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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】メタ亜ヒ酸塩を使用する治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/36 20060101AFI20230327BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230327BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K33/36
A61P31/14
A61P29/00
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/04
A61K47/38
A61K9/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549149
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 AU2021050128
(87)【国際公開番号】W WO2021159187
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】2020900433
(32)【優先日】2020-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021900204
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520363362
【氏名又は名称】コミファーム インターナショナル オーストラリア ピーティーワイ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520363373
【氏名又は名称】パナフィックス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨンジン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA45
4C076BB01
4C076CC35
4C076DD26
4C076DD29
4C076DD47
4C076EE09J
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF25
4C076GG16
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB11
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、a)ウイルス感染が原因の炎症反応を低減する、b)ウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防する、またはc)ウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療もしくは予防する方法において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムを使用することに関する。本発明は、対象においてウイルス感染を治療または予防する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルス感染がコロナウイルス感染である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項7】
前記ウイルス感染がコロナウイルス感染である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項12】
前記ウイルス感染がコロナウイルスによる感染である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象においてウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記ウイルス感染が、コロナウイルスによる感染が原因である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される請求項14に記載の方法。
【請求項19】
対象においてコロナウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、前記1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む組成物により投与され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む組成物により投与され、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、前記1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物。
【請求項29】
ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物。
【請求項30】
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項31】
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項32】
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項33】
対象においてウイルス感染を治療する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項34】
ウイルス感染が原因の炎症反状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項35】
前記ウイルス感染がコロナウイルス感染である、請求項30から34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
対象においてコロナウイルス感染を治療する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
【請求項37】
前記コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、請求項35または36に記載の使用。
【請求項38】
前記医薬が経口投与用に製剤化される、請求項30から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記医薬が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、前記1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む医薬組成物であって、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を含む、請求項30から38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記医薬が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む医薬組成物であって、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
医薬組成物を含む、請求項30から38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
経口投与用の医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、前記1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%であり、
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染を治療するために使用されるか、
ウイルス感染が原因で炎症状態を患っている対象において、TNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6レベルを低減するために使用されるか、または
対象においてコロナウイルス感染を治療するために使用される、医薬組成物。
【請求項42】
経口投与用の医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%であり、
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染を治療するために使用されるか、
ウイルス感染が原因で炎症状態を患っている対象において、TNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6レベルを低減するために使用されるか、または
対象においてコロナウイルス感染を治療するために使用される、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月16日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2020900433号、および2021年1月29日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021900204号の優先権を主張する。オーストラリア仮特許出願第2020900433号および同第2021900204号のすべての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する方法、および対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症反応は、傷害、感染、および他の侵襲に反応して身体で生じる。炎症反応には、炎症促進性および抗炎症性サイトカインの両方のカスケードが関与する。これらのサイトカイン間の均衡は、多くの場合、炎症または傷害後の結果を決定する。
【0004】
炎症または傷害後の成功した結果として、炎症促進性サイトカインの産生は、血中白血球の動員、組織マクロファージの活性化、および免疫メディエーターの産生をもたらす。
【0005】
しかし、敗血症などの一部の状況において、またはトリインフルエンザもしくはコロナウイスのある特定の株(例えば、SARS-CoVおよびSARS-CoV-2)など、ウイルスなどの感染性病原体による感染後において、感染に対する炎症反応は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン6(IL-6)などの炎症促進性サイトカインが未制御産生される急性炎症状態をもたらすことがある。そのような炎症促進性サイトカインの未制御産生は、肺炎および/または多臓器不全をもたらすことがあり、感受性の高い個体にとって致死的になりうる。
【0006】
炎症促進性サイトカインの過剰な、一部の場合では未制御の分泌および/または産生は、多くの場合、一部のウイルス感染において、疾患症状の急速な拡大をもたらしうる因子である。例えば、コロナウイス(CoV)は、感冒からより重症の疾患までの範囲の疾病を引き起こすウイルスの大きなファミリーであり、炎症促進性サイトカインの増加された、一部の場合では未制御の分泌を引き起こすことが知られている。コロナウイスの例には、MERS-CoV、SARS-CoV、およびSARS-CoV-2が含まれる。コロナウイスによる一般的な感染兆候には、呼吸器症状、発熱、咳、息切れ、および呼吸の困難さ(breathing difficulties)が含まれる。より重症の場合には、感染は、肺炎、重症急性呼吸器症候群、腎不全および死亡を引き起こすことがある。
【0007】
このように、ウイルス感染が原因で炎症促進性サイトカインが未制御産生される炎症状態の治療または予防に使用するための、改善された医薬組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明者は、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)(SMA)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)(KMA)が、マクロファージからの炎症促進性サイトカインTNF-α、IL-1βおよびIL-6の産生を低減または阻害ができることを見出した。
【0009】
したがって、第1の態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
さらなる第1の態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症反応の低減に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0011】
本発明者は、SMAおよびKMAを、ウイルス感染に対する炎症反応をもたらす状態(ウイルス感染が原因の炎症状態)の治療または予防に使用できることを予見する。
【0012】
したがって、第2の態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
さらなる第2の態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症状態の治療または予防に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0014】
第3の態様は、対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0015】
さらなる第3の態様は、対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症の治療または予防に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0016】
第4の態様は、対象においてウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0017】
さらなる第4の態様は、対象においてウイルス感染の治療に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染を治療する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0018】
第5の態様は、対象においてコロナウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0019】
さらなる第5の態様は、対象においてコロナウイルス感染の治療に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてコロナウイルス感染を治療する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0020】
第6の態様は、ウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0021】
さらなる第6の態様は、ウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6産生の低減に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、またはウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6産生を低減する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0022】
第7の態様は、対象においてコロナウイスSARS-CoV-2感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
さらなる第7の態様は、対象においてコロナウイルスSARS-CoV-2感染の治療に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてコロナウイルスSARS-CoV-2感染を治療する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0024】
第8の態様は、対象においてウイルス感染が原因で上昇したTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルにより媒介された疾患または状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0025】
さらなる第8の態様は、対象においてウイルス感染が原因で上昇したTNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6により媒介された疾患もしくは状態の治療もしくは予防に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染が原因で上昇したTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6により媒介された疾患もしくは状態を治療もしくは予防する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0026】
第9の態様は、ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を含む医薬組成物を提供する。
【0027】
第10の態様は、ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を提供する。
【0028】
第11の態様は、ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
医薬組成物を提供する。
【0029】
第12の態様は、対象においてウイルス感染により引き起こされる疾患または症状を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
さらなる第12の態様は、対象においてウイルス感染により引き起こされる疾患もしくは症状の治療に使用するためのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、または対象においてウイルス感染により引き起こされる疾患もしくは症状を治療する医薬の製造におけるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)もしくはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用を提供する。
【0031】
本発明は、以下を提供する。
1.対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
2.ウイルス感染がコロナウイルス感染である、項目1に記載の方法。
3.コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目2に記載の方法。
4.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、項目1に記載の方法。
5.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、項目1に記載の方法。
6.対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
7.ウイルス感染がコロナウイルス感染である、項目6に記載の方法。
8.コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、項目7に記載の方法。
9.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、項目6に記載の方法。
10.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、項目6に記載の方法。
11.対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
12.ウイルス感染がコロナウイルスによる感染である、項目11に記載の方法。
13.コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目12に記載の方法。
14.対象においてウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
15.ウイルス感染が、コロナウイルスによる感染が原因である、項目14に記載の方法。
16.コロナウイルスがSARS-CoV-2である、項目15に記載の方法。
17.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、項目14に記載の方法。
18.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、項目14に記載の方法。
19.対象においてコロナウイルス感染を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
20.コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、項目19に記載の方法。
21.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、項目19に記載の方法。
22.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、項目19に記載の方法。
23.ウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法。
24.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が経口投与される、項目23に記載の方法。
25.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、1日あたり2mg~1日あたり20mgの範囲の用量で投与される、項目23に記載の方法。
26.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む組成物により投与され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、項目1から25のいずれか一項に記載の方法。
27.メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(V)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む組成物により投与され、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、項目1から25のいずれか一項に記載の方法。
28.ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物。
29.ウイルス感染が原因の炎症反応を低減するため、および/またはウイルス感染が原因の炎症状態を治療もしくは予防するために使用される場合、経口投与による医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物。
30.対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
31.対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
32.対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
33.対象においてウイルス感染を治療する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
34.ウイルス感染が原因の炎症反状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
35.ウイルス感染がコロナウイルス感染である、項目30から34のいずれか一項に記載の使用。
36.対象においてコロナウイルス感染を治療する医薬の製造における、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の使用。
37.コロナウイルス感染がSARS-CoV-2により引き起こされる、項目35または36に記載の使用。
38.医薬が経口投与用に製剤化される、項目30から37のいずれか一項に記載の使用。
39.医薬が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む医薬組成物であって、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
医薬組成物を含む、項目30から38のいずれか一項に記載の使用。
40.医薬が、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含む医薬組成物であって、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
医薬組成物を含む、項目30から38のいずれか一項に記載の使用。
41.経口投与用の医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたはの薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%であり、
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染を治療するために使用されるか、
ウイルス感染が原因で炎症状態を患っている対象において、TNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6レベルを低減するために使用されるか、または
対象においてコロナウイルス感染を治療するために使用される、医薬組成物。
42.経口投与用の医薬組成物であって、
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセンテージが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%であり、
対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染が原因の高サイトカイン血症を治療または予防するために使用されるか、
対象においてウイルス感染を治療するために使用されるか、
ウイルス感染が原因で炎症状態を患っている対象において、TNF-α、IL-1βおよび/もしくはIL-6レベルを低減するために使用されるか、または
対象においてコロナウイルス感染を治療するために使用される、医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1A~C 100ng/mLのリポ多糖(LPS)、ならびにメタ亜ヒ酸ナトリウム(A;30、10、7、5、3、1、0.3および0.1μM)または対照(BおよびC)を含有する培養培地において24時間インキュベートした、培養ラット初代マクロファージの平均(±SEM)細胞傷害性および生存率を示すグラフである。n=3。
図2図2A~F 陽性(セレコキシブ)および陰性(ビヒクル)対照(B、D及びF)と比べた、100ng/mLのLPS、ならびに様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウム(30、10、7、5、3、1、0.3および0.1μM)を含有する培養培地において24時間インキュベートした、培養ラット初代マクロファージの平均(±SEM)TNF-α(A)、IL-1β(C)またはIL-6(E)分泌および生存率を示すグラフである。n=3。共通文字を共有しない値は有意に異なっている(p≦0.05)。
図3図3AおよびB A.LPSによる刺激、ならびに様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いた、および用いない処理の後、RAW264.7細胞により産生される一酸化炭素を示す(すなわち、一酸化炭素産生に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す(iNOSアッセイ))グラフであり、B.LPSおよびメタ亜ヒ酸ナトリウムで処理した後の細胞生存率を示す(:対照(LPS+)と比較してp<0.01)グラフである。
図4】LPSによる刺激、ならびに様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いた、および用いない処理の後、RAW264.7細胞によるプロスタグランジンE2(PGE2)産生を示す(すなわち、PGE2産生に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す(PGE2アッセイ);:対照(LPS+)と比較してp<0.01))グラフである。
図5】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、iNOSおよびCOX-2タンパク質の発現を示す(すなわち、iNOSおよびCOX-2タンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す)ウエスタンブロットである。
図6】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、TNF-αおよびIL-1βタンパク質の発現を示す(すなわち、TNF-αおよびIL-1βタンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す)ウエスタンブロットである。
図7】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、iNOSおよびCOX-2のRT-PCRにより決定されたmRNA発現を示す(すなわち、iNOSおよびCOX-2遺伝子発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す)電気泳動ゲルの画像である。
図8】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、iNOS mRNA発現を示す(すなわち、iNOS mRNA発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す(リアルタイムPCR);:対照(LPS+)と比較してp<0.01))グラフである。
図9】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理したRAW264.7細胞における、TNF-α、IL-1βおよびIFN-β mRNA発現を示す(すなわち、TNF-α、IL-1βおよびIFN-β遺伝子発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す)RT-PCR産物のゲル電気泳動の画像である。
図10】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、NF-κB転写活性を示す(すなわち、LPS誘導NF-κB転写活性に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す;:対照(LPS+)と比較してp<0.01))グラフである。
図11】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、NF-κB(p50)および(p65)のタンパク質発現を示す(すなわち、NF-κBタンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を示す)ウエスタンブロットである。
図12】様々な濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムを用いて、および用いないでLPSにより処理されたRAW264.7細胞における、IκBおよびIKKのタンパク質発現を示すウエスタンブロットである。
図13】PAX-1(SMA)による治療、デキサメタゾンによる治療または治療なしの後のARDSマウスモデルの気管支肺胞洗浄液における、TNF-αレベルのAUC(曲線下面積)値を示すグラフである。データを平均±95%信頼区間で表した(:p<0.05、**:P<0.005)。
図14】PAX-1(SMA)による治療、デキサメタゾンによる治療、または治療なしの後のARDSマウスモデルの気管支肺胞洗浄液における、IL-6レベルのAUC(曲線下面積)値を示すグラフである。データを平均±95%信頼区間で表した(:p<0.05、**:P<0.005)。
図15】PAX-1(SMA)による治療、デキサメタゾンによる治療または治療なしの後のARDSマウスモデルの気管支肺胞洗浄液における、IL-1βレベルのAUC(曲線下面積)値を示すグラフである。データを平均±95%信頼区間で表した(:p<0.05、**:P<0.005)。
図16】PAX-1(SMA)による治療、デキサメタゾンによる治療または治療なしの後のARDSマウスモデルにおけるマウスの生存を示すグラフである(G1(陰性対照、0mg/kg)、G2(PAX-1、1.03mg/kg)、G3(PAX-1、1.54mg/kg)、G4(PAX-1、2.05mg/kg)、G5(デキサメタゾン、3mg/kg);**p<0.005、ログランク(マンテル-コックス)検定による陰性対照(G1)からの有意差;***p<0.0005、ログランク(マンテル-コックス)検定による陰性対照(G1)からの有意差;****p<0.0001、ログランク(マンテル-コックス)検定による陰性対照(G1)からの有意差;n=10)。
図17】クロロキン、レムデシビル、ロピナビル、DMSO中PAX-1(SMA)(「Komipharm(DMSO)」)およびPBS中PAX-1(SMA)(「Komipharm(PBS)」)による、SARS-CoV-2複製の阻害を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の好ましい実施形態が、単なる例として下記に記載される。
【0034】
定義
本明細書において特に定義されない限り、以下の用語は、後に続く一般的な意味を有することが理解される。下記に参照される用語は、特に指示されない限り、用語が単独で使用される場合および用語が他の用語と組み合わせて使用される場合、後に続く一般的な意味を有する。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」は、対象、組織または細胞が所望の薬理学的および/または生理学的効果を得るように影響を及ぼすことを意味し、状態を阻害する、すなわち発病を阻止すること、または状態の影響を軽減する、もしくは寛解させる、すなわち状態の影響を逆転もしくは退行させることを含む。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「予防すること」は、状態を有するリスクがありうる細胞、組織または対象に状態が発生するのを予防することを意味するが、この状態が最終的に発病すること、または対象が最終的に状態を発病することを必ずしも意味しない。予防することには、細胞、組織または対象において状態の発症を遅延することを含む。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「ウイルス感染が原因の炎症反応を低減すること」は、未治療炎症反応の重症度と比べて、ウイルス感染に対する炎症反応の重症度を低減することを意味する。重症度を低減することは、例えば、未治療反応の際に現れる症状の重症度もしくは数と比べて、現れる症状の重症度もしくは数を低減すること、または未治療反応における1つもしくは複数の炎症促進性サイトカインの血清レベルと比べて、1つもしくは複数の炎症促進性サイトカインの血清レベルを低減することを伴ってもよい。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「ウイルス感染が原因の炎症状態」は、ウイルス感染に対する炎症反応から生じる状態を指す。典型的には、炎症状態は、ウイルス感染中に1つまたは複数の炎症促進性サイトカインの増加された、一部の場合では未制御のレベルにより、少なくとも部分的に引き起こされる。ウイルスによる感染中に、炎症促進性免疫細胞は感染部位に遊走し、TNF-α、IL-1βおよびIL-6、特にIL-1βおよびIL-6などの炎症促進性サイトカインを幹部において大量に分泌することによって反応する。そのような炎症促進性サイトカインの分泌は、感染部位へのさらなる免疫細胞の遊走を促進する。免疫細胞の急速な流入、炎症促進性サイトカインのさらなる分泌、および感染細胞の破壊の結果として、体液が患部の中に堆積し、組織の損傷が発生する。例えば、コロナウイスは、対象の肺に感染する呼吸器ウイルスである。コロナウイスに対する炎症反応は呼吸器の炎症を生じ、肺胞に体液を蓄積させ、重症例では息切れ、および肺炎をもたらす。経時的に、炎症からの液体は硬化し、肺線維症、一部の場合では死亡をもたらすことがある。対象が生存する場合であっても、炎症は、肺機能の低減を生じることがある。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「TNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルを低減すること」は、免疫細胞、典型的にはマクロファージから分泌されたTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6の量を低減することを指す。免疫細胞から分泌されたTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6の量は、例えば、対象におけるTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6の血清レベルを決定することによって決定することができる。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」は哺乳動物を指す。 哺乳動物は、ヒトまたは非ヒトでありうる。非ヒトの例には、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ)、伴侶動物(companion animal)(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター)、捕獲野生動物(captive wild animal )(例えば、キツネ、シカ)が含まれる。典型的には、哺乳動物はヒトまたは霊長類である。 より典型的には、哺乳動物はヒトである。
【0041】
用語「組成物」は、医薬活性成分(「API」)と賦形剤または担体を含む組成物および製剤を包含し、また、医薬活性成分が(他の担体を伴って、または伴うことなく)カプセル化担体により囲まれているカプセル剤を提供するため、担体としてカプセル化物質を有する組成物および製剤も包含する。医薬組成物では、賦形剤または担体は「薬学的に許容され」、これは生物学的理由または別の理由で望ましくないものではないことを意味し、すなわち、この物質は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または含有されている組成物中の他の構成成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込むことができる。補足的な活性成分を組成物に組み込むこともできる。
【0042】
「薬学的に許容される塩」または「薬学的に許容される賦形剤または担体」の列挙などにおける「薬学的に許容される」とは、本明細書において生物学的理由または別の理由で望ましくないものではない物質を意味し、すなわち、この物質は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または含有されている組成物中の他の構成成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込むことができる。
【0043】
用語「有効量」または「治療有効量」は、本発明の方法で使用されるときに妥当な利益/危険比に相当する、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激、またはアレルギー応答)を有することなく望ましい治療応答を生じるのに十分な医薬活性成分の量を指す。この量は、例えば、対象の免疫細胞、より典型的にはマクロファージによるTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6産生を低減するのに有効でありうる。具体的な有効量または治療有効量は、治療される特定の状態、対象の年齢、体重、身体全体の健康状態、体調、性別および食事、治療の持続期間、併用療法の性質(存在する場合)、ならびに特定の状態の重症度などの要因によって変わる。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「担体」には、あらゆる溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどが含まれる。薬学的に活性な物質におけるそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術においてよく知られている。任意の従来媒体または薬剤が活性成分と適合性がない場合を除いて、治療組成物におけるその使用が熟慮される。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「投与」または「投与する」または「投与すること」は、2つ以上の薬剤(例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムおよび/または三酸化ヒ素、ならびにシスプラチン、アドリアマイシンおよび/またはタキサン、例えば、パクリタキセルもしくはドセタキセル)を対象に調剤、適用または提案する(tendering)ことを指す。投与は、いくつかの当該技術に公知の方法のうちのいずれかを使用して実施することができる。例えば、「投与すること」は、本明細書で使用されるとき、注入(静脈内投与(i.v.))、非経口および/または経口投与を介することを意味する。「非経口」とは、静脈内、皮下および筋肉内投与を意味する。実際の投与の好ましい方法および順番は、とりわけ、利用されるSMAまたはKMAの特定の製剤に応じて変わることが理解される。所与の設定条件でのSMAまたはKMAの投与の方法および順番は、従来の技術を使用し、本明細書に記載されている情報を鑑みて当業者によって確定することができる。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、特定される値のわずかな変動、好ましくは特定される値の10パーセント以内を意味する。いずれにしても、用語「約」は、例えば使用される実験技術に応じて、比較的高度に変動が許容されることを意味することができる。特定される値の前記変動は当業者に理解されており、本発明の文脈の範囲内である。さらに、より簡潔な記載を提供するために、本明細書に提示される定量表現のうちのいくつかは、用語「約」で制限されていない。用語「約」が明示的に使用されているか否かにかかわらず、本明細書に提示されるあらゆる量は、実際の所定の値を指すことが意図され、そのような所定の値の実験および/または測定条件に起因する等価値および近似値を含むそのような所定値に対して、当該技術における通常の技能に基づいて合理的に推測される近似値を指すことも意図されることが理解される。
【0047】
特に記述されない限り、すべての量は重量パーセント(%w/w)として本明細書に表される。
【0048】
当然のことながら、本明細書に記載されている医薬組成物の調製に使用される任意の物質は、薬学的に純粋であり、用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。
【0049】
炎症反応
一態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症反応を低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0050】
ウイルス感染が原因の炎症反応は、ウイルス感染に対する免疫反応であり、炎症促進性サイトカインがウイルス感染に反応して免疫細胞、典型的にはマクロファージにより分泌される。一実施形態において、炎症促進性サイトカインは、TNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6を含む。一部の実施形態において、炎症反応には、高サイトカイン血症(「サイトカインストーム」としても知られている)が含まれる。
【0051】
ウイルス感染が原因の炎症反応は、急性または慢性のいずれかでありうる。急性炎症は、典型的には数日間しか続かない。対象的に、慢性炎症は、典型的には数週間、数か月間、さらには無限に続き、組織損傷を引き起こすことがある。
【0052】
一態様は、対象においてウイルス感染が原因の炎症状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。ウイルス感染が原因の炎症状態は、ウイルス感染が原因の炎症反応から生じる状態である。
【0053】
一実施形態において、炎症状態は、ウイルス感染が原因の全身性炎症反応症候群(SIRS)である。一実施形態において、ウイルス感染は、RNAウイルスが原因である。
【0054】
一実施形態において、炎症状態は、インフルエンザ感染が原因である。一実施形態において、インフルエンザは、トリインフルエンザである。一実施形態において、インフルエンザ感染が原因である炎症状態は、肺炎である。
【0055】
一実施形態において、炎症状態は、コロナウイルス感染が原因である。一実施形態において、コロナウイルスは、229E、NL63、OC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV、およびSARS-CoV-2からなる群から選択される。一実施形態において、コロナウイルスはMERS-CoVである。一実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoVである。一実施形態において、コロナウイルスは、SARS-CoV-2(「2019新型コロナウイルス」としても知られている)である。
【0056】
様々な実施形態において、炎症状態は、中東呼吸器症候群(MERS-MERS-Covにより引き起こされる)および重症急性呼吸器症候群(SARS-SARS-CoVにより引き起こされる)、または2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)により引き起こされる状態(例えば、COVID-19)から選択される。
【0057】
一実施形態において、炎症状態は、COVID-19により引き起こされる肺炎である。
【0058】
本明細書に記載されている方法は、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の投与を伴う。
【0059】
実施例に記載されているように、本発明者は、メタ亜ヒ酸ナトリウムが、マクロファージからの炎症性サイトカインTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6の産生および/または分泌を低減または阻害できることを見出した。
【0060】
一態様は、ウイルス感染が原因の炎症状態を患っている対象においてTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6のレベル、典型的には血清レベルを低減する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0061】
一実施形態において、方法は、対象においてTNF-αレベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてTNF-α血清レベルを低減する。
【0062】
一実施形態において、方法は、対象においてIL-1βレベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてIL-1β血清レベルを低減する。
【0063】
一実施形態において、方法は、対象においてTNF-αおよびIL-1βのレベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてTNF-αおよびIL-1βの血清レベルを低減する。
【0064】
一実施形態において、方法は、対象においてIL-6レベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてIL-6血清レベルを低減する。
【0065】
一実施形態において、方法は、対象においてIL-1βおよびIL-6のレベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてIL-1βおよびIL-6の血清レベルを低減する。
【0066】
一実施形態において、方法は、対象においてTNF-α、IL-1βおよびIL-6のレベルを低減する。典型的には、方法は、対象においてTNF-α、IL-1βおよびIL-6の血清レベルを低減する。
【0067】
一態様は、対象においてウイルス感染が原因で上昇されたTNF-α、IL-1βおよび/またはIL-6レベルにより媒介された疾患または状態を治療または予防する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0068】
一実施形態において、疾患または状態は、肺炎である。一実施形態において、ウイルス感染はコロナウイルス感染である。一実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0069】
一実施形態において、疾患または状態は、MEARSまたはSARSである。
【0070】
一実施形態において、疾患または状態は、高サイトカイン血症である。一実施形態において、ウイルス感染はコロナウイルス感染である。一実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0071】
一態様は、対象においてウイルス感染により引き起こされる疾患または症状を治療する方法であって、有効量のメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0072】
一実施形態において、疾患または症状は、発熱、悪寒、インフルエンザ様症状、炎症、もしくは脳の霧(brain fog)、またはこれらの組合せなどの疾病である。このように、一実施形態において、疾患または症状は、発熱である。別の実施形態において、疾患または状態は、悪寒である。別の実施形態において、疾患または状態は、インフルエンザ様症状である。別の実施形態において、疾患または状態は、炎症である。別の実施形態において、疾患または状態は、脳の霧である。
【0073】
インフルエンザ様症状には、頭痛、発熱、咳、息切れ(呼吸困難)、呼吸の困難さ、痰の発生、胸部絞扼感、疲労、咽喉痛、鼻水、食欲喪失、および疼痛(筋肉痛および体の痛みを含む)が含まれる。
【0074】
一実施形態において、ウイルス感染はコロナウイルス感染である。一実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0075】
一実施形態において、疾患または症状は、抗炎症性機構を介して、および/またはウイルス複製の抑制を介して、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)により治療される。一実施形態において、疾患または症状は、抗炎症性機構を介して、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)により治療される。一実施形態において、疾患または症状は、ウイルス複製の抑制を介して、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)により治療される。一実施形態において、疾患または症状は、抗炎症性機構およびウイルス複製の抑制を介して、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)により治療される。
【0076】
典型的には、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)は、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で投与される。
【0077】
一部の実施態様において、担体は非天然に生じる担体である。
【0078】
医薬組成物
上記に記載されたように、典型的には、本明細書に記載されている方法および使用に使用されるメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)は、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の形態で投与される。
【0079】
医薬組成物は、上記に記載された他の薬剤またはさらなる活性剤を含有してもよく、例えば、従来の固体もしくは液体のビヒクルまたは希釈剤、および所望の投与様式に適切な種類の医薬添加物(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味料など)を、周知の医薬処方の技術(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., 2005, Lippincott Williams & Wilkinsを参照すること)などの技術に従って用いることによって処方されうる。
【0080】
医薬組成物は、静脈内、経口、経鼻、局所(真皮、口腔および舌下を含む)、または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与、および吸入または通気による投与に適した形態でありうる。
【0081】
このように、本明細書に記載されている化合物を、薬学的に許容される担体と一緒に、医薬組成物およびその単位投与量の形態の中に入れることができる。医薬組成物は、経口投与のため、錠剤もしくは充填カプセル剤などの固体、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤などの液体、もしくはこれらが充填されたカプセル剤でありうる。医薬組成物は、静脈内投与のため、液剤、懸濁剤、または乳剤などの液体でありうる。
【0082】
そのような医薬組成物およびその単位剤形は、従来の成分を、追加の活性化合物もしくは有効成分を伴うか、または伴うことなく、従来の割合で含むことができ、そのような単位剤形は、用いられる意図された1日投与量範囲に相応する活性成分のあらゆる適切な有効量を含有することができる。
【0083】
本明細書に記載されている化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかでありうる。固体形態の調合剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤(固体または咀嚼性)、坐剤、および分散性粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩解剤、またはカプセル化材料としても作用することができる1つまたは複数の物質でありうる。
【0084】
適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジ剤を、経口投与に適した固体形態で使用することができる。
【0085】
液体形態の調合剤には、液剤、懸濁剤、および乳剤、例えば水または水-プロピレングリコール液剤が含まれる。例えば、非経口注射液体調合剤を、食塩水、水、またはポリエチレングルコール水溶液中の液剤として製剤化することができる。
【0086】
滅菌液体形態の組成物には、滅菌液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性成分を、滅菌水、滅菌有機溶媒、または両方の混合物などの薬学的に許容される担体に溶解または懸濁することができる。
【0087】
一実施形態において、メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは経口投与用に製剤化される。経口投与用の組成物は、固体または液体調合剤でありうる。
【0088】
一実施形態において、経口投与用の組成物は固体調合剤である。
【0089】
メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムを三酸化ヒ素(As)から合成することができる。例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムは、三酸化ヒ素(As)を水酸化ナトリウム水溶液と反応させて、三価メタ亜ヒ酸ナトリウムを形成することによって合成することができる(下記のスキーム1の上部左側)。溶液を冷却し、メタ亜ヒ酸ナトリウムをろ過し、水を蒸発させる。次いで、形成されたメタ亜ヒ酸ナトリウムをメタノールで洗浄して、水を除去し、真空下でろ過し、次いで乾燥する。メタ亜ヒ酸カリウムは、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに水酸化カリウム水溶液を使用して、メタ亜ヒ酸ナトリウムと同様の方法で調製することができる。
【0090】
しかし、メタ亜ヒ酸塩(O=As-Oの塩)における主な複雑な問題は、その種分化の化学およびメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)を含む経口剤形が胃の中で溶解する場合など、溶液中でいくつかの異なる形態に変換するその能力である。例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)は強酸中、強塩基中、および中性状態で容易に可溶性である。存在する形態は、溶液のpHおよびメタ亜ヒ酸ナトリウムの酸化傾向によって決まる(下記のスキーム1)。メタ亜ヒ酸カリウムはメタ亜ヒ酸ナトリウムと同様に挙動する。一般に、中性からアルカリ性条件がAs(III)(亜ヒ酸塩)の形成(または保持)に好ましい傾向があり、一方、酸性条件(とりわけ、胃の中など塩化物イオンの存在下)がAs(V)(ヒ酸塩)の形成に好ましい傾向がある。
【0091】
【化1】
【0092】
加えて、メタ亜ヒ酸塩(O=As-O)は、塩化物、金属イオン、もしくは水分(例えば、溶解媒体内または賦形剤内において、賦形剤、例えば、金属イオン、特に、鉄のイオンを有する賦形剤が酸化を触媒しうる)、または大気中の酸素が存在する場合、保管中にメタヒ酸塩に酸化されうる。メタ亜ヒ酸塩の酸化は低いpHで極め急速に発生しうる。メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)およびメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)は、両方とも吸湿性である。
【0093】
溶液中では、メタ亜ヒ酸ナトリウムの主な分解物は、酸化反応によって形成される五価メタヒ酸塩(AsO 3-またはAs(V))種である。これは下記のボックス1に示されるように進行すると仮定されるが、理論上は、酸化(原子価の変化)は発生する酸素を吸収することなく(例えば、賦形剤との相互作用により、またはメタ亜ヒ酸ナトリウムもしくは組成物内に存在する金属イオンとの反応により)生じうる。
【0094】
【化2】
【0095】
胃の中でのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-ONa)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O)の溶解によって生じるさらなる複雑な問題は、胃の中の塩化物イオンから塩化ヒ素(III)(AsCl)が形成することである。メタ亜ヒ酸塩の酸化は、塩化物が存在するとより急速に発生しうる。塩化ヒ素(III)は、ヒトに有害であり、重篤な有害作用を引き起こす。
【0096】
組成物が経口投与用である一部の実施形態において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムを含み、経口投与に適切であり、胃を通過して小腸内(酸性度がpH6.5~7.5である)で溶解を開始する、腸溶性コーティング固体医薬組成物が提供される。メタ亜ヒ酸塩形態からメタヒ酸塩形態への酸化の危険性(胃の中または保管中)、および胃の中の塩化物イオンによる毒性塩化ヒ素(III)の形成の危険性は、適切な賦形剤および単体、ならびに適切な厚さの適切な腸溶性コーティングを用いることによって最小限になる。小腸の中の腸溶性コーティング固体医薬組成物の溶解は、急速に発生しうる、または長時間(例えば、0.5、0.75、1、2、3、4、5、または6時間、好ましくは2時間以内)にわたって発生しうる。
【0097】
経口投与による医薬組成物の好ましい実施形態が下記に記載される。経口投与による医薬組成物は下記に記載される有効な方法によって製造されうる。
【0098】
経口投与による医薬組成物
一実施形態において、経口投与に適した医薬組成物は、
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
ここで腸溶性コーティングの重量パーセンテージは、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚は、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である。
【0099】
例えば、上記の実施形態において、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤から選択されうる。一部の実施形態において、固体コアは、これらの賦形剤の2つ以上、これらの賦形剤の3つ以上、これらの賦形剤の4つ以上、またはこれらの賦形剤のすべてを含んでもよい。このように、一部の実施形態において、固体コアは、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤を含む。
【0100】
一実施形態において、経口投与に適した医薬組成物は、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を提供する。
【0101】
医薬組成物は、腸溶性コーティング錠剤または腸溶性コーティングカプセル剤の形態でありうる。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティング錠剤である。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0102】
医薬組成物において、医薬活性成分(API)は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムである。
【0103】
メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、高い純度(>98%のAs(III)および最小レベルのAs(V))で商業的に得ることができる。メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、吸湿性である。
【0104】
無機化合物であるメタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、それぞれ、典型的な錠剤賦形剤(典型的な錠剤賦形剤は、通常、およそ1.2~1.6g/cmの密度を有する有機物質である)と比較して、より高い粒子(真)密度(例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムではおよそ2.1~2.3g/cm、およびメタ亜ヒ酸カリウムでは約8.76g/cm)を有する。
【0105】
APIの粒径と賦形剤の粒径に差があるので、組成物中におけるAPIの分離の可能性は高い。好ましい粒径のAPIを使用することは、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらす、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除する、および組成物中の含有物に十分な均一性を達成するので有利であることが、当業者に理解される。
【0106】
経口投与用の組成物の一部の実施形態において、APIの粒径は約50~150ミクロンである。一部の実施形態において、APIの粒径は約70~120ミクロンである。一部の実施形態において、APIの粒径は約90~100ミクロンである。
【0107】
一部の実施形態において、APIはメタ亜ヒ酸ナトリウムである。
【0108】
一部の実施形態において、APIはメタ亜ヒ酸カリウムである。
【0109】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物の固体コアにおけるAPIの量は、固体コアの約0.1~5.0%w/w、好ましくは固体コアの約0.5~3.0%w/w、より好ましくは固体コアの約1.0~2.5%w/w、さらにより好ましくは固体コアの約1.5~2.0%w/w、および最も好ましくは固体コアの約1.6~1.8%w/w、例えば、固体コアの約1.65%w/w、約1.66%w/w、約1.67%w/w、約1.68%w/w、約1.69%w/w、約1.70%w/w、約1.71%w/w、約1.72%w/w、約1.73%w/w、約1.74%w/w、または約1.75%w/wである。
【0110】
一部の実施形態において、APIの粒径および薬学的に許容される賦形剤の粒径は類似している。有利なことに、類似した粒径を有するAPIおよび賦形剤の使用は、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらすことができ、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除することができ、組成物中の含有物に十分な均一性を達成することができる。
【0111】
一部の実施形態において、APIは微粉化されている。微粉化によりAPIの粒径を低減することは、APIが低レベルで存在する場合、剤形(例えば、錠剤)におけるブレンドの均一性および含有物の均一性を改善できることが当業者に理解される。
【0112】
一部の実施形態において、APIは微粉化されていない。吸湿性のAPI(例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウム)の微粉化は、より高い表面積および反応性のために分解する危険性を増大させうることが当業者に理解される。
【0113】
一実施形態において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムに加えて、経口投与による医薬組成物は、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0114】
一部の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、室温で少なくとも約1か月、好ましくは少なくとも約2か月、より好ましくは少なくとも約3か月、さらにより好ましくは少なくとも約4か月、最も好ましくは少なくとも約6か月間保管した後、約10%w/w未満、好ましくは約5%w/w未満、より好ましくは約2%w/w未満、さらにより好ましくは約1%w/w未満、および最も好ましくは約0.5%w/w未満のメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムがメタヒ酸ナトリウムまたはメタヒ酸カリウムに酸化されるように選択される。
【0115】
別の実施形態において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムに加えて、経口投与用の医薬組成物は、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)充填剤または希釈剤、
(ii)崩壊剤、
(iii)流動促進剤、
(iv)滑沢剤、および
(v)任意選択で結合剤
を含む。
【0116】
一部の賦形剤は、多重機能を有することが当業者に理解される。医薬組成物に含まれる賦形剤が多重機能を有する場合、医薬組成物はこれらの機能を有する賦形剤を含むことが考慮され、例えば、賦形剤が結合剤としても崩壊剤としても作用する場合、医薬組成物は結合剤および崩壊剤を含んでいると理解される。
【0117】
一般に、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムと適合性がある。好ましくは、薬学的に許容される賦形剤は、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化の可能性を最小限にするために、低い水分レベルまたは低い水分活性を有する。このように、好ましくは経口投与による医薬組成物は、高い水分レベルまたは高い水分活性を有する賦形剤を含有しない(そのような賦形剤、例えば、金属イオン、特に、鉄のイオンを有する賦形剤は、酸化を触媒しうる)。しかし、いくらかの利用可能な水分が十分な圧縮のために必要であるので、経口投与による医薬組成物にとってこのことの実用性には限界があることを当業者は理解する。
【0118】
一部の実施形態において、APIの粒径および薬学的に許容される賦形剤の粒径は類似している。有利なことに、類似した粒径を有するAPIおよび賦形剤の使用は、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらすことができ、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除することができ、固体コア中の含有物に十分な均一性を達成することができる。
【0119】
一部の実施形態において、可能であれば、主な高密度型賦形剤は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの密度と釣り合うように選択され(メタ亜ヒ酸ナトリウムは推定真密度のおよそ2.1~2.3g/cmを有し、メタ亜ヒ酸カリウムは推定真密度のおよそ8.76g/cmを有する)、典型的な錠剤賦形剤は、有機物質であり、およそ1.2~1.6g/cmの密度を有する。
【0120】
充填剤または希釈剤は、例えば、リン酸二カルシウム無水物(dibasic calcium phosphate anhydrous)、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択されうる。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、またはこれらの混合物である。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、リン酸二カルシウム無水物である。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は部分アルファ化デンプンである。一部の実施形態において、希釈剤は、圧縮性希釈剤、例えば、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、または部分アルファ化デンプンであってもよい。
【0121】
充填剤または希釈剤は、固体コアの約5~95%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、固体コアの約10~90%w/w、例えば、固体コアの約10%w/w、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/w、固体コアの約35%w/w、固体コアの約40%w/w、固体コアの約45%w/w、固体コアの約50%w/w、固体コアの約55%w/w、固体コアの約60%w/w、固体コアの約65%w/w、固体コアの約70%w/w、固体コアの約75%w/w、固体コアの約80%w/w、固体コアの約85%w/w、または固体コアの約90%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。
【0122】
崩壊剤は、例えば、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、およびアルギン酸から選択されうる。デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンは、超崩壊剤(super disintegrant)である。一部の実施形態において、崩壊剤は、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの2つ以上の混合物である。一部の実施形態において、崩壊剤はL-ヒドロキシプロピルセルロースである。一部の実施形態において、崩壊剤は部分アルファ化デンプンである。一部の実施形態において、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0123】
崩壊剤は、固体コアの約10~90%w/w、例えば固体コアの約10~50%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、崩壊剤は、固体コアの約15~85%w/w、例えば、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/w、固体コアの約35%w/w、固体コアの約40%w/w、固体コアの約45%w/w、固体コアの約50%w/w、固体コアの約55%w/w、固体コアの約60%w/w、固体コアの約65%w/w、固体コアの約70%w/w、固体コアの約75%w/w、固体コアの約80%w/w、または固体コアの約85%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在する。
【0124】
流動促進剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクから選択されうる。一部の実施形態において、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。一部の実施形態において、流動促進剤はタルクである。
【0125】
流動促進剤は、固体コアの約0.1~5%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、流動促進剤は、固体コアの約0.3~4%w/w、例えば、固体コアの約0.3%w/w、固体コアの約0.4%w/w、固体コアの約0.5%w/w、固体コアの約0.6%w/w、固体コアの約0.7%w/w、固体コアの約0.8%w/w、固体コアの約0.9%w/w、固体コアの約1.0%w/w、固体コアの約1.1%w/w、固体コアの約1.2%w/w、固体コアの約1.3%w/w、固体コアの約1.4%w/w、固体コアの約1.5%w/w、固体コアの約1.6%w/w、固体コアの約1.7%w/w、固体コアの約1.8%w/w、固体コアの約1.9%w/w、固体コアの約2.0%w/w、固体コアの約2.1%w/w、固体コアの約2.2%w/w、固体コアの約2.3%w/w、固体コアの約2.4%w/w、固体コアの約2.5%w/w、固体コアの約2.6%w/w、固体コアの約2.7%w/w、固体コアの約2.8%w/w、固体コアの約2.9%w/w、固体コアの約3.0%w/w、固体コアの約3.1%w/w、固体コアの約3.2%w/w、固体コアの約3.3%w/w、固体コアの約3.4%w/w、固体コアの約3.5%w/w、固体コアの約3.6%w/w、固体コアの約3.7%w/w、固体コアの約3.8%w/w、固体コアの約3.9%w/w、または固体コアの約4.0%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在する。
【0126】
滑沢剤は、例えば、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびシリカから選択されうる。一部の実施形態において、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。一部の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。一部の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸である。一部の実施形態において、滑沢剤はタルクである。一部の実施形態において、滑沢剤はシリカである。
【0127】
滑沢剤は、固体コアの約0.1~5%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、滑沢剤は、固体コアの約0.3~4%w/w、例えば、固体コアの約0.3%w/w、固体コアの約0.4%w/w、固体コアの約0.5%w/w、固体コアの約0.6%w/w、固体コアの約0.7%w/w、固体コアの約0.8%w/w、固体コアの約0.9%w/w、固体コアの約1.0%w/w、固体コアの約1.1%w/w、固体コアの約1.2%w/w、固体コアの約1.3%w/w、固体コアの約1.4%w/w、固体コアの約1.5%w/w、固体コアの約1.6%w/w、固体コアの約1.7%w/w、固体コアの約1.8%w/w、固体コアの約1.9%w/w、固体コアの約2.0%w/w、固体コアの約2.1%w/w、固体コアの約2.2%w/w、固体コアの約2.3%w/w、固体コアの約2.4%w/w、固体コアの約2.5%w/w、固体コアの約2.6%w/w、固体コアの約2.7%w/w、固体コアの約2.8%w/w、固体コアの約2.9%w/w、固体コアの約3.0%w/w、固体コアの約3.1%w/w、固体コアの約3.2%w/w、固体コアの約3.3%w/w、固体コアの約3.4%w/w、固体コアの約3.5%w/w、固体コアの約3.6%w/w、固体コアの約3.7%w/w、固体コアの約3.8%w/w、固体コアの約3.9%w/w、または固体コアの約4.0%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在する。
【0128】
存在する場合、結合剤は、例えば、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、部分アルファ化デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン(copovidone)(ポリビニルピロリドン)、アルファ化トウモロコシ(maize)デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、アカシア、トウモロコシデンプン、およびゼラチンから選択されうる。一部の実施形態において、結合剤はL-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)である。一部の実施形態において、結合剤は、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)とヒドロキシプロピルセルロースとの混合物である。一部の実施形態において、結合剤は部分アルファ化デンプンである。
【0129】
結合剤は、固体コアの約0~30%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、結合剤は、固体コアの約1~30%w/w、例えば固体コアの約5~25%w/wの量で経口投与による医薬組成物の固体コアに存在する。例えば、結合剤は、固体コアの約約5%w/w、固体コアの約10%w/w、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。
【0130】
経口投与による医薬組成物は、任意選択で酸化防止剤をコアに含んでもよい。酸化防止剤は、(a)酸化還元電位を低下させること、(b)酸素を補足すること、または(c)フリーラジカル反応を停止させること(フリーラジカル阻害剤として作用すること)によって、還元剤として機能する。機構(a)および(b)は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムからメタヒ酸ナトリムまたはメタヒ酸カリウムへの分解に最も関連性がある。有利なことに、酸化防止剤は、組成物中のAs(III)からAs(V)への酸化を低減または防止するように作用する。
【0131】
固形コアに使用されうる酸化防止剤の例には、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩酸システイン、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)が含まれる。
【0132】
酸化防止剤は、固体コアの約0.01~0.2%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.10%w/w、0.11%w/w、0.12%w/w、0.13%w/w、0.14%w/w、0.15%w/w、0.16%w/w、0.17%w/w、0.18%w/w、0.19%w/w、または0.20%w/wの量で固体コアに存在しうる。
【0133】
当然のことながら、当業者は、固体コア中のAPI(メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム)、賦形剤、および他の成分の量が、固体コアの100%を構成するように調整されることを理解する。
【0134】
有利なことに、経口投与による医薬組成物の固体コアは、上記に記載された適切な賦形剤の使用によって、良好なブレンド均一性および含有物均一性を有する。
【0135】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物の固体コアは、以下のうちの任意の1つまたは複数を含まない:ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、コポビドン(ポリビニルピロリドン)、クロスポビドン、ステアリン酸、タルク、およびメタ重亜硫酸ナトリウム。
【0136】
経口投与用の医薬組成物は、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含むことができる。腸溶性コーティングは、当該技術において公知の適切なコーティング技術を使用して塗布することができる。腸溶性コーティング材料は、水または適切な有機溶媒のいずれかに分散または溶解されうる。
【0137】
腸溶性コーティングポリマーとして、例えば、以下のうちの1つまたは複数を別々に、または組み合わせて使用することができる:アクリル酸およびそのエステルまたはメタクリル酸もしくはそのエステルのコポリマー、ポリソルベート、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラック、または他の適切な腸溶性コーティングポリマーの溶液または分散体。
【0138】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、メタクリレートベースコーティングであり、例えば、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含むものである。いくつかの有用な生成物が市販されている。
【0139】
腸溶性コーティングポリマーの製品は、商標名EUDRAGIT(登録商標)でRohm GmbH & Co.、Darmstadt、Germanyから市販されており、L100、100-55、およびS100が含まれる。有用なEUDRAGIT(登録商標)製品の例には、EUDRAGIT L100-55、EUDRAGIT S100、およびEUDRAGIT L30D-55が含まれる。EUDRAGIT L100-55はポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(1:1)である。EUDRAGIT S100は、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:2)である。EUDRAGIT L30D-55は、十二指腸への標的化送達のためpH5.5以上で可溶性になるpH依存性ポリマーの水性分散体である。メタクリル酸コポリマーのEUDRAGIT L30D-55は、メタクリル酸とアクリル酸エチルの1:1比のコポリマーであり、式(C・Cを有する。
【0140】
ColorconからのAcryl-EZE(登録商標)は、水性アクリル腸溶系であり、錠剤、顆粒剤、およびビーズ剤などの固体剤形への腸溶性フィルムコーティングの塗布のために水に分散性である。有用なAcryl-EZE(登録商標)製品の例には、Acryl-EZE II white(493Z180022)およびAcryl-EZE Green(93O11863)が含まれる。
【0141】
腸溶性コーティングは、薬学的に許容される可塑剤をさらに含有して、腸溶性コーティングの柔軟性および硬度などの望ましい機械的特性を得ることができる。そのような可塑剤は、例えば、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、または他の可塑剤であるが、これらに限定されない。例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルクなどの粘着防止剤(anti-tacking agent)、および他の添加剤も腸溶性コーティングに含まれてもよい。
【0142】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、固体コアの約7~17%w/wの重量増加、例えば、固体コアの約8~14%w/wの重量増加をもたらす。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、約8%w/wの重量増加、約8.5%w/wの重量増加、約9%w/wの重量増加、約9.5%w/wの重量増加、約10%w/wの重量増加、約10.5%w/wの重量増加、約11%w/wの重量増加、約11.5%w/wの重量増加、約12%w/wの重量増加、約12.5%w/wの重量増加、約13%w/wの重量増加、約13.5%w/wの重量増加、または約14%w/wの重量増加をもたらす。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、固体コアの約12%w/wの重量増加をもたらす。
【0143】
一部の実施形態において、固体コアは、サブコーティング(sub-coating)に適していることが当該技術において公知のポリマーを使用して、腸溶性コーティングでコーティングする前にサブコーティングされてもよい。
【0144】
経口投与用の医薬組成物は、一実施形態において、固体であり、腸溶性コーティングされており、経口投与に適しており、例えば、腸溶性コーティング錠剤または腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0145】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、約5~8mmの直径を有する固体コアを有する腸溶性コーティング錠剤である。直径は、固体コアの最大幅の直径である。一部の実施形態において、固体コアの直径は約5.5~7.5mmである。一部の実施形態において、固体コアの直径は約6.0~7mm、例えば、約6mm、約6.5mm、または約7mmである。好ましくは、経口投与による医薬組成物は、6.5mmの直径を有する固体コアを有する腸溶性コーティング錠剤である。より好ましくは、本発明の医薬組成物は、6.5mmの直径を有する固体コアを有し、メタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、腸溶性コーティング錠剤である。
【0146】
一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約2mm~6mm、例えば、約2mm~5mmでありうる。腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、固体コアの深さであり、すなわち、固体コアが平面上に置かれたときに測定される固体コアの高さである。一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3mm~4.5mmである。一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3.1mm~4.2mm、例えば、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、約3.9mm、約4.0mm、約4.1mm、または約4.2mmである。好ましくは、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、または約3.9mmである。
【0147】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、約8.0~16mmの長さを有する固体コアを有する腸溶性コーティングカプセル剤である。一部の実施形態において、固体コアの長は約8.5~15mmである。一部の実施形態において、固体コアの長さは、約8.5mm~14.5mm、例えば、約8.5mm、約9.0mm、約9.5mm、約10.0mm、約10.5mm、約11.0mm、約11.5mm、約12.0mm、約12.5mm、約13.0mm、約13.5mm、約14mm、または約14.5mmである。好ましくは、経口投与による医薬組成物は、約14.3mmの長さを有する固体コアを有する腸溶性コーティングカプセル剤である。より好ましくは、本発明の医薬組成物は、約14.3mmの長さを有する固体コアを有し、メタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0148】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、約3mm~8mm、例えば、約4.0mm~7.0mmでありうる。腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、固体コアの深さであり、すなわち、固体コアが平面上に置かれたときに測定される固体コアの高さである。一部の実施形態において、固体コアの厚さは、約4.5~6.5mm、例えば、約4.5mm、約4.6mm、約4.7mm、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、約5.9mm、約6.0mm、約6.1mm、約6.2mm、約6.3mm、約6.4mm、または約6.5mmである。好ましくは、腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、約5.31mmである。
【0149】
一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約50N~約200N、例えば、約50~約150N、または約70~約120Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約80N~約115N、例えば、約85N、約90N、約95N、約100N、約105N、または約110Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は、少なくとも約50N、少なくとも約55N、少なくとも約60N、少なくとも約65N、少なくとも約70N、少なくとも約75N、少なくとも約80N、少なくとも約85N、少なくとも約90N、少なくとも約95N、少なくとも約100N、少なくとも約105N、少なくとも約110N、少なくとも約115N、少なくとも約120N、少なくとも約125N、少なくとも約130N、少なくとも約135N、少なくとも約140N、少なくとも約145N、少なくとも約150N、少なくとも約155N、少なくとも約160N、少なくとも約165N、少なくとも約170N、少なくとも約175N、少なくとも約180N、少なくとも約185N、少なくとも約190N、少なくとも約195N、または約200Nである。好ましくは、固体コアの硬度は、少なくとも約85N、より好ましくは少なくとも約90N、さらにより好ましくは少なくとも約100N、最も好ましくは少なくとも約110Nである。典型的には、固体コアの硬度は約210Nを超えない。
【0150】
一部の実施形態において、固体コアの摩損度は、約0.5%未満、好ましくは約0.45%未満、より好ましくは約0.4%未満、さらにより好ましくは約0.35%未満、最も好ましくは約0.3%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.25%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.2%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.15%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.1%未満、例えば約0.08%である。
【0151】
一部の実施形態において、固体コアの質量は約50mg~250mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約80mg~220mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約100mg~200mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約120mg~180mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は、約140mg~160mg、例えば、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、または約160mgである。好ましくは、固体コアの質量は150mgである。
【0152】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、以下から選択される固体コアを含む。
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、部分アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム無水物、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、ならびに
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア。
【0153】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、約6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および固体コアの約12%w/wを付加する腸溶性コーティングを有する、腸溶性コーティング錠剤である。
【0154】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、約6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および約0.2mmのコーティング厚を有する腸溶性コーティングを有する、腸溶性コーティング錠剤である。
【0155】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物を投与した後に、医薬組成物は以下の溶解特性を有する:45分間で75%以上、好ましくは30分間で75%以上。
【0156】
一部の実施形態において、小腸の中の本発明の医薬組成物の溶解およびAPIの放出は、急速に発生する、または長時間(例えば、0.5、0.75、1、2、3、4、5、または6時間、好ましくは2時間以内)にわたって発生する。
【0157】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングが溶解すると、固体コアは、約10分未満、好ましくは約8分未満、より好ましくは約6分未満、さらにより好ましくは約5分未満、および最も好ましくは約4分未満で崩壊する。
【0158】
経口投与による医薬組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。単位剤形はパッケージ化された調合剤であってもよく、パッケージは医薬組成物の別個の量を含有し、例えば、パケット錠剤またはカプセル剤である。また、単位剤形は、それ自体が錠剤もしくはカプセル剤であってもよく、またはこれらのうちの任意の適切な数がパッケージ形態であってもよい。パッケージ形態は、例えば、金属またはプラスチックホイル、例えばブリスターパック、例えば、酸素不浸透性また低浸透性のAlu-Aluブリスターで構成されてもよい。パッケージ形態には、投与説明書が添付されていてもよい。
【0159】
一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は、周囲温度または室温で少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間、より好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは18~24か月間保管されうる。一部の実施形態において、経口投与による医薬組成物は(例えば、約2~8℃で)冷蔵されうる。
【0160】
医薬組成物は、国際公開第2019/178643号パンフレットに開示されている方法により製造することができる。
【0161】
非経口投与用の組成物
ある特定の状況において、本明細書に開示されている医薬組成物を、非経口、静脈内、筋肉内、またはさらには腹腔内で送達することが望ましい。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水により調製することができる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物、ならびに油により調製することもできる。保管および使用の通常の条件下では、これらの調合剤は、微生物の増殖を予防するため保存剤を含有する。
【0162】
注射用途に適した医薬形態には、滅菌水性液剤または分散剤、および滅菌注射用液剤または分散剤のその場での調製用の滅菌散剤が含まれる。すべての場合において、形態は滅菌でなければならず、容易なシリンジ通過能(syringability)が存在する程度に流体でなければならない。製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングルコールおよび液体ポリエチレングルコールなど)、これらの適切な混合物、ならびに/または植物油を含有する溶媒または分散媒でありうる。正確な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合では必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより促進することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の延長吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによってもたらすことができる。
【0163】
水性液剤による非経口投与では、例えば、液剤は、必要であれば適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤は、最初に、十分な食塩水またはグルコースにより等張にされる。これらの特定の水性液剤は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与にとりわけ適している。これに関連して、用いることができる滅菌水性媒体は、本開示を鑑みて当業者にとって公知である。例えば、1つの投与量を等張NaC lml溶液に溶解し、1000mlの皮下注入液に添加してもよく、または提案された注入部位に注射してもよい。投与量のいくらかの変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に発生する。いずれにしても、投与の責任者は個別の対象に適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与では、調合剤は、政府および地方機関の生物製剤基準によって要求される、滅菌性、発熱性、および一般的安全性、ならびに純度基準を満たさなければならない。
【0164】
滅菌注射用液剤は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、必要であれば上記に列挙された、いくつかの他の成分と共に組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散剤は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒および上記に列挙された必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注射用液剤の調製のための滅菌散剤の場合では、好ましい調製方法は真空乾燥およびフリーズドライ技術であり、活性成分の散剤および前述の滅菌ろ過液剤からの任意の追加の所望の成分を生じる。
【0165】
製剤は、様々な剤形により、例えば、注射用液剤、薬物放出カプセル剤などで容易に投与される。
【0166】
治療剤は、注射による、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与用に製剤化されうる。そのような製剤は滅菌されている。注射用製剤は、単位剤形、例えば、保存剤が添加されているアンプルまたは多用量容器で提示されうる。組成物は、油または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤としてそのような形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤(formulatory agent)を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用する前に適切なビヒクル、例えば発熱性物質を含まない滅菌水と構成するための粉末形態でありうる。
【0167】
既に記載された製剤に加えて、化合物をデポー型調合剤として製剤化することもできる。そのような長期作用製剤は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)により、または筋肉内注射により投与することができる。このように、例えば、化合物は、適切なポリマー物質もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中の乳剤)またはイオン交換樹脂により、あるいは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化されうる。リポソームおよび乳剤は、親水性薬物のための送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。
【0168】
本発明の医薬調合剤に利用される適切な薬学的に許容される担体および希釈剤は、化合物を医薬組成物に製剤化する当業者に周知である。非経口投与に適した形態の本発明の医薬調合剤は、薬学的に許容される担体を用いて当業者に周知の多数の手段により静脈内注入または注射用に製剤化することができる。ある特定の実施形態において、そのような医薬調合剤は、従来技術により調製される、活性成分のフリーズドライ混合物の単位剤形の形態であり、投与時に水または他の適切な注入液により再構成されうる。
【0169】
投与量
メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量は、当業者によって容易に決定することができる。
【0170】
対象に投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量レベルは、一般に、1日あたり対象の体重の約0.01~0.8mg/kg、例えば、1日あたり対象の体重の約0.05~0.7mg/kg、1日あたり対象の体重の約0.1~0.6mg/kg、または1日あたり対象の体重の約0.2~0.5mg/kgであり、1日あたり単回または多回用量で投与することができる。
【0171】
例えば、患者(例えば、SARS-CoV-2感染などのコロナウイルス感染を患っている患者)に投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量レベルは、約2.0~30mg/日/人、例えば、約2.5~20.0mg/日/人または約2.5~17.5mg/日/人でありうる。好ましくは、投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの投与量レベルは、約5.0~12.5mg/日/人、より好ましくは約10.0~12.5mg/日/人、例えば、5.0mg/日/人、5.5mg/日/人、6.0mg/日/人、6.5mg/日/人、7.0mg/日/人、7.5mg/日/人、8.0mg/日/人、8.5mg/日/人、9.0mg/日/人、9.5mg/日/人、10.0mg/日/人、10.5mg/日/人、11.0mg/日/人、11.5mg/日/人、12.0mg/日/人、または12.5mg/日/人である。一部の実施形態において、投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの投与量レベルは、1日あたり7.5mgである。
【0172】
任意の特定の対象への投与量の特定の用量レベルおよび頻度は変わりうること、ならびに対象の年齢、体重、身体全体の健康状態、性別および食事、投与の様式および時間、排出速度、薬物の組合せ、および特定の状態の重症度を含む様々な要因によって左右されることが理解される。
【0173】
本発明の医薬組成物は、食前(例えば、30分前)、食中、または食後(例えば、30分後)に摂取されうる。好ましくは、本発明の医薬組成物は食事の直後に摂取される。
【0174】
2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウム(SMA)を有する本発明の錠剤による投与レジメンの例を下記に記載する:
- 5.0mgのSMA摂取:朝食の直後に1錠、夕食の直後に1錠、
- 7.5mgのSMA摂取:朝食の直後に2錠、夕食の直後に1錠、
- 10.0mgのSMA摂取:朝食の直後に2錠、夕食の直後に2錠。
【0175】
他の薬剤を伴う投与
一部の実施形態において、医薬組成物は1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0176】
例えば、本明細書に記載されている医薬組成物は、鎮痛薬、麻酔薬、抗真菌薬、抗生物質、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗マラリア薬、抗菌薬、防腐薬、抗関節炎薬、抗トロンビン剤、抗結核薬、鎮咳薬、抗ウイルス薬、心臓作用薬(cardioactive drug)、去痰薬、免疫抑制剤、鎮静薬、交感神経様作用物質、毒素(例えば、コレラ毒素)、精神安定剤、および尿路感染症薬などの他の治療剤と共に投与することができる。
【0177】
各治療剤の順次または実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、粘膜組織を介した直接吸収、およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない任意の適切な経路によって遂行される。治療剤は、同じ経路または異なる経路により投与することができる。例えば、選択された組合せの第1の治療剤を静脈内注射により投与することができ、例えばシスプラチンまたは三酸化ヒ素であり、一方、他の治療剤、例えばメタ亜ヒ酸ナトリウムを経口投与することができる。あるいは、例えば両方の、またはすべての治療剤を静脈内注射または注入により投与することができる。治療剤が投与される順番は、重要ではない。
【0178】
キット
本発明は、本発明の治療レジメンを実行するキットも提供する。そのようなキットは、1つまたは複数の容器に、治療有効量の薬学的に許容される形態のSMAまたはKMAを含む。本発明のキットのバイアル中のSMAまたはKMAは、例えば、滅菌食塩水、デキストロース溶液もしくは緩衝溶液、または他の薬学的に許容される滅菌液と組み合わせた薬学的に許容される液剤の形態でありうる。あるいは、SMAまたはKMAは凍結乾燥または乾燥されてもよく、この場合、キットは、容器に薬学的に許容される溶液(例えば、食塩水デキストロース溶液など)、好ましくは食塩水を任意選択でさらに含み、錯体を再構成して、注射目的の液剤を形成する。キットは、また、疼痛および/または炎症を治療するための別の治療剤を適切な量で含む。そのようの他の治療剤は、キットに含有されたSMAまたはKMAとの併用薬として製剤化されうる、あるいは別々に製剤化されうる。
【0179】
本発明は以下の非限定的な実施例を参照して下記にさらに記載される。
【実施例
【0180】
[実施例1]
炎症促進性サイトカイン分泌の阻害
【0181】
材料および方法
下記に例示される医薬組成物の製造に使用されるすべての材料は、商業供給者から購入した。
【0182】
マクロファージ増殖培地
使用したマクロファージは初代ラット腹膜マクロファージであった。マクロファージを、熱不活性化ウシ胎児血清(Invitrogenカタログ番号10099-141)を最終濃度の10%、ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogenカタログ番号15140-122)を最終濃度の100U/mL/100μg/mL、glutamax(Invitrogenカタログ番号35050-061)を最終濃度の2mM、およびMEM NEAA(Invitrogenカタログ番号11140-050)をMEM培地(Invitrogenカタログ番号11095)に適合する最終濃度で補充した、高グルコースでピルビン酸塩のDMEM(Invitrogenカタログ番号11995)で増殖させた。
【0183】
THP-1細胞およびTHP-1マクロファージを、熱不活性化ウシ胎児血清(Invitrogenカタログ番号10099-141)を最終濃度の10%、および2-メルカプトエタノールを最終濃度の0.05mMで補充したATCC改変RPMI(Invitrogenカタログ番号A10491-01)で増殖させた。
【0184】
すべての細胞を加湿雰囲気下、37℃、5%COでインキュベートした。
【0185】
細胞傷害性(Cell cytotoxicity)および生存率(MTTベース)アッセイ
ビヒクル対照と比べた、一連のNaAsO濃度でインキュベートした培養初代マクロファージの細胞傷害性および生存率を、CytoTox-GLOキット(細胞傷害性)およびMTTアッセイ(生存率)を使用して、処理の24時間後に決定した。
【0186】
1日目には、増殖培地中の1×10個細胞/mLの125μLを、10%ポリ-L-リジンがコーティングされた96ウエルプレートの各ウエルに添加することにより、マクロファージ細胞を96ウエルプレートに播種した。非接着細胞を3時間後に除去した。
【0187】
2日目には、増殖培地を穏やかに100μL/ウエルの新たな無血清DMEM培地に3時間交換した。無血清培地を、一連のNaAsO濃度(30、10、7、5、3、1、0.3、0.1および0μM)、および100ng/mlのLPSまたは対照を含有する63μLの培地に交換し、24時間インキュベートした。
【0188】
3日目には、
1.CytoTox-GLOキットを製造者の取扱説明書に従って使用して、細胞傷害性を決定した。
2.MTTでDMEMを最終濃度の5mg/mLに再構成した。
3.処理の24時間後、6.3μLの再構成MTT溶液を各ウエルに添加し、COインキュベーターで4時間インキュベートした。
4.70μLのMTT可溶化溶液を各ウエルに添加し、10回反復ピペット操作する(re-pipetting)ことによって、生じたホルマザン結晶を溶解した。
5.各ウエルの吸光度を、分光光度計を使用して570nmの波長で測定し、バックグラウンド吸光度を690nmで差し引いた。
【0189】
サイトカイン分泌
ラットマクロファージの初代培養からのサイトカインの分泌に対するNaAsOの効果を調査するため、様々な濃度のNaAsOおよびLPSと共に24時間インキュベートしたマクロファージウエルの上清を、MesoScale Discovery V-PLEXキットを使用して、炎症促進性サイトカイン濃度について分析した。
【0190】
1日目
増殖培地中の1×10個細胞/mLの323μLを、10%ポリ-L-リジンがコーティングされた24ウエルプレートの各ウエルに添加することにより、マクロファージ細胞を24ウエルプレートに播種した。非接着細胞を3時間後に除去し、培地を500μL/ウエルの新たなDMEM培地に交換した。
【0191】
2日目
1.増殖培地を穏やかに500μL/ウエルの新たな無血清DMEM培地に3時間交換した。
2.無血清培地を、一連のNaAsO濃度(30、10、7、5、3、1、0.3、0.1および0μM)、および100ng/mlのLPS(炎症状態を誘導するため)または対照を含有する250μLの増殖培地に交換し、24時間インキュベートした。
【0192】
3日目
1.処理の24時間後、細胞上清を収集し、-80℃で保存した。
2.MesoScale Discovery V-PLEXキットを製造者の取扱説明書に従って使用して、炎症促進性サイトカインを測定した。
【0193】
THP-1細胞の分化
1日目
1μL/mLのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)を含有するTHP-1増殖培地中の2×10個細胞/mLの250μLを、10%ポリ-L-リジンがコーティングされた96ウエルプレートの各ウエルに添加することにより、THP-1細胞を96ウエルプレートに播種した。
【0194】
2日目
増殖培地を穏やかに100μL/ウエルの新たな無血清DMEM培地に2時間交換した。無血清培地を、一連のNaAsO濃度(30、10、7、5、3、1、0.3、0.1および0μM)、および100ng/mlのLPS(炎症状態を誘導するため)または対照を含有する63μLの増殖培地に交換し、24時間インキュベートした。
【0195】
3日目
処理の24時間後、MTTアッセイを上記に詳述されたように実施した。
【0196】
データ解析
データを平均(±SEM)で表し、初代マクロファージサイトカイン分泌対照との差を、事後チューキー多重比較検定を用いるANOVAを使用して決定した。Prismバージョン6.05を、すべての数値データ(data figure)、統計分析およびIC50計算に使用した。統計的有意の基準は、p≦0.05であった。
【0197】
結果
初代腹膜マクロファージをラットから採取し、LPS(100ng/mL)および一連の濃度(0.1~30μM)のメタ亜ヒ酸ナトリウムで24時間培養し、続いてCytoTox-GLOおよびMTTアッセイキットを使用して、細胞傷害性および細胞生存率を査定した(図1A)。細胞に対して細胞傷害性の洗剤であるジギトニンは、CytoTox-GLOキットにおいて、ビヒクルと比較して高い毒性を引き起こした(図1B)。加えて、別の洗剤であるTriton-Xは、MTTアッセイにおいて、ヒクルと比較して低い細胞生存率を引き起こした(図1C)。メタ亜ヒ酸ナトリウムと共にインキュベートした場合、細胞傷害性に濃度依存性の増加があり、対応して生存率に濃度依存性減少があった。EC50およびIC50値を誘導するために使用された細胞傷害性および細胞生存率は類似しているが相反関係を示し、メタ亜ヒ酸ナトリウムのインキュベーション中の生存率の減少は、細胞内機構の単なる不全ではなく、細胞死が原因である可能性を示している。
【0198】
IC50値が、それぞれ2.3、0.8および0.5μMであったので、TNF-α、IL-1βおよびIL-6の分泌に濃度依存性減少があった(図2A、CおよびE)。重要なことに、細胞生存率のIC50は5.7μMと高く、メタ亜ヒ酸ナトリウムが、細胞生存率のIC50より低い濃度で培養初代マクロファージからの目的のサイトカインの放出を阻害することを示している。これらの結果は、メタ亜ヒ酸ナトリウムが、細胞を殺滅させない濃度で、培養ラットマクロファージからサイトカインTNF-α、IL-1βおよびIL-6の分泌を阻害しうることを示唆している。重要なことに、セレコキシブ(10μM)は3つすべての炎症促進性サイトカインの分泌を阻害することに成功した(図2B、DおよびE)。
【0199】
要約
細胞と3μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムとのインキュベーションが、有意な細胞死の非存在下で細胞からのIL-1βおよびIL-6放出の分泌の完全な阻害を誘発したように、炎症促進性サイトカインの分泌に濃度依存性の減少があった。
【0200】
細胞生存率を有意に低減しなかった濃度のメタ亜ヒ酸ナトリウムで、マクロファージからのTNF-α、IL-1βおよびIL-6の分泌に有意な阻害があった。
【0201】
結論として、本明細書のin vitroデータは、培養ラット初代マクロファージとメタ亜ヒ酸ナトリウムとの24時間のインキュベーションは、炎症促進性サイトカインの分泌の濃度依存性阻害を生じることを示している。
【0202】
[実施例2]
この研究では、本発明者らは、メタ亜ヒ酸ナトリウムがネズミマクロファージRaw264.7細胞においてリポ多糖(LPS)誘導炎症反応を抑制するかを調査した。リポ多糖で活性化されたマクロファージは、多数の分子およびタンパク質、例えば、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)、IL-1β、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)およびフリーラジカルを、急性炎症に随伴して産生する。反応は、細胞内カスケードであるNF-κB経路により誘導された。そのため、この経路の調節は炎症の制御において非常に重要である。
【0203】
細胞培養
ネズミマクロファージ細胞系RAW264.7(American Type Culture Collection、ATCC;Manassas、VA、USA)を、10%熱不活性化FBSおよび抗生物質抗真菌薬(antibioticsantimycotics)(100U/mlのペニシリンGナトリウム、100μg/mlのストレプトマイシン硫酸塩および0.25mg/mlのムホテリシン)を補充したDMEMで増殖させた。pNF-κB-SEAP-NPTプラスミドで安定してトランスフェクトされたRAW264.7細胞(SEAP-RAW細胞)は、Dr.Yeong Shik Kim(Seoul National University、Korea)の好意により提供された。SEAP-RAW細胞を、500μg/mlのG418を含有するDMEMで維持した。すべての細胞を、加湿雰囲気の5%CO下、37℃でインキュベートした。
【0204】
一酸化窒素(NO)アッセイ
RAW264.7マクロファージ細胞系をリポ多糖(LPS、大腸菌(E.coli)の内毒素)と共にインキュベートし、続いて、COX-2およびiNOSにより誘導されたNOレベルを測定した。スルホローダミンBアッセイまたは3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を使用して、細胞傷害性を決定した。
【0205】
PGE2蓄積の測定
COX-2に対する試験物質の阻害活性を評価するため、RAW264.7細胞を1μg/mlのLPSと共にインキュベートした。さらなる20時間のインキュベーションの後、培地を取り出し、PGE2酵素結合免疫吸着検定法(PGE2-ELISA)により分析した。これらのアッセイでは、活性を、メタ亜ヒ酸ナトリウムの非存在および存在下におけるPGE2蓄積間の差と定義した。
【0206】
COX-2酵素活性アッセイ
過剰発現COX-2酵素阻害活性の測定では、RAW264.7細胞をLPS(1μg/ml)で20時間処理し、細胞をメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間処理した。続いて、細胞をCOX-2基質(アラキドン酸、10μM)で処理し、PGE2-ELISAを使用して、PGE2のレベルを決定した。
【0207】
RT-PCR分析
RAW264.7細胞をメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理した後に全RNAを抽出するため、細胞をLPS(1μg/ml)で5時間処理した。iNOS、COX-2、mRNAおよびサイトカインの遺伝子発現用のメタ亜ヒ酸ナトリウムを、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により決定した。
【0208】
ウエスタンブロット分析
RAW264.7細胞をメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理し、16時間培養し、続いてLPS(1μg/ml)で処理した。破壊された細胞から得たタンパク質の濃度を、BSAアッセイを使用して決定した。iNOS、COX-2、サイトカインおよびNF-κBのタンパク質発現におけるメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果について、Aktをウエスタンブロット分析により決定した。
【0209】
レポーター遺伝子アッセイ
SEAP-RAW細胞をメタ亜ヒ酸ナトリウムで2時間前処理した後、細胞をLPS(1μg/ml)と共に18時間インキュベートした。収集した上清を65℃で5分間加熱し、SEAPアッセイ緩衝剤(2Mのジエタノールアミン、1mMのMgCl、500μMの4-メチルウンベリフェリルホスフェート(MUP))を暗黒下、37℃で1時間加えた。SEAP/MUPの産物からの蛍光を、360nmの励起および449nmの発光で96ウエルマイクロプレート蛍光計を使用して測定し、タンパク質濃度で正規化した。データを、LPSを用いないビヒクル処理対照細胞に対するメタ亜ヒ酸ナトリウム処理細胞の割合として表す。
【0210】
結果
一酸化窒素(NO)産生に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
一酸化窒素(NO)は、炎症の病理発生における周知の炎症促進性メディエーターである。大部分のNOは、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)により合成される。iNOSは、炎症反応およびがん形成に密接に関連する酵素である。iNOSによるNO産生は、COX-2の活性および発現に影響を及ぼすことが記載されている。メタ亜ヒ酸ナトリウムがNO阻害活性を有するかを調査するため、NO産生を、LPS誘導RAW264.7マススマクロファージ細胞において0.625~10μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムの存在下で決定した。
【0211】
NO産生は、有意であり、メタ亜ヒ酸ナトリウム(10、5、2.5、1.25および0.625μMの濃度)により、それぞれ100.2、77.2、42.2、21.5および12.5%濃度依存的に減弱した。メタ亜ヒ酸ナトリウムのNO産生阻害のIC50値は、約2.87μMであった(図3A)。
【0212】
PGE2産生におけるメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
iNOSはマクロファージにおいて高度に発現され、一部の炎症性および自己免疫性疾患において臓器破壊をもたらす。COX-2も炎症促進性酵素であり、アラキドン酸をプロスタグランジンに変換することによって、プロスタグランジンE2(PGE2)を産生する。PGE2は、炎症反応においてCOX-2により触媒されるアラキドン酸代謝産物により産生される別の重要なメディエーターでもある。基礎的条件下では、NOおよびプロスタグランジンを含むiNOSおよびCOX-2の産物は、細胞機能およびホメオスタシスの調節に関与する。
【0213】
メタ亜ヒ酸ナトリウムがCOX-2によるPGE2の産生を調節できるかを調査するため、PGE2産生を、RAW264.7細胞においてメタ亜ヒ酸ナトリウム(2.5、5、7.5および10μM)で処理した後に測定した。メタ亜ヒ酸ナトリウムは、PGE2産生を用量依存的に阻害した。メタ亜ヒ酸ナトリウムの最大用量(10μM)では、PGE2産生は、20%阻害された(図4)。
【0214】
タンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの査定
iNOSおよびCOX-2のタンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
iNOS誘導COX-2産生に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの阻害効果を評価するため、iNOSおよびCOX-2のタンパク質レベルをウエスタンブロット分析により分析した。Raw264.7細胞を2.5、5、7.5または10μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理し、1μg/mlのLPSで16時間刺激した。図5に示されているように、iNOS発現は、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより濃度依存的に有意に阻害された。COX-2発現は、メタ亜ヒ酸ナトリウムによりわずかに阻害された。
【0215】
TNF-αおよびIL-1βのタンパク質発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子-α(TNF-α)は、炎症反応における中心的なメディエーターであると考慮される。また、LPSに反応して、IL-1βおよびPGE2を含む様々な炎症促進性メディエーターを分泌することによって、炎症反応を媒介する。IL-1βは、広範囲の機能が注目に値する炎症促進性サイトカインである。TNF-αおよびIL-1βのタンパク質レベルに対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を、ウエスタンブロット分析により分析した。Raw264.7細胞を2.5、5、7.5または10μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理し、1μg/mlのLPSで8時間刺激した。TNF-αおよびIL-1β発現は、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより濃度依存的に有意に阻害された(図6)。
【0216】
遺伝子発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの査定
iNOSおよびCOX-2のmRNA発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
iNOSおよびCOX-2のmRNA発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果をRT-PCRで研究した。Raw264.7細胞を2.5、5、7.5または10μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理し、1μg/mlのLPSで8時間刺激した。次いで、得られた全RNAの1μgをRT-PCRに使用した。
【0217】
iNOS発現は、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより濃度依存的に有意に阻害された(図7および図8)。COX-2発現は、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより影響を受けなかった(図7)。
【0218】
このことは、メタ亜ヒ酸ナトリウムがCOX-2ではなくiNOSに阻害効果を示したことによって確証され、メタ亜ヒ酸ナトリウムは、iNOS発現の調節を介して炎症反応を強力に阻害することを示唆している(図6)。iNOSおよびCOX-2遺伝子発現をウエスタンブロット分析により分析した。iNOSのmRNAレベルをリアルタイムPCRにより測定し、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより濃度依存的に有意に阻害された(図8)。
【0219】
TNF-αおよびIL-1βのmRNA発現に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
炎症性サイトカインであるTNF-αは、炎症反応における中心的なメディエーターであると考慮される。また、LPSに反応して、TNF-α、IL-1βおよびPGE2を含む様々な炎症促進性メディエーターを分泌することによって、炎症反応を媒介する。炎症促進性サイトカインのうち、IL-1βまたはIFN-βは、宿主組織に損傷を引き起こす最高の潜在性を有するものの1つであり、事実、様々な機構が、炎症反応によるその転写およびプロセシングを注意深く制御することによって、細胞内の活性を拘束することに専念している。よって、TNF-α、IL-1βおよびIFN-βのmRNAレベルに対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果を、RT-PCR分析により分析した。
【0220】
Raw264.7細胞を2.5、5、7.5または10μMのメタ亜ヒ酸ナトリウムで30分間前処理し、1μg/mlのLPSで5時間刺激した。次いで、得られた全RNAの1μgをRTPCRに使用した。TNF-αのmRNAレベルは、メタ亜ヒ酸ナトリウムにより濃度依存的に有意に減少したが、メタ亜ヒ酸ナトリウムは、RAW264.7マクロファージにおけるIL-1βおよびIFN-βのmRNAの発現に対して影響を有さなかった(図9)。
【0221】
核因子カッパB(NF-κB)の転写活性に対するメタ亜ヒ酸ナトリウムの効果
NF-κB転写因子は、iNOSを含む炎症促進性メディエーターのLPS誘導発現に有意な役割を果たすことが示されている。iNOSをコードする遺伝子のプロモーター領域は、NF-κB結合モチーフを含有し、iNOSプロモーターの上流のNF-κB部位へのNF-κBの結合が、iNOS遺伝子のLPS誘導上方制御に重要な役割を果たすことを示している。メタ亜ヒ酸ナトリウムにより媒介されるNF-κB転写の阻害の分子構造を調査するため、NF-κB転写活性を、レポーター遺伝子アッセイ系を使用して調査した。レポーターとしてSEAPに融合されたκB配列の4つのコピーを含有するpNF-κB分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)-NPTプラスミドを用いて、RAW264.7細胞を安定してトランスフェクトした。宿主細胞におけるゲネチシン抵抗性のためにネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)遺伝子を含有するpNF-κB-SEAP-NPTプラスミドを構築し、RAW264.7マクロファージにトランスフェクトした。培養培地のアリコートを加熱し、次いで4-メチルウンベリフェリルホスフェート(MUP)と反応させた。SEAP活性を、相対蛍光単位(RFU)として測定した。トランスフェクト細胞の18時間のLPS処理は、SEAP発現を、LPSを用いなかった対照細胞と比較して、基礎レベルでおよそ3倍増加した。メタ亜ヒ酸ナトリウムによる細胞の処理は、LPS誘導SEAP発現を濃度依存的に有意に阻害した(図10)。
【0222】
メタ亜ヒ酸ナトリウムがNF-κBシグナル伝達経路を調節するかを調査するため、RAW264.7マクロファージを、30分間のメタ亜ヒ酸ナトリウム(2.5、5、7.5または10μM)の前処理において、LPS(1μg/mL)で15分間処理し、p65、p50、IκBおよびIKKのレベルもウエスタンブロット分析により分析した。
【0223】
メタ亜ヒ酸ナトリウムは、NF-κBタンパク質レベルを濃度依存的に著しく減少した(図11)。メタ亜ヒ酸ナトリウムは、IκB分解を濃度依存的に著しく阻害した(図12)。
【0224】
[実施例3]
経口組成物の調製
経口組成物
【0225】
メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)は、Sigma Aldrich Fine Chemicalsから得た。供給されたとき、SMA原薬は、非常に高い純度(>98%のAs(III))および最小レベルのAs(V)を示した。下記の表1は、供給されたSMA原薬の特性を提示する。
【0226】
【表1】
【0227】
下記の表2に列挙されている材料を使用して、2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)腸溶性コーティング錠剤を調製した。可能であれば、高密度型の主要賦形剤を選択して、SMA(およそ2.1~2.3g/cm-3の推定真密度を有する無機物質であり、大部分の賦形剤と比較して非常に密度が高い)の密度と釣り合うようにした。
【0228】
【表2】
【0229】
下記の表3に列挙されている機器を、SMA腸溶性コーティング組成物の調製および分析に使用した。
【0230】
【表3】
【0231】
[製造実施例1]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む製剤化実施例1.1~1.4の腸溶性コーティング錠剤を、下記に記載される手順に従って調製した。
【0232】
一般に、下記に詳細に記載されるように、メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)および賦形剤を一緒にブレンドして(水または溶媒を伴わない3段階ブレンド過程によって)、粉末ブレンドを形成した。次いで粉末ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成した。次いで錠剤の固体コアを腸溶性コーティングでコーティングした。
【0233】
ブレンド
下記に記載されるブレンド過程を成分のブレンドに使用した。
【0234】
組成物のAPIおよび他の成分を分配し、計量した。APIの濃度は非常に低かったので、3段階のブレンド過程(「APIプレミックス」および「メインミックス」を利用する)を、ブレンド均一性の改善のために利用した。
【0235】
APIを200μmの篩を通してスクリーニングした(ハンドスクリーニング)。篩分け時間は5~8分の間であった。
【0236】
APIを含有するプレミックス(「APIプレミックス」)は、スクリーニングしたAPIを、数グラム(500gバッチサイズでは20g、および700gバッチサイズでは30g)の充填剤と、適切な容器(500gバッチサイズでは100mlの容器、および700gのバッチサイズでは150ml)において、Turblaブレンダーにより49rpmで10分間ブレンドすることによって調製した。
【0237】
流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素)を500μmの篩を通してスクリーニングして、脱凝集した。次いで、滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム)を除いて、篩分けされた流動促進剤を含む分配した他のすべての成分を2LのガラスTurbulaジャーに加え、APIプレミックスを粉末塊の真ん中に挟み込んだ。
【0238】
得られた混合物(「メインミックス」)を、Turbulaブレンダーを使用して49rpmで約10~約20分間ブレンドして、ブレンド粉末(「メインブレンド」)を形成した。
【0239】
滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム)を、500μmの篩を使用して少量のメインブレンドと同時スクリーニングし、次いで同時スクリーニングした混合物をメインブレンドに加えた。この潤滑ステップは、過剰潤滑による複雑な問題(例えば、錠剤硬度の低減または溶解の問題)の可能性を避けるために別個に行った。
【0240】
得られた混合物をTurbulaブレンダー中で49rpmで2分間混合し、それによって粉末ブレンドを形成した。粉末ブレンドを流れ特性について特徴決定した。
【0241】
圧縮
粉末ブレンドを、6.5mmの垂直凹面(NCCP)成形型を使用して、Manesty F3シングルパンチ錠剤プレスにより標的錠剤重量の150mgに圧縮した。Manesty F3は圧縮力のために単に汎用ユニット(AU)のみを有し、加えた力を直接測定することが不可能である。標的硬度レベルは90Nを超えていた。
【0242】
腸溶性コーティング
20%w/wの固形分の腸溶性コーティング分散体は、Acryl-EZE II white(493Z180022)を脱イオン水に分散することによって調製した。分散体は、パドル撹拌機を使用して、使用前に45分間およびコーティング過程の全体を通して撹拌した。分散体は、使用する前に250μmの篩を通してスクリーニングした。
【0243】
15”コーティングパン(Thai Coater)を平衡にして、錠剤の固体コアを投入する前に、点温度を設定した。バッチサイズが小さいので、「増量不活性物(bulking inerts)」をAPI固体コアに加えて、コーティングパンの装填要件を満たした。錠剤の固体コアを、コーティングする前に、乾燥パンにおいて10分間平衡にした。同じ温度および空気流を、加熱、コーティングおよび乾燥段階に使用した。コーティングした錠剤をコーティング後にパンで10分間乾燥した。試料を、8、10および12%w/wの重量増加の後に収集した。
【0244】
溶解試験
溶解試験は、500mLの媒質およびUSP Method 2(パドル)を使用し、最初にパドル速度の100rpmで実施した。6個の腸溶性コーティング錠剤の単一セット(n=6)を検査した。溶解媒質の試料を酸の中に2時間入れた後に引き出し、メタ亜ヒ酸ナトリウムのレベルを決定して、胃液への抵抗性を評価した。媒質をpH6.8のリン酸緩衝液に取り換えて、試料を15分の間隔で引き抜いて、溶解プロファイルを生成した。
【0245】
この方法は、腸溶性剤形の薬局方の方法(EP.2.9.3およびUSP<711>)に基づき、下記の表4に示される。
【0246】
【表4】
【0247】
製剤化
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P63)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0248】
組成物は700gスケールで製造した。ブレンド均一性および含有物均一性試料を収集して、主要ブレンド時間の20分後の均質性を評価した。
【0249】
下記の表5は、2.53mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。(下記の表5.1は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の可能な別の組成を提示する。)
【0250】
【表5】
【0251】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(29.3%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した;
・ゆるみ密度(aerated density):0.64g/cm
・固め密度(tapped density):0.91g/cm
・Carr指数:29.3%
・Hausner比:1.30
【0252】
粉末ブレンドは、非常に良好に圧縮され、重量のばらつき、および/または目に見える分離は、実行の全体にわたって観察されなかった。高い錠剤硬度(104.8N)および低い摩損度(0.08%)が達成され、崩壊時間(34秒)は、比較的素早かった。錠剤の固体コアの平均厚さは3.63mmであった。
【0253】
ブレンド均一性試料を20分間のブレンドの後に取り出し、含有量均一性試料を、圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集した。ブレンド均一性の結果は優れた均質性を示し、相対標準偏差(RSD)%値は1.3であった。圧縮実行の際(開始時、中間、および終了時)の錠剤の固体コアの含有量均一性は、良好な均質性を示し、最大許容値(AV値)の<7.4を達成した(AV値の<15が許容される)。
【0254】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製した。コーティングパラメーターを下記の表6に示す。
【0255】
【表6】
【0256】
腸溶性コーティング錠剤は許容される溶解プロファイルを示した(500mlの媒質、パドル速度の100rpm)。120分後、組成物は酸性媒質中(pH1.0)において無傷であり、0%のAPIを放出した。pH6.8で135分後、91%のAPIを放出した。pH6.8で150分後、98%のAPIを放出した。pH6.8で165分後、100%のAPIを放出した。
【0257】
腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様(proposed preliminary specification)に合致した。
【0258】
下記の表5.1は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の可能な別の組成を提示する。表5.1に記載される構成成分を有する固体コアは、表5に記載された構成成分を有する固体コアについて上記に記載された方法と類似した方法で調製することができる。
【0259】
【表7】
【0260】
[製剤化実施例1.2]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P23)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0261】
組成物は、500gスケールで製造した。ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分後に収集した。ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成し、次いで錠剤の固体コアをコーティングした。
【0262】
下記の表7は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0263】
【表8】
【0264】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(26.37%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.67g/cm
・固め密度:0.91g/cm
・Carr指数:26.37%
・Hausner比:1.36
・安息角:24.32°
【0265】
ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分間ブレンドした後に収集した。組成物は、20分のブレンド時間で良好な均質性を示した。
【0266】
圧縮は、6.5mmNCCPツールを使用してManesty F3シングルパンチ機で実施した。固体コアの平均硬度は94.3Nであり、平均厚さは3.62mmであり、摩損度は0.33%であり、崩壊時間は39秒であった。
【0267】
固体コアの重量は、圧縮を実行した全体を通して一定しており、許容される固体コアが生成された。目に見える分離は観察されなかった。試料(10個の固体コアを2通り)を圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集し、含有量均一性の試験に移した。
【0268】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製し、試料を8、10、および12%w/wの重量増加後に収集した。コーティングパラメーターを下記の表8に示す。
【0269】
【表9】
【0270】
8%、10%および12%w/wの重量増加を有する腸溶性コーティング錠剤に溶解試験(500mlの溶解媒質、パドル速度の75rpm)を行って、腸溶性コーティングの適切なレベルを特定した。溶解結果を下記の図9に表す。
【0271】
【表10】
【0272】
腸溶性コーティング錠剤は、120分後に酸性媒質中において無傷であった。腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0273】
溶解結果に基づいて、12%w/wは最適のコーティング重量増加であることが見出された。
【0274】
[製剤化実施例1.3]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P31)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0275】
組成物は、500gスケールで製造した。ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分後に収集した。ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成し、次いで錠剤の固体コアをコーティングした。結合剤および崩壊剤として作用するので、L-ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースLH-B1グレード)を使用した。L-HPCは水に不溶性なので、これによって硬質錠剤を得ることが予想された。
【0276】
下記の表10は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0277】
【表11】
【0278】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(23.68%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.58g/cm
・固め密度:0.76g/cm
・Carr指数:23.68%
・Hausner比:1.31
・安息角:27.96°
【0279】
ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分でブレンドした後に収集した。組成物は、20分のブレンド時間で良好な均質性を示した。
【0280】
圧縮は、6.5mmNCCPツールを使用してManesty F3シングルパンチ機で実施した。固体コアの平均硬度は104.3Nであり、平均厚さは3.52mmであり、摩損度は0.23%であり、崩壊時間は30秒であった。
【0281】
固体コアの重量は、圧縮を実行した全体を通して一定しており、許容される固体コアが生成された。目に見える分離は観察されなかった。試料(10個の固体コアを2連)を圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集し、含有量均一性の試験に移した。
【0282】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製し、試料を8、10、および12%w/wの重量増加後に収集した。コーティングパラメーターを下記の表11に示す。
【0283】
【表12】
【0284】
8%、10%および12%w/wの重量増加を有する腸溶性コーティング錠剤に溶解試験(500mlの溶解媒質、パドル速度の75rpm)を行って、腸溶性コーティングの適切なレベルを特定した。溶解結果を下記の図12に表す。
【0285】
【表13】
【0286】
8%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤は、酸抵抗性試験に不合格であった。10%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤および12%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0287】
溶解結果に基づいて、12%w/wは最適のコーティング重量増加であることが見出された。
【0288】
[製剤化実施例1.4]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P66)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0289】
組成物は700gスケールで製造した。ブレンド均一性および含有物均一性試料を収集して、主要ブレンド時間の20分後の均質性を評価した。
【0290】
下記の表13は、2.53mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0291】
【表14】
【0292】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(25.74%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.75g/cm
・固め密度:1.01g/cm
・Carr指数:25.74%
・Hausner比:1.35
【0293】
粉末ブレンドは、非常に良好に圧縮され、重量のばらつき、および/または目に見える分離は、実行の全体にわたって観察されなかった。高い固体コア硬度(87.4N)および低い摩損度(0.11%)が達成され、崩壊時間(2分52秒)は、比較的素早いものであった。固体コアの平均厚さは3.66mmであった。
【0294】
ブレンド均一性試料を20分間のブレンドの後に取り出し、含有量均一性試料を、圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集した。ブレンド均一性の結果は優れた均質性を示し、相対標準偏差(RSD)%値は2.1であった。圧縮実行の際(開始時、中間、および終了時)の固体コアの含有量均一性は、良好な均質性を示し、最大許容値(AV値)の<6.3を達成した(AV値の<15が許容される)。
【0295】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製した。コーティングパラメーターを下記の表14に示す。
【0296】
【表15】
【0297】
腸溶性コーティング錠剤は許容される溶解プロファイルを示した(500mlの媒質、パドル速度の100rpm)。120分後、組成物は酸性媒質中(pH1.0)において無傷であり、0%のAPIを放出した。pH6.8で135分後、21%のAPIを放出した。pH6.8で150分後、86%のAPIを放出した。pH6.8で165分後、96%のAPIを放出した。pH6.8で195分後、98%のAPIを放出した。
【0298】
腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0299】
[製造実施例2]
下記の表15は、医薬活性成分(API)として2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む腸溶性コーティング錠剤の組成を提示する。腸溶性コーティング錠剤は下記に記載される方法を使用して調製した。
【0300】
【表16】
【0301】
一般に、下記に詳細に記載されるように、メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)および賦形剤を一緒にブレンドして(水または溶媒を伴わない2段階ブレンド過程によって)、粉末ブレンドを形成した。次いで粉末ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成した。次いで錠剤の固体コアを腸溶性コーティングでコーティングした。
【0302】
ブレンド
下記に記載されるブレンド過程を成分のブレンドに使用した。
【0303】
組成物のAPIおよび他の成分を分配し、計量した。APIの濃度は非常に低かったので、2段階のブレンド過程(「APIプレミックス」および「メインミックス」を利用する)を、ブレンド均一性の改善のために利用した。
【0304】
APIを106μmの篩を通してスクリーニングした(篩分け時間は約5~8分であった)。
【0305】
リン酸二カルシウム(calcium phosphate dibasic)の一部分を、篩分けしたAPIに加え、得られた混合物を30分間ブレンドして、「APIプレミックス」をもたらした。
【0306】
次いでAPIプレミックスを残りのリン酸二カルシウム(calcium phosphate dibasic)、ならびに他の賦形剤(ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウム)とブレンドして、「メインミックス」をもたらした。メインミックスを増圧器バーで4分間ブレンドして、粉末ブレンドをもたらした。
【0307】
圧縮
粉末ブレンドを、0.25インチ成形型を使用してKey International錠剤機により標的錠剤重量の150mg±5%(142.5~157.5mgの範囲)に圧縮した。固体コアを除塵した(de-dust)。
【0308】
最終固体コアは、有意な摩損率を示さず(0.00%)、硬度は156.9N(16kp)であった。
【0309】
腸溶性コーティング
25%w/wの固形分の腸溶性コーティング分散体は、Acryl-EZE green粉末を脱イオン水に分散することによって調製した。分散体を約30分間(均質になるまで)撹拌した。
【0310】
除塵した固体コアに分散体を約10~12%w/wの重量増加でスプレーコーティング(350g/分)した。パンの速度は約6~8rpmであった。コーティング錠剤をコーティング後に乾燥した。
【0311】
[実施例4]
BALB/cマウスのLPS誘導ARDSモデルにおけるSMAの単回用量の阻害効果
この研究は、試験物質であるSMA、および陽性対照物質であるデキサメタゾンの経口投与後に、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のサイトカインのレベルを測定することによって、ハツカネズミ(Mus musculus)(BALB/c)へのLPSの気管内投与により誘導された急性呼吸促迫症候群(ARDS)をARDSモデルにおいて制御する物質の能力を評価した。
【0312】
G1からG5の5つのマウス群があり、(G1)陰性対照、(G2)1.03mg/kg用量のSMA、(G3)1.54mg/kg用量のSMA、(G4)2.05mg/kg用量のSMAおよび(G5)3mg/kg用量の陽性対照物質のデキサメタゾンであった。各群に10匹のマウスがいた。
【0313】
試験物質であるSMAを、ARDSを誘導する2時間前に1回経口投与し、陽性対照物質のデキサメタゾンを、ARDSを誘導する1時間前に1回経口投与した。
【0314】
一般的な症状を、隔離順応期間終了の1日後に1回観察した。動物の体重を、取得前および試験開始時で2回測定した。試験の終了時まで、物質の投与が原因の異常は、すべての群において観察されなかった。
【0315】
群の割当では、体重をすべての動物で測定し、動物を各群に無作為に割り当て、すべての群において動物の体重に統計的有意性はなかった。
【0316】
生存分析は、生存が試験物質の投与により、統計的有意的性(G3:p<0.005(LPS治療の48時間後);G4:p<0.0005(LPS治療の48時間後);G5:p<0.0001(LPS治療の48時間後))を伴って延長されたことを示した。
【0317】
TNF-α分析は、測定値が、すべての時点で定量限界(LoQ)を上回ったこと、および標的発現が試験物質の投与により、LPS投与前(0時間)および24時間を除いて、統計的に有意(G4:p<0.005(LPS投与の1時間、2時間、6時間および12時間後);G5:p<0.0005(LPS投与の4時間後)、およびp<0.0001(LPS投与の1時間、2時間、6時間および12時間後))に抑制されたことを示した。
【0318】
IL-6分析は、測定値が、すべての時点でLoQを上回ったこと、および標的発現が試験物質の投与により、LPS投与前(0時間)を除いて、統計的に有意(G4:p<0.05(LPS投与の2時間および4時間後)、ならびにp<0.005(LPS投与の6時間および12時間後);G5:p<0.05(LPS投与の1時間、2時間、4時間および24時間後)、p<0.0005(LPS投与の6時間後)、およびp<0.0001(LPS投与の12時間後))に抑制されたことを見出した。
【0319】
IL-β分析は、IL-β測定値が4時間および6時間でLoQを上回ったこと、ならびに標的発現が試験物質の投与により、LPS投与前(0時間)、1時間、2時間、12時間および24時間を除いて、統計的に有意(G4:p<0.005(LPS投与の4時間および6時間後);G5:p<0.0005(LPS投与の4時間および6時間後))に抑制されることが見出されたことを見出した。発現は、LPS投与の12時間後に統計的に有意である(G4:p<0.005、G5:p<0.0005)ことが見出されたが、測定値がLoQを上回らなかったので除外した。
【0320】
IFN-ガンマデータは、すべての測定時点でLoQを超えることができなかったので、分析から除外した。
【0321】
GM-CSF分析の結果として、LPS投与の6時間後に測定が行われたG1群を除いてLoQを超えなかったので、すべての測定値を分析から除外した。LPS投与の4時間後の発現を統計的に有意である(G2:p<0.05、G3:p<0.05、G4:p<0.05、G5:p<0.05)と分析したが、測定値がLoQを上回らなかったので除外した。
【0322】
この研究を実行して、ハツカネズミ(Mus musculus)(BALB/c)へのLPSの反復気管内投与によって誘導されたARDSモデルにおいて、LPS刺激炎症促進性メディエーターに対する試験物質SMAの阻害能力を、試験物質SMAの投与により検査した。この研究では、LPS刺激炎症促進性メディエーターに対する試験物質および陽性対照物質の効果を、試験物質または陽性対照物質が投与された群において評価した。ARDSの主なメディエーターであることが公知のサイトカイン(TNF-α、IL-6およびIL-1β)のレベルは、BALFを使用して分析した場合、試験物質が投与された群および陽性対照物質が投与された群において有意に阻害されたことが見出された。
【0323】
試験物質SMAは、特定の測定時点でLPS刺激TNF-αおよびIL-6の産生を用量依存的に阻害することが確証され、ARDSを予防する治療剤としてSMAの有効性を証明している。
【0324】
IFN-ガンマ、GM-CSFおよびIL-1βの場合では、分析値をいくつかの測定時点のLoQによって分析範囲から除外したが、試験物質SMAは、いくつかの測定時点でIL-1βの産生を用量依存的に阻害することが見出された。
【0325】
結論として、SMAは、TNF-α、IL-6およびIL-1βなどの炎症促進性メディエーターの産生に急速な阻害効果を発揮し、このように、急性呼吸症候群(acute respiratory syndrome)を緩和して生存を延長することに使用することができる。
【0326】
実施例4の図および表において、SMAは「PAX-1」と称される。
【0327】
4.1 実験の概要
ハツカネズミ(Mus musculus)(BALB/c)への気管内投与によるLPS誘導ARDSモデルにおいて、試験物質であるSMAおよび陽性対照であるデキサメタゾンの経口投与後の気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン放出を測定して、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を制御する能力を評価することによって、この研究を行った。
【0328】
4.2.研究材料および手順
4.2.1 試験物質
【0329】
【表17】
【0330】
4.2.2 陽性対照物質
【0331】
【表18】
【0332】
4.2.3 ビヒクル
【0333】
【表19】
【0334】
4.2.4 試験物質の調製および製剤の分析
試験物質(SMA)は、成分を投与量濃度の1.03、1.54および2.05mg/kgに計量することによって調製した。
4.2.5 急性呼吸促迫症候群(ARDS)モデルの生成
4.2.5.1 誘導物質
【0335】
【表20】
【0336】
4.2.5.2 調製および治療方法
調製(BALF)
LPS治療の当日、動物の体重に基づいて必要な体積を、計量された100μgのLPSと添加された500μLの注射用水の比率で調製した。混合物を含有するチューブを、ボルテックスミキサーを使用して十分に混合し、治療まで氷中に保持した。
【0337】
【表21】
【0338】
調製(生存)
LPS治療の当日、動物の体重に基づいて必要な体積を、計量された48mgのLPSと添加された12mLの注射用水とで調製した。混合物を含有するチューブを、ボルテックスミキサーを使用して十分に混合し、投与まで氷中に保持した。
【0339】
【表22】
【0340】
4.2.6 試験動物
種および品種 BALB/cAnNTac
製造会社 DaehanBiolink co.,Ltd.、Korea
週齢 8週齢
D.O.B. 2020年2月10~12日(BALF)
D.O.B. 2020年4月1~3日(生存)
性別 雄(BALF)、雌(生存)
購入場所 DaehanBiolink co.,Ltd.,Korea
参加時の性別、動物の数、週齢および体重範囲(BALF)
雄、360匹のマウス、8週齢、19.2g~25.0g
参加時の性別、動物の数、および体重範囲(生存)
雌、60匹のマウス、6週齢、18.2g~21.3g
【0341】
ARDSの誘導
BALF
隔離順応期間が終了した1日後にマウスの体重を測定した後、50μLのLPS混合物を、使い捨てピペットチップを使用して負荷し、10μg/50μL/頭の強制投与を、既に麻酔をかけられたマウスに、気管内を介して実施した。投与後に、麻酔から覚めている間にマウスを調べた。マウスをLPSで2回治療し、治療は1日目および5日目に実施した。治療されたマウスを、一般的な症状について1日1回観察した。
【0342】
生存
隔離順応期間が完了した1日後に体重を測定した後、LPS混合物を、使い捨てシリンジ(1mL、26G)を使用して、20mg/kgの濃度で腹膜に注射した。治療されたマウスを、一般的な症状について毎時間観察し、死亡したマウスを調べた。
【0343】
群割当
BALF
一次LPS治療マウスのうち、二次投与(追加投与(boosting))の前に健康に問題のないものを、各群の体重に基づいて可能な限り均一にした、1群あたり70匹のマウスを有する合計で5群に群分けした。
【0344】
生存
隔離順応期間の後、異常のない動物を、各群の体重に基づいて可能な限り均一にした、1群あたり10匹のマウスを有する合計で5群に群分けした。
【0345】
4.2.7 治療
治療経路
研究物質:経口(胃への強制投与)
LPS(BALF):気管支への強制投与(気管内注射)
LPS(生存):腹腔内
【0346】
治療方法および頻度
治療は、使い捨てシリンジ(BD 1mlのシリンジ、カタログ:REF301321、ロット:9326990 BD、U.S.A.)を使用して1回行い、各研究物質では、急性呼吸促迫症候群を誘導するのにかかる時間に基づいて治療した(LPS治療)。
SMA(試験物質) 2時間前
デキサメタゾン(陽性対照物質) 1時間前
【0347】
4.2.8 群の組成および治療用量
4.2.8.1 群の組成(BALF)
【0348】
【表23】
【0349】
4.2.8.2 群の組成(生存)
【0350】
【表24】
【0351】
4.2.8.3 治療用量の設定
試験物質(SMA)の治療用量を、5、7.5および10mgと計画し、体重が60kgの健康な成人の臨床設定で適用する。ヒト等用量(HED)は、体表面積を使用するFDA指針の計算方法により、試験動物(マウス)の体表面積を調整するために置換することによって計算し、1.03、1.54および2.05mg/kgと設定した。
【0352】
産業界向けガイダンス(Guidance for industry)からの抽出であり、成人の健康な志願者における治療薬の初期臨床試験における最大安全開始用量(maximum safe starting dose)を推定する。
【0353】
【表25】
【0354】
4.2.9 観察および体重測定
一般的な症状の観察
観察期間中に、外観、行動および糞便などの一般的な症状を毎日1回検査し、死亡した動物を調べた。
【0355】
死亡動物の処分
観察期間中に、合計で8例の死亡が発生し、これらを分析から除外した。
【0356】
体重測定
体重を細胞系移植の当日、1週間に1回および殺処分の当日に測定した。体重を治療の当日に測定する場合には、投与の前に測定した。
【0357】
4.2.10 BALFサンプリングおよびサイトカイン分析
気管支肺胞洗浄液BALFのサンプリング
麻酔薬を使用して麻酔をかけた実体の気道を切開し、気管支を露出させ、使い捨て22Gカテーテル(BD、カタログ:REF382423、U.S.A.)を気管支に挿入した。挿入したカテーテルおよび気管支を固定するために縫合して(AILEE、カタログ:SK521、ロット:7908772U、KOREA)、注入液の漏れを防止し、肺の内部を、使い捨てシリンジ(BD1mlシリンジ、BD、カタログ:REF301321、ロット:9326990、U.S.A.)に装填された600μLのPBS(welgene、カタログ:ML008-01、ロット:ML08200201、KOREA)により、カテーテルを介してゆっくりと2回洗浄し、洗浄液をマイクロチューブ(SPL、カタログ:60015、ロット:LAOC16A60015、KOREA)に移した。移したBALF(肺洗浄液)を直ぐに遠心分離して(Hanil、HI_SM-13/A2.0、KOREA)、細胞と上清とを分離し、上清を新たなチューブに移し、液体窒素を使用して新たに冷凍した後、サイトカイン分析まで超低温冷凍庫に保管した。
【0358】
【表26】
【0359】
4.2.11 生存分析
死亡した動物を、LPS治療の24時間後まで毎時間、および48時間目に調べた。
【0360】
4.2.12 データの統計分析
研究によって得られた気管支肺胞洗浄液(BALF)からのサイトカインの分析結果は、Prism(Graphpad、バージョン7)を使用して行った。
【0361】
等分散性検定(equal variance test)を、ダゴスティーノ・ピアソンオムニバス正規性検定(D’Agostino-pearson omnibus normality test)を使用して実施した。試料の分析結果として、体重データを除いて、試料品質を欠いていたので等分散性検定は却下された。体重分析では、等分散(equivariant)の場合、一元配置分散分析(ANOVA、有意レベル:0.05)を実施し、有意性が観察された場合、ダネットのt検定の多重検定を実施して、陰性対照群(G1)に対する各試験群間(G2~G5)の有意性(有意レベル:片側0.05および0.01)を確証した。試験が、いくつかの体重測定時点およびサイトカインの分析結果によって却下されると、クラスカル・ワリス検定(有意レベル:0.05)を実施し、有意性が観察された場合、ダン(Dunn)の検定の多重検定を実施して、陰性対照群(G1)に対する各試験群間(G2~G5)の有意性(有意レベル:片側0.05および両側0.1)を確証した。
【0362】
生存分析の結果では、ログランク(マンテル-コックス)検定を実施して、陰性対照群(G1)に対する各試験群間(G2~G5)の有意性(有意レベル:片側0.05および両側0.1)を確証した。
【0363】
4.3.結果および考察
4.3.1 サイトカイン産生および阻害の評価
4.3.1.1.サイトカイン産生の分析(図13~15、表16~19)
平均蛍光強度(MFI)を測定するMultiplex(Liminex、Austin、TX、USA)を、TNF-α、IL6、IL-1β、IFN-ガンマおよびGM-CSFの分析に使用した。各試料を群およびBALF取得時点により選別することによって、合計7セットを分析に使用し、1つのセット毎に各群から1つの試料を割り当てるように設計した。
【0364】
すべての分析は、四次多項式により計算された各セットの標準曲線式で、測定されたMFIを置換することによって算定した。標準値のR値は、すべての分析において1であることが確証され、測定データは信頼性が高いことが確証された。
【0365】
定量限界のために分析から除外されたそれらの試料を、研究プロトコールの試薬を使用して希釈した。
【0366】
希釈比を適用してLPS刺激高レベルサイトカイン放出を分析すると、低い値を有するものは定量限界を下回って測定されること、および不正確な測定として含まれることが確証された。これらは希釈比による増幅のため分析から除外されたが、表および図は、すべてのデータを含めて作成された。
【0367】
TNF-αの分析(図13、表16)
すべての群におけるTNF-αの発現を測定し、LPS治療前(0時間)および24時間の分析において、2pg/mLおよび11~12pg/mLであった。しかし、MFIの定量限界を下回っていたので、データ分析から除外した。分析は、LPS治療の1時間、2時間、6時間および12時間後に行った。
【0368】
【表27】
【0369】
陰性対照群(G1)におけるTNF-α産生の変化は、1,997pg/mLから開始し、次いで1,417pg/mL、1,036pg/mL、735pg/mLおよび249pg/mLであり、LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察された。
【0370】
1.03mg/kgのSMAで治療された群(G2)におけるTNF-α産生の変化は、1,303pg/mL、1,004pg/mL、794mg/mL、502pg/mLおよび174pg/mLであった。LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、時間依存性のTNF-α産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0371】
1.54mg/kgのSMAで治療された群(G3)におけるTNF-α産生の変化は、1,062pg/mL、707pg/mL、611mg/mL、407pg/mLおよび120pg/mLであった。LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、時間依存性のTNF-α産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0372】
2.05mg/kgのSMAで治療された群(G4)におけるTNF-α産生の変化は、729pg/mL、559pg/mL、539mg/mL、303pg/mLおよび38pg/mLであった。LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、そのTNF-α値は、統計的に有意(p<0.005、1時間、2時間、6時間および12時間)であった。
【0373】
3mg/kgの陽性対照物質のデキサメタゾンで治療された群(G5)におけるTNF-α産生の変化は、508pg/mL、394pg/mL、338mg/mL、204pg/mLおよび23pg/mLであった。LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、TNF-α値は、統計的に有意(p<0.0005:4時間、p<0.0001:1時間、2時間、6時間、12時間)であった。
【0374】
すべての群(G1~G5)におけるTNF-α産生の変化を経時的にグラフのプロットし(データ示されず)、そこから、TNF-αの全体的な低減を、各群のAUC(曲線下面積)値を計算することによって入手した(図13)。TNF-α産生における統計的に有意な減少は、陰性対照群(G1)と比較して、SMAまたはデキサメタゾンにより治療されたすべての群において明白(p<0.005:G2~G5)であった。下記の表19は、薬物治療群それぞれのAUC値の数値および統計分析を提供する。
【0375】
IL-6の分析(図14、表17)
LPS治療前(0時間)の分析では、すべての群におけるIL-6の発現を測定し、12~13pg/mLであった。しかし、それらの値がMFIの定量限界を下回ったので、これらはデータ分析から除外され、PLS治療の1時間、2時間、4時間、6時間、12時間および24時間後のデータを分析に使用した。
【0376】
【表28】
【0377】
陰性対照群(G1)におけるIL-6産生の変化は、3,663pg/mLから開始し、次いで10,238pg/mL、13,015pg/mL、10,298pg/mL、8,169pg/mLおよび3,513pg/mLであり、LPS誘導IL-6産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察された。
【0378】
1.03mg/kgのSMAで治療された群(G2)におけるIL-6産生の変化は、2,984pg/mL、10,188pg/mL、12,871mg/mL、8,954pg/mL、7,276pg/mL、および3,402pg/mLであった。LPS誘導IL-6産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、その時間依存性のIL-6産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0379】
1.54mg/kgのSMAで治療された群(G3)におけるIL-6産生の変化は、3,152pg/mL、7,107pg/mL、9,842mg/mL、6.814pg/mL、5,094pg/mL、および3,623pg/mLであった。LPS誘導IL-6産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、その時間依存性のIL-6産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0380】
2.05mg/kgのSMAで治療された群(G4)におけるIL-6産生の変化は、2,193pg/mL、4,701pg/mL、8,209mg/mL、4,341pg/mL、2,629pg/mL、および2,096pg/mLであった。LPS誘導TNF-α産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、そのIL-6値は、統計的に有意(p<0.05:2時間および4時間、p<0.005:6時間および12時間)であった。
【0381】
3mg/kgの陽性対照物質のデキサメタゾンで治療された群(G5)におけるIL-6産生の変化は、2,172pg/mL、4,411pg/mL、7.727mg/mL、2.064pg/mL、1.294pg/mL、および1,804pg/mLであった。LPS誘導IL-6産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、そのIL-6値は、統計的に有意(p<0.05:1時間、2時間、4時間および24時間、p<0.0005:6時間、p<0.0001:12時間)であった。
【0382】
すべての群(G1~G5)におけるIL-6産生の変化を経時的にグラフのプロットし(データ示されず)、そこから、IL-6の全体的な低減を、各群のAUC(曲線下面積)値を計算することによって入手した(図14)。IL-6産生における統計的に有意な減少は、陰性対照群(G1)と比較して、SMAまたはデキサメタゾンにより治療されたいくつかの群において明白(p<0.005:G3、G5)であった。下記の表19は、薬物治療群それぞれのAUC値の数値および統計分析を提供する。
【0383】
IL-1βの分析(図15、表18)
LPS治療前(0時間)、ならびにLPS治療の1時間、2時間および24時間後の分析では、すべての群におけるIL-1βの発現を測定し、203~295pg/mLであった。しかし、それらの値がMFIの定量限界を下回ったので、これらはデータ分析から除外され、PLS治療の4時間、6時間および12時間後のデータを分析に使用した。
【0384】
【表29】
【0385】
陰性対照群(G1)におけるIL-1β産生の変化は、510pg/mLから開始し、次いで686pg/mLおよび414pg/mLであった。LPS誘導IL-1β産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察された。
【0386】
1.03mg/kgのSMAで治療された群(G2)におけるIL-1β産生の変化は、468pg/mL、600pg/mLおよび405pg/mLであった。LPS誘導IL-1β産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、その時間依存性のIL-1β産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0387】
1.54mg/kgのSMAで治療された群(G3)におけるIL-1β産生の変化は、413pg/mL、517pg/mLおよび382pg/mLであった。LPS誘導IL-1β産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、その時間依存性のIL-1β産生を陰性対照群(G1)のものと比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0388】
2.05mg/kgのSMAで治療された群(G4)におけるIL-1β産生の変化は、374pg/mL、483pg/mLおよび335pg/mLであった。LPS誘導IL-1β産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、そのIL-1β値は、統計的に有意(p<0.005:4時間、6時間および12時間)であった。
【0389】
3mg/kgの陽性対照物質のデキサメタゾンで治療された群(G5)におけるIL-1β産生の変化は、350pg/mL、458pg/mLおよび318pg/mLであった。LPS誘導IL-1β産生は増加し、次いで時間依存的に減少したことが観察されたが、いくつかの時点において、陰性対照群(G1)のものと比較した場合、そのIL-1β値は、統計的に有意(p<0.0005:4時間、6時間および12時間)であった。
【0390】
すべての群(G1~G5)におけるIL-1β産生の変化を経時的にグラフのプロットし(データ示されず)、そこから、IL-1βの全体的な低減を、各群のAUC(曲線下面積)値を計算することによって入手した(図15)。IL-1β産生における統計的に有意な減少は、陰性対照群(G1)と比較して、SMAまたはデキサメタゾンにより治療されたいくつかの群において明白(p<0.005:G3、G5)であった。下記の表19は、薬物治療群それぞれのAUC値の数値および統計分析を提供する。
【0391】
【表30】
【0392】
IFN-ガンマの分析
INF-ガンマの分析は、そのMFIがすべての時点で定量限界を下回っていたので、データ分析から除外した。
【0393】
GM-CSFの分析
GM-CSFの分析は、そのMFIがすべての時点で定量限界を下回っていたので、データ分析から除外した。
【0394】
4.3.1.2 産生率の分析
標準化陰性対照群を100%として、試験物質および陽性対照物質で治療した群のサイトカイン産生の阻害率を計算した。
【0395】
TNF-αの分析
TNF-αの産生率分析を、1時間、2時間、4時間、6時間および12時間のデータを用いて実施し、0時間および24時間のデータを除外した。
【0396】
TNF-α産生の阻害率は、1.03mg/kgのSMAで治療した群(G2)において65%、71%、77%、68%および70%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0397】
TNF-α産生の阻害率は、1.54mg/kgのSMAで治療した群(G3)において53%、50%、59%、55%および48%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0398】
TNF-α産生の阻害率は、2.05mg/kgのSMAで治療した群(G4)において37%、39%、52%、41%および15%であった。いくつかの時点において、SMAの低減効果は、統計的に有意(p<0.005:1時間、2時間、6時間および12時間)であることが観察された。
【0399】
TNF-α産生の阻害率は、3mg/kgの陽性対照物質であるデキサメタゾンで治療した群(G5)において25%、28%、33%、28%および9%であった。いくつかの時点において、デキサメタゾンの低減効果は、統計的に有意(p<0.0005:4時間、p<0.0001:1時間、2時間、6時間および12時間)であることが観察された。
【0400】
IL-6の分析
IL-6の産生率分析を、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間および24時間のデータを用いて実施し、0時間のデータを除外した。
【0401】
IL-6産生の阻害率は、1.03mg/kgのSMAで治療した群(G2)において81%、100%、99%、87%、89%および97%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0402】
IL-6産生の阻害率は、1.54mg/kgのSMAで治療した群(G3)において86%、69%、76%、66%、62%および103%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0403】
IL-6産生の阻害率は、2.05mg/kgのSMAで治療した群(G4)において60%、46%、63%、42%、32%および60%であった。いくつかの時点において、SMAの低減効果は、統計的に有意(p<0.05:2時間および4時間、p<0.005:6時間および12時間)であることが観察された。
【0404】
IL-6産生の阻害率は、3mg/kgの陽性対照物質であるデキサメタゾンで治療した群(G5)において59%、43%、59%、20%、16%および51%であった。いくつかの時点において、デキサメタゾンの低減効果は、統計的に有意(p<0.05:1時間、2時間、4時間および24時間、p<0.0001:6時間および12時間)であることが観察された。
【0405】
IL-1βの分析
IL-1βの産生率分析を、4時間、6時間および12時間のデータを用いて実施し、0時間、1時間、2時間および24時間のデータを除外した。
【0406】
IL-1β産生の阻害率は、1.03mg/kgのSMAで治療した群(G2)において92%、87%および98%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0407】
IL-1β産生の阻害率は、1.54mg/kgのSMAで治療した群(G3)において81%、75%および92%であり、有意な差(p<0.05)は、すべての統計分析において観察されなかった。
【0408】
TNF-1β産生の阻害率は、2.05mg/kgのSMAで治療した群(G4)において73%、70%および81%であった。いくつかの時点において、SMAの低減効果は、統計的に有意(p<0.05:4時間、6時間および12時間)であることが観察された。
【0409】
IL-1β産生の阻害率は、3mg/kgの陽性対照物質であるデキサメタゾンで治療した群(G5)において69%、67%および77%であった。いくつかの時点において、デキサメタゾンの低減効果は、統計的に有意(p<0.0001:4時間、6時間および24時間)であることが観察された。
【0410】
IFN-ガンマの分析
INF-ガンマの分析は、MFIがすべての時点で定量限界を下回っていたので、産生率分析から除外した。
【0411】
GM-CSFの分析
GM-CSFの分析は、MFIがすべての時点で定量限界を下回っていたので、産生率分析から除外した。
【0412】
4.3.2 生存分析
4.3.2.1 生存分析(図16
死亡したマウスを、20mg/kgのLPSで治療した後に毎時間調べた。生存率は、陰性対照群(G1)と比較した場合、統計的に有意(G3:p<0.005、G4:p<0.0005、G5:p<0.0001)に延長されていることが確証された。
【0413】
4.3.3 体重および一般的症状
体重
すべてのマウスの平均体重は、参加時に22.3gであり、群割当時に24.1gであった。正常な体重増加が、隔離順応期間中に観察された。
【0414】
群割当は、すべての群が平均体重を有するように実施した。陰性対照群(G1)と比較した場合、統計的有意性(p<0.05)はなかった。
【0415】
一般的症状
一般的症状の観察が毎日実施された隔離順応期間中に、異常は観察されなかった。
【0416】
研究期間中に、LPS治療の気管内方法を介した肺への液体注入が原因で、合計8件の死亡が発生した。呼吸促迫の症状は、気管内投与の終了直後に実体に発生した。一時的な呼吸促迫が、LPSで治療されたすべてのマウスに観察されたが、一時的な呼吸促迫は、LPS投与の液体体積によるものであり、LPS誘導呼吸促迫症候群ではないと思われる。それでも8匹のマウスは、症状から回復したとは思われなかった。心肺蘇生法および体温維持などの措置を、重度の呼吸促迫を有する8匹のマウスに行ったが、死亡し、分析用の試料は取得されなかった。
【0417】
4.4.結論
この研究は、気管内投与を介した反復LPS治療により誘導されたハツカネズミ(Mus musculus)(BALB/c)の急性呼吸症候群(ARDS)モデルにおける、LPS誘導炎症促進性メディエーターに対する試験物質SMAの阻害効果を確証するために行った。この研究の結果は、LPS誘導炎症促進性メディエーターに対する試験物質および陽性対照物質の阻害効果を確証、急性呼吸促迫症候群の主なメディエーター(TNF-α、IL-6、IL-1β)であることが公知のサイトカインの発現が、気管支肺胞洗浄液(BALF)中で有意に抑制されたことを示した。
【0418】
この研究は、試験物質SMAがTNF-αおよびIL-6の産生を特定の時点で阻害すること、ならびに試験物質SMAが急性呼吸症候群の予防処置(preventive treatment)として有効であることを確証した。
【0419】
IFN-ガンマ、GM-CSFおよびIL-1βの分析値がいくつかの時点において定量限界を下回り、したがって、分析から除外されたが、試験物質SMAは、いくつかの時点においてIL-1βの産生を用量依存的に阻害した。
【0420】
結論として、SMAは、TNF-α、IL-6およびIL-1βなどの炎症促進性メディエーターの産生に急速な阻害効果を発揮し、したがって、急性呼吸症候群を緩和して生存を延長することに使用することができる。
【0421】
[実施例5]
SMAがSARS-CoV-2に対してウイルス抑制効果を呈することを示すin vitro実験
上記の実施例4に記載されたin vivo実験は、PAX-1(SMA)が、ヨーロッパでSARS-CoV-2関連肺炎の治療としての使用が承認されている薬物であるデキサメタゾンに類似して、炎症性サイトカインの阻害に有効であることを確証した。
【0422】
実施例5は、PAX-1が抗ウイルス薬レムデシビルに類似したウイルス抑制効果を呈することも明らかにしたin vitro研究を記載する。PAX-1は、抗ウイルスおよび抗炎症特性を有し、ウイルス感染誘導肺炎などの疾患の治療に有効である。PAX-1による治療は、回復期間を1週間ほどの短さに有意に低減することが期待される。COVID-19関連疾患の進行は、PAX-1が感染の初期段階中に摂取されると予防することができる。
【0423】
5.1 ウイルス抑制/死および炎症性サイトカインの阻害の機構
PAX-1の作用機構は、固形ヒト腫瘍細胞系のテロメアへのPAX-1の特異的結合を伴い、テロメア関連DNA損傷、テロメア侵食および細胞死をもたらす(Phatak P, Dai F, Butler M, et al. (2008) KML001 Cytotoxic Activity Is Associated with Its Binding to Telomeric Sequences and Telomere Erosion in Prostate Cancer Cells. Cancer Therapy: Preclinical 14(14): 4593-4603)。PAX-1は、また、テロメラーゼmRNAの転写に関与する転写因子の発現を低減することによって、がん細胞の繁殖の抑制を示す。さらに、3つのTTAGGG反復あたり1つの分子の比でPAX-1がテロメア配列に結合すると、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)と呼ばれるテロメアーゼ触媒サブユニットが細胞質に転位することをもたらし、それによって、テロメアーゼ活性を阻害し、最終的にがん細胞を死滅させる。最近の研究は、右手構造(指、親指、および手のひらドメイン)からなる保存逆転写酵素モチーフを有することによって、hTERTドメインとウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)との構造的および機能的類似性を発見した(Machitani M, Yasukawa M, Nakashima J, Furuichi Y, Masutomi K. RNA-dependent RNA polymerase, RdRP, a promising therapeutic target for cancer and potentially COVID-19. Cancer Sci. 2020 Aug 17;111(11):3976-84. doi: 10.1111/cas.14618)。ウイルスRdRPは、ウイルスゲノムの転写および複製に必須の機能を果たし、RdRPの抑制は、抗ウイルス薬の主な標的の1つと考慮される。hTERTへのPAX-1の証明された阻害効果、およびウイルスRdRPとhTERT RdRPドメインとの構造類似性を考慮すると、PAX-1によるhTERTのRdRP活性の阻害をコロナウイルスのRdRP活性の阻害に適用できることを提案することが妥当と思われる。さらに、PAX-1の抗ウイルス特性は、コロナウイルスに限定されず、広範囲のウイルスにも適用可能であり、抗がんおよび抗ウイルス治療に対するPAX-1の多用途治療特性を示している(Machitani M, Yasukawa M, Nakashima J, Furuichi Y, Masutomi K. RNA-dependent RNA polymerase, RdRP, a promising therapeutic target for cancer and potentially COVID-19. Cancer Sci. 2020 Aug 17;111(11):3976-84. doi: 10.1111/cas.14618)。
【0424】
メタ亜ヒ酸ナトリウムは、ヒトテロメアーゼの強力な阻害剤であることを示している。
【0425】
ウイルス感染に反応したサイトカインの過剰産生は、COVID-19誘導肺炎(炎症)の主な原因であることが広く受け入れられてきた。
【0426】
ウイルス感染には、過剰なサイトカイン放出をもたらす遺伝子発現の異常な細胞活性化が続き、次に炎症(肺炎)を誘導する。PAX-1は、炎症促進性サイトカインのTNF-α、IL-1βおよびIL-6の産生/分泌を阻害または低減することが実施例4に示されている。
【0427】
5.2 SARS-CoV-2感染細胞に対するPAX-1の抗ウイルス効果のin vitro評価
5.2.1.概観
この研究の目的は、SARS-CoV-2に対するPAX-1の抗ウイルス効果を検証することであった。化合物の抗ウイルス有効性は、SARS-CoV-2細胞感染モデルにおいて用量反応曲線(DRC)実験により決定した。感染細胞は、ウイルスヌクレオカプシド(N)タンパク質に特異的な抗体を使用する免疫蛍光を介して画像化し、取得した画像は、Columbusソフトウエア(Perkin Elmer)を使用して分析した。
【0428】
Pasteur Instituteで行った実験によると、PAX-1の抗ウイルス効果(IC50=4.25μM)は、レムデシビルのもの(IC50=5.27μM)よりわずかに高く、PAX-1がレムデシビルと同じ程度の抗ウイルス特性を有することを示している。
【0429】
5.2.2.材料および方法
5.2.2.1 ウイルスおよび細胞系
SARS-CoV-2は、Korea Centers for Disease Control and Prevention(KCDC)から提供され、ベロ細胞は、ATCC(ATCC-CCL81)から得た。
【0430】
5.2.2.2 試薬
クロロキン、ロピナビル、およびレムデシビルを基準化合物として使用し、Sigma-Aldrich、SelleckChem、およびMedChemExpressからそれぞれ購入した。抗SARS-CoV-2Nタンパク質に特異的な一次抗体は、Sino Biologicalから購入し、二次抗体のAlexa Fluor488ヤギ抗ウサギIgGおよびHoechst33342は、Molecular Probesから購入した。
【0431】
5.2.2.3 免疫蛍光法による用量反応曲線分析
384組織培養プレートに、ウエル1つあたり1.2×10個のベロ細胞を接種した。播種した24時間後、10個の異なる濃度の化合物を、DMSOおよびPBSで系列希釈して調製し、細胞を処理し、最高濃度は50μMであった。薬物処理の1時間後、BSL3施設で細胞にSARS-CoV-2(0.0125MOI)を感染させ、37℃で24時間インキュベートした。その後、細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定し、続いて透過処理した。次いで細胞を、抗SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(N)一次抗体、Alexa Fluor488結合ヤギ抗ウサギIgG二次抗体およびHoechst33342で染色した。感染細胞の蛍光画像を、画像分析デバイスOperatta(Perkin Elmer)を使用して取得した。
【0432】
5.2.2.4 画像分析
取得した画像を、Columbusソフトウエアを使用して分析した。ウエル1つあたりのHoechst染色細胞の総数を数え、細胞の総数とした。ウイルスNタンパク質を発現する細胞の数を、感染細胞の総数とした。感染率を、Nタンパク質を発現する細胞数/細胞の総数として計算した。
【0433】
ウエル1つあたりの感染の程度を、同じプレートの非感染細胞(mock)のウエルの平均感染力、および0.5%DMSO(v/v)で処理した感染細胞のウエルの平均感染力に正規化した。
【0434】
化合物の細胞傷害性は、各ウエルの細胞の数を、mock群ウエルの細胞の平均数に正規化することによって正規化し、グラフに「mockに対する細胞数」と表した。
【0435】
各薬物濃度から誘導された反応曲線、ならびにIC50およびCC50値は、XLFit4(IDBS)ソフトウエアの式Y=底+(頂点-底)/(1+(IC50/X)ヒルスロープ)を使用して誘導した。すべてのIC50およびCC50値は、独立した実験の2つの複製から得た当てはめ用量反応曲線により計算し、選択性指数(SI)値をCC50/IC50により計算した。
【0436】
5.2.3.結果-化合物の用量反応曲線(DRC)分析
この研究は、ベロ細胞におけるSARS-CoV-2(COVID-19ウイルス)の複製に対するPAX-1の抗ウイルス効果、ならびにその可能な細胞傷害効果を、レムデシビル(すなわち、COVID-19パンデミックの際に使用が認可された最初の抗ウイルス薬)およびロピナビル(すなわち、リトナビルと組み合わせたCOVID-19の抗ウイルス治療のために現在評価段階にある薬物)と比較して探索した。
【0437】
ベロ細胞は、SARS-CoV-2を複製および単離するために広く使用され、受け入れられてきた細胞モデルである。簡潔には、ベロ細胞(ATCC-CCL81)に、SARS-CoV-2(Korea Disease Control and Prevention Agencyから得た)を、様々な濃度の試験薬またはDMSO/PBS(対照)の存在下、0.0125の感染多重度(MO)で感染させた。感染細胞を感染の24時間後に固定し、抗SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体およびHoechst 33342で染色し、免疫蛍光染色法を使用して感染細胞の総数を特定した。画像分析を、Operatta(Perkin Elmer)を使用して実施した。各薬物の最大半減阻害濃度(IC50)および最大半量細胞傷害性濃度(CC50)値を、当てはめ用量反応曲線を使用して決定した。
【0438】
結果を図17に示す。青色ドットは、化合物のSARS-CoV-2感染の阻害を示し、赤色四角は、化合物の細胞傷害性を示す。
【0439】
図17に示されているように、SARS-CoV-2の複製は、PAX-1(図17の「Komipharm(PBS)」)により、レムデシビルと同じ程度およびロピナビルより効率的に阻害された。SARS-CoV-2感染のPAX-1阻害のIC50値は、4.25μMであり、すなわち、レムデシビルと同じ規模(IC50=5.27μM)であり、ロピナビルより低い規模(IC50=13.11μM)であった。PAX-1のCC50値は、レムデシビルおよびロピナビルの両方のものが50μMを超えることと比較して、21.05μMであった。PAX-1が他の2つの化合物と比較して細胞生存率にわずかに大きな阻害を示すにもかかわらず、CC50/IC50で計算した、細胞傷害性に対する抗ウイルス活性のSIは、ロピナビルのものと同じ程度であった。このように、PAX-1はSARS-CoV-2複製をin vitroで有効に阻害した。
【0440】
5.2.4.考察
正常な細胞に対するPAX-1の細胞傷害性濃度(CC50)は21.05μMであり、これは抗ウイルス活性指数(IC50、4.25μM)より4.96倍高く、薬物の安全性を示している。抗ウイルス効果を達成するために、IC50値より5倍高い濃度のPAX-1を摂取する必要はない。
【0441】
PAX-1毒性についての最近の研究は、比較のためにレムデシビルおよびロピナビルの両方を同時に試験することを伴う。実験結果は、ロピナビルに以下の指数:IC50=13.11μM、CC50>50μMおよびSI値の3.81を示し、PAX-1と比較してより高い細胞傷害性を報告している。ロピナビルは、US FDAが主導して、COVID-19の治療のために臨床試験を現在受けている。
【0442】
上記の要素を考慮すると、PAX-1を、治療中に副作用または重度の有害作用引き起こすことなく抗ウイルス剤として使用することもできる。
【0443】
PAX-1は、染色体の末端に結合した増殖ポテンシャル(proliferative potential)であるテロメア配列に結合する。炎症性サイトカインの阻害に使用されるPAX-1の濃度は、正常な免疫細胞に対して細胞傷害作用を有さない。さらに、PAX-1は、完全に代謝され、摂取した72時間後に身体から排泄される。
【0444】
PAX-1の臨床試験における患者(これまでのところ472人の患者が臨床試験に関与した)の一部に、20mg/日が与えられた(1日に8錠を摂取する)。薬物の毒性が原因の死亡は報告されておらず、PAX-1が非常に安全な物質であることを示している。
【0445】
コロナウイルス抗体は急速に弱まり、動物種由来のコロナウイルスは変異してヒトと交差することができ、再感染のリスクを作り出すことを、増え続ける証拠が示している。疑いもなく、COVID-19に対する抗ウイルス薬の急速な開発の大きな必要性が存在する。
【0446】
[実施例6]
COVID-19患者の日記(SMAによる治療)
実施例6は、SARS-CoV-2に感染し、SMAで治療された59歳の女性(既往歴(pre-existing condition)を有さず)の日々の生活記録を記載する。この実施例は、SMAがSARS-CoV-2感染の症状、例えば、胸部絞扼感、呼吸の困難さ、息切れ(呼吸困難)、発熱、食欲喪失、鼻水、咳、痰の発生、および疼痛の緩和または治療に有効であることを示している。
【0447】
【表31-1】
【0448】
【表31-2】
【0449】
【表31-3】
【0450】
任意の従来技術の出版物が本明細書において参照される場合、そのような参考文献は、出版物がオーストラリアまたは任意のその他の国において当該技術の共通する一般知識の一部を形成することの容認を構成しないことが、理解されるべきである。
【0451】
以下の特許請求の範囲および上述の発明の説明において、明示的言語または必然的含意に起因して文脈から必要とされる以外は、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は包括的な意味で使用され、すなわち、記述される特徴が存在することを特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を除外しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12
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【国際調査報告】