(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】混繊糸を取得するためのカード機の供給方法、並びにその方法により取得されるヤーンおよび布地
(51)【国際特許分類】
D01G 15/40 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
D01G15/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548204
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 GB2021050267
(87)【国際公開番号】W WO2021156635
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522315105
【氏名又は名称】モーアブルック テクスタイルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOORBROOK TEXTILES LIMITED
(71)【出願人】
【識別番号】522315116
【氏名又は名称】ライトアウラース ヤーンズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIGHTOWLERS YARNS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アンソニー ウッドハウス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード マイケル ライトアウラース
【テーマコード(参考)】
3B151
【Fターム(参考)】
3B151AC23
3B151AC37
3B151AC41
3B151AC47
(57)【要約】
ヤーンを製造するためのカード機の装填方法。この方法は、複数の別個の装填ステップを伴うコンポーネント装填スケジュールを導出することを含む。一連の別個の装填ステップは、少なくとも第1の装填量および第2の装填量を含み、第1の装填量と第2の装填量との合計が第1の総装填量である。この方法は、別個の装填ステップの第1の装填量に等しい第1の量の第1のコンポーネントを装填することと、別個の装填ステップの第2の装填量に等しい第2の量の第2のコンポーネントを装填することと、別個の装填ステップごとに第1の量を装填するステップおよび第2の量を装填するステップを繰り返すことと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード機の装填方法であって、
複数の別個の装填ステップを含むコンポーネント装填スケジュールを導出するステップであって、前記別個の装填ステップがそれぞれ、少なくとも第1の装填量および第2の装填量を含み、前記第1の装填量と前記第2の装填量との合計が第1の総装填量である、ステップと、
別個の装填ステップの前記第1の装填量に等しい第1の量の第1のコンポーネントを装填するステップと、
前記別個の装填ステップの前記第2の装填量に等しい第2の量の第2のコンポーネントを装填するステップと、
前記複数の別個の装填ステップごとに、前記第1の量を装填するステップと前記第2の量を装填するステップとを繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の総装填量が一定値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の装填量および前記第2の装填量の両方が、前記複数の別個の装填ステップごとに一定である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の装填量が、前記複数の別個の装填ステップにおける少なくとも2つの別個の装填ステップの間で、所定の関数に従って変化する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の装填量が、前記複数の別個の装填ステップにおける最初の装填ステップと、前記複数の別個の装填ステップにおける最後の装填ステップとの間で直線的に変化する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の別個の装填ステップがそれぞれ、第3の装填量を更に含み、前記方法が、更に、
前記別個の装填ステップの第2の装填量に等しい第3の量の第3のコンポーネントを装填するステップを含み、
前記繰り返すステップに、更に、前記複数の別個の装填ステップごとに第3の量を装填するステップを繰り返すことを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のコンポーネントまたは前記第2のコンポーネントのうちの少なくとも一方が、天然繊維材料および犠牲繊維材料を第1のブレンド比で含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のコンポーネント、前記第2のコンポーネントまたは前記第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つが、天然繊維材料および犠牲繊維材料を第1のブレンド比で含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のブレンド比が70:30~30:70の範囲、任意に65:35~35:65の範囲、任意に60:40~40:60の範囲、任意に55:45~45:55の範囲である、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のブレンド比が50:50である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲繊維材料が、水溶性合成材料または綿繊維材料のうちの一方を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コンポーネント装填スケジュールを導出するステップに、
第1の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択するステップと、
前記第1の以前のコンポーネント装填スケジュールの選択された部分に少なくとも部分的に基づいて、前記導出ステップを実行するステップと、
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
複数の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択するステップと、
前記選択された複数の部分のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、前記導出ステップを実行するステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ストランドの作成方法であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法に従って、少なくとも第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントをカード機に装填するステップと、
前記少なくとも第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントをカーディングして、第1のスライバーを生成するステップと、
前記スライバーを第1のストランドに紡糸するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記装填ステップが、請求項6または8~11のいずれか一項に記載の方法に従って、少なくとも第1のコンポーネント、第2のコンポーネントおよび第3のコンポーネントをカード機に装填するステップを含み、
前記カーディングステップが、前記少なくとも第1のコンポーネント、第2のコンポーネントおよび第3のコンポーネントをカーディングして、前記第1のスライバーを生成するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のコンポーネント、第2のコンポーネントまたは第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つが水溶性合成材料を含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって作製されたストランド。
【請求項18】
布地の作成方法であって、
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む、第1のヤーンから布地を製織するステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって作成された布地。
【請求項20】
布地の作成方法であって、
請求項16に記載の方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む第1のヤーンから布地を製織するステップと、
水溶性合成材料を溶解するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法によって作成された布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーンまたは布地の製造方法に関し、特に、カーディングプロセスに関連する方法に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
その長さ全体にわたって単一セットの特性または特徴を有するヤーン並びにそのようなヤーンから作製された布地の製造は公知である。布地に織り込まれると、従来のヤーンは、結果的に得られる布地に均一な外観および特性を提供する。
【0003】
通常、布地の特性を変えるには、製織プロセスの途中でヤーンまたはスレッドを交換する必要がある。しかしながら、そうすることにより、布地に目に見える変化(例えば、これらに限定されないが、テクスチャ、色調、またはパターンの変化)がもたらされる可能性があり、これらは望ましくない場合がある。
【0004】
更に、動物繊維と合成材料との両方を含むヤーンから布地を作製することが知られている。合成材料はヤーンの強度を向上させ、製織中のヤーンの損傷や破損のリスクを軽減する。製織プロセスに続いて、合成繊維を溶解して、動物繊維のみを残すことができる。これにより、サポートされていないスレッドの強度不足に起因して、別な方法で可能であるよりもより繊細かつより軽量な布地の製造が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、既存の方法の欠点を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、カード機に装填する方法が提供され、この方法は、
複数の別個の装填ステップを含むコンポーネント装填スケジュールを導出するステップであって、前記別個の装填ステップがそれぞれ、少なくとも第1の装填量および第2の装填量を含み、第1の装填量と第2の装填量との合計が第1の総装填量である、ステップと、
別個の装填ステップの第1の装填量に等しい第1の量の第1のコンポーネントを装填するステップと、
別個の装填ステップの第2の装填量に等しい第2の量の第2のコンポーネントを装填するステップと、
複数の別個の装填ステップごとに、第1の量を装填するステップと第2の量を装填するステップとを繰り返すステップと、
を含む。
【0007】
第1の総装填量は一定値を有していてもよい。いくつかの実施例では、第1の装填量と第2の装填量との両方が、複数の別個の装填ステップごとに一定であってもよい。いくつかの実施例では、第1の装填量は、複数の別個の装填ステップのうちの少なくとも2つの別個の装填ステップの間で、所定の関数に従って変更されてもよい。第1の装填量は、複数の別個の装填ステップにおける最初の装填ステップと、複数の別個の装填ステップにおける最後の装填ステップとの間で直線的に変化してもよい。
【0008】
複数の別個の装填ステップはそれぞれ、更に、第3の装填量を含むことができ、本方法は、更に、
別個の装填ステップの第2の装填量に等しい第3の量の第3のコンポーネントを装填するステップを含むことができ、
繰り返すステップに、更に、複数の別個の装填ステップごとに第3の量を装填するステップを繰り返すステップを含む。
【0009】
第1のコンポーネントまたは第2のコンポーネントのうち少なくとも一方は、天然繊維材料および犠牲繊維材料を第1のブレンド比で含むことができる。第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つは、天然繊維材料および犠牲繊維材料を第1のブレンド比で含むことができる。第1のブレンド比は、70:30~30:70の範囲、任意に65:35~35:65の範囲、任意に60:40~40:60の範囲、任意に55:45~45:55の範囲であり得る。第1のブレンド比は、50:50であってもよい。
【0010】
犠牲繊維材料は、水溶性合成材料または綿繊維材料のうちの一方を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施例では、コンポーネント装填スケジュールを導出するステップは、
第1の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択するステップと、
第1の以前のコンポーネント装填スケジュールの選択された部分に少なくとも部分的に基づいて、導出ステップを実行するステップと、
を含むことができる。
【0012】
導出するステップは、更に、
複数の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択するステップと、
選択された複数の部分のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、導出ステップを実行するステップと、
を含むことができる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、ストランドを作成する方法が提供され、この方法は、
上述した方法に従って、少なくとも第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントをカード機に装填するステップと、
少なくとも第1および第2のコンポーネントをカーディングして、第1のスライバーを生成するステップと、
スライバーを第1のストランドに紡糸するステップと、
を含む。
【0014】
装填ステップは、上述した方法に従って、少なくとも第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントをカード機に装填するステップを含むことができ、カーディングステップは、少なくとも第1、第2、および第3のコンポーネントをカーディングして、第1のスライバーを生成するステップを含み得る。いくつかの実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネントまたは第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つは、水溶性合成材料を含む。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上記の方法によって作製されたストランドが提供される。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、布地を作成するための方法が提供され、この方法は、
上記の方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む第1のヤーンから布地を製織するステップ
を含む。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、上記の方法によって作製された布地が提供される。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、布地を作成するための方法が提供され、この方法は、
請求項16に記載の方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む第1のヤーンから布地を製織するステップと、
水溶性合成材料を溶解するステップと、
を含む。
【0019】
本発明の第7の態様によれば、上述の方法によって作製された布地が提供される。
【0020】
次に、本発明の実施形態を、例示として、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の態様による方法の実施を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示された方法の方法ステップを示す図である。
【
図3】本発明の第2の態様による方法の実施を概略的に示す図である。
【
図4】
図3に示された方法の方法ステップを示す図である。
【
図5】本発明の一態様による第1の例示的な充填コンポーネントスケジュールを示す図である。
【
図6】本発明の一態様による第2の例示的な装填コンポーネントスケジュールを示す図である。
【
図7】本発明の第3の態様による方法を示す図である。
【
図8】本発明の第4の態様による方法を示す図である。
【
図9】本発明の第5の態様による方法を示す図である。
【
図10】本発明の第6の態様による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
カーディングプロセスは、典型的には、繊維のカード機への提供を含み、カード機にて繊維がほぐされ、洗浄され、混合されることで、その後に繊維をストランドに紡糸することができる。
【0023】
様々なカーディング技術が当技術分野において周知である故、更なる詳細については説明しないものとする。しかしながら、以下において必要または関連する場合は、カーディングプロセスの特定の部分について言及する場合がある。
【0024】
カーディングプロセスの中心的な態様は、繊維(または他のコンポーネント)をカード機に装填する装填ステップである。通常、繊維はバッチで、かつ特定の間隔でカード機に装填される。単色のみが使用される場合、紡糸後のストランドの均一な太さを維持する等、単位長さあたりの繊維量を均一に維持するために、装填頻度および装填量が利用される。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、
図1および
図2を参照して、次に、カード機100の装填方法を説明する。
【0026】
第1のステップ201において、複数の別個の装填ステップ104を含むコンポーネント装填スケジュール102が導出され、前記別個の装填ステップはそれぞれ、第1の装填量106および第2の装填量108を含み、第1の装填量と第2の装填量との合計は、第1の総装填量110である。
【0027】
コンポーネント装填スケジュールは、任意の適切な方法で導き出すことができる。いくつかの実施例では、コンポーネント装填スケジュールは、結果として得られるスライバー、スレッド、ヤーン、または布地の1つ以上の意図された特徴または特性に基づいて導き出される。いくつかの実施例では、コンポーネント装填スケジュールは、使用される材料のうちの1つ以上のうちの1つ以上の特性または特徴に基づいて導き出される。いくつかの実施例では、コンポーネント装填スケジュールは、カーディングプロセス、紡糸プロセス、製織プロセス、またはこれらのプロセスの組み合わせのうちの1つ以上で使用されるカード機または他の機械あるいは装置の1つ以上の特性または特徴に基づいて導き出される。
【0028】
コンポーネント装填スケジュールは、任意の適切なまたは有利な数の別個の装填ステップを含むことができる。別個の装填ステップの数は、いくつかの実施例においては、完成したヤーンの意図された長さに依存し得る。別個の装填ステップの数は、更に、意図される装填頻度、装填ステップごとの意図される総装填量、またはスライバー、ストランド、あるいはヤーンの意図される線形重量のうちの1つ以上に依存し得る。
【0029】
単一コンポーネントヤーンの製造、並びにその個々の処理ステップに関する一部の従来の方法とは異なり、例示的な方法は、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの使用を含む。これにより、異なる特徴または特性を有するコンポーネントを使用することができる。特徴または特性の例として、(これらに限定されないが)材料の選択、材料のブレンド、色調、繊維の太さ、繊維の長さ、または材料の弾性が挙げられる。
【0030】
第1の装填量および第2の装填量は、任意の適切な値を有し得る。単一のコンポーネントが使用される既知の方法では、装填量および装填頻度が、結果的に得られるカーディングされた材料(スライバーとも呼ばれる)の特性に影響を与え、これが紡糸後のスレッドまたはストランドの特性に影響を与える。典型的には、結果的に得られるスレッドまたはストランドが一定であることを確実にするために、一定の総装填量および固定された装填頻度を維持することが望ましい。具体的には、結果的に得られるスレッドまたはヤーンの線密度が、スレッドまたはヤーンの長さ全体にわたって実質的に一定であることを確実にすることが望ましい。
【0031】
一実施例では、別個のそれぞれの装填ステップにおける第1の装填量と第2の装填量との合計は、第1の総装填量であり、第1の総装填量は一定の値を有する。上述したように、これにより、結果的に得られるスレッドまたはストランドの特性または特徴が実質的に一定であることが保証される。
【0032】
いくつかの実施例では、第1の装填量と第2の装填量との両方が、複数の別個の装填ステップのそれぞれについて一定である。そのような実施例では、結果的に得られるスレッドまたはヤーンは、その長さ全体にわたって実質的に変化しない特徴のセットを有するスレッドまたはヤーンとなる。
【0033】
いくつかの実施例では、第1の装填量および第2の装填量は、適切な方法で変更され得る。特定の実施例では、第1の総装填量が一定値となるように、第1の装填量および第2の装填量を変化させる。別の実施例では、第1の総装填量が終始一定の状態を維持するように、第1の装填量が増加され、第2の装填量が同じ量だけ減少される。純粋に簡潔化することを目的に、かつ別段の断りがない限り、第1の装填量およびその変化に言及している場合、第2の装填量は、第1の総装填量が全体を通して実質的に一定となることを保証するように、比例して変化すると推定される。
【0034】
一実施例では、第1の装填量は、複数の別個の装填ステップにおける少なくとも2つの別個の装填ステップの間で所定の関数に従って変化する。第1の装填量は、任意の適切な関数に従って変更することができる。特定の関数は、方法の結果から最終的に製造される布地または衣類の所望のまたは意図された構成に応じて選択され得ることが理解されよう。いくつかの実施例では、関数は(例えば、単調に増加または単調に減少する)単調関数である。関数は厳密に単調にすることも、弱く単調にすることも可能である。他の実施例では、関数は単調ではない。別の実施例では、関数は周期的である。更に別の実施例では、関数は非周期的である。例示的な関数には、正弦関数、放物線関数、対数関数、または指数関数が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、第1の装填量および第2の装填量の変動は、複数の関数によって定義される。いくつかの実施例では、装填量の変動は任意の特定の関数によって定義不可能である。関数または変動値の選択、並びにそのような関数の特定のパラメータおよび変動値は、結果的に得られるヤーンの長さ、並びにそのようなヤーンから製造される布地の寸法および意図される特性に依存することが理解されよう。
【0035】
特定の実施例では、第1の装填量は、複数の別個の装填ステップにおける最初の装填ステップと、複数の別個の装填ステップにおける最後の装填ステップとの間で直線的に変化する。第1の装填量は、第1の値と第2の値との間で変化する。
【0036】
任意の適切な第1の値を使用することができ、任意の適切な第2の値を使用することができる。場合によっては、プロセスの長さにわたって、第1のコンポーネントから第2のコンポーネントに完全に移行することが望ましい、または有利な場合がある。このような場合、第1の装填量は、複数の別個の装填ステップの最初においては、総装填量と実質的に同一であり得る(第2の装填量は最初は実質的にゼロである)。同様に、第1の装填量は、複数の別個の装填ステップの最後においては、実質的にゼロであり得る(第2の装填量は総装填量と実質的に同一である)。
【0037】
パーセンテージで表すと、複数の別個の装填ステップの最初においては、第1の装填量は総装填量の100%を構成し、第2の装填量は総装填量の0%を構成し得る。同様に、複数の別個の装填ステップの最後においては、第1の装填量は総装填量の0%を構成し、第2の装填量は総装填量の100%を構成し得る。
【0038】
他のケースでは、コンポーネント間で部分的にのみ移行することが望ましいまたは有利な場合がある。換言すると、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの両方が、複数の別個の装填ステップの全てにおいて使用される。そのような一例では、複数の別個の装填ステップの最初において、第1の装填量は総装填量の75%を構成し、第2の装填量は総装填量の25%を構成する。複数の別個の装填ステップの最後においては、第1の装填量は総装填量の25%を構成し、第2の装填量は総装填量の75%を構成する。
【0039】
上記は純粋に例示を目的としたものであり、第1の装填量は、原則として、総装填量の任意のパーセンテージまたは比率の間で変化し得ることを理解されることは間違いないであろう。更に、第1の装填量および第2の装填量は、非単調に変化し得る。上記の例では、第1の装填量は、最初の別個の装填ステップと最後の別個の装填ステップとの間で、総装填量の75%~25%の間で変化しているが、第1の装填量は、例えば、1つ以上の中間の別個の装填ステップにおいて、100%または0%を構成し得る。
【0040】
第2のステップ202では、特定の別個の装填ステップの第1の装填量に等しい量の第1のコンポーネント112が装填される。第1のコンポーネントは、任意の適切な方法で装填することができる。本開示の範囲内で、多くの特定の装填メカニズムまたは方法論が想定され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施例では、装填メカニズムは、別個の装填ステップ中に適切な量の材料を自動的に装填する。装填された材料は、例えば、装填メカニズムに接続された貯蔵要素またはユニットから提供され得る。
【0041】
第1のコンポーネントは、任意の適切な材料または材料のブレンドを含み得る。いくつかの実施例では、第1のコンポーネントは、天然繊維または複数の種類の天然繊維のブレンドを含む。いくつかの実施例では、第1のコンポーネントは、犠牲繊維材料を含む。一実施例では、第1のコンポーネントは、天然繊維(または複数のタイプの天然繊維)と犠牲繊維材料とのブレンドを含む。この例については、以下でより詳細に説明する。
【0042】
第3のステップ203では、特定の別個の装填ステップの第2の装填量に等しい量の第2のコンポーネント114が装填される。第1のコンポーネントと同様に、第2のコンポーネントは、任意の適切な方法で装填することができる。本開示の範囲内で、多くの特定の装填メカニズムまたは方法論が想定され得ることが理解されるであろう。一例では、第2のコンポーネントは、第1のコンポーネントと同じ方法で装填される。
【0043】
第2のコンポーネントは、任意の適切な材料または材料のブレンドを含み得る。いくつかの実施例では、第2のコンポーネントは、天然繊維または複数の種類の天然繊維のブレンドを含む。いくつかの実施例では、第2のコンポーネントは犠牲繊維材料を含む。一実施例では、第2のコンポーネントは、天然繊維(または複数の種類の天然繊維)と犠牲繊維材料とのブレンドを含む。この例については、以下でより詳細に説明する。
【0044】
第4のステップ204においては、第1の量を装填するステップおよび第2の量を装填するステップが、複数の別個の装填ステップごとに繰り返される。典型的には、上記のステップは、複数の別個の装填ステップにおける別個の装填ステップの数に対応する回数だけ繰り返される。
【0045】
上述したように、コンポーネント装填スケジュールは、任意の適切な数の別個の装填ステップを含むことができる。装填ステップの特定の数は、意図される最終的な製品の1つ以上の意図されるパラメータまたは特徴、装填頻度、または総装填量のうちの1つ以上に依存し得る。これらのパラメータまたは特徴の一部または全ては、他のパラメータまたは特徴のうちの1つ以上に機能的に相互に関連している、および/または、依存している可能性がある。例えば、結果的に得られるスライバーの特定の線形重量が、総装填量を適切に変化させることにより、いくつかの装填頻度を使用して達成可能であることが理解されよう。
【0046】
典型的には、総装填量は、複数の別個の装填ステップごとに一定である。しかしながら、いくつかの実施例では、総装填量は可変である。
【0047】
上述したように、例示的な方法は、第1および第2のコンポーネントの任意の組み合わせで使用することができる。しかしながら、場合によっては、プロセスに1つ以上の追加のコンポーネント(例えば、第3のコンポーネント)を追加することが有用または有利であり得る。従って、スライバーは、3つ以上のコンポーネントで構成され、各コンポーネントが特定のセットの特徴または特性を有し得る。これを使用して、スライバー、結果的に得られるストランドまたはヤーン、更には結果的に得られる織物において、様々な異なる効果または特徴を作り出すことができる。
【0048】
本発明の第2の態様に従って、次に、
図3および
図4を参照して、カード機300への例示的な装填方法について説明する。簡潔化かつ明瞭化を目的に、上述した対応する特徴および要素と実質的に異なる特徴および要素のみを以下に詳述する。
【0049】
第1のステップ401において、複数の別個の装填ステップ304を含むコンポーネント装填スケジュール302が導出され、前記別個の装填ステップはそれぞれ、第1の装填量306、第2の装填量308、および第3の装填量309を含み、第1の装填量、第2の装填量、および第3の装填量の合計は、第1の総装填量310である。
【0050】
本実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントのみが記載されているが、例示的な方法は、原則として、任意の数のコンポーネントを含むことができる。3つのコンポーネントの特定の選択は、純粋に例示を目的としており、本方法の議論を明確化かつ簡潔化するためのものである。
【0051】
第2のステップ402では、特定の別個の装填ステップの第1の装填量に等しい量の第1のコンポーネント312を装填する。第1のコンポーネントは、任意の適切な方法で装填することができる。本開示の範囲内で、多くの特定の装填メカニズムまたは方法論が想定され得ることが理解されよう。いくつかの実施例では、装填メカニズムは、別個の装填ステップ中に適切な量の材料を自動的に装填する。装填された材料は、例えば、装填メカニズムに接続された貯蔵要素またはユニットから提供され得る。
【0052】
第3のステップ403では、特定の別個の装填ステップの第2の装填量に等しい量の第2のコンポーネント314を装填する。第1のコンポーネントと同様に、第2のコンポーネントは、任意の適切な方法で装填され得る。本開示の範囲内で、多くの特定の装填メカニズムまたは方法論が想定され得ることが理解されよう。一実施例では、第2のコンポーネントは、第1のコンポーネントと同じ方法で装填される。
【0053】
第4のステップ404では、特定の別個の装填ステップの第3の装填量に等しい量の第3のコンポーネント316を装填する。第1および第2のコンポーネントと同様に、第3のコンポーネントは、任意の適切な方法で装填され得る。本開示の範囲内で、多くの特定の装填メカニズムまたは方法論が想定され得ることが理解されよう。一実施例では、第3のコンポーネントは、第1および第2のコンポーネントと同じ方法で装填される。
【0054】
第1のコンポーネント、第2のコンポーネントまたは第3のコンポーネントはそれぞれ、任意の適切な材料または材料のブレンドを含み得る。いくつかの実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントはそれぞれ、天然繊維または複数の種類の天然繊維のブレンドを含む。いくつかの実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントはそれぞれ、犠牲繊維材料を含む。一実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントはそれぞれ、天然繊維(または複数の種類の天然繊維)と犠牲繊維材料とのブレンドを含む。この例については、以下でより詳細に説明する。
【0055】
いくつかの実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネントおよび第3のコンポーネントは、実質的に同一の材料または材料のブレンドを含む。別の実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネントまたは第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つは、他のコンポーネントのうちの少なくとも1つとは実質的に異なる材料または材料のブレンドを含む。いくつかの実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントはそれぞれ、独自の材料または材料のブレンドを含む。
【0056】
第5のステップ405では、第1の量を装填するステップ、第2の量を装填するステップ、および第3の量を装填するステップが、複数の別個の装填ステップごとに繰り返される。典型的には、上記のステップは、複数の別個の装填ステップにおける別個の装填ステップの数に対応する回数だけ繰り返される。
【0057】
上述したように、総装填量は、通常、装填プロセス全体を通して実質的に一定である。しかしながら、いくつかの実施例では、別個の装填ステップのそれぞれの総装填量は、適切な関数または変動値に従って可変であることが理解されよう。
【0058】
更に、各コンポーネント(即ち、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネント)は、第1の方法ステップで導出されたコンポーネント装填スケジュールの複数の別個の装填ステップの最初と、複数の別個の装填ステップの最後との間に、任意の特定の関数(単数または複数)に従って変更されてもよい。
【0059】
特定の変動値は、結果的に得られるスライバーまたは織物に所望される効果または特徴によって決定され得る。任意の適切な第1の値、第2の値、または第3の値を使用することができる。いくつかの実施例では、プロセスの長さにわたって、第1のコンポーネントから第2のコンポーネントに完全に移行し、続いて、第2のコンポーネントから第3のコンポーネントに完全に移行することが望ましく、または有利であり得る。
【0060】
これは、装填コンポーネントスケジュール502の例示的な概略図を示す
図5に示されている。本実施例では、装填コンポーネントスケジュールは、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントと共に使用するためのものである。純粋に例示を目的として、装填コンポーネントスケジュールは、10の別個の装填ステップで構成されている。
【0061】
本実施例では、第1の装填量(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「1」で示される)は、複数の別個の装填ステップの最初の段階で、総装填量と実質的に同一である(第2の装填量および第3の装填量は、最初は実質的にゼロである)。ステップ番号5では、第2の装填量(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「2」で示される)は、総装填量と実質的に同一である(第1の装填量および第3の装填量は実質的にゼロである)。複数の別個の装填ステップの最後、即ち、ステップ番号10では、第1の装填量および第2の装填量は実質的にゼロであるが、第3の装填量(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「3」で示される)は、総装填量と実質的に同一である。
【0062】
パーセンテージで表す場合、複数の別個の装填ステップの最初に、第1の装填量は、総装填量の100%を構成し、第2の装填量および第3の装填量は、総装填量の0%を構成し得る。同様に、ステップ番号5では、第2の装填量が総装填量の100%を構成し、第1の装填量および第3の装填量が総装填量の0%を構成し得る。複数の別個の装填ステップの最後に、第1の装填量および第2の装填量は、総装填量の0%を構成し、第3の装填量は、総装填量の100%を構成し得る。
【0063】
上記の実施例は純粋に例示的なものであり、第1、第2、および第3のコンポーネントを含む1つの可能な装填コンポーネントスケジュールを示すことのみを意図している。上述したように、任意の便利な、有利な、または関連する数のコンポーネントを使用することが可能である。
【0064】
いくつかの実施例では、第1、第2、および第3のコンポーネントの3つ全てが、別個の装填ステップの少なくともいくつかに対して同時に存在し得る。この例を
図6に示す。本実施例では、装填コンポーネントスケジュール602は、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントと共に使用するためのものである。純粋に例示のみを目的として、装填コンポーネントスケジュールは、14の別個の装填ステップで構成されている。
【0065】
本実施例では、第1の装填量(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「1」で示される)は、複数の別個の装填ステップの最初にて、総装填量と実質的に同一である(第2の装填量および第3の装填量は、最初は実質的にゼロである)。ステップ番号7および8では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「2」で示される)、および第3のコンポーネント(例示的な装填コンポーネントスケジュールでは数字「3」で示される)の全てが存在する。本実施例では、第2の装填量は、第1の装填量と第3の装填量との合計に実質的に等しい。複数の別個の装填ステップの最後、即ち、ステップ番号14では、第1の装填量および第2の装填量は実質的にゼロである一方、第3の装填量は総装填量と実質的に同一である。
【0066】
別の実施例では、どのコンポーネントも総装填量の100%を構成することはない。別の言い方をすれば、任意の所与の別個の装填ステップにおいて、少なくとも2つのコンポーネントが常に存在している。多くの変形が本開示の範囲内で想定され得ることが理解されよう。
【0067】
上述したように、第1のコンポーネント、第2のコンポーネントまたは第3のコンポーネントは、任意の適切な材料または材料のブレンドを含み得る。いくつかの実施例では、コンポーネントのうちの1つ以上は、天然繊維または複数の種類の天然繊維のブレンドを含む。いくつかの実施例では、コンポーネントのうちの1つ以上は、合成繊維材料を含む。いくつかの実施例では、コンポーネントのうちの1つ以上は、犠牲繊維材料を含む。一実施例では、コンポーネントのうちの1つ以上は、天然繊維(または複数の種類の天然繊維)と犠牲繊維材料とのブレンドを含む。
【0068】
合成材料または犠牲材料が、例示的なプロセスの最終製品の1つ以上の特徴または特性(ひいては、結果的に得られるスライバー、スレッド、ヤーン、または織物の1つ以上の特徴または特性)を改善するために使用される場合がある。一実施例では、材料の強度を向上させるために合成材料を使用することができる。別の実施例では、犠牲繊維材料を使用して、製造中に材料の構造的完全性を維持することができる。製造プロセスが完了した後、犠牲繊維材料は取り除かれ、これにより、他の方法で実現され得るよりもより繊細なまたはより軽量な布地が得られる。
【0069】
任意の適切な合成または犠牲繊維材料を使用することができる。いくつかの実施例では、犠牲繊維材料は、(限定されないが)PVA(ポリビニルアルコール)等の適切な水溶性合成材料を含む。いくつかの実施例では、合成材料は、(限定されないが)Kuralon K-II(登録商標)またはSolvron(登録商標)を含む。別の実施例では、犠牲繊維材料は、製造後に炭化処理によって除去することができる綿ベースの繊維を含む。
【0070】
犠牲繊維材料は最終製品には存在しない故に、犠牲繊維材料の量は、犠牲繊維材料がブレンドされる各コンポーネント内で実質的に一定であることが望ましくかつ有利である。第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントはそれぞれ、天然繊維材料と犠牲繊維材料との特定のブレンド比を有することができる。いくつかの実施例では、ブレンド比はそれぞれ実質的に同一である。別の実施例では、ブレンド比のうちの2つ以上が実質的に同一であり、かつ残りのブレンド比とは異なる。更に別の実施例では、ブレンド比はそれぞれ、実質的に独自のものであり、それぞれの他のブレンド比とは異なる。特定の実施例では、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、または第3のコンポーネントのうちの少なくとも1つは、天然繊維材料および犠牲繊維材料を第1のブレンド比で含む。
【0071】
ブレンド比はそれぞれ、任意の適切な範囲を有し得る。いくつかの実施例では、ブレンド比は、70:30~30:70の範囲、任意に65:35~35:65の範囲、任意に60:40~40:60の範囲、任意に55:45~45:55の範囲である。一実施例では、第1のブレンド比は50:50である。
【0072】
前述の実施例では、スライバーの生産に使用するためのカード機に装填するための方法論を説明するいくつかの方法ステップについて説明してきた。理解されるように、この例示的な方法論は、例えば、より大きな一連の方法の一部として、単独で、または追加の方法ステップと組み合わせて使用することができる。純粋に例示として、上記の例示的な方法論は、ストランド、ヤーン、または布地作成プロセスの一部として使用することができる。
【0073】
上述したように、コンポーネント装填スケジュールは、適切な方法で導き出すことができる。いくつかの実施例では、コンポーネント装填スケジュールは、上述したように、結果的に得られるスライバー、スレッド、ヤーン、または布地の1つ以上の意図される特徴または特性のみに基づいて導き出される。
【0074】
このような場合、各コンポーネント装填スケジュールは、最初の前提または要件から別個かつ完全に導出される。しかしながら、生産バッチごとに導出を実行することは、特に特定のコンポーネント装填スケジュールが以前に導出されたコンポーネント装填スケジュールと類似している状況下では、時間の無駄である場合がある。例えば、2つの連続する生産バッチが互いにほんの僅かしか異ならない(例えば、1つの特性または特徴のみが異なる)可能性がある。従って、導出ステップを少なくとも部分的に、1つ以上のアーカイブされた、格納された、または別の方法で事前に作成されたコンポーネント装填スケジュールに対して実行することが有利であり得る。
【0075】
次に、このような導出ステップの例示的な実現を、本発明の一態様に従って説明する。これは純粋に例示を目的としたものであり、本開示の範囲内で他の特定の例示的な実現が想定され得ることを理解されたい。
【0076】
本実施例では、以前に導出された第1のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択する。この部分は、任意の適切な基準に基づいて、任意の適切な方法で選択することができる。
【0077】
いくつかの実施例では、選択ステップは、以前のコンポーネント装填スケジュールと意図したコンポーネント装填スケジュールとの類似性に基づいて実行される。類似性は、多くの方法のうちの任意の方法にて評価することができる。例えば、同様の数のコンポーネントが使用されている場合や、以前のコンポーネント装填スケジュールを使用した結果として得られた製品(例えば、スライバー、ストランド、ヤーン、または布地)の1つ以上の意図される特徴またはパラメータが、新しい意図される製品の意図される特徴と類似している場合がある。
【0078】
選択ステップは、いくつかの実施例では、評価のために1つ以上の特定の基準を選択するサブステップを含み得る。これは、他よりも優先すべき特定の要件がある場合に関連する可能性がある。例えば、場合によっては、所与の製品は、特定の線密度、引張強度、色勾配、または材料組成(または任意の他の適切なまたは関連するパラメータ)を有する必要がある場合がある。関連する基準および優先度に適合しているか、以前のコンポーネント装填スケジュールを確認することができる。
【0079】
第2のステップでは、以前に導出されたコンポーネント装填スケジュールの選択された部分に少なくとも部分的に基づいて、導出ステップを実行する。導出ステップは、適切な方法で、適切な導出プロセスまたは方法論を使用して実行することができる。これには、限定されないが、以前に導出されたコンポーネント装填スケジュールの選択された部分の再利用、または、以前に導出されたコンポーネント装填スケジュールの選択された部分の変更が含まれる。
【0080】
例えば、選択された部分が特定の利益または利点を有することが判明した場合、以前に導出されたコンポーネント装填スケジュールの一部を再利用することが可能である。純粋に例示として、第1の装填量および第2の装填量の変動を支配する特定の関数が、特に有益な、有利な、または成功したスライバー、スレッド、ヤーンまたは布地をもたらすことが判明する場合がある。
【0081】
他の状況では、以前のコンポーネント装填スケジュールの選択した部分を直接的に再利用できない場合もがある。しかしながら、選択された部分を関連するまたは適切な方法で直接的に変更することが可能である場合もある。これは、例えば、新しいコンポーネント装填スケジュールが以前のコンポーネント装填スケジュールのマイナーバリエーションである場合に生じ得る。
【0082】
特定の状況下では、単独で適切に使用可能な任意の単一の以前のコンポーネント装填スケジュール(またはその一部)が存在しない場合がある。しかしながら、意図された製品(例えば、スライバー、ストランド、スレッド、ヤーン、または布地)が、複数の以前の製品と1つ以上の類似点を共有し得る可能性がある。このような状況では、対応する複数の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択し、これらを使用してコンポーネント装填スケジュールを導出することが可能である場合がある。
【0083】
一実施例では、導出ステップは、更に、複数の以前のコンポーネント装填スケジュールの少なくとも一部を選択するステップと、選択された複数の部分のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて導出ステップを実行するステップと、を含む。選択ステップは、任意の適切な方法で実行することができる。いくつかの実施例では、選択ステップは、以前のコンポーネント装填スケジュールの単一の部分を選択することに関して上述したように実質的に実行される。同様に、導出ステップの実行は、例えば、実質的に上述したように、任意の適切な方法で実行することができる。
【0084】
純粋に例示として、以前のコンポーネント装填スケジュールのうちの1つは、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの間の第1の特定の移行を利用することができる。別の以前のコンポーネント装填スケジュールは、例えば、第2のコンポーネントと第3のコンポーネントとの間の第2の特定の移行を利用することができる。そのような場合、両方の特定の移行によりスライバー、ストランド、ヤーン、または布地を作成することが有利であるか、そうでなければ望ましい可能性がある。最初から導出ステップを実行する代わりに、以前に生成されたコンポーネント装填スケジュールを少なくとも部分的に使用して、コンポーネント装填スケジュールを作成することができる。
【0085】
もちろん、コンポーネント装填スケジュールは、任意の適切な数の以前のコンポーネント装填スケジュールに基づいて導出することができ、上記の実施例は純粋に(限定ではなく)説明を目的としていることを理解されよう。
【0086】
本発明の更なる態様に従って、次に、例示的なストランド作成方法を、
図7を参照して説明する。簡潔化かつ明瞭化を目的に、上述した対応する特徴および要素と実質的に異なる特徴および要素のみを以下に詳述する。
【0087】
第1のステップ701では、前述の実施例で実質的に説明した方法に従って、少なくとも第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントをカード機に装填する。一実施例では、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントを、実質的に
図2を参照して上述したように装填する。
【0088】
第2のステップ702では、少なくとも第1および第2のコンポーネントをカーディングして第1のスライバーを生成する。本開示の範囲内で、多くの特定のカーディング方法論が想定され得ることが理解されよう。しかしながら、純粋に簡潔化を目的に、このステップについては、本開示では更に詳述しないものとする。
【0089】
第3のステップ703では、スライバーは第1のストランドに紡糸される。紡糸ステップは、任意の適切な方法で実行することができる。当業者が本開示の範囲内で想定し得るストランドを紡糸するための多くの特定の方法が存在することを理解されよう。また、それらは本明細書では詳細には再現しないものとする。
【0090】
続いて、第1のストランドを使用して布地を製織するか、または他のストランドと組み合わせてヤーンを製造し、それを使用して布地を製織することができる。
【0091】
本発明の更なる態様に従って、次に、例示的なストランド作成方法を、
図8を参照して説明する。簡潔化かつ明瞭化を目的に、上述した対応する特徴および要素とは実質的に異なる特徴および要素のみを以下に詳述する。
【0092】
第1のステップ801では、先行する実施例のうちの少なくとも1つにおいて実質的に説明された方法に従って(例えば、
図3および
図4を参照して実質的に上述したように)少なくとも第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントをカード機に装填する。
【0093】
上述したように、第1のコンポーネント、第2のコンポーネントおよび第3のコンポーネントは、任意の適切な材料を含み得る。一実施例では、第1コンポーネント、第2コンポーネントまたは第3コンポーネントのうち少なくとも1つは、(例えば、
図3および
図4を参照して上述したように)天然繊維材料および水溶性合成材料を含む。
【0094】
第2のステップ802では、少なくとも第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントをカーディングして、第1のスライバーを生成する。本開示の範囲内で、多くの特定のカーディング方法論が想定され得ることが理解されよう。
【0095】
第3のステップ803では、スライバーは第1のストランドに紡糸される。紡糸ステップは、任意の適切な方法で実行され得る。ストランドを紡糸するための多くの特定の方法が存在することを理解されよう。それらは当業者に公知であり、本明細書では詳細に再現しないものとする。
【0096】
続いて、第1のストランドを使用して布地を製織するか、または他のストランドと組み合わせてヤーンを製造し、それを使用して布地を製織することができる。
【0097】
本発明の更なる態様に従って、次に、例示的な布地作成方法を、
図9を参照して説明する。簡潔化かつ明確化を目的に、上述した対応する特徴および要素と実質的に異なる特徴および要素のみを以下で詳細に説明する。
【0098】
第1のステップ901では、少なくとも第1のヤーンを準備し、第1のヤーンは、上述した方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む。一実施例では、第1のストランドは、
図5を参照して上述した方法と実質的に同一の方法によって作成した。
【0099】
第2のステップ902では、少なくとも第1のヤーンから布地を製織する。布地は、任意の適切な方法で、適切な織機または他の同様の装置を使用して製織することができる。
【0100】
本発明の更なる態様に従って、次に、例示的な布地作成方法を、
図10を参照して説明する。簡潔化かつ明瞭化を目的に、上述した対応する特徴および要素と実質的に異なる特徴および要素のみを以下で詳細に説明する。
【0101】
第1のステップ1001では、少なくとも第1のヤーンを準備し、第1のヤーンは、上述した方法によって作成された少なくとも第1のストランドを含む。一実施例では、第1のストランドは、
図6を参照して上述した方法と実質的に同一の方法によって作成した。
【0102】
第2のステップ1002では、少なくとも第1のヤーンから布地を製織する。布地は、任意の適切な方法で、適切な織機または他の同様の装置を使用して製織することができる。
【0103】
一実施例では、第1のヤーンは、少なくとも第1のストランドから構成され、第1のストランドは、第1のコンポーネント、第2のコンポーネント、および第3のコンポーネントを含む。この特定の実施例では、第3のコンポーネントは水溶性合成材料を含む。任意の適切な合成材料を使用することができる。いくつかの実施例では、第3のコンポーネントは、(限定されないが)PVA(ポリビニルアルコール)等の適切な水溶性合成材料から構成される。いくつかの実施例では、合成材料は、(限定されないが)Kuralon K-II(登録商標)またはSolvron(登録商標)を含む。
【0104】
第3のステップ1003では、水溶性合成材料を溶解する。このステップは、任意の適切な方法で実行することができる。本開示の範囲内で、多くの特定の溶解ステップを実施可能であることが認識されよう。特に、溶解ステップの特定の性質は、水溶性合成材料の特定の特徴または特性に依存し得ることが理解されよう。
【0105】
上記の説明は、限定ではなく、説明を意図したものである。従って、以下に記載の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本発明に変更を加え得ることは、当業者には明白であろう。
【国際調査報告】