(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする方法及び機構
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20230324BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549171
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021053529
(87)【国際公開番号】W WO2021160845
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020103997.2
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522322228
【氏名又は名称】リアリスツ・トレイニング・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ベルナル・ベラ・ルイス・エンリケ
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA01
2C032CA06
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、訓練の更なる改善によって、手術をより安全に展開することであり、患者の安全性を高めることである。
【解決手段】本発明は、脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする方法であって、外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造が提供され、これを用いて、外科手術のシミュレーションが実施される。本発明の課題は、圧力、精度、張力、位置、及び/又は力などの手術シミュレーションのパラメータが、センサによって把握され、かつ要求に対して処理した形で出力されるシミュレーション結果に割り当てられて格納される、ことによって解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする方法であって、
外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造が提供され、
これを用いて、外科手術のシミュレーションが実施される、当該方法において、
圧力、精度、張力、位置、及び/又は力などの手術シミュレーションのパラメータは、センサによって把握され、かつ要求に対して処理した形で出力されるシミュレーション結果に割り当てられて格納される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
パラメータは、モデル構造のうちの少なくとも1つを用いて把握される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラメータは、パラメータの発生する時刻と共に格納される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
パラメータが、パラメータシーケンスとして格納される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項5】
パラメータの少なくとも1つが、光学的な記録を用いて把握される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
センサのうちの1つが、モデル化された神経構造に提供されるか、又はモデル化された神経構造と接続されて提供される、ことを特徴とする請求項1~5のうちの一項に記載の方法。
【請求項7】
センサのうちの1つは、筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に提供されるか、又は筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されて提供され、かつパラメータは、合併症ならびに出血、凝固及び止血を測定するために決定される、ことを特徴とする請求項1~6のうちの一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7を実施するための、脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする機構であって、
外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造を備える、当該機構において、
手術シミュレーションのパラメータが少なくとも間接的に把握されているセンサは、モデル構造と接続されていて、このセンサは、パラメータを把握し、格納し、かつ評価する処理部と接続されている、ことを特徴とする機構。
【請求項9】
モデル構造は、合成樹脂複合材料からなり、かつ同時にセンサを形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の機構。
【請求項10】
モデル構造は、インテリジェント材料からなり、かつ同時にセンサを形成する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の機構。
【請求項11】
センサの少なくとも1つが、モデル化された神経構造に配置されているか、又はそれらモデル化された神経構造と接続されている、ことを特徴とする、請求項8~10のうちの一項に記載の機構。
【請求項12】
センサのうちの少なくとも1つが、モデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に配置されているか、又はそれらモデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されている、ことを特徴とする請求項8~11のうちの一項に記載の機構。
【請求項13】
センサの少なくとも1つが、合併症及び/又は出血、凝固及び/又は止血を測定するように形成されている、ことを特徴とする請求項8~12のいずれか一項に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする方法に関するものであって、この方法では、外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造が提供され、これを用いて、外科手術のシミュレーションが実施される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする機構にも関するものであって、外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造を備える。
【0003】
したがって、本発明は、外科医が複雑な状況を練習できる訓練環境及びシミュレーション環境に関する。
【0004】
これまで、国際的には、外科的なシミュレーションと訓練が、大部分が単純な合成樹脂モデル又は仮想シミュレーション(代替的には、人体標本を使用する)で進められてきた。
【0005】
これらすべての技術に対して、リアルスパイン訓練プラットフォームとして知られる、出願人の基礎となる技術は、長年にわたって際立っている。それ故に、3D印刷、モデリング、人工血液を用いて、手術におけるシミュレーションと訓練を改善できることを証明することができた。しかしながら、これまで、センサを用いた全ての状況において、参加者の訓練性能を系統的に測定することは不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
長期的な目標は、患者の安全性を高めることである。この場合、本発明の課題は、訓練の更なる改善によって、手術をより安全に展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法に関して言えば、この課題は、冒頭に述べた種類の方法によって解決され、本発明によれば、圧力、精度、張力、位置、及び/又は力などの手術シミュレーションのパラメータは、センサによって把握され、かつ要求に対して処理した形で出力されるシミュレーション結果に割り当てられて格納される。
【0008】
本発明の基本的なアイデアは、モデル化された解剖学的部分におけるセンサの統合である。この目的のために、適切な測定電子機器及びソフトウェアも使用される。
【0009】
このため、好ましい方法において、パラメータは、モデル構造のうちの少なくとも1つを用いて把握されることが企図されている。
【0010】
さらなる実施形態では、パラメータは、パラメータの発生する時刻と共に格納されることが企図されている。したがって、シミュレーション中のある時点に、パラメータを割り当てることがいつでも可能である。
【0011】
特にこのような「タイムスタンプ」を用いて、パラメータが、パラメータシーケンスとして格納することが可能である。言うまでもなく、同一又は異なる種類の他のパラメータを、時間関連の個々の値として、又は同様にパラメータシーケンスとして並列に格納することができる。したがって、値を処理した後、特定の手術シミュレーション時点に対するパラメータ状況がいつでも複製され得る。
【0012】
本発明の別の実施形態では、パラメータの少なくとも1つが、光学的な記録を用いて把握されることが企図されている。状況によっては、画像又はビデオシーケンスのみからパラメータを推定することが可能である。例えば、装着した器具での解剖学的構造の変形を画像で把握する場合、加えられる圧力は、光学的に見える変形の大きさ及び種類によって推定することができる。
【0013】
別の変形例では、センサのうちの1つが、モデル化された神経構造に提供されるか、又はモデル化された神経構造と接続されて提供されることが企図されている。
【0014】
本発明による方法の別の実施形態では、センサのうちの1つは、筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に提供されるか、又は筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されて提供され、かつパラメータが、合併症ならびに出血、凝固及び止血を測定するために決定されることが企図されている。
【0015】
この課題の機構側の解決策は、上述した種類の機構の場合に、手術シミュレーションのパラメータを少なくとも間接的に把握するセンサは、モデル構造と接続されていて、このセンサは、パラメータを把握し、格納し、かつ評価する処理部と接続されていることにある。
【0016】
この目的のための1つの実施形態では、モデル構造は、合成樹脂複合材料からなり、かつ同時にセンサを形成することが企図されている。また、モデル構造は、インテリジェント材料からなり、かつ同時にセンサを形成することが可能である。
【0017】
これは、手術の解剖学的構造、触覚、外観を変えない、統合された特殊なセンサによって達成される。シームレスに統合されたセンサテクノロジによって、訓練は初めて評価することができ、それにもかかわらず触覚と外観が非常にリアルなままである。
【0018】
モデリングと科学的妥当性確認は密接に関連していて、臨床パートナーとの緊密に連携して行われる(=臨床的妥当性確認)。
【0019】
この目的のために、本発明によれば、センサは、シミュレータのモデル構造にシームレスに統合され、同時に外科用シミュレータに関して期待される最高の触覚的及び外観的要件を満たす、本発明によって初めて開発される。今日まで、そのようなセンサは市場に出回っていない。
【0020】
このため、本発明によれば、センサの少なくとも1つが、モデル化された神経構造に配置されているか、又はそれらモデル化された神経構造と接続されていることが可能である。
【0021】
別の可能性は、センサのうちの少なくとも1つが、モデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に配置されているか、又はそれらモデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されていることである。
【0022】
また、センサの少なくとも1つが、合併症及び/又は出血、凝固及び/又は止血を測定するように形成されていることが可能である。
【0023】
以下では、本発明による解決策が、実施例に基づいて説明される。
【0024】
関連する図面は、さらなる非技術的評価と関連して、本発明による機構及び本発明による方法の概要を示す。
【0025】
外科医は、ますます複雑で現実的な(以前は考えられなかったシミュレーション環境で)訓練を行い、自分自身の能力を他の外科医(特に専門家)と比較したいと考えている。この目的のために、本発明による統合測定システムが必要である。
【0026】
センサ技術、及び器具と組織の相互作用における高い複雑さは、これまで世界中のどのグループでもまだ達成していない。手術シミュレーションにおける材料と材料特性、及びコーティング、生成プロセス、添加剤の加工及び技術繊維などの必要な技術に関する発明者の経験によって、この革新は可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】リアルスパインシミュレータを実施する概略図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面に示したように、訓練外科医1はリアルスパインシミュレータ2で手術をする。この場合、訓練外科医の外科的行動は、圧力3、精度4、張力5、位置6、及び/又は強度7のような様々なパラメータで特殊なセンサにより把握される。これに関して、直接把握、光学的な録画(写真記録)8、又はビデオ録画9を使用できる。次いで、これらの結果の全ては、処理ユニット10に統合されて格納され(結果報告)、かつ処理及び出力することができる。以上で、本技術発明が完成する。
【0029】
本発明は、評価担当者11である人物がシミュレートされている外科的処置を評価し、最終的に評価報告書12を作成し、必要に応じて、外科医の能力に関する証明書13を作成することができる技術的手段が提供される。
【符号の説明】
【0030】
1 外科医(訓練を受ける人)
2 リアルスパインシミュレータ
3 圧力センサ
4 精度センサ
5 張力センサ
6 位置センサ
7 強度センサ
8 画像撮影
9 ビデオ録画
10 処理ユニット
11 評価担当者
12 評価報告書
13 証明書
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする方法であって、
外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造が提供され、
これを用いて、外科手術のシミュレーションが実施される、当該方法において、
圧力、精度、張力、位置、及び/又は力などの手術シミュレーションのパラメータは、センサによって把握され、かつ要求に対して処理した形で出力されるシミュレーション結果に割り当てられて格納される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
パラメータは、モデル構造のうちの少なくとも1つを用いて把握される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラメータは、パラメータの発生する時刻と共に格納される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
パラメータが、パラメータシーケンスとして格納される、ことを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
パラメータの少なくとも1つが、光学的な記録を用いて把握される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
センサのうちの1つが、モデル化された神経構造に提供されるか、又はモデル化された神経構造と接続されて提供される、ことを特徴とする請求項1~5のうちの一項に記載の方法。
【請求項7】
センサのうちの1つは、筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に提供されるか、又は筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されて提供され、かつパラメータは、合併症ならびに出血、凝固及び止血を測定するために決定される、ことを特徴とする請求項1~6のうちの一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7を実施するための、脳神経外科及び整形外科的脊柱手術及び脳手術をシミュレーションする機構であって、
外科的に治療を受ける臓器又は臓器構成が、外観的、及び触覚的、及び機能的に複製されている、解剖学的な構造を形成するモデル構造を備える、当該機構において、
手術シミュレーションのパラメータが少なくとも間接的に把握されているセンサは、モデル構造と接続されていて、このセンサは、パラメータを把握し、格納し、かつ評価する処理部と接続されている、ことを特徴とする機構。
【請求項9】
モデル構造は、合成樹脂複合材料からなり、かつ同時にセンサを形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の機構。
【請求項10】
モデル構造は、インテリジェント材料からなり、かつ同時にセンサを形成する、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の機構。
【請求項11】
センサの少なくとも1つが、モデル化された神経構造に配置されているか、又はそれらモデル化された神経構造と接続されている、ことを特徴とする、請求項8~10のうちの一項に記載の機構。
【請求項12】
センサのうちの少なくとも1つが、モデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜に配置されているか、又はそれらモデル化されている筋構造、靭帯及び/若しくは筋膜と接続されている、ことを特徴とする請求項8~11のうちの一項に記載の機構。
【請求項13】
センサの少なくとも1つが、合併症及び/又は出血、凝固及び/又は止血を測定するように形成されている、ことを特徴とする請求項8~12のいずれか一項に記載の機構。
【国際調査報告】