(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】飲料分注ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 1/14 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B67D1/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549045
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021016725
(87)【国際公開番号】W WO2021162940
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】エボイグボディン,エバンス
(72)【発明者】
【氏名】ジャージー,スティーブン ティ
(72)【発明者】
【氏名】ウビディア,フェルナンド エイ
(72)【発明者】
【氏名】スタイン,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】アロジョ,ホセ-ルイス
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC04
3E082CC10
3E082DD01
(57)【要約】
飲料を分注するためのノズルは、ベース液体を受容するように構成されているベース液体入口と、香味剤を受容するように構成されている香味剤入口と、を有するノズルヘッドを含む。ノズルは、ベース液体入口に流体連通しているディフューザアセンブリを更に含み、ディフューザアセンブリは、ベース液体がそこを通って流れる複数の周辺開口部を有するディフューザ板を含む。ノズルは、ディフューザアセンブリと香味剤入口とに流体連通している受容部を更に含む。ノズルの受容部は、内壁を含み、ディフューザアセンブリの周辺開口部は、ベース液体の流れを、受容部の内壁に沿って方向付けるように配置されている。受容部は、香味剤およびベース液体がそこを通って分注される出口を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を分注するためのノズルであって、前記ノズルが、
ノズルヘッドであって、
ベース液体源からベース液体を受容するように構成されているベース液体入口、および
香味剤源から香味剤を受容するように構成されている香味剤入口、
を備えるノズルヘッドと、
前記ベース液体入口に流体連通しているディフューザアセンブリであって、前記ベース液体がそこを通って流れる複数の周辺開口部を有する環状領域を有する少なくとも1つのディフューザ板を備えるディフューザアセンブリと、
前記ディフューザアセンブリと前記香味剤入口とに流体連通している受容部であって、
内壁、および
前記ベース液体および前記香味剤がそこを通って分注される出口、
を備える受容部と、
を備え、
前記ディフューザアセンブリの前記周辺開口部が、前記受容部の前記内壁に沿って前記ベース液体の流れを方向付けるように配置され、かつ前記香味剤入口が、前記香味剤の流れを、前記受容部を通して、前記ノズルの長手方向に方向付ける、ノズル。
【請求項2】
前記香味剤入口が、複数の香味剤入口のうちの1つであり、かつ前記ベース液体入口が、複数のベース液体入口のうちの1つである、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記ノズルヘッドが、中央セクションと、前記中央セクションを取り囲む周辺セクションとを備え、かつ前記複数の香味剤入口が、前記中央セクションに配置され、前記複数のベース液体入口が、前記周辺セクションに配置されている、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記ディフューザアセンブリが、積層構成で配置されている、第1のディフューザ板と第2のディフューザ板とを備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項5】
前記ディフューザアセンブリが、前記ノズルヘッドの基部が配置されている中央開口部を備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記複数の周辺開口部のうちの1つの周辺開口部の内縁部が、前記受容部の前記内壁と位置揃えされている、請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記受容部が、上端および下端を備え、前記ノズルヘッドおよび前記ディフューザアセンブリが、前記受容部の前記上端に配置され、かつ前記出口が、前記受容部の前記下端に配設されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記受容部が、前記上端から前記下端に向かって先細になる、請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記受容部の前記内壁が、曲率を有する、請求項1に記載のノズル。
【請求項10】
前記香味剤および前記ベース液体が、前記受容部内で交差する、請求項1に記載のノズル。
【請求項11】
前記香味剤が、前記ベース液体と、前記受容部の前記出口で交差する、請求項10に記載のノズル。
【請求項12】
流出フロー安定器が、前記受容部の前記出口内に配置され、かつ前記流出フロー安定器が、前記ベース液体および前記香味剤の前記流れを、前記出口を通して、前記ノズルの長手方向軸線に沿って方向付けるように構成されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項13】
前記受容部の上端に配置され、前記受容部内の圧力を外部の圧力と等しくするように構成されている、1つ以上の通気孔を更に備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項14】
ノズルであって、
ノズルヘッドであって、
中央セクション、
前記中央セクションを取り囲む周辺セクション、
前記中央セクションに配置され、香味剤を受容するように構成されている香味剤入口、および
前記周辺セクションに配置され、ベース液体を受容するように構成されているベース液体入口、
を備えるノズルヘッドと、
受容部であって、
上端、
下端、および
前記受容部の前記下端に配置され、前記ベース液体および前記香味剤が、そこを通って前記ノズルから分注される出口、
を備える受容部と、
前記ベース液体入口および前記受容部に流体連通しているディフューザアセンブリであって、前記ベース液体がそこを通って前記受容部内に流入する複数の周辺開口部を画定する環状領域を含む、少なくとも1つのディフューザ板を備える、ディフューザアセンブリと、
を備え、
前記香味剤入口が、前記受容部に流体連通して、前記香味剤の流れを、前記受容部を通して前記ノズルの長手方向に提供し、前記香味剤の前記流れおよび前記ベース液体の前記流れが、前記受容部内で交差しかつ前記出口を通して一緒に分注される、ノズル。
【請求項15】
前記複数の周辺開口部が、前記受容部の内壁に隣接して配置されて、前記ディフューザアセンブリが、前記ベース液体の前記流れを、前記受容部の前記内壁に沿って方向付ける、請求項14に記載のノズル。
【請求項16】
前記香味剤入口が、前記ノズルヘッドの中央セクションに配置されて、前記香味剤の前記流れが、前記ベース液体の前記流れと、前記受容部の前記出口で交差する、請求項14に記載のノズル。
【請求項17】
ノズルであって、
ノズルヘッドであって、
香味剤を受容するための香味剤入口、および
ベース液体を受容するためのベース液体入口、
を備えるノズルヘッドと、
前記ベース液体がそこを通って流れる複数の周辺開口部を画定する環状領域を有する、少なくとも1つのディフューザ板を備える、ディフューザアセンブリと、
受容部であって、
曲率を有する内壁、
前記ベース液体および前記香味剤を、前記ノズルから分注するための出口、および
前記受容部内の圧力を、前記飲料分注ノズルの外部の圧力と等しくするように構成されている通気管、
を備える受容部と、
を備え、
前記香味剤入口が、前記受容部に流体連通して、前記香味剤が、前記受容部を通って、前記ノズルの長手方向に前記出口に向かって流れ、かつ前記ディフューザアセンブリが、前記受容部に流体連通して、前記ベース液体が、前記受容部の前記内壁に沿って流れる、ノズル。
【請求項18】
前記受容部の前記内壁上に、半径方向に配置された、複数の翼部を更に備える、請求項17に記載のノズル。
【請求項19】
前記通気管が、上端および下端を備え、かつ前記上端が、前記受容部内に配置されかつ前記通気管の側壁上に開口部を備え、かつ前記下端が、前記受容部の外側に配置されかつ開口部を備える、請求項17に記載のノズル。
【請求項20】
前記通気管が、前記ノズルの長手方向軸線に平行に配置されている、請求項17に記載のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実施形態は、概して、飲料分注ノズルに関する。具体的には、本明細書に記載の実施形態は、ベース液体と香味剤とを、滑らかな層流パターンで分注するように構成されている多風味飲料分注ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルは、しばしば、ファウンテン型飲料ディスペンサなどにおいて、消費のための飲料を分注するために使用される。ノズルは、事前混合型ノズルと事後混合型ノズルとに分類され得る。事前混合型ノズルとは、飲料そのものがノズルを通して分注されるものである。事後混合型ノズルとは、炭酸水または他のベースとなる液体と、シロップなどの飲料香味剤が、別々にノズルから分注され、それらが互いに、ノズル内またはノズル外であってよい分注点で、組み合わされ得るものである。水および香味剤は、飲料容器内に移動しながら、または容器が充填されつつある間に飲料容器内で混合され得る。
【0003】
事後混合型ノズルは、単一のノズルから様々な飲料を分注することを可能にするという利点を提供する。事後混合型ノズルは、様々な香味剤源と連通し得るが、その結果、事後混合型ノズルを使用して所望の香味剤と共にベース液体を分注することによって、様々な飲料を分注することができるようになる。このようにして、各飲料が予め混合されたリザーバを必要とすることなく、複数のタイプの飲料を分注することができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、飲料を分注するためのノズルに関し、そのノズルは、ノズルヘッドを含み、そのノズルヘッドは、ベース液体源からベース液体を受容するように構成されているベース液体入口と、香味剤源から香味剤を受容するように構成されている香味剤入口と、を有する。ノズルは、ベース液体入口に流体連通しているディフューザアセンブリを更に含み得るが、そのディフューザアセンブリは、少なくとも1つのディフューザ板を含み、そのディフューザ板は、ベース液体がそこを通って流れる複数の周辺開口部を有する環状領域を有する。ノズルは、ディフューザアセンブリと香味剤入口とに流体連通する受容部を更に含み得るが、その受容部は、内壁と、ベース液体および香味剤がそれを通って分注される出口とを含み、ディフューザアセンブリの周辺開口部は、ベース液体の流れを受容部の内壁に沿って方向付けるように配置され、香味剤入口は、香味剤の流れを受容部を通してノズルの長手方向に方向付ける。
【0005】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、香味剤入口は、複数の香味剤入口のうちの1つであってよく、ベース液体入口は、複数のベース液体入口のうちの1つであってよい。いくつかの実施形態では、ノズルヘッドは、中央セクションと、その中央セクションを取り囲む周辺セクションとを含み得る。中央セクションには、複数の香味剤入口が配置されていてよく、周辺セクションには、複数のベース液体入口が配置されていてよい。
【0006】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、ディフューザアセンブリは、積層構成で配置された、第1のディフューザ板と第2のディフューザ板と、を含み得る。
【0007】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、ディフューザアセンブリは、ノズルヘッドの基部が配置される中央開口部を含み得る。
【0008】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、複数の周辺開口部のうちの1つの周辺開口部の内縁部は、受容部の内壁と位置揃えされ得る。
【0009】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、受容部は、上端および下端を含み得るが、ノズルヘッドおよびディフューザアセンブリが、受容部の上端に配置されてよく、出口が、受容部の下端に配置されてよい。いくつかの実施形態では、受容部は、上端から下端に向かって先細になり得る。
【0010】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、受容部の内壁は、曲率を有していてよい。
【0011】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、香味剤とベース液体とは、受容部内で互いに交差し得る。いくつかの実施形態では、香味剤は、受容部の出口でベース液体と交差し得る。
【0012】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、流出フロー安定器が、受容部の出口内に配置されてよく、その流出フロー安定器は、ベース液体および香味剤の流れを、出口を通してノズルの長手方向軸に沿って方向付けるように構成され得る。
【0013】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料分注ノズルは、受容部の上端に配置された1つ以上の通気孔を更に含み得るが、その通気孔は、受容部内の圧力を外部圧力と等しくするように構成されている。
【0014】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、ノズルヘッドを有するノズルに関し、そのノズルヘッドは、中央セクションと、中央セクションを取り囲む周辺セクションとを含み、香味剤入口が、中央セクションに配置され、かつ香味剤を受容するように構成されており、ベース液体入口が、周辺セクションに配置され、かつベース液体を受容するように構成されている。ノズルは、受容部を更に含み得るが、その受容部は、上端と、下端と、受容部の下端に配置された出口と、を含み、その出口を通してベース液体および香味剤がノズルから分注される。ノズルは、ベース液体入口と受容器とに流体連通しているディフューザアセンブリを更に含み得るが、そのディフューザアセンブリは、少なくとも1つのディフューザ板を含み、そのディフューザ板は、複数の周辺開口部を画定する環状領域を備え、その周辺開口部を通って、ベース液体が受容器内に流入するようになっている。香味剤入口は、受容部に流体連通して、香味剤の流れを、受容部を通してノズルの長手方向に提供するようになっていてもよく、その場合には、香味剤の流れとベース液体の流れとが、受容部内で交差し、出口を通して一緒に分注される。
【0015】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、複数の周辺開口部は、受容部の内壁に隣接して配置されていてよく、その場合には、ディフューザアセンブリは、ベース液体の流れを、受容部の内壁に沿って方向付ける。
【0016】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、香味剤入口は、ノズルヘッドの中央セクションに配置されていてもよく、その場合には、香味剤の流れは、ベース液体の流れに、受容部の出口で交差する。
【0017】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、ノズルヘッドを有するノズルに関し、そのノズルヘッドは、香味剤を受容するための香味剤入口ポートと、ベース液体を受け入れるためのベース液体入口と、を含む。ノズルは、ディフューザアセンブリを更に含み得るが、そのディフューザアセンブリは、少なくとも1つのディフューザ板を含み、そのディフューザ板は、複数の周辺開口部を画定する環状領域を有し、それらの周辺開口部を通してベース液体が流れるようになっている。ノズルは、受容部を更に含み得るが、その受容部は、曲率を有する内壁と、ベース液体および香味剤をノズルから分注するための出口と、受容部内の圧力を飲料分注ノズルの外部の圧力に等しくするように構成されている通気管と、を備える。ノズルのノズルヘッドの香味剤入口は、受容部に流体連通していてもよく、その場合には、香味剤が、受容部を通って、ノズルの長手方向に、出口に向かって流れ、かつディフューザアセンブリは、受容部に流体連通していてもよく、その場合には、ベース液体が、受容部の内壁に沿って流れる。
【0018】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、ノズルは、受容部の内壁上に半径方向に配置された複数の翼部を更に含み得る。
【0019】
本明細書で論じられる様々な実施形態のいずれにおいても、ノズルの通気管は、上端および下端を含んでいてよく、上端は、受容部内に配置されかつ通気管の側壁上に開口部を備え、下端は、受容部の外側に配置されかつ開口部を備える。
【0020】
本明細書で論じられる様々な実施形態のうちのいずれにおいても、通気管は、ノズルの長手方向軸に平行に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示を例示するものであり、説明と合わせて、本開示の原理を説明し、当業者が本開示を作製し使用できるようにする役割を更に果たす。
【
図1】一実施形態による飲料分注ノズルの斜視図を示す。
【
図3】
図1の飲料分注ノズルのノズルヘッドの斜視図を示す。
【
図7】
図1の飲料分注ノズルのディフューザアセンブリを示す。
【
図8】
図7のディフューザアセンブリの分解図を示す。
【
図9】
図7の線9-9に沿って切り取った、
図7のディフューザアセンブリの長手方向断面図を示す。
【
図10】
図1の線10-10に沿って切り取った、
図1の飲料分注ノズルの長手方向断面図を示す。
【
図11】
図1の飲料分注ノズルの受容部の斜視図を示す。
【
図14】通気管を有する飲料分注ノズルの断面を見せる図を示す。
【
図15】通気孔を有する飲料分注ノズルの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に例示される代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、複数の実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。それに対して、本発明は、特許請求の範囲によって定義される実施形態の趣旨および範囲の範囲内に含まれ得る代替物、変形物、および均等物を包含することを意図している。
【0023】
事後混合型の飲料分注ノズルは、複数種類の飲料を分注するために使用され得る。そのような飲料分注ノズルは、一般に、ベース液体の流れと、シロップもしくは香味剤の流れとを提供し、ベース液体と香味剤とは、分注される点で混合され得る。香味剤の流れとは別個のベース液体の流れを提供することにより、単一の飲料分注ノズルを使用して、所望の香味剤と共にベース液体を分注することによって、複数の種類の飲料を分注することができる。
【0024】
事後混合型ノズルは、複数種類の飲料を単一のノズルから分注することを可能にし得るが、そのようなノズルは、風味を持ち越すという欠点を有し得る。例えば、飲料分注ノズルが第1の飲料を分注するために使用された後、引き続いて第2の飲料を分注するために使用されるという場合、第1の飲料からの香味剤がノズル内に留まり、第2の飲料が分注されている間に第2の飲料と混ざってしまう場合があり得る。その結果として、第2の飲料は、第1の香味剤によって汚染されて、第2の飲料が、所望の味を有さなくなり得る。また、様々な香味剤がそこを通って分注されるラインまたは導管内に残っている香味剤の滴は、様々な香味剤を運搬するラインまたは導管にベース液体が接触したりそれを介して流れるにつれて引き出されて、風味の持ち越しを悪化させる可能性がある。したがって、当該技術分野では、風味の持ち越しを低減させるかまたは完全になくす、多風味飲料分注ノズルが必要とされている。
【0025】
更に、飲料分注ノズルは、空気混入流パターンまたは乱流パターンで飲料を分注することも多い。その結果、分注される飲料は、分注される間に滑らかにかつ一貫しては流動せず、液体が撥ねたり、飛沫が生じたりする場合もあり得る。分注された飲料は、ノズルを出るベース液体と香味剤とが混合される間に、飲料に空気が入ることによって、不均一かつ不透明に見える場合があり得る。ノズルから分注される飲料が、滑らかで一貫した流れになるようにすることは、異なる風味剤が異なる流路によって運ばれる多風味飲料分注ノズルにとって、特に困難であり得る。したがって、液体の撥ねまたは噴霧を低減し、見た目の美しい飲料の流れを提供するために、滑らかな層流パターンを提供する飲料分注ノズルが、当該技術分野で必要とされている。
【0026】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、風味の持ち越しを低減する飲料分注ノズルに関する。飲料分注ノズルは、飲料が分注された後、香味剤がノズル内に留まらないことを確実にし、更に、ベース液体と香味剤入口との接触を防止することを確実にする。その結果、飲料分注ノズルは、様々な種類の飲料を分注する際に、他の香味剤によって各飲料を汚染することがないようにすることができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、滑らかな層流パターンを有する飲料を分注して、美しい見た目を提供し、飲料を分注する経験を改善するように構成された飲料分注ノズルに関する。その結果として、ノズルから分注された飲料は、ピッチャーから流れる水または噴水から流れる水に類似し得る。
【0027】
滑らかで穏やかな流れを有する飲料を分注するための飲料分注ノズル100を、
図1に示す。飲料分注ノズル100は、ベース液体と香味剤とを分注して飲料を形成するように構成されている。飲料分注ノズル100を使用して多種多様な飲料を分注することができるように、飲料分注ノズル100は、様々なベース液体および様々な香味剤を分注するように構成されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、「飲料」という用語は、任意のベース液体と任意の香味剤との組み合わせを指す。「ベース液体」は、例えば、水、炭酸水、スパークリング水、冷水、またはミネラルウォーターなどの液体であり得る。「香味剤」は、ベース液体に甘味を加えるか、風味を加えるか、またはベース液体を強化するために使用される、液体形態の様々な添加剤の任意のもの、例えば、シロップ、甘味料、または濃縮物など添加剤であり得る。例えば、炭酸コーラ飲料は、炭酸水をベース液体として、コーラ香味剤またはシロップと組み合わせることによって作製され得る。あるいは、アイスティー飲料は、ベース液体としての冷水を、紅茶の香味剤と組み合わせることによって作製され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、ノズル100は、
図1および
図2に示されるように、ノズルヘッド120を含む。ノズルヘッド120は、香味剤貯蔵容器、例えばバッグインボックス(BiB)などの香味剤源から、香味剤を受容するための香味剤入口124を含み得る。香味剤入口124は、香味剤供給ライン204によって香味源に接続され得る。ノズルヘッド120は、上水道、液体貯蔵受容部などのベース液体源からベース液体を受け入れるための、ベース液体入口122を更に含む。ベース液体入口122は、ベース液体供給ライン202によって、ベース液体源に接続され得る。飲料分注ノズル100は、ベース液体入口122に流体連通するディフューザアセンブリ150を更に含み得る。ディフューザアセンブリ150は、1つ以上のディフューザ板160、170を含み得るが、これは、ベース液体の流れを制御し、ベース液体をノズル100の受容部140に分配するためのものである。受容部140は、ディフューザアセンブリ150からのベース液体の流れと、香味剤入口124から直接の、香味剤の流れを受容するように構成されている。受容部140は、消費のための飲料を提供するために、ベース液体と香味剤との滑らかな層流を分注するための出口148を含む。
【0030】
一実施形態によるノズル100のノズルヘッド120を
図3~
図4に示す。ノズルヘッド120は、ベース液体入口122と香味剤入口124とを含み得る。各ベース液体入口122は、ベース液体源に接続され得る。いくつかの実施形態では、各ベース液体入口122は、異なる種類のベース液体に接続されていてよく、その場合には、各ベース液体入口122は、異なるベース液体を提供することになる。例えば、第1のベース液体入口122は、炭酸を含まない水の供給源に接続され得、第2のベース液体入口122は、炭酸水の供給源に接続され得る。各ベース液体入口122は、任意のベース液体を受容し得ることが理解されよう。同様に、各香味剤入口124は、香味剤源に接続され得る。各香味剤入口124は、ノズル100が様々な異なる香味剤を分注することができるように、香味剤源に接続され得る。例えば、第1の香味剤入口124は、コーラ香味剤の供給源に接続されてよく、第2の香味剤入口124は、レモンライム香味剤の供給源に接続されていてよい。任意の香味剤入口124が、任意の香味を受けることができるということが理解されよう。
【0031】
いくつかの実施形態では、各ベース液体入口122および各香味剤入口124は、直立管状壁125を含み得るが、この直立管状壁125は、ノズルヘッド120を通ってノズルヘッド120の基部130まで延在するボア126であって、それぞれベース液体出口132および香味剤出口134で終端するボア126を画定する。ベース液体および香味剤は、各入口122、124のボア126を通ってノズル100内に流入する。そのような実施形態では、直立管状壁125は、香味剤またはベース液体をノズル100に供給する供給ラインまたは導管202、204の内径部と係合するように構成されてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、各ベース液体入口122または各香味剤入口124は、例えば
図2に示されるように、ベース液体入口122または香味剤入口124への供給ライン202、204の接続を容易にするように構成されている取付具115を受容し得る。取付具115は、中空で管状の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、保持プレート129が、取付具115の上方からノズルヘッド120にしっかりと取り付けられて、取付具115および/または供給ライン202、204を所定の位置に保持するようにノズルヘッド120にしっかりと取り付けられ得る。保持プレート129は、様々な締結方法のうちの任意のものを介してノズルヘッド120に取り付けられ得るが、例えば、ねじまたはボルトなどの締結具を含む、機械的締結具127の使用を介して取り付けられ得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ノズルヘッド120は、
図4に最もよく示されるように、中央セクション121と、中央セクション121の外側に、中央セクション121を取り囲んで配置された、周辺セクション123と、を含み得る。香味剤入口124は、ノズルヘッド120の中央セクション121に配置され得る。このように、香味剤入口124は、ノズル100上の中央に配置され、ノズル100の長手方向について、ノズル100の出口148と位置揃えされている(例えば、
図10を参照されたい)。香味剤入口124は、第1の香味剤入口124をノズルヘッド120の中心にして配置され得るが、追加の香味剤入口124は、第1の香味剤入口124の周りに、第1の香味剤入口124の周りの円形パターンで配置され得る。例えば、
図4では、5つの香味剤入口124が、第1の香味剤入口124の周りに配置されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、香味剤入口124は、正方形または長方形のパターンで配置され得る。香味剤入口124は、1本以上の縦列または横列に配置されてよく、隣接する縦列または横列は、互いにずれているか、または互いにオフセットされていてもよい。
【0034】
ベース液体入口122は、ノズルヘッド120の周辺セクション123に配置され得る。ベース液体入口122は、香味剤入口124の周りに配置され得る。ベース液体入口122は、香味剤入口124から半径方向に離間されていてよく、香味剤入口124よりもノズルヘッド120の外周に近い位置にあってよい。
図4に示すように、ノズルヘッド120は、4つのベース液体入口122を含む。しかしながら、ノズルヘッド120は、より少ないまたは追加のベース液体入口122を含み得る。
【0035】
ノズルヘッド120は、ノズルヘッド120の周囲に位置するフランジ128を更に含んでいてもよい。フランジ128が、ノズルヘッド120の外周全体の周りに延在し得る。フランジ128は、飲料ディスペンサの一部位などの支持構造に、ノズルヘッド120を取り付けるのを容易にするために提供される。
【0036】
ノズルヘッド120は、
図5~
図6に示されるように、基部130を更に含み得る。香味剤入口124は、ノズルヘッド120の基部130上の香味剤出口134で終端する。香味剤入口124(およびそのボア)は、ノズル100の長手方向軸線Xに概ね平行に配置され、したがってノズルヘッド120の基部130上の出口134もまた、ノズルヘッド120の中央セクションに配置される。香味剤入口124は、ノズル100の受容部140と連通し、その結果、香味剤が、香味剤入口124を通過し、基部130上の出口134から外に出て、受容部140に入るようになっている。香味剤の流れは、ノズル100の長手方向に、受容部140を通って流れる。同様に、ベース液体入口122は、基部130上のベース液体出口132で終端し得る。しかしながら、出口132は、ベース液体を、受容部140に直接供給するのではなく、本明細書で更に詳細に論じられるように、ノズル100のディフューザアセンブリ150に供給する。
【0037】
ノズルヘッド120の基部130は、基部130の外周の周りに部分的に延在する1つ以上の凹部139と、基部130の外周の周りに延在する溝135と、を含み得る。凹部139は、受容部140をノズル100のノズルヘッド120にしっかりと取り付けるように構成され得る。受容部140は、受容部140の周囲の周りに配置され、ノズルヘッド120の凹部139に係合するように構成されている1つ以上のタブ143を含み得る。ノズルヘッド120への受容部140の取り付けは、受容部140をノズルヘッド120を覆って配置して、受容部140を回転させて、タブ143をノズルヘッド120の凹部139に挿入することによって実現され得る。受容部140は、タブ143が、凹部139によって許容される最大回転移動限界に到達するまで回転させることができる。この機械的嵌合は、受容部140の位置を、ノズル100の軸線Xに沿って長手方向に固定し、ノズルヘッド120に対する、ノズルの軸線Xを中心とした受容部140の回転配向を確立する。溝135は、封止リング137を受容するように構成されてもよい。封止リング137は、ノズルヘッド120の基部130が受容部140の上端144内に受容される際に、受容部140と共にシールを形成するように基部130にしっかりと取り付けられていてもよい(例えば、
図10を参照)。封止リング137は、液体が受容部140から逃げること、またはノズル100の外部から受容部140に入ることを防止するのに役立ち得る。
【0038】
ノズルヘッド120は、ノズル100の受容部140の上端144に配置され得るが、その場合には、受容部140の上端144を囲い込むようになっている。ノズルヘッド120のベース液体入口122は、ディフューザアセンブリ150に流体連通し、流体源からベース液体入口122に供給されるベース液体が、ディフューザアセンブリ150を通って受容部140内に流入するようになっている(例えば、
図10において、ベース液体の流れBを参照されたい)。ノズルヘッド120の基部130は、ディフューザアセンブリ150の中央開口151を通って延在し得るが、それにより、香味剤入口124が受容部140に流体連通するようになっている。
【0039】
いくつかの実施形態では、ノズル100は、
図7~
図9に示されるように、ディフューザアセンブリ150を含む。ディフューザアセンブリ150と受容部140とは、互いに流体連通し、ベース液体がディフューザアセンブリ150を通って受容部140内に流入することができるようになっている。ディフューザアセンブリ150は、ノズルヘッド120の一部位の下方であって、受容部140の上端144に配置され得る。ディフューザアセンブリ150は、受容部140内に流入するベース液体の滑らかな層流を提供するように構成されている。ディフューザアセンブリ150は、積層構成で配置された、第1のディフューザ板160と第2のディフューザ板170とを含み得る。第1のディフューザ板160は、第2のディフューザ板170の上に配置されているように図示されているが、いくつかの実施形態では、その代わりに、第2のディフューザ板170が、第1のディフューザ板160の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、ディフューザアセンブリ150は、一枚のみのディフューザ板または3枚以上のディフューザ板を含み得る。
【0040】
図8に示すように、第1のディフューザ板160は、中央開口部165を画定する環状領域164を含む。環状領域164は、第1のディフューザ板160の外周の周りに配置された複数の周辺開口部162を更に画定する。図示の実施形態では、周辺開口部162は各々、同じサイズで同じ形状である。しかしながら、いくつかの実施形態では、周辺開口部162は、互いにサイズまたは形状が異なっていてもよい。更に、周辺開口部162は、円形の形状を有するものとして図示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、周辺開口部162は、とりわけ、正方形、長方形、三角形、または楕円形の形状を有し得る。
【0041】
動作中、ベース液体は、ベース液体入口122を通って、ディフューザアセンブリ150の第1のディフューザ板160の環状領域164上に流れ込む。ベース液体は、第1のディフューザ板160の環状領域164の周りに分配され、周辺開口部162を通って、ディフューザアセンブリ150内のディフューザ板の枚数に応じ、受容部140内にまたは更なるディフューザ板(例えば、第2のディフューザ板170)上に流れ込む。
【0042】
第2のディフューザ板170を有する実施形態では、第2のディフューザ板170は同様に、環状領域174を含み得るが、この環状領域174は、中央開口部175を画定し、更に、第2のディフューザ板170の周囲に配置された複数の周辺開口部172を画定する。いくつかの実施形態では、第2のディフューザ板170は、中央開口部175に隣接する直立フランジ176を含み得る。フランジ176は、環状領域174に対して、実質的に垂直であり得る。フランジ176は、第1のディフューザ板160の、中央開口部165に隣接する内縁部161と係合するように構成され得るが、それにより第1のディフューザ板160が第2のディフューザ板170にしっかりと取り付けられるようになっている。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1のディフューザ板160は、スナップ嵌め接続によって、第2のディフューザ板170にしっかりと取り付けられ得る。
図9に示すように、第2のディフューザ板170のフランジ176は、第1のディフューザ板160の突出部166を受容するための凹部178を画定し得るが、それにより、第1のディフューザ板160および第2のディフューザ板170を互いにしっかりと取り付けるようになっている。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のディフューザ板160および第2のディフューザ板170は、圧入、摩擦嵌合、締まり嵌めなどを介して互いに取り付けられてよい。更に、いくつかの実施形態では、第2のディフューザ板170のフランジ176は、ねじ山を含み得るが、これは、第1のディフューザ板160の内縁部161上のねじ山と係合するようになっている。いくつかの実施形態では、第2のディフューザ板170のフランジ176は、封止リング177を受容および支持しており、ノズルヘッド120の中央セクション121を取り囲んで周辺セクション123から分離する内壁119と共に封止部を作製することができる(
図4を参照のこと)。封止リング167は、第1のディフューザ板160の外周の周りに配置され得るが、それにより、ディフューザアセンブリ150とノズルヘッド120の周辺セクション123と共に封止部を提供する。封止リング177および封止リング167の両方は、ベース液体が周辺開口部162を通してのみ流れることを確実にするのに役立ち得る。封止リング167は、ベース液体が中央開口151を通って流れないようにすることを確実にするのに役立ち得るが、更に、ベース液体が香味剤出口134上に流れ込まないようにすることを確実にするのにも役立ち得る。香味剤出口134上のベース液体の流れは、風味の持ち越しをもたらす可能性があり、これは望ましいことではない。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1のディフューザ板160は、直径d1の周辺開口部162を、第1の数n1だけ含み得る。また、第2のディフューザ板170は、直径d2の周辺開口部172を、第2の数n2だけ含み得る。いくつかの実施形態において、周辺開口部の第2の数は、周辺開口部の第1の数よりも大きい(n2>n1)。いくつかの実施形態では、周辺開口部162の直径は、周辺開口部172の直径よりも小さくてもよい(d1<d2)。比較的少数の周辺開口部162を有する第1のディフューザ板160は、局所的に集中したベース液体の流れが、ベース液体出口132のうちの1つ以上から、ディフューザアセンブリ150内に流入するように制限し、ベース液体が、環状領域164によって画定される空間を完全に満たすようにするのに役立ち得る。また、比較的多数の周辺開口部172を有する第2のディフューザ板170は、ベース液体が環状領域174によって画定される空間内に均一に分配し、ベース液体が受容部140に流入するにつれて、ベース液体の流れが、周辺部に均一に分布するようにするのに役立ち得る。第2のディフューザ板170全体の圧力降下は、第1のディフューザ板160全体の圧力降下よりも低くなり得る。当業者によって理解されるように、数およびサイズ、ならびに第1のディフューザ板160および第2のディフューザ板170上の、周辺開口部162および172の間隔および位置、更にはベース液体の流れが受容部140に向けられる場所は、特定の飲料分注ノズル用途のためのノズルサイズおよび所望のノズル流量に適合するように指定され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ディフューザアセンブリ150は、約2オンス/秒または1ガロン/分の流量を提供するように構成され得る。この流量は、ノズル100の受容部140内での滑らかな層流を提供し得るものであり、ノズル100の受容部140内で乱流を防止し、液体が撥ねるのを防止するのに役立つ。乱流および液体の撥ねの結果として、風味の持ち越しが発生し得る。また、ノズル100の出口148を通って、飲料が乱流を引き起こすおそれもある。当業者には理解されるように、ノズル100の出口148の直径を増加させた場合には、流量も2オンス/秒を超えて増加し得る。出口148の直径を増加させることなく流量を増加させると、受容部140内にベース液体が滞留する可能性があり、これにより、乱流が発生し、ベース液体が乾燥ゾーン149に入ってしまうが、このことは望ましいことではない。
【0046】
図10に示すように、飲料分注ノズル100の受容部140は、ディフューザアセンブリ150に、かつまた香味剤入口124に流体連通している。ディフューザアセンブリ150は、受容部140の内壁141に沿って、ベース液体の層流を受容部140内に提供するように構成されている。香味剤は、ノズルヘッド120の香味剤入口124を通って、受容部140内に直接流入する。香味剤は、受容部140の開放中央部分を通って、ノズル100の長手方向軸線Xに沿って流れる。受容部140は、ベース液体および香味剤の流れを出口148に方向付けるので、ベース液体および香味剤は、層流パターンで、ノズルの出口148を通って分注される。
【0047】
受容部140を通る層流を維持し、受容部140内で、液体の撥ねまたは乱流が発生するのを防止するために、第2のディフューザ板170の周辺開口部172は、ベース液体を、受容部140の内壁141に沿って方向付けるように配置され得る。いくつかの実施形態では、
図10に最もよく示されるように、周辺開口部172の内縁部173は、受容部の内壁141と位置揃えされる。このように、ベース液体の流れは、ディフューザアセンブリ150から受容部140へ滑らかに移動する。ベース液体の流れは、受容部140の内壁141の曲率に対して正接する線に沿って進むことができる。ベース液体の流れは、受容部140の内壁141に密着したままである。しかしながら、いくつかの実施形態では、周辺開口部172の内縁部173は、内壁141から内方向に離間され、内壁141に沿ってベース液体を方向付け得る。そのような実施形態では、周辺開口部172の内縁部173は、受容部140の上端144の内壁141からは、0.1mm~5mmだけ離間され得る。
【0048】
ベース液体が受容部140の内壁141に沿って流れるように構成され、かつ香味剤が受容部140の開放された中央部分を通って流れるので、
図10に示されるように、乾燥ゾーン149が、受容部140内に作製され得る。乾燥ゾーン149は、ノズル100の動作中のいかなるときにも液体が存在しない、受容部140内の、ノズルヘッド120の香味剤入口124の出口134を取り囲む領域であり得る。ベース液体が受容部140内で出口134に接触する場合、香味剤入口124内に残っている香味剤の滴を受容部140に引き込む場合があり得るが、そうなると、分注されるように選択されてはいない可能性がある香味剤で、今まさに分注されつつある飲料を汚染してしまう。したがって、受容部140内の液体が、ドライゾーン149内に撥ねて入るのを最小限にするかまたは完全に防止することが重要となる。
【0049】
香味剤は、受容部140の内部を通り、ノズルヘッド120の基部130上の香味出口134から流れ出る。香味剤出口134は、香味剤が出口148に直接流れるように、受容部140の出口148に対して、長手方向に位置揃えされ得る。例えば
図10に示すように、香味剤Fは、出口148に位置する、または出口148に直接隣接する交点Iで、受容部140内のベース液体Bと交差する。香味剤の流れは、香味剤がベース液体と交差する場所でベース液体の流れを遮断するが、その結果、液の撥ねまたは乱流が生じる虞がある。したがって、香味剤は、出口148でベース液体と交差して、受容部140内での上記のような影響を最小限に抑える。
【0050】
ノズル100の受容部140が、例えば、
図11~
図13に図示されている。受容部140は、ベース液体および香味剤を、受容部140の出口148に向かって方向付け、ノズル100から分注されるようにする。ベース液体および香味剤は、受容部140内の交点Iで交差し、出口148から一緒に出る。受容部140は、開放された上端144と、出口部148で開放されている下端142と、を含む。出口148は、
図12および
図13に最もよく示されているように、受容部140上の中央に配置され得る。受容部140は、
図12に最もよく示されているように、上端144の直径D
1が、出口148で下端142の直径D
2よりも大きくなるように、上端144から下端142に向かって先細になっていてよい。いくつかの実施形態において、D
2は、0.200~0.800インチ、0.300~0.700インチ、または0.400~0.600インチであり得る。いくつかの実施形態では、受容部140は直線的にテーパ状になっていてもよく、その結果、受容部140が概ね円錐形状を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、受容部140は、
図11に示されるように、曲率を有していてよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、受容部140は、例えば、
図12に図示されるように、翼部146を更に含み得る。翼部146は、受容部140の内壁141上に配設され得、内壁141から概ね垂直に延出し得る。翼部146は、受容部140の出口148の周りに半径方向に配置されてよく、受容部140の下端142から上端144に向かって延出し得る。翼部146は、出口148の周りに等しく離間されていてもよく、固定間隔で配置されていてもよい。
図12に示すように、翼部146は、上方から下方に向かって見たときには、対称的に配置され得る。いくつかの実施形態では、各々の翼部146は、同じ形状および同じ寸法を有し得る。翼部146は、ベース液体が受容部140内を出口148に向かって流れるための、フローチャネル147を画定する。翼部146は、受容部140内でベース液体が渦を巻くのを防止する助けとなり得る。そのような渦が発生すると、ベース液体は、ノズル100の長手方向軸線Xに対して、ある角度で斜めに、出口148を通って出てしまう恐れがある。ディフューザアセンブリ150が、受容部140の周りにベース液体を均一に分配するように構成されている一方で、受容部140の1部位に、幾分かより大きいベース液体の流れが存在し得る。これにより、ベース液体が、受容部140内で渦を巻く場合があり得る。あるいは、翼部146が存在しなければ、内壁141に沿って流れているベース液体のストリームラインが、カオス的に分割または分離されて再合流する場合があり得る。ストリームラインが分割されると、出口148を通る流れの形状にも分割や偏向が起こり得る。このように、翼部146は、受容部140内のベース液体の流れの方向を制御するのに役立ち、ベース液体の流れを出口148に向かって方向付け、出口148から出る、均一な層流を形成するのに役立つ。
【0052】
いくつかの実施形態では、ノズル100の受容部140は、4~20枚、8~18枚、または12~16枚の翼部を有し得る。いくつかの実施形態では、受容部140は、14枚の翼部を含み得る。本出願の発明者らは、0.500~0.600の範囲である出口の直径D2と、約2.0のオンス/秒の流量と、約1.900インチの直径D1であることを特徴とするノズルの全体的なサイズを想定した場合に、14枚の翼部を使用することにより、出口148から出る流れが、最も均一な層流となるということを見出した。ノズルアセンブリの寸法(例えば、D1およびD2)、およびノズルの流量に応じて、異なる枚数の翼部が適切であり得る。一般に、比較的小さい出口直径D2と、比較的小さい全体サイズD1とを有し、ベース液体の流量がより大きいノズルが必要とする翼部の枚数はより少なく、比較的大きい出口直径D2と、比較的大きい全体サイズD1とを有し、ベース液体の流量がより小さいノズルが必要とする翼部の枚数はより多くなるであろう。
【0053】
いくつかの実施形態において、流出フロー安定器190は、
図12に最もよく示されるように、受容部140の出口148内に配置され得るが、それにより、ノズル100の長手方向軸線Xに沿った方向に、ノズル100からの飲料の分注が促進される。ベース液体が受容部140の内壁141に沿って流れるにつれて、ベース液体の流れは、ベース液体が出口148を通って流れる際に、ノズル100の長手方向軸線Xに対してある角度で斜めになってしまう虞がある。ディフューザアセンブリ150は、ベース液体を受容部140に均一に分配するように構成されているものの、ベース液体の流れは、受容部140を通して常に均一ではないという場合があり得る。そしてベース液体の流れが、受容部140の一部位または一側面でより大きいという場合には、出口148を通るベース液体の流れは、ノズル100の長手方向軸線に対してわずかな角度で斜めに流れてしまう虞がある。流出フロー安定器190は、受容部140の内壁141に沿って流れるベース液体が出口148で衝突するのを防止するのに役立ち得る。なお、このような衝突がもし起これば、ベース液体および香味剤の出口148を通る流れを逸らせる虞がある。流出フロー安定器190は、X字形状または十字形状を有し得るが、出口を、複数の流出領域192に分割するように配置される。いくつかの実施形態では、流出フロー安定器190は、他の形状を有して、出口148を、様々な数の流出領域192に分割し得る。流出フロー安定器190を通過して流れる飲料は、自らを一つにまとめて、均一で見た目の美しいストリームにする。
【0054】
いくつかの実施形態では、ノズル100は、制御システムによって操作され得る。ノズルから飲料を分注するために、制御システムは、炭酸水などの選択されたベース液体が、ノズルを通って流れるようにし得る。また制御システムは、選択された香味剤が、ノズルを通って流れるようにもし得る。例えば、制御システムは、1つ以上のポンプを作動させて、ベース液体源または香味剤源からノズルに、ベース液体および香味剤を流すことができる。ベース液体および香味剤が出口を出る際には、ベース液体および香味剤がノズルから飲料容器へと流れる「飛行中」に、ベース液体と香味剤とが互いに組み合わされ得る。ベース液体および香味剤は、飲料容器内で更に、混合され組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、香味剤の分注が停止された後にも、ベース液体が、短時間、分注され続けてもよい。例えば、上記の時間は、100~400msであってよく、いくつかの実施形態では、200msであってよい。このようにして、ノズル100の受容部140内に残る可能性のあるいかなる香味剤も、ベース液体によって洗い流すことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、受容部140は、ノズル100内の圧力と外部の空気圧とを等しくするための通気機構を更に含み得る。いくつかの実施形態では、飲料分注ノズル100は、例えば
図14にて示されるような、通気管180を含んでいてもよい。飲料分注ノズル100の出口148は、出口148での流れをわずかに制限するようにサイズ決めされ得るが、これは、不規則な流れを発生させずに、出口148を通るベース液体の、実質的に円筒形の流れを提供するのに役立ち得る。しかしながら、上記のように流れを制限した結果として、ベース液体は出口148で滞留し、分注動作の終わりには、受容部140内に閉じ込められてしまう場合があり得る。ベース液体が滞留した結果、風味が持ち越される虞がある。通気管180は、ノズル内の内部空気圧と外部の空気圧とを等しくするのに役立ち、ベース液体が完全に排出され、分注動作の終了時にベース液体が受容部140内に閉じ込められるのを防ぐのを可能にする。通気管180はまた、出口148を通る液体が、滑らかな流れになるのを促進するのに役立ち得る。
【0056】
通気管180は、受容部140の内部を、飲料分注ノズル100の外部の領域に流体連通させるように構成されている中空の管状部材を含み得る。通気管180は、ノズル100(および受容部140)の長手方向軸線Xに平行に配置され得る。通気管180はまた、受容部140の中心からオフセットされ得るが、それにより、ノズル100の中央部分を通って流れる香味剤が、通気管180に接触しないようになる。通気管180は、受容部140内に配置された上端184と、受容部140の外側に、受容部140の出口148に隣接して配置され、環境に向けて開放された下端182と、を含む。通気管180は、上端184に、開口部181を含んでいてよく、かつ開放された下端182を含んでいてよい。このようにすると、空気が、受容部140の外部から受容部140(およびノズル100)の内部に流れ得る。または空気が、それとは逆方向に、内部から外部に流れ得る。いずれにせよ、それによって、内部圧力と外部圧力とが等しくなる。上端184における開口部181は、通気管180の側壁上に配置され、その結果、長手方向軸線Xを横切る方向に延在し得る。これにより、通気管180を通して液体が、ノズル100から漏れ出すのを防止することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、受容部140は、代替的または追加的に、
図15に示されるような、通気孔188を含み得る。通気孔188は、
図14の通気管180と同様に機能し、ノズル内の内部空気圧と、ノズルの外部の空気圧とを等しくするのに役立ち得る。このようにして、通気孔188は、ベース液体300が、完全に排水されるのを可能にし、ベース液体300が分注動作の終了時に、受容部140内に閉じ込められてしまうのを防止するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、より多くの通気孔188が、受容部140の周辺部の周りに形成され得る。通気孔188は、横方向に配向されてもよく、したがってノズル100の長手方向軸線Xに対して垂直に配向されてもよい。通気孔188は、受容部140の上端144に位置し得るが、その孔の位置は、ベース液がディフューザアセンブリ150から受容部140の内壁141へと流れる直接的流路内に、孔が存在しないように決定され得る。
【0058】
「発明の概要」および「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。発明の概要および要約の項は、本発明者(ら)によって想到されるような、本発明の1つ以上であるが全てではない例示的な実施形態を示し得るが、本発明および添付の特許請求の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。
【0059】
特定の機能の実施およびそれらの関係を例示する機能的ビルディングブロックの助けにより、本発明を上で説明してきた。これらの機能的ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。特定の機能およびこれらの関係が適切に行われる限り、代替の境界を定義することができる。
【0060】
特定実施形態の前述の説明により、本発明の一般的な性質が完全に明らかになり、他者が、当業者の知識を適用することによって、過度の試行錯誤をすることなく、本発明の一般的な概念を逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に容易に修正および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書で提示した教示および指導に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法または用語法は、説明を目的とするものであって、限定するものではないことを理解されたく、それ故、本明細書の用語法または表現法は、本明細書の教示および指導の観点から当業者によって解釈されるべきである。
【国際調査報告】