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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】侵徹体および侵徹体の使用
(51)【国際特許分類】
   F42B 12/06 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
F42B12/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549093
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2021050778
(87)【国際公開番号】W WO2021164961
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020104217.5
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509334642
【氏名又は名称】ラインメタル ヴァッフェ ムニシオーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Rheinmetall Waffe Munition GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーセン、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーヴィン、ミヒャエル
(57)【要約】
本発明は、発射体(1)の侵徹体(10)、特に、尾部ユニット(3)と、前方部分(21)および後方部分(22)を有する主コア(2)とを含み、尾部ユニット(3)が主コア(2)の後方部分(22)に配置される縮射口径運動エネルギー侵徹体に関する。主コア(2)の前方部分(21)と後方部分(22)との間に所定の破断点(7)が形成され、所定の破断点(7)の材料は、主コア(2)の残りの部分よりも機械的に弾性が低いように設計される。 発射体の侵徹体、特に、少なくとも1つの前方部分および少なくとも1つの後方部分を有する尾部ユニットおよび主コアを含む縮射口径運動エネルギー侵徹体が提案される。主コア後方部分に尾部ユニットが配置されている。前方部分と主コアの後方部分との間に所定の破断点が形成され、所定の破断点の材料は、主コアの残りの部分よりも機械的に弾性が低いように設計される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾部ユニット(3)と、少なくとも1つの前方部分(21)および少なくとも1つの後方部分(22)を有するおよび主コア(2)と、を備える侵徹体(10)であって、
前記尾部ユニット(3)は、前記主コア(2)の前記後方部分(22)に配置され、
前記主コア(2)の前記前方部分(21)と前記後方部分(22)との間には、少なくとも1つの所定の破断点(7)が形成され、且つ
前記少なくとも1つの所定の破断点(7)は、前記主コア(2)の前記少なくとも1つの前方部分(21)および/または前記少なくとも1つの後方部分(22)よりも機械的に弾性が低くなるように設計されている
侵徹体(10)。
【請求項2】
前記所定の破断点(7)は、標的、特にプレ標的に当たると、前記主コア(10)の前記後方部分(22)が前記尾部ユニット(3)と一緒に、前記主コア(2)の前記少なくとも1つの前方部分(21)から離脱することができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の侵徹体(10)。
【請求項3】
前記主コア(2)の前記前方部分(21)の長さ(L)は、前記主コア(2)の長さの少なくとも50%、好ましくは70%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%であることを特徴とする請求項1または2に記載の侵徹体(10)。
【請求項4】
前記所定の破断点(7)は、一次成形および/または成形製造方法によって製造されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項5】
前記主コア(2)は一体型として設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項6】
前記所定の破断点(7)は、主コア(2)よりも機械的に弾性の低い材料から形成された一体接続であることを特徴とする請求項5に記載の侵徹体(10)。
【請求項7】
前記侵徹体(10)は、特に、焼結されたタングステン重金属材料から製造され、前記所定の破断点(7)は、前記主コア(22)の前方部分(21)と後方部分(22)との密度よりも低い密度を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項8】
前記侵徹体(10)は、不活性であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項9】
前記主コア(2)には、中実型として設計されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項10】
前記所定の破断点(7)は、前記主コア(2)の熱処理により形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項11】
主コア(2)には、2つの部分からなる設計が施されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項12】
前記主コア(2)の前記前方部分(21)および前記主コア(2)の前記後方部分(22)はそれぞれネジを有し、前記主コア(2)の前記前方部分(21)および前記後方部分(22)は、機械的に弾性の低い接続要素(25)で接続されて、前記所定の破断点(7)を形成していることを特徴とする請求項1~4または請求項6~11のいずれか1項に記載の侵徹体(10)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の侵徹体(10)と装弾等とを含む発射体(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の発射体(1)とカートリッジケースとを備えるカートリッジ弾。
【請求項15】
前記所定の破断点(7)がケーシングの内側に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のカートリッジ弾。
【請求項16】
反応装甲を有する装甲標的、特に反応装甲を有する戦車に対するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の侵徹体(10)の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尾部ユニットおよび主コアを備える発射体のための侵徹体、特に、ロングロッド侵徹体またはKE侵徹体とも呼ばれる縮射口径運動エネルギー侵徹体に関する。主コアは、少なくとも1つの前方部分および少なくとも1つの後方部分を有する。尾部ユニットは侵徹体の後方部分に配置されている。本発明はさらに、侵徹体および装弾筒を含む発射体、ならびにこのタイプの発射体を含むカートリッジ弾に関する。本発明はまた、装甲を有する装甲標的、特に好ましくは反応装甲を有する戦車に対するための、そのような侵徹体または発射体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 22 34 219 C1は、より柔らかい素材のケーシングに配置された、高い比重のコアを有する装甲貫通式の発射体を記述している。コアは、基本的に、その全長に亘ってその周囲を取り囲むケーシングに、形状嵌めおよび圧入嵌めで接続され、それによって、貫通している間に標的内においてコアが破裂することが回避されることを意味する。
【0003】
実際には、侵徹体がプレ標的、例えば反応装甲のプレートに当たると、このプレートは貫通され、貫通の第1段階を通過することが実証されている。しかし、この通過中、侵徹体の尾部ユニットが障害となり、さらなる抵抗を発生する。この問題については、さまざまなアプローチが取り上げられている。
【0004】
大きな長さ/直径比を有する縮射口径運動エネルギー侵徹体は、DE 40 22 821 A1から公知であり、これは、標的の大きな傾斜角度においても複数の被覆材を有する標的を貫通するために使用される。発射体は、低質量の前方コアと、円筒形の本体としての後方部分主コアから構成される。2つのコアは、密着した1つの部分からなる発射体を形成する。それらの接合領域では、先端の領域に所定の破断点が設けられ、それは、主コアの先端が前方にテーパしている切頭円錐状であって、前方コアへの遷移領域に丸みを帯びた領域を有するように形成される。
【0005】
文献DE 40 28 409 A1から縮射口径発射体が知られており、侵徹体と、その長さの部分領域において侵徹体を同軸的に取り囲む尾部ユニットとを含む。侵徹体の部分的な領域は、その後側で円錐状に設計される。尾部ユニットは、侵徹体に形状結合されている。侵徹体は、ノッチの形態の所定の破断点を有し、これにより、標的に当たると、尾部ユニットが破断し、残りの侵徹体が、より少ない障害で通過することが保証される。
【0006】
侵徹体は、DE 10 2015 117 018 A1から公知であり、これは、前部領域に界面を有し、これには、異なる侵徹体チップが取り付けられてもよい。基本的な侵徹体は、この幾何学的インターフェースを介して形成され、基本的な侵徹体には種々の侵徹体チップが提供され、個々のKE侵徹体を形成する。これにより、異なる侵徹体チップの助けを借りて種々の反応装甲に反応することが可能になる。また、基本的な侵徹体は、種々の侵徹体チップとは異なる材料から作られてもよい。
【0007】
フルキャリバー発射体用の取り外し可能な尾部ユニットは、DE 10 2019 117 496.1から知られている。尾部ユニットはバヨネットジョイントを介して発射体に接続されている。尾部ユニットを含む後方部分全体を発射体頭部から分離することが提案されている。発射体が標的に当たると、折り畳み尾部ユニットの尾部ユニット翼が振り出される。尾部ユニット部が剛体尾部ユニットの場合、その直径は発射体直径よりも大きい。標的の貫通の後またはその上で、剛体尾部ユニット部分は、発射体ヘッドから軸方向に分離される。後方部分ユニットは標的に固着したままであるか、または弾頭に追従する。新しく作成されたインターフェースが、分離という作業を担う。インターフェースは、尾部ユニット部分と発射体ヘッドとの間に設けられてもよく、また、好ましくは、ロック機構の助けを借りて実施される。1つの単純な設計では、界面は、尾部ユニットと発射体ヘッドのケーシングとの間の接合領域に組み込まれまたは一体化されてもよい。この目的のために、発射体ヘッドのケーシングと尾部ユニット部分の後方部分との間に収容される移行部分を設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 22 34 219 C1
【特許文献2】DE 40 22 821 A1
【特許文献3】DE 40 28 409 A1
【特許文献4】DE 10 2015 117 018 A1
【特許文献5】DE 10 2019 117 496.1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のアプローチはすでに成功していることが証明されているが、本発明の目的は、特に反応装甲を有する主標的への確実な侵徹を容易に実施する、更なる侵徹体を提供することである。この目的は、請求項1の特徴によって達成される。有利な実施形態および改良は、サブクレームの対象である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基礎となるアイデアは、飛翔体、特に尾部ユニットと主コアを備える縮射口径運動エネルギー侵徹体のための侵徹体を提供することである。主コアは、少なくとも1つの前方部分および少なくとも1つの後方部分を備える。尾部ユニットは主コア後方部分に配置されている。少なくとも1つの所定の破断点が、少なくとも1つの前方部分と少なくとも1つの後方部分との間に設けられる。
【0011】
DE 10 2019 117 496.1と同様に、この形成された所定の破断点は、主コアの前方部分の貫通中に、所定の破断点において尾部ユニットが主コアの後方部分と共にペネレータの主コアの後方部分から分離されるという事実を達成する。
【0012】
本発明によれば、このタイプの侵徹体または後述する改良された侵徹体と装弾筒とを含む発射体がさらに提供される。
【0013】
本発明によれば、このタイプの発射体とカートリッジケーシングとを有するカートリッジ弾も提供される。
【0014】
本発明によれば、装甲標的、特に反応装甲を有する標的、特に反応装甲を有する戦車に対するために、このタイプの侵徹体または後述する改良された侵徹体の使用が提供される。
【0015】
本発明によれば、所定の破断点は、領域内において主コアの前方部分または後方部分よりも機械的に弾性が低いように設計される。これは、所定の破断点の領域内の材料が、主コアの前方部分および/または後方部分よりも低い強度値または低い弾性率を有することを意味する。
【0016】
所定の破断点は、一方では、一次成形および/または成形によって製造される。このタイプの所定の破断点は、例えば、残留応力を誘発することによって、および/または所定の破断点の領域内の材料に不均一性をもたらすことによって、形成することができる。一方、主コアの前方部分および/または後方部分よりも強度値が低く、または弾性率が低い、所定の破断点用材料を設けてもよい。侵徹体を純粋に機械加工して溝構造等を切削によって付与することによっては所定の破断点は与えられない。
【0017】
少なくとも1つの所定の破断点により、尾部ユニットによって貫通効果が低下しないことが達成される。侵徹体がプレ標的に当たると、主コアの残りの前方部分(尾部ユニットおよび主コアの後方部分を除く)は、もはや貫通中に抵抗を与えず、その結果、主コアまたは侵徹体の前方部分のたわみが少なくなるので、より容易に貫通することが可能である。
【0018】
主コアの後方部分が、尾部ユニットと一緒に切断された後、侵徹体の残りの部分、すなわち主コアの前方部分は、反応性プレ標的から切り離される。その結果、主コアの前方部分のたわみが少なく、その後の主標的における最終弾道出力が著しく増加する。本発明による侵徹体の主コアの前方部分は、結果的に、主標的においてより良い効果を発揮し得る。
【0019】
本発明による侵徹体の設計により、特に反応装甲を有する標的に容易に対することができる。
【0020】
さらに、主コアの前方部分が、反応性標的との戦闘に最適に適合されていれば、これらの戦闘をよりよく進めることができるから好ましい。
【0021】
侵徹体は、好ましくは、装甲標的、特に反応装甲を有する戦車に対するために使用される。
【0022】
侵徹体の1つの有利な改良において、所定の破断点が、尾部ユニットとともに、主コアの後方部分が、標的、特にプレ標的に当たるときに主コアの前方部分を破断できるように構成されることが提供されてもよい。
【0023】
一実施形態では、主コアの前方部分の長さは、チップから見た主コアの長さの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%であることが提供され得る。
【0024】
さらに、所定の破断点は、一次成形および/または成形によって製造される。このタイプの所定の破断点は、例えば、残留応力を誘発することによって、または材料中の不均一性によって生成することができる。
【0025】
1つの特定の実施形態において、主コアは、少なくとも1つの前方部分および主コアの少なくとも1つの後方部分が1つの部分から形成されるような一体型に設計されていてもよい。これは、良好な弾道効果および低い公差が達成可能であるという利点を有する。それに加えて、主コアは、ネジ接続のような可動部品を有していない。したがって、本発明による侵徹体は、可動部品を有さない。所定の破断点の領域内の材料の弱化は、例えば、残留応力を誘発することによって、および/または材料の不均一性によって達成することができる。
【0026】
1つの特定の実施形態では、更に、主コアが二体型、即ち2つの部分からなるように設計されていてもよい。これにより、後方領域または主コアの少なくとも1つの後方部分が、前方領域または主コアの少なくとも1つの前方部分から独立して選択されてもよいという事実が達成される。このように、主コアの前方部分と主コアの後方部分とにおいて異なる材料の組み合わせが可能である。例えば、主コアの前方領域には重い材料を、主コアの後方領域には軽い材料を使用するので、所定の破断点での破断後に有効な運動量のために好ましい高い重量が維持される。ここにおいて主標的での効果は増加される。しかし、主コアを、同じ材料から作られた2つの部分として設計することも可能である。
【0027】
また、主コアが2つの部分からなる実施形態では、所定の破断点が主コアよりも機械的に弾性の低い材料からなる材料接続であることを設けてもよい。これにより、主コアの所定の破断点の確実な破断が実施されるという事実が達成される。
【0028】
1つの改良において、侵徹体は、特にタングステン重金属材料から製造され、特に焼結されるとともに、前記所定の破断点は、主コアの残りの部分よりも低い密度を有することが提供され得る。これによって、1つの材料から製造される主要コアが、領域および/または断面、特に所定の破断点の領域において異なる材料特性を有するという事実が達成される。
【0029】
あるいは、所定の破断点だけでなく主コアも、特に他の重金属または他の適切な高密度材料を焼結して製造することもできる。
【0030】
さらに、侵徹体は不活性であってもよい。したがって、侵徹体は、爆発性材料を有さず、すなわち、侵徹体は、好ましくは、この実施形態では、いかなる活性媒体も含まない。
【0031】
主コアは、好ましくは中実状の設計を有するのが好ましい。「中実状」は、焼結材料からの形成を含む。あるいは、侵徹体には、中空状の設計であってもよい。これは、1つの特定の実施形態において活性媒体を統合することを可能にする。
【0032】
更に主コアの熱処理により所定の破断点を形成しても良い。例えば、所定の破断点の領域は、熱処理によって意図的に弱められてもよい。また、所定の破断点の領域は凹んでもよく、その結果、熱処理によって、主コアの残りの部分のみがその材料特性に関してより機械的に弾性を有するように設計される。
【0033】
また、2つの部分からなる主コアの実施形態において、主コアの前方部分と後方部分とがそれぞれネジ山を有し、主コアの前方部分と後方部分とを機械的に弾性の低い連結要素で連結して所定の破断点を形成してもよい。
【0034】
本発明において、前方部分と後方部分との間の所定の破断点を高い費用効果で作成することができる。このことにより、主コアの前方部分と主コアの後方部分とで材料特性が異なることも可能となる。
【0035】
一実施形態では、例えば、主コアの前方部分および主コアの後方部分は、それぞれ、雌ネジを有し、接続要素は、それに適合する1つまたは2つの雄ネジを有する。
【0036】
主コアの前方部分および主コアの後方部分は、それぞれ雄ネジを有し、接続要素は、それに適合する1つまたは2つの雌ネジを有することも同様に可能である。
【0037】
さらに、所定の破断点は、構造的な弱点、特にノッチまたはミリング加工された凹部を有することが可能である。これにより、所定の破断点の効果を大きくすることができ、主コアの前方部分と後方部分とをより容易に分離することができる。
【0038】
カートリッジ弾の1つの改良において、所定の破断点がカートリッジケーシング内に配置されることが提供されてもよい。これにより、所定の破断点が外部の影響にさらされないという事実を達成する。
【0039】
発射体のための侵徹体、特に縮射口径運動エネルギー侵徹体であって尾部ユニットおよび前方部分と後方部分とを有する主コアとを備えるものが提案される。尾部ユニットは、主コアの後方部分に配設される。所定の破断点は、主コアの前方部分と後方部分との間に形成され、且つ前記所定の破断点の材料は、主コアの他の部分と比較して機械的な弾性が低くなるように設計される。このことによって、標的を貫通したときに後方部分を含む少なくとも1つの強固な尾部ユニットが少なくとも1つの前方部分から長手方向に分離することが達成される。これにより、後方部分即ち尾部ユニットを含む少なくとも1つの後方部分は、標的に強固に食い込むか、または侵徹体の少なくとも1つの前方部分に追従する。
【0040】
本発明のさらなる詳細および利点は、図に基づいて説明される以下の例示的な実施形態から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明による侵徹体の発明の1つの実施形態の概略図を示す。
図2図2は、本発明による侵徹体のさらなる実施形態の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明による侵徹体10の発明による1つの特定の実施形態の概略図を示す。
【0043】
図1に示す侵徹体10は、発射体1の侵徹体である。この発射体1は、より詳細には図示されていない装弾筒を含む縮射口径運動エネルギー侵徹体であることが好ましい。
【0044】
侵徹体10は、尾部ユニット3と主コア2とを備える。主コア2は、少なくとも1つの前方部分21および少なくとも1つの後方部分22を備える。尾部ユニット3は、主コア2の後方部分22に配置されている。
【0045】
主コア2の前方部分21と後方部分22との間には所定の破断点7が形成されている。所定の破断点7は、主コア2の残りの部分よりも機械的に弾性が低いように設計される。
【0046】
所定の破断点7は、尾部ユニット3とともに、主コア10の後方部分22が、標的、特にプレ標的に当たると主コア2の少なくとも1つの前方部分21から破壊することを可能にするように構成されている。
【0047】
主コア2の少なくとも1つの前方部分21の長さLは、主コア2の長さの少なくとも50%、好ましくは70%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%である。
【0048】
予め決定された破断点7は、例えば、一次成形および/または成形製造方法によって製造することができる。
【0049】
図1に示す侵徹体10は、一体型の設計を有する主コア2を含む。
【0050】
所定の破断点7は、例えば、一体的な接続部であってもよく、この接続部は、主コア2よりも機械的に弾性の低い材料から形成される。
【0051】
侵徹体10の主コア2は、好ましくは、中実体の設計で提供される。
【0052】
侵徹体10は、例えばタングステン重金属材料から製造される。この材料は、焼結材料であってもよい。機械的に弾性が低い所定の破断点7を設計するために、焼結材料の場合、破断点7は、残りの主コア2よりも低い密度を有してよい。
【0053】
侵徹体10は、好ましくは、不活性侵徹体10である。
【0054】
所定の破断点7は、主コア2の熱処理によって形成される。
【0055】
図2は、本発明による侵徹体10のさらなる特定の実施形態の概略断面図を示す。図2に係る具体的な実施形態は、図1に係る具体的な実施形態に基づくものであり、図1に係る具体的な実施形態との相違点のみを以下に説明する。
【0056】
図2に係る侵徹体10の主コア2は、二体型に設計されている。
【0057】
主コア2の前方部分21と主コア2の後方部分22はそれぞれネジ山を有し、主コア2の前方部分21と後方部分22はより機械的に弾性の低い連結要素25で連結されて所定の破断点7を形成している。
【符号の説明】
【0058】
1 発射体
2 主コア
3 尾部ユニット
7 所定の破断点
10 侵徹体
21 主コアの前方部分
22 主コアの後方部分
25 接続要素
L 長さ
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明によれば、所定の破断点は、領域内において主コアの前方部分および後方部分よりも機械的に弾性が低いように設計される。これは、所定の破断点の領域内の材料が、主コアの前方部分および後方部分よりも低い強度値または低い弾性率を有することを意味する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本発明の一つの実施形態において、主コアは、少なくとも1つの前方部分および主コアの少なくとも1つの後方部分が1つの部分から形成されるような一体型に設計されている。これは、良好な弾道効果および低い公差が達成可能であるという利点を有する。それに加えて、主コアは、ネジ接続のような可動部品を有していない。したがって、本発明による侵徹体は、可動部品を有さない。所定の破断点の領域内の材料の弱化は、例えば、残留応力を誘発することによって、および/または材料の不均一性によって達成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
更に、主コアが二体型、即ち2つの部分からなるように設計されていてもよい。これにより、後方領域または主コアの少なくとも1つの後方部分が、前方領域または主コアの少なくとも1つの前方部分から独立して選択されてもよいという事実が達成される。このように、主コアの前方部分と主コアの後方部分とにおいて異なる材料の組み合わせが可能である。例えば、主コアの前方領域には重い材料を、主コアの後方領域には軽い材料を使用するので、所定の破断点での破断後に有効な運動量のために好ましい高い重量が維持される。ここにおいて主標的での効果は増加される。しかし、主コアを、同じ材料から作られた2つの部分として設計することも可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の1つの改良において、侵徹体は、特にタングステン重金属材料から製造され、特に焼結されるとともに、前記所定の破断点が、主コアの残りの部分よりも低い密度を有することが提供される。これによって、1つの材料から製造される主要コアが、領域および/または断面、特に所定の破断点の領域において異なる材料特性を有するという事実が達成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図1図1は、本発明による侵徹体の発明の1つの実施形態の概略図を示す。
図2図2は、侵徹体のさらなる実施形態の概略断面図を示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
図2は、侵徹体10のさらなる特定の実施形態の概略断面図を示す。図2に係る具体的な実施形態は、図1に係る具体的な実施形態に基づくものであり、図1に係る具体的な実施形態との相違点のみを以下に説明する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾部ユニット(3)と、少なくとも1つの前方部分(21)および少なくとも1つの後方部分(22)を有するおよび主コア(2)と、を備える侵徹体(10)であって、
前記尾部ユニット(3)は、前記主コア(2)の前記後方部分(22)に配置され、
前記主コア(2)の前記前方部分(21)と前記後方部分(22)との間には、少なくとも1つの所定の破断点(7)が形成され、且つ
前記少なくとも1つの所定の破断点(7)は、前記主コア(2)の前記少なくとも1つの前方部分(21)および/または前記少なくとも1つの後方部分(22)よりも機械的に弾性が低くなるように設計され
前記主コア(2)は一体型として設計されており、前記侵徹体(10)はタングステン重金属材料から製造され、且つ前記所定の破断点(7)は、前記主コア(2)の前記前方部分(21)および前記後方部分(22)よりも密度が小さい
侵徹体(10)。
【請求項2】
前記所定の破断点(7)は、標的、特にプレ標的に当たると、前記主コア(2)の前記後方部分(22)が前記尾部ユニット(3)と一緒に、前記主コア(2)の前記少なくとも1つの前方部分(21)から離脱することができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の侵徹体(10)。
【請求項3】
前記主コア(2)の前記前方部分(21)の長さ(L)は、前記主コア(2)の長さの少なくとも50%、好ましくは70%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%であることを特徴とする請求項1または2に記載の侵徹体(10)。
【請求項4】
前記所定の破断点(7)は、一次成形および/または成形製造方法によって製造されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項5】
前記所定の破断点(7)は、主コア(2)よりも機械的に弾性の低い材料から形成された一体接続であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項6】
前記侵徹体(10)は、タングステン重金属材料から焼結されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項7】
前記侵徹体(10)は、不活性であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項8】
前記主コア(2)には、中実型として設計されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項9】
前記所定の破断点(7)は、前記主コア(2)の熱処理により形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)と装弾等とを含む発射体(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の発射体(1)とカートリッジケースとを備えるカートリッジ弾。
【請求項12】
前記所定の破断点(7)がケーシングの内側に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のカートリッジ弾。
【請求項13】
反応装甲を有する装甲標的、特に反応装甲を有する戦車に対するための、請求項1~のいずれか一項に記載の侵徹体(10)の使用。
【国際調査報告】