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特表2023-513604ロボット制御プログラムの視覚的にサポートされた適合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】ロボット制御プログラムの視覚的にサポートされた適合
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549099
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021053134
(87)【国際公開番号】W WO2021160638
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020103853.4
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】メディナ ヘルナンデス、ホセ ラモーン
(72)【発明者】
【氏名】スペニンガー、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707JU14
3C707KS16
3C707LU09
3C707LW12
3C707MT03
(57)【要約】
本発明は、第1の調整要素(11)および第1の調整要素(11)の指定領域(5)を表示するための対話型操作ユニット(3)を有する、ロボットマニピュレータ(100)のための制御ユニット(1)に関し、第1の調整要素(11)は、ユーザの入力によって領域(5)内で移動させることができ、対話型操作ユニット(3)は、第1の調整要素(11)のユーザ指定の位置を検出し、それを、位置の関数として指定されたコスト関数の重要度係数を把握するコンピューティングユニット(7)に送信し、重要度係数の和は、調整要素のすべての位置で一定であり、コンピューティングユニット(7)は、コスト関数に基づいて、ロボットマニピュレータ(100)の制御プログラムおよび/または制御システムのパラメータを把握する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対話型操作ユニット(3)を有するロボットマニピュレータ(100)の制御ユニット(1)であって、
前記対話型操作ユニット(3)は、第1の調整要素(11)および前記第1の調整要素(11)の指定された領域(5)を表示するよう設計され、前記対話型操作ユニット(3)上のユーザの入力によって、前記第1の調整要素(11)を前記領域(5)内で移動させることができ、
前記対話型操作ユニット(3)は、指定された前記領域(5)内における前記第1の調整要素(11)のユーザ指定位置を検出し、前記第1の調整要素(11)の位置を前記制御ユニット(1)のコンピューティングユニット(7)に送信するように設計され、
前記コンピューティングユニット(7)は、前記領域(5)に対する前記第1の調整要素(11)の指定された位置の関数として、指定されたコスト関数の重要度係数を把握するよう設計され、前記重要度係数の合計は、前記第1の調整要素(11)のすべての位置について一定であり、および、前記コンピューティングユニット(7)は、前記ロボットマニピュレータ(100)の制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを、把握された重要度係数を有する前記コスト関数に基づいて把握するために設計されている、
制御ユニット。
【請求項2】
前記コンピューティングユニット(7)は、把握された重要度係数を有する前記コスト関数に基づいて、適合された学習ベースのタスクの実行を繰り返すことによって、前記ロボットマニピュレータ(100)の前記制御プログラムおよび/又は前記制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するために設計されている、請求項1に記載の制御ユニット(1)。
【請求項3】
前記コンピューティングユニット(7)は、前記ロボットマニピュレータ(100)の前記制御プログラムおよび/又は前記制御システムの1つ又は複数の前記パラメータを、把握された重要度係数を有する前記コスト関数の関数値を最小化することによって把握するように設計されている、請求項1~請求項2のいずれか一項に記載の制御ユニット(1)。
【請求項4】
前記コスト関数は、以下の変数のうち少なくとも1つ:
-前記ロボットマニピュレータ(100)によるタスクの実行に必要な時間、
-前記タスクの実行に必要なエネルギー消費量、
-前記タスクの実行中の前記ロボットマニピュレータ(100)および/又はワークピースの摩耗、
-前記ロボットマニピュレータ(100)のエンドエフェクタと、前記ロボットマニピュレータ(100)の環境からの物体との間に作用する力および/又はトルク、
-前記タスクの実行中に前記ロボットマニピュレータ(100)の関節に発生するトルク、
-前記タスクの実行中に発生する前記ロボットマニピュレータ(100)の基準点の速度、
-前記タスクの実行中に発生する前記ロボットマニピュレータ(100)の基準点の加速度、
-前記タスクの実行中に発生するノイズ、
を有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の制御ユニット(1)。
【請求項5】
前記第1の調整要素(11)は、リニアスケール上で移動可能であり、前記コンピューティングユニット(7)は、前記領域(5)に対する前記第1の調整要素(11)の指定された位置の関数として、指定されたコスト関数に対する少なくとも2つの重要度係数を把握するために設計されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の制御ユニット(1)。
【請求項6】
指定された前記領域(5)は、限定された平面を含み、
前記第1の調整要素(11)は、前記限定された平面内で移動することができ、
前記コンピューティングユニット(7)は、前記領域(5)に対する前記第1の調整要素(11)の指定された前記位置の関数として、指定された前記コスト関数に対する少なくとも3つの重要度係数を把握するために設計されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の制御ユニット(1)。
【請求項7】
前記限定された平面は多角形であり、前記多角形のそれぞれの頂点は、指定された前記コスト関数のそれぞれの変数と関連付けられ、前記多角形のそれぞれの頂点に対する前記第1の調整要素(11)のそれぞれの距離は、前記第1の調整要素(11)の指定された前記位置に応じて、それぞれの前記重要度係数の間の比率を決定する、請求項6に記載の制御ユニット(1)。
【請求項8】
前記対話型操作ユニット(3)は、前記ユーザの入力によって前記第1の調整要素(11)および第2の調整要素(12)を前記領域(5)内で移動できるよう、前記第2の調整要素(12)と、前記第1の調整要素(11)および前記第2の調整要素(12)の指定された前記領域(5)とを表示するよう設計され、
前記対話型操作ユニット(3)は、指定された前記領域(5)内の前記第1の調整要素(11)および前記第2の調整要素(12)のユーザ指定位置を検出し、それぞれの調整要素(11,12)のそれぞれの位置を前記制御ユニット(1)の前記コンピューティングユニット(7)に送信するように設計され、
前記コンピューティングユニット(7)は、前記領域(5)に対するそれぞれの調整要素(11,12)の指定された前記位置の関数として、指定された前記コスト関数に対する少なくとも3つの重要度係数を把握するために設計されている、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の制御ユニット(1)。
【請求項9】
前記第1の調整要素(11)と前記第2の調整要素(12)とは、共通のリニアスケールで移動させることができ、
前記コンピューティングユニット(7)は、前記第2の調整要素(12)に対する前記第1の調整要素(11)の相対位置の関数として、および前記領域(5)に対するそれぞれの調整要素(11,12)の相対位置の関数として、指定された前記コスト関数の少なくとも3つの重要度係数を把握するために設計されている、請求項8に記載の制御ユニット(1)。
【請求項10】
制御ユニット(1)によって、ロボットマニピュレータ(100)の制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するための方法であって、以下のステップ:
-対話型操作ユニット(3)によって、第1の調整要素(11)および前記第1の調整要素(11)の指定された領域(5)を表示し(S1)、ここで、前記第1の調整要素(11)は、前記対話型操作ユニット(3)上のユーザの入力によって前記領域(5)内で移動可能である、ステップと、
-前記対話型操作ユニット(3)により、指定された前記領域(5)内で前記第1の調整要素(11)のユーザ指定位置を検出し(S2)、前記第1の調整要素(11)の位置を前記制御ユニット(1)のコンピューティングユニット(7)に送信するステップと、
-前記領域(5)に対する前記第1の調整要素(11)の指定された前記位置の関数として、前記コンピューティングユニット(7)による指定されたコスト関数の重要度係数を把握し(S3)、ここで、前記重要度係数の合計は、前記第1の調整要素(11)のすべての位置について一定であるステップと、
-前記制御ユニット(7)によって、把握された前記重要度係数を有する前記コスト関数に基づいて、前記ロボットマニピュレータ(100)の制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握する(S4)ステップと、
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットマニピュレータの制御プログラム及び/又は制御システムの1つ以上のパラメータを把握するためのロボットマニピュレータの制御ユニット、及びロボットマニピュレータの制御プログラム及び/又は制御システムの1つ以上のパラメータを把握するための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、ロボットマニピュレータの制御システムまたは制御プログラムの適合を簡略化することである。
【0003】
本発明は、独立請求項の特徴から生じるものである。有利な改良および実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は対話型操作ユニットを有するロボットマニピュレータの制御ユニットに関し、対話型操作ユニットは、第1の調整要素および第1の調整要素の指定された領域を表示するよう設計され、対話型操作ユニット上のユーザの入力によって、第1の調整要素を領域内で移動させることができ、対話型操作ユニットは、領域内における第1の調整要素のユーザ指定位置を検出し、第1の調整要素の位置を制御ユニットのコンピューティングユニットに送信するように設計され、コンピューティングユニットは、領域に対する第1の調整要素の指定された位置の関数として、指定されたコスト関数の重要度係数を把握するよう設計され、重要度係数の合計は、第1の調整要素のすべての位置について一定であり、および、コンピューティングユニットは、ロボットマニピュレータの制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを、把握された重要度係数を有するコスト関数に基づいて把握するために設計されている。
【0005】
特に、コンピューティングユニットは、所定のタスクを実行するために、ロボットマニピュレータの特に適合した制御システムで適合した制御プログラムを実行するように設計されている。
【0006】
好ましくは、制御ユニットは、ロボットマニピュレータ自体に配置される、すなわち、制御ユニットは、ロボットマニピュレータの制御ユニットであることが好ましい。制御ユニットは、特に、指定された制御プログラムを実行するために用いられ、指定された制御プログラムは、好ましくは、異なるモードで実行できるように、適宜適合可能である。例えば、制御プログラムをできるだけ早く実行したい、あるいは最も省エネルギーな方法で実行したいといった要望がある。特に、制御プログラムの構造が指定されているが、特に制御プログラムを実行し得る方法は、有利に適合可能である。このような制御プログラムの適合は、特に目標関数が最小化又は最大化される(目的の定義および符号の定義に依存する)、すなわち一般に最適化される最適化問題に対応する。ここでいう制御プログラムのパラメータとは、特にロボットマニピュレータの速度など、コントローラ(つまり制御システム)によってパイロット制御されるパラメータに関するものである。
【0007】
制御プログラムは、ロボットマニピュレータの指定されたタスクを実行するために使用され、ロボットマニピュレータ上のコントローラの助けを借りて実行される。コントローラは、特に、ロボットマニピュレータの環境にある物体に対するロボットマニピュレータの所望の速度、所望の加速度、または所望の接触力などの特定の変数をパイロット制御するために使用される。このようなパイロット制御信号は、有利には測定値と比較され、ロボットマニピュレータの制御変数は、実際の変数が特にパイロット制御信号の所望の変数に近づくように、対応して作動される。したがって、ここで検討中のロボットマニピュレータのコントローラの一部は、特に、タスクの実行に関連する変数に関連する外部ループに関連する。これに対して、特にコントローラの内部ループは、モータ制御、つまり外部ループの制御変数の対応する実行のために使用される。このようなコントローラのパラメータは、制御プログラムの実行の上述の適合を実現するために適宜使用することもできる。例えば、ダイナミックフィルタの帯域幅を増減させたり、コントローラの前進ブランチにおけるフィードバック増幅または増幅の変数を適合させたりすることができる。特に、これにより、制御ユニットのコントローラの帯域幅がロボットマニピュレータに適合される。これは、ロボットマニピュレータのコントローラが、ロボットマニピュレータが外乱に弱く反応するように弱い増幅をするか、または、ロボットマニピュレータが非常に迅速にロボットマニピュレータのモータに高いトルクで反応するように強い増幅をするかなど、ロボットマニピュレータが実行中のタスクに対して積極的に取り組むことに相当する。
【0008】
したがって、前述の制御プログラムのパラメータおよび/又はコントローラのパラメータは、コスト関数の助けを借りて適合される。コスト関数は、特に非線形最適化のツールであり、コスト関数は通常複数の成分、つまり和集合で構成されている。このような成分は、それぞれのコスト関数を増加させる比率に関連している。ここでは、これらのパーツの重要度係数を変えることができる。例えば、ロボットマニピュレータの性能において、タスクの実行の速さと同時にロボットマニピュレータの摩耗との間の妥協が求められる場合、コスト関数は好ましくは持続時間の二乗和と摩耗の測定値とからなる。このコスト関数を最小化すると、特に必要な持続時間とロボットマニピュレータの摩耗との間で妥協した結果になる。一方、コスト関数のこれらの部分に重要度係数を導入すれば、この事実上矛盾する2つの変数のうち、どちらかに焦点を当てることができる。例えば、必要な持続時間が70%、ロボットマニピュレータの摩耗が30%で重み付けされている場合、重要度係数の合計は100%となるが、必要な持続時間の重要度係数が高いため、コスト関数の最小化において、タスクの実行が持続時間に有利に行われるように制御プログラムのパラメータおよび/又はコントローラのパラメータが調整される傾向がある;これは、ロボットマニピュレータのタスクが比較的早く実行され、代わりにロボットマニピュレータの摩耗がより大きくなる傾向があることを意味している。
【0009】
そこで、ユーザにとって、例えば上記のような重要度係数をできるだけ簡単に設定できるように、本発明によれば、対話型操作ユニット上に第1の調整要素を表示させる。ここでは、指定された領域に対する第1の調整要素の相対的な位置が、このような重要度係数分布の数値に反映される。ユーザは、対話型操作ユニットでの入力により、この重要度係数を直感的に指定できるのが有利である。好ましくは、対話型操作ユニットは、タッチスクリーンとも呼ばれるタッチ感応画面である。ここでの第1の調整要素は、特に対話型操作ユニットに表示される囲みグラフィックユニットである。また、指定された領域は対話型操作ユニットに表示され、特に指定された領域の限界値が表示される。したがって、ユーザは、有利には、指定された領域に対する第1の調整要素の現在の位置などの基準点を視覚的に受け取り、第2に、有利には、ユーザからの入力に応答して第1の調整要素が領域に対して移動し、その領域内で移動すると、ユーザは即座にフィードバックを受け取ることができる。
【0010】
好ましくは、指定された領域の端点からの第1の調整要素のそれぞれの距離も、特にカラーで、または明暗の陰影によって、数値関数、特にユーザによって設定された重要度係数を表示することによって、視覚的に示される。
【0011】
ここでコンピューティングユニットは、第1の調整要素のすべての位置に対する重要度係数の合計が一定、特に公式に応じて100%または「1」になるように、領域に対する第1の調整要素の位置の関数として重要度係数の数値をここで把握する。第1の調整要素は常に、ユーザの入力によって指定された領域内でのみ移動することができる。さもなければ重要度係数の合計が指定された一定値を超えてしまうためである。特に、この事実は、対話型操作ユニット上のユーザの入力によって、第1の調整要素が指定領域の限界を超えて移動することがないよう、対話型操作ユニット上のグラフィック表示にも反映される。
【0012】
したがって、本発明の有利な効果は、ロボットマニピュレータのタスクの実行タイプに関するユーザの要望に応じて、指定された制御プログラムおよび/又はロボットマニピュレータのコントローラをユーザが直感的かつ確実に適合させることができることである。合計が一定値、特に「1」または100%を超えることのない個々の重要度係数のコスト関数を使用することにより、一貫した実行方法が得られ、したがってロボットマニピュレータのタスクを実行するための制御プログラムの信頼できる実行方法にもつながる。
【0013】
有利な実施形態によれば、コンピューティングユニットは、タスクの繰り返し適合された学習ベースの実行によって、ロボットマニピュレータの制御プログラムおよび/又は制御システムの1つまたは複数のパラメータを、把握する重要度係数を有するコスト関数に基づいて把握するように設計されている。本実施形態によれば、コスト関数は、特に、ロボットマニピュレータの制御プログラムおよび/又は制御システムのパラメータを設計するための自己学習アルゴリズムを実行するために使用される。ここでは特に、指定された制御プログラムを複数回繰り返し、例えば勾配法、進化アルゴリズムなどの収束アルゴリズムによって、特にコスト関数を最小化する。有利には、本発明の第1の態様に従って把握されたコスト関数、特にその重要度係数は、したがって、ロボットマニピュレータの制御プログラムおよび/または制御システムに関する自己学習アルゴリズムの効率的な適合に使用される。
【0014】
追加の有利な実施形態によれば、コンピューティングユニットは、把握された重要度係数を有するコスト関数の関数値を最小化することにより、ロボットマニピュレータのための制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するように設計されている。特に最適化にはコスト関数が使われる。使用する変数の定義や使用する重要度係数の符号によって、コスト関数は最適化のために最大化されるか、ペナルティ関数として最小化されるかのいずれかになる。通常、非線形最適化では、コスト関数の最小化が用いられる。
【0015】
追加の有利な実施形態によれば、コスト関数は、以下の変数のうちの少なくとも1つを有する:
-ロボットマニピュレータによるタスクの実行に必要な時間、
-タスクの実行に必要なエネルギー消費量、
-タスクの実行中のロボットマニピュレータおよび/又はワークピースの摩耗、
-ロボットマニピュレータのエンドエフェクタと、ロボットマニピュレータの環境にある物体との間に作用する力および/又はトルク、
-タスクの実行中にロボットマニピュレータの関節に発生するトルク、
-タスクの実行中に発生するロボットマニピュレータの基準点の速度、
-タスクの実行中に発生するロボットマニピュレータの基準点の加速度、
-タスク実行中に発生するノイズ。
【0016】
追加の有利な実施形態によれば、第1の調整要素は、リニアスケール上で移動させることができ、コンピューティングユニットは、領域に対する第1の調整要素の指定位置の関数として、指定されたコスト関数の少なくとも2つの重要度係数を把握するように設計されている。本実施形態によれば、指定領域は、始点と終点とを有する線分の形態を有する。ここで、第1の調整要素は、リニアスケールの線分の始点と終点との間でユーザによって移動させることができる。第1の調整要素を移動させることにより、リニアスケールの始点から調整要素の左側の距離と、それと相関してリニアスケールの終点から調整要素の右側の距離が設定される。この2つの距離は自然に相関し、足し合わせると常にリニアスケールの一定の長さを表すことになる。これは重要度係数にも反映され、その合計は原則的に一定である。なぜなら、第1の調整要素とリニアスケールの始点との間の第1の距離は、コスト関数からの第1の重要度係数と相関し、第1の調整要素とリニアスケールの終点との間の第2の距離は、コスト関数からの第2の重要度係数と相関しているためである。そのため、有利には、ユーザにとっては、コスト関数内の重要度係数の比率を直感的に設定することができる。
【0017】
追加の有利な実施形態によれば、指定領域は、限定された平面を含み、第1の調整要素は、限定された平面内で移動させることができ、コンピューティングユニットは、領域に対する第1の調整要素の指定位置の関数として、指定されたコスト関数に対する少なくとも3つの重要度係数を把握するために設計されている。平面によって、たった1つの第1の調整要素で、2つ以上の重要度係数、つまり2つの重要度係数の間の1つの比率以上の重要度係数を設定することも可能である。特に、限定された平面に多角形が使用される場合、原理的には無限の重要度係数を設定することが可能である。
【0018】
追加の有利な実施形態によれば、限定された平面は、多角形であり、多角形の各頂点は、指定されたコスト関数のそれぞれの変数に関連付けられ、多角形のそれぞれの頂点に対する、第1の調整要素のそれぞれの距離は、第1の調整要素の指定位置に応じて、それぞれの重要度係数の間の比率を決定する。このような多角形では、有利には、コスト関数の重要度係数の比率をユーザが直感的に決定できる。
【0019】
追加の有利な実施形態によれば、対話型操作ユニットは、ユーザの入力によって第1の調整要素および第2の調整要素を領域内で動かすことができるように、第2の調整要素と、第1の調整要素および第2の調整要素のための指定領域を表示するために設計されており、対話型操作ユニットは、指定された領域内の第1の調整要素および第2の調整要素のユーザ指定位置を検出し、それぞれの調整要素のそれぞれの位置を制御ユニットのコンピューティングユニットに送信するよう設計され、コンピューティングユニットは、領域に対する各調整要素の指定位置の関数として、指定されたコスト関数の少なくとも3つの重要度係数を把握するように設計されている。第1の調整要素および第2の調整要素は有利には、コスト関数の重要度係数を設定するための高い自由度を提供する。
【0020】
追加の有利な実施形態によれば、第1の調整要素および第2の調整要素は、共通のリニアスケール上で移動させることができ、コンピューティングユニットは、指定されたコスト関数に対して、第2の調整要素に対する第1の調整要素の相対位置の関数として、および領域に対するそれぞれの調整要素の相対位置の関数として、少なくとも3つの重要度係数を把握するように設計されている。3つの重要度係数は、2つの調整要素の互いの相対的な位置と相関しており、ここでも重要度係数の合計は一定に保たれる。有利には、リニアスケール上の調整要素の互いに対する位置は、ユーザが互いに対する重要度係数を決定するための非常に直感的な可能性を提供する。
【0021】
本発明の追加の態様は、制御ユニットによってロボットマニピュレータのための制御プログラムおよび/または制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するための方法に関し、以下のステップ:
-対話型操作ユニットによって、第1の調整要素および第1の調整要素のための指定された領域を表示し、ここで、第1の調整要素は、対話型操作ユニット上のユーザの入力によって領域内で移動することができる、ステップと、
-対話型操作ユニットによって、指定された領域内で第1の調整要素のユーザが指定した位置を検出し、第1の調整要素の位置を制御ユニットのコンピューティングユニットに送信するステップと、
-領域に対する第1の調整要素の指定された位置の関数として、コンピューティングユニットによって指定されたコスト関数の重要度係数を把握し、ここで、重要度係数の合計は調整要素のすべての位置に対して一定である、ステップ、および、
-コンピューティングユニットによって、把握された重要度係数を有するコスト関数に基づいて、ロボットマニピュレータのための制御プログラムおよび/または制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するステップ、
を含む。
【0022】
提案された方法の有利で好ましい展開は、提案された制御ユニットに関連してなされた説明の類推的かつ適切な移転から生じる。
【0023】
さらなる利点、特徴、および詳細は、以下の説明から明らかになり、その中で、場合によっては図面を参照しながら、少なくとも1つの例示的な実施形態が詳細に説明される。同一、類似、および/または機能的に同一の部品には、同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態例に係るロボットマニピュレータ上の制御ユニットである。
図2図2は、本発明の追加実施形態例による第1および第2の調整要素並びに指定された領域である。
図3図3は、本発明の追加実施形態例による第1の調整要素および指定された領域である。
図4図4は、本発明の追加実施形態例によるロボットマニピュレータの制御プログラムおよび/または制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握するための方法である。
【0025】
図中のイラストは模式的なものであり、縮尺どおりではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ロボットマニピュレータ100の制御ユニット1を示す。制御ユニット1には、コンピューティングユニット7が組み込まれている。さらに、対話型操作ユニット3は、制御ユニット1の一部、すなわちタッチ感応画面を備えたユーザコンピュータである。このように、対話型操作ユニット3は、表示を行うだけでなく、ユーザの入力を検出することもできるように設計されている。対話型操作ユニット3には、第1の調整要素11、または第1の調整要素11と第2の調整要素12とが表示される。そのために、以下の図2図3に対応する表示例を示す。領域5に対する第1の調整要素11の指定位置の少なくとも関数として、コンピューティングユニット7は、指定されたコスト関数の重要度係数を把握し、重要度係数の合計は、それぞれの調整要素11/12のすべての位置に対して一定である。さらに、コンピューティングユニット7は、把握された重要度係数を有するコスト関数に基づいて、ロボットマニピュレータ100の制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握する。
【0027】
状態変数=[x,x,…,x]の関数として考えられるコスト関数K()は、ここでは次のように形成されている:
【数1】
【0028】
ここで、G(x)は、第1変数xの関数としてのコスト関数の第1部分の重要度係数であり、G(x)は、第2変数xの関数としてのコスト関数の第2部分の重要度係数、等である。ここで、オプションとして、以下の変数のうち少なくとも一つを使用する:
-ロボットマニピュレータ100によるタスクの実行に必要な時間、
-タスクの実行に必要なエネルギー消費量、
-タスクの実行中のロボットマニピュレータ100の摩耗、
-ロボットマニピュレータ100のエンドエフェクタと、ロボットマニピュレータ100の環境からの物体との間に作用する力および/又はトルク、
-タスクの実行中にロボットマニピュレータ100の関節に発生するトルク、
-タスクの実行中に発生する、ロボットマニピュレータ100の基準点の速度、
-タスクの実行中に発生する、ロボットマニピュレータ100の基準点の加速度、
-タスクの実行中に発生するノイズ。
【0029】
図2は、対話型操作ユニット3の表示を示す図である。第1の調整要素11と第2の調整要素12とは、互いに対して、またそれぞれの場合において、指定された領域5に対して移動させることができる。移動は、対話型操作ユニット3に対するユーザの接触およびスワイプジェスチャを入力として、領域5内で可能である。ここで指定された領域5は、リニアスケールである。対話型操作ユニット3は、指定された領域5内の第1の調整要素11および第2の調整要素12のユーザが指定した位置を検出し、それぞれの位置を制御ユニット1のコンピューティングユニット7に送信し、その結果、図1で説明したように、第1の調整要素11と第2の調整要素12との間の互いに対する距離およびリニア領域5の限界に対する距離に類似した重要度係数G(x),G(x),G(x)を表示する。
【0030】
図3は、対話型操作ユニット3における代替表示を示す。ここで、指定された領域5は、限定された平面を含み、限定された平面内では、第1の調整要素11のみが移動可能である。領域5に対する第1の調整要素11の指定位置の関数として、コンピューティングユニット7は、指定されたコスト関数に対する5つの重要度係数を再び把握し、そのうちの例えば図3では、変数xに対する重要度係数の逆数G(x)が表わされている。多角形として設計された限定面の、変数xに関連付けられた端点までの第1の調整要素11の距離が大きいほど、重要度係数G(x)は小さくされる。この関連で、図3では、実際には正確に逆関数を使用することなく、距離を1/G(x)と記号的に相関させている。好ましくは、距離の総和が比率に応じて細分化される。他のすべての距離とそれに関連する重要度係数も同様である。
【0031】
図4は、制御ユニット1によってロボットマニピュレータ100の制御プログラムおよび/または制御システムの1つ又は複数のパラメータを把握する方法を示し、
ステップ:
-対話型操作ユニット3によって、第1の調整要素11および第1の調整要素11のための指定領域5を表示しS1、ここで、対話型操作ユニット3上のユーザの入力によって、第1の調整要素11を領域5内で移動させることができ、
-対話型操作ユニット3により、指定領域5内の第1の調整要素11のユーザが指定した位置を検出しS2、第1の調整要素11の位置を制御ユニット1のコンピューティングユニット7に送信し、
-領域5に対する第1の調整要素11の指定位置の関数として、コンピューティングユニット7によって指定コスト関数に対する重要度係数を把握しS3、ここで、重要度係数の合計は、調整要素のすべての位置に対して一定であり、および、
-コンピューティングユニット7により、把握された重要度係数を有するコスト関数に基づいて、ロボットマニピュレータ100の制御プログラムおよび/又は制御システムの1つ又は複数のパラメータを決定するS4、
を含む。
【0032】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によってさらに詳細に例示および説明されてきたが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって他の変形形態をそこから導き出すことができる。したがって、考えられる変形形態が多数存在することは明らかである。例として言及された実施形態は、実際には例を表すだけであり、保護の範囲、可能な用途、または本発明の構成を制限するものとして決して解釈されるべきではないことも明らかである。むしろ、前述の記述および図の説明は、当業者が例示的な実施形態を実施することを可能にし、開示された本発明の概念を知っている当業者は、明細書のより広範な説明など、特許請求の範囲およびそれらの法的同等物によって定義される範囲から逸脱することなく、例えば、例示的な実施形態で引用される個々の要素の機能または配置に関して、様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1:制御ユニット
3:操作ユニット
5:領域
7:コンピューティングユニット
11:第1の調整要素
12:第2の調整要素
100:ロボットマニピュレータ

S1:表示
S2:検出
S3:把握
S4:把握
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】