(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】フローセル、フローセル液体出入装置及びサンプル分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/05 20060101AFI20230324BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230324BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230324BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230324BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230324BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20230324BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
G01N21/05
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6851 Z
G01N21/64 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548386
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2020113624
(87)【国際公開番号】W WO2022047755
(87)【国際公開日】2022-03-10
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(71)【出願人】
【識別番号】517110612
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンチェン
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲興▼▲業▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ケイ▼ 楚填
(72)【発明者】
【氏名】夏 贇
(72)【発明者】
【氏名】席 ▲陽▼
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA05
2G043EA01
2G043FA01
2G043HA01
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2G057AA04
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2G057CB01
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2G057GA04
2G057GA05
4B029AA07
4B029BB20
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4B063QA01
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4B063QQ52
4B063QR08
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4B063QS25
4B063QS34
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
フローセル(100)は、第1カバーシート(11)と、第1カバーシート(11)に対向して設けられた第2カバーシート(12)と、第1カバーシート(11)と第2カバーシート(12)との間に並設された少なくとも2つのスペーサ層(13)とを備え、第1カバーシート(11)と、第2カバーシート(12)と、隣接する2つのスペーサ層(13)との間に共に一流路(14)を形成し、第1カバーシート(11)の第2カバーシート(12)に近い表面に検出面(17)を形成している、流路(14)の一端に設けられ、検出面(17)に吸着される第1サンプル(a)を流路(14)に注入するための第1開口(15)と、流路(14)の他端に設けられ、第2サンプルを含むマイクロ液滴(b)を流路(14)に注入するための第2開口(16)と、を備える。フローセル100は、多次元サイズの核酸試料の検出が可能であり、再利用が可能であり、低コストである。また、フローセル液体出入装置200及びサンプル分析システム300を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローセルであって、
第1カバーシートと、
前記第1カバーシートに対向して設けられた第2カバーシートと、
前記第1カバーシートと前記第2カバーシートとの間に並設され、各スペーサ層の両側がそれぞれ前記第1カバーシート及び前記第2カバーシートに接触して、前記第1カバーシートと、前記第2カバーシートと、隣接する2つの前記スペーサ層間に共通して一つの流路を形成し、前記第1カバーシートにおける前記第2カバーシートに近い表面に検出面を形成する少なくとも2つスペーサ層と、
前記流路の一端に設けられ、前記検出面に吸着される第1サンプルを前記流路に注入するための第1開口と、
前記流路の他端に設けられ、第2サンプルを含むマイクロ液滴を前記流路に注入するための第2開口と、を備えることを特徴とするフローセル。
【請求項2】
前記第1開口の水力半径は、前記第2開口の水力半径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のフローセル。
【請求項3】
前記検出面は、前記第2カバーシートにおける前記第1カバーシートに近い表面にも設けられていることを特徴とする請求項2に記載のフローセル。
【請求項4】
前記第1開口の水力半径が0.075mm~0.75mmであることを特徴とする請求項2に記載のフローセル。
【請求項5】
前記第2開口の水力半径が0.02mm~0.2mmであることを特徴とする請求項2に記載のフローセル。
【請求項6】
前記スペーサ層が接着層であることを特徴とする請求項1に記載のフローセル。
【請求項7】
前記第1開口と前記第2開口は、いずれも前記第1カバーシート又は前記第2カバーシートに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフローセル。
【請求項8】
フローセル液体出入装置であって、
請求項1~7のいずれかに記載のフローセルと、
第1接合装置と、
第2接合装置とを備え、
前記第1接合装置が前記第1開口と連通し、前記第2接合装置が前記第2開口と連通していることを特徴とするフローセル液体出入装置。
【請求項9】
前記第2接合装置は、第2接合部を備え、前記第2接合部は、第1接合口と、第2接合口とを含み、前記第2接合口は、前記第2開口に連通し、前記第1接合口は、前記第2開口から離れて設けられ、前記第1接合口の前記流路の延在方向に沿った寸法は、前記第2接合口の前記流路の延在方向に沿った寸法よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項10】
前記第2接合装置は、第2インターフェースブロックと、第2シールブロックと、をさらに含み、前記第2インターフェースブロックは、前記第1接合口に連通され、前記第2シールブロックは、前記第2接合部に挿設されることを特徴とする請求項9に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項11】
前記第2インターフェースブロックは、第2入液通路、第2出液通路、第2制御弁群、および第2共通通路を備え、前記第2共通通路は、前記第1接合口と連通していることを特徴とする請求項10に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項12】
前記第2入液通路及び前記第2共通通路の水力半径は、いずれも前記第2出液通路の水力半径よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項13】
前記第1接合装置は、第1接合部と、第1インターフェースブロックと、第1シールブロックとを含み、前記第1接合部は、一端が前記第1開口に連通し、他端が前記第1インターフェースブロックに連通し、前記第1シールブロックは、前記第1接合部に挿設されることを特徴とする請求項8に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項14】
前記第1インターフェースブロックは、第1入液通路、第1出液通路、第1制御弁群及び第1共通通路を含み、前記第1共通通路は前記第1接合部に連通していることを特徴とする請求項13に記載のフローセル液体出入装置。
【請求項15】
サンプル分析システムであって、
請求項8~14のいずれか一項に記載のフローセル液体出入装置であるフローセル液体出入装置と、
前記第1接合装置を介してフローセルに第1サンプルを注入する第1サンプル配布装置と、
第2サンプルをマイクロ液滴化し、前記第2接合装置を介して前記フローセルに注入する第2サンプル配布装置と、
フローセルの画像を取得する光学イメージング部と、を備えることを特徴とするサンプル分析システム。
【請求項16】
前記第2サンプル配布装置は、マイクロ液滴発生装置を含むことを特徴とする請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項17】
前記光学イメージング部は、第1レンズモジュールと、第2レンズモジュールと、を含み、前記第1レンズモジュールは、前記第1サンプルの撮像に用いられ、前記第2レンズモジュールは、前記マイクロ液滴の撮像に用いられ、前記第1レンズモジュールの焦点距離は前記第2レンズモジュールの焦点距離より小さく、前記第1レンズモジュールの視野径は前記第2レンズモジュールの視野径よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のサンプル分析システム。
【請求項18】
前記第1レンズモジュールの焦点距離は1~2μm、視野径は1~2mm、前記第2レンズモジュールの焦点距離は1~2mm、視野径は5~10mmの範囲であることを特徴とする請求項17に記載のサンプル分析システム。
【請求項19】
前記第1レンズモジュールの拡大倍率は、前記第2レンズモジュールの拡大倍率よりも大きいことを特徴とする請求項17に記載のサンプル分析システム。
【請求項20】
前記光学イメージング部は、第3レンズモジュールと、補償レンズモジュールとを含むことを特徴とする請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項21】
前記フローセルに連通する洗浄ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のサンプル分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物サンプル分析用フローセル、フローセル液体出入装置及びサンプル分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子シーケンシング 技術と液滴デジタルPCR(Polymerase Chain Reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)技術における核心部品はすべてマイクロフローセルである。マイクロフローセルは、サンプル分析システムの重要な担体として主に核酸サンプルの分散に用いられ、マイクロ液滴を調製し、核酸サンプルの増幅と分析に場所を提供する。
【0003】
現在のサンプル分析システムには、マイクロフローセルの機能的空間利用率が不飽和であり、特にマイクロフローセルにおけるギャップ領域の機能区分と利用が不足し、現在のサンプル分析システムの新興の多群学や貫通群学などの研究における応用を製限されるという欠点があった。また、現在のマイクロフローセルの開発コストは高いが、使い捨て消耗品のため、再利用できず、大きな浪費をもたらしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の従来技術の的問題を解決するために、フローセル液体出入装置及びサンプル分析システムを提供する必要がある。
【0005】
第1態様は、フローセルを提供し、第1カバーシートと、前記第1カバーシートに対向して設けられた第2カバーシートと、前記第1カバーシートと前記第2カバーシートとの間に並設され、各スペーサ層の両側がそれぞれ前記第1カバーシート及び前記第2カバーシートに接触して、前記第1カバーシートと、前記第2カバーシートと、隣接する2つの前記スペーサ層間に共通して一流路を形成し、前記第1カバーシートの前記第2カバーシートに近い表面に検出面を形成する少なくとも2つスペーサ層と、前記流路の一端に設けられ、前記検出面に吸着される第1サンプルを前記流路に注入するための第1開口と、前記流路の他端に設けられ、第2サンプルを含むマイクロ液滴を前記流路に注入するための第2開口と、を備える。
【0006】
本実施形態において、前記第1開口の水力半径は、前記第2開口の水力半径よりも小さい。
【0007】
本実施形態において、前記検出面は、前記第2カバーシートの前記第1カバーシートに近い表面にも設けられている。
【0008】
本実施形態において、前記第1開口の水力半径が0.075mm~0.75mmである。
【0009】
本実施形態において、前記第2開口の水力半径が0.02mm~0.2mmである。
【0010】
本実施形態において、前記スペーサ層が接着層である。
【0011】
本実施形態において、前記第1開口と前記第2開口は、いずれも前記第1カバーシート又は前記第2カバーシートに設けられている。
【0012】
第2態様は、フローセル液体出入装置を提供し、前記フローセルと、第1接合装置と、第2接合装置とを備え、前記第1接合装置が前記第1開口と連通し、前記第2接合装置が前記第2開口と連通している。
【0013】
本実施形態において、前記第2接合装置は、第2接合部を備え、前記第2接合部は、第1接合口と、第2接合口とを含み、前記第2接合口は、前記第2開口に連通し、前記第1接合口は、前記第2開口から離れて設けられ、前記第1接合口の前記流路の延在方向に沿った寸法は、前記第2接合口の前記流路の延在方向に沿った寸法よりも小さい。
【0014】
本実施形態において、前記第2接合装置は、第2インターフェースブロックと、第2シールブロックと、をさらに含み、前記第2インターフェースブロックは、前記第1接合口に連通され、前記第2シールブロックは、前記第2接合部に挿設される。
【0015】
本実施形態において、前記第2インターフェースブロックは、第2入液通路、第2出液通路、第2制御弁群、および第2共通通路を備え、前記第2共通通路は、前記第1接合口と連通している。
【0016】
本実施形態において、前記第2入液通路及び前記第2共通通路の水力半径は、いずれも前記第2出液通路の水力半径よりも大きい。
【0017】
本実施形態において、前記第1接合装置は、第1接合部と、第1インターフェースブロックと、第1シールブロックとを含み、前記第1接合部は、一端が前記第1開口に連通し、他端が前記第1インターフェースブロックに連通し、前記第1シールブロックは、前記第1接合部に挿設される。
【0018】
本実施形態において、前記第1インターフェースブロックは、第1入液通路、第1出液通路、第1制御弁群及び第1共通通路を含み、前記第1共通通路は前記第1接合部に連通している。
【0019】
第3態様は、サンプル分析システムを提供し、前記ローセル液体出入装置であるフローセル液体出入装置と、前記第1接合装置を介してフローセルに第1サンプルを注入する第1サンプル配布装置と、第2サンプルをマイクロ液滴化し、前記第2接合装置を介して前記フローセルに注入する第2サンプル配布装置と、フローセルの画像を取得する光学イメージング部と、を備える。
【0020】
本実施形態において、前記第2サンプル配布装置は、マイクロ液滴発生装置を含む。
【0021】
本実施形態において、前記光学イメージング部は、第1レンズモジュールと、第2レンズモジュールと、を含み、前記第1レンズモジュールは、前記第1サンプルの撮像に用いられ、前記第2レンズモジュールは、前記マイクロ液滴の撮像に用いられ、前記第1レンズモジュールの焦点距離は前記第2レンズモジュールの焦点距離より小さく、前記第1レンズモジュールの視野径は前記第2レンズモジュールの視野径よりも小さい。
【0022】
本実施形態において、前記第1レンズモジュールの焦点距離は1~2μm、視野径は1~2mm、前記第2レンズモジュールの焦点距離は1~2mm、視野径は5~10mmの範囲である。
【0023】
本実施形態において、前記第1レンズモジュールの拡大倍率は、前記第2レンズモジュールの拡大倍率よりも大きい。
【0024】
本実施形態において、前記光学イメージング部は、第3レンズモジュールと、補償レンズモジュールとを含む。
【0025】
本実施形態において、前記フローセルに連通する洗浄ユニットをさらに備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフローセルは、流路に流路と検出面とを構築することにより、異なるサンプルアレイを同一の流路系に配列させることができ、フローセル内で認識可能な内容物の種類を著しく向上させ、既知種類と未知種類の核酸サンプルの検出分析に利用できるとともに、両分析のコストメリットを両立する。サンプル分析システムは、上記のフローセルを用いて独特の光学イメージングユニットを組み合わせることで、多次元サイズの核酸サンプルの分析検出を実現でき、検出内容がより豊富で、低デマンドでの検出を満足できるとともに、高デマンドでの検出も満足でき、核酸サンプルの配列情報や動的濃度情報を得ることができる。本発明のフローセルを再利用することができ、フローセルの利用率を高めるとともに、フローセルのコストを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、本発明の実施例において必要な図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって創造的な労働を行わずに、これらの図面から他の図面が得られることは明らかである。
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるフローセルの模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるフローセルにサンプルを添加する模式図である。
【
図3】本発明の別の実施形態によるフローセルの模式図である。
【
図4】
図3のフローセルのIV-IV断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるフローセルの断面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるフローセルの断面図である。
【
図7A】本発明の一実施形態によるフローセル内の1つの検出面を有する模式図である。
【
図7B】本発明の一実施形態によるフローセル内の1つの検出面を有する模式図である。
【
図8A】本発明の一実施形態によるフローセル内の2つの検出面を有する模式図である。
【
図8B】本発明の一実施形態によるフローセル内の2つの検出面を有する模式図である。
【
図9】本発明一実施形態によるフローセル液体出入装置の模式図である。
【
図10】本発明一実施形態によるサンプル分析システムのプログラム構成図である。
【
図11A】本発明の一実施形態による光学イメージング部が第1サンプルをイメージングする模式図である。
【
図11B】本発明の一実施形態による光学イメージング部がマイクロ液滴をイメージングする模式図である。
【
図12A】本発明の別の実施形態による光学イメージング部が第1サンプルをイメージングする模式図である。
【
図12B】本発明の別の実施形態による光学イメージング部がマイクロ液滴をイメージングする模式図である。
【
図13】
図13のaは本発明によるフローセル内の寸法が不均一なマイクロ液滴のイメージング画像である。
図13のbは
図13のaによるフローセルエッジ液滴イメージングの画像である。
図13のcは
図13のaによるフローセル内のマイクロ液滴の一部が統計データに計上されていない画像である。
図13のdは
図13のaによるフローセルにおけるマイクロ液滴の蛍光強度と半径集計結果の正規分布図である。
【
図14】本発明によるフローセル内の寸法が均一なマイクロ液滴のイメージング画像である。
【
図15】本発明によるフローセル内の第1サンプルのイメージング画像である。
【0029】
下記の実施形態は、本発明を上記の図面に基づき更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例の図面と共に、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明し、説明した実施例は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、全ての実施形態ではないことは言うまでもない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる全ての他の実施例は、すべて本発明の範囲に属する。
【0031】
なお、アセンブリは別のアセンブリに「固定」や「取り付け」と言う場合、別のコンポーネント上に直接存在するまたは中央のアセンブリが存在してもよい。1つのアセンブリが別のアセンブリに「設けられ」と言う場合、別のコンポーネント上に直接設置するまたは同時に中央のアセンブリが存在してもよい。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、一つまたは複数の関連する項目のすべてと任意の組み合わせを含む。
【0032】
図1~
図2を参照して、本願の一実施形態は、核酸サンプルを担持するためのフローセル100であって、第1カバーシート11、第2カバーシート12、及び少なくとも2層のスペーサ層13を備えるフローセル100を提供する。この第1カバーシート11と第2カバーシート12とは離間して対向配置されている。隣接する2つのスペーサ層13は、ほぼ平行に、かつ第1カバーシート11と第2カバーシート12との間に離間して配置されており、それぞれのスペーサ層13の両側が第1カバーシート11と第2カバーシート12とにそれぞれ接触することで、第1、第2カバーシート11、12の対向する両面と、隣接する2つのスペーサ層13との間に一流路14が形成される。第1カバーシート11と第2カバーシート12との間には、流路14のアスペクト比が1以上である流路14が複数形成されてもよい。
【0033】
本実施形態において、第1カバーシート11は、シリコンウエハ、無機ガラス、有機ガラス又は透明プラスチックなどであってよい。第1カバーシート11の厚さは0.75mm程度である。
【0034】
本実施形態において、第2カバーシート12は、透明無機ガラス、透明有機ガラス又は透明プラスチックなどであってよい。第2カバーシート12の厚みは、0.15mm~0.3mmである。
【0035】
スペーサ層13は、第1カバーシート11と第2カバーシート12との間に流路14を形成するものであり、具体的にはスペーサ層13の厚みを変えることで異なる寸法の流路14を設計することができる。本実施形態において、スペーサ層13は接着層であり、具体的には硬化性の接着剤や両面テープ等であってもよい。
【0036】
図4を参照して、本実施形態において、第1カバーシート11の第2カバーシート12に近い表面に検出面17が形成されている。なお、検出面17が一つしかない場合、検出面17は、第2カバーシート12の第1カバーシート11側の面に設けられることも考えられる。
図4を参照するに、両検出面17を設け、両検出面17はそれぞれ第1カバーシート11と第2カバーシート12が対向する両面に位置し、このとき、両検出面17の間の領域が流路14を形成していることが理解できる。
【0037】
具体的には、
図5を参照して、本実施形態において、第1カバーシート11の第2カバーシート12に近い表面を特定の処理により検出面17を形成している。
図6を参照して、第1カバーシート11と第2カバーシート12とが対向する2面を同時に処理して2つの検出面17を形成し、両検出面17の間に流路14を形成されてもよいことが理解できる。
【0038】
本実施形態では、第1サンプルaは、巻回形成されたナノ球状の核酸分子であり、活性領域171と活性領域171以外の分離領域172とを含む検出面17に吸着される。
【0039】
本実施形態では、検出面17は複数の活性領域171を含み、複数の活性領域171はアレイ状に配置されている。活性領域171には、核酸分子内の目的物や被検分子を結合するためのアミノ化、カルボキシル化、ヒドロキシル化などの化学活性基が含まれる。第1サンプルaは、核酸分子が空間を折り畳んで巻回することにより形成されたナノボールであり、直径約10~500nmであり、核酸ナノボールの末端に露出した化学基を有し、検出面17の活性領域171に化学結合により固定されており、これらの核酸分子において未知の配列情報は、流路14に添加された蛍光物質を結合することにより測定される。
【0040】
本実施形態では、活性領域171は円形、多角形、その他の形状であってもよく、これらの形状の活性領域171は検出面17上にアレイ状に分布している。以上の形状活性領域171の表面に活性基が分布することにより、第1サンプルaのナノボールは検出面17上にアレイ状に配列した。
【0041】
具体的な検出過程において流路14のみを用いてもよいし、流路14と検出面17とを合わせて用いてもよいので、多次元サイズの核酸サンプルアレイ検出の目的が達成される。
【0042】
図3、
図4、
図7A~
図8Bを参照して、本実施の形態では、各流路14の両端に、それぞれ第1開口15および第2開口16が形成される。第1開口15は、流路14内に第1サンプルaを注入するためのものであり、検出面17に第1サンプルaを吸着することができる。第2開口16は、第2サンプルが含まれるマイクロ液滴bを流路14内に注入するためのものである。
【0043】
本実施形態では、第1サンプルaが核酸分子であり、増幅された核酸分子がナノボールの構造に絡み合って第1サンプルaが形成され、具体的には、第1サンプルaのナノボール構造径が10nm~500nmの範囲内であり、第1サンプルaが第1開口15から流路14内に注入されると、ナノボールが検出面17に吸着し、検出試薬(例えばシーケンシング 用の試薬、すなわち上記蛍光物質)を第1開口15又は第2開口16から流路14内に注入し、吸引によって検出試薬が検出面17上のナノボールと十分に反応し、反応が完了した後、検出試薬が第1開口15又は第2開口16を通って流路14を排出し、このとき第1サンプルaは検出面17に吸着したままである。
【0044】
本実施形態において、マイクロ液滴bは、第2サンプル及び関連試薬が被覆されたミクロンオーダーの液滴(液滴の直径が10μm~50μmの範囲)であり、一つの液滴が一つの小さな反応系を構成しており、第2開口16からマイクロ液滴bを流路14に注入した後、流路14内でマイクロ液滴bが反応し、反応完了後にマイクロ液滴bを流路14に吐出する必要がない。
【0045】
図7A~
図8Bを参照して、第1サンプルaのナノボールの直径は、マイクロ液滴bの直径よりも十分に小さいことが理解される。
【0046】
図3を参照して、本実施の形態では、第1開口15の水力半径が第2開口16の水力半径よりも小さい。ここで、水力半径Rは、水力学における固有名詞であり、ある送水断面の過流面積と、水体が接触する送水管路の辺長(すなわち湿週)の比を指し、断面形状に関連して、トンネルの送水能力を計算するために多用されており、式、R=A/x(そのうち、Aは送水断面積、xは湿週、即ち、送水断面における水流が湿潤する境界長)である。第1開口15及び第2開口16は、水力半径R=A/x=r
2/dの円形口、半円形口、矩形口、扇形口、その他の形状の開口であってもよい。矩形開口の水力半径R=A/x=W*H/2(w+H)であり、wおよびHはフローセル流路14の幅および高さであり、ここでは流路14の幅は垂直流路の延在方向cの寸法と定義する。第1開口15を円形口または半円形口とし、半径rを0.3mm~3mmとすると第1開口15の水力半径は0.075mm~0.75mmであり、第1開口15を介して第1サンプルaのナノボールが圧力により流路14内に入り、第2開口16を矩形口とし、流路14の幅を5mm~20mm、高さを0.05~0.3mmとすると第2開口16の水力半径は0.02mm~0.2mmとなる。そのうちマイクロ液滴bは、圧力により第2開口16を介して流路14内に入り込む。
【0047】
図4を参照して、本実施形態において、第1開口15及び第2開口16は、いずれも第2カバーシート12に形成されている。
【0048】
図7Aを参照して、検出面17が1つしかない場合、このとき、第1サンプルaは検出面17上にアレイ状に配置され、マイクロ液滴bは均一な大きさの液滴が流路14内にアレイ状に配置されてもよい。
図7Bを参照すれば、マイクロ液滴bは、流路14内において、大きさの不均一な液滴が並べられていてもよいことが理解される。
【0049】
図8Aを参照して、2つの検出面17を有する場合、このとき、第1サンプルaは、2つの検出面17にアレイ状に配置され、マイクロ液滴bは、均一な大きさの液滴が流路14内にアレイ状に配置されてもよい。
図8Bを参照すれば、マイクロ液滴bは、流路14内において、大きさの不均一な液滴が並べられていてもよいことが理解できる。
【0050】
本実施形態では、流路14中のアレイには多数のミクロン級マイクロ液滴bが分布しており、マイクロ液滴bは2つの形式を有している。核酸分子を含むマイクロ液滴bであって、マイクロ液滴径は約50μmであり、多数のマイクロ液滴bは流路14上に密に配列される。他方のマイクロ液滴bは、蛍光物質を標識した核酸分子が表面に結合した磁性マイクロビーズであって、マイクロビーズの粒径は約20mであり、互いに密に配列され、流路14の外側の磁力制御手段によって制御されて、流路14の空間にアレイ配列されている。マイクロ液滴bは、ゲルビーズ、メソポーラスSiOマイクロビーズ、油中水マイクロ液滴などであってよい。マイクロ液滴bは、フレア吸着ヘッドによって第2開口16の箇所に1滴ずつ滴下され、圧力駆動下で流路14に入る。スペーサ層13の厚さを制御することにより、多数のマイクロ液滴bは単層に分布しているc
図1を参照するに、ここで流路14に入れられたマイクロ液滴bはサイズの不均一なマイクロ液滴となり、自吸的に液滴ローデイングを行うことにより、液滴の完全性が保証される。
図2を参照して、流路14のマイクロ液滴bは、温度サイクルによってインキュベートされ、蛍光を有する液滴が発生した。液滴中の発光した液滴数と総液滴数の割合を分析することにより、標的核酸分子の理論動的検出値を算出することができる。具体的には、本実施形態では、標的核酸分子の理論動的検出範囲は、100-106copies/μLとすることができる。
【0051】
図9を参照して、本発明一実施形態では、上記のようなフローセル100と、流路14の両端にそれぞれ設けられた第1接合装置21及び第2接合装置22とを備え、第1接合装置21は第1開口15に連通し、第2接合装置22は第2開口16に連通するフローセル液体出入装置200が提供される。
【0052】
第1接合装置21及び第2接合装置22の内部流体通路は、いずれも典型的な二分通路であり、弁によって流体のオンオフが制御され、分岐した二通路は、一方が流体の流路14への進入を制御し、他方が流路14からの流体の流出を制御する。具体的には、第1接合装置21及び第2接合装置22は、二位置三方電磁弁及びマニホールドブロックにより構成されてもよいし、一方弁及びマニホールドブロックにより構成されてもよい。
【0053】
第1接合装置21は、第1接合部211と、第1インターフェースブロック212と、第1シールブロック213と、を備え、第1接合部211は一端が第1開口15に連通し、他端が第1インターフェースブロック212に連通し、第1シールブロック213が第1接合部211に挿設される。
【0054】
図7A~
図8Bを参照して、本実施形態において、第1インターフェースブロック212は、第1入液通路2121、第1出液通路2122、第1制御弁群2123及び第1共通通路2124を含み、第1共通通路2124は、第1接合部211に連通している。第1制御弁群2123により第1入液通路2121及び第1出液通路2122の開閉路が制御され、第1開口15から流路14内に第1サンプルaが進入することが実現される。
【0055】
本実施形態では、第2接合装置22は、第2接合部221と、第2インターフェースブロック222と、第2シールブロック223と、を備え、第2接合部221は一端が第1開口15に連通し、他端が第2インターフェースブロック222に連通し、第2シールブロック223が第2接合部221に挿設される。
【0056】
本実施形態では、第2接合部221は、第2開口16に連通する第1接合口2211と、第2開口16から離れて設けられ第2インターフェースブロック222に連通する第2接合口2212と、を含む。
【0057】
図7A~
図8Bを参照して、本実施形態では、第1接合口2211の垂直流路の延在方向cの寸法は、第2接合口2212の垂直流路の延在方向cの寸法よりも小さい。具体的には、第1接合口2211及び第2接合口2212は、いずれも矩形口であり、全体として第2接合部221は漏斗状をなし、第2接合部221の対向する両側壁間の挟角は、45°よりも小さい。これは、マイクロメートルオーダーのマイクロ液滴bを個別に流路14内の流路14に入り込ませて、流路14においてマイクロ液滴bを単層に排出させつつ、第2接合部221においてマイクロ液滴bが裂けてしまうことを回避することを目的としている。
【0058】
本実施形態では、第2インターフェースブロック222は、第2入液通路2221と、第2出液通路2222と、第2制御弁群2223と、第2共通通路2224とを備え、第2共通通路2224は、第1接合口2211と連通している。
【0059】
図7A~
図8Bを参照して、本実施形態では、第2入液通路2221及び第2共通通路2224の水力径が、いずれも第2出液通路2222の水力径よりも大きい。ここで、第2通液路2221及び第2共通通路2224の水力直径は、マイクロ液滴bの直径より大きいので、マイクロ液滴bが流路14に押し潰されることなく円滑に進入するのを保証することができる。一方、反応終了後のマイクロ液滴bは、押し潰されるように絞られ、水力径の小さい第2出液通路2222から円滑に排出される。ただし、水力径が大きい第2共通通路2224は、第2接合部221および第2シールブロック223に適合する。
【0060】
第1制御弁群2123及び第2制御弁群2223は、二分通路の機能によって、一方向性入液及び一方向性出液の目的を達成することができる。本実施形態では、第1制御弁群2123は、第1入液弁2125と、第1出液弁2126と、を含む。第1入液弁2125は第1吸液通路2121の開閉を制御し、第1出液弁2126は、第1出液通路の開閉を制御される。第2制御弁群2223は、第2吸入通路2221の開閉を制御する第2入液弁2225と、第2吐出通路2222の開閉を制御する第2出液弁2226とを有する。
【0061】
本実施形態において、第1シールブロック213および第2シールブロック223は、いずれも耐熱、耐腐食および生体適合性を有するエラストマー部材であり、材質はシリコーンゴムまたはフッ素ゴムなどを含む。
【0062】
本実施形態において、第2シールブロック223は、第2接合部221の構造形状に応じて横断面が矩形の漏斗状に設けられ、一方ではシール作用に用いられ、他方では第2接合部221の機能を実現するために用いられる。
【0063】
他の実施形態では、第2シールブロック223は、第2接合部221を構成しており、第2シールブロック223は、横断面が矩形の漏斗状に構造形状が設計され、シール作用をなす一方、第2接合部221の機能をなす。
【0064】
図7A~
図9と合わせて、第1サンプルaがフローセル液体出入装置200への出し入れ方法は以下の通りである。
【0065】
ステップS11では、第1接合装置21における第1入液弁2125と第2接合装置22における第2出液弁2226とを開くとともに、第1接合装置21における第1出液弁2126と第2接合装置22における第2入液弁2225とを閉じた状態に保持し、第1サンプルaが第1接合装置21を通って流路14内に圧送られ、検出面17に吸着される。
【0066】
同様に、第1サンプルaについてシークエンシング分析を行う際には、添加が必要なシーケンシング 用検出試薬が同様の方法で第1開口15を通って流路14内に入れられる。
【0067】
ステップS12は、第1接合装置21上の第1入液弁2125と第2接合装置22上の第2出液弁2226を開くとともに、第1接合装置21上の第1出液弁2126と第2接合装置22上の第2出液弁2225を閉じた状態に保持し、圧力駆動により検出試薬を繰り返し循環吸引し、検出試薬と第1サンプルaとの結合を実現し、さらに核酸分子と蛍光物質(すなわち検出試薬)との結合を実現する。
【0068】
ステップS13で、反応完了後、検出試薬の吐出が必要となったら、第1接合装置21における第1出液弁2126と第2接合装置22における第2入液弁2225を開くとともに、第1接合装置21における第1入液弁2125と第2接合装置22における第2出液弁2226を閉じた状態を保持し、圧力駆動により、反応完了した検出試薬を第1接合装置21の第1出液弁2126から流路14に吐出する。第1接合装置21における第1出液弁2125と第2接合装置22における第2出液弁2226を開くとともに、第1接合装置21における第1出液弁2126と第2接合装置22における第2出液弁2225を閉じたまま、検出試薬を第2出液弁2226から吐出させてもよいことは理解される。
【0069】
図7A~
図9に合わせて、マイクロ液滴bがフローセル液体出入装置200への出し入れ方法は以下の通りである。
【0070】
第2接合装置22における第2入液弁2225と第1接合装置21における第1出液弁2126とを開くとともに、第1接合装置21における第1入液弁2125と第2接合装置22における第2出液弁2226を閉じた状態に保持し、マイクロ液滴bは、第2接合装置22を通って流路14内の流路14内に圧送られ、流路14内で増幅反応及び蛍光物質との結合を行う。ただし、マイクロ液滴bの反応が完了した後に排出流路14は不要である。
【0071】
上記サンプル圧送工程は、実際の使用状況において、複数回のセグメント圧送の工程をさらに含む。
【0072】
上述の液滴圧送工程は、実際の使用状況において、複数回のセグメント圧送の工程とポンプバックの工程も含む。
【0073】
図10を参照して、
図9に関連して、本願の実施形態では、サンプル処理部31と、上述したフローセル液体出入装置200と、光学イメージング部32とを備え、サンプル処理部31がフローセル液体出入装置200と連通し、フローセル液体出入装置200内にサンプルを添加ためのサンプル分析システム300であって、フローセル液体出入装置200は、光学イメージング部32の撮像領域内に位置し、光学イメージング部32によるフローセル液体出入装置200における流路14の画像の取り込みを容易にする。
【0074】
サンプル処理部31は、サンプルの前処理を行うものであり、サンプル貯蔵装置33とサンプル配布装置34とから主に構成される。このうち、サンプル貯蔵装置33は、複数種類のサンプル及び複数種類の試薬の個別記憶に用いられ、サンプル配布装置34は、複数種類のサンプル及び複数種類の試薬をそれぞれ流路14に入れる。
【0075】
図7A~
図8Bを参照して、本実施形態において、測定対象となるサンプルは、第1サンプルaと、マイクロ液滴bを形成するための第2サンプルと、から主としてなる核酸分子であり、複数の試薬は、ミネラルオイル、dNTP、蛍光標識分子プローブ、デオキシリボ核酸オリゴ、酵素、リン酸緩衝液、バイオ酵素などである。マイクロ液滴bには、実際の必要に応じて前述の試薬を加えてもよい。第1サンプルaと第2サンプルは、封止フィルムに封止された小管内に独立して格納されており、小管はサンプル貯蔵装置33上に位置しており、サンプル貯蔵装置33上には複数の独立したセルビットが設けられており、他の試薬は上記独立したセルビット内に独立して封入されており、サンプル貯蔵装置33の貯蔵温度は比較的低く、4℃程度である。
【0076】
図10を参照して、本実施形態においてサンプル配布装置34は、第1サンプル配布装置341と、第2サンプル配布装置342とを備える。第1サンプル配布装置341は、第1接合装置21と連通しており、第1接合装置21と第1開口15を通じて、第1サンプルaおよび対応する検出試薬を流路14内に注入するためのものである。流路14に第1サンプルaが進入すると、第1サンプルaのナノボールが検出面17に吸着し、反応中、その都度、第1サンプル配布装置341により、サンプル貯蔵装置33内に貯蔵されている必要な検出試薬が第1開口15を通って流路14内に注入される。第2サンプル配布装置342は、第2接合装置22に連通し、第2サンプルと当該試薬を混合して混合液をマイクロ液滴bにし、第2接合装置22と第2開口16を通じて流路14内に注入する。
【0077】
図10を参照して、本実施形態において、第2サンプル配布装置342は、第2サンプルと当該試薬との混合液からマイクロ液滴bを生成するマイクロ液滴発生装置37をさらに備え、具体的には、マイクロ制御液滴生成器や振とう乳化器などであってもよい。
【0078】
図11A~
図12Bを参照して、光学イメージング部32は、2つのモードを有し、1つのモードは、2種類のレンズセットを用いて検出面17上の核酸分子アレイ及び流路14内の液滴アレイをそれぞれイメージングするモードであり、もう一つのモードは、1つのレンズセットを用いて、レンズセットに結像面と視野範囲を調整可能なレンズを追加することにより、検出面17上の核酸分子アレイ及び流路14内の液滴アレイをイメージングするという目的を達成するモードである。
【0079】
図11A及び
図11Bを参照して、第1モードにおいて、光学イメージング部32は、第1サンプルaを撮像するための第1レンズモジュール321と、マイクロ液滴bを撮像するための第2レンズモジュール322とを含む。
【0080】
本実施形態では、第1レンズモジュール321の焦点距離は、第2レンズモジュール322の焦点距離よりも小さく、第1レンズモジュール321の視野径は、第2レンズモジュール322の視野径よりも小さい。具体的には、第1レンズモジュール321の焦点距離は1~2μm、視野径は1~2mm程度、第2レンズモジュール322の焦点距離は1~2mm程度、視野径は5~10mm程度である。第1レンズモジュール321の拡大倍率は、第2レンズモジュール322の拡大倍率よりも大きいため、第1レンズモジュール321は、ナノボール構造の第1サンプルaに対してシャープなイメージを行うことができる。
【0081】
したがって、第1レンズモジュール321および第2レンズモジュール322によって撮像されたイメージデータは、それぞれ計画された記憶経路にそれぞれ保存される。これらのイメージデータは、具体的な応用面での分析に使用されるものであり、腫瘍や癌の早期スクリーニングや診断、感染症原因の検出分析などを含む。
【0082】
図12A及び
図12Bを参照して、他のモードにおいて、光学イメージング部39は、ナノスケールサイズの第1サンプルaを撮像する焦点距離が一定のレンズを含む第3レンズモジュール323を備える。ミクロンオーダーのサイズのマイクロ液滴bをイメージング必要がある場合には、第3レンズモジュール323に補償レンズモジュール324を追加して実現し、補償レンズモジュール324は、結像焦点面および視野範囲を調整する。
【0083】
図13のa~
図13dを参照して、流路14における大きさの不均一なマイクロ液滴(マイクロ液滴b)のイメージおよび統計解析画像である。ここで、流路14の光学イメージング領域は、第2レンズモジュール322によって画像採取されており、試験条件は、蛍光色素Cy5が標識された核酸分岐、Cy5濃度が約7mM、500倍希釈後振とう乳化法により調製した油中水マイクロ液滴;励起光が波長532nm、電力が2~5Wの緑色レーザー、焦点面は1.5μm固定;MATLABによりマイクロ液滴径及び数を画像統計解析した。
【0084】
その結果、
図13のaはフローセル平面図であり、連続して撮影した60つ視野接するマイクロ蛍光画像によりつなぎ合わせて合成したサムネイル画像であり、流路14に寸法分布が不均一なマイクロ液滴(マイクロ液滴b)が図示されている。
図14Bは、流路14のエッジの検出面17に密集した小さな液滴(第1サンプルa)の分布を示す。
図14Cでは流路14の中の一部の大きな液滴は統計データに入っておらず、
図13のbを対比して解析したところ、画像つなぎ合わせが液滴の真円度差に影響し、統計精度に影響を及ぼしている可能性がある。
図13のdは、流路14におけるマイクロ液滴bの蛍光強度と半径集計結果図であり、図からほぼ正規分布であることが分かる。
【0085】
図14を参照して、流路14において、均一な大きさのマイクロ液滴(マイクロ液滴b)のイメージング像である。ここで、第2レンズモジュール322による流路14の光学イメージング領域の撮像は、図中流路14のアレイ状に配列されたマイクロ液滴bが分かるように行われる。
【0086】
図15を参照して、第1レンズモジュール321により採取された第1サンプルa(配列測定の核酸ライブラリーや特定の絡み合ったDNAナノボールを含む)の光信号からなる像は、図からわかるように、第1サンプルa(DNAナノボール、直径約200nm)がアレイ状に並べられ、輪郭が明瞭な蛍光像が観察された。
【0087】
本実施の形態では、サンプル分析システムは、流路14に連通し、システム管路及び流路14を洗浄するための洗浄ユニット38をさらに備えている。
【0088】
図10を参照して、
図9を参照すると、実際の応用においては、フローセル100は取付台(図示せず)に取り付けられ、フローセル100の第1開口15と第1接合装置21とが第1シールブロック213によって封止接合され、フローセル100の第2開口16と第2接合装置22とが第2シールブロック223によって封止接合される。第1接合装置21及び第2接合装置22とサンプル配布装置34とは管路で接続されており、上流ポンプ35(例えば、シリンジポンプ)によりサンプルの吸引が行われている。第1接合装置21及び第2接合装置22と洗浄ユニット38とは、管路を介して接続されており、下流ポンプ36(例えば、シリンジポンプ)により洗浄剤の注入及び廃液の排出が行われる。サンプル配布装置34は、上流ポンプ35、第1接合装置21、第2接合装置22及び下流ポンプ36がいずれも制御装置(図示せず)に接続され、制御装置によって起動又は導通される。
【0089】
図7A~
図10を参照して、上述したサンプル分析システム300を用いたサンプルの分析方法は、以下のステップを含む。
【0090】
ステップ1では、第1サンプルaと第2サンプルの2つのサンプルを用意します。
【0091】
本実施形態において、第1サンプルaは、ナノサイズの特徴を有するナノボールである。第2サンプルは、マイクロサイズの特徴を有するマイクロ液滴bを生成するために用いられる。
【0092】
本実施形態において、第1サンプルa、第2サンプル、その他必要な複数の試薬は、全てサンプル貯蔵装置33内に貯蔵されている。ここで、第1サンプルaおよび第2サンプルは、封止膜により封止された小管内に独立して貯蔵されており、小管はサンプル貯蔵装置33上に位置しており、サンプル貯蔵装置33上には複数の独立したウェルが設けられており、他の試薬は上記独立したウェル内に独立して封入されており、サンプル貯蔵装置33の貯蔵温度は4℃程度と比較的低い。ここで、複数の試薬は、ミネラルオイル、dNTP、蛍光標識分子プローブ、デォキシリボ核酸オリゴ、酵素、リン酸緩衝液、バイオ酵素などである。
【0093】
ステップ2では、流路14内に第1サンプルaを注入する。
【0094】
第1サンプルaを収容した密封小管の封止膜を突き刺し、第1サンプルaをサンプル貯蔵装置33の密封小管から圧力駆動的に抜き出し、第1サンプル配布装置341により第1サンプルaを第1接合装置21を介して流路14に吸い込み、検出面17に第1サンプルaを吸着させてアレイ状に配置される。
【0095】
本実施形態では、上流ポンプ35の吸引により第1サンプルaが第1接合装置21に吸い込まれる。
【0096】
ステップ3では、一定時間(例えば30分間)静置し、活性基間の相互作用により核酸ナノボール(すなわち第1サンプルa)が検出面17に十分に吸着し、比較的規則的に配列したナノ核酸分子アレイを形成する。
【0097】
ステップ4は、第1サンプルaを検出分析するものであり、具体的には、本実施形態は、核酸分子をシーケンシングするものであり、シーケンシング方法は以下の工程を含む。
【0098】
まず、圧力駆動下において、第1種類の蛍光物質ポンプを流路14内に吸引し、吸引を繰り返すことにより、第1サンプルaに第1種類の蛍光物質を結合させ、反応が完了した後に残りの第1種類の蛍光物質を第2開口16を通して流路14に排出する。同様に、他の蛍光物質と第1サンプルaとの結合が行われ、一つの蛍光物質が投入される毎に、ナノボールアレイにおけるこの蛍光物質と結合した第1サンプルaが蛍光信号を発する。
【0099】
そして、サイクルごとに生じた蛍光信号をイメージング分析し、第1サンプルaの配列情報を得る。
【0100】
具体的には、流路14に投入された蛍光物質を圧力駆動により繰り返し循環的に抽出してアレイ中の核酸分子と蛍光物質との結合を図り、サイクル反応毎に生じた蛍光信号をイメージング分析することで、第1サンプルaにおける一段の塩基の配列順序を所望の長さの塩基順序分析まで得ることができ、この方法により未知の核酸分子の配列情報を検出してシーケンシングの目的を達成することができる。
【0101】
本実施形態において、イメージング解析は、光学結像モジュール32によって実現され、具体的には、高倍率の第1レンズモジュール321を用いて核酸ナノボールのイメージング解析が実現される。その配置される対物レンズとレンズは、焦点距離と視野径が小さく、焦点距離が約1~2μm、視野径が約1~2mmの組み合わせで配置される。
図15に示すように、DNAナノボール(直径約200nm)の蛍光画像である。
【0102】
ステップ5は、第2サンプルをマイクロ液滴bに形成し、マイクロ液滴bを流路14内に注入する。
【0103】
第2サンプルを収容した封止小管の封止フィルムを突き刺し、第2サンプルを圧力駆動により検体記憶装置33中の封止小管から抜き取り、サンプル貯蔵装置33中の他の試薬と混合して混合液を形成し、第2サンプルを含む混合液が第2サンプル配布装置342内に位置し、圧力駆動下で、第2サンプルを含む混合液を第2サンプル配布装置342を介してマイクロ液滴発生装置37に注入する。第2サンプルは、マイクロ液滴発生装置37(例えば、マイクロ制御液滴生成器や振とう乳化器)内でマイクロ液滴bを発生させる。さらにマイクロ液滴bを第2接合装置22を介して流路14内に注入し、しばらく静置し、流路14内にアレイ状に配列された液滴アレイを多数の液滴が安定して浮遊する。
【0104】
本実施形態において、上流ポンプ35による吸引によって第2サンプルと他の試薬とを均一に混合し、上流ポンプ35によって混合液をマイクロ液滴発生装置37に汲み上げ、さらに、上流ポンプ35によってマイクロ液滴bを第2接合装置22を介して流路14内に注入する。
【0105】
本実施形態において、マイクロ液滴bは、マイクロメートルサイズの特徴を有する核酸分子被覆物及び共重合体(例えば、核酸マイクロ液滴)であり、このうち、マイクロ液滴b内には、核酸分子の増幅に必要な原料物質が含まれている。
【0106】
ステップ6は、第2サンプルを分析する。液滴アレイは、流路14内において、対応する蛍光物質と結合して蛍光シグナルを発生させるための複数サイクル増幅反応を起こす。1サイクルあたりの増幅反応による蛍光信号をイメージング分析し、第2サンプルの配列情報を取得し、配列の第2サンプルにおけるある塩基の含有量を既知とした。
【0107】
具体的には、しばらく静置して、マイクロ液滴(マイクロ液滴b)の浮遊を安定させて相対的な静止を維持したまま、特定温度又は特定温度勾配を維持した循環で流路14をインキュベートすることにより、マイクロ液滴中の核酸分子を蛍光物質に結合させ、特定反応時間により、マイクロ液滴の蛍光信号を第2レンズモジュール322によりフローセルをイメージングカウント分析することにより、第2サンプルの核酸分子中の或る塩基の含量を求めることができる。これにより、既知の配列核酸分子の定性及び定量解析が可能となる。
【0108】
洗浄ステップは、洗浄ユニット38を起動し、洗浄ユニット38により特定の洗浄試薬(例えばTween-20、水酸化ナトリウム溶液)と水を抽出してシステムラインを洗浄し、洗浄後のシステムについて次の検出分析を行うことができる。ただし、洗浄工程は、第1サンプルa検出処理において、システム管路と流路14の洗浄を、異なる2種類の蛍光物質を追加して行ってもよい。また、第1サンプルaの検出が完了し、マイクロ液滴bの検出が必要ならば、システム管路や流路14を洗浄する必要がある。
【0109】
以上のステップにおいて、ステップ1~ステップ4によって、ナノ核酸分子アレイ(第1サンプルa)の配列解析、ステップ5及びステップ6によって、核酸分子を包むマイクロ液滴アレイ(マイクロ液滴b)の検出解析、両解析段階は相対独立性を有し、完全なシステム動作ロジックは、ステップ1~ステップ4を含み、またはステップ5とステップ6、またはステップ1~ステップ6、洗浄ステップの進行は実際の状況に応じたものとなる。
【0110】
本発明実施形態が提供するサンプル分析システム300は、遺伝子シーケンシング技術と液滴PCR技術を組み合わせることで、多数の既知・未知の病原に起因する疾患の分析を実現でき、コストパフォーマンスが高く、検出効率が高いサンプル分析システム300を提供し、複数の機能の統合を実現し、操作の流れが簡単で、大量の核酸サンプルを消費する必要がなく、サンプリングの需要を低減し、希少な核酸サンプルの全体分析に資し、物理資源に対するニーズは相対的に少なく、実験室の電源、テーブル、計算及び記憶資源などのインフラ及び機器管理に対する配慮又はソフトウェアニーズは相対的に低い。
【0111】
本発明のフローセルは、流路に流路と検出面を構築することにより、異なるサンプルアレイを同一の流路系に配列させることが可能となり、フローセル内で認識可能な内容物の種類を著しく向上させ、病原菌や感染性ウイルスの検出分析を例にとって、既知種と未知種の病原菌や感染性ウイルスの検出分析に利用し、両分析のコストパフォーマンスを両立させることができる。
【0112】
サンプル分析システムは、上述したフローセルを有し一意な光イメージング部を備えることで、多次元サイズの核酸サンプルの分析検出を実現でき、検出内容がより豊富で、低デマンドでの検出を満足でき、高デマンドでの検出も満足できるとともに、分析性能を向上できるものであり、液滴PCR応用を例にとると、本願は分析する液滴の数ひいては標的濃度の検出ダイナミックレンジを顕著に向上させることができる。
【0113】
本発明のフローセルは繰り返し利用でき、フローセルの利用率を向上させるとともに、フローセルのコストを低減する。
【0114】
なお、以上の実施例は、本発明を限定するものではなく本発明を説明するためのものであるから、好ましい実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者は、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、本願の技術的範囲を変更又は均等に置換することができることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0115】
100 フローセル
11 第1カバーシート
12 第2カバーシート
13 スペーサ層
14 流路
17 検出面
171 活性領域
172 分離領域
15 第1開口
16 第2開口
200 フローセル液体出入装置
21 第1接合装置
211 第1接合部
212 第1インターフェースブロック
2121 第1入液通路
2122 第1出液通路
2123 第1制御弁群
2124 第1共通通路
2125 第1入液弁
2126 第1出液弁
213 第1シールブロック
22 第2接合装置
221 第2接合部
2211 第1接合口
2212 第2接合口
222 第2インターフェースブロック
2221 第2入液通路
2222 第2出液通路
2223 第2制御弁群
2224 第2共通通路
2225 第2入液弁
2226 第2出液弁
223 第2シールブロック
300 サンプル分析システム
31 サンプル処理部
32、39 光学イメージング部
321 第1レンズモジュール
322 第2レンズモジュール
323 第3レンズモジュール
324 補償レンズモジュール
33 サンプル貯蔵装置
34 サンプル配布装置
341 第1サンプル配布装置
342 第2サンプル配布装置
35 上流ポンプ
36 下流ポンプ
37 マイクロ液滴発生装置
38 洗浄ユニット
a 第1サンプル
b マイクロ液滴
c 流路の延在方向
【国際調査報告】