位相差を制御するように構築され、ルータ機能は、ソース状態機能に少なくとも部分的に基づいて経路を有効化及び無効化する。
【0047】
いくつかの態様では、母線状態機能は、母線オブジェクトの電気状態を決定し、母線状態機能の出力は、スイッチ動作処理機能及び負荷追加/制限機能に提供され、経路状態機能は、経路を有効化又は無効化できるように、利用可能な各経路の状態を特定し、ルーティングテーブル機能は、単線トポロジー上に存在する利用可能な経路を定義し、ルータ機能は、母線状態機能と経路状態機能とルーティングテーブルとに少なくとも部分的に基づいて経路を有効化及び無効化する。
【0048】
いくつかの態様では、スイッチ状態機能は、スイッチオブジェクトの位置を特定し、スイッチ動作処理機能は、スイッチオブジェクトの作動を制御し、ルータ機能は、経路の有効化又は無効化を実施するために、スイッチ状態機能に少なくとも部分的に基づいてスイッチ動作処理機能に命令を提供する。
【0049】
いくつかの態様では、負荷状態機能は、負荷オブジェクトの状態を、通電、停電、故障、又は減衰中と特定し、負荷追加/制限機能は、利用可能な電源と比較して負荷需要が高いか低いかを判定し、ルータ機能は、負荷状態機能及び負荷追加/制限機能に少なくとも部分的に基づいて経路を有効化及び無効化する。
【0050】
いくつかの態様では、ソースオブジェクト、母線オブジェクト、スイッチオブジェクト、及び負荷オブジェクトは、単線トポロジー上の仮想オブジェクトとして存在し、且つ、ソースオブジェクト、母線オブジェクト、スイッチオブジェクト、及び負荷オブジェクトのパラメータは、ユーザインターフェースを介して入力されることができる。
【0051】
いくつかの態様では、経路制御システムは、流動主制御方式及び完全分散制御方式のうちの一方を含む。
【0052】
別の態様は、単線トポロジー上の電力システムにおける機械を特定する工程と、経路レベル制御システムにおいてオブジェクトを生成する工程であって、各オブジェクトは、特定された機械に関連付けられる、工程と、各オブジェクトのパラメータを投入する工程であって、パラメータは関連する機械の動作要件を含む、工程と、単線トポロジー上に各オブジェクトを位置させる工程と、オブジェクトを電気的に接続する経路を定義する工程と、経路を有効化及び無効化することによって機械の動作を制御する工程とを含む、方法に関する。経路の有効化及び無効化は、オブジェクトの投入されたパラメータに従って達成される。
【0053】
いくつかの態様では、各オブジェクトは、単線トポロジー内のオブジェクトの動作を定義する機能を含む。いくつかの態様では、オブジェクトは、ソースオブジェクト、変圧器オブジェクト、母線オブジェクト、スイッチオブジェクト、及び負荷オブジェクトを含むオブジェクトタイプについて選択される。いくつかの態様では、経路レベル制御システムにおいてオブジェクトを生成することは、オブジェクトを選択し、ソフトウェアツールを用いて単線トポロジーを投入することを含む。
【0054】
いくつかの態様では、オブジェクトを生成することは、ソフトウェアツール内のオブジェクトパレットライブラリからオブジェクトを選択することを更に含む。
【0055】
いくつかの態様では、経路レベル制御システムは、オブジェクトに関連付けられた複数のコントローラを含み、動作を制御することは、複数のコントローラ間の流動主制御方式及び完全分散制御方式のうちの一方を使用してオブジェクトの機能を調整することを含む。
【0056】
この概要は、単なる例示的なものにすぎず、限定的であることを意図したものでは決してない。本明細書で説明するデバイス又はプロセスの他の局面、発明的な特徴、及び利点は、類似の参照符号が類似の要素を指す、添付の図と併せて解釈される、本明細書に記載する詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図2】いくつかの態様による
図1の電力システムに関連付けられたオブジェクトテーブルである。
【
図3】いくつかの態様による
図1の電力システムに関連するオブジェクト機能の概略図である。
【
図4】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図5】いくつかの態様による
図4の電力システムに関連付けられたオブジェクトテーブルである。
【
図6】いくつかの態様による
図4の電力システムに関連付けられた経路テーブルである。
【
図7】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図8】いくつかの態様による
図7の電力システムに関連付けられた経路テーブルである。
【
図9】いくつかの態様による
図7の電力システムに関連付けられた機能論理マップである。
【
図10】いくつかの態様によるコントローラの概略図である。
【
図11】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図12】いくつかの態様による
図11の電力システムに関連付けられた割り当てテーブルである。
【
図13】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図14】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図15】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図16】いくつかの態様による
図13~
図15の電力システムに関連付けられた割り当てテーブルである。
【
図17】いくつかの態様による電力システムの概略図である。
【
図18】いくつかの態様による
図17の電力システムに関連付けられた割り当てテーブルである。
【
図19】いくつかの態様による集中制御方式の概略図である。
【
図20】いくつかの態様による冗長コントローラ方式での集中制御の概略図である。
【
図21】いくつかの態様による流動主制御方式の概略図である。
【
図22】いくつかの態様による
図21の流動主制御方式の概略図である。
【
図23】いくつかの態様による完全分散制御方式の概略図である。
【
図24】いくつかの態様による
図23の完全分散制御方式の概略図である。
【
図25】いくつかの態様による冗長コントローラ流動主制御方式の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
詳細な説明
電力ルーティングのための方法、装置、及びシステムに関係する様々な概念、並びにそれらの方法、装置、及びシステムの実施態様のより詳細な説明が以下に続く。ある特定の例示的な態様を詳細に図示している図を次に参照する前に、本開示は、本説明に記載する又は図に図示する詳細又は方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、単なる説明のためのものにすぎず、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「電力システムトポロジー」という用語は、特定の電力システム用の電源、電源スイッチ、及び負荷の相互接続マップを意味する。本明細書で利用される場合、「単線結線図」、「単線図」、又は「単線トポロジー」という用語は、電力システムトポロジーを簡略化して表現したものを意味する。
【0060】
概して図を参照すると、本明細書に開示する種々の態様は、電力ルーティング及び配電のためのシステム、装置、及び方法に関する。いくつかの態様は、任意の電力システムトポロジーのための負荷母線に対してソースを順序付けし、接続し、切断し、切り換えるように構築されたシステム、装置、及び方法を用いて既存の電力システム制御方式を改善することを目的とする。いくつかの態様は、特定の負荷回路を接続及び切断するための構造を制御する。概して、本明細書で述べる態様は、電力システムの構成要素をシステムアーキテクチャ内のオブジェクトとして特定する。例えば、電力システムは、ソースオブジェクト(例えば、公共事業会社によって提供される系統電力接続、発電設備、ソーラアレイ、バッテリバンクなど)、母線オブジェクト(例えば、ソース母線、負荷母線、配電母線など)、変圧器オブジェクト(例えば、受動型電力変圧器)、スイッチオブジェクト(例えば、自動切換スイッチ(ATS)、負荷スイッチ、ソーススイッチ、回路遮断器など)、及びコントローラオブジェクト(例えば、ソースコントローラ、負荷母線コントローラ、スイッチコントローラなど)を含み得る。各オブジェクトは、個々のオブジェクト識別子を割り振られ、単線トポロジーで表すことができるシステムアーキテクチャに導入される。次いで、ソースから負荷への電力伝送の潜在的な経路を確立するために、単線トポロジーで定義された各ソースと各負荷との間に経路が定義される。例えば、いくつかのシステムアーキテクチャでは、1つのソースから所与の負荷に電力を提供するために、2つ以上の経路が利用可能であり得る。各経路は、個々の経路識別子を割り振られる。次いで、各オブジェクトは、コントローラを割り振られる又は割り当てられる。典型的には、オブジェクトは、隣接するコントローラを割り振られる。例えば、発電設備ソースオブジェクトに結合されて発電設備ソースオブジェクトを制御する発電設備コントローラはまた、ソース母線を制御するために割り当てられ得る。各オブジェクトが1つのコントローラに割り当てられたら、電力システムは、個々の各コントローラオブジェクトと通信する集中コントローラ、又は分散制御方式を使用して、オブジェクトの動作を制御することができる。例えば、流動主制御方式を使用することができ、ここでは、電力システム内の1つのコントローラオブジェクトが特定のタスクのための集中制御としての機能を果たしているが、集中制御としての機能を果たしている個々のコントローラオブジェクトは、電力システムによって必要とされるタスクに応じて変化する。他の態様では、特定のシステム機能を実施する全てのコントローラオブジェクトが同等のものである、完全分散制御方式が用いられる。各コントローラが、(流動主制御方式における主コントローラの場合のように)他のコントローラに対する動作を決定するのではなく、それ自体の行うべき動作を決定することが、これらを完全に分散させている1つの特徴である。流動主制御方式と完全分散制御方式の両方において、2つ以上のコントローラオブジェクトが電力システムの機能を操作できるので、システムに冗長性が提供される。
【0061】
オブジェクトに基づくシステムアーキテクチャによって、電力システムの設計、実装又は試運転、及び動作を簡略化することが可能となる。各オブジェクトは、各コントローラによって認識され、属性又はパラメータを用いてカスタマイズされる。これによって、各コントローラが何に接続されるか、又は各オブジェクトがどの経路に存在するか、及び各オブジェクトがその経路にどのように影響を及ぼすかを各コントローラが認識することが可能となる。単線トポロジーに基づくシステムを構築し、オブジェクトに基づく経路を使用して制御する能力によって、よりロバストな制御方式が提供される一方で設計及び構築の効率が向上する。
【0062】
図1に示すように、単純な電力システム30は、ユーティリティソース母線38に接続された、系統電力を提供する(例えば、交流電流(AC)を提供する)ユーティリティ34と、発電設備母線46に交流電力を提供する発電設備(generator set;genset)42とを含む。ユーティリティソース母線38は、ユーティリティソーススイッチ50に接続され、発電設備母線46は、発電設備スイッチ54に接続される。いくつかの態様では、ユーティリティソーススイッチ50及び発電設備スイッチ54は、負荷母線62に接続された自動切換スイッチ(ATS)に組み込まれる。自動切換スイッチは、ユーティリティ母線38又は発電設備母線46のうちの一方から負荷母線62に電力を提供するように配置又は構築することができる。負荷58は、負荷母線62に接続され、ユーティリティ34又は発電設備42によって提供される電力を消費するように構築される。
【0063】
概して、電力システム30は、ユーティリティ34から負荷58へ電力を引き出すことによって動作する。ユーティリティ34に対する電力遮断の場合、ユーティリティスイッチ50と発電設備スイッチ54とを含むATSが作動して負荷を発電設備42に接続することができる。
【0064】
電力システム30は、発電設備コントローラ66とスイッチコントローラ70とを含む。発電設備コントローラ66は、主に発電設備42に関連付けられ、発電設備42の動作を制御する。スイッチコントローラ70は、主に、ユーティリティスイッチ50と発電設備スイッチ54とを含むATSに関連付けられる。
【0065】
セクション1 - オブジェクト
図2に示すように、電力システム30の構成要素は、オブジェクトとして特定される。電力システムは概して、ソースオブジェクト、母線オブジェクト、スイッチオブジェクト、負荷オブジェクト、変圧器オブジェクトの5つのオブジェクトタイプを含む。電力システム30は、変圧器オブジェクトを含まないが、本文書において後に説明する他の電力システムは、変圧器オブジェクトを含む。電力システム30内では、各構成要素は、オブジェクトID、オブジェクト名、オブジェクトタイプ、及びオブジェクトサブタイプを用いて特定される。オブジェクトID及びオブジェクト名は、構成要素を特定するためにコントローラ(例えば、発電設備コントローラ66及びスイッチコントローラ70)によって使用される。オブジェクトタイプは、オブジェクトのどのパラメータが設定可能であるかを定義する。
【0066】
各オブジェクトタイプは、電力システム30の動作に責任(機能)を負う。各オブジェクトタイプはまた、オブジェクトの識別情報及び評価を定義する属性を有する。全てではないが、ほとんどのオブジェクトが電力システム30における機械であることに留意されたい。ユーティリティソース母線38、発電設備ソース母線46、及び負荷母線62は、母線オブジェクトタイプであり、電力システム30の動作及び調整において重要であるが、技術的には機械ではない。電力システム30自体もまた、コントローラ(例えば、発電設備コントローラ66及びスイッチコントローラ70)と同様に、オブジェクトとみなされ得る。オブジェクトタイプは、オブジェクトタイプが所有する機能性のためのコンテナになる。
【0067】
図3に示すように、オブジェクトタイプの各インスタンスは、電力システム(例えば、電力システム30)内の個々のオブジェクトの動作を表すようにカスタマイズできる多くの機能、パラメータ、又は属性を含むことができる。換言すれば、電力システム74は、以下のオブジェクトタイプ、すなわち、ソース78、母線82、スイッチ86、負荷90、変圧器94、並びに追加的にコントローラ(
図3には図示せず)及び電力システム74自体から構成されるように抽象化される。本明細書に開示する態様によれば、電力システムは、そのタイプのオブジェクトの各々の存在に対して1つのインスタンスである、オブジェクトインスタンスの集合として構成することができる。各オブジェクトタイプは、そのオブジェクトタイプに関連しているシステム制御機能のスーパーセットのためのコンテナである。オブジェクトタイプに含まれる機能のセットは、オブジェクトインスタンスが電力システム内のどこにあるかにかかわらず、常に同じ実装(例えば、ソフトウェアコード)である。個々のオブジェクトインスタンスの挙動は、新しいソフトウェアコード(例えば、「C」コード)によってではなく、構成設定の変更によってのみ修正される。
【0068】
オブジェクトインスタンスは、典型的には、どのコントローラが物理的に接続されているかに基づいて、システム周辺のコントローラに分散される。これによって、特定のコントローラ実装又は特定の設置コントローラトポロジーからの機能的抽象化が可能となる。つまり、オブジェクト及び機能は、それらが存在する/実行されるコントローラから大きく切り離される。例えば、発電設備コントローラ(例えば、発電設備コントローラ66)は、燃料供給、後処理などを制御することによって、関連する発電設備(例えば、発電設備42)の機能を制御し得るが、発電設備コントローラはまた、他のオブジェクトの機能を制御し得、他のコントローラは、発電設備コントローラの動作に影響を与え得る。各コントローラは、異なるオブジェクトタイプの多数のインスタンスを実行することが可能である。オブジェクト及びオブジェクトの機能は全て、共通のグローバルデータ空間を介して互いに通信する。システム全体のグローバルデータ空間は、イーサネットでのDDSなどのネットワーク技術及びプロトコルによって作成することができる。したがって、各オブジェクトインスタンスにおける機能は、電力システムを動作させるためにシステム制御及び順序付けの要求を達成するように他のオブジェクトタイプと協調して機能する。
【0069】
これは、従来の電力システム制御と異なる。従来の電力システムは、典型的には、特定の顧客サイト設置用にカスタム開発/プログラムされた電力システム制御機能を実行する集中コントローラに依存する。オブジェクトに基づく分散制御は、ロバストな制御環境を提供するとともにシステム全体の複雑さ及び必要なカスタマイズを減らす一方で、より柔軟な設置の機会を提供する。
【0070】
以下では、オブジェクト固有機能について、
図3に関して述べる。特定のオブジェクトタイプに関連付けられた機能は、例示的なものである。他の機能は、追加のパラメータ、カスタマイズ可能な設定などを含む、オブジェクトタイプに関連付けられ得る。追加的に、いくつかの機能は、オブジェクトタイプから除外され得るか、又は
図3に示すものと異なるオブジェクトタイプに含まれ得る。
【0071】
セクション1.1 - ソースオブジェクト
電力システム74内の各ソースオブジェクト78(例えば、ユーティリティ34及び発電設備42)は、ソース状態98、容量マネージャ102、シンクロナイザ106、負荷分担110、ソース選択114、ソース優先順位付け118、及びグリッド並列化制御122機能を含む、7つのソース機能を定義する。いくつかの態様では、より多くの機能又はより少ない機能が、各ソースオブジェクトに含まれ得る。いくつかの態様では、使用しない機能が、制御方式において無効化され得るか、又はカスタム機能が追加され得る。
【0072】
ソース状態機能98は、ソースオブジェクトの現在の動作状態を特定する。ソースオブジェクトは、ソース選択のために及び他の機能が働くように、現在の動作状態を知らせる必要がある。ソース状態機能98は、電力システム制御方式によって使用され、ローカルマシン制御機能を必ずしも示さないか、又はローカルマシン制御機能によって必ずしも使用されないことに留意されたい。例えば、発電設備42は、診断状態で動作しており、依然として有効に動作可能であり得るが、ソースとして電力システム30に電力を提供することができない。次いで、ソース状態機能98は、発電設備42が現時点で動作していても、発電設備42を利用できないものとみなす。いくつかの態様では、電力システム30のより大きな制御方式においてソースオブジェクトの抽象化を完全にサポートするために、ソース状態は、ソースのタイプにかかわらず一般的なものあるべきである。例えば、ソースオブジェクトは、ソース状態のスーパーセットを含み得、ソース状態のサブセットは、ソースオブジェクトの詳細(例えば、発電設備のソース状態の第1のサブセット及びユーティリティのソース状態の第2のサブセット)に基づいて選択される。ソースはまた、「状態」情報の一部として電力システム制御機能と共有する他の動的情報(例えば、現在の容量、負荷など)も有する。いくつかの態様では、ソース状態機能98は、ソースが必要な場合に呼び出される準備が整っているかどうか、ソースがセンサに基づいて利用可能であり、安定する時間があったかどうか、ソースが故障しているか否か、及び/又はソースが使用不可である(例えば、シャットダウン障害のため又は自動モードではないため)かどうかを示す情報を含む。
【0073】
容量マネージャ機能102は、電力システム30内の利用可能な容量の動的モデルを提供する。オンラインでの容量の継続的管理が重要である。所要の電力容量は、(優先度順で)どれだけ多くのソースが負荷母線オブジェクト(例えば、負荷母線62)に接続されるかの決定に影響を及ぼす。現在の負荷を担うだけでなく、追加のソース(利用可能である場合)をオンラインにし得る前に、電力システム30に過負荷をかけずに追加の負荷も受け入れるのに十分なオンライン容量がなければならない。過酷な用途では、ソースの予期しない突然の損失を補うために、オンラインの予備のソースが必要となる場合もある。ソースを追加するか又はソースを除去する決定に対する入力は、以下を含む。
-個々のソース容量はどれくらいか?いくつかのソースオブジェクトは、バッテリ、ソーラアレイ、風力源などの、動的なものであり得る。
-現在のオンラインの総容量はどれくらいか?
-現在の総負荷はどれくらいか?
-現在のオンラインの予備容量(総容量-負荷)はどれくらいか?
-所望のレベルの予備容量はどれくらいか?
-任意の1つのソースの予期しない損失に対する保護が必要であるか?2つのソース?
-グリッドが接続されている場合、系統電力の設定値はどれくらいか?
-大きな負荷ステップが生じるという通知があるか?その負荷はどれくらいか?
-ソース容量の大きな損失(例えば、ソースの出力レベルの低下、太陽光流入の減少、風速の低下、又はバッテリ放電の制限)が生じるという通知があるか?
-ソースを意図的にオフラインにする必要があるか(例えば、点検のために)?
-これがブラックスタートである場合、最初にどれくらいの容量を加えるべきか?全てを?選択されたソースを?
【0074】
シンクロナイザ機能106は、ソースオブジェクトの同期のパラメータ及びステータスを提供する。従来、発電設備コントローラは、発電設備コントローラが接続する母線に、又はユーティリティなどの別の単一のソースに発電設備コントローラ自体を同期させる。単一の発電設備コントローラは、この同期を達成するために全ての感知測定を行う。様々な単線トポロジー又は構成及びソースタイプをサポートする分散型電力システム制御方式では、この機能は、単一又は多数の発電設備を電力システムにおける任意の感知点に同期させることが可能なサービスになる。シンクロナイザ機能106は、包括的な同期及び分散制御を可能にするために、電力システム30内のコントローラ間の同期パラメータの通信を可能にする。つまり、感知及び同期の開始は、他のコントローラで行われる可能性がある。追加的に、シンクロナイザ機能106は、ソースオブジェクトが同期することが可能であるかどうかを識別する。システムは、ライブ母線に対してソースを並列化する目的で同期させるためにどのソースを呼び出すことができるかを知る必要がある。同期化は、周波数を一致させるか、周波数オフセットを一致させるか、電圧を一致させるか、又は位相を一致させる任意の能力を含むことができる。同期化は、全てを含むとは限らない。
【0075】
負荷分担機能110は、他の負荷分担ソース間で負荷を分担しながら、ソースオブジェクトが公称電圧及び周波数を維持することが可能かどうかを識別する。典型的には、ソースオブジェクトはまた、負荷分担で使用されるようにグリッドを形成することが可能でなければならない。
【0076】
ソース選択機能114は、ソース優先順位付け、ソース状態、及び電力容量管理情報をまとめて、オンラインであるべきソースのリストを出力する。ソースが変更する必要がある場合、ソースをオンライン又はオフラインにするプロセスは、他の下流側機能(例えば、母線オブジェクトに関連付けられたルーティング及び順序付け制御)によって処理される。
【0077】
ソース優先順位付け機能118は、利用可能なソースオブジェクトのリスト化された優先順位を提供する。全てのソースは、他のソースの状態及びどれだけ多くの負荷があるか応じてどの順序でソースを呼び出すべきかを決定するために使用される有効な優先度数の割り振りを有する。この優先度数は、動的であり得るか、又は静的である可能性がある。優先度の割り振りは、電力システムの動作についての現在の目的が何であるかによって生じる。いくつかの目的で、制御システムは、優先順位を算出することができる。他のより複雑な目的/計算では、外部最適化アルゴリズム(例えば、クラウド又はエッジコンピューティングデバイスなど)が、ソース優先順位付けを設定し得る。ローカルに管理されるいくつかの考えられる目的は、以下を含む。
-再生可能資源からの寄与を最大化するためにシステムを実行する。
-サービスのために全ての機械が同時に稼働することのないように、システムを実行する。
-全ての機械がほぼ等量の損耗を維持するようにシステムを実行する。
-資産の耐用年数を最大化するためにシステムを実行する。
-運用コストを最小限に抑えるためにシステムを実行する。
-外部最適化アルゴリズムによって設定された動的優先順位付けに基づいてシステムを実行する。
【0078】
グリッド並列化制御機能122は、どのソースタイプを他のソースオブジェクトタイプ又はサブタイプと並列に動作させることができるかを特定する。所与の電力システムについては、多くの場合、どのソースが互いに並列に動作できるか及びどれだけ長く動作できるかに制限が課される。任意の電力システムの一般的な問題を解決するために、許容される組み合わせを構成できるように、N^2の行列のソースが必要となる。例えば、ソースオブジェクトのグリッド並列化機能は、以下の選択肢、すなわち、OT=開放移行、HCT=ハード閉鎖移行(100ミリ秒未満の重複)、SCT=ソフト閉鎖移行(最大の並列時間によって制限される)、全て=許容される全てのモード、又はEP=拡張並列(制限時間なし)のうちの1つ又は複数を定義し得る。
【0079】
セクション1.2 - 母線オブジェクト
電力システム30内の各母線オブジェクト82(例えば、ユーティリティソース母線38、発電設備ソース母線46、及び負荷母線62)は、母線状態126、経路状態130、ルータ134、故障母線アクセス138、及びシステムルーティングテーブル142機能を含む、5つの母線機能を定義する。いくつかの態様では、より多くの機能又はより少ない機能が、各母線オブジェクトに含まれ得る。いくつかの態様では、使用しない機能が、制御方式において無効化され得るか、又はカスタム機能が追加され得る。
【0080】
任意の母線オブジェクト82の母線状態機能126は、スイッチ制御論理、及び負荷追加/制限などの他の機能によって必要とされる。各母線オブジェクト82の電気状態は、母線状態アルゴリズムによって決定される。考えられる母線状態は、利用可能、障害、故障、又は減衰中を含む。負荷母線ルータ機能は、移行タイプを決定する一環として、母線状態を使用することができる。スイッチ動作処理機能は、母線状態を使用して、スイッチオブジェクトを閉じることを考慮できるかどうかを決定することができる。
【0081】
経路状態機能130は、電力が電力システム30を通ってソースから負荷に流れることができる経路を特定する。経路状態機能130は、経路を有効化又は無効化できるように、利用可能な各経路の状態又は健全性を特定する。考えられる状態は、不明、切断済み、切断不能、接続済み、及び/又は接続不能を含む。各経路の状態は、経路状態アルゴリズムによって決定される。経路状態は、実行可能な経路を選択するために負荷母線ルータによって使用することができる。経路が接続できない場合、負荷母線ルータは、次に優先度の高い経路を(それが使用可能であれば)選択することができる。
【0082】
電力システム30の1つの中心概念は、負荷母線とソースと接続する経路を特定するとともに、閉状態又は開状態の間でスイッチを制御することによって経路を有効化及び/又は無効化する、順序付け制御概念である。(例えば、スイッチコントローラ70に記憶された)スイッチ論理は、スイッチ(例えば、ユーティリティスイッチ50及び発電設備スイッチ54)を安全に閉じた状態にすること(例えば、シンクロナイザサービス要求、同期チェック、故障母線閉鎖など)を担う。ルータ機能134は、現在のソース選択に基づいて、どの経路を有効化又は無効化するかを決定する。ルータ機能134はまた、どのようなタイプの移行(例えば、開放移行、閉鎖移行など)が発生しているかを判別し、移行の順序付けに関与し得る。ルータ機能134は、負荷母線オブジェクト82によって所有されるものとして示されている。いくつかの態様では、ルータ機能134は、冗長性のために多数のコントローラで実行できるか又は多数の異なるオブジェクトタイプに関連付けることができる、流動主機能として動作することができる。ルータ機能134は、負荷母線とソースとの間で機能する。負荷母線がその下に個々の負荷給電線を有する電力システムでは、分散負荷追加/制限特徴は、負荷回路の接続及び切断の管理を個別に担う。追加的に、いくつかの態様では、負荷自体は、ルータ機能によって接続及び切断される。
【0083】
いくつかの態様では、ソースオブジェクト78又は負荷オブジェクト90は、特定の経路を接続状態に維持するために経路保持を要求することができる。その経路を無効化する優先度の高い他の理由が存在しない場合には、経路がもはや不要であると負荷オブジェクト90又はソースオブジェクト78が示すまで、経路が許可され、有効なまま保持される。ソースオブジェクト78は、例えば、耐用年数/メンテナンスへの悪影響を防止する目的で、負荷を伴う最小限の実行時間長さを確保するために経路保持を要求することができる。負荷オブジェクト90は、例えば、UPSバッテリを再充電するために最小限の時間にわたって負荷オブジェクト90が連続的に電力供給された状態であることを確実にするために、経路保持を要求することができる。負荷オブジェクト90はまた、電力システムが再伝送のために手動介入を必要とするように構成される場合、経路保持を要求することができる。
【0084】
故障母線アクセス機能138(代替的に、初回起動と呼ばれる)は、他の全てのソースオブジェクト78(例えば、他の全ての発電設備)が故障母線に対して閉じるのを禁止する一方で、単一のライブソースオブジェクト78(例えば、発電設備42)をその故障母線に対して閉じるように機能する。様々な単線トポロジー又は構成及びソースタイプをサポートする分散型電力システム制御方式では、故障母線アクセス機能138は、汎用化することができ、ライブ側と故障側との間又は更には2つの故障側の間のいずれかでスイッチ/遮断器オブジェクト86を閉じる必要がある電力システム74内の任意の場所に対するサービスとして機能する。故障母線アクセス機能138は、動作が完了するまで他の全てのライブソースがその母線に対して閉じるのを阻止する一方で、故障母線に通電させるために単一のライブソースの閉鎖を調整及び仲介するように機能する。障害シナリオが発生した場合のフォールバックも含めることができる。
【0085】
システムルーティングテーブル機能142は、単線トポロジー上に提示される利用可能な経路を定義する。システムルーティングテーブル機能142は、負荷母線オブジェクト82と個々のソースオブジェクト78との間の全ての可能な接続パスをリスト化する。システムルーティングテーブル機能142は、ソースオブジェクト78から負荷母線オブジェクト82への電力を得るためのルーティングテーブルを提供し、負荷母線ルータによって使用される。システムルーティングテーブル機能142は、ユーザインターフェースを含むツールによって、電力システム74における全てのコントローラ又はコントローラのサブセットにプログラムすることができる。理想的には、ツールは、単線トポロジーを描画するために使用できるグラフィカルインターフェース及びシステムオブジェクトのライブラリを有する。次いで、ツールは、ルーティングテーブルを自動的に計算することができる。
【0086】
セクション1.3 - スイッチオブジェクト
電力システム74内の各スイッチオブジェクト86(例えば、ユーティリティスイッチ50及び発電設備スイッチ54)は、スイッチ状態146、同期チェック150、及びスイッチ動作処理154機能を含む、3つのスイッチ機能を定義する。いくつかの態様では、より多くの機能又はより少ない機能が、各スイッチオブジェクト86に含まれ得る。いくつかの態様では、使用しない機能が、制御方式において無効化され得るか、又はカスタム機能が追加され得る。
【0087】
スイッチ状態機能146は、スイッチオブジェクト86が使用されている場合には、スイッチオブジェクト86の位置、スイッチオブジェクト86の主接点の位置を、閉鎖動作が保留状態である場合、及び/又はスイッチオブジェクト86が閉じることを禁止されている場合には、スイッチ障害を特定する。
【0088】
同期チェック機能150は、電圧、周波数、及び位相角が設備にとって安全なレベル(例えば、機械的/電気的ストレス)に整合され、許容できない電力動揺を生じさせないことを確認することによって、2つのライブソースオブジェクト78の閉鎖を可能にする。同期チェック機能150は、典型的には、単一のコントローラにおいて作成された、両方のソースオブジェクト78の測定値を利用して実行される。この同期チェック機能150は、接続されたスイッチオブジェクト86の両側への感知アクセス又は可視性を有する関連するコントローラにおける完全にローカルな機能とすることができる。
【0089】
スイッチ動作処理機能154は、スイッチオブジェクト86の作動を制御する。システムルーティングテーブル機能142に基づいて、スイッチオブジェクト86は、スイッチ動作処理機能154に基づいて開かれるか、閉じられるか、又は何も行わない。スイッチ動作処理機能154はまた、閉じるための又は開くことを可能にするために負荷をかけない出力変化が完了するの待つための同期チェック機能又は故障母線アクセス機能138などの後続の動作を開始する。追加的に、スイッチ動作処理機能154は、母線オブジェクト82上で利用可能な容量(例えば、ソース容量定格と現在母線上にある負荷の量との差)を算出することによって母線予備容量を監視する。母線予備容量は、保留中の閉鎖が行われるのを許容するかどうかを決定するために使用することができる。下流側の負荷を担うのに十分な予備容量がスイッチオブジェクト86の上流側にない場合、スイッチは閉じない。それが当てはまるいくつかのシナリオは、閉じられた場合に故障負荷に通電させる任意のスイッチオブジェクト86にある。
【0090】
セクション1.4 - 負荷オブジェクト
電力システム74内の各負荷オブジェクト90(例えば、負荷58)は、負荷状態機能158、負荷減衰機能162、負荷追加/制限機能166、及び高感度負荷切断機能170を含む、4つの負荷機能を定義する。いくつかの態様では、より多くの機能又はより少ない機能が、各負荷オブジェクト90に含まれ得る。いくつかの態様では、使用しない機能が、制御方式において無効化され得るか、又はカスタム機能が追加され得る。
【0091】
負荷状態機能158は、負荷オブジェクト90の状態を、通電、停電、故障、又は減衰中と特定し、共通又は共有の母線オブジェクト82に接続される全ての負荷オブジェクト90を決定する。どの負荷オブジェクト90が接続されるかを負荷状態機能158が決定したら、接続される全ての負荷オブジェクト90の現在の状態が決定される。
【0092】
負荷減衰機能162は、ライブソースへの負荷オブジェクト90の再接続を可能にするのに十分に長い間、いつ負荷オブジェクト90がソースから電力供給されずに切断されていたかを判定する。例えば、望ましくない動作/設備ストレスを回避するために、モータ負荷に再通電させる前にモータ負荷が回転を停止する時間が与えられる。
【0093】
負荷追加/制限機能166は、利用可能な電源と比較して(すなわち、接続されたソースオブジェクト78からの)負荷需要が高いか低いかを判定し、それに応じて共通の母線オブジェクト82上の電流を断続するように、負荷減衰機能162と連動し得る。負荷追加/制限機能166は、容量の許す限り負荷回路を追加(すなわち、接続)し、システム容量が過負荷になったときに負荷回路を制限(すなわち、切断)するように働く。負荷追加/制限機能166は、独立した機能であり得るか、又はルータ機能134を利用し得る。
【0094】
高感度負荷切断機能170は、高感度負荷が負荷母線オブジェクト82に直接接続されている場合の制御を行う。高感度負荷オブジェクト90のシナリオでは、高感度負荷切断機能170は、開放、閉鎖、及び他の動作を制御して高感度負荷オブジェクト90に対して制御を与えるために、上流側のスイッチオブジェクト86と通信する。換言すれば、負荷回路が高感度負荷指定を有する場合に、その回路は、電圧低下、又は単相運転状況などの、潜在的に部分的にのみ故障したソースに接続されたままであるのではなく、停電の検出時に即座に切断する(すなわち、開く)。
【0095】
セクション1.5 - 変圧器オブジェクト
電力システム74内の各変圧器オブジェクト94は、比率174、巻線型178、X/R比182、及び定格186機能を含む、4つの変圧器機能を定義する。いくつかの態様では、より多くの機能又はより少ない機能が、各変圧器オブジェクト94に含まれ得る。いくつかの態様では、使用しない機能が、制御方式において無効化され得るか、又はカスタム機能が追加され得る。変圧器オブジェクト94は、その現在の状態を判定して通信することに責任を負い得る。多くの態様では、変圧器オブジェクト94は、直接制御動作を有しない。電力システム性能は、変圧器オブジェクト94の位置を(電気的に)知ることと、変圧器オブジェクト94の仕様を知ることで利益を得る。例えば、同期化/同期チェックは、Δ-Yの30度シフトのために変圧器オブジェクト94について知ることを望み得る。変圧器タイプの指定によって、+30又は-30の決定が自動的に行われる。同期化/同期チェックはまた、電圧整合のために変圧比機能174を知ることを望む。電力潮流管理は、ソースパスに異なるX/Rがある場合には負荷分担のバランスをより良好に保つために、X/R比機能182について知ることを望み得る。
【0096】
セクション2 - システムアーキテクチャ
上述したオブジェクトに基づく抽象化は、任意の電力システムアーキテクチャに適用することができる。
図4は、
図1に示す電力システム30よりも多くの構成要素/オブジェクトを含む電力システム190を示している。電力システム190における各オブジェクトのオブジェクトID、オブジェクト名、オブジェクトタイプ、及びオブジェクトサブタイプが
図5に示されている。電力システム190は、ユーティリティ194、第1の発電設備198、第2の発電設備202、及び第3の発電設備206を含む、4つのソースオブジェクトを含む。
【0097】
電力システム190は、9つのスイッチオブジェクトを含む。5つのスイッチオブジェクトは、ソーススイッチであり、ユーティリティ194に接続されたユーティリティスイッチ210と、第1の発電設備198に接続された第1の発電設備スイッチ214と、第2の発電設備202に接続された第2の発電設備スイッチ218と、第3の発電設備206に接続された第3の発電設備スイッチ222と、第1の発電設備198と第2の発電設備202と第3の発電設備206の各々に結合された発電設備分岐スイッチ226とを含む。4つのスイッチオブジェクトは、負荷スイッチであり、第1の負荷スイッチ230と、第2の負荷スイッチ234と、第3の負荷スイッチ238と、第4の負荷スイッチ242とを含む。
【0098】
変圧器オブジェクト246は、第3の発電機スイッチ222と発電設備分岐スイッチ226との間に接続される。いくつかの態様では、電力システム190は、2つ以上の変圧器オブジェクトを含むことができる。
【0099】
電力システム190は、11本の母線オブジェクトを含む。発電設備分岐母線250は、第1の発電設備スイッチ214と第2の発電設備スイッチ218と変圧器246と発電設備分岐スイッチ226との間に接続され、変圧器母線254は、第3の発電設備スイッチ222と変圧器246との間に接続され、負荷分岐母線258は、ユーティリティスイッチ210と発電設備分岐スイッチ226との間に、及び第1の負荷スイッチ230と第2の負荷スイッチ234と第3の負荷スイッチ238と第4の負荷スイッチ242との間に接続され、ユーティリティ母線262は、ユーティリティ194とユーティリティスイッチ210との間に接続され、第1の発電設備母線266は、第1の発電設備198と第1の発電設備スイッチ214との間に接続され、第2の発電設備母線270は、第2の発電設備202と第2の発電設備スイッチ218との間に接続され、第3の発電設備母線274は、第3の発電設備206と第3の発電設備スイッチ222との間に接続され、第1の負荷母線278は、第1の負荷と第1の負荷スイッチ230との間に接続され、第2の負荷母線282は、第2の負荷と第2の負荷スイッチ234との間に接続され、第3の負荷母線286は、第3の負荷と第3の負荷スイッチ238との間に接続され、第4の負荷母線290は、第4の負荷と第4の負荷スイッチ242との間に接続される。
【0100】
電力システム190はまた、第1の発電設備コントローラ294、第2の発電設備コントローラ298、第3の発電設備コントローラ302、ユーティリティスイッチコントローラ306、発電設備分岐スイッチコントローラ310、及び負荷分岐コントローラ314を含む、6つのコントローラオブジェクトを含む。電力システム190内の全てのオブジェクトの制御は、コントローラオブジェクトを用いて達成され、各オブジェクトタイプの機能は、以下でより詳細に説明するように、特定のコントローラに割り振られる。オブジェクト機能の調整及び実施は、コントローラオブジェクトの全て又はいくつかを利用する分散制御方式によって行うことができる。また、分散制御方式については、以下で更に詳述する。
【0101】
電力システム190におけるオブジェクトの各々は、実際の機械及び母線機能を表すようにコントローラ内の設定を使用して構成することができる。これによって、カスタムプログラムされた制御システムを必要とするよりもむしろ、単線トポロジーに基づいて設計された設定及び構成を使用して電力システム190を正確に制御することが可能となる。
【0102】
セクション3 - 経路
電力システム190は、多数の相互接続されたオブジェクトを含み、電力がソースオブジェクトから負荷オブジェクトに流れることができる通路又は経路を提供する。
図6に示すように、システムルーティングテーブル(例えば、母線オブジェクトのシステムルーティングテーブル機能142によって作成される)は、所与の電力システムのための負荷母線と個々のソースとの間の全ての可能な経路をリスト化する。使用可能属性は、経路を使用不可にすることを可能にする設定である。経路ID属性は、負荷母線識別子とソース識別子との組み合わせである。経路優先度は、負荷母線からソースへの経路が2つ以上あるときに使用される設定である。経路優先度は、経路上のスイッチの数から導出されたデフォルト値を有するが、ユーザによって変更可能であり得る。例えば、スイッチが多いほど、優先度が低くなる。
【0103】
システムルーティングテーブルは、負荷母線ルータが種々のソースに達するのはどの経路かを知るために負荷母線ルータに情報を提供する(そのため、負荷母線ルータは、所望のソースを接続させるためにどの経路を有効化すべきかを知る)。システムルーティングテーブルはまた、スイッチ動作処理がルータ機能によって生成された有効経路リストに適切に応答できるように、スイッチがどの経路に「存在する」かをスイッチが知ることができるように、スイッチ動作処理によって使用される。
【0104】
図4に示す電力システム190は、
図6に描かれている4つの利用可能な経路を定義する。これらの経路は、利用可能な全ての電力通路を定義して、利用可能なソースオブジェクトから負荷分岐母線258に電力を提供する。
図6における全ての経路は、使用可能(Y)として示されているが、いくつかの態様では、経路は、ソースオブジェクトがオフラインである(例えば、ユーティリティ194において遮断が発生した)場合に、使用不可(N)とされ得る。第1の経路320は、経路ID LB1.G1、経路優先度1を与えられ、経路パスLB1-SW4-B1-SWG1-G1を定義する。経路IDは、概して、地点間経路を示す(例えば、LB1.G1は、経路が第1の発電設備198と負荷分岐母線258とを接続することを示す)か又は所望通りに別の命名基準を使用することができる。経路優先度は、ソースと負荷との間の多数の経路が電力システム190では可能でないので、1に設定される。第1の経路320の経路パスは、電力が第1の発電設備198から、第1の発電設備スイッチ214、発電設備分岐母線250、発電設備分岐スイッチ226を通って、負荷分岐母線258に流れることを定義する。
【0105】
第2の経路324には、概して電力が第2の発電設備202から負荷分岐母線258に流れることを示す、経路ID LB1.G2が与えられる。経路は、有効化され、優先度1を有する。経路パスは、電力が第2の発電設備202から、第2の発電設備スイッチ218、発電設備分岐母線250、発電設備分岐スイッチ226を通って、負荷分岐母線258に流れることを示す、LB1-SW4-B1-SWG2-G2である。
【0106】
第3の経路328には、概して電力が第3の発電設備206から負荷分岐母線258に流れることを示す、経路ID LB1.G3が与えられる。経路は、有効化され、優先度1を有する。経路パスは、電力が第3の発電設備206から、第3の発電設備スイッチ222、発電設備分岐母線250、発電設備分岐スイッチ226を通って、負荷分岐母線258に流れることを示す、LB1-SW4-B1-SWG3-G3である。第3の経路パスによって図示するように、変圧器246などの受動的オブジェクトは、経路パスから除外され得る。いくつかの態様では、受動的オブジェクト、又は全てのオブジェクトが、経路パスの定義に含まれ得る。
【0107】
第4の経路332には、概して電力がユーティリティ194から負荷分岐母線258に流れることを示す、経路ID LB1.U1が与えられる。経路は、有効化され、優先度1を有する。経路パスは、電力がユーティリティ194からユーティリティスイッチ210を通って負荷分岐母線258に流れることを示す、LB1-SWU1-U1である。
【0108】
それゆえ、電力システム190用の経路テーブルは、4つの可能な経路、すなわち、第1の経路320と、第2の経路324と、第3の経路328と、第4の経路332とを含む。第1の発電設備コントローラ294と、第2の発電設備コントローラ298と、第3の発電設備コントローラ302と、ユーティリティスイッチコントローラ306と、発電設備分岐スイッチコントローラ310と、負荷分岐コントローラ314とを含む、電力システム190の制御システムは、経路テーブルを利用して種々の経路に存在する全てのオブジェクトを効率的に制御し、望ましい結果をもたらす。例えば、ユーティリティ194がオフラインにされた場合に、電力システム190は、より多くの電力の需要を認識し、発電するために第1の経路320、第2の経路324、及び第3の経路328のいずれかを有効化することができる。経路パスの有効化によって、有効化された経路パス上に存在する全てのオブジェクトの作動又は制御に対する自動化され且つ調整された解決策が提供される。
【0109】
ルーティングテーブルの概念を更に実証するために、複雑な電力システム336が、
図7に単線トポロジーで示され、グリッドに基づくものであるか又はさもなければ外部ソース(例えば、発電所)から提供される電源であり得る第1のユーティリティ340及び第2のユーティリティ344を含む。電力システム336はまた、第1の発電設備348と、第2の発電設備352と、第3の発電設備356とを含む。いくつかの態様では、発電設備は、ディーゼルを動力とするか、又は別の燃料タイプを燃焼させる内燃機関を動力とする。電力システム336はまた、ソーラアレイ又はソーラステーション360とバッテリバンク364とを含む。風力、水力、及び他の任意の電源などの他の電源は、本明細書において考慮される電力システムに接続され得る。電力システム336は、7つのソースオブジェクトを含む。いくつかの態様では、8つ以上又は7つ未満のソースオブジェクトが含まれる。
【0110】
電力システム336はまた、第1のユーティリティ340を選択的に結合する第1のユーティリティスイッチ368、第2のユーティリティ344を選択的に結合する第2のユーティリティスイッチ372、第1の発電設備348を選択的に結合する第1の発電設備スイッチ376、第2の発電設備352を選択的に結合する第2の発電設備スイッチ380、第3の発電設備356を選択的に結合する第3の発電設備スイッチ384、ソーラステーション360を選択的に結合するソーラスイッチ388、及びバッテリバンク364を選択的に結合するバッテリスイッチ392を含む、7つの対応するソーススイッチを含む。
【0111】
発電設備分岐母線393は、第1の発電設備スイッチ376を介して第1の発電設備348と、第2の発電設備スイッチ380を介して第2の発電設備352と、第3の発電設備スイッチ384及び変圧器394を介して第3の発電設備356と通信するように構築される。発電設備スイッチ376、380、384は、発電設備ソースオブジェクトと発電設備分岐母線393との選択的な結合を提供する。
【0112】
発電設備分岐母線393は、第1の発電設備分岐スイッチ398を介して第1の負荷母線396と、第2の発電設備分岐スイッチ402を介して第2の負荷母線400と選択的に通信するように構築される。負荷母線スイッチ404は、第1の負荷母線396と第2の負荷母線400との選択的な通信(すなわち、接続)を提供する。
【0113】
4つの負荷スイッチ408、412、416、420は、第1の負荷母線396に接続され、4つの対応する負荷に電力を選択的に提供する。4つの負荷スイッチ424、428、432、436は、第2の負荷母線400に接続され、4つの対応する負荷に電力を選択的に提供する。4つの負荷が各負荷母線に結合された状態で示されているが、5つ以上又は4つ未満の負荷も考慮される。負荷の各々は、単一の電力需要家を含み得るか、又は負荷系統(例えば、電力システム336によって供給されるマイクログリッド)を含み得る。
【0114】
図7に示す単線トポロジー上に定義されたオブジェクトの各々は、オブジェクトの機能性が電力システム336内で知られるように、オブジェクトが単線トポロジーに加えられたときに、上述したような属性又はパラメータを割り振られる。オブジェクト名(例えば、第1の発電設備348はS1と名付けられるなど)及びパラメータリストを提供するオブジェクトテーブルが生成される。追加的に、電力システム336は、構成要素の作動及び制御を行うための、種々のオブジェクトに関連付けられたコントローラを含む。
【0115】
電力システム336は、
図4に示す電力システム190よりも多くの経路動態を含む。電力システム336は、
図8に示す24本の別個の経路を定義する。第1の負荷母線396を接続する11本の経路が
図7に示されている。第2の負荷母線400を接続する経路は、より明確にするために
図7には示されていない。電力システム336によって定義された経路は、優先度の概念をより明確に図示している。例えば、経路R1.7は、第1の負荷母線396を第2のユーティリティ344と結合するために、第1の発電設備分岐スイッチ398と、発電設備分岐母線393と、第2の発電設備分岐スイッチ402とを含むので、経路優先度2を含む。代替的に、経路R1.8は、パスが第1の負荷母線396と第2のユーティリティ344との間でより直接的であるので、経路優先度1を含む。
【0116】
図7及び
図8に示す例では、経路の各々に対する負荷母線ルータ(例えば、上述した負荷母線ルータ134)は、関連する負荷母線に割り当てられる。換言すると、第1の負荷母線396で終端する全ての経路は、第1の負荷母線396に関連付けられた負荷母線ルータによって制御され、第2の負荷母線400で終端する全ての経路は、第2の負荷母線400に関連付けられた負荷母線ルータによって制御される。順序付け制御の概念の1つのテナントは、負荷母線とソースとを接続する経路が存在することと、経路を有効化又は無効化することによって、経路上のスイッチが開閉するように機能することである。スイッチ論理は、(例えば、シンクロナイザサービス要求、同期チェック、故障母線閉鎖などを含む所望の順序付けに従って閉じるように)個々の各スイッチの制御を担う。負荷母線ルータは、現在のソースオブジェクト選択に基づいて、どの経路を有効化又は無効化するかを決定する。負荷母線ルータはまた、どのようなタイプの移行(開放移行、閉鎖移行など)が発生しているかを判別し、移行の順序付けに関与し得る。負荷母線ルータ機能は、負荷母線オブジェクトによって所有されるか又は負荷母線オブジェクトに割り当てられ、冗長性のために複数のコントローラで実行できる流動主機能として動作することができる。負荷母線ルータが負荷母線とソースとの間で機能することに留意されたい。負荷母線がその下に個々の負荷給電線を有する用途では、分散負荷追加/制限特徴は、負荷回路の接続/切断の管理を個別に担い得る。いくつかの態様では、負荷自体は、ルータ機能134によって接続及び切断される。
【0117】
個々のソースオブジェクト又は負荷オブジェクトは、特定の経路を接続状態に維持するために経路保持を要求し得る。その経路を無効化する優先度の高い他の理由が存在しない場合には、経路がもはや不要であると負荷オブジェクト又はソースオブジェクトが示すまで、経路保持が許可され、経路が有効なまま保持される。ソースは、例えば、耐用年数/メンテナンスへの悪影響を防止する目的で、負荷を伴う最小限の実行時間長さを確保するために経路保持を要求し得る。負荷オブジェクトは、例えばUPSバッテリを再充電する目的で、負荷オブジェクトが最小限の時間にわたって連続的に電力供給されたままであることを確実にするために、経路保持を要求し得る。負荷オブジェクトはまた、システムが再伝送のために手動介入を必要とするように構成される場合、経路保持を要求し得る。
【0118】
いくつかの態様では、デフォルトの経路優先度は、経路内のスイッチの数の単なる合計である。ソースへの多数の経路が存在する場合、呼び出すべき経路を選択するアルゴリズムは、経路優先度を含む、多くの要素に依存する。経路選択における他の要因は、システム及びスイッチの現在の状態を含み得る。例えば、優先度の低い(すなわち、高い優先度数)のパスと比較して優先度の高い(すなわち、低い優先度数)に設定されたパス上により多くの開いたスイッチがある場合には、高い優先度数を有する優先度の低いパスを使用する(例えば、経路R1.8の代わりに経路R1.7を選択する)ことが当然であり得る。いくつかの態様では、以下の要因、すなわち、1)最も少ない開いたスイッチを使用して経路を選択するか、又は2)パス内のスイッチの数を使用するか、又は3)カスタム優先度設定を使用するなどが、経路選択に含まれ得る。障害モードも考慮に入れることができる。低い優先度数を有する優先度の高いパスが接続できない場合に、電力システムは、他の条件が経路を有効化することを可能にすることを前提とする、高い優先度数を有する次に優先度の低いパスに戻り得る(例えば、経路の接続によって、任意のソース又は動作モードの競合が生じない)。
【0119】
負荷母線ルータはまた、発生する可能性のある競合を解消し得る。概して、競合は、優先度の明確な定義によって解消される。ソースは優先度を有し、負荷は優先度を有し、経路は優先度(例えば、冗長パスが存在する場合には経路優先度数)を有することができ、動作させる理由には優先度の階層がある。いくつかの態様では、負荷母線ルータは、競合に対処し得る。例えば、負荷母線ルータは、システムが冗長経路と経路を要求する多数の負荷母線とを有する場合に発生する可能性があるループ(すなわち、並列パス)を禁止し得る。いくつかのループは、経路間の迅速な重複移行が許容され得る。
【0120】
経路の使用によって、制御効率を高めることが可能となり、電力システムの構成及び試運転の信頼性が向上する。
【0121】
セクション4 - 信号の流れ
本開示による電力システムの動作によって、システムアーキテクチャにおける別個のオブジェクトが特定され、システムの動作を制御するための権限は、電力システムの種々のコントローラに分散させることができる。分散制御の詳細については、以下で更に詳述する。
図9は、上述した経路を制御するための経路レベル機能を使用してソースオブジェクトから負荷母線オブジェクトへの電力供給を制御するための高レベル論理方式440を示している。本明細書で使用される場合、「経路レベル機能」という語句は、電力システムの調整された機能性を達成するために電力システムのオブジェクトによって実施される機能を指す。各オブジェクトの経路レベル機能については、以下で更に詳述する。概して、ソースマネージャは、どのソースを負荷母線に接続すべきかを負荷母線ルータに示す役割を担う。負荷母線ルータは、指定されたソースへの経路を有効化及び無効化する。スイッチ動作処理機能は、有効又は無効である経路に応じて開くか、閉じるか、又は何もしないかをスイッチごとに決定する。以下の説明では、電力システムの制御を実施するように相互作用する機能ブロック(例えば、経路レベル機能)に言及する。
【0122】
図9に示すように、ソースマネージャ444は、全てのソースのステータスを監視し、ソースを選択し、十分な容量があることを確実にすることに責任を負う。ソースマネージャ444の主な出力の1つは、負荷母線に接続すべきソースをリスト化した負荷母線ソースリスト448(すなわち、所望のソース接続リスト)である。ソース適合性マトリックス446は、どのようなタイプの移行が2つのソース間で許容されるか、及びどのソースを効果的に並列化できるかを定義する。例えば、N個のソースを有するシステムは、適合性を定義するために1/2*(N^2-N)の組み合わせがある。ソース適合性マトリックス446は、ソースマネージャ444と負荷母線ルータ452の両方によって使用される。いくつかの態様では、ソースマネージャ444は、ソース適合性マトリックス446を使用して、許容されないソースの組み合わせを選択することを回避する。
【0123】
負荷母線ソースリスト448が、負荷母線に現在接続されているソース(又は接続されると予測されるソース)と一致しない場合、負荷母線ルータ452は、不一致を診断し、現在接続されているソースを負荷母線ソースリスト448と一致させる手順における次のステップを決定する。現在接続されているソースと負荷母線ソースリスト448とが一致しないいくつかの考えられるシナリオがある。例えば、1)ソースが故障し、別のソースに置き換えられている、2)余分な容量が必要とされ、そのため、ソースが追加されている、又は3)負荷を用いた試験伝送が開始された。次のステップが決定されたら、負荷母線ルータ452は、2つの一次出力、すなわち、有効経路リスト456及び移行タイプ460を更新する。有効経路リスト456は、接続すべき経路(すなわち、所望の経路)のみを含む。移行タイプ460は、次いで、必要とされる有効経路リスト456に対する変更を移行タイプ460に基づいて決定するスイッチ動作処理機能464によって受信される。移行タイプ460の値は、なし、開放移行、ハード閉鎖移行、ソフト閉鎖移行、又は拡張並列を含む。いくつかの態様では、1つのスイッチ動作処理機能464は、各スイッチコントローラに存在する。いくつかの態様では、スイッチ動作処理機能464の多数のインスタンス(例えば、スイッチオブジェクトごとに1つ、コントローラオブジェクトごとに多数など)が存在し得、その結果、全体で、システムにおけるスイッチごとにスイッチ動作処理機能464の1つのインスタンスが存在する。加えて、いくつかの態様では、負荷母線ルータ452は、完全なソース移行が要求されているときに、ソース適合性マトリックス446を使用する。負荷母線ルータ452は、関与するソースの全ての組み合わせに関してソース適合性マトリックス446をチェックし、移行タイプの最小公分母を選択する。いくつかの態様では、ソースマネージャ444は、ソース適合性マトリックス446の結果を上書きし、理由出力信号を用いてより少ない移行タイプを選ぶことができる。ソース適合性マトリックス446の設定についての選択肢は、以下を含むことができる。OT=開放移行 ソースを並列化することができない、HCT=ハード閉鎖移行-ソースは、100ms未満の間のみ並列化することができる、SCT=ソフト閉鎖移行-出力を変化させる負荷の移行を達成するためにソースを並列化することができる(最大並列時間が適用される)、及び/又はEP=拡張並列-ソースを無制限に並列化することができる。他の選択肢又は設定の詳細は、システム実装に応じて変更され得る。
【0124】
スイッチ動作処理機能464は、有効経路リスト456に基づいて、関連するスイッチを閉じるべきか、開くべきか、又は現在の状態のままにすべきかを決定する。スイッチ動作処理機能464は、スイッチがどの経路に「存在する」か(すなわち、スイッチがその一部である経路)を知り、この経路を、スイッチ動作処理機能464がシステムルーティングテーブル468から取得する。
【0125】
スイッチが閉じるべきであるとスイッチ動作処理機能464が判断すると、スイッチ動作処理機能464はまず、スイッチが有効経路上に位置決めされており現在開いているかを判定する。スイッチが有効経路上にあり、開いている場合、スイッチ動作処理機能464は、スイッチが安全に閉じられるようにするのに適切な動作を行う必要がある。スイッチの両側の母線状態472は、何が起こり得るかを判別する。閉鎖は、利用可能-故障、利用可能-利用可能、又は故障-故障である母線状態472の条件下でのみ起こる可能性がある。母線状態472の条件が満たされたら、排他的な故障母線閉鎖許可476を得る、同期チェック条件480を満たす、及び下流側の負荷を担うために十分な上流側の容量484をチェックするなどの、更なる条件が必要となる。条件が整ったら、スイッチは閉じるように要求され、電力スイッチ制御488における機構特有の論理(例えば、自動切換スイッチ(ATS)、遮断器、接触器など)は、スイッチを閉じるように機能する。
【0126】
スイッチが開くべきであるとスイッチ動作処理機能464が判断すると、スイッチ動作処理機能464はまず、スイッチが閉じられており、有効経路上に位置決めされていないかを判定する。移行タイプ456が拡張並列又はソフト閉鎖移行である場合、スイッチは、スイッチを介した負荷の出力低下が完了したことを負荷出力変化ステータス492が示した後に、電力スイッチ制御488によって開くように命令される。移行タイプ456がハード閉鎖移行又は開放移行の場合に、スイッチは、即座に開くように命令される。
【0127】
スイッチ状態496は、スイッチ状態アルゴリズムによって決定される。考えられるスイッチ状態496値は、不明、開放、開放不能、閉鎖済み、及び閉鎖不能を含む。スイッチ状態496は、スイッチを開くこと、スイッチを閉じること、又はスイッチに対して何も行わないことを試みるかどうかを判定するために、スイッチ動作処理機能464によって有効経路リスト456及びシステムルーティングテーブル468と組み合わせて使用される。
【0128】
各経路の経路状態500は、経路状態アルゴリズムによって決定される。考えられる経路状態500は、不明、切断済み、切断不能、接続済み、接続不能を含む。経路状態500は、実行可能な経路を選択するために負荷母線ルータ452によって使用される。経路が接続できない場合、負荷母線ルータ452は、次に優先度の高い経路をそれが利用可能であれば選択する。
【0129】
シンクロナイザ機能504は、別のソース(例えば、発電設備)の能力と一致するように、ソースの電圧、周波数、及び位相角出力を調節する能力を有するソースに存在するか又はソースに割り当てられる。スイッチ動作処理464は、2つのライブ/利用可能なソース間を閉じることを試みるときに、この機能を要求する。
【0130】
セクション5.1 - コントローラ
図10に示すように、コントローラ508は、制御方式440において電力システムによって使用されるコントローラを表す。コントローラ508は、電力システムにおける少なくとも1つの他のコントローラとは別個であるか、又はそれに含まれ得る。以下で更に述べるように、本明細書で考慮される制御分散方式は、計算能力、冗長性、及び一般的な制御計算を単一のコントローラ回路内で実行すること又は電力システム内の多数のコントローラ間で共有することを可能にする。コントローラ508の機能及び構造については、
図10においてより詳細に説明する。
【0131】
ここで
図10を参照すると、例示的な態様によるコントローラ508の概略図が示されている。
図10に示すように、コントローラ508は、プロセッサ516とメモリデバイス520とを有する処理回路512と、回路A 528と回路B 532と回路C 536とを有する制御システム524と、通信インターフェース540とを含む。概して、コントローラ508は、関連するオブジェクトの動作を制御して、より大きな電力ルーティング制御方式440で機能するように構築される。
【0132】
一構成では、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、プロセッサ516などの、プロセッサによって実行可能である機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体として具現化される。本明細書で説明するように、他の用途の中でも、機械可読媒体は、データの送受信を可能にするためにある特定の動作の実施を容易にする。例えば、機械可読媒体は、例えば、データを取得するための命令(例えば、指令など)を提供し得る。この点に関して、機械可読媒体は、データの取得(又はデータの送信)の頻度を定義するプログラマブル論理を含み得る。コンピュータ可読媒体は、限定されるものではないが、Javaなどを含む、任意のプログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの、任意の従来の手続き型プログラミング言語で記述され得る、コードを含み得る。コンピュータ可読プログラムコードは、1つのプロセッサ又は多数のリモートプロセッサ上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモートプロセッサは、任意のタイプのネットワーク(例えば、CAN母線など)を介して互いに接続され得る。
【0133】
別の構成では、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、電子制御ユニットなどの、ハードウェアユニットとして具現化される。そのように、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、限定されるものではないが、処理回路、ネットワークインターフェース、周辺デバイス、入力デバイス、出力デバイス、センサなどを含む、1つ又は複数の回路構成要素として具現化され得る。いくつかの態様では、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、1つ又は複数のアナログ回路、電子回路(例えば、集積回路(IC)、ディスクリート回路、システム・オン・チップ(SOC)回路、マイクロコンピュータなど)、通信回路、ハイブリッド回路、及び他のタイプの「回路」の形態をとり得る。この点に関して、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、本明細書で説明する動作を実現するか又は動作の達成を容易にするための任意のタイプの構成要素を含み得る。例えば、本明細書で説明する回路は、1つ又は複数のトランジスタ、論理ゲート(例えば、NAND、AND、NOR、OR、XOR、NOT、XNORなど)、抵抗器、マルチプレクサ、レジスタ、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、配線など)を含み得る。回路A 528、回路B 532、及び回路C 536はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイスなどの、プログラマブルハードウェアデバイスを含み得る。回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536のプロセッサによって実行可能である命令を記憶するための1つ又は複数のメモリデバイスを含み得る。1つ又は複数のメモリデバイス及びプロセッサは、メモリデバイス520及びプロセッサ516に関して以下で与えられるものと同じ定義を有し得る。いくつかのハードウェアユニット構成では、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、電力システムにおける別個の箇所全体に地理的に分散配置され得る。代替的に、図示のように、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、コントローラ508として示す、単一のユニット/筐体中又は内に具現化され得る。
【0134】
図示の例では、コントローラ508は、プロセッサ516とメモリデバイス520とを有する処理回路512を含む。処理回路512は、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536に関して本明細書で説明する命令、指令、及び/又は制御プロセスを実行又は実施するように構築又は構成され得る。描かれている構成は、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536を機械又はコンピュータ可読媒体として表している。しかしながら、上述のように、本開示では、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536、又は回路A 528、回路B 532、及び回路C 536の少なくとも1つの回路がハードウェアユニットとして構成される、他の態様も考慮されるので、この実例は、限定的であることを意図したものではない。かかる全ての組み合わせ及び変形形態は、本開示の範囲に含まれるように意図されている。
【0135】
本明細書に開示する態様に関連して説明する種々のプロセス、動作、例示的な論理、論理ブロック、モジュール、及び回路を実装するために使用されるハードウェア及びデータ処理構成要素(例えば、プロセッサ516)は、汎用シングルチッププロセッサ若しくは汎用マルチチッププロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、又は本明細書で説明する機能を実施するように設計されたそれらの任意の組み合わせと共に実装又は実施され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、又は任意の従来のプロセッサ、又は状態機械であり得る。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用する1つ又は複数のマイクロプロセッサ、或いは他の任意のそのような構成などの、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装され得る。いくつかの態様では、1つ又は複数のプロセッサは、多数の回路によって共有され得る(例えば、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536は、いくつかの例示的な態様では、メモリの異なる領域によって記憶されるか又はさもなければアクセスされる命令を実行し得る同じプロセッサを含むか又はさもなければ共有し得る)。代替的又は追加的に、1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数のコプロセッサから独立してある特定の動作を実施するか又はさもなければ実行するように構築され得る。他の例示的な態様では、2つ以上のプロセッサは、独立、並列、パイプライン、又はマルチスレッドの命令実行を可能にするために、母線を介して結合され得る。かかる全ての変形形態は、本開示の範囲に含まれるように意図されている。
【0136】
メモリデバイス520(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶デバイス)は、本開示で説明する種々のプロセス、層、及びモジュールを完了若しくは促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ又は複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶デバイス)を含み得る。メモリデバイス520は、本明細書で説明するプロセスの少なくともいくつかを実行するためのプロセッサ516にコンピュータコード又は命令を提供するために、プロセッサ516に通信可能に接続され得る。その上、メモリデバイス520は、有形の非一時的な揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリであるか又はそれを含み得る。よって、メモリデバイス520は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本明細書で説明する種々の活動及び情報構造をサポートするための他の任意のタイプの情報構造を含み得る。
【0137】
回路A 528は、関連する機械又はオブジェクト544の動作に責任を負う。例えば、回路A 528は、発電設備、後処理システム、バッテリバンク、スイッチ、又は他の任意のオブジェクトタイプの動作を制御し得る。回路A 528によって決定された制御動作は、通信インターフェース540を介してオブジェクト544に通信される。
【0138】
回路B 532は、回路B 532に割り当てられるオブジェクト制御を決定することに責任を負う。分散制御を利用する電力システムでは、回路B 532は、コントローラ508の指示及び制御の下にあるのはどのオブジェクトかを判定するために、他のコントローラ548及び/又はセンサ552と通信し得る。
【0139】
回路C 536は、電力ルーティング制御440を実施することに責任を負い、経路を有効化/無効化して電力ルーティング制御方式440の他の動作を完了するために、通信インターフェース540を介して外部システムと通信する。
【0140】
特定の機能を備えた種々の回路が
図9及び
図10に示されているが、コントローラ508は、本明細書で説明する機能を完了するための任意の数の回路を含み得ることを理解すべきである。例えば、回路A 528、回路B 532、及び回路C 536の活動及び機能は、多数の回路において又は単一の回路として組み合わされ得る。追加機能を備えた追加の回路も含まれ得る。更に、コントローラ508は、本開示の範囲を超えて他の動作を更に制御し得る。いくつかの態様では、本明細書で説明する回路は、1つ又は複数のプロセッサに結合された1つ又は複数のメモリデバイスであって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたときに、本明細書で実施され回路に関連して説明する動作を1つ又は複数のプロセッサに実施させる命令を記憶するように構成された1つ又は複数のメモリデバイスを含む1つ又は複数の処理回路を含み得る。
【0141】
上述のように、一構成では、「回路」は、
図10のプロセッサ516などの、種々のタイプのプロセッサによる実行のための機械可読媒体に実装され得る。実行可能コードの特定された回路は、例えば、オブジェクト、プロシージャ、又は機能として編成され得る、例えば、コンピュータ命令の1つ若しくは複数の物理又は論理ブロックを含み得る。それにもかかわらず、特定された回路の実行可能コードは、物理的に一緒に位置する必要はないが、互いに論理的に結合されたときに、回路を含むとともに、回路の上述した目的を達成する、異なる場所に記憶された全く異なる命令を含み得る。実際に、コンピュータ可読プログラムコードの回路は、単一の命令、又は多くの命令であり得、更には、いくつかの異なるコードセグメントに、いくつかの異なるプログラム間で、及びいくつかのメモリデバイスにわたって分散させてもよい。同様に、運用データは、本明細書では回路内において特定及び例示され得、任意の好適な形式で具現化され得、任意の好適なタイプのデータ構造内で編成され得る。運用データは、単一のデータセットとして収集され得るか、又は異なる記憶装置を含む異なる場所に分散され得、且つ少なくとも部分的に、単にシステム又はネットワーク上の電子信号として存在し得る。
【0142】
「プロセッサ」という用語は、上記で簡潔に定義されているが、「プロセッサ」及び「処理回路」という用語は、広義に解釈されることを意図したものである。この点に関して、上述のように、「プロセッサ」は、1つ又は複数の汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はメモリによって提供される命令を実行するように構築された他の好適な電子データ処理構成要素として実装され得る。1つ又は複数のプロセッサは、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ(例えば、デュアルコアプロセッサ、トリプルコアプロセッサ、クアッドコアプロセッサなど)、マイクロプロセッサなどの形態をとり得る。いくつかの態様では、1つ又は複数のプロセッサは、装置の外部にあり得、例えば、1つ又は複数のプロセッサは、リモートプロセッサ(例えば、クラウドベースのプロセッサ)であり得る。代替的又は追加的に、1つ又は複数のプロセッサは、装置の内部及び/又は局所に存在し得る。この点に関して、その所与の回路又は構成要素は、ローカルに(例えば、ローカルサーバ、ローカルコンピューティングシステムなどの一部として)又はリモートに(例えば、クラウドベースのサーバなどのリモートサーバの一部として)配置され得る。そのために、本明細書で説明する「回路」は、1つ又は複数の場所全体にわたって分散された構成要素を含み得る。
【0143】
本開示の範囲内の態様は、記憶された機械実行可能命令又はデータ構造を保持又は有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータによって又はプロセッサを備えた他の機械によってアクセスできる任意の利用可能な媒体とすることができる。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、或いは、機械実行可能命令又はデータ構造の形態の所望のプログラムコードを保持又は記憶するために使用でき、汎用若しくは専用コンピュータによって又はプロセッサを備えた他の機械によってアクセスできる他の任意の媒体を含むことができる。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、ある特定の機能又は機能グループを汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理機械に実施させる命令及びデータを含む。
【0144】
セクション5.2 - コントローラの割り当て
コントローラは、典型的には、1つの機械用に専用化される。場合により、コントローラは、複数の機械をサポートし得る。本明細書で考慮される1つの概念は、電力システムにおける各電力システムオブジェクトインスタンスが、コントローラ、典型的には、オブジェクトに最も直接関連付けられた(すなわち、オブジェクトに関連付けられたいくつかのIOを有する)コントローラによって「所有」されることである。場合により、オブジェクトは、多数のコントローラで実行されるコピー又は複製制御であって、主制御を必要とする機能に対して分散制御の流動主モデルを使用して冗長性を提供するコピー又は複製制御を伴う。
【0145】
上述したオブジェクトモデルは、適用自由度を可能にする。いくつかの電力システムについては、コントローラをオブジェクトに割り振る2つ以上の方法がある。これは、電力システムの設計での意図的な選択によるものか、又は関与する機械によるものであり得る。いくつかの態様では、1つのコントローラは、各負荷に対して負荷監視が必要でない場合、おそらく4つのスイッチを処理することができ、さもなければ、1つ又は2つのスイッチごとに1つのコントローラが必要とされ得る。
【0146】
従来型のATS+発電設備システムでは、
図11に示すようにオブジェクトが割り当てられた2つのコントローラが存在する。電力システム556は、ユーティリティソース母線564に接続された、系統電力を提供する(例えば、交流電流(AC)を提供する)ユーティリティ560と、発電設備母線572に交流電力を提供する発電設備568とを含む。ユーティリティソース母線564及び発電設備母線572は、自動切換スイッチ(ATS)スイッチ576に接続される。ATS576はまた、負荷母線580に接続される。自動切換スイッチ576は、ユーティリティ母線564又は発電設備母線572のうちの一方から負荷母線580に電力を提供するように配置又は構築することができる。負荷584は、負荷母線580に接続され、ユーティリティ560又は発電設備568によって提供される電力を消費する。電力システム556はまた、発電設備コントローラ588とスイッチコントローラ592とを含む。発電設備コントローラ588は、主に発電設備568に関連付けられ、発電設備568の動作を制御する。スイッチコントローラ592は、主にATS576に関連付けられる。
【0147】
図12に示すように、電力システム556のオブジェクトは、発電設備コントローラ588、ATSコントローラ592、又はその両方に割り当てられる。電力システム556での唯一の割り当て重複は、発電設備母線572(BG1)において起こる。重複は、発電設備コントローラ588(C1)とATSコントローラ592(C2)の両方が、発電設備母線572(BG1)の感知を行うために発生する。それゆえ、上記で説明したオブジェクトに基づく電力ルーティング制御方式は、発電設備568及び発電設備母線572のために発電設備コントローラ588に対して実施され、オブジェクトに基づく電力ルーティング制御方式は、残りのオブジェクトのためにATSコントローラ592に対して実施される。
【0148】
図13に示すように、遮断器に基づく、単一の伝送ペアの、単一の発電設備電力システム596は、ユーティリティソース母線604に接続された、系統電力を提供する(例えば、交流電流(AC)を提供する)ユーティリティ600と、発電設備母線612に交流電力を提供する発電設備608とを含む。ユーティリティソース母線604は、ユーティリティソース遮断器616に接続され、発電設備母線612は、発電設備遮断器620に接続される。遮断器は、スイッチ型オブジェクトである。ユーティリティソース遮断器616及び発電設備スイッチ620は、負荷母線624に接続され、負荷628は、負荷母線624に接続される。単一のコントローラ632(例えば、発電設備コントローラ)は、電力システム596全体を管理し、したがって、5つの全ての電力システムオブジェクトとのインターフェースをとるのに必要な全てのIOを有し、
図16の割り当てチャートに示すように、それらのオブジェクトに関係する全ての機能を所有する。
【0149】
図14に示すように、電力システム596'は、
図13の電力システム596と同様であり、プライム付き番号の構成要素と共に示されている。電力システム596'は、2つのコントローラ、すなわち、発電設備コントローラ636とユーティリティ遮断器コントローラ640とを含む。このことは、ユーティリティ遮断器616'が発電設備608'及び発電設備遮断器620'から遠く離れて位置するので、起こり得る。電力システム596'の1つの利点は、負荷母線624(LB1)の状態を確認及び測定できることである。
図16に示すように、発電設備608'、発電設備遮断器620'、負荷母線624'、発電設備母線612'、及び負荷628'は、発電設備コントローラ636に割り当てられる。ユーティリティ600'、ユーティリティ遮断器616'、負荷母線624'、ユーティリティ母線604'、及び負荷628'は、ユーティリティ遮断器コントローラ640に割り当てられる。
【0150】
図15に示すように、電力システム596''は、
図13の電力システム596と同様であり、ダブルプライム付き番号の構成要素と共に示されている。電力システム596''は、3つのコントローラ、すなわち、発電設備コントローラ644と、ユーティリティ遮断器コントローラ648と、発電設備遮断器コントローラ652とを含む。この配置は、ユーティリティ遮断器616''及び発電設備遮断器620''が発電設備608''から及び互いに遠く離れて位置するので、望ましい場合がある。
図16に示すように、発電設備608''及び発電設備母線612''は、発電設備コントローラ636に割り当てられる。ユーティリティ600''、ユーティリティ遮断器61'''、負荷母線624''、ユーティリティ母線604''、及び負荷628''は、ユーティリティ遮断器コントローラ648に割り当てられる。発電設備遮断器620''、負荷母線624''、発電設備母線612''、及び負荷628''は、発電設備遮断器コントローラ652に割り当てられる。
【0151】
図17に示すように、
図4に関して上述した電力システム190と同様の電力システム190'が示されており、プライム付きの一連の番号のオブジェクトと共に示されている。
図17はまた、通信路を図示することに加えて、各コントローラ294'、298'、302'、306'、310'、314'に対するオブジェクトの割り当てを図示している。例えば、第1の発電設備コントローラ294'は、発電設備分岐母線250'、第1の発電設備母線266'、及び第1の発電設備スイッチ214'から情報を受信し、また、第1の発電設備スイッチ214'に情報又は制御信号を提供する。図をより明確にするために、第2の発電設備コントローラ298'及び第3の発電設備コントローラ302'には通信矢印が与えられていない。
図17はまた、ユーティリティスイッチコントローラ306'と発電設備分岐スイッチコントローラ310'と負荷母線コントローラ314'との間で負荷母線ルータ機能がどのように共有されるかを示している。同様に、
図17は、負荷分担機能が、第1の発電設備コントローラ294'と第2の発電設備コントローラ298'と第3の発電設備コントローラ302'との間に分散されることを示している。
図18は、電力システム190'におけるオブジェクトの割り当てを示している。
【0152】
セクション5.3 - オブジェクト及び機能実現
上述した電力システムのコントローラにおいてオブジェクトを実現するために、異なる方法を使用することができる。本開示における電力システムオブジェクトは、電力システム制御のレベルで動作するそのオブジェクトに関係する機能性のためのコンテナである。
【0153】
オブジェクト実現の1つの方法は、各オブジェクトが含む機能の全セットと共に一定(例えば、最大)数の各タイプのオブジェクトを用いてハードコーディングされた(例えば、コンパイルされた)コントローラ用の組み込みソフトウェアアプリケーションを含む。例えば、コントローラは、最大で2つのソースオブジェクト、3つの母線オブジェクト、2つのスイッチオブジェクト、及び2つの負荷オブジェクトをサポートすることができる。いくつかの態様では、コントローラは、より多い又は少ないオブジェクトをサポートするか又はそれらに関連付けることができる。所望であれば、利用可能なオブジェクト選択肢を未使用のままにすることができる。例えば、一部の設置では、最大数の利用可能なオブジェクトが必要とされない場合がある。コントローラにおいて利用可能なオブジェクトインスタンスのどれが使用されるかは、試運転時又は構成時に設定される。
【0154】
別の方法では、コントローラは、より高度なオペレーティングシステムを有し、必要に応じてのみ実行時にオブジェクトのインスタンスを作成することができる。
【0155】
オブジェクトに基づく手法によって、セットアップツールによる有効化及び構成の改善が可能となる。電力システムに関わるコントローラは全て、どのオブジェクト/機能が必要であるか、コントローラがどのオブジェクトに対して責任を負うか(すなわち、割り当て)、オブジェクトがシステムの単線トポロジー(すなわち、経路マップ又はテーブル)内に存在する場所、(例えば、ソースの電力出力、時間制限、容量など)種々の他の設定を用いたユーザによる挙動のいくつかの更なる調整を定義するように構成された同じオブジェクト/機能ソフトウェアコードを含む。コンピュータを利用したセットアップツールは、電力システムを定義して構成するために使用することができる。セットアップツールは、考えられる全てのシステムオブジェクト及びその変形例のパレットライブラリを含むことができる。ユーザは、ライブラリからオブジェクトを選択し、オブジェクトを描画領域にドラッグし、電力システムの単線トポロジーを作成する。ユーザが、電力システムを描画して、コントローラが位置する場所を含めたら、各オブジェクトには、ユーザによって識別情報及び他の関連する設定が与えられる。次いで、セットアップツールは、システムルーティングテーブルを導出することができる。システムルーティングテーブルが生成されたら、セットアップツールは、コントローラがオン状態である電力システムネットワークに接続し、構成データをコントローラの各々に送信する。構成データがコントローラにアップロードされたら、単線トポロジー及びオブジェクトに基づく制御が開始される。
【0156】
この方式では、オブジェクト指向手法は、単線トポロジーを描画し、各オブジェクトに対して必要な全ての属性を設定し、次いでシステムに自動的に接続し、1点の接続から適切な設定を全てのコントローラにダウンロードするために、ツールで使用される。ツールは、サポートされる全ての電力システムオブジェクトのパレットライブラリを含む。
【0157】
発電設備及びマイクログリッドの典型的な制御では、発電設備スケジューリング、電力ルーティング、伝送制御、及び負荷制限は、典型的には、高度な訓練を受けた経験豊富な人員によって設計及び構成シミュレーション中にコントローラに手動でコード化され、多くの場合、マイクログリッドの適切な動作を確認するための広範な試験と、システム安定性のための順序付けとを必要とする。設計は、多くの場合、他のサイト又は実装に転用することができず、マイクログリッドシステムに対するその後の変更又は更新も、同レベルの設計及び試験を必要とする可能性があり、プログラミングや構成の難しさ、及びシステム冗長性の欠如につながる。
【0158】
ツールは、各オブジェクトに対する属性を提案し、ユーザ/設計者による属性の変更を可能にする。ツールは、システムに自動的に接続し、システムからコントローラを手動構成するシステムに移行する必要のないように、マイクログリッドへの1点の接続から適切な設定を全てのコントローラにダウンロードする。ツールは、試運転プロセスと、結果として得られる設計のシミュレーション及び/又は試験とをサポートする。
【0159】
セクション6.1 - 集中制御
上述した電力システムは、試運転の容易さ及び信頼性を向上させる洗練された制御方式を実施するためにオブジェクト間の通信及び協調をもたらす、オブジェクトに基づくフレームワークで動作する。このセクションでは、上述した電力システムのフレームワーク内で実施できる種々の制御方式について述べる。
【0160】
図19に示すように、集中制御方式656は、他のコントローラ664に何をすべきかを指示することに責任を負い、従来マスタコントローラ660と呼ばれている、1つのコントローラを含む。従来、他のコントローラ664は、スレーブコントローラと呼ばれている。マスタコントローラ660は、他のコントローラ664及びそれ自体からの必要な全ての入力を収集し、次に、そのアルゴリズム(例えば、機能)を実行し、次いで、他のコントローラ664の動作を指示する出力を生成する。電力システムの動作は、マスタコントローラ660に完全に依存している。
【0161】
図20に示すように、冗長コントローラ方式668での集中制御は、マスタコントローラ672を含み、バックアップマスタコントローラ676は、マスタコントローラ672が故障した場合の冗長性を提供するために追加される。典型的には、マスタコントローラ672とバックアップ676の両方は、同じコードを同時に実行し、互いにチェックし合うように機能する。一方は、一次マスタ672と呼ばれ、他方は、二次マスタ676と呼ばれる。一次マスタ672が故障した場合には、二次マスタ676が、即座に介入して他のコントローラ680の制御を引き継ぐ。この方法は、集中制御方式656の単一障害点の脆弱性を排除することができる。
【0162】
図19及び
図20において、マスタコントローラとスレーブコントローラとを接続する線は、マスタのみがスレーブと何らかの通信を行うことを示している。スレーブコントローラは互いに通信しない。通信は、通信リンク、又は別の通信システムを用いた、配線接続されたアーキテクチャを通じての情報及び/又は信号の伝送を含むことができる。
【0163】
セクション6.2 - 分散制御
本開示における分散制御は、電力システム全体の動作について単一のコントローラに依存しない制御方式を指す。つまり、単一のコントローラが失われることによって、電力システムの退縮運転が生じる可能性があるが、電力システムが完全に動作不能になることはない。
図21~
図25は、ロバストで冗長化された分散制御電力システムを、オブジェクトに基づく手法と共に、構築できる3つの分散制御方式を描いている。
【0164】
セクション6.3 - 流動主制御
図21に示すように、流動主制御方式684は、各々が特定のシステム機能を実施することが可能な多数のコントローラ688を含むが、その機能は、任意の所与の時点で1つの「頭脳」又は動作コントローラによってのみ実施する必要があるようなものである。つまり、事実上個々のタスク又は機能に対してのみである場合、集中制御と呼ばれ得る形式が存在する。現時点で機能を実施する役割の動作コントローラは、主コントローラ692と呼ばれる。可能であるが、現時点で有効な主コントローラ692ではない、他のコントローラ688は、参加コントローラと呼ばれる。主コントローラ692が故障した場合又はさもなければ電力システムに対する主コントローラ692の任務を果たすことができない場合はいつでも、参加コントローラの1つが、シームレスに介入して主コントローラ692の役割を引き継ぐ。この挙動は、主コントローラが、その機能を実施できる任意のコントローラ688に流動できるという点で、流動主として説明される。
【0165】
現時点で特定のシステム機能に対する参加者の役割の各コントローラ688は、システム機能をどのように処理するかについての3つの選択肢を有する。第1に、コントローラ688は、機能の実行を拒否し、コントローラ688が主コントローラ692になったときにのみ機能の実行を開始することができる。コントローラ688が主コントローラ692の役割を引き受けるときにシームレス性の必要がない場合には、実行の拒否が行われる。第2に、コントローラ688は、(現在の主コントローラ692に対して)非同期的に機能を実行し、出力が現在使用されていなくても、出力を計算することができる。非同期動作において、コントローラ688が主コントローラ692になる場合、コントローラ688は、典型的には、先の主コントローラ692と同じ出力での同じ状態にあるという実行の繰り返しの中にある。第3に、コントローラ688は、任意の引き継ぎが完全にシームレスとなるように、主コントローラ692と同期してロックステップで動作することができる。
【0166】
図22に示すように、現在の主コントローラ692は、全ての参加コントローラ688及びそれ自体からの全ての入力を収集する。次いで、主コントローラ692は、全ての参加コントローラ688及びそれ自体への送出のための出力/指令を計算する。各参加コントローラ688は、参加コントローラ688のアルゴリズム出力が使用されていないことを除いて、主コントローラ692と全く同じことを行っている場合がある。
【0167】
主コントローラ692の選択は、電力システムにおけるコントローラ間で自動的に決定することができる。いくつかの態様では、各コントローラ688は、固有のコントローラ又はオブジェクトIDを含み、最低のオブジェクトID番号を有するコントローラ688が、主コントローラ692として選択される。
【0168】
セクション6.4 - 完全分散制御
いくつかの電力システム機能は、主/参加よりもむしろ、完全分散制御モデルに適している。
図23に示すように、完全分散制御方式696では、特定のシステム機能を実施する全てのコントローラ700は、同等のものである。コントローラ700を完全に分散させる1つの特徴は、各コントローラ700が、流動主制御方式684における主コントローラの場合のように他のコントローラに対する動作も決定するのではなく、それ自体の行うべき動作を決定することである。完全分散制御方式696は、自己決定手法と呼ばれることもある。
【0169】
図24に示すように、完全分散制御方式696の情報フローの一般化された事例では、各コントローラ700が、必要な全ての入力を収集して、それ自体の指令/出力のみを計算することが提供される。
図24は、単一のコントローラ700が行っていることのみを示しているが、各コントローラ700は同時に計算している。
【0170】
セクション6.5 - 冗長制御
流動主制御方式684及び完全分散制御方式696は、多くのシナリオにおいて電力システム制御への一点コントローラの障害の影響を低減するが、単一のコントローラが失われることによって電力システムの機能に大きな影響が生じる可能性が依然としてある。
図25に示すように、冗長化流動主方式704は、各々が主コントローラ712として機能することが可能である、多数のコントローラ708を含む。加えて、冗長コントローラ716は、電力システムトポロジーにおける重要な位置に設置される。次いで、現時点でどのコントローラ708又は冗長コントローラ716が主コントローラ712として機能しているかを判別するために、流動主制御方式684と同様の方式が使用される。
【0171】
図21、
図23、及び
図25では、コントローラ間の線は、各コントローラが他の全てのコントローラと通信することを表すように意図されている。略円形表現はシステムの外観を簡略化しているが、各コントローラと他の全てのコントローラとの接続が意図されている。
【実施例】
【0172】
セクション6.6 - 実施例
次に
図17に戻ると、電力システム190'は、流動主タイプの機能として構成される負荷母線ルータ機能を含む母線オブジェクトを含む。ユーティリティスイッチコントローラ306'、負荷母線コントローラ314'、及び発電設備分岐スイッチコントローラ310'は全て、負荷母線258'を「所有」するか又は負荷母線258'を割り当てられ、それゆえ、それらのいずれかは、負荷母線258'の負荷母線ルータ機能のための主コントローラとすることができる。最低のIDを有するコントローラを主コントローラであると選択する方式を使用して、ユーティリティスイッチコントローラ306'が主コントローラであると特定される。
【0173】
いくつかの態様では、第1の発電設備コントローラ294'、第2の発電設備コントローラ298'、又は第3の発電設備コントローラ302'もまた、負荷母線ルータ機能のための主コントローラとして利用可能であるが、負荷母線ルータ機能のための主コントローラは、有利には、負荷母線258'の能力の電圧感知を行う。負荷母線258'の電圧感知を行うコントローラは、ユーティリティスイッチコントローラ306'、負荷母線コントローラ314'、及び発電設備分岐スイッチコントローラ310'のみである。これらのコントローラの各々が故障した場合、他のコントローラは、負荷母線ルータ機能を実行する目的を果たすことができない。したがって、実際には、全てのコントローラが同等であるわけではなく、主制御を必要とする機能は、(機能に応じて)電力システムにおける全てのコントローラの様々なサブセットから引き出され得る。
【0174】
また
図17には、全てのソースオブジェクトに存在し且つ完全に分散された態様で機能する負荷分担機能が示されている。第1の発電設備コントローラ294'、第2の発電設備コントローラ298'、又は第3の発電設備コントローラ302'の各々は、ソースオブジェクトを所有する。これらの3つのコントローラ294'、298'、302'の各々は、他のコントローラ及びそれ自体からのデータを消費することによって負荷分担機能のインスタンスを実行し、次いで、それ自体での使用のために結果を計算する。
【0175】
分散制御方式のより具体的な例では、負荷分担機能の目的は、各ソースに負荷を均等に分担させることである。各ソースにおけるコントローラは、その現在の負荷値データを公開する。第1の発電設備コントローラ294'は、第1の発電設備198'と第2の発電設備202'と第3の発電設備206'に対する全ての負荷を合計して、平均負荷を計算する。次いで、第1の発電設備コントローラ294'は、その現在の負荷値を平均負荷と比較する。その現在の負荷が平均負荷よりも小さい場合には、負荷が十分に担われていない。次いで、第1の発電設備コントローラ294'は、第1の発電設備198'の電力出力を増加させるように機能する。第2の発電設備コントローラ298'は、これと同じことを行い、それ自体の必要な補正を決定しており、第3の発電設備コントローラ302'もこれを行っている。したがって、各コントローラは、他のコントローラが行う必要のある動作ではなく、単にそれ自体の動作を決定しているにすぎない。
【0176】
完全分散又は流動主アルゴリズムは、単一のコントローラ内に多数のインスタンスを有することが可能である。上記の完全分散の例を参照すると、単一のコントローラは、2つのソースオブジェクトを所有し得るので、負荷分担機能の2つの別個のインスタンスを有する。このことは、機能の各インスタンスが、1つのコントローラ内で行われるとしても、完全分散方法で動作することを依然として意味する。そのコントローラが失われることによって、両方のソースが失われる。
【0177】
コントローラ内に2つのインスタンスを有する流動主機能の場合、その1つのコントローラ内で流動主として機能することが可能な2つの参加者が存在する。そのコントローラが故障した場合、その機能のプールに参加する参加者が2つ少なくなる。
【0178】
本明細書で使用される場合、「ほぼ」、「約」、「実質的に」という用語、及び同様の用語は、本開示の主題が関連する当業者による一般的且つ認められた使用法と調和した広範な意味を有するように意図されている。これらの用語は、これらの特徴の範囲を提供される正確な数値範囲に制限することなく、説明及び特許請求される特定の特徴の説明を可能にするように意図されていることが、本開示を検討する当業者によって理解されるべきである。よって、これらの用語は、説明及び特許請求される主題の実体的でない若しくは重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載される開示の範囲内にあるとみなされることを示すものと解釈されるべきである。
【0179】
種々の態様を説明するために本明細書で使用される場合、「例示的」という用語及びその変化形は、かかる態様が可能な態様の可能な例、表現、又は例示であることを示すように意図されたものである(また、かかる用語は、かかる態様が必ずしも特別又は最良の例であることを含意するように意図されたものではない)ことに留意すべきである。
【0180】
本明細書で使用される場合、「結合される」という用語及びその変化形は、2つの部材が互いに直接的又は間接的に接合されることを意味する。そのような接合は、静止状態(例えば、永久的若しくは固定式)又は可動式(例えば、取り外し可能若しくは解放可能)であり得る。かかる接合は、互いに直接結合された2つの部材によって、1つ又は複数の別個の中間部材を使用して互いに結合された2つの部材によって、又は2つの部材の一方と単一の単体として一体に形成された中間部材を使用して互いに結合された2つの部材によって達成され得る。「結合される」又はその変化形が、追加の用語(例えば、直接結合される)によって修正される場合、上記で提供された「結合される」の一般的な定義は、追加の用語の平易な言葉の意味によって修正され(例えば、「直接結合される」とは、別個の中間部材の全くない2つの部材の接合を意味する)、上記で提供される「結合される」の一般的な定義よりも狭い定義をもたらす。そのような結合は、機械的、電気的、又は流体的であり得る。例えば、回路Bに通信可能に「結合された」回路Aは、回路Aが回路Bと直接通信する(すなわち、仲介手段なし)又は回路Bと間接的に通信する(例えば、1つ又は複数の仲介手段を介して)ことを意味し得る。
【0181】
要素の位置(例えば、「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」など)に対する本明細書における言及は、単に、図中における種々要素の向きを説明するために使用されている。種々の要素の向きは、他の例示的な態様に応じて異なることがあり、そのような変形は、本開示に包含されることが意図されていることに留意すべきである。
【0182】
図及び説明は、方法ステップの具体的な順序を示し得るが、かかるステップの順序は、上記で別段の定めがない限り、描かれ説明されているものと異なる場合がある。また、上記で別段の定めがない限り、2つ以上のステップは、同時又は一部同時に実施され得る。そのような変形形態は、例えば、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムに、並びに設計者の選択に依存し得る。かかる全ての変形形態は、本開示の範囲内にある。同様に、説明した方法のソフトウェア実装は、種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを実現するために、ルールに基づく論理及び他の論理を用いた標準的なプログラミング技法を用いて実現することができる。
【0183】
種々の例示的な態様に示す電力システム、オブジェクト、及び制御方式の構成及び配置は、単なる例示的なものにすぎないことに留意することが重要である。追加的に、一態様に開示する任意の要素は、本明細書に開示する他の任意の態様と組み合わされるか又はその態様と共に利用され得る。更に、上記で説明した1つのセクション(例えば、セクション1.4-負荷オブジェクト)からの要素は、別のセクション(例えば、セクション4-信号の流れ)で説明した他の要素と組み合わされるか又はそれらと共に利用され得る。例えば、
図3に関して説明した例示的な態様のオブジェクトパラメータ及び機能(例えば、セクション1-オブジェクト)は、
図4、
図7、
図9、
図10、
図11、
図13~
図15、及び
図17に関して説明した例示的な態様の電力システム及びオブジェクト(例えば、セクション5.2-コントローラの割り当て)に組み込まれ得る。別の態様に組み入れるか又はその態様で利用することができる、一態様の要素の一例のみを上記で説明してきたが、種々の態様の他の要素は、本明細書に開示する他の態様のいずれかと組み合わされるか又はそれらと共に利用され得ることを理解すべきである。
【国際調査報告】