(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】天然ポリマーベースのパッチ製品
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20230327BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230327BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230327BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230327BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230327BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230327BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230327BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230327BHJP
A61L 15/64 20060101ALI20230327BHJP
A61L 15/28 20060101ALI20230327BHJP
A61L 15/32 20060101ALI20230327BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230327BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230327BHJP
D01F 9/00 20060101ALI20230327BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20230327BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20230327BHJP
D01F 2/24 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K8/02
A61K8/73
A61K8/64
A61P17/00
A61L15/64
A61L15/28 100
A61L15/32 100
A61L15/32 310
A61K45/00
A61Q19/00
D01F9/00 Z
D01D5/04
D04H1/728
D01F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548880
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 IB2021051196
(87)【国際公開番号】W WO2021161256
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020000002836
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102021000000113
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522319767
【氏名又は名称】バケル エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】BAKEL S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Viale del Ledra, 56, 33100 Udine, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリス ラファエラ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレディーニ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトゥアーニ シルヴィア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4C084
4L035
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA77
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE30A
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4C076EE37A
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4C076EE43A
4C076FF68
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA16
4C081CD011
4C081CD021
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4C081CD051
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4C081CD151
4C081CD171
4C081DA02
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4C083EE10
4C084AA17
4C084MA32
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4L035AA04
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4L045AA08
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4L045CA25
4L045CB08
4L047AA29
4L047AB08
4L047CC03
4L047EA22
(57)【要約】
【課題】本発明は、パッチ製品に関する。
【解決手段】
パッチ製品は、皮膚に吸収されるのに適した、天然ポリマーに基づく膜基体と、少なくとも1つの有効成分から構成されている。パッチ製品を載せる支持体と、パッチ製品を保護する被覆層からなる包装体に入れることができる。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に吸収される膜基体と、少なくとも1つの有効成分とを含み、
前記膜基体が、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、セルロース誘導体、アルブミン、デンプン、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、β-グルカン、グリコサミノグリカン、ムコ多糖類、水溶性多糖類及びそれらの誘導体から選択される化合物に基づく少なくとも1つのエレクトロスピニング繊維によって形成されており、
前記有効成分が化粧品有効成分、医薬有効成分及び栄養有効成分から選択されることを特徴とするパッチ製品。
【請求項2】
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択され、
前記グリコサミノグリカンが、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びヒアルロン酸HAから選択され、
及び/又は前記水溶性多糖類は、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース及び植物、細菌及び菌由来の多糖類から選択されることを特徴とする請求項1記載のパッチ製品。
【請求項3】
エレクトロスピニング化合物が、デンプン、エラスチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コラーゲン、ペクチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載のパッチ製品。
【請求項4】
前記膜基体が不織布の形態であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項記載のパッチ製品。
【請求項5】
前記エレクトロスピニング繊維が100μmより小さい直径を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項記載のパッチ製品。
【請求項6】
前記有効成分が前記エレクトロスピニング繊維に一体化されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項記載のパッチ製品。
【請求項7】
前記有効成分が前記膜基体の三次元構造に入れ込まれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のパッチ製品。
【請求項8】
前記有効成分が、非ステロイド性抗炎症剤及び/又は1つ以上の鎮痛剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項記載のパッチ製品。
【請求項9】
支持体上に配置された請求項1乃至8のいずれか1項記載のパッチ製品を含む物品。
【請求項10】
前記パッチ製品が内部に存在する包装体を備え、
前記包装体は、前記支持体と前記パッチ製品の保護として働く被覆層とを有し、
前記被覆層と前記支持体とは、前記パッチ製品を収容する内部空間を形成するように相互に結合されていることを特徴とする請求項9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品、より詳細には、皮膚に吸収され得るパッチ製品であって、生体適合性高分子化合物に基づき、繊維、特にナノファイバー、好適にはエレクトロスピニングによって得られ、パッケージ化されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に直接適用する製品、例えば、エマルジョン、クリーム、ローション、セラム、ゲル、パウダー、オイル、サンミルク等、は広く知られており、皮膚に適合する及び/又は皮膚に吸収される様々な形態で製造されている。
【0003】
しかし、これらの製品は皮膚に適用するのが難しく、真皮に完全に吸収させるために長時間の適用や長時間のマッサージを必要としたり、指や手、使用したアプリケーターに化粧品の残留物を残すことがある。
また、一般に繊維状の物理的支持体によって適用される化粧品もあり、これは皮膚への適用を容易にするもので、例えば、特別なクレンジング組成物が染み込んだメイクアップリムーバーワイプなどが挙げられる。
【0004】
このタイプの製品の欠点は、使用後、支持体としての機能以外の機能を持たない繊維状の物理的支持体と、包装を廃棄しなければならないことである。
【0005】
さらに、既知の繊維状物理的支持体は、有効成分の適切な輸送及び放出を可能にしない特定の表面を有している。
また、一般的に、皮膚用の化粧品組成物、例えばクリームなどの塗布するもの、又は一般的なペーストは、皮膚用の機能性化合物と、専ら製剤の構造に対してのみ機能する化合物との使用を提供するという問題が生じる。
【0006】
皮膚用機能性化合物は、皮膚に一部又は全部が吸収され、身体の処理部位に効果をもたらすものである。一般的に、このタイプの化合物はいわゆる有効成分を表す。
【0007】
製剤の構造に対して専ら機能する化合物は、エマルジョン、セラム、又はフルイド、オレオライト、水、又はゲルのいずれであっても、適用される組成物を得ることに寄与するものである。
製剤の構造に対して専ら機能的な化合物の効果は、保存方法、又は使用前及び/又は使用時、したがって処理する皮膚に広げたときの組成物の質感に影響を与える可能性がある。
【0008】
例えば、製剤の構造に対して専ら機能する化合物は、組成物を柔らかく、流動的に、又は粘性を持たせることができる。:ゲル化し、エマルジョン中の水性化合物から油性化合物の分離を防止することができる。さらに、製剤の構造にのみ機能する化合物は、特に水の存在下で、組成物を保存することを可能にする。
【0009】
しかしながら、使用される多数の化合物は、製剤の構造に対して機能するものであるため、皮膚に何の利益ももたらさず、実際、処理された皮膚のさらなる悪化をもたらす可能性さえあるという問題が発生する。実際、製剤の構造にのみ機能する化合物の中には、皮膚に無関係なものも残っており、あるいは、例えば、さらなる乾燥、毛穴の閉塞、又はアレルギー、皮膚炎などの発症を引き起こす可能性もある。
【0010】
製剤の構造に対して専ら機能する化合物の中で、例えば、シリコーン、ペトロラタム(例えばパラフィン)、アルコール、香料、安定剤、防腐剤、乳化剤が確認され、これらの主な機能は、組成物の製剤に皮膚と接触して「シルク効果」の質感を与えること、及び/又は油性部分に安定性を与えること、又はゲル製剤の粘度を高めること、及び/又は乳剤のエモリエント及び湿潤効果を増大させることである。
【0011】
例えば、製剤の構造に対して専ら機能するこれらの化合物に生じる1つの問題は、皮膚適合性の欠如であり、皮膚の呼吸を妨げ、また例えば、その進行性の乾燥、毛穴の閉鎖及び/又はより大きな感作につながる。
【0012】
また、アルコールと防腐剤の存在は、一方では組成物の保存を可能にし、他方では皮膚炎、アレルギー、又は同様の病理を発症する際の皮膚の感作性を高めることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服できる製品を完成させる必要がある。
特に、本発明は、皮膚に簡単かつ迅速に適用できる製品を提供することを1つの目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、使用後に廃棄される物理的な支持体を持たない製品を提供することである。
また、本発明の他の目的は、有効成分がある場合、その輸送や放出を最適化するような特定の表面を持つ製品を提供することである。
本出願人は、従来技術の欠点を克服し、これら及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具現化したものである。
【0015】
本発明は、独立請求項において規定され、特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴又は主発明思想に対する変形を記載する。
上記の目的に沿って、現状の限界を克服し、そこに存在する欠陥を解消した貼付剤が製造された。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、特に、皮膚に優先的に適用され、皮膚に吸収されるのに適した膜基体で構成されたパッチ製品が提供される。膜基体は、エレクトロスピニングされる。エレクトロスピニング基体(エレクトロスピニングされた基体)は、少なくとも1つの繊維、好適にはナノ繊維、特に不織布の形態で構成される。
【0017】
有利には、膜基体は、化粧品有効成分、医薬有効成分及び栄養有効成分から選択される、1つ以上の有効成分を含む。「有効成分」という表現は、本明細書において、身体又はその一部に対して機能的であり、皮膚によって部分的に又は完全に吸収され、処理される身体の部分に利益をもたらす化合物を意味する。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、基体は、多糖類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、エラスチン及びそれらの誘導体からなる群から選択される、エレクトロスピニングに適した生体適合性ポリマー材料に基づくものである。
好適には、多糖類は、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、セルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、β-グルカン、グリコサミノグリカン、ムコ多糖類、水溶性多糖類及びそれらの誘導体から成る群から選択される。
【0019】
好適には、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC、ヒドロキシプロピルセルロースHPC、ヒドロキシエチルセルロースHEC、カルボキシメチルセルロースナトリウムNa-CMCから選択することができる。グリコサミノグリカンGAG又はムコ多糖類は、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びヒアルロン酸HAから選択され得る。水溶性多糖類は、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース及び植物、細菌及び菌類由来の多糖類から選択することができる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、有効成分は、膜基体に一体化されている。あるいは、有効成分が膜基体の三次元構造に入れ込まれることも可能である。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、膜基体は鎖状及び/又は架橋ヒアルロン酸を含んでいる。有利には、膜基体は鎖状(直鎖状)ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の両方で作られる。
好適には、ヒアルロン酸は、10,000Da未満の分子量を有する。この分子量は、皮膚におけるヒアルロン酸の完全な吸収性に有利である。
【0022】
ここに記載した実施形態によるパッチ製品の1つの利点は、存在する有効成分、例えば化粧品、医薬品又は栄養の有効成分とともに、皮膚に完全に吸収されることである。完全であることに加えて、吸収は、高速であり、本発明によるパッチ製品の全吸収は、皮膚への適用からわずか数分で起こることが確認されている。
【0023】
もう一つの利点は、パッチ製品が提示する形態は、有効成分が膜基体によって運ばれ伝達され、それは完全に生体適合性があり皮膚によって吸収可能であり、皮膚そのものに危険や損傷を与えることがないので、専ら構造に対して機能する化合物の存在を必要とする形態を意味しないことである。
【0024】
化粧品、医薬品又は栄養製品のもう一つの利点は、対象とする化合物の局所濃度を、従来の製剤で得られる濃度よりもはるかに高い濃度に到達させることができることにある。多糖類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、エラスチン及びそれらの低分子量誘導体であっても、製品の粘度が増加しすぎて、5~10重量%を超えることは不可能であるので、高濃度に到達させることは実質的に不可能である。本発明の組成物を用いれば、50重量%までの濃度の対象とする化合物を皮膚に適用することができる化粧品を得ることが可能である。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、支持体上に配置された上記に示したようなパッチ製品(貼付剤)を含む、物品にも関する。
好適には、物品は包装体(パッケージ)を有し、この包装体が支持体を有し、その内部にパッチ製品が存在することである。
有利なことに、包装体は、支持体上に存在するパッチ製品を保護する役割を果たす被覆層をも含んでいる。被覆層と支持体は、パッチ製品を収容する内部空間を形成するように相互に接合される。より好適には、支持体と被覆層は相互にヒートシールされる。
【0026】
有利には、支持体及び被覆層はヒートシール可能である。好適には、それらは、PBSA(ポリブチレンサクシネートアジペート)又はPLA(ポリ乳酸)で作られている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、非限定的な例として、添付図面に1つ以上の例が示されている、本発明の可能な実施形態に詳細に言及することにする。ここで使用される言い回しや専門用語も、非限定的な例を提供するためのものである。
【0028】
特に定義しない限り、ここ及び以下で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の経験を有する者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。ここに記載されたものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施及び試験において使用できるとしても、以下、その方法及び材料は一例として記載されている。矛盾が生じた場合は、その定義も含めて本願発明が優先されるものとする。材料、方法及び実施例は、純粋に例示的な目的であり、制限的に理解されてはならない。
【0029】
特に断りのない限り,すべての測定は25℃(室温),大気圧で実施した。特に断りのない限り、すべての温度は摂氏で表示されている。
ここで示されたすべてのパーセント及び比は、特に断らない限り、全組成物の重量(w/w)を指すと理解される。
ここで報告されるすべてのパーセント間隔は、特に断りのない限り、全体の構成に関する和を100%とする規定で提供される。
ここで報告されるすべての間隔(区間)は、特に断りのない限り、2つの値の「間」の間隔を記載するものを含め、両端を含むと理解されるものとする。
【0030】
また、本説明では、特に断りのない限り、記載された2つ以上の区間を重ね合わせたり、一体化させたりすることで派生する区間も含まれる。
また、本説明では、特に断りのない限り、異なる点で取得した2つ以上の値の組合せから導き出される区間も含むものとする。
水と記載されている場合は、特に指定がない限り、蒸留水を意味する。
【0031】
ここに記載された実施形態は、好適には皮膚に適用されるパッチ製品であって、不織布の形態の少なくとも1つのエレクトロスピニング繊維(エレクトロスピニングされた繊維)、好適にはナノ繊維からなるエレクトロスピニング膜基体(エレクトロスピニングされた膜基体)を含むパッチ製品に関する。この形態は、エレクトロスピニング中に、繊維を、支持体上に徐々に堆積させることによって得られる。繊維は、徐々に重なり合ういくつかの層上に徐々に堆積される。より多くの繊維を提供することが可能であり、例えば、同じ支持体上に同時に供給することができる。
【0032】
エレクトロスピニングは、電場下で特定の組成物を供給し、エレクトロスピニングヘッドを通過させることで行われる。エレクトロスピニングヘッドから出た繊維は、支持体上に堆積される。不織布の形状は、エレクトロスピニングヘッドと支持体との間の相対的な動きによって得ることができる。
【0033】
好適には、繊維は連続的であり、均質な組成を有し、実質的に滑らかな表面を有する。繊維はまた、好適には、欠陥がない、すなわち、エレクトロスピニング中に形成され得る基体の蓄積又は滴下がない。有利には、エレクトロスピニング繊維は、ナノメートル及びマイクロメートルのオーダーの直径を有するが、いずれの場合も100μmより小さく、より好適には50μmより小さく、さらに好適には25μmより小さく、最大で10μmのオーダーの直径を有する。基体の繊維は、数十ナノメートル、例えば50nmから始まる直径を有することができる。直径は、繊維全体に沿って実質的に変化しないことに留意されたい。直径が実質的に変化しないとは、直径が変動する可能性があるものの、しかし、測定された平均値の30%を超えることはないことを意味する。
【0034】
これらの直径を持つ繊維は、一般的に100μm以上の直径を持つ既知の繊維よりも大きな表面/体積比を持ち、また、業界標準よりも高い効率と性能を提供する大きな機械的及び構造的特性を持つ。得られた繊維の大きな比表面は、有効成分の輸送及び放出に特に適している。得られたナノファイバーは、1~30m2/g、好適には2~20m2/gの比表面を有することを可能にする。
【0035】
膜基体は、エレクトロスピニングに適した生体適合性ポリマー材であり、キサンタンガム、ペクチン、キチン、キトサン、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、寒天、ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMC、ヒドロキシプロピルセルロースHPC、ヒドロキシエチルセルロースHEC、カルボキシメチルセルロースナトリウムNa-CMC、アルブミン.デンプン、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸HA、ガラクトマンナン、キシラン、アラビアゴム、ガティゴム、グルコマンナン、アセマンナン、水溶性食物繊維、グリコーゲン、アミロース、植物・細菌・菌類由来の多糖類及びそれらの誘導体から選択される。
【0036】
これらの化合物又は化合物のクラスは、その特性として、液体の粘度を変更することができ、良好な機械的特性と吸収特性を有する正常なエレクトロスピニング繊維(エレクトロスピニングされた繊維)を形成するのに適している。また、これらはすべて生体適合性があり、天然由来であり、食品、医薬品及び/又は化粧品分野で使用することができる。
【0037】
特に、キサンタンガム、デキストラン、カラギーナン、Na-CMC、デンプン、ゼラチン、ガティガムは、食品分野において増粘剤、安定剤、場合によってはゲル化剤としても使用されている。さらに、キサンタンガムは、医薬及び化粧品分野において懸濁液及びエマルションの安定剤として用いられ、グアーガムも医薬及び化粧品分野において増粘剤及びゲル化剤として用いられ、カラギーナンは医薬分野において不活性賦形剤として用いられる。また、デキストランは医薬品分野の増粘剤として使用されている。
【0038】
キトサンは、食品分野では低カロリー食に、医薬品分野では賦形剤、特に吸入用製品に使用されている。一方、ペクチンは、食品分野ではゲル化剤として、医薬品分野では食物やプロバイオティクスとして使用されている。
寒天、ガラクトマンナン、及びグルコマンナンは、栄養分野でゲル化剤として使用されている。
【0039】
セルロース誘導体のうち、HPMCは食品分野では安定剤、粘度調整剤、医薬品分野では洗眼薬や経口薬の賦形剤として使用されている。HPCは、食品添加物、医薬品分野では洗眼薬や錠薬のバインダーとして使用されている。HECは、医薬品や化粧品の分野で増粘剤やゲル化剤として使用されている。
【0040】
β-グルカンは食物繊維として使用され、キシランも同様に使用される。コンドロイチン硫酸は、食品添加物として使用されるほか、変形性関節症の治療薬として使用されている。デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸は、医薬品分野では抗凝固剤として知られている。
アラビアガムは、食品分野では安定化賦形剤及び粘度調整剤として使用されている。一方、アセマンナンは、製薬分野では、その免疫賦活特性で知られている。
【0041】
これらの化合物の中には、例えばデンプン、エラスチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コラーゲン、ペクチン、β-グルカン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びそれらの誘導体など、化粧品、医薬品又は食品分野で独自の機能を有するものがあることに注目すべきである。
したがって、これらの化合物をエレクトロスピニングすることが有利である。その対応する繊維を適用することにより、既知の溶液よりも高用量でこれらの化合物を適用することができ、その効果がより大きいという利点があるからである。
【0042】
エレクトロスピニング繊維(エレクトロスピニングされた繊維)は、繊維の製造中にエレクトロスピニング(電界紡糸)補助(促進)剤(エレクトロスピニングプロモーター)として使用されるプルラン及び/又はアルギン酸を含むこともできることに留意されたい。存在する場合、プルラン及び/又はアルギン酸は、(エレクトロスピニング化合物(エレクトロスピニングされる化合物)):補助剤の比が、好適には重量比で10:1~1:10、より好適には4:1~1:7、更に好適には3:1~1:6で存在する。プルランは、エレクトロスピニング繊維の構造の点で最良の結果を得ることができるため、好適なスピニング補助剤である。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、膜基体はヒアルロン酸で構成される。好適には、基体は鎖状及び/又は架橋ヒアルロン酸で構成される。有利には、基体は鎖状ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の両方で作られ、鎖状HA:架橋HAの比は1:99~99:1である。このような混合物によって、得られる糸の剛性、及び不織布フィルムの三次元構造を調節することができる。
【0044】
ヒアルロン酸は、例えば100万ダルトン(Dalton)のオーダー又はそれ以上の高い質量を有することができ、又は代替的に、典型的には10000ダルトンのオーダー又はそれ未満の低い質量を有することができる。後者の形態が好適である。それは、分子量が10000Da以下のヒアルロン酸は、エレクトロスピニングされた形態で、いったん皮膚と接触すると完全に吸収され、角質層に浸透して最内層に達し、吸湿性、粘弾性及び構造機能などの特性のおかげで、(細胞)組織の水和、浸透圧バランス及びECMの物理特性を調節することが可能であるためである。
【0045】
有利なことに、膜基体の皮膚への吸収・浸透作用により、膜支持体に関連する有効成分を皮膚に向けて伝達することも可能となる。
特に、いくつかの実施形態によれば、パッチ製品は、化粧品有効成分、医薬有効成分及び栄養有効成分から選択される、膜基体と関連する、少なくとも1つの有効成分を含む。
なお、有効成分は、その作用分野にかかわらず、さまざまな種類の機能を有することができる。
【0046】
化粧品有効成分は、以下の種類があり得る。:
抗脂漏薬(例えば、セバシン酸、アゼライン酸)、抗皮脂薬(例えば、炭粉)、抗菌薬(例えば、クリンバゾール、ピロクトンオラミン)、抗酸化薬(例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、コエンザイムQ10、レスベラトロール、グルタチオン)、制汗薬(例えば、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート)、収斂薬(例えば、シトラスオーランティフォリア(ライム)花エキス、乳酸カルシウム)、美白薬(例えば、グラブリジン、過硫酸アンモニウム)、メイク落とし(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム)、消臭薬(例えば、クエン酸トリエチル、リシノール酸亜鉛)、角質除去(例えば、グリコール酸、リンゴ酸、マンデル酸)、風味付け(例えば、シトラール、蜂蜜)、芳香薬(例えば、d、l-リモネン、クマリン)、湿潤薬(例えば、グリセリン、プロパンジオール)、角質溶解薬(例えば、クロロ酢酸、サリチル酸)、保湿薬(例えば、アロエアルボレセンス葉エキス)、香料(例えば、ゲラニオール、リナロール)、エモリエント(柔軟薬)(例えば、トリオレイン、スクアレン)、リフレッシュ薬(例えば、メントール、乳酸メンチル)、皮膚保湿薬(例えば、パンテノール、アラントイン)、皮膚保護薬(例えば、スフィンゴ脂質、酸化亜鉛)、スムージング薬(例えば、トウゴマ種子油)、スージング薬(例えば、ハマメリス・バージニアナエキス、カモミールエキス、ビサボロール)、又はトニック薬(例えば、アルニカ・モンタナ、キダチトウガラシエキス)、紫外線フィルター(例えば、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、カフェイン、テイン、テオブロミン、テオフィリン)。
【0047】
医薬有効成分は、以下の種類があり得る。:
5α-リダクターゼ阻害薬(例えば、フィナステリド)、5-アミノサリチル酸(例えば、メサラミン)、5HT3受容体拮抗薬(例えば、オンダンセトロン)、カルシウムチャネル遮断薬と併用するACE阻害薬(例えば、アムロジピン/ベナゼプリル)、チアジドと併用するACE阻害薬(例えは、ヒドロクロロチアジド)、アダマンタン系抗ウイルス薬(例えば、アマンタジン)、副腎皮質ホルモン阻害薬(例えば、アミノグルテチミド)、アドレナリン気管支拡張薬(例えば、アルブテロール)、高血圧薬(例えば、高血圧薬)、肺高血圧治療薬(例えば、トレプロスチニル)、アルドステロン受容体拮抗薬(例えば、スピロノラクトン)、アルキル化薬(例えば、シクロホスファミド)、アレルゲン(例えば、チリダニアレルゲンエキス)、α-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、ミグリトール)、抗アメーバ薬(例えば、メトロニダゾール)、アミノグリコシド系(例えば、トブラマイシン)、アミノペニシリン系(例えば、アモキシシリン)、アミノサリチル系(例えば、アミノサリチル酸)、AMPA受容体拮抗薬(例えば、ペランパネル)、アミリン類似体(例えば、プラムリンタイド)、鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン)、アンドロゲン及びアナボリックステロイド(例えば、テストステロン)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(例えば、ラミプリル)、アンジオテンシンII阻害薬とカルシウムチャンネル遮断薬の併用(例えば、アムロジピン/オルメサルタン)、アンジオテンシンII阻害薬とチアジドの併用(例えば、ヒドロクロロチアジド/オルメサルタン)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(例えば、バルサルタン)、アンジオテンシン及びネプリライシン受容体阻害薬(例えば、サクビトリル/バルサルタン)、直腸薬(例えば、ヒドロコルチゾン/プラモキシン)、食欲抑制薬(例えば、フェンテルミン)、制酸薬(例えば、水酸化マグネシウム)、駆虫薬(例えば、ピランテル)、抗血管新生眼科薬(例えば、アフリベルセプト)、抗CTLA-4モノクローナル抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ニボルマブ)、チアジドと併用する抗アドレナリン作動薬(中枢)(例えば、ヒドロクロロチアジド/メチルドパ)、チアジドと併用する抗アドレナリン作動薬(末梢)(例えば、ポリチアジド/プラゾシン)、中枢性抗アドレナリン作動薬(例えば、グアンファシン)、末梢性抗アドレナリン作動薬(例えば、タムスロシン)、抗アンドロゲン薬(例えば、エンザルタミド)、抗狭心症薬(例えば、ニトログリセリン、例えば、ジフィリン/グアイフェネシン)、抗生物質(例えば、メトロニダゾール)、抗生物質/抗悪性腫瘍薬(例えば、ドキソルビシン)、抗コリン性制吐薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、抗コリン性抗パーキンソン薬(例えば、プロシクリジン)、抗コリン性気管支拡張薬(例えば、チオトロピウム)、抗コリン薬/鎮痙薬(例えば、ヒヨスチアミン)、抗凝固薬(例えば、フィトナジオン)、抗けいれん薬(例えば、ラコサミド)、抗うつ薬(例えば、ブプロピオン)、止瀉薬(例えば、ロペラミド)、抗利尿ホルモン(例えば、デスモプレシン)、解毒薬(例えば、ナルトレキソン ドロナビノール)、抗真菌薬(例えば、グリセオフルビン)、抗ゴナドトロピン薬(例えば、ダナゾール)、抗痛風薬(例えば、コルヒチン)、抗ヒスタミン薬(例えば、セチリジン)、抗高脂血症薬及び組み合わせ(例えば、エゼチミブ/シンバスタチン)、高尿酸血症治療薬(例えば、フェブキソスタット)、抗マラリア薬(例えば、ドキシサイクリン)、抗マラリア薬、抗マラリア・キノリン配合薬(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗躁薬(例えば、リチウム)、代謝拮抗薬(例えば、カペシタビン)、抗偏頭痛薬(例えば、リザトリプタン)、抗腫瘍薬(例えば、イソトレチノイン)、抗腫瘍薬配合薬(例えば、レトロゾール/リボシクリブ)、抗腫瘍性解毒薬(例えば、アミフォスチン)、抗腫瘍インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ-2b)、抗緑膿菌ペニシリン(例えば、カルベニシリン)、抗乾癬薬(例えば、アシトレチン)、抗精神病薬(例えば、ハロペリドール)、抗リウマチ薬(例えば、アダリムマブ)、防腐・殺菌薬(例えば、ヨウ化カリウム)、抗毒素及び抗ウィルス(例えば、アンチベニン(クロタリ科)多価)、鎮咳薬(例えば、デキストロメトルファン)、抗ウイルスブースター(例えば、リトナビル)、抗ウイルスインターフェロン(例えば、ペグインターフェロンアルファ-2a)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アナストロゾール)、非定型抗精神病薬(例えば、アリピプラゾール)、アゾール系抗真菌薬(例えば、フルコナゾール)、細菌ワクチン(例えば、13価肺炎球菌ワクチン)、バルビツール酸系抗けいれん薬(例えば、プリミドン)、バルビツール酸系(例えば、フェノバルビタール)、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(例えば、イマチニブ)、抗けいれんベンゾジアゼピン系(例えば、ジアゼパム)、ベンゾジアゼピン系(例えば、クロナゼパム)、βブロッカーとチアジドの併用(例えば、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド)、βラクタマーゼ阻害薬(例えば、クラブラン酸)、胆汁酸封鎖薬(例えば、コルセベラム)、ビスホスホネート(例えば、ゾレドロン酸)、BTK阻害薬(例えば、イブルチニブ)、カルシウム受容体作動薬(例えば、シナカルセト)、カルシニューリン阻害薬(例えば、タクロリムス)、カルシトニン、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ベラパミル)、抗痙攣カルバメート(例えば、フェルバメート)、カルバペネム(例えば、ドリペネム)、カルバペネム/β-ラクタマーゼ阻害薬(例えば、メロペネム/バボルバクタム)、抗けいれん炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、トピラマート)、炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、アセタゾラミド)、心臓ストレス薬(例えば、レガデノソン)、心選択性β遮断薬(例えば、ネビボロール)、カテコールアミン(例えば、エピネフリン)、CD20モノクローナル抗体(例えば、オクレリズマブ)、CD30モノクローナル抗体(例えば、ブレントキシマブ)、CD33モノクローナル抗体(例えば、ゲムツズマブ)、CD38モノクローナル抗体(例えば、CD52モノクローナル)、(例えば、アレムツズマブ)、CDK4/6阻害薬(例えば、パルボシクリブ )、セファロスポリン/βラクタマーゼ阻害薬(例えば、アビバクタム/セフタジジム)、耳垢溶解薬(例えば、過酸化カルバミド)、CFTR併用(例えば、イバカフトール/ルマカフトール)、CFTR増強薬(例えば、イバカフトール)、CGRP阻害薬(例えば、エレヌマブ)、キレート薬(例えば、デフェラシロクス)、ケモカイン受容体阻害薬(例えば、マラビロク)、クロライドチャネルアクチベーター(例えば、ルビプロストン)、コレステロール吸収阻害薬(例えば、エゼチミブ)、コリン作動薬(例えば、セビメリン)、コリン作動性筋刺激薬(例えば、ピリドスチグミン)、コリンエステラーゼ阻害薬(例えば、ドネペジル)、中枢神経系刺激薬(例えば、フェンテルミン)、コロニー刺激因子(例えば、フィルグラスチム)、避妊薬(例えば、レボノルゲストレル)、コルチコトロピン、クマリン及びインダンジオン(例えば、ワルファリン)、Cox-2阻害薬(例えば、セレコキシブ)、充血除去薬(例えば、プソイドエフェドリン)、ジアリールキノリン(例えば、)、ジベンズアゼピン系抗てんかん薬(例えば、カルバマゼピン)、消化酵素(例えば、ラクターゼ)、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬(例えば、シタグリプチン)、ドーパミン作動性抗パーキンソン薬(例えば、ロピニロール)、アルコール依存症用薬物(例えば、アカンプロサート)、エキノカンジン(例えば、カスポファンギン)阻害薬(例えば、エルロチニブ)、エストロゲン受容体拮抗薬(例えば、フルベストラント)、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、去痰薬(例えば、グアイフェネシン)、Xa因子阻害薬(例えば、リバーロキサバン)、脂肪酸誘導体抗けいれん薬(例えば、ジバルプロエクスナトリウム)、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート)、第一世代セファロスポリン(例えば、セファレキシン)、第四世代セファロスポリン(例えば、セフェピム)、胆石溶解薬(例えば、ウルソジオール)、γ-アミノ酪酸アナログ(例えば、ガバペンチン)、γ-アミノ酪酸再取り込み阻害薬(例えば、ティアガビン)、全身麻酔薬(例えば、プロポフォール)、GI刺激薬(例えば、メトクロプラミド)、グルココルチコイド(例えば、ブデソニド)、グルコース上昇薬(例えば、グルカゴン)、グリコペプチド系抗生物質(例えば、バンコマイシン)、糖タンパク血小板阻害薬(例えば、チロフィバン)、グリシルクリン(例えば、チゲサイクリン)、ゴナドトロピン放出ホルモン(例えば、ロイプロリド)、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬(例えば、エラゴリックス)、ゴナドトロピン(例えば、絨毛性ゴナドトロピン) I群抗不整脈薬(例えば、フェニトイン)、II群抗不整脈薬(例えば、プロプラノロール)、 III群抗不整脈薬(例えば、ドロネダロン)、IV群抗不整脈薬(例えば、ベラパミル)、V群抗不整脈薬(例えば、ジゴキシン)、成長ホルモン受容体遮断薬(例えば、ペグビソマント)、成長ホルモン(例えば、ソマトロピン)、グアニル酸シクラーゼC作動薬(例えば、リナクロチド)、H.ピロリ除菌薬(例えば、亜硝酸ビスマスカリウム/メトロニダゾール/テトラサイクリン)、H2拮抗薬(例えば、ラニチジン)、ヘッジホッグ経路阻害薬(例えば、ビスモデギブ)、ヘパリン拮抗薬(例えば、プロタミン)、HER2阻害薬(例えば、ネラチニブ)、ハーブ系製薬(例えば、5-ヒドロキシトリプトファン、アロエベラ)、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(例えば、ロミデプシン)、ホルモン・抗腫瘍薬(例えば、メドロキシプロゲステロン)、ヒダントイン抗痙攣薬(例えば、フェニトイン)、ヒドラジド誘導体(例えば、イソニアジド)、免疫グロブリン、インポテンス薬(例えば、シルデナフィル)、インクレチン模倣薬(例えば、リラグルチド)、強心薬(例えば、ジゴキシン)、インスリン及び誘導体(例えば、インスリングラルギン)、インスリン様成長因子(例えば、メカセルミン)、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a)、インターロイキン阻害薬(例えば、デュピルマブ)、インターロイキン(例えば、アルデスロイキン)、鉄薬(例えば、硫酸第一鉄)、ケトライド(例えば、テリスロマイシン)、便秘薬(例えば、ビサコジル)、抗らい菌薬(例えば、クロファジミン)、ロイコトリエン修飾薬(例えば、モンテルカスト)、リンコマイシン誘導体(例えば、クリンダマイシン)、ループ利尿薬(例えば、フロセミド)、リソゾーム酵素(例えば、イミグルセラーゼ)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン)、肥満細胞安定化薬(例えば、クロモリン)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、メラノコルチン受容体作動薬(例えば、ブレメラノチド)、メチルキサンチン(例えば、テオコルチカス)、ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、ミネラルと電解質(例えば、クエン酸/クエン酸カリウム)、各種抗ウイルス薬(例えば、バロキサビルマルボキシル)、各種抗不安薬、鎮静薬及び催眠薬(例えば、ゾルピデム)、各種骨吸収阻害薬(例えば、デノスマブ)、各種循環器系薬(例えば、ミドドリン)、各種中枢神経系薬(例えば、ダルファムプリジン)、各種凝固調節薬(例えば、トラネキサム酸)、各種利尿薬(例えば、パマブロム)、各種泌尿器系薬(例えば、フェナゾピリジン)、各種消化器系薬(例えば、ミソプロストール)、各種代謝系薬(例えば、ブロスマブ)、各種呼吸器系薬(例えば、α1-プロテイナーゼ阻害薬)、各種外用薬(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、各種膣薬(例えば、エストラジオール)、有糸分裂阻害薬(例えば、ビンクリスチン)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えば、フェネルジン)、口咽頭薬(例えば、フッ化物)、mTOR阻害薬(例えば、エベロリムス)、粘液溶解薬(例えば、アセチルシステイン)、マル
チキナーゼ阻害薬(例えば、ソラフェニブ)、麻薬性鎮痛薬の組み合わせ(例えば、ブプレノルフィン・ナロキソン)、麻薬性鎮痛薬(例えば、フェンタニル)、天然ペニシリン(例えば、ペニシリンVカリウム)、ノイラミニダーゼ阻害薬(例えば、オセルタミビル)、ニューロン カリウム チャネル オープナー(例えば、エゾガビン)、新世代セファロスポリン(例えば、セフタロリン)、NHE3阻害薬(例えば、セフタロリン)、ニコチン酸誘導体(例えば、エチオナミド)、NK1受容体拮抗薬(例えば、アプレピタント)、NNRTI(例えば、エファビレンツ)、非心臓選択的βブロッカー(例えば、カルベジロール)、非スルホニル尿素(例えば、メトホルミン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ジクロフェナック)、NS5A阻害薬(例えば、ダクラタスビル)、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)(例えば、テノホビル)、栄養補助食品(例えば、オメガ3多価不飽和脂肪酸)、経口栄養補助食品(例えば、アルギニン)、その他の免疫賦活薬(例えば、グラチラマー)、その他の免疫抑制薬(例えば、オマリズマブ)、オキサゾリジンジオン系抗けいれん薬(例えば、トリメタジオン)、オキサゾリジンジオン系抗菌薬(例えば、リネゾリド)、副甲状腺ホルモン及び類似体(例えば、テリパラチド)、PARP阻害薬(例えば、ニラパリブ)、PCSK9阻害薬(例えば、エボルクマブ)、ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン(例えば、オキサシリン)、末梢オピオイド受容体拮抗薬(例えば、ナロキセゴール)、混合型末梢オピオイド受容体作動薬(例えば、アゴニスト/エルクサドリン拮抗薬)、末梢血管拡張薬(例えば、イソクスプリン)、末梢作用型抗肥満薬(例えば、オルリスタット)、フェノチアジン系制吐薬(例えば、プロメタジン)、フェノチアジン系抗精神病薬(例えば、プロクロルペラジン)、フェニルピペラジン系抗うつ薬(例えば、トラゾドン)、リン酸カリウム阻害薬(例えば、トラゾドン)(例えば、イデラリシブ)、血小板凝集阻害薬(例えば、アスピリン)、血小板刺激薬(例えば、エルトロンボパグ)、ポリエン(例えば、ナイスタチン)、カリウム保持性利尿薬(例えば、スピロノラクトン)、プロバイオティクス(例えば、乳酸菌アシドフィルス)、プロゲステロン受容体モジュレーター(例えば、ウリプリスタル)、プロゲスチン レボノルゲストレル、プロラクチン阻害薬(例えば、カベルゴリン)、プロテアーゼ阻害薬(例えば、テラプレビル)、プロテアーゼ活性化受容体-1アンタゴニスト(例えば、ボラパキサル)、プロテアソーム阻害薬(例えば、ボルテゾミブ)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール)、ソラレン(例えば、メトキサレン)、プリンヌクレオシド(例えば、バラシクロビル)、ピロリジン系抗けいれん薬(例えば、レベチラセタム)、ヒトキノロン(例えば、シプロフロキサシン)、遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、レニン阻害薬(例えば、アリスキレン)、リファマイシン誘導体(例えば、リファンピシン)、サリチル酸(例えば、アスピリン)、第二世代セファロスポリン(例えば、選択的セフロキシム受容体)、モジュレーター(例えば、オスペミフェン)、選択的免疫抑制薬(例えば、ナタリズマブ)、選択的ホスホジエステラーゼ4 阻害薬(例えば、ロフルミラスト)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、エスシタロプラム)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン)、セロトニン作動性神経腸管調節薬(例えば、テガセロド)、SGLT-2阻害薬(例えば、エンパグリフロジン)、骨格筋弛緩薬(例えば、オナボツリヌムトキシンA)、禁煙薬(例えば、ニコチンアナログソマトスタット)(例えば、オクトレオチド)、スタチン(例えば、ロバスタチ)、ストレプトグラミン(例えば、ダルホプリスチン/キヌプリスチン)、ストレプトミセス誘導体(例えば、カプレオマイシン)、抗てんかん薬スクシンイミド(例えば、エトスクシミド)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール)、スルホニルウレア系覚醒薬(例えば、グリメピストル、クロミフェン)、四環系抗うつ薬(例えば、ミルタザピン)、テトラサイクリン(例えば、ミノサイクリン)、サイアザイド利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン)、チオキサンテン(例えば、チオチキセン)、第三世代セファロスポリン(例えば、セフトリアキソン)、トロンビン阻害薬(例えば、ダビガトゾン)、ストレプトリジン(例えば、レボチロキシン)、TNFα阻害薬(例えば、アダリムマブ)、陣痛抑制薬(例えば、テルブタリン)、ニキビ外用薬(例えば、トレチノイン)、局所麻酔薬(例えば、リドカイン)、外用感染防止薬(例えば、マラチオン)、外用抗酒さ薬(例えば、イベルメクチン)、外用抗生物質(例えば、スルファジアジン銀)、外用抗真菌薬(例えば、エコナゾール)、外用抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、外用抗腫瘍薬(例えば、イミキモド)、外用抗乾癬薬(例えば、タザロテン)、外用抗ウイルス薬(例えば、ペンシクロビル)、外用収斂薬(例えば、ヘーゼルナッツ)、外用デブリドマン薬(例えば、コラゲナーゼ)、外用脱色薬(例えば、ハイドロキノン)、外用皮膚軟化薬(例えば、エモリエント)、外用角質溶解薬(例えば、サリチル酸)、外用非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ジクロフェナク)、局所光化学薬(例えば、アミノレブリン酸)、外用発赤薬(例えば、メントール)、外用ステロイド薬(例えば、ベータメタゾン)、抗感染併用ステロイド外用薬(例えば、アシクロビル/ヒドロコルチゾン)、トランスサイレチン安定薬(例えば、タファミジス)、トリアジン系抗けいれん薬(例えば、ラモトリギン)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン)、尿素サイクル障害薬(例えば、フェニル酪酸ナトリウム)、尿路抗感染症薬(例えば、ニトロフラントイン)、尿路鎮痙薬(例えば、アミトリプチリン)、修飾薬(例えば、クエン酸カリウム)、子宮収縮薬(例えば、ジノプロストン)、膣用抗感染症薬(例えば、クリンダマイシン)、血管拡張薬(例えば、アルプロスタジル)、バソプレシン拮抗薬(例えば、コニバプタン)、昇圧薬(例えば、エピネフリン)、VEGF/VEGFR阻害薬(例えば、パゾパン)、ウイルスワクチン、ビタミン・ミネラル配合薬、ビタミン(例えば、シアノコバラミン)、VMAT2阻害薬(例えば、バルベナジン)。
【0048】
栄養有効成分は、以下の種類があり得る。:
ビタミン(例えば、ビタミンA、B、C、D、E、K、葉酸、ビオチン)、ミネラル(例えば、カリウム、塩素、ナトリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ヨウ素、クロム、モリブデン、セレン、コバルト、フッ化物)、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質並びにそれらの代謝物及び誘導体(例えば、必須及び分岐アミノ酸、カルノシン、酵素及び酵素複合体、ラクトフェリン、N-アセチルシステイン、動物性又は植物性食品からのタンパク質)、脂肪酸(例えば、オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸)、植物、動物、藻類、菌類、地衣類又は細菌から抽出又は派生した物質又は無加工のソースを使用して製造された天然物(例えば、フィトステロール、エキナセア、緑茶エキス、ニンニク、アロエベラ、魚油、スピルリナ、クロレラ、きのこ由来の消化酵素)、糖及び多糖類(例えば、マンノース、リボース、トレハロース、デキストロース、グルクロノラクトン、デキストリン)、プロバイオティクス(例えば、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、サッカ ブラウディなどの生きた微生物)、プレバイオティクス(例えば、フラクトオリゴ糖やイヌリンなどのフルクタン、ガラクトオリゴ糖やキシロオリゴ糖などのガラクタン)、抗酸化物質(例えば、リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド、グルタチオン、レスベラトロール、カテキン)、栄養学的又は生理学的効果を有する他の物質(例えば、ベタイン、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、CDP-コリン、コリン、クレアチン、リン脂質、GABA、グルコサミン、イノシトール、メラトニン、メチルスルフォニルメタン、ヌクレオチド、スクワレン)。
【0049】
これらの実施形態では、膜基体が1つ以上のバイオポリマーで構成され、そのエレクトロスピニングによって、有効成分の粒子を受け入れるような三次元構造を有する膜が生成されることを提供することが特に有利となる。例えば、不織布の三次元構造は、有効成分の分子を収容するのに適した、ケージとも呼ばれる空洞を含むことができる。空洞を有する不織布を得るための化合物の一例は、鎖状ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の混合物である。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、第1のエレクトロスピニング化合物(第1のエレクトロスピニングされる化合物)にかかわらず、有効成分は、例えば皮膚の熱傷に適用するための、非ステロイド性抗炎症剤である。また、熱傷によって引き起こされる痛みを軽減するために、追加の有効成分として1つ又は複数の鎮痛剤を加えることも提供できる。この種の用途では、第1の化合物が、例えばヒアルロン酸のような、皮膚を再生させるタイプのものであることが特に有利である。
【0051】
有効成分は、すでにエレクトロスピニング膜基体に添加することができるため、不織布の状態で、有効成分の分子又は粒子を基体の三次元構造内に「捕捉」させることができる。
あるいは、有効成分は、その後エレクトロスピニングされる組成物に含まれることができる。言い換えれば、有効成分が共エレクトロスピニングされる、すなわち、基体を構成する材料とともにエレクトロスピニングされることが可能である。その場合、得られるパッチ製品は、有効成分がエレクトロスピニング繊維に組み込まれて構成される。
【0052】
皮膚の熱傷の処理における本発明によるパッチ製品の使用は、創傷における有効成分及び第1の化合物の迅速な吸収を確定するので、有利である。さらに、組成物をエレクトロスピニングすることによって得ることができる製品は、熱傷したゾーン(領域)に直接適用することができる。これは、治療の効果を向上させる。
【0053】
熱傷の処理と同様に、本発明によるパッチ製品は、化粧品、医薬品又は食品分野の有効成分を身体に供給するために、いかなるタイプの用途にも使用できることに留意すべきである。特に、パッチ製品は、現在、筋肉注射によって投与されている有効成分を適用するために有利に使用することができる。一例として、例えばヘパリンのような抗凝固剤が挙げられる。パッチ製品はまた、食品サプリメントの摂取のために使用することもできる。
【0054】
この目的のために、エレクトロスピニングされる化合物としてのヒアルロン酸は、上記の3つのタイプのそれぞれの異なる有効成分と組み合わせるのに適した候補である。
【0055】
例えば、化粧品有効成分では、以下のものが挙げられる。:抗脂漏剤(セバシン酸、アゼライン酸)、抗酸化剤(アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、レチナール)、シミ抑制剤(グラブリジン、過硫酸アンモニウム)、軟化剤(ハマメリスエキス、ビサボロール)、保湿剤(グリセリン、プロパンジオールなど)。
【0056】
好適な栄養有効成分の中には、植物、動物、藻類、菌類、地衣類又は細菌から抽出又は誘導された物質又は無加工のソース(源)を用いて製造された天然物(フィトステロール、エキナセア、緑茶エキス、ガーリック、アロエベラ、魚油、スピルリナ、クロレラ、菌類由来の消化酵素)、ビタミン(例えば、ビタミンA、B、C、D、E、K、葉酸、ビオチン)、及び抗酸化物質(例えば、リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド、グルタチオン、レスベラトロール、カテキン)。
【0057】
最も有利な医薬有効成分は、アンドロゲン及びアナボリックステロイド(例えば、テストステロン)、抗CTLA-4モノクローナル抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD-1モノクローナル抗体(例えば、ニボルマブ)、抗狭心症薬(例えば、ニトログリセリン)、抗喘息配合薬(例えば、ジフィリン/グアイフェネシン)、抗生物質(例えば、メトロニダゾール)、抗生物質/抗腫瘍薬(例えば、ドキソルビシン)、抗腫瘍薬(イソトレチノインなど)、抗腫瘍剤配合薬(レトロゾール/リボシクリブなど)である。
【0058】
これらの有効成分は、例えば、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸、コラーゲン又はデンプンなどのエレクトロスピニングされる他の化合物と有利に組み合わせることができることに留意されたい。
パッチ製品の他の例として、エレクトロスピニング化合物としてのヘパリンと、医薬有効成分、例えばアレルゲン抽出物又はエルトロンボパグなどの血小板刺激薬、を供給する。
【0059】
また、本発明によるパッチ製品は、有効成分を体内に伝達させるために、皮膚に吸収されることなく、時には数日間付着したままの膜基体を提供するような既存のパッチ製品に取って代わることができる。実際、本発明によれば、膜基体は、短時間(典型的には数分)で完全に吸収され、膜を皮膚に付着したままにする必要がない。
【0060】
本発明は、支持体上に配置された上記のパッチ製品を有する物品にも関する。好適には、支持体は、パッチ製品を覆うように配置された被覆層と共に、パッチ製品を包む包装体を形成する。この目的のために、支持体と被覆層は、パッチ製品を収容することを意図した内部空間を形成するように、相互に接合される。
【0061】
好適には、相互の接合はヒートシールによって行われ、さらに好適には、支持体と被覆層の端部に対応して行われる。包装は、パッチ製品、すなわち膜基体及び1つ又は複数の有効成分を保護することができ、それを損傷したり、その構造及び/又は化学組成を変化させる可能性のある外的要因から隔離することができる。
【0062】
有利には、支持体及び被覆層は、同じ材料又は2つの異なる材料で作ることができ、明らかに、パッチ製品と適合する材料で作られた少なくとも1つの表面からなる。パッチ製品との適合性とは、本明細書の文脈では、この表面と接触させられるパッチ製品が、化学的又は構造的に変更されないことを意味する。適合性のある材料でできた表面は、基体や有効成分と相互作用せず、不活性な支持体としてのみ機能する。
【0063】
有利には、支持体と被覆層は、ヒートシール可能なタイプの材料、例えばポリブチレンサクシネートアジペートPBSA又はポリ乳酸PLAで作られる。
【0064】
物品を製造する好適な方法は、エレクトロスピニング膜基体を支持体に直接堆積させることを提供する。その後、エレクトロスピニング膜基体を被覆層で覆い、次いで、支持体と被覆層とを接合することを提供することができる。有利には、支持体と被覆層の相互の接合は、それらの間にパッチ製品を収容する内部空間を形成するような方法で行われる。
【0065】
上述のように、層の相互接合は、好適にはヒートシールによって生じ、さらに好適には、支持体と被覆層の端部に対応するヒートシールによって生じる。
【0066】
例
以下に列挙する異なる組成物を、示した条件下でエレクトロスピニングした。組成物の例では、エレクトロスピニングされる、したがって化粧品パッチ製品の膜基体を構成する第1の化合物は、以下の表に記載された化合物から選択される。
【0067】
これらの化合物は、Esperis S.p.A., Milan、Evonik Degussa Italia, Cremona、及びIRALAB S.p.A., Usmate Velate (MI) から供給されている。分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル透過クロマトグラフィー)により決定した。
【0068】
エレクトロスピニングは,日本企業であるMecc社のNANON.01A装置で実施した。実験条件は、以下の各実施例で示される。
【0069】
作製されたファイバー(繊維)は、走査型電子顕微鏡によって評価された。具体的には、EMITECHK950x Turbo Evaporator sputter coater, EBSciences, East Granby, CTを使用して金をコーティングし、Cambridge Stereoscan 440 SEM, Cambridge, UK走査型電子顕微鏡で観察した。
【0070】
エレクトロスピニングされる化合物としてヒアルロン酸と、スピニング補助剤としてPEO:アルギン酸混合物とを含む組成物のエレクトロスピニングの例
スピニング補助剤は、5重量%のアルギン酸の水溶液と5重量%のPEOの水溶液とを1:1の割合で混合したものである。そして、この補助剤に、平均分子量1.2MDaの鎖状ヒアルロン酸(HA1)の水溶液を0.5重量%で混合した。補助剤:(HA溶液)の比率は、5.6:1に等しい。この組成物は、相対湿度(RH)が24%~29%、温度22℃、電界20kV、ヘッドにおける組成物の体積流量が0.7mL/hに等しく、紡糸ヘッドと繊維が堆積する支持体の間の距離は15cmに等しく、使用したニードル(針)が直径22Gのニードルで、エレクトロスピニングした。得られた繊維は正常で、欠陥の少ないものであった。
【0071】
同じ補助剤を、13重量%のヒアルロン酸オリゴマー水溶液と、補助剤:(HA溶液)の割合が1:3に等しくなるように混合した。この第2例の組成物を、上記の第1例と同じ操作条件でエレクトロスピニングすると、平均直径が250~350nmの、非常に正常な欠陥のない繊維が得られた。得られた繊維は、使用した支持体を完全に覆った。
【0072】
エレクトロスピニングされる化合物としてヒアルロン酸を、スピニング補助剤としてプルランを含む組成物のエレクトロスピニングの例
使用したプルランは、株式会社HAYASHIBARAの食品グレードのものである。10重量%、15重量%、20重量%のプルラン水溶液を準備し、これらのプルラン水溶液(スピニング補助剤)をヒアルロン酸水溶液と混合して、エレクトロスピニングを行った。
【0073】
下の表は、エレクトロスピニングされた組成物の例と、対応するエレクトロスピニング操作条件を示したものである。
【0074】
例1では、欠陥のない、平均直径400~700nmの正常な繊維が得られた。しかし、試験中、堆積はほとんど観察されなかった。
【0075】
例2では、エレクトロスピニング溶液の粘度が高いため、得られた繊維は平均直径10μmと太い。
【0076】
例3では、得られた繊維は、50nm~2μmの平均直径を有する。この例では、繊維はアルミニウム上とPBSAのフィルム上の両方に堆積されたことが観察される。
【0077】
一方の例4と7(プルラン:HAの比率が1:2に等しい)、他方の例6と8(プルラン:HAの比率が1:3に等しい)により、補助剤とヒアルロン酸の比の影響を検証することができた。例4では、得られた溶液は良好なエレクトロスピニングのための最適な特性を有しており、得られた繊維は800nmから1μmの範囲の平均直径を有している。酸性pHを有する例4の組成物について、pHを5.5まで増加させ(NaOH 1Mを加えることによって)、その結果、例7の溶液を得ることができた。後者では、エレクトロスピニングにより、平均直径が500~700nmと、例4よりも小さい正常で均一な繊維が得られた。
【0078】
ヒアルロン酸の割合を増やすことで、例6(酸性pHの場合)では、平均値が1~3μmに等しい、均一な直径の繊維が得られたが、例8(pH5.5の場合)では、700nmから3μmの範囲の不均一な直径を有する繊維が得られた。
【0079】
例5では、プルランに安定剤としてアルギン酸を添加した。補助剤:HAの比率を1:3とし、表に示した条件で、数ミクロンオーダーの平均直径を持つ太い繊維が得られた。
【0080】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明したようなパッチ製品に修正及び/又は部品の追加を行うことができることは明らかである。
【0081】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照は読みやすくすることのみを目的としており、特定の特許請求の範囲で主張される保護範囲に関する制限要因として考慮されてはならない。
【国際調査報告】