(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】新規mRNA5’-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びRNA分子又はペプチドを合成する方法
(51)【国際特許分類】
C07H 21/02 20060101AFI20230327BHJP
C12P 19/34 20060101ALI20230327BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230327BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C07H21/02
C12P19/34 A
C12P21/02 C
C12P21/02 B
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548990
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 PL2021050007
(87)【国際公開番号】W WO2021162567
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522320475
【氏名又は名称】ユニベルシテット・ヴァルシャフスキ
(71)【出願人】
【識別番号】522320486
【氏名又は名称】エクスポロルナ・セラピューティクス・エスピー・ゼット・オー・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチン・ワルミンスキ
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル・シコルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアンナ・コヴァルスカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤツェク・イェミエリティ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C057
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064AG01
4B064CA19
4B064CB30
4B064CC24
4B064CE10
4B064DA01
4B064DA13
4C057AA11
4C057AA30
4C057BB02
4C057DD03
4C057MM01
4C057MM02
4C057MM09
(57)【要約】
本発明は新しいmRNA5'末端キャップ類似体、それらを含有するRNA分子、それらの使用、及びそれらのインビトロでの合成のための方法、並びにインビトロ又は細胞培養におけるタンパク質又はペプチド合成のための方法であって、RNA分子の翻訳を包含する方法、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
(式中、
R
1、R
2、R
3及びR
4はH、CH
3、及びアルキルからなる群から選択され、異なる数字をもつR置換基は同一であっても異なっていてもよく、
nは0又は1であり、
R
5はベンジル、置換ベンジル、特に一置換ベンジル又は二置換ベンジルであり、好ましくはベンジルが以下の置換基:塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、メチル、アルキル、ニトロ基、カルボキシル基、アジド基、アミン基、水酸基、又はこれらの組合せのうちの1つで置換される置換ベンジル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、置換ナフチルメチル、アルキルアリール、アリールからなる群から選択され、
塩基
1及び塩基
2は
【化2】
からなる群から独立して選択され、
X
1、X
3はO、S、Seを含む群から選択され、異なる数字をもつ置換基Xは同一であっても異なっていてもよく、
X
2、X
4、及びX
5はO、S、Se、BH
3からなる群から選択され、異なる数字をもつX置換基は同一であっても異なっていてもよく、
X
6はO、CH
2、CF
2、CCl
2からなる群から選択され、
式中、好ましくはR
5はベンジル、一置換ベンジル、二置換ベンジル、1-ナフチルメチル、又は2-ナフチルメチルであり、X
1、X
4、X
5、X
6はOであり、X
2、X
3はO又はSであり、R
3、R
4はHである)
の化合物。
【請求項2】
式:
【化3】
の化合物m
7Gppp
Bn6A
mpG、
式:
【化4】
の化合物m
7Gppp
2MeBn6A
mpG、
式:
【化5】
の化合物m
7Gppp
3MeBn6A
mpG、
式:
【化6】
の化合物m
7Gppp
4MeBn6A
mpG、
式:
【化7】
の化合物m
7Gppp
4FBn6A
mpG、
式:
【化8】
の化合物m
7Gppp
3,4diFBn6A
mpG、
式:
【化9】
の化合物m
7Gppp
1Naphm6A
mpG、
式:
【化10】
の化合物m
7Gppp
2Naphm6A
mpG、
式:
【化11】
の化合物m
7Gpp
Sp
Bn6A
mpG、
式:
【化12】
の化合物m
7Gppp
5'S,Bn6A
mpG、
式:
【化13】
の化合物m
7Gppp
Bn6A
mpGpG
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
単一の立体異性体から本質的になる、又は少なくとも2つの立体異性体、第1のジアステレオマー及び第2のジアステレオマーの混合物を含み、ジアステレオマーが、立体中心リン原子の周りに異なる立体化学的配置を有すること以外はその他の点では同一であり、立体中心リン原子が硫黄原子、セレン原子、又はボラン基に結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
5'末端に請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を組み込むRNA分子。
【請求項5】
請求項4に記載のRNA分子をインビトロで合成するための方法であって、RNAポリメラーゼの存在下で、ATP、CTP、UTP、GTP、請求項1から3に記載の化合物、及びポリヌクレオチド鋳型を、ポリヌクレオチド鋳型のRNAポリメラーゼによるRNAコピーへの転写を促す条件下で反応させる工程を含み、RNAコピーのいくつかは請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を組み込み、請求項4に記載のRNA分子を作製することになる、方法。
【請求項6】
タンパク質又はペプチドのインビトロでの合成方法であって、請求項4に記載のRNA分子を無細胞タンパク質合成系で翻訳する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、RNA分子のオープンリーディングフレームを、オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドに翻訳することを促す条件下である、方法。
【請求項7】
タンパク質又はペプチドを生細胞内で合成するための方法であって、請求項4に記載のRNA分子を細胞内に導入する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、RNA分子のオープンリーディングフレームを、オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドに翻訳することを促す条件下であり、前記細胞が患者の体内に含有されない、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の分子を精製する方法であって、クロマトグラフィー法、好ましくは逆相HPLC法を使用する工程を含み、カラムは平衡化され、請求項4に記載の分子を含有する試料がクロマトグラフィーカラムに導入され、試料の成分が緩衝水溶液/有機溶媒系において分離され、請求項4に記載の分子を含有する画分が回収され、請求項4に記載のmRNA分子が5'末端において請求項1から3のいずれか一項に規定の構造を有さない他のRNA分子から分離される、方法。
【請求項9】
RNA分子のインビトロ合成における、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
タンパク質又はペプチドのインビトロ合成における、請求項4に記載のRNA分子の使用。
【請求項11】
医学、薬学、又は診断学における使用のための、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物又は請求項4に記載のRNA分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規mRNA5'-末端キャップ類似体、それを組み込んだRNA分子、それらの使用、及びインビトロでRNA分子を合成する方法、並びにインビトロ又は細胞内でタンパク質又はペプチドを合成する方法であって、RNA分子を翻訳する工程を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真核生物のmRNAの5'末端に存在する7-メチルグアノシンキャップ(m7G)は、主にmRNAを早期分解から保護することによって、及びmRNAの輸送及び翻訳に関与するタンパク質の分子マーカーとして機能することによって、数多くの基本的な細胞プロセスにおいて重要な役割を担う。[1]したがって、化学的な5'キャップ修飾は、キャップ依存性のプロセス、及びひいては、mRNA代謝を選択的に調節するための分子ツールの設計のために道を開く。[2]5'キャップの存在は、通常の条件下で、mRNA及びその効率的な翻訳を制御するために必要である。化学的に合成されたm7GpppGキャップmRNA類似体は、キャップ付加mRNAのインビトロでの転写試薬として使用される。[3]
【0003】
インビトロ転写された(IVT)5'-キャップ付加mRNAは、mRNAの翻訳、輸送、及びプロセシングを研究するための有用なツールであり、新たに出現したクラスの有望な治療用分子である。IVT mRNAは、真核生物細胞、抽出物、細胞培養物、及び更には生体全体におけるタンパク質の発現における用途を見出す。最後に、IVT RNAは、抗がんワクチン接種、抗ウイルスワクチン接種、及び遺伝子置換療法のための外因性タンパク質の安全な送達のツールとして、近年多くの注目を集めている[4]。
【0004】
キャップ類似体を使用した5'-キャップ付加mRNAの合成は、インビトロでの転写によって達成することができる。[3]この共転写キャッピングと呼ばれる方法では、4つのリボヌクレオシド5'-三リン酸(NTP:ATP、GTP、CTP、UTP)全て及びm7GpppG等のジヌクレオチドキャップの存在下でDNAマトリックス上のRNAポリメラーゼによりRNAの合成が実施される。DNA鋳型は、最初の転写ヌクレオチドがGとなるように設計される。ポリメラーゼは、GTP又はm7GpppGを使用して転写を開始し、それにより1つのヌクレオチドを得られるRNAの5'末端に組み込む。キャップ類似体の組込みの割合(キャッピング効率)を向上させるために、他のNTPに対してGTP濃度を低くし、ジヌクレオチドキャップ濃度を高くする(GTPに対して4~10倍)。残念ながら、GTPよりも過剰な高いジヌクレオチドキャップを使用しても、キャッピング効率は100%をより少なく、90%を超えることはほとんどない。非キャップ付加mRNAは、キャップ付加mRNAよりも安定性及び翻訳活性が非常に低く、更に、細胞内の不要な免疫応答の誘導を引き起こし、キャップ付加mRNAについても翻訳効率の低下を引き起こす可能性がある[11]。非キャップ付加mRNAを除去する方法として、非キャップ付加RNAを分解しキャップ付加mRNAをそのまま残す適切な酵素(例えば、5'-ポリホスファターゼ及び5'-エキソヌクレアーゼの混合物)で転写後の混合物を処理することがある。ジヌクレオチドを使用するmRNAキャッピング法の別の制限は、ジヌクレオチドキャップが逆に組み込まれ、翻訳不活性な「Gpppm7Gキャップ付加」RNAをもたらす可能性があるという事実である。この問題は、7-メチルグアノシンの2'又は3'位を(通常はOH基の1つをOCH3基と置換することによって)修飾し逆組込みを阻止する「アンチリバースキャップ類似体」(ARCA)の発見により解決された。[5、6]
【0005】
共転写キャッピング法が、5'mRNA末端に様々な修飾されたキャップ構造を組み込むことを可能とすることが既に示されている。これらの修飾されたキャップ構造は、分子標識担体になり得る、又は翻訳効率及び安定性の向上等の新しい性質をmRNA分子に与え得る。とりわけ、好ましいキャップ類似体は、それらの間でも三リン酸架橋において修飾されている。[7]5',5'-三リン酸架橋の原子を1つでも置換すると、mRNAの性質に著しい影響を与え得ることが示されている。例えば、β-S-ARCAとして示される、キャップオリゴリン酸架橋のβ位における単一の原子の置換は、インビトロ及びインビボにおけるmRNA翻訳効率の著しい向上をもたらし、[8、9]一方で単一のO原子とCH2基のα-β位での置換は、翻訳効率の低下をもたらした。[10]このように、キャップ内での異なる単一原子置換の生物学的効果が劇的に異なることは、オリゴリン酸鎖の修飾に対する翻訳機構の感度が高いことを示しており、これがさらなる探査のための重要な領域であることを示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Moore M、「From birth to death: The complex lives of eukaryotic mRNAs」、Science、2005年、309(5740)、1514~1518頁
【非特許文献2】Ziemniak M、Strenkowska M、Kowalska J、Jemielity J、「Potential therapeutic applications of RNA cap analogs」、Future Medicinal Chemistry、2013年、5 (10)、1141~1172頁
【非特許文献3】Grudzien-Nogalska E、Stepinski J、Jemielity J、Zuberek J、Stolarski R、Rhoads R.E、Darzynkiewicz E、「Synthesis of anti-reverse cap analogs (ARCAs) and their applications in mRNA translation and stability」、Translation Initiation: Cell Biology, High-Throughput Methods, and Chemical-Based Approaches、2007年、431、203~227頁
【非特許文献4】Sahin U、Kariko K、Tureci O、「mRNA-based therapeutics - developing a new class of drugs」、Nature Reviews Drug Discovery、2014年、13 (10)、 759~780頁
【非特許文献5】Stepinski J、Waddell C、Stolarski R、Darzynkiewicz E、Rhoads R.E、「Synthesis and properties of mRNAs containing the novel "anti-reverse" cap analogs 7-methyl(3'-O-methyl)GpppG and 7-methyl(3'-deoxy)GpppG」、Rna-a Publication of the Rna Society、2001年、7 (10)、1486~1495頁
【非特許文献6】Jemielity J、Fowler T、Zuberek J、Stepinski J、Lewdorowicz M、Niedzwiecka A、Stolarski R、Darzynkiewicz E、Rhoads R.E、「Novel "anti-reverse" cap analogs with superior translational properties」、Rna-a Publication of the Rna Society、2003年、9 (9)、1108~1122頁
【非特許文献7】Jemielity J、Kowalska J、Rydzik A M、Darzynkiewicz E、「Synthetic mRNA cap analogs with a modified triphosphate bridge - synthesis, applications and prospects」、New Journal of Chemistry、2010年、34 (5)、829~844頁
【非特許文献8】Grudzien-Nogalska E、Jemielity J、Kowalska J、Darzynkiewicz E、Rhoads R.E、「Phosphorothioate cap analogs stabilize mRNA and increase translational efficiency in mammalian cells」、Rna-a Publication of the Rna Society、2007年、13 (10)、1745~1755頁
【非特許文献9】Kuhn A.N.、Diken M、Kreiter S、Selmi A、Kowalska J、 Jemielity J、Darzynkiewicz E、Huber C、Tureci O、Sahin U、「Phosphorothioate cap analogs increase stability and translational efficiency of RNA vaccines in immature dendritic cells and induce superior immune responses in vivo」、Gene Therapy、2010年、17 (8)、961~971頁
【非特許文献10】Grudzien, E、Kalek M、Jemielity J、Darzynkiewicz E、Rhoads R.E、「Differential inhibition of mRNA degradation pathways by novel cap analogs」、Journal of Biological Chemistry、2006年、281 (4)、1857~1867頁
【非特許文献11】Sikorski Pawel J、Warminski Marcin、Kubacka Dorota、Ratajczak Tomasz、Nowis Dominika、Kowalska Joanna、Jemielity Jacek、「The identity and methylation status of the first transcribed nucleotide in eukaryotic mRNA 5' cap modulates protein expression in living cells」、Nucleic Acids Research、2020年、305~1048頁
【非特許文献12】J. Kowalska、M. Lewdorowicz、J. Zuberek、E. Grudzien-Nogalska、E. Bojarska、J. Stepinski、R. E. Rhoads、E. Darzynkiewicz、R. E. Davis、J. Jemielity、RNA 2008年、14、1119~1131頁
【非特許文献13】M. Warminski、P. J. Sikorski、Z. Warminska、M. Lukaszewicz、A. Kropiwnicka、J. Zuberek、E. Darzynkiewicz、J. Kowalska、J. Jemielity、Bioconjugate Chemistry 2017年、28、1978~1992頁
【非特許文献14】D. Weissman、N. Pardi、H. Muramatsu、K. Kariko、Methods Mol Biol 2013年、969、43~54頁
【非特許文献15】Norbert Pardi、Michael J. Hogan、Frederick W. Porter、Drew Weissman、N. Nature Reviews Drug Discovery、vol. 17、261~279頁(2018年)
【非特許文献16】Berraondo P、Martini PGV、Avila MAら、「Messenger RNA therapy for rare genetic metabolic diseases Gut」、2019年、68、1323~1330頁
【非特許文献17】Anna Maria Rydzik et. al.、Organic & Biomolecular Chemistry、Issue 22、2009年
【非特許文献18】M. Kalek et al.、Bioorganic & Medicinal Chemistry、Vol. 14、Issue 9、2006年5月1日、3223~3230頁
【非特許文献19】J. Kowalska et.al. (2009年)、Phosphoroselenoate Dinucleotides for Modification of mRNA 5' End、ChemBioChem、10: 2469~2473頁
【非特許文献20】J. Kowalska, et. al.、Nucleic Acids Research、Volume 42、Issue 16、2014年9月15日、10245~10264頁
【非特許文献21】A. Rydzik et.al.、Nucleic Acids Research、Volume 45、Issue 15、2017年9月6日、8661~8675頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術のmRNA5'末端キャップ類似体を用いて得られるmRNAよりも、それらでキャップ付加されたmRNAの転写効率を高めること、及びそのようなmRNAによりコードされるタンパク質の発現量を高めることを可能にするであろう、新しいmRNA5'末端キャップ類似体を提供することである。本発明の特定の目的は、インビトロでの反応混合物中に存在するキャップ付加mRNAと非キャップ付加mRNAを、酵素処理を必要とせずに、容易に分離することを可能にするであろう、新しいmRNA5'末端キャップ類似体を提供することである。予期せぬことに、この発明により、上記で定義した問題は解決された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、式:
【0009】
【0010】
(式中、
R1、R2、R3、R4はH、CH3、アルキルからなる群から選択され、異なる数字をもつ置換基Rは同一であっても異なっていてもよく、
nは0又は1であり、
R5はベンジル、置換ベンジル、特に一置換又は二置換で、好ましくは、以下:塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、メチル基、アルキル、ニトロ基、カルボキシル基、アジド基、アミノ基、水酸基、又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される置換基で置換され、ベンジルが、オルト置換、メタ置換、又はパラ置換であってもよい置換ベンジル、(1-ナフチルメチル)、(2-ナフチルメチル)、置換ナフチルメチル、アルキルアリール、アリールからなる群から選択され、
塩基1及び塩基2は
【0011】
【0012】
を含む群から独立して選択され、
X1、X3はO、S、Seを含む群から選択され、異なる数字をもつ置換基Xは同一であっても異なっていてもよく、
X2、X4、X5はO、S、Se、BH3を含む群から選択され、異なる数字をもつX置換基は同一であっても異なっていてもよく、
X6はO、CH2、CF2、CCl2を含む群から選択され、
好ましくは、R5はベンジル、一置換ベンジル、二置換ベンジル、1-メチルナフチル、又は2-メチルナフチルであり;X1、X4、X5、X6はOであり、X2及びX3はO又はSであり、R3、R4はHである)
の化合物である。
【0013】
好ましい実施形態では、R5はベンジル、クロロベンジル、フルオロベンジル、ブロモベンジル、ヨードベンジル、メチルベンジル、アルキルベンジル、ニトロベンジル、カルボキシベンジル、アジドベンジル、アミノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジフルオロベンジルからなる群から選択される。
【0014】
好ましくは、この化合物は、
式:
【0015】
【0016】
の化合物m7GpppBn6AmpG、
式:
【0017】
【0018】
の化合物m7Gppp2MeBn6AmpG、
式:
【0019】
【0020】
の化合物m7Gppp3MeBn6AmpG、
式:
【0021】
【0022】
の化合物m7Gppp4MeBn6AmpG、
式:
【0023】
【0024】
の化合物m7Gppp4FBn6AmpG、
式:
【0025】
【0026】
の化合物m7Gppp3,4diFBn6AmpG、
式:
【0027】
【0028】
の化合物m7Gppp1Naphm6AmpG、
式:
【0029】
【0030】
の化合物m7Gppp2Naphm6AmpG、
式:
【0031】
【0032】
の化合物m7GppSpBn6AmpG、
式:
【0033】
【0034】
の化合物m7Gppp5'S,Bn6AmpG、
式:
【0035】
【0036】
の化合物m7GpppBn6AmpGpG
を含む群から選択された。
【0037】
好ましくは、本発明による化合物は、単一の立体異性体から本質的になる、又は少なくとも2つの立体異性体、第1のジアステレオ異性体及び第2のジアステレオ異性体の混合物を含み、ジアステレオ異性体は、立体中心リン原子の周りに異なる立体化学的配置を有すること以外は同一であり、立体中心リン原子は硫黄原子、セレン原子、又はボラン基に結合している。
【0038】
本発明の別の実施形態は、5'末端に上記で定義した本発明による化合物を含有するRNA分子である。
【0039】
本発明のさらなる実施形態は、上記で定義した本発明によるRNA分子のインビトロでの合成のための方法であって、RNAポリメラーゼの存在下で、ATP、CTP、UTP及びGTP、上記で定義した本発明による化合物、並びにポリヌクレオチド鋳型を、RNAポリメラーゼがポリヌクレオチド鋳型上でRNAコピーを合成することを可能にする条件下で反応させる工程を含み、RNAコピーのいくつかは本発明による化合物を含有し、その結果、本発明によるRNA分子が作製されることになる、方法である。
【0040】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドをインビトロで合成するための方法であって、本発明によるRNA分子を無細胞タンパク質合成系で翻訳する工程を含み、RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドを形成するためのRNA分子のオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下である、方法である。
【0041】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドを生細胞で合成するための方法であって、本発明によるRNA分子を細胞内に組み込む工程を含み、上記RNA分子がオープンリーディングフレームを含み、上記オープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質又はペプチドの形成を伴うRNA分子のオープンリーディングフレームからの翻訳を可能にする条件下であり、上記細胞は患者の体内に含有されないことを特徴とする方法である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、本発明によるRNA分子を精製するための方法であって、クロマトグラフィー法、好ましくは逆相HPLC法を使用する工程を含み、カラムは平衡化され、本発明によるRNA分子を含有する試料がクロマトグラフィーカラムに導入され、緩衝水溶液/有機溶媒系において試料の成分の分離が起こり、本発明によるRNA分子を含有する画分が回収され、本発明によるRNA分子が上記で定義した本発明による構造を有する化合物を5'末端に含有しないRNA分子から分離されることを特徴とする、方法である。
【0043】
本発明の別の実施形態は、RNA分子のインビトロ合成において、本発明による化合物を使用することである。
【0044】
本発明の別の実施形態は、タンパク質又はペプチドのインビトロ合成において、本発明によるRNA分子を使用することである。
【0045】
本発明の別の実施形態は、医学、薬学、又は診断学における使用のための、本発明による化合物又は本発明によるRNA分子である。
【0046】
驚くべきことに、本発明によるmRNA5'末端キャップのトリヌクレオチド類似体又はテトラヌクレオチド類似体は、利用可能なクロマトグラフィー法、特に逆相HPLCによって、それらでキャップ付加されたmRNAの非キャップ付加mRNAからの分離を容易にすることにより、インビトロで転写されたmRNAの容易な精製を可能にすることが判明した。
【0047】
同様に驚くべきことに、本発明は、公知のmRNA5'-末端キャップ類似体を使用して得られるmRNAよりも、著しく高いタンパク質発現効率を有するmRNAの作製を可能にする。
【0048】
予期せぬことに、これらの性質は、トリヌクレオチドキャップ類似体又はテトラヌクレオチドキャップ類似体のN6-アデノシン位に疎水性置換基を導入することにより得られた。この修飾により、逆相充填クロマトグラフィーカラム上のキャップ類似体及びキャップ付加mRNAの移動に著しい変化をもたらし、キャップ付加mRNA及び非キャップ付加mRNAの分離が可能になる。独立して、この修飾により、真核生物細胞におけるmRNA発現の効率の向上をもたらす。更に、この修飾は、mRNAの性質を向上させる他の以前同定されているキャップ修飾、例えば、三リン酸架橋修飾又は最初の転写ヌクレオチド若しくは二番目の転写ヌクレオチドの2'-O位のメチル化の形態での天然の後成的修飾の取込みを排除せず、したがってそれらと一緒に使用できる。
【0049】
本明細書で引用した刊行物及び本明細書に示された参考文献は、参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0050】
本発明をよりよく理解するために、図面の簡単な説明が、実施例及び添付図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】様々なキャップ類似体を使用して得られたmRNAの逆相HPLC精製を示す図である。
【
図2】HPLC精製mRNAからの3T3-L1細胞におけるタンパク質発現を示す図である。
【
図3】HPLCにより精製された選択された類似体(m
7GpppApG、m
2
7,2'-OGpppSG、m
7Gppp
m6A
mpG、m
7GpppG、m
2
7,2'-OGpppG、m
2
7,2'-OGpp
SpG D1、m
7Gppp
Bn6A
mpG)でキャップ付加されたmRNAから得られたJAWSII細胞におけるタンパク質発現を示す図である。
【
図4】HPLCにより精製された選択された類似体(m
7GpppA
mpG、m
7Gppp
Bn6A
mpG、m
7Gppp
3MeBn6A
mpG、m
7Gppp
2MeBn6A
mpG、m
7Gppp
4MeBn6A
mpG、m
7Gppp
4FBn6A
mpG、m
7Gppp
3,4diFBn6A
mpG、m
7Gppp
1Naphm6A
mpG、m
7Gppp
2Naphm6A
mpG、m
2
7,2'-OGpppG)でキャップ付加されたmRNAから得られたJAWSII細胞におけるタンパク質発現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
用語「アルキル」は、示された数の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する、飽和した、直鎖状又は分岐状の炭化水素置換基を指す。アルキル置換基の例は、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニル、及び-n-デシルである。代表的な分岐状(C1~C10)アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、-ネオペンチル、-1-メチルブチル、-2-メチルブチル、-3-メチルブチル、-1 , 1-ジメチルプロピル、-1,2-ジメチルプロピル、-1-メチルペンチル、-2-メチルペンチル、-3-メチルペンチル、-4-メチルペンチル、-1-エチルブチル、-2-エチルブチル、-3-エチルブチル、-1, 1-ジメチルブチル、-1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、-2,2-ジメチルブチル、-2,3-ジメチルブチル、-3,3-ジメチルブチル、-1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、- 3-メチルヘキシル、-4-メチルヘキシル、-5-メチルヘキシル、-1,2-ジメチルペンチル、-1,3-ジメチルペンチル、-1,2-ジメチルヘキシル、-1,3-ジメチルヘキシル、-3,3-ジメチルヘキシル、1,2-ジメチルヘプチル、-1,3-ジメチルヘプチル、及び-3,3-ジメチルヘプチル等が挙げられる。
【0053】
用語「アリール」は、示された数の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する不飽和の、環状、芳香族又はヘテロ芳香族(すなわち、炭素の代わりにヘテロ原子を含有する)の炭化水素置換基を指す。アリールの例は、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリル、ピリジルである。
【0054】
用語「アルキルアリール」は、一緒に結合したアルキル部分とアリール部分(上に定義したとおり)から構成される不飽和炭化水素置換基を指す。アルキルアリールの例は、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等である。
【0055】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リン等の群から選択される原子を意味する。
【0056】
用語「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを意味し、「HPLC」用溶媒として指定された溶媒は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析に十分な純度の溶媒を意味する。
【0057】
用語「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。
【0058】
以下の実施例は、本発明を例証し、その特定の態様を明らかにするためにのみ提供されるものであり、本発明を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲で定義されるその全範囲と同一視されるべきものではない。以下の実施例では、別途指示しない限り、当分野で使用されている標準的な材料及び方法を使用し、又は特定の材料及び方法についてメーカーの推奨に従った。
【実施例】
【0059】
実施例1~6に記載されるように、固相合成法及び液相合成法を組み合わせてトリヌクレオチドキャップ類似体及びテトラヌクレオチドキャップ類似体を合成し、その後、2工程の精製手順を用いて単離した。出発点は、適切に修飾されたオリゴヌクレオチド:実施例2に記載されるように、ホスホロアミダイト法を使用した、高荷重支持体上のジヌクレオチド(pA*pG、A*はN6位で置換されたアデノシンを表す)又はトリヌクレオチド(pA*pGpG)の合成であった。[11]アデノシンのN6-位で修飾された対応するホスホロアミダイトは、実施例1に記載されるように、市販のアデノシンホスホロアミダイトを相間移動触媒作用条件下でN-アルキル化することにより得られた。オリゴヌクレオチドを支持体から切断し、脱保護し、P-イミダゾリドへの活性化及びその後のZnCl2の存在下でのカップリング反応に適したトリエチルアンモニウム塩として、イオン交換クロマトグラフィーによって単離した。活性化したオリゴヌクレオチドをm7GDPとカップリング反応に供し[12]、m7GpppA*(pG)k類似体(式中、A*はN6-修飾アデノシンを表し、kは1又は2に等しい)を実施例3及び6に記載されるように得た。
【0060】
実施例3は、アデノシンのN6位で、ベンジル、置換ベンジル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル等の基で修飾されたトリヌクレオチドキャップ類似体の調製例を示す。請求項1に記載の三リン酸架橋内で修飾されていない他のトリヌクレオチドは、実施例3に記載の手順と類似の手順を使用して、実施例2に記載されるように得られたpA*pGジヌクレオチド(アデノシンのN6位で適切に修飾された)を使用して合成できる。実施例4及び5は、アデノシンのN6位で、ベンジル部分で修飾され、更に5',5'-三リン酸架橋内に修飾を含有するトリヌクレオチドキャップ類似体の調製例を示す。β-チオリン酸(β-ホスホロチオエート)類似体の合成(実施例4)には、pBn6AmpGを対応するP-イミダゾリドに変換する必要があり、その後m7GDP-β-Sとカップリングさせた[12]。化合物をイオン交換クロマトグラフィーにより単離し、RP HPLCで更に精製して、生物学的研究に適したアンモニウム塩を得た。β-ホスホロチオエートの場合、生成物は、RP HPLC精製段階で分離することのできない2つの立体異性体の混合物として得られたため、混合物として単離した。5'-ホスホロチオエートキャップ類似体の合成(実施例5)には、アデノシンの5'位に硫黄原子を組み込むために、固体支持体上で、5'-脱保護オリゴヌクレオチドの2工程の修飾が必要であった。三リン酸架橋内で修飾された他のトリヌクレオチド又はテトラヌクレオチドは、実施例1~6に記載の戦略を使用して、ジヌクレオチドキャップ類似体に関する文献に記載された三リン酸架橋修飾の方法と組み合わせた適切なN6-修飾アデノシンホスホロアミダイト及び適切なN6-修飾オリゴヌクレオチド(pA*pG又はpA*pGpG)を使用して、合成することができる。17、18、19、20、21
【0061】
実施例6は、アデノシン位のN6でベンジル基で修飾されたテトラヌクレオチドキャップ類似体の調製例を示す。請求項1に記載の三リン酸架橋内で修飾されていない他のテトラヌクレオチドは、実施例6に記載の手順と類似の手順を使用して、アデノシンのN6位で適切に修飾されたpA*pGpGトリヌクレオチドを使用して合成できる。
【0062】
本発明による化合物又はベンチマーク(参照)化合物を5'末端に組み込んだ転写物は、T7 RNAポリメラーゼ及びこのポリメラーゼのΦ6.5プロモーター配列を含有するDNA鋳型の存在下で、インビトロでの転写により得られた。哺乳動物細胞におけるタンパク質発現効率を解析するために、本発明の化合物又は参照化合物を含有し、レポーター遺伝子としてガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼをコードするmRNA転写物を得た。インビトロでの転写反応は、実施例7に記載の条件で実施した。得られたmRNAを予備精製し、実施例8に記載の条件下で逆相HPLCにより解析した。この解析結果を、最も構造的に似た修飾されていないトリヌクレオチドキャップ類似体[11](m7Gppp
m6A
mpG)を使用して得られたmRNAの類似解析結果と並べて
図1に示す。タンパク質発現効率について試験するのに先立ち、実施例8に記載されるように、本発明のトリヌクレオチドキャップ類似体でキャップ付加されたmRNAをRP HPLC精製に供し、二本鎖RNA不純物を除去した。それぞれの場合で、キャップ付加されていないmRNA又は参照mRNA(m
7GpppApG、m
7GpppA
mpG又はm
7Gppp
m6A
mpGでキャップ付加された)と比較して、mRNAの保持時間の増加が観察され、N6-アデノシン位の置換基の疎水性が高まるにつれ、所与のmRNAの保持時間が増加した(Table 1)。参照mRNAも実施例8に記載されるようにHPLC精製に供したが、それらは前もって、実施例7に記載されるように、非キャップ付加(5'-三リン酸)mRNAを酵素的に除去する手順に供した。本発明の化合物又は参照化合物でキャップ付加された得られたmRNAを、リポフェクタミンを使用したトランスフェクションにより哺乳動物細胞株(線維芽細胞-3T3-L1、及び樹状細胞-JAWS II)に導入し、その後実施例9に記載されるように、細胞外培地中のガウシアルシフェラーゼ発現量を適切な間隔で測定した。これらの実験の結果は、
図2、
図3、及び
図4に示され、個々の時点で得られたガウシアルシフェラーゼ発現レベルの総和である、実験の全体を通して(88時間)得られた全体の(総)ガウシアルシフェラーゼ発現量を示す。
【0063】
(実施例1)
N6-修飾2'-O-メチルアデノシン3'-O-ホスホロアミダイト(A*-CEP)の合成
5'-O-ジメトキシトリチル-N6-フェノキシアセチル-2'-O-メチルアデノシン(5'-O-DMT-2'-O-Me-rAPac)の3'-O-ホスホロアミダイト(1当量)及び臭化ベンジル(4当量)をCH2Cl2に溶解し(ホスホロアミダイトの0.1M溶液を得るため)、1MのNaOH(反応混合物の1容量)中臭化テトラブチルアンモニウム(1当量)の溶液と混合した。混合物を30分間激しく撹拌し、次いで50mLの水及び50mLのジエチルエーテルで希釈した。層を分離し、水性相をジエチルエーテル(50mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、蒸発させた。残留物を、トリエチルアミン(0.5%v/v)を伴ったCH2Cl2に溶解し、シリカゲルを用いて蒸発させた。生成物を、勾配溶出(n-ヘキサン中、0→100%酢酸エチル)を用いて、20gシリカゲルカラム上でフラッシュクロマトグラフィーにより単離し、蒸発後にA*-CEPホスホロアミダイトのジアステレオマーの混合物を白色の泡状物として得た。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
Bn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25℃): δ = 8.60 (s, 1H, H8), 8.58 (s, 1H, H8), 8.26 (s, 1H, H2), 8.19 (s, 1H, H2), 7.46-6.60 (m, 46H, ArH), 6.15 (d, 3JH,H = 5.4 Hz, 1H, H1'), 6.13 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'), 5.65 (s, 4H, CH2 (bn6)) 5.13 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.67 (m, 2H, H3'), 4.54 (m, 2H, H2'), 4.41 (m, 1H, H4'), 4.35 (m, 1H, H4'), 3.90 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (s, 12H, OCH3 DMT), 3.72-3.52 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CHiPr), 3.48 (s, 6H, CH3 2'-O), 3.38 (dd, 2JH,H = 10.6 Hz, 3JH,H = 3.8 Hz, 2H, H5''), 2.63 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.37 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 1.19 (m, 24 H, CH3 iPr) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.3 (s, 1P, P) ppm;
2MeBn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.62 (s, 1H, H8), 8.60 (s, 1H, H8), 8.24 (s, 1H, H2), 8.17 (s, 1H, H2), 7.45-6.62 (m, 44H, ArH), 6.13 (d, 3JH,H = 4.8 Hz, 1H, H1'), 6.11 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'), 5.63 (s, 4H, CH2 (2MeBn)) 5.15 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.65 (m, 1H, H3'), 4.57 (m, 2H, H3', H2'), 4.50 (m, 1H, H2'), 4.40 (m, 1H, H4'), 4.34 (m, 1H, H4'), 3.88 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.71-3.50 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.46 (6H, CH3 (2'-O)), 3.36 (m, 2H, H5''), 2.62 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.37 (t, 3JH,H = 6.4 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.33 (s, 6H, CH3 (2MeBn)) 1.19 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 1.07 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
3MeBn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.60 (s, 1H, H8), 8.59 (s, 1H, H8), 8.26 (s, 1H, H2), 8.20 (s, 1H, H2), 7.46-6.61 (m, 44H, ArH), 6.15 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'), 6.14 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'), 5.62 (s, 4H, CH2 (3MeBn)) 5.14 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.66 (m, 1H, H3'), 4.60 (m, 1H, H3'), 4.58 (m, 1H, H2'), 4.54 (m, 1H, H2'), 4.41 (m, 1H, H4'), 4.36 (m, 1H, H4'), 3.89 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.73-3.50 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.48 (2x s, 6H, CH3 (2'-O)), 3.37 (m, 2H, H5''), 2.63 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.37 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.23 (s, 6H, CH3 (3MeBn)) 1.20 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 1.08 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.1 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
4MeBn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.59 (s, 1H, H8), 8.57 (s, 1H, H8), 8.26 (s, 1H, H2), 8.19 (s, 1H, H2), 7.45-6.61 (m, 44H, ArH), 6.15 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'), 6.13 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'), 5.61 (s, 4H, CH2 (4MeBn)) 5.12 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.67 (m, 1H, H3'), 4.60 (m, 1H, H3'), 4.58 (m, 1H, H2'), 4.54 (m, 1H, H2'), 4.41 (m, 1H, H4'), 4.36 (m, 1H, H4'), 3.89 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.73-3.50 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.48 (6H, CH3 (2'-O)), 3.36 (m, 2H, H5''), 2.63 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.37 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.22 (s, 6H, CH3 (4MeBn)) 1.20 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 1.08 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
1Naph6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.59 (s, 1H, H8), 8.58 (s, 1H, H8), 8.24 (s, 1H, H2), 8.16 (s, 1H, H2), 8.14 (d, 3JH,H = 8.4 Hz, 2H, ArHNaph), 7.78 (d, 3JH,H = 8.1 Hz, 2H, ArHNaph), 7.63 (d, 3JH,H = 8.2 Hz, 2H, ArHNaph), 7.51 (m, 2H, ArHNaph), 7.45 (m, 2H, ArHNaph), 7.43-6.63 (m, 40H, ArH), 6.13 (s, 4H, CH2 (1NaphCH2)), 6.11 (d, 3JH,H = 4.9 Hz, 1H, H1'), 6.10 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'), 5.17 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.63 (m, 1H, H3'), 4.56 (m, 2H, H3', H2'), 4.48 (m, 1H, H2'), 4.38 (m, 1H, H4'), 4.33 (m, 1H, H4'), 3.87 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.75 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.70-3.53 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.44 (6H, CH3 (2'-O)), 3.34 (m, 2H, H5''), 2.60 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.34 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 1.17 (d, 3JH,H = 6.7 Hz, 18 H, CH3 (iPr)), 1.06 (d, 3JH,H = 6.7 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
2Naph6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.52 (s, 1H, H8), 8.51 (s, 1H, H8), 8.21 (s, 1H, H2), 8.14 (s, 1H, H2), 7.66 (m, 4H, ArHNaph), 7.60 (m, 4H, ArHNaph), 7.39-6.55 (m, 42H, ArH), 6.07 (d, 3JH,H = 4.8 Hz, 1H, H1'), 6.05 (d, 3JH,H = 4.8 Hz, 1H, H1'), 5.74 (s, 4H, CH2 (1NaphCH2)), 5.09 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.58 (m, 1H, H3'), 4.50 (m, 2H, H3', H2'), 4.44 (m, 1H, H2'), 4.32 (m, 1H, H4'), 4.27 (m, 1H, H4'), 3.79 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.69 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.64-3.44 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.38 (6H, CH3 (2'-O)), 3.28 (m, 2H, H5''), 2.53 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.28 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 1.10 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 0.99 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
4FBn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.61 (s, 1H, H8), 8.59 (s, 1H, H8), 8.28 (s, 1H, H2), 8.21 (s, 1H, H2), 7.45-6.59 (m, 43H, ArH), 6.16 (d, 3JH,H = 4.7 Hz, 1H, H1'), 6.15 (d, 3JH,H = 4.9 Hz, 1H, H1'), 5.57 (s, 4H, CH2 (4FBn)) 5.12 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.69 (m, 1H, H3'), 4.64-4.60 (m, 2H, H3', H2'), 4.55 (m, 1H, H2'), 4.41 (m, 1H, H4'), 4.36 (m, 1H, H4'), 3.89 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.73-3.51 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.48 (6H, CH3 (2'-O)), 3.36 (m, 2H, H5''), 2.63 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.38 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 1.20 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 1.08 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 19F NMR (470.6 MHz, D2O, NaF, 25℃): δ = -115.4 (m, 1F, F) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 151.0 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
3,4diFBn6Am-CEP:1H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, 25℃): δ = 8.62 (s, 1H, H8), 8.61 (s, 1H, H8), 8.30 (s, 1H, H2), 8.23 (s, 1H, H2), 7.46-6.58 (m, 42H, ArH), 6.17 (d, 3JH,H = 4.9 Hz, 1H, H1'), 6.16 (d, 3JH,H = 4.7 Hz, 1H, H1'), 5.53 (s, 4H, CH2 (3,4diFBn)) 5.13 (s, 4H, CH2 (Pac)), 4.70 (m, 1H, H3'), 4.65-4.58 (m, 2H, H3', H2'), 4.54 (m, 1H, H2'), 4.41 (m, 1H, H4'), 4.36 (m, 1H, H4'), 3.88 (m, 2H, OCH2CH2CN), 3.77 (4x s, 12H, OCH3 (DMTr)), 3.73-3.51 (m, 8H, OCH2CH2CN, H5', CH(iPr)), 3.48 (6H, CH3 (2'-O)), 3.37 (m, 2H, H5''), 2.63 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 2.38 (t, 3JH,H = 6.3 Hz, 2H, OCH2CH2CN), 1.20 (m, 18 H, CH3 (iPr)), 1.08 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 6H, CH3 (iPr)) ppm; 19F NMR (470.6 MHz, D2O, NaF, 25℃): δ = -137.8 (m, 1F, F), -140.0 (m, 1F, F) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, CDCl3, H3PO4, 25℃): δ = 150.9 (s, 1P, P), 150.4 (s, 1P, P) ppm;
【0068】
(実施例2)
5'-リン酸化ジヌクレオチド及びトリヌクレオチド(pA*pG又はpA*pGpG)の合成
ジヌクレオチドの合成は、フリットフィルターを装着した10mLシリンジを使用して、手動で実施した。固体支持体(5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G、GE Healthcare社、308μmol/g)をシリンジ内に入れ、乾燥アセトニトリルで洗浄した。カップリング工程では、1mLの無水アセトニトリルに溶解した1.2~1.5当量のホスホロアミダイト(A*-CEP、G-CEP又はビス-(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト)、及びアセトニトリル中1.5mLの0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、プランジャーでキャップされたシリンジ内で15分間振とうした。脱トリチル化試薬としてジクロロメタン中3%(v/v)トリクロロ酢酸の溶液を使用し、酸化のためにピリジン/水(9:1v/v)中0.05Mのヨウ素を使用した。合成の最終サイクルの後、まだ固体支持体上にあるRNAをアセトニトリル中20%(v/v)ジエチルアミンで処理し、2-シアノエチル保護基を除去した。最後に、固体支持体をアセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。生成物を固体支持体から切断し、AMA(40%メチルアミン/33%水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)で脱保護し、蒸発乾固し、DMSO(200μL)に再溶解した。トリエチルアンモニウムトリヒドロフルオリドを使用してTBDMS基を除去し(TEA・3HF;250μL、65℃、3時間)、その後混合物を冷まして水(20mL)中0.25MのNaHCO3で希釈した。生成物をDEAE Sephadex上のイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にpA*pGジヌクレオチドのトリエチルアンモニウム塩を得た。収量は、ジヌクレオチドでは吸光係数ε=27.1L/mmol/cm、又はトリヌクレオチドでは39.0L/mmol/cmと仮定して、260nmでのUV吸光により評価した。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
p2MeBn6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.41 (s, 1H, H8A), 8.14 (s, 1H, H2A), 7.93 (s, 1H, H8G), 7.30-7.15 (m, 4H, ArH2MeBn), 6.11 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'A), 5.83 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'G), 4.92 (m, 1H, H3'A), 4.76 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.72 (m, 1H, H2'G), 4.50-4.47 (m, 2H, H2'A, H3'G), 4.46 (s, 1H, H4'A), 4.34 (s, 1H, H4'G), 4.25-4.17 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.12-4.04 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.50 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.36-3.04 (m, CH2, TEAH+), 2.36 (s, 3H, CH3, 2MeBn), 1.27 (m, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.38 (s, 1P, P5’A), 0.04 (s, 1P, PA-G) ppm;
p4MeBn6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.39 (s, 1H, H8A), 8.14 (s, 1H, H2A), 7.93 (s, 1H, H8G), 7.27 (d, 3JH,H = 8.0 Hz, 2H, ArH4MeBn(3&5)), 7.18 (d, 3JH,H = 7.9 Hz, 2H, ArH4MeBn(2&6)), 6.10 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'A), 5.83 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'G), 4.92 (m, 1H, H3'A), 4.79 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.72 (m, 1H, H2'G), 4.50-4.45 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.34 (s, 1H, H4'G), 4.25-4.17 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.12-4.05 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.50 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.20 (q, 3JH,H = 7.3 Hz, CH2, TEAH+), 2.29 (s, 3H, CH3, 2MeBn), 1.28 (t, 3JH,H = 7.3 Hz, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.06 (s, 1P, P5’A), 0.05 (s, 1P, PA-G) ppm;
p1Naphm6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.30 (s, 1H, H8A), 8.07 (s, 1H, H2A), 8.04 (m, 1H, ArHNaph), 7.91 (s, 1H, H8G), 7.88 (m, 1H, ArHNaph), 7.80 (m, 1H, ArHNaph), 7.57-7.40 (m, 4H, ArHNaph), 6.05 (d, 3JH,H = 5.0 Hz, 1H, H1'A), 5.80 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'G), 5.17 (d, 2JH,H = 14.9 Hz, 1H, CH2, Naphm), 5.05 (d, 2JH,H = 14.9 Hz, 1H, CH2, Naphm), 4.92 (m, 1H, H3'A), 4.71 (m, 1H, H2'G), 4.50-4.45 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.34 (s, 1H, H4'G), 4.26-4.17 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.09 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.51 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.33-3.03 (m, CH2, TEAH+), 1.29-1.24 (m, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.39 (s, 1P, P5’A), 0.06 (s, 1P, PA-G) ppm;
p2Naphm6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.37 (s, 1H, H8A), 8.02 (s, 1H, H2A), 7.88 (s, 1H, H8G), 7.78 (m, 2H, ArHNaph), 7.71 (m, 2H, ArHNaph), 7.43 (m, 3H, ArHNaph), 5.97 (d, 3JH,H = 4.7 Hz, 1H, H1'A), 5.78 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'G), 4.94-4.86 (m, 3H, H3'A, CH2, Naphm), 4.67 (m, 1H, H2'G), 4.49-4.43 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.33 (s, 1H, H4'G), 4.25-4.16 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.11 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.49 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.35-3.03 (m, CH2, TEAH+), 1.29-1.24 (m, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.31 (s, 1P, P5’A), 0.04 (s, 1P, PA-G) ppm;
p4FBn6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.40 (s, 1H, H8A), 8.15 (s, 1H, H2A), 7.93 (s, 1H, H8G), 7.39 (m, 2H, ArH4FBn), 7.09 (m, 2H, ArH4FBn), 6.11 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'A), 5.83 (d, 3JH,H = 5.2 Hz, 1H, H1'G), 4.93 (m, 1H, H3'A), 4.83 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.73 (m, 1H, H2'G), 4.50-4.44 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.35 (s, 1H, H4'G), 4.25-4.17 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.12-4.04 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.50 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.20 (q, 3JH,H = 7.3 Hz, CH2, TEAH+), 1.28 (t, 3JH,H = 7.3 Hz, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.08 (s, 1P, P5’A), 0.06 (s, 1P, PA-G) ppm;
p3,4diFBn6AmpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.42 (s, 1H, H8A), 8.14 (s, 1H, H2A), 7.92 (s, 1H, H8G), 7.30-7.14 (m, 3H, ArH3,4diFBn), 6.12 (d, 3JH,H = 5.1 Hz, 1H, H1'A), 5.83 (d, 3JH,H = 5.3 Hz, 1H, H1'G), 4.93 (m, 1H, H3'A), 4.83 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.74 (m, 1H, H2'G), 4.51-4.45 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.35 (s, 1H, H4'G), 4.26-4.17 (m, 2H, H5'G, H5''G), 4.12-4.05 (m, 2H, H5'A, H5''A), 3.50 (s, 3H, CH3, 2’-O[A]), 3.20 (q, 3JH,H = 7.3 Hz, CH2, TEAH+), 1.28 (t, 3JH,H = 7.3 Hz, CH3, TEAH+) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 1.20 (s, 1P, P5’A), 0.06 (s, 1P, PA-G) ppm;
pBn6AmpGpG (TEAH+):1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃) δ = 8.39 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.47 - 7.29 (m, 5H), 6.07 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.95 - 4.89 (m, 1H), 4.79 (1H, HDOと重なっている), 4.79 (1H, HDOと重なっている), 4.71 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 4.48 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 4.47 - 4.43 (m, 4H), 4.34 - 4.30 (m, 1H), 4.29 - 4.14 (m, 4H), 4.08 - 3.98 (m, 2H), 3.46 (s, 3H), 3.20 (q, J = 7.3 Hz), 1.28 (t, J = 7.3 Hz) ppm; 31P NMR (202 MHz, D2O, H3PO4, 25℃) δ = 1.73 - 1.43 (m, 1P), 0.41 - 0.27 (m, 1P), -0.04 - -0.13 (m, 1P) ppm.
【0073】
(実施例3)
トリヌクレオチドキャップ類似体m7GpppA*pGの合成
工程1.pNpGの活性化:ジヌクレオチド5'-リン酸をDMFに溶解し(0.05M溶液を得るため)、その後、イミダゾール(16当量)、2,2'-ジチオジピリジン(6当量)、トリエチルアミン(6当量)、及びトリフェニルホスフィン(6当量)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。アセトニトリル(DMFの体積の10倍)中過塩素酸ナトリウム(10当量)を加えることにより、生成物を沈殿させた。沈殿物を4℃で遠心分離し、冷アセトニトリルで3回洗浄後、減圧下で乾燥させ、ジヌクレオチドP-イミダゾリド(Im-pNpG)のナトリウム塩を得た。
【0074】
工程2.三リン酸架橋の形成:7-メチルグアノシン5'-二リン酸(m7GDP;1.5当量)及びIm-pNpG(1当量)をDMFに懸濁した(P-イミダゾリドの0.05M溶液を得る)。次いで、ZnCl2(8当量)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水中Na2EDTA(20mg/mL、8当量)及びNaHCO3(10mg/mL)の溶液を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7Gpppbn6AmpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により更に精製すると、(水から凍結乾燥を繰り返した後)m7GpppA*pGのアンモニウム塩が得られた。収量は、吸光係数ε=35.0L/mmol/cmと仮定して、260nmでのUV吸光により評価した。
【0075】
【0076】
【0077】
m7GpppBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.06 (s, 1H, H8m7G), 8.46 (s, 1H, H8A), 8.19 (s, 1H, H2A), 8.03 (s, 1H, H8G), 7.44-7.31 (m, 5H, ArHBn), 6.03 (d, 3JH,H = 5.6 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.7 Hz, 1H, H1'm7G), 5.84 (d, 3JH,H = 5.8 Hz, 1H, H1'G), 4.93 (m, 1H, H3'A), 4.81 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.85-4.74 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.59 (m, 1H, H2'm7G), 4.53-4.49 (m, 2H, H4'A, H3'G), 4.48-4.44 (m, 2H, H2'A, H3'm7G), 4.38-4.16 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.02 (s, 3H, CH3, m7G), 3.43 (s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.03 (s, 1P, PA-G), -10.58 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.98 (t, 2JP,P = 18.4 Hz, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp2MeBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.08 (s, 1H, H8m7G), 8.50 (s, 1H, H8A), 8.21 (s, 1H, H2A), 8.06 (s, 1H, H8G), 7.29-7.12 (m, 4H, ArH2MeBn), 6.04 (d, 3JH,H = 5.5 Hz, 1H, H1'A), 5.89 (d, 3JH,H = 3.4 Hz, 1H, H1'm7G), 5.85 (d, 3JH,H = 5.6 Hz, 1H, H1'G), 4.95 (m, 1H, H3'A), 4.81 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.75 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.59 (m, 1H, H2'm7G), 4.54-4.44 (m, 4H, H2'A, H3'm7G, H3'G, H4'A), 4.38-4.15 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.02 (s, 3H, CH3, m7G), 3.43 (s, 3H, CH3, 2'-O), 2.34 (s, 3H, CH3, 2MeBn) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.04 (s, 1P, PA-G), -10.56 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.98 (m, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp3MeBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.07 (s, 1H, H8m7G), 8.48 (s, 1H, H8A), 8.20 (s, 1H, H2A), 8.04 (s, 1H, H8G), 7.29-7.12 (m, 4H, ArH3MeBn), 6.03 (d, 3JH,H = 5.5 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.5 Hz, 1H, H1'm7G), 5.84 (d, 3JH,H = 5.7 Hz, 1H, H1'G), 4.93 (m, 1H, H3'A), 4.83 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.76 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.58 (m, 1H, H2'm7G), 4.52-4.44 (m, 4H, H2'A, H3'm7G, H3'G, H4'A), 4.38-4.15 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.01 (s, 3H, CH3, m7G), 3.42 (s, 3H, CH3, 2'-O), 2.27 (s, 3H, CH3, 2MeBn) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.02 (s, 1P, PA-G), -10.60 (m, 2P, Pα, Pγ), -22.00 (t, 2JP,P = 18.4 Hz, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp4MeBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.07 (s, 1H, H8m7G), 8.49 (s, 1H, H8A), 8.19 (s, 1H, H2A), 8.06 (s, 1H, H8G), 7.22 (m, 2H, ArH4MeBn), 7.11 (m, 2H, ArH4MeBn), 6.02 (d, 3JH,H = 5.4 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.6 Hz, 1H, H1'm7G), 5.84 (d, 3JH,H = 5.6 Hz, 1H, H1'G), 4.94 (m, 1H, H3'A), 4.79 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.71 (m, 2H, CH2, Bn), 4.58 (m, 1H, H2'm7G), 4.54-4.48 (m, 2H, H3'G, H4'A), 4.45 (m, 2H, H2'A, H3'm7G), 4.39-4.16 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.01 (s, 3H, CH3, m7G), 3.44 (s, 3H, CH3, 2'-O), 2.24 (s, 3H, CH3, 2MeBn) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.02 (s, 1P, PA-G), -10.56 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.92 (m, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp1Naphm6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.97 (s, 1H, H8m7G), 8.33 (s, 1H, H8A), 8.03 (s, 2H, H2A, H8G), 7.80-7.25 (m, 7H, ArHNaph), 5.94 (m, 1H, H1'A), 5.79 (d, 3JH,H = 5.3 Hz, 1H, H1'G), 5.73 (m, 1H, H1'm7G), 4.97 (m, 1H, H3'A), 4.83 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.73 (m, 1H, H2'G), 4.54 (m, 1H, H4'A), 4.51-4.17 (m, 12H, H2'm7G, H2'A, H3'm7G, H3'G, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 3.84 (s, 3H, CH3, m7G), 3.50 (s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.02 (s, 1P, PA-G), -10.56 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.85 (m, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp2Naphm6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 8.93 (s, 1H, H8m7G), 8.46 (s, 1H, H8A), 8.04 (s, 2H, H2A, H8G), 7.72-7.19 (m, 7H, ArHNaph), 5.89 (m, 1H, H1'A), 5.79 (d, 3JH,H = 5.3 Hz, 1H, H1'G), 5.71 (m, 1H, H1'm7G), 4.97 (m, 1H, H3'A), 4.83 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.71 (m, 1H, H2'G), 4.54 (m, 1H, H4'A), 4.51-4.16 (m, 12H, H2'm7G, H2'A, H3'm7G, H3'G, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 3.77 (s, 3H, CH3, m7G), 3.49 (s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.03 (s, 1P, PA-G), -10.56 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.75 (m, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp4FBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.08 (s, 1H, H8m7G), 8.47 (s, 1H, H8A), 8.19 (s, 1H, H2A), 8.05 (s, 1H, H8G), 7.38 (m, 2H, ArH4FBn), 7.06 (m, 2H, ArH4FBn), 6.03 (d, 3JH,H = 5.5 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.3 Hz, 1H, H1'm7G), 5.84 (d, 3JH,H = 5.7 Hz, 1H, H1'G), 4.94 (m, 1H, H3'A), 4.81 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.84-4.74 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.58 (m, 1H, H2'm7G), 4.54-4.48 (m, 2H, H3'G, H4'A), 4.46 (m, 2H, H2'A, H3'm7G), 4.39-4.15 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.02 (s, 3H, CH3, m7G), 3.43 (s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 19F NMR (470.6 MHz, D2O, NaF, 25℃): δ = -115.35 (s, 1F, F) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.04 (s, 1P, PA-G), -10.58 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.99 (m, 1P, Pβ) ppm;
m7Gppp3,4diFBn6AmpG:1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.09 (s, 1H, H8m7G), 8.48 (s, 1H, H8A), 8.19 (s, 1H, H2A), 8.08 (s, 1H, H8G), 7.30-7.14 (m, 3H, ArH3,4diFBn), 6.03 (d, 3JH,H = 5.6 Hz, 1H, H1'A), 5.88 (d, 3JH,H = 3.6 Hz, 1H, H1'm7G), 5.85 (d, 3JH,H = 5.7 Hz, 1H, H1'G), 4.94 (m, 1H, H3'A), 4.81 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.80 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.59 (m, 1H, H2'm7G), 4.52 (m, 1H, H4'A), 4.50 (m, 1H, H3'G), 4.48-4.44 (m, 2H, H2'A, H3'm7G), 4.38-4.16 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.02 (s, 3H, CH3, m7G), 3.43 (s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 19F NMR (470.6 MHz, D2O, NaF, 25℃): δ = -138.22 (s, 1F, F), -140.39 (s, 1F, F) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 0.03 (s, 1P, PA-G), -10.58 (m, 2P, Pα, Pγ), -21.97 (m, 1P, Pβ) ppm;
【0078】
(実施例4)
β-ホスホロチオエートトリヌクレオチドキャップ類似体m7GppSpBn6AmpGの合成
工程1.pBn6AmpGの活性化:ジヌクレオチド5'-リン酸pBn6AmpG(615mOD260nm、22.7μmol)をDMF(400μL)に溶解し、その後、イミダゾール(24.7mg、363μmol)、2,2'-ジチオジピリジン(30mg、136μmol)、トリエチルアミン(9.5μL、68μmol)、及びトリフェニルホスフィン(35.7mg、136μmol)を加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。アセトニトリル(4.0mL)中過塩素酸リチウム(24.1mg、227μmol)の溶液を加えることにより、生成物を沈殿させた。沈殿物を4℃で遠心分離し、冷アセトニトリルで3回洗浄後、減圧下で乾燥させ、ジヌクレオチドP-イミダゾリドIm-pBn6AmpGのリチウム塩を得た(19mg)。
【0079】
工程2.三リン酸架橋の形成:7-メチルグアノシンβ-チオ二リン酸m7GDP-β-S(378mOD260nm、33.2μmol;以前に記載されるように得て、-20℃でTEAB中に保管)[12]を蒸発乾固し、DMF(890μL)に懸濁した。次いで、ZnCl2(24.1mg、177μmol)及びIm-pBn6AmpG(19mg)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水(3.6mL)中Na2EDTA(72.5mg)及びNaHCO3(36mg)の溶液を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後にm7GppSpBn6AmpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)により更に精製すると、(水から凍結乾燥を繰り返した後)m7GppSpBn6AmpGのP-ジアステレオマー混合物(217mOD260nm、6.8μmol、31%)がアンモニウム塩として得られた。
【0080】
m7GppSpBn6AmpG:RP HPLC(勾配溶出、CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、7.5分、次いで均一濃度で):Rt=8.311分;HRMS ESI(-): m/z 1250.17041 (C39H48N15O23P4S- [M-H]-の計算値1250.17241); 1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.13 (s, 1H, H8m7G), 8.55 (s, 1H, H8A), 8.22 (s, 1H, H2A), 8.07 (s, 1H, H8G), 7.41-7.25 (m, 5H, ArHBn), 6.05 (2x d, 3JH,H = 5.9 Hz, 1H, H1'A), 5.91 (2x d, 3JH,H = 3.7 Hz, 1H, H1'm7G), 5.85 (d, 3JH,H = 5.6 Hz, 1H, H1'G), 5.00 (m, 1H, H3'A), 4.81 (m, 1H, H2'G HDOと重なっている), 4.85-4.73 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.63 (m, 1H, H2'm7G), 4.58-4.49 (m, 4H, H2'A, H3'm7G, H3'G, H4'A), 4.42-4.16 (m, 8H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'A, H5''A, H5'G, H5''G), 4.04-4.01 (2x s, 3H, CH3, m7G), 3.45-3.43 (2x s, 3H, CH3, 2'-O) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 30.92 (m, 1P, Pβ), 0.06-0.01 (2x s, 1P, PA-G), -11.45 (m, 2P, Pα, Pγ) ppm;
【0081】
(実施例5)
5'-ホスホロチオレートトリヌクレオチドキャップ類似体m7Gppp5'S,Bn6AmpGの合成
工程1.pBn6,5'SAmpGの合成:ジヌクレオチドの合成は、フリットフィルターを装着した10mLシリンジを使用して、手動で実施した。固体支持体(5'-O-DMT-2'-O-TBDMS-rGiBu 3'-lcaa PrimerSupport 5G、GE Healthcare社、308μmol/g、650mg)をシリンジ内に入れ、乾燥アセトニトリルで洗浄した。カップリング工程では、1mLの無水アセトニトリルに溶解した1.2~1.5当量のBn6Amホスホロアミダイト、及びアセトニトリル中1.5mLの0.30Mの5-(ベンジルチオ)-1-H-テトラゾールを、プランジャーでキャップされたシリンジ内で30分間振とうさせた。脱トリチル化試薬としてジクロロメタン中3%(v/v)トリクロロ酢酸の溶液を使用し、酸化のためにピリジン/水(9:1v/v)中0.05Mのヨウ素を使用した。合成の最終サイクルの後、支持体をアセトニトリル中20%(v/v)ジエチルアミンで処理して2-シアノエチル保護基を除去し、アセトニトリルで洗浄し、アルゴンで乾燥させた。次いで、DMF(5mL)中トリフェノキシメチルホスホニウムヨージド(triphenoxymethylphosphonium iodide)(1.08g)の溶液で支持体を15分間振とうすることによって、まだ固体支持体上にあるジヌクレオチドを5'-ヨウ素誘導体に変換した。次いで、樹脂をDMF(15mL)及びアセトニトリル(50ml)で洗浄し、乾燥させて、DMF(1mL)中チオリン酸トリエチルアンモニウム(およそ0.15M)及びトリエチルアミン(0.30M)の冷溶液を含有するフラスコに移し替えた。スラリーを2~4℃で一晩振とうし、濾過し、DMF(15mL)、次いでアセトニトリル(50ml)で洗浄した。生成物を切断し、AMA(メチルアミン/水酸化アンモニウム、1:1v/v;55℃、1時間)を使用して脱保護し、DEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~0.9MのTEAB)により単離し、蒸発後にp5'S,Bn6AmpGのトリエチルアンモニウム塩を得た(2400mOD、88.5μmol)。
【0082】
工程2.pBn6,5'SAmpGの活性化:ジヌクレオチド5'-ホスホロチオレートpBn6,5'SAmpG(2400mOD260nm、88.5μmol)をDMF(1.80mL)に溶解し、その後、イミダゾール(96.3mg、1.42mmol)、2,2'-ジチオジピリジン(117mg、531μmol)、トリエチルアミン(74.2μL、531μmol)、及びトリフェニルホスフィン(139mg、531μmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。冷アセトニトリル溶液(20mL)中過塩素酸ナトリウム(108mg、885μmol)を加えることにより、生成物を沈殿させた。沈殿物を4℃で遠心分離し、冷アセトニトリルで3回洗浄後、減圧下で乾燥させ、ジヌクレオチドP-イミダゾリドIm-pbn6AmpGのナトリウム塩を得た(92.2mg)。
【0083】
工程3.三リン酸架橋の形成:7-メチルグアノシン-5'-二リン酸(m7GDP;1210mOD260nm、106μmol)及びIm-p5'S,Bn6AmpG(92.2mg)をDMF(1.77mL)に懸濁した。次いで、ZnCl2(144mg、1.06mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。水中Na2EDTA(20mg/mL)及びNaHCO3(10mg/mL)の溶液(3mL)を加えることによって反応をクエンチし、生成物をDEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、蒸発後に、2'-O-TBDMS保護キャップm7Gppp5'S,Bn6AmpGTBDMSが混入したm7Gppp5'S,Bn6AmpGのトリエチルアンモニウム塩を得た。TBDMS基を除去するために、固体をDMSO(150μL)及びTEA(133μL)に溶解し、その後、TEA・3HF(78μL)を加えた。混合物を60℃で1時間振とうし、水(15mL)を加えることによって反応をクエンチした。生成物をDEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)で更に精製して、(水から凍結乾燥を繰り返した後)m7Gppp5'S,Bn6AmpGのアンモニウム塩を得た(1530mOD、47.7μmol)。
【0084】
m7Gppp5'S,Bn6AmpG:RP HPLC(勾配溶出、CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、7.5分、次いで均一濃度で):Rt=8.496分;HRMS ESI(-): m/z 1250.17363 (C39H48N15O23P4S- [M-H]-の計算値1250.17241); 1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 25℃): δ = 9.08 (s, 1H, H8m7G), 8.37 (s, 1H, H8A), 8.22 (s, 1H, H2A), 8.11 (s, 1H, H8G), 7.43-7.25 (m, 5H, ArHBn), 6.00 (d, 3JH,H = 5.8 Hz, 1H, H1'A), 5.89 (d, 3JH,H = 2.9 Hz, 1H, H1'm7G), 5.86 (d, 3JH,H = 5.5 Hz, 1H, H1'G), 4.86 (m, 1H, H3'A), 4.80 (m, 1H, H2'G, HDOと重なっている), 4.78 (m, 2H, CH2, Bn, HDOと重なっている), 4.58 (m, 1H, H2'm7G), 4.56-4.49 (m, 3H, H2'A, H3'G, H4'A), 4.47 (m, 1H, H3'm7G), 4.42-4.18 (m, 6H, H4'm7G, H4'G, H5'm7G, H5''m7G, H5'G, H5''G), 4.02 (s, 3H, CH3, m7G), 3.40 (s, 3H, CH3, 2'-O), 3.33 (m, 2H, H5'A, H5''A) ppm; 31P NMR (202.5 MHz, D2O, H3PO4, 25℃): δ = 8.19 (m, 1P, Pα), -0.09 (s, 1P, PA-G), -10.59 (m, 1P, Pγ), -22.67 (m, 1P, Pβ) ppm;
【0085】
(実施例6)
テトラヌクレオチドキャップ類似体(m7GpppBn6AmpGpG)の合成
工程1.Im-pBn6AmpGpGの合成:pBn6AmpGpGのトリエチルアンモニウム塩(5366mOD260nm、138μmol)をDMF(2800μL)に溶解し、その後、イミダゾール(150mg、2201μmol)、2,2'-ジチオジピリジン(182mg、826μmol)、トリエチルアミン(84μL、826μmol)、及びトリフェニルホスフィン(216mg、826μmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いでアセトニトリル中過塩素酸ナトリウム(169mg、1376μmol)の冷溶液を加えることにより、生成物を沈殿させた。沈殿物を4℃で遠心分離し、冷アセトニトリルで3回洗浄後、減圧下、P2O5で乾燥させ、Im-pBn6AmpGpGのナトリウム塩を得た(183mg)。
【0086】
Im-pBn6AmpGpG:RP-HPLC(勾配溶出、CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、7.5分、次いで均一濃度で):Rt=8.865分;
【0087】
工程2.m7GpppBn6AmpGpGの合成:Im-pbn6AmpGpGのナトリウム塩(5366mOD260nm、138μmol)をDMF(2750μL)に溶解し、その後、m7GDP(1882mOD260nm、99mg、165μmol)及び無水ZnCl2(225mg、1651μmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで水(27.5mL)中Na2EDTA(676mg)及びNaHCO3(338mg)を加えることによって反応をクエンチした。生成物をDEAE Sephadex上でイオン交換クロマトグラフィー(勾配溶出、0~1.2MのTEAB)により単離し、CH3COONH4の水性緩衝液、pH5.9中のアセトニトリルの線形勾配を用いたRP HPLC(C18)で精製して、(蒸発させ、水からの凍結乾燥を繰り返した後)m7GpppBn6AmpGpGのアンモニウム塩を得た(2151mOD260nm、53.2μmol、27%)。収量は、吸光係数ε=40.5L/mmol/cm)と仮定して、260nmでのUV吸光により評価した。
【0088】
m7GpppBn6AmpGpG:RP-HPLC(勾配溶出、CH3COONH4、pH5.9中0~50%MeOH、7.5分、次いで均一濃度で):Rt=7.840分;HRMS ESI(-): m/z 1579.24313 (C49H60N20O31P5- [M-H]-の計算値1579.24269); 1H NMR (500 MHz, D2O, TMS, 70℃) δ = 9.55 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.92 - 7.76 (m, 6H), 6.50 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 6.39 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 5.42 - 5.31 (m, 5H), 5.30 - 5.25 (m, 1H), 5.18 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 5.10 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 4.98 - 4.88 (m, 6H), 4.73 - 4.61 (m, 7H), 4.51 (s, 3H), 3.82 (s, 3H) ppm; 31P NMR {1H} (203 MHz, D2O, H3PO4, 70℃) δ = 0.82 (s, 1P), 0.40 (s, 1P), -10.06 (d, J = 19.0, 1P), -10.18 (d, J = 18.4 Hz, 1P), -21.52 (dd, J = 19.0, 18.4 Hz) ppm;
【0089】
(実施例7)
インビトロでの転写法によるキャップ付加mRNAの調製
制限酵素AarI(ThermoFisher Scientific社)で消化したpJET_T7_Gluc_128Aプラスミドを鋳型に、ガウシアルシフェラーゼをコードするmRNAを作製した。プラスミドは、T7プロモーター配列及びガウシアルシフェラーゼのコード配列をpJET_luc_128Aにクローニングすることにより得た。[13]典型的なインビトロ転写反応物(20μl)を37℃で2時間インキュベートした:RNA Pol緩衝液(40mMのTris-HCl、pH7.9、10mMのMgCl2、1mMのDTT、2mMのスペルミジン)、10U/μlのT7 RNAポリメラーゼ、1U/μlのRiboLock RNase阻害剤、2mMのATP/CTP/UTP、0.5mMのGTP、3mMの対象のキャップ類似体、及び鋳型として50ng/μlの消化したプラスミドを含有した。2時間のインキュベーション後、1U/μlのDNase Iを加え、37℃で30分間インキュベーションを続けた。粗mRNAをNucleoSpin Clean-up XS(Macherey-Nagel社)で精製した。転写物の品質を未変性1.2%1×TBEアガロースゲルでチェックし、濃度は分光光度法で決定した。非キャップ付加RNAを除去するため、転写物を5'-ポリホスファターゼ(Epicentre)及びXrn1(New England Biolabs社)で処理した。簡潔に述べると、mRNAを専用緩衝液中で5'-ポリホスファターゼ(20U/5μgのmRNA)と37℃で30分間インキュベートし、その後mRNAをNucleoSpin RNA Clean-up XSで精製した。精製したmRNAを専用緩衝液中でXrn-1(1U/1μgのmRNA)と37℃で60分間インキュベートに供し、その後mRNAをNucleoSpin RNA Clean-up XSで精製した。
【0090】
(実施例8)
HPLCを使用したキャップ付加mRNAの精製
転写物を、Agilent Technologies Series 1200・HPLCを使用して精製し、それにはRNASep(商標)Prep - RNA Purification Column (ADS Biotec社)を使用した。[14]に記載されるように、分離は55℃で実施された。流速0.9ml/分で22.1分間、緩衝液A(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0)中、35%~55%緩衝液B(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0及び25%アセトニトリル)の線形勾配(勾配A)、又は流速0.9ml/分で20分にわたり緩衝液A(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0)中、17.5%~25.8%緩衝液C(0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、pH7.0及び50%アセトニトリル)の線形勾配(勾配B)。本発明によるmRNAの保持時間を、同一配列の非キャップ付加mRNA又は参照類似体でキャップ付加されたmRNAと比較して、Table 1(表4)にまとめた。精製後、mRNA分子をイソプロパノールで沈殿させることにより、収集した画分から回収した。転写物の品質を未変性1.2%1×TBEアガロースゲルで確認し、それらの濃度は分光光度法で決定した。
【0091】
重要なことに、上述の精製手順の使用により、各場合において、新規キャップ類似体(m7GpppA*pG-RNA)を有する、ガウシアルシフェラーゼをコードするmRNAを、同一の配列のキャップ付加されていないRNA(ppp-RNA)から分離することを可能にした。mRNA溶出が起きる保持時間は、N6-アデノシン位の置換基のタイプに依存した(Table 1(表4))。例えば、勾配Aを使用すると、解析したm7GpppBn6AmpG-RNAGluc及びppp-RNAGluc転写物の保持時間は、それぞれ19.4分及び18.2分であった。
【0092】
【0093】
(実施例9)
タンパク質発現解析
3T3-L1(マウス胚線維芽様細胞、ATCC CL-173)を、10%FBS(Sigma社)、GlutaMAX(Gibco社)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco社)を補充したDMEM(Gibco社)中で、5%CO2及び37℃で増殖させた。マウス未成熟樹状細胞株JAWS II(ATCC CRL-11904)を、10%FBS、ピルビン酸ナトリウム(Gibco社)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び5ng/mlのGM-CSF(PeproTech社)を補充したRPMI 1640(Gibco社)中で、5%CO2及び37℃で増殖させた。典型的な実験では、トランスフェクションの当日に、104個のJAWS II細胞及び4×103個の3T3-L1細胞を、96ウェルプレートの1ウェルあたり、抗生物質を含まない100μlの培地中に播種した。10μlのOpti-MEM(Gibco社)に0.3μlのLipofectamine MessengerMAX Transfection Reagent(Invitrogen社)及び25ngのmRNAを混合したものを使用して、各ウェル中の細胞を16時間トランスフェクションした。複数の時点でガウシアルシフェラーゼの発現を評価するために、各時点で培地を完全に除去し、新しいものに交換した。ガウシアルシフェラーゼからの発光を検出するために、PBS中50μlの10ng/mlのh-セレンテラジン(NanoLight社)を10μlの細胞培養培地に加え、Synergy H1(BioTek社)マイクロプレートリーダーで発光を測定した。
【0094】
結論
実施例1~6は、本発明によるトリヌクレオチドキャップ類似体及びテトラヌクレオチドキャップ類似体を調製するための方法について説明する。合成が実施例に記載されていない本発明の実現は、例示した方法と同一又は非常に類似した方法により実行することができる。
【0095】
実施例7及び8は、キャップ付加mRNAを非キャップ付加mRNAから分離することが可能な条件における、本発明による化合物の使用で得られたmRNAの調製及び精製のための方法について説明する。
【0096】
図1は、そのような分離を実証する代表的なクロマトグラムを、修飾されていない参照トリヌクレオチドを用いて得られたmRNAについて得られる対応する結果と比較して示し、実証されるように、同一条件下でキャップ付加mRNAと非キャップ付加mRNAを分離することができない。Table 1(表4)は、各種キャップ類似体で修飾されたmRNAのクロマトグラフィー特性を比較する。本発明によるキャップ類似体で修飾されたmRNAは、キャップ付加されていない又は先行技術から公知の参照キャップ類似体で終結されたmRNAより長い保持時間でHPLCカラムから溶出された。これは、N6-アデノシン位に適切な疎水性である置換基を導入することで、非キャップ付加混入物からのmRNAの精製を容易にすることを示唆している。更に、
図1に示すデータの解析(対応するシグナルの積分)により、本発明による化合物を用いて得られたmRNAのキャッピング効率の計算が可能であり、91.5%であった。これは、本発明によるキャップのトリヌクレオチド類似体を使用するとき、本発明による修飾のないヌクレオチド(類似の条件下で文献で得られたキャッピング効率は約90%であった[12])と同等のキャッピング効率を得ることが可能であることを示唆している。
【0097】
実施例9は、本発明による化合物を用いて得られた、本発明によるmRNAからの、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現を解析する方法について説明する。解析は、異なる起源からの細胞を代表する2つの細胞株(線維芽細胞-3T3-L及び樹状細胞-JAWS II)で実施された。本発明による化合物の使用で得られたmRNAの場合、酵素処理は冗長であるため実施しなかった。
【0098】
本発明による化合物の使用で得られたmRNAは、試験された実験バリアントのうちの少なくとも1つにおける先行技術を代表するキャップ類似体を用いて得られたmRNAと比較して、増加したタンパク質発現レベルを示した。
【0099】
タンパク質発現の増加を達成することは、バイオテクノロジー及び生物医薬の製造(ヒト組み換えタンパク質の製造)、並びにmRNAベースの遺伝子治療において多く適用できる。樹状細胞でのタンパク質発現の増加は、治療用抗がんワクチンでの適用の場合に特に有益である。[15]
【0100】
他の組織(例えば肺、肝臓、その他の臓器)由来の細胞でのタンパク質発現の増加は、遺伝子置換治療での適用の場合に特に有益である。[16]
【0101】
本発明によるmRNAの治療効果の達成は、先行技術の方法を用いて得られるmRNAと比較してより少ない用量で可能となることが期待できる。mRNAの投与量を下げることで、治療用mRNAの毒性に関連する副作用のリスクを低減し、治療の成功確率が向上することになる。更に、本発明による化合物の使用によるmRNAの調製は、望まないmRNA三リン酸不純物がないmRNAの作製を可能にすることが期待できる。
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【国際調査報告】