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特表2023-513612揮発性アルコールの緩徐放出のための3’-ケトグリコシド化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】揮発性アルコールの緩徐放出のための3’-ケトグリコシド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/10 20060101AFI20230324BHJP
   A61Q 17/02 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230324BHJP
   C07H 15/26 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230324BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230324BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20230324BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20230324BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230324BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230324BHJP
【FI】
C07H15/10 CSP
A61Q17/02
A61K8/60
C07H15/26
A61K8/34
A61K8/42
A61K8/41
A01P17/00
A01N43/16 B
C09D201/00
C09D7/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549164
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2021053207
(87)【国際公開番号】W WO2021160670
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】20382103.8
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522322099
【氏名又は名称】グリコサイエンス ソシエダー リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】サットン ピーター ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4C057
4C083
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057BB02
4C057DD01
4C057JJ03
4C057JJ55
4C083AA121
4C083AC521
4C083AC641
4C083AD201
4C083AD202
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
4H011AC06
4H011BB08
4H011DA13
4J038JA72
4J038PB01
(57)【要約】
本発明は、式(I)により定義される3'-ケトグリコシド化合物、およびアルコール、特に昆虫忌避効果を示すアルコールの制御放出のためのその使用に関する。また、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を調製するための方法に関する。さらに、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を含む組成物に関する。また、アルコールの制御放出のための、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物の使用に関する。また、そのような組成物の使用方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は、独立してα配置またはβ配置より選択され;
Rは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここでRは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており;
R1は、H、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1は、CH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2は、H、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、またはHであり;
R3は、HまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは、単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHであり、
但し、式(I)の化合物は、Rがメタノール、エタノール、プロパン-1-オール、イソプロパノール、2-(ヒドロキシメチル)ブタ-2-エン-1,4-ジオール、4-メトキシフェノール、n-オクタノール(1-オクタノール)、2-プロペニルアルコール(アリルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシブチル)フェノール、アリル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、ベンジル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、4-ヒドロキシフェノール、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、1H-インドール-3-オール、4-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、2-(トリメチルシリル)エタン-1-オール、5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルボアルデヒド、tert-ブチルジメチルシラノール、シクロヘキサノール、n-ヘキサノール(1-ヘキサノール)、プロパ-2-イン-1-オール、ペンタ-4-エン-1-オール、p-クレゾール、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、7-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1,4a,5,7(1H)-テトラオール、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル アセテート、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル シンナメート、および(2,3-ジメチルブタン-2-イル)ジメチルシラノールからなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である場合の該化合物を包含しない。
【請求項2】
糖部分が、グルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択される、請求項1記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項3】
糖部分が、D-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースからなる群より選択される、請求項2記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項4】
糖部分が、D-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースからなる群より選択される、請求項3記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項5】
糖部分がD-グルコースである、請求項4記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項6】
糖部分が、D-N-アセチルグルコサミンおよびD-2-デオキシグルコースからなる群より選択される、請求項4記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項7】
Rが、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である、請求項1~6のいずれか一項記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項8】
Rが、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である、請求項7記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項9】
Rが、E-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である、請求項8記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項10】
R1が、CH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4である、請求項1~9のいずれか一項記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項11】
R1がCH2OHである、請求項10記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項12】
R2が、OH、NHCOR4、H、またはOCOR4である、請求項1~11のいずれか一項記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項13】
R2がOHである、請求項12記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項14】
R2が、NHCOR4またはHである、請求項12記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項15】
R3がHである、請求項1~14のいずれか一項記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項16】
β-3'-ケトグルコシド、α-3'-ケトグルコシド、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシド、および2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項1~15のいずれか一項記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項17】
式(I)の化合物が、β-3'-ケトグルコシドおよびα-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項16記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項18】
式(I)の化合物が、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシドおよび2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項16記載の3'-ケトグリコシド化合物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項記載の式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を調製するための方法であって、式(II)のグリコシド化合物を、酸化剤によって、触媒としての[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2の存在下で酸化することを含む、前記方法:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は、独立してα配置またはβ配置より選択され; 糖部分は、好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され;
Rは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここでRは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; 好ましくは、Rは、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択される、式R-OHのアルコールの残基であり;
R1は、H、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1は、CH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2は、H、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、またはHであり;
R3は、HまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは、単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHであり、
但し、式(I)の化合物は、Rがメタノール、エタノール、プロパン-1-オール、イソプロパノール、2-(ヒドロキシメチル)ブタ-2-エン-1,4-ジオール、4-メトキシフェノール、n-オクタノール(1-オクタノール)、2-プロペニルアルコール(アリルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシブチル)フェノール、アリル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、ベンジル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、4-ヒドロキシフェノール、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、1H-インドール-3-オール、4-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、2-(トリメチルシリル)エタン-1-オール、5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルボアルデヒド、tert-ブチルジメチルシラノール、シクロヘキサノール、n-ヘキサノール(1-ヘキサノール)、プロパ-2-イン-1-オール、ペンタ-4-エン-1-オール、p-クレゾール、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、7-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1,4a,5,7(1H)-テトラオール、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル アセテート、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル シンナメート、および(2,3-ジメチルブタン-2-イル)ジメチルシラノールからなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である場合の該化合物を包含しない。
【請求項20】
酸化剤が、キノン、酸素、空気、過酸化物、過酸、およびヒドロペルオキシドからなる群より選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
触媒が、グリコシド基質に対して0.01~10mol%、好ましくは0.1~8mol%、より好ましくは1~6mol%のモル比で使用される、請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
酸化反応が、任意の好適な溶媒または溶媒混合物中で行われる、請求項19~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
溶媒が、DMSO、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはそれらの任意の混合物より選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
0℃~100℃、好ましくは10℃~70℃の温度で、より好ましくは室温近傍で行われる、請求項19~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
請求項1~18のいずれか一項記載の式(I)の3'-ケトグリコシド化合物と、担体とを含む、組成物。
【請求項26】
請求項7~9のいずれか一項に定義される式R-OHのアルコールより選択される化合物、および昆虫活性化合物をさらに含む、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
昆虫活性化合物が、テルペン、テルペノイド、ピレトリン、ピレトリノイド(pyrethrinoid)、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、エチル 3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロパノエート、およびそれらの混合物より選択される、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
溶液剤、クリーム、ペースト、粉末、スプレー、ローション、フィルムの形態であるか、またはワイプ、マスク、およびスティックなどの材料、医療機器、もしくは表面の中もしくは上に含浸している、請求項25~27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
担体が水性溶媒である、請求項25~28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
共溶媒、乳化剤、湿潤剤、収斂剤、緩衝剤、皮膚軟化剤、酸化防止剤、保存剤、化粧用油、植物エキス、精油、およびそれらの混合物より選択される成分をさらに含む、請求項25~29のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
精油が、ユーカリ油、ニーム油、シトロネラ油、ティーツリー油、パイン油、およびそれらの混合物より選択される、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
アルコールの制御放出のための、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物の使用:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は、独立してα配置またはβ配置より選択され; 糖部分は、好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され;
Rは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここで好ましくは、Rは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; より好ましくは、Rは、4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択される、式R-OHのアルコールの残基であり;
R1は、H、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1は、CH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2は、H、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2は、OH、NHCOR4、またはHであり;
R3は、HまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは、単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHである。
【請求項33】
式(I)の化合物の使用が、該化合物と、請求項32に定義される式R-OHのアルコールより選択される化合物、および昆虫活性化合物との組み合わせである、請求項32記載の使用。
【請求項34】
昆虫活性化合物が、テルペン、テルペノイド、ピレトリン、ピレトリノイド、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド、エチル 3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロパノエート、およびそれらの混合物より選択される、請求項33記載の使用。
【請求項35】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R1がCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4である、請求項32~34のいずれか一項記載の使用。
【請求項36】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R1がCH2OHである、請求項35記載の使用。
【請求項37】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R2がOH、NHCOR4、H、またはOCOR4である、請求項32~36のいずれか一項記載の使用。
【請求項38】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R2がOHである、請求項37記載の使用。
【請求項39】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R2がNHCOR4またはHである、請求項37記載の使用。
【請求項40】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物中、R3がHである、請求項32~39のいずれか一項記載の使用。
【請求項41】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物が、β-3'-ケトグルコシド、α-3'-ケトグルコシド、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシド、および2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項32~40のいずれか一項記載の使用。
【請求項42】
式(I)の化合物が、β-3'-ケトグルコシドおよびα-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項41記載の使用。
【請求項43】
式(I)の化合物が、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシドおよび2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される、請求項41記載の使用。
【請求項44】
アルコールが、昆虫忌避効果を有する、請求項32~43のいずれか一項記載の使用。
【請求項45】
請求項25~31のいずれか一項記載の組成物を表面に塗布することを含む、式(I)の化合物の使用方法。
【請求項46】
表面が、柔らかい表面および硬い表面より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
柔らかい表面が、皮膚、毛髪、布、植物、作物、および貯蔵穀物より選択される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
硬い表面が、木材、合成材料、およびセラミック材料より選択される、請求項46記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3'-ケトグリコシド化合物、およびアルコールの制御放出のためのその使用、特に昆虫忌避効果を有するアルコールの制御放出のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
陸地および空気によって運ばれる節足動物は、ヒトへの疾患の伝播において最も一般的な媒介動物となっている。地球温度の上昇により、これらの疾患の影響が及んでいる地域の数は、それらの各媒介動物に好適な生息地となったことから増大している。
【0003】
これらの昆虫からの咬みつきと戦う1つの方法は、昆虫忌避剤を使用することである。最も多く市販されている局所昆虫忌避剤において現在使用されている有効成分は、空間忌避剤である。DEET、ピカリジン、およびIR3535を含むいくつかの合成局所昆虫忌避剤が市場で承認されているが、いずれも理想的ではない。例えば、DEETは強烈な匂いがして、ワックス状の感触を残すものであり、プラスチックおよび合成繊維を溶解させることがある。さらに、これらの合成分子が健康に有害であることが公然と認識されていることから、天然代替物の市場が急速に成長している。
【0004】
昆虫忌避効果を与える広範な天然分子が知られているが、大部分は揮発性が高すぎて、非常に短い期間しか保護を実現しない。実際、多種多様な昆虫に対して活性があるp-メンタン-3,8-ジオール(PMD)が、世界保健機関が認知した唯一の天然昆虫忌避剤であり、数時間かけてゆっくりと蒸発するほど十分に高沸点である。
【0005】
通常、市販の忌避製剤は各塗布後の有効持続時間が4~6時間である。しかし、所与の環境における問題の昆虫種が他の侵入種で置き換えられることから、既存の市販の忌避製剤は好適な保護をもはや実現しないことがある。1つの非限定的な例を使用することで、短い作用持続時間が好適である朝または夕方に咬みつく蚊と戦う市販の局所昆虫忌避剤が設計された。ジカウイルス、デングウイルス、およびチクングニア(Chikingunya)ウイルスの伝播の原因である昼間に摂食するヤブカ種の蚊(一般にはヒトスジシマカとして知られる)の集団がこれまでになく増殖していることから、現在利用可能な忌避剤および製剤を複数回塗布することが必要である。多忙な生活様式により、忌避剤の定期的な塗布は咬まれるまで忘れられやすく、これによりユーザーは疾患に罹りやすくなる。この問題を緩和するために、高濃度の有効成分を含む伝統的な忌避製剤を塗布することができるが、曝露量の増加により毒性および刺激性などの複数の問題が生じることがある。
【0006】
空間忌避剤とは、蒸発時に、完全には理解されていない複雑な機構を通じて蚊が着地することおよび/または咬みつくことを防止する保護区域を皮膚の上方に実現する、揮発性分子のことである。各有効成分は最小有効蒸発速度(MEER)を有する。この閾値を上回る蒸発速度は非生産的な損失を生じさせるものであり、忌避剤が有効な期間が減少し、その後、濃度はもはやMEERに適合するために十分なものではなくなる。
【0007】
有効成分の制御放出を可能にする昆虫忌避製剤の開発により、持続時間が増加すると同時に必要な有効成分の濃度が減少することで、現行の昆虫忌避製剤に関連する多くの問題が克服される可能性がある。必要な有効成分の量が低下することから、これにより、これらの製剤にしばしば関連する匂いの減少、刺激性の減少、および脂ぎった感触の回避などのさらなる利点が生じるであろう。
【0008】
さらに、これらの方法は、比較的高い揮発性が理由で現在使用できない他の天然忌避剤を使用することを潜在的に可能にするであろうことから、魅力的なものとなるであろう。このことは、耐性発生を減少させる実行可能な忌避分子の範囲が広がる可能性があることから重要である。
【0009】
当技術分野においては、昆虫忌避剤の緩徐放出のための2つの主要な技術的解決策、すなわち封入アプローチおよび前駆体アプローチが開示されている。
【0010】
封入アプローチでは、昆虫忌避剤の緩徐放出は、例えばマイクロカプセル(例えば欧州特許出願第0348550号(特許文献1))、リポスフェア(欧州特許出願第0502119号(特許文献2))、ポリマー(米国特許第4774082号(特許文献3))、または共重合体(米国特許第6180127号(特許文献4))のマトリックス内に封入されることで得られる。忌避製剤を身体の表面全体、または忌避剤ブレスレットの場合のように身体の一区域に塗布した後で、これらのマトリックスからの有効成分が関心対象の表面から経時的に緩徐放出される。
【0011】
前駆体アプローチでは、プロドラッグの調製または適切な担体分子に対する結合によって有効成分の物理化学特性を変化させることで、代替的な制御放出方法が得られる。この方法では、MEERが維持される期間を延長することができると同時に大過剰の有効成分を塗布する必要性を回避することができる環境機構によって、有効成分が放出される。
【0012】
プロドラッグおよび結合体などの前駆体の使用は薬学分野において周知である。昆虫忌避有効成分に関しては、脂肪酸などの水溶性を減少させる化合物に対する揮発性昆虫忌避分子の結合(米国特許出願公開第2004/014811号(特許文献5))、水溶性エステルおよびエーテルプロドラッグの調製(欧州特許出願第2439188号(特許文献6))、昆虫忌避前駆体としての5員環および6員環の環状アセタール(国際公開公報第99/00377号(特許文献7))、1個もしくは複数の糖残基に対する水溶性結合体(特開2000-096078号(特許文献8)、特開平01-213291号(特許文献9))、水溶性を向上させるためのポリカルボン酸もしくはポリオールに対する結合体(国際公開公報第2016/071521号(特許文献10))、ヒアルロン酸に対する結合体(国際公開公報第2016/071521号)、結晶性担体に対する結合体(国際公開公報第2010/144755号(特許文献11))、または架橋ポリマーゲル組成物に対する結合体(米国特許第6846491号(特許文献12))が開示されている。
【0013】
これらの先行技術の方法は、昆虫忌避剤の有効な緩徐放出塗布に関する欠点を示す。アルキルおよびアリールの両方のO-グリコピラノシドおよびグルクロニドは、揮発性アルコール芳香成分を送達するように皮膚上で分解されうるが、その速度は空間昆虫忌避用途では不十分である(すなわち、皮膚上での芳香に必要な放出速度はng/分/cm2単位であり、これに対して忌避剤に必要な放出速度はμg/分/cm2単位である)。さらに、微生物叢の組成は皮膚区域(Grice et al. Science, 2009, 324, 1190(非特許文献1))および年齢(Capone et al., J. Invest. Dermatol., 2011, 131, 2026-2032(非特許文献2))によって異なる。例えば、Ikemoto et al., Flavour Fragr. J., 2002, 17, 452-455(非特許文献3)は、皮膚上に存在する微生物によって一連のグリコシドが分解されうるが、微生物の選択性が使用されるアグリコンに応じて異なることを見出した。続いて、同グループは、異なる対象を使用してインビボでの速度差を実証した(Ikemoto et al., Flavour Fragr. J., 2003, 18, 45-47(非特許文献4))。同様の効果がグルクロニドに見られ、異なる微生物に由来する酵素は非常に異なる基質パターンを示す(米国特許出願公開第2016/0137952号(特許文献13))。
【0014】
様々な提案が最新技術において利用可能であるにもかかわらず、忌避効果を実行するために好適な水溶性および十分な有効成分の放出速度を示す、緩徐放出昆虫忌避剤として使用される新規化合物が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願第0348550号
【特許文献2】欧州特許出願第0502119号
【特許文献3】米国特許第4774082号
【特許文献4】米国特許第6180127号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/014811号
【特許文献6】欧州特許出願第2439188号
【特許文献7】国際公開公報第99/00377号
【特許文献8】特開2000-096078号
【特許文献9】特開平01-213291号
【特許文献10】国際公開公報第2016/071521号
【特許文献11】国際公開公報第2010/144755号
【特許文献12】米国特許第6846491号
【特許文献13】米国特許出願公開第2016/0137952号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Grice et al. Science, 2009, 324, 1190
【非特許文献2】Capone et al., J. Invest. Dermatol., 2011, 131, 2026-2032
【非特許文献3】Ikemoto et al., Flavour Fragr. J., 2002, 17, 452-455
【非特許文献4】Ikemoto et al., Flavour Fragr. J., 2003, 18, 45-47
【発明の概要】
【0017】
発明の目的
本発明の目的は、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物である。
【0018】
本発明の別の局面は、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を調製するための方法である。
【0019】
本発明の別の局面は、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を含む組成物である。
【0020】
本発明の別の局面は、アルコールの制御放出のための、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物の使用である。
【0021】
本発明の別の局面は、式(I)の化合物の使用方法である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物である:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は独立してα配置またはβ配置より選択され; 糖部分は好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され;
Rは置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここでRは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; 好ましくは、Rは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択される、式R-OHのアルコールの残基であり;
R1はH、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1はCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2はH、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2はOH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2はOH、NHCOR4、またはHであり;
R3はHまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHであり、
但し、式(I)の化合物は、Rがメタノール、エタノール、プロパン-1-オール、イソプロパノール、2-(ヒドロキシメチル)ブタ-2-エン-1,4-ジオール、4-メトキシフェノール、n-オクタノール(1-オクタノール)、2-プロペニルアルコール(アリルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシブチル)フェノール、アリル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、ベンジル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、4-ヒドロキシフェノール、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、1H-インドール-3-オール、4-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、2-(トリメチルシリル)エタン-1-オール、5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルボアルデヒド、tert-ブチルジメチルシラノール、シクロヘキサノール、n-ヘキサノール(1-ヘキサノール)、プロパ-2-イン-1-オール、ペンタ-4-エン-1-オール、p-クレゾール、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、7-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1,4a,5,7(1H)-テトラオール、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル アセテート、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル シンナメート、および(2,3-ジメチルブタン-2-イル)ジメチルシラノールからなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である場合の該化合物を包含しない。
【0023】
本発明者の著者らは、ヒト皮膚などの表面上に、ヒト皮膚上の微生物叢、および環境に見られる細菌の非存在下および存在下の両方でアルコールを放出することができる、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を開発した。驚くべきことに、本発明の化合物は、通常は少なくとも24時間続く遊離忌避アルコールの送達により観察される期間よりも長い期間にわたって昆虫忌避剤として作用するために有効な濃度の揮発性アルコールを放出することができる。特に好適なアルコールとしては例えばゲラニオール、オイゲノール、ピカリジン、メントール、カルバクロール、およびPMDがある。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途明らかな指示がない限り、複数に対する言及を含む。前置詞「between」により規定される範囲は、その両端も含む。IUPACによれば、用語「部分」は、分子の一部を意味するように使用される。
【0025】
3'-ケトグリコシド
本発明の3'-ケトグリコシドは、以下に示すように、糖部分、および式R-OHのアルコールに由来するアルコール残基Rにより構成される。
【0026】
本明細書では、式(I)の化合物を3'-ケトグリコピラノシドまたは3'-ケト-O-グリコピラノシドと呼ぶこともある。
【0027】
3'-ケトグリコシドのケト形は、以下に示すように水和形と平衡しうる。
【0028】
式(I)の化合物は、β-グリコシド結合またはα-グリコシド結合により糖部分に結合したR基を含む。
【0029】
3'-ケトグリコシド化合物は、所与の調合物(キトサンなどの多糖; 亜硫酸水素ナトリウムなど)に一般的に存在することがあって、さらに、その物理化学特性、例えば安定性を調節すると予想されるであろう、代替的な求核剤の存在下で、イミン付加体、オキシム付加体、ヘミアセタール付加体、ヘミアミナール付加体、亜硫酸水素塩付加体、または同様の付加体を形成してもよい。
【0030】
糖部分
式(I)中に表される糖部分の1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は独立してα配置またはβ配置より選択される。糖部分は好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択される。
【0031】
より好ましい一態様では、糖部分はD-グルコースである。
【0032】
別の好ましい態様では、糖部分はD-N-アセチルグルコサミンおよびD-2-デオキシグルコースより選択される。
【0033】
好ましい一態様では、R1はCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくは、R1はCH2OHである。
【0034】
好ましい一態様では、R2はOH、NHCOR4、H、またはOCOR4である。
【0035】
好ましい一態様では、R2はOHである。
【0036】
好ましい一態様では、R2はNHCOR4またはHである。
【0037】
好ましい一態様では、R3はHである。
【0038】
好ましい一態様では、式(I)の化合物はβ-3'-ケトグルコシド、α-3'-ケトグルコシド、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシド、および2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0039】
より好ましい一態様では、式(I)の化合物はβ-3'-ケトグルコシドおよびα-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0040】
別の好ましい態様では、式(I)の化合物はβ-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシドおよび2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0041】
アルコール残基
式(I)の化合物中、Rは置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここで好ましくは、Rは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; より好ましくは、Rは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、メタノール、エタノール、イソプロパノール、4-メトキシフェノール、n-オクタノール(1-オクタノール)、2-プロペニルアルコール(アリルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシブチル)フェノール、アリル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、ベンジル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、4-ヒドロキシフェノール、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、1H-インドール-3-オール、4-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、2-(トリメチルシリル)エタン-1-オール、5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルボアルデヒド、tert-ブチルジメチルシラノール、シクロヘキサノール、n-ヘキサノール(1-ヘキサノール)、プロパ-2-イン-1-オール、ペンタ-4-エン-1-オール、p-クレゾール、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、および(2,3-ジメチルブタン-2-イル)ジメチルシラノールからなる群より選択される式R-OHのアルコールを除外する、式R-OHのアルコールの残基である。
【0042】
前記アルコールの大部分は「揮発性アルコール」であり、本明細書では、表面、例えばユーザーの皮膚に塗布されて、アルコールと糖部分との間のカップリングが開裂する際に、周囲温度で容易に蒸発する、アルコールを意味する。そこでアルコールは、表面、例えばユーザーの皮膚に隣接して、匂いがする蒸気層または蒸気区域を生じさせることがある。
【0043】
国際公開公報第2014/202416号に開示のように、上記で列挙されたアルコールは市販されている。
【0044】
アルコールの沸点の確定は、例えばJ. Vilarrasa, Introduccion al analisis organico, page 44, Eunibar, Barcelona, 1975に開示されている、当業者に周知である先行技術に開示の標準的方法を使用して行うことができる。
【0045】
アルコールであるE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノールは、ゲラニオールとしても知られており、下記構造に対応する。
【0046】
別の態様では、アルコール残基はE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)である。
【0047】
アルコールである2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノールは、オイゲノールとしても知られており、下記構造に対応する。
【0048】
別の態様では、アルコール残基は2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)である。
【0049】
一態様では、アルコール残基は、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(イカリジンまたはピカリジン)の1つまたは複数の立体異性体であり、以下の構造に対応しており、式中、*は不斉中心を示す。
【0050】
アルコールである5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オールはメントールとしても知られている。1つの好ましい異性体はL-メントールまたは(-)-メントールであり、下記構造に対応している。
【0051】
メントールのさらなる異性体、すなわち(+)-メントール、(+)-および(-)-イソメントール、(+)-および(-)-ネオメントール、ならびに(+)-および(-)-ネオイソメントールが利用可能である。
【0052】
別の態様では、アルコール残基は5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、好ましくはL-メントールである。
【0053】
別の態様では、アルコール残基は2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)であり、下記構造に対応している。
【0054】
アルコールである2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オールはp-メンタン-3,8-ジオール(PMD)としても知られており、下記構造に対応している。
【0055】
Barasa et al., J. Med. Entomol., 2002, 39, 736-741に開示のように、PMDの異なる立体異性体は、単独で、ラセミブレンドとして、またはジアステレオ異性混合物として、忌避効果を示す。
【0056】
PMDは第二級または第三級ヒドロキシル基によって糖部分に結合しうる。
【0057】
一態様では、アルコール残基は2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(PMD)の1つまたは複数の立体異性体である。
【0058】
Carroll et al., J. Am. Mosquito Control Assoc., 2006, 22, 507-514)またはBarnard et al., J. Med. Entomol., 2004, 41, 726-730に開示のように、オイゲノール、ゲラニオール、ピカリジン、L-メントール、およびPMDは周知の昆虫忌避性を有する。Park et al., J. Am. Mosquito Control Assoc., 2005, 21, 80-83に開示のように、カルバクロールはアカイエカ(Culex pipiens pallens)という蚊に対する性能がN,N-ジエチル-m-メチルベンズアミド(DEET)を上回った。
【0059】
式(I)の化合物は有効な昆虫忌避剤であることができる。実施例の節に示すように、これらの化合物は、異なるpH条件および温度条件において、新たな皮膚洗浄液の存在下および非存在下の両方でアルコールを放出可能である。
【0060】
3'-ケトグリコシドを調製するための方法
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を調製するための方法が、本発明の一局面である。
【0061】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物を調製するための方法は、式(II)のグリコシド化合物を、キノン、酸素、空気、過酸化物、過酸、およびヒドロペルオキシドからなる群より選択されることが好ましい酸化剤によって、触媒としての[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2の存在下で酸化することを含む:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は独立してα配置またはβ配置より選択され; 糖部分は好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され;
Rは置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここでRは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; 好ましくは、Rは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択される、式R-OHのアルコールの残基であり;
R1はH、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1はCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2はH、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2はOH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2はOH、NHCOR4、またはHであり;
R3はHまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHであり、
但し、式(I)の化合物は、Rがメタノール、エタノール、プロパン-1-オール、イソプロパノール、2-(ヒドロキシメチル)ブタ-2-エン-1,4-ジオール、4-メトキシフェノール、n-オクタノール(1-オクタノール)、2-プロペニルアルコール(アリルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、4-ニトロフェノール、4-(3-ヒドロキシブチル)フェノール、アリル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、ベンジル 2-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート、4-ヒドロキシフェノール、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、1H-インドール-3-オール、4-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン-1,2-ジオール、2-(トリメチルシリル)エタン-1-オール、5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルボアルデヒド、tert-ブチルジメチルシラノール、シクロヘキサノール、n-ヘキサノール(1-ヘキサノール)、プロパ-2-イン-1-オール、ペンタ-4-エン-1-オール、p-クレゾール、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、4,7-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4a,5,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1-イル 3-メチルブタノエート、7-メチル-5,6,7,7a-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラン-1,4a,5,7(1H)-テトラオール、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル アセテート、1,4a,5-トリヒドロキシ-7-メチル-1,4a,5,6,7,7a-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピラン-7-イル シンナメート、および(2,3-ジメチルブタン-2-イル)ジメチルシラノールからなる群より選択される式R-OHのアルコールの残基である場合の該化合物を包含しない。
【0062】
触媒[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2は先行技術の方法、例えばBrink et al., Adv. Synth. Catal., 2003, 345, 1341-1352およびConley et al., Organometallics, 2007, 26, 5447-5453に開示の方法を使用して調製可能である。
【0063】
触媒はグリコシド基質に対して0.01~10mol%、好ましくは0.1~8mol%、より好ましくは1~6mol%のモル比で使用されることが好ましい。
【0064】
本発明の方法では、酸化反応は通常、任意の好適な溶媒または溶媒混合物中で行われる。攪拌が推奨される。水、有機溶媒、またはそれらの混合物中で行うことができる。好適な有機溶媒としてはDMSO、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0065】
本発明の方法は通常0℃~100℃、好ましくは10℃~70℃の温度で、より好ましくは室温近傍で行われる。総反応時間は特定の状況に依存する。通常、反応は約1~48時間の期間範囲で行われる。
【0066】
出発化合物として使用されるグリコシドは、Carbosynth Ltd.社を例えば通じて市販されているか、または先行技術の方法、例えば以下に開示の方法により調製可能である。
【0067】
アルキルグリコシドおよびアリールグリコシドは、種々の異なる条件下で行われていて、使用されるアルコール、糖、糖保護基、および反応条件に応じて、動力学的に優先されるアノマーのみを、またはそれを主生成物として通常は生成する、Koenigs-Knorr反応または光延反応などの種々の化学合成法を使用して調製可能である。Kobayashi et al., Chem. Pharm. Bull., 2016, 64, 1009-1018は、低親和性Na+依存性グルコース共輸送体SGLT2阻害剤であるレモグリフロジン(Remogliflozin)の合成に対するこれらの効果のうちいくつかを見事に実証した。Koenigs-Knorr手順は、アノマー位に良好な脱離基を含む完全保護糖誘導体の使用を必要とし、一方、光延反応はアノマー位に遊離ヒドロキシル置換基を含む保護糖を必要とする。これらの出発原料は種々の異なる方法、例えばLee et al., Angew. Chemie, Int. Ed., 2016, 55, 12338-12342が報告したペンタアセチル化、それに続くYang et al., Bioorg. Chem., 2017, 72, 42-50に記載のアノマー位での選択的脱保護、およびIkeuchi et al., Synlett., 2019, 30, 1308-1312に記載のトリクロロアセトイミデートとしての活性化によって入手可能である。
【0068】
動力学的生成物を優先的に生成するグリコシル化手順により得られる熱力学的に安定なグリコシドの質を向上させるために、保護グリコシドを種々の条件下でアノマー化することができる。例えば、保護アルキルグリコシドをSakata et al., Agric. Biol. Chem., 1979, 43, 307が報告したように四塩化チタンなどの種々のルイス酸を使用してアノマー化することでアノマー混合物を得ることができ、これをクロマトグラフィー分離することができる。アリールグリコシドは、通常はルイス酸の存在下でアノマー的に安定であるが、Montgomery et al., J. Am. Chem. Soc., 1942, 64, 690-694に開示の熱フェノールおよび塩化亜鉛による処理などの異なる条件下でアノマー化してもよい。
【0069】
また、ますます多くのアルキルグリコシドおよびアリールグリコシドが、相当に検討された種々の生合成法を使用して調製できるようになっている。グリコシドの酵素合成に関する近年の検討のいくつかの例としてはDe Bruyn et al., Biotech. Adv., 2015, 33, 288-302およびDesmet et al., Chem. Eur. J., 2012, 18, 10786-10801が挙げられる。
【0070】
Lu et al., Molecules, 2016, 21, 1301が報告した2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)触媒酸化などの種々の条件下で、グリコシドをウロン酸に酸化することができる。ウロンアミドの調製のための種々の方法、例えばLin et al., Eur. J. Org. Chem., 2016, 2653-2664が報告した6'-トシル化グリコシドのチオエステル化およびそれに続くアミンでの処理を使用することができる。
【0071】
あるいは、酵素逆加水分解を含む種々の方法を使用して6'-アルコールをエステル、カーボネート、またはカルバメートとして選択的に官能化してもよい(Gotor et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. l, 1991, 491-492; Pulando et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. l, 1992, 2891-2898; Garcia-Alles et al., Tetrahedron, 1995, 51, 307-316)。Hearon et al., J. Am. Chem. Soc., 1944, 66, 995-997がメチル-O-α-D-グルコピラノシドのトリチル化に関して報告した方法などの方法によって6'-エーテル保護グリコシドを容易に調製することができ、de Souza et al., Carbohydr. Res., 2015, 410, 1-8が使用したアジド置換などの方法によって6'-アミンを容易に調製することができる。
【0072】
Liu et al., Eur. J. Med. Chem., 2017, 128, 274-286が報告した手順などの手順を使用して6'-アルコールを硫酸またはリン酸モノエステルとして選択的に官能化してもよい。あるいは、塩化物などの脱離基の置換を生じさせる6'-アルコールによるリン原子の求電子硫黄に対する求核攻撃を通常は包含する同様の手順を使用して、アルコールを硫酸ジエステル、リン酸ジエステルもしくはトリエステル、スルホン酸モノエステル、ホスホン酸モノエステルもしくはジエステル、ジホスホン酸モノエステル、ホスホロアミデート、またはホスホノジアミダイトとして官能化してもよい。これらの化合物をどのようにして構築することができるかの例はSimpson et al. J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 1605-1610およびMehellou et al., Chem. Med. Chem., 2009, 4, 1779-1791の総説中の引用に見ることができる。
【0073】
いくつかの場合では、リン原子はホスホロアミデートの場合と同様にキラルになることがある。グリコシドもやはりキラルであることを考慮すれば、これによりジアステレオ異性混合物を得ることができ、一方のジアステレオマーの形成を促進するかまたはそれを選択的に単離する方法が存在する。例えば、Ross et al., J. Org. Chem., 2011, 76, 8311-8319は、ヌクレオシドホスホロアミデートを反応条件の慎重な最適化によって一方のジアステレオマーの3:1過剰で調製することができることを発見した。次に主異性体を結晶化によって純粋に単離することができた。
【0074】
また、6'位(ここでR1=CH2OHである)を官能化するための同様の方法論を使用することで、2'位および4'位での第二級アルコールの多種多様な誘導体を調製することができる。これは選択的に行われることもあるが、6'位での第一級アルコールが通常は比較的反応性が高いことから、また、多くの場合、2個以上の第二級アルコール基が存在することから、大抵は適切な保護基戦略の使用を通じて行われる。糖環の異なる位置においてグリコシドを硫酸化するために保護基戦略をどのようにして効果的に使用することができるかの例はLoft et al., Chem. Bio. Chem., 2009, 10, 565-576に示されている。
【0075】
糖部分がグリコシルアミンである式(I)の化合物の調製は、例えばZhang et al., J. Med. Chem., 2019, 62, 7857-7873に開示されている。
【0076】
いくつかの態様では、糖部分のヒドロキシル基の選択的ジアセチル化を、先行技術において利用可能な方法、例えばMacManus et al., Carbohydrate Res., 1995, 279, 281-291に開示の方法に従って行うことができる。
【0077】
式(I)の化合物の送達
本発明の目的の別の局面は、アルコールの制御放出のための、好ましくは昆虫忌避効果を有するアルコールの制御放出のための、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物の使用である:
式中、
1'位、2'位、4'位、および5'位の立体化学配置は独立してα配置またはβ配置より選択され; 糖部分は好ましくはグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、および2-デオキシグルコースからなる群より選択され、より好ましくはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され、さらに好ましくはD-グルコース、D-N-アセチルグルコサミン、およびD-2-デオキシグルコースより選択され;
Rは置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; ここで好ましくは、Rは、標準圧力101.3kPaで初期沸点350℃以下を有する式R-OHのアルコールに由来しており; より好ましくは、Rは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、3-ベンジル-3-ペンタノール、4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール、2-シクロヘキシルプロパノール、デカノール、9-デセノール、(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、(2,4-ジメチルシクロヘキシル)メタノール、2-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルシクロヘキサノール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、3,7-ジメチル-7-ヒドロキシオクタナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、6,8-ジメチルノナン-2-オール、4,8-ジメチル-7-ノネン-2-オール、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-3,6-オクタジエノール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタン-1,7-ジオール(ヒドロキシシトロネロール)、3,7-ジメチルオクタノール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール(テトラヒドロミルセノール)、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテン-3-オール、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、3,7-ジメチルオクタ-7-エノール、2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、(E)-3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、ドデカノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチル 3-ヒドロキシヘキサノエート、4-エチル-2-メトキシフェノール、6-エチル-3-メチル-5-オクテノール、5-エチルノナン-2-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エニル)ブタ-2-エノール、1-ヘプタノール、ヘキサン-2-オール、3-ヘキセノール、4-ヘキセノール、3-ヒドロキシブタン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、2-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、4-イソプロピル-1-ベンゼンメタノール、4-イソプロピルシクロヘキサノール、1-(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)エタノール、(4-イソプロピル-1-シクロヘキシル)メタノール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、5-イソプロピル-2-メチルフェノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、7-p-メンタノール、p-メンタン-3-オール(メントール)、p-メンタン-8-オール、p-メンテン-4-オール、p-メンテン-8-オール、p-メンタ-8-エノール、p-メンタ-8-エン-2-オール、p-メンタ-8-エン-3-オール、4-メトキシ-1-ベンゼンメタノール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-2-オール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2-メトキシ-2-フェニルエタノール、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)、2-メトキシ-4-プロピル-1-シクロヘキサノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、2-メトキシ-4-ビニルフェノール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)ブタノール、4-メチル-3-デセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、3-メチル-4-フェニルブタン-2-オール、1-(4-メチルフェニル)エタノール、2-(2-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-4-フェニルペンタノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、4-メチル-1-フェニルペンタン-2-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、2-(2-メチルプロピル)-4-ヒドロキシ-4-メチル-テトラヒドロピラン、2-メチル-4-(2,3,3-トリメチル-2-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタン-2-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ペンタ-4-エノール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル-3-エニル)ペンタ-4-エン-2-オール、2,6-ノナジエノール、1-ノナノール、6-ノネノール、1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-2,2,6,8-テトラメチル-1-ナフタレノール、オクタヒドロ-2,5,5-トリメチル-2-ナフタレノール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタン-2-オール、2-ペンチル-1-シクロペンタノール、ペルヒドロ-4,8a-ジメチル-4a-ナフタレノール、2-フェノキシエタノール、4-フェニルブタン-2-オール、4-フェニル-3-ブテン-2-オール、1-フェニルエタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルヘキサン-2-オール、1-フェニルペンタン-2-オール、2-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、3-フェニルプロパノール、1-フェニルプロパン-2-オール、3-フェニル-2-プロペノール、2-tert-ブチルシクロヘキサノール、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチル-シクロヘキシルオキシ)ブタン-2-オール、2-tert-ブチル-4-メチル-1-シクロヘキサノール、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル(2H)ピラン-4-オール、2-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)プロパン-2-オール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキサ-1-イル)ヘキサン-3-オール、2,4,6,8-テトラメチルノナン-1-オール、3,6,7-テトラメチルノナン-1-オール、2,6,10,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカン-6-オール、2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン-8-オール(セドレノール)、(+)-(1R,2R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2エンド-オール(フェンコール)、(+)-(1R,2S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール(ボルネオール)、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-オール、3-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、4-(5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)シクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)ブタン-2-オール、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(β-イオノール)、(E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オール(α-イオノール)、(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エニル)メタノール、1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、4,7,9-トリメチルデカン-2-オール、4,6,8-トリメチルデカン-2-オール、3,8,9-トリメチルデカン-2-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエノール(ファルネソール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)、3,3,5-トリメチルヘキサノール、ウンデカノール、ウンデカン-2-オール、10-ウンデセノール、(6E)-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチルノン-6-エンアミド(カプサイシン)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、p-アリルフェノール(カビコール)、2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-オール(セサモール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)からなる群より選択され、より好ましくは4-アリル-2-メトキシフェノール(オイゲノール)、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、3,7-ジメチルオクタ-6-エノール(シトロネロール)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)ブタン-2-オン(ラズベリーケトン)、p-メンタン-3-オール(メントール)、(4-メトキシフェニル)メタノール(アニシルアルコール)、2-イソプロピル-5-メチルフェノール(チモール)、5-イソプロピル-2-メチルフェノール(カルバクロール)、2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール(α-テルピネオール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択され、より好ましくはE-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノール(ゲラニオール)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(オイゲノール)、ブタン-2-イル 2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン)、5-メチル-2-(プロパン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール(メントール)、2-メチル-5-プロパン-2-イルフェノール(カルバクロール)、および2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキサン-1-オール(p-メンタン-3,8-ジオール、PMD)より選択される、式R-OHのアルコールの残基であり;
R1はH、CH3、CH2OH、CH2OR4、CH2OCOR4、CH2OCOOR4、CH2OCONHR4、CH2OCONR4 2、CH2NHR4、CH2NR4 2、CO2X、CO2R4、CONH2、CONHR4、CONR4 2、CH2OPO3X2、CH2OPO3XR4、CH2OPO3R4 2、CH2OPO2XNHR4、CH2OPO(NHR4)2、CH2OPO2XR4、CH2OPOR4 2、CH2OSO3X、CH2OSO3R4、またはCH2OSO2R4を表し、ここでXは水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または有機対イオンを表し、R4は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールを表し; 好ましくは、R1はCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくはCH2OHであり;
R2はH、OH、OR4、OCOR4、OCO2R4、OCONHR4、OCONR4 2、NH2、NHR4、NR4 2、NHCOR4、NHOR4、OPO3X2、OPO3XR4、OPO3R4 2、OPO2XNHR4、OPO(NHR4)2、OPO2XR4、OPOR4 2、OSO3X、OSO3R4、またはOSO2R4を表し、ここでR4は上記定義の通りであり; 好ましくは、R2はOH、NHCOR4、H、またはOCOR4であり、より好ましくは、R2はOH、NHCOR4、またはHであり;
R3はHまたはR4-Zであり、ここでR4は上記定義の通りであり、Zは単結合、またはエステル、アミン、アミド、カーボネート、もしくはカルバメートより選択される官能基を表し; 好ましくは、R3はHである。
【0078】
好ましい一態様では、R1はCH2OH、CH2OSO3X、CH2OCOR4、またはCO2R4であり、より好ましくは、R1はCH2OHである。
【0079】
好ましい一態様では、R2はOH、NHCOR4、H、またはOCOR4である。
【0080】
好ましい一態様では、R2はOHである。
【0081】
好ましい一態様では、R2はNHCOR4またはHである。
【0082】
好ましい一態様では、R3はHである。
【0083】
好ましい一態様では、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物はβ-3'-ケトグルコシド、α-3'-ケトグルコシド、β-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシド、および2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0084】
好ましい一態様では、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物はβ-3'-ケトグルコシドおよびα-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0085】
好ましい一態様では、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物はβ-3'-ケト-N-アセチルグルコサミノシドおよび2'-デオキシ-3'-ケトグルコシドより選択される。
【0086】
一態様では、式(I)の化合物の使用は、該化合物と、上記定義の式R-OHのアルコールより選択される化合物、および昆虫活性化合物との組み合わせである。
【0087】
本明細書の範囲に基づく昆虫活性化合物とは、昆虫に対して活性を示し、例えば忌避効果または誘引効果を引き起こす、化合物のことである。
【0088】
好ましい一態様では、昆虫活性化合物は例えば昆虫忌避剤または昆虫誘引剤より選択される。より好ましい一態様では、昆虫活性化合物はテルペン、テルペノイド、ピレトリン、ピレトリノイド(pyrethrinoid)、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、エチル 3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロパノエート(IR3535)、およびそれらの混合物より選択される。
【0089】
テルペンおよびテルペノイドは、例えばin Boncan et al., Int. J. Mol. Sci., 2020, 21, doi:10.3390/ijms21197382に開示されているように、周知の昆虫忌避剤である。
【0090】
ピレトリノイドおよびピレトリンは、例えばBowman et al., PLOS One, 2018, 13(5): e0196410およびR. L. Metcalf, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2012, DOI: 10.1002/14356007.a14_263に開示されているように、周知の昆虫忌避剤である。
【0091】
本発明に従って好適なアルコールの昆虫忌避効果は、Barnardらの前掲論文などの先行技術に開示されている公知の方法によって容易に確定可能である。
【0092】
本発明の別の局面は、式(I)の3'-ケトグリコシド化合物と担体とを少なくとも含む組成物である。
【0093】
一態様では、本組成物は、上記で開示される式R-OHのアルコールをさらに含む。その組み合わせは、放出されるアルコールの効果を管理するために好適である。
【0094】
一般に、式(I)の1つまたは複数の化合物の送達は、当業者に広く使用されかつ公知である種々の製剤および装置により行われる。非限定的な例としては溶液、クリーム、ペースト、粉末、スプレー、ローション、フィルム、またはワイプ、マスク、およびスティックなどの材料、医療機器、もしくは表面の中もしくは上に含浸している組成物が挙げられる。
【0095】
好ましい一態様では、本組成物は溶液、クリーム、ペースト、粉末、スプレー、ローション、フィルムの形態であるか、またはワイプ、マスク、およびスティックなどの材料、医療機器、もしくは表面の中もしくは上に含浸している。
【0096】
本発明の組成物は、通常は水を含む水性溶媒である担体を含む。
【0097】
通常、本組成物は共溶媒、乳化剤、湿潤剤、収斂剤、緩衝剤、皮膚軟化剤、酸化防止剤、保存剤、化粧用油、植物エキス、精油、例えばユーカリ油、シトロネラ油、ティーツリー油、ニーム油、パイン油、およびそれらの混合物より選択される成分をさらに含む。好ましい一態様では、精油はユーカリ油、ニーム油、シトロネラ油、ティーツリー油、パイン油、およびそれらの混合物より選択される。
【0098】
3'-ケトグリコシド化合物は、所与の調合物(キトサンなどの多糖のようなポリオール; 亜硫酸水素ナトリウムなど)に一般的に存在することがあって、さらに、その物理化学特性、例えば安定性を調節すると予想されるであろう、代替的な求核剤の存在下で、イミン付加体、オキシム付加体、ヘミアセタール付加体、ヘミアミナール付加体、亜硫酸水素塩付加体、または同様の付加体を形成してもよい。
【0099】
式(I)の化合物の分解は主にpH依存性であり、一態様では、式(I)の化合物は塗布前に保管用に安定化され、表面pHは塗布時に正確な分解速度を実現するように好適に調節される。
【0100】
式(I)の化合物は、固体として安定であり、蒸留水および/または水性酸性媒体に溶解するときに大部分が安定である。一態様では、これらの化合物は、塗布される表面上での水による水和のために非水性混合物として製剤化されてもよい。
【0101】
一般に、水溶液中での式(I)の化合物の安定性は、該化合物を例えば約4.5~約7.0、好ましくは約4.5~約5.5などのpH値に調整することで制御される。一態様では、この溶液の塗布は、pHをアルカリ性領域に上昇させることで式(I)の化合物からアルコールを好適な速度で放出させるためのアルカリ性溶液の塗布を伴う。別の態様では、この溶液の塗布は、塗布時にpHが自発的に増加する酸性溶液の塗布(例えば、クエン酸のような酸でpHが調節された、二酸化炭素を放出する炭酸緩衝液、例えば天然炭酸泉水の使用)を伴う。Rがアルキルである式(I)の化合物はアリール誘導体よりも概して高い安定性を示す。
【0102】
好ましい一態様では、式(I)の1つまたは複数の化合物の送達は、例えば溶液、クリーム、ペースト、粉末、スプレー、ローション、およびフィルムより選択される製剤、または例えばワイプ、マスク、およびスティック、ならびに医療機器より選択される装置により行われる。
【0103】
これらを種々の適応症の処置に、例えば、広範な例えば蚊、マダニ、コダニ、ユスリカ、ヌカカ、およびアタマジラミの撃退に適用することができる。
【0104】
好ましい一態様では、昆虫は蚊、マダニ、コダニ、ユスリカ、ヌカカ、およびアタマジラミより選択される。
【0105】
式(I)の3'-ケトグリコシド化合物と担体とを含む組成物を表面に塗布することを含む、式(I)の化合物の使用方法も、本発明の一部を形成する。
【0106】
式(I)の化合物を任意の表面に、例えば皮膚、毛髪、布、植物、作物、もしくは貯蔵穀物などの柔らかい表面、または木材、合成材料、もしくはセラミック材料などの硬い表面に塗布することができる。
【0107】
一態様では、柔らかい表面は皮膚、毛髪、布、植物、作物、および貯蔵穀物より選択される。
【0108】
一態様では、硬い表面は木材、合成材料、およびセラミック材料より選択される。
【0109】
アルコールの放出
式(I)の化合物は、α-もしくはβ-グリコシド結合、またはその両者の混合体を通じて糖部分に連結されたアルコールを放出可能である。
【0110】
式(I)の化合物は、特にアルコール残基Rがオイゲノール、ゲラニオール、ピカリジン、カルバクロール、メントール(好ましくはL-メントール)、またはPMDなどのR-OHアルコールに由来する場合、特にヒト皮膚との接触の際に、有効な昆虫忌避剤であることができる。実施例の節に示すように、これらの化合物は、生理的pHおよび温度でインキュベートされる際に、皮膚洗浄液の存在下または非存在下で、ヒト身体から昆虫忌避剤を放出可能である。
【0111】
本化合物は、水中または低pHで安定であり、皮膚に塗布される製剤の濃度およびpHの調節によって、アルコールを異なる速度で放出するように調整可能である。
【0112】
実施例において使用されるインビトロモデルは、緩徐放出昆虫忌避剤としての式(I)の化合物の適合性を確定するために設計される。
【0113】
驚くべきことに、Rがアルキルまたはアリールである式(I)の化合物は、分解してそれらの各アルコールをはるかに大きい速度で放出することから、O-グリコシドに対応する最新技術に対する優位性を示すものである。この分解により、遊離アルコールの持続時間よりも長く、昆虫忌避効果を実現する上で好適な期間にわたって、より広範な表面、例えば皮膚区域または衣類または植物に対して、より高濃度のアルコールを制御放出することが可能になる。
【0114】
式(I)の化合物と同じアルコールに由来し、同じ条件下、同様の濃度で試験されたグリコシドは、はるかにゆっくりと、かつ非常に異なる程度に加水分解される。
【0115】
緩衝溶液中でのアルコール放出速度は、通常はアグリコン、ケト糖、3'-ケトグリコシドの濃度、pH、および温度に依存するものであり、当業者が好適な速度に都合よく調整することができる。したがって、式(I)の3'-ケトグリコシドは、pH 7.0のD2O中0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で60時間後に実質的に分解されるが、脱イオン水中およびより低いpHでは相対的に安定なままである。実施例に示すように、リン酸緩衝液に加えて他の物質、例えばアルギニンを使用することで、アルコール放出速度を制御することができる。
【0116】
メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド(式(III)の化合物)もやはり、pH 7.0のD2O中0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で37℃に加熱される際に、36時間後にメタノールをゆっくりと放出するが、やはり脱イオン水中で安定なままであり、酸性pHで相対的に安定なままであった。
【0117】
メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド(III)を同じ温度およびpHにて皮膚洗浄液の存在下で反応させると、緩衝液単独中で観察された量よりもはるかに多くのメタノールが放出された。
【0118】
フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(IV)からのフェノールの放出量の、皮膚洗浄液の存在下と緩衝液単独との差は、それほど顕著ではないが、前者の場合では60時間後にフェノールが完全に放出される一方で、後者では少量の結合体が残留した。
【0119】
これらのモデル化合物に関するこれらのデータは、アルコール放出量が皮膚の存在下および非存在下、37℃および中性pHではるかに多くなることを明らかに示している。また、これらの化合物の多くは水単独中で安定であり、pH 5.7で部分的に安定であった。
【0120】
驚くべきことに、第一級アリルアルコールをβ配置で含む化合物(V)、すなわちゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコシドは、化合物(III)、すなわちメチル-O-α-D-3'-ケトグルコシドよりもはるかに速やかに分解され、3日後に約50%分解された。放出速度を糖の調節によってさらに調整することができる。例えば、驚くべきことに、グルコースの代わりにN-Ac-グルコサミンまたは2'-デオキシグルコースの3'-ケトグリコシドを使用することで、ゲラニオールをより大きい速度で放出することができる。
【0121】
さらに、変換率は濃度依存的であり、5mg/mLまたは20mg/mL混合物で同様の変換率が得られた。後者の場合では、栓をした反応容器を3日後に開いたときに、対応するグルコシドであるゲラニル-O-β-D-グルコピラノシドを使用した場合には存在しなかったゲラニオールの非常に強烈な芳香が直ちに認識可能であった。
【0122】
式(I)の1つまたは複数の化合物を含む製剤を、皮膚、毛髪、植物、さらには貯蔵作物および貯蔵穀物に、単独で、または例えば微生物作物スペイ(spays)との組み合わせで塗布することができる。
【0123】
以下の実施例では、本発明の化合物および比較例の特定の特徴を示す。
【実施例
【0124】
1Hおよび13C NMRスペクトルをVarian Mercury 300(300MHz)、Varian Mercury 400(1Hで400.1Mz、13Cで100.6MHz)、またはBruker AVIII-500(PA-BBOプローブ)(500MHz)において重水素化クロロホルム、重水、重水素化メタノール、または重水素化ジメチルスルホキシド中で得た。化学シフト(d)をテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として百万分率(ppm)で報告し、カップリング定数(J)をヘルツ(Hz)で報告した。以下の略語を1H多重度について使用した: 一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、四重項(q)、五重項(quint)、七重項(sept.)、二重二重項(dd)、三重二重項(td)、多重項(m)、ブロード一重項(brs)、ブロード二重項(brd)、およびブロード三重項(brt)。高分解能質量スペクトルをLC/MSD-TOF質量分析機器(Agilent Technologies)またはBruker micrOTOFmass分光計を使用して取得した。
【0125】
反応過程および生成物混合物を市販のシリカゲル60プレート上で薄層クロマトグラフィー(TLC)により、または上記機器を使用して1H NMRによりモニタリングした。クロマトグラフィーではカラムグレードシリカゲル(メッシュサイズ0.040~0.063mm)を使用した。別途記載がない限り、化学物質をSigma-Aldrich(Merck)またはCymit Quimicaから購入した。
【0126】
純度約95%のラセミcis-/trans-p-メンタン-3,8-ジオール(PMD)をBoc Sciencesから購入し、シス異性体およびトランス異性体(約6:4混合物)を1:3酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカカラムクロマトグラフィーで分離した。速く流れる方のシス異性体は、1H NMRによれば、Sigma-Aldrich(Merck)から購入した真正の(1S,2R,5R)-2-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-5-メチルシクロヘキサノールと同一であった。
【0127】
リケニホルミス菌(Bacillus licheniformis)DSM 13由来のグリコシルトランスフェラーゼ(YjiC)の粗製凍結乾燥無細胞抽出液(CFE)を、Prozomix LtdがプラスミドDNAから、Bashyal et al., ACS Omega, 2019, 4, 9367-9375を一部改変した標準的分子生物学技術を使用して調製した: N末端IMACタグを有するコドン最適化遺伝子配列(GenBank配列アクセッション番号AAU40842)、pET28aベクター、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)、TB培地。
【0128】
リパーゼ酵素をEnzagen Ltdからキットとして購入した。
【0129】
実施例において調製された化合物中で使用されるIUPACに基づかない番号付けは、スペクトルデータをより良く理解するためのものである。
【0130】
実施例1
(2R,3S,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
ゲラニル-O-β-D-グルコピラノシド(Carbosynth社から入手可能)(0.33g、1mmol)およびp-ベンゾキノン(0.34g、3mmol)をアセトニトリル(6.4mL)および水(0.64mL)に懸濁させ、室温で速やかに攪拌した。
【0131】
[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(0.025g、2.5mol%)を加え、攪拌を24時間続けた後、1:5 MeOH/ジクロロメタンを溶離液として使用し、かつ10%濃硫酸エタノール溶液によるプレート現像を使用する、シリカゲルTLC分析に基づけば、すべての出発原料が生成物に変換された。続いてこれを強力に加熱した。
【0132】
混合物を減圧蒸留により濃縮し、3:1酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として使用するシリカクロマトグラフィーにより精製して非極性UV活性不純物を除去した後、3:1酢酸エチル/ヘキサンで精製して標記化合物を透明無色油状物0.186g(収率56%)として得た。
【0133】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
Rf = 0.46 (1:5 MeOH/ジクロロメタン);
HRMS (ESI+)。[C16H26O6 + NH4]+の計算値332.2068。実測値332.2073。
【0134】
実施例2
sec-ブチル 2-(2-(((2R,3S,5R,6R)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
市販のグルコース五酢酸(60.0g、0.154mol)のDMF(120mL)中攪拌溶液に室温でH2N-NH2・AcOH(20.2g、0.200mol、1.3当量)を加え、反応混合物を2時間激しく攪拌した。TLCは出発原料の消費完了を示した。混合物を水(1L)で希釈し、AcOEt(10x100mL)で抽出した。有機相を水(4x50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過した。次に溶媒を除去して2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース(47.7g、0.137mol、89%)を淡黄色油状物として得た。
【0135】
粗生成物2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノース(7.42g、21.36mmol)の乾燥ジクロロメタン(150mL)中攪拌溶液に室温でトリクロロアセトニトリル(6.5mL、64.1mmol、3.0当量)および無水炭酸カリウム(15.0g、107mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)上で濾過し、揮発物を除去して2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(10.06g、20.46mmol、96%)を明黄色固体として得た。この化合物のデータはIkeuchi et al., Synlett., 2019, 30, 1308-1312において入手可能である。
【0136】
粗生成物2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(0.4g、0.81mmol)の無水CH2Cl2(8mL)溶液に-78℃でラセミピカリジン(0.18g、0.81mmol)を加えた。5分後、TMSOTf(0.081mmol)を加え、得られた溶液を0℃で2時間攪拌した。その後、TLCは出発原料の消費を示した(EtOAc/ヘキサン、1:1)。溶媒を減圧蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4~1:1)に供してテトラアセチル化ピカリジン-β-グルコシド178mg(収率40%)を得た。
【0137】
得られたテトラアセチル化化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C26H41NO12 + H]+の計算値 = 560.2705; 実測値560.2702。
【0138】
テトラアセチル化ピカリジン-β-グルコシド(0.170g、0.308mmol)のメタノール(5mL)溶液にNaOMe(25%メタノール溶液)(10μL)を加え、得られた溶液を室温で3時間攪拌した。その後、TLCは出発原料の消費を示した(EtOAc)。反応液をアンバーライト(酸形態)で反応停止させた後、濾過した。溶媒を減圧蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc)に供して無保護ピカリジン-β-グルコシド96mg(収率81%)を得た。
【0139】
得られた脱アセチル化化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C18H33NO8 + H]+の計算値 = 392.2279; 実測値392.2279。
【0140】
無保護ピカリジン-β-グルコシド(50mg、0.128mmol)のMeCN/H2O 9:1(1.0mL)中攪拌溶液にベンゾキノン(14mg、0.383mmol、3.0当量)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(7mg、0.006mmol、0.05当量)を加えた。反応混合物を60℃で1時間加熱し、シリカに吸収させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン7:3)で精製してジアステレオマー標記化合物を白色泡状物(36mg、0.092mmol、72%)として得た。
【0141】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C18H31NO8 + H]+の計算値 = 390.2122; 実測値390.2134。
【0142】
実施例3
(2R,3S,4R)-6-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジオール(ゲラニル-O-D-2'-デオキシ-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
2-デオキシ-D-グルコース(1.0g、6.1mmol、1.0当量)の無水ピリジン(12mL)中攪拌溶液に0℃で無水酢酸(4.6mL、48.7mmol、8.0当量)を滴下した。反応混合物を室温にゆっくりと昇温させた後、15時間攪拌し、そこでTLC分析(ヘキサン/EtOAc、7/3)は出発原料から極性がより低い生成物(Rf = 0.4)への変換完了を示した。反応混合物を氷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(75mL)で希釈した。有機層を分離し、1.0M HCl、飽和NaHCO3水溶液、水、およびブライン(各75mL)で順次洗浄した。水層をEtOAc(100mL)で再抽出し、一緒にした有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧濃縮した。得られた油状物をトルエン(3x20mL)と共蒸発させて2-デオキシ-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α/β-D-グルコースを白色固体(2.02g、5.54mmol、100%)として得た。この化合物のデータはBeswick et al., Carbohydrate Res., 2020, 488, 107896において入手可能である。
【0143】
粗生成物2-デオキシ-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α/β-D-グルコース(2.01g、6.05mmol)の無水THF(75mL)中攪拌溶液に0℃でメタノール性アンモニア飽和溶液(25mL)を5分かけて加えた。反応混合物を40℃にゆっくりと昇温させた後、5時間攪拌し、そこでTLC分析(ヘキサン/EtOAc、7:3)は出発原料からRfがより低いスポット(Rf = 0.2)への変換完了を示した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた橙色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1:1)で精製して2-デオキシ-3,4,6-トリ-O-アセチル-α/β-D-グルコースを白色固体(1.426g、4.916mmol、83%)として得た。1H-NMR分析は1:5のα/β混合物を示す。この化合物のデータはBucher et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 8724-8728において入手可能である。
【0144】
粗生成物2'-デオキシ-3',4',6'-トリ-O-アセチル-α/β-D-グルコース(1.43g、4.93mmol)の乾燥ジクロロメタン(60mL)中攪拌溶液に0℃でトリクロロアセトニトリル(4.9mL、49.3mmol、10当量)およびDBU(74μL、0.493mmol、0.1当量)を加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した後、揮発物を除去して粗生成物2'-デオキシ-3',4',6'-トリ-O-アセチル-α/β-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(2.14g、4.93mmol、100%)を橙色油状物として得て、これをさらに精製せずに使用する。この化合物のデータはBucher et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 8724-8728において入手可能である。
【0145】
粗生成物2'-デオキシ-3',4',6'-トリ-O-アセチル-α/β-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(2.14g、4.93mmol)およびゲラニオール(2.57mL、14.85mmol、3.0当量)のジクロロメタン(40mL)中攪拌溶液に-78℃でTMSOTf(16μL、88μmol)をゆっくりと加えた。次に反応混合物を室温に3時間かけてゆっくりと昇温させ、飽和NaHCO3水溶液(10mL)で反応停止させ、CH2Cl2(2x50mL)で抽出し、1M NaOH水溶液(20mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒の除去後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 8:2)で精製してゲラニル 3',4',6'-トリ-O-アセチル-2'-デオキシ-α/β-D-グルコピラノシド(1.01g、2.37mmol、48%)を帯黄色油状物(α/β混合物)として得た。1つの主異性体(Rf = 0.25)を得た。
【0146】
得られたトリアセチル化化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
MS (ESI+]: [C22H34O8 + NH4]+の計算値 = 444.2592; 実測値444.2579。
【0147】
ゲラニル 3',4',6'-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-α/β-D-グルコピラノシド(470mg、1.102mmol)の乾燥メタノール(10mL)中攪拌溶液にNaOMe(12mg、0.220mmol、0.2当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌し、反応液をAcOH 3滴で反応停止させた。揮発物の除去後、残渣をシリカゲルショートフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH、93:7)で精製して化合物ゲラニル 2'-デオキシ-β-D-グルコピラノシドを白色固体(255mg、0.849mmol、77%)として得た。
【0148】
得られた脱アセチル化化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+) [C16H28O5 + Na]+の計算値 = 323.1829。実測値323.1824。
【0149】
ゲラニル 2'-デオキシ-β-D-グルコピラノシド(124mg、0.413mmol)のMeCN/H2O 9:1(4mL)中攪拌溶液にベンゾキノン(134mg、1.239mmol、3.0当量)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(22mg、0.021mmol、0.05当量)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌し、シリカゲルに吸収させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 95:5)で精製して標記化合物を白色固体(67mg、0.225mmol、54%)として得た。
【0150】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H26O5 + NH4]+の計算値 = 316.2118; 実測値316.2125。
【0151】
実施例4
N-((2R,3S,5R,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(ゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
市販の2-アセトアミド-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-D-グルコピラノース(12.63g、32.44mmol)のTHF(60mL)中攪拌溶液に室温でピペラジン(3.1g、35.68mmol、1.1当量)を加え、反応混合物を終夜激しく攪拌した。TLCは出発原料の消費完了を示した(EtOAc; Rf = 0.3)。混合物をEtOAc(400mL)で希釈し、0.5M HCl水溶液(2x100mL)で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥させ、濾過した。次に溶媒を除去して2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-D-グルコピラノース(7.58g、21.82mmol、67%)を白色泡状物として得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0152】
粗生成物2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-D-グルコピラノース(7.42g、21.36mmol)の乾燥ジクロロメタン(150mL)中攪拌溶液に室温でトリクロロアセトニトリル(6.5mL、64.1mmol、3.0当量)および無水炭酸カリウム(15.0g、107mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)上で濾過し、揮発物を除去して粗生成物2'-アセトアミド-3',4',6'-トリ-O-アセチル-2'-デオキシ-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(10.06g、20.46mmol、96%)を明黄色固体として得た。この化合物のデータはZhang et al., J. Med. Chem., 2019, 62, 7857-7873において入手可能である。
【0153】
粗化合物2'-アセトアミド-3',4',6'-トリ-O-アセチル-2'-デオキシ-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(432mg、0.879mmol)およびゲラニオール(0.456mL、2.636mmol、3.0当量)のジクロロメタン(7mL)中攪拌溶液に-20℃でTMSOTf(16μL、88μmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、飽和NaHCO3水溶液(10mL)で反応停止させ、CH2Cl2(2x10mL)で抽出し、ブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒の除去後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して化合物ゲラニル 3',4',6'-トリ-O-アセチル-2'-デオキシ-2'-アセトアミド-β-D-グルコピラノシド(273mg、0.56mmol、65%)を白色固体として得た。
【0154】
得られた化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C24H37NO9 + H]+の計算値 = 484.2541; 実測値484.2539。
【0155】
ゲラニル 3',4',6'-トリ-O-アセチル-2'-デオキシ-2'-アセトアミド-β-D-グルコピラノシド(200mg、0.413mmol)の乾燥メタノール(4mL)中攪拌溶液にNaOMe(2.5mg、0.041mmol、0.1当量)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌し、反応液をAcOH 2滴で反応停止させた。揮発物の除去後、残渣をシリカゲルショートフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:1)で精製して化合物ゲラニル 2'-デオキシ-2'-アセトアミド-β-D-グルコピラノシドを白色固体(148mg、0.413mmol、100%)として得た。
【0156】
得られた化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+) [C18H31NO6 + Na]+の計算値 = 380.2044。実測値380.2048。
【0157】
ゲラニル 2'-デオキシ-2'-アセトアミド-β-D-グルコピラノシド(50mg、0.140mmol)のMeCN/H2O 9:1(1mL)中攪拌溶液にベンゾキノン(45mg、0.420mmol、3.0当量)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(7.5mg、0.007mmol、0.05当量)を加えた。反応混合物を50℃で5時間攪拌し、シリカゲルに吸収させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH 98:2)で精製して標記化合物を白色固体(22mg、0.062mmol、44%)として得た。
【0158】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+) [C18H31NO6 + Na]+の計算値 = 378.1887。実測値378.1885。
【0159】
実施例5
(2R,3R,5S,6R)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(((1S,2R,5R)-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-メチルシクロヘキシル)-オキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(rac-cis-PMD-O-β-D-3'ケトグルコピラノシド)の調製
cis-PMD(30mg、0.17mmol)、UDP-α-D-グルコース二ナトリウム塩(100mg、0.16mmol)、およびグリコシルトランスフェラーゼ(YjiC)リケニホルミス菌DSM 13の凍結乾燥粗製無細胞抽出液(100mg)の混合物をpH 7.4の100mMトリス緩衝液(5mL)で希釈し、30℃/80rpmで2日間インキュベートした。得られた混合物をヘキサン(2x20mL)で洗浄した後、酢酸エチル(2x20mL)中に抽出した。酢酸エチル部分を一緒にし、減圧蒸留により濃縮した。残渣にp-ベンゾキノン(32mg、0.30mmol)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(3mg、約2mol%)を加え、混合物をアセトニトリル(2mL)および水(0.2mL)に懸濁させ、25℃/80rpmで20時間インキュベートした。溶媒を減圧留去し、残渣を1:20メタノール/ジクロロメタンを使用するシリカクロマトグラフィーで精製して標記化合物を透明無色油状物(10mg、17%)として得た。
【0160】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H28O7 + Na]+の計算値 = 355.1727; 実測値355.1727。
【0161】
実施例6
(2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-((2-((S)-4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-イル)オキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(S-α-テルピネオール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
(S)-α-テルピネオール(30mg、0.19mmol)、UDP-α-D-グルコース二ナトリウム塩(100mg、0.16mmol)、およびグリコシルトランスフェラーゼ(YjiC)リケニホルミス菌DSM 13の凍結乾燥粗製無細胞抽出液(100mg)の混合物をpH 7.4の100mMトリス緩衝液(5mL)で希釈し、30℃/80rpmで18時間インキュベートした。得られた混合物をヘキサン(2x20mL)で洗浄した後、酢酸エチル(2x20mL)中に抽出した。酢酸エチル部分を一緒にし、減圧蒸留により濃縮した。残渣にp-ベンゾキノン(32mg、0.30mmol)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(3mg、約2mol%)を加え、混合物をアセトニトリル(2mL)および水(0.2mL)に懸濁させ、25℃/80rpmで20時間インキュベートした。溶媒を減圧留去し、残渣を1:10メタノール/ジクロロメタンを使用するシリカクロマトグラフィーで精製して標記化合物を透明無色油状物(27mg、44%)として得た。
【0162】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H26O6 + Na]+の計算値 = 337.1622; 実測値337.1611。
【0163】
実施例7
(2S,3S,5R,6R)-2-(4-アリル-2-メトキシフェノキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(オイゲニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
市販の2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル ブロミド(500mg、1.216mmol)のアセトン(4mL)溶液をオイゲノール(0.56mL、3.648mmol、3.0当量)の1.0M LiOH溶液(2mL)中溶液に加え、形成された緑色懸濁液を室温で2時間攪拌した。反応の完了をTLC(EtOAc/ヘキサン8:2; Rf = 0.25)によりモニタリングした。アセトンを除去し、得られた懸濁液をジクロロメタン(3x15mL)で抽出した。粗生成物を10%水酸化ナトリウム(3x10mL)、水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。濾過し、溶媒を減圧除去した後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製してテトラアセチル化オイゲニル-α-グルコシド(500mg、1.01mmol、83%)を白色固体として得た。
【0164】
この化合物のデータはMulkens et al., J. Natural Prod., 1988, 51, 496-498において入手可能である。
【0165】
保護オイゲニルグルコシド(330mg、0.666mmol)の乾燥メタノール(20mL)中攪拌溶液にNaOMe(7mg、0.133mmol、0.2当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、反応液をAcOH 2滴で反応停止させた。揮発物の除去後、残渣をシリカゲルショートフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH、9:1)で精製してオイゲニル-β-グルコシドを白色固体(172mg、0.527mmol、79%)として得た。
【0166】
この化合物のデータはVijayakumar et al., Biotechnol. Lett., 2007, 29, 575-584において入手可能である。
【0167】
無保護オイゲニルグルコシド(30mg、0.092mmol)のMeCN/H2O 9:1(1.5mL)中攪拌溶液にベンゾキノン(30mg、0.276mmol、3.0当量)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(5mg、0.005mmol、0.05当量)を加えた。反応混合物を60℃で1時間加熱し、シリカに吸収させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH、95:5)で精製して標記化合物を白色固体(22mg、0.068mmol、74%)として得た。
【0168】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H20O7 + NH4]+の計算値 = 342.1547。実測値342.1544。
【0169】
実施例8
(2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(5-イソプロピル-2-メチルフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(カルバクロール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
カルバクロール(30mg、0.20mmol)、UDP-α-D-グルコース二ナトリウム塩(100mg、0.16mmol)、およびグリコシルトランスフェラーゼ(YjiC)リケニホルミス菌DSM 13の凍結乾燥粗製無細胞抽出液(100mg)の混合物をpH 7.4の100mMトリス緩衝液(5mL)で希釈し、30℃/80rpmで18時間インキュベートした。得られた混合物をヘキサン(2x20mL)で洗浄した後、酢酸エチル(2x20mL)中に抽出した。酢酸エチル部分を一緒にし、減圧蒸留により濃縮した。残渣にp-ベンゾキノン(32mg、0.30mmol)および[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(3mg、約2mol%)を加え、混合物をアセトニトリル(2mL)および水(0.2mL)に懸濁させ、25℃/80rpmで14日間インキュベートした。反応が完了しなかったことから、[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(3mg、約2mol%)をさらに加えた。さらに2日後、反応がほぼ完了したことから、溶媒を減圧留去し、残渣を1:10メタノール/ジクロロメタンを使用するシリカクロマトグラフィーで精製して標記化合物を透明無色油状物(20mg、32%)として得た。
【0170】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H22O6 + NH4]+の計算値 = 328.1755; 実測値328.1752。
【0171】
実施例9
((2R,3R,5S,6R)-5-アセトキシ-6-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3-ヒドロキシ-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル アセテート(2',6'-ジアセチル-ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
実施例1と同様に調製したゲラニル-β-3'-ケトグルコシド(100mg)とシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)由来のリパーゼ(ENZA-05)(50mg)との混合物を酢酸ビニル(5mL)に懸濁させ、32℃/80rpmでインキュベートした。5日後、混合物をセライトプラグを通じて濾過し、減圧蒸留により濃縮して標記化合物を明黄色固体(0.118g、63%)として得た。
【0172】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C20H30O8 + NH4]+の計算値 = 416.2279; 実測値416.2276。
【0173】
実施例10
((2R,3R,5S,6S)-5-アセトキシ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-6-フェノキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル アセテート(2',6'-ジアセチル-フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
実施例11と実質的に類似のプロセスに従って、フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(比較例1に示すように調製)を使用して標記化合物を調製した。
【0174】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H18O8 + NH4]+の計算値 = 356.1340; 実測値356.1341。
【0175】
実施例11
硫酸水素((2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-4-オキソ-6-フェノキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル ピリジニウム塩(フェニル-O-β-D-3'-ケト-6'-スルファトグルコピラノシドピリジニウム塩)の調製
フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(比較例1に示すように調製)(10mg、0.039mmol)のD6-DMSO(0.7mL)中攪拌溶液にSO3・ピリジン(19mg、3当量)を加えた。室温で15分間攪拌後、溶液をTLCで分析したところ、極性がはるかに高い1つの化合物への変換完了が示された。
【0176】
さらに処理をせずに、得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI-): [C12H14O9S - H]-の計算値 = 333.0286; 実測値333.0280。
【0177】
実施例12
(2R,3S,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(rac-メンチル-O-β-D-3'ケトグルコピラノシド)の調製
実施例2に示すように調製した2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデート(0.4g、0.81mmol)の無水CH2Cl2(8mL)溶液に0℃で(+/-)-メントール(0.12g、0.81mmol)を加えた。5分後、TMSOTf(0.081mmol)を加え、得られた溶液を0℃で2時間攪拌した。その後、TLCは出発原料の消費を示した(EtOAc/ヘキサン 1:2 r.f.=0.6)。溶媒を減圧蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:4~1:1 Rf = 0.7)に供して粗生成物テトラアセチル化メンチル-β-グルコシド200mgを得た。
【0178】
粗生成物テトラアセチル化メンチル-β-グルコシド(0.200g、0.412mmol)のメタノール(5mL)溶液にNaOMe(25%メタノール溶液)(20μL)を加え、得られた溶液を室温で3時間攪拌した。その後、TLCは出発原料の消費を示した(EtOAc、Rf = 0.9)。反応液をアンバーライト(酸形態)で反応停止させた後、濾過した。溶媒を減圧蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc Rf = 0.1)に供してメンチル-β-グルコピラノシド50mg(2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノシル トリクロロアセトイミデートからの2工程での全収率20%)を得た。この化合物のデータはChoi et al., AMB Expr., 2017, 7, 167において入手可能である。
【0179】
メンチル-β-グルコピラノシド(72mg、0.23mmol)、p-ベンゾキノン(74mg、0.68mmol、3当量)、および触媒[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(6mg、約2.5mol%)の混合物をアセトニトリル(6mL)および水(0.6mL)に懸濁させ、室温で19時間攪拌した。TLC(MeOH/ジクロロメタン、1:5)による分析はRf=0.7における新たなスポットの形成を示したが、主に出発原料(Rf=0.5)を示した。触媒(15mg、約6.25mol%)をさらに加え、混合物をさらに4日間攪拌した。反応はさらに進行したが、なお未完了であったことから、触媒(15mg、約6.25mol%)をさらに加え、混合物をさらに6日間攪拌した。出発原料が残留しなかったことから、混合物を減圧蒸留により濃縮し、残渣を1:20メタノール/ジクロロメタンを使用するシリカクロマトグラフィーで精製してジアステレオマー標記化合物を透明無色油状物(10mg、17%)として得た。
【0180】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
HRMS (ESI+): [C16H28O6 + NH4]+の計算値 = 334.2224; 実測値334.2230。
【0181】
比較例1
(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-フェノキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
フェニル-O-β-D-グルコピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)(0.3g、1.2mmol)およびp-ベンゾキノン(0.38g、3.5mmol)をアセトニトリル(6.4mL)および水(0.64mL)に懸濁させ、室温で速やかに攪拌した。
【0182】
[(2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン)Pd(μ-OAc)]2(OTf)2(0.03g、2.5mol%)を加え、攪拌を18時間続けた後、1:5 MeOH/ジクロロメタンを溶離液として使用し、かつ10%濃硫酸エタノール溶液によるプレート現像を使用する、シリカゲルTLC分析に基づけば、ほぼすべての出発原料が生成物に変換された。続いてこれを強力に加熱した。混合物を減圧蒸留により濃縮し、3:1酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として使用するシリカクロマトグラフィーにより精製して非極性UV活性不純物を除去した後、3:1酢酸エチル/ヘキサンで精製して標記化合物を透明無色油状物0.186g(収率52%)として得た。
【0183】
得られた標記化合物を以下のパラメータにより特性評価した。
Rf = 0.5 (1:5 MeOH/ジクロロメタン);
HRMS (ESI+)。[C12H14O6 + NH4]+の計算値272.1129。実測値272.1136。
【0184】
比較例2
(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
比較例1と実質的に類似のプロセスに従って、4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)を使用して標記化合物を調製した。この化合物のデータはSedmera et al., Tetrahedron Lett., 2004, 45, 8677-8680において入手可能である。
【0185】
比較例3
(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(4-ニトロフェニル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
比較例1と実質的に類似のプロセスに従って、4-ニトロフェニル-O-α-D-グルコピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)を使用して標記化合物を調製した。この化合物のデータはTakeuchi et al., J. Biochem., 1985, 98, 1631-1638において入手可能である。
【0186】
比較例4
(2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2(ヒドロキシメチル)-6-メトキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(メチル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の調製
比較例1と実質的に類似のプロセスに従って、メチル-O-β-D-グルコピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)を使用して標記化合物を調製した。この化合物のデータはJager et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2013, 52, 7809-7812において入手可能である。
【0187】
比較例5
(2R,3R,5R,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(メチル-O-α-D-3'-ケトマンノピラノシド)の調製
比較例1と実質的に類似のプロセスに従って、メチル-O-α-D-マンノピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)を使用して標記化合物を調製した。この化合物のデータはChung et al., ACS Catal., 2016, 6, 4653-4659において入手可能である。
【0188】
比較例6
メチル (2S,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート(メチル-O-β-D-3'-ケトグルクロニドメチルエステル)の調製
メチル-α-D-グルコピラノシド(Sigma-Aldrich社から入手可能)(1.0g、5.1mmol)をアセトニトリル(10mL)および水(10mL)に溶解させ、攪拌溶液を0℃に冷却した。2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)(0.24g、1.5mmol)、二酢酸ヨードベンゼン(3.6g、11.2mmol)、および炭酸水素ナトリウム(0.43g、5.1mmol)を加えた。1時間後、混合物を室温に昇温させ、終夜攪拌した。エタノール(10mL)を加え、溶媒を減圧留去した。残渣を水(10mL)に溶解させ、酢酸エチル(2x10mL)で洗浄し、水性部分を減圧蒸留により濃縮してナトリウム塩としての粗生成物メチル-α-D-グルクロニドを白色固体(1.40g)として得た。この化合物のデータはLu et al., Molecules, 2016, 21, 1301において入手可能である。
【0189】
ナトリウム塩としての粗生成物メチル-α-D-グルクロニド(0.165g)をメタノール(3mL)に懸濁させ、濃硫酸3滴を加え、混合物を70℃で終夜攪拌した。続いて混合物を冷却し、固体炭酸水素ナトリウムで反応停止させ、セライトを通じて濾過し、濾液を減圧蒸留により濃縮して粗生成物メチル-α-D-グルクロニドメチルエステル(0.209g)を得た。
【0190】
比較例1と実質的に類似のプロセスに従って、粗生成物メチル-α-D-グルクロニドメチルエステルを使用して標記化合物をメチル-α-グルコピラノシドからの3工程収率52%で調製した。この化合物のデータはEisink et al., ACS Catal., 2017, 7, 1438-1445において入手可能である。
【0191】
実施例13
電子不足なパラ置換芳香族アルコールであるp-ニトロフェノールの、水溶液中、室温および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出とβ-グルコピラノシドからの放出との比較
比較例2で調製した4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0192】
本実施例では、異なる条件下での芳香族アルコール(4-ニトロフェノール)の放出速度を確定するためのモデル化合物として4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドおよび4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシドを使用した。
【0193】
10% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、または10% D6-DMSOを含む水中、室温で、(2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からの4-ニトロフェノールの放出速度を、(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(p-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシド)からの放出速度との比較で確定した。
【0194】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの1Mストック溶液を重水(D2O)中で調製した。4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(基質A)25mg、4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシド(基質B)25mgのD6-DMSO 0.5mL中ストック溶液をそれぞれ調製し、4-ニトロフェノール11mgの同体積のD6-DMSO中ストック溶液を目視比較用に調製した。
【0195】
較正済みpH計を使用して適切な個々のストックリン酸塩溶液またはその混合物を0.1Mに希釈することでpH 4.5、5.8、7.4、および9.5の溶液を調製した。
【0196】
下記表Iに示すように、10個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質ストック溶液のうち1種0.05mL、適切な重水素化緩衝溶液0.5mL、または水0.5mLを加えた。反応バイアルを室温で静置し、表Iに示すように、溶液の色を目視観察によって、同じように希釈された真正4-ニトロフェノール溶液の色との比較で記録した。
【0197】
(表I)
+++++ = 反応完了を示す同じpHの4-ニトロフェニル溶液中で観察された色と同じ強度の色
- = 色は観察されず
【0198】
約26時間後、反応液2~5をすべて1H-NMRによって、400MHz機器上で128回のスキャンを使用して分析した。芳香族シグナルの観察によれば、反応液2は出発原料しか含まず、反応液3は出発原料と4-ニトロフェノールとの混合物を含み、反応液4および5はほぼ4-ニトロフェノールのみを微量の出発原料と共に含んだ。4-ニトロフェノールシグナルが、異なるpHの溶液中でイオン化度の差により移動することが観察され、これらを、同じpHで調製された4-ニトロフェノール溶液と、スパイク実験によって比較した。
【0199】
実験は、溶液pHを変化させることで、4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド分解の速度を、低pHでの無放出から、生理的に該当する条件下での水溶液0.5mLからの1分当たりμg単位の量の4-ニトロフェノールの送達まで調節することができることを明らかに示している。これは、水性製剤0.5mLの塗布時の皮膚1cm2当たりの放出量に換算される、昆虫忌避剤必要量に該当する濃度である。さらに、対応するグルコピラノシドである4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシドは同じ条件下で4-ニトロフェノールを実質的に放出しない。
【0200】
実施例14
電子豊富なオルトおよびパラ二置換芳香族アルコールであるオイゲノール(昆虫忌避アルコール)の、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例7で調製したオイゲニル-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0201】
本実施例では、33% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(2S,3S,5R,6R)-2-(4-アリル-2-メトキシフェノキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(オイゲニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのオイゲノールの放出速度を確定した。
【0202】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0203】
オイゲニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド15mgのD6-DMSO 1.0mL中ストック溶液を調製した。
【0204】
下記反応表に示すように、3個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHもしくは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液、またはD2O 0.40mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表IIに示す。
【0205】
(表II)
NR = 運転なし
*反応液を6.91ppmのシグナル(出発原料)に対する6.77ppmのシグナル(遊離オイゲノール)の増加により追跡した。
【0206】
32℃で、オイゲニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドは、pH 5.8ではゆっくりとしか分解されないが、pH 7.4でははるかに大きい速度でオイゲノールを放出する。このことは、電子不足なアリール誘導体に加えて、電子豊富なオルトおよびパラ二置換芳香族-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0207】
実施例15
電子豊富なオルトおよびメタ二置換芳香族アルコールであるカルバクロール(昆虫忌避アルコール)の、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例8で調製したカルバクロール-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0208】
本実施例では、20% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の((2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(5-イソプロピル-2-メチルフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(カルバクロール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのカルバクロールの放出速度を確定した。
【0209】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0210】
カルバクロール-O-β-D-3'ケトグルコピラノシド15mgのD6-DMSO 1.0mL中ストック溶液を調製した。
【0211】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHもしくは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液、またはD2O 0.50mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表IIIに示す。
【0212】
(表III)
*反応液を2.08ppmの一重項に対する1.99ppmの一重項の増加により追跡した。
【0213】
32℃で、カルバクロール-β-3'-ケトグルコピラノシドは、pH 5.8ではゆっくりとしか分解されないが、pH 7.4でははるかに大きい速度でカルバクロールを放出する。このことは、電子不足および電子豊富なオルトおよびパラ二置換アリール誘導体に加えて、電子豊富なオルトおよびメタ二置換芳香族-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0214】
実施例16
アリルアルコールであるゲラニオール(昆虫忌避アルコール)の、水溶液中、37℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例1で調製したゲラニル-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0215】
本実施例では、10% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、または10% D6-DMSOを含むD2O中、新たな皮膚洗浄液の存在下または非存在下、37℃での、(2R,3S,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのゲラニオールの放出速度を確定した。
【0216】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの1Mストック溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0217】
ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド25mgのD6-DMSO 0.5mL中ストック溶液を調製した。
【0218】
典型的な実験では、D2O(12.5mL)に1分間浸した脱脂綿ガーゼ(5x5cm2)でヒトボランティアの25cm2面積の頬の皮膚を強く擦ることで当該区域を拭いた後、ガーゼをD2O溶液に再懸濁させ、速やかに振盪し、できるだけ多くの液体をスパーテルで搾り出した後でガーゼを取り外すことで、新たな皮膚洗浄懸濁液のストック溶液を調製した。
【0219】
較正済みpH計を使用して確定される正確なpHまで1Mストックリン酸塩溶液を適切に混合することで、pH 5.7および7.0のリン酸緩衝液の1Mストック溶液を調製した。
【0220】
各緩衝液ストック溶液の半量をD2Oで、もう半量を上記皮膚洗浄液ストック溶液で10倍希釈して、最終pH 5.7のD2O中0.1Mリン酸緩衝液、最終pH 7.0のD2O中0.1Mリン酸緩衝液、最終pH 5.7の皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液、および最終pH 7.0の皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液を得た。
【0221】
下記反応表に示すように、3個の平行反応バイアルに低pHもしくは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.45mL、または低pHもしくは高pHの皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液0.45mL、続いてD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.05mLを加え、混合物を37℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器を使用して128回のスキャンで分析した。結果を表IVに示す。
【0222】
(表IV)
*反応液を1.67ppmの一重項に対する1.71ppmの多重項の増加により追跡した。ピーク重複が理由で、相対高さをゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドとゲラニオールとの真正混合物と比較した。
【0223】
37℃で、ゲラニル-β-3'-ケトグルコピラノシドは、pH 5.8ではゆっくりとしか分解されないが、pH 7.4でははるかに大きい速度でゲラニオールを放出し、この速度は皮膚洗浄液の存在下でも非存在下でも変化しない。このことは、アリール誘導体に加えて、アリル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0224】
実施例17
アリルアルコールであるゲラニオール(昆虫忌避アルコール)の、より高濃度でのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例1で調製したゲラニル-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0225】
本実施例では、10% DMSOを含むpH 7の0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(2R,3S,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の40mg/mL懸濁液からのゲラニオールの37℃での放出速度を確定した。
【0226】
栓をしたガラスバイアル中で、ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(20mg)をD6-DMSO(0.05mL)に溶解させた後、pH 7.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(0.45mL)で希釈し、得られた懸濁液を37℃で振盪することでインキュベートした。3日後、混合物をNMR管に移し、その時点でゲラニオールの強い匂いが観察された。混合物を1H-NMRによって400MHz機器を使用して分析し、実施例16における反応液2に由来するより低濃度の試料から観察された変換率と同じゲラニオールへの変換率(約50%)を示した。NMRデータは変換率がこの時点の後にさらに著しく増加したことを示したが、変換率データを正確に定量化することはできなかった。
【0227】
実施例18
第一級脂肪族アルコールであるピカリジン(昆虫忌避アルコール)の、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例2で調製したピカリジン-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0228】
本実施例では、異なるpHの水性緩衝液中のsec-ブチル 2-(2-(((2R,3S,5R,6R)-3,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(ピカリジン-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)の溶液からのピカリジンの放出速度を確定した。
【0229】
250μMピカリジン-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドをpH=8.5の0.05M K2HPO4 0.95M/KH2PO4緩衝液(反応液1)、pH=7の0.17M Na2HPO4/0.02Mクエン酸緩衝液(反応液2)、pH=5.8の0.12M Na2HPO4/0.04Mクエン酸緩衝液(反応液3)、およびpH=4の0.04Mクエン酸ナトリウム/0.06Mクエン酸緩衝液(反応液4)中に含む平行混合物を32℃でインキュベートした。10μlのアリコートを定期的に採取し、MeCN(90μl)で希釈し、UPLCによって以下の機器および条件を使用して分析した。
固定相: Acquity UPLC(登録商標)BEH C18 1.7μm(2.1mmx50mm)(Waters)
移動相: A: 水 + 0.1%ギ酸; B: アセトニトリル + 0.1%ギ酸
使用したクロマトグラフィー機器はUPLC QSM Waters Acquityとした。
勾配条件:
流量(mL/分) 0.6
ソース温度(℃) 150
脱溶媒和温度(℃) 500
コーンガス流量(L/時) 50
脱溶媒和ガス流量(L/時) 900
目標カラム温度 35℃
目標試料温度 8.0℃
【0230】
異なる時点で放出されたピカリジンの量を表Vに示す。
【0231】
(表V)
【0232】
32℃で、ピカリジン-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドはpH 4~pH 8.5において漸増速度で分解する。このことは、アリール誘導体およびアリル誘導体に加えて、複素環式官能基を含む第一級アルキル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0233】
実施例19
第二級脂肪族アルコールであるcis-PMD(昆虫忌避アルコール)の、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例5で調製したcis-PMD-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0234】
本実施例では、33% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-メチルシクロヘキシル)オキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(cis-PMD-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのcis-PMDの放出速度を確定した。
【0235】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0236】
cis-PMD-O-β-D-3'ケトグルコピラノシド10mgのD6-DMSO 0.5mL中ストック溶液を調製した。
【0237】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.50mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表VIに示す。
【0238】
(表VI)
*反応液を4.25ppmの二重項(出発原料)に対する1.29ppmの一重項(出発原料 + 遊離PMD)の積分により追跡した。
【0239】
32℃で、cis-PMD-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドは、pH 5.8ではゆっくりとしか分解されないが、pH 7.4でははるかに大きい速度でcis-PMDを放出する。このことは、アリール誘導体、アリル誘導体、および第一級アルキル誘導体に加えて、第二級アルキル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0240】
実施例20
第三級脂肪族アルコールである(S)-α-テルピネオールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例6で調製した(S)-α-テルピネオール-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0241】
本実施例では、33% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-((5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-メチルシクロヘキシル)オキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン((S)-α-テルピネオール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からの(S)-α-テルピネオールの放出速度を確定した。
【0242】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0243】
(S)-α-テルピネオール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド10mgのD6-DMSO 0.5mL中ストック溶液を調製した。
【0244】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.40mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表VIIに示す。
【0245】
(表VII)
*反応液を3.26ppmの多重項(出発原料)に対する1.50ppmの多重項(出発原料 + 遊離テルピネオール)の慎重な積分により追跡した。
【0246】
32℃で、(S)-α-テルピネオール-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドは、pH 5.8ではゆっくりとしか分解されないが、pH 7.4でははるかに大きい速度で(S)-α-テルピネオールを放出する。このことは、アリール誘導体、アリル誘導体、ならびに第一級アルキル誘導体および第二級アルキル誘導体に加えて、第三級アルキル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0247】
実施例21
第一級脂肪族アルコールであるメタノールの、水溶液中、室温、次に37℃、および様々なpHでのそのα-3'-ケトグルコピラノシドからの放出とα-グルコピラノシドからの放出との比較
比較例4で調製したメチル-β-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0248】
本実施例では、異なる条件下での脂肪族アルコール(メタノール)の放出速度を確定するためのモデル化合物としてメチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドおよびメチル-O-α-D-グルコピラノシドを使用した。
【0249】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの1Mストック溶液を重水(D2O)中で調製した。メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド(基質A)およびメチル-O-α-D-グルコピラノシド(基質B)15mgのストック溶液をそれぞれD6-DMSO 0.3mLに溶解させることで調製した。
【0250】
較正済みpH計を使用して適切な個々のストックリン酸塩溶液またはその混合物を0.1Mに希釈することでpH 4.5、5.8、および7.4の溶液を調製した。
【0251】
下記表に示すように、8個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液のうち1種0.05mL、適切な重水素化緩衝溶液0.5mL、または水0.5mLを加え、混合物を1H-NMRによって400MHz機器を使用して128回のスキャンで分析して初期読取値を得た。
【0252】
次に、混合物を室温でさらに22時間静置した後、同様に分析した。
【0253】
次に混合物を37℃でさらに44時間振盪することでインキュベートし、同様に分析した。この時点では、反応液4のみが何らかの変化を示したことから、他の反応液を廃棄し、さらに72時間後、反応液4を同様に分析した。
【0254】
表VIIIは以下の結果を示す。
【0255】
(表VIII)
*反応液1~4を5.20ppmの二重項(メチル-O-α-D-3'ケトグルコピラノシドのアノマープロトン)に対する3.35ppmの一重項(MeOHの3個のプロトン)の増加パーセントにより追跡した。同じ方法を使用して出発原料中に存在すると確定された3% MeOHに対して補正した。
*反応液5~8を3.88ppmの二重項(メチル-O-α-D-グルコピラノシドのプロトン)に対する3.35ppmの一重項(MeOHの3個のプロトン)の増加パーセントにより追跡した。同じ方法を使用して出発原料中に存在すると確定された7% MeOHに対して補正した。
NR = 運転なし
【0256】
37℃で、メチル-O-α-D-グルコピラノシドは試験pH範囲にわたってかつ水中で安定なままであり、一方、メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドはpH 4.5および5.8で安定であるが、pH 7.4ではメタノールを非常にゆっくりと生じさせる。このことは、第一級脂肪族-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドに加えて、単純第一級脂肪族-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうるが、単純第一級アルキル-O-α-D-グルコピラノシドが安定なままであり、アルコール残基を放出しないことを示している。
【0257】
実施例22
p-ニトロフェノールの、水溶液中、32℃でのそのβ-3'-ケトグルコピラノシドからの放出速度とα-3'-ケトグルコピラノシドからの放出速度との比較
比較例2および比較例3で調製された材料。
【0258】
本実施例では、1.5% D6-DMSOを含むD2O中、または1.5% D6-DMSOを含むpH 5.8の0.1M重水素化リン酸緩衝液中、またはD2O中の(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)および(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(4-ニトロフェニル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド)のほぼ等モルの溶液からのp-ニトロフェノールの放出速度の比較を確定した。
【0259】
4-ニトロフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドおよび4-ニトロフェニル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド各約2mgを含む溶液を、3.3% v/v D6-DMSOを含むD2O 1mL中で調製した。得られた溶液の2つの0.375mL部分にD2O(0.5mL)またはpH 5.8の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(0.5mL)を加えて反応液1および反応液2をそれぞれ得た。得られた混合物を調製後直ちに1H NMRにより分析した後、32℃/80rpmでインキュベートし、記録された時点で1H NMRにより定期的に分析した。
【0260】
各ケトグルコシドのアノマープロトンの積分値間の比、ならびに各ケトグルコシドの芳香族プロトンおよびアノマープロトンの合計間の比の経時的変化を表IXに示す。
【0261】
(表IX)
1 1H NMRスペクトルの6.01ppmの二重項および5.19ppmの二重項の二重項の積分値間の比
2各時点で取得した1H NMRスペクトルの8.09、8.02、7.11、および6.81ppmのシグナルならびに6.01ppmの二重項の積分値の合計間の比
3各時点で取得した1H NMRスペクトルの8.09、8.02、7.11、および6.81ppmのシグナルならびに5.19ppmの二重項の二重項の積分値の合計間の比
【0262】
32℃で、4-ニトロフェニル-O-α-D-ケトグルコピラノシドおよびO-β-D-ケトグルコピラノシドはいずれもゆっくりと分解され、α-ケトグルコピラノシドはβ-ケトグルコシドよりも約6倍速く分解された。いずれのケトグルコシドもD2O中で安定なままであった。このことは、生理的温度およびpHでα-3'-ケトグルコピラノシドからアルコールがβ-3'-ケトグルコピラノシドからよりも大きい速度で放出されうることを示している。
【0263】
実施例23
第一級脂肪族アルコールであるメタノールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのα-3'-ケトマンノピラノシドからの放出とα-マンノピラノシドからの放出との比較
比較例5で調製したメチル-O-α-D-3'-ケトマンノピラノシドから。
【0264】
本実施例では、15% D6-DMSOを含むD2O中、または15% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、またはD2O中の(2R,3R,5R,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(メチル-O-α-D-3'-ケトマンノピラノシド)からのメタノールの放出速度を、(2R,3S,4S,5S,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシテトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(メチル-O-α-D-マンノピラノシド)からの放出速度との比較で確定した。
【0265】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0266】
メチル-O-α-D-3'-ケトグルコマンノシド25mgのD6-DMSO 1.0mL中ストック溶液を調製した。
【0267】
下記反応表に示すように、5個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.10mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.50mLを加え、混合物を33℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表Xに示す。
【0268】
(表X)
NR = 運転なし
*反応液1~3をD6-DMSOに対する3.35ppmの出発原料(3-ケトグリコシド)のシグナルの減少により追跡した。反応液4および5を、形成されたメタノールの3.38ppm一重項の積分と出発原料の4.75ppmアノマーシグナルとを比較することで追跡した。
【0269】
32℃で、メチル-O-α-D-マンノピラノシドはpH 7.4および水中で安定なままであり、一方、メチル-O-α-D-3'-ケトマンノピラノシドはpH 5.8およびpH 7.4の両方でメタノールを生じさせる。このことは、第一級脂肪族-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドおよび第一級脂肪族-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドに加えて、単純第一級脂肪族-O-α-D-3'-ケトマンノピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうるが、単純第一級アルキル-O-α-D-マンノピラノシドが安定なままであり、アルコール残基を放出しないことを示している。
【0270】
実施例24
アリルアルコールであるゲラニオールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのその3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドからの放出と2'-デオキシグルコピラノシドからの放出との比較
実施例3で調製したゲラニル-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドから。
【0271】
本実施例では、50% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(2R,3R)-6-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(ゲラニル-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシド)からのゲラニオールの放出速度を確定した。
【0272】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0273】
ゲラニオール-O-β-D-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシド15mgのD6-DMSO 1.5mL中ストック溶液を調製した。
【0274】
下記反応表に示すように、4個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.35mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.35mLを加え、混合物を33℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XIに示す。
【0275】
(表XI)
NR = 運転なし
*反応液を3.98ppmの二重項(出発原料)に対する3.91ppmの二重項(ゲラニオール)の増加により追跡した。
【0276】
32℃で、ゲラニル-O-2'-デオキシグルコピラノシドはpH 7.4で安定なままであり、一方、ゲラニル-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドはpH 5.8およびpH 7.4の両方でゲラニオールを生じさせる。このことは、3'-ケトグルコピラノシドおよび3'-ケトマンノピラノシドに加えて、3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうるが、2'-デオキシグルコピラノシドが安定なままであってアルコール残基を放出しないということを示している。さらに、ゲラニル-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドからのゲラニオールの放出速度は、同様の条件下でゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(実施例17)から観察された放出速度よりも大きい。
【0277】
実施例25
アリルアルコールであるゲラニオールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシドからの放出とβ-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-グルコピラノシドからの放出との比較
実施例4で調製したゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシドから。
【0278】
本実施例では、33% D6-DMSOを含むD2O中、または33% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、またはD2O中のN-((2R,3S,5R,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(ゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシド)からのゲラニオールの放出速度を、N-((2R,3R,4R,5S,6R)-2-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(ゲラニル-β-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-グルコピラノシド)からの放出速度との比較で確定した。
【0279】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0280】
ゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシド25mgのD6-DMSO 1.0mL中ストック溶液を調製した。
【0281】
下記反応表に示すように、4個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.40mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XIIに示す。
【0282】
(表XII)
NR = 運転なし
*反応液を4.15ppmの二重項(出発原料)に対する3.91ppmの二重項(ゲラニオール)の増加により追跡した。反応液4を、4.57ppmの二重項(出発原料)に対して4.12の遊離ゲラニオール二重項の形成(観察されず)を分析することでモニタリングした。
【0283】
32℃で、ゲラニル-β-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-グルコピラノシドはpH 7.4で安定なままであり、一方、ゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシドはpH 5.8およびpH 7.4の両方でゲラニオールを生じさせる。このことは、3'-ケトグルコピラノシドおよび3'-ケトマンノピラノシドおよび3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシドに加えて、2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうるが、2'-アセトアミド-2'-デオキシ-グルコピラノシドが安定なままであってアルコール残基を放出しないということを示している。さらに、ゲラニル-O-β-D-2'-アセトアミド-2'-デオキシ-3'-ケト-グルコピラノシドからのゲラニオールの放出速度は、同様の条件下でゲラニル-3'-ケト-2'-デオキシグルコピラノシド(実施例25)またはゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(実施例17)から観察された放出速度よりも大きい。
【0284】
実施例26
アリルアルコールであるゲラニオールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのその2',6'-ジアセチル化β-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例9で調製した2',6'-ジアセチル-ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0285】
本実施例では、50% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の(((2R,3R,5S)-5-アセトキシ-6-(((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)-3-ヒドロキシ-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル アセテート(2',6'-ジアセチル-ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのゲラニオールの放出速度を確定した。
【0286】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0287】
2',6'-ジアセチル-ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド15mgのD6-DMSO 1.5mL中ストック溶液を調製した。
【0288】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.35mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.35mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XIIIに示す。
【0289】
(表XIII)
NR = 運転なし
*反応液を4.00ppmの二重項(出発原料)に対する3.91ppmの二重項(ゲラニオール)の増加により追跡した。
【0290】
32℃で、2',6'-ジアセチル-ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドはpH 5.8およびpH 7.4の両方でゲラニオールを生じさせる。このことは、無保護3'-ケトグルコピラノシドに加えて、2',6'二保護3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0291】
実施例27
芳香族アルコールであるフェノールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのその2',6'-ジアセチル化β-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例10で調製した2',6'-ジアセチル-フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドから。
【0292】
本実施例では、33% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の((2R,3R,5S)-5-アセトキシ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-6-フェノキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル アセテート(2',6'-ジアセチル-フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)からのゲラニオールの放出速度を確定した。
【0293】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0294】
2',6'-ジアセチル-フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド25mgのD6-DMSO 1.0mL中ストック溶液を調製した。
【0295】
下記反応表に示すように、3個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.20mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.40mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XIVに示す。
【0296】
(表XIV)
NR = 運転なし
*反応液を7.26ppmの三重項(出発原料)に対する7.14ppmの三重項(フェノール)の増加により追跡した(基準として2.50ppmのD6-DMSOシグナル)。
【0297】
32℃で、2',6'-ジアセチル-フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドはpH 5.8およびpH 7.4の両方ならびにD2O中でフェノールを生じさせる。このこともやはり、無保護3'-ケトグルコピラノシドに加えて、2',6'二保護3'-ケトグルコピラノシドからも、アルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0298】
実施例28
第一級脂肪族アルコールであるメタノールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのそのβ-3'-ケトグルクロニドメチルエステルからの放出
比較例6で調製したグルクロニドメチルエステルから。
【0299】
本実施例では、10% D6-DMSOを含むD2O中、または10% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、またはD2O中のメチル (2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボキシレート(メチル-β-3'-ケトグルクロニドメチルエステル)からのメタノールの放出速度を確定した。
【0300】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0301】
メチル-β-3'-ケトグルクロニドメチルエステル20mgのD6-DMSO 0.25mL中ストック溶液を調製した。
【0302】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.05mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.55mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XVに示す。
【0303】
(表XV)
NR = 運転なし
*反応液を3.79ppmの一重項(出発原料メチルエステル)に対する3.74ppmの一重項(生成物メチルエステル)の増加により追跡した。
【0304】
32℃で、メチル-β-3'-ケトグルクロニドメチルエステルはpH 5.8およびpH 7.4の両方でメタノールを生じさせる。このことは、3'-ケトグルクロネートからアルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0305】
実施例29
芳香族アルコールであるフェノールの、水溶液中、32℃および様々なpHでのその6'-硫酸化β-3'-ケトグルコピラノシドからの放出
実施例11で調製したフェニル-O-β-D-3'-ケト-6'-スルファトグルコピラノシドピリジニウム塩から。
【0306】
本実施例では、15% D6-DMSOを含む異なるpHの0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中の硫酸水素((2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-4-オキソ-6-フェノキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル ピリジニウム塩(フェニル-O-β-D-3'-ケト-6'-スルファトグルコピラノシドピリジニウム塩)からのフェノールの放出速度を確定した。
【0307】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムのpH 5.8および7.4の0.1Mストック緩衝溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0308】
フェニル-O-β-D-3'-ケト-6'-スルファトグルコピラノシド20mgのD6-DMSO 0.5mL中ストック溶液を調製した。
【0309】
下記反応表に示すように、2個の平行反応バイアルにD6-DMSO中グリコシド基質溶液0.10mL、および低pHまたは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.60mLを加え、混合物を32℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器中で分析した。結果を表XVIに示す。
【0310】
(表XVI)
反応液を7.26ppmの三重項(出発原料)に対する7.14ppmの三重項(フェノール)の増加により追跡した。
【0311】
32℃で、フェニル-O-β-D-3'-ケト-6'-スルファトグルコピラノシドピリジニウム塩はpH 7.4でフェノールを生じさせる。このことは、6'-硫酸化3'-ケトグルコピラノシドからアルコールが生理的温度およびpHで放出されうることを示している。
【0312】
実施例30
水溶液中、37℃および様々なpHにおける、新たな皮膚洗浄液の存在下および非存在下での3'-ケトグルコピラノシドからのアルコールの放出速度の比較
本実施例では、異なる条件下での各アルコール残基の放出速度を確定するためのモデル化合物としてフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド、メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド、フェニル-O-β-D-グルコピラノシド、メチル-O-α-D-グルコピラノシド、および4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシドを使用した。
【0313】
10% D6-DMSOを含むpH 5.7および7.0の0.1M重水素化リン酸緩衝溶液中、室温における、新たな皮膚洗浄液の存在下および非存在下での、(2R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-フェノキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド)または(2R,3R,5S,6S)-3,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(メチル-O-α-D-3'ケトグルコピラノシド)とそれらの各O-グルコピラノシドとの1:1化学量論的混合物からのメタノールまたはフェノールおよび4-ニトロフェノールの放出速度を、(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(4-ニトロフェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシド)からの放出速度との比較で確定した。
【0314】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの1Mストック溶液を重水(D2O)中で調製した。
【0315】
4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシド(50mg)をD6-DMSO(1mL)に溶解させ、得られた溶液0.2mLをメチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド、メチル-O-α-D-グルコピラノシド、フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド、およびフェニル-O-β-D-グルコピラノシド各10mgに加えて基質ストック溶液A、B、C、およびDをそれぞれ得た。
【0316】
典型的な実験では、D2O(12.5mL)に1分間浸した脱脂綿ガーゼ(5x5cm2)でヒトボランティアの25cm2面積の頬の皮膚を強く擦ることで当該区域を拭いた後、ガーゼをD2O溶液に再懸濁させ、速やかに振盪し、できるだけ多くの液体をスパーテルで搾り出した後でガーゼを取り外すことで、新たな皮膚洗浄懸濁液のストック溶液を調製した。
【0317】
較正済みpH計を使用して確定される正確なpHまで1Mストックリン酸塩溶液を適切に混合することで、pH 5.7および7.0のリン酸緩衝液の1Mストック溶液を調製した。
【0318】
各緩衝液ストック溶液の半量をD2Oで、もう半量を上記皮膚洗浄液ストック溶液で10倍希釈して、最終pH 5.7のD2O中0.1Mリン酸緩衝液、最終pH 7.0のD2O中0.1Mリン酸緩衝液、最終pH 5.7の皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液、および最終pH 7.0の皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液を得た。
【0319】
16個の平行反応バイアルに低pHもしくは高pHのD2O中0.1Mリン酸緩衝液0.45mL、または低pHもしくは高pHの皮膚洗浄溶液中0.1Mリン酸緩衝液0.45mL、続いてD6-DMSO中グリコシド基質溶液のうち1種0.05mLを加え、混合物を37℃で振盪することでインキュベートした。下記表に示す時間の後、混合物を1H-NMRによって400MHz機器を使用して128回のスキャンで分析し、色を目視で観察した。結果を表XVIIに示す。
【0320】
(表XVII)
*反応液1~4を5.20ppmの二重項(メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドのアノマープロトン)に対する3.35ppmの一重項(MeOHの3個のプロトン)の増加により追跡した。同じ方法を使用して出発原料中に存在すると確定された3% MeOHに対して補正した。
*反応液5~8を3.95~3.84ppmの多重項からの3.35ppmの一重項(MeOHの3個のプロトン)の増加により追跡した。同じ方法を使用して出発原料中に存在すると確定された7% MeOHに対して補正した。
*反応液9~12を7.42ppmの多重項(フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドの2個の芳香族プロトン)に対する6.91ppmの二重項(フェノールの2個の芳香族プロトン)の増加により追跡した。
nr = 運転なし
+++++ = 反応完了を示すp-ニトロフェニル溶液中で観察された色と同じ強度の色
- = 色は観察されず
【0321】
結果は、両方の3'-ケトグルコピラノシドが、pH 7にて皮膚洗浄液の存在下および非存在下でそれらの各アルコールを放出するが、存在下のほうがその程度が大きいことを示す。対照的に、メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドからはpH 5.7で反応が観察されない。pH 5.7で、フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドはpH 7におけるよりもゆっくりと反応し、皮膚洗浄液の存在下と非存在下とで同じ程度に反応する。メチル-O-D-グルコピラノシドおよびフェニル-O-D-グルコピラノシドはすべての試験条件下で安定であった。4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコシドは、いくらかの4-ニトロフェノールを放出することをpH 7にて目視で観察可能であった。通常は皮膚洗浄液の存在下のほうが放出の程度が大きいが、その程度が小さいことから、変化はNMRで観察されなかった。
【0322】
同じ反応条件を使用するが4-ニトロフェニル-O-β-D-グルコピラノシドの非存在下で行われる追跡実験では、表XVIIIに示すように、メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシド(基質A)およびフェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(基質B)の両方からのアルコール放出速度が、72時間後、pH 7にて、新たな皮膚洗浄液の存在下で、その非存在下に比べてわずかに増加したことが観察された。
【0323】
(表XVIII)
*反応液1~3を5.20ppmの二重項(メチル-O-α-D-3'-ケトグルコピラノシドのアノマープロトン)に対する3.35ppmの一重項(MeOHの3個のプロトン)の増加により追跡した。同じ方法を使用して出発原料中に存在すると確定された3% MeOHに対して補正した。
*反応液9~12を7.42ppmの多重項(フェニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドの2個の芳香族プロトン)に対する6.91ppmの二重項(フェノールの2個の芳香族プロトン)の増加により追跡した。
【0324】
実施例31
D2O中でのゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドの安定性
実施例4に従って得たゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(5mg)をD2O(1mL)に加え、50℃で加熱した。得られた溶液を1H NMRで2週間にわたって定期的に分析したところ、得られたスペクトル中に変化は観察されず、これによりケトグルコシドが安定であることが示された。
【0325】
実施例32
多孔質表面からのゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドの放出
実施例4に従って得たゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(50mg)を穏やかに加熱しながらポリエチレングリコール200(PEG200)(0.1mL)に溶解させた。次に、無水塩化カルシウムの水中3:7 w/v溶液0.1mLに溶解したL-アルギニン(10mg)の溶液0.1mLを加え、徹底的に混合した。得られた溶液を直径5cmのペーパーキッチンタオルディスクの上に広げ、室温で静置した。次に、ディスクから発生した放出ゲラニオールの匂いを経時的に強、中、または弱と評価し、表XIXに報告する。
【0326】
(表XIX)
【0327】
19時間後、反応混合物をD4-MeOHに溶解させ、1H NMRによって分析した。スペクトルは、4.15ppmのシグナルおよび4.05ppmのシグナルによってそれぞれ判定される出発ケトグルコシドおよびゲラニオールの約1:1混合物を示した。
【0328】
本実施例は、ゲラニオールが紙の表面から経時的にゆっくりと放出されることを明らかに示している。
【0329】
実施例33
ゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドのインビトロ蚊試験
ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)という蚊を飼育し、12時間:12時間(明:暗)光周期で温度26±2℃、相対湿度80%以上±10に維持した。試験前、成体蚊の集団に糖溶液(10%)を与えたが、血液は与えなかった。
【0330】
実施例4に従って得たゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシド(100mg)を穏やかに加熱しながらポリエチレングリコール200(PEG200)(0.2mL)に溶解させて溶液1を得た。次に、無水塩化カルシウムの水中3:7 w/v溶液2mLにL-アルギニン200mgを溶解させて溶液2を得た。溶液2(0.2mL)を溶液1全量に加えて溶液3を得た。溶液3の内容物を徹底的に混合し、得られた溶液のうち半量を、等直径のペーパーキッチンタオルで覆われた平行5cm径人工Hemotek膜に塗布した。また、ペーパーキッチンタオルで覆われた二つ組の平行膜をそれぞれPEG200/溶液2の1:1 v/v溶液0.2mLで処理し、さらなる2つの平行膜は未処理のままとした。
【0331】
これらの膜を、ヒツジ血液のリザーバの上でHemotekシステムを使用して37℃で加熱し、吸引器を使用して選択および収集されてプラスチック試験容器中でバッチ(雌15匹)にまとめられた5~7日齢の活動期の宿主探索中の雌蚊に定期的に曝露した。曝露の合間には加熱を切って膜の完全性を維持し、各曝露の5分前に加熱を入れた。膜調製の直後に、また2時間後、4時間後、6時間後、および8時間後に再度、各膜を雌蚊の新たな容器に20分間曝露した。各時点で、曝露直後ならびに曝露の5分後、10分後、および20分後に各膜に着地する蚊の数をカウントし、各20分の曝露にわたる総着地数をまとめて表にした。表XXに示すように、結合体を含む膜は、8時間にわたって、希釈剤処理膜または未処理膜で観察された数よりもはるかに少ない着地数を示した。
【0332】
(表XX)
【0333】
本発明のゲラニル-O-β-D-3'-ケトグルコピラノシドによって忌避効果が与えられると結論づけることができる。
【国際調査報告】