(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】農薬としてのピリド[2,3-E]オキサジン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 498/04 20060101AFI20230324BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230324BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
C07D498/04 111
A01P3/00
A01N43/90 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545881
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2021051814
(87)【国際公開番号】W WO2021151919
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029855
【氏名又は名称】グローバケム・エヌフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア・エリザベス・ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ネイル・バーギン
【テーマコード(参考)】
4C072
4H011
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072DD10
4C072EE06
4C072FF07
4C072GG07
4C072HH02
4C072HH07
4C072JJ02
4C072JJ03
4C072UU02
4H011AA01
4H011BB10
(57)【要約】
本発明は、真菌病、特に農作物植物の真菌病を処置するのに有用であるピコリン酸誘導体に関する。
[化1]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又はその農学的に許容される塩若しくはN-オキシド:
【化1】
[式中、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、炭素及び窒素から選択され;
Y
1は、独立して、O及びSから選択され;
=Y
2は、独立して、=O及び=Sから選択され;
Z
1は、独立して、存在しないか、又はC(O)O、OC(O)、O、S、S(O)、S(O)
2、C(O)NR
5、NR
5C(O)、S(O)
2NR
5、NR
5S(O)
2、S(O)NR
5、NR
5S(O)、CR
6R
7、C(O)、C(S)、C=NOR
8、C
1~C
3-アルキレン及びNR
5から選択され;
R
1及びR
12は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-ハロアルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR
9、SR
10、OS(O)
2R
10、S(O)
2R
10、C(O)OR
10、C(O)NR
10R
10、C(O)R
10、S(O)
2NR
10R
10、S(O)(NR
10)R
10、S(O)R
10、シアノ、C
2~C
6-アルケニル、C
2~C
6-アルキニル、及びNR
10R
11から選択され;
R
2は、各出現において独立して、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-ハロアルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR
9、SR
10、OS(O)
2R
10、S(O)
2R
10、C(O)OR
10、C(O)NR
10R
10、C(O)R
10、S(O)
2NR
10R
10、S(O)(NR
10)R
10、S(O)R
10、シアノ、C
2~C
6-アルケニル、C
2~C
6-アルキニル、NR
10R
11、及び1~5つのR
12基で場合により置換されていてもよいフェニルから選択され;
R
3は、各出現において独立して、C
3~C
8-アルキル及びC
0~C
3-アルキレン-R
3aから選択され;ここで、R
3aは、各出現において独立して、フェニル、5又は6員ヘテロアリール、5、6、7又は8員ヘテロシクロアルキル及びC
3~C
8-シクロアルキルから選択され;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、単環式又は二環式であり;前記ヘテロアリール若しくはフェニル基は、1~5つのR
12基で場合により置換されていてもよく、又は前記ヘテロシクロアルキル若しくはシクロアルキル基は、1~4つのR
13基で場合により置換されていてよく;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、フェニル又は5若しくは6員ヘテロアリールに場合により縮合していてよく、前記ヘテロアリール又はフェニル基は、1~4つのR
12基で場合により置換されていてよく;
R
4は、各出現において独立して、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル及びC
1~C
6-ハロアルキルから選択され;
R
5及びR
10は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
6-アルキル及びベンジルから選択され;
又は2つのR
10基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R
10基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R
6は、各出現において独立して、H、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
6-アルキル、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R
7は、各出現において独立して、H、ハロ及びOR
8から選択され;
R
8は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
6-アルキル及びC
1~C
3-アルキレン-R
8aから選択され;ここで、R
8aは、各出現において独立して、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R
9は、各出現において独立して、H、C
1~C
6-アルキル、C
0~C
3-アルキレン-C
3~C
6-シクロアルキル、C(O)-C
1~C
6-アルキル及びC
1~C
6-ハロアルキルから選択され;
R
11は、各出現において独立して、H、C
1~C
6-アルキル、C(O)-C
1~C
6-アルキル及びS(O)
2-C
1~C
6-アルキルから選択され;
又はR
10基及びR
11基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R
10及びR
11基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R
13は、各出現において独立して、=O、=S、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-ハロアルキル、C
3~C
6-シクロアルキル;ハロゲン、ニトロ、OR
9、SR
10、OS(O)
2R
10、S(O)
2R
10、S(O)
2NR
10R
10、S(O)(NR
10)R
10、S(O)R
10、シアノ、C
2~C
6-アルケニル、C
2~C
6-アルキニル、及びNR
10R
11から選択され;
yは、独立して、0、1及び2から選択される整数であり;
mは、独立して、0、1、2及び3から選択される整数であり;
ここで、任意の前述のアルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル(2つのR
10基、又はR
10基及びR
11基が、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成する場合を含む)、アルキニル、C(O)-アルキル、S(O)
2-アルキル及びベンジルは、化学的に可能な場合、=O;=NR
a、=NOR
a、C
1~C
4-アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、C
1~C
4-ハロアルキル、C
2~C
4-アルケニル、C
2~C
4-アルキニル、NR
aR
b、S(O)
2R
a、S(O)R
a、S(O)(NR
a)R
a、S(O)
2NR
aR
a、CO
2R
a、C(O)R
a、CONR
aR
a、OR
a及びSR
aからなる群から各出現においてそれぞれ独立して選択される1~4つの置換基により場合により置換されていてよく;
ここで、R
aは、独立して、H及びC
1~C
4-アルキルから選択され;R
bは、独立して、H、C
1~C
4-アルキル、C(O)-C
1~C
4-アルキル、S(O)
2-C
1~C
4-アルキルである]。
【請求項2】
R
4が、独立して、C
1~C
6-アルキル及びC
3~C
6-シクロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
yが0である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Y
1がOである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
=Y
2が=Sである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
X
1が炭素である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
X
2が炭素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
X
2が窒素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
Z
1が、各出現において独立して、O、S、C
1-アルキレン及びNR
5から選択され、ここで、R
5がC
1~C
3-アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Z
1がOである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R
3がR
3aである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
3aが、場合により置換されていてもよいフェニルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
3がC
3~C
8-アルキルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
mが0である、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
式(I)の化合物が、
【化2A】
【化2B】
【化2C】
【化2D】
【化2E】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
真菌病を防除するための方法であって、農学的に有効且つ実質的に非植物毒性な量の請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物を、植物の種子に、植物自体に、又は植物が成長することが意図される領域に施用することを含む、方法。
【請求項17】
植物の真菌病を防除するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
有効且つ非植物毒性な量の請求項1から15のいずれか一項に記載の活性化合物を含む、殺真菌組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌病を処置するのに有用であるピコリン酸誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な食糧需要の増加に鑑みて、病害、昆虫及び雑草による食用作物の損失を減らすための新しい処置が国際的に必要とされている。世界的に、作物の40%超が収穫前に失われ、10%が収穫後に失われている。損失は実際に1990年代半ば以降、増加している。
【0003】
これに寄与する新たな脅威は、化学耐性生物、例えば、米国におけるグリホサート耐性雑草、及びセプトリア真菌種のストロビルリン耐性株の出現である。
【0004】
最近の研究はまた、おそらく地球温暖化の結果として、多くの作物疫病及び病害の地理的拡散が増加していることも示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】E. L. Eliel及びS. H. Wilenによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、1994)
【非特許文献2】「Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Transformations」、RC Larock、Wiley-VCH(1999年版以降)
【非特許文献3】「March's Advanced Organic Chemistry -Reactions, Mechanisms and Structure」、MB Smith、J. March、Wiley、(第5版以降)
【非特許文献4】「Advanced Organic Chemistry, Part B, Reactions and Synthesis」、FA Carey、RJ Sundberg、Kluwer Academic/Plenum Publications、(2001年版以降)
【非特許文献5】「Organic Synthesis - The Disconnection Approach」、S Warren(Wiley)、(1982年版以降)
【非特許文献6】「Designing Organic Syntheses」S Warren(Wley)(1983年版以降)
【非特許文献7】「Heterocyclic Chemistry」、J. Joule(Wley 2010年版以降)
【非特許文献8】「Guidebook To Organic Synthesis」RK Mackie及びDM Smith(Longman)(1982年版以降)
【非特許文献9】Warren「Organic Synthesis: The Disconnection Approach」
【非特許文献10】Mackie及びSmith「Guidebook to Organic Chemistry」
【非特許文献11】Clayden、Greeves、Warren及びWothers「Organic Chemistry」
【非特許文献12】TW Greene及びPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons Inc.(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のある特定の実施形態の目的は、非選択的に活性を有する、すなわち広域スペクトル活性を有するか、又は選択的標的生物に対して特異的に活性である農薬(例えば殺真菌剤)を提供することである。
【0008】
本発明のある特定の実施形態の目的は、先行技術の化合物よりも、使用後の環境における残留性が低い化合物を提供することである。代替的に又は追加的に、本発明の化合物は、いったん食物連鎖に入っても、先行技術の化合物よりも生体蓄積されにくい場合がある。
【0009】
本発明のある特定の実施形態の別の目的は、先行技術の化合物よりもヒトに対する害が少ない化合物を提供することである。代替的に又は追加的に、本発明の化合物は、以下の群のうちの1つ又は複数に対して、先行技術の化合物よりも害が少ない場合がある:両生類、魚類、哺乳動物(イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ等の飼育動物を含む)、爬虫類、鳥類、並びに有益な無脊椎動物(例えば、ミツバチ及び他の昆虫、又は蠕虫)、有益な線虫、有益な真菌及び窒素固定細菌。
【0010】
本発明の化合物は、先行技術の化合物と同程度に活性であり得るか、又は先行技術の化合物よりも活性であり得る。それらは、先行技術の化合物に対する耐性を生じた生物に対して活性を有し得る。しかし、本発明はまた、先行技術の化合物の活性と比較して低い又は同等レベルの活性を有する化合物にも関し得る。これらの低活性化合物は依然として殺真菌剤として有効であるが、例えば、環境影響の低減等、既存の化合物と比較して他の利点を有し得る。
【0011】
本発明の化合物は、先行技術の化合物よりも選択的であり得、すなわち、それらは、標的種に対して先行技術の化合物よりも良好、同等又はわずかに低い活性を有し得るが、非標的種(例えば、保護されている作物)に対して有意により低い活性を有し得る。
【0012】
本発明のある特定の実施形態は、上記目的の1つ又は複数を達成する化合物を提供する。化合物は、それ自体で活性であってもよく、又は水性媒体中で代謝若しくは反応して活性化合物を生じさせてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様において、式Iの化合物、又はその農学的に許容される塩若しくはN-オキシド:
【0014】
【0015】
[式中、
X1及びX2は、それぞれ独立して、炭素及び窒素から選択され;
Y1は、独立して、O及びSから選択され;
=Y2は、独立して、=O及び=Sから選択され;
Z1は、独立して、存在しないか、又はC(O)O、OC(O)、O、S、S(O)、S(O)2、C(O)NR5、NR5C(O)、S(O)2NR5、NR5S(O)2、S(O)NR5、NR5S(O)、CR6R7、C(O)、C(S)、C=NOR8、C1~C3-アルキレン及びNR5から選択され;
R1及びR12は、各出現においてそれぞれ独立して、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、C(O)OR10、C(O)NR10R10、C(O)R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択され;
R2は、各出現において独立して、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、C(O)OR10、C(O)NR10R10、C(O)R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、NR10R11、及び1~5つのR12基で場合により置換されていてもよいフェニルから選択され;
R3は、各出現において独立して、C3~C8-アルキル及びC0~C3-アルキレン-R3aから選択され;ここで、R3aは、各出現において独立して、フェニル、5又は6員ヘテロアリール、5、6、7又は8員ヘテロシクロアルキル及びC3~C8-シクロアルキルから選択され;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、単環式又は二環式であり;前記ヘテロアリール若しくはフェニル基は、1~5つのR12基で場合により置換されていてもよく、又は前記ヘテロシクロアルキル若しくはシクロアルキル基は、1~4つのR13基で場合により置換されていてもよく;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、フェニル又は5若しくは6員ヘテロアリールに場合により縮合していてもよく、前記ヘテロアリール又はフェニル基は、1~4つのR12基で場合により置換されていてもよく;
R4は、各出現において独立して、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択され;
R5及びR10は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル及びベンジルから選択され;
又は2つのR10基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R10基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R6は、各出現において独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R7は、各出現において独立して、H、ハロ及びOR8から選択され;
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル及びC1~C3-アルキレン-R8aから選択され;ここで、R8aは、各出現において独立して、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R9は、各出現において独立して、H、C1~C6-アルキル、C0~C3-アルキレン-C3~C6-シクロアルキル、C(O)-C1~C6-アルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択され;
R11は、各出現において独立して、H、C1~C6-アルキル、C(O)-C1~C6-アルキル及びS(O)2-C1~C6-アルキルから選択され;
又はR10基及びR11基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R10及びR11基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R13は、各出現において独立して、=O、=S、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル;ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択され;
yは、独立して、0、1及び2から選択される整数であり;
mは、独立して、0、1、2及び3から選択される整数であり;
ここで、任意の前述のアルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル(2つのR10基、又はR10基及びR11基が、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成する場合を含む)、アルキニル、C(O)-アルキル、S(O)2-アルキル及びベンジルは、化学的に可能な場合、=O;=NRa、=NORa、C1~C4-アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、C1~C4-ハロアルキル、C2~C4-アルケニル、C2~C4-アルキニル、NRaRb、S(O)2Ra、S(O)Ra、S(O)(NRa)Ra、S(O)2NRaRa、CO2Ra、C(O)Ra、CONRaRa、ORa及びSRaからなる群から各出現においてそれぞれ独立して選択される1~4つの置換基により場合により置換されていてもよく;
ここで、Raは、独立して、H及びC1~C4-アルキルから選択され;Rbは、独立して、H、C1~C4-アルキル、C(O)-C1~C4-アルキル、S(O)2-C1~C4-アルキルである]
が提供される。
【0016】
ある特定の実施形態において、式Iの化合物は、式IIの化合物:
【0017】
【0018】
[式中、Y1、Y2、R1、R2、R3、R4、m及びyは、式Iについて上記した通りである]
である。
【0019】
ある特定の実施形態において、式Iの化合物は、式IIIの化合物:
【0020】
【0021】
[式中、R2、R3、R4及びmは、式Iについて上記した通りである]
である。
【0022】
ある特定の実施形態において、式Iの化合物は、式IVの化合物:
【0023】
【0024】
[式中、Z1、R2、R3、R4及びmは、式Iについて上記した通りである]
である。
【0025】
ある特定の実施形態において、式Iの化合物は、式Vの化合物:
【0026】
【0027】
[式中、Z1、R2、R4、R12、及びmは、式Iについて上記した通りであり;xは、0、1、2、3、4及び5から選択される整数である]
である。
【0028】
ある特定の実施形態において、式Iの化合物は、式VIの化合物:
【0029】
【0030】
[式中、R2、R4、R12、及びmは、式Iについて上記した通りであり;xは、0、1、2、3、4及び5から選択される整数である]
である。
【0031】
以下の実施形態は、式(I)~(VI)のいずれの化合物にも適用される。これらの実施形態は独立しており、交換可能である。任意の一実施形態は、化学的に許容される場合、任意の他の実施形態と組み合わせることができる。言い換えると、以下の実施形態に記載される特徴のいずれかを、(化学的に許容される場合)1つ又は複数の他の実施形態に記載される特徴と組み合わせることができる。特に、化合物が本明細書において例示又は説明される場合、以下に列挙され、任意のレベルの一般性で表され、その化合物を包含する実施形態のうちの任意の2つ以上を組み合わせて、本開示の一部を形成する更なる実施形態を提供することができる。
【0032】
R1は、各出現において独立して、C1~C4-アルキル、ハロ及びOR9から選択されてもよい。
【0033】
R4は、独立して、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択されてもよい。R4は、独立して、C1~C6-アルキル及びC3~C6-シクロアルキルから選択されてもよい。R4は、メチル又はエチルであってもよい。R4は、メチルであってもよい。
【0034】
yは、0であってもよい。
【0035】
Y1は、Sであってもよい。Y1は、Oであってもよい。
【0036】
=Y2は、Sであってもよい。=Y2は、Oであってもよい。
【0037】
X1及びX2はそれぞれ、炭素であってもよい。X1及びX2の少なくとも1つは、窒素であってもよい。X1及びX2の1つは、窒素であってもよい。X2は、窒素であってもよい。X2が窒素であり、X1が炭素であってもよい。X1が炭素であり、X2が独立して炭素及び窒素から選択されてもよい。
【0038】
mは、0であってもよい。mは、1であってもよい。
【0039】
R1、R2及びR12は、各出現においてそれぞれ独立して、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、C(O)OR10、C(O)NR10R10、C(O)R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択されてもよい。R2は、各出現において独立して、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、C(O)OR10、C(O)NR10R10、C(O)R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択されてもよい。
【0040】
R2は、各出現において独立して、シアノ、ニトロ、C1~C4-アルキル、ハロ、O-R9、及び1~5つのR12基で場合により置換されていてもよいフェニルから選択されてもよい。R2は、各出現において独立して、シアノ、ニトロ、C1~C4-アルキル、ハロ及びO-R9から選択されてもよい。
【0041】
R2は、各出現において独立して、1~5つのR12基で場合により置換されていてもよいフェニルであってもよい。
【0042】
R2は、1つのR12で置換されているフェニルであってもよい。R2は、R12で置換されているフェニルであってもよく、ここで、R12はハロゲンである。
【0043】
R2は、非置換フェニルであってもよい。
【0044】
Z1は、存在しなくてもよく、又は独立して、C(O)O、OC(O)、O、S、S(O)、S(O)2、C1~C3-アルキレン及びN(C1~C4-アルキル)から選択されてもよい。Z1は、存在しなくてもよく、又は独立して、C(O)O、OC(O)、O、S、C1~C3-アルキレン及びN(C1~C4-アルキル)から選択されてもよい。Z1は、独立して、C1~C3-アルキレン、S、N(C1~C4-アルキル)及びOから選択されてもよい。Z1は、独立して、C1-アルキレン、S、N(C1~C4-アルキル)及びOから選択されてもよい。Z1は、独立して、S、N(C1~C4-アルキル)及びOから選択されてもよい。Z1は、独立して、C1-アルキレン、S、及びOから選択されてもよい。Z1は、存在しなくてもよく、又は独立して、C1~C3-アルキレン及びOから選択されてもよい。Z1は、存在しなくてもよく、又はOであってもよい。Z1は、Oであってもよい。Z1は、S及びOから選択される基であってもよい。Z1は、存在しなくてもよい。Z1は、C(O)Oであってもよい。Z1は、Sであってもよい。Z1は、C1~C3-アルキレンであってもよい。Z1は、C1-アルキレンであってもよい。Z1は、N(C1~C4-アルキル)、例えばN-Meであってもよい。Z1であってもよい例示的なC1-アルキレン基としては、CH2、CH(OH)、C(NHORa)及びC(O)が挙げられる。
【0045】
R3は、CH2R3aであってもよい。代替的に、R3は、R3aであってもよい。
【0046】
R3aは、場合により置換されていてもよいフェニル、例えば非置換フェニルであってもよい。R3は、場合により置換されていてもよいフェニル、例えば非置換フェニルであってもよい。
【0047】
R3は、構造:
【0048】
【0049】
[式中、xは、0、1、2、3、4及び5から選択される整数である]
を有していてもよい。
【0050】
Z1-R3は、構造:
【0051】
【0052】
[式中、xは、0、1、2、3、4及び5から選択される整数である]
を有していてもよい。
【0053】
xは、少なくとも1であってもよい。xは、0であってもよい。xは、1であってもよい。xは、2又は3であってもよい。
【0054】
R12は、各出現において独立して、シアノ、ニトロ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、ハロ及びS-R10、O-R9から選択されてもよい。R12は、各出現において独立して、シアノ、ニトロ、C1~C4-アルキル、ハロ及びS-R10、O-R9から選択されてもよい。R12は、各出現において独立して、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びハロから選択されてもよい。R12は、1回の出現において、Z1に対してパラ位に位置していてもよい。R12は、ハロ、例えばクロロであってもよい。R12は、1回の出現において、Z1に対してオルト位に位置していてもよい。R12は、1回の出現において、Z1に対してメタ位に位置していてもよい。
【0055】
R9は、各出現において独立して、H、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C(O)-C1~C6-アルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択されてもよい。R9は、各出現において独立して、C1~C6-アルキル及びC0~C3-アルキレン-C3~C6-シクロアルキルから選択されてもよい。R3は、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、例えば、場合により置換されていてもよい6員ヘテロアリールであってもよい。R3は、場合により置換されていてもよいピリジンであってもよい。R3は、独立して、場合により置換されていてもよいフェニル及び場合により置換されていてもよいピリジンから選択されてもよい。
【0056】
R3は、場合により置換されていてもよい5、6、7、又は8員ヘテロシクロアルキルであってもよい。R3は、場合により置換されていてもよい6員ヘテロシクロアルキル、例えばピペリジン又はピペラジンであってもよい。
【0057】
R3は、C3~C8-アルキル及びC0~C3-アルキレン-R3aから選択されてもよく、ここで、R3aは、C3~C8-シクロアルキルである。R3は、C3~C8-アルキルであってもよい。R3は、C3~C6-アルキルであってもよい。R3は、C5~C8-アルキルであってもよい。R3は、C4-アルキルであってもよい。R3は、ブチル、イソブチル、secブチル及びtertブチルから選択されてもよい。R3は、イソブチル及びsecブチルから選択されてもよい。R3は、イソブチルであってもよい。R3は、C0~C3-アルキレン-R3aであってもよく、ここで、R3aは、C3~C8-シクロアルキルである。R3は、C1~C3-アルキレン-R3aであってもよく、ここで、R3aは、C3~C8-シクロアルキルである。R3は、CH2-R3aであってもよく、ここで、R3aは、C3~C8-シクロアルキルである。R3は、C3~C8-シクロアルキルであってもよい。前記R3基は、非置換であってもよい。前記R3基は、F及びC1~C2-アルキルから選択される1~4つの基で置換されていてもよい。
【0058】
R3は、
【0059】
【0060】
から選択される構造を有していてもよい。
【0061】
式(I)の化合物は、
【0062】
【化10A】
【化10B】
【化10C】
【化10D】
【化10E】
【0063】
から選択され得る。
【0064】
本発明は、以下の番号付けされた条項により更に規定される:
1. 式Iの化合物、又はその農学的に許容される塩若しくはN-オキシド:
【0065】
【0066】
[式中、
X1及びX2は、それぞれ独立して、炭素及び窒素から選択され;
Y1は、独立して、O及びSから選択され;
=Y2は、独立して、=O及び=Sから選択され;
Z1は、独立して、存在しないか、又はC(O)O、OC(O)、O、S、S(O)、S(O)2、C(O)NR5、NR5C(O)、S(O)2NR5、NR5S(O)2、S(O)NR5、NR5S(O)、CR6R7、C(O)、C(S)、C=NOR8、C1~C3-アルキレン及びNR5から選択され;
R1、R2及びR12は、各出現においてそれぞれ独立して、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル、ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、C(O)OR10、C(O)NR10R10、C(O)R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択され;
R3は、各出現において独立して、C3~C8-アルキル及びC0~C3-アルキレン-R3aから選択され;ここで、R3aは、各出現において独立して、フェニル、5又は6員ヘテロアリール、5、6、7又は8員ヘテロシクロアルキル及びC3~C8-シクロアルキルから選択され;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、単環式又は二環式であり;前記ヘテロアリール若しくはフェニル基は、1~5つのR12基で場合により置換されていてもよく、又は前記ヘテロシクロアルキル若しくはシクロアルキル基は、1~4つのR13基で場合により置換されていてもよく;前記ヘテロシクロアルキル又はシクロアルキル基は、フェニル又は5若しくは6員ヘテロアリールに場合により縮合していてもよく、前記ヘテロアリール又はフェニル基は、1~4つのR12基で場合により置換されていてもよく;
R4は、各出現において独立して、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択され;
R5及びR10は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル及びベンジルから選択され;
又は2つのR10基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R10基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R6は、各出現において独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R7は、各出現において独立して、H、ハロ及びOR8から選択され;
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、H、C3~C6-シクロアルキル、C1~C6-アルキル及びC1~C3-アルキレン-R8aから選択され;ここで、R8aは、各出現において独立して、フェニル及び5又は6員ヘテロアリールから選択され;
R9は、各出現において独立して、H、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C(O)-C1~C6-アルキル及びC1~C6-ハロアルキルから選択され;
R11は、各出現において独立して、H、C1~C6-アルキル、C(O)-C1~C6-アルキル及びS(O)2-C1~C6-アルキルから選択され;
又はR10基及びR11基が同じ窒素原子に結合している場合、前記R10及びR11基は、前記窒素原子と一緒になって、4、5、6若しくは7員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
R13は、各出現において独立して、=O、=S、C1~C6-アルキル、C1~C6-ハロアルキル、C3~C6-シクロアルキル;ハロゲン、ニトロ、OR9、SR10、OS(O)2R10、S(O)2R10、S(O)2NR10R10、S(O)(NR10)R10、S(O)R10、シアノ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びNR10R11から選択され;
yは、独立して、0、1及び2から選択される整数であり;mは、独立して、0、1、2及び3から選択される整数であり;
ここで、任意の前述のアルキル、アルキレン、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル(2つのR10基、又はR10基及びR11基が、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成する場合を含む)、アルキニル、C(O)-アルキル、S(O)2-アルキル及びベンジルは、化学的に可能な場合、=O;=NRa、=NORa、C1~C4-アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、C1~C4-ハロアルキル、C2~C4-アルケニル、C2~C4-アルキニル、NRaRb、S(O)2Ra、S(O)Ra、S(O)(NRa)Ra、S(O)2NRaRa、CO2Ra、C(O)Ra、CONRaRa、ORa及びSRaからなる群から各出現においてそれぞれ独立して選択される1~4つの置換基により場合により置換されていてもよく;
ここで、Raは、独立して、H及びC1~C4-アルキルから選択され;Rbは、独立して、H、C1~C4-アルキル、C(O)-C1~C4-アルキル、S(O)2-C1~C4-アルキルである]。
2. R4が、独立して、C1~C6-アルキル及びC3~C6-シクロアルキルから選択される、条項1に記載の化合物。
3. yが0である、条項1又は2に記載の化合物。
4. Y1がOである、条項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
5. =Y2が=Sである、条項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
6. X1が炭素である、条項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
7. X2が炭素である、条項6に記載の化合物。
8. X2が窒素である、条項6に記載の化合物。
9. Z1が、各出現において独立して、O、S、C1-アルキレン及びNR5から選択され、ここで、R5がC1~C3-アルキルである、条項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
10. Z1がOである、条項9に記載の化合物。
11. R3がR3aである、条項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
12. R3aが、場合により置換されていてもよいフェニルである、条項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
13. R3がC3~C8-アルキルである、条項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
14. mが0である、条項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
15. 式(I)の化合物が、
【0067】
【化12A】
【化12B】
【化12C】
【化12D】
【化12E】
【0068】
から選択される、条項1に記載の化合物。
16. 真菌病を防除するための方法であって、農学的に有効且つ実質的に非植物毒性な量の条項1から15のいずれか一項に記載の化合物を、植物の種子に、植物自体に、又は植物が成長することが意図される領域に施用することを含む、方法。
17. 植物の真菌病を防除するための、条項1から15のいずれか一項に記載の化合物の使用。
18. 有効且つ非植物毒性な量の条項1から15のいずれか一項に記載の活性化合物を含む、殺真菌組成物。
【発明を実施するための形態】
【0069】
Cm~Cnという用語は、m~n個の炭素原子を有する基を指す。
【0070】
「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状の飽和一価炭化水素鎖を指す。例えば、C1~C6-アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルを指し得る。アルキル基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各アルキル基に対する具体的な置換基は、独立して、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0071】
「アルキレン」という用語は、直鎖状の飽和二価炭化水素鎖を指す。アルキレン基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各アルキレン基に対する具体的な置換基は、独立して、C1~C4-アルキル、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0072】
「ハロアルキル」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から各出現において独立して選択される少なくとも1個のハロゲン原子で置換された炭化水素基を指す。ハロゲン原子は、炭化水素鎖上の任意の位置に存在し得る。例えば、C1~C6-ハロアルキルは、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル、例えば1-クロロエチル及び2-クロロエチル、トリクロロエチル、例えば1,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、フルオロエチル、例えば1-フルオロエチル及び2-フルオロエチル、トリフルオロエチル、例えば1,2,2-トリフルオロエチル及び2,2,2-トリフルオロエチル、クロロプロピル、トリクロロプロピル、フルオロプロピル、トリフルオロプロピルを指し得る。ハロアルキル基は、フルオロアルキル基、すなわち、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭化水素鎖であってもよい。したがって、ハロアルキル基は、任意の量のハロゲン置換基を有し得る。この基は単一のハロゲン置換基を含有していてもよく、これは2つ若しくは3つのハロゲン置換基を有していてもよく、又はこれはハロゲン置換基で飽和していてもよい。
【0073】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含有する、分岐状又は直鎖状の炭化水素基を指す。二重結合は、E又はZ異性体として存在し得る。二重結合は、炭化水素鎖の任意の可能な位置にあり得る。例えば、「C2~C6-アルケニル」は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル及びヘキサジエニルを指し得る。アルケニル基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各アルケニル基における任意の飽和炭素原子に対する具体的な置換基は、独立して、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0074】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含有する、分岐状又は直鎖状の炭化水素鎖を指す。三重結合は、炭化水素鎖の任意の可能な位置にあり得る。例えば、「C2~C6-アルキニル」は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル及びヘキシニルを指し得る。アルキニル基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各アルキニル基における任意の飽和炭素原子に対する具体的な置換基は、独立して、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0075】
「シクロアルキル」という用語は、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子を含有する飽和炭化水素環系を指す。例えば、「C3~C6-シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを指し得る。シクロアルキル基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各シクロアルキル基に対する具体的な置換基は、独立して、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0076】
ヘテロシクロアルキルという用語は、環系中に示された数の原子を有し、環系中にO、S及びNから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む(言い換えると、環系を形成する原子のうちの1個又は2個が、O、S及びNから選択される)、単環式又は二環式の飽和又は部分飽和基を指し得る。部分的に飽和しているとは、環が1つ又は2つの二重結合を含み得ることを意味する。これは特に、5~6員の単環式環に当てはまる。二重結合は、典型的には2個の炭素原子の間にあるが、炭素原子と窒素原子との間にあってもよい。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、アゼピンが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、非置換であってもよく、又は1つ又は複数の置換基により置換されていてもよい。各ヘテロシクロアルキル基における任意の飽和炭素原子に対する具体的な置換基は、独立して、フッ素、ORa又はNHRaであり得る。
【0077】
アリール基は、任意の芳香族炭素環式環系(すなわち、2(2n+1)個のπ電子を含有する環系)であり得る。アリール基は、環系中に6~12個の炭素原子を有し得る。アリール基は、典型的にはフェニル基である。アリール基は、ナフチル基又はビフェニル基であってもよい。
【0078】
上記の態様及び実施形態のいずれかにおいて、ヘテロアリール基は、O、S及びNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含む(言い換えると、環系を形成する原子のうちの1~4個が、O、S及びNから選択される)、任意の芳香族(すなわち、2(2n+1)個のπ電子を含有する環系)の5~10員環系であり得る。したがって、任意のヘテロアリール基は、ヘテロ芳香族環が、O、S及びNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子(14 heteroatoms)で置換された、5員ヘテロアリール基;及びヘテロ芳香族環が1~3個(例えば1~2個)の窒素原子で置換された6員ヘテロアリール基;ヘテロ芳香族系が、O、S及びNから独立して選択される1~4個のヘテロ原子で置換された、9員二環式ヘテロアリール基;ヘテロ芳香族系が1~4個の窒素原子で置換された10員二環式ヘテロアリール基から独立して選択され得る。具体的には、ヘテロアリール基は、独立して、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、プテリジン、フタラジン、ナフチリジンから選択され得る。
【0079】
アリール又はヘテロアリール基である任意の基において、そのアリール又はヘテロアリール基は、非置換であってもよく、又は化学的に可能な場合には、ハロ、ニトロ、シアノ、NRaRa、NRaS(O)2Ra、NRaC(O)Ra、NRaCONRaRa、NRaCO2Ra、ORa、SRa、S(O)Ra、S(O)2ORa、S(O)2Ra、S(O)2NRaRa、CO2RaC(O)Ra、CONRaRa、CRbRbNRaRa、CRbRbORa、C1~C4-アルキル、C2~C4-アルケニル、C2~C4-アルキニル及びC1~C4-ハロアルキルから各出現においてそれぞれ独立して選択される1~5個の置換基により場合により置換されていてもよく;ここで、Ra及びRbは、式Iについて上記した通りである。
【0080】
1個又は複数の不斉炭素原子を含有する本発明の化合物は、2つ以上の立体異性体として存在することができる。本発明の化合物がC=C又はC=N基等の二重結合を含有する場合、幾何学的なシス/トランス(又はZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性の異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が起こり得る。これは、例えば、イミノ、ケト、若しくはオキシム基を含有する本発明の化合物においてプロトン互変異性の形態をとることができ、又は芳香族部分を含有する化合物において、いわゆる原子価互変異性の形態をとることができる。その結果、単一の化合物は、1つより多くのタイプの異性を示し得るということになる。
【0081】
本発明の範囲内には、本発明の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体及び互変異性形態が含まれ、1つより多くのタイプの異性を示す化合物、及び1つ又は複数のそれらの混合物が含まれる。
【0082】
本発明の化合物は、農学的に許容される塩の形態で得られ、貯蔵され、且つ/又は使用され得る。好適な塩としては、限定するものではないが、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸等の許容される無機酸の塩、又は酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸等の農学的に許容される有機酸の塩が挙げられる。好適な塩としてはまた、無機塩基及び有機塩基、例えば、Na、Ca、K、Li、Mg、アンモニウム、トリメチルスルホニウム等の対イオンの塩も挙げられる。化合物はまた、N-オキシドの形態で得られ、貯蔵され、且つ/又は使用され得る。対イオンが光学活性である酸付加塩又は塩基塩;例えば、d-乳酸塩若しくはl-リジン、又はラセミ体;例えば、dl-酒石酸塩若しくはdl-アルギニンも含まれる。
【0083】
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来技術、例えば、クロマトグラフィー及び分別結晶により分離することができる。
【0084】
必要に応じて個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。したがって、本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、0~50体積%、典型的には2%~20%のイソプロパノール、及び具体例として、0~5体積%のアルキルアミン、例えば0.1%ジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を用いる不斉樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを使用して、エナンチオマー的に富化された形態で得ることができる。溶出液の濃縮により、富化混合物が得られる。
【0085】
代替的に、ラセミ体(又はラセミ前駆体)を、好適な光学的に活性な化合物、例えば、アルコールと反応させてもよく、又は本発明の化合物が酸性若しくは塩基性部分を含有する場合は1-フェニルエチルアミン若しくは酒石酸等の塩基若しくは酸と反応させてもよい。得られたジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により分離し、ジアステレオ異性体の一方又は両方を、当業者に周知の手段により対応する純粋なエナンチオマーに変換してもよい。
【0086】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2つの異なるタイプの結晶が可能である。第1のタイプは、両方のエナンチオマーを等モル量で含有する1つの均質な形態の結晶が生成される、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第2のタイプは、それぞれが単一のエナンチオマーを含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される、ラセミ混合物又は集合体である。
【0087】
ラセミ混合物中に存在する両方の結晶形態は同一の物理的特性を有するが、それらは真のラセミ体と比較して異なる物理的特性を有し得る。ラセミ混合物は、当業者に公知の従来技術により分離することができる-例えば、E. L. Eliel及びS. H. Wilenによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、1994)を参照。
【0088】
本発明の化合物の活性は、様々なin silico、in vitro及びin vivoアッセイにより評価することができる。様々な化合物のin silico分析は、最終的なin vitro活性及び更にはin vivo活性を予測することが実証されている。
【0089】
本発明はまた、1つ又は複数の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界で通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられている、式I~VIの全ての環境的に許容される同位体標識化合物及びそれらの合成を含む。
【0090】
本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例としては、水素の同位体、例えば2H及び3H、炭素の同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123I及び125I、窒素の同位体、例えば13N及び15N、酸素の同位体、例えば15O、17O及び18O、リンの同位体、例えば32P、並びに硫黄の同位体、例えば35Sが挙げられる。
【0091】
同位体標識化合物は、一般的に、当業者に公知の従来技術により、又は以前に用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する、記載のプロセスに類似のプロセスにより調製することができる。
【0092】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という単語、並びにその単語の変形、例えば「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を排除することを意図するものではない(且つ排除しない)。
【0093】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上別段の要求がない限り、単数形だけでなく複数形も考慮するものと理解されるべきである。
【0094】
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例と併せて記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は基は、不適合でない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【0095】
適切な場合、本発明の化合物は、ある特定の濃度又は施用量で、殺真菌剤として使用することができる。
【0096】
本発明の別の態様によれば、真菌病を防除するための方法であって、農学的に有効且つ実質的に非植物毒性(作物植物にとって)な量の本発明の化合物を、植物の種子に、植物自体に、又は植物が成長することが意図される領域に施用することを含む、方法が提供される。
【0097】
農薬は、種子処理、葉面散布、茎散布、灌注又は滴下散布(化学溶液灌漑)として、種子、植物若しくは植物の果実、又は土壌若しくは不活性基材(例えば砂、岩綿、ガラス綿のような無機基材;パーライト、バーミキュライト、ゼオライト若しくは膨張クレイのような膨張鉱物)、Pumbe、火砕性材料若しくは物質、合成有機基材(例えば、ポリウレタン)、有機基材(例えば泥炭、堆肥、コイア、木材繊維若しくはチップのような木材廃棄物、樹皮)、又は液体基材(例えば、浮遊水耕システム、栄養膜技術、空中栽培)に施用することができる。
【0098】
更なる態様において、本発明はまた、有効且つ非植物毒性な量の本発明の活性化合物を含む、殺真菌組成物にも関する。組成物は、1つ又は複数の追加の殺真菌剤を更に含み得る。
【0099】
「有効且つ非植物毒性な量」という用語は、作物に存在するか又は出現しやすい標的疫病のいずれかを防除又は破壊するのに十分であり、且つ作物に顕著な有害作用を及ぼさないか、又は標的生物の非存在下で実際に植物の活力及び収量に好影響をもたらす、本発明による農薬の量を意味する。その量は、防除すべき疫病、作物の種類、気候条件、及び農薬組成物に含まれる化合物に応じて変動することになる。この量は、当業者の能力の範囲内にある、体系的な圃場試験により決定することができる。
【0100】
それらの特定の物理的及び/又は化学的特性に応じて、本発明の活性化合物は、液剤、乳剤、懸濁液剤、散剤、フォーム剤、ペースト剤、顆粒剤、エアロゾル剤、ポリマー物質中及び種子用コーティング材料中のマイクロカプセルとして、またULV冷温及び暖温噴霧製剤として製剤化することができる。
【0101】
活性化合物は、そのままで、又は製剤の形態で、例えば、すぐに使用できる液剤、乳剤、水性若しくは油性懸濁液剤、散剤、水和剤、ペースト剤、可溶性散剤、粉剤、可溶性顆粒剤、散布用顆粒剤、サスポエマルジョン濃縮物、活性化合物を含浸させた天然物質、活性化合物を含浸させた合成物質、肥料、及びまたポリマー物質中のマイクロカプセルの形態で使用することができる。施用は、例えば、散水、スプレー、噴霧、散布、散粉、発泡、拡散等により行うことができる。超微量法により活性化合物を施用すること、又は活性化合物の調製物若しくは活性化合物自体を土壌に注入することも可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0102】
本発明の化合物を含有する製剤は、公知の方法で製造され、例えば、場合により界面活性剤(例えば、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤)を使用して、化合物を増量剤(例えば、液体溶媒及び/又は固体担体)と混合することにより製造される。製剤は、工場/製造プラントにおいて、或いは施用前若しくは施用中のいずれかで調製される。
【0103】
補助剤は、組成物自体及び/又はそれに由来する調製物(例えば、スプレー液、種子粉衣)に、ある特定の技術的特性及び/又は更に特定の生物学的特性等の特定の特性を付与するのに適した物質である。典型的な好適な補助剤は、増量剤、溶媒及び担体である。
【0104】
好適な増量剤は、例えば、水、極性及び非極性の有機化学液体、例えば、芳香族及び非芳香族炭化水素(例えば、パラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、クロロベンゼン)、アルコール及びポリオール(適切な場合、置換、エーテル化及び/又はエステル化されていてもよい)、ケトン(例えば、アセトン、シクロヘキサノン)、エステル(脂肪及び油を含む)及び(ポリ)エーテル、非置換及び置換アミン、アミド、ラクタム(例えば、N-アルキルピロリドン)及びラクトン、スルホン、並びにスルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)のクラスからのものである。
【0105】
使用される増量剤が水である場合、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することも可能である。本質的に、好適な液体溶媒は、芳香族化合物、例えばキシレン、トルエン又はアルキルナフタレン;塩素化芳香族化合物及び塩素化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン、クロロエチレン又は塩化メチレン;脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン又はパラフィン、例えば石油留分;アルコール、例えばブタノール又はグリコール、並びにまた、それらのエーテル及びエステル;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドである。
【0106】
好適な固体担体は、例えば、アンモニウム塩、及び粉砕天然鉱物、例えばカオリン、クレイ、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又は珪藻土、並びに粉砕合成鉱物、例えば微粉化シリカ、アルミナ及びケイ酸塩である;顆粒剤用の好適な固体担体は、例えば、粉砕及び分画された天然岩、例えば方解石、大理石、軽石、セピオライト及びドロマイト、並びにまた、無機及び有機粉末の合成顆粒、並びに有機材料の顆粒、例えば紙、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコ茎である;好適な乳化剤及び/又は泡沫形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アリールスルホネート、並びに更にはタンパク質加水分解物である;好適な分散剤は、非イオン性及び/又はイオン性物質、例えば、アルコール-POE及び/又は-POPエーテル、酸及び/又はPOP-POEエステル、アルキルアリール及び/又はPOP-POEエーテル、脂肪-及び/又はPOP-POE付加物、POE-及び/又はPOP-ポリオール誘導体、POE-及び/又はPOP-ソルビタン-又は-糖付加物、アルキル又はアリールサルフェート、アルキル-又はアリールスルホネート、及びアルキル又はアリールホスフェート、又は対応するPO-エーテル付加物のクラスからのものである。更に、好適なオリゴマー又はポリマーは、例えば、ビニルモノマーから、アクリル酸から、EO及び/又はPOから、単独で、又は例えば、(ポリ)アルコール若しくは(ポリ)アミンと組み合わせて誘導されたものである。リグニン及びそのスルホン酸誘導体、非修飾及び修飾セルロース、芳香族及び/又は脂肪族スルホン酸、並びにそれらのホルムアルデヒドとの付加物を用いることも可能である。
【0107】
粘着付与剤、例えばカルボキシメチルセルロース、並びに粉末、顆粒又はラテックスの形態の天然及び合成ポリマー、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、並びに天然リン脂質、例えばセファリン及びレシチン、並びに合成リン脂質を、製剤中に使用することができる。
【0108】
更なる添加剤は、鉱物油及び植物油であり得る。着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー、並びに有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン及び亜鉛の塩を添加することも可能である。他の可能な添加剤は、香料、鉱物又は植物、場合により変性油及びワックスである。
【0109】
製剤はまた、安定剤、例えば、低温安定剤、防腐剤、抗酸化剤、光安定剤、又は化学的及び/若しくは物理的安定性を改善する他の薬剤も含み得る。
【0110】
製剤は、一般的に、0.01~98質量%、好ましくは0.1~95質量%、特に好ましくは0.5~90質量%の活性化合物を含む。
【0111】
本発明の活性化合物はまた、例えば、活性スペクトルを改善するために、又は耐性の発生を低減若しくは遅延させるために、他の公知の殺真菌剤との混合物として使用することもできる。殺線虫剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、若しくは殺菌剤等の他の公知の活性化合物との混合物、又は肥料及び成長調節剤、薬害軽減剤若しくは情報化学物質との混合物も可能である。
【0112】
本発明による活性化合物の例示的な施用量は、葉を処理する場合:0.1~10000g/ha、好ましくは10~1000g/ha、特に好ましくは50~300g/ha(施用が散水又は滴下により行われる場合、特に岩綿又はパーライト等の不活性基材が使用される場合、施用量を低減させることも可能である);種子を処理する場合:種子100kg当たり2~200g、好ましくは種子100kg当たり2.5~150g、特に好ましくは種子100kg当たり2.5~25g、非常に特に好ましくは種子100kg当たり2.5~12.5g;土壌を処理する場合:0.1~10000g/ha、好ましくは1~5000g/haである。
【0113】
本発明による組成物は、農業、温室、森林又は園芸において用いられる任意の植物品種、特に、穀物(例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、キビ及びオートムギ)、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、マメ、コーヒー、ビート(例えばテンサイ及び飼料ビート)、ピーナッツ、野菜(例えばトマト、キュウリ、タマネギ及びレタス)、芝生、果物及びナッツの木(例えばリンゴ、ナシ、モモ、ネクタリン、アプリコット、ヘーゼルナッツ、ペカン、マカダミア、ピスタチオ)、ソフトフルーツ(例えばイチゴ、ラズベリー、クロフサスグリ、アカフサスグリ)、ブドウ、バナナ、ココア、並びに観賞植物を保護するのに適している。
【0114】
本発明の活性化合物は、良好な植物耐性、及び温血動物に対する好ましい毒性、及び環境により良好に耐容されることと組み合わせて、植物及び植物器官を保護すること、収穫量を増加させること、収穫物の品質を改善させること、並びに農業、園芸、畜産、森林、庭園及びレジャー施設で、貯蔵製品及び材料の保護で、また衛生部門で遭遇する疫病、特に真菌病を防除することに適している。それらは、好ましくは、作物保護剤として用いることができる。
【0115】
殺真菌剤としての使用
本発明の化合物は、殺真菌剤としての活性を有する。
【0116】
以下は、殺真菌化合物により防除され得る農業疫病の実例である:
うどんこ病、例えば:ブルメリア(Blumeria)病、例えばブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)に起因するもの;ポドスファエラ(Podosphaera)病、例えばポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotheca)に起因するもの;スファエロテカ(Sphaerotheca)病、例えばスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)に起因するもの;ウンシヌラ(Uncinula)病、例えばウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)に起因するもの;さび病、例えば:ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)病、例えばギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)に起因するもの;ヘミレイア(Hemileia)病、例えばヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatix)に起因するもの;
ファコプソラ(Phakopsora)病、例えばファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)又はファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)に起因するもの;プッシニア(Puccinia)病、例えばプッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)に起因するもの;ウロミセス(Uromyces)病、例えばウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)に起因するもの;卵菌病、例えば:アルブゴ(Albugo)病、例えばアルブゴ・カンジダ(Albugo Candida)に起因するもの;
ブレミア(Bremia)病、例えばブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)に起因するもの;ペロノスポラ(Peronospora)病、例えばペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae)に起因するもの;フィトフトラ(Phytophthora)病、例えばフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に起因するもの;プラスモパラ(Plasmopara)病、例えばプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)に起因するもの;シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)病、例えばシュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はシュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)に起因するもの;ピシウム(Pythium)病、例えばピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
葉斑病、葉汚斑病及び葉枯れ病、例えば:アルテルナリア(Alternaria)病、例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するもの;セルコスポラ(Cercospora)病、例えばセルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)に起因するもの;クラジオスポルム(Cladiosporum)病、例えばクラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)に起因するもの;コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えばコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)に起因するもの;コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えばコレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium)に起因するもの;シクロコニウム(Cycloconium)病、例えばシクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)に起因するもの;ジアポルテ(Diaporthe)病、例えばジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)に起因するもの;ドレクスレラ(Drechslera)、異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)又はコクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus);エルシノエ(Elsinoe)病、例えばエルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)に起因するもの;グロエオスポリウム(Gloeosporium)病、例えばグロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)に起因するもの;グロメレラ(Glomerella)病、例えばグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)に起因するもの;グイグナルジア(Guignardia)病、例えばグイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)に起因するもの;レプトスファエリア(Leptosphaeria)病、例えばレプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans);レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)に起因するもの;マグナポルテ(Magnaporthe)病、例えばマグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)に起因するもの;ミコスファエレラ(Mycosphaerella)病、例えばミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola);ミコスファエレラ・アラキジコラ(Mycosphaerella arachidtola);ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fibensis)に起因するもの;ファエオスファエリア(Phaeosphaeria)病、例えばファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaera nodorum)に起因するもの;ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えばピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)に起因するもの;ラムラリア(Ramularia)病、例えばラムラリア・コロ-シグニ(Ramularia collo-cygni)に起因するもの;リンコスポリウム(Rhynchosporium)病、例えばリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)に起因するもの;セプトリア(Septoria)病、例えばセプトリア・アピイ(Septoria apii)又はセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopercisi)に起因するもの;チフラ(Typhula)病、例えばチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;ベンツリア(Venturia)病、例えばベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に起因するもの;
根及び茎の病害、例えば:コルチシウム(Corticium)病、例えばコルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)に起因するもの;フザリウム(Fusarium)病、例えばフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)に起因するもの;ガエウマンノミセス(Gaeumannomyces)病、例えばガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)に起因するもの;リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;サロクラジウム(Sarocladium)病、例えばサロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)に起因するもの;スクレロチウム(Sclerotium)病、例えばスクレロチウム・オリザエ(Sclerotium oryzae)に起因するもの;タペシア(Tapesia)病、例えばタペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis)に起因するもの;チエラビオプシス(Thielavbpsis)病、例えばチエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)に起因するもの;
トウモロコシ穂軸を含む穂の病害(ear and panicle disease)、例えば:アルテルナリア病、例えばアルテルナリア属種(Alternaria spp.)に起因するもの;アスペルギルス(Aspergillus)病、例えばアスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えばクラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)に起因するもの;クラビセプス(Claviceps)病、例えばクラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)に起因するもの;フザリウム病、例えばフザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;ジベレラ(Gibberella)病、例えばジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;モノグラフェラ(Monographella)病、例えばモノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
黒穂病(smut and bunt disease)、例えば:スファセロテカ(Sphacelotheca)病、例えばスファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)に起因するもの;チレチア(Tilletia)病、例えばチレチア・カリエス(Tilletia caries)に起因するもの;ウロシスチス(Urocystis)病、例えばウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta)に起因するもの;ウスチラゴ(Ustilago)病、例えばウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)に起因するもの;
果実腐敗及びカビの病害、例えば:アスペルギルス病、例えばアスペルギルス・フラブスに起因するもの;ボトリチス(Botrytis)病、例えばボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;ペニシリウム(Penicillium)病、例えばペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;リゾプス(Rhizopus)病、例えばリゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer)に起因するもの;スクレロチニア(Sclerotinia)病、例えばスクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticilium)病、例えばベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)に起因するもの;
種子及び土壌の腐朽、カビ、萎凋、腐敗及び立枯れ病、例えば:アルテルナリア病、例えばアルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)に起因するもの;アファノミセス(Aphanomyces)病、例えばアファノミセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)に起因するもの;アスコキタ(Ascochyta)病、例えばアスコキタ・レンチス(Ascochyta lentis)に起因するもの;アスペルギルス病、例えばアスペルギルス・フラブスに起因するもの;クラドスポリウム病、例えばクラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)に起因するもの;コクリオボルス病、例えばコクリオボルス・サチブス(分生子形態:ドレクスレラ、ビポラリス(Bipolaris)異名:ヘルミントスポリウム)に起因するもの;コレトトリクム病、例えばコレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes)に起因するもの;フザリウム病、例えばフザリウム・クルモルムに起因するもの;ジベレラ病、例えばジベレラ・ゼアエに起因するもの;マクロホミナ(Macrophomina)病、例えばマクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)に起因するもの;モノグラフェラ病、例えばモノグラフェラ・ニバリスに起因するもの;ペニシリウム病、例えばペニシリウム・エクスパンスムに起因するもの;フォーマ(Phoma)病、例えばフォーマ・リンガム(Phoma lingam)に起因するもの;ホモプシス(Phomopsis)病、例えばホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae)に起因するもの;フィトフトラ病、例えばフィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;ピレノホラ病、例えばピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)に起因するもの;ピリクラリア(Pyricularia)病、例えばピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)に起因するもの;ピシウム病、例えばピシウム・ウルチムムに起因するもの;リゾクトニア病、例えばリゾクトニア・ソラニに起因するもの;リゾプス病、例えばリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)に起因するもの;スクレロチウム病、例えばスクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;セプトリア病、例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)に起因するもの;チフラ病、例えばチフラ・インカルナタに起因するもの;ベルチシリウム(Verticillium)病、例えばベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae)に起因するもの;
癌腫病、てんぐ巣病及び枝枯れ病、例えば:ネクトリア(Nectria)病、例えばネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)に起因するもの;
紋枯病、例えば:
モニリニア(Monilinia)病、例えばモニリニア・ラキサ(Monilinia laxa)に起因するもの;
葉ぶくれ病又は縮葉病、例えば:エキソバシジウム(Exobasidium)病、例えばエキソバシジウム・ベキサンス(Exobasidium vexans)に起因するもの;タフリナ(Taphrina)病、例えばタフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans)に起因するもの;
木本植物の衰退性病害、例えば:
エスカ(Esca)病、例えばファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella clamydospora)、ファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及びフォミチポリア・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea)に起因するもの;
ユーティパ枝枯れ病(Eutypa dyeback)、例えばユーティパ・ラタ(Eutypa lata)に起因するもの;オランダニレ病、例えばセラトシストスク・ウルミ(Ceratocystsc ulmi)に起因するもの;ガノデルマ(Ganoderma)病、例えばガノデルマ・ボニネンセ(Ganoderma boninense)に起因するもの;
花及び種子の病害、例えば:ボトリチス病、例えばボトリチス・シネレアに起因するもの;
塊茎の病害、例えば:リゾクトニア病、例えばリゾクトニア・ソラニに起因するもの;ヘルミントスポリウム病、例えばヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthospohum solani)に起因するもの。
根こぶ病、例えば:
プラスモジオホラ(Plasmodiophora)病、例えばプラスモジオホラ・ブラシカエ(Plamodiophora brassicae)に起因するもの。
【0117】
本発明の化合物は、植物の広範囲の真菌病に対して活性であり得る。或いは、それらは、ある特定の特異的な真菌病に対して特異的に活性であり得る。
【0118】
本発明の化合物が有用であり得る特定の真菌病としては、コムギ葉枯病(セプトリア・トリチシ(Septoria tritici))、コムギ赤さび病(プッシニア・トリチシナ(Puccinia triticina))、コムギ黄さび病(プッシニア・ストリイホルミス(Puccinia striiformis))、リンゴの黒星病(ベンツリア・イナエクアリス)、ブドウのうどんこ病(ウンシヌラ・ネカトル)、オオムギ雲形病(リンコスポリウム・セカリス)、イネのいもち病(マグナポルテ・グリセア)、ダイズのさび病(ファコプソラ・パキリジ)、コムギのふ枯病(レプトスファエリア・ノドルム)、コムギのうどんこ病(ブルメリア・グラミニス分化型トリチシ(Blumeria graminis f. sp. tritici))、オオムギのうどんこ病(ブルメリア・グラミニス分化型ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei))、ウリ科植物のうどんこ病(エリシフェ・デホル・アセアルム(Erysiphe dehor acearum))、ウリ科植物の炭疽病(グロメレラ・ラゲナリウム(Glomerella lagenarium))、ビートの葉斑病(セルコスポラ・ベチコラ)、トマトの夏疫病(アルテルナリア・ソラニ)、及びオオムギの斑点病(コクリオボルス・サチブス)が挙げられる。
【0119】
それらの殺真菌活性に加えて、本発明の化合物は、他の微生物、例えば細菌に対しても活性を有し得る。
【0120】
本発明の殺真菌化合物はまた、ヒト及び動物(例えば、哺乳動物)の真菌性疾患の処置においても使用され得る。同様に、本発明の殺菌化合物は、ヒト及び動物の細菌性疾患の処置において使用され得る。したがって、本発明は、真菌性又は細菌性疾患を処置する方法であって、治療量の本発明の抗真菌剤を、それを必要とする対象(例えば、ヒト対象)に投与することを含む、方法を含む。化合物は、身体の感染領域への局所投与のために製剤化されてもよく、又は経口若しくは非経口投与のために製剤化されてもよい。
【0121】
合成
当業者は、当技術分野で公知の方法の適応を本発明の化合物の製造において適用できることを理解するであろう。
【0122】
例えば、当業者は、案内書として「Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Transformations」、RC Larock、Wiley-VCH(1999年版以降);「March's Advanced Organic Chemistry - Reactions, Mechanisms and Structure」、MB Smith、J. March、Wiley、(第5版以降);「Advanced Organic Chemistry, Part B, Reactions and Synthesis」、FA Carey、RJ Sundberg、Kluwer Academic/Plenum Publications、(2001年版以降);「Organic Synthesis - The Disconnection Approach」、S Warren(Wiley)、(1982年版以降);「Designing Organic Syntheses」S Warren(Wley)(1983年版以降);「Heterocyclic Chemistry」、J. Joule(Wley 2010年版以降);(「Guidebook To Organic Synthesis」RK Mackie及びDM Smith(Longman)(1982年版以降)等の標準的な教科書、並びにそれらの中の参考文献に直ちに精通するであろう。
【0123】
当業者は、有機及び特に複素環式分子を合成するための一連の戦略に精通しており、これらは、Warren「Organic Synthesis: The Disconnection Approach」;Mackie及びSmith「Guidebook to Organic Chemistry」;並びにClayden、Greeves、Warren及びWothers「Organic Chemistry」等の教科書に記載されているように共通の一般的知識である。
【0124】
当業者は、所与の標的化合物の合成のための反応の最も効率的なシーケンスに関してその判断及び技能を発揮し、必要に応じて保護基を用いる。これは、とりわけ、特定の基材中に存在する他の官能基の性質等の要因に依存することになる。明らかに、関与する化学の種類は、前記合成工程で使用される試薬の選択、用いられる保護基の必要性及び種類、並びに保護/脱保護工程を達成するためのシーケンスに影響を及ぼす。これら及びその他の反応パラメーターは、標準的な教科書及び本明細書で提供される実施例を参照することにより当業者に明らかとなるであろう。
【0125】
感受性官能基は、本発明の化合物の合成中に保護及び脱保護する必要がある場合がある。これは、例えば、TW Greene及びPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons Inc.(1999)、並びにその中の参考文献に記載されているような従来の方法により達成することができる。
【0126】
本明細書を通して、これらの略語は以下の意味を有する:
TFAA - 無水トリフルオロ酢酸
NaHMDS - ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド DMSO - ジメチルスルホキシド
aq. - 水性 conc. - 濃縮
DCM - ジクロロメタン DMF - N,N-ジメチルホルムアミド
h - 時間 quant. - 定量的
HPLC - 高速液体クロマトグラフィー min - 分
PE - 石油エーテル
r.t. - 室温 sat. - 飽和
TFA - トリフルオロ酢酸 THF - テトラヒドロフラン
【0127】
本発明のある特定の化合物には、以下の一般的な合成スキームに従って又はこれらに類似してアクセスすることができる。本発明のある特定の化合物には、以下の実施例1~50に従って又はこれらに類似してアクセスすることができる。
【0128】
一般的合成スキーム
式Iの化合物は、スキームA~Dに従って作製することができる。アルコールAをトリホスゲンと反応させて(例えば、室温でピリジン及びDCMの存在下)、式Bの化合物(式Iの化合物のサブセット)を得ることができる。
【0129】
【0130】
アルコールAをチオホスゲンと反応させて(例えば、室温でピリジン及びDCMの存在下)、式Cの化合物(式Iの化合物のサブセット)を得ることができる。
【0131】
【0132】
式Aの化合物は、WO2019/141980に記載の方法に従って、且つスキームCに従って作製することができる。カルボン酸Dをケトン、例えばアセトン又はベンゾフェノンと反応させて(例えば、TFA及びTFAAの存在下)、ケタールEを得ることができる。好適な条件(例えば、-40℃~0℃のTHF)下での、アミンFのアニオン(例えば、FをNaHMDSで脱プロトン化して形成されるアニオン)との反応により、化合物Aを得ることができる。
【0133】
【0134】
アミンFへの幾つかの経路が想定され得る。これらのうちの幾つかをスキームD~Hに示す。アミノブロミドGは、チオ尿素Hに変換することができ(例えば、還流アセトン中の塩化ベンゾイル、NH4SCN、Br2、続いて還流10%NaOH水溶液を使用して)、これを、例えば、還流ジオキサン中のCuI、Cs2CO3、1,10-フェナントロリンを使用して、アミンFに変換することができる。
【0135】
【0136】
チオ尿素Jは、例えば、0℃~還流のCHCl3中Br2を、又はBr2、AcOH及びLiBrを使用して、アミンFに変換することができる。
【0137】
【0138】
チオシアネートKは、例えば、室温でH2、酢酸中Pd/Cを、又は室温でFe/AcOHを使用して、アミンFに変換することができる。
【0139】
【0140】
二環Lを、例えば、室温でtBu2Zn(TMP)Li、THF、続いて室温でシアン化銅及びBnONH2を使用してアミノ化して、アミンFを形成することができる。
【0141】
【0142】
アミノチオールMを、例えば還流THF中で、化合物Nと反応させて、アミンFを形成することができる。
【0143】
【0144】
アミンFのサブセットである、式Rのアミン(式中、xは0~5の整数である)は、スキームIに従って形成することができる。塩基(例えば、DMF中のK2CO3又はNaH)の存在下での、ニトロフルオロ化合物OとフェノールPとの反応により、エーテルQを得ることができる。還元(例えば、室温のエタノール中のPd/C及びH2、又は60℃のTHF/メタノール中のFe、NH4Clによる)、続いてKSCN又はNaSCNとの反応(例えば、0℃~室温のAcOH又はメタノール中のBr2の存在下での)により、アミンR(アミンFのサブセット)を得ることができる。
【0145】
【実施例】
【0146】
一般的方法
フラッシュクロマトグラフィーは、500m2/gの表面積を有する50μmのシリカ粒子を充填したBiotage(登録商標)SNAP KP-Silカートリッジ、若しくは記載されている場合には代替カートリッジ(例えば、Interchim社製のPuriflash)を用いるBiotage Isolera 4を使用して、又はシリカゲル(40~63μmの粒子)を使用して行った。可視化は、UV光(254nm)を用い、過マンガン酸カリウム、リンモリブデン酸(PMA)又はニンヒドリン溶液のいずれかで染色することにより行った。
【0147】
全ての1H NMRスペクトルは、5mm QNPを備えたBruker AVIII 400、又は5mm QNPを備えたBruker AVI 500で取得した。化学シフトは、百万分率(δ)で表し、溶媒を基準とする。結合定数Jはヘルツ(Hz)で表す。
【0148】
MSは、YMC-Triart C18 50×2mm、5ミクロンLCカラム、方法Aによる(溶媒:水(1体積%の28(質量)%アンモニア水溶液を含む)中5~90%勾配のアセトニトリル)、又は方法Bによる(溶媒:水(1%ギ酸を含む)中5~90%勾配のアセトニトリル)を使用して、Waters Alliance ZQ MSで行った。流速:0.8mL/分。波長は254及び210nmとした。
【0149】
方法A(5分間塩基性pH)
カラム:YMC-Triart C18 50×2mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入量:5μL。
移動相 A H2O
B CH3CN
C 50%H2O/50%CH3CN+1.0%アンモニア(水溶液)
【0150】
【0151】
方法B(5分間酸性pH)
カラム:YMC-Triart C18 50×2mm、5μm。流速:0.8mL/分。注入量:5μL。
移動相 A H2O
B CH3CN
C 50%H2O/50%CH3CN+1.0%ギ酸
【0152】
【0153】
代替的に、MSを、方法C(高pH)又は方法D(低pH)を使用して、Waters Acquity UPLC-QDA UV-MSシステムで行った:
【0154】
方法C(3.5分間塩基性pH)
【0155】
【0156】
方法D(3.5分間酸性pH)
【0157】
【0158】
全ての試薬は、商業的供給業者から入手し、別段の記載がない限り、供給されたままの状態で使用した。
【0159】
全ての化合物は、ChemBioDraw Ultra 14.0を使用して命名する。
【0160】
中間体A:2-クロロ-1-(2-クロロフェノキシ)-4-ニトロベンゼン
【0161】
【0162】
3-クロロ-4-フルオロニトロベンゼン(4.0g、23mmol)及び2-クロロフェノール(2.36mL、22.8mmol)をDMF(10mL)に溶解した。炭酸カリウム(3.15g、22.8mmol)を添加し、反応物を80℃に48時間加熱した。懸濁液を室温に冷却し、水を添加した。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、真空下で蒸発させて、表題化合物を黄色固体(6.47g、定量的)として得た。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 8.48 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.17 (dd, J = 9.1, 2.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 7.55 - 7.46 (m, 1H), 7.40 (ddd, J = 8.3, 6.7, 1.6 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 9.1 Hz, 1H).
【0163】
中間体B~I:
以下の中間体は、市販の物質から、中間体Aに記載の一般的方法を使用して調製した。
【0164】
【0165】
【0166】
中間体J:2-クロロ-N-メチル-N-(4-ニトロフェニル)アニリン
【0167】
【0168】
水素化ナトリウム(鉱油中60%)(198mg、4.96mmol)を窒素下でDMF(5mL)中に懸濁させ、0℃に冷却した。2-クロロ-N-メチルアミン(0.436g、3.54mmol)、続いてDMF(5mL)中の4-フルオロニトロベンゼン(0.50g、3.54mmol)を添加した。反応混合物を室温に加温し、18時間撹拌した。反応混合物を水(約25mL)に添加した後、懸濁液を15分間撹拌し、濾過した。固体を水で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物を橙色固体(1.13g、定量的)として得た。1H NMR δH (500 MHz, CDCl3) 8.11 (d, J = 9.5 Hz, 2H), 7.58 (dd, J = 7.6, 1.9 Hz, 1H), 7.45 - 7.30 (m, 3H), 6.52 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H); LCMS (方法A): 3.65分 (263.1, MH+).
【0169】
中間体K~P:
以下の中間体は、市販の物質から、中間体Jに記載の一般的方法を使用して調製した。
【0170】
【0171】
【0172】
中間体Q:2-(シクロプロピルメトキシ)フェノール
【0173】
【0174】
DMF(20mL)中の1,2-ジヒドロキシベンゼン(5.0g、45.4mmol)の溶液を、炭酸カリウム(7.53g、54.5mmol)及び(ブロモメチル)シクロプロパン(4.40mL、45.4mmol)で処理し、60℃で終夜撹拌した。反応物を室温に冷却し、次いで水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、油状物を得た。残留物をクロマトグラフィー(SiO2、PE中0~5%EtOAc)により精製して、表題化合物を淡黄色油状物(2.2g、30%)として得た。1H NMR δH (500 MHz, CDCl3) δ 6.96 - 6.92 (m, 1H), 6.92 - 6.80 (m, 3H), 5.78 (s, 1H), 3.87 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 - 1.22 (m, 1H), 0.70 - 0.60 (m, 2H), 0.35 (q, J = 5.2 Hz, 2H); LCMS (方法B): 2.54分, イオン化せず
【0175】
中間体R:5-クロロ-N-メチル-N-(4-ニトロフェニル)ピリジン-3-アミン
【0176】
【0177】
THF(10mL)中の中間体L(754mg、3.02mmol)の氷冷溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中60%)(145mg、3.62mmol)で処理した。反応物を15分間撹拌し、次いでヨードメタン(0.282mL、4.53mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、表題化合物を赤色固体(773mg、97%)として得た。LCMS(方法A):3.10分(264.1、MH+)。
【0178】
中間体S:3-クロロ-4-(2-クロロフェノキシ)アニリン
【0179】
【0180】
中間体A(6.47g、23.5mmol)をEtOH(20mL)に溶解した。塩化アンモニウムの飽和水溶液(5mL)を鉄(6.65g、117mmol)とともに反応混合物に添加した。反応混合物を80℃で18時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をdicalite(登録商標)に通して濾過し、EtOAcで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を水とDCMとの間で分配した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、表題化合物を褐色固体(5.37g、90%)として得た。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 7.51 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.26 - 7.20 (m, 1H), 7.04 (td, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.61 (dd, J = 8.3, 1.4 Hz, 1H), 6.57 (dd, J = 8.7, 2.6 Hz, 1H), 5.38 (s, 2H); LCMS (方法A): 3.35分 (254.0, MH+).
【0181】
中間体T~AH:
以下の中間体は、適切な中間体から、中間体Sに記載の一般的方法を使用して調製した。
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
中間体AI:N6-(2-クロロフェニル)-N6-メチルベンゾ[d]チアゾール-2,6-ジアミン
【0187】
【0188】
チオシアン酸ナトリウム(575mg、7.09mmol)をMeOH(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。臭素(0.219mL、4.25mmol)を滴下添加し、反応物を5分間撹拌した。MeOH(10mL)中の中間体Y(825mg、3.55mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温し、48時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、DCMと飽和NaHCO3水溶液との間で分配した。水性層をDCMで更に抽出し、合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(SiO2、PE中0~50%EtOAc)により精製して、表題化合物を灰色泡状物(719mg、70%)として得た。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 7.55 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.43 - 7.38 (m, 1H), 7.34 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.30 - 7.24 (m, 1H), 7.14 (d, J = 8.7 Hz, 3H), 6.98 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.45 (dd, J = 8.7, 2.5 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H); LCMS (方法A): 3.05分 (290.0 MH+).
【0189】
中間体AJ~AY:
以下の中間体は、適切な中間体又は市販の物質から、中間体AIに記載の一般的方法を使用して調製した。
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
中間体AZ:N-(6-((2-クロロフェニル)(メチル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシピコリンアミド
【0195】
【0196】
中間体AI(250mg、0.863mmol)及び8-メトキシ-2,2-ジメチル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-4-オン2,2,2-トリフルオロアセテート(418mg、1.29mmol)の混合物を、DMF(3mL)に溶解した。NaHMDS溶液(THF中2M)(2.16mL、4.31mmol)を添加し、反応物を室温で7日間撹拌した。反応物を水でクエンチし、30分間撹拌した。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、EtOH中でスラリー化し、真空下で乾燥させて、表題化合物を褐色固体(224mg、59%)として得た。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 7.63 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.49 - 7.36 (m, 3H), 7.35 - 7.28 (m, 1H), 7.15 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 6.54 (dd, J = 8.8, 2.3 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.25 (s, 3H). NH/OHは認められない; LCMS (方法A): 1.88分 (441.0, MH+).
【0197】
中間体BA~BP:
以下の中間体は、適切な中間体から、中間体AZに記載の一般的方法を使用して調製した。
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
(実施例1)
3-(6-(2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メトキシ-2H-ピリド[2,3-e][1,3]オキサジン-2,4(3H)-ジオン
【0204】
【0205】
トリホスゲン(53.2mg、0.179mmol)を、DCM(1.5mL)中のN-(6-(2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシピコリンアミド(40mg、0.09mmol)の溶液に添加した。ピリジン(0.109mL、1.35mmol)を添加し、反応物を室温で30分間撹拌した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE中0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物を黄色ガム状物(10mg、25%)として単離した。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 8.58 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.75 - 7.69 (m, 2H), 7.59 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 7.33 - 7.29 (m, 2H), 4.06 (s, 3H); LCMS (方法B): 3.72分 (472.1, MH+).
【0206】
(実施例2~5)
以下の実施例は、適切な中間体から、実施例1に記載の一般的方法を使用して調製した(上記又はWO2019/141980に記載の調製)。
【0207】
【0208】
【0209】
(実施例6)
3-(6-(2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メトキシ-2-チオキソ-2,3-ジヒドロ-4H-ピリド[2,3-e][1,3]オキサジン-4-オン
【0210】
【0211】
チオホスゲン(20.6mg、0.179mmol)を、DCM(1mL)中のN-(6-(2-クロロ-4-フルオロフェノキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシピコリンアミド(40mg、0.09mmol)の溶液に添加した。ピリジン(0.109mL、1.35mmol)を添加し、反応物を室温で30分間撹拌した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE中0~100%EtOAc)により精製し、表題化合物を淡橙色固体(22mg、50%)として単離した。1H NMR δH (500 MHz, DMSO-d6) 8.61 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.74 - 7.69 (m, 2H), 7.62 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 9.1, 5.3 Hz, 1H), 7.37 - 7.31 (m, 1H), 7.30 (dd, J = 8.9, 2.6 Hz, 1H), 4.09 (s, 3H); LCMS (方法B): 4.05分 (488.1, MH+).
【0212】
(実施例7~50)
以下の実施例は、適切な中間体から、実施例6に記載の一般的方法を使用して調製した(上記又はWO/2019/141980に記載の調製)。
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
(実施例51)
本発明の化合物の殺真菌活性を試験する
化合物を、1プレート当たり10個の化合物を用いて96ウェルプレート中でスクリーニングした。各化合物を、20、2、0.2及び0.02ppmの試験物質に修正した寒天を使用してスクリーニングした。50及び10ppmのプロリン並びに0.2%DMSOをそれぞれ、陽性及び陰性対照として使用した。各試験濃度及び標準をプレート上で2回試験した。
【0229】
化合物を、以下の3つの真菌病原体 - ボトリチス・シネレア、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)及びジモセプトリア・トリチシ(Zymoseptoria tritici)に対してスクリーニングした。試験で使用した寒天は病原体に応じて変更し、B.シネレア及びA.アルテルナタには培地Nを使用し、Z.トリチシには1%ジャガイモデキストロース寒天を使用した。各病原体について、十分な胞子を適切な寒天に添加して、胞子1,000個/mLのA.アルテルナタの寒天、胞子5,000個/mlのB.シネレアの寒天、及び胞子10,000個/mLのZ.トリチシの寒天を得た。
【0230】
2%DMSO中の×10ストック溶液を、各用量、すなわち、200、20、2及び0.2ppm用に生成し、これの10μlをプレート上の適切なウェルに添加した。等量の2%DMSO並びに500及び100ppmのプロリンストックを対照用に添加した。各ウェルに、90μlの適切な寒天胞子懸濁液を添加して、第1段落で概説した最終ウェル濃度を得た。
【0231】
プレートを室温(18℃)でインキュベートし、
a) A.アルテルナタ及びB.シネレアについては3~4日後
b) Z.トリチシについては7日後
に評価した。
【0232】
各ウェルにおける真菌増殖の量をDMSO対照と比較し、以下の凡例に従って採点した:
A - EC50<2ppm
B - 2≦EC50<20
C - EC50≧20
D - 試験した最大用量で活性が検出されず
NT - 試験せず
【0233】
表におけるランク付けは以下の通りである:
【0234】
【0235】
【国際調査報告】