(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】巻き返し端部を形成するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 57/12 20060101AFI20230324BHJP
F16L 11/04 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
B29C57/12
F16L11/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549268
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2021053779
(87)【国際公開番号】W WO2021165263
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521412490
【氏名又は名称】バイオ オプティマル リミテッド
【住所又は居所原語表記】97 Leigh Road, Eastleigh, Hampshire S050 9DR United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100150326
【氏名又は名称】樋口 知久
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ヒュー ジョン
【テーマコード(参考)】
3H111
4F209
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111CB28
3H111EA18
4F209AG08
4F209AG23
4F209AH63
4F209NA27
4F209NB01
4F209NG03
4F209NJ21
4F209NM06
4F209NM10
4F209NM12
4F209NM15
4F209NN02
(57)【要約】
可撓性チューブの端部を巻き返すための装置であって、可撓性チューブ支持体と、フレア状に広がる円錐形端部を有するプランジャアセンブリと、プランジャアセンブリの外側の周囲のカバーと、プランジャアセンブリを可撓性チューブ内に移動させ、そしてカバーを巻き返し端部上で移動させるためのアクチュエータ手段とを備える装置。使用時には、可撓性チューブは、チューブ支持体内に配置され、その端部は円錐形端部を覆って配置される。チューブは所定位置に保持されながら、プランジャアセンブリはチューブ内に前進させられ、チューブの端部はフレア状に広げられる。次いで、カバーは前進し続け、フレア状に広げられた端部を折り返され、巻き返し端部を形成する。本装置は、スリーブを巻き返し端部上にフィットさせて巻き返し端部を正しい位置に保持することができ、スリーブをチューブ支持体に接続することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性チューブの端部を巻き返すための装置であって、
可撓性チューブを保持するための手段と、
該可撓性チューブの端部を巻き返すための手段であって、該手段が該可撓性チューブを保持するための手段と位置合わせされており、
円錐形端部を有するプランジャであって、該円錐形端部の頂部が、プランジャの遠位端にあり、該可撓性チューブの内径以上の直径となるまでフレア状に広がっている、プランジャと、
該プランジャを覆って延び、該プランジャと共にも別にも移動可能である、カバーと、
該プランジャと該カバーとを該チューブに向かって前進させる手段と、を備える、手段と、
を備える、装置。
【請求項2】
使用前に、前記カバーが、前記円錐形端部の基端部と同じかまたは少し後方の位置にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プランジャと前記カバーとを前記チューブに向かって前進させるための手段が、最初は両構成要素を一緒に移動させ、次に該チューブに対する該プランジャの位置を保ちながら該カバーを移動させるようになっている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記カバーの内面に、スリーブが取り付けられるサイズの窪みが設けられており、該スリーブが、前記可撓性チューブの巻き返し端部上にフィットして該巻き返し端部を固定するサイズである、請求項1、2、または3に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性チューブを締め付け固定するための手段と前記チューブの前記端部を巻き返すための手段とがベース上に固定されている、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記円錐形端部とプランジャとカバーとを前進させるための手段が手動で操作される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記円錐形端部とプランジャとスリーブとを前進させるための手段が自動化されている、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記プランジャアセンブリの前記円錐形端部と前記カバーとが、異なるサイズの代替品と交換可能である、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記円錐形端部が、その頂部から前記プランジャの心棒と合致する最も広い点に向かってフレアが増加するように外向きにフレア状に広がっている、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記カバーが開放円筒である、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記形成される巻き返しの長さが、前記可撓性チューブの外径の80~120%である、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
可撓性チューブの端部を巻き返し、スリーブを取り付けるための装置であって、
可撓性チューブを保持するための手段と、
該チューブの該端部を巻き返すための手段であって、該手段が該可撓性チューブを保持するための手段と位置合わせされ、
円錐形端部を有するプランジャであって、該円錐形端部の頂部が、該プランジャの遠位端にあり、該可撓性チューブの内径以上の直径となるまでフレア状に広がっている、プランジャと、
プランジャアセンブリを覆って延び、該プランジャと共にも別にも移動可能であり、その遠位端が該スリーブを保持し、該スリーブが該カバーの移動によって前進させられる、カバーと、
該プランジャと該カバーと該スリーブとを該チューブに向かって前進させるための手段とを備える、手段と、
を備える、装置。
【請求項13】
前記保持手段が、前記可撓性チューブを損傷させることなく保持および固定することが可能なクランプである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プランジャアセンブリの円錐形端部および/または前記カバーが異なるサイズの代替品と交換可能である、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記カバーの遠位端が、初期位置では前記プランジャの前記円錐形端部の基端部に対して同じかまたは少し後退した位置にあるが、該円錐形端部の該遠位端を越えて延びる位置まで移動可能である、請求項12から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記円錐形端部が、その頂部から心棒部分と合致する基端部における最も広い点に向かって増加するフレアを有する、請求項12から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記フレアが楕円形または長円形に基づく、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記プランジャアセンブリとカバーとを前進させるための手段が手動で操作可能である、請求項12から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記プランジャアセンブリとカバーとを前進させるための手段が自動化されている、請求項12から17のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記形成される巻き返しの長さが、前記可撓性チューブの外径の例えば80~120%である、請求項12から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
請求項1から11のいずれか、または請求項12から20のいずれかに記載の装置を、ある長さの巻き返し端部との締まりばめに適したサイズの複数のスリーブと共に備えるキット。
【請求項22】
複数のチューブ支持体をさらに備え、該チューブ支持体が(巻き返されていない)可撓性チューブへの最小すきまばめに適したサイズである、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
チューブの端部を巻き返す方法であって、該チューブが円錐形部の端部を覆って延びるまで該円錐形部分を頂部から先に該チューブの端部に挿入することによって、該チューブの端部を作製する工程、および該フレア状に広げられた円錐形部分を覆って延びるカバーを用いて、該フレア状に広げられた端部を折り返し、巻き返し端部を得る工程を含む、方法。
【請求項24】
前記円錐形部分がその頂部から外向きにフレア状に広がっている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記円錐形部分が、断面において部分的に楕円形または長円形である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記巻き返し端部上にフィットするサイズのスリーブで該巻き返し端部を支持する工程をさらに含む、請求項25に記載のチューブの端部を巻き返す方法。
【請求項27】
前記方法が、前記端部をチューブ支持体上に巻き返す工程をさらに含み、該チューブ支持体が前記可撓性チューブへの最小滑りばめに適したサイズである、請求項26に記載のチューブの端部を巻き返す方法。
【請求項28】
前記スリーブと前記チューブ支持体とを一緒に接続する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記チューブ支持体が、前記可撓性チューブ上にフィットするサイズのスピゴットから実質的に垂直外向きに延びるリップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記チューブ支持体を、前記可撓性チューブを覆って、所要の巻き返し長さに等しい距離だけ該チューブの端部から後退させて位置決めする工程を含む、請求項27から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記カバーが、前記スリーブを前記巻き返し端部上で押し進めるために用いられる、請求項27から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、前記フレア状円錐形部分を覆って延びる前記カバーによって支持かつ移動されるスリーブを用いて前記フレア状に広げられた端部を折り返し、該スリーブによって固定された巻き返し端部を得る改変工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、ある長さの可撓性チューブ上にチューブ支持体を取り付ける工程と、
該フレア状に広げられた端部を該チューブ支持体の上に折り返す工程との、さらなる追加かつ改変工程とを含む、請求項27または32に記載の方法。
【請求項34】
前記形成される巻き返しの長さが、前記可撓性チューブの外径の80~120%である、請求項23から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
可撓性チューブの巻き返し端部を提供し、該巻き返し端部をスリーブで支持する方法であって、
ある長さの該可撓性チューブを支持する工程と、
該チューブが該円錐形部分を越えて延びるまで該チューブの該端部に円錐形部分を挿入してフレア状に広げられた端部を形成する工程と、
該フレア状に広げられた円錐形部分を覆って延びるカバーによって保持された該スリーブを用いて、該フレア状に広げられた端部を折り返し、該スリーブによって支持された可撓性チューブの巻き返し端部を得る工程とを含む、方法。
【請求項36】
最初に、チューブ支持体を、前記可撓性チューブの前記端部に隣接させて、巻き返すチューブの長さの分だけ該端部から離間させて装着する追加の工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記スリーブを前記巻き返し端部上で押し動かしてチューブ支持体と係合させる最後の工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記チューブ支持体が、前記可撓性チューブを覆って位置決めされ、該チューブの前記端部から所要の巻き返し距離だけ後退させられる、請求項35から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記カバーに、前記スリーブを収容するための内部切欠きが設けられている、請求項35から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記形成される巻き返しの長さが、前記可撓性チューブの外径の80~120%である、請求項35から38のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
請求項1から11、または請求項12から20のいずれかに記載の装置を用いる、請求項23から34または請求項35から40のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性チューブの端部を巻き返すための装置、および2つのそのような巻き返し端部の間にシールを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、製薬、化粧品、およびパーソナルケア産業では、多くの製品のバッチ調製に、単回使用の装置、すなわちバイオディスポーザブルシステムが使用されている。牛乳生産システム、醸造および飲料生産、ならびに一般的にホームケア産業、電子産業、食品産業、および医療産業でも同様のシステムが使用されている。単回使用の装置として知られてはいるが、一部のシステムは、少量バッチ生産用ではなく、半恒久的またはさらには本質的に恒久的な設置用に設計されている。
【0003】
単回使用の装置は可撓性チューブを備える。この可撓性チューブは、典型的にはシリコーン製であるが、熱可塑性物質などの他のプラスチック材料で作られる場合もある。製造プロセスで必要な他のチューブまたは装置への接続は、通常、互いにクランプされているフランジ付きコネクタを用いて行われ、フランジ間にゴム製ガスケットが配置されてシールを形成する。フランジ付きコネクタは、中空の、通常は掛かりのあるスピゴットを備え、その上に可撓性チューブが液密な方法で配置される。この標準システムは、トリクローバーシステムとして知られている。当初、トリクローバーシステムは、金属(典型的にはステンレス鋼)で作られた多目的コンポーネントを接続するために開発された。しかし、より最近では、放射線、エチレンオキサイド、または蒸気によって滅菌できるプラスチック材料などを用いた単回使用のバイオディスポーザブルシステムでの使用に適合された。但し、ケーブルタイ、クイック接続システム、ネジ式システム、その他の接続システム、またはすべてのシステムの組み合わせによって固定されるものを含む、他のクランプ装置も使用されている。
【0004】
重要なことに、このような接続部を通過する流体は、チューブだけでなく、フランジ付きコネクタやガスケットにも接触する。これらは典型的には、異なる材料で作られ、規制に準拠するために、少なくとも3種類の材料のそれぞれとの生産ラインの生体適合性のテストを実施する必要がある。製造プロセスに対する変更(例えば、温度または原料の変更)があった場合は、上記少なくとも3種類の材料のすべてについて、再度このようなテストを繰り返すことが必要になり得る。
【0005】
より恒久的なシステムは、締め付け結合された可撓性チューブによって接続された同様の装置を使用し得る。しかし、それらは、突合せ溶接によって相互に接続され得る半可撓性チューブまたは剛性チューブさえも使用する。この手法は使用が難しく、非常に時間がかかる。チューブを通過する液体、溶液、および流体の性質により、高級な材料を使用し、無菌性を実現する必要がある。それでも、このような溶接部の寿命は比較的短い。
【0006】
2本のチューブを接続する理由はさまざまである。これらには、流れを調整したり、ミキサーまたはフィルタのようなシステムの別の要素に挿入するための正しいサイズを提供したりするための、チューブ直径の変更が含まれ得る。
【0007】
Bio Optimal Limited名義のWO2020/182906号には、2本の可撓性チューブを接続するためのシステムであって、各チューブの端部がそれら自体の上に巻き返され、2つの巻き返し端部が互いに押し付けられてシールを形成するシステムが記載されている。
【0008】
可撓性チューブは、曲げることができるチューブであるが、継続的な力が加わらなければ、一般的に元の形状に戻る。この特徴は、業界では「記憶」を有するとして知られており、すなわち、最初に形成された形状の記憶を有し、その形状に戻るというものである。さらに、可撓性チューブは、損傷することなく曲げ変形し、元の形状に弾性復元することを可能にする弾性を有している。巻き返し端部を支持するために、WO2020/182906号には、巻き返し端部を挟持し、巻き返し端部がまっすぐな巻き返されていないチューブに逆戻りできないことを確実にする、チューブ支持体とスリーブとが記載されている。このような取付品は、安定した巻き返し端部を形成するのに必須ではないが、このような巻き返し端部を支持し、かつクランプなどの任意の接続用取付品のための装着部または当接部を設けるのに有利である。
【0009】
可撓性チューブは、端部を巻き返されることに対する抵抗があり、材料の強度と端部の直径とに起因して、端部の巻き返しは手作業で行うことが困難なプロセスであり得る。巻き返し端部が得られた後、巻き返し長さが短く、典型的にはチューブの外径よりも短い場合は、何らかの保持手段がなければ、チューブは巻かれていない展開した状態に弾性復元してしまう。しかし、巻き返し長さが十分で、典型的にはチューブの外径よりも長い場合は、チューブの弾性と記憶とが、チューブが展開するのに必要な材料の屈曲を防ぐ傾向がある。巻き返しの長さが減少、もしくは展開すると、チューブを展開するのにかなり小さな力しか必要でなくなり、また、これはチューブの記憶と弾性とによって助けられる。したがって、巻き返し端部を支持および保護することが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、チューブ端部の巻き返しと、チューブ支持体とスリーブとのチューブへの位置決めおよびフィットとを支援する装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、可撓性チューブの端部を巻き返すための装置であって、
可撓性チューブを保持するための手段と、
可撓性チューブの端部を巻き返すための手段であって、該手段は該可撓性チューブを保持するための手段と位置合わせされており、
円錐形端部を有するプランジャであって、円錐形端部の頂部が、プランジャの遠位端にあり、可撓性チューブの内径以上の直径となるまでフレア状に広がっている、プランジャと、
プランジャを覆って延び、プランジャと共にも別にも移動可能である、カバーと、
プランジャとカバーとをチューブに向かって前進させるための手段と、
を備える、手段、
を備える、装置が提供される。
【0012】
本発明の理解を助けるために、本発明の特定の実施形態を以下の添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、可撓性チューブを支持するための手段の蓋を開いた状態を示す、本発明に係る装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、可撓性チューブを支持するための手段の蓋を閉じた状態を示す、
図1の装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、可撓性チューブをチューブ支持体とスリーブとで保持する、
図1の装置の断面図である。
【
図4】
図4は、プランジャがチューブ内に進入し、チューブの端部がフレア状に広げられているが、巻き返されてはいない状態を示す、
図4の装置の断面図である。
【
図5】
図5は、装置からチューブを取り出す前の、チューブがチューブ支持体の上に巻き返され、スリーブで保持されている、
図3の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
使用時には、可撓性チューブは、可撓性チューブを保持するための手段内に配置され、その端部は、円錐形端部または円錐の一般にチューブの内径以下の直径を有する頂部に隣接させて配置される。チューブは所定位置に保持されながら、プランジャとその円錐形端部とがチューブ内に進入させられ、カバーもまた、円錐形端部のフレアと同じかまたは少し後ろに離間した位置まで前進させられる。プランジャの移動によって、円錐形端部がチューブに押し込まれ、それにより、チューブの端部が外向きに押し出され、円錐の周囲に円錐形端部の端部を越えてフレア状に広がり、それにより、円錐形端部の外縁よりも突出する。円錐形端部の前進移動は、実質的に、所要の巻き返し長さまでである。その時点で、円錐形端部は前進を停止するが、カバーは前進し続ける。カバーの前進移動が、チューブの突出するフレア状に広げられた端部を押圧して反転させ、巻き返し端部を形成する。
【0015】
典型的には、保持手段は、可撓性チューブを損傷させることなく保持および固定することが可能なクランプである。
【0016】
有利には、プランジャアセンブリの円錐形端部とカバーとが、異なるサイズの代替品と交換可能であってもよい。これにより、可撓性チューブに適切なサイズの円錐とカバーとを装置に設けることができる。あるいは、装置を、異なる直径の可撓性チューブに適したさまざまなサイズで提供することができる。
【0017】
初期位置では、カバーの遠位端は適切には円錐形端部のフレア状に広がった端部との位置にあるか、または円錐形端部のフレア状に広がった端部から少し後退した位置にあるが、円錐の頂部を越えて延びる位置まで移動可能である。カバーの端部をプランジャの円錐形部分から少し後退させて設けることによって、チューブ端部を巻き返す前にチューブ端部をフレア状に広げることが容易になり得る。
【0018】
円錐形端部の詳細な形状は重要ではない。円錐頂部は、一般に切頭されているが、その直径は開口したチューブ端部に難なく収まる程度に小さい。頂部は尖っていなくてもよい。適切には、円錐は、その頂部からプランジャの残りの部分と合する最も広い点に向かって広がりの傾斜が増加するようにフレア状に外向きに広がっている。例えば、フレアは断面が部分的に楕円形または長円形であってもよい。フレアの増加は、プランジャを越えて突出するチューブのフレア状に広げられた端部を垂直方向へ向け、それにより、チューブ端部を巻き返すために突出端部がカバー(または、後述のようにスリーブ)によって捕らえられるようにするのを助けることが分かっている。
【0019】
プランジャの円錐形端部(したがって、その点でのプランジャ)の外径は、チューブ外径とほぼ同じでもよく、チューブ外径よりも少し大きくてもよい。チューブよりも直径が大きい場合、このことは、フレア状に広げられたチューブを、巻き返す準備ができた状態にするのに役立ち得る。円錐形端部は、直径がチューブ(の外径)よりも少なくとも0.5mm、1mm、もしくは2mmであってもよく、または3mmを超えて大きくてもよく、好ましくは、少なくとも1mm大きい。
【0020】
以下の実施形態に示すように、円錐形端部は、その長さの大部分が可撓性チューブ内に収まることができるようなサイズであり得る。よって、チューブの長さは、チューブの内径に約10~30%、好ましくは10~20%、より好ましくは10~15%を加えたものであり得る。
【0021】
カバーは、典型的にはプランジャを取り囲み、両者は、典型的には実質的に円形の断面を有する。好適には、以下の実施形態に示すように、カバーは、開放円筒であり、したがって、プランジャを取り囲みかつプランジャと同軸のリング状である。本装置は、プランジャとは独立してカバーを押して、突出しているチューブ端部に係合させ、チューブ端部を巻き返すことができる。以下で詳細に説明するように、カバー自体が、スリーブまたはリングを押してチューブ端部を巻き返させ、次にスリーブまたはリングを巻き返し端部上でさらに押し進めて巻き返し端部をその位置に保持してもよい。
【0022】
通常、本装置は、チューブ支持体とスリーブとをチューブに装着して巻き返し端部を支持するようにも適合されている。最終製品は、チューブ支持体上に巻き返し端部があり、巻き返し端部がスリーブによってチューブ支持体に保持されたチューブである。この製品は、その断面において、チューブの内側から外側に向かって、チューブと、チューブを取り囲むチューブ支持体と、チューブ支持体を取り囲む巻き返し端部と、巻き返し端部を取り囲むスリーブとを有する。これを実現するために、チューブの端部を巻き返すための手段には、カバーとプランジャとの間の内面に、スリーブを保持するサイズの窪みが設けられている。このことにより、確実に、カバーの前進によってスリーブが移動し、突出しているフレア状に広げられたチューブ端部に係合して折り返すのはスリーブである。
【0023】
使用時には、カバーの内面の窪みにスリーブが配置され、チューブは、チューブ支持体内に配置され、円錐の端部を覆って配置され、ここで、チューブ支持体の端部は上記チューブ保持手段に当接して可撓性チューブの端部を保持している。円錐が前進すると、円錐は、チューブの端部を当該円錐の端部からフレア状に外向きに広げる。円錐がチューブ内に完全に押し込まれ、それにより、フレア状に広げられた端部がプランジャの外径よりも突出すると、プランジャは前進移動しなくなるが、カバーはスリーブを伴って前進移動し続け、突出しているフレア状に広げられたチューブ端部に係合し、チューブ端部を巻き返し、その後、スリーブをチューブの巻き返し端部上で押し進め、巻き返し端部をその位置で保持する。
【0024】
通常、チューブは、チューブの端部の周囲に実質的に巻き返し長さの分だけチューブの端部から後退して配置されたチューブ支持体を備えている。
【0025】
適切なチューブ支持体は、通常、巻き返し端部の長さを規定するリップを備えている。リップに窪みを設けることができ、スリーブに当該窪みにフィットする突起を設けることができると、有利である。本装置は、突起を窪みに係合させるのに十分な程度までスリーブを前進移動させることにより、チューブ支持体とスリーブとを係合させ、正しく装着されたことを確認する。あるいは、窪みがスリーブに設けられ、突起がチューブ支持体に設けられていてもよく、その場合も、本装置は、窪みと突起との間の係合があるようにスリーブを前進移動させる。通常、窪みと突起とは、チューブ支持体とスリーブの周囲で連続している。しかし、突起、または窪みと突起の両方が不連続であってもよい。
【0026】
通常、可撓性チューブを締め付け固定するための手段とチューブの端部を巻き返すための手段とはベース上に固定されている。
【0027】
円錐とプランジャとカバーとを前進させるための手段は、手動で操作可能であってもよく、自動化されて、例えば電気駆動式であってもよい。
【0028】
巻き返しのサイズまたは長さは、チューブ支持体が設けられる場合はチューブを締め付け固定する手段から延びるチューブ支持体の端部から延びているチューブの長さ、またはプランジャの円錐の前進移動によって決まる。
【0029】
好ましくは、形成される巻き返しの長さは、可撓性チューブの外径と実質的に同じであり、例えば、可撓性チューブの外径の80~120%、好ましくは当該外径の85~115%、最も好ましくは可撓性チューブの外径の90~110%である。有利には、形成される巻き返しは、チューブの外径の95~105%であり得る。
【0030】
チューブ支持体が設けられる場合、チューブは、典型的には、チューブの外径と実質的に等しい長さ、例えば、当該外径の80~120%、好ましくは当該外径の85~115%、最も好ましくは外径の90~110%だけチューブ支持体を越えて延びる。ほとんどの場合、チューブは、チューブの外径の95~105%に等しい長さだけ、チューブ支持体の端部を越えて延びる。これは、実質的にチューブ支持体の長さ、つまりチューブ支持体の端部とリップとの間の距離でもある。
【0031】
巻き返しの長さは本発明の実施にとって重要ではない。上述したように、チューブは弾性と記憶とを有する可撓性チューブである。このようなチューブが巻き返されると、チューブの性質のため、チューブが展開して元の形状に戻ろうとする。しかし、チューブがある一定の長さ巻き返されると、巻き返された状態のチューブの形状は、本質的に展開状態の形状となり、このことによって、チューブの展開が防止されることになる。この長さは、チューブの詳細な性質、チューブの製造材料、ならびにチューブの可撓性および記憶によって決まる。典型的には、この長さは、ほぼチューブの外径であるが、チューブの製造材料および厚さにもよる。現在使用されているチューブについては、前述のようにほぼチューブの外径となっている。
【0032】
本発明の第2の局面によると、可撓性チューブの端部を巻き返し、巻き返し端部にスリーブを取り付けるための装置が提供され、この装置は本発明の第1の局面による装置を備え、
カバーは、プランジャアセンブリを覆って延び、プランジャと共にも別にも移動可能であり、遠位端にスリーブを保持し、スリーブはカバーの移動によって前進させられ、そして
この装置は、プランジャとカバーとスリーブとをチューブに向かって前進させるための手段を備える。
【0033】
使用時には、可撓性チューブは、可撓性チューブを保持するための手段内に配置され、その端部は、チューブの直径以下の直径を有する円錐形端部または円錐の一部を覆って配置される。チューブは所定位置に保持されながら、プランジャと円錐形端部とはチューブ内に前進させられ、カバーも円錐のフレアと同じ位置まで前進させられる。プランジャの移動によって、チューブの端部が円錐形端部の周囲でフレア状に外向きに広げられ、円錐の端部よりも突出する。円錐の前進移動は、実質的に所要の巻き返し長さまでである。その時点で、円錐形端部は前進を停止するが、カバーは前進し続ける。カバーの移動によって、スリーブも同程度に移動する。カバーとスリーブとの前進移動が、突出しているフレア状に広げられたチューブの端部を押圧して反転させ、これにより、巻き返し端部を形成する。引き続き移動すると、スリーブは、可撓性チューブの巻き返し端部に沿ってさらに押し進められ、巻き返された部分を保持し、確実に可撓性チューブを展開できなくする。カバーとプランジャの前進移動が完了すると、これらの要素は退避される。これにより、円錐が可撓性チューブの端部から取り外され、可撓性チューブの周囲からカバーが取り外される。しかし、スリーブは取り外されず、巻き返し端部を覆って固定する位置に残されたままとなる。
【0034】
可撓性チューブの巻き返し端部を保持、支持、または安定化させるためにスリーブの使用は必須ではないが、巻き返しが十分に長い場合には、スリーブの使用が有利である。第2の局面の装置の機能および要件は、上記のように第1の局面のものと基本的に同一である。
【0035】
典型的には、上記保持手段は、可撓性チューブを損傷させることなく保持および固定することが可能なクランプである。
【0036】
有利には、プランジャアセンブリの円錐形端部とカバーとは、交換可能であってもよい。これにより、可撓性チューブに適切なサイズ、すなわち異なる内径および外径、および/または異なる壁厚の円錐とカバーとを装置に設けることができる。あるいは、装置を異なる直径の可撓性チューブに適した様々なサイズで提供することができる。
【0037】
初期位置では、カバーの遠位端は円錐形端部のフレア状に広がった端部と同じかまたは少し後退した位置にあるが、円錐の頂部を越えて延びる位置まで移動可能である。カバーの端部を円錐形端部の端部から少し後退させて設けることによって、円錐形端部が邪魔にならずにチューブを終端させることができる。
【0038】
プランジャの円錐形端部(したがって、その点でのプランジャ)の外径は、チューブ外径とほぼ同じであってもよく、チューブ外径よりも少し大きくてもよい。チューブよりも直径が大きい場合、このことは、フレア状に広げられたチューブを巻き返される準備ができた状態にするのに役立ち得る。円錐形端部は、直径がチューブ(の外径)よりも少なくとも0.5mmまたは1mm、または2mm、あるいは32mm超であってもよく、好ましくは、直径が少なくとも1mm大きい。
【0039】
以下の実施形態に示すように、円錐形端部は、その長さの大部分が可撓性チューブ内に収まることができるようなサイズであり得る。よって、チューブの長さは、チューブの内径に約10~30%、好ましくは10~20%、より好ましくは10~15%を加えたものであり得る。
【0040】
通常、本装置は、端部を巻き返す前に可撓性チューブを覆って装着されたチューブ支持体にスリーブを固定するためにも使用される。チューブ支持体が設けられる場合、本装置は、可撓性チューブをチューブ支持体の上に巻き返すことになる。適切なチューブ支持体は、通常、巻き返し端部の長さを規定するリップを備えている。リップに窪みを設けることができ、スリーブに窪みにフィットする突起を設けることができると有利である。本装置は、突起を窪みに係合させるのに十分な程度までスリーブを前進移動させることにより、チューブ支持体とスリーブとを係合させ、正しく装着されたことを確認する。あるいは、窪みがスリーブに設けられ、突起がチューブ支持体に設けられていてもよく、その場合も、装置は、窪みと突起との間の係合があるようにスリーブを前進移動させる。通常、窪みと突起とはチューブ支持体とスリーブの周囲で連続している。しかし、突起、または窪みと突起の両方が不連続であってもよい。
【0041】
円錐とプランジャとカバーとを前進させるための手段は、手動で操作可能であってもよく、または自動化されて例えば電気駆動式であってもよい。
【0042】
巻き返しのサイズもしくは長さは、チューブ支持体が設けられている場合はチューブを締め付け固定する手段から延びるチューブ支持体の端部から延びているチューブの長さ、あるいはプランジャの円錐の前進移動によって決定される。
【0043】
チューブ支持体が設けられる場合、チューブは、典型的には、チューブの外径と実質的に等しい長さ、例えば、外径の80~120%、好ましくは外径の85~115%、最も好ましくは外径の90~110%だけチューブ支持体を越えて延びる。ほとんどの場合、チューブは、チューブの外径の95~105%に等しい長さだけ、チューブ支持体の端部を越えて延びる。これは、実質的にチューブ支持体の長さ、つまりチューブ支持体の端部とリップとの間の距離でもある。
【0044】
巻き返しの長さは、本発明の実施にとって重要ではない。上述したように、チューブは弾性と記憶とを有する可撓性チューブである。このようなチューブが巻き返されると、チューブの性質により、チューブが展開して元の形状に戻ろうとする。しかし、チューブがある一定の長さ巻き返されると、巻き返された状態のチューブの形状は、本質的に展開状態の形状となり、このことによって、チューブの展開が防止されることになる。この長さは、チューブの詳細な性質、チューブの製造材料、ならびにチューブの可撓性および記憶によって決まる。典型的には、この長さは、ほぼチューブの外径であるが、チューブの製造材料および厚さにも依存する。現在使用されているチューブについては、前述のように、ほぼチューブの外径となっている。
【0045】
本発明の第3の局面によると、第1の局面の装置を、巻き返し端部への締まりばめに適したサイズの複数のスリーブと共に備えるキットが提供される。
【0046】
好ましくは、キットは(巻き返されていない)可撓性チューブへの締まりばめに適したサイズの複数のチューブ支持体を備えていてもよい。通常、チューブ支持体は、支持体の端部から垂直に可撓性チューブから離れる方向に延びるリップも備えている。
【0047】
スリーブとチューブ支持体は、それらを一緒に接続することを可能にする係合要素を備えていることが有利である。係合要素は、巻き返し端部から離れたチューブ支持体およびスリーブのそれぞれの端部に隣接しているのが好ましい。典型的には、係合要素は、チューブ支持体またはスリーブの一方に1つまたはそれ以上の突起を備え、チューブ支持体またはスリーブの他方に1つまたはそれ以上の対応する窪みを備える。チューブ支持体に1つまたはそれ以上の窪みが設けられ、スリーブに1つまたはそれ以上の対応する突起が設けられることが好ましい。
【0048】
本発明の第4の局面によると、チューブの端部を巻き返す方法であって、チューブがフレア状に広げられた円錐形部分の端部を覆って延びるまでフレア状に広げられた円錐形部分をチューブの端部に挿入して、フレア状に広げられた端部を形成する工程と、フレア状に広げられた円錐形部分を覆って延びるカバーを用いて、フレア状に広げられた端部を折り返し、巻き返し端部を得る工程とを含む方法が提供される。
【0049】
これは、第1の局面の装置を用いて達成され得る。
【0050】
本方法は、支持されていない巻き返し端部を提供するために使用され得るが、通常は、本方法は、可撓性チューブ(巻き返されていないとき)上にフィットするサイズのチューブ支持体と、チューブ支持体の上に巻き返された可撓性チューブの端部上にフィットするサイズのスリーブとで巻き返し端部を支持する工程をさらに含む。
【0051】
よって、本方法は、フレア状に広げられた円錐形部分を覆って延びるカバーによって押し進められるスリーブを用いて、フレア状に広げられた端部を折り返し、スリーブに固定された巻き返し端部を得る改変工程を含む。
【0052】
本方法は、チューブ支持体をある長さの可撓性チューブに取り付け、フレア状に広げられた端部をチューブ支持体の上に折り返す、さらなる追加の改変工程を含んでいてもよい。
【0053】
第5の局面によると、可撓性チューブの巻き返し端部を提供し、巻き返し端部をスリーブで支持する方法であって、
ある長さの可撓性チューブを支持する工程と、
チューブがフレア状に広げられた円錐形部分を越えて延びるまでチューブの端部にフレア状に広げられた円錐形部分を挿入してフレア状に広げられた端部を形成する工程と、
フレア状に広げられた円錐形部分を覆って延びるカバーによって保持されたスリーブを用いてフレア状に広げられた端部を折り返し、スリーブによって支持された可撓性チューブの巻き返し端部を得る工程とを含む方法が提供される。
【0054】
本方法は、第1または第2の局面の装置あるいは第3の局面のキットを用いて実現され得る。
【0055】
通常は、本方法は、
最初に、チューブ支持体を、可撓性チューブの端部に隣接させて、巻き返すチューブの長さの分だけ端部から離間させて装着する追加の工程をさらに含む。
【0056】
これにより、フレア状に広げられた端部を折り返し、チューブの端部をチューブ支持体の上に折り返し、スリーブをチューブ支持体の上の巻き返し端部上で押し進める工程が生じる。
【0057】
好ましくは、チューブ支持体およびスリーブが係合のための形成物とともに提供され、それにより、スリーブを用いてフレア状に広げられた端部を折り返す工程は、スリーブを巻き返し端部上で押し進めてチューブ支持体に係合させることも含み得る。
【0058】
通常、チューブ支持体は、可撓性チューブ上にフィットするサイズのスピゴットを含んでいる。好ましくは、チューブ支持体とスリーブとは、一緒に接続可能になっている。有利には、チューブ支持体は、スピゴットから実質的に垂直外向きに延びるリップを備えていてもよい。これは、チューブ支持体およびスリーブを接続するために用いることができ、巻き返しの長さのための当り止めまたは目安も提供する。
【0059】
使用時には、チューブ支持体は、可撓性チューブを覆って所要の巻き返しと実質的に等しい距離だけチューブの端部から後退させて位置決めされる。次いで、円錐は、チューブに押し込んで、スピゴットの端部から延びる距離だけチューブをフレア状に広げられる。次いで、カバーを用いてスリーブを巻き返し端部上で押し進めてもよい。
【0060】
有利には、カバーはスリーブを収容するための内部切欠きを備え得る。
【実施例】
【0061】
まず
図1~
図3を参照すると、これらの図面に示す装置1は、可撓性チューブTの端部Eを巻き返し、巻き返し端部を支持するチューブ支持体TSとスリーブSとをフィットするように設計されている。
【0062】
本装置は、要素を確実に所定の距離に維持するためにベース2を備えている。これにより本装置を運搬することも可能となっている。
【0063】
ベース2の一端部4に隣接して、可撓性チューブを保持または締め付け固定する手段、つまりチューブホルダ10が設けられている。これは、可撓性チューブTの端部Eを巻き返すことができるように可撓性チューブTを保持するように設計されているものである。チューブホルダ10は、チューブを配置することができる溝12と、開閉可能な蓋14とを備え、蓋14は、チューブTの配置を可能にするものであり、チューブを所定位置に保持するために閉じることができる。蓋14には留め具16が設けられており、この留め具16が溝12における突起18に留まる。このチューブ固定手段は本装置のベース2上に固定されている。
【0064】
溝12および蓋14には、一連の丸い突出部(lobes)、または突起15が設けられており、それらは、チューブTが溝12に配置されて蓋14が閉じられると、チューブTに押し付けられてチューブTを変形させ、チューブホルダ10内でのチューブの前後移動を防止する。
【0065】
ベース2は、チューブTの端部Eを巻き返すための手段30も保持しており、手段30は、フレア状に広げられた円錐形部分36を遠位端に有するプランジャ34を含むプランジャアセンブリ32を備えている。円錐形部分36は、円錐の広い方の端部のみを含み、円錐の頂点は存在しない。但し、別の実施形態では頂点が存在していてもよい。円錐形部分36は、標準の円錐形と比較してフレア状に広がっている。プランジャ34の直径は可撓性チューブTの外径よりも少し大きく、円錐形部分36はこの直径までフレア状に広がっている。チューブTの端部を巻き返すための手段30は、プランジャ34の前進移動がチューブTの中心に合うように、チューブホルダ10と位置合わせされている。
【0066】
「フレア状に広がる」という用語は、円錐の直径の増加が直線的ではなく、直線より大きいことを示す。
【0067】
プランジャの周囲に、プランジャ34に滑りばめするように設計されたカバー40が設けられている。スリーブ40は、その基端部44の内側に切欠き部または窪み42を有し、実質的に窪み内にスリーブSを配置できるように設計されている。作動前は、カバーの端部44を、円錐形部分36のフレア状に広がった端部からほんの少し後退させている。このことにより、円錐形部分36は、カバー40が邪魔になることなくチューブTに進入することが可能である。
【0068】
プランジャアセンブリは、一般に金属(例えばアルミニウム)などの硬質材料で作られている。あるいは、これは硬質のプラスチック材料で作られていることもある。
【0069】
プランジャアセンブリは、内部にプランジャアセンブリが滑りばめにより取り付けられるプランジャアセンブリ筐体50によって、ベース2上に保持されている。
【0070】
ベース2の他の端部6には、プランジャアセンブリを前進させるためのアクチュエータ機構60が、プランジャアセンブリ34に接続されて設けられている。図示するように、この機構60は手動で操作される機構であるが、プランジャアセンブリの移動は、当該技術分野において周知の機構および手段を用いて自動化されてもよい。図示するように、機構は、プランジャ32を前進させるためのカム面62と、カバー40を前進させるための別個のカム面64とを含む。カム面62および64を回転させるための前進手段66も設けられており、1回の動きでプランジャとカバーの両方を前進させることを可能にしている。
【0071】
カム面62および64は、同一の開始面部分70を有する。但し、カム面62は、円錐形部分36を移動させるためのプランジャ34と係合しているが、カム面64は、カバー40の端部46と係合していない。したがって、最初は、ハンドル66を動かすと、両カム面は、カム面62がプランジャ34を移動させるが、カム面64の動きはカバー40を移動させないように動く。プランジャを移動させるカム面62は、次に、プランジャを基本的に固定位置に維持する部分72を含む。すなわち、当該部分72は、単に円弧に沿っているだけである。カバー40を移動させるカム面64は、最初にカバー40の端部46と係合してカバー40を前進移動させる同等の部分74を含む。そして、両カム面62,64は、その次に、実質的にカム面の初期部分である停止部分76を含む。これらの面は、ベース上の停止部分78、つまり作動機構の一部に当接する。カム面62および64の動きは両面を同時に動かすハンドル66(図示せず)の動きによって作動される。
【0072】
カム面62,64の動きは、ハンドル(図示せず)をピン66上で位置決めすることによって制御される。ハンドルを回転させると、ピン66が回転し、カム面をプランジャ34およびスリーブの端部に当てて動かす。
【0073】
使用時、使用者は、カバー40の遠位端44の切欠き部分42にスリーブSを配置する。使用者は、次に、チューブ支持体TSを、可撓性チューブTの端部に被せて、チューブの端部Eから所望の巻き返し距離だけ後退させて配置する。この距離は、ほぼスピゴットの端部からチューブ支持体TSのリップまでの距離である。次いで、チューブTを、チューブホルダ10内に配置し、チューブ支持体TSと可撓性チューブTの端部とが可撓性チューブ固定手段10からプランジャアセンブリ20の方向に延びるように位置決めされる。チューブ支持体TSのリップは、可撓性チューブ固定手段10の端部に突き当たり、そのサイズによって、可撓性チューブ固定手段10に進入しないようになっている。チューブの端部Eが確実に円錐形部分36を覆って配置されるようにすることも重要である。チューブTを所定の位置に配置すると、蓋14が閉じられ、留め具16で留められる。これを
図1~
図3に示す。
【0074】
端部の巻き返しを作動させるために、使用者は、カム面62,64をプランジャおよびカバーアセンブリの端部に当てて動かしてそれらを可撓性チューブTに向かって前進させるアクチュエータ機構60のハンドル66を動かし始める。これを
図4に示す。最初に、円錐形部分36が可撓性チューブTに押し込まれ、チューブが円錐形部分36の経路に沿って湾曲するときにチューブをフレア状に広げる。この段階では、カバー40は、プランジャ34と同じ距離だけ移動しているため、依然として円錐形部分36の端部に、または円錐形部分36から少し後方に位置している。プランジャアセンブリの前進移動の終わりには、円錐形部分36は、ほぼ完全に可撓性チューブT内に押し込まれており、可撓性チューブが、円錐形部分の湾曲に沿って、円錐形部分36の端部を少し越えて、チューブTの長さに対してほぼ垂直にフレア状に広げられている状態である。可撓性チューブTのフレア状に広げられた部分は、その端部Eからチューブ支持体TSの縁までにわたる。チューブ支持体TSの縁はプランジャおよび円錐形部分36のさらなる前進移動を防止する。加えて、カム面62は、ハンドルがさらに回転される間、プランジャの位置が一定のままであるような形状になっている。
【0075】
ここで
図5を参照すると、使用者がハンドル66を動かし続けると、カム面62はプランジャの前進移動を停止するが、カム面64は、スリーブSを保持しているカラー40を確実に引き続き前進移動させる。カバー40の前進移動により、チューブTのフレア状に広げられた端部Eが折り返され、巻き返し端部Rが形成される。カラー40が引き続き前進移動すると、チューブTの巻き返し部分がチューブ支持体TSにぴったりと押し付けられ、スリーブSは巻き返し端部R上を押し進められる。スリーブSは、チューブ支持体TSのリップに突き当たるまで巻き返し端部上を押し進められ、それにより、スリーブSとチューブ支持体TS(設けられている場合)とにおける突起と窪みの係合が達成される。
【0076】
その後、ハンドルを静止位置に戻し、カラー40とプランジャ34とを可撓性チューブTから退避させる。カバー40を退避させると、スリーブSは、チューブTの巻き返し端部Eの周囲の所定位置に残される。
【0077】
プランジャアセンブリ30を退避させた後は、チューブホルダ10の蓋14を開き、チューブTを取り出すことができる。
【0078】
これで、チューブがチューブ支持体TSとスリーブSとによって支持されており、シールを形成するために使用され得る巻き返し端部とともに提供される。
【0079】
チューブホルダ10およびその溝12は、プランジャアセンブリ、プランジャ、円錐形部分、およびスリーブと同様に、可撓性チューブの直径に適したサイズで提供される。
【0080】
図示しないいくつかの実施形態では、円錐形端部36とカバー40とが着脱可能であってもよい。これにより、端部を巻き返す対象となるチューブに適切なサイズの代替の円錐形端部とカバーとの組み合わせを挿着することが可能になる。円錐形端部36は、接合部82で取り外し、適切なサイズの別の円錐形端部と交換することができる。同様に、カバーは、接合部84で取り外し、適切なサイズのものと交換することができる。着脱可能なカバーが設けられる場合、それらはプランジャアセンブリからの取外しを支援するために端部フランジ(図示せず)を備えていてもよい。
【0081】
本装置は、適切なサイズに形成されれば、任意の直径の可撓性チューブの端部を巻き返すのに用いることができる。但し、典型的には、1/8インチ(3.175mm)~1インチ(25.4mm)の直径を有するチューブが適切である。このようなチューブは、一般に、1/8インチ(3.175mm)の壁厚を有するが、1/16インチ(1.5875)~3/16インチ(4.7625)の厚さを有していてもよい。
【0082】
巻き返しの長さは、典型的には1/8インチ(3.175mm)~3/4インチ(19.05mm)であり、より典型的には3/16インチ(4.7625mm)~1/2インチ(12.7mm)であり、最も典型的には1/4インチ(6.35mm)~3/8インチ(9.525mm)である。ここでもやはり、使用者の要求に応じて、かつチューブ支持体TSおよびスリーブSが設けられる場合はそれらに応じて、他の長さを巻き返すことも可能である。
【国際調査報告】