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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】燃料電池システム用の分離システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20230324BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230324BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230324BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230324BHJP
【FI】
B01D19/00 E
H01M8/04 N
H01M8/0438
H01M8/04313
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547237
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 AT2021060040
(87)【国際公開番号】W WO2021155415
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】A50087/2020
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500461457
【氏名又は名称】アーファウエル リスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘリベアト カマーシュテッター
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト ビショフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ キューゲレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】オトフリート デアシュミット
【テーマコード(参考)】
4D011
5H127
【Fターム(参考)】
4D011AA01
4D011AB05
4D011AC02
5H127DB86
5H127EE23
(57)【要約】
特に燃料電池システム用の分離システムが知られており、二相混合物(17)から液体を分離するための、上方に向かって開いた第1の容器であって(10)、二相混合物(17)が供給可能である供給部(16)と、気体が導出可能である上側の第1の出口(22)と、液体が導出可能である下側の第2の出口とを備えた第1の容器と、流出部(32)を備えた、上方に向かって開いた第2の容器(12)とを備えた分離システム。発生する凝縮水量に関連する正確な測定結果を連続的に得るために、本発明によれば、開いた第2の容器(12)の流出部(32)の流出開口(30)が、測地学的に第1の容器(10)の底部(34)の上側かつ第2の容器(12)の底部(36)の上側に配置されており、第1の容器(10)の第2の出口(26)が、測定管(14)を介して第2の容器(12)への入口(28)に流体接続されており、分離システムが流量計(40)を有しており、流量計(40)が、第1の容器(10)と第2の容器(12)の間の測定管(14)内の流量測定のために、流出開口(30)の測地学的に下側で機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム用の分離システムであって、二相混合物(17)から液体を分離するための、上方に向かって開いた第1の容器(10)であって、前記二相混合物(17)が供給可能である供給部(16)と、気体が導出可能である上側の第1の出口(22)と、前記液体が導出可能である下側の第2の出口とを備えた第1の容器(10)と、流出部(32)を備えた、上方に向かって開いた第2の容器(12)とを備えた分離システムにおいて、
前記開いた第2の容器(12)の前記流出部(32)の流出開口(30)が、前記第1の容器(10)の底部(34)の測地学的に上側、かつ前記第2の容器(12)の底部(36)の上側に配置されており、前記第1の容器(10)の前記第2の出口(26)が、測定管(14)を介して、前記第2の容器(12)内への入口(28)に流体接続されており、前記分離システムが流量計(40)を有しており、該流量計(40)が、前記第1の容器(10)と前記第2の容器(12)との間の前記測定管(14)内の流量測定のために、前記流出開口(30)の測地学的に下側で機能することを特徴とする燃料電池システム用の分離システム。
【請求項2】
前記流量計(40)が超音波センサである、請求項1記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項3】
前記第1の容器(10)内への前記供給部(16)が、前記第2の容器(12)内の前記流出開口(30)の測地学的に上側に配置されている、請求項1または2記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項4】
前記第2の容器(12)の前記流出開口(30)の測地学的に上側で、前記第1の容器(10)内に前記供給部(16)の下側で、前記供給部(16)から前記第2の出口(26)の方向に降下する傾斜面(20,60)が形成されている、請求項3記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項5】
前記測定管(14)が、前記第1の容器(10)から前記第2の容器(12)に向かって上昇するように形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項6】
前記第1の容器(10)の前記第1の出口(22)に、ネット、スクリーンまたは網(24)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項7】
前記第1の容器(10)が、前記第2の容器(12)に対して同心的に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項8】
前記第2の容器(12)が、前記第1の容器(10)の半径方向内側に配置されている、請求項7記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項9】
前記測定管(14)が、上流側の端部(62)で、前記第1の容器(10)を通って、前記第2の容器(12)の前記入口(28)にまで延びている、請求項8記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項10】
前記流出開口(30)の測地学的に下側の領域が、連続的に構成されていない、請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項11】
前記流出開口(30)のエッジ(38)が、等ポテンシャル線上に配置されており、漸次エッジ(38)が、少なくとも1つの切欠き(64)により中断されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項12】
前記第1の容器(10)内に第1のレベルセンサ(46)が配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項13】
前記第2の容器(12)内に第2のレベルセンサ(48)が配置されている、請求項12記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項14】
前記第1の容器(10)と前記第2の容器(12)との間にオーバフロー部(52)が設けられており、該オーバフロー部(52)が、前記第2の容器(12)の前記流出開口(30)の測地学的に上側に配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【請求項15】
前記第2の容器(12)の上流側に熱交換器(50)が配置されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の燃料電池システム用の分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム用の分離システムであって、二相混合物から液体を分離するための上方に向かって開いた第1の容器であって、二相混合物が供給可能である供給部と、気体が導出可能である上側の第1の出口と、液体が導出可能である下側の第2の出口とを備えた第1の容器と、流出部を備えた、上方に向かって開いた第2の容器とを備えた燃料電池システム用の分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、家庭内の加熱器においても、たとえば電気駆動される自動車の電動モータを駆動する電流を形成するためのようなモバイル用途においても使用される。
【0003】
しかし、PEM燃料電池の運転時には、含水率が重要なパラメータである。カソードにおける反応時に発生する水または水蒸気は、凝縮して触媒表面を濡らすことを阻止するために排出されなければならない。なぜならば、さもなければ燃料電池の出力密度が低下してしまうからである。さらに、液状の水は拡散層における気体搬送を妨げる一方で、膜のイオン伝導率は含水率に応じて増加する。発生した水は、まず、反応時にカソード側において生じるが、アノード側にも部分的に到達する。なぜならば、カソード側で発生した水蒸気または発生した水が、部分的に膜を通じて拡散するか、または水分子の双極子特性により膜を通過するからである。
【0004】
したがって、最大の出力密度の領域における安定的な電池運転のために、電池の含水率を最適化することが必要であり、このためにはカソードにおいてもアノードにおいても発生する凝縮水の量を特定しなければならない。
【0005】
この理由に基づいて、燃料電池システム、特にPEM燃料電池システム用の分離システムであって、カソード回路、アノード回路および/または排ガス流に含まれる、水および水蒸気を有する二相混合物を気体と凝縮水とに分解し、時間単位当たりに発生する凝縮水の量を特定するための分離システムを提供する必要がある。
【0006】
発生した水または発生した液体が導出されるガスセパレータが、独国特許出願公開第102016116989号明細書に基づいて知られている。測定管状のガスセパレータには、多相媒体が供給され、この多相媒体は、測定管内で堰を越えて流れる。これにより、浅水域が形成され、この浅水域を超えて流れる際に、気体が液体から分離される。測定管に、気体を導出するための上部の開口が設けられている一方で、液体は堰の下流側で引き続き傾斜面に沿って液体出口まで流れ、液体出口には液体流量を特定するための流量計が配置されている。
【0007】
しかし、このガスセパレータは、燃料電池システムには適していない。なぜならば、凝縮水が連続的に発生せず、これにより流量計において連続的に流れが存在しておらず、部分的に液体が存在していないか、または不連続に空にしなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、課題は、発生する凝縮水量を連続的かつ正確に測定することができ、他方で、できるだけ少ない構造空間しか必要としない分離システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する、特に燃料電池システム用の分離システムによって解決される。
【0010】
分離システムは、測定管を介して互いに接続された、上方に向かって開いた2つの容器を有しており、したがって、分離システムは、液位が常に同一である連通した容器である。これにより、液面は、少なくとも第1の容器または第2の容器からの液量の導出が、対応する容器内への液量の供給と同じくらい速く可能である限り、両方の容器内において常に等ポテンシャル線上にある。したがって、上、下、上側、下側という用語は、重力ポテンシャルに対応して、または地球の中心点に関連して定義されている。したがって、等しい高さとは、重力の等ポテンシャル線上での配置を意味している。したがって、測地学的に上側の出口は、下側の出口よりも地球中心点からより離れている出口であることを意味する。したがって、底部の上側と定義される場合、地球に対する底部の距離よりも、地球の重心への距離が大きく、言い換えれば、重力ポテンシャルが底部におけるよりも小さいことを意味する。対応して、多相混合物は供給部を介して、上方に向かって開いた第1の容器内に流れる。この容器内では、多相混合物からの液体の分離が行われる。気体は、測地学的に上側の第1の出口を介して導出される一方で、液体は、下側の第2の出口を介して測定管内に、かつ測定管から上方に向かって開いた第2の容器内へと流れる。第2の容器内には流出部が設けられており、この流出部の流出開口は、第1の容器の底部および第2の容器の底部の測地学的に上側に配置されている。したがって、第1の容器の第2の出口は、測定管を介して第2の容器への入口に流体接続されている。測定管には、または測定管内には、本発明によれば、流出開口の測地学的に下側で、測定器または測定器の必要なセンサが配置されており、測定器は、第1の容器と第2の容器との間の測定管内の流量を測定する。測定器全体が測定管との直接の機械的な結合部を有しており、流出開口の下側に配置されていることは重要ではなく、測定管自体内の液体流が流出開口の下方で測定器により測定される。したがって、測定器は、流出開口の下側の測定管内の流量測定のために役立ち、これにより測定が測地学的に流出開口の下側で行われ、これによって流量測定器は常に、液体により通流される領域内で測定を行う。これにより、横断面全体が通流されるので、小さな流れも測定可能である。分離システムは、対応して一度だけ流出開口まで満たされなければならない。このことが行われると、その後の全ての流れ過程は測定器によって記録される。なぜならば、この流れは常に完全に第1の容器から第2の容器へ、かつ第2の容器から流出部へと行われるからである。したがって、小さな空間で、少量の凝縮水であっても極めて正確な測定が可能であり、この測定は連続的に実施することができる。
【0011】
好適には、測定器が超音波センサであり、超音波センサは、存在している周辺条件にかかわらず透明な物質の通流も測定することができる。さらに、測定は非接触で行われるので、流れに影響が与えられない。
【0012】
有利には、第1の容器への供給部は、第2の容器内の流出部の流出開口の測地学的に上側に配置されている。対応して、多相混合物は、液体で満たされていない空いている領域に沿って流れなければならず、この領域では、両方の相が表面に沿って滑ることに基づいて互いに良好に分離される。
【0013】
この分離を付加的に改善するために、第2の容器の流出開口の測地学的に上側で、第1の容器内で供給部の下側に、供給部から第2の出口に向かう方向で降下する傾斜面が形成されている。対応して、多相混合物が液柱の上側で沿ってガイドされる区間が延長され、したがって分離効率が高められる。
【0014】
好適には、測定管は、第1の容器から第2の容器へと上昇するように形成されており、これにより、付加的な脱気が達成される。
【0015】
さらに、第1の容器の第1の出口にはネット、スクリーンまたは網が配置されていると有利であり、これらのネット、スクリーンまたは網は、気体中の大きな液滴が第1の出口を介して分離システムから出ることを阻止する働きをする。
【0016】
第1の容器が、第2の容器に対して同心的に配置されており、これにより両方の容器が対応して半径方向で互いに内外に配置されていると、特に少ない構造空間しか必要とならない。これにより、内側に位置する容器の外壁が同時に外側の容器の内壁を形成し、これによってより少ない材料しか必要とならないので、材料コストも削減される。
【0017】
この構成をさらに改良した構成では、第2の容器が第1の容器の半径方向内側に配置されているので、供給部には引き続き容易に到達可能でありかつ接続可能である。さらに、傾斜面を、容器の両外周面の間の単純な螺旋部として形成することができ、これにより良好な分離効率が確保される。
【0018】
したがって、測定管の下流側の端部は、第1の容器を通って第2の容器の入口まで延びている。したがって、測定時に僅かな慣性遅延を有する短い接続を確保することができる。
【0019】
流出開口の測地学的に下側の領域が非連続的に構成されていても有利である。等ポテンシャル線上に流出開口が形成されている場合、表面張力によって僅かに異なる充填高さが生じ、この異なる充填高さが測定値を歪曲する恐れが生じる。このことは、非連続的な構成では阻止することができる。なぜならば、全周にわたって延びる同一の表面張力が形成されないからである。
【0020】
この非連続的な構成は、流出開口のエッジが、少なくとも1つの切欠きによって中断されている等ポテンシャル線上に配置することによって、特に容易に製造することができる。
【0021】
別の実施形態では、第1の容器内に第1のレベルセンサが配置されている。このレベルセンサにより、連続的な流量測定時に、測定管内の流れを引き起こす両方の容器の間で存在する圧力差の形成および解消時の遅延に基づく誤差を算出することができる。このために、たとえば、高低差に基づいて計算された、第1の容器内の貯蔵体積を流量計の測定値に加算することができる。
【0022】
また、第2の容器内の体積が流出開口までのレベルに一致することを確実にするために、付加的に第2の容器内にレベルセンサを配置することができ、これにより常に実際の体積差が加算される。
【0023】
第1の容器から周囲への溢れ出し、ひいては損傷するのを阻止するために、第1の容器と第2の容器の間にオーバフロー部が設けられており、このオーバフロー部が、第2の容器の流出開口の測地学的に上に配置されている。対応して、測定管を介してもはや導出可能ではないほど大きな凝縮水量が発生した場合に、この凝縮水量は第2の容器の流出部を介して信頼性よく排出される。
【0024】
測定値のさらなる改善は、第2の容器の上流側にコンディショニングのための熱交換器が配置されていることにより達成することができる。冷却器として、特に単純な冷却器として構成され得るこの熱交換器は、二相混合物における付加的な凝縮を達成し、これにより、より多くの割合の水を液体状態で分離することができるように作用する。これにより、システム内に存在する水の量に関するより正確な提示が可能である。
【0025】
したがって、一方では高い分離率を達成し、他方では正確な凝縮水量または凝縮水流量を連続的に測定することができる、多相混合物のための分離システムが提供される。燃料電池システムにおける使用時に、この分離システムは水分状況に関する提示を容易にし、これにより燃料電池システムの達成可能な出力密度に関する提示を容易にする。
【0026】
燃料電池システムにも、たとえば天然ガス/水混合物のような別の多相混合物のためにも適している、本発明に係る分離システムの1つの実施例を、図面に概略的に図示し、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る分離システムを側面から見た原理図である。
図2】本発明に係る分離システムの本発明による実施形態を断面図で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に図示された本発明に係る分離システムは、上方に向かって開いた第1の容器10と、上方に向かって開いた第2の容器12とを有しており、これらの容器10,12は測定管14を介して互いに接続されている。
【0029】
第1の容器10は供給部16を有しており、この供給部16を介して、たとえば分離システムが燃料電池システムのために使用される場合、空気、酸素、水素および液相で存在する水から成る二相混合物17が容器10内に流入する。水は、この場合に燃料電池における化学反応時に発生し、少なくとも部分的に燃料電池から排出される凝縮水18である。この二相混合物は、傾斜面20として形成されたプレートに沿って表面上を流れ、このプレートにおいて2つの相が互いに分離することができる。気体は、上方に向かって上側の第1の出口22を介して漏れ出ることができるが、この出口には、細かいメッシュの格子、スクリーンまたはネット24が取り付けられており、これにより液滴が気体により第1の出口22へと連行されないことを確実にする。なぜならば、これらの液滴はネット24において落ち、第1の容器10内に戻るように流れるからである。
【0030】
液体、または凝縮水18は、第1の容器10に集まり、第1の容器10の下側の領域に配置された第2の出口26を介して測定管14内に流入し、2つの容器10,12間のレベル補償が確立されるまで、第2の容器12の入口28を介して第2の容器12内に流入する。したがって、このレベル補償は、常に充填高さの補償が行われる、つまり1つの共通の等ポテンシャル平面まで満たされている連通する容器の原理を介して機能する。この場合、充填高さは、第2の容器12からの流出部32の流出開口30によって決定され、第1の容器10の第1の底部34と第2の容器12の第2の底部36とが流出開口30の測地学的に下側に配置されていることがレベル補償のために必要である。
【0031】
液体は今、常に、両容器10,12間の充填高さに関する補償を確立しようとする一方で、この充填高さは常に同一であり、つまり、第1の容器10内への凝縮水の体積流が測定管14を通って流れることができる最大の体積流より大きくなければ、流出開口30のエッジ38を通って張られる平面に対応する。そうでない場合、測定管14内の体積流は、第1の容器10内への凝縮水体積流に一致する。したがって、測定管14内の体積流は、流量計40によって測定されるが、この流量計40は、本実施例では、測定管14に取り付けられた、2つのセンサ42,44を備える超音波機器として構成されている。
【0032】
極めて迅速で連続的に測定を行い、これにより両容器間のレベル補償が場合によってはまだ行われていない時間間隔を考慮しなければならない場合のために、第1の容器10内には第1のレベルセンサ46が配置されており、第2の容器12内には第2のレベルセンサ48が配置されている。両レベルセンサ46,48の測定値は、流量計40の測定値に対して付加的に使用することができる。なぜならば、両レベルセンサ46,48の測定値の差は、対応する第2ユニットに付加的に容器に流れ込む体積流に一致するからである。したがって、高さ差の減少および増大による時間的な遅延は、これに基づいて計算された体積を流量計40の積分値に加算することによって補償することができるので、結果として、時間間隔中に流れ込んだ総体積が計算される。
【0033】
さらに、図1には、供給部16の上流に配置されているが、容器10内または容器10の第2の出口26に配置されてもよい熱交換器50による二相混合物17の前調整が図示されている。この熱交換器50は、燃料電池においてより正確な水バランスを可能にするために、まだ水蒸気として存在する付加的な水を二相混合物から分離するために役立つ。
【0034】
さらに、分離システムは、オーバフロー部52を有しており、体積流量が過度に大きな場合に、このオーバフロー部を介して、凝縮水18が第1の容器10から第2の容器12内に流れ、第2の容器12から流出部32に流れることができる。したがって、これにより、第1の容器10の溢れ出しを阻止することができる。
【0035】
図2には、このような分離システムが、可能な構造設計に関して図示されている。両方の開いた容器10,12は、互いに対して同心的に配置されているので、第1の容器10が第2の容器12を半径方向で取り囲んでいる一方、両方の容器10,12は、1つの共通の底部34,36を有しており、第1の容器10の内周面54は、第2の容器12の外周面56に一致する。第1の容器10の内周面54と外周面58との間には、第2の容器12の流出開口30の測地学的に上側に位置する螺旋状に延びる傾斜面60が形成されているので、この傾斜面60上で、二相混合物17の供給時に、常に薄い膜のみがこの傾斜面60に沿ってガイドされ、これは凝縮水18からの気体の良好な分離につながる。
【0036】
測定管14は、流量計40による測定が実施される、第1の容器10の下側の領域の第2の出口26から外方に向かって、第1の容器10の外周面58および第1の容器10を通って、第1の容器10の内周面54または第2の容器12の外周面56にまで延びている。第2の容器の外周面56には、入口28として働く開口が形成されているので、測定管14の下流側の端部62が第1の容器10を通って延びている。測定管14は、第1の容器10から第2の容器12へと上昇するように形成されており、これにより、測定管14内にまだ離れていない気体が溜まることが阻止される。
【0037】
加えて、図2において、流出開口30のエッジ38に切欠き64が形成されていることを確認することができるが、この切欠きは流出開口として働くのに十分な大きさではなく、単に流出開口30の平面における表面張力を妨害し、これにより表面張力に基づいて第2の容器12内でより高いレベルが生じないようになっている。
【0038】
本分離システムにより、燃料電池システムにおいて発生する凝縮水量を、カソード側でもアノード側でも極めて正確かつ連続的に特定することができる。排ガス側でもこのようなシステムが利用可能である。この分離システムは、その小さな構造形式、高い分離率および正確な測定値の点で優れている。その結果、燃料電池の出力密度を向上させることができる。
【0039】
請求項1の保護範囲が、説明された実施例に限定されていないことは明らかだろう。特に、このような分離システムは、燃料電池システムに限らず、たとえば、二相混合物が液体と気体部分とに分離されなければならない別の分野においても、たとえば、水が液体として存在している天然ガス搬送または燃焼分野においても使用することができる。流量計は、たとえば、測定タービンまたはコリオリ式質量流量計として構成することもできる。さらに、互いに接続された容器または管の様々な構造形式が考えられる。
図1
図2
【国際調査報告】