(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】マルチビームデジタル走査及び画像取得
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20230324BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01L21/66 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547294
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2021052293
(87)【国際公開番号】W WO2021156198
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】102020102779.6
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020213952.0
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520284322
【氏名又は名称】カール ツァイス マルチセム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルカー ヴィツォレク
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ リーデゼル
(72)【発明者】
【氏名】ニコ カエメール
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シューベルト
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB05
4M106DB16
4M106DB20
5C101BB11
5C101EE03
5C101EE22
5C101EE48
5C101EE68
5C101FF02
5C101HH11
5C101HH17
5C101HH25
5C101HH36
5C101HH38
5C101HH54
5C101HH61
5C101JJ10
(57)【要約】
高スループット、高分解能、且つ高信頼性のウェーハ検査のためのマルチビーム荷電粒子顕微鏡及びマルチビーム荷電粒子顕微鏡の動作方法が提供される。動作方法及びマルチビーム荷電粒子顕微鏡は、被選択スキャンプログラムに従った複数の荷電粒子ビームレットによる同期走査兼画像取得の手段を含み、被選択スキャンプログラムは、種々のスキャンプログラムから検査タスクに従って選択され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の一括走査を制御し、且つマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)で複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを取得するための、マルチビーム走査・画像取得方法(707)であって、
複数のスキャンプログラムを供給し且つ被選択スキャンプログラム(762)を選択する構成ステップ(710)と、
前記被選択スキャンプログラム(762)を受け取り、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)及び選択制御信号(744)を前記被選択スキャンプログラム(762)から生成する、包括スキャン処理ステップ(720)と、
少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス(774)を、前記少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)から生成し、且つ前記少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス(774)を、試料(7)の表面(25)上の前記複数J個の画像サブフィールドにわたる前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の一括偏向のための一括偏向ステップ(742)に供給する、特定走査偏向制御ステップ(730)と、
アナログデータ収集ステップ(748)中にイメージセンサユニット(207)から収集されたJ個の変動電圧ストリーム(786)を変換し選択してJ個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を形成する、画像データ取得ステップ(750)であり、前記J個のデジタル画像データ値ストリーム(790)は、複数J個のメモリロケーション(61)で少なくとも1つのパラレルアクセスメモリ(1816)に書き込まれて前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データを形成し、前記選択及び書き込みは、前記包括スキャン処理ステップ(720)で生成され供給される前記選択制御信号(744)により制御される、画像データ取得ステップ(750)と
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データを前記共通のアクセスメモリから読み出して画像処理を実行する、並列読み出し・画像処理ステップ(758)をさらに含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記画像処理は、前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データのそれぞれに適用される、画像フィルタリング、画像登録、閾値演算、オブジェクト検出、画像オブジェクトの寸法測定、歪み補償、コントラスト強調、逆畳み込み演算、又は画像相関の1つを含む方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法において、前記画像処理は、前記複数J個のデジタル画像データから単一のデジタル画像ファイルを形成するためのスティッチング演算をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、少なくとも第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)が正規化サブフィールド座標(u,v)で生成され、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)は、回転、縮尺変更、又は所定の補正関数C(p,q)の考慮の1つを含む演算の適用により、画像サブフィールド座標(p,q)で前記事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)に変換される方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に生成された前記選択制御信号(744)は、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)を含み、前記画像データ取得ステップ(750)中に、前記J個のデジタル画像データ値ストリーム(790)は、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)に対応する複数J個のメモリロケーションで前記共通のアクセスメモリに書き込まれる方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、方法は走査同期制御ステップ(718)をさらに含み、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、同期制御コマンド(768)が前記走査同期制御ステップ(718)と通信される方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)は、ステージ又は該ステージ上に取り付けられた試料の座標系の向きに対する回転角だけ使用中に回転させたラスタ構成で構成され、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、前記ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)は、前記ラスタ構成の回転を補償するように調整される方法。
【請求項9】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の画像サブフィールド(31.11~31.MN)にわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を一括走査する少なくとも第1一括ラスタスキャナ(110)と、
前記J個の画像サブフィールド(31.11~31.MN)の1つにそれぞれ対応する複数J個の二次電子ビームレット(9)を検出する検出器(207)を含む検出系(200)と、
結像制御モジュール(820)であり、
前記第1一括ラスタスキャナ(110)に接続され、使用中に第1被選択スキャンプログラム(762)に従った前記第1一括ラスタスキャナ(110)での複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタ走査動作を制御するよう構成されたスキャン制御ユニット(930)、及び
該スキャン制御ユニット(930)及び前記検出器(207)に接続され、使用中に前記スキャン制御ユニット(930)により供給されたクロック信号と同期して検出器(207)から複数S個の画像データを取得し選択するよう構成され、且つ前記複数S個の画像データを前記第1被選択スキャンプログラム(762)に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ(1816)に書き込むよう構成された画像データ取得ユニット(810)であり、S≦Jである画像データ取得ユニット(810)
を含む結像制御モジュール(820)と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
請求項9に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中に前記クロック信号を前記スキャン制御ユニット(930)及び前記画像取得ユニット(810)に供給するよう構成されたクロック信号生成器(938)を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項11】
請求項10に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、前記ラスタ走査動作と同期動作するよう構成された少なくとも別のシステム(960)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
請求項11に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記少なくとも別のシステム(960)は、使用中に前記複数J個の一次荷電粒子をビームダンプ(130)へ一括偏向するよう構成された一括偏向器(350)であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記検出系(200)に第2一括ラスタスキャナ(222)をさらに含み、前記スキャン制御ユニット(930)は、前記第2一括ラスタスキャナ(222)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項14】
請求項13に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記結像制御モジュール(820)は、前記スキャン制御ユニット(930)及び前記画像取得ユニット(810)に電圧を供給するよう構成され且つ使用中に前記第1一括ラスタスキャナ(110)又は前記第2一括ラスタスキャナ(222)に駆動電圧を供給するよう構成された電圧源(925)をさらに含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、
前記クロックユニット(938)に接続されたスキャンジェネレータモジュール(932)と、
前記第1一括ラスタスキャナ(110)に接続された第1増幅器モジュール(936.1)と、
前記第2一括ラスタスキャナ(222)に接続された第2増幅器モジュール(936.2)と
をさらに含み、前記スキャンジェネレータモジュール(932)は、使用中に前記第1増幅器モジュール(936.1)及び前記第2増幅器モジュール(936.2)に対して事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスを生成して供給するよう構成され、且つ
前記第1増幅器モジュール(936.1)は、使用中に前記第1一括ラスタスキャナ(110)の電極に対して少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成され、
前記第2増幅器モジュール(936.2)は、使用中に前記第2一括ラスタスキャナ(110)の電極に対して少なくとも第2増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャンジェネレータモジュール(932)は、前記画像取得モジュール(810)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項17】
請求項9~16のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中にラスタ走査偏向と同期動作するよう構成されたシステム(960.3)に接続された、少なくとも別の増幅器モジュール(936.3)を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記画像データ取得ユニット(810)は、
前記イメージセンサ(207)に接続されて使用中に複数S個の変動電圧(786)を複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)に変換するよう構成された複数のAD変換器を含む、ADCモジュール(1808)と、
該ADCモジュール(1808)及び前記スキャン制御ユニット(930)に接続され、使用中に、前記複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)と、前記被選択スキャンプログラム(762)に従って前記スキャン制御ユニット(930)により使用中に供給された選択制御信号(744)とから、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を選択するよう構成された、取得制御ユニット(1812)と、
該取得制御ユニット(1812)、前記スキャン制御ユニット(930)、及び前記パラレルアクセスメモリ(1816)に接続された画像データ分類器(1820)と
を含み、該画像データ分類器(1820)は、使用中に、前記複数S個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を前記被選択スキャンプログラム(762)に従った前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のスキャン位置に対応する複数のメモリアドレスで前記パラレルアクセスメモリ(1816)に書き込むよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項19】
請求項18に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記ADCモジュール(1808)は、クロックユニット(938)に接続され、使用中に該クロックユニット(938)からクロック信号を受け取り且つ使用中に前記複数S個の変動電圧(786)を複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)に変換する前記複数のAD変換器の動作を同期させるよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項20】
請求項19に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記クロックユニット(938)は、制御ユニット(800)に接続され、該制御ユニット(800)から制御信号を受け取るよう構成され、且つ使用中に前記クロックユニット(938)のクロック周波数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項21】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数の一次荷電粒子ビームレットを生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
被選択スキャンプログラム(762)で試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット(930)及び画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備え、前記スキャン制御ユニット(930)は、包括スキャンジェネレータモジュール(932)と、前記第1一括ラスタスキャナ(110)の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する少なくとも第1増幅モジュール(936.1)と、前記第2一括ラスタスキャナ(220)の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する第2増幅モジュール(936.2)とを含んでおり、
前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中に前記被選択スキャンプログラム(762)と同期動作する第3動作ユニット(960.3)又は別の動作ユニット(960.n)の制御用の第3増幅器モジュール(936.3)又は別の増幅器モジュール(936.n)を任意に含むようになされるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項22】
請求項21に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記包括スキャンジェネレータモジュール(932)は、使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)の系統的な走査誘起収差を事前補償するよう構成された頂点後処理ユニットを含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項23】
請求項22に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、各増幅器モジュールは、頂点後処理ユニット、デジタル-アナログ変換器、及び増幅器を含み、各増幅器モジュールにおいて、同期動作する動作ユニット(960.i)と併せた前記増幅器モジュールの動作の非線形性が、動作ユニット(960.i)毎に個別に事前補償されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項24】
請求項23に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記動作ユニット(960.i)は、前記第1一括マルチビームラスタスキャナ(110)及び前記第2一括マルチビームラスタスキャナ(222)であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項25】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、請求項1~8に記載の方法のいずれかを実行するよう構成されたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項26】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を六角形ラスタ構成で生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
それぞれが六角形である複数J個の画像サブフィールド(31)を有する試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット(930)及び画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項27】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
対物レンズ(102)と、
前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の走査を制御するため及び複数J個の画像サブフィールド(31)に配置された複数の走査ラインでの試料の表面の画像パッチの取得を制御するための、スキャン制御ユニット(930)及び少なくとも画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備え、該結像制御モジュール(820)は、前記試料の向きに対する前記複数の走査ラインの向きを変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項28】
請求項27に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記結像制御モジュール(820)はさらに、前記画像パッチをカバーするように前記複数J個の画像サブフィールド(31)のサイズを変えるために、少なくとも走査ラインの長さ又は走査ラインの数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項29】
請求項27又は28に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記対物レンズ(102)の動作条件を制御する制御ユニット(800)をさらに備え、前記複数の走査ラインの向きの変更は、前記対物レンズ(102)の動作条件の変化により誘起された前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタ構成の回転に従ったものであるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性及びスループットが高いマルチビーム走査・画像取得システムを含むマルチビーム荷電粒子ビーム走査検査システム、並びに関連の方法及びコンピュータプログラム製品に関する。マルチビーム荷電粒子ビーム検査システムは、改良されたスキャナアーキテクチャ及び偏向スキャナ動作制御、並びに同期画像取得用の改良された画像取得モジュールを備える。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等のより一層小さくより一層複雑な微細構造の継続的な開発に伴い、微細構造の小さな寸法を製造及び検査するためのプレーナ製造技術及び検査システムのさらなる開発及び最適化が必要とされる。半導体デバイスの開発及び製造には、例えば試験用ウェーハの設計検証が必要であり、プレーナ製造技術は、確実な高スループット製造のためのプロセス最適化を伴う。さらに、最近では、半導体デバイスのリバースエンジニアリング及びカスタマイズされた個別構成のための半導体ウェーハの分析が必要である。したがって、ウェーハの微細構造を高精度で調べるための高スループット検査ツールが求められている。
【0003】
半導体デバイスの製造に用いられる通常のシリコンウェーハは、直径12インチ(300mm)以下である。各ウェーハは、約800mm2以下のサイズを有する30個~60個の繰り返し領域(「ダイ」)に分けられる。半導体は、プレーナ集積技術によりウェーハの表面上に層状に製造された複数の半導体構造を含む。関連する製造プロセスゆえに、半導体ウェーハは通常は平面を有する。集積半導体構造のフィーチャサイズは、数μm~限界寸法(CD)5nmに及び、フィーチャサイズは近い将来にはさらに小さく、例えばフィーチャサイズ又は限界寸法(CD)は、3nm未満に、例えば2nmに、又はさらに1nm未満にもなる。上述の小さな構造サイズの場合、限界寸法のサイズの欠陥を非常に大きな面積で短時間に識別しなければならない。いくつかの用途では、検査装置による測定の精度に対する要求仕様はさらに高く、例えば2倍又は1桁高い。例えば、半導体フィーチャの幅を1nm未満の、例えば0.3nmの又はさらに小さな精度で測定しなければならず、半導体構造の相対位置を1nm未満の、例えば0.3nmの又はさらに小さなオーバーレイ精度で求めなければならない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、半導体デバイスの開発中又は製造中又はリバースエンジニアリングのために、少なくとも限界寸法の分解能での集積半導体フィーチャの高スループット検査を可能にする荷電粒子システム及び荷電粒子システムの動作方法を提供することである。本発明のさらに別の目的は、1nm未満、0.3nm未満、又はさらに0.1nmの精度での半導体フィーチャの高精度測定を可能にする、高スループットの荷電粒子システムの及び荷電粒子システムの動作方法を提供することである。
【0005】
荷電粒子顕微鏡CPMの分野における最近の開発は、MSEM、マルチビーム走査電子顕微鏡である。マルチビーム荷電粒子ビーム顕微鏡が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。マルチビーム電子顕微鏡又はMSEM等のマルチビーム荷電粒子顕微鏡において、各電子ビームがそれに隣接する電子ビームから1マイクロメートル~200マイクロメートルの距離だけ分離されるようにして、例えばJ=4個~J=10000個の電子ビームを含む一連の電子ビームレットが一次放射線として試料に照射される。例えば、MSEMは、六角形アレイ上に配置された約J=100個の分離された電子ビーム又はビームレットを有し、電子ビームレットは約10μmの距離だけ分離される。複数の一次荷電粒子ビームレットは、可動ステージ上に取り付けられた調査中の試料、例えばウェーハチャックに固定された半導体ウェーハの表面に共通の対物レンズにより集束される。一次荷電粒子ビームレットでのウェーハ表面の照明中に、相互作用生成物、例えば二次電子が、一次荷電粒子ビームレットの焦点により形成された複数の相互作用点から生じるが、相互作用生成物の量及びエネルギーは、ウェーハ表面の材料組成及びトポグラフィに応じて変わる。相互作用生成物は、複数の二次荷電粒子ビームレットを形成し、これが共通の対物レンズにより集束され、マルチビーム検査システムの投影結像系により検出面に配置された検出器へ導かれる。検出器は、例えば複数の検出画素を含む複数の検出領域を含み、複数の二次荷電粒子ビームレットのそれぞれの強度分布を検出し、例えば100μm×100μmのデジタル画像パッチが得られる。
【0006】
MSEMでの画像取得中に、複数J個の一次ビームレットは、一括荷電粒子偏向システムにより試料、例えばウェーハ表面にわたって走査される。試料表面上のJ個の走査位置で、二次電子が生成されて複数J個の二次電子ビームレットを形成する。J個の二次ビームレットは、少なくともJ個の検出器のアレイに結像され、各検出器は、個々の二次電子ビームレットの二次電子数又は強度に対応する信号を受け取る。それにより、複数J個の画像サブフィールドが画像走査中に走査される。J個の画像サブフィールドに対応するJ個のデジタル画像セグメントが、継ぎ合わされて1つ又は複数のデジタル画像パッチを形成する。従来技術のMSEMシステムの偏向スキャナは、複数J個の画像サブフィールドの強度値の線形データストリーム用に構成された線形画像処理を用いるリニアイメージスキャナであった。より柔軟性の高いイメージスキャナ及びより柔軟性の高いデータ処理アーキテクチャが必要であることが分かった。
【0007】
シングルビーム電子顕微鏡の場合、異なる走査手法が知られている。例えば、特許文献3では、ブラウン管(CRT)テレビシステムから既知であるインタレース走査手法が適用される。CRTシステムと同様に、このようなインタレース走査手法は、試料における帯電効果を軽減することが知られている。シングルビーム顕微鏡に関する同様の方法が、非特許文献1に記載されている。
【0008】
しかしながら、マルチビーム荷電粒子顕微鏡はさらなる難題をもたらす。第1に、データ生成量がはるかに多くなり、画像データが複数のビームレットについて並行して生成される。第2に、数年前の要件に比べて、最近の要件は、はるかに高い精度の走査制御及びデータ取得の制御を必要とする。第3に、複数のサブフィールドが並行して走査され結像される。さらなる要件及び制限が現れ、例えば、複数J個の一次荷電粒子ビームレットの距離又はピッチ、並びに走査誘起歪み又は画像後処理要件を考慮しなければならない。
【0009】
シングルビーム走査電子顕微鏡(SEM)では、走査誘起歪みの事前補償が当該技術分野において既知であり容易である。さらに、シングルビーム走査電子顕微鏡の走査経路構成の選択が略無限である。例えば、倍率又は分解能をシングルビームラスタスキャナにより略任意に修正することができる。しかしながら、これは、複数J個の一次荷電粒子ビームレットが所与のピッチのラスタ構成で配置されているマルチビーム荷電粒子走査顕微鏡では困難である。複数J個の一次荷電粒子ビームレットは、並行して一括走査され、複数J個の画像サブフィールドからの複数J個のデジタル画像データが並行して収集される。例えば、走査動作の倍率又は向きを任意に変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7244949号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/035554号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第10720306号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】"Reduction of Charging Effects Using Vector Scanning in the Scanning Electron Microscope", by J.T.L. THONG, K.W. LEE,W.K. WONG, SCANNING VOL. 23, 395-402 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、高い結像精度及び高速又は高スループットのウェーハ検査のための、複数J個の一次荷電粒子ビームレットを用いるマルチビーム荷電粒子走査検査システムを提供することである。本発明のさらに別の課題は、ウェーハの検査中の帯電効果の軽減を改善したマルチビーム荷電粒子検査システムを提供することである。本発明のさらに別の目的は、取得された画像サブフィールドの後処理及び画像サブフィールドからの画像パッチの形成に対する需要が低減したマルチビーム荷電粒子検査システムを提供することである。本発明のさらに別の目的は、異なるスキャンプログラム又は走査パターンで複数J個の画像サブフィールドを一括走査結像するよう構成された、複数J個の一次荷電粒子ビームレットを用いるマルチビーム荷電粒子走査検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、複数J個の一次荷電粒子ビームレットを用いるマルチビーム荷電粒子走査顕微鏡のための改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットが提供される。改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットでは、高精度で且つ高速画像取得と同期した、複数の一次荷電粒子ビームレットの一括走査が可能である。本発明の一態様によれば、種々のスキャンプログラム又は走査パターンが、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットにより高精度で、例えば1nm未満の歪みで可能となる。画像パッチの複数の画像サブフィールドの画像取得は、被選択スキャンプログラム又は走査パターンと同期される。一例では、画像取得は、大掛かりな画像後処理の必要なく可能である。本発明の一態様によれば、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットは、複数の一次荷電粒子ビームレットの種々のスキャンプログラム又は走査パターンと、画像パッチの複数の画像サブフィールドの同期した高速画像取得とを可能にする。本発明のさらに別の態様によれば、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットは、複数の一次荷電粒子ビームレットのスキャンプログラム又は走査パターン及び画像パッチの複数の画像サブフィールドの画像取得の中断を可能にする。第1スキャンプログラムの中断中に、第2スキャンプログラムによる複数の一次荷電粒子ビームレットの一括走査を含むさらなるタスク又は動作が可能となる。
【0014】
第1実施形態による方法では、マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡の走査誘起歪みを最小化する、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットの動作方法が提供される。第2実施形態では、被選択スキャンプログラム又は走査パターンに従った一括ラスタ走査及び画像取得を可能にする、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットの動作方法が提供される。第3実施形態では、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットが提供される。本発明の実施形態により、結像性能が向上し、柔軟性が高くなり、且つ検査タスクのスループットが上がる。
【0015】
第2実施形態によるマルチビーム走査・画像取得方法では、構成ステップにおいてスキャンプログラムが選択され供給される。マルチビーム走査・画像取得方法は、第1包括スキャン処理ステップ、第2特定走査偏向制御ステップ、及び第3画像データ取得ステップに分けられる。
【0016】
第1包括スキャン処理ステップは、スキャンコマンド受付ステップ及びスキャンコマンド処理ステップの少なくとも一方を含んでいる。被選択スキャンプログラムが改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットにより受け取られ、画像サブフィールド内のユニットサブフィールド座標におけるユニット走査座標、例えば画素座標のシーケンスに整数精度で変換される。第1包括スキャン処理ステップは、頂点後処理ステップをさらに含んでいる。被選択スキャンプログラムに従って、事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスが第1包括スキャン処理ステップにおいて生成され、第2特定走査偏向制御ステップに供給される。各走査偏向制御ステップは、特定変換ステップ、頂点後処理ステップ、デジタル-アナログ変換ステップ、及び増幅ステップの少なくとも1つを含んでいる。第3画像データ取得ステップは、AD変換ステップ、デジタル画像データ選択ステップ、及びデジタル画像データアドレッシング・書き込みステップを含んでいる。デジタル画像データアドレッシング・書き込みステップにおいて、複数の画像データが、複数の画像サブフィールドに対応する複数の画像データの複数の画素座標に対応する一次ストレージのパラレルアクセスメモリに書き込まれる。さらなる並列読み出し・画像処理ステップにおいて、複数の画像データがパラレルアクセスメモリから読み出され、画像データは後処理される。
【0017】
第1包括スキャン処理ステップ及び第2走査偏向制御ステップにおけるモジュール分離には、包括スキャン処理ステップの適合又は変更の必要なく、各特定走査偏向制御ステップを異なる特定の第1一括マルチビームラスタ走査システム又は第2一括マルチビームラスタ走査システムに合わせて調整又は較正することができるという利点がある。したがって、例えば八重極スキャナ又は一連の四重極スキャナ、一連の双極スキャナ又は他の一括マルチビームラスタ走査システムが用いられるか否かに応じて、例えば特定の第1一括マルチビームラスタ走査システムに必要とされるように特定走査偏向制御ステップを修正することが可能である。第1包括スキャン処理ステップ及び第2走査偏向制御ステップにおけるモジュール分離により、マルチビーム荷電粒子システムの系統的な収差が実際の一括走査システムの特定の収差又は非線形効果から分離される。マルチビーム荷電粒子システムの系統的な収差は、第1包括スキャン処理ステップにおいて事前補償される。実際の一括走査システム、例えばいずれの場合も増幅ステップ中の電圧増幅の非線形性をそれぞれ含む第1一括マルチビームラスタスキャナ又は第2一括マルチビームラスタスキャナの特定の収差又は非線形効果は、第2特定走査偏向制御ステップにおいて事前補償される。一例では、マルチビーム走査・画像取得方法は、第1一括マルチビームラスタスキャナの動作制御のための第1走査偏向制御ステップと、第2一括マルチビームラスタスキャナの動作制御のための第2走査偏向制御ステップとを含む。マルチビーム走査・画像取得方法は、さらなる走査偏向制御ステップを含むことができる。
【0018】
第1包括スキャン処理ステップ及び第3画像データ取得ステップにおけるモジュール分離には、種々の複雑なスキャンプログラムを、複数J個の一次荷電粒子ビームレットの一括走査動作と同期した複数J個のサブフィールドの画像取得用に選択し構成することができるという利点がある。例えば、画像データ取得ステップに対するユニットスキャンコマンドの生成及び供給により、イメージセンサからのJ個の変動電圧ストリームが、変換、選択、及び分類されてユニット走査座標にそれぞれ従った複数J個のアドレスでパラレルアクセスメモリに書き込まれる。種々のスキャンプログラムで、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データの複数J個のメモリアドレスポインタシーケンスが生成され、複数J個の画像データは、複数J個のメモリアドレスポインタシーケンスでパラレルアクセスメモリに書き込まれる。この方法では、任意又はランダムな走査パターン、分離した走査経路、又は分解能を段階的に向上させた走査パターンを有するスキャンプログラムを含む、種々のスキャンプログラムが可能である。
【0019】
本発明のさらに別の態様において、選択されている第1スキャンプログラムを中断することができ、第1スキャンプログラムの中断中に第2スキャンプログラム又は走査パターンを選択することができる。例えば、第2走査パターンに従った複数J個の画像サブフィールドの複数J個の画像セグメントの較正測定又は反復測定が、第1スキャンプログラムの中断中に実行され、マルチビーム荷電粒子顕微鏡のドリフト等の実際の性能特性が監視される。第2スキャンプログラム又は走査パターンに対応するデジタル画像データは、第1スキャンプログラムのデジタル画像データとは異なるメモリアドレスに書き込まれる。
【0020】
マルチビーム走査・画像取得の方法は、動作の同期と、マルチビーム走査・画像取得方法中に生成されたデータのストリーム又はシーケンスのクロッキング及びストリーミングとに、共通のクロック信号を利用する。共通のクロック信号は、例えば包括スキャン処理ステップにおいて生成され、第2走査偏向制御ステップ及び第3画像データ取得ステップに供給される。並列読み出し・画像処理ステップが、異なる又は同じクロック周波数で動作し得る。マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡の統括制御ユニットは、異なる又は同じクロック周波数で動作し得る。マルチビーム走査・画像取得方法において、例えばDA変換ステップとAD変換ステップとを同期させて、ラスタ走査偏向及び画像画素データ収集の同期をとる。AD変換ステップの後のデータ処理における遅延と、DA変換ステップの後の増幅ステップ及び一括偏向ステップの遅延とを、例えばデジタル画像データ選択ステップにおいて較正し考慮することができる。それにより、ローカルサブフィールドp,q座標の実際のスキャン位置に対応する複数のデジタル画像画素データが、複数のメモリアドレスに、つまり複数のメモリアドレスのそれぞれにおいてサブフィールド座標(p,q)の実際のスキャン位置に対応するユニットスキャンコマンドに対応するアドレスに書き込まれる。
【0021】
第1実施形態による方法では、走査誘起歪みは走査誘起歪みの原点に関係なく全体的に最小化される。第1実施形態によれば、最大走査誘起歪みを低減する、マルチビーム荷電粒子走査電子顕微鏡を較正する方法であって、較正用試料の表面にわたって第1駆動信号V1(p,q)で一括マルチビームラスタスキャナにより複数J個の一次荷電粒子ビームレットをラスタ走査することにより較正測定を実行する第1ステップを含む方法が提供される。較正測定から複数の走査誘起歪みパターンを導出する第2ステップにおいて、走査誘起歪みパターンが複数の一次荷電粒子ビームレットそれぞれについて導出される。第3ステップにおいて、複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンが例えば統計的方法により分析され、補正信号C(p,q)が導出される。一例では、分析する第3ステップは、統計的方法により複数の走査誘起歪みパターンの基準歪みパターンを導出するステップを含み、統計的方法は、平均値の計算、加重平均値、又は中央値の計算を含む。補正信号C(p,q)は、基準歪みパターンから導出される。方法の第4ステップにおいて、第1駆動信号V1(p,q)が補正信号C(p,q)で修正され、第1一括マルチビームラスタスキャナを駆動するための修正駆動信号V2(p,q)が導出される。修正駆動信号V2(p,q)を第1一括マルチビームラスタスキャナに適用することにより、基準歪みパターンが複数の走査誘起歪みパターンのそれぞれについて事前補償され、最大走査誘起歪みが最小化される。一例では、最大走査誘起歪みが所定の閾値未満に最小化されるまで、第1~第4ステップが繰り返される。
【0022】
第1実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子走査電子顕微鏡1を較正する方法であって、
較正用試料の表面25にわたって第1駆動信号V1(p,q)で一括マルチビームラスタスキャナ110により複数の一次荷電粒子ビームレット3をラスタ走査することにより較正測定を実行する第1ステップと、
較正測定から複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンを導出する第2ステップであり、走査誘起歪みパターンを複数の一次荷電粒子ビームレット3それぞれについて導出することを含む第2ステップと、
複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンを分析して補正信号C(p,q)を導出する第3ステップと、
第1駆動信号V1(p,q)を補正信号C(p,q)で修正して、一括マルチビームラスタスキャナ110を駆動するための修正駆動信号V2(p,q)を導出する第4ステップと
を含んでおり、最大走査誘起歪みが最小化される。
【0023】
一例では、分析する第3ステップは、
平均値、加重平均値、又は中央値の計算のいずれかを含む統計的方法により複数の走査誘起歪みパターンの基準歪みパターンを導出するステップと、
基準歪みパターンから補正信号C(p,q)を導出するステップと
をさらに含む。
【0024】
一例では、複数の一次荷電粒子ビームレットのそれぞれの最大走査誘起サブフィールド歪みが所定の閾値未満に最小化されるまで、第1~第4ステップが繰り返される。一例では、複数の一次荷電粒子ビームレット3の最大走査誘起サブフィールド歪みの大半が所定の閾値未満に低減され、少数の個別一次荷電粒子ビームレットの最大走査誘起サブフィールド歪みが所定の閾値を超える。所定の閾値を超える少数の個別一次荷電粒子ビームレットにはフラグが立てられ、フラグ付きの一次荷電粒子ビームレットに対応する画像サブフィールドの走査誘起サブフィールド歪みは、例えばデジタル画像後処理により補償される。一例では、補正信号C(p,q)は、被選択スキャンプログラムに従った走査誘起歪みの事前補償のために一括マルチビームラスタスキャナの制御ユニットのメモリに記憶される。走査動作中、制御ユニットは、被選択スキャンプログラムに従った複数の一次荷電粒子ビームレットの一括ラスタ走査中に補正信号C(p,q)を適用し、基準歪みパターンに従った平均走査誘起歪みが事前補償される。
【0025】
第1実施形態の方法では、補正関数C(p,q)が生成され、これにより、複数の一次荷電粒子ビームレットの走査誘起サブフィールド歪みが、例えば1/2に、又は例えば閾値未満の、例えば1nm未満又は0.5nm未満の残留走査誘起歪みを達成するように最小化される。補正関数C(p,q)は、使用中に走査電圧信号に適用される。
【0026】
第2実施形態によれば、複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレットの一括走査を制御し、且つマルチビーム荷電粒子顕微鏡で複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを取得するための、マルチビーム走査・画像取得方法が提供される。方法は、
複数のスキャンプログラムを供給し且つ被選択スキャンプログラムを選択する構成ステップと、
被選択スキャンプログラムを受け取り、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス及び選択制御信号を被選択スキャンプログラムから生成する、包括スキャン処理ステップと、
少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスから生成し、且つ少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを、試料の表面上の複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレットの一括偏向のための一括偏向ステップに供給する、特定走査偏向制御ステップと、
アナログデータ収集ステップ中にイメージセンサユニットから収集されたJ個の変動電圧ストリームを変換し選択してJ個のデジタル画像データ値ストリームを形成する、画像データ取得ステップであり、J個のデジタル画像データ値ストリームは、複数J個のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込まれて複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを形成し、選択及び書き込みは、包括スキャン処理ステップで生成され供給される選択制御信号により制御される、画像データ取得ステップと
を含む。
【0027】
方法はさらに、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを共通のアクセスメモリから読み出して画像処理を実行する、並列読み出し・画像処理ステップを含む。画像処理は、画像フィルタリング、画像登録、閾値演算、オブジェクト検出、画像オブジェクトの寸法測定、歪み補償、コントラスト強調、逆畳み込み演算、又は画像相関の1つを含み得る。画像処理はさらに、複数J個のデジタル画像データから単一のデジタル画像ファイルを形成するためのスティッチング演算を含み得る。
【0028】
一例では、包括スキャン処理ステップ中に、少なくとも第1ユニットスキャンコマンドシーケンスが正規化サブフィールド座標(u,v)で生成される。第1ユニットスキャンコマンドシーケンスは、回転、縮尺変更、又はメモリから受け取った所定の補正関数C(p,q)の考慮の1つを含む演算の適用により、画像サブフィールド座標(p,q)で事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスに変換される。
【0029】
一例では、包括スキャン処理ステップ中に生成された選択制御信号は、少なくとも第1ユニットスキャンコマンドシーケンスを含み、画像データ取得ステップ中に、J個のデジタル画像データ値ストリームが、複数J個の画像サブフィールド座標及び第1ユニットスキャンコマンドシーケンスに対応する複数J個のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込まれる。
【0030】
一例では、包括スキャン処理ステップ中に、同期制御コマンドが走査同期制御ステップと交換される。
【0031】
一例では、複数J個の一次荷電粒子ビームレットは、ステージ又はステージ上に取り付けられた試料の座標系の向きに対する回転角だけ使用中に回転させたラスタ構成で構成され、包括スキャン処理ステップ中に、ユニットスキャンコマンドシーケンスは、ラスタ構成の回転を補償するように調整される。
【0032】
動作方法及びマルチビーム荷電粒子ビーム顕微鏡は、被選択スキャンプログラムに従った複数の荷電粒子ビームレットによる同期走査動作及び画像取得の手段を含み、被選択スキャンプログラムは、マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡の制御ユニットのメモリに記憶された種々のスキャンプログラムからの検査タスクに従って選択され得る。
【0033】
一実施形態によれば、第1又は第2実施形態の方法又は方法ステップのいずれかを実行するよう構成されたマルチビーム荷電粒子顕微鏡が提供される。
【0034】
第3実施形態によれば、改良型のマルチビーム走査・画像取得ユニットが、画像取得ユニットに接続されたスキャン制御ユニットを含む。スキャン制御ユニットは、使用中に、被選択スキャンプログラムに従った各画像サブフィールドのスキャン座標を表す少なくともデジタル信号ストリームを生成し且つデジタル信号ストリームを一括マルチビームラスタスキャナの駆動のための少なくとも駆動電圧シーケンス又はストリームに変換するよう構成される。使用中に、一括マルチビームラスタスキャナは、駆動電圧シーケンスに従って複数J個の画像サブフィールドにわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレットを走査偏向するよう構成される。デジタル画像取得ユニットが、複数J個の画像サブフィールドから複数J個の画像信号に対応する複数J個のデジタル画像データシーケンス又はストリームを取得するよう構成される。デジタル画像取得ユニットは、スキャン制御ユニットに接続され、画像取得を被選択スキャンプログラムと同期させ且つ被選択スキャンプログラムのスキャン座標のシーケンスに従って複数J個のメモリ位置にデジタル複数J個の画像データストリームを書き込むよう構成される。被選択スキャンプログラムは、複数の異なるスキャンプログラムのうちの1つとすることができ、例えば直線及び点座標を含むスキャンコマンドシーケンスにより、又は例えば反復機能ループを含む機能記述により記述される。異なるスキャンプログラムを制御ユニットのメモリに記憶させることができ、マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡1での特定の検査タスクに選択することができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数J個の画像サブフィールド31.11~31.MNにわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を一括走査する少なくとも1つの第1一括ラスタスキャナ110と、
J個の画像サブフィールド31.11~31.MNの1つにそれぞれ対応する複数J個の二次電子ビームレット9を検出する検出器207を含む検出系200と、
結像制御モジュール820であり、
第1一括ラスタスキャナ110に接続され、使用中に第1被選択スキャンプログラム762に従った第1一括ラスタスキャナ110での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のラスタ走査動作を制御するよう構成されたスキャン制御ユニット930、及び
スキャン制御ユニット930及び検出器207に接続され、使用中にスキャン制御ユニット930により供給されたクロック信号と同期して検出器207からの複数J個の画像データを取得し選択するよう構成され、且つ複数J個の画像データを第1被選択スキャンプログラム762に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成された、画像データ取得ユニット810
を含む結像制御モジュール820と
を備えている。
【0036】
一例では、スキャン制御ユニット930は、使用中にクロック信号をスキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に供給するよう構成されたクロック信号生成器938を含む。スキャン制御ユニット930は、ラスタ走査動作と同期動作するよう構成された少なくとも別のシステム960にさらに接続することができる。別のシステム960は、使用中に複数J個の一次荷電粒子をビームダンプ130へ一括偏向するよう構成された一括偏向器350であり得る。
【0037】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、検出系200に配置された第2一括ラスタスキャナ222をさらに含み得る。スキャン制御ユニット930は、第2一括ラスタスキャナ222にさらに接続される。
【0038】
第3実施形態の結像制御モジュール820は、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に電圧を供給するよう構成され且つ使用中に第1一括ラスタスキャナ110又は第2一括ラスタスキャナ222に駆動電圧を供給するよう構成された電圧源925を含み得る。
【0039】
一実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡1のスキャン制御ユニット930は、
クロックユニット938に接続されたスキャンジェネレータモジュール932と、
第1一括ラスタスキャナ110に接続された第1増幅器モジュール936.1と、
第2一括ラスタスキャナ222に接続された第2増幅器モジュール936.2と
を含み、スキャンジェネレータモジュール932は、使用中に第1増幅器モジュール936.1及び第2増幅器モジュール936.2に対して事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスを生成して供給するよう構成され、且つ
第1増幅器モジュール936.1は、使用中に第1一括ラスタスキャナ110の電極に対して少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成され、
第2増幅器モジュール936.2は、使用中に第2一括ラスタスキャナ222の電極に対して少なくとも第2増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成される。
【0040】
スキャン制御ユニット930は、使用中にラスタ走査偏向と同期動作するよう構成されたシステム960.3に接続された、少なくとも別の増幅器モジュール936.3をさらに含み得る。スキャンジェネレータモジュール932は、画像取得モジュール810にさらに接続され得る。
【0041】
一実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子走査顕微鏡1の画像データ取得ユニット810は、
イメージセンサ207に接続されて使用中に複数S個の変動電圧786を複数S個のデジタルセンサデータストリーム788に変換するよう構成された複数のAD変換器を含む、ADCモジュール1808と、
ADCモジュール1808及びスキャン制御ユニット930に接続され、使用中に、複数S個のデジタルセンサデータストリーム788と、被選択スキャンプログラム762に従ってスキャン制御ユニット930により使用中に供給された選択制御信号744とから、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム790を選択するよう構成された、取得制御ユニット1812と、
取得制御ユニット1812、スキャン制御ユニット930、及びパラレルアクセスメモリ1816に接続された画像データ分類器1820と
を含み、画像データ分類器1820は、使用中に、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム790を被選択スキャンプログラム762に従った複数S個の一次荷電粒子ビームレット3のスキャン位置に対応する複数のメモリアドレスでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成される。一例では、結像制御モジュール820が、複数L個の画像データ取得ユニット810を含み、この場合、Jをマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の使用中に生成され利用される複数の一次ビームレット3の数としてS×L=Jである。一例では、結像制御モジュール820が画像データ取得ユニット810を含み、この場合、Jをマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の使用中に生成され利用される複数の一次ビームレット3の数としてS=Jである。一例では、画像データ取得ユニット810の数Lは、単一の画像データ取得ユニット810により処理され得る一次ビームレット3にそれぞれ対応する変動電圧786の数Sに従って選択される。数Sは、例えばS=6、8、10、12、又はさらに多くの変動電圧786とすることができる。数Lは、L=1、8、10、12、20、又はそれ以上とすることができ、例えばLは100とすることができる。
【0042】
ADCモジュールは、クロックユニットに接続されることができ、使用中にクロックユニット938からクロック信号を受け取るよう構成され且つ使用中に複数J個の変動電圧786を複数J個のデジタルセンサデータストリーム788に変換する複数のAD変換器の動作を同期させるよう構成され得る。クロックユニット938は、制御ユニット800に接続されることができ、制御ユニット800から制御信号を受け取るよう構成され得ると共に、使用中にクロックユニット938のクロック周波数を変更するよう構成され得る。
【0043】
一実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数の一次荷電粒子ビームレットを生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
被選択スキャンプログラム762で試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備えており、スキャン制御ユニット930は、包括スキャンジェネレータモジュール932と、第1一括ラスタスキャナ110の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する少なくとも第1増幅モジュール936.1と、第2一括ラスタスキャナ220の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する第2増幅モジュール936.2とを含んでおり、
スキャン制御ユニット930は、使用中に被選択スキャンプログラム762と同期動作する第3動作ユニット960.3又は別の動作ユニット960.nの制御用の第3増幅器モジュール936.3又は別の増幅器モジュール936.nを任意に含むようになされる。
【0044】
一例では、包括スキャンジェネレータモジュール932は、使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の系統的な走査誘起収差を事前補償するよう構成された頂点後処理ユニットを含む。各増幅器モジュールは、頂点後処理ユニット、デジタル-アナログ変換器、及び増幅器を含み、各増幅器モジュールにおいて、同期動作する動作ユニット960.iと併せた増幅器モジュールの動作の非線形性が、動作ユニット960.i毎に個別に事前補償される。動作ユニット960.iは、第1一括マルチビームラスタスキャナ110及び第2マルチビーム一括ラスタスキャナ222であり得る。
【0045】
一例では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡が、複数の一次荷電粒子ビームレットを六角形ラスタ構成で生成するよう構成されたマルチビーム生成器を備えており、結像制御モジュールは、それぞれが六角形である複数の画像サブフィールドを有するウェーハ等の試料の検査部位を走査し結像するよう構成される。したがって、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数の一次荷電粒子ビームレット3を六角形ラスタ構成で生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
それぞれが六角形である複数J個の画像サブフィールド31を有する試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備えている。
【0046】
一例では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡が、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
対物レンズ102と、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の走査を制御するため及び複数J個の画像サブフィールド31に配置された複数の走査ラインでの試料の表面の画像パッチの取得を制御するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備え、結像制御モジュール820は、試料の向きに対する複数の走査ラインの向きを変更するよう構成される。一例では、結像制御モジュール820はさらに、画像パッチをカバーするように複数J個の画像サブフィールド31のサイズを変えるために、少なくとも走査ラインの長さ又は走査ラインの数を変更するよう構成される。一例では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、対物レンズ102の動作条件を制御する制御ユニット800をさらに備え、複数の走査ラインの向きの変更は、対物レンズ102の動作条件の変化により誘起された複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のラスタ構成の回転に従ったものである。動作条件の変化は、例えば、試料表面とマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の基準面との間の作動距離の変化、又はマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の焦点面の変化、又はマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の倍率の変化であり得る。
【0047】
一実施形態によれば、マルチビーム走査・画像取得方法は、被選択スキャンプログラムを選択するステップと、被選択スキャンプログラムに従って試料の表面上の複数J個の画像フィールドにわたり複数J個の一次荷電粒子ビームレットを一括偏向するステップとを含む。方法はさらに、J個の変動電圧ストリームを取得するステップと、J個の変動電圧ストリームをクロックレートで変換してJ個のデジタル画像データ値ストリームを形成するステップとを含む。方法はさらに、J個のデジタル画像データ値ストリームのそれぞれからの少なくとも2つのデジタル画像データ値を処理して、デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を形成するステップと、デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を含むJ個のデジタル画像データ値ストリームを規定のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込むステップとを含む。この例では、複数の画像サブフィールドの各画像サブフィールド内の各画素位置が、長い滞在時間で一次荷電粒子ビームレットにより照明される。長い滞在時間は、クロックレートの逆数のG倍に相当することができ、ここでGはG=2、3、4、又はそれ以上の整数である。別の例では、スキャンプログラムは、個別走査パターンを含み、個別スキャン内での各画素位置55の反復走査照明をさらに含む。例えば画素又はライン平均化を含むこの方法では、物体の表面領域から収集されたデジタル画像データの信号対雑音比(SNR)を大きくすることが可能であり、より高いSNRで被選択領域の画像と組み合わせて物体の表面領域の外観画像を達成することが例えば可能である。
【0048】
本発明の実施形態では、より柔軟性の高い走査・画像取得方法が可能であり、より柔軟性の高い画像走査・データ処理アーキテクチャが与えられる。本発明の例及び実施形態では、マルチビーム荷電粒子の結像精度及びスループットが向上する。例えば、走査誘起収差が例えば走査の非線形性の事前補償により最小化される。例えば、六角形の画像サブフィールドを利用することにより、矩形の画像サブフィールドに比べて走査偏向の最大量が減り、画像パッチの大きな表面積の走査結像時に、同じスループット又は画像取得時間で誘起収差は低減し結像性能は向上する。例えば、各画像サブフィールドは異なる任意に分離した走査パターンでセグメント化され、試料の帯電が制御される。例えば、画像後処理に対する需要が低減し、画像データは高精度且つ高スループットで生成される。
【0049】
さらなる詳細は、実施形態の例に記載される。さらに他の実施形態は、以下に記載する例及び実施形態の組み合わせ又は変形形態を含む。添付図面を参照してさらなる詳細を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】一実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡システムの図である。
【
図2】偏向器及びビームダンプを備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡システムのさらなる詳細の図である。
【
図3】第1及び第2画像パッチを含む第1検査部位と第2検査部位との座標の図である。
【
図4】選択された一次荷電粒子ビームレットの例での第1一括マルチビームラスタスキャナの動作の図である。
【
図5】走査誘起歪みの事前補償前(a)及び事前補償後(b)の複数の一次荷電粒子ビームレットのそれぞれの最大走査誘起歪みの図である。
【
図6】非線形駆動電圧による第1一括マルチビームラスタスキャナの非線形挙動の補償の図である。
【
図7】マルチビーム走査・画像取得方法の図である。
【
図8】結像制御モジュール及び関連のモジュールのアーキテクチャの図である。
【
図9】スキャン制御ユニット及び関連のユニット又はモジュールの図である。
【
図11】画像データ取得ユニット及び関連のユニット又はモジュールの図である。
【
図12】(a)第1スキャンプログラムに従った例示的な一次ビームレットの走査経路及び(b)結像制御モジュール及び関連のモジュール内で交換されたいくつかの信号の図である。
【
図13】(a)スキャンプログラムに従った例示的な一次ビームレットの走査経路及び(b)結像制御モジュール及び関連のモジュール内で交換されたいくつかの信号の図である。
【
図14】さらに別のスキャンプログラムの走査経路の図である。
【
図15】一次荷電粒子ビームレットの六角形ラスタ構成を有する六角形画像サブフィールドに従ったスキャンプログラムの図である。
【
図16】適合したスキャンプログラムでの六角形ラスタ構成の回転の補償の図である。
【
図18】マルチビーム走査・画像取得方法によるメモリ割り当ての図である。
【
図19】画素平均化を利用するマルチビーム走査・画像取得方法によるメモリ割り当ての図である。
【
図20】ライン平均化を利用するマルチビーム走査・画像取得方法によるメモリ割り当ての図である。
【
図21】一時メモリを利用するマルチビーム走査・画像取得方法によるメモリ割り当ての図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に記載する本発明の例示的な実施形態において、機能及び構造が同様のコンポーネントは、できる限り同様又は同一の参照符号で示す。
【0052】
図1の概略図は、本発明の実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡システム1の基本的な特徴及び機能を示す。図中で用いる符号は、それぞれの機能性を表すために選択されていることに留意されたい。図示のシステムのタイプは、上面25を対物レンズ102の物体面101に位置付けたウェーハ等の物体7の表面25に複数の一次荷電粒子ビームスポット5を生成するために複数の一次電子ビームレット3を用いるマルチビーム走査電子顕微鏡(MSEM又はマルチSEM)のタイプである。簡単のために、5つの一次荷電粒子ビームレット3及び5つの一次荷電粒子ビームスポット5のみを図示する。マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システム1の特徴及び機能は、電子又はイオン及び特にヘリウムイオン等の他のタイプの一次荷電粒子を用いて実現することができる。顕微鏡システム1のさらなる詳細は、参照により本明細書に完全に援用する2020年8月5日に出願された独国特許出願第102020209833.6号に示されている。
【0053】
顕微鏡システム1は、物体照射ユニット100と、検出ユニット200と、一次荷電粒子ビーム経路13から二次荷電粒子ビーム経路11を分離するビームスプリッタユニット400とを備える。物体照射ユニット100は、複数の一次荷電粒子ビームレット3を生成する荷電粒子マルチビーム生成器300を含み、複数の一次荷電粒子ビームレット3を物体面101に集束させるようになされており、物体面101には、ウェーハ7の表面25が試料ステージ300により位置決めされる。
【0054】
一次ビーム生成器300は、物体照射ユニット100の像面湾曲を補償するために通常は球状曲面である中間像面321で複数の一次荷電粒子ビームレットスポット311を生成する。一次ビームレット生成器300は、一次荷電粒子源301、例えば電子源を含む。一次荷電粒子源301は、発散一次荷電粒子ビーム309を放出し、これが少なくとも1つのコリメートレンズ303によりコリメートされてコリメートビームを形成する。コリメートレンズ303は、通常は1つ又は複数の静電レンズ又は磁気レンズからなるか、又は静電レンズ及び磁気レンズの組み合わせからなる。コリメート一次荷電粒子ビームは、一次マルチビーム形成ユニット305に入射する。マルチビーム形成ユニット305は、一次荷電粒子ビーム309により照明される第1多孔プレート306.1を基本的に含む。第1多孔プレート306.1は、複数の一次荷電粒子ビームレット3を生成するためのラスタ構成の複数の開孔を含み、一次荷電粒子ビームレット3は、コリメート一次荷電粒子ビーム309が複数の開孔を透過することにより生成される。マルチビームレット形成ユニット305は、ビーム309の電子の移動方向に関して第1多孔プレート306.1の下流に位置付けられた少なくともさらに他の多孔プレート306.2を含む。例えば、第2多孔プレート306.2が、マイクロレンズアレイの機能を有し、中間像面321における複数の一次ビームレット3の焦点位置が調整されるように規定の電位に設定されることが好ましい。第3の能動多孔プレート装置(図示せず)が、複数のビームレットのそれぞれに個別に影響を及ぼすために複数の開孔それぞれに個別の静電素子を含む。能動多孔プレート装置は、マイクロレンズ用の円形電極、静電偏向器アレイ、マイクロレンズアレイ、又はスティグメータアレイを形成するための多重極電極又は多重極電極シーケンス等の静電素子を有する1つ又は複数の多孔プレートからなる。マルチビームレット形成ユニット305は、隣接する第1静電視野レンズ307を有する構成であり、第2視野レンズ308及び第1又は第2多孔プレートと共に、複数の一次荷電粒子ビームレット3を中間像面321に又はその近傍に集束させる。マルチビーム形成ユニット305の下流に、走査歪み補償器アレイ601を配置することができる。
【0055】
中間像面321又はその近傍において、静電ビームステアリング多孔プレート390に、静電素子、例えば偏向器を有する複数の開孔が配置され、複数の荷電粒子ビームレット3のそれぞれを個別に操作する。ビームステアリング多孔プレート390の開孔は、複数の一次荷電粒子ビームレット3の焦点スポットがそれらの設計位置からずれている場合でも一次荷電粒子ビームレット3の通過を可能にするようにより大きな直径で構成される。中間像面321の近傍に、走査誘起テレセントリシティ誤差の補償用の走査補償器アレイ602を配置することができる。一次荷電粒子源301及び能動多孔プレート装置306.1…306.2と、走査歪み補償器アレイ601と、ビームステアリング多孔プレート390と、走査誘起テレセントリシティ誤差の補償用の走査補償器アレイ602とは、制御ユニット800に接続された一次ビームレット制御モジュール830により制御される。
【0056】
中間像面321を通る一次荷電粒子ビームレット3の複数の焦点は、視野レンズ群103及び対物レンズ102により像面101に結像され、像面101にはウェーハ7の表面25が位置決めされている。物体照射系100は、第1ビームクロスオーバ108の近傍に、複数の荷電粒子ビームレット3をビーム伝播方向に対して垂直な方向に偏向することができる一括マルチビームラスタスキャナ110をさらに含む。一括マルチビームラスタスキャナ110は、一括マルチビームラスタスキャナ110を通る複数の一次荷電粒子ビームレット3を異なる伝播角βで走査偏向するよう構成される。対物レンズ102及び一括マルチビームラスタスキャナ110は、ウェーハ表面25に対して垂直なマルチビームレット荷電粒子顕微鏡システム1の光軸105を中心とする。ラスタ構成で配置された複数のビームスポット5を形成する複数の一次荷電粒子ビームレット3は、ウェーハ表面101にわたって同期走査される。一例では、複数の一次荷電粒子ビームレット3の焦点スポット5のラスタ構成は、約100個以上の一次荷電粒子ビームレット3の六角形ラスタである。一次ビームスポット5は、約6μm~15nmの距離及び5nm未満、例えば3nm、2nm、又はそれ以下の直径を有する。一例では、ビームスポットサイズは約1.5nmであり、2つの隣接するビームスポット間の距離は8μmである。複数の一次ビームスポット5のそれぞれの各スキャン位置で、複数の二次電子がそれぞれ生成され、一次ビームスポット5と同じラスタ構成で複数の二次電子ビームレット9を形成する。各ビームスポット5で生成された二次荷電粒子ビームレット9の強度は、対応するスポット5を照明する入射一次荷電粒子ビームレット3の強度と、ビームスポット5がある物体7の材料組成及びトポグラフィと、ビームスポット5における試料の帯電条件とに応じて変わる。二次荷電粒子ビームレット9は、試料帯電ユニット503により生成された静電界により加速され、対物レンズ102により集束され、ビームスプリッタ400により検出ユニット200へ指向される。検出ユニット200は、二次電子ビームレット9をイメージセンサ207に結像して複数の二次荷電粒子像点15を形成する。検出器又はイメージセンサ207は、複数の検出器画素又は個別の検出器を含む。複数の二次荷電粒子ビームスポット15のそれぞれについて、強度が別個に検出され、ウェーハ表面25の材料組成がウェーハの大きな画像パッチに対して高分解能で且つ高スループットで検出される。例えば、8μmピッチの10×10ビームレットのラスタの場合、例えば2nm以下の画像分解能で、一括マルチビームラスタスキャナ110での1回の画像スキャンで約88μm×88μmの画像パッチが生成される。画像パッチは、ビームスポットサイズの半分で、よって各ビームレットについて画像ライン毎に8000画素の画素数でサンプリングされるので、100個のビームレットにより生成された画像パッチが6.4ギガピクセルを含むようになる。デジタル画像データは、制御ユニット800により収集される。例えば並列処理を用いたデジタル画像データの収集及び処理の詳細は、独国特許出願第102019000470.1号及び米国特許第9,536,702号に記載されており、これらを参照により本明細書に援用する。
【0057】
複数の二次電子ビームレット9は、第1一括マルチビームラスタスキャナ110を通って第1一括マルチビームラスタスキャナ110により走査偏向され、検出ユニット200の二次ビーム経路11を辿るようにビームスプリッタユニット400により導かれる。複数の二次電子ビームレット9は、一次荷電粒子ビームレット3から逆方向に進行しており、ビームスプリッタユニット400は、通常は磁界又は磁界及び静電界の組み合わせにより二次ビーム経路11を一次ビーム経路13から分離するよう構成される。場合によっては、付加的な磁気補正素子420が一次ビーム経路及び二次ビーム経路に存在する。投影系205は、走査・結像制御ユニット820に接続された少なくとも第2一括ラスタスキャナ222をさらに含む。制御ユニット800及び結像制御ユニット820は、複数の二次電子ビームレット9の複数の焦点15の位置の残差を補償するよう構成されるので、複数の二次電子焦点スポット15の位置はイメージセンサ207で一定に保たれる。
【0058】
検出ユニット200の投影系205は、さらに他の静電又は磁気レンズ208、209、210と、開孔214が位置付けられた複数の二次電子ビームレット9の第2クロスオーバ212とを含む。一例では、開孔214は、結像制御ユニット820に接続された検出器(図示せず)をさらに含む。結像制御ユニット820は、少なくとも1つの静電レンズ206及び第3偏向ユニット218にさらに接続される。投影系205は、複数の二次電子ビームレット9のそれぞれに個別に影響を及ぼす開孔及び電極を有する少なくとも第1多孔補正器220と、制御ユニット800又は結像制御ユニット820に接続された任意のさらに別の能動素子216とをさらに含む。
【0059】
イメージセンサ207は、投影レンズ205によりイメージセンサ207に集束された二次電子ビームレット9のラスタ配置に適合するパターンの感知領域のアレイにより較正される。これにより、イメージセンサ207に入射した他の二次電子ビームレットから独立した各個別二次電子ビームレットの検出が可能である。
図1に示すイメージセンサ207は、CMOSセンサ又はCCDセンサ等の電子感応性の検出器アレイであり得る。このような電子感応性の検出器アレイは、シンチレータ素子又はシンチレータ素子のアレイ等の電子-光子変換ユニットを含み得る。別の実施形態において、イメージセンサ207は、複数の二次電子粒子像点15の焦点面に配置された電子-光子変換ユニット又はシンチレータ板として構成され得る。この実施形態において、イメージセンサ207は、電子-光子変換ユニットにより二次荷電粒子像点5で生成された光子を複数の光電子増倍管又はアバランシェフォトダイオード等の専用の光子検出素子(図示せず)に結像し導くリレー光学系をさらに含み得る。このようなイメージセンサは、参照により援用する前掲の米国特許第9,536,702号に開示されている。一例では、リレー光学系は、光を分割して第1低速光検出器及び第2高速光検出器へ導くビームスプリッタをさらに含む。第2高速光検出器は、複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査速度に従って複数の二次電子ビームレット9の画像信号を分解するのに十分なほど高速であるアバランシェフォトダイオード等のフォトダイオードアレイにより例えば構成される。第1低速光検出器は、CMOS又はCCDセンサであることが好ましく、焦点スポット15又は複数の二次電子ビームレット9の監視用及びマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の動作の制御用の高分解能センサデータ信号を供給する。
【0060】
複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査による画像パッチの取得中に、ステージ500は移動しないことが好ましく、画像パッチの取得後に、ステージ500は取得すべき次の画像パッチに移動する。代替的な実施態様において、一括マルチビームラスタスキャナ110での複数の一次荷電粒子ビームレット3の第1方向の走査による画像の取得中に、ステージ500は第2方向に移動し続ける。ステージ移動及びステージ位置は、レーザ干渉計、格子干渉計、共焦点マイクロレンズアレイ又はそれに類するもの等の当該技術分野で既知のセンサにより監視され制御される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、複数の電気信号が生成されてデジタル画像データに変換され、制御ユニット800により処理される。画像スキャン中に、制御ユニット800は、複数の二次電子ビームレット9からの適時に分解された強度信号を所定の時間間隔で検出するようにイメージセンサ207をトリガするよう構成され、複数の一次荷電粒子ビームレット3の全てのスキャン位置から画像パッチのデジタル画像が蓄積されて継ぎ合わされる。さらなる詳細を以下に記載する。
【0062】
物体照射ユニット100のさらに他の態様を
図2に示す。
図1に示す要素に加えて、物体照射ユニット100は、一次ビーム経路3aに沿った第1ビーム経路から二次ビーム経路3bに沿った第2ビーム経路へ複数の一次ビームレット3を偏向するための少なくとも第1及び第2偏向器350及び351と、クロスオーバ面109に配置されたビームダンプ130とを含む、一組の偏向器を含む。ビームダンプ130は、中心のz軸105に対して軸外に配置され、複数の一次荷電粒子ビームレット3を吸収するよう構成される。少なくとも第1偏向器350は、結像制御ユニット820に接続される。少なくとも第1偏向器350がオフ状態の場合、複数の一次ビームレット3は、ビームダンプ130を越えてビーム経路3aを辿り、対物レンズ102により試料表面に集束される。少なくとも第1偏向器350がオン状態の場合、複数の一次ビームレット3は選択的に偏向され、ビームクロスオーバ面109のビームクロスオーバ108の近くでz軸に対して軸外の距離dに配置されたビームダンプ130へ導かれる。
【0063】
画像パッチの取得によるウェーハ検査の方法を
図3でより詳細に説明する。ウェーハは、そのウェーハ表面25を複数の一次荷電粒子ビームレット3の焦点面に配置され、第1画像パッチ17.1の中心21.1がある。画像パッチ17.1…kの規定の位置は、半導体フィーチャの検査のためのウェーハの検査部位に対応する。第1検査部位33及び第2検査部位35の規定の位置は、標準ファイルフォーマットの検査ファイルからロードされる。規定の第1検査部位33は、いくつかの画像パッチ、例えば第1画像パッチ17.1及び第2画像パッチ17.2に分割され、第1画像パッチ17.1の第1中心位置21.1は、検査タスクの第1画像取得ステップのためにマルチビーム荷電粒子顕微鏡システム1の光軸105に位置合わせされる。第1画像パッチの第1中心21.1は、第1画像パッチ17.1の取得のための第1ローカルウェーハ座標系の原点として選択される。ウェーハ表面25が登録されてウェーハ座標のローカル座標系が生成されるような、ウェーハ7を位置合わせする方法は、当該技術分野で既知である。
【0064】
複数の一次ビームレット3は、各画像パッチ17.1…kに規則的なラスタ構成で分配され、ラスタ走査機構により走査されて画像パッチのデジタル画像が生成される。この例では、複数の一次荷電粒子ビームレット3は、N個のビームスポットを含む第1ラインにN個の一次ビームスポット5.11、5.12~5.1Nがあり、ビームスポット5.11~ビームスポット5.MNをM個のラインにした矩形のラスタ構成で配置される。M=5×N=5のビームスポットを簡単のために示すが、ビームスポット数J=M×Nをより大きく、例えばJ=61個のビームレット又は約J=100個以上のビームレットにすることができ、複数のビームスポット5.11~5.MNは、六角形又は円形のラスタ等の異なるラスタ構成を有することができる。
【0065】
走査経路27.11及び走査経路27.MNを有するビームスポット5.11及び5.MNの一次荷電粒子ビームレットの例で示すように、一次荷電粒子ビームレットのそれぞれは、ウェーハ表面25にわたって走査される。複数の一次荷電粒子のそれぞれの走査は、走査経路27.11…27.MNに沿った往復動で例えば行われ、各一次荷電粒子ビームレットの各焦点5.11…5.MNは、一括マルチビーム走査偏向器システム110により、この例では例えば画像サブフィールド31.mnの最も左側の像点である画像サブフィールドラインの開始位置からx方向に一括して動かされる。各焦点5.11…5.MNは、続いて一次荷電粒子ビームレット3を正しい位置に一括走査することにより一括走査され、続いて一括マルチビームラスタスキャナ110は、複数の荷電粒子ビームレット3のそれぞれを並行して各サブフィールド31.11…31.MNの次のラインのライン開始位置に移動させる。後続の走査ラインのライン開始位置に戻る移動を、帰線と称する。一例では、帰線中に、複数の一次ビームレット3は、第1偏向器350により選択的に偏向されてビームダンプ130へ導かれる。この例では、一次荷電粒子ビームレット3は試料表面25に到達しないと理解される。
【0066】
複数の一次荷電粒子ビームレット3は、走査経路27.11~27.MNを並行して辿り、それにより各サブフィールド31.11~31.MNの複数の走査画像が並行して得られる。画像取得のために、上述のように、複数の二次電子が焦点5.11~5.MNで放出され、複数の二次電子ビームレット9が生成される。複数の二次電子ビームレット9は、対物レンズ102により集束され、第1一括マルチビームラスタスキャナ110を通り検出ユニット220へ導かれてイメージセンサ207により検出される。複数の二次電子ビームレット9のそれぞれの連続データストリームが、走査経路27.11…27.MNと同期して複数の2Dデータセットに変換され、各画像サブフィールド31.11~31.MNのデジタル画像データを形成する。複数の画像サブフィールド31.11~31.MNの複数のデジタル画像は、画像スティッチユニットにより最後に継ぎ合わせられて第1画像パッチ17.1のデジタルデータを形成する。各画像サブフィールド31.1~31.MNは、サブフィールド31.mn及びサブフィールド31.m(n+1)の重なり領域39で示すように、隣接する画像サブフィールドとの小さな重なり領域を有する構成である。
【0067】
複数の一次荷電粒子ビームレットのラスタ構成は、
図3の矩形のラスタ構成に限られず複数の一次荷電粒子ビームレットをライン状にした一次元のラスタ構成、複数の一次荷電粒子ビームレットを少なくとも円上に配置した円形のラスタ構成、又は
図15及び
図16で以下に示すような六角形のラスタ構成等、他のラスタ構成も可能であることが明らかである。
【0068】
次に、ウェーハ検査タスクの要件又は仕様を説明する。高スループットウェーハ検査のために、画像後処理に要する時間を含む各画像パッチ17.1…kの画像取得時間は短くなければならない。他方では、画像分解能、画像精度、及び再現性等の画像品質の厳しい仕様を維持しなければならない。例えば、画像分解能の要件は通常は2nm以下であり、再現性は高い。画像精度は画像忠実度とも称する。例えば、フィーチャのエッジ位置、概してフィーチャの絶対位置精度を、高い絶対精度で求めるべきである。通常、位置精度の要件は分解能要件の約50%又はそれ以下である。例えば、測定タスクには、1nm未満、0.5nm未満、又はさらに0.3nmの精度の半導体フィーチャの寸法の絶対精度が必要である。したがって、複数の一次荷電粒子ビームレット3の焦点スポット5のそれぞれの横方向位置精度は、1nm未満、例えば0.5nm未満、又はさらに0.3nm未満でなければならない。高い画像再現性の下では、同じ領域の画像取得を繰り返すと第1及び第2反復デジタル画像が生成され、第1及び第2反復デジタル画像間の差が所定の閾値未満であることが理解される。例えば、第1及び第2反復デジタル画像間の画像歪みの差は、1nm未満、例えば0.5nm未満、さらに好ましくは0.3nm未満でなければならず、画像コントラスト差は10%未満でなければならない。このように、結像動作を繰り返しても同様の画像結果が得られる。これは例えば、異なるウェーハダイの同様の半導体構造の画像取得及び比較に、又は得られた画像とCADデータから又はデータベース若しくは基準画像からの画像シミュレーションから得られた代表画像との比較に重要である。
【0069】
ウェーハ検査タスクの要件又は仕様の1つはスループットである。取得時間当たりの測定面積は、滞在時間、分解能、及びビームレット数により決まる。滞在時間の典型例は20ns~80nsである。したがって、高速のイメージセンサ207におけるピクセルレートは、12Mhz~50MHzの範囲にあり、毎分約15個~20個の画像パッチ又はフレームを得ることができる。100個のビームレットの場合、画素サイズ0.5nmの高分解能モードでのスループットの典型例は、0.045sqmm/min(平方ミリメートル/分)であり、より多数のビームレット、例えば10000個のビームレット及び25nmの滞在時間では、7sqmm/minを超えるスループットが可能である。しかしながら、従来技術のシステムでは、デジタル画像処理の要件がスループットを大きく制限する。例えば、従来技術の走査歪みのデジタル補償は、非常に時間がかかるので望ましくない。本発明の実施形態では、画像後処理の要件は減り、高精度の測定タスクのスループットは向上する。本発明の実施形態は、画像性能仕様を上述の要件内に維持しつつ、ウェーハ検査タスクの2Tpixel/hを超える、例えば約8~10Tpixel/hの画素走査速度で高スループットを可能にする。例えば、本発明の実施形態では、各画像画素の位置精度は1nm未満に維持される。
【0070】
一括マルチビームラスタスキャナ110は、通常は非線形挙動を示し、一括マルチビームラスタスキャナ110により生成された偏向角αは、一括マルチビームラスタスキャナ110の電極に印加された電圧に対して線形ではない。さらに、偏向角αは、複数の一次荷電粒子ビームレットそれぞれで異なる。偏向角αのずれは、一次ビームレットの入射角βが大きくなると大きくなり、一括マルチビームラスタスキャナ110により走査誘起歪みの増大が生じる。本発明の第1実施形態において、走査誘起歪みは、偏向スキャナに供給される電圧信号の修正と、偏向スキャナの制御回路の設計の修正と、一括マルチビームラスタスキャナ110の動作の改良とにより低減される。
【0071】
マルチビームシステム1において、複数の荷電粒子ビームレット3は、同じ一括マルチビームラスタスキャナ110で、且つ走査電圧差VSp(t)からの偏向角sin(α)の関数従属性に従って一次ビームレット3毎に偏向電極に同じ電圧差VSp(t)を印加して、並行して走査される。
図4は、伝播角βで一括マルチビームラスタスキャナ110に入る選択された一次ビームレット3の例での走査誘起歪みを示す。一括マルチビームラスタスキャナ110は、偏向電極153.1及び153.2と、走査電圧差VSp(t)を与える実施形態による電圧源とにより表される。簡単のために、第1方向のラスタ走査偏向用の偏向スキャナ電極のみを図示する。使用中に、走査偏向電圧差VSp(t)が印加され、静電界が電極153.1と153.2との間の交差体積189に形成される。第1電圧VSp(t1)=0Vの場合、一次ビームレットは経路157aに沿って交差体積189を横切り、偏向されない。対物レンズ102は、画像サブフィールド31.oの中心位置29.oに焦点又はビームスポットを形成する。第2電圧VSp(t2)=V1の場合、一次ビームレットは経路157zに沿って交差体積189を横切り、角度α1だけ偏向されて理想位置29.1から歪みベクトルdpzだけ僅かに変位した位置にビームスポットを形成する。第3電圧VSp(t3)=V2の場合、一次ビームレットは経路157fに沿って交差体積189を横切り、角度α2だけ偏向されて理想位置29.2から歪みベクトルdpfだけ僅かに変位した位置にビームスポットを形成する。サブフィールド座標は、サブフィールド31.oの中心点29.oに対する相対座標(p,q)で与えられる。サブフィールド中心座標X又は29.oは、一次荷電粒子ビームレット157aの入射角βに比例する。
【0072】
歪みベクトルdpz及びdpfは、入射角βの角度に依存する。結果として、一次荷電粒子ビームレット3毎の特定の走査誘起サブフィールド歪みパターンが得られ、概して、走査誘起サブフィールド歪みパターンは、一次ビームレット及び画像サブフィールド毎に僅かに異なる。走査誘起サブフィールド歪みの差は、約数nm、例えば2nm又は3nm以下であり得る。
【0073】
第1実施形態を
図17に示す。第1実施形態によれば、偏向器の非線形性が複数の一次荷電粒子ビームレットについて最小化される。第1ステップS1において、走査誘起サブフィールド歪みパターンが、例えば所定の形状の較正パターンの測定により求められる。それにより、複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンが、複数のビームレットを第1又はp方向及び第2又はq方向に一括走査偏向するための一括偏向スキャナへの線形電圧ランプVLp(t)、VLq(t)の印加により測定される。
【0074】
第2ステップS2において、複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンが統計的方法により分析され、基準歪みパターンが生成される。第1例において、基準歪みパターンは、複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンの平均により生成される。第2例において、基準歪みパターンは、最大閾値で最適化されるが、これは以下でより詳細に説明する。
【0075】
第3ステップS3において、基準歪みパターンが補正関数C(p,q)に変換される。
【0076】
任意の反復ステップにおいて、補正関数C(p,q)が線形電圧ランプVLp(t)、VLq(t)に適用され、第1補正後電圧ランプVCp(t)及びVCq(t)が得られる。第1補正後電圧ランプVCp(t)及びVCq(t)を用いたステップS1及びステップS2の繰り返しにより、残留平均歪みパターンが得られる。反復ステップは、残留平均歪みパターンが例えば0.3nmの閾値よりも大きなずれを示さなくなるまで繰り返される。
【0077】
ステップS4において、本発明の第2実施形態で説明するように、補正関数C(p,q)又は残留補正後電圧ランプVCp(t)及びVCq(t)がメモリに記憶され、走査制御モジュールに供給される。最適化された補正関数C(p,q)又は残留補正後電圧ランプVCp(t)及びVCq(t)により、複数の一次荷電粒子ビームレット3について最大走査誘起歪みが低減されて走査誘起サブフィールド歪みパターンが生成される。走査誘起歪みパターンは、サブフィールド毎のローカルサブフィールド座標p及びqからの関数として概して2次元の歪みベクトルD=[dp,dq](p,q)を示し、特定の(p,q)座標への偏向を生じるための電圧信号はp及びqに依存し得ることが理解される。
【0078】
ステップS2の第2例において、基準歪みパターンは最大閾値で最適化される。この例では、基準歪みパターンは、複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンから最適化されて走査誘起歪みの最小値を達成する。基準歪みパターンが複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンから減算され、基準歪みパターンは、残留歪みが例えば1nm又は0.5nmの所定の閾値を超える限り変更される。一例では、全ての一次ビームレットについて閾値未満の残留歪みが達成できるのではなく、閾値を超える残留歪みを有する特定の画像サブフィールドには、計測タスクの精度要件を超えるものとしてフラグが立てられる可能性がある。
【0079】
上述のプロセスの結果として、マルチビーム走査誘起歪みは、全体的に最小化され、例えば1/2以上低減される。マルチビーム走査誘起歪みの最小化により、例えばβ=0の軸方向一次ビームレットの個別残留走査誘起サブフィールド歪みを増加させることができる代わりに、β>0の周辺の一次ビームレットの残留走査誘起サブフィールド歪みが減る。一例を
図5に示す。
図5aは、J=61個の一次荷電粒子ビームレットに関する各走査誘起サブフィールド歪みの最大値を示す。
図5bは、補正関数C(p,q)での補正後の走査誘起サブフィールド歪みの残留最大値を示す。サブフィールド31.15の最大歪み値が例えば1/2に大幅に低減される一方で、中心のビームレット31.55の走査誘起歪みは増大する。
図6は、サブフィールド座標pに依存して一括偏向スキャナ110に印加された対応する電圧差の例を示す。線形依存性VLは、C(p,q)により非線形偏向電圧VCに補正され、これにより残留走査誘起サブフィールド歪みの最小化が得られる。
【0080】
複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査誘起サブフィールド歪みは、一括偏向スキャナ110の非線形挙動だけでなく他の荷電粒子光学素子、例えば対物レンズ102の歪み又は他の収差にも起因して生じる。対物レンズ102は、電気力学的又は静電的な光学液浸レンズとすることができ、静電界及び磁界を利用して試料7の表面25上に複数の焦点スポット5を形成することができる。このような素子は、一括走査偏向器110に加えて走査歪みに寄与し得る。第1実施形態による方法では、走査誘起歪みは走査誘起歪みの原点に関係なく全体的に最小化される。
【0081】
第1実施形態によれば、最大走査誘起歪みを低減する、マルチビーム荷電粒子走査電子顕微鏡1を較正する方法であって、
較正用試料の表面25にわたって第1駆動信号V1(p,q)で一括マルチビームラスタスキャナ110により複数の一次荷電粒子ビームレット3をラスタ走査することにより較正測定を実行する第1ステップと、
較正測定から複数の走査誘起歪みパターンを導出する第2ステップであり、走査誘起歪みパターンを複数の一次荷電粒子ビームレット3それぞれについて導出することを含む第2ステップと、
複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンを分析して補正信号C(p,q)を導出する第3ステップと、
第1駆動信号V1(p,q)を補正信号C(p,q)で修正して、一括マルチビームラスタスキャナ110を駆動するための修正駆動信号V2(p,q)を導出する第4ステップと
を含む方法が提供される。
【0082】
一例では、分析する第3ステップは、平均値、加重平均値、又は中央値の計算のいずれかを含む統計的方法により複数の走査誘起歪みパターンの基準歪みパターンを導出するステップと、基準歪みパターンから補正信号C(p,q)を導出するステップとを含む。修正駆動信号V2(p,q)を一括マルチビームラスタスキャナ110に印加することにより、基準歪みパターンは、複数の走査誘起歪みパターンのそれぞれで事前補償され、最大走査誘起歪みが最小化される。
【0083】
一例では、最大走査誘起歪みが所定の閾値未満に最小化されるまで、第1~第4ステップが繰り返される。一例では、複数の一次荷電粒子ビームレットの最大走査誘起歪みの大半は、所定の閾値未満に低減され、少数の個別一次荷電粒子ビームレットの最大走査誘起歪みは、所定の閾値を超え得る。所定の閾値を超える個別一次荷電粒子ビームレットには、閾値を超えるものとしてフラグが立てられるか又はマークされ得る。一例では、フラグ付きの一次荷電粒子ビームレットは、高精度計測タスクに用いられず、又はフラグ付きの一次荷電粒子ビームレットにより得られたデジタル画像データにデジタル補償が適用される。
【0084】
一例では、補正信号C(p,q)は、被選択スキャンプログラムに従った走査誘起歪みの事前補償のために一括マルチビームラスタスキャナ110の制御ユニットのメモリに記憶される。
【0085】
第1実施形態の方法では、補正関数C(p,q)が生成され、それにより複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査誘起サブフィールド歪みを最小化することができる。補正関数C(p,q)は、使用中に走査電圧信号に適用されて例えば非線形電圧ランプを生じさせる。本発明の第2実施形態は、スループットを向上し且つ走査誘起歪みを低減した高速ラスタ走査マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の一括マルチビームラスタスキャナ110に対する事前補償された電圧の生成及び印加を可能にする、結像制御システム820による一括偏向スキャナ110の改善された方法又は制御を説明する。制御システム820によるマルチビーム走査・画像取得方法707の第2実施形態を
図7に示す。結像制御モジュール820により一括マルチビームラスタスキャナ110を制御する方法は、構成ステップ710を含む。構成ステップ710において、スキャンプログラム762が選択されて構成され、包括スキャン処理ステップ720に供給される。包括スキャン処理ステップ720において、スキャンプログラム762は、受付ステップ722でバスレシーバにより受け取られてスキャンコマンドプロセッサに供給され、スキャンコマンドプロセッサは、スキャンコマンド処理ステップ724でユニットスキャンコマンドシーケンス764を導出する。スキャンコマンド処理ステップ724中に、スキャンプログラム762は、ユニット点コマンド又は線コマンドにセグメント化され、線コマンドは、線の始点(ui,vi)及び終点(ue,ve)と、始点と終点との間の複数の点のラスタ間隔又はステップサイズ(du,dv)とにより記述される。一例では、線コマンドは、u(k=0)=uiとしてu(k+1)=u(k)+du及びv(k=0)=viとしてv(k+1)=v(k)+dvに従った座標におけるk個のスキャン点により表される。ユニットスキャンコマンドシーケンス764は、正規化又は単位座標(u,v)で導出され、これは例えば整数精度で計算され記述され得る。一例では、正規化又は単位座標(u,v)は、複数の画像サブフィールドのそれぞれのデジタル画像の画素座標を表す。ユニットスキャンコマンド764は、例えば正規化サブフィールド座標u及びvの2つの同期ストリームである。ユニットスキャンコマンド764の短いセグメントの例として、次の2つのスキャン座標の2つの同期ストリーム[…,u(i-1),u(i),u(i+1),…]及び[…,v(i-1),v(i),v(i+1),…]が挙げられる。
【0086】
ユニットスキャンコマンドシーケンス764は、ユニットスキャンコマンドシーケンス764を1次群変換により変換してユニットスキャンコマンドシーケンス764のスケール及び回転を調整する、頂点後処理ステップ726に供給される。頂点後処理ステップ726の例では、単位正規化サブフィールド座標u,vは、浮動小数点精度で実際の画像サブフィールド座標p,qにスケーリングされる。スケーリングは概して、実際の画像サブフィールド座標p,qに比例する値への単位正規化サブフィールド座標u,vのスケーリング及び回転により得ることができる。一例では、実際の画像サブフィールド座標(p,q)は、
p=A10*u+A01*v+A00
q=B10*u+B02*v+B00
により得られ、較正ステップにおいて求められてスキャン制御ユニットのメモリに記憶されたスカラ値Amn及びBmnを用いる。頂点後処理ステップ726の例では、平均又は基準走査誘起歪みが、本発明の第1実施形態に従って求められ記憶されてメモリから読み出された補正信号C(p,q)で事前補償される。一例では、補正信号C(p,q)での補正は、始点及び終点を有する直線から曲線上の点p(i),q(i)のベクトル又はストリームを生成し、それにより走査誘起歪みが事前補償され、一次荷電粒子ビームレットの実際の走査ラインが試料の表面上で直線を辿る。一例では、補正信号C(p,q)は、べき級数展開により表され、始点及び終点を有する直線コマンドが、例えば5次の折れ線に変換される。概して、(p,q)は、
p=Σm,nAmnumvn
q=Σm,nBmnumvn
に従った(u,v)のべき級数展開に応じて変わり得る。折れ線から、曲線上の点p(i),q(i)のストリーム又はシーケンスが生成される。結果として、事前補償デジタルスキャン座標のシーケンスが、補正信号C(p,q)により修正されたサブフィールドスキャン座標(p,q)に対応して生成されるので、複数の画像サブフィールドの平均走査誘起歪みが最小化される。頂点後処理ステップ726の出力は、事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス又はストリーム766[…,p(i-1),p(i),p(i+1),…]及び[…,q(i-1),q(i),q(i+1),…]である。
【0087】
ユニットスキャンコマンド764又は事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766と並行して、同期制御コマンド768が包括スキャン処理ステップ720中に、例えば頂点後処理ステップ726において生成され、走査同期制御ステップ718に供給され、走査同期制御ステップ718は、ビーム偏向器350又は走査プロセスと同期動作するよう構成された他の素子によるビーム偏向ステップ等の一括走査に依存して働くマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の動作を制御する。走査同期制御ステップ718において、さらなる走査制御信号768を生成して包括スキャン処理ステップ720に供給することができる。例えば、走査同期制御ステップ718中に、複数の一次荷電粒子ビームレット3の偏向がトリガされ、複数の一次荷電粒子ビームレット3がビームダンプ130へ偏向されている間に走査制御信号768が包括スキャン処理ステップ720に供給される。別の例では、スキャンプログラム762の実行中に較正ステップ又はシステム測定ステップが要求され得る。共通の走査制御信号768により、包括スキャン処理ステップ720がスキャンプログラム762を中断するようトリガされ、さらなるデジタルスキャン信号が事前補償デジタルスキャンコマンド766の列に挿入され、これらは例えば現在のスキャン位置をより長い期間保持するか又は所定の較正ターゲットをスキャンするよう構成されている。一例では、スキャンコマンド処理ステップ724中に、ユニットスキャンコマンドを数回繰り返してユニットスキャンコマンドストリーム764に保持信号[…{u(i),u(i),u(i),u(i),…}…]及び[…{v(i),v(i),v(i),v(i),…}…]を供給することにより、さらなるユニットスキャンコマンドがユニットスキャンコマンドストリーム764に挿入される。保持信号を含むユニットスキャンコマンドストリーム764[…,u(i-1),u(i),{u(i),u(i),u(i),u(i),…},u(i+1),…]及び[…,v(i-1),v(i),{v(i),v(i),v(i),v(i),…},v(i+1),…]は、続いてデータストリームの流れの下流のさらなるステップに供給される。包括スキャン処理ステップ720が走査制御コマンド768からスキャンプログラム762を続行可能であると判定して保持信号の挿入を止めることによりスキャンプログラム762を続行するまで、保持信号は生成され挿入される。走査同期制御ステップ718及びスキャン処理ステップ720により供給された同期走査制御コマンド768は、共通のアクセスデータバスを利用することができる。走査同期制御ステップ718に供給される同期制御走査コマンド768と、走査同期制御ステップ718により供給される走査制御コマンド769とを、一例で以下でより詳細に説明する。
【0088】
事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766は、スキャン処理ステップ720により特定走査偏向制御ステップ730に供給される。特定走査偏向制御ステップ730の第1変換ステップ732において、事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766は、デジタル駆動信号770に変換されて一括ラスタ走査偏向器110の偏向電極のそれぞれを駆動する。一例では、一括ラスタ走査偏向器110は、8個の電極を有する八重極偏向器を含む。この例では、第1変換ステップ732中に、複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770が、複数8個の電極のそれぞれに1つずつ、事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766で供給された事前補償サブフィールドスキャン座標p(i),q(i)に対応して生成される。
[p(i),q(i)]→[a(i),b(i),c(i),d(i),e(i),f(i),g(i),h(i)]=CM*[p(i),q(i)]
第1変換ステップ732は、例えば一次方程式又はルックアップテーブルにより、事前補償デジタルスキャンコマンド766をデジタル駆動信号770に変換する。一次方程式の例は、2×8変換行列CMを用いて上記に示す。8個のデジタル駆動信号ストリーム770は、補正信号C(p,q)での事前補償を含むので、デジタル-アナログ変換の後続のDA変換ステップ736aにおいて、事前補償された8個の電圧信号ストリーム772が生成される。ラインスキャンの例では、このような電圧信号ストリーム772は、例えば線形性から僅かにずれた電圧ランプであり得る。一例を以下でより詳細に説明する。
【0089】
デジタル-アナログ変換ステップ736aからの例えば8個の非線形電圧信号ストリームのシーケンスが、増幅ステップ740に供給される。増幅ステップ740中に、8個の電圧信号のシーケンス又はストリーム772は、例えば8個の増幅器の組により増幅される。得られた複数8個の増幅駆動電圧シーケンス774が、複数の一次荷電粒子ビームレット3の一括走査偏向のために一括マルチビームラスタ走査偏向器110の8個の電極に供給される。一括偏向ステップ742において、複数の一次荷電粒子ビームレット3は、複数の画像サブフィールドの各画像サブフィールド内で、被選択スキャンプログラム762のスキャン位置のシーケンスに対応する増幅駆動電圧シーケンス774に従って一括ラスタ走査される。上述の方法ステップでは、マルチビームラスタ走査偏向器110の電極毎に、例えば
図6に示すような非線形の電圧ランプVC(t)が生成されて各電極に供給され、複数の一次荷電粒子ビームレットの一括ラスタ走査が高い柔軟性及び高速で達成される。上述と同様に、増幅駆動電圧シーケンス774は、複数の二次電子9の残りの走査の補償のために一括マルチビームラスタ走査偏向器222に供給される。
【0090】
通常、増幅ステップ740は、増幅器の使用中の非線形挙動に従って非線形性を示す。8個の増幅器の非線形性は予め決定することができ、8個のデジタル非線形増幅変換をメモリに記憶することができる。第2頂点後処理ステップ734中に、8個の増幅器の非線形性は、8個の非線形増幅変換を8個のデジタル駆動信号シーケンス770に適用することにより事前補償される。結果として、個々の増幅器の非線形性は個別に補償される。8個のデジタル補正後駆動信号シーケンス776が、続いてデジタル-アナログ変換器736aに供給され、増幅器の非線形性が事前補償される。
【0091】
第2頂点後処理ステップ734中に、一組のデジタルオフセット778も生成されてデジタル-アナログ変換ステップ736bに供給され得る。デジタル-アナログ変換ステップ736bにより供給されたオフセット電圧780が、オフセット電圧フィルタステップ738によりフィルタリングされる。デジタル-アナログ変換ステップ736aからの例えば8個の非線形電圧信号のシーケンスは、電圧合成ステップ641により少なくとも1つのオフセット電圧782と合成されて増幅ステップ740に供給される。デジタルオフセット及び対応するオフセット電圧782は、例えば、マルチビーム荷電粒子顕微鏡システム1の調整又は較正の較正ステップ又は調整ステップ(図示せず)から導出されメモリに記憶され得る。それにより、複数の一次荷電粒子ビームレット3のオフセット偏向又は補正が達成される。
【0092】
一例では、デジタル-アナログ変換ステップ736bに供給された一組のデジタルオフセット778は、スキャンプログラム764のパターンの中心のシフトを含み得る。
図14で以下に例として示すように、スキャンプログラム764は、例えば分離し得るいくつかの走査パターンを含み得る。概して、スキャンプログラムは、例えば第1中心を有する第1走査パターン及び第2中心座標を有する第2走査パターンに分類され得る。第2頂点後処理ステップ734中に、第1走査パターンの走査のための複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770を、第1中心座標に対して導出することができ、第2走査パターンの走査のための複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770を、第2中心座標に対して導出することができる。デジタル-アナログ変換ステップ736aへの第1走査パターンの走査のための複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770の供給中に、第1中心座標を表す一組のデジタルオフセット778がデジタル-アナログ変換ステップ736bに供給される。デジタル-アナログ変換ステップ736aへの第2走査パターンの走査のための複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770の供給中に、第2中心座標を表す一組のデジタルオフセット778がデジタル-アナログ変換ステップ736bに供給される。この方法により、複数8個のデジタル駆動信号ストリーム770の振幅が低減される。したがって、この方法では、特定走査偏向制御ステップ730の分解能を高めることが可能である。
【0093】
一例では、電圧増幅ステップ740の応答と電気接続及び電極の応答とは、電圧の変化又は電圧信号の周波数に依存する。例えば、各増幅器がローパスフィルタリング特性を有し得る。結果として、駆動電圧の速く大きな変化では、駆動電圧の遅延又はオーバーシュートが生じる。例えば、蛇行経路を辿る走査パターン(以下参照)では、実スキャン位置は、時間領域の駆動電圧ストリームのローパスフィルタリングに起因して、設計スキャン位置からずれ得る。一例では、設計スキャン位置からの実スキャン位置のこのようなずれは、第2頂点後処理ステップ734中に補償される。第2頂点後処理ステップ734において、スキャンプログラム又は走査パターンは、生成すべき電圧信号のシーケンスの時間周波数分析により分析される。電圧増幅器、電気接続、及び電極の周波数応答が考慮され、例えば逆フィルタリング技術により事前補償される。別の例では、所与の時間間隔で生じるべき電圧変化が計算される。時間間隔当たりの所与の電圧変化に関して、電圧増幅器、電気接続、及び電極の周波数応答が考慮され、デジタル駆動信号シーケンス776への対応する補正の適用により事前補償される。別の例では、メモリに記憶され被選択スキャンプログラム762に対応している規定の補正パターンが、デジタル駆動信号776に適用される。周波数応答又は規定の補正パターンは、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1のシステム較正中に予め求められて結像制御モジュー820のメモリに記憶され得る。この例では、被選択スキャンプログラム762を表すトリガ信号(図示せず)を、包括スキャン処理ステップ720中に頂点後処理ステップ734に供給することができ、既定の補正パターンの選択がトリガ信号により起動される。
【0094】
一例では、第2頂点後処理ステップ734中に、さらなる駆動信号が変換ステップ732により供給された8個の駆動信号に加えられる。それにより、例えば他のマルチビームパラメータが一括走査動作と並行して補正される。これは特に、例えば上述のような8個の電極を有する一括マルチビームラスタスキャナ110のように、一括ラスタ走査に必要なより多くの自由度を有する一括マルチビームラスタスキャナ110で可能である。
【0095】
概して、複数の一次荷電ビームレット3の一定の加速電圧で動作することが好ましい。複数の一次荷電ビームレット3の加速電圧は、例えば15kV~35kV、好ましくは20kV~30kVの一定の加速電圧であり得る。しかしながら、一例では、複数の一次荷電ビームレット3の加速電圧は、制御ユニット800を介して選択又は変更することができる。複数の一次荷電ビームレット3の可変に調整可能な加速電圧の例では、複数の一次荷電ビームレット3の加速電圧は例えば10%増減され、増幅ステップ740において、選択又は調整された加速電圧に対応して増幅ゲインが選択される。この例では、必要な増幅ゲインに対応する信号が増幅ステップ740に供給され、複数の一次荷電ビームレット3の偏向用の電圧信号の増幅は、複数の一次荷電ビームレット3の選択された加速電圧に従って調整される。複数の一次荷電ビームレット3の加速電圧は、当該技術分野で既知の方法により、例えばマルチビーム荷電粒子顕微鏡システム1内の任意の加速電極に印加された電圧により調整することができる。
【0096】
第1包括スキャン処理ステップ720は、画像データ取得ステップ750にさらに接続される。一括偏向ステップ742中に、複数J個の一次荷電粒子ビームレット3が画像パッチの各J個の画像サブフィールドに並行して入射することにより、J個の焦点で二次電子を生成し、これがJ個の二次電子ビームレット9を形成する。複数J個の二次電子ビームレット9は、対物レンズ102により集束され、一括マルチビームラスタスキャナ110及びビームスプリッタ又はビーム分離器ユニット400を一次荷電粒子ビームレット3の伝播方向とは逆の方向に通り、投影系200により検出器207に結像される。アナログデータ収集ステップ748において、J個の二次ビームレットのそれぞれについて二次電子が検出され、複数J個の画像サブフィールドにおけるスキャン位置毎の二次電子ビームレット9のそれぞれの二次電子量を表す複数J個の変動電圧に変換される。結果として、J個の変動電圧ストリーム786が生成されて画像データ取得ステップ750に供給される。画像取得ステップ750の第1画像アナログ-デジタル(AD)変換ステップ752において、J個の変動電圧ストリーム786が、固定のAD変換時間シーケンス且つ一定のAD変換周波数でのJ個の変動電圧ストリーム786の実際値を表すデジタル信号ストリームに変換される。AD変換時間シーケンスは、DA変換ステップ736におけるDA変換と同期される(
図7に破線で示す)。同期は、例えば第1包括スキャン処理ステップ720中にクロック信号生成器(下記参照)によりクロック信号760を生成して、クロック信号760を第1包括スキャン処理ステップ720から第2特定走査偏向制御ステップ730及び画像データ取得ステップ750に供給することにより達成される。
図7の例では、クロック信号760はDA変換ステップ736a及びAD変換ステップ752に供給される。一例では、200MHzのクロック信号760は、この場合はDA変換ステップ736のDA変換周波数及びステップ752中のAD変換のAD変換周波数と同等である例えば100MHzのデジタルデータストリームの周波数の整数倍であり得る。ステップ752中のAD変換及びステップ736a及び736b中のDA変換は、nを整数としてクロック信号760の1つ1つ、2つ毎、3つ毎、n個毎の信号に対応する時間で同期され得る。
【0097】
AD変換ステップにより、J個のデジタルセンサデータストリーム788がデジタル画像データ選択ステップ754に供給される。デジタル画像データ選択ステップ754は、スキャンコマンド処理ステップ720からスキャンプログラム762を表す選択制御信号744を受け取る。選択制御信号744を用いて、デジタル画像データ選択ステップ754中に、J個のデジタル画像データ値ストリーム790がJ個のデジタルセンサデータストリーム788から選択されることにより、例えばスキャンプログラム762の中断中に収集され上述の保持信号に対応するデジタルセンサデータがスキップされる。同様に、例えば帰線に対応するスキャン信号中に収集されたデジタルセンサデータがスキップされる。一例では、選択制御信号744は、ユニットスキャンコマンドシーケンス764と同等である。一例では、フラグ信号シーケンスが生成され、これは、ユニットスキャンコマンドストリーム764のうち、画像データ取得ステップ750により収集されるデジタル画像画素に寄与するスキャン点に対応するユニットスキャンコマンドのそれぞれに対するラベルを提供する。デジタル画像データ選択ステップ754中に、ラベル付きのスキャンコマンドに対応するデジタルセンサデータのみが選択される。J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、デジタル画像データアドレッシング・書き込みステップ756に供給される。このステップにおいて、J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、ユニットスキャンコマンドシーケンス764に対応し且つJ個の画像サブフィールドのそれぞれで分離された複数のアドレスでパラレルアクセスメモリに書き込まれる。第1例では、J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、デジタル画像データアドレッシング・書き込みステップ756において前処理され、メモリアドレスのシーケンスに書き込まれるべき画素のシーケンスに分類される。代替例では、J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、ユニットスキャンコマンド764から計算されたメモリアドレスに直接書き込まれる。
【0098】
デジタルデータアドレッシング・書き込みステップ756の例では、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データの複数J個のメモリアドレスポインタシーケンスが生成される。換言すれば、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データのそれぞれが、被選択スキャンプログラムに対応して、個々のメモリアドレスに書き込まれ、複数J個のデータは、複数J個の異なる重複しないメモリアドレスポインタシーケンスでパラレルアクセスメモリに書き込まれる。複数J個の異なる重複しないメモリアドレスポインタシーケンスは、スキャンプログラムに従った必要な画像画素数と複数J個の画像サブフィールドの数Jとに従って構成されてパラレルアクセスメモリに割り当てられ得る。一例では、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データのセグメント又は一部のみが、パラレルアクセスメモリに一度に書き込まれ、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データの新たなセグメント又は他の部分がパラレルアクセスメモリの同じメモリロケーションに書き込まれる前に、並列読み出し・画像処理ステップ758中に読み出される。
【0099】
この方法では、任意又はランダムな走査パターン、分離した走査経路、又は分解能を段階的に向上させた走査パターンを有するスキャンプログラムを含む、種々のスキャンプログラムが可能である。種々のスキャンプログラムは、複数の走査ラインを同じ方向に走査する従来技術の走査パターンを含み得る。このような場合、複数J個の画像データのそれぞれが、走査クロック間隔により制御された走査時間と同期した線形シーケンスで連続的にパラレルアクセスメモリに書き込まれる。スキャンプログラムの別の例では、走査ラインが交互方向に走査され、2つ毎に複数J個のメモリアドレスポインタシーケンスがライン終点座標に対応するメモリアドレスから線形に減少する。分離したスキャンプログラムの別の例では、例えば2つ毎又は3つ毎に走査ラインがスキップされた場合、複数J個のメモリアドレスポインタシーケンスはメモリアドレスのジャンプ又はギャップを含む。さらなる例を以下に記載する。
【0100】
並列読み出し・画像処理ステップ758において、パラレルアクセスメモリに記憶された複数の画像画素データ792が読み出され、さらなるデータ処理が実行される。複数の画像画素データ792の読み出しは、アドレッシング・書き込みステップ756中のJ個のデジタル画像データ値ストリーム792の書き込みとは異なる順序であり得ると共に、アドレッシング・書き込みステップ756中のJ個のデジタル画像データ値ストリーム790に対して遅延し得る。マルチビーム走査・画像取得方法707は、デジタル画像データブロックがデジタル画像データアドレッシング・書き込みステップ756において実現され完了したときを特定するように制御信号を制御ユニット800に供給することができる。制御ユニット800は、制御信号を受け取るよう構成される。並列読み出し・画像処理ステップ758中に、制御信号は、画像フレームメモリからの実現又は完了したデジタル画像データブロックの読み出しをトリガする。画像処理の例は、画像フィルタリング、画像登録、閾値演算、オブジェクト検出、画像オブジェクトの寸法測定、歪み補償、コントラスト強調、逆畳み込み演算、又は画像相関の少なくとも1つを含む。画像処理はさらに、第2実施形態による走査・画像処理方法による複数J個の荷電粒子ビームレット3の同期走査により生成された複数J個の画像サブフィールドから単一の画像ファイルを形成するためのスティッチング演算を含み得る。
【0101】
第2実施形態によるマルチビーム走査・画像取得方法707において、スキャンプログラム762が構成ステップ710で選択され供給される。マルチビーム走査・画像取得方法707は、第1包括スキャン処理ステップ720、第2特定走査偏向制御ステップ730、及び第3画像データ取得ステップ750に分けられる。マルチビーム走査・画像取得方法707は、動作の同期と、マルチビーム走査・画像取得方法707中に生成されたデータのストリーム又はシーケンスのクロッキング及びストリーミングとに、共通のクロック信号760を利用する。共通のクロック信号760は、例えば包括スキャン処理ステップ720において生成され、第2及び第3ステップ730及び750に供給される。並列読み出し・画像ステップ758は、異なる又は同じクロック周波数で動作し得る。制御ユニット800は、異なる又は同じクロック周波数で動作し得る。
【0102】
マルチビーム走査・画像処理方法707では、例えばDA変換ステップ736とAD変換ステップ752とを同期させて、ラスタ走査偏向及び画像画素データ収集の同期をとる。AD変換ステップ752の後のデータ処理における遅延と、増幅ステップ740及び一括偏向ステップ742の遅延とを、例えばデジタル画像データ選択ステップ754において較正し考慮することができる。それにより、ローカルサブフィールドp,q座標の実際のスキャン位置に対応するデジタル画像画素データが、p,q座標の実際のスキャン位置に対応するユニットスキャンコマンドに対応するメモリアドレスに書き込まれる。
【0103】
第1包括スキャン処理ステップ720は、スキャンコマンド受付ステップ722、スキャンコマンド処理ステップ724、及び頂点後処理ステップ726の少なくとも1つを含んでいる。スキャンプログラム762から、事前補償デジタル走査コマンドシーケンス766がスキャン処理ステップ720により生成され、特定走査偏向制御ステップ730に供給される。各走査偏向制御ステップ730は、特定変換ステップ732、頂点後処理ステップ734、デジタル-アナログ変換ステップ736、及び増幅ステップ740の少なくとも1つを含んでいる。第3画像データ取得ステップ750は、AD変換ステップ752、デジタル画像データ選択ステップ754、及びデジタル画像データアドレッシング・書き込みステップ756を含んでいる。
【0104】
第1及び第2ステップ720及び730におけるモジュール分離には、包括スキャン処理ステップ720の適合又は変更の必要なく、各特定走査偏向制御ステップ730を異なる特定の一括マルチビームラスタ走査システム110又は第2一括マルチビームラスタ走査システム222に合わせて調整又は較正することができるという利点がある。したがって、例えば八重極スキャナ若しくは一連の四重極スキャナ、一連の双極スキャナ、又は他の一括マルチビームラスタ走査システム110が用いられるか否かに応じて、例えば特定の一括マルチビームラスタ走査システム110に必要とされるように特定走査偏向制御ステップ730を修正することが可能である。第1及び第2ステップ720及び730におけるモジュール分離により、マルチビーム荷電粒子システム1の系統的な収差が実際の一括走査システムの非線形効果の特定の収差から分離される。マルチビーム荷電粒子システム1の系統的な収差は、第1包括スキャン処理ステップ720において事前補償される。実際の一括走査システムの、例えばいずれの場合も増幅ステップ740中の電圧増幅の非線形性をそれぞれ含む第1一括マルチビームラスタスキャナ110又は第2一括マルチビームラスタスキャナ222の特定の収差又は非線形効果は、各特定走査偏向制御ステップ730において事前補償される。一例では、マルチビーム走査・画像取得方法707は、少なくとも第1一括マルチビームラスタスキャナ110の動作制御のための第1走査偏向制御ステップ730.1と、第2一括マルチビームラスタスキャナ220の動作制御のための第2走査偏向制御ステップ730.2とを含む。マルチビーム走査・画像取得方法707は、さらなる走査偏向制御ステップ730.3~730.nをさらに含むことができる。
【0105】
第1及び第3ステップ720及び750におけるモジュール分離には、複雑なスキャンプログラム762を、複数J個の一次荷電粒子ビームレットの一括走査動作と同期した複数J個のサブフィールドの画像取得用に選択し構成することができるという利点がある。例えば、画像データ取得ステップ750に対するフラグ付きのユニットスキャンコマンドの生成及び供給により、センサ207からのJ個の変動電圧ストリーム786が、変換、選択、及び分類されてユニット走査座標に対応するメモリアドレスでパラレルアクセスメモリに書き込まれる。この方法では、任意又はランダムな走査パターン、分離した走査経路、又は分解能を段階的に向上させた走査パターンを有するスキャンプログラムを含む、種々のスキャンプログラムが可能である。スキャンプログラム762のいくつかの例を以下でより詳細に説明する。
【0106】
一例では、選択されている第1スキャンプログラム762が中断され、第1スキャンプログラム762の中断中に第2スキャンプログラムを選択することができる。それにより、例えば、複数J個の画像サブフィールドの複数J個の画像セグメントの較正測定又は反復測定が実行され、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1のドリフト等の特性が監視される。複数J個の画像セグメントの反復測定と、複数J個の画像セグメントに対応する画像データの監視とにより、例えばマルチビーム荷電粒子顕微鏡1のステージ移動又はステージドリフト、画像回転、フォーカスドリフト、又は他の変化を検出することができる。さらに別の例では、複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の反復一括走査が複数J個の画像サブフィールドの複数J個の画像セグメントにわたって実行され、試料7の帯電が変わる。
【0107】
第2実施形態による方法707では、包括デジタルスキャンコマンド766がリアルタイムで生成され、特定走査偏向制御ステップ730及び画像取得ステップ750にリアルタイムで供給される。特定走査偏向制御ステップ730中に、複数の駆動電圧772及び782と増幅駆動電圧774とが生成され、例えば一括マルチビームラスタスキャナ110の電極にリアルタイムで供給される。同時に、他のデジタル制御コマンド768が生成され、少なくとも走査同期制御ステップ718にリアルタイムで供給される。本発明の第3実施形態によれば、第1又は第2実施形態による方法は、少なくとも1つのFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又は例えばASIC若しくはCPLD(コンプレックスプログラマブルロジックデバイス)のような同等のシステムを含むハードウェアシステムで実装される。これらのタイプの実際のデバイスは、約1.5GHz以上のクロック周波数でのデジタルデータシーケンスのストリーム処理を可能にする。
図8は、第3実施形態を改良された結像制御モジュール820の例で示す。結像制御モジュール820は、動作制御モジュール800に接続される。動作制御ユニット800と結像制御ユニット820との間の接続は、1Gbit/s以上の範囲の高データレートのイーサネット接続であり得る。動作制御モジュール800は、ユーザ入力又は他の入力デバイスによりスキャンプログラム762を選択できるよう構成されたスキャンプログラム選択モジュール804を含む。スキャンプログラム762は、検査タスクに用意され且つ例えば試料と共に与えられたコマンドにより、又は外部の制御コマンドにより自動的に選択することもできる。種々のスキャンプログラム762を、例えば外部デバイスにより定義することができ、且つ動作制御モジュール800の不揮発性メモリ806に記憶することができる。被選択スキャンプログラム762は、上述のように、例えば蛇行スキャンプログラム、ジグザグスキャンプログラム、又は任意の他のスキャンプログラムであり得る。異なるスキャンプログラム762のさらなる例を以下に記載する。使用中に、被選択スキャンプログラム762は、メモリ806からスキャンプログラム選択モジュール804により選択され、イーサネット接続を介して結像制御モジュール820に供給され、結像制御モジュール820内でスキャン制御ユニット930及び画像データ取得ユニット810に供給される。結像制御モジュール820のスキャン制御ユニット930は、第1被選択スキャンプログラム762を受け取り記憶するよう構成され、且つ例えば第2実施形態に記載の方法により、例えば一括マルチビームラスタスキャナ110に対して駆動電圧774を生成して供給するよう構成される。一例では、画像データ取得ユニット810は、複数の遮蔽データ接続を介して結像検出器207に接続され、画像データ取得ユニット810は、結像検出器207から複数J個の変動電圧ストリーム786を受け取り且つ第1被選択スキャンプログラム762に従って複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査と同期した画像データストリームから2D画像セットを生成するよう構成される。したがって、画像データ取得810は、スキャン制御ユニット930に接続され、スキャン制御ユニット830は、使用中にスキャン制御ユニット930との画像データ取得ユニット810の同期にクロック信号を供給するよう構成される。画像データ取得ユニット810は、パラレルアクセスメモリ1816を含み、使用中にパラレルアクセスメモリ1816に2D画像セット又は2D画像データを書き込むよう構成される。画像データ取得ユニット810と画像取得ユニット810の同期動作とを、以下でより詳細に説明する。
【0108】
スキャン制御ユニット930は、投影系205の第2一括ラスタ走査システム222、他のシステム960、及び例えば偏向器350(
図2参照)に接続される。スキャン制御ユニット930はさらに、投影系205の第2一括ラスタ走査システム222とスキャンプログラム762に従った走査動作との同期制御を必要とする他のシステム960とに対して駆動電圧774を生成して供給するよう構成される。このような他のシステムの例は、偏向器350であり、これは、被選択スキャンプログラム762が並行且つ同期の画像取得を用いない複数の一次荷電粒子ビームレット3の帰線又は他の走査コマンドを含む場合、複数の一次荷電粒子ビームレット3の任意の帰線中に複数の一次荷電粒子ビームレット3をビームダンプ130の位置に偏向するよう構成される。一例では、偏向器350は、使用中にトリガ信号をスキャン制御ユニット930に戻し、スキャン制御ユニット930は、ビームダンプ130へ及び再び光軸105への複数の一次荷電粒子ビームレット3の一括偏向と同期してスキャンプログラム762で制御された遅延を実行するよう構成される。
図8に示す例では、スキャン制御ユニット930は、偏向器350の電極に駆動電圧を直接供給するよう構成される。代替例では、スキャン制御ユニット930は、ビーム偏向器350の外部制御ユニットに接続されることができ、ビーム偏向器350によるビーム偏向のためのトリガ信号をビーム偏向器350の外部制御ユニットに供給するよう構成される。
【0109】
結像制御モジュール820は、使用中に一括マルチビームラスタスキャナ110、一括偏向システム222、又は他のシステム960に必要な電圧を供給するよう構成された電源ユニット925をさらに含む。
【0110】
スキャン制御ユニット930は、補助スキャンシステム950にさらに接続される。一例では、補助スキャンシステム950は、前掲の2020年8月5日に出願された独国特許出願第102020209833.6号に記載のように、走査誘起歪みの個別補正用の補正システムであり得る。
【0111】
第3実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数J個の画像サブフィールド31.11~31.MNにわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を一括走査する少なくとも第1一括ラスタスキャナ110と、
J個の画像サブフィールド31.11~31.MNの1つにそれぞれ対応する複数J個の二次電子ビームレット9を検出する検出器207を含む検出系200と、
結像制御モジュール820であり、
第1一括ラスタスキャナ110に接続され、使用中に第1被選択スキャンプログラム762に従った第1一括ラスタスキャナ110での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の走査動作を制御するよう構成されたスキャン制御ユニット930、及び
スキャン制御ユニット930及び検出器207に接続され、使用中にスキャン制御ユニット930により供給されたクロック信号と同期して検出器207からの複数J個の画像データを取得し選択するよう構成され、且つ複数J個の画像データを第1被選択スキャンプログラム762に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成された画像データ取得ユニット810
を含む結像制御モジュール820と
を備えている。
【0112】
一例では、スキャン制御ユニット930は、第1被選択スキャンプログラム762に従ってユニットスキャンコマンドシーケンス764を生成するよう構成され、画像データ取得ユニット810は、使用中に複数J個の画像データを第1被選択スキャンプログラム762に従ったユニットスキャンコマンドシーケンス764に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成される。一例では、スキャン制御ユニット930は、使用中にクロック信号をスキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に供給するよう構成されたクロック信号生成器938を含む。一例では、スキャン制御ユニット930は、ラスタ走査動作と同期動作するよう構成された少なくともさらに別のシステム960にさらに接続される。一例では、少なくともさらに別のシステム960は、使用中に複数J個の一次荷電粒子をビームダンプ130に一括偏向するよう構成された一括偏向器350である。一例では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、偏向系200に第2一括ラスタスキャナ222を備え、スキャン制御ユニット930は、第2一括ラスタスキャナ222にさらに接続される。一例では、画像制御モジュール820は、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に電圧を供給するよう構成され、且つ使用中に第1一括ラスタスキャナ110又は第2一括ラスタスキャナ222に駆動電圧を供給するよう構成された、電圧源925をさらに含む。
【0113】
図9は、第3実施形態によるスキャン制御ユニット930のさらなる詳細を示す。スキャン制御ユニット930は、使用中に第2実施形態の包括スキャン処理ステップ720を実行するよう構成されたスキャンジェネレータモジュール932を含む。スキャンジェネレータモジュール932は、制御ユニット800に接続される。制御ユニット800は、使用中にスキャンプログラム762と、スキャンジェネレータモジュール932の動作を開始又は中断するためのトリガ信号とを供給するよう構成される。スキャンジェネレータモジュール932は、制御データをスキャンジェネレータモジュール932と交換するよう構成された汎用の入出力インタフェース(GPIO)934にさらに接続される。制御データは、例えば、基準又は平均走査誘起歪みに従った事前補償C(p,q)を例えば含む、第1実施形態に記載の方法によるシステム較正からの情報であり得る。
【0114】
スキャン制御ユニット930は、クロックユニット938を含む。クロックユニット938は、使用中にクロック信号760を供給する。スキャンジェネレータモジュール932は、クロックユニット938に接続され、スキャン制御ユニット930により制御されたデバイスの動作を同期させるよう構成される。クロック信号は、例えば、100MHz~400MHz、好ましくは150MHz~200MHzの範囲の周波数を有し得る。
【0115】
スキャン制御ユニット930は、複数の走査信号増幅器モジュール936.1~936.nを含み、これらのそれぞれが特定走査偏向制御ステップ730.1~730.nを実行するよう構成される。スキャンジェネレータモジュール932は、少なくとも第1走査信号増幅器モジュール936.1及び第2走査信号増幅器モジュール936.2に接続される。第1走査信号増幅器モジュール936.1は、一次荷電粒子ビーム経路(
図1及び
図4参照)の第1一括マルチビームラスタスキャナ110の電極、例えば電極153.1及び153.2に接続される。第1一括マルチビームラスタスキャナ110は、
図9には八重極スキャナとして八角形で単純に図示されている。第2走査信号増幅器モジュール936.2は、二次電子ビーム経路の第2一括マルチビームラスタスキャナ222の電極に接続される。第2一括マルチビームラスタスキャナ222は、八重極スキャナとして八角形で単純に図示されている。説明を容易にするために、第1走査信号増幅器モジュール936.1と第1一括マルチビームラスタスキャナ110の8個の電極との間の複数の8個の遮蔽電圧線の代わりに、高電圧接続を表す単一の線972のみが図示されている。高電圧接続972を含む各電圧接続は、電気的に遮蔽されることができ、クロストークが最小化される。
【0116】
増幅器モジュール936.1又は936.2は、第2実施形態による特定走査偏向制御ステップ730を実行するようそれぞれ構成される。したがって、各増幅器モジュール936は、変換ステップ732を実行するための変換ユニットと、頂点後処理ステップ734を実行するための頂点後処理ユニットとを含み、両方のユニットがFPGAで実装され得る。各増幅器モジュールは、デジタルスキャン座標のシーケンスをアナログ電圧に変換するデジタル-アナログ変換器をさらに含む。各増幅器モジュール936.iは、使用中に増幅ステップ740を実行するための、電圧源925に接続された増幅器をさらに含む。一例では、第1走査信号増幅器モジュール936.1の8個の増幅器は、第1一括マルチビームラスタスキャナ110の8個の電極のそれぞれに約+/-80V以下、例えば+/-50Vの8個の高電圧を供給するよう通常は構成される。このような増幅器は、通常はローパス特性を有する。通常、走査信号増幅器モジュール936.iの増幅器の応答は、1MHz~10MHzである。増幅器のローパス特性は、上述のように事前補償することができる。したがって、頂点後処理ステップ734を実行するための増幅器モジュールの頂点後処理ユニットは、走査信号解析を実行し且つ第1走査信号増幅器モジュール936.1のローパス特性の事前補償を提供するよう構成される。一例では、ローパス特性が求められて例えば制御ユニット800のメモリに記憶され、スキャンプログラムが、第1走査信号増幅器モジュール936.1のローパス特性に従って制御ユニット800により調整される。例えば、遅延時間を被選択スキャンプログラムに挿入して、第1走査信号増幅器モジュール936.1により生成される大きな電圧変化の低周波数応答を考慮することができる。
【0117】
スキャンジェネレータモジュール932は、第3走査信号増幅器モジュール936.3及びさらなる走査信号増幅器モジュール936.1~936.nにさらに接続される。概して、複数の少なくとも第1及び第2走査信号増幅器モジュール936.1…936.nが複数の走査同期システム960.1…960.nに接続され、一次荷電粒子ビーム経路の第1一括マルチビームラスタスキャナ110及び二次電子ビーム経路の第2一括マルチビームラスタスキャナ222が、複数の走査同期システム960.1…960.nの2つの例である。走査同期システム960.iの例は、走査多孔アレイ補正器601若しくは602、又は参照により本明細書に援用する2020年8月5日に出願された独国特許出願第12020209833.6号に記載のような補正された一括マルチビームラスタスキャナ110に設けられた一組の補正電極であり得る。代替として、例えば走査多孔アレイ補正器601又は602を補助スキャンシステム950により制御することができ、補助スキャンシステム950は、スキャンジェネレータモジュール932にデジタル接続され、例えばクロックユニット938により供給された同じクロック信号により同期動作するよう構成される。
【0118】
スキャン制御ユニット930は、電源ユニット925に接続される。電源925は、使用中にスキャン制御ユニット930及び複数の走査信号増幅器モジュール936に電力を供給するよう構成される。電源925は、スキャン制御ユニット930及び走査信号増幅器モジュール936の低電圧小電流部分並びに例えば第1一括マルチビームラスタスキャナ110での複数の一次荷電粒子ビームレットの走査偏向に必要な大電流信号の、低電圧サポートを提供するよう構成される。一例では、スキャンジェネレータモジュール932は、上述のように偏向ユニット350にさらに接続される。
【0119】
スキャンジェネレータモジュール932は、画像データ取得ユニット180にさらに接続され、使用中に、被選択スキャンプログラム762に従った走査画像取得の同期のためのクロックユニット938からのクロック信号を含む制御信号を画像取得ユニット810に供給するよう構成される。画像データ取得ユニット810の詳細を、以下でより詳細に説明する。
【0120】
第3実施形態によれば、スキャン制御ユニット930は、
クロックユニット938に接続されたスキャンジェネレータモジュール932と、
第1一括ラスタスキャナ110に接続された第1増幅器モジュール936.1と、
第2一括ラスタスキャナ222に接続された第2増幅器モジュール936.2と
を備え、スキャンジェネレータモジュール932は、使用中に第1増幅器モジュール936.1及び第2増幅器モジュール936.2に対して事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスを生成して供給するよう構成され、且つ
第1増幅器モジュール936.1は、使用中に第1一括ラスタスキャナ110の電極に対して少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成され、
第2増幅器モジュール936.2は、使用中に第2一括ラスタスキャナ110の電極に対して少なくとも第2増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成される。
【0121】
一例では、スキャンジェネレータモジュール932は画像取得モジュール810にさらに接続される。一例では、スキャン制御ユニット930は、使用中にラスタ走査偏向と同期動作するよう構成されたシステム960.3に接続された、少なくともさらに別の増幅器モジュール936.3を含む。
【0122】
図10は、増幅器モジュール936.1…936.nのさらなる詳細を第1増幅器モジュール936.1の例で示す。増幅器モジュール936.1は、デジタルデータ接続線974を介してスキャンジェネレータモジュール932に接続された変換・頂点後処理ユニット940を含み、デジタルデータ接続線974は、例えば2つの事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766用の2つのデータ線を2つの走査方向p及びqのそれぞれに1つずつ含む。変換・頂点後処理ユニット940は、変換・頂点後処理用の追加制御信号を供給する記憶・制御ユニット942にさらに接続され、追加制御信号は、例えばマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の前の較正ステップにおいて求められて記憶・制御ユニット942のメモリに記憶されている。変換・頂点後処理ユニット940は、使用中に変換ステップ732及び頂点後処理ステップ734を実行するよう構成される。変換・頂点後処理ユニット940は、使用中に変換・頂点後処理ユニット940により生成されたデジタル補正後駆動信号シーケンス776を使用中に供給するために、複数の走査デジタル-アナログ変換器946.1~946.8(2つのみ図示)に接続される。各走査デジタル-アナログ変換器946.1~946.8の各出力線が、個々の増幅器948.1~948.8(2つのみ図示)に接続され、例えば第1走査デジタル-アナログ変換器946.1の第1出力線が増幅器948.1に接続される。増幅器948.1~948.8は、走査デジタル-アナログ変換器946.1~946.8により供給された8個の非線形電圧信号772を8個の増幅駆動電圧シーケンス774に増幅するために電源925に接続される。各増幅器948.1~948.8の出力線は、8個の高電圧接続972.1~972.8(2つのみ図示)を介して八重極スキャナ110の8個の電極に接続される。
【0123】
記憶・制御ユニット942は、デジタルオフセット信号をオフセットDAC944にさらに供給することができ、オフセットDAC944は、増幅器948.1~948.8に供給されるこの例では8個のオフセット電圧を生成する。したがって、オフセットDAC944は、増幅器948.1~948.8の入力線に接続される。記憶・制御ユニット942は、汎用の入出力デバイス(GIPO)934にさらに接続され、記憶・制御ユニット942のメモリに記憶する制御コマンド又は制御信号を受け取るよう構成される。
【0124】
スキャンジェネレータモジュール932は、第1FPGAで実装され得る。第1増幅器モジュール936.1の変換・頂点後処理ユニット940及び記憶・制御ユニット942は、第2FPGAで実装され得る。増幅器モジュール936.2の対応する変換・頂点後処理ユニット940及び対応する記憶・制御ユニット942は、第3FPGAで実装され得る。画像データ取得ユニット810は、以下に示すように第4FPGAで実装されたユニットを含む。
【0125】
第3実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、少なくとも2つの増幅器モジュール936.1及び936.2を備え、少なくとも第1増幅器モジュール936.1は、
使用中に少なくとも2つの事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766を少なくとも第1及び第2デジタル補正後駆動信号シーケンス776に変換するよう構成された変換・頂点後処理ユニット940であり、少なくとも2つの事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766を受け取るためにスキャン制御ユニット930に接続された変換・頂点後処理ユニット940と、
使用中に少なくとも第1及び第2デジタル補正後駆動信号シーケンス776を受け取り且つ使用中に少なくとも第1及び第2デジタル補正後駆動信号シーケンス776を少なくとも第1及び第2非線形電圧信号772に変換するために、変換・頂点後処理ユニット940に接続された少なくとも第1及び第2走査デジタル-アナログ変換器946.1及び946.2と、
それぞれが電源ユニット925に接続された少なくとも第1及び第2増幅器948.1及び948.2と
を含んでおり、第1増幅器948.1は、第1走査デジタル-アナログ変換器946.1に接続され、使用中に第1非線形電圧信号772.1を高電圧出力に変換するよう構成され、第1増幅器948.1は、第1高電圧接続972.1を介して一括走査偏向器110の第1電極にさらに接続され、
第2増幅器948.2は、第2走査デジタル-アナログ変換器946.2に接続され、使用中に第2非線形電圧信号772.2を高電圧出力に変換するよう構成され、第2増幅器948.2は、第2高電圧接続972.2を介して一括走査偏向器110の第2電極にさらに接続される。
【0126】
図11は、画像データ取得ユニット810のアーキテクチャ及びコンポーネントを示し、画像データ取得ユニット810の使用中のコンポーネント及び動作のさらなる詳細を以下で説明する。
【0127】
画像データ取得ユニット810は、複数のアナログ-デジタル(AD)変換器を含むアナログ-デジタル変換モジュール又はADCモジュール1808を含む。一例では、イメージセンサ207は、複数J個の二次電子ビームレットに対応する複数J個のフォトダイオードを含む。J個のフォトダイオード、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)のそれぞれが、個々のアナログ-デジタル変換器に接続される。イメージセンサ207は、例えば参照により本明細書に完全に援用する例えばDE102018007455号に記載のように電子-光子変換器をさらに含み得る。
【0128】
J個のフォトダイオードは、J個の画像サブフィールドにおける発生電子に対応してJ個の変動電圧を生成する。フォトダイオードとADCモジュール1808との間に、複数の増幅器を配置することができる。複数J個の二次電子ビームレットのそれぞれの複数J個の結像チャネルのそれぞれについて、較正ステップにおいてオフセット及びゲインを別個に調整することができ、複数J個の較正された変動センサ電圧が生成される。構成及び方法の詳細は、前掲のDE102018007455号に記載されている。複数J個の較正されたセンサ電圧は、ADCユニット1808に供給される。ADCモジュール1808の複数J個のAD変換器は、較正されたJ個のセンサ電圧から複数J個のデジタルデータストリームを生成するよう構成される。ADCモジュール1808は、60MHz~400MHz又はそれ以上の一定のADCクロックで複数J個のデジタルデータストリームを生成して供給するよう構成される。
【0129】
ADCモジュール1808の複数J個のAD変換器は、ADCクロック信号により制御される。ADCモジュール1808は、スキャン制御ユニット930に接続される。一例では、ADCクロック信号は、例えば、クロックユニット938により生成されてスキャン制御ユニット930によりADCモジュール1808に供給される走査クロック信号と同期される。代替例では、ADCモジュール1808は、別個のクロック信号生成器を含み、クロック信号生成器は、スキャン制御ユニット930により供給された制御データに応答してADCクロック信号を生成するよう構成される。
【0130】
レコーダ1810がADCモジュール1808に接続され、ADCモジュールへのインタフェースを提供し、複数J個のデジタルデータストリームを受け取るよう構成される。レコーダ1810は、複数J個のデータストリームを取得モジュール(ACQ)1812に供給するよう構成される。ACQ1812は、クロックユニット938により生成されスキャン制御ユニット930により供給された走査クロック信号を受け取るよう構成される。したがって、ACQ1812は、スキャン制御ユニット930に接続される。ACQ1812は、複数のデジタルデータストリームを走査クロック信号と同期させ且つ複数J個の同期デジタルデータストリームを画像データ分類器1820に供給するよう構成される。画像データ分類器1820は、ACQ1812に接続され、複数の同期デジタルデータストリームを分類してパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成される。画像データ分類器1820は、画素平均化ユニット1822及びライン平均化ユニット1824及び画素アドレッシングユニット1826を含む。3つのユニット1822、1824、及び1826は、順次又は並列に配置され得る。画像データ分類器1820は、スキャン制御ユニット930に接続され、被選択スキャンプログラム762に対応する制御データを受け取るよう構成される。画素平均化ユニット1822及びライン平均化ユニット1824は、スキャン制御ユニット930により供給された制御データに応答して各デジタルデータストリームの複数のデジタルデータにわたって処理を実行するよう構成される。処理は、例えば平均化又は差の計算であり得る。画素アドレッシングユニット1826は、画素平均化ユニット1822及びライン平均化ユニット1824から複数J個の平均化デジタルデータストリームを受け取り且つ画素アドレスを導出してデジタルデータのそれぞれに割り当てるよう構成される。画素又はライン平均化のいくつかの例を以下でより詳細に説明する。画素アドレッシングユニット1826は、フレームグラバメモリ又はパラレルアクセスメモリ1816に接続され、J個のデジタルデータストリームの各デジタルデータ値を被選択スキャンプログラム762に従った画素アドレスに対応するパラレルアクセスメモリ1816の画素アドレスに書き込むよう構成される。
【0131】
一例では、走査クロックユニット938により供給されたクロック周波数又はADCユニット1808のクロック周波数が調整可能である。例えば走査クロックユニット938による走査クロック周波数の調整により、複数の画像画素のそれぞれの滞在時間を可変に調整することができる。一例では、走査クロックユニット938による走査クロック周波数は200MHzであり、各スキャン位置が、H=2クロック信号に対してスキャン制御ユニット930により保持される。したがって、スキャン位置毎の滞在時間は10nsである。H=2からH=3への保持間隔の変更により、滞在時間は15nsに増加する。滞在時間の微調整は、200MHzから例えば180MHzで滞在時間約11nsのH=2、又は200MHzから例えば220MHzへの変更で滞在時間約13.6nsのH=3とする、走査クロックユニット938による走査クロック周波数の調整により達成され得る。走査クロック周波数及び場合よっては画素平均化ユニット1822による画素平均化量の微調整により、有効画素滞在時間を調整することができ、所定の信号対雑音比(SNR)を達成することができる。
【0132】
フレームグラバメモリバンク1816は、並列読み出しのために制御ユニット800に接続され、制御ユニット800は、J個の画像サブフィールド31.11~31.MN(
図3参照)に対応する複数J個のデジタル画像を読み出すよう構成される。制御ユニット800の画像スティッチユニット812は、1つの画像パッチ、例えば画像パッチ17.kに対応する1つのデジタル画像ファイルにJ個のデジタル画像を継ぎ合わせるよう構成される。画像スティッチユニット812は、画像データプロセッサ・出力814に接続され、画像データプロセッサ・出力814は、デジタル画像ファイルから情報を抽出するよう構成され、且つデジタル画像ファイルをメモリに書き込むか又はデジタル画像ファイルからの情報をディスプレイに供給するよう構成される。
【0133】
第3実施形態によれば、画像データ取得ユニット810は、
イメージセンサ207に接続されて使用中に複数J個の変動電圧786を複数J個のデジタルセンサデータストリーム788に変換するよう構成された複数のAD変換器を含む、ADCモジュール1808と、
ADCモジュール1808及びスキャン制御ユニット930に接続され、使用中に、複数J個のデジタルセンサデータストリーム788から、且つ被選択スキャンプログラム762に従ってスキャン制御ユニット930により使用中に供給される選択制御信号744から、複数J個のデジタル画像データ値ストリーム790を選択するよう構成された取得制御ユニット1812と、
取得制御ユニット1812、スキャン制御ユニット930、及びパラレルアクセスメモリ1816に接続された画像データ分類器1820と
を備え、画像データ分類器1820は、使用中に複数のデジタル画像データ値ストリーム790を被選択スキャンプログラム762に従った複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のスキャン位置に対応する複数のメモリアドレスでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成される。
【0134】
一例では、ADCモジュール1808は、クロックユニット938に接続され、使用中にクロックユニット938からクロック信号を受け取り且つ使用中に複数J個の変動電圧786を複数J個のデジタルセンサデータストリーム788に変換するための複数のAD変換器の動作を同期させるよう構成される。一例では、クロックユニット938は、制御ユニット800に接続され、制御ユニット800から制御信号を受け取るよう構成され、且つ使用中にクロックユニット938のクロック周波数を変更するよう構成される。それにより、走査結像動作のクロック信号及び滞在時間がマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の使用中に変わる。
【0135】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の結像制御モジュール820は、並列に配置された少なくとも第1画像データ取得ユニット810.1及び第2画像データ取得ユニット810.2を含む複数L個の画像データ取得ユニット810.nを含み得る。画像データ取得ユニット810.nのそれぞれは、複数J個の一次荷電粒子ビームレットのうちS個のビームレットの部分集合に対応するイメージセンサ207のセンサデータを受け取って、複数J個のデジタル画像データ値ストリームのうちS個のデジタル画像データ値ストリームの部分集合を生成するよう構成され得る。L個の画像データ取得ユニット810.nそれぞれに帰属するS個のビームレットの数は、同一とすることができ、S×L=Jである。Sの数は、例えば6~10、例えばS=8である。並列画像データ取得ユニット810.nの数Lは、一次荷電粒子ビームレットの数Jに応じて例えば10~100又はそれ以上であり得る。結像制御モジュール820のモジュール概念により、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1における荷電粒子ビームレットの数Jは、並列画像データ取得ユニットの追加により増やすことができる。
【0136】
実施形態によれば、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1による走査動作及び画像取得は、被選択スキャンプログラム762に従って可能である。一例では、ウェーハ検査タスク中に、複数の検査部位、例えば検査部位33及び検査部位35(
図3参照)が検査タスクの対象となる。第1検査部位33に対して、第1被選択スキャンプログラム762.1を選択することができ、第2検査部位35に対して、第2被選択スキャンプログラム762.2を選択することができる。一例では、第1検査部位33は、第1被選択スキャンプログラム762.1に従った第1測定で検査され、第2測定では、第1検査部位33が第3被選択スキャンプログラム762.3に従った第2測定で検査される。各画像取得中に、被選択スキャンプログラムは、例えば中間監視タスクのために断続させることができる。マルチビーム走査・画像取得方法707及び結像制御モジュール820では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡での柔軟な走査制御及び同期画像取得が可能であり、高スループット及び高精度で複数の異なるスキャンプログラムに従った動作を可能にする。結像制御モジュール820のモジュールアーキテクチャは、例えば付加的なビーム偏向又は走査補正手段がない比較的単純なマルチビーム荷電粒子顕微鏡1、又は多孔補正器601又は602等の走査誘起収差の補償用の数種類の走査補償器を含み且つビームダンプ130を伴うビーム偏向器350を含む比較的複雑なマルチビーム荷電粒子顕微鏡1に関して、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の構成専用に結像制御モジュール820を適合させることができる。
【0137】
したがって、本発明によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数の一次荷電粒子ビームレットを生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
被選択スキャンプログラム762で試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備え、スキャン制御ユニット930は、包括スキャンジェネレータモジュール932と、第1一括ラスタスキャナ110の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する少なくとも第1増幅モジュール936.1と、第2一括ラスタスキャナ220の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する第2増幅モジュール936.2とを含んでおり、
スキャン制御ユニット930は、使用中に被選択スキャンプログラム762と同期動作する第3動作ユニット960.3又は別の動作ユニット960.nの制御用の第3増幅器モジュール936.3又は別の増幅器モジュール936.nを任意に含むようになされる。
【0138】
一例では、包括スキャンジェネレータモジュール932は、使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の系統的な走査誘起収差を事前補償するよう構成された頂点後処理ユニットを含む。一例では、各増幅器モジュールは、頂点後処理ユニット、デジタル-アナログ変換器、及び増幅器を含み、各増幅器モジュールにおいて、同期動作する動作ユニット960.iと併せた増幅器モジュールの動作の非線形性が、動作ユニット960.i、例えば第1一括ラスタスキャナ110又は第2一括ラスタスキャナ222毎に個別に事前補償される。
【0139】
スキャンプログラム及び被選択スキャンプログラムに従った画像取得の例を、
図12~
図15に示す。例は、単一の画像サブフィールド31.mnで示し、複数N個の一次荷電粒子ビームレット3が一括マルチビームラスタスキャナ110により並行してラスタ走査され(
図3も参照)、複数N個の二次電子ビームレット9が一括マルチビームラスタスキャナ110及び第2一括マルチビームラスタスキャナ222により並行してラスタ走査されて、複数N個のデータストリームを受け取るために検出器アレイ207に集束されることが理解される。
【0140】
図12aは、従来のスキャンプログラムに従ったジグザグラスタ走査パターンの第1例のスキャンプログラム712を示す。スキャンプログラム712は、ラインの始点及びラインの終点が同じp座標にそれぞれあり、各ラインのp座標が続いて例えばdq=1nmのラスタ距離dqだけ増加する、ラインスキャンのシーケンスを含む。ラインの終点と後続ラインの始点との間で、複数の一次荷電粒子ビームレットは後続ラインの開始位置に素早く戻される(「帰線」)。
【0141】
図12bは、生成された信号のうちスキャン制御ユニット930により受け取られたいくつかを示す。走査電圧Upは、p方向のラインの始点からラインの終点への複数の一次荷電粒子ビームレットの反復一括走査偏向のための電圧を表す。この図は、x又はp方向の走査用の一対の電極と、y方向又はq方向の走査用の一対の電極とを有する一括ラスタ走査偏向器を表す。例えば8個の電極を有する一括ラスタスキャナの場合、対応する電圧がそれに応じて導出され得る。各時間間隔Aiで、各画像サブフィールド31.11~31.MNで単一のスキャンラインがラスタ走査される。走査電圧Uqは、q方向の複数の一次荷電粒子ビームレットの段階的な一括走査偏向のための電圧を表す。TDは、走査制御ユニット930と偏向器350との間で交換されるトリガ信号を示し、複数の一次荷電粒子ビームレット3がビームダンプ130(
図2参照)へ偏向される時間Ciを表す。TLは、画像データ取得ユニット810に供給されたトリガ信号の例であり、トリガ信号のそれぞれが1つのスキャンラインに対応する画像データストリームの収集をトリガする。動作を以下の例で説明する。
【0142】
時刻t1において、複数の一次荷電粒子ビームレット3のq方向の次のライン位置に達し、走査制御ユニット930が、複数の一次荷電粒子ビームレット3をビームダンプ130から偏向し戻すよう偏向器350をトリガする。t2において、偏向器350はオフ状態であり、複数の一次荷電粒子ビームレット3のそれぞれが基板に達する。トリガTDは、低い値に設定され、p方向の走査偏向のための電圧ランプがt2で開始される。時刻t3において、複数の一次荷電粒子ビームレット3のそれぞれが次のスキャンラインの画像取得のための始点に達する。t3において、トリガ信号が、画像データ取得ユニット810による画像画素に対応するデジタル値の記録を開始させる。画像データ取得ユニット810は、1つのスキャンラインの画素の所定の画素数Sに対応するS個のデジタル画像データのシーケンスを選択してメモリに書き込む。所定の画素数Sは、例えばS=8000画素で、例えば100MHzの周波数で収集され得る。一例では、スキャン制御ユニット930は、収集周波数の倍数である走査周波数、例えば200MHzで動作し、走査クロックユニット938のクロック信号2つ毎に駆動電圧Upが増加する。ADCユニット1808は、時刻t4で16000個のクロック信号のS=800個のデータ値に達するまで、走査クロック信号2つ毎にセンサユニット207のJ個の光検出器の複数J個のアナログ電圧を収集して複数J個のデジタルデータ値に変換する。時刻t4において、トリガ信号が偏向器350に供給される。時刻t5において、複数の一次荷電粒子ビームレット3がビームダンプへ偏向されると、検出器350はトリガTDを高い値に設定する。時刻t5において、スキャン制御ユニット930は、次のスキャンラインの開始位置への帰線をトリガする。Upはp方向のラインの開始位置まで下げられ、Uqはq位置の次のラインに対応する次の偏向電圧に上げられる。
【0143】
図12に示す電圧ランプは、通常は複数のスキャン位置に対応する複数の小さな電圧ステップからなる。しかしながら、一例では、複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の焦点スポット5は物体の表面にわたって動き続けている。この例では、画素のサイズ及び形状は、画像データ取得ステップ750のAD変換ステップ752中に用いられるクロック周波数により分割された一次荷電粒子ビームレットの焦点スポット5の移動速度により決まる。
【0144】
図18は、第1スキャンプログラム712での荷電粒子顕微鏡1の第1動作のさらに別の例である。荷電粒子顕微鏡1の画像パッチ17のサブフィールド31.mn(
図3参照)が、一次荷電粒子ビームレットでラスタ走査され、物体面101に位置付けられた物体の表面領域のデジタル画像セグメントが生成される。ラスタ走査は、ライン番号q=1~Qの水平ライン53で第1スキャンプログラム712に従って実行される。ライン数は、例えばQ=8000であり得る。スキャンプログラム712に従ったラスタ走査中に、一次荷電粒子ビームの焦点5が、正方形55で示す一連の隣接する画素位置に向けられる。各ライン53における位置は、番号p=1~p=Pのカラムに配置される。各ライン53における位置55の数Pは、ライン53の数Qと等しく、例えばQ=P=8000であり得るが、数Pはライン53の数Qとは異なることもできる。
【0145】
パラレルアクセスメモリ1816において、アドレス領域61.mnが画像データ分類器1820により確保されるか又は割り当てられる。アドレス領域61.mn内のアドレス位置63を正方形として表す。アドレス領域61.mnは、パラレルアクセスメモリ1816内の多くのアドレス領域61のうちの1つであり得る。アドレス領域61.mn内のアドレス位置63は、ライン番号a=1~Aのライン65により与えられる。ライン65の数Aは、数Qと等しくすることができる。各ライン65は、カラム番号b=1~BのB個のメモリロケーション又はカラムを含む。ライン65毎のメモリロケーションの数Bは、例えば各ライン53における画像画素数Pと等しい。
【0146】
1つの画像データ取得ユニット810に対して割り当てられる一次荷電粒子ビームレットの数Sに応じて、画像データ取得ユニット810のパラレルアクセスメモリ1816毎のアドレス領域61.mnの数が適宜選択され、複数L個の画像データ取得ユニット810のそれぞれの各パラレルアクセスメモリ1816で、S個のアドレス領域61.1~61.Sの数を割り当てることができる。
【0147】
第1動作モードにおいて、ラスタ走査及び画像取得の両方が、クロック信号760により同期された同じクロック周波数で動作する。例えば100MHzのピクセルレート且つスキャンライン毎に8000画素では、1.56Hzの画像周波数に対応して12.5kHz以下のライン走査周波数が達成可能である。サブフィールド31.mnの画像画素55に対応する各検出器信号が、矢印67で示す対応するアドレス領域61.mnの対応する単一のメモリロケーション55に転送されて記憶される。第1動作モードにおいて、1つのライン53内の画像画素55の数Pは、アドレス領域61.mnの対応するライン内のアドレス位置63の数B以下であり(Q≦B)、単一のライン53内の画像画素55に対応するP個の検出器信号は、矢印69で示すように、単一のアドレスライン65のアドレス領域61.mnに書き込まれる。ライン53の数Qにも同様のことが当てはまり、Q≦Aである。制御ユニット800はこのとき、パラレルアクセスメモリ1816からデジタル画像データを読み出すよう構成され、例えば画像スティッチングを実行することができる。
【0148】
図12bに示すように、時間Ciは可変であり得ると共に検出器350の応答に要する実際の時間に応じて変わり得る。この例では、画素平均化ユニット1822及びライン平均化ユニット1824は、平均化しないよう設定される。別の例では、ADCユニット1808の収集周波数は、走査クロックに比べて高い値に設定され、ADCユニット1808により生成された複数のデジタルデータストリームは例えば200MHzで動作する一方で、走査は100MHzで動作する。この例では、画素平均化ユニット1822は、複数のデジタルデータストリームの後続のデジタルデータ値の各対を平均化して、画素アドレッシングユニット1826に供給されるデジタル画素データストリームを形成する。
【0149】
画素又はライン平均化の目的で、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824のそれぞれが別個のメモリユニットを含み得る。別の例では、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、フレームグラバメモリバンク又はパラレルアクセスメモリ1816を利用する。複数のデジタルデータストリームのデジタルデータ値は、続いて画素平均化ユニット1822及び画素アドレッシングユニット1826によりフレームグラバメモリバンク又はパラレルアクセスメモリ1816の一次メモリロケーションに書き込まれる。デジタルデータ値は、続いてフレームグラバメモリバンク1816の一時メモリロケーションから読み出され、画素又はライン平均化が適宜行われる。さらなる詳細は、参照により本明細書に援用する2020年2月4日に出願された独国特許出願第102020102779.6号に記載されている。第1ステップにおいて、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、画素アドレッシングユニット1826を介して第1デジタルデータ値セットをパラレルアクセスメモリ1816の第1メモリアドレスに書き込む。第2ステップにおいて、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、第2デジタルデータセットを受け取る。第3ステップにおいて、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、パラレルアクセスメモリ1816の第1メモリアドレスから第1デジタル値セットを読み出す。第4ステップにおいて、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、第1デジタル値セット及び第2デジタル値セットの処理を実行して第3デジタル値セットを生成する。第5ステップにおいて、第3デジタル値セットは、画素アドレッシングユニット1826を介してパラレルアクセスメモリ1816の第2メモリアドレスに書き込まれる。一例では、第2メモリアドレスは第1メモリアドレスと同一である。第2例では、第1メモリアドレスは一時メモリアドレスである。第2メモリアドレスは、これらの例ではデジタル画像データ内の画素位置に対応するメモリアドレスである。
【0150】
画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824による処理の例は平均化であり得ると共に、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、第1及び第2デジタル値の平均値を生成する。別の例では、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、第1及び第2デジタル値の他の処理方法を実行するよう構成されて制御コマンドによりトリガされ得る。例えば、第1及び第2デジタル値の異なる値を計算することができる。それにより、例えばエッジを検出することができる。
【0151】
被選択スキャンプログラム762に従った画素又はラインデータ処理のために、画素平均化ユニット1822、ライン平均化ユニット1824、及び画素アドレッシング・メモリ割り当てユニット1826は、包括スキャンコマンド処理ステップ724から選択制御信号744を受け取るよう構成される。それにより、画素アドレッシング・メモリ割り当てユニット1826は、例えばパラレルアクセスメモリ1816の一時メモリロケーションを受け取り割り当てる。画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824は、被選択スキャンプログラム762の処理に従った処理情報、例えばデータ値の平均又は差の計算を受け取る。
【0152】
図19は、荷電粒子顕微鏡1での走査及び画像取得の第2動作モードを示す。スキャンプログラムは、第1スキャンプログラム712と同様である。画像サブフィールド31.mnは、この場合もQ個のライン53及び画像画素55のP個のカラムを有する。しかしながら、各画素55の滞在時間は2倍に増え、各画像画素位置で2つのデジタルデータが画像データ取得ユニット810により生成される。
図19は、画素平均化ユニット1822の動作の例を示す。一次荷電粒子が画素位置55へ指向される度に、2つのデジタルデータ値が生成されて画素アドレッシングユニット1826によりパラレルアクセスメモリ1816のアドレス領域61.nm内の2つの隣接するメモリロケーションに書き込まれる。第1クロック間隔中に、一次荷電粒子ビームが第1画素位置へ指向され、第1デジタル画像値がADCモジュール1808により生成されて第1メモリロケーションに書き込まれる。第2クロック間隔中に、一次荷電粒子ビームが依然として第1画素位置へ指向され、第2デジタル画像値がADCモジュール1808により生成されて第2メモリロケーションに書き込まれるので、各走査ライン53後に2つの隣接するメモリライン65がデジタル画像データ値シーケンスで埋められる。これも矢印69で示し、各画素ライン53が少なくとも2つのメモリアドレスライン65に書き込まれることを示す。この例では、メモリアドレスライン65の数Aは、画像画素ライン53の数Qの2倍でなければならない。
【0153】
一例では、制御ユニット800は、例えば第1及び第2メモリロケーションからの第1及び第2デジタル画像値のそれぞれの平均化により、パラレルアクセスメモリ1816の各アドレス領域61.nmから物体の表面のデジタル画像セグメントを導出するよう構成され得る。別の例では、画素平均化ユニット1822は、内部で平均化を実行し、第1及び第2デジタル画像値は、メモリアドレス位置に書き込まれる前に画素平均化ユニット1822内で平均化されて1つのデジタル画像値に合成される。
【0154】
図20は、荷電粒子顕微鏡1の走査及び画像取得の動作モードの第3例を示す。第3動作モードにおいて、修正されたスキャンプログラム712.2が適用され、各画素ライン53が2回ラスタ走査される。修正されたスキャンプログラム712.2を概略的に図示する。一例では、スキャンプログラム712を単に繰り返すことができる。画素ライン53.1に沿った第1方向の第1ラスタ走査中に、第1画素数Pが一次荷電粒子ビームレットで照明され、第1デジタル画像データシーケンスが生成されてパラレルアクセスメモリ1816のアドレス領域61.nmで第1ライン65.1に書き込まれる。同じ画素ライン53.1に沿った第1方向の後続の第2ラスタ走査において、第1画素数Pが一次荷電粒子ビームレットで再度照明され、第2デジタル画像データシーケンスが生成されてパラレルアクセスメモリ1816のアドレス領域61.nmで第1ライン65.2に書き込まれる。この例では、各画素位置が一次荷電粒子ビームレットにより少なくとも2回照明される。これも矢印69で示し、各画素ライン53が少なくとも2つのメモリアドレスライン65に書き込まれることを示す。第2例のように、メモリアドレスライン65の数Aは画像画素ライン53の数Qの2倍でなければならない。
【0155】
一例では、制御ユニット800は、例えば第1及び第2メモリロケーションからの第1及び第2デジタル画像値のそれぞれの平均化により、パラレルアクセスメモリ1816の各アドレス領域61.nmから物体の表面のデジタル画像セグメントを導出するよう構成され得る。上述のように、他の処理動作も可能である。
【0156】
図19及び
図20の例では、物体の表面上の各画素位置が2回ラスタ走査され、アドレス領域61は
図18の例の2倍のメモリロケーションを必要とする。したがって、照明、検出、及びJ個のサブフィールド31に対応するデータシーケンスの変換により生成されたデジタルデータ値シーケンスが、パラレルアクセスメモリ1816の容量を超える可能性がある。一例では、ラスタ走査及び画像取得の方法は、少なくとも2段階に分離することができ、第1段階では第1ラインセットがラスタ走査されて第1デジタル画像データセットがメモリ1816のメモリロケーション61に書き込まれる。第1デジタル画像データセットは、続いて制御ユニット800により読み出される。第2段階では、第2ラインセットがラスタ走査されて第2デジタル画像データセットがメモリ1816のメモリロケーション61に書き込まれる。第2デジタル画像データセットは、続いて制御ユニット800により読み出され、例えば画像スティッチユニット812により第1デジタル画像データセットと共に処理される。第1段階から第2段階への移行中に、第1デジタル画像データセットは、メモリアドレス領域61から制御ユニット800の一時メモリに再配置される。再配置後に、アドレス領域61を第2デジタル画像データセットに用いることができる。このプロセスは、多数の段階で連続して行うこともできる。
【0157】
スキャンプログラムの一例では、例えば第1スキャンプログラム712に従った各後続の走査ラインの走査動作が、逆の順序で繰り返され、各画像サブフィールドの各ラインが続いて正及び負のp方向に2回走査される。この例では、ライン平均化ユニット1824に、2つの後続のデジタルデータ値ストリームのライン平均化を実行し且つ各サブフィールドのデジタル画像で1つのラインの画像画素値を表す複数の画素データ値ストリームを生成するようトリガ信号が供給される。逆走査方向に生成されたライン走査信号の平均化及びライン平均化ユニット1824による平均化により、例えば半導体フィーチャのライン又はエッジに関する対称画像信号が生成される。別の例では、正の第1方向のラインの第1走査からの第1信号及び負の第2方向のラインの第2走査からの第2信号が減算され、それによりエッジが検出され強調される。
【0158】
図示の例では、第1画素ライン53.1の第1及び第2走査は順次行われ、アドレスライン65.1及び65.2は順次配置されるが、そうである必要はなく、他の構成も可能である。例えば、第1走査動作に従った第1デジタルデータシーケンスを第1メモリ領域61.mn.1に書き込むことができ、第2走査動作に従った第2デジタルデータシーケンスを第1メモリ領域61.mn.1から離れた第2メモリ領域61.mn.2に書き込むことができる(図示せず)。別の例を
図21に示す。この例では、ライン平均化ユニット1824及び画素アドレッシングユニット1826は、第1デジタルデータ値シーケンスを一時メモリロケーション75に書き込むよう構成される。第1走査ライン53.1における画素位置55.1から収集され変換されたデジタルデータ値は、一時メモリロケーション75に割り当てられる。割り当てを矢印67.1で示す。
図21bに示す第2ステップにおいて、第2デジタルデータ値シーケンスが第1走査ライン53.1における画素位置55.2から収集され変換される。同時に、ライン平均化ユニット1824が第1デジタルデータ値シーケンスを一時メモリロケーション75から読み出し、第1及び第2デジタルデータ値の処理73を実行して第3デジタルデータ値を計算する。第3デジタルデータ値は、パラレルアクセスメモリ1816のアドレス領域61.mnに最終的に書き込まれる(矢印71と共に矢印67.2で示す)。アドレス領域61.mnは、上記例に記載のようにサブフィールド31.mnに割り当てられる。別の例では、ライン平均化ユニット1824は、選択された走査位置セットに関するデジタルデータ値シーケンスの平均値を計算するよう構成することもでき、デジタルデータ値シーケンスの統計的分析を実行するよう構成することもできる。
【0159】
図19~
図21の異なる画素又はライン平均化方法を、単一の一次荷電粒子ビームレットの例で説明する。複数の一次荷電粒子ビームレット3を用いるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1では、
図18~
図21の説明が複数J個の一次荷電粒子ビームレットのそれぞれに当てはまることが理解される。
【0160】
図19~
図21の異なる画素又はライン平均化方法を第1スキャンプログラム712の例で説明するが、画素又はライン平均化の例は第1スキャンプログラム712に限定されない。例では、各一次荷電粒子ビームレットが物体の表面の各画素位置へ少なくとも2回指向され、一次荷電粒子ビームレットが画素へ指向される累積時間間隔が増える。累積時間間隔は滞在時間に対応する。
【0161】
上記例では、滞在時間は2倍に増える。しかしながら、画素平均化ユニット1822又はライン平均化ユニット1824により、滞在時間の偶数番目毎の増加が可能である。例えば、滞在時間を3倍に増やすために、各画素が一次荷電粒子ビームレットにより3回照明され、3つのデジタルデータ値の平均が上述の例と同様に計算され得る。
【0162】
画素又はライン平均化ユニット1822、1824による平均化を含む動作モードによれば、マルチビーム走査・画像取得方法707は、被選択スキャンプログラム762、例えばスキャンプログラム712又は716を選択するステップと、被選択スキャンプログラム762に従って試料7の表面25上の複数J個の画像サブフィールドにわたり複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を一括走査するステップと、J個の変動電圧ストリーム786を取得するステップと、クロックレート760でJ個の変動電圧ストリーム786を変換してJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を形成するステップと、J個のデジタル画像データ値ストリーム790のそれぞれからの少なくとも2つのデジタル画像データ値を処理して、デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を形成するステップと、デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を含むJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を規定のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込むステップとを含む。
図19の例では、複数の画像サブフィールド31の各画像サブフィールド内の各画素位置55が、長い滞在時間で一次荷電粒子ビームレットにより照明される。例えば、100Hzのサンプリングクロック周波数では、データサンプリング周波数はサンプリングレート10msに対応する。例えば滞在時間20msの上記例では、滞在時間はサンプリングクロック周波数760の逆数に比べて2倍であった。概して、滞在時間はクロックレート760の逆数のG倍に相当することができ、ここでGはG=2、3、4、又はそれ以上の整数である。
図19の例では、スキャンプログラム762は、走査パターン、例えば走査パターン712、714、716.1、716.2、又は716.3を含み、複数の画像サブフィールド31の各画像サブフィールド内での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を用いた走査パターン712、714、716.1、716.2、又は716.3の少なくとも1つでの各画素位置55の反復走査照明をさらに含む。この方法では、物体の表面領域から収集されたデジタル画像データの信号対雑音比(SNR)を大きくすることが可能である。以下に記載するスキャンプログラム716の第3例(
図14参照)では、各サブフィールド31.mn内のいくつかの走査パターン716.1~716.3のうち1つの選択された走査パターン、例えば走査パターン716.3についてのみ、累積滞在時間の増加を適用することも可能である。それにより、SNRがより高い被選択領域の画像と組み合わせて物体の表面領域の外観画像を達成することが例えば可能である。
【0163】
図13aは、第2例のスキャンプログラム714を示す。この例では、1つの画像サブフィールド31.mnについて示すように、走査経路のそれぞれが蛇行形状の経路を辿る。対応する信号の例を
図13bに示す。第2例のスキャンプログラム714は、第1スキャンプログラム712より高速であり、帰線中のビーム偏向器350によるビームダンプ130へのビーム偏向を必要としない。時刻t6において、画像データ取得ユニット810による新たな画像データ取得が、終了位置から開始位置へのラインスキャンに対応するUpのランプダウン段階中に開始される。画像データ取得ユニット810に供給されたトリガ信号TLは、第2値、例えば低トリガ信号に設定され、画素アドレッシングユニット1826が逆走査方向を考慮して画素アドレスを逆の順序に供給する。時間間隔Ai、例えばS=8000個の収集画素の後に、トリガTLが0に設定されて画像取得を停止する。時間Ci中に、J個の画像サブフィールドのそれぞれにおいてJ個の次の走査ラインで複数J個の一次荷電粒子ビームレットを偏向するための次の偏向電圧にUpを切り替えることにより、スキャンプロセスが戻って次の走査ラインに進む。時刻t7において、次のスキャンラインの開始位置に達し、正のp方向のライン終点への走査のための走査電圧ランプUpが開始される。トリガTLは、この例では高い値である第1トリガ信号レベルに切り替えられ、画素アドレッシングユニット1826は、正のp座標の走査方向を考慮して線形オーダで画素アドレスを供給する。
【0164】
図14は、画像サブフィールド31.mnの例で第3例のスキャンプログラム716を示す。第3例のスキャンプログラム716は、各画像サブフィールドにいくつかの走査パターン、例えば第1走査パターン716.1、第2走査パターン716.2、及び第3走査パターン716.3を含む。走査パターン716.1~716.3は、相互に離れて配置される。走査パターン716.3は、p-q座標系に対して回転される。走査パターン716.1~716.3の分離は、試料の帯電効果を最小化又は軽減するように設けられ得る。走査パターン716.3の回転を利用して、関心の構造を異なる走査方向で測定することができる。例えば、半導体構造は、水平(H)又は垂直(V)方向に通常は配置される。このような場合、H-V方向からずれた方向のさらなる走査が有利であり得る。この例では、画像スティッチユニット812をスキップすることができ、画像データは、ライン幅測定、ラインエッジ粗さ測定又はそれに類するもの等の画像データプロセッサ・出力ユニット814での画像データ処理にのみ用いられる。
【0165】
上述の装置及び方法により、走査パターン716.1~716.3での第3例のスキャンプログラムのような複雑なスキャンプログラムが達成される。第1ステップにおいて、スキャンプログラムが制御ユニット800により記述される。第2ステップにおいて、スキャンプログラムは、上述のようにスキャンコマンド処理ステップ724においてスキャンジェネレータモジュール932により線又は点コマンドにセグメント化される。線又は点コマンドは、頂点後処理ステップ726により処理され、特定走査偏向制御ステップ730を実行するために増幅器モジュール936.1~936.nに供給される。複数の駆動電圧972が、例えば一括マルチビームラスタスキャナ110及び222の電極に供給される。さらなるトリガ信号が、データ収集及びユニット画素座標に対応するメモリアドレス値でのパラレルアクセスメモリ1816への画素データ書き込みの同期のために、画像データ取得ユニット810に供給される。
【0166】
スキャンプログラムの他の例は、分離されたスキャンラインで画像サブフィールドを続いて走査するインタレース走査技術を含み得る。例えば、第1走査パターンで、3ライン毎の、例えばライン1-4-7等が第1又は第2スキャンプログラムと同様の走査パターンで走査され、第2走査パターンで、次のセットの3ライン毎、例えばライン2-5-8等が第1又は第2スキャンプログラムと同様の走査パターンで走査される。別の例では、スキャンプログラムが、例えば画像サブフィールド毎に第1の512×512画素の第1ラスタ走査パターンと第1ラスタ走査パターンの第1の512×512画素の間に配置された第2の512×512画素の第2ラスタ走査パターンとで始まる、高分解能化のラスタ走査手法に従う。動作は、各画像サブフィールドの複数の第1及び第2画素間に配置された1024×1024画素の第3ラスタ走査パターンにより続けられ、画像サブフィールド毎に例えば8000×8000画素の所要分解能の画像取得に達するまで、さらなるラスタ走査パターンが例えば2048×2048画素で追加される。
【0167】
スキャンプログラムの別の例では、スキャンプログラムは、例えば走査パターン716.3と同様に、画像サブフィールド毎に所定の位置に小さな第1走査パターンを含む。スキャンプログラムは、例えば第2スキャンプログラム714と同様の第2走査パターンを含む。第2走査パターンの実行中に、第2走査パターンは少なくとも1回中断され、第1走査パターンが例えば2回又は3回繰り返され、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1のドリフトが監視される。第1走査パターンの反復走査動作及び画像取得の結果に応じて、能動補償器によるドリフト補償をトリガすることができるか、又はマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の較正又は調整がトリガされる。能動ドリフト制御を提供する方法及び解決手段は、参照により本明細書に援用される2020年5月28日に出願された独国特許出願第102020206739.2号に例えば開示されている。
【0168】
サブフィールド31.mnに比べて小さな面積の走査パターンを少なくとも含むスキャンプログラムの別の利点が得られるのは、特別な検査タスクで、例えば計測タスク、又はDie to Die比較又はDie to Database比較としてよく知られるタスクを実行するためにウェーハ表面の表面セグメントのみを検査しなければならない場合である。このような検査タスクでは、ウェーハの表面のセグメントのみが検査され、例えば相互に又は例えば理想的なウェーハ表面のCADデータから導出されたデータと比較される。本発明による走査・画像取得方法は、それによりウェーハ検査タスクのスループットを向上させる。
【0169】
図15は、別の例のスキャンプログラム762を示す。一例では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の複数J個の一次荷電粒子ビームレット3は、画像サブフィールドの中心29を六角形配列に分配した六角形ラスタ構成で配置される。
図15は、十字として示した一次荷電粒子ビームレット3(ビームレットは図示せず)の10個の中心29.ijの例を示す。従来技術では、対応する画像サブフィールド31は、
図3に示すような矩形の画像サブフィールドとして構成される。しかしながら、画像データ取得ユニット810及びマルチビーム走査・画像取得方法707では、本発明の実施形態によれば、複数の一次荷電粒子ビームレット3を六角形パターン27hでラスタ走査することも可能である。六角形パターン27hに従った六角形スキャンプログラム762において、p方向の走査ラインの長さは可変であり、q座標に応じて異なるラインの走査中に変わる。したがって、六角形走査パターン27hに従ってラスタ走査される対応する画像サブフィールド31.ijは、六角形である(そのうちの2つのみを走査ライン27hなしで示す)。それにより、
図3に示す矩形走査パターンに比べて、各一次荷電粒子3の最大走査偏向値が約10%低減され、3次の走査誘起歪みが20%以上、例えば25%~30%低減される。
【0170】
したがって、一実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を六角形ラスタ構成で生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
それぞれが六角形である複数J個の画像サブフィールド31を有する試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備える。
【0171】
図16は、
図15に示す複数の一次荷電粒子ビームレットの六角形ラスタ構成を用いるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の動作の例を示す。複数の画像サブフィールド31のうち7個の中心座標29.ijのみを十字で示す。各中心座標29.ijは、一括マルチビーム偏向器110がオフ状態にある場合の複数の一次荷電粒子ビームレット3の1つの焦点5を表す。
図16aに、x-y座標と平行な列及び行に配置された中心座標の配置を有する
図15の構成を示す。規定のスキャンプログラムに従った走査パターン27hによりラスタ走査される1つの六角形のサブフィールド31.ijの直径は、直径D1を有する。マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の動作中に、例えば作動距離又は像面の調整によるラスタ構成又は一次荷電粒子ビームレット3の回転37が、磁気浸レンズとして構成され得る対物レンズ102の動作条件の変化に起因して生じ得る。不変のスキャンプログラム27hを用いる従来の走査動作では、走査ラインの向きは同じ回転角37だけ回転され、走査動作は、試料台500及び試料表面25の座標系と一致するx-y座標系に対して平行又は垂直ではない。走査パターン27hでの走査のために未修正のスキャンプログラムを用いる走査動作は、例えばx軸に対して角度37だけ回転したp軸に沿ったスキャンラインを生成することになる。このような状況では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1での走査結像の結像結果は、焦点位置の作動距離に応じて変わり得る。しかしながら、上記実施形態に従った画像データ取得ユニット810及びマルチビーム走査・画像取得方法707では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、中心座標29.ij及びp-q座標系を有するラスタ構成が角度37だけ回転される場合でも例えばx方向と平行な走査方向を維持するよう構成される。ラスタ構成の回転37に従って、走査パターン27hを用いる第1スキャンプログラムは第2スキャンプログラム27h2に変更され、第2スキャンプログラム27h2は、直径D2及びx方向と平行な走査ラインを有する僅かに大きな画像サブフィールド31に対応する僅かに大きな面積をカバーすることができる。第1スキャンプログラム27hと第2スキャンプログラム27h2との間の少なくともスキャンラインの長さ又はスキャンラインの数の変化により、複数J個の画像サブフィールド31のサイズが変わり、画像パッチが複数の画像サブフィールドでカバーされる代わりに重なり領域39が僅かに大きくなる。さらに、スキャンコマンド処理ステップ724中に、スキャンプログラム762は、走査座標系p及びqの回転を補償するためにユニットスキャンコマンドシーケンス764の回転を含む。
【0172】
スキャンプログラム又は走査パターンの変更は、六角形ラスタ構成に限定されず、1次元ラスタ構成、円形ラスタ構成、又は
図3に示すような矩形ラスタ構成にも適用することができる。
【0173】
実施形態による画像データ取得ユニット810及びマルチビーム走査・画像取得方法707では、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、例えばx方向と平行、y方向と平行、又は任意の角度の方向と平行な走査ラインの任意の走査向きで画像走査するよう構成されることにより、適合サイズの複数の画像サブフィールドで画像パッチの完全なカバーを維持する。例えば、x-y座標系は、ウェーハ等の試料の向きを表し、走査ラインの向きはウェーハの構造の向きに指向される。このような構造は、例えば水平且つ垂直のライン又はエッジ(いわゆるHV構造)を含んでいることができ、例によっては、ライン又はエッジを規定の一定角度で、例えばライン又はエッジに対して垂直にラスタ走査することが好ましい。したがって、一実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡1は、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
対物レンズ102と、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の走査を制御するため及び複数J個の画像サブフィールド31に配置された複数の走査ラインでの試料の表面の画像パッチの取得を制御するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備え、結像制御モジュール820は、試料の向きに対する複数の走査ラインの向きを変更するよう構成され、且つ画像パッチをカバーするように複数J個の画像サブフィールド31のサイズを変えるために、少なくとも走査ラインの長さ又は走査ラインの数を変更するよう構成される。一例では、複数の走査ラインの向きの変更は、対物レンズ102の動作条件の変化による複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のラスタ構成の回転に従ったものである。
【0174】
図を通して、スキャンプログラム762は、数本の走査ラインのみを示すことにより単純に示されている。画像画素数が、このような例では8000本の走査ラインを含む例えば8000×8000又はそれ以上であり得ることが理解される。
【0175】
説明から明らかなように、例及び実施形態の組み合わせ及び種々の変更が可能であり、実施形態又は例と同様に適用することができる。一次ビームの荷電粒子は、例えば電子であり得るが、Heイオン等の他の荷電粒子でもあり得る。二次電子は、狭義には二次電子を含むが、後方散乱電子又は後方散乱電子により生じた2次の二次電子等、一次荷電粒子ビームレットと試料との相互作用により生じた任意の他の二次荷電粒子も含む。別の例では、二次電子の代わりに二次イオンが収集され得る。
【0176】
本発明を以下の節により記載する。
【0177】
節1:マルチビーム荷電粒子走査電子顕微鏡1を較正する方法であって、
較正用試料の表面25にわたって第1駆動信号V1(p,q)で一括マルチビームラスタスキャナ110により複数の一次荷電粒子ビームレット3をラスタ走査することにより較正測定を実行する第1ステップと、
較正測定から複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンを導出する第2ステップであり、走査誘起歪みパターンを複数の一次荷電粒子ビームレット3それぞれについて導出することを含む第2ステップと、
複数の走査誘起サブフィールド歪みパターンを分析して補正信号C(p,q)を導出する第3ステップと、
第1駆動信号V1(p,q)を補正信号C(p,q)で修正して、一括マルチビームラスタスキャナ110を駆動するための修正駆動信号V2(p,q)を導出する第4ステップと
を含み、最大走査誘起歪みが最小化される方法。
【0178】
節2:節1に記載の方法において、分析する第3ステップは、
平均値、加重平均値、又は中央値の計算のいずれかを含む統計的方法により複数の走査誘起歪みパターンの基準歪みパターンを導出するステップと、
基準歪みパターンから補正信号C(p,q)を導出するステップと
を含む方法。
【0179】
節3:節1又は2に記載の方法において、複数の一次荷電粒子ビームレット3のそれぞれの最大走査誘起サブフィールド歪みが所定の閾値未満に最小化されるまで、第1~第4ステップが繰り返される方法。
【0180】
節4:節1又は2に記載の方法において、複数の一次荷電粒子ビームレット3の最大走査誘起サブフィールド歪みの大部分が所定の閾値未満に低減され、少数の個別一次荷電粒子ビームレットの最大走査誘起サブフィールド歪みが所定の閾値を超える方法。
【0181】
節5:節1~4のいずれかに記載の方法において、補正信号C(p,q)は、被選択スキャンプログラムに従った走査誘起歪みの事前補償のために一括マルチビームラスタスキャナの制御ユニットのメモリに記憶される方法。
【0182】
節6:複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の一括走査を制御し、且つマルチビーム荷電粒子顕微鏡1で複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを取得するための、マルチビーム走査・画像取得方法707であって、
複数のスキャンプログラムを供給し且つ被選択スキャンプログラム762を選択する構成ステップ710と、
被選択スキャンプログラム762を受け取り、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766及び選択制御信号744を被選択スキャンプログラム762から生成する、包括スキャン処理ステップ720と、
少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス774を、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766から生成し、且つ少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス774を、試料7の表面25上の複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の一括偏向のための一括偏向ステップ742に供給する、特定走査偏向制御ステップ730と、
アナログデータ収集ステップ748中にイメージセンサユニット207から収集されたJ個の変動電圧ストリーム786を変換し選択してJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を形成する、画像データ取得ステップ750であり、J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、複数J個のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込まれて複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを形成し、選択及び書き込みは、包括スキャン処理ステップ720で生成され供給される選択制御信号744により制御される、画像データ取得ステップ750と
を含む方法。
【0183】
節7:節6に記載の方法において、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを共通のアクセスメモリから読み出して画像処理を実行する、並列読み出し・画像処理ステップ758をさらに含む方法。
【0184】
節8:節7に記載の方法において、画像処理ステップは、複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データのそれぞれに適用される、画像フィルタリング、画像登録、閾値演算、オブジェクト検出、画像オブジェクトの寸法測定、歪み補償、コントラスト強調、逆畳み込み演算、又は画像相関の1つを含む方法。
【0185】
節9:節7に記載の方法において、画像処理ステップは、複数J個のデジタル画像データから単一のデジタル画像ファイルを形成するためのスティッチング演算を含む方法。
【0186】
節10:節6~9のいずれかに記載の方法において、包括スキャン処理ステップ720中に、少なくとも第1ユニットスキャンコマンドシーケンス764が正規化サブフィールド座標(u,v)で生成され、第1ユニットスキャンコマンドシーケンス764は、回転、縮尺変更、又は所定の補正関数C(p,q)の考慮の1つを含む演算の適用により、画像サブフィールド座標(p,q)で事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766に変換される方法。
【0187】
節11:節10に記載の方法において、包括スキャン処理ステップ720中に生成された選択制御信号744は、第1ユニットスキャンコマンドシーケンス764を含み、画像データ取得ステップ750中に、J個のデジタル画像データ値ストリーム790は、第1ユニットスキャンコマンドシーケンス764に対応する複数J個のメモリロケーションで共通のアクセスメモリに書き込まれる方法。
【0188】
節12:節6~11のいずれかに記載の方法において、方法は走査同期制御ステップ718をさらに含み、包括スキャン処理ステップ720中に、同期制御コマンド768が走査同期制御ステップ718と交換される方法。
【0189】
節13:節6~12のいずれかに記載の方法において、複数J個の一次荷電粒子ビームレット3は、ステージ又はステージ上に取り付けられた試料の座標系の向きに対する回転角だけ使用中に回転させたラスタ構成で構成され、包括スキャン処理ステップ720中に、ユニットスキャンコマンドシーケンス764は、ラスタ構成の回転を補償するように調整される方法。
【0190】
節14:マルチビーム荷電粒子顕微鏡1であって、
複数J個の画像サブフィールド31.11~31.MNにわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を一括走査する少なくとも第1一括ラスタスキャナ110と、
J個の画像サブフィールド31.11~31.MNの1つにそれぞれ対応する複数J個の二次電子ビームレット9を検出する検出器207を含む検出系200と、
結像制御モジュール820であり、
第1一括ラスタスキャナ110に接続され、使用中に第1被選択スキャンプログラム762に従った第1一括ラスタスキャナ110での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のラスタ走査動作を制御するよう構成されたスキャン制御ユニット930、及び
スキャン制御ユニット930及び検出器207に接続され、使用中にスキャン制御ユニット930により供給されたクロック信号と同期して検出器207から複数S個の画像データを取得し選択するよう構成され、且つ複数S個の画像データを第1被選択スキャンプログラム762に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成された少なくとも1つの画像データ取得ユニット810であり、S≦Jである画像データ取得ユニット810
を含む結像制御モジュール820と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0191】
節15:節14に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、スキャン制御ユニット930は、使用中にクロック信号をスキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に供給するよう構成されたクロック信号生成器938を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0192】
節16:節15に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、スキャン制御ユニット930は、ラスタ走査動作と同期動作するよう構成された少なくとも別のシステム960にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0193】
節17:節16に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、少なくとも別のシステム960は、使用中に複数J個の一次荷電粒子をビームダンプ130へ一括偏向するよう構成された一括偏向器350であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0194】
節18:節14~16のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、検出系200に第2一括ラスタスキャナ222をさらに含み、スキャン制御ユニット930は、第2一括ラスタスキャナ222にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0195】
節19:節18に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、結像制御モジュール820は、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810に電圧を供給するよう構成され且つ使用中に第1一括ラスタスキャナ110又は第2一括ラスタスキャナ222に駆動電圧を供給するよう構成された電圧源925をさらに含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0196】
節20:節14~19のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、スキャン制御ユニット930は、
クロックユニット938に接続されたスキャンジェネレータモジュール932と、
第1一括ラスタスキャナ110に接続された第1増幅器モジュール936.1と、
第2一括ラスタスキャナ222に接続された第2増幅器モジュール936.2と
をさらに含み、スキャンジェネレータモジュール932は、使用中に第1増幅器モジュール936.1及び第2増幅器モジュール936.2に対して事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスを生成して供給するよう構成され、且つ
第1増幅器モジュール936.1は、使用中に第1一括ラスタスキャナ110の電極に対して少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成され、
第2増幅器モジュール936.2は、使用中に第2一括ラスタスキャナ110の電極に対して少なくとも第2増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0197】
節21:節14~20のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、スキャンジェネレータモジュール932は、画像取得モジュール810にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0198】
節22:節14~21のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、スキャン制御ユニット930は、使用中にラスタ走査偏向と同期動作するよう構成されたシステム960.3に接続された、少なくとも別の増幅器モジュール936.3を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0199】
節23:節14~22のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、少なくとも1つの画像データ取得ユニット810、又は画像データ取得ユニット810のそれぞれは、
イメージセンサ207に接続されて使用中に複数S個の変動電圧786を複数S個のデジタルセンサデータストリーム788に変換するよう構成された複数のAD変換器を含む、ADCモジュール1808と、
ADCモジュール1808及びスキャン制御ユニット930に接続され、使用中に、複数S個のデジタルセンサデータストリーム788と、被選択スキャンプログラム762に従ってスキャン制御ユニット930により使用中に供給された選択制御信号744とから、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム790を選択するよう構成された、取得制御ユニット1812と、
取得制御ユニット1812、スキャン制御ユニット930、及びパラレルアクセスメモリ1816に接続された画像データ分類器1820と
を含み、画像データ分類器1820は、使用中に、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム790を被選択スキャンプログラム762に従った複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のスキャン位置に対応する複数のメモリアドレスでパラレルアクセスメモリ1816に書き込むよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0200】
節24:節23に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、ADCモジュール1808は、クロックユニット938に接続され、使用中にクロックユニット938からクロック信号を受け取り且つ使用中に複数S個の変動電圧786を複数S個のデジタルセンサデータストリーム788に変換する複数のAD変換器の動作を同期させるよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0201】
節25:節24に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、クロックユニット938は、制御ユニット800に接続され、制御ユニット800から制御信号を受け取るよう構成され、且つ使用中にクロックユニット938のクロック周波数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0202】
節26:節14~25のいずれかに記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、結像制御モジュール820は、複数L個の画像データ取得ユニット810を含み、ここでLはL=8、10、又はそれ以上であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0203】
節27:節26に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、数Sは、S=6、8、10、又は12により与えられるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0204】
節28:マルチビーム荷電粒子顕微鏡1であって、
複数の一次荷電粒子ビームレットを生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
被選択スキャンプログラム762で試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備え、スキャン制御ユニット930は、包括スキャンジェネレータモジュール932と、第1一括ラスタスキャナ110の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する少なくとも第1増幅モジュール936.1と、第2一括ラスタスキャナ222の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する第2増幅モジュール936.2とを含んでおり、
スキャン制御ユニット930は、使用中に被選択スキャンプログラム762と同期動作する第3動作ユニット960.3又は別の動作ユニット960.nの制御用の第3増幅器モジュール936.3又は別の増幅器モジュール936.nを任意に含むようになされるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0205】
節29:節28に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、包括スキャンジェネレータモジュール932は、使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡1の系統的な走査誘起収差を事前補償するよう構成された頂点後処理ユニットを含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0206】
節30:節28に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、各増幅器モジュールは、頂点後処理ユニット、デジタル-アナログ変換器、及び増幅器を含み、各増幅器モジュールにおいて、同期動作する動作ユニット960.iと併せた増幅器モジュールの動作の非線形性が、動作ユニット960.i毎に個別に事前補償されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0207】
節31:節30に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、動作ユニット960.iは、第1一括マルチビームラスタスキャナ110及び第2一括マルチビームラスタスキャナ222であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0208】
節32:節1~13に記載の方法のいずれかを実行するよう構成されたマルチビーム荷電粒子顕微鏡1。
【0209】
節33:マルチビーム荷電粒子顕微鏡1であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を六角形ラスタ構成で生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
それぞれが六角形である複数J個の画像サブフィールド31を有する試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0210】
節34:マルチビーム荷電粒子顕微鏡1であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を生成するマルチビーム生成器300と、
第1一括ラスタスキャナ110及び第2一括ラスタスキャナ222と、
検出器207を含む検出ユニット200と、
対物レンズ102と、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の走査を制御するため及び複数J個の画像サブフィールド31に配置された複数の走査ラインでの試料の表面の画像パッチの取得を制御するための、スキャン制御ユニット930及び画像取得ユニット810を含む結像制御モジュール820と
を備え、結像制御モジュール820は、試料の向きに対する複数の走査ラインの向きを変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0211】
節35:節34に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、結像制御モジュール820はさらに、画像パッチをカバーするように複数J個の画像サブフィールド31のサイズを変えるために、少なくとも走査ラインの長さ又は走査ラインの数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0212】
節36:節34又は35に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡1において、対物レンズ102の動作条件を制御する制御ユニット800をさらに備え、複数の走査ラインの向きの変更は、対物レンズ102の動作条件の変化により誘起された複数J個の一次荷電粒子ビームレット3のラスタ構成の回転に従ったものであるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【0213】
節37:複数J個の画像フィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレット3の一括走査を制御し、且つマルチビーム荷電粒子顕微鏡1で複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個の画像データを取得するための、マルチビーム走査・画像取得方法707であって、
被選択スキャンプログラム762を選択するステップと、
被選択スキャンプログラム762に従って試料7の表面25上の複数J個の画像サブフィールドにわたり複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を一括偏向するステップと、
J個の変動電圧ストリーム786を取得するステップと、
J個の変動電圧ストリーム786をクロックレート760で変換してJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を形成するステップと、
J個のデジタル画像データ値ストリーム790のそれぞれからの少なくとも2つのデジタル画像データ値を処理して、デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を形成するステップと、
デジタル画像データ値の和、平均デジタル画像データ値、又は差を含むJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を規定のメモリロケーションで共通のアクセスメモリ1816に書き込むステップと
を含む方法。
【0214】
節38:節37に記載の方法において、
被選択スキャンプログラム762から少なくとも事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766及び選択制御信号744を生成するステップと、
少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス766から少なくとも第1増幅駆動信号シーケンス774を生成するステップと、
少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス774を一括偏向ステップ742に供給するステップと
をさらに含む方法。
【0215】
節39:節37又は38に記載の方法において、スキャンプログラム762は、J個の変動電圧786を変換してJ個のデジタル画像データ値ストリーム790を形成するステップにおいて、GをG=2、3、4、又はそれ以上の整数としてクロックレート760の逆数のG倍に相当する滞在時間を適用した、複数の画像サブフィールド31の各画像サブフィールド内での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を用いた画素位置55の走査照明を含む方法。
【0216】
節40:節37又は39に記載の方法において、前記スキャンプログラム762は、走査パターン712、714、716.1、716.2、又は716.3を含み、複数の画像サブフィールド31の各画像サブフィールド内での複数J個の一次荷電粒子ビームレット3を用いた走査パターン712、714、716.1、716.2、又は716.3の少なくとも1つでの各画素位置55の反復走査照明をさらに含む方法。
【符号の説明】
【0217】
1 マルチビームレット荷電粒子顕微鏡・検査システム
3 複数の一次荷電粒子ビームレットを形成する一次荷電粒子ビームレット
5 一次荷電粒子ビーム又は焦点スポット
7 物体、例えばウェーハ
9 複数の二次電子ビームレットを形成する二次電子ビームレット
11 二次電子ビーム経路
13 一次荷電粒子ビーム経路
15 二次荷電粒子像点
17 画像パッチ
19 画像パッチの重なり領域
21 画像パッチの中心位置
25 ウェーハ表面
27 一次ビームレットの走査経路
29 画像サブフィールドの中心
31 画像サブフィールド
33 第1検査部位
35 第2検査部位
37 ラスタ構成の回転
39 サブフィールド31の重なり領域
53 画素ライン
55 画素又は照明スポット位置
61、61mn 1つのサブフィールド31、例えばサブフィールド31.mnに割り当られたアドレス領域
63 アドレス位置
65 アドレスライン
67 画素割り当て
69 ライン割り当て
71 一時メモリ再配置
73 処理動作
100 物体照射ユニット
101 物体面又は像面又は焦点面
102 対物レンズ
103 視野レンズ群
105 マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システムの光軸
108 第1ビームクロスオーバ
109 クロスオーバ面
110 一括マルチビームラスタスキャナ
130 ビームダンプ
153 偏向器電極
157 軸外又は視野ビームレット
189 通過ビームレットの交差体積
200 検出ユニット
205 投影系
206 静電レンズ
207 イメージセンサ
208 結像レンズ
209 結像レンズ
210 結像レンズ
212 第2クロスオーバ
214 開孔フィルタ
216 能動素子
218 第3偏向系
220 多孔補正器
222 第2偏向系
300 荷電粒子マルチビームレット生成器
301 荷電粒子源
303 コリメートレンズ
305 一次マルチビームレット形成ユニット
306 能動多孔プレート
307 第1視野レンズ
308 第2視野レンズ
309 電子ビーム
311 一次電子ビームレットスポット
321 中間像面
350 第1偏向器
351 第2偏向器
390 ビームステアリング多孔プレート
400 ビームスプリッタユニット
420 磁気素子
500 試料ステージ
503 試料電圧源
601 走査歪み補償器アレイ
602 テレセントリシティ収差の走査補償器アレイ
641 電圧合成器
707 マルチビーム走査・画像取得方法
710 構成ステップ
712 第1例のスキャンプログラム
714 第2例のスキャンプログラム
716 第3例のスキャンプログラム
718 走査同期制御ステップ
720 包括スキャン処理ステップ
722 受付ステップ
724 スキャンコマンド処理ステップ
726 頂点後処理ステップ
730 特定走査偏向制御ステップ
732 変換ステップ
734 頂点後処理ステップ
736 DA変換ステップ
738 オフセット電圧フィルタステップ
740 増幅ステップ
742 一括偏向ステップ
744 選択制御信号
748 アナログデータ収集ステップ
750 画像データ取得ステップ
752 AD変換ステップ
754 デジタル画像データ選択
756 デジタル画像データアドレッシング・書き込みステップ
758 並列読み出し・画像処理ステップ
760 クロック信号
762 スキャンプログラム
764 ユニットスキャンコマンドシーケンス
766 事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス
768 同期制御コマンド
770 デジタル駆動信号
772 非線形電圧信号
774 増幅駆動電圧シーケンス
776 デジタル補正後駆動信号シーケンス
778 一組のデジタルオフセット
780 オフセット電圧(単数又は複数)
782 フィルタ後オフセット電圧(単数又は複数)
784 画像データストリーム
786 変動電圧ストリーム
788 デジタルセンサデータストリーム
790 デジタル画像データ値ストリーム
792 複数の画像画素データ
800 制御ユニット
804 スキャンプログラム選択モジュール
806 不揮発性メモリ
810 画像データ取得ユニット
812 画像スティッチユニット
814 画像データプロセッサ・出力
820 結像制御モジュール
830 一次ビーム経路制御モジュール
925 電源ユニット
930 スキャン制御ユニット
932 スキャンジェネレータモジュール
934 GPIO
936 増幅器モジュール
938 クロック
940 変換・頂点後処理ユニット
942 記憶・制御ユニット
944 オフセットDAC
946 スキャンDAC
948 高電圧増幅器
950 補助スキャンシステム
960 走査同期システム
972 高電圧接続
974 デジタルデータ接続線
1808 ADCモジュール
1810 レコーダ
1812 ACQ
1814 テストパターン
1816 フレームグラバメモリバンク
1820 画像データ分類器
1822 画素平均器
1824 ライン平均器
1826 画素アドレッシング・メモリ割り当てユニット
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数J個の画像サブフィールドにわたる複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の一括走査を制御し、且つマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)で複数J個の画像サブフィールドに対応する複数J個のデジタル画像データを取得するための、マルチビーム走査・画像取得方法(707)であって、
複数のスキャンプログラムを供給し且つ被選択スキャンプログラム(762)を選択する構成ステップ(710)と、
前記被選択スキャンプログラム(762)を受け取り、少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)及び選択制御信号(744)を前記被選択スキャンプログラム(762)から生成する、包括スキャン処理ステップ(720)と、
少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス(774)を、前記少なくとも第1事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)から生成し、且つ前記少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンス(774)を、試料(7)の表面(25)上の前記複数J個の画像サブフィールドにわたる前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の一括偏向のための一括偏向ステップ(742)に供給する、特定走査偏向制御ステップ(730)と、
J個の変動電圧ストリーム(786)をイメージセンサユニット(207)から収集するアナログデータ収集ステップ(748)を含む、画像データ取得ステップ(750)と
を含み、
該画像データ取得ステップ(750)中に、前記J個の変動電圧ストリーム(786)を変換し選択してJ個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を形成し、前記画像データ取得ステップ(750)中に、前記J個のデジタル画像データ値ストリーム(790)は、複数J個のメモリロケーション(61)で少なくとも1つのパラレルアクセスメモリ(1816)に書き込まれて前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データを形成し、前記選択及び書き込みは、前記選択制御信号(744)により制御される方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データを前記共通のアクセスメモリから読み出して画像処理を実行する、並列読み出し・画像処理ステップ(758)をさらに含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記画像処理は、前記複数J個の画像サブフィールドに対応する前記複数J個のデジタル画像データのそれぞれに適用される、画像フィルタリング、画像登録、閾値演算、オブジェクト検出、画像オブジェクトの寸法測定、歪み補償、コントラスト強調、逆畳み込み演算、又は画像相関の1つを含む方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法において、前記画像処理は、前記複数J個のデジタル画像データから単一のデジタル画像ファイルを形成するためのスティッチング演算をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、少なくとも第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)が正規化サブフィールド座標(u,v)で生成され、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)は、回転、縮尺変更、又は所定の補正関数C(p,q)の考慮の1つを含む演算の適用により、画像サブフィールド座標(p,q)で前記事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンス(766)に変換される方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において
、前記選択制御信号(744)は、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)を含み、前記画像データ取得ステップ(750)中に、前記J個のデジタル画像データ値ストリーム(790)は、前記第1ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)に対応する複数J個のメモリロケーションで前記共通のアクセスメモリに書き込まれる方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、方法は走査同期制御ステップ(718)をさらに含み、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、同期制御コマンド(768)が前記走査同期制御ステップ(718)と通信される方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)は、ステージ又は該ステージ上に取り付けられた試料の座標系の向きに対する回転角だけ使用中に回転させたラスタ構成で構成され、前記包括スキャン処理ステップ(720)中に、前記ユニットスキャンコマンドシーケンス(764)は、前記ラスタ構成の回転を補償するように調整される方法。
【請求項9】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の画像サブフィールド(31.11~31.MN)にわたって複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を一括走査する少なくとも第1一括ラスタスキャナ(110)と、
前記J個の画像サブフィールド(31.11~31.MN)の1つにそれぞれ対応する複数J個の二次電子ビームレット(9)を検出する検出器(207)を含む検出系(200)と、
結像制御モジュール(820)であり、
前記第1一括ラスタスキャナ(110)に接続され、使用中に第1被選択スキャンプログラム(762)に従った前記第1一括ラスタスキャナ(110)での複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタ走査動作を制御するよう構成されたスキャン制御ユニット(930)、及び
該スキャン制御ユニット(930)及び前記検出器(207)に接続され、
使用中に検出器(207)からの複数S個の画像データを取得し選択するよう構成された画像データ取得ユニット(810)であり、前記取得及び選択は、前記スキャン制御ユニット(930)により供給されたクロック信号と同期され、画像データ取得ユニット(810)は、前記複数S個の画像データを前記第1被選択スキャンプログラム(762)に従ったメモリロケーションでパラレルアクセスメモリ(1816)に書き込むよう構成され、S≦Jである画像データ取得ユニット(810)
を含む結像制御モジュール(820)と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
請求項9に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中に前記クロック信号を前記スキャン制御ユニット(930)及び前記画像取得ユニット(810)に供給するよう構成されたクロック信号生成器(938)を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項11】
請求項10に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、前記ラスタ走査動作と同期動作するよう構成された少なくとも別のシステム(960)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
請求項11に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記少なくとも別のシステム(960)は、使用中に前記複数J個の一次荷電粒子をビームダンプ(130)へ一括偏向するよう構成された一括偏向器(350)であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記検出系(200)に第2一括ラスタスキャナ(222)をさらに含み、前記スキャン制御ユニット(930)は、前記第2一括ラスタスキャナ(222)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項14】
請求項13に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記結像制御モジュール(820)は、前記スキャン制御ユニット(930)及び前記画像取得ユニット(810)に電圧を供給するよう構成され且つ使用中に前記第1一括ラスタスキャナ(110)又は前記第2一括ラスタスキャナ(222)に駆動電圧を供給するよう構成された電圧源(925)をさらに含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、
前記クロックユニット(938)に接続されたスキャンジェネレータモジュール(932)と、
前記第1一括ラスタスキャナ(110)に接続された第1増幅器モジュール(936.1)と、
前記第2一括ラスタスキャナ(222)に接続された第2増幅器モジュール(936.2)と
をさらに含み、前記スキャンジェネレータモジュール(932)は、使用中に前記第1増幅器モジュール(936.1)及び前記第2増幅器モジュール(936.2)に対して事前補償デジタルスキャンコマンドシーケンスを生成して供給するよう構成され、且つ
前記第1増幅器モジュール(936.1)は、使用中に前記第1一括ラスタスキャナ(110)の電極に対して少なくとも第1増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成され、
前記第2増幅器モジュール(936.2)は、使用中に前記第2一括ラスタスキャナ(110)の電極に対して少なくとも第2増幅駆動電圧シーケンスを生成するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャンジェネレータモジュール(932)は、前記画像取得モジュール(810)にさらに接続されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項17】
請求項9~16のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中にラスタ走査偏向と同期動作するよう構成されたシステム(960.3)に接続された、少なくとも別の増幅器モジュール(936.3)を含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか1項に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記画像データ取得ユニット(810)は、
前記イメージセンサ(207)に接続されて使用中に複数S個の変動電圧(786)を複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)に変換するよう構成された複数のAD変換器を含む、ADCモジュール(1808)と、
該ADCモジュール(1808)及び前記スキャン制御ユニット(930)に接続され、使用中に、前記複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)と、前記被選択スキャンプログラム(762)に従って前記スキャン制御ユニット(930)により使用中に供給された選択制御信号(744)とから、複数S個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を選択するよう構成された、取得制御ユニット(1812)と、
該取得制御ユニット(1812)、前記スキャン制御ユニット(930)、及び前記パラレルアクセスメモリ(1816)に接続された画像データ分類器(1820)と
を含み、該画像データ分類器(1820)は、使用中に、前記複数S個のデジタル画像データ値ストリーム(790)を前記被選択スキャンプログラム(762)に従った前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のスキャン位置に対応する複数のメモリアドレスで前記パラレルアクセスメモリ(1816)に書き込むよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項19】
請求項18に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記ADCモジュール(1808)は、クロックユニット(938)に接続され、使用中に該クロックユニット(938)からクロック信号を受け取り且つ使用中に前記複数S個の変動電圧(786)を複数S個のデジタルセンサデータストリーム(788)に変換する前記複数のAD変換器の動作を同期させるよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項20】
請求項19に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記クロックユニット(938)は、制御ユニット(800)に接続され、該制御ユニット(800)から制御信号を受け取るよう構成され、且つ使用中に前記クロックユニット(938)のクロック周波数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項21】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数の一次荷電粒子ビームレットを生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
被選択スキャンプログラム(762)で試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット(930)及び画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備え、前記スキャン制御ユニット(930)は、包括スキャンジェネレータモジュール(932)と、前記第1一括ラスタスキャナ(110)の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する少なくとも第1増幅モジュール(936.1)と、前記第2一括ラスタスキャナ(220)の電極に少なくとも高電圧シーケンスを供給する第2増幅モジュール(936.2)とを含んでおり、
前記スキャン制御ユニット(930)は、使用中に前記被選択スキャンプログラム(762)と同期動作する第3動作ユニット(960.3)又は別の動作ユニット(960.n)の制御用の第3増幅器モジュール(936.3)又は別の増幅器モジュール(936.n)を任意に含むようになされるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項22】
請求項21に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記包括スキャンジェネレータモジュール(932)は、使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)の系統的な走査誘起収差を事前補償するよう構成された頂点後処理ユニットを含むマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項23】
請求項22に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、各増幅器モジュールは、頂点後処理ユニット、デジタル-アナログ変換器、及び増幅器を含み、各増幅器モジュールにおいて、同期動作する動作ユニット(960.i)と併せた前記増幅器モジュールの動作の非線形性が、動作ユニット(960.i)毎に個別に事前補償されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項24】
請求項23に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記動作ユニット(960.i)は、前記第1一括マルチビームラスタスキャナ(110)及び前記第2一括マルチビームラスタスキャナ(222)であるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項25】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、請求項1~8に記載の方法のいずれかを実行するよう構成されたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項26】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を六角形ラスタ構成で生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
それぞれが六角形である複数J個の画像サブフィールド(31)を有する試料の検査部位を走査し結像するための、スキャン制御ユニット(930)及び画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備えたマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項27】
マルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)であって、
複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するマルチビーム生成器(300)と、
第1一括ラスタスキャナ(110)及び第2一括ラスタスキャナ(222)と、
検出器(207)を含む検出ユニット(200)と、
対物レンズ(102)と、
前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)の走査を制御するため及び複数J個の画像サブフィールド(31)に配置された複数の走査ラインでの試料の表面の画像パッチの取得を制御するための、スキャン制御ユニット(930)及び少なくとも画像取得ユニット(810)を含む結像制御モジュール(820)と
を備え、該結像制御モジュール(820)は、前記試料の向きに対する前記複数の走査ラインの向きを変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項28】
請求項27に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記結像制御モジュール(820)はさらに、前記画像パッチをカバーするように前記複数J個の画像サブフィールド(31)のサイズを変えるために、少なくとも走査ラインの長さ又は走査ラインの数を変更するよう構成されるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【請求項29】
請求項27又は28に記載のマルチビーム荷電粒子顕微鏡(1)において、前記対物レンズ(102)の動作条件を制御する制御ユニット(800)をさらに備え、前記複数の走査ラインの向きの変更は、前記対物レンズ(102)の動作条件の変化により誘起された前記複数J個の一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタ構成の回転に従ったものであるマルチビーム荷電粒子顕微鏡。
【国際調査報告】