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特表2023-513769菌糸体を脱水および再湿潤化する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】菌糸体を脱水および再湿潤化する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/14 20060101AFI20230327BHJP
   A23L 31/00 20160101ALI20230327BHJP
【FI】
C12N1/14
A23L31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549000
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021017493
(87)【国際公開番号】W WO2021163215
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/976,939
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520480784
【氏名又は名称】エマルジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトリー, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ハギンズ, ミッチェル タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ミストリー, ベーローズ
(72)【発明者】
【氏名】ダウニング, デビー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018MD80
4B018ME14
4B018MF06
4B065AA57X
4B065AC14
4B065BD50
(57)【要約】
菌糸体を脱水および再湿潤化する方法は、真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含む。方法は、菌糸塊を成長培地から分離するステップ;菌糸塊を圧縮するステップ;および圧縮された菌糸塊を脱水して、5重量%~60重量%の範囲の水分含有量および0.007kgf/mm~0.018kgf/mmの範囲の第1の硬さを有する脱水された菌糸塊を産生するステップを含む。方法は、脱水された菌糸塊を再湿潤化して、60重量%より高い水分含有量および0.00035kgf/mm~0.007kgf/mmの範囲の第2の硬さを有する再湿潤化された菌糸塊を形成するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、前記真菌細胞を成長培地中で成長させるステップ;
前記菌糸塊を前記成長培地から分離するステップ;
前記菌糸塊を圧縮して、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有する圧縮された菌糸塊を産生するステップ;
前記圧縮された菌糸塊を脱水して、5重量%~60重量%の範囲の水分含有量および0.007kgf/mm~0.018kgf/mmの範囲の第1の硬さを有する脱水された菌糸塊を産生するステップ;ならびに
前記脱水された菌糸塊を再湿潤化して、60重量%より高い水分含有量および0.00035kgf/mm~0.007kgf/mmの範囲の第2の硬さを有する再湿潤化された菌糸塊を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記脱水された菌糸塊が、5重量%~20重量%の範囲の水分含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の75%に等しいかまたはそれより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧縮された菌糸塊が、60℃未満の温度および30%未満の湿度で脱水されて、前記脱水された菌糸塊を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再湿潤化された菌糸塊を脱水して、45重量%~75重量%の範囲の水分含有量および0.0035kgf/mm~0.014kgf/mmの範囲の第3の硬さを有する第2の脱水された菌糸塊を産生するステップをさらに含み、
前記再湿潤化された菌糸塊が、40℃~100℃の範囲の温度および20%未満の相対湿度で脱水される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再湿潤化された菌糸塊を脱水して、50重量%未満の水分含有量および0.011kgf/mm~0.042kgf/mmの範囲の第3の硬さを有する第2の脱水された菌糸塊を産生するステップをさらに含み、
前記再湿潤化された菌糸塊が、40℃~セ氏100度の範囲の温度および20%未満の相対湿度で脱水される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップが、前記脱水された菌糸塊を、香味料、食品着色料、脂肪、スパイス、および/または添加物を含む水溶液中に浸すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップが、前記脱水された菌糸塊を、前記脱水された菌糸塊中に存在する生きた真菌細胞の99%より多くを殺滅するために十分な温度に加熱したマリネード中に一定時間浸すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記菌糸塊を前記成長培地から分離するステップが、90重量%より高い水分含有量を有する分離された菌糸塊を産生する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の85%に等しいかまたはそれより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の95%に等しいかまたはそれより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、前記真菌細胞を成長培地中で成長させるステップ;
前記菌糸塊を前記成長培地から分離するステップ;
前記菌糸塊を圧縮して、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有する圧縮された菌糸塊を産生するステップ;および
前記圧縮された菌糸塊を、30℃~60℃の範囲の温度、および30%~50%の範囲の相対湿度で一定期間脱水して、前記圧縮された菌糸塊の50%未満である体積を有する、水分含有量が20重量%未満である脱水された菌糸塊を産生するステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記期間が、8時間より長い、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記菌糸塊を前記成長培地から分離するステップが、90重量%より高い水分含有量を有する分離された菌糸塊を産生する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記脱水された菌糸塊が、5重量%~20重量%の範囲の水分含有量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の75%に等しいかまたはそれより大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の85%に等しいかまたはそれより大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記脱水された菌糸塊の体積が、前記圧縮された菌糸塊の体積の95%に等しいかまたはそれより大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記菌糸塊を前記成長培地から分離するステップが、95重量%より高い水分含有量を有する分離された菌糸塊を産生する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記脱水された菌糸塊を含む食肉代替製品を提供するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月14日に出願された米国特許仮出願第62/976,939号の利益および優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は一般的に、真菌菌糸体に基づく食肉代替製品の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
非動物供給源に由来する高タンパク質含有量を提供することができる食用製品に対する需要はますます高まっている。個人の健康に関する認識の高まりが動因となって、タンパク質および繊維などの非動物供給源の構成成分を含む食用製品は、動物タンパク質に基づく製品より健康な代替品であると考えられている。特に、肉の組成および食感を模倣するが、非動物性の構成成分で構成され、ウシ、ニワトリ、およびブタなどの動物への依存を低減し、そのような動物によって課されるカーボンフットプリントを低減することができる食肉代替品の需要が高まっている。このように、非動物性食用製品の大規模生産および受け入れを促進することができる非動物性のタンパク質源が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書に記載される実施形態は、一般的に、その食感および形態が動物の肉に類似する食肉代替製品を得るために、菌糸体を脱水および再湿潤化(rehydrate)するための方法に関する。
【0005】
一部の実施形態では、方法は、真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップ;菌糸塊を成長培地から分離するステップ;菌糸塊を圧縮して、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有する圧縮された菌糸塊を産生するステップ;圧縮された菌糸塊を脱水して、5重量%~60重量%の範囲の水分含有量および0.007kgf/mm~0.018kgf/mmの範囲の第1の硬さを有する脱水された菌糸塊を産生するステップ;ならびに脱水された菌糸塊を再湿潤化して、60重量%より高い水分含有量および0.00035kgf/mm~0.007kgf/mmの範囲の第2の硬さを有する再湿潤化された菌糸塊を形成するステップを含む。
【0006】
一部の実施形態では、方法は、真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップ;菌糸塊を成長培地から分離するステップ;菌糸塊を圧縮して、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有する圧縮された菌糸塊を産生するステップ;圧縮された菌糸塊を、30℃~60℃の範囲の温度、および30%~50%の範囲の相対湿度で一定期間脱水して、圧縮された菌糸塊の50%未満である体積を有する、20重量%未満の水分含有量を有する脱水された菌糸塊を産生するステップを含む。
【0007】
以下により詳細に考察される前述の概念および追加の概念(但し、そのような概念は相互に矛盾しない)の全ての組合せは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図されることを認識すべきである。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組合せは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図される。
【0008】
本開示の前述の特色および他の特色は、添付の図面と共に以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるであろう。これらの図面は、本開示に従ういくつかのインプリメンテーションのみを表し、したがってその範囲の限定ではないと考えられることを理解した上で、本開示を、添付の図面を使用することを通してさらに具体的かつ詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に従う、菌糸体を脱水および再湿潤化する例としての方法のフローチャートである。
【0010】
図2図2は、一実施形態に従う、菌糸体を脱水および再湿潤化する例としての方法のフローチャートである。
【0011】
図3図3は、一実施形態に従う、菌糸体を脱水する例としての方法のフローチャートである。
【0012】
図4図4Aは、一実施形態に従う、圧縮された菌糸塊、脱水および再湿潤化された菌糸塊、再湿潤化された菌糸塊を脱水することによって形成された第2の脱水された菌糸塊、生の鶏肉、および調理された鶏肉の硬さの棒グラフを例証する。
【0013】
図4Bは、一実施形態に従う、圧縮された菌糸塊、脱水および再湿潤化された菌糸塊、再湿潤化された菌糸塊を脱水することによって形成された第2の脱水された菌糸塊、生の鶏肉、および調理された鶏肉の水分含有量の表を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明全体を通して添付の図面を参照する。図面では、本文がそれ以外であることを規定していない限り、類似の記号は典型的に、類似の構成成分を同定する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載されている例示的なインプリメンテーションは、限定的でないことを意味する。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他のインプリメンテーションを利用してもよく、他の変化を行ってもよい。本開示の態様を、本明細書に一般的に記載されるように、および図面に例証されるように、広く多様な異なる構成で配置する、置換する、組み合わせる、および設計することができ、それらの全ては、明示的に企図され、本開示の一部を構成することが容易に理解されるであろう。
【0015】
詳細な説明
本明細書に記載される実施形態は、一般的にその食感および形態が動物の肉に類似する食肉代替製品を得るために、菌糸体を脱水および再湿潤化するための方法に関する。特に、本明細書に記載される様々な実施形態は、真菌細胞を成長させて菌糸塊を産生する、菌糸塊を分離する、菌糸塊を圧縮して圧縮された菌糸塊を形成する、圧縮された菌糸塊を脱水する、および脱水された菌糸塊を再湿潤化する方法を提供する。食感の変化は、菌糸体を脱水した後再湿潤化することによって達成され得る。脱水および再湿潤化を受けた菌糸塊の剪断切断、曲げモーメント、および硬さは、同じ水分含有量を有するが、これらのプロセスを受けなかった菌糸塊とは異なり得る。様々な実施形態はまた、食品または食肉代替製品を形成するために食品添加物を加えることにも関する。食肉代替製品は、菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を含み得る。
【0016】
真菌菌糸体を成長させて、そこから食品を形成する方法の様々な実施形態は、例えば:(1)非動物供給源、すなわち真菌菌糸体からのタンパク質を含む食品を提供し、それにより動物供給源のタンパク質に対する依存を低減させ、そのカーボンフットプリントを低減させること;および(2)本物の肉のような感触および味を有するが、高いタンパク質含有量を送達する食肉代替製品を提供することを含む、1つまたは複数の利益を提供し得る。
【0017】
図1は、一実施形態に従う食肉代替製品を形成する例としての方法のフローチャートを例証する。簡単に説明すると、方法100は、102で、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。方法100は、104で、菌糸塊を成長培地から分離するステップを含み得る。方法100は、106で菌糸塊を圧縮するステップを含み得る。方法100は、108で、圧縮された菌糸塊を脱水するステップを含み得る。方法100は、110で、脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップを含み得る。方法100は、112で、再湿潤化された菌糸塊を脱水するステップを含み得る。
【0018】
さらに詳細に、方法100は、102で、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。真菌細胞は、Aspergillus、Fusarium、Neurospora、およびMonascus属を含む子嚢菌門および接合菌門からの真菌を含み得る。他の種は、BasidiomycotaおよびLentinula属の食用変種を含む。1つの属はNeurosporaであり、これは固相発酵を通して食品生産に使用される。Neurospora属は、非常に効率的なバイオマス産生ならびに複合糖質を分解する能力で知られている。Neurosporaのある特定の種に関して、公知のアレルゲンは検出されておらず、マイコトキシンレベルも産生されない。糸状菌の単独培養に加えて、複数の株を一度に培養して、最終バイオマスのタンパク質、アミノ酸、ミネラル、食感、および風味のプロファイルを調整することができる。
【0019】
成長培地は、数キログラムの真菌菌糸体を成長させることが可能なバット(vat)などの容器に含有され得る。成長培地を、最初の成長培地と呼ぶことができる。方法100は、真菌細胞が菌糸体を産生するように真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。成長培地は、栄養素(例えば、糖、窒素含有化合物、またはホスフェート含有化合物)を含み得る。成長培地は、糖、窒素含有化合物、およびホスフェート含有化合物のうちの1つまたは複数を含み得る。糖は、5g/L~50g/Lの範囲であり得る。例えば、糖は、包括的に5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、または50g/Lであり得る。糖は、スクロース、グルコース、フルクトース、糖蜜、または糖の混合物を含み得る。窒素含有化合物は、0.5g/L~10g/Lの範囲であり得る。例えば、窒素含有化合物は、包括的に0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、または10g/Lであり得る。窒素含有化合物は、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、ペプトン、または窒素含有化合物の混合物を含み得る。ホスフェート含有化合物は、0.1g/L~5g/Lの範囲であり得る。例えばホスフェート含有化合物は、包括的に0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、または5g/Lであり得る。ホスフェート含有化合物は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、またはホスフェート含有化合物の混合物であり得る。
【0020】
真菌細胞は、包括的に25℃~40℃の範囲の温度で成長させることができる。真菌細胞は、包括的に12時間~48時間の範囲の期間で成長させることができる。成長しつつある真菌細胞は、5g/L~20g/Lの真菌細胞乾燥重量の収量を産生することができる。菌糸体は、40重量%(乾燥重量)より高いタンパク質含有量を有し得る。一部の実施形態では、菌糸体は、包括的に50%~65%(乾燥重量)のタンパク質含有量を有し得る。菌糸体は、少なくとも25mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有し得る。
【0021】
一部の実施形態では、方法100は、ある体積のブロスを除去するステップ(例えば、吸い上げたブロス)を含み得る。吸い上げたブロスは、真菌細胞および成長培地を含有し得る。例えば、ブロスは、真菌細胞および成長培地を含有する溶液を含み得る。ある体積のブロスを除去するステップは、ある体積のブロスを個別に除去するステップを含み得る。例えば、ある体積のブロスを、バッチプロセスにおいてブロスを含有する容器から吸い上げる、またはブロスから連続的に除去することができる。例えば、ある体積のブロスを、ブロスを含有する容器から連続プロセスで流出させることができる。
【0022】
方法100は、ブロスを含有する容器に新鮮な成長培地を加えるステップを含み得る。ブロスは、発酵ブロスであり得る。栄養素(例えば、糖、ホスフェート含有化合物、または窒素含有化合物)をバッチ成長構成で加えることができる。例えば、栄養素を既定の時間後(例えば、包括的に1時間、2時間、3時間、6時間、または12時間後)に加えることができる。新鮮な成長培地の栄養素がない場合またはその少なくとも1つの濃度を、操作102に記載される最初の成長培地の栄養素の濃度にすることができる。新鮮な成長培地は、最初の成長培地における真菌細胞の成長の間、最初の成長培地から失われた成長培地の体積より大きい、小さい、または等しい体積を有し得る。
【0023】
一例では、6時間後、新鮮な成長培地中の糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物の濃度が増加する。栄養素をブロスに加えて新しいブロスを作製する。栄養素をブロスに加えて、新しいブロスの糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物の濃度を、最初の成長培地の糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物のそれぞれの濃度にする。
【0024】
一例では、少なくとも12時間後、ブロスの50%~95%を除去することができる。栄養素(例えば、糖、ホスフェート含有化合物、または窒素含有化合物)を含有する新鮮な培地を加えることができる。ブロスの栄養素濃度を、新鮮な成長培地を加えることによって増加させることができる。
【0025】
栄養素は、連続成長構成で加えることができる。例えば、ある体積のブロス(例えば、包括的に0.01体積%、1体積%、5体積%、10体積%、25体積%、50体積%、または95体積%)を、真菌細胞および成長培地を含有する容器から除去することができる。新鮮な成長培地を、ブロスを含有する容器に加えることができる。新鮮な成長培地は、連続流として提供することができる。容器中のブロスの体積を、指定されたレベルに留まるようにモニターすることができる。例えば、容器中のブロスの体積は、固定された体積に留まることができる。加えられる新鮮な成長培地の体積は、容器から失われたブロスの体積と等しくなり得る。
【0026】
方法100は、真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。例えば、菌糸塊は、菌糸塊の乾燥質量の、包括的に45重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%のタンパク質含有量を有し得る。
【0027】
方法100は、104で、菌糸塊を成長培地から分離するステップを含む。菌糸塊を成長培地から分離するステップは、重力による濾別(gravity straining)、遠心分離、ベルトプレス、フィルタープレス、機械プレス、ドラム乾燥、または任意の他の適したプロセスを使用して実施することができる。分離された菌糸塊は、90重量%より高い水分含有量を有し得る。例えば、分離された菌糸塊は、包括的に91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%の水分含有量を有し得る。分離プロセスの間に、菌糸塊を、水、エタノール、酸、塩基、または他の溶媒によって洗浄することができる。回収した濾液を再利用してもよく、または捨ててもよい。菌糸塊の細胞壁を、例えば溶解することを通して破壊することができる。溶解は、pHを4未満もしくは9より上に調整することによって、溶解酵素を加えることによって、温度を包括的に40℃~60℃の範囲に、包括的に1時間~24時間上昇させることによって、または任意の他の適した溶解方法によって実施してもよい。分離後、添加物(例えば、食品添加物)を菌糸塊と混合することができる。添加物は、例えば菌糸塊が食用製品に形成される場合、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、および香味料を含み得る。
【0028】
方法100は、106で、菌糸塊を圧縮して、圧縮された菌糸塊を生じるステップを含み得る。菌糸塊を圧縮するステップは、菌糸塊をプレスして、菌糸塊の体積を減少させ、圧縮された菌糸塊を産生するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊は、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、圧縮された菌糸塊は、包括的に65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、または85重量%の水分含有量を有し得る。
【0029】
方法100は、108で、圧縮された菌糸塊を脱水して、脱水された菌糸塊を産生するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、圧縮された菌糸塊の水分含有量を減少させて、脱水された菌糸塊を産生するステップを含み得る。脱水された菌糸塊は、5重量%~60重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊は、包括的に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、または60重量%の水分含有量を有し得る。脱水された菌糸塊は、包括的に0.007kgf/mm~0.018kgf/mmの範囲の第1の硬さを有し得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、菌糸塊を脱水する(dewater)ステップを含み得る。例えば、圧縮された菌糸塊を、例えば包括的に5重量%~60重量%の範囲の水分含有量へと熱により乾燥させることができる。圧縮された菌糸塊を、指定された温度(例えば、包括的に30℃、50℃、75℃、または90℃)で熱により乾燥させることができる。圧縮された菌糸塊を、60℃未満の温度で脱水することができる。例えば、圧縮された菌糸塊を、包括的に55℃、50℃、45℃、40℃、または35℃の温度で脱水することができる。圧縮された菌糸塊を、30%未満の湿度で脱水することができる。例えば、圧縮された菌糸塊を、包括的に25%、20%、または15%の湿度で脱水することができる。一部の実施形態では、圧縮された菌糸塊を、強制空気によって熱により乾燥させることができる。一部の実施形態では、圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、機械力(例えば、プレス、プランジャー等を介して)を適用して、菌糸体から水を除去するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップ(例えば、熱または機械的乾燥を介して)は、脱水された菌糸塊を産生する。
【0030】
硬さの測定は、TA.XT食感アナライザーを使用し、丸いボールプローブ先端部を使用して、対象製品の平坦な表面に押しつけることによって達成される。直径19mmの先端部を、40%圧縮が達成されるまで製品の中に押し込んだ。硬さは、プローブ先端部の断面積によって除算したピークの力として得られる。
【0031】
方法100は、110で、脱水された菌糸塊を再湿潤化して、再湿潤化された菌糸塊を形成するステップを含み得る。脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップは、脱水された菌糸塊の水分含有量を増加させて、再湿潤化された菌糸塊を産生するステップを含み得る。再湿潤化された菌糸塊は、70重量%より高い水分含有量を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊は、包括的に75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%の水分含有量を有し得る。再湿潤化された菌糸塊は、0.00035kgf/mm~0.007kgf/mmの範囲の第2の硬さを有し得る。第2の硬さは、第1の硬さと異なってもよく、生の鶏肉のような動物の肉の硬さと類似である。したがって、本明細書に記載されるように菌糸塊を脱水および再湿潤化することによって、動物の肉と類似の見た目および感触を有する食肉代替品を生じる。
【0032】
脱水された菌糸塊の体積は、圧縮された菌糸塊の体積の75%に等しいまたはそれより大きくなり得る。例えば、脱水された菌糸塊の体積は、圧縮された菌糸塊の体積の、包括的に75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。
【0033】
脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップは、脱水された菌糸塊を、香味料(flavor)、食品着色料、脂肪、スパイス、および/または添加物を含む水溶液(例えば、マリネード)中に浸すことを含み得る。任意の適した食品添加物、例えば植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、香味料(flavoring)、pH調整剤、油、スパイス、塩等を使用することができる。例えば、脱水された菌糸塊の風味を、異なる油を加えることによって増強することができる。油の非限定的な例としては、ナッツ由来、野菜由来、植物由来、および動物由来の油が挙げられる。油は、消泡剤として、真菌の炭素源として作用する複数の使用目的を有するように、および菌糸塊の細胞外/細胞内に組み入れられるように、発酵培地に加えることができる。あるいは、油を、採取後または調理後に菌糸塊に組み入れることができる。脱水された菌糸塊に、食品添加物を様々な操作によって導入することができる。例えば、脱水された菌糸塊を追加の成分中に浸すことができる。脱水された菌糸塊に、追加の成分を注入することができる。脱水された菌糸塊を、追加の成分中でコーティングすることができる。追加の成分は、追加の圧力または真空条件を適用することによって、脱水された菌糸塊に分散させることができる。追加の成分は、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、香味料、pH調整剤等を含み得る。
【0034】
脱水された菌糸塊を再湿潤化するステップは、脱水された菌糸塊を、脱水された菌糸塊中に存在する生きた真菌細胞の99%より多くを殺菌するために十分な温度に加熱したマリネード中に一定時間浸すことを含み得る。脱水された菌糸塊を、50℃~200℃の温度に加熱したマリネード中に浸すことができる。例えば、脱水された菌糸塊を、包括的に50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、または200℃の温度に加熱したマリネード中に浸すことができる。
【0035】
方法100は、112で、再湿潤化された菌糸塊を脱水するステップを含み得る。再湿潤化された菌糸塊を脱水するステップは、再湿潤化された菌糸塊を脱水して、第2の脱水された菌糸塊を産生するステップを含み得る。第2の脱水された菌糸塊は、45重量%~75重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、第2の脱水された菌糸塊は、包括的に45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%の水分含有量を有し得る。第2の脱水された菌糸塊は、0.0035kgf/mm~0.014kgf/mmの範囲の第3の硬さを有し得る。再湿潤化された菌糸塊を、40℃~100℃の範囲の温度で脱水することができる。例えば、再湿潤化された菌糸塊を、包括的に40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃の温度で脱水することができる。再湿潤化された菌糸塊を、20%未満の相対湿度で脱水することができる。例えば、再湿潤化された菌糸塊を、包括的に15%、10%、または5%の相対湿度で脱水することができる。第2の脱水された菌糸塊は、鶏肉などの調理された動物の肉により類似の硬さを有し得る。
【0036】
第2の脱水された菌糸塊は、50重量%未満の水分含有量を有し得る。例えば、第2の脱水された菌糸塊は、包括的に20%、25%、30%、35%、40%、または50%の水分含有量を有し得る。第2の脱水された菌糸塊は、包括的に0.011kgf/mm~0.042kgf/mmの範囲の第3の硬さを有し得る。再湿潤化された菌糸塊は、30℃~100℃の範囲の温度で脱水することができる。例えば、再湿潤化された菌糸塊を、包括的に30℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃の温度で脱水することができる。再湿潤化された菌糸塊を、20%未満の相対湿度で脱水することができる。例えば、再湿潤化された菌糸塊を、包括的に15%、10%、または5%の相対湿度で脱水することができる。
【0037】
以下は、真菌を成長させて、40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を得る一部の例である。これらの例は、単に例証目的のためであり、本開示をいかなる形状または形態にも限定しないと解釈すべきである。
【0038】
一例では、Neurospora crassa(N.crassa)を、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。N.crassaの分生子または胞子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、6.6g/L硫酸アンモニウム、2g/Lリン酸二水素カリウム、1g/Lクエン酸ナトリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を1.5vvmに設定し、攪拌を350rpmに設定する。pHを、6N水酸化カリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、ステンレス鋼製の長方形の型にプレスし、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は9.5g/Lである。タンパク質解析は、57重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0039】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。N.crassaの分生子または胞子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、6.6g/L硫酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を1.5vvmに設定し、攪拌を350rpmに設定する。pHを、6N水酸化カリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、ステンレス鋼製の長方形の型にプレスし、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は9g/Lである。タンパク質解析は、55重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0040】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:30g/Lスクロース、6.6g/L硫酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を1.5vvmに設定し、攪拌を350rpmに設定する。pHを、6N水酸化カリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、ステンレス鋼製の長方形の型にプレスし、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は11g/Lである。タンパク質解析は、63重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、27mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0041】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、3.25g/L尿素、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を0.75vvmに設定し、攪拌を250rpmに設定する。pHを、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、ステンレス鋼製の長方形の型にプレスし、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は8.5g/Lである。タンパク質解析は、56重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、25mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0042】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、2g/L硝酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を0.75vvmに設定し、攪拌を250rpmに設定する。pHを、15%水酸化アンモニウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、サイダープレス中で脱水し、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は10g/Lである。タンパク質解析は、60重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0043】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、2g/L硝酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を0.75vvmに設定し、攪拌を250rpmに設定する。pHを、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。12時間後、10g/Lスクロースおよび1g/L硝酸アンモニウムを系に加える。全体で24時間後、菌糸体を、チーズクロスを使用して採取し、サイダープレス中で脱水し、74℃に設定した脱水器中で完全に乾燥させる。総細胞乾燥重量は12g/Lである。タンパク質解析は、60重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0044】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、2g/L硝酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を0.75vvmに設定し、攪拌を250rpmに設定する。pHを、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、培地の90%を採取し、新しい培地を、系全体を10Lに戻すように上記の濃度で加える。新しい連続バッチ時間を12時間に短縮する。12時間毎に90%を採取し、流加培養プロセスを再度繰り返す。プロセスを60時間行った。採取した細胞乾燥重量は9.5g/Lである。タンパク質解析は、60重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0045】
別の例では、N.crassaを、10Lベンチトップ反応器においてバッチ構成で成長させた。N.crassaを最初に寒天スラントで成長させ、32℃で3日間インキュベートする。分生子を、250mLのベント付きフェルンバッハフラスコに移し、オービタルシェーカーテーブル上、32℃で48時間成長させる。得られた菌糸体を、以下の培地を含有するベンチトップ10L反応器に無菌的に移す:20g/Lスクロース、2g/L硝酸アンモニウム、1g/Lリン酸二水素カリウム、0.2g/L硫酸マグネシウム、0.1g/L塩化カルシウム、および微量元素。曝気を0.75vvmに設定し、攪拌を250rpmに設定する。pHを、6N水酸化ナトリウム緩衝液を使用して5.8に調整し、維持する。24時間後、培地の90%を採取し、新しい培地を、系全体を10Lに戻すように上記の濃度で加える。新しい連続バッチ時間を12時間に短縮する。12時間毎に90%を採取し、流加培養プロセスを再度繰り返す。プロセスを60時間行った。チーズクロスによって濾別およびプレス後、全ての培地を収集してオートクレーヴし、20g/Lスクロース、2g/L硝酸アンモニウム、および1g/Lリン酸二水素カリウムのみを加えて再利用する。繰り返し流加培養プロセスを全体で60時間行う。採取した細胞乾燥重量は9.5g/Lである。タンパク質解析は、60重量%の粗タンパク質含有量を生じる。アミノ酸解析は、繊維様菌糸塊に関して1.0のPDCAASスコアを生じる。繊維様菌糸塊は、26mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有する。
【0046】
バッチ成長方法を本明細書に記載する。成長実験を、新鮮な残留水分1L中で行った。バッチ培養を、一定の光の下、30℃で1~3日間(120rpm)インキュベートした。バイオマスの採取は、減圧濾過フラスコを使用して実施し、その後105℃で乾燥させた。
【0047】
糸状菌の粗タンパク質含有量は、追加の窒素源を補充することによって増加させることができる。非限定的な例としては、気体様アンモニア、液体アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、酵母エキス、尿素、ペプトン、または他の有機窒素源を補充することが挙げられる。窒素源を、他のpH緩衝構成成分と共に加えることができる。非限定的な例としては、酸、ホスフェート、ボラート、スルフェート、および塩基が挙げられる。
【0048】
以下は、真菌を成長させ、菌糸塊を脱水および再湿潤化する一部の例である。これらの例は、単に例証目的のためであり、本開示をいかなる形状または形態にも限定しないと解釈すべきである。
【0049】
一例では、Neurospora crassa(N.crassa)を、200Lの攪拌タンクバイオリアクターにおいて予め設定した条件下で成長させた。十分に成長させた後、N.crassaバイオマス(菌糸体)を、200PEMナイロンメッシュバッグを通して収集した。この段階での菌糸体の水分含有量はおよそ95%であった。高い水分の菌糸体を、基部およびフォロアからなる穿孔されたステンレス鋼の型に加える。100psiの圧力を型の蓋に適用し、菌糸体をおよそ75%の水分含有量の堅固なブロックに圧縮する。次に、ブロックを所望のサイズおよび形状の小片へとスライスまたは破断する。成形した菌糸体のスライスを、穿孔されたトレイに載せて、脱水器に入れる。脱水パラメーターを、60℃の温度および20%未満の相対湿度に設定する。成形した菌糸体のスライスを、6時間で20%未満の水分含有量となるように脱水する。脱水された菌糸体の最終体積は、最初のプレスした菌糸体の75%より大きい。
【0050】
次に、脱水された菌糸体を、香味料、染料、脂肪、または他の機能的食品成分と共に再湿潤化して、元の75%またはそれより高い水分含有量に戻すことができる。特定の脱水パラメーターおよび低い体積低減のために、再湿潤化比は極めて高い。この時点で、再湿潤化された菌糸体は、元のプレスされた菌糸塊よりはるかに硬くなく、鶏肉などの動物の肉の食感を有する。
【0051】
別の例では、脱水された菌糸体およびマリネードを真空で組み合わせることによって、脱水された菌糸体を、香味料、染料、脂肪、または他の機能的食品成分と共に再湿潤化することができる。真空は、特に厚みのある小片に関してマリネードのより大きい浸透を可能にする。
【0052】
別の例では、脱水された菌糸体を、74℃(165°F)より高い温度を有するマリネード中で再湿潤化する。このことは、菌糸塊に存在し得るあらゆる生きた真菌を殺滅する食品製造の殺菌ステップを提供するのみならず、熱いマリネードが菌糸体の細胞構成成分を分解し、より「軟らかい」食感を提供する。熱いマリネードは、所望の軟らかさに応じて、5分間もの短い期間または最大24時間実施することができる。この方法の別のさらなる利点は、菌糸体全体にマリネードを浸透させるプロセスの速度を上げることである。
【0053】
別の例では、脱水された菌糸体は、10℃(50°F)未満の温度を有するマリネード中で再湿潤化される。冷マリネードは、より長いマリネ時間のために追加の食品安全性を提供する。冷マリネードは、小片の厚さに応じて5分間もの短い期間または最大24時間実施することができる。この方法の別のさらなる利点は、菌糸体からのいかなる風味も低減すること(すなわち、菌糸体によって産生される任意の固有の風味の寄与を低減すること)である。
【0054】
別の例では、第2の脱水ステップは、熱いマリネードステップの後に起こり得る。例えば、この脱水ステップは、様々な湿度範囲で51℃~94℃(125°F~200°F)のいずれかで起こり得る。マリネード後の水分を低減させることによって、例えば生の鶏胸肉と比較して調理された鶏胸肉と類似の食感を有するより密な食感が達成される。最終的な水分はまた、レアのビーフステーキからよく焼いたビーフステーキまでの範囲の食感をまねることができる。最終的な水分含有量は、ビーフジャーキーを模倣する場合、50%またはそれより低い低さであり得る。
【0055】
別の例では、成形した菌糸体スライスを穿孔されたトレイに載せ、市販の脱水器に入れる。脱水パラメーターを、60℃の温度および20%未満の相対湿度に設定する。脱水プロセスは、菌糸体の水分含有量が60%に達すると停止する。再湿潤化後、菌糸体は、類似の水分含有量であるにもかかわらず、元の菌糸体より繊細な食感を有する。この方法を使用して、魚肉の食感を模倣することができる。
【0056】
追加の成分を有する再湿潤化された菌糸塊を、単一の方法または方法の組合せで使用することができる。例えば、再湿潤化された菌糸塊を、100℃未満の温度(例えば、包括的に90℃、80℃、75℃、または50℃)の乾燥環境またはスチーム環境下で1~60分間調理することができる。再湿潤化された菌糸塊は、100℃~200℃の温度範囲(例えば、包括的に100℃、125℃、150℃、または200℃)の乾燥環境またはスチーム環境下で1~60分間調理することができる。再湿潤化された菌糸塊は、100℃未満の水浴で1分間~120分間(例えば、包括的に1、2、5、10、20、40、60、80、100、または120分間)調理することができる。
【0057】
一部の実施形態では、再湿潤化された菌糸塊を保存することができる。再湿潤化された菌糸塊は、追加の成分を含み得る。再湿潤化された菌糸塊を調理することができる。再湿潤化された菌糸塊を、0℃未満の周囲条件もしくは真空条件で冷凍することができ、および/または5℃未満の周囲条件もしくは真空条件下で冷蔵することができる。再湿潤化された菌糸塊は、密封容器中で無期限に保存することができる。
【0058】
一部の実施形態では、再湿潤化された菌糸塊は、真空密封バッグに包装することができる。バッグを、包括的に50℃~100℃の範囲の水浴に、包括的に5分~24時間の期間入れることができる。したがって、再湿潤化された菌糸塊は、低温殺菌され、すぐに食べることのできる食品であると考えられる。
【0059】
再湿潤化された菌糸塊を産生するステップは、再湿潤化された菌糸塊の食感を調整するステップを含み得る。再湿潤化された菌糸塊の食感は、菌糸塊の化学洗浄によって調整することができる。あるいは、食感を、菌糸塊の水分含有量を制御することによって変更することができる。食感はまた、菌糸塊の成長および形態を決定する異なる栄養素を加えることを通して変更することもできる。最終的な菌糸塊の密度は、より重いまたはより軽い最終製品を産生するために、最初の水分含有量および乾燥条件を変更することによって制御することができる。
【0060】
食肉代替製品は、10重量%~100重量%の範囲(例えば、包括的に10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または100重量%)の再湿潤化された菌糸塊を含み得る。食肉代替製品は、0重量%~100重量%の範囲(例えば、包括的に0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または100重量%)の水分含有量を有し得る。一部の実施形態では、繊維様菌糸塊は、包括的に10重量%~50重量%の範囲であり、水分含有量は、包括的に50重量%~90重量%の範囲である。一部の実施形態では、食肉代替製品は、1重量%~20重量%の範囲(例えば、包括的に1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、または20重量%)の可溶性タンパク質を含む。食肉代替製品は、0.01重量%~5重量%の範囲(例えば、包括的に0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%、または5重量%)の増粘剤含有量を含み得る。食肉代替製品は、0重量%~10重量%の範囲(例えば、包括的に0重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量%、または10重量%)の脂肪源を含み得る。
【0061】
食肉代替製品は、矯味矯臭剤(flavorant)を含み得る。矯味矯臭剤は、香味料または食品添加物を含み得る。例えば、矯味矯臭剤は、ナッツ由来の油、野菜由来の油、植物由来の油、および動物由来の油などの油を含み得る。矯味矯臭剤は、スパイス(例えば、黒コショウ、フェンネル、マスタード、ナツメグ、シナモン、ショウガ、カイエンペッパー、クローブ等)を含み得る。矯味矯臭剤は、風味粉末(例えば、オニオン粉末、ニンニク粉末、BBQ粉末、サワークリーム粉末、レモン粉末、ライム粉末等)を含み得る。
【0062】
食肉代替製品は、少なくとも20mg/グラム粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を含み得る。一部の実施形態では、食肉代替製品中のメチオニンとシステインとの合計含有量は、20mg/グラム~30mg/グラムの範囲(例えば、包括的に20mg/グラム、25mg/グラム、または30mg/グラム)である。食肉代替製品は、1のPDCAASスコアを有し得る。食肉代替製品は、2~9の範囲(例えば、包括的に2、3、4、5、6、7、8、または9)の内部pHを有し得る。食肉代替製品は、20重量%~70重量%の範囲(例えば、包括的に20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、または70重量%)のタンパク質乾燥重量を有し得る。食肉代替製品は、5重量%~30重量%の範囲(例えば、包括的に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%)の繊維乾燥重量を有し得る。食肉代替製品は、0重量%~20重量%(例えば、包括的に0重量%、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、または20重量%)の乾燥脂肪重量を有し得る。食肉代替製品は、55より大きいCIE L値によって表される色を有し得る。食肉代替製品は、0.00035kgf/mmより高い硬さを有し得る。
【0063】
食肉代替製品は、鶏肉代替製品、牛肉代替製品、豚肉代替製品、仔牛肉代替製品、または魚肉代替製品を含み得る。食肉代替製品は、10重量%~90重量%(例えば、包括的に10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%)の再湿潤化された菌糸塊を含み得る。
【0064】
鶏肉代替製品は、50重量%~90重量%(例えば、包括的に50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%)の水を含み得る。鶏肉代替製品は、10重量%~50重量%(例えば、包括的に10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、または50重量%)のN.crassaなどに由来の真菌菌糸体を含み得る。鶏肉代替製品は、1重量%~20重量%(例えば、包括的に1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、または20重量%)の可溶性タンパク質を含み得る。可溶性タンパク質は、とりわけエンドウ、卵白、およびジャガイモを含み得る。鶏肉代替製品は、0.01重量%~5重量%(例えば、包括的に0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%、または5重量%)の増粘剤を含み得る。増粘剤は、とりわけペクチン、カラギーナン、および寒天を含み得る。鶏肉代替製品は、0重量%~10重量%(包括的に、0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、または10重量%)の脂肪源を含み得る。脂肪源は、とりわけ野菜の油、種子を含み得る。鶏肉代替製品は、調味料を含み得る。鶏肉代替製品は、様々な物理的特性を有し得る。例えば、鶏肉代替製品は、2~9(例えば、包括的に2、3、4、5、6、7、8、または9)の範囲の内部pHを有し得る。鶏肉代替製品は、20重量%~70重量%(例えば、20重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、または70重量%)のタンパク質乾燥重量を有し得る。鶏肉代替製品は、5重量%~30重量%(例えば、包括的に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%)の繊維乾燥重量を有し得る。鶏肉代替製品は、0重量%~10重量%(包括的に、0重量%、1重量%、2重量%、4重量%、5重量%、または10重量%)の脂肪乾燥重量を有し得る。鶏肉代替製品は、55より大きいCIE L値を有し得る。鶏肉代替製品は、0.00035kgf/mmより高い硬さを有し得る。
【0065】
肉代替製品は、0重量%~90重量%(例えば、包括的に0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%)の水を含み得る。肉代替製品は、10重量%~100重量%(例えば、包括的に10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、または100重量%)のN.crassaなどに由来の真菌菌糸体を含み得る。肉代替製品は、1重量%~20重量%(例えば、包括的に1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、または20重量%)の可溶性タンパク質を含み得る。可溶性タンパク質は、とりわけエンドウ、卵白、およびジャガイモを含み得る。肉代替製品は、0重量%~5重量%(例えば、包括的に0重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%、または5重量%)の増粘剤を含み得る。増粘剤は、とりわけペクチン、カラギーナン、および寒天を含み得る。肉代替製品は、0重量%~50重量%(包括的に、0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、または50重量%)の脂肪源を含み得る。脂肪源は、とりわけ野菜の油、種子を含み得る。肉代替製品は、調味料を含み得る。
【0066】
再湿潤化された菌糸塊の風味は、異なる油を加えることによって増強することができる。油の非限定的な例としては、ナッツ由来、野菜由来、植物由来、および動物由来の油が挙げられる。油は、消泡剤として、真菌の炭素源として作用する複数の使用目的を有するように、および菌糸塊の細胞外/細胞内に組み込まれるように、食品等級の残留水流に加えることができる。あるいは、油を、採取後または調理後に菌糸塊に組み入れることができる。
【0067】
再湿潤化された菌糸塊の食感は、再湿潤化された菌糸塊の化学洗浄によって調整することができる。あるいは食感を、再湿潤化された菌糸塊の水分含有量を制御することによって変更することができる。食感はまた、再湿潤化された菌糸塊の成長および形態を決定する異なる栄養素を加えることを通しても変更することができる。最終的な再湿潤化された菌糸塊の密度は、最初の水分含有量および乾燥条件を変更して、より重いまたはより軽い最終製品を産生することによって制御することができる。
【0068】
図2は、一実施形態に従って菌糸体を脱水および再湿潤化して食肉代替品を得る例としての方法のフローチャートを例証する。方法200は、202で成長させるステップを含み得る。方法は、204で濾別するステップを含み得る。方法は、206でプレスするステップを含み得る。方法は、208でカットするステップを含み得る。方法は、210で、第1の脱水するステップを含み得る。方法は、212で、マリネするステップを含み得る。方法は、214で第2の脱水するステップを含み得る。
【0069】
さらに詳細に、方法200は、202で成長させるステップを含み得る。例えば、方法200は、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。成長培地は、数キログラムの真菌菌糸体を成長させることが可能なバット(vat)などの容器に含有され得る。成長培地を、最初の成長培地と呼ぶことができる。方法200は、真菌細胞が菌糸体を産生するように真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。成長培地は、栄養素(例えば、糖、窒素含有化合物、またはホスフェート含有化合物)を含み得る。成長培地は、糖、窒素含有化合物、およびホスフェート含有化合物を含み得る。糖は、5g/L~50g/Lの範囲であり得る。例えば、糖は、包括的に5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、または50g/Lであり得る。糖は、スクロース、グルコース、フルクトース、糖蜜、または糖の混合物を含み得る。窒素含有化合物は、0.5g/L~10g/Lの範囲であり得る。例えば、窒素含有化合物は、包括的に0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、または10g/Lであり得る。窒素含有化合物は、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、ペプトン、または窒素含有化合物の混合物を含み得る。ホスフェート含有化合物は、0.1g/L~5g/Lの範囲であり得る。例えばホスフェート含有化合物は、包括的に0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、または5g/Lであり得る。ホスフェート含有化合物は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、またはホスフェート含有化合物の混合物であり得る。
【0070】
方法200は、204で濾別するステップを含み得る。例えば、菌糸体を濾別するステップは、菌糸塊を成長培地から分離するステップを含み得る。菌糸塊を成長培地から分離するステップは、重力による濾別、遠心分離、ベルトプレス、フィルタープレス、機械プレス、ドラム乾燥、または任意の他の適したプロセスを使用して実施することができる。分離された菌糸塊は、90重量%より高い水分含有量を有し得る。例えば、分離された菌糸塊は、包括的に91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%の水分含有量を有し得る。分離プロセスの間、菌糸塊を、水、エタノール、酸、塩基、または他の溶媒によって洗浄することができる。回収した濾液を再利用してもよく、または捨ててもよい。菌糸塊の細胞壁を、例えば溶解することを通して破壊することができる。溶解は、pHを4未満もしくは9より上に調整することによって、溶解酵素を加えることによって、温度を40℃~60℃の範囲に1時間~24時間の範囲で上昇させることによって、または任意の他の適した溶解方法によって実施してもよい。分離後、添加物(例えば、食品添加物)を菌糸塊と混合することができる。添加物は、例えば菌糸塊が食用製品に形成される場合、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、および香味料を含み得る。濾別ステップの間の菌糸塊の水分含有量は、90重量%より高いことがあり得る。
【0071】
方法200は、206でプレスするステップを含み得る。菌糸塊をプレスするステップは、菌糸塊をプレスして、圧縮された菌糸塊を産生するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を、プレスされた菌糸塊と呼ぶことができる。圧縮された菌糸塊は、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、圧縮された菌糸塊は、包括的に65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、または85重量%の水分含有量を有し得る。10psi~300psiの範囲の圧力を、菌糸塊に適用して、圧縮された菌糸塊を産生することができる。例えば、10psi、25psi、50psi、75psi、100psi、125psi、150psi、175psi、200psi、225psi、250psi、275psi、または300psiの圧力を菌糸塊に適用することができる。
【0072】
方法200は、208でカットするステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を、様々な形状およびサイズの小片にカットすることができる。例えば、圧縮された菌糸塊を、スライスする、カットする、または小片に破断することができる。圧縮された菌糸塊の小片は、包括的に65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有し得る。
【0073】
方法200は、210で第1の脱水するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊の小片を、40℃~80℃の範囲の温度、および30%より高い相対湿度で脱水することができる。例えば、圧縮された菌糸塊の小片を、包括的に40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃の温度で脱水することができる。脱水された菌糸塊の小片は、5重量%~80重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊の小片は、包括的に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、75重量%、または80重量%の水分含有量を有し得る。
【0074】
方法200は、212でマリネするステップを含み得る。脱水された菌糸塊の小片を、0℃~100℃の範囲の温度で5分間~24時間マリネすることができる。再湿潤化された菌糸塊の小片は、50重量%~90重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、再湿潤化された菌糸塊の小片は、包括的に50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、75重量%、80重量%、85重量%、または90重量%の水分含有量を有し得る。脱水された菌糸塊の小片を、包括的に0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃の温度で再湿潤化することができる。脱水された菌糸塊の小片を、包括的に5分間、30分間、1時間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、または24時間再湿潤化することができる。
【0075】
方法200は、214で第2の脱水するステップを含み得る。再湿潤化された菌糸塊の小片を、包括的に40℃~100℃の範囲の温度で、包括的に5分間~24時間脱水することができる。脱水された菌糸塊の小片は、10重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊の小片は、包括的に10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、75重量%、80重量%、または85重量%の水分含有量を有し得る。再湿潤化された菌糸塊の小片を、包括的に40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃の温度で脱水することができる。再湿潤化された菌糸塊の小片を、包括的に5分間、30分間、1時間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、または24時間脱水することができる。
【0076】
図3は、一実施形態に従って、菌糸体を脱水する例としての方法のフローチャートを例証する。簡単に概説すると、方法300は、302で、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。方法300は、304で、菌糸塊を成長培地から分離するステップを含み得る。方法300は、306で、菌糸塊を圧縮するステップを含み得る。方法300は、308で、圧縮された菌糸塊を脱水するステップを含み得る。
【0077】
さらに詳細に、方法300は、302で、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。例えば、成長培地は、数キログラムの真菌菌糸体を成長させることが可能なバットなどの容器に含有され得る。成長培地を、最初の成長培地と呼ぶことができる。方法300は、真菌細胞が菌糸体を産生するように真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。成長培地は、栄養素(例えば、糖、窒素含有化合物、またはホスフェート含有化合物)を含み得る。成長培地は、糖、窒素含有化合物、およびホスフェート含有化合物を含み得る。糖は、5g/L~50g/Lの範囲であり得る。例えば、糖は、包括的に5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、または50g/Lであり得る。糖は、スクロース、グルコース、フルクトース、糖蜜、または糖の混合物を含み得る。窒素含有化合物は、0.5g/L~10g/Lの範囲であり得る。例えば、窒素含有化合物は、包括的に0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、または10g/Lであり得る。窒素含有化合物は、水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、酵母エキス、ペプトン、または窒素含有化合物の混合物を含み得る。ホスフェート含有化合物は、0.1g/L~5g/Lの範囲であり得る。例えばホスフェート含有化合物は、包括的に0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、または5g/Lであり得る。ホスフェート含有化合物は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、またはホスフェート含有化合物の混合物であり得る。
【0078】
真菌細胞は、包括的に25℃~40℃の範囲の温度で成長させることができる。真菌細胞は、包括的に12時間~48時間の範囲で成長させることができる。成長しつつある真菌細胞は、5g/L~20g/Lの真菌細胞乾燥重量の収量を産生することができる。菌糸体は、40重量%(乾燥重量)より高いタンパク質含有量を有し得る。一部の実施形態では、菌糸体は、包括的に50%~65%(乾燥重量)のタンパク質含有量を有し得る。菌糸体は、少なくとも25mg/g粗タンパク質のメチオニンとシステインとの合計含有量を有し得る。
【0079】
一部の実施形態では、方法300は、ある体積のブロスを除去するステップを含み得る。ブロスは、真菌細胞および成長培地を含有し得る。ある体積のブロスを除去するステップは、ある体積のブロスを個別に除去するステップを含み得る。例えば、ある体積のブロスを、バッチプロセスにおいてブロスを含有する容器から吸い上げる、またはブロスから連続的に除去することができる。例えば、ある体積のブロスを、ブロスを含有する容器から連続プロセスで流出させることができる。
【0080】
方法300は、ブロスを含有する容器に新鮮な成長培地を加えるステップを含み得る。ブロスは、発酵ブロスであり得る。栄養素(例えば、糖、ホスフェート含有化合物、または窒素含有化合物)をバッチ成長構成で加えることができる。例えば、栄養素を既定の時間後(例えば、包括的に1時間、2時間、3時間、6時間、または12時間後)に加えることができる。新鮮な成長培地の栄養素がない場合またはその少なくとも1つの濃度を、操作302に記載される最初の成長培地の栄養素の濃度にすることができる。新鮮な成長培地は、最初の成長培地における真菌細胞の成長の間、最初の成長培地から失われた成長培地の体積より大きい、小さい、または等しい体積を有し得る。
【0081】
一例では、6時間後、新鮮な成長培地中の糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物の濃度が増加する。栄養素を、ブロスの糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物の濃度がそれぞれ、最初の成長培地の糖、ホスフェート含有化合物、および窒素含有化合物の濃度となるように加える。
【0082】
一例では、少なくとも12時間後、ブロスの50%~95%を除去することができる。栄養素(例えば、糖、ホスフェート含有化合物、または窒素含有化合物)を含有する新鮮な培地を加えることができる。ブロスの栄養素濃度を、新鮮な成長培地を加えることによって増加させることができる。
【0083】
栄養素は、連続成長構成で加えることができる。例えば、ある体積のブロス(例えば、包括的に0.01体積%、1体積%、5体積%、10体積%、25体積%、50体積%、または95体積%)を、真菌細胞および成長培地を含有する容器から除去することができる。新鮮な成長培地を、ブロスを含有する容器に加えることができる。新鮮な成長培地を、連続流として提供することができる。容器中のブロスの体積を、指定されたレベルに留まるようにモニターすることができる。例えば、容器中のブロスの体積は、固定された体積に留まることができる。加えられる新鮮な成長培地の体積は、容器から失われたブロスの体積と等しくなり得る。
【0084】
方法300は、真菌細胞が菌糸塊の乾燥質量の40重量%より高いタンパク質含有量を有する菌糸塊を産生するように、真菌細胞を成長培地中で成長させるステップを含み得る。例えば、菌糸塊は、菌糸塊の乾燥質量の、包括的に45重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、または90重量%のタンパク質含有量を有し得る。
【0085】
方法300は、304で、菌糸塊を成長培地から分離するステップを含む。菌糸塊を成長培地から分離するステップは、重力による濾別、遠心分離、ベルトプレス、フィルタープレス、機械プレス、ドラム乾燥、または任意の他の適したプロセスを使用して実施することができる。分離された菌糸塊は、90重量%より高い水分含有量を有し得る。例えば、分離された菌糸塊は、包括的に91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、または99重量%の水分含有量を有し得る。分離プロセスの間、菌糸塊を水、エタノール、酸、塩基、または他の溶媒によって洗浄することができる。回収した濾液を再利用してもよく、または捨ててもよい。菌糸塊の細胞壁を、例えば溶解することを通して破壊することができる。溶解は、pHを4未満もしくは9より上に調整することによって、溶解酵素を加えることによって、温度を40℃~60℃の範囲に1時間~24時間の範囲で上昇させることによって、または任意の他の適した溶解方法によって実施してもよい。分離後、添加物(例えば、食品添加物)を菌糸塊と混合することができる。添加物は、例えば菌糸塊が食用製品に形成される場合、植物性または動物性タンパク質、脂肪、乳化剤、増粘剤、安定剤、および香味料を含み得る。
【0086】
方法300は、306で、菌糸塊を圧縮するステップを含み得る。菌糸塊を圧縮するステップは、菌糸塊を圧縮して、圧縮された菌糸塊を産生するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊は、65重量%~85重量%の範囲の水分含有量を有し得る。例えば、圧縮された菌糸塊は、包括的に65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、または85重量%の水分含有量を有し得る。
【0087】
方法300は、308で、圧縮された菌糸塊を脱水するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、圧縮された菌糸塊を脱水して、脱水された菌糸塊を産生するステップを含み得る。脱水された菌糸塊は、20重量%未満の水分含有量を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊は、包括的に5重量%、10重量%、15重量%、または19重量%の水分含有量を有し得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、菌糸塊を脱水するステップを含み得る。例えば、圧縮された菌糸塊を、20重量%未満の水分含有量まで熱により乾燥させることができる。圧縮された菌糸塊は、指定された温度で熱により乾燥させることができる。例えば、圧縮された菌糸塊を、135℃の温度で熱により乾燥させることができる。圧縮された菌糸塊を、30℃~60℃の範囲の温度で熱により乾燥させることができる。圧縮された菌糸塊は、30%より高い相対湿度で熱により乾燥させることができる。例えば、圧縮された菌糸塊は、包括的に35%、40%、45%、または50%の相対湿度で熱により乾燥させることができる。一部の実施形態では、圧縮された菌糸塊は、強制空気によって熱により乾燥させることができる。一部の実施形態では、圧縮された菌糸塊を脱水するステップは、機械力(例えば、プレス、ふるい)を適用して菌糸体から水を除去するステップを含み得る。圧縮された菌糸塊を脱水するステップ(例えば、熱または機械的乾燥を介して)により、脱水された菌糸塊を産生することができる。脱水された菌糸塊をすりつぶして粒子サイズを低減し、例えば粉末を作製することができる。
【0088】
圧縮された菌糸塊を一定期間脱水して、20重量%未満の水分含有量を有する脱水された菌糸塊を産生することができる。例えば、圧縮された菌糸塊は、8時間より長い期間(例えば、10時間、15時間、20時間、または24時間等)脱水することができる。脱水された菌糸塊は、圧縮された菌糸塊の50%未満である体積を有し得る。例えば、脱水された菌糸塊は、圧縮された菌糸塊の、包括的に10%、20%、30%、40%、または50%である体積を有し得る。
【0089】
以下は、真菌を成長させて菌糸塊を脱水する一部の例である。これらの例は、単に例証目的のためであり、本開示をいかなる形状または形態にも限定しないと解釈すべきである。
【0090】
一例では、Neurospora crassa(N.crassa)を、200Lの攪拌タンクバイオリアクターにおいて予め設定した条件下で成長させた。十分に成長させた後、N.crassaバイオマス(菌糸体)を、200PEMナイロンメッシュバッグを通して収集した。この段階での菌糸体の水分含有量はおよそ95%であった。高い水分の菌糸体を、基部およびフォロアからなる穿孔されたステンレス鋼の型に加える。100psiの圧力を型の蓋に適用し、菌糸体を、およそ75%の水分含有量の堅固なブロックに圧縮する。次に、ブロックを所望のサイズおよび形状の小片へとスライスまたは破断する。次に、成形した菌糸体スライスを、穿孔されたトレイに載せて、脱水器に入れる。脱水パラメーターを、60℃の温度および30%より高い相対湿度に設定する。スライスは、脱水の間に非常に密度が高くなり、20%未満の水分含有量を達成するために8時間を超える時間を要する。脱水された菌糸体の最終体積は、圧縮された菌糸塊の50%未満であり得る。
【0091】
図4Aは、圧縮された菌糸塊、脱水および再湿潤化された菌糸塊、再湿潤化された菌糸塊を脱水することによって産生された第2の脱水された菌糸塊、生の鶏肉、および調理された鶏肉の硬さの棒グラフを例証する。圧縮された菌糸塊は、0.012kgf/mm~0.014kgf/mmの間の硬さを有し得る。脱水および再湿潤化された菌糸塊は、0.0018kgf/mm~0.0035kgf/mmの間の硬さを有し得る。第2の脱水された菌糸塊は、0.007kgf/mm~0.0088kgf/mmの間の硬さを有し得る。生の鶏肉は、0.0018kgf/mm~0.0035kgf/mmの間の硬さを有し得るが、これは脱水および再湿潤化された菌糸塊と同じ範囲である。調理された鶏肉は、0.007kgf/mm~0.0088kgf/mmの間の硬さを有し得るが、これは第2の脱水された菌糸塊と同じ範囲である。
【0092】
図4Bは、圧縮された菌糸塊、脱水および再湿潤化された菌糸塊、再湿潤化された菌糸塊を脱水することによって産生された第2の脱水された菌糸塊、生の鶏肉、および調理された鶏肉の水分含有量の表を例証する。圧縮された菌糸塊は、73%の水分含有量を有し得る。脱水および再湿潤化された菌糸塊は、78%の水分含有量を有し得る。第2の脱水された菌糸塊は、60%の水分含有量を有し得る。生の鶏肉は、80%の水分含有量を有し得るが、これは脱水および再湿潤化された菌糸塊の水分含有量と類似である。調理された鶏肉は、55%の水分含有量を有し得るが、これは、第2の脱水された菌糸塊の水分含有量と類似である。したがって、脱水および再湿潤化された菌糸塊は、生の鶏肉の硬さおよび水分含有量を模倣することができ、第2の脱水された菌糸塊は、調理された鶏肉の硬さおよび水分含有量を模倣することができ、それによって、そのような脱水および再湿潤化され、そして脱水された菌糸塊の消費者に、鶏肉を食べているのと極めて類似した経験を提供することができる。
【0093】
本明細書は、多くの特定のインプリメンテーションを詳細に含有するが、これらは本発明の範囲または特許請求される範囲に対する限定であると解釈してはならず、むしろ特定の本発明の特定のインプリメンテーションに対して特異的な特色の説明であると解釈すべきである。個別のインプリメンテーションの文脈で本明細書に記載されるある特定の特色もまた、単一のインプリメンテーションと組み合わせてインプリメントすることができる。逆に、単一のインプリメンテーションの文脈で記載される様々な特色を、複数のインプリメンテーションで個別にまたは任意の適した部分組合せでインプリメントすることもできる。その上、特色はある特定の組合せで作用すると上で記載され、および当初そのように特許請求され得るが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特色を、一部の例において組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変形形態を対象としてもよい。
【0094】
同様に、操作は図面および表において特定の順序で表されているが、これは、そのような操作が、所望の結果を達成するために、示される特定の順序でもしくは連続する順序で実施しなければならないこと、または全ての例証される操作を実施しなければならないことを必要とすると理解してはならない。ある特定の状況では、マルチタスク動作および並列処理が有利であり得る。その上、上記のインプリメンテーションにおける様々なシステムの構成成分の分離は、全てのインプリメンテーションにおいてそのような分離を必要とすると理解してはならず、記載されるプログラム構成成分およびシステムを一般的に、単一のソフトウェア製品に組み込むことができ、または複数のソフトウェア製品にパッケージングすることができると理解すべきである。
【0095】
このように、本発明の特定のインプリメンテーションが記載されている。他のインプリメンテーションは、以下の特許請求の範囲の範囲内である。一部の例では、特許請求の範囲で列挙された行動は、異なる順序で実施することができ、それでもなお所望の結果を達成することができる。加えて、添付の図面に表されるプロセスは、所望の結果を達成するために、示される特定の順序または連続する順序を必ずしも必要としない。ある特定のインプリメンテーションでは、マルチタスク動作および並列処理が有利であり得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの」、「1つの(an)」、および「その」は、本文が明らかにそれ以外であることを指示していない限り、複数形を含む。このように、例えば、「1つのメンバー」という用語は、単一のメンバーおよびメンバーの組合せを意味すると意図され、「1つの材料」は、1つまたは複数の材料またはその組合せを意味すると意図される。
【0097】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は一般的に、記載の値のプラスマイナス10%を意味する。例えば、約0.5は、0.45~0.55を含み、約10は、9~11を含み、約1000は900~1100を含むであろう。
【0098】
「例示的な」という用語は、本明細書で様々な実施形態を記載するために使用される場合、そのような実施形態が、起こり得る実施形態の起こり得る例、代表、および/または例証であることを示すことを意図する(およびこのような用語は、そのような実施形態が必然的に並外れた最上級の例であることを暗示することを意図しない)ことに注意すべきである。
【0099】
「連結された」、「接続された」等の用語は、本明細書で使用される場合、2つのメンバーを互いに直接または間接的に結合することを意味する。そのような結合は、静止的(例えば、永続的)または移動可能(例えば、除去可能または解放可能)であり得る。そのような結合は、2つのメンバーによって、または互いに単一の統合体として一体形成されている2つのメンバーと任意の追加の中間メンバーによって、または互いに結合されている2つのメンバーもしくは2つのメンバーと任意の追加の中間メンバーによって達成され得る。
【0100】
様々な例示的な実施形態の構築および配置は単なる例示であることに注目することは重要である。ごく一部の実施形態が本開示において詳細に記載されているが、本開示を再検討する当業者は、本明細書に記載の主題の新規教示および利点から実質的に逸脱することなく多くの改変(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメーターの値、設置配列、材料の用途、色、配向等の変形形態)が可能であることを容易に認識するであろう。他の置換、改変、変化、および省略もまた、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な例示的な実施形態の設計、操作条件、および配置において行われ得る。
【0101】
本明細書を通して「1つの実施形態」、「一実施形態」、または類似の言語への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特色、構造、または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通して「1つの実施形態において」、「一実施形態において」という語句、または類似の言語の出現は全て、同じ実施形態を指してもよいが、必ずしもその必要はない。同様に、「インプリメンテーション」という用語の使用は、本開示の1つまたは複数の実施形態に関連して記載される特定の特色、構造、または特徴を有するインプリメンテーションを意味するが、それ以外であることを示す明白な相関がない場合、インプリメンテーションは、1つまたは複数の実施形態に関連してもよい。
【0102】
本明細書は、多くの特定のインプリメンテーションを詳細に含有するが、これらは本発明の範囲または特許請求される範囲に対する限定であると解釈してはならず、むしろ特定の本発明の特定のインプリメンテーションに対して特異的な特色の説明であると解釈すべきである。個別のインプリメンテーションの文脈で本明細書に記載されるある特定の特色もまた、単一のインプリメンテーションと組み合わせてインプリメントすることができる。逆に、単一のインプリメンテーションの文脈で記載される様々な特色を、複数のインプリメンテーションで個別にまたは任意の適した部分組合せでインプリメントすることもできる。その上、特色はある特定の組合せで作用すると上で記載され、および当初そのように特許請求され得るが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特色を、一部の例において組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変形形態を対象としてもよい。
【0103】
同様に、操作は図面および表において特定の順序で表されているが、これは、そのような操作が、所望の結果を達成するために、示される特定の順序でもしくは連続する順序で実施しなければならないこと、または全ての例証される操作を実施しなければならないことを必要とすると理解してはならない。ある特定の状況では、マルチタスク動作および並列処理が有利であり得る。その上、上記のインプリメンテーションにおける様々なシステムの構成成分の分離は、全てのインプリメンテーションにおいてそのような分離を必要とすると理解してはならず、記載されるプログラム構成成分およびシステムを一般的に、単一のソフトウェア製品に組み込むことができ、または複数のソフトウェア製品にパッケージングすることができると理解すべきである。
【0104】
このように、本発明の特定のインプリメンテーションが記載されている。他のインプリメンテーションは、以下の特許請求の範囲の範囲内である。一部の例では、特許請求の範囲で列挙された行動は、異なる順序で実施することができ、それでもなお所望の結果を達成することができる。加えて、添付の図面に表されるプロセスは、所望の結果を達成するために、示される特定の順序または連続する順序を必ずしも必要としない。ある特定のインプリメンテーションでは、マルチタスク動作および並列処理が有利であり得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】