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特表2023-5136578-オキソグアニンを含むRNA干渉誘導核酸、8-オキソグアニンを含むマイクロRNAと結合する修飾核酸およびこれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】8-オキソグアニンを含むRNA干渉誘導核酸、8-オキソグアニンを含むマイクロRNAと結合する修飾核酸およびこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230327BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230327BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230327BHJP
   A01K 67/027 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/09 Z
C12N15/63 Z
C12Q1/6869 Z
A01K67/027
A61K31/7115
A61K45/00
A61K31/198
A61K48/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P39/06
A61P43/00 121
A61K31/085
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531533
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2020017341
(87)【国際公開番号】W WO2021107747
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0156147
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
3.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チ ソン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ソク ヒ ヨン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ02
4B063QQ52
4B063QS36
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA361
4C084ZA751
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC371
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA36
4C086ZA75
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA27
4C206JA59
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA36
4C206ZA75
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZC37
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明では、核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖において、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(oG)を含むRNA干渉誘導核酸および5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸を製造し、細胞またはマウスに投与した時、多様な病理生理学的現象が誘導されることを確認した。また、酸化ストレスによってマイクロRNAのシード領域においてグアニン(G)の8-オキソグアニン(oG)への酸化修飾が起こったマイクロRNAの逆転写を通じて製造されたcDNAでG→Tに修飾が起こった位置を同定して、8-オキソグアニンに酸化修飾が起こった位置を確認した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖において、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)を含む、RNA干渉誘導核酸。
【請求項2】
前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドはマイクロRNAの配列を含む、請求項1に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項3】
前記マイクロRNAは下記グループ1のマイクロRNAのうちの一つ以上である、請求項2に記載のRNA干渉誘導核酸:
[グループ1]
miR-1、miR-184、let-7f-5p、miR-1-3p、miR-122、let-7、miR-124。
【請求項4】
8-オキソグアニン(oG)の位置でoG:A配置が生じて標的サイトを認識する、請求項1に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項5】
下記グループ2のポリヌクレオチドのうちの一つ以上を含む、請求項1に記載のRNA干渉誘導核酸:
[グループ2]
配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UoGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGoGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGGAAUoGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号65の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-U Go GAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’);
配列番号66の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGA UAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’);
配列番号67の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UAA GCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’)。
【請求項6】
前記RNA干渉誘導核酸を細胞または動物に注入する場合、心筋肥大、肝癌細胞の遊走抑制またはアポトーシスが誘導される、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項7】
請求項1のRNA干渉誘導核酸および抗酸化剤を含む組成物。
【請求項8】
下記の工程を含む、8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)の位置同定方法:
(a)細胞からRNAを抽出する工程;
(b)前記抽出したRNAから8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを抗-oG抗体を用いて免疫沈降法(IP)で分離する工程;
(c)前記分離した8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを逆転写してcDNAを製造し、8-オキソグアニン(oG)の位置を把握するためのシーケンシングライブラリーを製作して、シーケンシングする工程;および
(d)前記シーケンシングの結果、グアニン(G)がチミン(Thymine;T)に修飾された位置を確認してグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾された位置を同定する工程。
【請求項9】
5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドとしてアデニン(Adenine;A)を含む、修飾核酸。
【請求項10】
前記修飾されたマイクロRNAは、5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたものであり、
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目または3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドとしてアデニン(A)を含む、請求項9に記載の修飾核酸。
【請求項11】
5’-ACAUUC-3’、5’-ACAUUC-3’、5’-AAUUCC-3’のうちの一つ以上の塩基配列を含む、請求項9に記載の修飾核酸。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項13】
5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸はマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(Adenine;A)を含む修飾核酸、または、
前記修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを含む、
心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項14】
前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pである、請求項13に記載の心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項15】
抗酸化剤をさらに含む、請求項13に記載の心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項16】
核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖で、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドは一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)を含むRNA干渉誘導核酸を含む、肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物。
【請求項17】
前記マイクロRNAはmiR-122である、請求項16に記載の肝癌治療用薬学組成物。
【請求項18】
前記マイクロRNAはlet-7またはmiR-124である、請求項16に記載の膠芽腫治療用薬学組成物。
【請求項19】
抗酸化剤をさらに含む、請求項16に記載の肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物。
【請求項20】
抗酸化剤を有効成分として含む心肥大症予防または治療用薬学組成物であって、 前記抗酸化剤は、RNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(Guanine;G)の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)への酸化修飾を抑制することを特徴とする、薬学組成物。
【請求項21】
前記抗酸化剤は、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)またはブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)である、請求項20に記載の薬学組成物。
【請求項22】
前記RNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pである、請求項20に記載の薬学組成物。
【請求項23】
動物の心筋細胞から分離されたマイクロRNAのヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されているか否かを確認する工程;および
前記マイクロRNAのヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されている場合、心肥大症に分類する工程を含む、
心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項24】
前記ヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドである、請求項23に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項25】
前記ヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドである、請求項23に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項26】
前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pである、請求項23~25のうちのいずれか一項に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項27】
(a)請求項8の修飾核酸をコードする遺伝子をプロモーターに作動可能に連結して組換えベクターを製作する工程;
(b)前記組換えベクターを動物の受精卵に導入する工程;および
(c)前記受精卵を発生させて形質転換動物モデルを得る工程を含む、ヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデルの製作方法。
【請求項28】
請求項27の方法で製作された、ヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデル。
【請求項29】
(a)心肥大症動物モデルの心筋細胞に候補物質を処理する工程;
(b)前記心肥大症動物モデルの心筋細胞で発現されるマイクロRNAのヌクレオチドのうちのグアニン(Guanine;G)の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)への修飾頻度を分析する工程;および
(c)前記8-オキソグアニン(oG)が候補物質を処理していない場合に比べて減少する場合、前記候補物質を心肥大症治療剤として選別する工程を含む、心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法。
【請求項30】
前記候補物質は抗酸化剤である、請求項29に記載の心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8-オキソグアニンを含むRNA干渉誘導核酸、8-オキソグアニンを含むマイクロRNAに特異的に結合する修飾核酸およびこれらを用いた薬学組成物、組換え動物モデル、薬物のスクリーニング方法、病気の診断方法および病理生理学的現象を調節する方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞が病理生理学的変化を経るようになれば、一般に酸化ストレスが発生し、これによって活性酸素(reactive oxygen species;ROS)が発生する。発生した活性酸素は大きな反応性によって様々な生物学的構成体を修飾し、そのうちの最も容易に修飾されるものがRNAである。特に、酸化修飾されるRNA塩基のうち最も容易に多く起こることがグアニン(Guanine;G)塩基が酸化修飾されて8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されることである。
【0003】
一方、心臓疾患は癌を含んで大韓民国成人の3大死亡疾患の一つである。その発病過程の様々な病理的ストレスが心臓組織のサイズに変化を起こし、心肥大症(cardiac hypertrophy)を誘発することから始まり、心肥大症は心筋細胞のサイズ、タンパク質の合成速度増加などの特徴を示す。心肥大症は次第に心筋線維化および心不全症を誘導して、最終的には心臓機能喪失(または心不全:heart failure)として表れる。特に、心不全の場合は特に死亡率が50%前後で非常に高いため、究極的には心筋肥大症を予防するか治療法を開発しようとする研究が行われており、したがって、これに対する疾患モデルを構築することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第1481007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは酸化ストレスによってマイクロRNAのシード領域(シード region)でグアニン(Guanine;G)塩基が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に酸化修飾が起こった場合、oG:A配置を通じて標的配列と結合することを確認し、前記マイクロRNAの逆転写を通じて製造されたcDNAでG→Tに修飾が起こった位置を同定することによって8-オキソグアニンに酸化修飾が起こった位置を確認した。したがって、これを基礎としてマイクロRNAでグアニン(G)を8-オキソグアニン(oG)で置換したRNA干渉誘導核酸を製造して細胞またはマウスに投与した時、多様な病理生理学的現象が誘導されることを確認し、これに基づいて本発明を完成した。
【0006】
したがって、本発明は、RNA干渉を誘導する核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖であって、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)を含むRNA干渉誘導核酸を提供する。
【0007】
また、本発明では、8-オキソグアニン(oG)の位置の同定方法を提供する。
【0008】
また、本発明では、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸、および前記修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
【0009】
また、本発明では、前記修飾核酸または前記組換えベクターを含む心肥大症治療用薬学組成物および前記RNA干渉誘導核酸を含む肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物を提供する。
【0010】
他の実施形態は、抗酸化剤を有効成分として含む心肥大症予防または治療用薬学的組成物および心肥大症診断のための情報提供方法を提供する。
【0011】
また他の実施形態は、心肥大症抵抗性動物モデルの製作方法および心肥大症抵抗性動物モデルを提供する。
【0012】
また他の実施形態は、心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法を提供する。
【0013】
本発明が目的とする技術的課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖において、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)を含む、RNA干渉誘導核酸を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態として、前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドはマイクロRNAの配列を含むRNA、干渉誘導核酸を提供する。
【0016】
本発明の他の実施形態として、前記マイクロRNAは、下記グループ1のマイクロRNAのうちの一つ以上であってもよい:
[グループ1]
miR-1、miR-184、let-7f-5p、miR-1-3p、miR-122、let-7、miR-124。
【0017】
本発明の他の実施形態として、前記RNA干渉誘導核酸は、8-オキソグアニン(oG)の位置でoG:A配置が起こる標的サイトを認識することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態として、前記核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖は下記グループ2のポリヌクレオチドのうちの一つ以上を含むことができる。
[グループ2]
配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UoGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGoGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGGAAUoGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号65の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UoGoGAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’);
配列番号66の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGAoGUAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’);
配列番号67の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UAAoGGCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’)。
【0019】
本発明によるRNA干渉誘導核酸は、細胞または動物に注入する場合、心筋肥大、肝癌細胞遊走抑制またはアポトーシスを誘導することができる。
【0020】
本発明は、前述のRNA干渉誘導核酸および抗酸化剤を含む組成物を提供する。
【0021】
また、本発明は、下記の工程を含む、8-オキソグアニン(oG)の位置同定方法を提供する:
(a)細胞からRNAを抽出する工程;
(b)前記抽出したRNAから8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを抗-oG抗体を用いて免疫沈降法(IP)で分離する工程;
(c)前記分離した8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを逆転写してcDNAを製造し、8-オキソグアニンの位置を把握するためのシーケンシングライブラリーを製作してシーケンシングする工程;および
(d)前記シーケンシングの結果、グアニン(Guanine;G)がチミン(Thymine;T)に修飾された位置を確認してグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾された位置を同定する工程。
【0022】
また、本発明は、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(Adenine;A)を含む、修飾核酸を提供する。
【0023】
本発明の一実施形態として、前記修飾核酸と特異的に結合する前記マイクロRNAは5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたものであり、
前記修飾核酸は、マイクロRNAの5’末端から2番目または3番目のうちいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、 前記マイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニンと結合する位置のヌクレオチドにアデニン(A)を含むことができる。
【0024】
本発明の一実施形態として、前記修飾核酸は、5’-ACAUUC-3’(配列番号4)、5’-ACAUUC-3’(配列番号5)、または5’-AAUUCC-3’(配列番号6)の塩基配列を含むことができる。
【0025】
また、本発明は、前述の修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
【0026】
また、本発明は、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸はマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(Adenine;A)を含む修飾核酸、または
前記修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを含む、心肥大症治療用薬学組成物を提供する。
【0027】
本発明の一実施形態として、前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよい。
【0028】
本発明の一実施形態として、前記心肥大症治療用薬学組成物は抗酸化剤をさらに含むことができる。
【0029】
また、本発明は、核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖において、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(oG)を含むRNA干渉誘導核酸を含む、肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物を提供する。
【0030】
本発明の一実施形態として、肝癌治療用薬学組成物において前記マイクロRNAがmiR-122であってもよい。
【0031】
本発明の他の実施形態として、膠芽腫治療用薬学組成物において前記マイクロRNAがlet-7またはmiR-124であってもよい。
【0032】
本発明の他の実施形態として、前記肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物は抗酸化剤をさらに含むことができる。
【0033】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む心肥大症の予防または治療用の薬学組成物であって、 前記抗酸化剤は、RNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(G)の8-オキソグアニン(oG)への酸化修飾を抑制することを特徴とする、薬学組成物を提供する。
【0034】
本発明の一実施形態として、前記抗酸化剤は、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)またはブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)であってもよい。
【0035】
本発明の他の実施形態として、前記RNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよい。
【0036】
また、本発明は、動物の心筋細胞で発現されるマイクロRNAのヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されているか否かを確認する工程;および
前記マイクロRNAのヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されている場合、心肥大症に分類する工程、を含む、心肥大症診断のための情報提供方法を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態として、前記ヌクレオチドはマイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドであってもよい。
【0038】
本発明の他の実施形態として、前記ヌクレオチドはマイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドであってもよい。
【0039】
本発明のまた他の実施形態として、前記マイクロRNAはmiR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよい。
【0040】
また、本発明は、(a)前記修飾核酸をコードする遺伝子をプロモーターに作動可能に連結して組換えベクターを製作する工程;
(b)前記組換えベクターを動物の受精卵に導入させる工程;および
(c)前記受精卵を代理母に移植した後、受精卵を発生させて形質転換動物モデルを得る工程を含む、ヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデルの製作方法、および前記方法で製作された、ヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデルを提供する。
【0041】
また、本発明は、(a)心肥大症動物モデルの心筋細胞に候補物質を処理する工程;
(b)前記心肥大症動物モデルの心筋細胞で発現されるマイクロRNAのヌクレオチドのうちのグアニン(G)の8-オキソグアニン(oG)への修飾頻度を分析する工程;および
(c)前記8-オキソグアニン(oG)が候補物質を処理しない場合に比べて減少する場合、前記候補物質を心肥大症治療剤に選別する工程を含む、心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法を提供する。
【0042】
本発明の一実施形態として、前記候補物質は抗酸化剤であってもよい。
【0043】
本発明の他の実施形態として、前記マイクロRNAはmiR-1であってもよい。
【0044】
また、本発明は、前記修飾核酸を個体に投与する工程を含む、心肥大症抑制方法を提供する。
【0045】
また、本発明は、前記RNA干渉誘導核酸を個体に投与する工程を含む肝癌転移抑制または膠芽腫治療方法を提供する。
【0046】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含む、心肥大症の予防または治療方法を提供する。
【0047】
また、本発明は、前記修飾核酸の心肥大症抑制における使用を提供する。
【0048】
また、本発明は、前記RNA干渉誘導核酸の肝癌転移抑制および肝癌治療または膠芽腫治療における使用を提供する。
【0049】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む組成物の心肥大症の予防または治療における使用を提供する。
【0050】
また、本発明は、抗酸化剤の、心肥大症治療に用いられる薬剤を生産するための使用を提供する。
【発明の効果】
【0051】
本発明によるRNA干渉誘導核酸および5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されたマイクロRNA核酸と特異的に結合する修飾核酸を用いて、細胞または動物の病理生理学的現象を調節することができる。
【0052】
具体的には、心肥大症、肝癌または膠芽腫などの診断および治療剤開発などに活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1a】マウス(n=7)に75mg/kgのイソプロテレノール(isoproterenol、ISO)を2日ごとに29日間腹腔内(I.P)注射したことを図式化して示したものである。
図1b】ISOおよびNAC処理によるマウス心臓のサイズの変化を確認した図である。
図1c】ISO処理によって生成されたROSのRNA酸化作用を確認した図である。
図1d】rCMC細胞のPEまたはISO処理によるマイクロRNAのoG修飾が、Ago2とoGの免疫蛍光染色で共に示されることで確認した結果を示した図である。
図1e】H9c2におけるPEまたはISO処理によるoGおよびAgo2の免疫蛍光染色結果を示した図である。
図1f】H9c2およびrCMC細胞に対してoG特異的抗体を使用したドットブロット分析結果を示した図である。
図1g】PE処理されたH9c2細胞(図1gの上段)およびISO処理されたマウス心臓(図1gの下段)のnorthwestern分析結果を示した図である。
図1h】ISO処理されたマウス心臓からゲル抽出された~20nt miRNAを用いたドットブロット分析の結果を示した図である。
図2a】oGシーケンシング方法(oG-miSeq)の模式図を示したものである。
図2b】oGに対する免疫沈降(Immunoprecipitation、IP)最適化プロセスを示した図である。
図2c】最適化されたIPプロセスで得たoGの量を示した図である。
図2d】酸化されたmiRNAのcDNAにおけるG→T変異を、制限酵素部位の配列特異的切断によって間接的に(図2dの上段)、およびシーケンシングによって直接的に(図2dの中間および下段)確認した図である。
図2e】H9c2細胞で酸化されたmiRNAのoG-miSeq結果を示した図である。
図2f】H9c2細胞に対するVolcano plot分析結果を示した図である。
図2g】rCMC細胞において酸化されたmiRNAのoG-miSeq結果を示した図である。
図2h】rCMC細胞およびH9c2細胞を血清欠乏に暴露させた後にoG-miSeq分析した結果を示した図である。
図2i】同上
図2j】H処理されたH9c2細胞において酸化されたmiRNAのoG-miSeq結果をWang JX、2015年(Wang, J. X. et al. Oxidative Modification of miR-184 Enables It to Target Bcl-xL and Bcl-w. Mol Cell 59, 50-61)の結果と比較して示した図である。
図3a】rCMC細胞でPE処理によって酸化誘導されたmiRNAの相対的なoGの量を示した図である。
図3b】マウス心臓でISO処理によって酸化誘導されたmiR-1の相対的な量およびoG IPによるmiR-1の量を示した図である。
図3c】酸化されたmiR-1のoG:A塩基配列による標的サイレンシング効果を認した図である。
図3d】同上
図3e】PEまたはH処理されたAC16における、miR-1 オキソ部位を有するルシフェラーゼレポーターによる分析結果を示した図である。
図3f】H9c2細胞に対してフローサイトメトリーを用い、GFPによってmiR-1 7オキソ部位を有する二重蛍光タンパク質(dFP)レポーターを分析した結果を示した図である。
図3g】H9c2細胞に対してフローサイトメトリーを用い、GFPによってmiR-1シード部位を有する二重蛍光タンパク質(dFP)レポーターを分析した結果を示した図である。
図3h】AC16、H9c2、rCMC、マウス心臓でのmiR-1発現を示した図である。
図3i】H9c2細胞に対してでフローサイトメトリーを用い、GFPによってmiR-1 7オキソ、3oxo、2オキソ部位を有する二重蛍光タンパク質(dFP)レポーターを分析した結果を示した図である。
図3j】miR-1 7オキソ部位を含む、GFPのサイズ(log10(FSC))およびGFP値(log10(GFP))のH9c2細胞における分布を示した図である。
図3k】H9c2細胞に対してフローサイトメトリーを用いたdFPレポーター定量結果を示した図である。
図3l】H9c2細胞に対してdFPレポーター分析を用いた、miR-1:7oG(RFP:GFP-7オキソ 対 RFP:GFP、NT)の活性を実証する図である。
図3m】H9c2細胞のNAC処理によるdFPレポーター分析結果を示した図である。
図3n】H9c2細胞に対してフローサイトメトリーを用い、RFPによってmiR-1 7オキソ部位を有するdFPレポーターを分析した結果を示した図である。
図3o】25%という最も低いレポーター値(RFP)のH9c2細胞に限定した細胞集団のみを考慮したdFPレポーター分析結果を示した図である。
図3p】H9c2細胞において、2oG、3oG、7oG、およびmiR-1の存在下でmiR-1 シード部位を有する、ルシフェラーゼレポーター分析結果を示した図である。
図4a】PEまたはNAC処理されたrCMC細胞におけるmiR-1発現の効果を確認した図である。
図4b】本発明の一実施形態によるmiR-1:oG(miR-1:2oG、miR-1:3oG、miR-1:7oG)またはmiR-1:2U、miR-1:3U、miR-1:7Uを形質導入したrCMC細胞の細胞サイズを確認した図である。
図4c】本発明の一実施形態による酸化されたmiR-1(miR-1:2oG、miR-1:3oG、miR-1:7oG)またはmiR-1:U(miR-1:2U、miR-1:3U、miR-1:7U)を形質導入したH9c2の顕微鏡観察結果を示した図である(スケールバー:50μm)。
図4d】本発明の一実施形態によるPEおよびNAC処理による心臓肥大マーカANPの発現増加を確認した図である。
図4e】miR-1:7Uを形質導入したH9c2細胞のサイズ分布を示した図である。
図4f】本発明の一実施形態によるmiR-1:7oGまたはmiR-1:7Uを形質導入させたrCMC細胞(図4fの上段)およびH9c2細胞(図4fの下段)の時間経過イメージを示した図である。
図4g】本発明の一実施形態によるmiR-1:7oGを尾静脈を通じてマウスに注入した時、生体内で心臓肥大に与える影響(図4hの上段)および心臓組織への送達をqPCR定量によって確認した結果(図4hの下段)を示した図である。
図4h】本発明の一実施形態によるmiR-1:7oGを生体内で送達したマウス心臓を示した図である。
図4i】本発明の一実施形態によるmiR-1:7oGをマウスに注入した時の、心室中隔(IS)の免疫染色結果および心筋細胞とANPの発現を確認した図である。
図5a】肝癌細胞であるHuh7において、miR-122のoG修飾が2番目と3番目の塩基で発生した時に認識することのできる、標的サイトに対するルシフェラーゼレポーターを行った結果を、Huh7からmiR-122を除去した細胞(Huh7:miR-122 KO)と比較して示した図である。
図5b】神経膠腫細胞であるHS683において、let-7の4番目の塩基がoGに修飾された時に認識することのできる、修飾されたlet-7の存在を4オキソ部位に対するルシフェラーゼレポーターを使用して確認した結果を示した図である。
図5c】神経膠腫細胞であるHS683からウシ胎児血清を除去して酸化ストレスを与え、miR-124の4番目の塩基がoGに修飾された時に認識することのできる、修飾されたmiR-124の存在を4オキソ部位に対するルシフェラーゼレポーターを使用して確認した結果を示した図である。
図5d】肝癌細胞であるHuh7に導入したoGによってmiR-122が酸化修飾されると、細胞遊走が変わり、miR-122:2、3oGは抗酸化剤処理によってさらに効率的な効果を示すことを観察した結果を示した図である。
図5e】let-7の4番目の塩基がoGに修飾されたlet-7a:4oGを導入したHS683(神経膠腫細胞)におけるアポトーシスの機能を確認した結果を示した図である。
図5f】miR-124の4番目の塩基がoGに修飾されたmir-124:4oGを導入したHS683(神経膠腫細胞)におけるアポトーシスの機能を確認した結果を示した図である。
図6a】ヒト心筋症患者の心臓の左心室由来Ago HITS-CLIPの結果を示した図である。
図6b】Ago-mRNAクラスターにおけるoG:A結合の頻度を確認した図である。
図6c】本発明の一実施形態によるアンチーシードおよびアンチ-7オキソの塩基配列(図6cの上段)、ならびにこれらに対するルシフェラーゼレポーター分析結果(図6cの下段)を示した図である。
図6d】一実施形態によるアンチ-7オキソ(9x)のmiR-1 7オキソ標的抑制活性を示した図である。
図6e】一実施形態によるアンチ-7オキソ(4x)をrCMCに導入した時に示される心臓肥大抑制効果を確認した図である。
図6f】一実施形態によるアンチ-7オキソ(4x)RNAまたはα-MHC 13xをISO-処理マウスに注入した時に示される心臓肥大抑制効果を確認した図である。
図6g】一実施形態によるアンチ-7オキソ(α-MHC 13x)の投与による心筋細胞サイズ(図6gの上段)およびmiR-1:7oG標的抑制効果(図6gの下段)を確認した図である。
図6h】ISO処理マウスの心臓におけるROS上昇に対して一実施形態によるアンチ-7オキソ(4xまたは13x)の投与が与える影響を確認した図である。
図6i】一実施形態によるアンチ-7オキソ(α-MHC 13x)を発現する形質転換マウスを生成するために設計した組換えベクターを示した図である。
図6j図5iの組換えベクターで形質転換させたマウスにおけるアンチ-7オキソ(13x)発現を確認した図である。
図6k】一実施形態によるアンチ-7オキソ(13x)で形質転換されたマウスの心臓サイズを確認した図である。
図6l】一実施形態によるアンチ-7オキソ(13x)で形質転換されたマウスにおけるmiR-1:7oG標的の全体的な抑制を確認した図である。
図6m】一実施形態によるアンチ-7オキソ(13x)で形質転換されたマウスの心室中隔(IS)における心筋細胞のサイズ減少を確認した図である。
図6n】ROSによって誘導されたmiR-1:7oGの位置特異的酸化およびその心臓肥大誘導過程を示す概略図である。
図7a】血漿サンプルを得るための一実施形態による心肥大症動物モデルにおいて、心肥大症が成功裏に誘導されたことを確認した図である。
図7b図6aで血漿サンプルを確保した後の実験過程を説明した図である。
図7c】心肥大症群およびその対照群の血漿サンプルに対してmiRNA-1を測定した結果を示す図である。
図7d】心肥大症群およびその対照群の血漿サンプルに対してoG免疫沈降によって測定すると、心肥大症において酸化修飾されたmicroRNA-1(miR-1:oG)が増加することを確認した図である。
図8a】H9c2細胞の抗酸化剤(N-acetylcysteine、以下、NAC)処理によって、PE誘導性心臓肥大が減少することを免疫染色で確認した図である。
図8b】ISOおよびNAC処理に対する、マウス心臓超音波結果を示した図である。
図8c】PEおよびNAC処理したrCMCおよびH9c2細胞のoGの免疫蛍光染色結果を示した図である。
図8d】PEまたはISOで処理して心筋細胞肥大を誘導したH9c2細胞をBHAとSigma-Aldrich社の細胞培養用抗酸化剤で処理して心筋細胞肥大を抑制した結果を観察した図である。
図8e】PE処理によって心筋細胞肥大が誘導されたH9c2細胞に対して、miR-1:7oGを抑制するための一実施形態によるアンチ-miR-1-7オキソを導入した時、抗酸化剤であるNACで処理した場合に、心筋細胞肥大が完全に抑制されることを確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明において、用語“ヌクレオチド”は窒素含有ヘテロサイクリック塩基、糖および一つ以上のホスフェート基を含む。これらは核酸配列の単量体単位である。
【0055】
RNAにおいて糖はリボースであり、DNAにおいてはデオキシリボース、即ち、リボースに存在するヒドロキシル基を欠如する糖である。窒素含有ヘテロサイクリック塩基はプリンまたはピリミジン塩基であってもよい。プリン塩基は、アデニン(Adenine;A)およびグアニン(Guanine;G)、およびこれらの修飾された誘導体または類似体を含む。ピリミジン塩基は、シトシン(Cytosine;C)、チミン(Thymine;T)およびウラシル(Uracil;U)、およびこれらの修飾された誘導体または類似体を含む。本発明において、前記ヌクレオチドの糖はリボースであり、塩基としてはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、またはウラシル(U)を含む。
【0056】
本発明で、用語“標的部位(target site)”は、マイクロRNAの5’末端を基準にして、2番目から8番目の塩基配列と結合する標的塩基配列を意味する。
【0057】
本発明で、“シード領域(seed region)”は、マイクロRNAの5’末端基準で1番目から9番目の間の塩基配列を意味する。
【0058】
本発明において、前記“細胞”の種類は脊椎動物、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物(ヒト、猿、マウス、ラット、ハムスター、牛など)、鳥類(鶏、ダチョウなど)、両生類(カエルなど)、および魚類、または無脊椎動物、例えば、昆虫類(カイコ、ガ、ショウジョウバエなど)、植物、酵母のような微生物などが含まれ、好ましくは、ヒトをはじめとする哺乳動物であってもよいが、これに制限されない。
【0059】
本発明で、“心肥大症(cardiac hypertrophy)”は心筋線維が肥大した結果、心重量の増加、心室壁が肥厚した状態を言い、心臓肥大症、心不全症、心線維症(cardiac fibrosis)、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、拡張型心筋症、虚血性心疾患、心室中隔欠損症、三尖弁閉鎖不全症、肺動脈弁閉鎖不全症、肺動脈高血圧、右心室心筋梗塞、右心室を侵す心筋症、心房中隔欠損症、心房細動、肥大型心筋症または浸潤性心筋症の初期症状であってもよいが、前記疾患以外に心肥大症に関連する疾患であればその種類に制限されない。
【0060】
本発明で、用語“組換え”は、細胞が異種の核酸を複製するか、前記核酸を発現するかまたはペプチド、異種のペプチドまたは異種の核酸コードするタンパク質を発現する細胞を称するものである。組換え細胞は、前記細胞の天然形態では発見されない遺伝子または遺伝子切片を、センスまたはアンチセンス形態のうちの一つに発現することができる。また、組換え細胞は天然状態の細胞で発見される遺伝子を発現することができるが、前記遺伝子は修飾されたものであって、人為的な手段によって細胞内再導入されたものである。
【0061】
本発明で用語“ベクター”は、適した宿主内でDNAの発現を遂行することができる適した調節配列に作動可能に連結されたDNA配列を含有するDNA構造物を意味する。適した調節配列は、転写を遂行するためのプロモーター、転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の終結を調節する配列を含む。本発明のベクターは細胞内で複製可能なものであれば特に限定されず、当業界に知られた任意のベクターを用いることができ、例えばプラスミド、コスミド、ファジー粒子、ウイルスベクターであってもよい。
【0062】
本発明で用語“組換えベクター”は、発現させようとする目的ポリペプチドをコードする遺伝子が作動可能に連結されて、組換えベクターが宿主細胞で発現可能なたときに、適切な宿主細胞で前記目的ポリペプチドを高い効率で発現させることができれば、目的ポリペプチドの発現ベクターとして使用することができ得る。宿主細胞は好ましくは真核細胞であってもよく、宿主細胞の種類によってプロモーター(promotor)、ターミネーター(terminator)、エンハンサー(enhancer)などのような発現調節配列、膜標的化または分泌のための配列などを適切に選択し目的によって多様に組み合わせることができる。
【0063】
本発明で用語“プロモーター(promotor)”は転写調節因子が結合するDNA塩基配列部位であって、遺伝子発現を調節する核酸配列を意味し、目的遺伝子の過発現を誘導するためのものである。例えば、本発明の組換えベクターはアルファMHC(αMHC)プロモーター、ベータMHC(βMHC)プロモーター、Nkx2.5プロモーター、心筋トロポニンT(cardiac troponin T;TNNT2)プロモーター、筋肉クレアチンキナーゼ(muscle creatine kinase;MCK)プロモーター、ヒトアルファ骨格アクチン(human α-skeletal actin;HAS)プロモーター、およびマウス幹細胞ウイルス(murine stem cell virus;MSCV)プロモーターからなる群より選択されたプロモーターが作動可能に連結されて心筋細胞特異的発現を調節することができ、本発明の一実施形態によれば、アルファMHC(αMHC)プロモーターが作動可能に連結されたものであってもよいが、前記プロモーターの種類に制限されない。
【0064】
本発明で前記“心筋細胞特異的”という用語は、心筋細胞以外の細胞では発現されないか低い程度に発現される反面、心筋細胞では非常に高い程度に発現される特徴を意味する。
【0065】
本発明で用語“発現”はポリペプチド(polypeptide)が構造遺伝子から生産される過程を称し、前記過程は遺伝子のmRNAへの転写、およびこのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳を含む。
【0066】
本発明で用語“形質転換”は、ベクター形態のDNAを細胞に物理化学的に直接導入するか、ウイルスを宿主細胞に感染させて外来遺伝子を発現させること、即ち、遺伝子を宿主細胞内に導入して宿主細胞内で発現させることによって、生物の遺伝的な性質が変わることを意味する。
【0067】
本発明において、“抗酸化剤”は、活性酸素の過量生産を遮断する物質であって、細胞と組織において酸化的ストレスを防止する役割を果たす。前記抗酸化剤は、細胞内で有害な反応を起こすフリーラジカルがDNAを攻撃するか、脂質を酸化させる前にこれらを中和させる。また、抗酸化剤は、反応性が高く、体内の有害物質と反応して活性酸素による連鎖反応を防止し、細胞を保護する役割を果たす。
【0068】
本発明において、“予防”とは、本発明による組成物の投与によって標的とする病理生理学的現象を抑制させるか発病を遅延させる全ての行為を意味する。
【0069】
本発明において、“治療”とは、本発明による組成物の投与によって標的とする疾患の症状が好転するか有利に変更される全ての行為を意味する。
【0070】
マイクロRNA(miRNA)は約21個の塩基から構成された小RNAであって、標的遺伝子の転写後の過程で遺伝子の発現を抑制するRNA干渉(RNA interference)を誘導する機能を果たす。マイクロRNAは、主に5’末端に位置するシード領域(seed region)(1~8位)の塩基配列を通じて数百個の標的mRNAを認識し、続いて塩基を配列させ、その発現を抑制して生物学的機能を調節する。したがって、マイクロRNAのシード領域にグアニン(Guanine;G)から8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)への修飾が発生する場合、これによって可能になったoG:Aの塩基の配列を通じて、他のmRNAとの塩基の配列によって新たな標的を抑制することができるので、他の病理生理学的機能を調節することができる。
【0071】
即ち、シード領域に発生した酸化修飾は自然発生または病理発生するマイクロRNAによる標的の認識を調節する機構である可能性があり、これに基づいて、人為的に病理生理学的機能を誘導するか抑制するための技術開発が可能である。以前からRNAで起こる8-オキソグアニン修飾は主に人体の老化過程に関連する疾患群(degenerative disease)で多く発生すると知られており、心臓疾患もこれと関連が深い。したがって、8-オキソグアニン修飾に基づく核酸体は、多様な疾病を調節することができる可能性がある。
【0072】
本発明は、核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖で、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)を含むRNA干渉誘導核酸を提供する。
【0073】
前記核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖で5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニンを含むことができ、前記核酸の二本鎖全て、即ち、二つの一本鎖全てにおいて5’末端から1番目~9番目のヌクレオチド内に一つ以上の8-オキソグアニンを含むことができる。
【0074】
前記RNA干渉誘導核酸はマイクロRNA、低分子干渉RNA(small interfering RNA;siRNA)、短いヘアピンRNA(short hairpin RNA;shRNA)、DsiRNA、lsiRNA、ss-siRNA、piRNA、endo-siRNA、およびasiRNAからなる群より選択できるが、RNA干渉を誘導する核酸であれば前記種類に制限されない。
【0075】
一例として、前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドは、マイクロRNAの配列を含むことができる。
【0076】
一例として、前記マイクロRNAは下記グループ1のマイクロRNAのうちの一つ以上であってもよい:
[グループ1]
miR-1、miR-184、let-7f-5p、miR-1-3p、miR-122、let-7、miR-124。
【0077】
例えば、前記マイクロRNAは、miR-1、miR-122、let-7またはmiR-124であってもよい。
【0078】
一例として、前記8-オキソグアニン(oG)は、マイクロRNAの5’末端から2番目、3番目、4番目、7番目またはこれらの組み合わせに該当する位置に存在してもよい。
【0079】
一例として、前記RNA干渉誘導核酸は核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖がmiR-1の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたものであってもよく、例えば、前記8-オキソグアニン(oG)は前記miR-1の5’末端から2番目、3番目、7番目またはこれらの組み合わせに該当する位置に存在してもよい。
【0080】
一例として、前記RNA干渉誘導核酸は核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖がmiR-122の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたものであってもよく、例えば、前記8-オキソグアニン(oG)は前記miR-122の5’末端から2番目、3番目またはこれらの組み合わせに該当する位置に存在してもよい。
【0081】
一例として、前記RNA干渉誘導核酸は核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖がlet-7またはmiR-124の5’末端から1位~9位のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたものであってもよく、例えば、前記8-オキソグアニン(oG)は前記let-7またはmiR-124の5’末端から4位に該当する位置に存在してもよい。
【0082】
前記RNA干渉誘導核酸は、8-オキソグアニン(oG)の位置でoG:A配置が起こって標的サイト(target site)を認識することができる。
【0083】
一例として、前記RNA干渉誘導核酸は、下記グループ2のポリヌクレオチドのうちの一つ以上を含むことができる:
[グループ2]
配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UoGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGoGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGGAAUoGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号65の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UoGoGAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’);
配列番号66の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGAoGUAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’);
配列番号67の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UAAoGGCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’)。
【0084】
前述のRNA干渉誘導核酸を細胞または動物に注入する場合、多様な病理生理学的現象を調節することができ、例えば、心筋肥大、肝癌細胞遊走抑制またはアポトーシス(apoptosis)などを誘導することができる。
【0085】
一例として、miR-1の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたRNA干渉誘導核酸は、細胞または動物に注入された場合、心筋肥大を誘導することができる。
【0086】
一例として、miR-122の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたRNA干渉誘導核酸は、肝癌細胞に注入された場合、肝癌細胞の遊走抑制を誘導することができる。
【0087】
一例として、let-7またはmiR-124の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたRNA干渉誘導核酸は、神経膠腫細胞に注入された場合、アポトーシスを誘導することができる。
【0088】
本発明は、前述のRNA干渉誘導核酸および抗酸化剤を含む組成物を提供する。
【0089】
前記抗酸化剤は、RNA干渉誘導核酸のさらなる酸化、即ち、グアニン(G)から8-オキソグアニン(oG)へのさらなる酸化を防止してRNA干渉誘導核酸がさらに効果的に病理生理学的現象を調節することができるようにする。前記抗酸化剤は、当該分野で一般に使用される抗酸化剤を全て使用することができる。
【0090】
また、本発明は、下記の工程を含む、8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)の位置同定方法を提供する:
(a)細胞からRNAを抽出する工程;
(b)前記抽出したRNAから8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを抗-oG抗体を用いて免疫沈降法(IP)で分離する工程;
(c)前記分離した8-オキソグアニン(oG)が含まれているRNAを逆転写してcDNAを製造し、8-オキソグアニン(oG)の位置を把握するためのシーケンシングライブラリーを製作してシーケンシングする工程;および
(d)前記シーケンシングの結果、グアニン(Guanine;G)がチミン(Thymine;T)に修飾された位置を確認して、グアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾された位置を同定する工程。
【0091】
前記8-オキソグアニン(oG)の位置の同定方法は、RNAを逆転写してcDNAを製造し、これをシーケンシングすることによって、既存の位置同定方法より正確にグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾された位置を同定することができる。
【0092】
また、本発明は、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸を提供する。
【0093】
前記修飾核酸は修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上、例えば、6つ、7つまたは8つの連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
【0094】
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(Adenine;A)を含むことができる。
【0095】
一例として、前記修飾核酸は、5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合できる。
【0096】
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目または3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
【0097】
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうち一つ以上の8-オキソグアニン(oG)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(A)を含むことができる。
【0098】
一例として、前記修飾核酸は5’-ACAUUC-3’、5’-ACAUUC-3’、5’-AAUUCC-3’のうち一つ以上の塩基配列を含むことができるが、これに制限されない。
【0099】
また、本発明は、前述の修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを提供する。
【0100】
前記組換えベクターはDNAを含むことができ、前記DNAは本発明の心肥大症抑制のための修飾核酸のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含む。例えば、心肥大症抑制のための修飾核酸の塩基がアデニン(A)である場合にはチミン(T)塩基、心肥大症抑制のための修飾核酸の塩基がグアニン(G)である場合にはシトシン(C)塩基、心肥大症抑制のための修飾核酸の塩基がシトシン(C)である場合にはグアニン(G)塩基、心肥大症抑制のための修飾核酸の塩基がウラシル(U)である場合にはアデニン(A)塩基を含むことができる。
【0101】
また、本発明は、前述の修飾核酸または前記組換えベクターを含む心肥大症治療用薬学組成物を提供する。
【0102】
一例として、前記心肥大症治療用薬学組成物は、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸を含むことができる。
【0103】
前記修飾核酸が特異的に結合する前記修飾されたマイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pのうちのいずれか一つが修飾されたものであってもよい。
【0104】
前記修飾されたマイクロRNAは、例えば、miR-1が修飾されたものであってもよく、例えば、miR-1の5’末端から2番目、3番目、7番目またはこれらの組み合わせに該当する位置のグアニン(G)が修飾されたものであってもよい。
【0105】
一例として、前記心肥大症治療用薬学組成物は、抗酸化剤をさらに含むことができる。前記抗酸化剤は当該分野で一般に使用される抗酸化剤を全て使用することができ、例えば、NAC、BAHまたは細胞培養用抗酸化剤(A1345;Sigma-Aldrich)をさらに使用することができるが、これに制限されない。
【0106】
また、本発明は、前述のRNA干渉誘導核酸を含む肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物を提供することができる。
【0107】
一例として、前記肝癌治療用薬学組成物は核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖がmiR-122の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたRNA干渉誘導核酸を含むことができる。
【0108】
例えば、前記RNA干渉誘導核酸は、miR-122の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち5’末端から2番目、3番目またはこれらの組み合わせに位置するグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換された塩基配列を含む一本鎖を含むことができる。
【0109】
一例として、前記膠芽腫治療用薬学組成物は、核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖がlet-7またはmiR-124の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドを含み、このうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換されたRNA干渉誘導核酸を含むことができる。
【0110】
例えば、前記RNA干渉誘導核酸は、let-7またはmiR-124の5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうち5’末端から4番目に位置するグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)で置換された塩基配列を含む一本鎖を含むことができる。
【0111】
一例として、前記肝癌治療用薬学組成物はRNA干渉誘導核酸以外にも抗酸化剤をさらに含むことができ、前記膠芽腫治療用薬学組成物も同様にRNA干渉誘導核酸以外に抗酸化剤をさらに含むことができる。前記抗酸化剤は一般に使用される抗酸化剤を意味し、例えば、NAC、BAHまたは細胞培養用抗酸化剤(A1345;Sigma-Aldrich)を使用することができるが、これに制限されない。
【0112】
前記肝癌治療用または膠芽腫治療用薬学組成物は抗酸化剤をさらに含むことによって、RNA干渉誘導核酸が細胞内の活性酸素によって他のグアニン(G)が追加的に酸化することを防止してその機能を極大化することができる。
【0113】
本発明による薬学組成物は、それぞれ通常の方法により多様な形態に剤形化して使用することができる。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップなどの経口型剤形に剤形化することができ、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの皮膚外用剤、坐剤および滅菌注射液の形態に剤形化して使用することができる。
【0114】
本発明による薬学組成物は、薬学組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含むことができる。この時、組成物に含まれる担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アラビアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油が挙げられる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は前記抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムスチレートタルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当し、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外にの様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含むことができる。非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを使用することができる。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マクロゴール、tween 61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを使用することができる。
【0115】
本発明の薬学組成物は目的とする方法によって経口投与するか非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)することができ、投与量は患者の状態および体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路および時間によって異なるが、当業者によって適切に選択できる。
【0116】
本発明の薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において“薬学的に有効な量”は医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/危険比率で疾患を治療することに十分な量を意味し、有効容量レベルは患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定することができる。本発明による薬学的組成物は個別治療剤として投与するか他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次的または同時に投与されてもよく、単一または多重投与されてもよい。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定できる。投与は一日に1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。
【0117】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む心肥大症予防または治療用薬学組成物であって、前記抗酸化剤はマイクロRNAの5’末端基準1番目~9番目のヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)の8-オキソグアニン(oG)への酸化修飾を抑制する、薬学組成物を提供する。
【0118】
本発明において、前記抗酸化剤はグアニン(G)塩基が8-オキソグアニン(oG)に酸化修飾されることを抑制する役割を果たし、例えば、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)、ブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)、アスコルビン酸(ascorbic acid、Vitamin C)、グルタチオン(glutathione)、ウレート(urate)、ビリルビン(bilirubin)、ビタミンE、カロチノイド(carotenoids)、ユビキノール(ubiquinol、Co-Q10)、フラボノイド(flavonoids)、抗酸化酵素であるSOD(superoxide dismutase)、カタラーゼ(catalase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase、GSH-PX)、グルタチオンレダクターゼ(glutathione reductase)、グルタチオントランスフェラーゼ(glutathione transferase)、SOD模写体(CuDIOS)、エブセレン(ebselen)、ラザロイド(lazaroids、21-aminosteroids)、捕獲性オレフィン(captodative olefins)、α-リポ酸(α-lipoic acid)とジヒドロリポ酸(dihydrolipoic acid)(DHLA)、5-HTP(hydroxytryptophan)、DHEA(dehydroepiandrosterone)、アミノ酸、薬草抗酸化剤(herbal antioxidants)、およびミネラルからなる群より選択される一つ以上であってもよく、本発明の一実施形態によれば、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)またはブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)であってもよいが、前記抗酸化剤の種類に制限されない。
【0119】
一例として、前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよい。
【0120】
また、本発明は、動物の心筋細胞から分離されたマイクロRNAのヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;oG)に修飾されているかどうかを確認する工程;および
前記マイクロRNAのヌクレオチドのうち一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾されている場合、心肥大症に分類する工程を含む、
心肥大症診断のための情報提供方法を提供する。
【0121】
本発明で、“診断”は、病理状態の存在または特徴を確認することを意味する。本発明の目的上、診断は、心肥大症の発病有無を確認することである。
【0122】
一例として、前記ヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドであってもよい。
【0123】
一例として、前記ヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドであってもよい。
【0124】
一例として、前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよい。
【0125】
また、本発明は、(a)前記心肥大症抑制のための修飾核酸をコードする遺伝子をプロモーターに作動可能に連結して組換えベクターを製作する工程;
(b)前記組換えベクターを動物の受精卵に導入させる工程;および
(c)前記受精卵を代理母に移植した後、受精卵を発生させて形質転換動物モデルを得る工程を含む、ヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデルの製作方法および前記方法で製作されたヒトを除いた心肥大症抵抗性動物モデルを提供する。
【0126】
一例として、前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pであってもよく、例えば、miR-1であってもよい。
【0127】
例えば、前記動物は、非ヒトである霊長類、マウス、犬、猫、ウサギ、馬、または牛であってもよい。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、前記動物はマウスであってもよいが、ヒトを除いた哺乳類であればその種類に特に制限がない。
【0129】
本発明において、ベクター形態のDNAを細胞に導入する方法としては特に制限がなく、例えば、ヌクレオフェクション(nucleofection)、一過性形質導入(transient transfection)、細胞融合、リポソーム仲介形質導入(liposem-mediated transfection)、ポリブレン仲介形質導入(polybrene-mediated transfection)、リン酸カルシウムを用いた形質導入(Graham、FLら、Virology、52:456(1973))、DEAEデキストランによる形質導入、微細注射による形質導入(Capecchi、MR、Cell、22:479(1980))、陽イオン性脂質による形質導入(Wong、TKら、Gene、10:87(1980))、電気穿孔法(Neumann Eら、EMBO J、1:841(1982))、形質導入またはトランスフェクションのように文献(Basic methods in molecular biology、Davisら、1986およびMolecular cloning:A laboratory manual、Davisら、1986)に記載されているように本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によく公知されている方法によって行うことができる。
【0130】
また、本発明は、(a)心肥大症動物モデルの心筋細胞を候補物質で処理する工程;
(b)前記心肥大症動物モデルの心筋細胞で発現されるマイクロRNAのヌクレオチドのうち、グアニン(G)が8-オキソグアニン(oG)に修飾される頻度を分析する工程;および
(c)候補物質による処理をしない場合と比べて、前記8-オキソグアニン(oG)が減少する場合、前記候補物質を心肥大症治療剤として選別する工程を含む、心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法を提供する。
【0131】
本発明において、前記候補物質とは、心肥大症動物モデルの心筋細胞における前記ポリヌクレオチドとoG:A配置標的部位との結合頻度に影響を与えるかどうかを検査するためのスクリーニングに用いられる未知の物質を意味し、化学物質、タンパク質、(ポリ)ヌクレオチド、アンチセンスRNA、siRNA(small interference RNA)、または天然物抽出物などが含まれるが、これに制限されない。
【0132】
本発明において、前記候補物質は抗酸化剤であってもよいが、これに制限されない。
【0133】
また、本発明は、前記修飾核酸を個体に投与する工程を含む、心肥大症抑制方法を提供する。
【0134】
また、本発明は、前記RNA干渉誘導核酸を個体に投与する工程を含む、肝癌転移抑制または膠芽腫治療方法を提供する。
【0135】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含む、心肥大症予防または治療方法を提供する。
【0136】
本発明において、“個体”とは、心肥大症抑制のための修飾核酸または肝癌治療または膠芽腫治療のためのRNA干渉誘導核酸または抗酸化剤を含む組成物の投与を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたはヒト以外の霊長類、マウス(mouse)、犬、猫、馬および牛などの哺乳類を意味する。
【0137】
本発明において、“投与”とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の心肥大症抑制のための修飾核酸または肝癌治療または膠芽腫治療のためのRNA干渉誘導核酸または抗酸化剤を含む組成物を提供することを意味する。
【0138】
また、本発明は、前記修飾核酸の心肥大症抑制における使用を提供する。
【0139】
また、本発明は、前記RAN干渉誘導核酸の肝癌転移抑制および肝癌治療または膠芽腫治療における使用を提供する。
【0140】
また、本発明は、抗酸化剤を有効成分として含む組成物の心肥大症予防または治療における使用を提供する。
【0141】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるのではない。
【実施例
【0142】
実施例1.細胞培養、薬物処理および形質導入
1.細胞培養
ラット(rat)心筋芽細胞株H9c2(H9c2(2-1)、ATCC CRL-1446;H9c2、韓国細胞株銀行)、ヒト心室心筋細胞株AC16(J.Han、H.-W.Lee、およびW.J.Park提供)、およびヒト子宮頸部腺癌細胞株HeLa(ATCC CCL-2)を10%のウシ胎児血清(FBS;Gibco)、100U/mlのペニシリン(penicillin)、および100μg/mlのストレプトマイシン(streptomycin、Welgene)が補充されたDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM;Hyclone)で37℃、5%COの培養条件で成長させた。
【0143】
結果の一貫性のために、二つの互いに異なる施設(ATCCおよび韓国細胞株銀行)で維持されたH9c2の様々の異なるバッチ(batch)を使用し、AC16はDr.M.M.Davidsonから提供を受けてたもの(scc109、Millipore)から誘導した異なるバッチのそれぞれから得た。
【0144】
ラット新生児心筋細胞(rCMC)の1次培養は製造会社のプロトコールによりNeomyt kit(nc-6031;Cellutron)を使用してSeok、H.Y.et al. Circ Res 114、1585-1595.およびHuang、Z.P.et al. Circ Res 112、1234-1243.に前述の通り準備した。
【0145】
即ち、出生後1日(P1)にSprague Dawleyラット心臓由来心室組織を収集した後、洗浄して3~4mmの片に切断し、37℃で50mlフラスコで攪拌し、繰り返しの酵素反応(Neomyt kitによって提供された溶液)によって心室片由来細胞を完全に分離させた。ストレイナーを用いて得られた上層液から消化されなかった組織を除去した後、初めに2時間プレーティングして容易に付着する非心筋細胞を除去した。最後に、付着しないrCMCを回収し、10%のFBS(Gibco)、5%のウマ血清(HS;Welgene)、2%のL-グルタミン(Welgene)、0.1mMの5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(Sigma-Aldrich)、100U ml-1のペニシリン、および100μg ml-1のストレプトマイシン(Welgene)が補充された、DMEM:M199(Welgene)の4:1混合物と共にSureCoat(sc-9035;Cellutron)培養プレートで維持した。
【0146】
2.薬物処理
アドレナリン性肥大を誘導するために、別途指示されない限り、rCMC、H9c2またはAC16を200μMのフェニレフリン(phenylephrine、PE)または10μMのイソプロテレノール(isoproterenol、ISO)で通常通り処理し、処理から48時間後に検査した。血清欠乏を心筋肥大に対する前処理条件として使用する場合もあるため、処理24時間前にFBSおよびHSのない同じ培地に交換した。酸化防止剤で処理する場合、PEまたはISOによる処理の間、2mMのN-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)を適用した。
【0147】
3.形質導入
一般に、H9c2、AC16、rCMCまたはHeLa細胞内への二重miRNAを有するベクターの形質導入(transfection)または同時形質導入(cotransfection)はLipofectamine2000または3000(Invitrogen)を使用して行われるが、その反面、miRNAまたはmiRNA阻害剤(50nM)の形質導入はRNAiMAX(Invitrogen)またはLipofectamine3000(Invitrogen)を使用し、製造会社が提供した一般的なプロトコールにより行った。最大効率を達成するために、Countess II Automated Cell Counter(Invitrogen)を使用して正確な細胞数を計数し、形質導入前にプレートに分注した。
【0148】
実施例2.ROSおよび細胞サイズの測定
細胞ROSレベルの定量的測定のために、ROS蛍光染料およびジヒドロエチジウム(dihydroethidium、DHE)に基づくフローサイトメトリー法をMuse Oxidative Stress Kit(Milipore)と共にMuse Cell Analyzer(Milipore)を使用して実施した。即ち、薬物処理前日にH9c2またはAC16細胞を10細胞/6ウエルプレートの密度で分注した。処理後10分から48時間まで細胞を回収し、製造会社のプロトコールに従って、固定、染色、および測定を繰り返した(n=3。分析のために、同じ数の細胞(n=10,000)をROSレベルおよび細胞サイズの両方ともに対して定量した。細胞サイズとしてFSC(フォワード-Scattered Light)を製造会社のプロトコールにより測定した(log10(FSC)、y軸;肥大、細胞サイズ>3)。
【0149】
心臓組織溶解物中のROS量を測定するために、CM-HDCFDA(Invitrogen)を使用した。プロテアーゼ阻害剤(cOmplete、Mini、EDTA-free;Roche)および2.5mMのデフェロキサミンメシル酸塩(deferoxamine mesylate、DFOM;Sigma-Aldrich)を補充した1xRIPA溶解緩衝液(DyneBio)で製造された溶解物のホモジェネートについて、Qubit Protein Assay Kit(Invitrogen)を使用してタンパク質を定量化した。100μgの溶解物を2μMのCM-HDCFDAと共に暗所、37℃で30分間インキュベートした。蛍光信号はQubit 2.0 Fluorometer(Invitrogen)によって検出した。
【0150】
細胞ROSレベルを視覚化するために、DHE(Invitrogen)が使用された。最初に、H9c2細胞を24時間、血清欠乏させ、指定の時間まで100μMのPEで処理した。その後、回収した細胞を無血清DMEMで洗浄し、10μMのDHEと共に、光を避けながら10分間、37℃でインキュベートし、インキュベート後に細胞を無血清DMEMで再び洗浄した。ROSイメージは倒立蛍光顕微鏡(Leica DMi8)を使用して得た。
【0151】
実施例3.免疫蛍光染色(Immunofluorescence staining)
H9c2またはrCMCを4%のパラホルムアルデヒド(PFA;Biosesang)で15分間、室温で固定した。これを0.1%のNP-40(Sigma-aldrich)を含有するPBS(Biosesang)で2回洗浄した後、サンプルを5%のウシ血清アルブミン(BSA;Bovogen)を添加して室温で1時間インキュベートした。その後、2回洗浄し、次の条件で一次抗体と共にインキュベートした:0.1%のNP-40および3%のBSA、MF20(1:1000、Developmental hybridoma)、oG(15A3、1:1000、QED Bioscience)およびAgo2(ab5072、1:200、Abcam)を含むPBSで4℃で一晩。DAPI(1.5μg/ml、Vector lab)は核染色に使用した。(全てのH9c2細胞が心筋細胞と同一な系統にあるにもかかわらず)H9c2心筋芽細胞における細胞運命の不均質性のため、MF20を使用して心筋細胞を染色した。RNaseの処理のために、一次抗体とインキュベートする前に10μg/mlのRNaseA(Invitrogen)を室温で15分間使用し、Alexa Fluor 488 ロバ抗体マウスIgG(1:1000、Abcam)およびAlexa Fluor 594 ロバ抗ウサギIgG(1:1000、Abcam)を0.1%のNP-40を含むPBS中の2次抗体として、室温で1時間使用した。染色された細胞は倒立蛍光顕微鏡(Leica DMi8)で調査し、Leica Application Suite(LAS)で分析し、ImageJ(≧100cells、https://imagej.nih.gov/)で定量化した。
【0152】
実施例4.細胞サイズの測定
培養液または組織切片から細胞サイズをImageJ 1.51sソフトウェア(https://imagej.nih.gov/)の“測定”機能を使用して定量した。様々なイメージで一貫した比較のために全てのイメージを35.56×26.67inchに該当する2560×1962ピクセルのサイズに変換した。その次に、変換されたイメージで細胞面積をinch(71.9 pixel/inch)の単位で測定し、次の分析に使用した。
【0153】
実施例5.RNA合成および修飾
TriLink Biotechnologies(USA)、Integrated DNA Technologies(USA)、ST Pharm(Korea)およびBioneer(Korea)の注文型合成および修飾サービスを使用して多様な修飾を有するRNAを生産し、その品質を質量分析を通じてモニタリングおよび確認した。
【0154】
リボヌクレオチド内の8-オキソグアニン(oG)をmiR-1(5’p-UGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’;配列番号7)の表示された位置に導入した:miR-1:7oG、5’p-UGGAAUoGUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号3);miR-1:2oG、5’p-UoGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号1);miR-1:3oG、5’p-UGoGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号2)。
【0155】
酸化された誘導体を含むmiR-1の二本鎖(duplex)は、合成されたmiR-1パセンジャー鎖(5’p-ACAUACUUCUUUAUAUGCCCAUA-3’(配列番号8)にアニーリングすることによって、下記条件でin vitroで生成し、移動が確認されたら、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)を5’末端に付着した:90℃で2分、30℃で1時間、および4℃で5分間。
【0156】
また、リボヌクレオチド内の8-オキソグアニン(oG)をmiR-122(5’p-UGAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’;配列番号68)、let-7(5’-pUGAUAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’;配列番号69)およびmiR-124(5’-pUAAGCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’;配列番号70)の表示された位置に次のようにして導入した。miR-122:2、3oG、5’p-UoGoGAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’(配列番号65);let-7:4oG:5’p-UGAoGUAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’(配列番号66);miR-124:4oG、5’-pUAAoGGCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’(配列番号67)。
【0157】
酸化された誘導体を含むmiR-122、let-7およびmiR-124の二本鎖(duplex)はmiR-1の二本鎖(duplex)と同様な方法で製作された。
【0158】
表示された位置にG→Uへの置換を含むmiR-1も合成し(miR-1:2GU、5’p-UGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号9);miR-1:3GU、5’p-UGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号10);miR-1:7GU、5’p-UGGAAUUAAAGAAGUAUGUAU-3’(配列番号11))、miR-1のパッセンジャー鎖で二本鎖化された。対照のmiRNAとして、cel-miR-67(D.Dharmaconによって陰性対照として提供されたC.elegans-特異的miRNA)に由来した非標的miRNA(NT)5’-UCACAACCUCCUAGAAAGAGUA-3’;配列番号12)をsiRNAとして合成し、二本鎖(ガイド鎖:5’p-UCACAACCUCCUAGAAAGAGUAdTdT-3’(配列番号13)、パッセンジャー鎖:5’p-UACUCUUUCUAGGAGGUUGUGAdTdT-3’(配列番号14)、‘dT’はチミジンデオキシヌクレオチドを示す)として使用した。シード仲介オフ-ターゲット効果を排除する場合、NTは以前に報告されたようにガイドおよびパッセンジャー鎖の両方ともで6位にdSpacer(脱塩基デオキシヌクレオチド(abasic deoxynucleotide);φ)を含むか、1位および2位に2’-O-メチルを含むように追加的に修飾された。
【0159】
Gで誘導したG→T突然変異を確認するために、RT-PCRの際にoG:A塩基結合を通じて潜在的なEcoR1部位を生成する39-オキソ-R(oG;5’-CCUGGUCCCAGACUAAAGAAUo GCUUGACAGUUAUCUCGUAUGCCGUCUUCUCGAGGUAGCGGAACCGUGAGCUUUGAAGU-3’;配列番号15)、およびその対照として39R(G;5’-CCUGGUCCCAGACUAAAGAAUGCUUGACAGUUAUCUCGUAUGCCGUCUUCUCGAGGUAGCGGAACCGUGAGCUUUGAAGU-3’;配列番号16)を合成した。スパイクイン(Spike-in)の対照としてoGスパイクイン(5’p-U Go AAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’;配列番号17)、Gスパイクイン(5’p-UGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’;配列番号18)、およびmiRNA:oGスパイクイン(5’p-UAAG CACGCGGUGAAUGCCAA-3’;配列番号19)を合成した。
【0160】
競合的miR-1およびmiR-1:7oG阻害剤の場合、アンチ-シード(2x:5’-dTdTφACAUUCCAφACAUUCCAφdTdT-3’(5’-ACAUUCC-3’はmiR-1シード部位;配列番号20))、アンチ-7オキソ(2x:5’-dTdTφAAAUUCCAφAAAUUCCAφdTdT-3’、4x:5’-dTAAAUUCCAAAUUCCAGAAAUUCCACAAAUUCCAdT-3’、9x:5’-dNdNφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφAAAUUCCAφdNdN-3’;‘dN’はジオキシヌクレオチド、A、T、CまたはGを示す(5’-AAAUUCC-3’はmiR-1 7オキソ部位;配列番号6))、対照(アンチ-NT;2x:5’-dTdTφGGUUGUGAφGGUUGUGAφdTdT-3’、4x:5’-dTGGUUGUGGGUUGUGAGGGUUGUGACGGUUGUGAdT-3’、9x:5’-dNdNφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφGGUUGUGAφdNdN-3’(5’-GGUUGUG-3’は対照NT部位;配列番号21)を合成した。阻害剤の5’および3’末端の両方ともで“dT”または“dN”を意図的にRNA安定性に寄与するように付着した。接合(junction)部の推定配列によるオフ-ターゲット効果を防止するために、アンチーシード(2x)またはアンチ-7オキソ(2x)の標的部位の接合部に脱塩基(abasic)デオキシヌクレオチド(φ)を導入することによって、脱塩基デオキシヌクレオチドのない阻害剤の表現型に差がないのを確認した。前記配列の下線は対応する標的阻害部位を示す。
【0161】
実施例6.RNA抽出
サイズによってRNAを精製するためにmiRNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して製造会社が提供したプロトコールにより小さな(<~200nt)および大きな(>約200nt)RNA画分を分離した。心臓組織サンプルの場合、Minilys Personal Homogenizer(Bertin)またはglass homogenizerを700μlのQiazol Lysis Reagent(Qiagen)の存在下で使用し、以前に報告された試験管内酸化を防止するために、2.5mMのDFOM(Sigma-aldrich)で補充した。総RNA精製のために、20%のクロロホルム(Merck)の添加後、2.5mMのDFOMを含むQiazol Lysis Reagentのみを使用し、その次に、イソプロピルアルコールでRNA沈殿させ、RQ1 RNase free DNaseで処理した(37℃で30分;熱不活性化によって溶液を停止、65℃で10分;Promega)。RNAの正確な定量のために、分光光度計(Denovix)およびQubit蛍光定量(Invitrogen)を使用した。
【0162】
miRNAを精製するために、総RNAから約20ntのゲル抽出を行った。ゲルローディング緩衝剤II(90℃で2分;Ambion)で変性された総RNAを、標識された約20ntのmiRNAマーカー(合成されたmiR-1)と共に15%の尿素-PAGEゲルによって分離し、そのサイズを14~30のssRNA Ladderマーカー(Takara)で交差確認した。その後、SYBRGoldで染色した後、ゲルから約20ntのサイズを切り取り、ゲル抽出緩衝液(0.5Mのアンモニウムアセテート、10mMのマグネシウムアセテート、0.1%のSDS、1mMのEDTA、pH8.0)と共に65℃一晩thermomixer(Thriller、Peqlab)でインキュベートし、Oligo Clean & Concentratorキット(Zymo)で追加精製した。
【0163】
実施例7.ELISAによるo Gの定量
Gの比色検出および定量化は、製造会社のプロトコールによりOxiSelect Oxidative RNA Damage ELISA kit(Cell Biolabs)を使用して行った。サンプルを調製するために、精製された小RNAまたは大RNA(0.4~5μg)を37℃で1時間、Nuclease P1(Wako)で処理し、エタノール沈殿を通じて抽出し、プレート上に事前コーティングした抗-oG抗体との結合についてoG/BSAコンジュゲートと競争するように添加し、その次に検出のために当該キットで提供するHRP結合二次抗体と反応させた。サンプルの吸光度は分光光度計(450nm、GloMax-Multi Detection System;Promega)で測定し、oGの濃度は予め決定されたoG標準曲線と比較して推定し、相対量で示した。
【0164】
実施例8.薬物処理
全ての実験手続は高麗大学校実験動物運営委員会の承認を受け、動物保護および実験動物使用ガイドを遵守して行った。アドレナリン性心臓肥大を誘導するために、ISO(75mg/kg)を合計29日間にわたり、2日ごとに、8週から12週齢の雄C57BL/6Jマウス(Koatech)に腹腔内注射(IP)を通じて投与した。模擬-注入対照群(Mock)として、同一な体積のPBSを使用し、抗酸化効果を調査するために100mg/kgのNACを投与した。注射された薬物に応じてマウスを様々なグループに分けた(各グループがn=4、サンプルサイズは以前の研究(Lee、H.S.et al. Nature communications 6、10154)で使用された最小数に基づいて選択される):Mock、ISO、ISO+NAC、およびNAC。最初に注射してから29日後に、それぞれの心臓組織を回収し、心臓重量(heart weight、HW)、体重(body weight、BW)および脛骨長さ(tibia length、TL)を測定し、心臓サイズを正規化するためにHW/BWまたはHW/TLを使用した。全てのサンプルをROS測定、CLEAR-CLIPおよびRNA抽出、次いでoGのELISA、ドットブロット(dot blot)、ノースウェスタン、IPおよびqPCRによる分析まで-80℃で保管した。パラコート(paraquat)(Sigma-Aldrich)処理のために、10mg/kgのパラコートを、合計4週間にわたり、IPによりマウスに投与した。その後、RNAを抽出してELISAに使用した。RNA-Seqの場合、1日目、3日目および5日目にISOを3回IP注射し、1週後にマウス(n=3)を殺処理し、同じ容積のPBSを対照に注入した。RNA-Seqライブラリーの構築およびqPCR分析に使用されるまで全てのサンプルを-80℃で保管した。
【0165】
実施例9.心臓超音波
三星医療センターの動物イメージング核心施設の統制下で心臓超音波をモニタリングし、記録した。具体的には、麻酔をかけるためにマウスを最初に2~5%のイソフルラン(isoflurane)に暴露し、約5分間の心臓超音波記録(Visual Sonics Vevo 2100 Imaging System)を測定する間、1%のイソフルランで維持した。M-モードのトレーシング下で2-Dの短軸(short-axis)を個別の記録位置であるマウスの乳頭領域を固定させるために適用した。拡張期および収縮期の壁厚を含む心拍数、左室(left ventricular、LV)径、およびLV末期-拡張期および末期-収縮期チャンバー径を測定した。
【0166】
実施例10.ドットブロット(dot blot)およびノースウェスタンブロット(northwestern blot)分析
ドットブロットの場合、サイズ別RNA(80~300ng)またはゲル精製されたmiRNA(50ng)をZeta-Probeブロッティング膜(Bio-Rad)にプロットし、Spectrolinker XL-1000(Spectroline)の最適架橋(120mJ/cm)オプションのUV照射によって架橋させた。ノースウェスタンブロットの場合、総RNAをGel Loading Buffer II(90℃で2分;Ambion)で変性させ、22nt miRNAサイズマーカー(合成されたmiR-1)を使用して15%のNovex TBE-尿素ゲル(Invitrogen)で分離し、Zeta-Probeブロッティング膜に移し、UV(120mJ/cm、Spectrolinker XL-1000)で架橋させた。膜は室温で1時間、5%のBSAと共に1xTBST(Biosesang)でブロッキングし、室温で1時間、1xTBST中で抗-oG抗体(15A3、1:2000;QED Bioscience)と共にインキュベートした。その後、TBST中のHRP結合ヤギ抗マウスIgG(1:5000、Pierce)を室温で1時間で使用し、次いで検出のためにECL(SuperSignal West Pico PLUS、Pierce)と反応させた。蛍光団が結合された2次抗体(Alexa Fluor 680 ヤギ抗マウスIgG、1xTBSTで1:15000、Invitrogen)を使用する場合、Blocker FL蛍光ブロッキングバッファー(ThermoFisher)をブロッキングおよび抗-oG抗体とのインキュベーションの両方ともに使用した。蛍光信号をiBright FL100イメージングシステム(Invitrogen)によって直接定量し、SYBR Gold(1:10000、Invitrogen)によって染色された点で表示されたRNAの総量に対する相対的な強度として計算した。
【0167】
実施例11.o G免疫沈降(Immunoprecipitation、IP)の最適化
抗-oG抗体(15A3、QED Bioscience)に対するoGの免疫沈降(IP)条件を最適化するために、2つのoG塩基を含む合成20nt長のRNAであるoGスパイクイン(5’p-UoGoGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’)をoGのないGスパイクイン(5’p-UGGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’)と比較した。抗-oG抗体が付着されたビーズ(bead)を製造するために、2.5μgの抗-oG抗体(15A3、QED Bioscience)を室温で1時間、25μlのDynabeads Protein G(Invitrogen)および200μlのPBSとインキュベートした。抗-oG抗体の非特異的相互作用を防止するために、250μgのデオキシグアノシン(deoxyguanosine)(dG、Sigma-Aldrich)の添加をビーズ(bead)製造の際に試験した。洗浄および精製のために、DynaMag-2 magnet(Invitrogen)を使用してDynabeads Protein Gを分離した。PBSで3回ビーズを洗った後、IPバッファーの他の条件をoGスパイクインvs.Gスパイクイン(10pgまたは100pg、300ngの小RNAの存在下)で確認した:0.04%のNP-40を含有したPBS;低洗浄剤、0.004%のNP-40を含有したPBS;高洗浄剤、PXL(PBS、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコレート、0.5%のNP-40)。参考として、全てのIP工程を2.5mMのDFOMおよび40Uの組換えRNase阻害剤(Takara)の存在下、4℃で2時間行った。
【0168】
洗浄緩衝剤の他の条件も検査した:高洗浄剤、IPバッファー(2回)→PXL(4回)→PBS(2回);塩追加、100mMのNaClを補充したPBS(3回)→PBS(5回);高塩で一連の洗浄、TE(15mMのTris-HCl pH7.5、5mMのEDTA)→高洗浄剤を含有したTE(1%のTriton X-100、1%のdeoxycholate、0.1%のSDS、および2.5mMのEGTA)および高塩(1MのNaCl)→高洗浄剤および塩を含有したTE(120mMのNaCl)→洗浄緩衝剤(50mMのTris-HCl pH7.5、1mMのMgCl、150mMのNaCl、0.05%のNP-40);極度の塩で一連の洗浄、TE→高洗浄剤および高塩を含有したTE→高洗浄剤および極度の塩(2MのNaCl)を含有したTE→高洗浄剤および塩を含有したTE→洗浄バッファー。ビーズ内のRNAを2.5mMのDFOMおよび20%クロロホルムが補充された700μlのQiazol Lysis Reagentで精製した後、RNA Clean & Concentrator-5 kit(Zymo)を使用した。スパイクイン対照のサイズが22ntであるため、oGスパイクインおよびGスパイクインの量はmiRNAに対する定量的RT-PCR(qPCR)によって測定され、その相対的な比率は信号:IP工程でのノイズを推定することに使用された。
【0169】
実施例12.miRNAに対する定量的RT-PCR(qRT-PCR)
miRNAを定量化するために、miRNA qPCR方法またはTaqMan MicroRNA分析法(Applied Biosystems)を使用した。具体的には、miRNeasy Mini Kit(Qiagen)によって精製された1μgの小RNAまたはIP精製されたRNAをポリ(A)ポリメラーゼ(Ambion)を使用して総10μl体積でポリアデニル化させた。その次に、ポリアデニル化されたRNAを2μMのオリゴ(dT)アダプタープライマー(5’-GCGAGCACAGAATTAATACGACTCACTATAGGTTTTTTTTTTTTVN-3’;配列番号22)と共にSuperScript III逆転写酵素(reverse transcriptase)(Invitrogen)を使用して逆転写させた。qPCR反応はフォワード(標的miRNAとして同一な配列)およびリバースプライマー(5’-GCGAGCACAGAATTAATACGACTCAC-3’;配列番号23)と共にSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)で行われた:サイクリング条件(95℃で5分;95℃で15秒、55℃で15秒、および72℃で20秒の45サイクル;および72℃で5分)。U6 snRNAはoGまたはGスパイクイン(フォワード:5’-TGGAATGTAAAGAAGTATGTAT-3’(配列番号24)、リバース:5’-GCGAGCACAGAATTAATACGACTCAC-3’(配列番号25))またはmiRNA:oGスパイクイン(フォワード:5’-TAAGGCACGCGGTGAATGCCAA-3’(配列番号26)、リバース:5’-GCGAGCACAGAATTAATACGACTCAC-3’(配列番号27))を使用することを除いて、一般に参照対照群(control、フォワード:5’-CGCTTCGGCAGCACATATAC-3’(配列番号28)、リバース:5’-TTCACGAATTTGCGTGTCAT-3’(配列番号29))として測定された。
【0170】
TaqMan MicroRNA Assayを使用する場合、製造会社が提供したプロトコールに沿って行った。即ち、100ngの小RNAをそれぞれのmiRNA配列を認識する特定RTプローブと共にMicroRNA逆転写キット(Applied biosystems)を使用して逆転写させた。RT産物と共に、qPCR反応を特定qPCRプライマーとTaqMan Universal PCR Master Mix(No AmpErase UNG;Invitrogen)で行った。特定miRNAを検出することに使用されたRTプローブおよびqPCRプライマーは次のようなキットによって供給された:rCMCのmiR-1bとhsa-miR-1(ID:002222)、rCMCのmiR-1-3pとrno-miR-1(ID:002064)、rCMCのmiR-184とhas-miR-184(ID:000485)、rCMCのlet-7fとhsa-let-7f(ID:000382)、H9c2のmiR-1とhsa-miR-1(ID:00222)、AC16、rCMC、およびマウス心臓、U6とU6 snRNA(ID:001973);oGまたはGスパイクイン、hsa-miR-1(ID:002222);miRNA:oGスパイクイン、mmu-miR-124a(ID:001182);NT、cel-miR-67-3p(ID:000224)。全てのqPCR分析は、技術的複製物(n=3)および逆転写酵素なしの同時反応(parallel reaction)(陰性対照群)と共に、Rotor-Gene Q(Qiagen)によって行われた。
【0171】
実施例13.RT-PCRにおけるo G→T転換の分析
GがAと対を成すことができるため、合成された39-オキソ-RにおけるGAAUoGCのGAATTC(EcoRI部位)への変化に基づいてG→T転換を誘導する効能を調査した。RTプライマー(5’-ACTTCAAAGCTCACGGTTCCGCTACCTCGAGAAGACGGCATACGA-3’(配列番号30)、Bioneer)と共にSuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)によってoG対照群(39-オキソ-R)およびG対照群(39R)の逆転写を行った。cDNAは、PCR反応(98℃で10秒;98℃で10秒、40℃で30秒、72℃で20秒の30サイクル;および72℃で10分)でプライマー(フォワード:5’-CCTGGTCCCAGACTAAAGAAT-3’(配列番号31)、リバース:5’-ACTTCAAAGCTCACGGTTCCG-3’(配列番号32);Bioneer)と共にEx Taq(Takara)で増幅させた。Oligo Clean & Concentratorキット(Zymo)で精製した後、RT-PCR産物をEcoRI(NEB)で消化し、TBE中、12%のPAGEゲル上で分離した。
【0172】
RT-PCRにおいてoGで誘導されたG→T転換は、また、シーケンシングによって直接確認された。各ライゲーション工程後に、RNA Clean & Concentrator-5 kit(Zymo)を使用したことを除いて、修飾のある小RNA-Seqライブラリー構築のためのプロトコール(実施例14参照)によって22ntの合成RNA(5’p-UGGAAUoGUAAAGAAGUAUGUAU-3’;配列番号33)を含む400ngのoGに対してシーケンシングライブラリーを構築した。特に、5’アダプター中の縮重(degenerate)バーコード(4つのランダムヌクレオチド)による固有のリード値を計算してoGの位置のヌクレオチド頻度を分析することで、PCR増幅における交絡バイアス(confounding bias)を排除することができる。
【0173】
実施例14.-miSeq
RT-PCRにおけるoG IP条件およびoG誘導G→T転換の最適化に基づいて、酸化されたmiRNAおよびそのoGの位置を識別するためのシーケンシング方法(oG-miSeq)が開発された。1.2mgのデオキシグアノシン(deoxyguanosine)(Sigma)が補充されたPBS(総容量500μl)中の125μlのDynabeads Protein G(Invitrogen)と共に1時間室温で交互に12.5μgの抗-oG抗体(15A3、QED Bioscience)とインキュベートすることによって抗体が付着されたマグネチックビーズ(bead)を製造した。洗浄および精製のために、DynaMag-2 magnet(Invitrogen)を使用してDynabeads Protein Gを分離した。PBSによる洗浄2回の後、miRNeasy Mini Kit(Qiagen)で精製された7~10μgの小RNAサンプルを2.5mMのDFOM(Sigma)および40Uの組換えRNase阻害剤(Takara)を含む200μlのPXLで準備されたビーズと混合した。4℃で交互に培養して2時間後、超高塩による一連の洗浄を行った:TE(15mMのTris-HCl pH7.5、5mMのEDTA);高洗浄剤(1%のTriton X-100、1%のデオキシコレート、0.1%のSDS、および2.5mMのEGTA)および高塩(1MのNaCl)を含有したTE;高洗浄剤および超高塩(2MのNaCl)を含有したTE;高洗浄剤および塩(120mMのNaCl)を含有したTE;洗浄緩衝剤(50mMのTris-HCl pH7.5、1mMのMgCl、150mMのNaCl、0.05%のNP-40)。ビーズ上の精製された酸化小RNAはそのまま、または抽出後にさらに処理した。
【0174】
インタクトなビーズで処理する場合、ビーズのRNAをPNKバッファー(50mMのTris-Cl pH7.4、10mMのMgCl、0.5%のNP-40)で2回洗浄し、1mg/mlのBSAおよび40Uの組換えRNase阻害剤(Takara)が補充された80μlのT4 RNAライゲーズ緩衝液(NEB)中の8μlのT4 RNA ligase 2 cleavage KQ(NEB)を使用して70℃で2分間インキュベートした後、氷の上で製造した0.25μMの3’アダプター(5’-(rApp)T(PMe)GGAATTCTCGGGTGCCAAGG(ddC)-3’(配列番号34);rApp:アデニル酸、PMe:メチルホスホン酸、ddC:ジデオキシシトシン;Trilink)とライゲーションした。熱混合器(thermomixer)(Thriller、Peqlab)において28℃で1時間インキュベートした後、ビーズをPXL(2.5mMのDFOM)で1回、PNK緩衝剤で2回洗浄した。5’アダプターライゲーションの場合、70℃で2分間インキュベートした後、氷上で製造された0.25μMの5’アダプター(5’-GUUCAGAGUUCUACAGUCCGACGAUCNNNN(2’-methoxy-C)-3’(配列番号35);Trilink)を8μlのT4 RNAライゲーズ(Thermo)、1mg/mlのBSAおよび40Uの組換えRNase阻害剤から構成された総80μlのT4 RNAライゲーズ緩衝剤のビーズ上で熱混合器(Thriller、Peqlab)で28℃で1時間RNAと共にインキュベートした。PXL(2.5mMのDFOM)および1x第1鎖バッファー(Invitrogen)で順次に洗浄した後、ビーズ上のRNAを次のように逆転写させた:1μlのSuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)、0.72μMのRTプライマー(5’-GCCTTGGCACCCGAGAATTCCA-3’;配列番号36)、375μMのdNTP、7.25mMのDTTおよび4Uの組換えRNase阻害剤を含む合計40μlの1x第1鎖バッファー;熱混合器(Thriller、Peqlab)において55℃で1時間のインキュベーション。得られたcDNAをPCRによってさらに増幅させてシーケンシングライブラリーを構築した。
【0175】
同時に、cDNAシーケンシングライブラリーは、また、input small RNA(0.4~1μg;small RNA-Seq)またはoG IP(2.5mMのDFOMおよび20%のクロロホルム)が補充された700μlのQiazol Lysis Reagentでビーズを精製し、次いでRNA(Clean & Concentrator-5 kitで濃縮)から抽出された産物から行われた。最初に、20%のPEG 8000および20Uの組換えRNase阻害剤が補充された13μlのtotal T4 RNA ligaseバッファー中の1μlのT4 RNA ligase 2 cleavage KQ(NEB)を使用して0.25μMの3’アダプター(70℃で2分間インキュベーション後、氷上で製造される)をライゲーションさせ、28℃で60分間インキュベートした後、65℃で20分間不活性化した。その後、0.25μMの5’アダプターを含む13μlのT4 RNA ligaseバッファー、2μlのT4 RNAライゲーズ(ThermoFisher)、40Uの組換えRNase阻害剤、および1mg/ml BSAを添加して5’アダプターをライゲーションさせ、これは28℃で60分間インキュベーションし、65℃で20分間不活性化した。ライゲーションされた総RNAサンプルを70℃で2分間、10μMのRTプライマーの1μlと共に変性させ、氷上に1分間置いて、次のように逆転写させた:合計40μlの1x第1鎖バッファー中の1μlのSuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)、375μMのdNTP、7.25mMのDTTおよび4Uの組換えRNase阻害剤;55℃で1時間、70℃で15分間のインキュベーション。生成されたcDNAをシーケンシングライブラリーを製造するためにPCRによってさらに増幅させた。
【0176】
製造されたcDNAをTruseqインデックスアダプター配列(Illumina)を含むようにさらに処理した。まず、100nMのユニバーサルフォワードプライマー(5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGTTCAGAGTTCTACAGTCCGA-3’;配列番号37)および100nMのRTプライマーでQ5 highaccuracy 2x master mix(NEB)を使用してPCRによってcDNAを増幅させた:98℃で30秒;98℃で10秒、60℃で30秒、および72℃で15秒の5サイクル;および72℃で10分。QIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)を使用して1次PCR産物を精製した後、溶離液の一部を使用し、Q5 highaccuracy 2x master mixにSYBR Geen I(1:10000、Invitrogen)を添加してqPCR(Rotor-Gene Q;Qiagen)を行い、増幅の線形範囲に到達するために必要なサイクル数を決定した。マルチプレックスなバーコード(250nMのユニバーサルフォワードプライマー、250nMのバーコードプライマー:5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT-6merのバーコード-GTGACTGGAGTTCCTTGGCACCCGAGAATTCCA-3’;配列番号38)を生成するために、決定した最適サイクル数で、Q5 highaccuracy 2x master mixを使用し、残りの精製された1次PCR産物に対して2次PCRを行った。予想サイズが約20ntの挿入を含有するPCR産物は15%の尿素-PAGEゲル抽出(実施例6参照)または3%のアガロースゲルカセットと共にPippin Prep(Sage Science)を使用してさらに精製し、クロスチェックと共にQubit RNA HS assay kit(Invitrogen)およびFragment Analyzer(Advanced analytical)を用いて定量化した。最終的に、製造されたライブラリーをHiSeq 2500システム(Illumina)によって50個の単一末端リードとしてシーケンシングし、CASAVA(Illumina)を用いて脱多重化させた。
【0177】
実施例15.生物情報学および統計データ分析
生物情報学分析のために、主にPythonスクリプト(http://clip.korea.ac.kr/oxog/)とUCSCゲノムブラウザー(http://genome.ucsc.edu/)を使用した。RNA-Seq分析は、Tuxedo Suiteを使用して行われた;TopHat2(http://ccb.jhu.edu/software/tophat)、CufflinksおよびCuffdiff(http://cole-trapnell-lab.github.io/cufflinks/)。Bowtie(http://bowtie-bio.sourceforge.net)を使用してmiRNAに対するシーケンシングリードのマッピングを行った。CLIPデータのピーク(peak)分析は、CLIPick(http://clip.korea.ac.kr/clipick/)によって処理された。別途の表示がない限り、基本媒介変数と共にDAVID(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)を使用してGO分析を行い、REVIGO(http://revigo.irb.hr/)で視覚化した。機能的錫の補強はGSEA(http://software。broadinstitute。org/gsea/)を使用して分析された。
【0178】
標準実験室実習無作為化手続を細胞株グループおよび同じ年齢と性別のマウスに使用した。実験者らは実験および結果評価の間にバッチに対する情報が与えられなかった。Kolmogorov-Smirnov検定(KS検定)、t-検定(独立両側検定)およびFisher’s exact test(マッピングされた総miR-1リード値に相対的)を含む全ての統計的検定はScipy(http://www.scipy.org/)またはExcel(two-sided test)を用いて行った。値は別途に言及されない限り平均±s.dを示す。統計的有意性は基本的にP=0.05に設定され、分散はグループ間で類似した。
【0179】
実施例16.o G-miSeqデータ分析
脱多重化された(demultiplexed)シーケンシングリード(FASTQファイル)は2つのミスマッチ(Bowtie--norc-l7-n2-a-f)を許容するBowtieを使用してアラインし、縮少されたシーケンシングリードはインデキシングされ(基本媒介変数と共にbowtie-build indexer使用)、miRBase(http://www.mirbase.org/)で同一な種の成熟miRNA配列によってマッピングされた。ミスマッチエラーがあるリード値をフィルタリングして結果をさらに構文解析し、その結果、品質スコアは20未満であった。miRNA当りのリード数は総リード値(総リード値百万当りのリード値;RPM)に対して正規化され、log値(例:log(入力(input))およびlog(oG IP))として使用された。特に、oGの富化度(enrichment)は、入力小RNA-Seq(入力;miRNA頻度)のRPMと共にoG IPシーケンシング(oG IP)のRPMを測定することで推定し、log比率として計算し、volcano plot分析で有意性(-log10(P-value)、t-test)として示した。miRNA配列中のGの頻度によって影響を受けるoG IPバイアスを調査するために、配列中のG-含量(Gの数)およびoG富化度(bin size=1)によって分類されたmiRNAの数を熱地図分析(Treeview、http://rana.lbl.gov/EisenSoftware.htm)を通じて視覚化した。PE処理による差異的なoG富化度を分析するために、相対的なoG富化度値をPE処理vs.mock(無処理)の間のoG富化度比率から計算した。ベースコールにおいて最高品質スコアを有するミスマッチ(mismatch)の場合のみを考慮して、miRNA配列の各位置で発生するミスマッチの百分率は総マッチ頻度に対して相対的に計算された;ミスマッチ(%)。特に、miR-1:2UおよびmiR-1:3Uからのシード配列は他の哺乳動物miRNAと重複しない(n=17,948;miRBase、http://www.mirbase.org/)が、但し、種-特異的miRNAであるmdo-miR-12320-3pおよびmmu-miR-7216-3p(<80シーケンシング判読値)を有するmiR-1:7Uとは、無視できるほどの非常に低い発現を示す、を除いて。
【0180】
実施例17.酸化されたmiRNAの IPおよびqPCRによる定量
rCMC(n=3)を100μMのPEで48時間処理するか、ISO(75mg kg-1)を慢性注射(n=3)してマウスで肥大性心臓を誘導した後、小RNAをmiRNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して抽出した。その後、交差-確認として、分光光度計(Denovix)およびQubit蛍光定量法(Invitrogen)の両方によって正確に測定された同じ量の小RNA(2μg、PE処理vs.処理無し)を10pg miRNA:oGスパイクイン対照群の存在下でoG免疫沈降に使用した。Qiazol Lysis ReagentおよびRNA Clean & Concentrator-5 kit(Zymo)を使用してビーズからRNAを抽出した後、TaqMan MicroRNA Assayキット(Applied Biosystems)を使用してoG IPの特定のmiRNAの量を評価した。参照のために、逆転写前の全ての過程を2.5mMのDFOMの存在下で行い、in vitroのRNAの酸化を防止した。IP工程からの変異を正規化するために、oG IPでmiRNA:oGスパイクインの量をqPCRで測定し、特定miRNAの相対的なoG値を定量するための分母として使用した。また、oG IPでU6 snRNAを測定することによって相対レベルを推定し、特定miRNAで酸化の富化を確認するための正規化に使用した。
【0181】
実施例18.ルシフェラーゼ(luciferase)レポーターの構築
miRNA仲介遺伝子抑制活性を測定するために、psiCheck-2(Promega)またはpmirGLOベクター(Promega)を使用した。特にmiR-1 オキソ部位の場合、標的部位を並べて繰り返し(n=5)、psiCheck-2のRenilla luciferase(hRLuc)の3’UTRに挿入して検出感度を増加させた。
【0182】
このようなベクター構築のために、多様なmiR-1 オキソ部位を含む合成2本鎖オリゴヌクレオチド(Macrogen)を指示された通りXhoIおよびNotI部位を介してpsiCheck-2プラスミドにクローニングした:miR-1-シード site、フォワード:5’-TCGAGACATTCCCATTCCCATTCCCATTCCCATTCCGC-3’(配列番号39)、リバース:5’-GGCCGCGGAATGGGAATGGGAATGGGAATGGGAATGTC-3’(配列番号40);miR-1-2オキソ部位、フォワード:5’-TCGAGACATTCACATTCACATTCACATTCACATTCAGC-3’(配列番号41)、リバース:5’-GGCCGCTGAATGTGAATGTGAATGTGAATGTGAATGTC-3’(配列番号42);miR-1-3オキソ部位、フォワード:5’-TCGAGACATTACCATTACCATTACCATTACCATTACGC-3’(配列番号43)、リバース:5’-GGCCGCGTAATGGTAATGGTAATGGTAATGGTAATGTC-3’(配列番号44);miR-1-7オキソ部位、フォワード:5’-TCGAGAAATTCCAATTCCAATTCCAATTCCAATTCCGC-3’(配列番号45)、リバース:5’-GGCCGCGGAATTGGAATTGGAATTGGAATTGGAATTTC-3’(配列番号46);miR-1 control site、フォワード:5’-TCGAGACTTTCCCTTTCCCTTTCCCTTTCCCTTTCCGC-3’(配列番号47)、リバース:5’-GGCCGCGGAAAGGGAAAGGGAAAGGGAAAGGGAAAGTC-3’(配列番号48))。重要にも、miR-1対照部位は、同一塩基を有することによってmiR-1シード部位の6位(pivot)にミスマッチを有し、ここで、損傷されたpivotはシード仲介標的抑制を喪失すると報告され、したがって陰性対照として使用されるように構成した。
【0183】
前記と同じ方式で、miR-122、let-7、miR-124のシード部位にoG修飾を生成するときに認識可能な配列を5’末端基準で8番目までの相補的な配列にoG修飾が起こった部位に対してはAで置換して製作した。確認されたmiR-1:7oG標的mRNAで7オキソ部位を高感度で確認するために、標的サイトの2回または3回の繰り返しを含むようにpsiCheck-2ベクターを修飾してサブクローニングした。まず、予測されたオフセット7オキソ部位(3:8)を含有するホタル遺伝子(hluc+)を、ApaIおよびXbaI部位を介して、7オキソ部位がなく、pmirGLOベクター(Promega)に位置する異なるホタル遺伝子(Luc2)で置換した。
【0184】
実施例19.ルシフェラーゼ(luciferase)レポーター分析
多様なルシフェラーゼレポーターベクター(pmirGLO、psiCheck-2または所望の部位を含有するその修飾されたプラスミド)および/または合成2本鎖miRNA(50~75nM、別途明示される)をH9c2、rCMCおよびAC16に形質導入した。形質導入から24時間後、発現されたルシフェラーゼの活性を全般的に測定した。薬物処理の場合、明示された濃度のPE、Hおよび/またはNACを明示された時間で処理し、処理は形質導入から24時間後に開始し、処理後のものを得た。製造会社のプロトコールにより複製物(n=6)でGloMax-Multi Detection System(Promega)と共に二重-ルシフェラーゼレポーター分析システム(Promega)を用いて相対活性(ホタルルシフェラーゼで正規化されたRenillaルシフェラーゼ活性)を測定した。miRNA仲介抑制の効率を評価するために、異なる濃度のmiRNA(0~100nM)をHeLaに形質導入した。その後、Scipy(scipy.optimize.curve_fit)を使用してシグモイド関数(sigmoid function)に対して非線形最小自乗フィッティングを行ってIC50を計算した。最小自乗が関数に合わない場合、回帰線で大略的なIC50を計算した。
【0185】
実施例20.二重(dual)蛍光レポーターの製造
二重蛍光タンパク質(dFP)レポーターベクターはpsiCheck-2(Promega)に基づいて構築し、ルシフェラーゼ遺伝子を蛍光タンパク質遺伝子で置換した。pUlta(Addgene;Malcolm Moore提供)でeGFP遺伝子を増幅させNheIおよびXhoI部位を介してhRLucを置換した:フォワードプライマー:5’-TAGGCTAGCCACCATGGTGAGCAAGGGCGA-3’(配列番号49)、リバースプライマー:5’-GGGCTCGAGCGATCGCCTAGAATTACTTGTACAGCTCGTCCATGC-3’(配列番号50)。pTRIPZ(Thermo Scientific)でTurboRFP遺伝子を増幅させ、ApaIおよびXbaI部位(フォワードプライマー:5’-GAAGGGCCCTATGAGCGAGCTGATCAAGGAGA-3’(配列番号51)、リバースプライマー:5’-GACTCTAGAATTATTATCTGTGCCCCAGTTTGCTAG-3’(配列番号52))を介してhluc+を置換し、追加的に処理してPCR仲介欠失によるhluc+配列の残存33bpを除去し(フォワードプライマー:5’-GTACTGTTGGTAAAGCCACCATGAGCGAGCTGATCA-3’(配列番号53)、リバースプライマー:5’-TCCTTGATCAGCTCGCTCATGGTGGCTTTACCAACA-3’(配列番号54))、次いで、欠失されなかった骨格プラスミドを除去した(DpnI処理)。全てのPCR反応は製造会社のプロトコールによりPfuUltra High-Fidelity DNAポリメラーゼ(Agilent Technologies)を使用して行った。また、転換されたdFPベクター(Jens Gruberから提供されたp.UTA.3.0 Empty;Addgene plasmid #82447)を使用し、これはpsiCheck-2ベクターに由来し、acGFPがhluc+を置換し、RFPがhRLucを置換し、まるでレポーターおよび対照蛍光遺伝子がdFPで交換されたようものであった。最後に、miR-1 シード部位、7オキソ部位、2オキソ部位および3オキソ部位はpsiCheck-2に使用されたのと同一のサブクローニング(subcloning)方法によってdFPまたは転換されたdFPベクター(p.UTA.3.0)に挿入された。
【0186】
実施例21.フローサイトメーターを用いた単一細胞レポーター分析
フローサイトメーターを用いて単一細胞レベルでmiRNA仲介遺伝子抑制を測定するために蛍光タンパク質レポーターベクターを使用した。まず、miR-1 シード、7オキソ、3オキソまたは2オキソ部位を含有するdFP(RFP:GFP部位)または転換されたdFP(GFP:RFP部位)をH9c2に形質導入し、形質導入から24時間後に細胞を回収した。陽性対照として、各標的サイトに対する同族のmiRNA(50nM)を共形質導入させた。miR-1 オキソ部位の抑制が内因性miR-1によって仲介されることを確認するために、miRIDIAN マイクロRNAヘアピン阻害剤(Dharmacon)から得られた50nMのmiR-1特異的阻害剤をまた共形質導入させた。共形質導入の場合、同じ量のNTを対照として使用した。薬物処理のために、200μMのPE(血清枯渇したH9c2)または2mMのNACを形質導入時点から開始して24時間処理した。細胞を4%のBSA(Bovogen)および5mMのEDTA(Sigma)と共にPBS(Biosesang)から回収し、フローサイトメーターで分析した。
【0187】
dFP(RFP:GFP部位)形質導入されたH9c2の場合、初期に4-blue構成で作動されるBD Accuri C6 Plus(BD Biosciences)を使用した(ブルーレーザー装備のみを備える、励起波長:488nm;標準フィルター、GFP:533/30、RFP:670LP)。生きている単一細胞を(FSCおよびSSCに基づいて)ゲーティングした後、レポーター発現がない細胞をpsi-Check2形質導入された細胞によって推定された自動蛍光の基礎レベルに基づいて、さらに取り除いた。その次に、GFPvs.RFP信号(n=10,000細胞)の散布図(scatter plots)を分析した。H9c2の細胞サイズはFSC値によって推定された。酸化されたmiR-1仲介抑制に対するPE処理の効果を試験するために、PE処理vs.無処理を比較することによってGFP強度(log(GFP))または相対GFP比(log(GFP/RFP))による細胞分布を示し、累積分率分析(Scipy、scypy.stats.ks_2samp)を使用して行われたKS検定))によってさらに統計分析を行った。
【0188】
dFP(RFP:GFP部位)および転換されたdFP(GFP:RFP部位)の両方に対する検出感度を高めるために、その後、青色(488nm)および黄色(561nm)のレーザーが装着されたAttune NxTフローサイトメーターを使用してGFPおよびRFPの両方の完全励起を達成した。前記分析のために、GFPおよびRFP信号の範囲は初期に散布図分析から選択され、類似の範囲のベクター発現(dFPに対するlog10(RFP)および転換されたdFPに対するlog10(GFP)によって推定される;同様に入力)から誘導されたレポーター値(dFPに対するlog10(GFP)および転換されたdFPに対するlog10(RFP))を平均化して相対比として定量化した。究極的には、相対的な倍率変化は、部位の無い同じレポーターに由来した値(例:dFP値およびRFP値の各binに含まれるFP値の平均は、部位無しの対照の値として表示される)で相対的比率を正規化して計算した。レポーター発現が最も低い25%のみとなるように分析範囲を狭めるために、それぞれのベクター発現値のbinでのレポーター値が最も低い25%である細胞のみを使用して相対倍率変化を再計算した。
【0189】
実施例22.miR-1:o Gを用いた心臓細胞肥大の誘導
NT-6φ、miR-1、miR-1:7oG、miR-1:2oG、miR-1:3oG、miR-1:7U、miR-1:2U、miR-1:3Uを製造会社のプロトコールによりRNAiMaxまたはリポフェクタミン3000(Invitrogen)によってH9c2またはrCMC細胞に形質導入させ、静止画を得るために、倒立顕微鏡(Leica DMi8)を使用し、ImageJ(≧100細胞、https://imagej.nih.gov/)で分析した。時系列の画像を生成するために、miR-1:7oGまたはmiR-1:7Uの形質導入後、Lumascope 400(Etaluma)を20分間隔で0から50hの間で使用した。
【0190】
実施例23.マウスにmiRNA投与
マウスへのmiRNAの生体内送達を行った。具体的に、2本鎖miRNA(5mg kg-1)を製造会社のプロトコールによりin vivo jetPEI(N/P比率=5;Polyplus)を使用して静脈内注射(I.V.)によって12週齢の雄C57BL/6マウス(Koatech)に投与した。注入されたmiRNA(NT vs.miR-1:7oG、NT vs.miR-1:7U;n=4)に応じてマウスを2つのグループに分配することにより、2セットの実験を設計した。miR-1:7oG(4mg kg-1)またはmiR-1:7U(4mg kg-1)を注射する場合、NT(1mg kg-1)も共に注射してマウス心臓への送達を確認した。特に、注射に使用されたmiR-1:7oGまたはmiR-1:7Uの二本鎖は、5’末端にFITCを含有するmiR-1 パッセンジャー鎖を使用して心臓組織への送達を確認することによって生成された。注射は1日目および2日目の2回行われ、マウスは7日目に殺処理した。それぞれの心臓測定用に心臓組織を回収した:HW、BWおよびTL。RNA抽出(小RNAおよび大RNA;miRNeasy Mini Kit、Qiagen)のために切断された心臓組織を直ちに使用し、送達されたNTの量をqPCR(miRNAセクションに対するqPCRの詳細な方法参照)に次いでRNA-SeqおよびqPCR分析で調査した。切断された心臓の一部はまた、免疫組織化学分析のためにスライド上の組織切片として製造された。
【0191】
実施例24.mRNAに対する定量的RT-PCR
RNase-Free DNase Set(Qiagen)を用いたカラムのDNA消化を通じてRNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して総RNAを分離した。SuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)およびオリゴ(dT)プライマーで逆転写を行った。qPCR分析はSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)で行った。全ての反応は標準2工程サイクリングプロトコールで3回行い、対照としてACTBおよびGAPDHを使用したΔCT方法によって相対的定量を計算した。
【0192】
実施例25.心臓組織の免疫組織化学
解剖したたマウスの心臓組織を固定し(4%のパラホルムアルデヒド、一晩4℃)、保存し(70%のエタノール)、パラフィンで包埋し、切断した後(横断面、連続切片;5μm幅)、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。パラフィン包埋した切片の準備、H&E染色、およびマッソンの三重染色は、サービス加入を通じて、心血管製品評価センター(延世大学校医科大学、韓国)または病理学核心施設(ソウル大学校医科大学、韓国)によって行われた。その後、製造されたスライド上で免疫蛍光染色を行った。Histo-Clear(National Diagnostics)で切片を脱パラフィンした後、段階希釈したエタノールで切片を加水分解し、PBSに保存した。製造会社のプロトコールによりBD Retrievagen Antigen Retrieval Systems(BD Biosciences)を使用して抗原を回収した。その次に、PAP pen(Sigma)によって定義した標的染色領域を明示したように免疫染色し、ブロッキング溶液(10%の正常ヤギ血清および1%のBSAを含有したPBS)、室温で1時間;MF20抗体(1:200、Developmental hybridoma)、ブロッキング溶液、4℃で一晩;Alexa Fluor 488ロバ抗マウスIgG(1:1000、Abcam)、ブロッキング溶液、室温で1時間。また、Alex Fluor 594結WGA(50μg/ml;Invitrogen)とDAPI(1.5μg/ml;Vector lab)を適用して細胞膜と核をそれぞれ視覚化した。染色された組織を倒立蛍光顕微鏡(Leica DMi8;20xまたは40x倍率)で観察し、Leica Application Suite(LAS)で分析し、ImageJ(≧100細胞、https://imagej.nih.gov/)で定量化した。
【0193】
実施例26.形質転換マウス生成
心筋細胞特異的形質転換マウス(TG)を生産するために、アンチ-7オキソ(α-MHC 13x)プラスミドをBamHIを使用して分解して形質転換カセットを分離した。ゲル-精製された形質転換カセットを交配後、過排卵されたC57BL/6雌マウス(PMSGおよびHCGによって誘導される)から製造されたマウス受精卵の核に注射した。その後、マウス胚(受精された単細胞受精卵)を偽妊娠雌マウス(Korea Bio Co.Ltd、Seoul、Korea)に移植した。送達後、全てのアンチ-7オキソTG(+)マウスを、hGHポリ(A)に対応するプライマーセット(フォワード:5’-CCACCAGCCTTGTCCTAATAAA-3’(配列番号55)、リバース:5’-CAGCTTGGTTCCCAATAGA-3’(配列番号56))を使用してゲノムDNA(末端から精製される)のPCR分析によって確認した。アンチ-7オキソTGの場合、4つの独立したファウンダー系統(F;#44、#65、#68、および#69)が確立され、研究された。全てのマウスは任意に食べ物と水を与えられ、12:12時間の明:暗周期で維持させた。
【0194】
実施例27.RNA-Seqライブラリー構築および分析
RNA-Seqライブラリーは、アダプターライゲーションに基づく方法または鎖置換停止/ライゲーション方法を使用して全体または大RNAから生成した。アダプターライゲーションに基づく方法の場合、100ngの総RNA(miRNeasy Mini Kit;Qiagenで精製される)を製造会社のプロトコールによりNeoPrep(Illumina)を使用してTruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina)に適用した;サンプル名称:H9C2-NT-N1、H9C2-miR-1-2oG-N1、H9C2-miR-1-3oG-N1。また、TruSeq Stranded mRNA LibrariesはOmega Bioservices(Norcross、GA、USA)によって構築、シーケンシングおよび脱多重化された;サンプル名称:H9C2-NT-O1、H9C2-NT-O2、H9C2-miR-1-7oG-O1、H9C2-miR-1-7oG-O2。
【0195】
残りサンプルは次のように鎖置換停止/ライゲーション方法を使用して処理された。即ち、1.5μgの大RNA(>200nt、RNeasyまたはmiRNeasy Mini Kit;Qiagenによって抽出される)から、ポリアデニル化されたmRNAを10μlのDynabead Oligo(dT)25(Invitrogen)を製造会社が提供したプロトコールにより使用して精製した。その次に、10ngの精製されたmRNAに対して、製造会社の説明書に基づき、SENSE Total RNA-Seqライブラリーキット(Lexogen)を使用してRNA-Seqライブラリーを製造した。ライブラリーが生成された後、これらを最適サイクルが最も低いPCRによって増幅した。PCRは異なるサイクルの結果を比較するか前記実施例14のoG-miSeqの方法に記載された通りqPCRを行うことによって決定された。増幅されたライブラリーの品質はサイズ分布および量に対してFragment Analyzer(Advanced analytical)を使用することによって確認された。必要な場合、尿素-PAGEゲル抽出またはPippin Prep(Sage Science)をサイズ選択のために追加的に使用した。最後に、Qubit RNA HS分析キット(Thermo Fisher)とFragment Analyzerを使用して準備された多重化されたライブラリーを正確に定量化し、50個の単一-末端リードとしてHiSeq2500システム(Illumina)によってシーケンシングされるように適用した。シーケンシングするためにH9C2-対照、H9C2-アンチ-7オキソ、mHT-ISO-対照、mHT-ISO-アンチ-7オキソ、mHT-ISO-アンチ-7オキソ-TG(-)およびmHT-ISO-アンチ-7オキソ-TG(+)と命名されたサンプル、MiniSeqシステム(Illumina)を使用した。HiSeq2500システムの結果と一貫性を維持するために、MiniSeqシステムにはSE50情報のみ使用された。
【0196】
脱多重化された配列分析リード(CASAVA;Illuminaを使用して獲得)を、RefSeq遺伝子注釈の供給下でTopHat2(tophat2 -a 4 -g 1 --b2-sensitive -r 100 --mate-std-dev=50 --library-type fr-firststrand)を使用してマウスゲノム(mm9)またはラットゲノム(rn5)とアラインした。鎖置換停止/ライゲーション方法を使用してシーケンシングライブラリーを製造した場合、リードの開始側から最初の9個のヌクレオチドを製造会社の説明書に従ってTopHat2に対してトリミングした。Cufflinks(cufflinks -N-b)を使用して転写レベルを定量化し、同一の実験条件のグループでのマッピング結果の供給と共にCuffdiff(Cuffdiff --FDR=0.1 -b -N --min-alignment-count=10 -library-norm-method=geometric)で差異的転写プロファイルを分析した。有効なステータス値のみを選択し、倍率変化および統計的有意性(p値)に加えて使用した。複製物が2つの異なるライブラリー構築方法(アダプターライゲーションに基づく方法および鎖置換停止/ライゲーション方法)から派生した場合、cufflinksは同一な類型のライブラリーにのみ使用された後、中央値RPKMおよびp値(t検定、両側)を全ての複製物から計算した。
【0197】
実施例28.累積分率分析
与えられたmiRNAまたはmiRNA阻害剤による推定標的転写体阻害または脱抑制の傾向を試験するために、倍率変化(log比率)のある累積分率を分析した。推定されるmiR-1:oG標的は3’UTR(UCSCゲノムブラウザーからダウンロードしたRefSeqによって定義される)にmiR-1 オキソ部位を含有する転写体として選択され、ここで、miR-1:oGの2~8位にマッチする全ての6量体(oG:Cの代わりにoG:Aのマッチ)について、別途の表示がない限り通常通り調査した。“部位無し”はmRNA配列でmiR-1 シード部位およびオキソ部位を含有しない転写体を示す。“対照部位”は3’UTRにmiR-1対照部位を含有する転写体を示し、オキソ部位でoGと結合するヌクレオチドを以前の研究で陰性対照として使用された通り、Gで置換した。KS検定は総mRNAまたは対照部位に対してScipy(scypy.stats.ks_2samp)を使用して行った。倍率変化および有意性(-log10(p値))を計算してVolcano plotを分析し、このうちカットオフを使用して差異的に発現された遺伝子(DEG)を選択した。
【0198】
実施例29.Ago HITS-CLIPデータ分析
心筋症患者の左心室組織からのAgo HITS-CLIP結果はGEOデータベース(GSE83410)から検索された。miRNA配列を含むリードはBowtie(サンプルリードに対する成熟miRNA配列のアラインメント)からの‘逆方向’マッピングによって2つのミスマッチの許容と共に確認され、miRNAリードの位置的ミスマッチがmiR-1に対して分析された。miR-1オキソ部位の富化分析のために、G:U結合によって仲介されたmiR-1シード部位と比較して、以前の研究(Spengler、R.M.et al.、 Nucleic Acids Res 44、7120-7131)によって提供されたAgo2結合クラスターを分析した。脳特異的miRNAであるmiR-124のシード部位は心臓組織には存在しないため、陰性対照として使用された。miR-1の非核生成バルジ部位も陰性対照として使用された。
【0199】
心筋症患者でmiR-1 7オキソ部位を確認するために、Ago HITS-CLIPの生シーケンシングデータをCLIPIckによって処理した。具体的には、FASTQファイルは最初に品質点数(fastq_filter.pl -f mean:0-24:20)に基づいてフィルタリングされ、縮小された(fastq2collapse.pl)。その後、前処理されたリード値を同一の仲介変数でNovoAlignプログラム(http://www.novocraft.com)を使用してヒトゲノム(hg19)にアラインした。注釈が付けられた転写体(RefSeq)でリード値を選択した後、BedToolsおよびSAMtools(http://samtools.sourceforge.net/)を使用してアラインされたAgo CLIPリード値をBEDまたはBAMファイルに生成し、ヒトの心臓(RNA-Seq Atlasに由来する、http://medicalgenomics.org/rna_seq_atlas)の発現プロファイル供給有のピーク分析に使用した。ピーク(peak)、編集された全てのリード値、および推定miR-1 7オキソ部位(2~8位の6量体)を視覚化するために、UCSCゲノムブラウザー(http://genome.ucsc.edu/)を適用した。
【0200】
実施例30.CLEAR-CLIP
ISO処理またはPBS処理されたマウスから解剖されたマウス心臓組織(約150mg)を粉砕し、UV照射(400mj/cm、3回;Spectrolinker XL-1000)してin vivo RNA-タンパク質複合体の架橋共有結合を誘導した。50μU/μlのRNAse A(affymetrix)で37℃で5分間処理することによって得られた処理済みAgo-関連断片mRNAは、60mgのDynabeads Protein A(Invitrogen)に付着された2つの異なる抗Ago抗体(2A8;Diagenode、2E12;Abnova)10μgによって免疫沈降させた。miRNA-標的mRNAキメラを生成するためのライゲーションは、16℃で一晩、0.625U/μlのT4 RNAライゲーズ1(NEB)を処理することによって行われ、25℃で75分間、3%のDMSO(Sigma)および18%のPEG8000(Sigma)の存在下でさらに1U/μlのT4 RNAライゲーズ1(NEB)で処理することによって強化された。同位元素標識されたRNA-タンパク質複合体はNuPAGE 10%のBis-Tris Gel(Invitrogen)を作動させてサイズ別に分離し、ニトロセルロース膜(BA85;Whatman)に移し、切り出し、4mg/mlのプロテネーズK(Roche)および7Mの尿素(Sigma)で処理し、酸フェノール:クロロホルム:IAA(125:24:1;Invitrogen)およびRNA Clean & Concentrator-5キット(Zymo)で抽出した。精製されたRNAはアダプターライゲーションおよびRT-PCRに適用してsmall RNA-Seq Library Prepキット(Lexogen)を使用することによって高処理量シーケンシングのためのライブラリーを生成し、最終的にHiSeq2500システム(Illumina)でシーケンシングした。
【0201】
シーケンシングリードを前処理してマッピングし、アダプター配列が除去された後、miRNA配列を含有する潜在的なキメラリードが‘リバース’マッピングによって確認され、ここで、成熟したmiRNA配列はBowtieを使用してサンプルライブラリーに逆向きに整列された。その後、残りの配列をマウスゲノム(mm9)にマッピングし、2A8および2E12抗体の両方からの組み合わせエクソンと重なったもののみを追加的に選択し、キメラリードを含むmiR-1にのみに最終的に焦点を合わせた。miR-1 シードおよびオキソ部位の調査において、ISO注入および非注入マウス心臓の間の富化結果を比較してマッピングされたキメラリードから上流(5’、-)および下流(3’、+)が拡張された(-/+0、-/+25、-/+50、-/+100)。
【0202】
実施例31.心筋細胞特異的miR-1:7o G阻害剤の構築
心筋細胞においてmiR-1:7oGを特異的に抑制するために、心筋細胞特異的α-MHCプロモーターを保有するpJG/ALPHA MHCプラスミドに基づいて複数のmiR-1 7オキソ標的サイトを含有する競合的阻害剤を構築した。13個のmiR-1 7オキソ部位(5’-AAUUCC-3’;配列番号6)または対照NT標的部位(5’-GGUUGUG-3’;配列番号21)を含む合成二重オリゴ(Macrogen)をSalIおよびHindIII部位を介して、説明書の通りにpJG/ALPHA MHCベクターにクローニングした。アンチ-7オキソ、α-MHC 13x、フォワード:5’-TCGACAAATTCCAAAAATTCCATAAATTCCAGAAATTCCACAAATTCCAAAAATTCCACAAATTCCATAAATTCCAGAAATTCCAAAAATTCCATAAATTCCAGAAATTCCACAAATTCCAA-3’(配列番号57)、リバース:5’-AGCTTTGGAATTTGTGGAATTTCTGGAATTTATGGAATTTTTGGAATTTCTGGAATTTATGGAATTTGTGGAATTTTTGGAATTTGTGGAATTTCTGGAATTTATGGAATTTTTGGAATTTG-3’(配列番号58);対照、アンチ-NT、フォワード:5’-TCGACGGTTGTGAAGGTTGTGATGGTTGTGAGGGTTGTGACGGTTGTGAAGGTTGTGACGGTTGTGATGGTTGTGAGGGTTGTGAAGGTTGTGATGGTTGTGAGGGTTGTGACGGTTGTGAA-3’(配列番号59)、リバース:5’-AGCTTTCACAACCGTCACAACCCTCACAACCATCACAACCTTCACAACCCTCACAACCATCACAACCGTCACAACCTTCACAACCGTCACAACCCTCACAACCATCACAACCTTCACAACCG-3’(配列番号60)。注目すべきことは、対照ベクター(アンチ-NT)は、cel-miR-67(C.elegans-)に由来した非標的siRNA(NT)の結合部位を含むものを除いてはアンチ-7オキソ(α-MHC 13x)に使用されたものと同一なプラスミドであった。pJG/ALPHA MHCベクターはJeffrey Robbins(Addgene plasmid #55594)からDr.Da-Zhi Wangに提供されたものであった。他の競合的miRNA阻害剤はRNAから合成された(RNA合成方法参照)。
【0203】
実施例32.ISO処理マウスへのmiRNA阻害剤の投与
競合的miR-1:7oG阻害剤(アンチ-7オキソ)が生体内でISO-誘導心臓肥大を弱化させることができるかどうかを調査するために、ISO(75mg kg-1)を最初に8週~12週齢の雄C57BL/6Jマウス(Korea Bio Co.LTD)に腹腔内注射(I.P)によって投与し、この時、同じ容量のPBSを対照として使用した(各セットに対してn=5)。8時間後、製造会社のプロトコールにより明示された量および比率でin vivo jetPEI(Polyplus)を使用してアンチ-7オキソまたは対照(アンチ-NT)をマウスに静脈注射した;アンチ-7オキソ(α-MHC 13x)または対照(アンチ-NT 13x)、1.9mg kg-1、N/P比率=8;アンチ-7オキソ(4x)または対照(アンチ-NT 4x)、5mg kg-1、N/P比率=5。連続注射は1日目、2日目および5日目に3回行われ、7日目に全てのマウスを殺処理して心臓を検査した。hGH ポリ(A)(フォワード:5’-TAAATTCCAAATTCCAGAAATTCCACAAATTCCAT-3’(配列番号61)、リバース:5’-CCAGCTTGGTTCCCAATAGA-3’(配列番号62))を含むアンチ-7オキソ転写体のRT-qPCRを行うことによって心臓組織へのアンチ-7オキソ(α-MHC 13x)の送達率を測定した。アンチ-7オキソ(4x)がマウス心臓に送達されることを確認するために、ポリ(A)テールに基づくmiRNA qPCR方法(miRNAに対する定量的PCRの方法参照)をアンチ-7オキソ(4x)(フォワード、5’-TAAATTCCAAATTCCAGAAATTCCACAAATTCCAT-3’;配列番号63)特異的プライマーで行った。
【0204】
実施例33.経時的なISOにおけるmiR-1:o Gの定量
経時的なISO(ISO time course)実験で酸化されたmiR-1の量の変化を調査するために、75mg kg-1のISOをIP注射によってマウスに投与し、注入されたマウスを処理時点から1日目、5日目および7日目に殺処理した(各時点についてn=4)。同じ容量のPBSをさらに注入し、マウスを直ちに殺処理して0日目のサンプルとして使用した(n=4)。心臓を解剖した後、miRNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して小RNAを抽出した。miR-1:oGを定量するために、“oG IPおよびqPCRによる酸化されたmiRNAの定量化”方法に記述された通り、oG IPおよびその後のmiR-1 qPCRを行ったが、次のように若干の変更があった。ビーズ製造においては、150μlのPXL中の3μgの抗oG抗体(15A3、QED Bioscience)、30μlのDynabeads Protein G(Invitrogen)、および300μgのデオキシグアノシン(dG、Sigma-Aldrich)を使用;IP培養では、2.5mMのDFOMおよび40Uの組換えRNase阻害剤(Takara)を含有する250μlのPXL中で2μgの小RNAサンプルおよび1pgのodG RNAスパイクイン(miR-124-3p:4odG:5’p-UAAG dGCACGCGGUGAAUGCC-3’;配列番号64)を使用。
【0205】
実施例34.3’UTR内のmiR-1標的部位の配列保存分析
3’UTRで保存される配列のモチーフを計数する場合、哺乳類に対するPhastCons結果をUCSCゲノムブラウザー(http://genome.ucsc.edu)から得て、スコアが0.9以上である場合にのみ使用し、保存率(保存されたモチーフ数/総モチーフ数;%)を計算した。全ての3’UTR(RefSeqによって定義される)での保存率は、miR-1の4つの異なる部位(シード、2オキソ、3オキソおよび7オキソ部位)に対して保存されたmiRNAファミリーのシード部位(n=103、2~8位の6量体)で計算した。このうち大部分の哺乳動物で配列が保存される(しかし、一般に胎盤哺乳動物を超えてはいない;http://www.targetscan.org)。バックグラウンド対照として、全ての6量体(n=4098)の保存も計算された。得られた分布は累積分率および母集団の比率として表された。
【0206】
実施例35.データの利用可能性
G-miSeq(SRP189806、SRP189807、SRP189808、SRP226125)、RNA-Seq(SRP189813、SRP189117、SRP189812、SRP189811、SRP189809、SRP213998、SRP214400、SRP228274)およびCLEAR-CLIP(SRP189810)の全ての生シーケンシングデータはSequence Read Archivesに保管された。スパイクインがあるoG IPのシーケンシングデータを含む全てのFASTQファイルはプロジェクトウェッブサイト(http://clip.korea.ac.kr/oxog/)でも提供される。
【0207】
実施例36.心肥大症動物モデルの血漿(plasma)におけるmiR-1:o Gの測定
実施例8で記述したのと同様の方法で、ISO注入を通じてマウスの心肥大症を誘導した(図6a)。その後、PBS処理した対照群の3匹と、過剰量のISOで処理した実験群の3匹からそれぞれ700μlの血液を採取した後、4℃、1000xg、で5分間の遠心分離を通じて沈降させて血漿を分離した。各群当り350μl等量の血漿からQiagen社のmiRNeasy Serum/Plasma Kitを使用して小RNAを抽出し、抽出された小RNAにおけるmiR-1の測定は、実施例12で記述した通りqPCRを実施し、U6の量で補正して定量した。また、血漿から分離した100ngの小RNAから実施例11で記述した通り抗体沈降(IP)を通じてoG修飾されたRNAを特異的に分離し、qPCR方法を通じてmiR-1を定量した。また、oGに修飾されたmiR-1の定量は、DNA形態で5位にoGが合成された、1pgのmiR-124-3p:4odG(UAAG dGCACGCGGUGAAUGCC-3’;配列番号64)をG抗体を用いた免疫沈降実験に加え、qPCRで測定し、補正することで行った。
【0208】
実験例1.ROS依存性心臓肥大におけるmiRNAの酸化
H9c2ラット心筋母細胞細胞株をα-アドレナリン性受容体(AR)作動薬(フェニレフリン;PE)で処理して、PE処理による病理生理学的肥大刺激およびROS生成とmiRNAの酸化を確認した。ROS蛍光染料(DHE)を使用してフローサイトメトリー(10,000細胞、n=3)で分析した結果、PE処理後の細胞内でROSが増加したことを確認し、特にPEで処理された後に発生した肥大細胞のうちの93%は処理後のROS生成が1.8倍に増加した。アドレナリン性肥大を刺激するために確立された前提条件である血清欠乏は、基底ROSレベルの高い拡大表現型を向上させる。
【0209】
生体内マウスモデルにさらに拡張して、図1aに示すβ-AR作動薬であるイソプロテレノール(isoproterenol、ISO)の慢性投与は、図1bに示したように、心臓肥大(約13%の増加)を誘導する。このうち病理は心臓超音波で確認し、前記ISOで処理した時にROSを生成することを確認した。
【0210】
その次に、前記のISOを投与した心臓肥大マウスモデルでRNAがROSによって酸化されたかを調査した。
【0211】
サイズ(200ヌクレオチド基準)によってRNAを分離して、ISO処理によって誘導された8-オキソグアニン(8-oxoguanine、oG)をoG特異的抗体を用いるELISAで測定した。測定結果は、図1cに示したように、小RNAにおいて大RNAよりも約3.1倍多くoGが生成されたことを確認した。これは大RNAがパラコート(paraquat、PQ)処理によって誘発される酸化ストレスを受ける場合の大RNA(1.8倍)よりもさらに急激なことが確認された。
【0212】
小RNAの酸化は、図1dに示したようにRNA誘導サイレンシング複合体のカギとなるタンパク質であるArgonaute2(Ago2)とoGとの共存(colocalization)に基づいてmiRNAまでさらに分解して、定量化及び増加させ、これはPE処理されたrCMC(約8倍)で定量化されて増加することを確認し、図1eに示したようにPE-またはISO-処理されたH9c2でも増加することを確認した(平面(plane)当りのoG+、Ago2+;100細胞、n=4;P=0.05)。
【0213】
独立的に、oG特異的抗体を使用したドットブロット分析は図1fに示したように、酸化還元反応依存的方式でPE-処理されたH9c2およびrCMCから小RNA(<200nt)の酸化が増加することが確認された。
【0214】
PE処理されたH9c2およびISO注入マウス心臓でmiRNAの酸化を確認した時、図1gに示したようにPE処理されたH9c2(図1gの上段)およびISO注入マウス心臓(図1gの下段)でのnorthwestern分析結果、および図1hに示すゲル抽出した約20ntのmiRNAのドットブロット分析結果を通じて、PEおよびISOそれぞれの処理によって、oGはサイズが約20ntのmiRNAから発生することを確認した。
【0215】
前記実験結果を要約すれば、心臓肥大は酸化還元反応依存的であり、ROSの生成を可能にし、生成されたROSはmiRNAのoG修飾を誘導する。
【0216】
実験例2.心臓miRNA内の部位特異的o Gのシーケンシング
酸化されたmiRNAおよび対応するoGの位置を確認するために、oGの免疫沈降(IP)を最適化しoG-誘導されたG→T塩基転換を検出することによってmiRNAでoGに対する新たなシーケンシング方法(oG-miSeq)を開発し、その模式図を図2aに示した。
【0217】
まず、図2bに示したように、CLIPに使用された条件を採択してoGに対するIPプロセスが広範囲に改善され、図2cに示したように最適化したIPは非特異的背景(酸化されていないG)に比べて約3000倍の合成oG量を示した。oGはAと対を成すことができるため、cDNAでG→T変異を誘導する効能は約50~60%に到達するように向上し、これは図2dに示したように獲得された制限酵素部位の配列特異的切断によって間接的に(図2dの上段)およびシーケンシングによって直接的に(図2dの中間および下段)立証された。
【0218】
その次に、下記表1に示したようにoG-miSeqを初期にH9c2に適用し、miR-1bをその基本発現(oG富化、log(IP/input)=7;miRNA-Seqによって標準化される)に関連して最も酸化されたmiRNAとして確認し、oG富化度(enrichment)、即ち、miRNAに対するインプットリードカウントに対して正規化されたoG IPのlog比率はmiRNA頻度によって点で表示して図2eの左側図面に表し、ヒートマップ密度として配列でのGの数を図2eの右側図面に示した。
【0219】
【表1】
【0220】
miRNAの量およびG含量からのバイアス(bias)が全く観察されないことによって、IPは特異的に実行されることが立証され、Volcano plotとして有意性(-log10(P値))を示した図2fのようにmiR-1bでoGは有意的に高く(P<0.01)、G→T突然変異率に基づいてシード領域(2位、3位および7位)で顕著であることが確認された。また、下記表2のようにrCMCに対する追加適用によって、図2gに示したようにoG-miSeqはシード領域の識別された位置(2位、3位および7位)でoGの増加(図2gの上段)と共にPE処理によってmiR-1bが優先的に酸化されるのを追加的に示した(相対的oG富化度、log(PE/Mock)=1.66;図2gの下段)。
【0221】
【表2】
【0222】
その次に、rCMCの肥大性表現型を悪化させるためにrCMCを血清欠乏に露出させた後、下記表3に示したようにoG-miSeq分析のためのPE処理を行った。その結果、図2hに示したようにmiR-1配列でG→T転換率によって推定されたとおり、7位でoGは劇的に増加し(miR-1:7oG、~2倍増加)。図2iおよび表4に示したように強化されたmiR-1b酸化を観察すること以外にも相当の量のoG(log(oG-IP)>10)と共にmiR-184、let-7f-5pおよびmiR-1-3p(P<0.01)のような他のmiRNAでも有意的な酸化が観察された。特に、miR-184は図2jに示したように以前のH処理結果と同一に確認され、その他の他のmiRNAの場合は若干のミスマッチがあった。
【0223】
全般的に、oG-miSeqを使用することによって、心臓肥大の間に酸化されたmiR-1およびその特定のoGの位置を正確に検出することができた。
【0224】
【表3】
【0225】
【表4】
【0226】
実験例3.酸化されたmiR-1のo G:A塩基対による標的サイレンシング効果
前記実験例2で確認した通り酸化されたmiRNA(miR-1b、miR-1-3p、miR-184およびlet-7f)に対して、図3aに示したように、PE処理によるoG IP(miRNA:oG)を通じてこれらの量の有意な増加を観察しrCMCでこれらを検証した(P<0.05、t-test)。そのうち、miR-1は最も劇的な向上を示し(~2.5-5倍)、図3bに示したようにISO処理後下向調節にもかかわらずISO-処理された肥大性マウス心臓でも確認された。
【0227】
miR-1を中心にして、シード領域で識別されたoGの位置(2位、3位および7位)がmiR-1(miR-1:2oG、miR-1:3oGおよびmiR-1:7oG)がoG:A塩基結合を通じて相応する新たな標的部位(2オキソ、3オキソおよび7オキソ部位)を認識することができるかどうかを調査し、その結果を図3cに示した。
【0228】
ルシフェラーゼレポーター分析を行うことによって、合成されたmiR-1:2oG、miR-1:3oGおよびmiR-1:7oGが当該酸化修飾時G;A塩基配列で認識することができるオキソ部位(2オキソ、3オキソおよび7オキソ部位)を有する標的をサイレンシングさせることができるのを確認し、これはmiR-1によって抑制されなかった。
【0229】
実際に、図3dに示したようにmiR-1 オキソ部位を有するこれらルシフェラーゼレポーターは全てPE-処理されたrCMCで抑制されたが、抗酸化剤NACの存在下で活性化され、これはターゲット認識を変えてサイレンシングを行うに十分なrCMCのアドレナリン性刺激によって生成された内因性miR-1:oGのレベルを示唆する。
【0230】
また、図3eに示したようにPEまたはH処理直後AC16で一貫した結果を観察した。
【0231】
その次に、細胞集団の異質性から合成効果を排除するために、図3fに示したように二重蛍光タンパク質(dFP)レポーターでフローサイトメトリー法を行った:miRNA標的サイトを有する緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)およびサイトを有しない赤色蛍光タンパク質遺伝子(RFP)。dFPレポーターは肥大性H9c2で相対的活性の累積分率分析(P=1.56×10-5、Kolmogorov-Smirnov test(KS test)、GFP/RFP)によって観察されたものである。
【0232】
内因性miR-1の低い発現レベル(恐らく図3hに示す心筋芽細胞株の運命異質性に起因する)にもかかわらず、図3gに示したように、個別H9c2細胞レベルでmiR-1:oG-依存的抑制を検出することができた。dFPレポーターの全てのmiR-1オキソ部位(7オキソ、3オキソおよび2オキソ部位)はoG-miSeq(図2f)によって観察されたmiR-1:oGの位置(2位、3位および7位)と一致しmiR-1:oGの基底レベルによって仲介された抑制を検出するための敏感度を有して内生的に抑制されることを図3iで確認し、miR-1阻害剤または同族miR-1変異体を形質導入させることによって確認された。
【0233】
また、dFPレポーターは、図3jに示したように肥大H9c2でmiR-1 7オキソ部位の有意なPE-依存的抑制を検出した。
【0234】
また、二つの蛍光タンパク質の完全な励起からの感度が増加することによって、図3kに示したようにサイトを有しない(no site)dFPレポーター(RFP:GFP、NT)と比較して値を比較することによって図3lに示すmiR-1:7oG(RFP:GFP-7オキソ vs.RFP:GFP、NT)および図3mに示すNAC処理によるその活性化(RFP:GFP-7オキソ、mock vs.NAC)の内因性レベルによるmiR-1の抑制を検証して分析を綿密に調査した。
【0235】
重要に、細胞で類似の範囲の対照群蛍光値(RFP)でレポーター蛍光値(GFP-7オキソ)を平均化して計算されたこのような相対的抑制はレポーター蛍光値(GFP-7オキソ)の最も低い25%である時目立ち、高いレベルのmiR-1:7oGを有する細胞集団の存在を暗示することに考慮された。また、図3nに示したように、レポーターと対照群蛍光タンパク質が相互交換されたdFPレポーターは、miR-1:7oGの内因性レベルによるmiR-1 7オキソ部位の抑制および抑制のPE依存的増加を敏感に検出した。
【0236】
また、図3oに示したように、転換されたdFPレポーターを使用し、レポーター値(RFP)が25%で最も低い制限された細胞集団のみ考慮する時、miR-1 7オキソ部位のPE-誘導抑制がより実質的であることが観察され、miR-1阻害剤を導入することによって回復されたレポーター活性(RFP)の観察はmiR-1 7オキソ部位のPE-依存的抑制がmiR-1によって仲介されることを追加的に確認した。特に、図3pに示したように、酸化されたmiR-1(2oG、3oGおよび7oG)の導入は酸化されないmiR-1よりあまり強力でないが、oG:C塩基結合の維持された活性のためルシフェラーゼレポーターでシード部位を抑制することができた。miR-1:7oGはアドレナリン性心臓肥大から獲得されたoG:A塩基結合を通じて標的mRNAをサイレンシングさせることが観察された。
【0237】
実験例4.miR-1:o Gの心臓肥大誘導確認
miR-1が肥大で陰性機能を果たすと報告されたが、PE処理は図4aに示したrCMC細胞の顕微鏡観察結果および細胞サイズ定量結果のようにrCMCのmiR-1-誘導萎縮を減少させた。細胞サイズ(inch、n=100)はImageJを用いて定量した。
【0238】
前記実験例2でのmiR-1:oGの発見とPE誘導された肥大の酸化還元反応依存性によって持続された合成miR-1:2oG、miR-1:3oGまたはmiR-1:7oGを導入して、図4bに示したように、PE処理より実質的にrCMCの肥大がさらに誘導されることを観察した。
【0239】
このような効果はoGをUで置換した合成miR-1(miR-1:2U、miR-1:3UおよびmiR-1:7U)を導入した場合にも対等に示され、これによって肥大現象の発生がoG:A塩基結合に依存するということが分かる。
【0240】
このような効果は図4cに示したように、H9c2でも同一に観察された。
【0241】
具体的に、図4dに示すqPCR測定結果のようにmiR-1:7oGまたはmiR-1:7Uによって誘導された肥大は、PE処理で観察されたように心臓肥大マーカと知られた心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の発現を有意に増加させた。このような結果は、図4eに示すフローサイトメトリーとrCMC(図4fの上段)およびH9c2(図4fの下段)の時間経過イメージによって追加的に確認した。
【0242】
また、miR-1:7oGが生体内で心臓肥大に与える影響について試験した。図4gに示したようにmiR-1:7oGを尾静脈を通じて非標的化対照群(NT)を有するpolyethylenimine(PEI)複合体として注射し(図4gの上段)、定量的PCR(qPCR)によって心臓組織への送達を検証した(図4gの下段)。結果的に、図4hに示したように心臓サイズの少なくとも~10%以上が有意に増加し(P=0.001、n=3)、図4iに示したようにH&E染色した心臓組織のうち心室中隔(interventricular septum、IS)を免疫染色し心筋細胞のサイズを定量した結果、心筋細胞サイズの~19%症がおよびANP発現の相当な上向調節を観察した。この時、図4jでWGA(wheat germ agglutinin)は細胞境界、MF20は心筋細胞、DAPIは核染色に使用した。
【0243】
前記実験結果を要約すれば、miR-1、特にmiR-1:7oGの位置特異的酸化はoG:A塩基結合を通じて生体内で心臓肥大を十分に誘導することができる。
【0244】
実験例5.酸化されたmiR-122、let-7およびmiR-124の発見とこれによる機能獲得
心筋肥大症以外にも酸化ストレスが発生すると知られた他の疾病に対しても様々なマイクロRNAの5’末端から8番目までの発端部分がoG修飾有無を確認した。
【0245】
先ず、活性酸素が増加したと知られた腫瘍のうち、miR-122が特異的に多く発現される肝細胞に由来した肝癌細胞株であるHuh7で、miR-122のグアニンのうち2番目(2オキソ)、3番目(3オキソ)、または2番目と3番目がoG修飾されているか(2オキソ、3オキソ)ルシフェラーゼレポーターを製作して確認してみた。この時のルシフェラーゼレポーター実験はmiR-122の発端部分でoG:A配置で結合して認識することができる標的サイトを5個含むようにpsi-check2(Promega社)ベクターを使用して製作した後、Huh7にトランスファクションした後に測定した。また、当該サイトの抑制が直接的にmiR-122によることであるのを明らかにするために、Huh7でCRISPR/Cas9を用いた遺伝子矯正でmiR-122遺伝子を除去した細胞株(Huh7:miR-122 KO)をmiRNA CRISPR knockout kits(Canopy Bioscience社)を使用して製作して同一な条件で共に実験した。
【0246】
前記実験による結果は図5aに示した。
【0247】
実験の結果、既存のmiR-122が認識するシードサイト(シード:5’-ACACUCCA-3’)標的が抑制されただけでなく、2番oG修飾サイト(2oxo:5’-ACACUCA-3’)、3番oG修飾サイト(3オキソ:5’-ACACUCA-3’)、2番と3番が同時にoG修飾されたサイト(2オキソ、3オキソ:5’-ACACUAAA-3’)が抑制された。
【0248】
また、Huh7:miR-122 KOでmiR-122の3番oG修飾サイト(3オキソ)、2番と3番が同時にoG修飾されたサイト(2オキソ、3オキソ)の抑制が無くなることを観察して、当該抑制がmiR-122の修飾によることであるのを証明した。
【0249】
let-7に対して4位oGサイト(4オキソ:5’-CUACUCA-3’)に対するルシフェラーゼレポーターを以前と同様な方法で製作し、これを用いて膠芽腫であるHS683で測定してみた結果、let-7のシードサイト(シード:5’-CUACCUCA-3’)よりはその阻害程度が小さいが、対照群に比べて有意に抑制されること(P<0.01)を確認し、その結果は図5bに示した。
【0250】
また、神経細胞および膠芽腫細胞で多く発現されると知られたmiR-124に対しても同一にoG修飾がシード領域に生成されたかを調べてみるために、miR-124の4位oG修飾標的サイト(4オキソ:5’-GUGCUUA-3’)に対してもルシフェラーゼレポーター実験を膠芽腫であるHS683細胞で実施し、その結果は図5cに示した。
【0251】
実験の結果、miR-124のシードサイト(シード:5’-GUGCCUUA-3’)は抑制されたが、4オキソ部位の抑制は観察されなかった。腫瘍細胞の場合、栄養分や血液供給が不足する場合、酸化ストレスが増加して細胞内の酸化が増加すると知られている。したがって、HS683で発現されるmiR-124のoG修飾がこのような状況で増加するかを調べてみるために、細胞培養培地から血清を除去して実験を行い、この時にはmiR-124の4オキソ部位が有意に(P<0.01)抑制されることを発見した。
【0252】
前記実験結果を通じて、肝癌細胞のmiR-122では2位、3位、または2位3位が共にoG修飾されているという事実と、膠芽腫ではlet-7の4位塩基がoG修飾されており、miR-124はインキュベーション液での血清除去のように腫瘍細胞で起こることが可能な酸化ストレスを与えた時、4位塩基のoG修飾が起こって、これらが新しく認識する標的遺伝子に対してその発現を抑制することができるということを確認した。
【0253】
肝癌細胞で転移されるためには優先的に肝癌細胞遊走能力が必要であり、この時、miR-122の発現は肝癌細胞遊走を抑制すると知られている。肝癌細胞株であるHuh7でmiR-122が2位と3位がoG修飾(miR-122:2、3oG)されていることを観察したので、当該酸化miR-122が肝癌細胞遊走能力に影響を与えるかを調べているために、miR-122:2、3oG(5’p-U Go GAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’、配列番号65)をTrilink社のRNA合成サービスを通じて合成し、これをパッセンジャー鎖(has-miR-122-5p)と二本鎖を作った後、Huh7にトランスフェクションさせた後に創傷治癒分析(wound-healing assay)実験を行った。
【0254】
実験の結果、図5dに示したように、対照群であるNT-6pi(cel-miR-67の6位塩基を全てdSpacerで置換した)に比べてmiR-122:2、3oGを細胞に導入した時、Huh7の移動能力が顕著に阻害されることを確認した。
【0255】
このように細胞に導入されたmiR-122:2、3oGは細胞内の活性酸素によって他のグアニンが追加的に酸化されてその機能が多少減る可能性がある(図8e参照)。したがって、細胞培養用抗酸化剤(Sigma-Aldrich社のantioxidant supplement)を処理し同一に創傷治癒分析実験を行ってみた時は、miR-122:2、3oGの肝癌細胞移動抑制能がさらに大きく示されることを確認した。即ち、oG修飾されたマイクロRNAの生物学的効果は当該細胞に抗酸化剤と共に処理することによってその機能を極大化することができる。
【0256】
また、膠芽腫で確認したoG修飾マイクロRNAであるlet-7:4oGの機能を調査するために、これをsiRNA形態に合成し(let-7:4oG:5’-pUGA UAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’、配列番号66)duplex形態にHS683細胞に導入した後、アポトーシス(apoptosis)をeBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(Invitrogen社)を使用してAttune NxTフローサイトメーターを通じて測定した。
【0257】
実験の結果、図5eに示したように、HS683のアポトーシスが有意に増加したことを確認した。
【0258】
前記と同一な実験をmiR-124:4oGのsiRNA合成形態(5’p-UAA GCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’、配列番号67)に対して行い、図5fに示したように、アポトーシスが誘導されることを観察した。
【0259】
実験例1~5の実験結果を参照すれば、様々なマイクロRNAのシード領域(5’末端基準で8番目までの塩基)に起こるoG修飾は合成して当該細胞内に導入した時、多様な病理生理学的機能を示すことができるのが分かる。
【0260】
実験例6.心筋症でmiR-1:7o Gおよびその機能喪失
ヒト心筋症患者心臓の左心室から得られたAgo HITS-CLIP結果を分析することによってmiR-1の酸化を調査した(n=6、表5~7参照)。
【0261】
【表5】
【0262】
【表6】
【0263】
【表7】
【0264】
その結果、図6aに示したように、たとえ比率は低かったが、Ago-関連miR-1から同一なパターンのG→T突然変異(2位、3位、7位)が検出され(図6a左側図面)、主に最も高い頻度の7位とともに他の小さい位置(2位、3位、および12位;n=4)を有する患者グループ(1、2、4および5)を含むことと群集化された;他の一つ(3および6)は2位で独占的に最も高い頻度を有した(n=2)(図6a右側図面)。標準化されたAgo-mRNAクラスターで、2位、3位、または7位を通じてoG:A結合で示される酸化されたmiR-1標的サイトは図6bに示したように予想より顕著に観察され(P<0.01、chi-square test)、G:U結合(~10%)および対照部位(~7%)を超過する平均~18%に該当する。
【0265】
miR-1:7oGの生理学的関連性を追加的に扱うために、機能損失を評価した。シード-仲介された標的部位のタンデム(tandem)リピートを保有するためにRNAとして合成された競合的阻害剤であるmiRNA spongeからの概念を採択して、図6cのようにmiR-1(アンチーシード)およびmiR-1:7oG(アンチ-7オキソ)を準備し(図6cの上段)、これらの特定抑制に対して検証した(図6cの下段)。
【0266】
アンチ-7オキソ(9x)の抑制活性は図6dに示したようにRNA-Seq(表8参照)を行うことによって血清が欠乏したH9c2でmiR-1 7オキソ標的を全体的に抑制することを確認した。
【0267】
【表8】
【0268】
その次に、図6eに示したようにアンチ-7オキソ(4x)がrCMCに導入されPE-誘導肥大を弱化させることが確認された。また、合成されたアンチ-7オキソ(4x)RNAとしてまたは13個の標的部位を含有する心筋細胞-特異的発現ベクター(α-MHC 13x)としてISO-処理されたマウスに注入された、アンチ-7オキソ(4xおよびα-MHC 13x)両方とも図6fに示したように強力にアドレナリン性心臓肥大に拮抗作用を果たし、アンチ-7オキソ(α-MHC 13x)の送達程度が確認されこれらの抑制活性と相関関係があることが観察された。
【0269】
アンチ-7オキソ(α-MHC 13x)の投与は図6gに示したように心筋細胞サイズを維持させ(図6gの上段)、miR-1:7oGターゲットを全体的に抑制した(図6gの下段および表9参照)。しかし、図6hに示したようにISO処理マウス心臓でROS上昇に与える影響はなかった。
【0270】
【表9】
【0271】
また、図6iに示したように、アンチ-7オキソ(α-MHC 13x)を発現する形質転換マウスを生成し(TG)、表10および図6jに示したようにその発現が確認された(RNA-Seq)。
【0272】
【表10】
【0273】
その結果、図6kに示したようにこれらの心臓サイズに基礎的な差はなかったが(図6kの上段)、ISO-誘導された心臓肥大は3つの異なるTGモデルの全てで有意に予防され(図6kの下段)、図6lに示したようにmiR-1:7oG標的の全体的な抑制を示し、図6mに示したようにISO処理(TG(+)ISO vs.TG(-)ISO)の存在下でもISで心筋細胞のサイズが減少した。
【0274】
総合すれば、miR-1、特にmiR-1:7oGの位置特異的酸化は心臓肥大および疾病の内因性ドライバー役割を果たしながら心筋症患者で標的相互作用を発生させ変えることを示唆するのを立証した。これに関連して、ROSによって誘導された本発明によるmiR-1:7oGの位置特異的酸化およびその心臓肥大誘導過程に対する概略図を図6nに示した。
【0275】
実験例7.心肥大症動物モデルの血漿(plasma)でmiR-1:o G増加確認
心肥大症モデルおよび心筋肥大患者の心臓組織でmiR-1のoG修飾が増加することを観察した後、これを比浸湿的に検出して心肥大症を診断することができるか確認するために、心肥大症を誘導させたマウスの血液からmiR-1のoG修飾を検出しようとした。先ず、ISO処理を通じてマウスの心肥大症が誘導されたかを確認した。図7aはISOを通じて誘導した心肥大症の代表心臓写真であって、各群当り3匹である。ISOが処理された実験群の心臓が対照群に比べて平均的に約30%(36%のH/B vs 32%のH/T)で心臓サイズが増加した。その詳しい内容は表11に記録した。また、動物モデルの血液でmiR-1:oGが測定されるか、また心肥大症にenrichmentされるか確認するために、血漿を分離しmiR-1:oGを定量した(n=3)。
【0276】
【表11】
【0277】
その次に、各動物モデルから分離した血液で血漿を分離し小RNAを抽出した後、分離された小RNAでのmiR-1の量を測定しながら同時にmiR-1がoG修飾された量をoGに対する免疫沈降を通じて測定した(図7b)。同量の血漿から)抽出されたRNAからmiR-1の量を測定した結果、miR-1が血漿に存在し、当該量は心肥大誘導と関係なく同量が存在するということを実験群と対照群の間の測定結果が統計的に有意でなく出るのを確認することができた(図7c)。
【0278】
その後、血漿に存在するmiR-1:oGを確認するために、血漿から分離した小RNAに対してoG-IPを行った(図7b)。この時、oG-IP過程での差を補正して定量するためにoGが5位にDNAに合成されたhuman miR-124-3pを免疫沈降前に小RNAサンプルに同量を入れて使用した。その結果、心肥大症血漿で観察した酸化修飾されたmiR-1:oGは各3匹の場合、平均的に約379%増加し、この変化は統計的に有意であるのをStudent’s t-test結果を通じて確認した(p=0.031)(図7d)。総合してみれば、血漿でqPCRを通じて測定されたmicroRNA-1は心肥大症と対照群で差がないが、oG-IP-qPCRを通じて酸化修飾されたmicroRNA-1(miR-1:oG)を測定した結果、心肥大症で有意的に増加することを確認し、これによって非浸湿的に血液を基盤にしてmiR-1:oG測定を通じて心肥大症を診断することができるという点を観察した。
【0279】
実験例8.心筋肥大に対する抗酸化剤の効果および抗酸化剤処理時miR-1:7を抑制するアンチ-miR-1-7オキソの心筋細胞肥大抑制能向上の確認。
PE処理によって誘導された肥大細胞に抗酸化剤NACを処理すれば、図8aに示したように、肥大が減少したことを確認し(n=4;inch、ImageJ)、図8bに示したように、ISOとNACの共同処理はISO-誘導された心臓肥大を弱化させることを確認した。
【0280】
また、図8cに示したように、ISOまたはPE処理によるoG増加がNACの処理によって減少することを確認した(スケールバー、100μm)。即ち、抗酸化剤NACの処理によってmiRNAの酸化が減少した。
【0281】
NAC処理によってISOによる心肥大症が抑制される現象を観察した後(図1b)、他の抗酸化剤処理を通じても同一に心肥大症を抑制することができるかを確認するために、H9c2細胞にPEとISOを処理して心筋細胞の肥大を誘導させながら他の抗酸化剤であるブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)と細胞培養用抗酸化剤として販売されているSigma-Aldrich社のAntioxidant Supplement(A1345)を処理してみた(図8d)。その結果、抗酸化剤の種類に関係なく全て心筋細胞のサイズを縮小させ、特にPEやISOを処理しても全くH9c2心筋細胞株のサイズが大きくならないということを3回の反復実験で統計的に有意に確認した(*、P<0.01)。
【0282】
また、ラット(rat)胚での一次心筋細胞(rCMC)をインキュベートした後、PE処理によって当該細胞で肥大症が起こることを確認した(図8e、上のパネル)。ここにmiR-1の7番がoG修飾された形態(miR-1:7oG)を抑制するようにこれを認識する7オキソ部位を多数含む阻害用アンチ-7オキソ(4x)を導入した時、心筋細胞の肥大が進行した後に抑制されることを再び確認し、追加的に抗酸化剤であるNACと共に処理した時には心筋細胞が全く肥大化しない最大の効果を観察することができた(図8e、中間パネル)。このような結果は抗酸化剤の効果がアンチ-7オキソ(4x)とシナジー作用して起こる現象であると言え、またアンチ-7オキソ(4x)を細胞に導入後、PE処理によって増加する活性酸素によって追加的に起こることのあるoG酸化がアンチ-7オキソ(4x)に起こることを防止して示される効果であり得る。実際に、細胞に人為的に導入するRNAで追加的なoG生成が起こってその効果が阻害されるかを調べてみるために、今回は活性酸素が発生されるPE処理でないmiR-1:7oG導入によって心筋細胞肥大を誘導し同時に酸化ストレスを加えようと100μMの過酸化水素(H)を処理してみた(図8e、下パネル)。
【0283】
その結果、既存のmiR-1:7oG発現による心筋細胞肥大現象が過酸化水素処理によって阻害されることを観察し、これとは反対に、抗酸化剤であるNACを処理した時はmiR-1:7oGによって誘導される心筋細胞肥大がより効率的に示されるのを確認することができた。
【0284】
したがって、このような結果から推察すると、抗酸化剤処理はNACのみでない、BHAと他の一般的な細胞培養用抗酸化剤など抗酸化効果を示すことができるものであれば心筋細胞肥大を抑制することができるという事実を確認しただけでなく、抗酸化剤の処理はoG修飾されたマイクロRNAまたはこれを抑制するRNAに起こる可能性のある追加的な酸化修飾を防止して人為的なRNA発現による心筋細胞サイズの調節を効率的に誘導することができるのが分かった。特に、心肥大症は生理的肥大と病理的肥大として示され、生理的肥大は運動選手や妊産婦の場合に十分な血液供給が必要な時これを円滑に供給するために心臓を肥大にする場合であって、状況によっては心臓の機能を強化するための用途に臨時的に誘導することが必要なことがある。したがって、心筋細胞へのmiR-1:7oG導入による心肥大誘導はこのような生理的肥大として作用することも可能であり、この時の抗酸化剤処理は心筋細胞肥大の効果を効率的に誘導することができるだけでなく、一般に病理学的現象を起こす追加的な酸化ストレスを防止して病理的心肥大症を抑制する効果を示すこともできる。
【0285】
前述の本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということが理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施形態は全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
【配列表フリーテキスト】
【0286】
配列番号1: miR-1:2(8-オキソグアニン)、2位は8-オキソグアニン
配列番号2: miR-1:3(8-オキソグアニン)、3位は8-オキソグアニン
配列番号3: miR-1:7(8-オキソグアニン)、7位は8-オキソグアニン
配列番号4: miR-1 2オキソ部位
配列番号5: miR-1 3オキソ部位
配列番号6: miR-1 7オキソ部位
配列番号7: miR-1、1~22位はmiR-1
配列番号8: miR-1パッセンジャー
配列番号9: miR-1:2GU
配列番号10: miR-1:3GU
配列番号11: miR-1:7GU
配列番号12: cel-miR-67、1~22位はcel-miR-67
配列番号13: チミンデオキヌクレオチド(dT)、23~24位はチミンデオキヌクレオチド(dT)
配列番号14:パッセンジャー鎖、23~24位はチミンデオキヌクレオチド(dT)
配列番号15: 39-オキソ-R、22位は8-オキソグアニン
配列番号16: 39R
配列番号17: 8-オキソグアニンスパイクイン、2~3位は8-オキソグアニン
配列番号18: Gスパイクイン
配列番号19: miRNA:8-オキソグアニンスパイクイン、5位は8-オキソグアニン
配列番号20: miR-1シード部位
配列番号21: 対照 NT部位
配列番号22: オリゴdTアダプタープライマー
配列番号23: miRNAリバースプライマー
配列番号24: 8-オキソグアニンまたはGスパイクインフォワードプライマー
配列番号25: 8-オキソグアニンまたはGスパイクインリバースプライマー
配列番号26: miRNA:8-オキソグアニンスパイクインフォワードプライマー
配列番号27: miRNA:8-オキソグアニンスパイクインリバースプライマー
配列番号28: 対照フォワードプライマー
配列番号29: 対照リバースプライマー
配列番号30: RTプライマー
配列番号31: 39-オキソ-Rまたは39Rフォワードプライマー
配列番号32: 39-オキソ-Rまたは39Rリバースプライマー
配列番号33: 22ntの合成RNA、7位は8-オキソグアニン
配列番号34: 3’アダプター:5’-アデニル化、2位はグアニンメチルホスホネート、2位はジデオキシシトシン
配列番号35: 5’アダプター、31位は2’-メトキシ-C
配列番号36: RTプライマー
配列番号37: ユニバーサルフォワードプライマー
配列番号38: バーコードプライマー
配列番号39: miR-1-シード部位のフォワードプライマー
配列番号40: miR-1-シード部位のリバースプライマー
配列番号41: miR-1-2オキソ部位のフォワードプライマー
配列番号42: miR-1-2オキソ部位のリバースプライマー
配列番号43: miR-1-3オキソ部位のフォワードプライマー
配列番号44: miR-1-3オキソ部位のリバースプライマー
配列番号45: miR-1-7オキソ部位のフォワードプライマー
配列番号46: miR-1-7オキソ部位のリバースプライマー
配列番号47: miR-1対照部位のフォワードプライマー
配列番号48: miR-1対照部位のリバースプライマー
配列番号49: NheIおよびXhoI部位のフォワードプライマー
配列番号50: NheIおよびXhoI部位のリバースプライマー
配列番号51: ApaIおよびXbaI部位のフォワードプライマー
配列番号52: ApaIおよびXbaI部位リバースプライマー
配列番号53: hluc+配列の残存33bp用のフォワードプライマー
配列番号54: hluc+配列の残存33bp用のリバースプライマー
配列番号55: hGHポリ(A)フォワードプライマー
配列番号56: hGHポリ(A)リバースプライマー
配列番号57: アンチ-7オキソ(アルファ-MHC 13x)フォワードプライマー
配列番号58: アンチ-7オキソ(アルファ-MHC 13x)リバースプライマー
配列番号59: 対照(アンチ-NT 13x)フォワードプライマー
配列番号60: 対照(アンチ-NT 13x)リバースプライマー
配列番号61: hGHポリ(A)フォワードプライマー
配列番号62: hGHポリ(A)リバースプライマー
配列番号63: アンチ-7オキソ(4x)プライマー
配列番号64: 8-オキソデオキシグアノシンRNAスパイクイン、5位は8-オキソデオキシグアノシン
配列番号65: miR-122:2,3(8-オキソグアニン)、2位は8-オキソグアニン、3位は8-オキソグアニン
配列番号66: let-7:4(8-オキソグアニン)、4位は8-オキソグアニン
配列番号67: miR-124:4(8-オキソグアニン)、4位は8-オキソグアニン
配列番号68: miR-122
配列番号69: let-7
配列番号70: miR-124
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図2j
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i
図3j
図3k
図3l
図3m
図3n
図3o
図3p
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図6k
図6l
図6m
図6n
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
【配列表】
2023513657000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖において、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドとして一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o8G)を含む、RNA干渉誘導核酸。
【請求項2】
前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドはマイクロRNAの配列を含む、請求項1に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項3】
前記マイクロRNAは下記グループ1のマイクロRNAのうちの一つ以上である、請求項2に記載のRNA干渉誘導核酸:
[グループ1]
miR-1、miR-184、let-7f-5p、miR-1-3p、miR-122、let-7、miR-124。
【請求項4】
8-オキソグアニン(o8G)の位置でo8G:A配置が生じて標的サイトを認識する、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項5】
下記グループ2のポリヌクレオチドのうちの一つ以上を含む、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のRNA干渉誘導核酸:
[グループ2]
配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-Uo8GGAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGo8GAAUGUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGGAAUo8GUAAAGAAGUAUGUAU-3’);
配列番号65の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-Uo8Go8GAGUGUGACAAUGGUGUUUG-3’);
配列番号66の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UGAo8GUAGUAGGUUGUAUAGdTdT-3’);
配列番号67の塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’p-UAAo8GGCACGCGGUGAAUGCdTdT-3’)。
【請求項6】
前記RNA干渉誘導核酸を細胞または動物に注入する場合、心筋肥大、肝癌細胞の遊走抑制またはアポトーシスが誘導される、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のRNA干渉誘導核酸。
【請求項7】
請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のRNA干渉誘導核酸および抗酸化剤を含む組成物。
【請求項8】
5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o8G)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(o8G)と結合する位置のヌクレオチドとしてアデニン(Adenine;A)を含む、修飾核酸。
【請求項9】
前記修飾されたマイクロRNAは、5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(o8G)に修飾されたものであり、
前記修飾核酸は、修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目または3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記修飾されたマイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(o8G)と結合する位置のヌクレオチドとしてアデニン(A)を含む、請求項8に記載の修飾核酸。
【請求項10】
5’-ACAUUC-3’、5’-ACAUUC-3’、5’-AAUUCC-3’のうちの一つ以上の塩基配列を含む、請求項8または9に記載の修飾核酸。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項12】
5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(o8G)に修飾されたマイクロRNAと特異的に結合する修飾核酸であって、
前記修飾核酸はマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
前記マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドのうちの一つ以上の8-オキソグアニン(o8G)と結合する位置のヌクレオチドにアデニン(Adenine;A)を含む修飾核酸、または、
前記修飾核酸をコードする遺伝子を含む組換えベクターを含む、
心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項13】
前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pである、請求項12に記載の心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項14】
抗酸化剤をさらに含む、請求項12または13に記載の心肥大症治療用薬学組成物。
【請求項15】
核酸の二本鎖のうちの少なくとも一本鎖で、5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドは一つ以上の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o8G)を含むRNA干渉誘導核酸を含む、肝癌治療用または神経膠腫治療用薬学組成物であって、
前記薬学組成物が肝癌治療用薬学組成物である場合、前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドはmiR-122またはlet-7のマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドをさらに含み、または、
前記薬学組成物が神経膠腫治療用薬学組成物である場合、前記5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドは let-7またはmiR-124のマイクロRNAの5’末端から2番目および3番目のうちのいずれか一つのヌクレオチドから始まって6つ以上の連続したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドをさらに含む、
肝癌治療用または神経膠腫治療用薬学組成物
【請求項16】
抗酸化剤をさらに含む、請求項15に記載の肝癌治療用または神経膠腫治療用薬学組成物。
【請求項17】
前記抗酸化剤は、N-アセチルシステイン(N-acetylcysteine、NAC)またはブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole、BHA)である、請求項14または16に記載の薬学組成物。
【請求項18】
動物の心筋細胞から分離されたマイクロRNAのヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(Guanine;G)が8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o8G)に修飾されているか否かを確認する工程;および
前記マイクロRNAのヌクレオチド中の一つ以上のグアニン(G)が8-オキソグアニン(o8G)に修飾されている場合、心肥大症に分類する工程を含む、
心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項19】
前記ヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から1番目~9番目のヌクレオチドである、請求項18に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項20】
前記8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o G)に修飾されているヌクレオチドは、マイクロRNAの5’末端から2番目、3番目または7番目のヌクレオチドである、請求項18または19に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項21】
前記マイクロRNAは、miR-1、miR-184、let-7f-5pまたはmiR-1-3pである、請求項18~20のうちのいずれか一項に記載の心肥大症診断のための情報提供方法。
【請求項22】
(a)請求項8の修飾核酸をコードする遺伝子をプロモーターに作動可能に連結して組換えベクターを製作する工程;
(b)前記組換えベクターをヒト以外の動物の受精卵に導入する工程;および
(c)前記受精卵を発生させて形質転換動物モデルを得る工程を含む、ヒト以外の心肥大症抵抗性動物モデルの製作方法。
【請求項23】
請求項8の修飾核酸をコードする遺伝子をプロモーターに作動可能に連結した組換えベクターを含む、ヒト以外の心肥大症抵抗性動物モデル。
【請求項24】
(a)心肥大症動物モデルの心筋細胞に候補物質を処理する工程;
(b)前記心肥大症動物モデルの心筋細胞で発現されるマイクロRNAのヌクレオチドのうちのグアニン(Guanine;G)の8-オキソグアニン(8-oxoguanine;o8G)への修飾頻度を分析する工程;および
(c)前記8-オキソグアニン(o8G)が候補物質を処理していない場合に比べて減少する場合、前記候補物質を心肥大症治療剤として選別する工程を含む、心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法。
【請求項25】
前記候補物質は抗酸化剤である、請求項24に記載の心肥大症治療用候補物質のスクリーニング方法。
【国際調査報告】