(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】遷移金属ビス(フェノラート)触媒錯体を用いて得られるプロピレンコポリマー及びその生成のための均一プロセス
(51)【国際特許分類】
C08F 4/64 20060101AFI20230327BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C08F4/64
C08F210/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548993
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020045819
(87)【国際公開番号】W WO2021162745
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シエ ル
(72)【発明者】
【氏名】ダーマラジャン ナラヤナスワミ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ペイジュン
(72)【発明者】
【氏名】シ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハガドーン ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】キャニッチ ジョ アン エム
(72)【発明者】
【氏名】マトラー サラ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデス アレクサンドラ ケイ
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02Q
4J100AA03P
4J100AA04P
4J100AA15P
4J100AA16P
4J100AA19P
4J100AA21P
4J100CA04
4J100CA10
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA22
4J100DA24
4J100DA42
4J100FA10
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100JA44
4J100JA51
4J100JA58
4J100JA60
4J100JA67
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC01
4J128AC26
4J128AE03
4J128AE05
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC12B
4J128BC15B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB04
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA15
4J128GA18
4J128GA19
(57)【要約】
本発明は、中心の中性ヘテロ環式ルイス塩基及び2つのフェノラートドナーを特徴とするジアニオン性三座配位子の遷移金属錯体であって、三座配位子が金属中心に配位して2つの8員環を形成している遷移金属錯体を用いてプロピレンエチレンコポリマー等のプロピレンコポリマーを生成するための均一プロセスに関する。好ましくはビス(フェノラート)錯体は下記式(I):
【化1】
によって表され、式中、M、L、X、m、n、E、E'、Q、R
1、R
2、R
3、R
4、R
1'、R
2'、R
3'、R
4'、A
1、A
1'、
【化2】
は本願に記載どおりであり、A
1QA
1’は、3原子架橋を介してA
2をA
2’に連結する、4~40個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、3原子架橋の中心原子である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一相で、1種以上のC
3-C
40アルファオレフィン及びエチレンを、活性化剤と、下記式(I):
【化1】
(式中:
Mは、第3、第4、第5、若しくは第6族遷移金属又はランタニド、好ましくはHf、Zr、又はTiであり;
E及びE'は、それぞれ独立にO、S、又はNR
9であり、R
9は、独立に水素、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル又はヘテロ原子含有基であり;
Qは、金属Mへの配位結合を形成する第14、第15、又は第16族原子であり;
A
1QA
1’は、3原子架橋を介してA
2をA
2’に連結する、4~40個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、前記3原子架橋の中心原子であり、A
1及びA
1'は、独立にC、N、又はC(R
22)であり、R
22は、水素、C
1-C
20ヒドロカルビル、C
1-C
20置換ヒドロカルビルから選択され;
【化2】
は、2原子架橋を介してA
1をE結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
【化3】
は、2原子架橋を介してA
1'をE'結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
Lはルイス塩基であり;
Xはアニオン性配位子であり;
nは1、2又は3であり;
mは0、1、又は2であり;
n+mは4以下であり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
1'、R
2'、R
3'、及びR
4'は、それぞれ独立に水素、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、
R
1とR
2、R
2とR
3、R
3とR
4、R
1'とR
2'、R
2’とR
3'、R
3'とR
4'の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;
任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよい)
によって表される触媒化合物とを含む触媒系と接触させること;及び
35モル%までのエチレンを含むコポリマーを得ること
を含む重合プロセス。
【請求項2】
前記C
3-C
40アルファオレフィンがプロピレンであり、前記ポリマーが0.1~35mol%のエチレン及び99.9~65mol%のプロピレンを含む、請求項1に記載の重合プロセス。
【請求項3】
前記触媒化合物が、下記式(II):
【化4】
(式中:
Mは、第3、第4、第5、若しくは第6族遷移金属又はランタニドであり;
E及びE'は、それぞれ独立にO、S、又はNR
9であり、R
9は、独立に水素、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基であり;
各Lは、独立にルイス塩基であり;
各Xは、独立にアニオン性配位子であり;
nは1、2又は3であり;
mは0、1、又は2であり;
n+mは4以下であり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
1'、R
2'、R
3'、及びR
4'は、それぞれ独立に水素、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR
1とR
2、R
2とR
3、R
3とR
4、R
1'とR
2'、R
2’とR
3'、R
3'とR
4'の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよく;
R
5、R
6、R
7、R
8、R
5’、R
6’、R
7’、R
8’、R
10、R
11、及びR
12は、それぞれ独立に水素、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR
5とR
6、R
6とR
7、R
7とR
8、R
5’とR
6’、R
6’とR
7’、R
7’とR
8’、R
10とR
11、又はR
11とR
12の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよい)
によって表される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
E及びE'が、それぞれOである、請求項1、2又は3に記載のプロセス。
【請求項5】
R
1及びR
1’が、独立にC
4-C
40三級ヒドロカルビル基である、請求項1、2、3、又は4に記載のプロセス。
【請求項6】
R
1及びR
1’が、独立にC
4-C
40環式三級ヒドロカルビル基である、請求項1、2、3、又は4に記載のプロセス。
【請求項7】
R
1及びR
1’が、独立にC
4-C
40多環式三級ヒドロカルビル基である、請求項1、2、3、又は4に記載のプロセス。
【請求項8】
各Xが、独立に、1~20個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、及びその組み合わせから成る群より選択される(2つのXが縮合環又は環系の一部を形成してもよい)、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
各Lが、独立に、エーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリエチルアミン、ピリジン、アルケン、アルキン、アレン、及びカルベン並びにその組み合わせから成る群より選択され、任意に2つ以上のLが縮合環又は環系の一部を形成してもよい、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A
1及びA
1’の両方が炭素であり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がC
4-C
20環式三級アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A
1及びA
1’の両方が炭素であり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A
1及びA
1’の両方が炭素であり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がC
6-C
20アリールである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
Qが窒素であり、A
1及びA
1’が両方とも炭素であり、R
1及びR
1’の両方が水素であり、E及びE
’の両方がNR
9であり、R
9は、C
1-C
40ヒドロカルビル、C
1-C
40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
Qが炭素であり、A
1及びA
1’が両方とも窒素であり、E及びE
’の両方が酸素である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
Qが炭素であり、A
1が窒素であり、A
1’がC(R
22)であり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
22は、水素、C
1-C
20ヒドロカルビル、C
1-C
20置換ヒドロカルビルから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ヘテロ環式ルイス塩基が、下記式:
【化5】
(式中、各R
23は、水素、C
1-C
20アルキル、及びC
1-C
20置換アルキルから独立に選択される)
によって表される基から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がC
4-C
20環式三級アルキルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項18】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項19】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1、R
1’、R
3及びR
3’がそれアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項20】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方が酸素であり、R
1及びR
1’の両方がC
4-C
20環式三級アルキルであり、R
7及びR
7’の両方がC
1-C
20アルキルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項21】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方がOであり、R
1及びR
1’の両方がC
4-C
20環式三級アルキルであり、R
7及びR
7’の両方がC
1-C
20アルキルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項22】
MがZr又はHfであり、E及びE
’の両方がOであり、R
1及びR
1’の両方がC
4-C
20環式三級アルキルであり、R
7及びR
7’の両方がC
1-C
3アルキルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項23】
前記触媒化合物が、下記式:
【化6】
【化7】
【化8】
の1つ以上によって表される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
前記触媒化合物が、錯体1~8のいずれかである、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記活性化剤が、アルモキサン又は非配位性アニオンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項26】
前記活性化剤が非芳香族炭化水素溶媒に溶ける、請求項1に記載のプロセス。
【請求項27】
前記触媒系が、芳香族溶媒を含まない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記活性化剤が、下記式:
(Z)
d
+(A
d-)
(式中、Zは、(L-H)又は還元性ルイス酸であり、Lは、中性ルイス塩基であり;Hは水素であり;(L-H)
+は、ブレンステッド酸であり;A
d-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは、1~3の整数である)
によって表される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項29】
前記活性化剤が、下記式:
[R
1'R
2'R
3'EH]
d+[Mt
k+Q
n]
d- (V)
(式中:
Eは、窒素又はリンであり;
Dは1、2又は3であり;kは1、2又は3であり;nは1、2、3、4、5、又は6であり;n-k=d;
R
1'、R
2'、及びR
3'は、独立に、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC
1-C
50ヒドロカルビル基であり、
R
1'、R
2'、及びR
3'は、合わせて15個以上の炭素原子を含み;
Mtは、元素周期表の第13族から選択される元素であり;かつ
各Qは、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基である)
によって表される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項30】
前記活性化剤が、下記式
(Z)
d
+(A
d-)
によって表され、
式中、A
d-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは、1~3の整数であり、かつ(Z)
d
+は、下記式の1つ以上によって表される、請求項1に記載のプロセス。
【化9】
【請求項31】
前記活性化剤が、下記:
N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
[4-t-ブチル-PhNMe
2H][(C
6F
3(C
6F
5)
2)
4B]、
トリメチルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリエチルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボラート、
トロピリウムテトラフェニルボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、
トリエチルシリリウムテトラフェニルボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(sec-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
ジメチル(t-ブチル)アンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
ジ(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(o-トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、
1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジン、及び
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート)
の1つ以上である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項32】
前記プロセスが溶液プロセスである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項33】
前記プロセスが、約0℃~約300℃の温度、約0.35Mpa~約10Mpaの範囲の圧力、及び300分までの滞留時間で起こる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項34】
前記プロセスが、少なくともTP1℃の重合温度で起こり、TP1=59.97
*EXP(0.0115
*MFR)であり、MFRは、コポリマー生成物のメルトフローレートである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項35】
前記触媒活性が、触媒1kg当たり200,000kg以上のポリマーである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項36】
前記コポリマーが、0.95以下の分岐指数g’
visを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項37】
前記コポリマーが、50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMwを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項38】
前記コポリマーが、25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMnを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項39】
前記コポリマーが、1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mnを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項40】
前記コポリマーが、1500g/10分以下、あるいは800g/10分以下のメルトフローレートを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項41】
前記コポリマーが、190℃で測定される500mPa.秒以上、あるいは1000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項42】
前記コポリマーが、5~26mol%のエチレン含量を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項43】
前記コポリマーが、155℃以下、あるいは140℃以下のTmを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項44】
前記コポリマーが、120℃以下、あるいは100℃以下のTcを有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項45】
前記コポリマーが、100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項46】
前記コポリマーが、150℃以下のTm及び5J/g~80J/gの融解熱を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項47】
前記コポリマーのr
1r
2が、0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項48】
前記コポリマーが、0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項49】
前記コポリマーが75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは75~99%のmm三連構造立体規則性を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項50】
前記コポリマーが、下記特性:
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 1500g/10分以下、あるいは800g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 5~26mol%のエチレン含量;
g) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
h) 120℃以下、あるいは100℃以下のTc;
i) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
j) 0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内の前記コポリマーのr
1r
2;
k) r
1r
2が1.12-(0.0157x)より大きく、xは、
13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である;
l) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;
m) 75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性;及び
n) (3x10
-5)x
2+0.0005x-0.0039より大きいEEE三連構造配列分布、xは、
13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である
の3つ以上を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項51】
0.1~35mol%のエチレン及び99.9~65mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、前記コポリマーが、下記特性:
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 1500g/10分以下、あるいは800g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
g) 120℃以下、あるいは100℃以下のTc;
h) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
i) 0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内の前記コポリマーのr
1r
2;
j) r
1r
2が1.12-(0.0157x)より大きく、xは、
13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である;
k) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;
l) 75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性;及び
m) (3x10
-5)x
2+0.0005x-0.0039より大きいEEE三連構造配列分布、xは、
13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である
を有する、前記コポリマー。
【請求項52】
5~26mol%のエチレン及び95~74mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、前記コポリマーが、下記特性:
i) 0.9~3.0、あるいは0.92~2.6の範囲内の前記コポリマーのr
1r
2;
ii) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 75%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性
を有する、前記コポリマー。
【請求項53】
5~26mol%のエチレン及び95~74mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、前記コポリマーが、下記特性:
i) r
1r
2が1.12-(0.0157x)より大きく、xは、
13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である;
ii) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 75%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性
を有する、前記コポリマー。
【請求項54】
前記プロセスが、約140℃~約65℃の温度で起こり、かつ前記触媒活性が、触媒1kg当たり100,000kg以上のポリマーである、請求項1~50のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本発明は、2020年2月11に出願されたUSSN 62/972,962の優先権及び利益を主張する。
関連出願の相互参照:
本発明は、下記出願に関連する:
1) USSN 16/788,022、2020年2月11日出願;
2) USSN 16/788,088、2020年2月11日出願;
3) USSN 16/788,124、2020年2月11日出願;
4) USSN 16/787,909、2020年2月11日出願;
5) USSN 16/787,837、2020年2月11日出願;
6) 同時に出願されたPCT出願第PCT/US2020/____号、発明の名称「遷移金属ビス(フェノラート)触媒錯体を用いて得られるプロピレンポリマー及びその生成のための均一プロセス」(代理人整理番号2020EM049);
7) 同時に出願されたPCT出願第PCT/US2020/____号、発明の名称「遷移金属ビス(フェノラート)触媒錯体を用いて得られるエチレン-アルファオレフィン-ジエンモノマーコポリマー及びその生成のための均一プロセス」(代理人整理番号2020EM050);及び
8) 同時に出願されたPCT出願第PCT/US2020/____号、発明の名称「遷移金属ビス(フェノラート)触媒錯体を用いて得られるポリエチレン組成物及びそのその生成のための均一プロセス」(代理人整理番号2020EM051)。
発明の分野
本発明は、第4族金属ビス(フェノラート)錯体を含む新規触媒化合物を用いて調製されるプロピレンコポリマー、該コポリマーを含む組成物及び該コポリマーを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロピレンコポリマーは実質的な商業的承認を受けた分類の周知エラストマーである。これらのコポリマーの多くは、立体規則性若しくは組成(コモノマーの質量パーセント)又はその両方に関して分子間で均一である。あるいは、それらはポリマー鎖内で組成的に不均一(すなわちブロック状)である可能性もある。プロピレンコポリマーは、良い特性、例えば耐候性、耐オゾン性、及び熱安定性を有することで知られている。また、該ポリマーは、構造材料として、及びカーペット裏地として等の自動車用途で承認された広範な有用性を有する。これらのポリマーの特性は、分子量、分子量分布、組成分布、並びに分子間構造についての制御によって特殊用途に合わせることができる。
【0003】
加工性及び溶融強度を改善するためにプロピレンコポリマーに長鎖分岐を導入することが提案された。重合反応の現場で達成すべき長鎖分岐のためには2つの経路:末端分岐及びジエン共重合がある。米国特許第6,569,965号は、長鎖分岐(LCB)半結晶性高C3EPRコポリマーを開示し、これは末端分岐によって溶融強度及びせん断減粘性を改善した。これらの該ポリマーを生成するための記載プロセスは、プロピレンモノマー及びエチレンモノマーを反応器内で1種以上のシングルサイト触媒化合物の存在下で不活性炭化水素溶媒又は希釈剤と接触させることを含む。生じたEPRポリマー組成物の高分子量領域に対する質量平均化分岐指数(weight averaged branching index)g’は0.95未満である。ジエン共重合プロピレンコポリマーは米国特許第7,390,866号で研究され、この特許はアイソタクチックプロピレン結晶性、110℃以下に等しい融点、及び5J/g~50J/gの融解熱を有するジエン組み込みプロピレンコポリマーについて述べている。しかしながら、該プロセスでは架橋及びゲル形成を回避することは困難である。
【0004】
触媒のタイプ又は構造は、プロピレンコポリマーの分子構造、ひいては材料特性及び加工性を操作する際に重要なパラメーターである。プロピレンコポリマーの商業的製造プロセスで使用されている現在の触媒系は、メタロセン触媒によって支配されている。プロピレンコポリマー生産に用いるのに適した典型的なメタロセン触媒は、比較的限定された分子量の可能性を有し、所望の低メルトフローレート生成物を得るためには低いプロセス温度を必要とする。
高温で商業的溶液重合反応を行うことが有利である。ポリオレフィンの工業生産のためには高いプロセス温度でオレフィンを重合させて高分子量及び/又は高立体規則性のポリマーをもたらす能力がある新規触媒が望ましい。従って、当技術分野には、好ましくは高いプロセス温度で、特有のポリマー特性、例えば高分子量及び/又は高立体規則性のポリマーを達成するために、オレフィン重合用の新規かつ改善された触媒系に対する必要性が未だにある。
【0005】
オレフィン重合用触媒は、触媒前駆体としてビス(フェノラート)錯体をベースにすることができ、これは、典型的にアルモキサン又は非配位性アニオン含有活性化剤によって活性化される。ビス(フェノラート)錯体の例は下記参考文献で見つけられる:
KR 2018-022137(LG Chem.)は、ビス(メチルフェニルフェノラート)ピリジンの遷移金属錯体を記述する。
US 7,030,256 B2(Symyx Technologies, Inc.)は、架橋した2芳香族性配位子、触媒、重合プロセス及びそれによるポリマーを記述する。
US 6,825,296(香港大学)は、2つの6員環を有する金属に配位するビス(フェノラート)配位子の遷移金属錯体を記述する。
US 7,847,099(カリフォルニア工科大学)は、2つの6員環を有する金属に配位するビス(フェノラート)配位子の遷移金属錯体を記述する。
WO 2016/172110(Univation Technologies)は、非環式エーテル又はチオエーテルドナーを特徴とする三座ビス(フェノラート)配位子の錯体を記述する。
他の興味ある参考文献として以下のものがある:Baier, M. C. (2014) “Post-Metallocenes in the Industrial Production of Polyolefins,” Angew. Chem. Int. Ed. 2014, v.53, pp. 9722-9744;及びGolisz, S. et al. (2009) “Synthesis of Early Transition Metal Bisphenolate Complexes and Their Use as Olefin Polymerization Catalysts,” Macromolecules, v.42(22), pp. 8751-8762。
【0006】
本明細書に記載の新しく開発されたシングルサイト触媒は、高重合温度で高分子量ポリマーを生成する能力を有する。これらの触媒は、種々タイプの活性化剤と対にされ、溶液プロセスで使用されると、とりわけ、優れたメルトフローレートを有するプロピレンコポリマーを生成することができる。さらに、その触媒活性は高く、商業関連プロセス条件での使用を容易にする。この新プロセスは、広いメルトフローレート範囲を有する新規コポリマーを提供し、高いリアクタースループットで、かつポリマー生産中に高い重合温度で生産可能である。
同様にこのプロセスは、高重合温度で、高分子量を有する新規プロピレンコポリマーを生成する。触媒生産性は、典型的重合条件で触媒1kg当たり1,500,000kgのポリマーに達するか又は超えることができる。ジエンモノマーを添加せずに有意レベルの長鎖分岐を含有するプロピレンコポリマーを調製することもできる。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、プロピレンエチレンコポリマー等のプロピレンコポリマー、及び該コポリマーを含むブレンドに関し、このプロピレンコポリマーは、ビス(フェノラート)配位子の遷移金属触媒錯体を用いる溶液プロセスで調製される。好ましくはビス(フェン酸配位子)は、中心の中性ヘテロ環式ルイス塩基及び2つのフェノラートドナーを特徴とするジアニオン性三座配位子であり、この三座配位子が金属中心に配位して2つの8員環を形成している。
本発明は、プロピレンエチレンコポリマー等のプロピレンコポリマー、及び該コポリマーを含むブレンドにも関し、このプロピレンコポリマーは、ビス(フェノラート)錯体、好ましくは下記式(I)によって表されるビス(フェノラート)錯体を用いる溶液プロセスで調製される。
【0008】
【0009】
式中:
Mは、第3~第6族遷移金属又はランタニドであり;
E及びE’は、それぞれ独立にO、S、又はNR9であり、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基であり;
Qは、金属Mと配位結合を形成する第14、第15、又は第16族原子であり;
A1QA1’は、3原子架橋を介してA2をA2’に連結する、4~40個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、3原子架橋の中心原子であり、
A1及びA1’は、独立にC、N又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビルから選択され;
【0010】
【0011】
は、2原子架橋を介してA1をE結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
【0012】
【0013】
は、2原子架橋を介してA1’をE’結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
Lは中性ルイス塩基であり;
Xはアニオン性配位子であり;
nは1、2又は3であり;
mは0、1又は2であり;
n+mは4以下であり;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、若しくは8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、若しくは非置換ヘテロ環式環を形成してよく;
任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよい。
【0014】
本発明は、本明細書に記載の触媒化合物を活性化剤、プロピレン及び1種以上のコモノマーと接触させることを含む、オレフィンを重合するための液相方法にも関する。本発明はさらに、本明細書に記載の方法で生成されるプロピレンコポリマー組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
13C NMRで測定されたコポリマー中のエチレンのwt%対同様に
13C NMRで測定されたコポリマーのr
1r
2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
定義
本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、下記定義を使用するものとする。
周期表の族についてはChemical and Engineering News, v.63(5), pg. 27 (1985)に記載されるように新しいナンバリングスキームを使用する。従って、「第4族金属」は、周期表の第4族の元素、例えばHf、Ti、又はZrである。
「触媒生産性」は、既知量の重合触媒を用いて生成されるポリマーの質量の尺度である。典型的に、「触媒生産性」は、(ポリマーのg数)/(触媒のg数)又は(ポリマーのg数)/(触媒のmmol数)等の単位で表される。単位を特定していない場合、「触媒生産性」は(ポリマーのg数)/(触媒のg数)の単位である。触媒生産性を計算するためには触媒の遷移金属成分の質量のみを使用する(すなわち活性化剤及び/又は共触媒は省略される)。「触媒活性」は、バッチ及び半バッチ重合について既知量の重合触媒を用いて生成される単位時間当たりのポリマーの質量の尺度である。典型的に、「触媒活性」は、(ポリマーのg数)/(触媒のmmol数)/時間又は(ポリマーのkg数)/(触媒のmmol数)/時間等の単位で表される。単位を特定していない場合、「触媒活性」は、(ポリマーのg数)/(触媒のmmol数)/時間の単位である。
【0017】
「転化率」は、重合でポリマー生成物に変換されたモノマーの百分率であり、%として報告され、ポリマー収量、ポリマー組成、及び反応器に供給されたモノマーの量に基づいて計算される。
「オレフィン」は、代わりに「アルケン」と呼ばれ、少なくとも1つの二重結合を有する、炭素と水素の直鎖、分岐鎖、又は環式化合物である。本明細書及びこれに添付した特許請求の範囲の目的では、ポリマー又はコポリマーがオレフィンを含むと言及されるとき、該ポリマー又はコポリマー中に存在するオレフィンは、オレフィンの重合形である。例えば、コポリマーが35wt%~55wt%の「エチレン」含量を有すると言われるとき、コポリマー中のmer単位は重合反応でエチレンから誘導され、前記誘導単位はコポリマーの質量に基づいて、35wt%~55wt%で存在すると理解される。「ポリマー」は、2つ以上の同一若しくは異なるmer単位を有する。「ホモポリマー」は、同一であるmer単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上のmer単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3種のmer単位を有するポリマーである。従って、本明細書で使用する場合、コポリマーの定義には、ターポリマー等が含まれる。mer単位に言及して用いる「異なる」は、mer単位が少なくとも1個の原子によって互いに異なるか又は異性体的に異なることを意味する。「エチレンポリマー」又は「エチレンコポリマー」は、少なくとも50モル%のエチレン誘導単位を含むポリマー又はコポリマーであり、「プロピレンポリマー」又は「プロピレンコポリマー」は、少なくとも50モル%のプロピレン誘導単位を含むポリマー又はコポリマーである等である。
エチレンは、アルファオレフィン(α-オレフィンとも呼ばれる)とみなすものとする。
特別の定めのない限り、用語「Cn」は、1分子当たりn個の炭素原子を有する炭化水素を意味し、nは正の整数である。
【0018】
用語「炭化水素」は、炭素に結合した水素を含有する化合物の分類を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、及び(iii)異なる値のnを有する炭化水素化合物の混合物を含めた炭化水素化合物(飽和及び/又は不飽和)の混合物を包含する。同様に、「Cm-Cy」基又は化合物は、炭素原子をm~yの範囲の総数で含む基又は化合物を指す。従って、C1-C50アルキル基は、炭素原子を1~50の範囲の総数で含むアルキル基を指す。
用語「基(group)」、「基(radical)」、及び「置換基」は互換的に使用してよい。
用語「ヒドロカルビル基(radical)」、「ヒドロカルビル基(group)」、又は「ヒドロカルビル」は互換的に使用してよく、水素及び炭素原子のみから成る基を意味すると定義される。好ましいヒドロカルビルは、直鎖、分岐鎖、又は環式であってよいC1-C100基であり、環式であるとき、芳香族又は非芳香族であってよい。該基の例としては、限定するものではないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等、アリール基、例えばフェニル、ベンジル、ナフタレニル等が挙げられる。
【0019】
別段の指示がない限り、(例えば、「置換ヒドロカルビル」等の定義)、用語「置換」は、少なくとも1個の水素原子が少なくとも1つの非水素基、例えばヒドロカルビル基、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(例えばBr、Cl、F又はI)又は少なくとも1つの官能基、例えば-NR*
2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR*
2、-AsR*
2、-SbR*
2、-SR*、-BR*
2、-SiR*
3、-GeR*
3、-SnR*
3、-PbR*
3、-(CH2)q-SiR*
3等で置き換えられていることを意味し、qは1~10であり、各R*は、独立に水素、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、2つ以上のR*が結合して置換又は非置換の完全飽和、一部不飽和、又は芳香族環式若しくは多環式環構造を形成してよく、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されていることを意味する。
用語「置換ヒドロカルビル」は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、ハロゲン、例えば、Br、Cl、F又はI)又はヘテロ原子含有基(例えば官能基、例えば、-NR*
2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR*
2、-AsR*
2、-SbR*
2、-SR*、-BR*
2、-SiR*
3、-GeR*
3、-SnR*
3、-PbR*
3、-(CH2)q-SiR*
3等、qは1~10であり、各R*は、独立に水素、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、かつ2つ以上のR*が結合して置換又は非置換の完全飽和、一部不飽和、又は芳香族環式若しくは多環式環構造を形成してよい)で置換されているか、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されているヒドロカルビル基を意味する。
【0020】
用語「アリール」又は「アリール基」は、芳香環(典型的に6個の炭素原子でできている)及びその置換異形、例えばフェニル、2-メチル-フェニル、キシリル、4-ブロモ-キシリルを意味する。同様に、ヘテロアリールは、1個の環炭素原子(又は2若しくは3個の環炭素原子)がヘテロ原子、例えばN、O、又はSで置き換えられているアリール基を意味する。本明細書で使用する場合、用語「芳香族」は、芳香族ヘテロ環式配位子と同様の特性及び構造(ほぼ平面)を有するが、定義により芳香族でないヘテロ環式置換基である擬芳香族ヘテロ環をも指す。
用語「置換芳香族」は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基によって置き換えられた1つ以上の水素基を有する芳香族基を意味する。
【0021】
「置換フェノラート」は、2、3、4、5、及び/又は6位の少なくとも1、2、3、4又は5個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えばヒドロカルビル基、ヘテロ原子若しくはヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(例えばBr、Cl、F又はI)又は少なくとも1つの官能基、例えば-NR*
2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR*
2、-AsR*
2、-SbR*
2、-SR*、-BR*
2、-SiR*
3、-GeR*
3、-SnR*
3、-PbR*
3、-(CH2)q-SiR*
3等で置き換えられているフェノラート基であり、qは1~10であり、各R*は独立に水素、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、かつ2つ以上のR*が結合して置換又は非置換の完全飽和、一部不飽和、又は芳香族環式若しくは多環式環構造を形成してよく、1位はフェノラート基(Ph-O-、Ph-S-、及びPh-N(R^)-基であり、R^は、水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基である。好ましくは、本明細書に記載の触媒化合物の「置換フェノラート」基は、下記式によって表される。
【0022】
【0023】
式中、R18は、水素、C1-C40ヒドロカルビル(例えばC1-C40アルキル)又はC1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、E17は、酸素、硫黄、又はNR17であり、R17、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル(例えばC1-C40アルキル)又はC1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基から選択され、あるいはR18、R19、R20、及びR21の2つ以上が結合してC4-C62環式若しくは多環式環構造、又はその組み合わせを形成し、波線は、置換フェノラート基が触媒化合物の残部との結合を形成する場所を示す。
「アルキル置換フェノラート」は、2、3、4、5、及び/又は6位の少なくとも1、2、3、4又は5個の水素原子が、少なくとも1つのアルキル基、例えばC1-C40、あるいはC2-C20、あるいはC3-C12アルキル、例えばメチル、エチル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンタニル等(それらの置換類似体を含む)で置き換えられたフェノラート基である。
【0024】
「アリール置換フェノラート」は、2、3、4、5、及び/又は6位の少なくとも1、2、3、4又は5個の水素原子が、少なくとも1つのアリール基、例えばC1-C40、あるいはC2-C20、あるいはC3-C12アリール基、例えばフェニル、4-フルオロフェニル、2-メチルフェニル、2-プロピルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、メシチル、2-エチルフェニル、ナフタレニル等(それらの置換類似体を含む)で置き換えられたフェノラート基である。
用語「環原子」は、環式環構造の一部である原子を意味する。この定義により、ベンジル基は、6個の環原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環原子を有する。
ヘテロ環式環は、ヘテロ環とも呼ばれ、環原子上の水素がヘテロ原子で置き換えられる「ヘテロ原子置換環」とは対照的に、環構造内にヘテロ原子を有する環である。例えば、テトラヒドロフランはヘテロ環式環であり、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニルはヘテロ原子置換環である。置換ヘテロ環式環は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基で置き換えられた1つ以上の水素基を有するヘテロ環式環を意味する。
置換ヒドロカルビル環は、炭素原子と水素原子で構成され、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基で置き換えらた1つ以上の水素基を有する環を意味する。
【0025】
本開示の目的では、触媒化合物(例えば、置換ビス(フェノラート)触媒化合物)に関して、用語「置換」は、水素基が、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(例えばBr、Cl、F又はI)又は少なくとも1つの官能基、例えば-NR*
2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR*
2、-AsR*
2、-SbR*
2、-SR*、-BR*
2、-SiR*
3、-GeR*
3、-SnR*
3、-PbR*
3、-(CH2)q-SiR*
3等で置き換えられていることを意味し、qは1~10であり、各R*は、独立に水素、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、2つ以上のR*が結合して置換又は非置換の完全飽和、一部不飽和、又は芳香族環式若しくは多環式環構造を形成してよく、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されている。
三級ヒドロカルビル基は、3個の他の炭素原子に結合した炭素原子を持つ。ヒドロカルビル基がアルキル基であるとき、三級ヒドロカルビル基は三級アルキル基とも呼ばれる。三級ヒドロカルビル基の例としては、tert-ブチル、2-メチルブタン-2-イル、2-メチルヘキサン-2-イル、2-フェニルプロパン-2-イル、2-シクロヘキシルプロパン-2-イル、1-メチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル等が挙げられる。三級ヒドロカルビル基を下記式Aによって図示することができる。
【0026】
【0027】
式中、RA、RB及びRCは、任意に互いに結合していてもよいヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基であり、波線は、三級ヒドロカルビル基が他の基との結合を形成する場所を示す。
環式三級ヒドロカルビル基は、少なくとも1つの脂環式(非芳香族)環を形成する三級ヒドロカルビル基と定義される。環式三級ヒドロカルビル基は、脂環式三級ヒドロカルビル基とも呼ばれる。ヒドロカルビル基がアルキル基であるとき、環式三級ヒドロカルビル基は、環式三級アルキル基又は脂環式三級アルキル基とも呼ばれる。環式三級ヒドロカルビル基の例としては、1-アダマンタニル、1-メチルシクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、1-メチルシクロオクチル、1-メチルシクロデシル、1-メチルシクロドデシル、ビシクロ[3.3.1]ノナン-1-イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル、ビシクロ[2.3.3]ヘキサン-1-イル、ビシクロ(bicycle)[1.1.1]ペンタン-1-イル、ビシクロ(bicycle)[2.2.2]オクタン-1-イル等がある。環式三級ヒドロカルビル基を下記式Bによって図示することができる。
【0028】
【0029】
式中、RAは、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基であり、各RDは、独立に水素又はヒドロカルビル基若しくは置換ヒドロカルビル基であり、wは、1~約30の整数であり、RA、及び1つ以上のRD、及び又は2つ以上のRDは、任意に互いに結合してさらなる環を形成してもよい。
環式三級ヒドロカルビル基が複数の脂環式環を含有するとき、それを多環式三級ヒドロカルビル基と呼ぶことができ、あるいはヒドロカルビル基がアルキル基の場合、それを多環式三級アルキル基と呼んでよい。
本開示全体を通して用語「アルキル基」、及び「アルキル」を互換的に使用する。本開示の目的では、「アルキル基」は、直鎖、分岐鎖、又は環式であってよいC1-C100アルキルであると定義される。該基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等をそれらの置換類似体を含めて挙げることができる。置換アルキル基は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、少なくとも1つの非水素基、例えばヒドロカルビル基、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基、例えばハロゲン(例えばBr、Cl、F又はI)又は少なくとも1つの官能基、例えば-NR*
2、-OR*、-SeR*、-TeR*、-PR*
2、-AsR*
2、-SbR*
2、-SR*、-BR*
2、-SiR*
3、-GeR*
3、-SnR*
3、-PbR*
3、-(CH2)q-SiR*
3等で置き換えられている基であり、qは1~10であり、各R*は、独立に水素、ヒドロカルビル又はハロカルビル基であり、2つ以上のR*が結合して、置換又は非置換の完全飽和、一部不飽和、又は芳香族環式若しくは多環式環構造を形成してよく、あるいは少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環内に挿入されている。
【0030】
名付けられたアルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリール基の異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)が存在する場合、群の一員(例えば、n-ブチル)への言及は、ファミリーの残りの異性体(例えば、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を明示的に開示するものとする。同様に、特定の異性体を明記しないアルキル、アルケニル、アルコキシド、又はアリール基(例えば、ブチル)への言及は、全ての異性体(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル)を明示的に開示する。
本明細書で使用する場合、Mnは数平均分子量であり、Mwは質量平均分子量であり、Mzはz平均分子量であり、wt%は質量パーセントであり、mol%はモルパーセントである。分子量分布(MWD)は多分散指数(PDI)とも呼ばれ、MwをMnで除したものと定義される。特に断りのない限り、全ての分子量単位(例えば、Mw、Mn、Mz)はg/mol(g・mol-1)である。
【0031】
本明細書では下記略語を使用することがある:Meはメチルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、cPrはシクロプロピルであり、nPrはn-プロピルであり、iPrはイソプロピルであり、Buはブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、iBuはイソブチルであり、sBuはsec-ブチルであり、tBuはtert-ブチルであり、Octはオクチルであり、Phはフェニルであり、MAOはメチルアルモキサンであり、dme(DMEとも表される)は1,2-ジメトキシエタンであり、p-tBuはパラ-三級ブチルであり、TMSはトリメチルシリルであり、TIBALはトリイソブチルアルミニウムであり、TNOA及びTNOALはトリ(n-オクチル)アルミニウムであり、p-Meはパラ-メチルであり、Bnはベンジル(すなわち、CH2Ph)であり、THF(thfとも表される)はテトラヒドロフランであり、RTは室温であり(かつ別段の指示がない限り23℃である)、tolはトルエンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、Cbzはカルバゾールであり、Cyはシクロヘキシルである。
【0032】
「触媒系」は、少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性化剤を含む組み合わせである。活性化前のこのような対を記述するために「触媒系」を使用するとき、それは、活性化剤、及び場合によっては共活性化剤と共に、未活性化触媒錯体(プレ触媒)を意味する。活性化後のこのような対を記述するために「触媒系」を使用するとき、それは、活性化錯体及び活性化剤又は他の電荷平衡成分(charge-balancing moiety)を意味する。遷移金属化合物は、プレ触媒におけるように中性であってよく、あるいは活性化触媒系におけるように対イオンとの荷電種であってよい。本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、触媒系が成分の中性安定形態を含むと記述されるとき、成分のイオン形態が、モノマーと反応してポリマーを生成する形態であることを当業者なら十分に理解する。重合触媒系は、モノマーをポリマーに重合できる触媒系である。
本明細書の説明では、触媒を触媒、触媒前駆体、プレ触媒化合物、触媒化合物又は遷移金属化合物と記述することがあり、これらの用語を互換的に使用する。
【0033】
「アニオン性配位子」は、1つ以上の電子対を金属イオンに供与する、負に荷電した配位子である。用語「アニオン性ドナー」を「アニオン性配位子」と互換的に使用する。本発明の文脈でアニオン性ドナーの例としては、限定するものではないが、メチル、クロリド、フルオリド、アルコキシド、アリールオキシド、アルキル、アルケニル、チオラート、カルボキシラート、アミド、メチル、ベンジル、ヒドリド、アミジナート、アミダート、及びフェニルが挙げられる。2つのアニオン性ドナーが結合してジアニオン性基を形成することもある。
「中性ルイス塩基」又は「中性ドナー基」は、1つ以上の電子対を金属イオンに供与する無電荷(すなわち中性)基である。中性ルイス塩基の非限定例としては、エーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリエチルアミン、ピリジン、アルケン、アルキン、アレン、及びカルベンが挙げられる。ルイス塩基が結合して二座又は三座ルイス塩基を形成することもある。
本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、フェノラートドナーには、Ph-O-、Ph-S-、及びPh-N(R^)-基が含まれ、R^は、水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、Phは、任意に置換されていてもよいフェニルである。
【0034】
詳細な説明
本発明は、ビス(フェノラート)配位子、好ましくは中心の中性ドナー基及び2つのフェノラートドナーを特徴とするジアニオン性三座配位子の遷移金属錯体を含む触媒ファミリーを用いて調製されるプロピレンコポリマーの溶液プロセスに関し、三座配位子は、金属中心に配位して2つの8員環を形成している。このタイプの錯体では、中心の中性ドナーがヘテロ環式基であるのが有利である。ヘテロ環式基がヘテロ原子のα位に水素を欠くことが特に有利である。このタイプの錯体では、フェノラートが1つ以上の環式三級アルキル置換基で置換されることも有利である。環式三級アルキル置換フェノラートを用いて、これらの触媒が高分子量ポリマーを生成する能力を改善することを実証する。
本明細書で有用な置換ビス(フェノラート)配位子(例えばアダマンタニル置換ビス(フェノラート)配位子)の錯体は、活性化剤、例えば非配位性アニオン又はアルモキサン活性化剤と組み合わせると、活性なオレフィン重合触媒を形成する。有用なビス(アリールフェノラート)ピリジン錯体は、第4族遷移金属に配位して2つの8員環を形成する三座ビス(アリールフェノラート)ピリジン配位子を含む。
【0035】
本発明は、第3族~第6族金属又はランタニド金属から選択される金属と、2つのアニオン性ドナー基及び中性ルイス塩基ドナーを含有する三座のジアニオン性配位子とを含み、この中性ルイス塩基ドナーは、2つのアニオン性ドナー間に共有結合され、この金属-配位子錯体は1対の8員メタラサイクル環を特徴とする金属錯体を利用してプロピレンコポリマーを生成するための溶液プロセスにも関する。
本発明は、本明細書に記載の活性化剤及び1種以上の触媒化合物を含む、プロピレンコポリマーを調製するための溶液プロセスに用いる触媒系に関する。
本発明は、本明細書に記載の触媒化合物を用いて(好ましくは高温度で)オレフィンを重合させる溶液プロセスであって、プロピレン及び1種以上のオレフィンコモノマーを、本明細書に記載の活性化剤及び触媒化合物を含む触媒系と接触させることを含むプロセスにも関する。
本発明は、ビス(フェノラート)錯体、好ましくはビス(アリールフェノラート)ピリジン錯体を含む触媒を用いて調製し得る、35mol%未満のエチレンを含有するプロピレンとエチレンのコポリマーに関する。
【0036】
本開示は、本明細書に記載の遷移金属化合物及び活性化剤化合物を含む触媒系、プロピレン及びオレフィンコモノマーを重合させるための触媒系内で遷移金属化合物を活性化するための該活性化剤化合物の使用、並びに前記オレフィンの重合プロセスっであって、重合条件下でプロピレン及び1種以上のオレフィンコモノマーを、遷移金属化合物及び活性化剤化合物を含む触媒系と接触させることを含み、トルエン等の芳香族溶媒が存在しない(例えば活性化剤のモル数に対してゼロmol%で存在するか、あるいは1mol%未満で存在し、好ましくは触媒系、重合反応及び/又は生成ポリマーが検出可能な芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンを含まない)プロセスにも関する。
本明細書で生成されるコポリマーは、好ましくは0ppm(あるいは1ppm未満、あるいは5ppm未満、あるいは10ppm未満)の芳香族炭化水素を含有する。好ましくは、本明細書で生成されるコポリマーは0ppm(あるいは1ppm未満、あるいは5ppm未満、あるいは10ppm未満)のトルエンを含有する。
本明細書で使用する触媒系は、好ましくは0ppm(あるいは1ppm未満、あるいは5ppm未満、あるいは10ppm未満)の芳香族炭化水素を含有する。好ましくは、本明細書で使用する触媒系は、0ppm(あるいは1ppm未満、あるいは5ppm未満、あるいは10ppm未満)のトルエンを含有する。
【0037】
触媒化合物
用語「触媒」、「化合物」、「触媒化合物」、及び「錯体」は、適切な活性化剤と組み合わせると、オレフィン重合触媒を形成する遷移金属錯体又はランタニド金属錯体を記述するため互換的に使用することができる。
本発明の触媒錯体は、元素周期表の第3、第4、第5若しくは第6族金属又はランタニド金属から選択される金属と、2つのアニオン性ドナー基及び中性ヘテロ環式ルイス塩基ドナーを含有する三座のジアニオン性配位子とを含み、このヘテロ環式ドナーは、2つのアニオン性ドナー間に共有結合されている。好ましくは触媒錯体は、中心のヘテロ環式ドナー基及び2つのフェノラートドナーを特徴とするジアニオン性三座配位子を含み、この三座配位子が金属中心に配位して2つの8員環を形成する。同様に好ましくは、触媒錯体は、2つのフェノラートドナーに結合した中心のヘテロ環式ドナーを特徴とするジアニオン性三座配位子を含み、この中心のヘテロ環は、1,2-アリーレン架橋(例えば1,2-フェニレン)を介して各フェノラートドナーに連結される。
【0038】
金属は、好ましくは第3、第4、第5、又は第6族元素から選択される。好ましくは金属Mは、第4族金属である。最も好ましくは金属Mは、ジルコニウム又はハフニウムである。高立体規則性のポリプロピレン生成のためには、金属Mは好ましくはハフニウムである。
好ましくはヘテロ環式ルイス塩基ドナーは、窒素又は酸素ドナー原子を特徴とする。好ましいヘテロ環式基としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、チアゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、フラン、及びこれらの置換異形の誘導体が挙げられる。好ましくはヘテロ環式ルイス塩基は、ドナー原子に対してα位に水素を欠く。特に好ましいヘテロ環式ルイス塩基ドナーとしては、ピリジン、3置換ピリジン、及び4置換ピリジンが挙げられる。
ジアニオン性三座配位子のアニオン性ドナーはアリールチオラート、フェノラート、又はアニリドであってよい。好ましいアニオン性ドナーはフェノラートである。ジアニオン性三座配位子が金属中心に配位して、対称の鏡面を欠く錯体を形成することが好ましい。ジアニオン性三座配位子が金属中心に配位して、対称の2回回転軸を有する錯体を形成することが好ましく;ビス(フェノラート)錯体の対称性を決めるときは金属とジアニオン性三座配位子のみを考慮する(すなわち残りの配位子を無視する)。
【0039】
本発明に有用なビス(フェノラート)配位子としては、2つのアニオン性フェノラートドナーを特徴とするジアニオン性多座(例えば二座、三座、又は四座)配位子がある。好ましくは、ビス(フェノラート)配位子は、1対の8員メタラサイクル環が形成される様式で金属Mに配位するジアニオン性三座配位子である。本発明に有用なビス(フェノラート)配位子は、好ましくは1対の8員メタラサイクル環が形成される様式で金属Mに配位するジアニオン性三座配位子である。好ましいビス(フェノラート)配位子は、金属を包み込んで、2回回転軸を有する錯体を形成し、それによって錯体にC2対称性を与える。C2ジオメトリー及び8員メタラサイクル環は、これらの錯体をポリオレフィン、特にアイソタクチックなポリ(アルファオレフィン)の生成に有効な触媒成分にする錯体の特徴である。配位子が、錯体が鏡面(Cs)対称を有する様式で金属に配位されたら、触媒はアタクティックなポリ(アルファオレフィン)のみを生成すると予想され;これらの対称性-反応性規則は、Bercaw, J. E. (2009)によってMacromolecules, v.42, pp. 8751-8762に要約されている。発明錯体の8員メタラサイクル環対は、触媒活性、温度安定性、及びモノマー連鎖(enchainment)の等選択性に有利な注目すべき特徴でもある。より小さい6員メタラサイクル環を特徴とする関連する第4族錯体(Bercaw, J. E. (2009) in Macromolecules, v.42, pp. 8751-8762)は、オレフィン重合に使用するとC2及びCs対称性錯体の混合物を形成するので、高度にアイソタクチックなポリ(アルファオレフィン)の生成にはあまり適さないことで知られている。
【0040】
本発明における酸素ドナー基を含有するビス(フェノラート)配位子(すなわち式(I)中、E=E’=酸素)は、好ましくはアルキル、置換アルキル、アリール、又は他の基で置換さる。酸素ドナー原子に隣接する環位置で各フェノラート基が置換されることが有利である。酸素ドナー原子に隣接する位置にある置換基が1~20個の炭素原子を含有するアルキル基であることが好ましい。酸素ドナー原子の隣の位置にある置換基が、1つ以上の5又は6員環を有する非芳香族環式アルキル基であることが好ましい。酸素ドナー原子の隣の位置にある置換基が環式三級アルキル基であることが好ましい。酸素ドナー原子の隣の位置にある置換基がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルであることが非常に好ましい。
中性のヘテロ環式ルイス塩基ドナーは、2つのアニオン性ドナー間で、ヘテロ環式ルイス塩基をフェノラート基に結び付ける「リンカー基」を介して共有結合されている。「リンカー基」は、式(I)中、(A3A2)及び(A2’A3’)によって示されている。各リンカー基の選択は、触媒性能、例えば生成されるポリ(アルファオレフィン)の立体規則性に影響を及ぼし得る。各リンカー基は、典型的に2原子長であるC2-C40二価基である。一方又は両方のリンカー基は、独立にフェニレン、置換フェニレン、ヘテロアリール、ビニレン、又は非環式2炭素長リンカー基であってよい。一方又は両方のリンカー基がフェニレンであるとき、触媒性能を最適化するようにフェニレン基上のアルキル置換基を選択し得る。典型的に、一方又は両方のフェニレンは非置換であってよく、あるいはC1-C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、又はこれらの異性体、例えばイソプロピル等で置換され得る。
本発明はさらに、下記式(I)によって表される触媒化合物、及び該化合物を含む触媒系に関する。
【0041】
【0042】
式中:
Mは、第3、第4、第5、若しくは第6族遷移金属又はランタニド(例えばHf、Zr又はTi)であり;
E及びE’は、それぞれ独立にO、S、又はNR9であり、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基、好ましくはOであり、好ましくはE及びE’の両方がOであり;
Qは、金属Mと配位結合を形成する第14、第15、又は第16族原子であり、好ましくはQは、C、O、S又はNであり、さらに好ましくはQはC、N又はOであり、最も好ましくはQはNであり;
A1QA1’は、3原子架橋を介してA2をA2’に連結する、4~40個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、3原子架橋の中心原子であり(A1QA1’は、A1及びA1’を結び付けている曲線と合わせてヘテロ環式ルイス塩基を表す)、A1及びA1’は、独立にC、N、又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、及びC1-C20置換ヒドロカルビルから選択され、好ましくはA1及びA1’はCであり;
【0043】
【0044】
は、2原子架橋を介してA1をE結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基、例えばオルト-フェニレン、置換オルト-フェニレン、オルト-アレーン、インドレン(indolene)、置換インドレン、ベンゾチオフェン、置換ベンゾチオフェン、ピロレン(pyrrolene)、置換ピロレン、チオフェン、置換チオフェン、1,2-エチレン(-CH2CH2-)、置換1,2-エチレン、1,2-ビニレン(-HC=CH-)、又は置換1,2-ビニレンであり、好ましくは
【0045】
【0046】
は、二価ヒドロカルビル基であり;
【0047】
【0048】
は、2原子架橋を介してA1’をE’結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基、例えばオルト-フェニレン、置換オルト-フェニレン、オルト-アレーン、インドレン、置換インドレン、ベンゾチオフェン、置換ベンゾチオフェン、ピロレン、置換ピロレン、チオフェン、置換チオフェン、1,2-エチレン(-CH2CH2-)、置換1,2-エチレン、1,2-ビニレン(-HC=CH-)、又は置換1,2-ビニレンであり、好ましくは
【0049】
【0050】
は、二価ヒドロカルビル基であり;
各Lは、独立にルイス塩基であり;
各Xは、独立にアニオン性配位子であり;
nは、1、2又は3であり;
mは、0、1、又は2であり;
n+mは、4以下であり;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり(好ましくはR1’及びR1は、独立に環式基、例えば環式三級アルキル基である)、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;
任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよい。
本発明はさらに、下記式(II)によって表される触媒化合物、及び該化合物を含む触媒系に関する。
【0051】
【0052】
式中:
Mは、第3、第4、第5、又は第6族遷移金属又はランタニド(例えばHf、Zr又はTi)であり;
E及びE’は、それぞれ独立にO、S、又はNR9であり、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基、好ましくはOであり、好ましくはE及びE’の両方がOであり;
各Lは、独立にルイス塩基であり;
各Xは、独立にアニオン性配位子であり;
nは、1、2又は3であり;
mは、0、1、又は2であり;
n+mは、4以下であり;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいは、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;
任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよく;
R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR5とR6、R6とR7、R7とR8、R5’とR6’、R6’とR7’、R7’とR8’、R10とR11、又はR11とR12の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよい。
【0053】
金属Mは、好ましくは第3、第4、第5、又は第6族元素、さらに好ましくは第4族元素から選択される。最も好ましくは金属Mはジルコニウム又はハフニウムである。
中性ヘテロ環式ルイス塩基(式(I)中)のドナー原子Qは、好ましくは窒素、炭素、又は酸素である。好ましいQは窒素である。
中性ヘテロ環式ルイス塩基基の非限定例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、チアゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、フラン、及びこれらの置換異形の誘導体が挙げられる。好ましいヘテロ環式ルイス塩基基としては、ピリジン、ピラジン、チアゾール、及びイミダゾールの誘導体が挙げられる。
ヘテロ環式ルイス塩基(式(I)中)のA1及びA1は、それぞれ独立にC、N、又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、及びC1-C20置換ヒドロカルビルから選択される。好ましくはA1及びA1’は炭素である。Qが炭素であるとき、A1及びA1’は窒素及びC(R22)から選択されることが好ましい。Qが窒素であるとき、A1及びA1’は炭素であることが好ましい。Q=窒素、かつA1=A1’=炭素であることが好ましい。Qが窒素又は酸素であるとき、式(I)中のヘテロ環式ルイス塩基はA1又はA1’原子に結合したいずれの水素原子をも持たないことが好ましい。このことは、それらの位置にある水素は望ましくない分解を受け、触媒的活性種の安定性を減じる可能性があると考えられるので好ましい。
A1及びA1’を結び付けている曲線と合わせてA1QA1’で表されるヘテロ環式ルイス塩基(式(I)の)は、好ましくは下記基から選択され、各R23基は水素、ヘテロ原子、C1-C20アルキル、C1-C20アルコキシド、C1-C20アミド、及びC1-C20置換アルキルから選択される。
【0054】
【0055】
式(I)又は(II)中、E及びE’は、それぞれ酸素又はNR9から選択され、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基である。E及びE’は酸素であることが好ましい。E及び/又はE’がNR9であるとき、R9はC1-C20ヒドロカルビル、アルキル、又はアリールから選択されることが好ましい。一実施形態ではE及びE’は、それぞれO、S、又はN(アルキル)又はN(アリール)から選択され、アルキルは、好ましくはC1-C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等であり、アリールは、C6-C40アリール基、例えばフェニル、ナフタレニル、ベンジル、メチルフェニル等である。
実施形態では、
【0056】
【0057】
は、独立に二価ヒドロカルビル基、例えばC1-C12ヒドロカルビル基である。
式(I)又は(II)の錯体において、E及びE’が酸素であるとき、各フェノラート基は、酸素原子の隣の位置(すなわち式(I)及び(II)のR1及びR1’)で置換されることが有利である。従って、E及びE’が酸素であるとき、R1及びR1’は、それぞれ独立にC1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であることが好ましく、さらに好ましくは、R1及びR1’は、それぞれ独立に、1つ以上の5員又は6員環を有する非芳香族環式アルキル基(例えばシクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンタニル、又は1-メチルシクロヘキシル、又は置換アダマンタニル)であり、最も好ましくは非芳香族環式三級アルキル基(例えば1-メチルシクロヘキシル、アダマンタニル、又は置換アダマンタニル)である。
式(I)又は(II)の本発明の一部の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に三級ヒドロカルビル基である。式(I)又は(II)の本発明の他の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に環式三級ヒドロカルビル基である。式(I)又は(II)の本発明の他の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に多環式三級ヒドロカルビル基である。
式(I)又は(II)の本発明の一部の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に三級ヒドロカルビル基である。式(I)又は(II)の本発明の他の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に環式三級ヒドロカルビル基である。式(I)又は(II)の本発明の他の実施形態では、R1及びR1’は、それぞれ独立に多環式三級ヒドロカルビル基である。
リンカー基(すなわち式(I)中の
【0058】
【0059】
は、それぞれ好ましくはオルト-フェニレン基、好ましくは置換オルト-フェニレン基の一部である。式(II)のR7及びR7’位が水素、又はC1-C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、又はこれらの異性体、例えばイソプロピル等であることが好ましい。高立体規則性を有するポリマーを目指す用途では、式(II)中のR7及びR7’位はC1-C20アルキルであることが好ましく、R7及びR7’の両方がC1-C3アルキルであることが最も好ましい。
本明細書の式(I)の実施形態では、QはC、N又はOであり、好ましくはQはNである。
本明細書の式(I)の実施形態では、A1及びA1’は、独立に炭素、窒素、又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビルから選択される。好ましくはA1及びA1’は炭素である。
本明細書の式(I)の実施形態では、式IのA1QA1’は、ヘテロ環式ルイス塩基、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、チアゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、フラン、又はこれらの置換異形の一部である。
本明細書の式(I)の実施形態では、A1QA1’は、3原子架橋を介してA2をA2’に連結する、2~20個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、3原子架橋の中心原子である。好ましくはA1及びA1’は、それぞれ炭素原子であり、A1QA1’フラグメントは、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、チアゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、フラン、又はこれらの置換異形基、又はこれらの置換異形の一部を形成する。
本明細書の式(I)の実施形態では、Qは炭素であり、A1及びA1’はそれぞれN又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基から選択される。この実施形態では、A1QA1’フラグメントは、環式カルベン、N-ヘテロ環式カルベン、環式アミノアルキルカルベン、又はこれらの置換異形基、又はこれらの置換異形の一部を形成する。
本明細書の式(I)の実施形態では、
【0060】
【0061】
は、2原子架橋を介してA1をE結合アリール基に連結する、2~20個の非水素原子を含有する二価基であり、
【0062】
【0063】
は、直鎖アルキルであるか又は環式基(例えば任意に置換されていてもよいオルト-フェニレン基、又はオルト-アリーレン基)若しくはその置換異形の一部を形成する。
【0064】
【0065】
は、2原子架橋を介してA1’をE’結合アリール基に連結する、2~20個の非水素原子を含有する二価基であり、
【0066】
【0067】
は、直鎖アルキルであるか又は環式基(例えば任意に置換されていてもよいオルト-フェニレン基、又はオルト-アリーレン基)若しくはその置換異形の一部を形成する。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、Mは、第4族金属、例えばHf又はZrである。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、E及びE’はOである。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、若しくは8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はこれらの異性体である。
【0068】
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、R4’、及びR9は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニル、置換フェニル(例えばメチルフェニル及びジメチルフェニル)、ベンジル、置換ベンジル(例えばメチルベンジル)、ナフタレニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、及びこれらの異性体から独立に選択される。
【0069】
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R4及びR4’は、独立に水素又はC1-C3ヒドロカルビル、例えばメチル、エチル又はプロピルである。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R9は水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はこれらの異性体である。好ましくはR9はメチル、エチル、プロピル、ブチル、C1-C6アルキル、フェニル、2-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、又は2,4,6-トリメチルフェニルである。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、各Xは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(例えばアルキル又はアリール)、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、アルキルスルホナート、及びその組み合わせから成る群より独立に選択され、(2つ以上のXが縮合環又は環系を形成してもよい)、好ましくは各Xは、ハライド、アリール、及びC1-C5アルキル基から独立に選択され、好ましくは各Xは、独立にヒドリド、ジメチルアミド、ジエチルアミド、メチルトリメチルシリル、ネオペンチル、フェニル、ベンジル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、フルオロ、ヨード、ブロモ、又はクロロ基である。
あるいは、各Xは、独立に、ハライド、ヒドリド、アルキル基、アルケニル基又はアリールアルキル基であり得る。
【0070】
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、各Lは、エーテル、チオエーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン、ハロ炭素、及びホスフィン、好ましくはエーテル及びチオエーテル、並びにその組み合わせから成る群より独立に選択されるルイス塩基であり、場合によって2つ以上のLが縮合環又は環系の一部を形成してよく、好ましくは各Lは、エーテル及びチオエーテル基から独立に選択され、好ましくは各Lはエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、又はジメチルスルフィド基である。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R1及びR1’は、独立に環式三級アルキル基である。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、nは1、2又は3、典型的に2である。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、mは0、1又は2、典型的に0である。
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、R1及びR1’は水素でない。
【0071】
本明細書の発明の実施形態では、式(I)及び(II)中、MはHf又はZrであり、E及びE’はOであり;R1及びR1’は、それぞれ独立にC1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、R2、R3、R4、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;各Xは、独立に、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(例えばアルキル又はアリール)、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、及びその組み合わせから成る群より選択され、(2つ以上のXが縮合環又は環系の一部を形成してよい);各Lは、独立に、エーテル、チオエーテル、及びハロ炭素から成る群より選択される(2つ以上のLが縮合環又は環系の一部を形成してよい)。
【0072】
本明細書の発明の実施形態では、式(II)中、R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’
、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいは1つ以上の隣接R基が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよい。
本明細書の発明の実施形態では、式(II)中、R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はこれらの異性体である。
本明細書の発明の実施形態では、式(II)中、R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’、R10、R11及びR12は、それぞれ独立にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニル、置換フェニル(例えばメチルフェニル及びジメチルフェニル)、ベンジル、置換ベンジル(例えばメチルベンジル)、ナフタレニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、及びこれらの異性体から選択される。
【0073】
本明細書の発明の実施形態では、式(II)中、MはHf又はZrであり、E及びE’はOであり;R1及びR1’は、それぞれ独立にC1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;R9は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基、例えば水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はこれらの異性体であり;
各Xは、独立に、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(例えばアルキル又はアリール)、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテル、及びその組み合わせから成る群より選択され、(2つ以上のXが縮合環又は環系の一部を形成してよい);nは2であり;mは0であり;R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’
、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいは1つ以上の隣接R基が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく、例えばR5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’
、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニル、置換フェニル(例えばメチルフェニル及びジメチルフェニル)、ベンジル、置換ベンジル(例えばメチルベンジル)、ナフチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、及びこれらの異性体から選択される。
【0074】
式(I)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルである。
式(I)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである。
式(I)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC6-C20アリールである。
式(II)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルである。
式(II)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである。
式(II)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1、R1’、R3及びR3’がそれぞれアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである。
式(II)の好ましい実施形態は、MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルであり、R7及びR7’の両方がC1-C20アルキルである。
【0075】
本発明で特に有用な触媒化合物としては、下記の1つ以上が挙げられる:ジメチルジルコニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]、ジメチルハフニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]、ジメチルジルコニウム[6,6’-(ピリジン-2,6-ジイルビス(ベンゾ[b]チオフェン-3,2-ジイル))ビス(2-アダマンタン-1-イル)-4-メチルフェノラート)]、ジメチルハフニウム[6,6’-(ピリジン-2,6-ジイルビス(ベンゾ[b]チオフェン-3,2-ジイル))ビス(2-アダマンタン-1-イル)-4-メチルフェノラート)]、ジメチルジルコニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]、ジメチルハフニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]、ジメチルジルコニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-4’,5-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]、ジメチルハフニウム[2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-4’,5-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート)]。
本発明で特に有用な触媒化合物としては、下記式の1つ以上によって表されるもが挙げられる:
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
一部の実施形態では、本明細書で使用する触媒系中に2種以上の異なる触媒化合物が存在する。一部の実施形態では、本明細書に記載のプロセスが起こる反応ゾーン内に2種以上の異なる触媒化合物が存在する。遷移金属化合物のために同じ活性化剤を使用することが好ましいが、2種の異なる活性化剤、例えば非配位性アニオン活性化剤及びアルモキサンを組み合わせて使用することができる。1種以上の遷移金属化合物が、ヒドリド、ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビルでないX基を含有する場合、非配位性アニオン活性化剤の添加前にアルモキサンを遷移金属化合物と接触させることができる。
2種の遷移金属化合物(プレ触媒)は任意の比で使用してよい。(A)遷移金属化合物と(B)遷移金属化合物の好ましいモル比は、(A:B)1:1000~1000:1、あるいは1:100~500:1、あるいは1:10~200:1、あるいは1:1~100:1、あるいは1:1~75:1、あるいは5:1~50:1の範囲内にある。選択される特定の比は、選択される厳密なプレ触媒、活性化方法、及び望まれる最終生成物によって決まることになる。特定の実施形態では、両方とも同じ活性化剤で活性化される2種のプレ触媒を使用するとき、有用なモルパーセントは、プレ触媒の分子量に基づいて、10~99.9%のA対0.1~90%のB、あるいは25~99%のA対0.5~50%のB、あるいは50~99%のA対1~25%のB、あるいは75~99%のA対1~10%のBである。
【0081】
触媒化合物の調製方法
配位子合成
ビス(フェノール)配位子は、スキーム1に示す一般的方法を利用して調製し得る。化合物Aと化合物Bのカップリングによるビス(フェノール)配位子の形成(方法1)は、既知のPd及びNi触媒カップリング、例えば根岸、鈴木、又は熊田カップリングによって達成し得る。化合物Cと化合物Dのカップリングによるビス(フェノール)配位子の形成(方法2)も、既知のPd及びNi触媒カップリング、例えば根岸、鈴木、又は熊田カップリングによって達成し得る。化合物Dは、化合物Eと有機リチウム試薬又はマグネシウム金属の反応後に典型金属ハライド(例えばZnCl2)又はホウ素系試薬(例えばB(OiPr)3、iPrOB(pin))との任意的反応によって化合物Eから調製可能である。化合物Eは、アリールリチウム又はアリールグリニャール試薬(化合物F)とジハロゲン化アレーン(化合物G)、例えば1-ブロモ-2-クロロベンゼンの反応によって無触媒反応で調製可能である。化合物Eは、アリール亜鉛又はアリール-ホウ素試薬(化合物F)とジハロゲン化アレーン(化合物G)の反応によってPd又はNi触媒反応で調製してもよい。
スキーム1.
【0082】
【0083】
【0084】
式中、M’は、第1、第2、第12、又は第13族元素又は置換元素、例えばLi、MgCl、MgBr、ZnCl、B(OH)2、B(ピナコラート)であり、Pは、保護基、例えばメトキシメチル(MOM)、テトラヒドロピラニル(THP)、t-ブチル、アリル、エトキシメチル、トリアルキルシリル、t-ブチルジメチルシリル、又はベンジルであり、Rは、C1-C40アルキル、置換アルキル、アリール、三級アルキル、環式三級アルキル、アダマンタニル、又は置換アダマンタニルであり、X’及びXは、それぞれハロゲン、例えばCl、Br、F又はIである。
ビス(フェノール)配位子及びビス(フェノール)配位子の調製に用いる中間体は、カラムクロマトグラフィーを使用せずに調製及び精製することが好ましい。これは、蒸留、沈殿及び洗浄、不溶塩の形成(例えばピリジン誘導体と有機酸の反応によって)、及び液液抽出を含めた種々多様の方法によって達成可能である。好ましい方法として、Practical Process Research and Development - A Guide for Organic Chemists by Neal C. Anderson (ISBN: 1493300125X)に記載の方法がある。
【0085】
カルベンビス(フェノール)配位子の合成
カルベンビス(フェノール)配位子を生成するための一般的合成方法をスキーム2に示す。置換フェノールをオルト-ブロム化してから既知のフェノール保護基、例えばメトキシメチルエーテル(MOM)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、ベンジル(Bn)等で保護することができる。このブロミドを次に、ブロモアニリンを用いる鈴木カップリングに使用できるボロン酸エステル(化合物I)又はボロン酸に変換する。ジブロモエタンとの反応又はオキサルアルデヒドによる縮合によってビフェニルアニリン(化合物J)を架橋してから脱保護することができる(化合物K)。オルトギ酸トリエチルとの反応がイミニウム塩を形成し、これを脱プロトンしてカルベンを得る。
スキーム2.
【0086】
【0087】
塩化メチレンに溶かした置換フェノール(化合物H)に等価のN-ブロモスクシンイミド及び0.1当量のジイソプロピルアミンを加える。完了まで周囲温度で撹拌した後、反応をHClの10%溶液でクエンチする。有機分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮してブロモフェノールを典型的には固体として得る。置換ブロモフェノール、メトキシメチルクロリド、及び炭酸カリウムを乾燥アセトンに溶かし、周囲温度で反応完了まで撹拌する。溶液を濾過し、濾液を濃縮して保護されたフェノール(化合物I)を得る。あるいは、置換ブロモフェノール及び等価のジヒドロピランを塩化メチレンに溶かし、0℃まで冷却する。触媒量のパラ-トルエンスルホン酸を加えて反応を10分間撹拌してからトリメチルアミンでクエンチする。混合物を水及びブラインで洗浄してから硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、テトラヒドロピランで保護されたフェノールを得る。
【0088】
臭化アリール(化合物I)をTHFに溶かして-78℃まで冷却する。n-ブチルリチウムをゆっくり添加した後、トリメトキシボラートを加える。周囲温度で反応させて完了まで撹拌する。溶媒を除去し、固体ボロン酸エステルをペンタンで洗浄する。ボロン酸エステルからHClで処理してボロン酸を作ることができる。ボロン酸エステル又はボロン酸を等価のオルト-ブロモアニリン及び触媒量のパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンと共にトルエンに溶かす。炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応を一晩加熱して還流させる。冷却したらすぐに、層を分け、水層を酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせ有機分をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮する。典型的にカラムクロマトグラフィーを用いてカップリング生成物(化合物J)を精製する。
アニリン(化合物J)及びジブロモエタン(0.5当量)をアセトニトリルに溶かして60℃で一晩加熱する。反応物を濾過し、濃縮してエチレン架橋ジアニリンを得る。保護されたフェノールをHClとの反応によって脱保護して架橋ビスアミノ(ビフェニル)オール(化合物K)を得る。
ジアミン(化合物K)をオルトギ酸トリエチルに溶かす。塩化アンモニウムを加えて反応物を一晩加熱して還流させる。生じた沈殿物を濾過により収集し、エーテルで洗浄してイミニウム塩を得る。イミニウムクロリドをTHFに懸濁させ、リチウム又はナトリウムヘキサメチルジシリルアミドで処理する。完了したら、反応物を濾過し、濾液を濃縮してカルベン配位子を得る。
【0089】
ビス(フェノラート)錯体の調製
本発明のオレフィン重合用触媒成分として遷移金属又はランタニド金属ビス(フェノラート)錯体を使用する。用語「触媒」及び「触媒錯体」は互換的に使用する。遷移金属又はランタニド金属ビス(フェノラート)錯体の調製は、ビス(フェノール)配位子と、アニオン性塩基性脱離基を含有する金属反応体との反応によって達成可能である。典型的なアニオン性塩基性脱離基としてはジアルキルアミド、ベンジル、フェニル、ヒドリド、及びメチルが挙げられる。この反応では、塩基性脱離基の役割は、ビス(フェノール)配位子を脱プロトンすることである。このタイプの反応に適した金属反応体としては、限定するものではないが、HfBn4(Bn=CH2Ph)、ZrBn4、TiBn4、ZrBn2Cl2(OEt2)、HfBn2Cl2(OEt2)2、Zr(NMe2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Zr(NEt2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Hf(NEt2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Hf(NMe2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Hf(NMe2)4、Zr(NMe2)4、及びHf(NEt2)4が挙げられる。適切な金属試薬として、ZrMe4、HfMe4、及び現場で形成して単離せずに使用し得る他の第4族アルキルもある。遷移金属ビス(フェノラート)錯体の調製は、典型的にエーテル系若しくは炭化水素溶媒又は溶媒混合物中、典型的に-80℃~120℃の範囲の温度で行われる。
【0090】
遷移金属又はランタニドビス(フェノラート)錯体の調製のための第2の方法は、ビス(フェノール)配位子とアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基(例えば、Na、BuLi、iPrMgBr)の反応によって脱プロトン化配位子を生成した後に、金属ハライド(例えば、HfCl4、ZrCl4)との反応によってビス(フェノラート)錯体を形成する。金属ハライド、アルコキシド、又はアミド脱離基を含有するビス(フェノラート)金属錯体は、有機リチウム、グリニャール、及び有機アルミニウム試薬との反応によってアルキル化し得る。アルキル化反応では、アルキル基がビス(フェノラート)金属中心に移され、脱離基が除去される。アルキル化反応のため典型的に使用する試薬としては、限定するものではないが、MeLi、MeMgBr、AlMe3、Al(iBu)3、AlOct3、及びPhCH2MgClが挙げられる。典型的に2~20モル当量のアルキル化試薬がビス(フェノラート)錯体に添加される。アルキル化は、一般的にエーテル系若しくは炭化水素溶媒又は溶媒混合物中、典型的に-80℃~120℃の範囲の温度で行われる。
【0091】
活性化剤
用語「共触媒」及び「活性化剤」は互換的に使用する。
本明細書に記載の触媒系は、典型的に触媒錯体、例えば上記遷移金属又はランタニドビス(フェノラート)錯体、及び活性化剤、例えばアルモキサン又は非配位性アニオンを含む。これらの触媒系は、文献公知の任意の方法で本明細書に記載の触媒成分を活性化剤と組み合わせることで形成可能である。触媒系を溶液重合若しくはバルク重合(モノマー状態)に添加するか又は溶液重合若しくはバルク重合で生成してもよい。本開示の触媒系は、1種以上の活性化剤及び1、2又はそれより多くの触媒成分を有し得る。活性化剤は、中性金属化合物を触媒的に活性な金属化合物カチオンに変換することによって、上記触媒化合物の任意の1つを活性化できる任意の化合物であると定義される。非限定活性化剤として、例えば、アルモキサン、中性又はイオン性であってよいイオン化活性化剤、及び従来型共触媒が挙げられる。好ましい活性化剤には、典型的にアルモキサン化合物、変性アルモキサン化合物、及び反応性金属配位子を除去して金属化合物をカチオン性にし、電荷平衡非配位性又は弱配位性アニオン、例えば非配位性アニオンをもたらすイオン化アニオン前駆化合物が含まれる。
【0092】
アルモキサン活性化剤
本明細書に記載の触媒系の活性化剤としてアルモキサン活性化剤を利用する。アルモキサンは一般的に、-Al(R99)-O-サブユニットを含有するオリゴマー化合物であり、R99はアルキル基である。アルモキサンの例としては、メチルアルモキサン(MAO)、変性メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサン及びイソブチルアルモキサンが挙げられる。特に除去可能配位子がアルキル、ハライド、アルコキシド又はアミドであるとき、触媒活性化剤としてアルキルアルモキサン及び変性アルキルアルモキサンが適している。異なるアルモキサン及び変性アルモキサンの混合物を使用してもよい。視覚的に清澄なメチルアルモキサンの使用が好ましいこともある。濁った又はゲル化したアルモキサンは、濾過して清澄溶液を生成することができ、あるいは濁った溶液から清澄なアルモキサンをデカントすることができる。有用なアルモキサンは変性メチルアルモキサン(MMAO)共触媒型3Aである(特許番号米国特許第5,041,584号の下で保護され、商品名Modified Methylalumoxane type 3AでAkzo Chemicals, Inc.から市販されている)。別の有用なアルモキサンは、US 9,340,630;US 8,404,880;及びUS 8,975,209に記載の固体ポリメチルアルミノキサンである。
【0093】
活性化剤がアルモキサン(変性又は非変性)であるとき、典型的に最大量の活性化剤は、触媒化合物に関して(金属触媒サイト当たり)5,000倍モル過剰のAl/Mまでである。最小活性化剤対触媒化合物は、1:1モル比である。代わりの好ましい範囲には、1:1~500:1、あるいは1:1~200:1、あるいは1:1~100:1、あるいは1:1~50:1が含まれる。
代替実施形態では、本明細書に記載の重合プロセスにアルモキサンをほとんど又は全く使用しない。好ましくは、アルモキサンはゼロモル%で存在し、あるいはアルモキサンは500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満のアルミニウム対触媒化合物遷移金属のモル比で存在する。
【0094】
イオン化/非配位性アニオン活性化剤
用語「非配位性アニオン」(NCA)は、カチオンに配位しないか又はカチオンに弱くしか配位しないので、中性ルイス塩基に取って代わられるのに十分不安定なままであるアニオンを意味する。さらに、このアニオンは、アニオンから中性遷移金属化合物及び中性副生物を形成させるようにアニオン性置換基又はフラグメントをカチオンに移さないだろう。本発明に従って有用な非配位性アニオンは、+1でそのイオン電荷を平衡させるという意味で適合性であり、遷移金属カチオンを安定化し、それにもかかわらず重合中に置換を可能にするのに十分不安定なままである非配位性アニオンである。用語NCAは、酸性カチオン性基及び非配位性アニオンを含有する多成分NCA含有活性化剤、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを含むとも定義される。用語NCAは、触媒と反応してアニオン性基の除去によって活性化種を形成できる中性ルイス酸、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を含むとも定義される。適合性の弱く配位する錯体を形成できるいずれの金属又は半金属をも非配位性アニオンに使用するか又は含めてよい。適切な金属としては、限定するものではないが、アルミニウム、金、及び白金が挙げられる。適切な半金属としては、限定するものではないが、ホウ素、アルミニウム、リン、及びケイ素が挙げられる。
中性又はイオン性のイオン化活性化剤を使用することは本発明の範囲内である。中性又はイオン性活性化剤のみ又はアルモキサン若しくはアルモキサン活性化剤と組み合わせて使用することも本発明の範囲内である。
【0095】
本発明の実施形態では、活性化剤は下記式(III)によって表される:
(Z)d
+(Ad-) (III)
式中、Zは、(L-H)又は還元性ルイス酸であり、Lは中性ルイス塩基であり;Hは水素であり;(L-H)+はブレンステッド酸であり;Ad-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは、1~3の整数(例えば1、2又は3)であり、好ましくはZは(Ar3C+)であり、Arは、アリール又はヘテロ原子で置換されたアリール、C1-C40ヒドロカルビル、又は置換C1-C40ヒドロカルビルである。アニオン成分Ad-には、式[Mk+Qn]d-を有するものが含まれ、kは1、2、又は3であり;nは1、2、3、4、5、又は6(好ましくは1、2、3、又は4)であり;n-k=d;Mは、元素周期表の第13族から選択される元素、好ましくはホウ素又はアルミニウムであり、Qは、独立にヒドリド、架橋又は非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、及びハロ置換ヒドロカルビル基であり、前記Qは、40個までの炭素原子を有する(場合によっては1以下の存在ではQはハライドであるという条件で)。好ましくは、各Qは、1~40(例えば1~20)個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、さらに好ましくは各Qは、フッ素化アリール基、例えばペルフルオロアリール基であり、最も好ましくは各Qは、ペンタフルオリルアリール基又はペルフルオロナフタレニル基である。適切なAd-の例には、参照することにより本明細書に完全に援用する米国特許第5,447,895号に開示された二ホウ素化合物も含まれる。
【0096】
Zが活性化カチオン(L-H)であるとき、それは、遷移金属触媒前駆体にプロトンを供与し、結果としてアンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、スルホニウム、及びその混合物、例えばメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N-メチルアニリン、N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルアニリン、N-メチル-4-オクタデシル-N-オクタデシルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p-ブロモN,N-ジメチルアニリン、p-ニトロ-N,N-ジメチルアニリン、ジオクタデシルメチルアミンのアンモニウム、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、及びジフェニルホスフィンからのホスホニウム、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテルからのオキソニウム、ジエチルチオエーテル、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテルからのスルホニウム、及びその混合物を含めた遷移金属カチオンをもたらすことができるブレンステッド酸であり得る。
【0097】
本発明の特に有用な実施形態では、活性化剤は、非芳香族炭化水素溶媒、例えば脂肪族溶媒に溶ける。
1つ以上の実施形態では、n-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、又はその組み合わせ中20wt%の活性化剤化合物の混合物が25℃で清澄な均質溶液を形成し、好ましくはn-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、又はその組み合わせ中30wt%の活性化剤化合物の混合物が25℃で清澄な均質溶液を形成する。
本発明の実施形態では、本明細書に記載の活性化剤は、メチルシクロヘキサン中25℃で(2時間撹拌)10mM超(又は20mM超、又は50mM超)の溶解度を有する。
本発明の実施形態では、本明細書に記載の活性化剤は、イソヘキサン中25℃で(2時間撹拌)1mM超(又は10mM超、又は20mM超)の溶解度を有する。
本発明の実施形態では、本明細書に記載の活性化剤は、メチルシクロヘキサン中25℃で(2時間撹拌)10mM超(又は20mM超、又は50mM超)の溶解度を有し、イソヘキサン中25℃で(2時間撹拌)1mM超(又は10mM超、又は20mM超)の溶解度を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、活性化剤は、非芳香族炭化水素可溶性活性化剤化合物である。
本明細書で有用な非芳香族炭化水素可溶性活性化剤化合物には、下記式(V)によって表されるものが含まれる。
[R1’R2’R3’EH]d+[Mtk+Qn]d- (V)
式中:
Eは、窒素又はリンであり;
Dは1、2又は3であり;kは1、2又は3であり;nは1、2、3、4、5、又は6であり;n-k=d(好ましくはdは1、2又は3であり;kは3であり;nは4、5、又は6である);
R1’、R2’、及びR3’は、独立に、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC1-C50ヒドロカルビル基であり、
R1’、R2’、及びR3’は、合わせて15個以上の炭素原子を含み;
Mtは、元素周期表の第13族から選択される元素、例えばB又はAlであり;かつ
各Qは、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基である。
【0099】
本明細書で有用な非芳香族炭化水素可溶性活性化剤化合物には、下記式(VI)によって表されるものが含まれる。
[R1’R2’R3’EH]+[BR4’R5’R6’R7’]- (VI)
式中:
Eは、窒素又はリンであり;R1’はメチル基であり;R2’及びR3’は、独立に、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC4-C50ヒドロカルビル基であり、R2’及びR3’は、合わせて14個以上の炭素原子を含み;Bはホウ素であり;かつR4’、R5’、R6’、及びR7’は、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基である。
【0100】
本明細書で有用な非芳香族炭化水素可溶性活性化剤化合物には、下記式(VII)又は式(VIII)によって表されるものが含まれる。
【0101】
【0102】
式中:
Nは窒素であり;
R2’及びR3’は、独立に、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC6-C40ヒドロカルビル基であり、R2’及びR3’(存在する場合)は、合わせて14個以上の炭素原子を含み;
R8’、R9’、及びR10’は、独立にC4-C30ヒドロカルビル又は置換C4-C30ヒドロカルビル基であり;
Bはホウ素であり;
かつR4’、R5’、R6’、及びR7’は、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基である。
【0103】
場合によっては、本明細書の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)のいずれかにおいて、R4’、R5’、R6’、及びR7’はペンタフルオロフェニルである。
場合によっては、本明細書の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)のいずれかにおいて、R4’、R5’、R6’、及びR7’はペルフルオロナフタレン-2-イルである。
場合によっては、本明細書の式(VIII)のいずれかの実施形態において、R8’及びR10’は水素であり、R9’は、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC4-C30ヒドロカルビル基である。
場合によっては、本明細書の式(VIII)のいずれかの実施形態において、R9’は、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC8-C22ヒドロカルビル基である。
場合によっては、本明細書の(VII)又は(VIII)のいずれかの実施形態において、R2’及びR3’は、独立にC12-C22ヒドロカルビル基である。
【0104】
場合によっては、R1’、R2’及びR3’は、合わせて15個以上の炭素原子(例えば18個以上の炭素原子、例えば20個以上の炭素原子、例えば22個以上の炭素原子、例えば25個以上の炭素原子、例えば30個以上の炭素原子、例えば35個以上の炭素原子、例えば38個以上の炭素原子、例えば40個以上の炭素原子、例えば15~100個の炭素原子、例えば25~75個の炭素原子)を含む。
場合によっては、R2’及びR3’は、合わせて15個以上の炭素原子(例えば18個以上の炭素原子、例えば20個以上の炭素原子、例えば22個以上の炭素原子、例えば25個以上の炭素原子、例えば30個以上の炭素原子、例えば35個以上の炭素原子、例えば38個以上の炭素原子、例えば40個以上の炭素原子、例えば15~100個の炭素原子、例えば25~75個の炭素原子)を含む。
場合によっては、R8’、R9’、及びR10’は、合わせて15個以上の炭素原子(例えば18個以上の炭素原子、例えば20個以上の炭素原子、例えば22個以上の炭素原子、例えば25個以上の炭素原子、例えば30個以上の炭素原子、例えば35個以上の炭素原子、例えば38個以上の炭素原子、例えば40個以上の炭素原子、例えば15~100個の炭素原子、例えば25~75個の炭素原子)を含む。
【0105】
場合によっては、Qがフルオロフェニル基であるときには、R2’はC1-C40直鎖アルキル基でない(あるいはR2’は任意に置換されていてもよいC1-C40直鎖アルキル基でない)。
場合によっては、R4’、R5’、R6’、及びR7’は、それぞれアリール基(例えばフェニル又はナフタレニル)であり、R4’、R5’、R6’、及びR7’の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子で置換され、好ましくはR4’、R5’、R6’、及びR7’は、それぞれペルフルオロアリール基(例えばペルフルオロフェニル又はペルフルオロナフタレン-2-イル)である。
場合によっては、各Qは、アリール基(例えばフェニル又はナフタレニル)であり、少なくとも1つのQは、少なくとも1個のフッ素原子で置換され、好ましくは各Qは、ペルフルオロアリール基(例えばペルフルオロフェニル又はペルフルオロナフタレン-2-イル)である。
場合によっては、R1’はメチル基であり;R2’はC6-C50アリール基であり;かつR3’は独立にC1-C40直鎖アルキル又はC5-C50アリール基である。
場合によっては、R2’及びR3’は、それぞれ独立に非置換であるか又はハライド、C1-C35アルキル、C5-C15アリール、C6-C35アリールアルキル、C6-C35アルキルアリールの少なくとも1つで置換され、R2及びR3は、合わせて20個以上の炭素原子を含む。
【0106】
場合によっては、各Qは、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基であり、但し、Qがフルオロフェニル基であるときには、R2’はC1-C40直鎖アルキル基でなく、好ましくはR2’は、任意に置換されていてもよいC1-C40直鎖アルキル基でない(あるいはQが置換フェニル基であるときには、R2’はC1-C40直鎖アルキル基でなく、好ましくはR2’は、任意に置換されていてもよいC1-C40直鎖アルキル基でない)。場合によっては、Qがフルオロフェニル基であるとき(あるいはQが置換フェニル基であるとき)には、R2’は、メタ置換及び/又はパラ置換フェニル基であり、メタ及びパラ置換基は、独立に、任意に置換されていてもよいC1-C40ヒドロカルビル基(例えばC6-C40アリール基若しくは直鎖アルキル基、C12-C30アリール基若しくは直鎖アルキル基、又はC10-C20アリール基若しくは直鎖アルキル基)、任意に置換されていてもよいアルコキシ基、又は任意に置換されていてもよいシリル基である。場合によっては、各Qは、1~30個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、さらに好ましくは各Qは、フッ素化アリール(例えばフェニル又はナフタレニル)基であり、最も好ましくは各Qは、ペルフルオロアリール(例えばフェニル又はナフタレニル)基である。適切な[Mtk+Qn]d-の例としては、参照することにより本明細書に完全に援用する米国特許第5,447,895号に開示されている二ホウ素化合物が含まれる。場合によっては、少なくとも1つのQは置換フェニルでない。場合によっては、全てのQが置換フェニルでない。場合によっては、少なくとも1つのQはペルフルオロフェニルでない。場合によっては、全てのQがペルフルオロフェニルでない。
【0107】
本発明の一部の実施形態では、R1’はメチルでなく、R2’はC18アルキルでなく、R3’はC18アルキルでなく、あるいはR1’はメチルでなく、R2’はC18アルキルでなく、R3’はC18アルキルでなく、かつ少なくとも1つのQは置換フェニルでなく、場合によっては全てのQが置換フェニルでない。
式(III)及び(V)~(VIII)中の有用なカチオン成分としては、下記式によって表されるものが挙げられる。
【0108】
【0109】
式(III)及び(V)~(VIII)中の有用なカチオン成分には、下記式によって表されるものが含まれる。
【0110】
【0111】
本明細書に記載の活性化剤のアニオン成分には、式[Mtk+Qn]-によって表されるものが含まれ、式中、kは1、2、又は3であり;nは1、2、3、4、5、又は6(好ましくは1、2、3、又は4)であり、(好ましくはkは3であり;nは4、5、又は6であり、好ましくはMがBであるき、nは4である);Mtは、元素周期表の第13族から選択される元素、好ましくはホウ素又はアルミニウムであり、かつQは、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、及びハロ置換ヒドロカルビル基であり、前記Qは、20個までの炭素原子を有し、但し、1以下の存在においてはQはハライドである。好ましくは、各Qは、任意に1~20個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、さらに好ましくは各Qは、フッ素化アリール基であり、最も好ましくは各Qは、ペルフルオロアリール基である。好ましくは少なくとも1つのQは置換フェニル、例えばペルフルオロフェニルでなく、好ましくは全てのQが置換フェニル、例えばペルフルオロフェニルでない。
【0112】
一実施形態では、ボラート活性化剤は、テトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボラートを含む。
一実施形態では、ボラート活性化剤は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを含む。
本明細書に記載の非配位性アニオン活性化剤に用いるアニオンには、下記式7によって表されるものも含まれる。
【0113】
【0114】
式中:
M*は、第13族原子、好ましくはB又はAl、好ましくはBであり;
各R11は、独立に、ハライド、好ましくはフルオリドであり;
各R12は、独立に、ハライド、C6-C20置換芳香族ヒドロカルビル基又は式-O-Si-Raのシロキシ基であり、式中、Raは、C1-C20ヒドロカルビル又はヒドロカルビルシリル基であり、好ましくはR12は、フルオリド又はペルフルオロフェニル基であり;
各R13は、ハライド、C6-C20置換芳香族ヒドロカルビル基又は式-O-Si-Raのシロキシ基であり、式中、Raは、C1-C20ヒドロカルビル又はヒドロカルビルシリル基であり、好ましくはR13は、フルオリド又はC6ペルフルオロ芳香族ヒドロカルビル基であり;
R12及びR13は、1つ以上の飽和又は不飽和の置換又は非置換環を形成することができ、好ましくはR12及びR13はペルフルオロフェニル環を形成する。好ましくはアニオンは、700g/mol超の分子量を有し、かつ、好ましくは、M*原子上の置換基の少なくとも3つは、それぞ180立法Åより大きいモル体積を有する。
【0115】
本明細書では溶液中の活性化剤分子の空間立体容積の近似値として「モル体積」を使用する。異なるモル体積を有する置換基を比較すると、より小さいモル体積を有する置換基をより大きいモル体積を有する置換基に比べて「かさ高くない」とみなすことができる。逆に、より大きいモル体積を有する置換基は、より小さいモル体積を有する置換基より「かさ高い」とみなすことができる。
“A Simple “Back of the Envelope” Method for Estimating the Densities and Molecular Volumes of Liquids and Solids,” Journal of Chemical Education, v.71(11), November 1994, pp. 962-964に報告されているようにモル体積を計算することができる。立法Å単位のモル体積(MV)は、式:MV=8.3Vsを用いて計算され、Vsはスケールした(scaled)体積である。Vsは、構成原子の相対体積の合計であり、下表Aの相対体積を用いて置換基の分子式から計算される。縮合環については、Vsは、縮合環当たり7.5%減少させる。アニオンの算出総MVは、置換基当たりのMVの合計であり、例えば、ペルフルオロフェニルのMVは183Å3であり、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラートについて算出される総MVは、183Å3の4倍、つまり732Å3である。
【0116】
【0117】
本明細書で有用な典型的アニオン及びそれらのそれぞれのスケールした体積及びモル体積を下表Bに示す。破線結合は、ホウ素との結合を示す。
【0118】
【0119】
例えば、[M2HTH]+[NCA]-を用いてイオン対の形態で重合に活性化剤を添加してよく、この場合、ジ(水素化牛脂)メチルアミン(「M2HTH」)カチオンが遷移金属錯体上の塩基性脱離基と反応して遷移金属錯体カチオン及び[NCA]-を形成する。あるいは、遷移金属錯体を、中性NCA前駆体、例えばB(C6F5)3と反応させてもよく、これは錯体からアニオン性基を除去して活性化種を形成する。有用な活性化剤としては、ジ(水素化牛脂)メチルアンモニウム[テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート](すなわち、[M2HTH]B(C6F5)4)及びジ(オクタデシル)トリルアンモニウム[テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート](すなわち、[DOdTH]B(C6F5)4)が挙げられる。
【0120】
本発明に特に有用な活性化剤化合物としては、以下の1つ以上が挙げられる。
N,N-ジ(水素化牛脂)メチルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ヘキサデシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-テトラデシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ドデシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-デシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-オクチル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ヘキシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ブチル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-オクタデシル-N-デシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ノナデシル-N-ドデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ノナデシル-N-テトラデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-4-ノナデシル-N-ヘキサデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-エチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジオクタデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジヘキサデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジテトラデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジドデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N,N-ジオクチルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-エチル-N,N-ジオクタデシルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N,N-ジ(オクタデシル)トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N,N-ジ(ヘキサデシル)トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N,N-ジ(テトラデシル)トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N,N-ジ(ドデシル)トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-オクタデシル-N-ヘキサデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-オクタデシル-N-ヘキサデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-オクタデシル-N-テトラデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-オクタデシル-N-ドデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-オクタデシル-N-デシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-ヘキサデシル-N-テトラデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-ヘキサデシル-N-ドデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-ヘキサデシル-N-デシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-テトラデシル-N-ドデシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-テトラデシル-N-デシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-ドデシル-N-デシル-トリルアンモニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N-オクタデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N-ヘキサデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N-テトラデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N-ドデシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、
N-メチル-N-デシルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]、及び
N-メチル-N-オクチルアニリニウム[テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート]。
【0121】
さらなる有用な活性化剤及び非芳香族炭化水素可溶性活性化剤の合成は、参照することにより本明細書に援用する2019年4月25日に出願されたUSSN 16/394,166、2019年4月25日に出願されたUSSN 16/394,186、及び2019年4月25日に出願されたUSSN 16/394,197に記載されている。
同様に、特に有用な活性化剤としては、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート及びジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロ-2-ナフタレニル)ボラートもある。有用な活性化剤のより詳細な説明についてはWO 2004/026921の72ページ段落[00119]~81ページ段落[00151]を参照されたい。本発明の実施に使用できるさらに特に有用な活性化剤のリストは、WO 2004/046214の72ページ段落[00177]~74ページ段落[00178]で見つけられる。
有用な活性化剤の説明についてはUS 8,658,556及びUS 6,211,105を参照されたい。
【0122】
本明細書で用いる好ましい活性化剤としては、N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、[Me3NH+][B(C6F5)4
-];1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム;及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジンも挙げられる。
【0123】
好ましい実施形態では、活性化剤は、トリアリールカルベニウム(例えばトリフェニルカルベニウムテトラフェニルボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート)を含む。
別の実施形態では、活性化剤は、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリアルキルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、N,N-ジアルキル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、ジ(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、(アルキルは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、又はt-ブチルである)の1つ以上を含む。
【0124】
典型的な活性化剤対触媒比、例えば、全てのNCA活性化剤対触媒比は、約1:1のモル比である。代わりの好ましい範囲としては、0.1:1~100:1、あるいは0.5:1~200:1、あるいは1:1~500:1、あるいは1:1~1000:1が挙げられる。特に有用な範囲は、0.5:1~10:1、好ましくは1:1~5:1である。
触媒化合物をアルモキサンとNCAの組み合わせ(例えば、イオン化活性化剤と組み合わせたアルモキサンの使用を開示するUS 5,153,157;US 5,453,410;EP 0 573 120 B1;WO 1994/007928;及びWO 1995/014044(これらの開示内容は、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる)参照)と併用できることも本開示の範囲内である。
【0125】
任意的なスカベンジャー、共活性化剤、連鎖移動剤
活性化剤化合物に加えて、スカベンジャー又は共活性化剤を使用してよい。スカベンジャーは、典型的に不純物を除去することによって重合を促進するために添加される化合物である。活性化剤と反応し得るスカベンジャーもあり、共活性化剤と呼ぶことがある。活性触媒を形成するためにスカベンジャーでない共活性化剤を活性化剤と併用してもよい。一部の実施形態では、共活性化剤を遷移金属化合物と予混合してアルキル化遷移金属化合物を形成することができる。
共活性化剤として、アルモキサン、例えばメチルアルモキサン、変性アルモキサン、例えば変性メチルアルモキサン、及びアルミニウムアルキル、例えばトリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソプロピルアルミニウム、トリn-ヘキシルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム、トリn-デシルアルミニウム又はトリn-ドデシルアルミニウムを挙げることができる。プレ触媒がジヒドロカルビル又はジヒドリド錯体でないとき、共活性化剤は、典型的にルイス酸活性化剤及びイオン性活性化剤と併用する。共活性化剤をスカベンジャーとして用いて供給原料又は反応器内の不純物を不活化することもある。
【0126】
スカベンジャー又は共活性化剤として利用し得るアルミニウムアルキル又は有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn-ヘキシルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム、及びジアルキル亜鉛、例えばジエチル亜鉛が挙げられる。
本明細書に記載の組成物及びプロセスに連鎖移動剤を使用してよい。有用な連鎖移動剤は、典型的に水素、アルキルアルモキサン、式AlR3、ZnR2(各Rは、独立に、C1-C8脂肪族基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル又はこれらの異性体である)によって表される化合物又はその組み合わせ、例えばジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、又はその組み合わせである。
【0127】
重合プロセス
溶液重合プロセスを利用して、当業者に既知のいずれの適切な様式でも本明細書で開示する重合反応を行うことができる。特定実施形態では、連続重合プロセスで重合プロセスを行ってよい。用語「バッチ」は、重合反応の完了時に重合反応容器から全反応混合物を取り出すプロセスを指す。対照的に、連続重合プロセスでは、1種以上の反応体を反応容器に連続的に導入し、ポリマー生成物を含む溶液を同時に又はほぼ同時に取り出す。溶液重合は、不活性溶媒若しくはモノマー又はそれらのブレンドのような液体重合媒体にポリマーが溶解する重合プロセスを意味する。溶液重合は典型的に、均一である。均一重合は、ポリマー生成物が重合媒体に溶解する重合である。該系は、J. Vladimir Oliveira, et al. (2000)Ind. Eng. Chem. Res., v.29, pgs. 4627に記載のように好ましくは混濁しない。
【0128】
典型的な溶液プロセスでは、触媒成分、溶媒、モノマー及び水素(使用するとき)を加圧下で1つ以上の反応器に供給する。反応器内の温度制御は一般的に、重合熱の平衡を保つことによって、及び反応器の中身を冷却するための反応器ジャケット若しくは冷却コイル、自動冷却、予冷供給、液体媒体(希釈剤、モノマー又は溶媒)又は全3種の組み合わせの気化による反応器冷却によって得ることができる。予冷供給を備えた断熱性反応器を使用することもできる。第1の反応器に供給する前にモノマーを溶媒に溶解/分散させるか又は反応混合物に溶解させる。溶媒及びモノマーは一般的に精製して、反応器に入る前に可能性のある触媒毒を除去する。第1の反応器に供給する前に供給原料を加熱又は冷却してもよい。第2の反応器に追加のモノマー及び溶媒を添加してよく、それを加熱又は冷却してよい。第1の反応器に触媒/活性化剤を供給するか又は2つの反応器間に分けてもよい。溶液重合では、生成ポリマーは可溶性であり、反応器条件下で溶媒に溶解したままであり、ポリマー溶液(流出液とも呼ばれる)を形成する。
【0129】
本発明の溶液重合プロセスは、1つ以上の撹拌重合反応器を含む撹拌反応器システムを使用する。一般的に、反応体の徹底的混合を果たす条件下で反応器を操作すべきである。多段反応器システムでは、第1の重合反応器は、好ましくはより低い温度で作動する。各反応器内の滞留時間は、反応器のデザイン及び容量に依存することになる。触媒/活性化剤を第1の反応器のみに供給するか又は2つの反応器間に分けることができる。代替実施形態では、本発明のためにループ反応器及び栓流反応器を利用することができる。
次にポリマー溶液を流出液流として反応器から排出させ、典型的にはさらに重合しないように配位性極性化合物で重合反応をクエンチする。反応器システムを去ると、ポリマー溶液は、液化システム及びポリマー仕上げプロセスへのルートにある熱交換器システムを通過する。液相分離の下流で除去される希薄相及び揮発物を再循環させて重合供給の一部とすることができる。
反応器の流出液又は混合流出液から、流出液の他成分からポリマーを分離することによってポリマーを回収することができる。通常の分離手段を利用してよい。例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、又はn-ブチルアルコール等の非溶媒による凝固によって流出液からポリマーを回収することができ、あるいは熱又は蒸気による溶媒又は他媒体の熱及び減圧ストリッピングによってポリマーを回収することができる。回収手順中に酸化防止剤等の1種以上の通常の添加剤をポリマーに組み入れることができる。下限臨界溶液温度(LCST)の使用後の液化のような他の回収方法も想定される。
【0130】
重合反応を行うために適した希釈剤/溶媒としては、非配位性不活性液体がある。特定実施形態では、本明細書で開示する溶液重合反応用の反応混合物は、少なくとも1種の炭化水素溶媒を含んでよい。例としては、直鎖及び分岐鎖炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、及びその混合物;環式及び脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びその混合物、例えば市販されている(Isopar(商標));ハロゲン化及びペルハロゲン化炭化水素、例えばペルフルオロC4-C10アルカン、クロロベンゼン、及びその混合物;並びに芳香族及びアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレン、エチルベンゼン、キシレン、及びその混合物が挙げられる。前述の炭化水素溶媒のいずれの混合物を使用してもよい。適切な溶媒としては、モノマー又はコモノマーとして反応し得る液体オレフィンも含まれ、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、及びその混合物が挙げられる。別の実施形態では、溶媒は芳香族でなく、好ましくは芳香族化合物は、溶媒の質量に基づいて1wt%未満、好ましくは0.5wt%、好ましくは0wt%未満で溶媒中に存在する。
【0131】
本明細書で開示する重合方法及び溶液重合条件を利用していずれのオレフィン供給原料をも重合させることができる。適切なオレフィン供給原料としては、直鎖又は分希鎖、環式又は非環式であってよく、かつ任意に末端又は非末端のヘテロ原子置換を含有してよいいずれのC2-C40アルケンも含まれる。より具体的な実施形態では、オレフィン供給原料は、C2-C20アルケン、特に直鎖アルファオレフィン、例えば、エテン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、又は1-ドデセンを含み得る。他の適切なオレフィンモノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー、ビニルモノマー及び環式オレフィンが挙げられる。非限定オレフィンモノマーとしては、ノルボルネン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、シクロペンテン、及びシクロヘキセンも含まれる。いずれの単一のオレフィンモノマー又はオレフィンモノマーのいずれの混合物も本明細書の開示に従って重合を受けることができる。あるいは、本明細書で使用するオレフィン供給原料にジエンは存在しない。
さらに特定の実施形態では、本明細書に開示する反応混合物に存在する1種以上のオレフィンモノマーは、少なくともエチレン及びプロピレンを含む。
【0132】
好ましい重合は、所望のポリマーを得るのに適したいずれの温度及び/又は圧力でも進行し得る。本明細書に開示する重合プロセスでの使用に適した溶液重合条件には、約0℃~約300℃、又は約20℃~約200℃、又は約35℃~約180℃、又は約70℃~約140℃、又は約60℃~約180℃、又は約70℃~約170℃、又は約90℃~約160℃、又は約100℃~約170℃の範囲の温度が含まれる。圧力は、約0.1MPa~約15Mpa、又は約0.2MPa~約12Mpa、又は約0.5MPa~約10Mpa、又は約1Mpa~約7Mpaの範囲であってよい。重合実行時間(滞留時間)は、約300分まで、特に約5分~約250分、又は約10分~約120分の範囲内であり得る。
メルトインデックス及び/又は分子量分布の制御を改善するため、小量の水素、例えば反応器に供給される総溶液に基づいて、質量で1~5,000(100万分の1)(ppm)の水素を反応器システムの供給流の1つ以上に添加してよい。一部の実施形態では、溶液重合プロセスにおいて反応容器に水素を含めてよい。種々の実施形態によれば、反応混合物中の水素ガスの濃度は、約5,000ppmまで、又は約4,000ppmまで、又は約3,000ppmまで、又は約2,000ppmまで、又は約1,000ppmまで、又は約500ppmまで、又は約400ppmまで、又は約300ppmまで、又は約200ppmまで、又は約100ppmまで、又は約50ppmまで、又は約10ppmまで、又は約1ppmまでの範囲であり得る。一部又は他の実施形態では、水素ガスは、反応容器内に約0.007~345kPa、又は約0.07~172kPa、又は約0.7~70kPaの分圧で存在してよい。一部の実施形態では、水素を添加しなくてよい。
【0133】
一実施形態では、重合プロセスにおけるプロピレンコポリマーの触媒生産性は、触媒1kg当たり100,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり200,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり300,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり400,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり500,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり800,000kg以上のポリマー、触媒1kg当たり1,000,000kg以上のポリマーである。
長鎖分岐(LCB)構造を有するプロピレンコポリマーは多くの用途に有利である。触媒に加えて、プロセス条件は、LCB生成物の生産向上に重要な役割を果たす。一実施形態では、重合は、高ポリマー濃度及び低モノマー濃度を有するプロセス条件で行われる。好ましくは、ポリマー濃度は8wt%以上、又は10wt%以上、又は15wt%以上、又は20wt%以上である。エチレン濃度は、2モル/リットル以下、又は1.5モル/リットル以下、又は1.0モル/リットル以下、又は0.5モル/リットル以下、又は0.2モル/リットル以下である。高モノマー転化率もLCBポリマーの生産に好ましい。好ましい実施形態では、転化率は、30%以上、又は40%以上、又は50%以上、又は60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は85%以上、又は90%以上又は95%以上である。
【0134】
本発明の触媒は、高分子量及び高立体規則性のプロピレンコポリマーを高重合温度で生成する能力を有することが分かった。一実施形態では、重合プロセスの重合温度は70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上、110℃以上、120℃以上、130℃以上、140℃以上、150℃以上である。プロピレンコポリマーの分子量は、重合温度と共に減少し、反応媒体中のモノマー濃度と共に増加する、あるいは、重合温度は少なくともTP1の温度であり、TP1=59.97*EXP(0.0115*MFR)である。好ましくは、重合温度は、少なくともTP2の温度であり、TP2=60.199*EXP(0.0142*MFR)である。TP1及びTP2の単位は℃であり、MFRは、ASTM D1238に従って230℃の温度及び2.16kgの質量で測定されるg/10分のメルトフローレートである。
好ましい実施形態では、重合は、1)70℃以上の温度(好ましくは80℃以上、好ましくは85℃以上)で行われ;2)15MPaまで(好ましくは0.35~12Mpa、好ましくは0.45~10Mpa、好ましくは0.5~10MPa)の大気圧の圧力で行われ;3)脂肪族炭化水素溶媒(例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、及びその混合物;環式及び脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びその混合物)中で行われ(好ましくは芳香族(例えばトルエン)は溶媒中に好ましくは溶媒の質量に基づいて1wt%未満、好ましくは0.5wt%未満、好ましくは0wt%未満で存在する);4)重合は好ましくは1つの反応ゾーンで起こり;5)触媒化合物の生産性は触媒1kg当たり200,000kg以上のポリマー(好ましくは触媒1kg当たり300,000kg以上のポリマー、例えば触媒1kg当たり350,000kg以上のポリマー、例えば触媒1kg当たり400,000kg以上のポリマー、例えば触媒1kg当たり500,000kg以上のポリマー、例えば触媒効率は、触媒当たり約100,000kgのポリマーから触媒当たり約1,500,000kgのポリマー、例えば触媒1kg当たり500,000kg以上のポリマー、例えば触媒効率は触媒当たり約100,000kgのポリマーから触媒当たり約2,500,000kgまでのポリマーであり得る)であり;6)エチレン濃度は1モル/リットル以下である。
【0135】
本明細書の実施形態では、本発明は、モノマー(例えばプロピレン)、及び場合によってはコモノマーが、上記活性化剤及び少なくと1種の触媒化合物を含む触媒系と接触する均一重合プロセスに関する。触媒化合物及び活性化剤は、いずれの順序で混ぜ合わせてもよく、モノマーとの接触前に混ぜ合わせてもよい。一実施形態では、キャリング溶媒に触媒を溶かすことによって均一触媒溶液を調製する必要なく、触媒及び活性化剤を重合反応器中に乾燥粉末又はスラリーの形態で供給することができる。触媒及び活性化剤が反応器に入る前に触媒及び活性化剤を混合するか、又は反応器内で接触させることができる。触媒及び活性化剤の別々の溶液をそれぞれ反応器に供給してもよい。
本発明の重合プロセスは、技術上周知のいずれの方法でも行うことができる。技術上周知のいずれの懸濁、均一、バルク、溶液、スラリー、又は気相重合プロセスをも利用することができる。該プロセスをバッチ、セミバッチ、又は連続方式で行なうことができる。均一重合プロセス、例えば少なくとも90wt%の生成物が反応媒体に溶けるプロセスが好ましい。有用な実施形態では、プロセスは溶液プロセスである。あるいは、溶媒若しくは希釈剤が反応媒体に存在しないか又は反応媒体に添加されず(触媒系若しくは他の添加剤のためのキャリヤーとして使用する小量、又はモノマーと共に通常見られる、例えば、プロピレン中のプロパンの量を除いて)、かつ重合がバルクプロセスで行われる。
【0136】
「重合ゾーン」とも呼ばれる「反応ゾーン」は、重合が起こる容器、例えばバッチ反応器である。多段反応器を直列又は並列配置で使用するときは、各反応器を別々の重合ゾーンとみなす。バッチ及び連続の両反応器での多段階重合については、各重合段階を別々の重合ゾーンとみなす。好ましい実施形態では、重合は1つの反応ゾーンで起こる。あるいは直列配置の2つの反応器をプロピレンコポリマーの重合に使用することができる。
一実施形態では、重合プロセスは、並列配置の2つ以上の反応器を含む。各反応器から生成されるプロピレンコポリマーは、異なる分子量及び組成を有する。好ましい1つの反応器を用いて、第2の反応器から生成されるより少ないエチレン含量及び低い分子量を有するプロピレンコポリマーを生成する。2つの反応器の生成物の混合物は、二峰性組成分布を有する。好ましくは、2つの反応器からの流出液を混合又はブレンドして、生成物回収及び仕上げ用の単一流を形成する。
【0137】
一実施形態では、重合プロセスは、直列配置の2つ以上の反応器を含む。好ましくは、触媒を第1の反応器だけに供給する。あるいは、触媒供給を反応器間に分ける。各反応器から生成されるプロピレンコポリマーは、異なる分子量及び組成を有する。好ましい1つの反応器を用いて、第2の反応器から生成されるより低い分子量を有するプロピレンコポリマーを生成する。2つの反応器の生成物の混合物は二峰性分子量分布を有する。好ましくは、第2の反応器から誘導されるプロピレンコポリマーのMwは、200,000g/モル以上である。
必要に応じて、例えば1種以上のスカベンジャー、水素、アルミニウムアルキル、シラン、又は連鎖移動剤(例えばアルキルアルモキサン、式AlR3又はZnR2で表される化合物(各Rは、独立に、C1-C8脂肪族基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル若しくはこれらの異性体である)又はその組み合わせ、例えばジエチル亜鉛、メチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、又はその組み合わせ)等の他の添加剤を重合に用いてもよい。
代替実施形態では、触媒活性は少なくとも10,000g/mmol/時間、好ましくは100,000g/mmol/時間以上、好ましくは500,000g/mmol/時間以上、好ましくは1,000,000g/mmol/時間以上、好ましくは2,000,000g/mmol/時間以上、好ましくは5,000,000g/mmol/時間以上である。代替実施形態では、オレフィンモノマーの転化率は、生じたポリマー及び反応ゾーンに入るモノマーの質量に基づいて、少なくとも10%、好ましくは20%以上、好ましくは30%以上、好ましくは40%以上、好ましくは50%以上である。
【0138】
ポリオレフィン生成物
本発明は、本明細書に記載の方法によって生成される組成物にも関する。本明細書に記載のプロセスを用いてオレフィン又はオレフィン混合物のポリマーを生成し得る。調製し得るポリマーには、35mol%以下のエチレン(あるいは0.1~35mol%のエチレン)を含有する1種以上のC3-C20アルファオレフィンが含まれる。好ましいコポリマーには、プロピレンと35mol%までのエチレンとのコポリマーが含まれる。他の好ましいポリマーとしては、プロピレン、エチレン及び1種以上のC4-C20オレフィンのコポリマーが含まれ、このコポリマーは、好ましくは35mol%未満のエチレン含量を有する(あるいは0.1~35mol%のエチレン含量を有する)。好ましくは、本明細書で生成されるコポリマーにはジエンは存在しない。
好ましい実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、プロピレンコポリマー、例えば1と10の間(好ましくは2~8、好ましくは2~6、好ましくは2~5)のMw/Mnを有するプロピレン-エチレンを生成する。
好ましい実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、好ましくは0.1~35mol%(あるいは0.5~20モル%、あるいは1~15モル%、好ましくは3~10mol%)のエチレンを有するプロピレンとエチレンのコポリマーである。
別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、エチレン及び1種以上のC3-C20アルファオレフィンのポリマーであり、好ましくは0.1~35mol%のエチレンを有する。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、プロピレンと、エチレンと、1種以上のC4-C20アルファオレフィンとのターポリマーであり、好ましくは0.1~35mol%のエチレンを有する。
別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、エチレン及びC4-C20オレフィンコモノマー(好ましくはエチレン及び/又はC4-C12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)のコポリマーであり、好ましくは7~35wt%(あるいは10~32wt%、あるいは11~25wt%)の1種以上のC4-C20オレフィンコモノマー(好ましくはC4-C12アルファオレフィン、好ましくはブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有する。
【0139】
別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、プロピレンのコポリマーであり、好ましくは7~35wt%(あるいは10~32wt%、あるいは11~25wt%)の1種以上のC2若しくはC4-C20オレフィンコモノマー(好ましくはエチレン又はC4-C12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有する。
あるいは、本明細書で生成されるコポリマーは、プロピレンと、5~35wt%(あるいは10~32wt%、あるいは11~25wt%)の、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンの1、2、3、4又は5種以上とのコポリマーである。
好ましくは本明細書で生成されるコポリマーは、プロピレンと、5~35mol%(あるいは7~30mol%、あるいは10~27mol%)のエチレンとのコポリマーである。
あるいは、本明細書で生成されるポリマーは、プロピレンとエチレンのコポリマーであり、好ましくは0.1~35mol%(あるいは0.5~30mol%、あるいは5~26mol%、好ましくは10~24mol%)のエチレンを有する。あるいは、本明細書で生成されるポリマーは、プロピレンのコポリマーであり、好ましくは0.1~26wt%(あるいは0.3~22wt%、あるいは3~19wt%、好ましくは7~17wt%)のエチレンを有する。
あるいは、本明細書で生成されるポリマーは、エチレンとC4-C8アルファオレフィンとのコポリマーであり、好ましくは0.1~35mol%(あるいは0.5~30mol%、あるいは5~26mol%、好ましくは10~24mol%)のエチレンを有する。
一実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、エチレンとC3-C20アルファオレフィンとのコポリマーであり、0.1~35mol%(あるいは0.5~30mol%、あるいは5~26mol%、好ましくは10~24mol%)のエチレンを有する。
【0140】
実施形態では、プロピレンコポリマーは、50,000g/mol以上、又は約100,000g/mol以上、又は約150,000g/mol以上、又は約200,000g/mol以上、又は約300,000g/モル以上、又は約400,000g/mol以上の質量平均分子量(Mw);25,000g/mol以上、50,000g/mol以上、75,000g/mol以上、100,000g/mol以上、150,000g/mol以上、200,000g/mol以上の数平均分子量(Mn);1.5~15、又は2.0~10、又は2.0~5、又は2.5~10の範囲のMWD(Mw/Mn、PDIとも呼ばれる)を有する。特許請求の範囲の目的では(特に明記しない限り)、分子量(Mz、Mw、Mn等)のモーメントは、赤外検出器を用いる高温度ゲル浸透クロマトグラフィー(詳細についてはGPC-4Dセクション参照)(GPC-IR)を利用することによって決定される。
実施形態では、プロピレンコポリマーは、800g/10分以下、又は600g/10分以下、又は400g/10分以下、又は200g/10分以下、又は100g/10分以下、又は80g/10分以下、又は60g/10分以下、又は30g/10分以下、又は10g/10分以下、又は5g/10分以下、又は3g/10分以下、又は1g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有する。あるいは、プロピレンコポリマーは、0.1g/10分以上、1.0g/10分以上、又は100g/10分以上、又は500g/10分以上、又は800g/10分以上、又は1200g/10分以上、又は1500g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有する。好ましくは、プロピレンコポリマーは、0.1~1000g/10分(あるいは0.5~200g/10分、0.5か100g/10分、1~100g/10分、2~50g/10分、2~30g/10分)のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0141】
実施形態では、プロピレンコポリマーは、500mPa.秒以上、又は1,000mPa.秒以上、又は5,000mPa.秒以上、又は10,000mPa.秒以上、又は100,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度を有する。ブルックフィールド粘度は、190℃の温度でASTM D2983の手順に従って測定される。
実施形態では、プロピレンコポリマーは、155℃以下、140℃以下、130℃以下、110℃以下、90℃以下の融解温度を有する。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、少なくとも10℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも30℃、又は少なくとも50℃、又は少なくとも60℃の融点を有し得る。例えば、ポリマーは、少なくとも10℃から約130℃までの融点を有し得る。あるいは、本明細書で生成されるポリマーは、10℃以下、好ましくは5℃以下の融解温度を有する。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは非晶質であり、DSCで融解温度を測定できない。
【0142】
実施形態では、プロピレンコポリマーは、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下、80℃以下の結晶化温度を有する。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、少なくとも-10℃、又は少なくとも10℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも30℃の結晶化点を有し得る。例えば、ポリマーは、少なくとも-10℃から約130℃までの結晶化点を有し得る。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは非晶質であり、DSCで結晶化温度を測定できない。
実施形態では、プロピレンコポリマーは、5℃以下、0℃以下、-10℃以下、-20℃以下、-25℃以下、-30℃以下のガラス転移温度を有する。好ましくはプロピレンコポリマーは、-40~-2℃(あるいは-35~-5℃、-35~-15℃、-35~-20℃、-33~-25℃、-20~-10℃)のガラス転移温度を有する。
実施形態では、プロピレンコポリマーは、100J/g以下、80J/g以下、70J/g以下の融解熱を有する。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、少なくとも5J/g、又は少なくとも10J/g、又は少なくとも15J/g、又は少なくとも20J/gの融解熱を有し得る。例えば、ポリマーは少なくとも5J/gから約180J/gまでの融解熱を有し得る。別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは非晶質であり、DSCで結晶化ピーク及び融解ピークを測定できない。
【0143】
実施形態では、プロピレンコポリマーは長鎖分岐構造を有する。長鎖分岐度は、GPC-4Dを用いて測定される分岐指数によって計測される。好ましくは分岐指数g’visは、0.95以下、又は0.90以下である。あるいは、分岐指数g’visは、0.8~1.0(あるいは0.85~0.99、0.9~0.98、0.85~0.90、0.90~1.0、0.9~0.95)である。
実施形態では、プロピレンコポリマーは、0.1ラジアン/秒の周波数及び190℃の温度で500Pa.s以上、1,000Pa.s以上、2,000Pa.s以上、5,000Pa.s以上、10,000Pa.s以上の錯体せん断粘度を有する。別の実施形態では、プロピレンコポリマーは、10ラジアン/秒及び190℃の温度で50Pa.s以上、100Pa.s以上、500Pa.s以上、1,000Pa.s以上、1,500Pa.s以上の錯体せん断粘度を有する。別の実施形態では、プロピレンコポリマーは、1.2以上、2.0以上、5.0以上、8.0以上、10以上のせん断減粘率を有する。せん断減粘率は、周波数0.1ラジアン/秒での錯体粘度と周波数100ラジアン/秒での錯体粘度の比として定義され、錯体粘度は190℃の温度で測定される。
【0144】
重合は、直列又は並列配置の多段反応器で行うことができる。一実施形態では、コポリマーは、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の反応器ブレンドである。従って、第1のポリマー成分のコモノマー含量を調整し、第2のポリマー成分のコモノマー含量を調整し、及び/又はコポリマー中に存在する第1のポリマー成分と第2のポリマー成分の比を調整することによって、コポリマーのコモノマー含量を調整することができる。
コポリマーが反応器ブレンドポリマーである実施形態では、第1のポリマー成分のエチレン含量は、第1のポリマー成分の総質量に基づいて、5wt%超、7wt%超、10wt%超、12wt%超、15wt%超、又は17wt%超であり得る。第2のポリマー成分のエチレン含量は、第1のポリマー成分の総質量に基づいて、30wt%未満、20wt%未満、15wt%未満、10wt%未満、7wt%未満、又は5wt%未満であり得る。
実施形態では、第1のポリマー成分の質量平均分子量は、第2のポリマー成分のものより大きい。実施形態では、第1のポリマー成分の質量平均分子量は、約150,000g/mol超、又は約200,000g/mol、又は約250,000g/molである。好ましくは、第2のポリマー成分の質量平均分子量は、約400,000g/mol未満、又は約300,000g/mol、又は約250,000g/mol、又は約200,000g/mol未満、又は約150,000g/mol、又は約100,000g/molである。
【0145】
定義により、ブロックコポリマーは、反応性比の積(r1r2)が1より大きいコポリマーである。触媒「M」の存在下でのモノマー「E」及び「P」間の共重合は、下記反応スキーム及び速度式によって表すことができ、R11は「E」後の「E」挿入速度であり、R12は「E」後の「P」挿入速度であり、R21は「P」後の「E」挿入速度であり、R22は「P」後の「P」挿入速度であり、k11、k12、k21、及びk22は、それぞれに対応する速度定数である。反応スキーム及び速度式を以下に示す。
【0146】
【0147】
反応性比r1及びr2は、以下のとおりである。
【0148】
【0149】
積r1×r2は、異なるモノマー自体がポリマー鎖に沿ってどのように分布するかに関する情報を提供する。以下に、交互、ランダム及びブロックコポリマー及び積r1×r2がそれぞれにどのように関連するかを示す。
【0150】
【0151】
r1及びr2は、コポリマーにおけるそれぞれエチレン及びプロピレンの反応性をも表し、これらを用いて触媒系の特徴を記述する。r1とr2の積r1r2は、コポリマーの主鎖におけるモノマーの分布を表す。一実施形態では、プロピレンコポリマーのr1r2は0.9~5.0、あるいは1.0~4.0、あるいは1.0~3.0、あるいは1.0~2.5、あるいは1.1~2.0、あるいは1.1~2.0、あるいは1.2~2.0、あるいは1.2~2.0、あるいは1.4~2.0、あるいは1.0~1.3、あるいは1.1~1.3、あるいは1.4~1.6の範囲内である。本発明の一部の実施形態では、r1r2は、0.9超、あるいは1.0超、あるいは1.1超、あるいは1,2超、あるいは1.3超、あるいは1,4超であり、上限は5.0以下、あるいは4.0以下、あるいは3.0以下、あるいは2.8以下、あるいは2.5以下、あるいは2.2以下、あるいは2.0以下である。
一実施形態では、プロピレンコポリマーのr1r2は、0.8~3.0、あるいは0.9~2.6、あるいは1.0~2.2、あるいは1.1~1.8の範囲内である。
本発明の一部の実施形態では、r1r2は、1.12-(0.0157x)超、あるいは1.15-(0.0157x)超、あるいは1.20-(0.0157x)超、あるいは1.3-(0.0157x)超であり、xは、13C NMRで測定されるエチレンのwt%である。
【0152】
ポリオレフィンに関する13C-NMR分光法
13C-NMR分光法によって、アイソタクチック及びシンジオタクチック二連構造(diad)([m]及び[r])、三連構造(triad)([mm]及び[rr])、及び五連構造(pentad)([mmmm]及び[rrrr])の濃度を含め、ポリプロピレンの微細構造を決定する。表示「m」又は「r」は、近接プロピレン基対の立体化学を記述し、「m」はメソを指し、「r」はラセミを指す。サンプルをd2-1,1,2,2-テトラクロロエタンに溶かし、125MHz(以上)のNMR分光計を用いて120℃でスペクトルを記録する。ポリマーの共鳴ピークを基準mmmm=21.83ppmとする。NMRによるポリマーの特徴づけに関わる計算については、F. A. BoveyによってPolymer Conformation and Configuration (Academic Press, New York 1969)に及びJ. RandallによってPolymer Sequence Determination, 13C-NMR Method(Academic Press, New York, 1977)に記載されている。
【0153】
本明細書で生成される好ましいポリマーは、1より大きいmとrの比(m/r)を有する。本明細書では「m/r」と表すプロピレン立体規則性指数は、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定される。プロピレン立体規則性指数m/rは、H.N. Cheng, (1984)Macromolecules, v.17, pg. 1950に定義されているように計算される。表示「m」又は「r」は、近接プロピレン基対の立体化学を記述し、「m」はメソを指し、「r」はラセミを指す。0から1.0未満までのm/r比は、一般的にシンジオタクチックポリマーを表し、1.0のm/r比はアタクチック物質を表し、1.0超のm/r比はアイソタクチック物質を表す。アイソタクチック物質は、理論的に無限大に近づく比を有する可能性があり、多くの副生物アタ
クチックポリマーは、50超の比をもたらすのに十分なアイソタクチック含量を有する。
好ましい実施形態では、本明細書で生成される好ましいプロピレンポリマーは、アイソタクチック立体規則性のプロピレン結晶化度を有する。本明細書で使用する用語「立体規則性」は、エチレン等のいずれの他のモノマーをも含めないポリプロピレン中のプロピレン残基の非常に多く、すなわち80%超が同一の1,2挿入を有し、かつペンダントメチル基の立体化学的配向性が同一のメソ又はラセミであることを意味する。
ポリマーの「mm三連構造立体規則性指数」は、頭-尾配置で結合した一連の3つの隣接プロピレン単位の相対的アイソタクチック性(isotacticity)の尺度である。本発明では、ポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーのmm三連構造立体規則性指数をmmフラクションの100倍として表し;この積が%mmに等しい。mmフラクションは、コポリマー中の全てのプロピレン三連構造に対するメソ立体規則性の単位の数の比である。
【0154】
【0155】
式中、PPP(mm)、PPP(mr)及びPPP(rr)は、下記フィッシャー投影図に示す、3つの頭-尾プロピレン単位について可能な三連構造配置の第2の単位のメチル基から誘導されるピーク面積を表す。
【0156】
【0157】
プロピレンポリマーのmmフラクションの計算は、米国特許第5,504,172号(ホモポリマー:25欄49行~27欄26行;コポリマー:28欄38行~29欄67行)に記載されている。mm三連構造立体規則性を13C-NMRスペクトルから決定する方法に関するさらなる情報については、1)J. A. Ewen, Catalytic Polymerization of Olefins: Proceedings of the International Symposium on Future Aspects of Olefin Polymerization, T. Keii and K. Soga, Eds. (Elsevier, 1986), pp. 271-292;及び2)米国特許出願公開第US2004/054086号(段落[0043]~[0054])を参照されたい。
同様に、m二連構造及びr二連構造は、以下のように計算することができ、mm、mr及びmrは、上記定義どおりである。
m=mm+1/2mr
r=rr+1/2mr
【0158】
13C NMRを用いて、J.C. Randallの論文:Polymer Reviews, 1989, v.29(2), pp. 201-317に記載の手順を利用してモノマー含量及びエチレン-プロピレンコポリマーの配列分布を決定した。この論文には、EEE、EEP、PEP、EPE、EPP及びPPPと称し、モル分率として報告された1,2プロピレン付加三連構造配列分布に関する測定及び計算が含まれる。上記論文で確立された方法に従ってmol%のプロピレン含量、実行数、平均配列長さ、及び二連構造/三連構造分布を全て計算した。r1r2の計算は、式r1r2=4*[EE]*[PP]/[EP]2に基づき;[EE]、[EP]、[PP]は二連構造のモル濃度であり;Eはエチレンであり、Pはプロピレンである。エチレンの他のコポリマーについて、同様の方法論を利用する。
本発明の一部の実施形態では、EEE三連構造配列分布は、(3x10-5)x2+0.0005x-0.0039より大きく、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0034より大きく、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0029より大きく、xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である。
【0159】
本発明の別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマーは、総プロピレンモノマーに基づいて、位置欠陥(regio defect)(13C NMRにより決定される)を有する。下記3タイプの欠陥を位置欠陥と定義する:2,1-エリスロ、2,1-スレオ、並びに3,1-異性化及びエチレン挿入後の欠陥。これらの構造及びピーク割当は、[L. Resconi, et al. (2000), Chem. Rev., v.100, pp. 1253-1345]に記載されている。位置欠陥は、それぞれカーボンNMRスペクトルに複数のピークを生じさせる。これらを全て積分及び平均して(それらがスペクトルの他のピークから分離される程度まで)、測定精度を改善する。解析に用いた分解可能な共鳴の化学シフトオフセットを下表に示す。正確なピーク位置は、NMR溶媒選択の関数としてシフトし得る。
【0160】
【0161】
各欠陥の平均積分を総面積(CH3、CH、CH2)の積分で割って、100を掛けて総欠陥濃度を決定し、mol%位置欠陥(位置エラーとも呼ばれる)として報告する。種の(αβ及びβγ)の定義は、Randall in “A Review Of High Resolution Liquid Carbon Nuclear Magnetic Resonance Characterization of Ethylene-Based Polymers”, Polymer Reviews, v.29:2,201-5 pg. 317 (1989)の定義どおりである。測定された異なるタイプの位置欠陥の合計(すなわち、2,1-E+2,1-P+2,1-EE)をmol%の単位の「総位置欠陥」として提示することができる。
本発明の実施形態では、総位置欠陥は0.1~2mol%(あるいは0.1~1.0mol%、0.5~1.0mol%、0.1~0.4mol%、0.5~1.5mol%)である。本発明の別の実施形態では、ポリマーは、0.01~1.2mol%、好ましくは0.05~1.0mol%、あるいは0.08~0.8mol%、あるいは0.10~約0.7mol%の総位置欠陥(総位置エラーとも呼ばれる)を有した。
本明細書で生成されるプロピレンコポリマーは、75%以上、80%以上、82%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の、13C NMRによって測定される3つのプロピレン単位のmm三連構造立体規則性指数を有し得る。1つ以上の実施形態では、本明細書で生成されるプロピレンコポリマーは、90%~100%(あるいは95%~99.9%、96~99.8%、97~99%、98~99.9%、99~99.9%、97~99.5%)の、13C NMRによって測定される3つのプロピレン単位のmm三連構造立体規則性指数を有する。
【0162】
本発明の好ましい実施形態では、ポリマーは、下記特性の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個を有するプロピレン-エチレンコポリマーである。
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 800g/10分以下、あるいは600g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 5~29mol%、あるいは5~26mol%のエチレン含量;
g) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
h) 120℃以下、あるいは100℃以下、あるいは0~120℃、0~100℃のTc;
i) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
j) 0.92~3.0、あるいは1.0~2.6(あるいは0.8~3.0、あるいは0.9~2.6)の範囲内のコポリマーのr1r2;
k) 0.01~2mol%、あるいは0.01~1.2、あるいは0.05~1.0mol%の総位置欠陥;
l) 1.12-(0.0157x)超、あるいは1.15-(0.0157x)超、あるいは1.20-(0.0157x)超、あるいは1.3-(0.0157x)超(xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である)のr1r2、
m) 90%以上、あるいは95%以上のmm三連構造立体規則性指数、及び
n) (3x10-5)x2+0.0005x-0.0039超、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0034超、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0029超(xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である)のEEE三連構造配列分布。
【0163】
好ましくは、コポリマーは、150℃以下のTm及び5J/g~80J/gの融解熱を有する。
本発明は、5~29mol%(例えば5~26mol%)のエチレン及び95~71mol%(例えば95~74)のプロピレンを含むコポリマーであって、下記特性:
i) 0.8~3.0、あるいは0.9~3.0、あるいは1.0~2.5、あるいは1.1~2.0(あるいは0.9~2.6)の範囲内のコポリマーのr1r2;
ii) 0.01~2mol%、あるいは0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%、あるいは0.5~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 90%以上、あるいは95%以上のmm三連構造立体規則性
を有するコポリマーにも関する。
本発明は、5~29mol%のエチレン及び95~71mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、コポリマーが下記特性:
i) 1.12-(0.0157x)超、あるいは1.15-(0.0157x)超、あるいは1.20-(0.0157x)超、あるいは1.3-(0.0157x)超(xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である)のr1r2;
ii) 0.01~2mol%、あるいは0.5~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 90%以上、あるいは95%以上のmm三連構造立体規則性
を有するコポリマーにも関する。
【0164】
本発明は、5~26mol%のエチレン及び95~74mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、コポリマーが下記特性:
i) 0.9~3.0、あるいは1.0~2.6の範囲内のコポリマーのr1r2;
ii) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 75%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性;並びに下記:
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 800g/10分以下、あるいは600g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
g) 120℃以下、あるいは100℃以下(例えば0~120℃)のTc;及び/又は
h) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
i) r1r2が1.12-(0.0157x)より大きい(xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である);
j) (3x10-5)x2+0.0005x-0.0039超、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0034超、あるいは(3x10-5)x2+0.0005x-0.0029超(xは、13C NMRによって測定されるエチレンのwt%である)のEEE三連構造配列分布
の1つ以上を有するコポリマーにも関する。
【0165】
ブレンド:
別の実施形態では、本明細書で生成されるポリマー(好ましくはプロピレンコポリマー)を、フィルム、成型部品又は他の物品に形成する前に1種以上のさらなるポリマーと組み合わせる。他の有用なポリマーとしては、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、及び/又はブテン、及び/又はヘキセンとのランダムコポリマー、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル、LDPE、LLDPE、HDPE、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸メチル、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメタクリラート又は高圧フリーラジカルプロセスによって重合可能な任意の他のポリマー、ポリビニルクロリド、ポリブテン-1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)、芳香族モノマーのポリマー、例えポリスチレン、ポリ-1エステル、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレングリコール、及び/又はポリイソブチレンが挙げられる。
【0166】
好ましい実施形態では、ポリマー(好ましくはポリエチレン又はポリプロピレン)は、上記ブレンド中に、ブレンド中のポリマーの質量に基づいて、10~99wt%、好ましくは20~95wt%、さらに好ましくは少なくとも30~90wt%、さらに好ましくは少なくとも40~90wt%、さらに好ましくは少なくとも50~90wt%、さらに好ましくは少なくとも60~90wt%、さらに好ましくは少なくとも70~90wt%で存在する。
上記ブレンドは、本発明のポリマーを1種以上のポリマー(上述した)と混合することによって、反応器を直列に接続して反応器ブレンドを作ることによって、又は同一反応器内で複数の触媒を用いて複数種のポリマーを生成することによって生成し得る。ポリマーを押出機に投入する前に混合することができ、又は押出機内で混合してよい。
ブレンドは、例えば、個々の成分の乾式ブレンディング、その後のミキサー内での溶融ミキシングによって、あるいは例えば、バンバリーミキサー、Haakeミキサー、ブラベンダー内部ミキサー等のミキサー内で直接成分を混合することによって、又はコンパウンディング押出機及び重合プロセスの下流で直接用いるサイドアーム押出機を含めてよい一軸若しくは二軸押出機内で直接成分を混合することによって(フィルム押出機のホッパーで樹脂の粉末又はペレットをブレンドすることを含み得る)、通常の機器及び方法を利用して生成し得る。さらに、ブレンド、ブレンドの1種以上の成分、及び/又は必要に応じて、例えばフィルムのようなブレンドから形成された製品に添加剤を含めてよい。該添加剤は、技術上周知周知であり、例えば、以下のものが挙げられる:フィラー;酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール類、例えばBASFから入手可能なIRGANOX(商標)1010又はIRGANOX(商標)1076);ホスファイト(例えば、BASFから入手可能なIRGAFOS(商標)168);粘着防止(anti-cling)添加剤;粘着付与剤、例えばポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、アルカリ金属及びグリセロールのステアラート、及び水素化ロジン;UV安定剤;熱安定剤;ブロッキング防止剤;離型剤;帯電防止剤;顔料;着色剤;染料;ワックス;シリカ;フィラー;タルク等。
【0167】
任意的添加剤と組み合わせた前述のポリマー及び組成物のいずれをも(例えば、米国特許出願公開第2016/0060430号、段落[0082]~[0093]参照)種々多様の最終用途に使用可能である。該最終用途は、技術上周知の方法で作り出すことができる。最終用途には、ポリマー製品及び特殊な最終用途を有する製品が含まれる。典型的な最終用途は、フィルム、フィルムベース製品、おむつ用バックシート、ハウスラップ、ワイヤー及びケーブルコーティング組成物、成形技術、例えば、射出成形又はブロー成形、押出コーティング、フォーミング、キャスティング、及びその組み合わせによって形成される物品である。最終用途には、フィルムから作られる製品、例えば、バッグ、パッケージング、及びパーソナルケアフィルム、ポーチ、医療用品、例えば、医療用フィルム及び静脈内(IV)バッグが含まれる。好ましい最終用途には、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)屋根板、発泡体、不織布、3Dプリンティング、及びリサイクルソリューションも含まれる。
【0168】
フィルム
詳細には、前述のプロピレンコポリマー又はそのブレンド等の前述のポリマーのいずれも、種々多様の最終用途に使用し得る。該用途には、例えば、単層又は多層ブロー成形、押出、及び/又はシュリンクフィルムが含まれる。これらのフィルムは、任意の数の周知押出又は共押出技術、例えばブローバブルフィルム加工技術によって形成可能である。この技術では、組成物を溶融状態で環状ダイを通して押し出してから膨張させて単軸若しくは二軸配向性融成物を形成した後、冷却して管状インフレーションフィルムを形成し、次に軸方向に細長く切って広げてフラットなフィルムを形成することができる。その後フィルムは無配向、一軸配向、又は同一若しくは異なる程度に二軸配向であってよい。フィルムの層の1つ以上を横方向又は縦方向に同一又は異なる程度まで配向させてもよい。一軸配向は、典型的な低温延伸又は高温延伸法を利用して達成することができる。二軸配向は、テンターフレーム装置又はダブルバブルプロセスを利用して達成可能であり、個々の層をまとめる前又は後に起こり得る。例えば、ポリエチレン及びプロピレンコポリマーを共押出してフィルムにしてから配向させることができる。同様に、配向プロピレンコポリマーを積層させて配向ポリエチレンにするか又は配向ポリエチレンをプロピレンコポリマー上にコーティングしてからこの組み合わせを任意にさらに配向させることもできるであろう。典型的にフィルムは流れ方向(Machine Direction)(MD)に15まで、好ましくは5と7の間の比率で配向され、横方向(TD)に15まで、好ましくは7~9の比率で配向される。しかしながら、フィルムの別の実施形態では、フィルムは、MDとTDの両方向に同程度まで配向される。
【0169】
フィルムは、意図して用途に応じて厚さが異なってよく;しかしながら、通常は1~50μmの厚さのフィルムが適している。包装を意図したフィルムは、通常は10~50μmの厚さである。密封層の厚さは、典型的に0.2~50μmである。フィルムの内面と外面の両方に密封層があってよく、あるいは密封層は内面だけ又は外面だけに存在してよい。
別の実施形態では、1つ以上の層をコロナ処理、電子ビーム照射、γ線照射、火炎処理、又はマイクロ波で改変してよい。好ましい実施形態では、表面層の一方又は両方をコロナ処理で改変する。
【0170】
別の実施形態では、本発明は、下記パラグラフに関するものである。
1. 均一相で、1種以上のC3-C20アルファオレフィン(例えばプロピレン)及びエチレンを、活性化剤と、下記式(I):
【0171】
【0172】
(式中:
Mは、第3、第4、第5、若しくは第6族遷移金属又はランタニドであり;
E及びE’は、それぞれ独立にO、S、又はNR9であり、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル又はヘテロ原子含有基であり;
Qは、金属Mとの配位結合を形成する第14、第15、又は第16族原子であり;
A1QA1’は、3原子架橋を介してA2をA2’に連結する、4~40個の非水素原子を含有するヘテロ環式ルイス塩基の一部であり、Qは、3原子架橋の中心原子であり、A1及びA1’は、独立にC、N、又はC(R22)であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビルから選択され;
【0173】
【0174】
は、2原子架橋を介してA1をE結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
【0175】
【0176】
は、2原子架橋を介してA1’をE’結合アリール基に連結する、2~40個の非水素原子を含有する二価基であり;
Lはルイス塩基であり;Xはアニオン性配位子であり;nは1、2又は3であり;mは0、1、又は2であり;n+mは4以下であり;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、
R1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;
任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよい)
によって表される触媒化合物とを含む触媒系と接触させること;及び
0.1~35モル%のエチレン及び99.9~65モル%のプロピレンを含むコポリマーを得ること
を含む重合プロセス。
2. 触媒化合物が、下記式(II):
【0177】
【0178】
(式中:
Mは、第3、第4、第5、若しくは第6族遷移金属又はランタニドであり;
E及びE’は、それぞれ独立にO、S、又はNR9であり、R9は、独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基であり;
各Lは、独立にルイス塩基であり;
各Xは、独立にアニオン性配位子であり;
nは1、2又は3であり;
mは0、1、又は2であり;
n+mは4以下であり;
R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’、及びR4’は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR1とR2、R2とR3、R3とR4、R1’とR2’、R2’とR3’、R3’とR4’の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよく;任意の2つのL基が結合して二座ルイス塩基を形成してよく;
X基がL基に結合してモノアニオン性二座基を形成してよく;
任意の2つのX基が結合してジアニオン性配位子基を形成してよく;
R5、R6、R7、R8、R5’、R6’、R7’、R8’、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立に水素、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有基であり、あるいはR5とR6、R6とR7、R7とR8、R5’とR6’、R6’とR7’、R7’とR8’、R10とR11、又はR11とR12の1つ以上が結合して、それぞれ5、6、7、又は8個の環原子を有し、かつ環上の置換基が結合してさらなる環を形成することがある1つ以上の置換ヒドロカルビル環、非置換ヒドロカルビル環、置換ヘテロ環式環、又は非置換ヘテロ環式環を形成してよい)
によって表される、パラグラフ1に記載のプロセス。
【0179】
3. Mが、Hf、Zr又はTiである、パラグラフ1又は2に記載のプロセス。
4. E及びE’が、それぞれOである、パラグラフ1、2又は3に記載のプロセス。
5. R1及びR1’が、独立にC4-C40三級ヒドロカルビル基である、1、2、3、又は4に記載のプロセス。
6. R1及びR1’が、独立にC4-C40環式三級ヒドロカルビル基である、パラグラフ1、2、3、又は4に記載のプロセス。
7. R1及びR1’が、独立にC4-C40多環式三級ヒドロカルビル基である、パラグラフ1、2、3、又は4に記載のプロセス。
8. 各Xが、独立に、1~20個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、及びその組み合わせから成る群より選択される(2つのXが縮合環又は環系の一部を形成してもよい)、パラグラフ1~7のいずれか1つに記載のプロセス。
9. 各Lが、独立に、エーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリエチルアミン、ピリジン、アルケン、アルキン、アレン、及びカルベン並びにその組み合わせから成る群より選択され、任意に2つ以上のLが縮合環又は環系の一部を形成してもよい、パラグラフ1~8のいずれか1つに記載のプロセス。
10. MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルである、パラグラフ1に記載のプロセス。
11. MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、パラグラフ1に記載のプロセス。
12. MがZr又はHfであり、Qが窒素であり、A1及びA1’の両方が炭素であり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC6-C20アリールである、パラグラフ1に記載のプロセス。
13. Qが窒素であり、A1及びA1’が両方とも炭素であり、R1及びR1’の両方が水素であり、E及びE’の両方がNR9であり、R9は、C1-C40ヒドロカルビル、C1-C40置換ヒドロカルビル、又はヘテロ原子含有基から選択される、パラグラフ1に記載のプロセス。
14. Qが炭素であり、A1及びA1’が両方とも窒素であり、E及びE’の両方が酸素である、パラグラフ1に記載のプロセス。
15. Qが炭素であり、A1が窒素であり、A1’がC(R22)であり、E及びE’の両方が酸素であり、R22は、水素、C1-C20ヒドロカルビル、C1-C20置換ヒドロカルビルから選択される、パラグラフ1に記載のプロセス。
16. ヘテロ環式ルイス塩基が、下記式:
【0180】
【0181】
(式中、各R23は、水素、C1-C20アルキル、及びC1-C20置換アルキルから独立に選択される)
によって表される基から選択される、パラグラフ1に記載のプロセス。
17. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
18. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
19. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1、R1’、R3及びR3’が、それアダマンタン-1-イル又は置換アダマンタン-1-イルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
20. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方が酸素であり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルであり、R7及びR7’の両方がC1-C20アルキルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
21. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方がOであり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルであり、R7及びR7’の両方がC1-C20アルキルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
22. MがZr又はHfであり、E及びE’の両方がOであり、R1及びR1’の両方がC4-C20環式三級アルキルであり、R7及びR7’の両方がC1-C3アルキルである、パラグラフ2に記載のプロセス。
23. 触媒化合物が、下記式:
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
の1つ以上によって表される、パラグラフ1に記載のプロセス。
24. 触媒化合物が、錯体1~8のいずれかである、パラグラフ23に記載のプロセス。
25. 活性化剤が、アルモキサン又は非配位性アニオンを含む、パラグラフ1に記載のプロセス。
26. 活性化剤が非芳香族炭化水素溶媒に溶ける、パラグラフ1に記載のプロセス。
27. 触媒系が、芳香族溶媒を含まない、パラグラフ1に記載のプロセス。
28. 活性化剤が、下記式:
(Z)d
+(Ad-)
(式中、Zは、(L-H)又は還元性ルイス酸であり、Lは、中性ルイス塩基であり;Hは水素であり;(L-H)+は、ブレンステッド酸であり;Ad-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは、1~3の整数である)
によって表される、パラグラフ24に記載のプロセス。
29. 活性化剤が、下記式:
[R1’R2’R3’EH]d+[Mtk+Qn]d- (V)
(式中:
Eは、窒素又はリンであり;
Dは1、2又は3であり;kは1、2又は3であり;nは1、2、3、4、5、又は6であり;n-k=d;
R1’、R2’、及びR3’は、独立に、任意に1つ以上のアルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、又はハロゲン含有基で置換されていてもよいC1-C50ヒドロカルビル基であり、
R1’、R2’、及びR3’は、合わせて15個以上の炭素原子を含み;
Mtは、元素周期表の第13族から選択される元素であり;かつ
各Qは、独立にヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、又はハロ置換ヒドロカルビル基である)
によって表される、パラグラフ1に記載のプロセス。
30. 活性化剤が、下記式:
(Z)d
+(Ad-)
によって表され、
式中、Ad-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは、1~3の整数であり、かつ(Z)d
+は、下記式の1つ以上によって表される、パラグラフ1に記載のプロセス。
【0186】
【0187】
31. 活性化剤が、下記:
N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N-メチル-4-ノナデシル-N-オクタデシルベンゼンアミニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロナフタレン-2-イル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、
[4-t-ブチル-PhNMe2H][(C6F3(C6F5)2)4B]、
トリメチルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリエチルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボラート、
トロピリウムテトラフェニルボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、
トリエチルシリリウムテトラフェニルボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(sec-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
ジメチル(t-ブチル)アンモニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、
トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリ(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
N,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トロピリウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
トリエチルシリリウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、
ジ(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(o-トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、
1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、
4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジン、及び
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート)
の1つ以上である、パラグラフ1に記載のプロセス。
【0188】
32. プロセスが溶液プロセスである、パラグラフ1に記載のプロセス。
33. プロセスが、約0℃~約300℃の温度、約0.35Mpa~約10Mpaの範囲の圧力、及び300分までの滞留時間で起こる、パラグラフ1に記載のプロセス。
34. プロセスが、少なくともTP1℃の重合温度で起こり、TP1=59.97*EXP(0.0115*MFR)であり、MFRは、コポリマー生成物のメルトフローレートである、パラグラフ1~33のいずれか1つに記載のプロセス。
35. 触媒活性が、触媒1kg当たり200,000kg以上のポリマー、好ましくは、触媒1kg当たり200,000kg以上のポリマーである、パラグラフ1~34のいずれか1つに記載のプロセス。
36. コポリマーが、GPC-3D又はGPC4-Dによって(矛盾する場合、GPC-4Dが支配する)測定される0.95以下の長鎖分岐指数g’visを有する、パラグラフ1~35のいずれか1つに記載のプロセス。
37. コポリマーが、50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMwを有する、パラグラフ1~36のいずれか1つに記載のプロセス。
38. コポリマーが、25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMnを有する、パラグラフ1~37のいずれか1つに記載のプロセス。
39. コポリマーが、1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mnを有する、パラグラフ1~38のいずれか1つに記載のプロセス。
40. コポリマーが、1500g/10分以下、あるいは800g/10分以下、あるいは600g/10分以下のメルトフローレートを有する、パラグラフ1~39のいずれか1つに記載のプロセス。
41. コポリマーが、190℃で測定される500mPa.秒以上、あるいは800mPa.秒以上、あるいは1000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度を有する、パラグラフ1~40のいずれか1つに記載のプロセス。
42. コポリマーが、5~26mol%のエチレン含量を有する、パラグラフ1~41のいずれか1つに記載のプロセス。
43. コポリマーが、155℃以下、あるいは140℃以下のTmを有する、パラグラフ1~42のいずれか1つに記載のプロセス。
44. コポリマーが、120℃以下、あるいは100℃以下(例えば0℃~120℃)のTcを有する、パラグラフ1~43のいずれか1つに記載のプロセス。
45. コポリマーが、100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱を有する、パラグラフ1~44のいずれか1つに記載のプロセス。
46. コポリマーが、150℃以下のTm及び5J/g~80J/gの融解熱を有する、パラグラフ1~45のいずれか1つに記載のプロセス。
47. コポリマーのr1r2が、0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内である、パラグラフ1~46のいずれか1つに記載のプロセス。
48. コポリマーが、0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥を有する、パラグラフ1~47のいずれか1つに記載のプロセス。
49. コポリマーが75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは75~99%のmm三連構造立体規則性を有する、パラグラフ1~48のいずれか1つに記載のプロセス。
【0189】
50. コポリマーが、下記特性:
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 800g/10分以下、あるいは600g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 5~26mol%のエチレン含量;
g) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
h) 120℃以下、あるいは100℃以下(例えば0~120℃)のTc;
i) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
j) 0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内のコポリマーのr1r2;
k) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
l) 75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性
の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個を有する、パラグラフ1~35のいずれか1つに記載のプロセス。
【0190】
51. 0.1~35mol%のエチレン及び99.9~65mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、このコポリマーが、下記特性:
a) 50,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上のMw;
b) 25,000g/mol以上、あるいは50,000g/mol以上のMn;
c) 1.5~15、あるいは2.0~10のMw/Mn;
d) 800g/10分以下、あるいは600g/10分以下のメルトフローレート;
e) 500mPa.秒以上、あるいは1,000mPa.秒以上のブルックフィールド粘度;
f) 5~26mol%のエチレン含量;
g) 155℃以下、あるいは140℃以下のTm;
h) 120℃以下、あるいは100℃以下のTc;
i) 100J/g以下、あるいは80J/g以下の融解熱;
j) 0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内のコポリマーのr1r2;
k) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
l) 75%以上、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性
を有する、コポリマー。
52. 5~26mol%のエチレン及び95~74mol%のプロピレンを含むコポリマーであって、このコポリマーが、下記特性:
i) 0.8~3.0、あるいは0.9~2.6の範囲内のコポリマーのr1r2;
ii) 0.01~1.2mol%、あるいは0.05~1.0mol%の位置欠陥;及び
iii) 75%以上のmm三連構造立体規則性、あるいは80%以上のmm三連構造立体規則性
を有し、好ましくはコポリマーが、150℃以下のTm及び80J/g以下のHfをも有する、コポリマー。
53. プロセスが、約140℃~約65℃の温度で起こり、かつ触媒活性が、触媒1kg当たり100,000kg以上のポリマーである、パラグラフ1~50のいずれか1つに記載のプロセス。
【0191】
試験方法
動的せん断溶融レオロジー試験:動的せん断溶融レオロジーデータは、TA InstrumentsからのAdvanced Rheometrics Expansion System (ARES-G2)を用いて測定した。約1.0g質量のサンプルをディスク(直径=25μm、厚さ=2μm)内190℃で圧縮成形する。安定剤は添加しなかった。次にサンプルをARES-G2の平行プレート(直径=25μm)間に取り付ける。試験温度は190℃であり、加えたひずみは10%であり、角周波数を0.1ラジアン/秒~200ラジアン/秒で変えた。実験中の架橋又は分解を最小限にするため強制対流オーブンを通して窒素流をパージした。材料に正弦せん断ひずみを加える。線形粘弾性レジームの範囲内で小さいひずみ振幅を加える。各周波数で錯体モジュラス(G*)、錯体粘度(η*)及び位相角(δ)を測定する。当業者なら分かるように、結果として生じる定常状態応力も同周波数で正弦関数的に振動するが、ひずみ波に対して位相角δシフトすることになる。完全に弾性の材料ではδ=0°であり(応力はひずみと同調する)、完全に粘性の材料ではδ=90°である。粘弾性の材料では、0<δ<90である。小振幅振動せん断試験によって周波数の関数として錯体粘度、損失モジュラス(G”)及び貯蔵モジュラス(G’)が提供される。動粘度は、錯体粘度又は動的せん断粘度とも呼ばれる。位相角又は損失角(δ)は、G’’(せん断損失モジュラス)とG’(せん断貯蔵モジュラス)の比の逆タンジェントである。
【0192】
せん断減粘率:せん断減粘性は、ポリマー融成物のレオロジー応答であり、せん断速度が上昇するにつれて流れに対する抵抗(粘度)が減少する。錯体せん断粘度は、低せん断速度(ニュートン領域)では一般的に一定であり、せん断速度の上昇に伴って減少する。低せん断速度領域では、粘度はゼロせん断粘度と呼ばれ、多分散性及び/又はLCBポリマー融成物については測定が困難なことが多い。より高いせん断速度では、ポリマー鎖がせん断方向に配向され、それらの未変形状態に比べて鎖の絡み合い数を少なくする。この鎖の絡み合いの減少がより低い粘度をもたらす。せん断減粘性は、正弦関数的に加えたせん断の周波数の増加に伴う錯体動粘度の低減を特徴とする。せん断減粘率は、周波数0.1ラジアン/秒での錯体せん断粘度と周波数100ラジアン/秒での錯体せん断粘度の比と定義される。
【0193】
ゲル浸透クロマトグラフィーGPC-4D:別段の指示がない限り、分子量の分布及びモーメント(Mw、Mn、Mw/Mn等)は、赤外検出器IR5をベースとする多重チャネルバンドフィルター、18角光散乱検出器及び粘度計を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char GPC-IR)を用いて測定する。3つのAgilent PLgel 10μm Mixed B LSカラムを用いてポリマー分離を実現する。300ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むAldrich試薬グレード1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を移動相として使用する。TCB混合物を0.1μmのテフロンフィルターで濾過し、GPC機器に入る前にオンラインデガッサーで脱気する。公称流量は1.0mL/分であり、公称注入体積は200μLである。移行ライン、カラム、及び検出器を含めたシステム全体を145℃で維持されるオーブン内に収容する。ポリマーサンプルを秤量し、80μLのフローマーカー(ヘプタン)を加えた標準バイアルに密封する。バイアルをオートサンプラーに装着した後、8mLmLのTCB溶媒を添加した機器内でポリマーを自動溶解させる。ほとんどのPEサンプルについては約1時間又はPPサンプルについては2時間連続的に振盪させながら160℃でポリマーを溶かす。濃度計算に用いたTCB密度は、室温で1.463g/mLmL、145℃で1.284g/mLmLである。サンプル溶液濃度は0.2~2.0mg/mLmLであり、高分子量サンプルほど低濃度を用いる。クロマトグラムの各点の濃度(c)は、IR5ブロードバンドシグナル強度(I)を減じたベースラインから下記式:c=βIを用いて計算する。βは質量定数である。溶出体積にわたる濃度クロマトグラフィーの積分面積と、所定濃度に注入ループ容積を掛けたものに等しい注入質量との比から質量回収率を計算する。汎用の較正関係を、700g/mol~10,000,000g/molの範囲の一連の単分散性ポリスチレン(PS)標準物質で行われるカラム較正と組み合わせることによって従来の分子量(IR MW)を決定する。各溶出体積でのMWは下記式(1)で計算する。
【0194】
【0195】
式中、添字「PS」付き変量はポリスチレンを表し、添字のない変量は試験サンプルを表す。この方法では、αPS=0.67及びKPS=0.000175であり、α及びKは、本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、直鎖エチレンポリマーについてはα=0.695及びK=0.000579、直鎖プロピレンポリマーについてはα=0.705及びK=0.0002288、直鎖ブテンポリマーについてはα=0.695及びK=0.000181であることを除き、文献で計算及び公表された他の物質のものである(Sun, T. et al. (2001) Macromolecules, v.34, pg. 6812)。特に断りのない限り、濃度はg/cm3で表し、分子量はg/molで表し、固有粘度(従ってMark-Houwink式のK)は、dL/gで表している。
【0196】
コモノマー組成は、公称値がNMR又はFTIRによって予め決定されている一連のPE及びPPホモポリマー/コポリマー標準物質で較正したCH2及びCH3チャネルに対応するIR5検出器強度の比によって決定する。特に、これは、1,000個の総炭素当たりのメチル(CH3/1000TC)を分子量の関数として与える。次に、各鎖が直鎖であり、各末端がメチル基で終結していると仮定する、鎖末端関係をCH3/1000TC関数に適用することによって、分子量の関数として1000TC当たりの短鎖分枝(SCB)含量(SCB/1000TC)を計算する。次に、下記式(2)からコモノマーの質量%を得る。式中、fは、C3、C4、C6、C8等のコモノマーについて、それぞれ、0.3、0.4、0.6、0.8等である。
w2=f*SCB/1000TC (2)
ポリマーのバルク組成は、濃度クロマトグラムの積分限界間のCH3及びCH2チャネルの全シグナルを考慮することによって、GPC-IR及びGPC-4D解析から得る。最初に、下記比を得る。
【0197】
【0198】
次に、以前にCH3/1000TCを分子量の関数として得る際に述べたのと同じCH3及びCH2シグナル比の較正を適用してバルクCH3/1000TCを得る。分子量範囲にわたって鎖末端補正を重み付け平均することによって1000TC当たりのバルクメチル鎖末端(バルクCH3末端/1000TC)を得る。次に、下記式
w2b=f*バルクCH3/1000TC (4)
バルクSCB/1000TC=バルクCH3/1000TC-バルクCH3末端/1000TC (5)
及びバルクSCB/1000TCを上記と同様にバルクw2に変換する。
LS検出器は、18角Wyatt Technology High Temperature DAWN HELEOSIIである。クロマトグラムの各点のLS分子量(M)は、LSアウトプットを静的光散乱用のZimmモデル(Light Scattering from Polymer Solutions; Huglin, M. B., Ed.; Academic Press, 1972):
【0199】
【0200】
を用いて解析することによって決定する。ここで、ΔR(θ)は、散乱角θで測定される過剰のレイリー散乱強度であり、cは、IR5解析から決定されるポリマー濃度であり、A2は、第2ビリアル係数であり、P(θ)は、単分散ランダムコイルの形状因子であり、Koは、下記系:
【0201】
【0202】
に対する光学定数である。式中、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)は、系の屈折率増分である。TCBについては145℃及びλ=665nmで屈折率n=1.500である。本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的では、プロピレンコポリマーについてdn/dc=0.104及びA2は0.0006である。
2つの圧力トランスデューサーを含むホイートストンブリッジ配置で並べた4つのキャピラリーを有する高温Agilent(又はViscotek Corporation)粘度計を用いて比粘度を測定する。1つのトランスデューサーは、検出器を横切る総圧力降下を測定し、ブリッジの両側間に位置する他のトランスデューサーは差圧を測定する。それらのアウトプットから、粘度計を通って流れる溶液について比粘度ηsを計算する。クロマトグラムの各点の固有粘度[η]は式[η]=ηS/cから計算し、cは濃度であり、IR5ブロードバンドチャネルアウトプットから決定する。各点の粘度MWは、以下のように計算する。
【0203】
【0204】
式中、αpsは0.67であり、KPSは0.000175である。
分岐指数(g’vis)は、GPC-IR5-LS-VIS法のアウトプットを用いて以下のように計算する。サンプルの平均固有粘度[η]avgは、下記式によって計算する。
【0205】
【0206】
式中、総和は、積分限界間のクロマトグラフィースライスiの全てにわたる。
分岐指数g’visは、以下:
【0207】
【0208】
のように定義され、式中、Mvは、LS解析により決められた分子量に基づく粘度平均分子量であり、K及びαは、基準直鎖ポリマーに関するものであり、本開示の目的では、直鎖プロピレンポリマーについてα=0.705及びK=0.0002288である。特に断りのない限り、濃度はg/cm3で表し、分子量はg/モルで表し、固有粘度(従ってMark-Houwink式のK)はdL/gで表している。w2b値の計算は、上述したとおりである。
検出器の較正方法並びにMark-Houwinkパラメーターの組成依存性及び第2ビリアル係数の計算方法を含め、上述していない実験及び解析の詳細は、T. Sun, et al. (2001) Macromolecules, v.34(19), pp. 6812-6820によって記載されている。
【0209】
ゲル浸透クロマトグラフィーGPC-3D:分子量(数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、及びz平均分子量(Mz))は、オンライン示差屈折率(DRI)、光散乱(LS)、及び粘度計(VIS)検出器を備えたPolymer Laboratories Model 220高温GPC-SEC(ゲル浸透/サイズ排除クロマトグラフ)を利用して決定し得る。それは、0.54ml/分の流量及び300マイクロリットルの公称注入体積を用いる分離用の3つのPolymer Laboratories PLgel 10m Mixed-Bカラムカラムを使用する。135℃で維持したオーブンに検出器及びカラムを収容した。SECカラムから現れる流れがminiDAWN光学フローセルに向けてからDRI検出器に向けた。DRI検出器は、Polymer Laboratories SECの一体パーツだった。粘度計は、DRI検出器の後ろに位置するSECオーブンの内側にあった。これらの検出器及びそれらの較正は、例えば、T. Sun, et al. (2001)によって、Macromolecules, v.34(19), pp. 6812-6820に記載されている。この文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0210】
SEC実験用の溶媒は、6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを酸化防止剤として4リットルのAldrich試薬グレード1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)に溶かすことによって調製した。次にTCB混合物を0.7マイクロメートルのガラスプレフィックス、引き続き0.1マイクロメートルのテフロンフィルターで濾過した。次にSECに入る前にTCBをオンラインデガッサーで脱気した。ガラス容器に乾燥ポリマーを入れ、所望量のTCBを添加してから約2時間連続的に撹拌しながら混合物を160℃で混合することによってポリマー溶液を調製した。全ての量は重量測定法で計測した。ポリマー濃度を質量/体積で表すために用いたTCB密度は、室温で1.463g/mL及び135℃で1.324g/mLである。注入濃度は、1.0~2.0mg/mLであり、高分子量サンプルほど低濃度を用いた。各サンプルを流す前にDRI検出器及び注入器をパージした。次に装置の流速を0.5mL/分まで高めてDRIを8~9時間安定化させた後に第1のサンプルを注入した。クロマトグラムの各点の濃度cは、ベースライン減算DRIシグナルIDRIからを用いて計算する。
【0211】
【0212】
式中、KDRIは、分子量範囲が600~10Mである一連の単分散ポリスチレン標準物質でDRI較正することによって決定される定数であり、(dn/dc)は系に対する屈折率増分である。TCBについては145℃及びλ=690nmで屈折率n=1.500である。本発明及びそれに加えて特許請求の範囲の目的ではエチレン-プロピレンコポリマーについては(dn/dc)=0.1048であり、EPDMについては(dn/dc)=0.01048~0.0016ENBであり、ENBは、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー中に存在する質量パーセントのENB含量である。そうでなければ他のポリマー及びコポリマーについては値(dn/dc)を0.1とみなす。SEC法のこの説明全体を通じて用いたパラメーターの単位は以下のとおりである:濃度はg/cm3で表し、分子量はg/molで表し、固有粘度はdL/gで表している。
【0213】
光散乱検出器は、高温miniDAWN(Wyatt Technology, Inc.)だった。主な部品は、光学フローセル、30mW、690nmのレーザーダイオード光源、及び45°、90°、及び135°の集束角で配置された3つの光ダイオードのアレイである。クロマトグラムの各点の分子量Mは、静的光散乱用のZimmモデル(M.B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971):
【0214】
【0215】
を用いてLSアウトプットを解析することによって決定した。ここで、ΔR(θ)は、散乱角θで測定される過剰のレイリー散乱強度であり、cは、DRI解析から決定されるポリマー濃度であり、A2は第2ビリアル係数であり、本発明の目的では、エチレンホモポリマーについてはA2=0.0015であり、エチレン-プロピレンコポリマーについてはA2=0.0015-0.00001EEであり、EEは、エチレン-プロピレンコポリマーに存在中する質量パーセントのエチレン含量である。P(θ)は単分散ランダムコイルの形状因子であり、Koは、下記系:
【0216】
【0217】
に対する光学定数である。式中、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)は、系の屈折率増分である。TCBについては145℃及びλ=665nmで屈折率n=1.500である。
【0218】
分岐指数(g’vis):Viscotek Corporationからの高温粘度計を用いて比粘度を決定した。この粘度計は、2つの圧力トランスデューサーを含むホイートストンブリッジ配置で並べた4つのキャピラリーを有する。1つのトランスデューサーは、検出器を横切る総圧力降下を測定し、ブリッジの両側間に位置する他のトランスデューサーは差圧を測定する。それらのアウトプットから、粘度計を通って流れる溶液について比粘度ηsを計算した。クロマトグラムの各点の固有粘度[η]は、下記式:
【0219】
【0220】
から計算した。式中、cは濃度であり、DRIアウトプットから計算した。
分岐指数(g’vis)は、分岐ポリマーの固有粘度と、同分子量及び同組成の直鎖ポリマーの固有粘度との比と定義され、以下のようにSEC-DRI-LS-VIS法のアウトプットから計算した。サンプルの平均固有粘度[η]avgは、下記式:
【0221】
【0222】
によって計算した。式中、総和は、積分限界間のクロマトグラフィースライスiの全てにわたる。
分岐指数g’visは、以下:
【0223】
【0224】
のように定義される。
同分子量及び同組成の直鎖ポリマーの固有粘度は、Mark-Houwink式を用いて計算され、式中、k及びαは、直鎖エチレン/プロピレンコポリマー及び直鎖エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーの組成に基づいて標準物質較正手順を用いて決定される。Mvは、LS解析により決定される分子量に基づく粘度平均分子量であり、α及びkは、文献で計算及び公表されたとおりに計算する(T. Sun, et al. (2001) Macromolecules, v.34(19), pp. 6812-6820)。
分岐指数g’(vis)は、別段の指示がない限りGPC-4Dによって決定する。矛盾する場合、GPC-4Dが支配するものとする。
特に明記しない限り、FTIRを用いてASTM D3900に従ってプロピレン-エチレンコポリマーのエチレン含量を決定する。本願に記載の特許請求の範囲については、FTIRを用いてASTM D3900に従ってエチレン含量を決定する。
ブルックフィールド粘度は、ASTM D2983に従って190℃の温度で測定した。
【0225】
ポリマーの微細構造は、上述したように13C NMRにより決定した。
13C NMRによるコモノマー含量:プロピレン-エチレンコポリマーのエチレン含量を除き、コモノマー含量及びポリマーの配列分布は13C核磁気共鳴(NMR)を用いて測定可能であり、米国特許第6,525,157号を参照されたい。NMRによるポリマーの特徴づけに関わる計算は、J. Randall in Polymer Sequence Determination, 13C-NMR Method, Academic Press, New York, 1977及びFrank Bovey et.al. (1976) Macromolecules, v.9, pp. 76-80の研究に従う。典型的に、13C NMR分光法用のポリマーサンプルを140℃で1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2に67mg/mLの濃度で溶かし、90°パルス及びゲーテッドデカップリングを用いる125MHz以上の13C NMR周波数のNMR分光計を120℃で用いてサンプルデータを記録する。
少なくとも600MHzのBruker機器の磁場で1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2(tce-d2)を含む10mmのクライオプローブを用いて120℃でポリマーの1H-NMRデータを集めた。サンプルは30mg/mLの濃度で140℃にて調製した。データは、30°パルス、5秒の遅延時間、512トランジエントで記録した。シグナルを積分し、炭素1,000個当たりの不飽和型の数を報告した。不飽和に関するシフト範囲を下表に示した。
【0226】
【0227】
示差走査熱量測定
ピーク融点Tm(融点とも称する)、ピーク結晶化温度Tc(結晶化温度とも称する)、ガラス転移温度(Tg)、融解熱(ΔHf又はHf)、及び結晶化度パーセントは、下記DSC手順を利用してASTM D3418-03に準じて決定した。TA InstrumentsモデルQ200又はDSC2500装置を用いて示差走査熱量測定(DSC)データを得た。約5~10mgの重さのサンプルをアルミニウム気密性サンプルパンに入れて密封した。まず最初に10℃/分の速度で200℃まで徐々にサンプルを加熱することによってDSCデータを記録した。サンプルを200℃で2分間維持してから、10℃/分の速度で-90℃まで冷却した後、2分間等温で維持し、10℃/分で200℃まで加熱した。第1及び第2の両サイクルの熱イベントを記録した。吸熱ピーク下の面積を測定し、融解熱及び結晶化度パーセントの決定に使用した。結晶化度パーセントは、式[融解ピーク下の面積(ジュール/グラム)/B(ジュール/グラム)]*100を用いて計算する。式中、Bは、主モノマー成分の100%結晶性ホモポリマーについての融解熱である。Bについてのこれら値は、Polymer Handbook(第4版、John Wiley and Sons出版、New York 1999)から得ることができるが、100%結晶性ポリプロピレンに関する融解熱としては189J/g(B)の値を使用し、100%結晶性ポリエチレンに関する融解熱としては290J/gの値を使用することを条件とする。ここに報告した融解温度及び結晶化温度は、特に断りのない限り、第2の加熱/冷却サイクル中に得た。
【0228】
複数の吸熱及び発熱ピークを示すポリマーについては、全てのピーク結晶化温度及びピーク融解温度を報告した。各吸熱ピークに関する融解熱を個々に計算した。結晶化度パーセントは、全ての吸熱ピークからの融解熱の合計を用いて計算する。生成ポリマーブレンドの中には主ピークと重なる第2の融解/冷却ピークを示すものがあり、これらのピークはまとめて単一の融解/冷却ピークとみなす。これらのピークの最高点をピーク融解温度/結晶化点とみなす。比較的低レベルの結晶化度を有する非晶質ポリマーについては、典型的に第1の加熱サイクル中に融解温度を測定して報告する。DSC測定前に、サンプルを(典型的には2日間周囲温度で保持することによって)エイジングするか又はアニーリングして結晶化度のレベルを最大にした。
【実施例】
【0229】
実験
メチルシクロヘキサン溶液中のビス(水素化牛脂アルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(M2HTH-BF20)の10wt%溶液をBoulder Scientificから購入した。N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(DMAH-BF20)、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボラート(DMAH-BF28)をWR Grace and Co.から購入した。トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(T-BF20)はAsahi Glass Corporationにより提供された。Cat-Hf及びCat-Zrを後述するように調製した。
【0230】
出発物質
2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(Aldrich)、2,6-ジブロモピリジン(Aldrich)、2-ブロモヨードベンゼン(Acros)、ヘキサン中2.5MのnBuLi(Chemetall GmbH)、Pd(PPh3)4(Aldrich)、メトキシメチルクロリド(Aldrich)、NaH(鉱物油中60%wt., Aldrich)、THF(Merck)、酢酸エチル(Merck)、メタノール(Merck)、トルエン(Merck)、ヘキサン(Merck)、ジクロロメタン(Merck)、HfCl4(<0.05% Zr, Strem)、ZrCl4(Strem)、Cs2CO3(Merck)、K2CO3(Merck)、Na2SO4(Akzo Nobel)、シリカゲル60(40-63um;Merck)、CDCl3(Deutero GmbH)は、入手したまま使用した。ベンゼン-d6(Deutero GmbH)及びジクロロメタン-d2(Deutero GmbH)は、使用前にMS 4A上で乾燥させた。有機金属合成用のTHFは、ナトリウムベンゾフェノンケチルから新たに蒸留した。有機金属合成用のトルエン及びヘキサンは、MS 4A上で乾燥させた。2-(アダマンタン-1-イル)-4-(tert-ブチル)フェノールは、4-tert-ブチルフェノール(Merck)及びアダマンタノール-1(Aldrich)から、Organic Letters, 2015, 17(9), 2242-2245に記載どおりに調製した。
【0231】
2-(アダマンタン-1-イル)-6-ブロモ-4-(tert-ブチル)フェノール
【化41】
【0232】
400mLのクロロホルム中の57.6g(203mmol)の2-(アダマンタン-1-イル)-4-(tert-ブチル)フェノールの溶液に200mLのクロロホルム中10.4mL(203mmol)の臭素の溶液を30分間室温で滴加した。結果として生じた混合物を400mLの水で希釈した。得られた混合物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、混ぜ合わせ有機抽出物を5%NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。収量71.6g(97%)の白色固体。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.32 (d, J = 2.3 Hz, 1 H), 7.19 (d, J = 2.3 Hz, 1 H), 5.65 (s, 1 H), 2.18 - 2.03 (m, 9 H), 1.78 (m, 6 H), 1.29 (s, 9 H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz): δ 148.07, 143.75, 137.00, 126.04, 123.62, 112.11, 40.24, 37.67, 37.01, 34.46, 31.47, 29.03。
【0233】
(1-(3-ブロモ-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)フェニル)アダマンタン
【化42】
【0234】
1,000mLのTHF中の71.6g(197mmol)の2-(アダマンタン-1-イル)-6-ブロモ-4-(tert-ブチル)フェノールの溶液に8.28g(207mmol、鉱物油中60%wt.)の水素化ナトリウムを室温で少しずつ加えた。結果として生じた懸濁液に16.5mL(217mmol)のメトキシメチルクロリドを10分間室温で滴加した。得られた混合物を一晩撹拌してから1,000mLの水中に注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(3×300mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物を5%NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。収量80.3g(ほぼ定量的)の白色固体。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.39 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 7.27 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 5.23 (s, 2 H), 3.71 (s, 3 H), 2.20 - 2.04 (m, 9 H), 1.82 - 1.74 (m, 6 H), 1.29 (s, 9 H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz): δ 150.88, 147.47, 144.42, 128.46, 123.72, 117.46, 99.53, 57.74, 41.31, 38.05, 36.85, 34.58, 31.30, 29.08。
【0235】
(2-(3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
【化43】
【0236】
300mLの乾燥THF中の22.5g(55.0mmol)の(1-(3-ブロモ-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)フェニル)アダマンタンの溶液にヘキサン中の23.2mL(57.9mmol、2.5M)のnBuLiを20分間-80℃で滴加した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌した後に14.5mL(71.7mmol)の2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを添加した。得られた懸濁液を室温で1時間撹拌してから300mLの水中に注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(3×300mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。収量25.0g(ほぼ定量的)の無色粘性油。
1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.54 (d, J = 2.5 Hz, 1 H), 7.43 (d, J = 2.6 Hz, 1 H), 5.18 (s, 2 H), 3.60 (s, 3 H), 2.24 - 2.13 (m, 6 H), 2.09 (br. s., 3 H), 1.85 - 1.75 (m, 6 H), 1.37 (s, 12 H), 1.33 (s, 9 H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz): δ 159.64, 144.48, 140.55, 130.58, 127.47, 100.81, 83.48, 57.63, 41.24, 37.29, 37.05, 34.40, 31.50, 29.16, 24.79。
【0237】
1-(2’-ブロモ-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)アダマンタン
【化44】
【0238】
200mLのジオキサン中の25.0g(55.0mmol)の(2-(3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの溶液に15.6g(55.0mmol)の2-ブロモヨードベンゼン、19.0g(137mmol)の炭酸カリウム、及び100mLの水を続いて添加した。得られた混合物をアルゴンで10分間パージした後に3.20g(2.75mmol)のPd(PPh3)4を加えた。このようにして得られた混合物を12時間100℃で撹拌してから室温に冷まして100mLの水で希釈した。得られた混合物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。残渣をシリカゲル60フラッシュクロマトグラフィー(40-63um、溶出液:ヘキサン-ジクロロメタン=10:1、vol.)で精製した。収量23.5g(88%)の白色固体。
1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.68 (dd, J = 1.0, 8.0 Hz, 1 H), 7.42 (dd, J = 1.7, 7.6 Hz, 1 H), 7.37 - 7.32 (m, 2 H), 7.20 (dt, J = 1.8, 7.7 Hz, 1 H), 7.08 (d, J = 2.5 Hz, 1 H), 4.53 (d, J = 4.6 Hz, 1 H), 4.40 (d, J = 4.6 Hz, 1 H), 3.20 (s, 3 H), 2.23 - 2.14 (m, 6 H), 2.10 (br. s., 3 H), 1.86 - 1.70 (m, 6 H), 1.33 (s, 9 H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz): δ 151.28, 145.09, 142.09, 141.47, 133.90, 132.93, 132.41, 128.55, 127.06, 126.81, 124.18, 123.87, 98.83, 57.07, 41.31, 37.55, 37.01, 34.60, 31.49, 29.17。
【0239】
2-(3’-(アダマンタン-1-イル)-5’-(tert-ブチル)-2’-(メトキシメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
【化45】
【0240】
500mLの乾燥THF中の30.0g(62.1mmol)の1-(2’-ブロモ-5-(tert-ブチル)-2-(メトキシメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)アダマンタンの溶液にヘキサン中の25.6mL(63.9mmol、2.5M)のnBuLiを20分間-80℃で滴加した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌した後に16.5mL(80.7mmol)の2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを加えた。得られた懸濁液を室温で1時間撹拌してから300mLの水中に注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(3×300mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。収量32.9g(ほぼ定量的)の無色ガラス状固体。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.75 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 7.44 - 7.36 (m, 1 H), 7.36 - 7.30 (m, 2 H), 7.30 - 7.26 (m, 1 H), 6.96 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 4.53 (d, J = 4.7 Hz, 1 H), 4.37 (d, J = 4.7 Hz, 1 H), 3.22
(s, 3 H), 2.26 - 2.14 (m, 6 H), 2.09 (br. s., 3 H), 1.85 - 1.71 (m, 6 H), 1.30 (s, 9 H), 1.15 (s, 6 H), 1.10 (s, 6 H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz): δ 151.35, 146.48, 144.32, 141.26, 136.15, 134.38, 130.44, 129.78, 126.75, 126.04, 123.13, 98.60, 83.32, 57.08, 41.50, 37.51, 37.09, 34.49, 31.57, 29.26, 24.92, 24.21。
【0241】
(2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス((3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))
【化46】
【0242】
140mLのジオキサン中の32.9g(62.0mmol)の2-(3’-(アダマンタン-1-イル)-5’-(tert-ブチル)-2’-(メトキシメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランの溶液に7.35g(31.0mmol)の2,6-ジブロモピリジン、50.5g(155mmol)の炭酸セシウム及び70mLの水を続いて添加した。得られた混合物をアルゴンで10分間パージした後に3.50g(3.10mmol)のPd(PPh3)4を加えた。この混合物を12時間100℃で撹拌してから室温に冷まして50mLの水で希釈した。得られた混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。結果として生じた油に300mLのTHF、300mLのメタノール、及び21mLの12N HClを続いて加えた。反応混合物を一晩60℃で撹拌してから500mLの水中に注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(3×350mL)で抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物を5%NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させてから蒸発乾固させた。残渣をシリカゲル60フラッシュクロマトグラフィー(40-63um、溶出液:ヘキサン-酢酸エチル=10:1、vol.)で精製した。得られたガラス状固体を70mLのn-ペンタンと摩砕し、得られた沈殿物を濾別し、2×20mLのn-ペンタンで洗浄し、真空中で乾燥させた。収量21.5g(87%)の白色粉末としての2つの異性体の混合物。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 8.10 + 6.59 (2s, 2H), 7.53 - 7.38 (m, 10H), 7.09 + 7.08 (2d, J = 2.4 Hz, 2H), 7.04 + 6.97 (2d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.95 + 6.54 (2d, J = 2.4 Hz), 2.03 - 1.79 (m, 18H), 1.74 - 1.59 (m, 12H), 1.16 + 1.01 (2s, 18H). 13C NMR (CDCl3, 100MHz、少量の異性体シフトは*で表示): δ 157.86, 157.72*, 150.01, 149.23*, 141.82*, 141.77, 139.65*, 139.42, 137.92, 137.43, 137.32*, 136.80, 136.67*, 136.29*, 131.98*, 131.72, 130.81, 130.37*, 129.80, 129.09*, 128.91, 128.81*, 127.82*, 127.67, 126.40, 125.65*, 122.99*, 122.78, 122.47, 122.07*, 40.48, 40.37*, 37.04, 36.89*, 34.19*, 34.01, 31.47, 29.12, 29.07*。
【0243】
ジメチルハフニウム(2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス((3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート))(Cat-Hf)
【化47】
【0244】
250mLの乾燥トルエン中の3.22g(10.05mmol)の四塩化ハフニウム(<0.05% Zr)の懸濁液にジエチルエーテル中の14.6mL(42.2mmol、2.9M)のMeMgBrを0℃で注射器によって一度に加えた。結果として生じた懸濁液を1分間撹拌し、8.00g(10.05mmol)の(2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス((3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))を1分間で少しずつ加えた。反応混合物を36時間室温で撹拌してから蒸発させてほぼ乾固させた。得られた固体を2×100mLのホットトルエンで抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をCelite 503の薄いパッドで濾過した。次に、濾液を蒸発乾固させた。残渣を50mLのn-ヘキサンと摩砕し、得られた沈殿物を濾別し(G3)、20mLのn-ヘキサン(2×20mL)で洗浄してから真空中で乾燥させた。収量6.66g(61%、約1:1のn-ヘキサンとの溶媒和物)の淡いベージュ色の固体。C59H69HfNO2×1.0(C6H14)の分析計算値:C, 71.70; H, 7.68; N, 1.29。実測値:C 71.95; H, 7.83; N 1.18。1H NMR (C6D6, 400MHz): δ 7.58 (d, J = 2.6 Hz, 2 H), 7.22 - 7.17 (m, 2 H), 7.14 - 7.08 (m, 4 H), 7.07 (d, J = 2.5 Hz, 2 H), 7.00 - 6.96 (m, 2 H), 6.48 - 6.33 (m, 3 H), 2.62 - 2.51 (m, 6H), 2.47 - 2.35 (m, 6H), 2.19 (br.s, 6H), 2.06 - 1.95 (m, 6H), 1.92 - 1.78 (m, 6H), 1.34 (s, 18 H), -0.12 (s, 6 H). 13C NMR (C6D6, 100MHz): δ 159.74, 157.86, 143.93, 140.49, 139.57, 138.58, 133.87, 133.00, 132.61, 131.60, 131.44, 127.98, 125.71, 124.99, 124.73, 51.09, 41.95, 38.49, 37.86, 34.79, 32.35, 30.03。
【0245】
ジメチルジルコニウム(2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス((3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オラート))(Cat-Zr)
【化48】
【0246】
300mLの乾燥トルエン中の2.92g(12.56mmol)の四塩化ジルコニウムの懸濁液にジエチルエーテル中の18.2mL(52.7mmol、2.9M)のMeMgBrを注射器によって0℃で一度に加えた。結果として生じた懸濁液に10.00g(12.56mmol)の(2’,2’’’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス((3-アダマンタン-1-イル)-5-(tert-ブチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール))を即座に一度に加えた。反応混合物を2時間室温で撹拌してから蒸発させてほぼ乾固させた。得られた固体を2×100mLのホットトルエンで抽出し、混ぜ合わせた有機抽出物をCelite 503の薄いパッドで濾過した。次に、濾液を蒸発乾固させた。残渣を50mLのn-ヘキサンと摩砕し、得られた沈殿物を濾別し(G3)、n-ヘキサン(2×20mL)で洗浄してから真空中で乾燥させた。収量8.95g(74%、n-ヘキサンとの約1:0.5の溶媒和物)のベージュ色固体。C59H69ZrNO2×0.5(C6H14)の分析計算値:C, 77.69; H, 7.99; N, 1.46。実測値:C 77.90; H, 8.15; N 1.36。1H NMR (C6D6, 400MHz): δ 7.56 (d, J = 2.6 Hz, 2 H), 7.20 - 7.17 (m, 2 H), 7.14 - 7.07 (m, 4 H), 7.07 (d, J = 2.5 Hz, 2 H), 6.98 - 6.94 (m, 2 H), 6.52 - 6.34 (m, 3 H), 2.65 - 2.51 (m, 6H), 2.49 - 2.36 (m, 6H), 2.19 (br.s., 6H), 2.07 - 1.93 (m, 6H), 1.92 - 1.78 (m, 6H), 1.34 (s, 18 H), 0.09 (s, 6 H). 13C NMR (C6D6, 100MHz): δ 159.20, 158.22, 143.79, 140.60, 139.55, 138.05, 133.77, 133.38, 133.04, 131.49, 131.32, 127.94, 125.78, 124.65, 124.52, 42.87, 41.99, 38.58, 37.86, 34.82, 32.34, 30.04。
【0247】
重合
実施例1~24及び比較例C01-C014に記載の重合は、連続撹拌槽型反応器システムで行った。1リットルのオートクレーブ反応器は、撹拌機、圧力コントローラー、及び水冷/蒸気加熱要素と温度コントローラーを備えた。反応器は、反応体を液相状態で維持する、反応体混合物の泡立ち点圧力を超える反応器圧力にて液体充填条件で操作した。Pulsa供給ポンプでイソヘキサン及びプロピレンを反応器に送り込んだ。液体の全ての流量は、マスフローコントローラー(BrooksからのQuantimシリーズ)を用いて制御した。エチレンは、それ自体の圧力下でBrooksフローコントローラーを通ってガスとして流れた。エチレン及びプロピレン供給を合わせて1つの流れにしてから、少なくとも0℃まで冷却した予冷イソヘキサン流と混合した。次に混合物を反応器に単一ライン経由で供給した。この混合溶媒及びモノマー流が反応器に入る直前にトリ(n-オクチル)アルミニウムの溶液をそれらに添加した。触媒溶液をISCOシリンジポンプを用いて別のライン経由で反応器に供給した。
イソヘキサン(溶媒として使用)、及びモノマー(例えば、プロピレン及びエチレン)はアルミナ及び分子ふるいの層上で精製した。触媒溶液を調製するために用いたトルエン、メチルシクロヘキサン及びイソヘキサンも同技術で精製した。
反応器内で生成されたポリマーは、圧力を大気圧まで減じた背圧制御弁を通って出た。これは、溶液中の未変換モノマーを、気液分離器の上部から排出される蒸気相中に流れさせた。ポリマー回収のため主にポリマー及び溶媒を含む液相を収集した。収集したサンプルをまず最初にフード内で空気乾燥させて溶媒の大部分を蒸発させてから真空オーブン内で約90℃の温度にて約12時間乾燥させた。真空オーブン乾燥したサンプルを秤量して収率を得た。
【0248】
詳細な重合プロセス条件及び生成されたポリマーの物理的性質を下表2及び4に列挙する。全ての反応は、特に記載のない限り約2.4MPa/gの圧力で行った。実施例01~08のためには錯体Cat-Hfを使用した。900mlのトルエン中で錯体Cat-Hf(約20mg)をN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(DMAH-BF20)と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって触媒溶液を調製した。トリn-オクチルアルミニウム(TNOA)(ヘキサン中25wt%、Sigma Aldrich)は、イソヘキサンで2.7×10-3mol/リットル濃度でさらに希釈した。実施例02及び03のサンプルについての分子量は、IR検出器を備えたGPC-4Dだけを用いて測定した。
実施例09~14は、錯体Cat-Zrを用いたことを除き、実施例01~08のために利用したのと同じ重合手順に従った。長鎖分岐構造生成に有利になる数サンプルについてはプロセス条件を調整した。実施例15~17では、900mlのトルエン中で錯体Cat-Zr(約20mg)をジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボラート(DMAH-BF28)と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって触媒溶液を調製した。実施例18~20では、900mlのトルエン中で錯体Cat-Zr(約20mg)をM2HTH-BF20と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって触媒溶液を調製した。実施例21~23では、Cat-Zr及びM2HTH-BF20の別々の溶液を調製し;各溶液は、イソヘキサン溶媒中の濃度が約0.025mMだった。現場活性化のためには溶液をそれぞれ別々に反応器に供給した。実施例24では900mlのトルエン中で錯体Cat-Zr(約20mg)をT-BF20と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって触媒溶液を調製した。実施例07、08、10~14及び17~23のサンプルについての分子量は、IR検出器を備えたGPC-4Dだけを用いて測定した。
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
実施例C01~C14は比較例である。実施例C01~C14は、rac-ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチルを触媒として使用したことを除き、実施例01~08のために用いたのと同じ重合手順を利用した。触媒溶液は、900mlのトルエン中でrac-ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル(約30mL)をジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフタレン-2-イル)ボラート(DMAH-BF28)と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって調製した。スカベンジャー溶液供給量を調整して(0~5ml/分)、目標の転化率を達成した。詳細なプロセス条件及びいくつかの特徴づけデータを下表5に列挙する。
【0253】
【0254】
実施例P01~P19の重合は、28リットルの連続撹拌槽型反応器(オートクレーブ反応器)で溶液プロセスを用いて行った。オートクレーブ反応器は、撹拌機、圧力コントローラー、及び熱損失を防ぐための断熱材を備えた。触媒供給量を制御することによって反応器温度を制御し、供給冷却によって熱除去を実現した。全ての溶媒及びモノマーはアルミナ及び分子ふるいの層上で精製した。反応器は液体を充填し、1,600psigの圧力で操作した。イソヘキサンを溶媒として用いた。タービンポンプを用いて反応器に溶媒を供給し、その流量は下流のマスフローコントローラーで制御した。圧縮液化プロピレン供給は、マスフローコントローラーにより制御した。水素(使用する場合)は、サーマルマスフローコントローラーを通して反応器に供給した。エチレン供給をもマスフローコントローラーで制御した。エチレン、プロピレン及び水素(使用する場合)は、別々の添加点で多岐管を介してイソヘキサン流に混ぜ入れた。ヘキサン中3wt%のトリn-オクチルアルミニウム混合物を多岐管に別のライン経由で添加し(スカベンジャーとして使用)、モノマー、スカベンジャー、及び溶媒を合わせた混合物を反応器に単一ライン経由で供給した。
【0255】
触媒溶液は、4リットルのトルエン中で錯体Cat-Zr(約250mg)をN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(DMAH-BF20)と約1:1のモル比で混ぜ合わせることによって調製した。固体が溶解した後、撹拌しながら、溶液をISCOポンプに投入し、反応器に量り入れた。
下表6に示すように、モノマー供給量及び反応温度と共に触媒供給量を制御した。生成ポリマーをも表6に示す。反応器生成物流を微量のメタノールで処理して重合を停止させた。次に低圧フラッシュ分離により混合物から溶媒を除去し、Irganox(商標)1076で処理してから脱揮発分押出プロセスを施した。次に乾燥ポリマーをペレット化した。
【0256】
【0257】
本明細書に記載の文書は、いずれの優先権書類及び試験手順を含め、それらが本テキストと矛盾しない程度まで、参照することにより本明細書に援用する。前述の一般的説明及び具体的実施形態から明らかなように、本発明の形態を例証及び記述したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更を加えることができる。従って、本発明をそられによって限定する意図ではない。同様に、用語「含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義とみなす。同様に組成物、要素又は要素群が移行句「含む(comprising)」に先行するときはいつでも、組成物、要素、又は要素群の列挙に先行する移行句「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、「から成る群より選択される(selected from the group of consisting of)」又は「である(is)」を有する同一の組成物又は要素群をも我々は企図し、逆も同様であることを理解すべきである。
【国際調査報告】