IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2023-513538電子物品監視システムにおけるRFID装置のトリガ閾値の変更
<>
  • 特表-電子物品監視システムにおけるRFID装置のトリガ閾値の変更 図1
  • 特表-電子物品監視システムにおけるRFID装置のトリガ閾値の変更 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】電子物品監視システムにおけるRFID装置のトリガ閾値の変更
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/24 20060101AFI20230324BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230324BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
G08B13/24
G06K7/10 288
G06K19/07 230
G06K19/07 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548169
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021016836
(87)【国際公開番号】W WO2021158926
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/970,933
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,イアン,ジェイ
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA09
5C084AA13
5C084BB04
5C084CC33
5C084DD09
5C084DD10
5C084DD84
5C084EE07
5C084FF02
(57)【要約】
誤警報の数と可能性を減少させる電子監視物品システムを提供する。このようなシステムは、2つの読み取りゾーンを含み、第2の読み取りゾーンは、トリガ閾値でRFID装置を感知するように構成された関連のRFIDリーダを有する。RFID装置のセンサ値(例えば、キャパシタンス、誘電体の誘電率、温度、又は動きの程度)、RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数、或いはRFID装置が予め決定された条件下で第1の読み取りゾーンで感知されるか否かを考慮して、トリガ閾値を設定又は変更し得る。このようなシステムは、さらに又は代案として、第1の読み取りゾーンでのインフラストラクチャの一部と関連するRFIDガード装置が第2の読み取りゾーンで感知されるとき、応答(例えば、トリガ閾値又はRFIDリーダにより送信される電力量を変更すること)を開始し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連の第1のRFIDリーダを含む第1の読み取りゾーンと、
トリガ閾値でRFID装置を感知するように構成された関連の第2のRFIDリーダを含む第2の読み取りゾーンと、
RFID装置のセンサ値、RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数、RFID装置が予め決定された条件下で第1の読み取りゾーンで感知されるか否か、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される要因に少なくとも部分的に基づいて、トリガ閾値を設定するように構成されたコントローラと、含む、電子物品監視システム。
【請求項2】
前記センサの値は、キャパシタンスを含む、請求項1に記載の電子物品監視システム。
【請求項3】
前記センサの値は、誘電体の誘電率を含む、請求項1に記載の電子物品監視システム。
【請求項4】
前記センサの値は、温度を含む、請求項1に記載の電子物品監視システム。
【請求項5】
前記センサの値は、動きの程度を含み、
前記コントローラは、前記RFID装置が動く際にトリガ閾値を減少させるように構成される、請求項1に記載の電子物品監視システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記RFID装置が動く際にトリガ閾値を一時的に増加させるようさらに構成される、請求項5に記載の電子物品監視システム。
【請求項7】
前記第1の読み取りゾーンは在庫ゾーンを含み、前記第2の読み取りゾーンは移行ゾーンにより在庫ゾーンから分離された感知ゾーンを含む、請求項1~6の何れか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項8】
前記予め決定された条件は、在庫ゾーンに人がいないこと、前記在庫ゾーンと感知ゾーンとの間で移動するRFID装置がないことからなる群より選択される、請求項1~7の何れか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項9】
在庫ゾーンをさらに含み、
前記第2の読み取りゾーンは、移行ゾーンにより在庫ゾーンから分離された感知ゾーンを含み、
前記第1の読み取りゾーンは、RFID装置が在庫ゾーン内で収容される前にRFID装置を収容するように構成される、請求項1~8の何れか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項10】
前記RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数は、前記RFID装置にエンコードされる、請求項1~9の何れか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項11】
前記RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数は、前記コントローラによりアクセス可能なデータベースに保存される、請求項10に記載の電子物品監視システム。
【請求項12】
同一のRFIDリーダが第1及び第2の読み取りゾーンと関連する、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項13】
別個のRFIDリーダが第1及び第2の読み取りゾーンと関連する、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項14】
第1及び第2の読み取りゾーンを含む電子物品監視システムを制御する方法であって、RFID装置は、トリガ閾値で第2の読み取りゾーンで感知され、
前記方法は、RFID装置のセンサ値、RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数、RFID装置が予め決定された条件下で第1の読み取りゾーンで感知されるか否かからなる群より選択される要因に少なくとも部分的に基づいて、トリガ閾値を設定するステップを含む、方法。
【請求項15】
関連の第1のRFIDリーダを含む第1の読み取りゾーンと、
前記第1の読み取りゾーン内に少なくとも部分的に位置するインフラストラクチャの一部と、
前記インフラストラクチャの一部に対して固定されるRFIDガード装置と、
トリガ閾値でインフラストラクチャの一部と除去可能に関連付けられた在庫の一部と関連するRFID在庫装置を感知するように構成された関連の第2のRFIDリーダを含む第2の読み取りゾーンと、
前記RFIDガード装置がRFIDリーダの何れかにより感知されると、トリガ閾値を変更するステップ、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより送信される電力量を変更するステップ、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより電力を送信する方向を変更するステップ、前記インフラストラクチャの一部を第2の読み取りゾーンから遠く移動させる必要があることを示す信号を送信するステップ、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される応答を開始するように構成されたコントローラと、を含む、電子物品監視システム。
【請求項16】
第2のインフラストラクチャの一部と、前記第2のインフラストラクチャの一部に対して固定される第2のRFIDガード装置とをさらに含み、
前記RFIDガード装置は異なる感度等級を有し、
前記コントローラは、RFIDリーダにより感知されたRFIDガードの感度等級に応じて異なる応答を開始するように構成される、請求項15に記載の電子物品監視システム。
【請求項17】
前記RFIDガード装置は、アンテナに連結された複数のRFIDチップを含み、
複数のRFIDチップは、それぞれRFIDリーダにより送信される異なる電力で感知されるように構成され、
前記コントローラにより開始された応答は、少なくとも部分的にどのRFIDチップがRFIDリーダにより感知されるかに基づく、請求項15又は16に記載の電子物品監視システム。
【請求項18】
同一のRFIDリーダが第1及び第2の読み取りゾーンと関連する、請求項15~17のいずれか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項19】
別個のRFIDリーダが第1及び第2の読み取りゾーンと関連する、請求項15~17のいずれか1項に記載の電子物品監視システム。
【請求項20】
第1及び第2の読み取りゾーンを含む電子物品監視システムを制御する方法であって、インフラストラクチャの一部は、第1の読み取りゾーン内に少なくとも部分的に位置し、関連の第1のRFIDガード装置を有し、インフラストラクチャの一部と除去可能に関連付けられた在庫の一部と関連するRFID在庫装置は、トリガ閾値で第2の読み取りゾーンで感知され、前記方法は、第2のRFIDガード装置が第2の読み取りゾーンで感知されると、前記トリガ閾値を変更するステップと、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより送信される電力量を変更するステップと、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより電力を送信する方向を変更するステップと、前記インフラストラクチャの一部を第2の読み取りゾーンから遠く移動させる必要があることを示す信号を送信するステップとからなる群より選択される応答を開始するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月6日に提出された米国仮特許出願第62/970,933号の利益を主張し、その内容全体を本明細書に参照として含む。
【0002】
本発明は、無線周波数識別(「RFID」)装置に関する。より具体的に、本発明は、電子物品監視(「EAS」)システムで用いられるRFID装置のトリガ閾値を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
小売店では、陳列品及び/又は在庫品の正確な計数が重要である。また、適所に効果的な盗難防止システムを備えることが重要である。これらの機能を全て行うために、(本明細書において、まとめて「RFID装置」と呼ぶ)RFIDタグ及びラベルが用いられている。
【0004】
通常、RFID技術を使用するEASシステムは、2つの主な読み取りゾーンを有し、これらは、それぞれ関連のRFIDリーダを含む。読み取りゾーンの一方は、製品が消費者に提示される商店内の領域(本明細書において、「在庫ゾーン」と呼ぶ)であり、他方の読み取りゾーンは、製品を盗もうとしていることを示す一種の警報をトリガするよう、適切に解除されていない任意のRFID装置を感知し得る商店の出口領域(本明細書において、「感知ゾーン」と呼ぶ)である。通常、顧客がアイテムを適切に購入した場合、レジ係はこれに関連するRFID装置を除去又は解除させる。RFID装置が除去又は解除されていない場合、RFIDリーダは、装置を読み取り、感知ゾーンで警報又はその他警告をトリガする。
【0005】
上述のシステムが広く普及しているが、一部欠点が存在する。EASシステム用のRFID装置/システムを用いる場合、1つの一般的な問題は、特定の状況におけるRFID装置の読み取り範囲が在庫ゾーン内のRFID装置が感知ゾーンで読み取られるほど十分に大きいか、その逆の場合も同様である。このようなリスクを減らすために、在庫ゾーンと感知ゾーンとの間に移行ゾーンが頻繁に備えられ、2つの読み取りゾーンを物理的に分離する。しかし、動作周波数でより高い感度を有する異なるRFID装置及び/又は関連のRFID装置の性能に異なる影響を与える異なる物品により、移行ゾーンは相対的に大きい必要がある。移行ゾーンが大きいということは、在庫ゾーンが小さくなることを意味し、これは、小売業者が消費者に商品を提示するための物理的空間が減少するので、販売(収益)の損失を意味する。
【0006】
在庫ゾーンは最大化して移行ゾーンは減少又は最小化しているが、それでもまだ誤警報を減少又は最小化して盗難の感知により効果的な在庫管理/EASシステムの必要性が存在する。
【0007】
よって、移行ゾーンの大きさ及び/又は誤警報の発生を減少させる方式で構成されたEASシステムを提供することが有利であり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明には、以下で説明し請求する装置、システム及び方法において、個別にまたは共に実施し得る複数の態様が存在する。これらの態様は、単独で採用してもよく、本明細書で説明する本発明の他の態様と組み合わせて採用してもよく、これらの態様を共に説明することは、これらの態様を個別に使用することや、これらの態様を個別に、又は本明細書に添付する請求範囲に明示するような異なる組み合わせにより請求することを排除するものではない。
【0009】
一態様において、電子物品監視システムは、関連のRFIDリーダを有する第1の読み取りゾーンと、トリガ閾値でRFID装置を感知するように構成された関連のRFIDリーダを有する第2の読み取りゾーンと、を含む。前記システムは、RFID装置のセンサ値、RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数、及びRFID装置が予め決められた条件下で第1の読み取りゾーンで感知されるか否かからなる群より選択される要因に少なくとも部分的に基づいて、トリガ閾値を設定するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0010】
他の態様において、第1及び第2の読み取りゾーンを有する電子物品監視システムを制御するための方法を提供し、RFID装置は、トリガ閾値で第2の読み取りゾーンで感知される。前記方法は、RFID装置のセンサ値、RFID装置が第1の読み取りゾーンで感知される回数、RFID装置が予め決められた条件下で第1の読み取りゾーンで感知されるか否か、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される要因に少なくとも部分的に基づいて、トリガ閾値を設定するステップを含む。
【0011】
他の態様において、電子物品監視システムは、関連のRFIDリーダを含む第1の読み取りゾーンを含み、インフラストラクチャの一部は、第1の読み取りゾーン内に少なくとも部分的に位置する。RFIDガード装置は、インフラストラクチャの一部に対して固定される。システムの第2の読み取りゾーンは、トリガ閾値でインフラストラクチャの一部と除去可能に関連付けられた在庫の一部と関連するRFID在庫装置を感知するように構成された関連のRFIDリーダを含む。前記システムは、RFIDガード装置がRFIDリーダにより感知されると、トリガ閾値を変更するステップと、第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより送信される電力量を変更するステップと、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより電力を送信する方向を変更するステップと、インフラストラクチャの一部を第2の読み取りゾーンから遠く移動させる必要があることを示す信号を送信するステップとからなる群より選択される応答を開始するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0012】
他の態様において、第1及び第2の読み取りゾーンを有する電子物品監視システムを制御するための方法を提供し、インフラストラクチャの一部は、第1の読み取りゾーン内に少なくとも部分的に位置して関連のRFIDガード装置を有し、また、インフラストラクチャの一部と除去可能に関連付けられた在庫の一部と関連するRFID在庫装置は、トリガ閾値で第2の読み取りゾーンで感知される。前記方法は、RFIDガード装置が第2の読み取りゾーンで感知されると、トリガ閾値を変更するステップと、第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより送信される電力量を変更するステップと、前記第2の読み取りゾーンと関連するRFIDリーダにより電力を送信する方向を変更するステップと、インフラストラクチャの一部を第2の読み取りゾーンから遠く移動させる必要があることを示す信号を送信するステップとからなる群より選択される応答を開始するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の態様による電子物品監視システムの例示的な実施形態の例示的な図面である。
図2】本開示の態様による電子物品監視システムの他の例示的な実施形態の例示的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示しているが、開示している実施形態は、多様な形態で実施し得る本発明の単なる例示に過ぎないことを理解すべきである。従って、本明細書で開示する特定の細部事項を制限的なものと解釈してはならず、単に請求範囲に対する根拠として、かつ、当業者が実質的に任意の適切な方法で本発明を多様に使用するように教示するための代表的な基礎として解釈しなければならない。
【0015】
図1は、本開示の一態様によるRFID技術を使用するEASシステム10を示す。図1のEASシステム10は、在庫ゾーン12及び感知ゾーン14を有し、移行ゾーン16は2つの読み取りゾーン12及び14を分離する。EASシステム10は、在庫ゾーン12と関連する第1のRFIDリーダ20と、感知ゾーン14と関連する第2のRFIDリーダ22とに連結されるコントローラ18をさらに含む。複数の在庫の一部24、26が在庫ゾーン12内に位置することが示されており、各々の在庫の一部24、26は、(本明細書において、RFID在庫装置と呼ぶ)関連のRFID装置28、30を有する。本明細書でより詳細に説明するように、在庫の一部24、26は異なって構成されてもよく、これにより、関連のRFID装置28、30の性能に異なる影響を及ぼし得る。
【0016】
上述のとおり、在庫ゾーン12は、製品が消費者に提示される商店内の領域を示すのに対し、感知ゾーン14は、盗もうとしていることを示す一種の警報をトリガするよう、適切に解除されていない任意のRFID在庫装置を感知し得る商店の出口領域を示す。顧客がアイテムを適切に購入した場合、レジ係はこれに関するRFID在庫装置を除去又は解除させる。RFID在庫装置が除去又は解除されていない場合は、感知ゾーン14で感知され、警報又はその他警告をトリガして店員に通知する。
【0017】
各々の在庫の一部24、26は、在庫ゾーン12で関連在庫の一部を支援して陳列するように構成されたインフラストラクチャの一部32、34と除去可能に関連付けられたものであって、図1に示す。図示の実施形態において、インフラストラクチャの一部の一方32は、マネキンとして構成されるのに対し、インフラストラクチャの一部の他方34は、テーブルとして構成されるが、インフラストラクチャの一部は、本開示の範囲を外れることなく異なって構成され得ることを理解すべきである。図1の実施形態において、各々のインフラストラクチャ32、34の一部は、(例えば、インフラストラクチャの一部32、34に取り付けられることにより)インフラストラクチャの一部32、34に対して固定される(本明細書において、RFIDガード装置と呼ぶ)関連のRFID装置36、38を含む。RFID在庫装置28、30と異なり、RFIDガード装置36、38は、感知ゾーン14で感知されるときに警報を発生させるように構成されないが、より詳細に説明するように、感知ゾーン14でRFID在庫装置の感知により発生する誤警報を減少するのに用いられ得る。
【0018】
図1のEASシステム10が、在庫ゾーン12に移動する前の在庫の一部を収容するように構成されたさらなる読み取りゾーン40を含むことを示す。この初期又は予備の読み取りゾーン40は、在庫の一部が陳列され、顧客に検討されるために在庫ゾーン12に移動する前に保管中の在庫の一部の個数を決定するために備えられる。初期又は予備の読み取りゾーン40は、本開示の範囲を外れることなく、多様に構成され得る。図示の実施形態において、初期又は予備の読み取りゾーン40は、RFID読み取りチャンバとして構成され、これは、関連のRFIDリーダ42を含み、複数の在庫の一部及びこれらの関連のRFID装置を収容するように構成される。RFID読み取りチャンバは、商店のニーズや構成に応じて、比較的大きくてもよく(例えば、パレットに積載された複数のコンテナを収容するように構成される)、より小さくてもよい(例えば、単一のコンテナを収容するように構成される)。他の実施形態において、初期又は予備の読み取りゾーン40(提供される場合)は、在庫ゾーン12に到達する前に在庫が通過するRFID対応ゲート、或いは、RFID在庫装置が、例えば、店員によって作動する携帯用RFIDリーダにより読み取られたり感知される倉庫又は保管領域として構成されるなどして、異なって構成され得る。
【0019】
図1に示す構成は、単なる例示に過ぎず、本開示によるEASシステムは、本開示の範囲を外れることなく、異なって構成し得ることを理解すべきである。例えば、図1は、在庫ゾーン12及び感知ゾーン14と関連する別個のRFIDリーダ20、22を示しているが、本開示の範囲内において、図2に示すEASシステム10’のように、単一のRFIDリーダ46が2つのゾーン12及び14と関連している。一部の実施形態において、在庫ゾーン及び/又は感知ゾーンは、例えば、2、3、4、5、又はそれ以上の複数のリーダを有する。一部の実施形態において、複数のリーダは、単一のコントローラにより制御される。他の実施形態において、各々のリーダは、自身のコントローラにより制御される。また、他の実施形態において、複数のリーダは、2つ以上のコントローラにより制御されるが、コントローラの数はリーダの数よりも少ないので、少なくとも2つ以上のリーダが1つのコントローラにより制御される。
【0020】
EASシステムの特定の構成にかかわらず、移行ゾーン16は理想的にサイズ調整及び構成され、在庫ゾーン12に位置するRFID装置(特に、RFID在庫装置)は、在庫ゾーン12と関連するRFIDリーダ20によってのみ感知され(或いは、図2のシステム10’の場合は、RFIDリーダ18により感知ゾーン14ではなく、在庫ゾーン12に放出された信号によってのみ感知され)、感知ゾーン14と関連するRFIDリーダ22によっては感知されない。その逆も同様であり、感知ゾーン14に位置するRFID装置が在庫ゾーン12ではなく、感知ゾーン14でのみ感知されることが有利である。これは、広い移行ゾーン16を備えることで達成し得るが、このようなアプローチは、在庫ゾーン12の大きさを減少させるため、不満足な解決策である。
【0021】
本開示の一態様によると、移行ゾーン16の大きさは、RFID在庫装置が感知ゾーン14で感知されるレベル(本明細書において、このレベルは「トリガ閾値」と呼ぶ)を代わりに調整することにより減少し得る。本開示のこのような態様は、(在庫ゾーン12のRFID在庫装置が感知ゾーン14で感知されるときに誤警報を防止するための)感知ゾーン14のトリガ閾値の調整について説明しているが、在庫ゾーン12のトリガ閾値は、感知ゾーン14でのRFID装置が在庫ゾーン12で感知される状況を防止するために、同様に調整し得ることを理解すべきである。
【0022】
RFID装置の性能特性に影響し得る幾つかの要因(また、これにより、このようなRFID装置が別個の読み取りゾーンで感知されるか否か)が存在するので、特定のRFID装置に対するトリガ閾値の変化を保証し得る多様な条件が存在する。1つのアプローチによると、RFID在庫装置は、EASシステム10、10’のコントローラ18に送信され得る特定値を記録するセンサを含み得る。センサの値に応じて、コントローラ18は、センサが関連しているRFID在庫装置のトリガ閾値を調整するか否かを判断し、これは、トリガ閾値の減少(例えば、値がRFID在庫装置と関連する在庫の一部が盗難の危険にあることを示す場合)、又はトリガ閾値の増加(例えば、値がRFID在庫装置と関連する在庫の一部が盗難の危険にないことを示す場合)を含み得る。多様なRFID在庫装置は、コントローラ18が適切なRFID在庫装置に適切なトリガ閾値を割り当てるよう、独自性により各々プログラミングされ得る。
【0023】
前記センサは、本開示の範囲を外れることなく多様に構成され得る。例示的な一実施形態において、センサの値はキャパシタンスである。このようなセンサは、RFID装置の性能を最適化するために、キャパシタンスを変更するように構成される自動調整可能なRFID装置に特に有用であり得る。例えば、自動調整可能なRFID装置が低損失材料(例えば、Tシャツ又はその他軽量衣服)と関連する場合、RFID装置は性能ピークを所望のRFIDリーダの動作帯域に減少させるために、相対的に高いキャパシタンスに自動調整される傾向があり得る。対照的に、自動調整可能なRFID装置が高損失材料(例えば、人体等の水分含量の高いアイテム)と関連するか又はその近くに配置される場合、RFID装置は性能ピークを増加させるために、相対的に低いキャパシタンスに自動調整される傾向があり得る。相対的に高いキャパシタンスは、一方向へのトリガ閾値の調整を要求し得るのに対し、相対的に低いキャパシタンスは、反対方向へのトリガ閾値の調整を要求し得る。感知されたキャパシタンスがトリガ閾値の調整を必要としないレベルにある場合もあり得る。
【0024】
他の例示的な実施形態において、センサは誘電体センサとして構成され得る。この場合、センサの値は、誘電体の誘電率である。このようなセンサは、RFID装置が自動調整ではなく、代わりに、外部要因(例えば、関連する在庫の一部の特性)によってのみ影響される性能を有する場合に有利であり得る。誘電体装荷は、一実施例において、RFIDリーダが周波数を変更することにより、受信された信号強度等の、RFID装置に関する値を測定することで決定され得る。RFID装置が軽い誘電体と関連する場合、読み取り性能は、読み取り周波数の増加に応じて増加する傾向があるのに対し、RFID装置が重い誘電体と関連する場合、読み取り性能は、読み取り周波数の増加に応じて減少するという傾向がある。センサ値がRFID装置と軽い誘電体との関連を示す場合、(RFID装置が適切に感知されない危険が増加することなく、)誤警報を防止するよう、トリガ閾値が増加し得る。反対に、センサ値がRFID装置と重い誘電体との関連を示す場合、RFID装置の性能が低下し、この場合、誤警報の危険が増加することなく、RFID装置を適切に感知するよう、トリガ閾値が減少し得る。また、感知された誘電体の誘電率がトリガ閾値の調整を必要としないレベルにある場合もあり得る。
【0025】
他の例示的な実施形態において、感知された値は温度であり得る。通常、商品の一部は盗難される際に人の近くにあり、感知された温度を高める傾向がある。よって、RFID在庫装置の温度の上昇は、関連商品を盗もうとしている危険が増加することを示し、この場合、コントローラ18は、RFID在庫装置が解除されずに感知ゾーン14内に移動する場合に適切に感知されることをより確実にするために、トリガ閾値を減少させるよう作用し得る。
【0026】
他の例示的な実施形態において、感知された値は動きの程度である。盗難された製品は、商店の出口に向かって(及び感知ゾーン14に向かって)移動し得るのに対し、在庫ゾーン12に陳列されているアイテムは固定されている可能性が高い。よって、RFID在庫装置が経験する動きの程度の増加は、関連商品を盗もうとしている危険が増加することを示し、この場合、コントローラ18は、RFID在庫装置が解除せずに感知ゾーン14内に移動する場合に適切に感知されることをより確実にするために、トリガ閾値を減少させるよう作用し得る。例示的な動作感知器は、RFID装置のRFIDチップポートの電圧等の値を変化させるビーム又はフラップ等の動く物体であり得るか、RFIDチップの入力インピーダンスを変調し、よって、その応答に変調を与える同様の装置であり得る。圧電プラスチック等の材料、延伸時又は圧縮時に変化する抵抗材料、或いはプレート分離が運動により影響される平行板キャパシタの形態も用いられ得る。
【0027】
しかし、一般に、動きを感知するときにトリガ閾値を減少させることが適切であるが、常にそういうわけではない。例えば、特定のRFID装置が、EASシステム10、10’が機能している時間に、在庫ゾーン12の商品在庫の補充用に用いられることを目的とする在庫の一部と関連している場合であり得る。これは、初期又は予備の読み取りゾーン40で直近に感知されたり読み取られたRFID在庫装置に該当し得るが、そのようなRFID在庫装置が、顧客に関連商品が陳列及び検討されるように在庫ゾーン12にまだ移動していないためである。そのようなRFID在庫装置の動きが関連商品の盗難の可能性を示してはいないものの、代わりに、在庫ゾーン12に商品が移動していることを示すため、規定された時間の間(例えば、15分から60分)、そのようなRFID在庫装置のトリガ閾値は最大(又は少なくとも上昇した)レベルに設定され得る。その時間が経過した後、コントローラ18は、RFID在庫装置を上述のように処理し得るが、これは、コントローラ18がトリガ閾値を減少させて、RFID在庫装置と関連する商品の盗難をより良好に防止させるRFID在庫装置の後続の動きを含み得る。
【0028】
本開示の他の態様によると、トリガ閾値は、初期又は予備の読み取りゾーン40でRFID在庫装置の性能に基づいて調整し得る。例えば、初期又は予備の読み取りゾーン40がRFID読み取りチャンバとして構成された場合、(RFID読み取りチャンバがRFID読み取りチャンバ内に信号を放出するように構成された複数のアンテナを含んでいるため)、各々のRFID装置は特定の回数で読み取られたり感知され得るが、これは、関連在庫の一部の特性を含む、多数の要因によって変わり得る。RFID在庫装置が読み取られる回数は、RFID装置にエンコードされるか、EASシステム10、10’のコントローラ18によりアクセス可能なデータベースに保存され得る。コントローラ18は、RFID読み取りチャンバで読み取られる回数に基づいて、特定のRFID在庫装置に対するトリガ閾値を調整し得る。読み取り回数が少ないとは、RFID装置が読み取り難い製品(例えば、水分含量の高い商品)と関連していることを示すのに対し、読み取り回数が多いとは、RFID装置が読み取り易い製品(例えば、軽量衣服)と関連していることを示し得る。読み取り回数の少ないRFID在庫装置の場合、(誤警報の危険が増加することなく)RFID在庫装置が適切に読み取られることをより確実にするために、トリガ閾値が減少し得る。読み取り回数の多いRFID在庫装置の場合、RFID在庫装置が適切に読み取られなかったり感知されなかったりする危険を増加させることなく、誤警報の危険を減少させるために、トリガ閾値が増加し得る。
【0029】
本開示の他の態様によると、トリガ閾値は、コントローラ18が読み取りゾーンと関連するRFIDリーダによりRFID在庫装置が感知されたことを判断する際に調整され得、ここで、RFID在庫装置は、予め決定された条件下で位置する。例えば、RFID在庫装置は、(例えば、カメラ又はコントローラ18と関連する他の手段によって決定される)在庫ゾーン12に人がいない場合(又は少なくとも顧客がいない場合)、或いは、在庫ゾーン12と感知ゾーン14との間で移動するRFID在庫装置がない場合、在庫ゾーン12で読み取られるか感知され得る。このような条件下で在庫ゾーン12で感知されたRFID在庫装置は、(顧客がいる間、在庫ゾーン12で感知されたRFID在庫装置と比べて)盗難の危険性が低い商品と関連していると見なされ得る。このようなRFID在庫装置のトリガ閾値は、このようなRFID在庫装置が誤警報を起こさないことをより確実にするために、コントローラ18により増加し得る。顧客が在庫ゾーン12に進入すると、盗難の危険性が増加するため、在庫ゾーン12でのRFID在庫装置に対するトリガ閾値は、コントローラ18により減少し得る。
【0030】
一部の実施形態において、キャパシタンス、誘電体の誘電率、温度及び動きの程度の組み合わせを用いて、トリガ閾値を調整し得る。
【0031】
上述の論述は、RFID在庫装置に限られるが、RFIDガード装置が感知ゾーン14で感知されると、EASシステムの作動に対する応答又は変更が開始され得ることを理解すべきである。上述のように、RFIDガード装置36、38は、1つ以上の在庫の一部24、26を陳列及び/又は支援するのに用いられるインフラストラクチャの一部32、34と関連する在庫ゾーン12内に位置してとどまることを意図している。よって、RFIDガード装置が感知ゾーン14で感知されると、関連のインフラストラクチャの一部を盗もうとしていることを示し得るか(おそらくインフラストラクチャの一部と関連する任意の在庫の一部と共に)、感知ゾーン14に非常に近く配置されたインフラストラクチャの一部を示し得るが、これは、RFIDガード装置に対応するインフラストラクチャの一部と関連する在庫の一部と関連するRFID在庫装置により引き起こされる誤警報をもたらし得る。
【0032】
RFIDガード装置が感知ゾーン14で感知される状況にかかわらず、誤警報の可能性を防止又は減少させるために、システムコントローラ18によって多数の応答のうち何れかが開始され得る。例えば、1つの可能な応答は、コントローラ18がRFIDガード装置に対応するインフラストラクチャの一部と関連する在庫の一部と関連する1つ以上のRFID在庫装置のトリガ閾値を変更することであり(例えば、在庫ゾーン12でマネキンが着用するシャツに固定されているRFID装置のトリガ閾値を調整すること)、これは、誤警報を減少させるために、トリガ閾値を増加させることを含み得る。また、他の可能な応答は、感知ゾーン14と関連するRFIDリーダにより送信される電力量を変更すること、及び/又は(RFIDリーダのアンテナが稼働する場合)RFIDガード装置の感知を避けるために、RFIDリーダにより電力が送信される方向を変更することである。また別の可能な応答は、コントローラ18が、店員がRFIDガード装置と関連するインフラストラクチャの一部(又はインフラストラクチャの一部と関連する商品)を感知ゾーン14から遠く移動させる必要を示す信号を送信することである。例示的な実施形態において、信号は、インフラストラクチャの一部と関連する照明又はその他の表示器により、或いは会社のネットワークにより、誤警報の危険を減少させるために、インフラストラクチャ又は関連商品の一部を移動させる必要があることを示し得る。
【0033】
RFIDガード装置は様々な感度等級で提供され得るが、例えば、「A」は高感度であり、このようなRFIDガード装置が感知ゾーン14で感知された場合、オーバーリードの危険性が比較的低い。「B」タイプは、比較的感度が低く、感知ゾーン14で感知された場合、オーバーリードの可能性がかなりのものであることを示し、この場合、「A」タイプのRFIDガード装置が感知された場合に開始され得る応答と比較して、異なる応答がコントローラ18により開始され得る。問題を防止するために、RFIDガード装置を感知するように構成されたEASシステム10、10’の構成要素に対するトリガ閾値が増加し得る。
【0034】
代わりの形式において、RFIDガード装置は、それに関する2つ以上の識別情報を有し得る。RFID装置は、最も基本的にアンテナに連結されたRFIDチップを含む。多数の識別情報を有するRFIDガード装置を提供するために、複数の異なるRFIDチップが共通のアンテナに連結され得、各々のRFIDチップは異なる感度を有する(例えば、1つの「A」タイプのRFIDチップは高感度を有し、1つの「B」タイプのRFIDチップは低感度を有し、1つの「C」タイプのRFIDチップはさらに低い感度を有する)。どのチップが感知ゾーン14で感知されているかを判断することにより、システムコントローラ18は、誤警報の危険を判断し、感知されたチップの感度に基づいて多様な措置を取ることができる。
【0035】
上述の実施形態は、本発明の原理における適用例の一部を例示するものであることを理解するであろう。本明細書で個別に開示または請求する特徴の組み合わせを含む、請求する本発明の思想や範囲を外れることなく、当業者によって多数の変更が行われ得る。かかる理由で、本明細書の範囲は上記説明に制限されないが、以下の請求範囲に明示したとおりであり、請求範囲は、本明細書で個別に開示または請求する特徴の組み合わせを含む、本明細書の特徴に関するものであることが理解される。
図1
図2
【国際調査報告】