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特表2023-513799有機酸産生を最大化するための微生物細胞株の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】有機酸産生を最大化するための微生物細胞株の使用
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/40 20060101AFI20230327BHJP
   C12P 7/52 20060101ALI20230327BHJP
   C12P 7/54 20060101ALI20230327BHJP
   C12P 7/56 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C12P7/40 ZNA
C12P7/52
C12P7/54
C12P7/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549158
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021017940
(87)【国際公開番号】W WO2021163548
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/977,087
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520498398
【氏名又は名称】エスアンドピー・イングリーディエント・ディベロップメント・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,デリック
(72)【発明者】
【氏名】ブローフィ,ジェームス・エス
(72)【発明者】
【氏名】ピチャイ,クリシュナムールティ
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AD04
4B064AD05
4B064AD15
4B064AD33
4B064CA02
4B064DA16
(57)【要約】
最適化された発酵培地を使用してプロピオン酸産生を増強させるための共培養に使用される方法、微生物細胞株、及び培地、並びに、例えばラクトバチルス・カゼイ及び高酸耐性プロピオン酸菌を共培養することによって、プロピオン酸収率を上昇させるための方法を、本明細書に記載する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸の生成方法であって、
酸耐性有機酸排出微生物を提供し;
酸耐性乳酸産生微生物を提供し;
グルコース炭素源及びラクトース炭素源を含み、約5.8~約6.5のpHを有する増殖培地を提供し;
酸耐性有機酸排出微生物及び酸耐性乳酸産生微生物を増殖培地に添加し、これにより培養物を生成し;そして
培養物を制御された発酵条件下でインキュベートし、これにより有機酸を生成する;
ことを含む前記方法。
【請求項2】
酸耐性有機酸排出微生物が、プロピオニバクテリウム属、アネロビブリオ属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フソバクテリウム属、メガスファエラ属、プロピオニスピラ属、セレノモナス属、ベイロネラ属、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロピオニバクテリウム属微生物がプロピオン酸菌(NFS 2018)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
酸耐性有機酸排出微生物が増殖培養物として提供される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
酸耐性乳酸産生微生物が、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、オエノコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリム属、バシラス属、ラクトバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、スポロラクトバチルス属、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
酸耐性乳酸産生微生物が、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、オエノコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリム属、バシラス属から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酸耐性乳酸産生微生物が増殖培養物として提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸耐性乳酸産生微生物が、バシラス属、ラクトバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、スポロラクトバチルス属、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
酸耐性乳酸産生微生物がラクトバチルス・カゼイである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸耐性乳酸産生微生物が胞子として提供され、該胞子が炭素源の一部として提供されてもよい、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
培地のpHが約6.0である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
増殖培地が、窒素源、ビタミン、MgSO、NaPO、及びKPOをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
グルコース炭素源及びラクトース炭素源が同じである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
グルコース炭素源及びラクトース炭素源が異なる、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
グルコース炭素源が植物ベースのグルコース炭素源である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
植物炭素源が、加水分解コムギ、加水分解トウモロコシ、加水分解マメ、加水分解デンプン、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ラクトース炭素源が乳清である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
窒素源が、酵母エキス、ペプチド、硫酸アンモニア、水酸化アンモニア、アミノ酸、及びそれらの組合せから選択される、請求項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
窒素源が酵母エキスである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ビタミンがビタミンB12である、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
酸耐性乳酸産生微生物を、酸耐性有機酸排出微生物を培地に添加してから6~36時間後、所望により12~24時間後に培地に添加し;そして、
培養物を、所望量の有機酸を産生するのに十分な時間にわたり維持する;
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
有機酸が、プロピオン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2020年2月14日に出願された米国仮出願第62/977087号の利益を主張する。前述の内容全体は本明細書に援用される。
発明の技術分野
本開示は、一般に、最適化された発酵培地を使用してプロピオン酸産生を増強させるための共培養に使用される方法、微生物細胞株、及び培地、並びに、例えばラクトバチルス・カゼイ及び高酸耐性プロピオン酸菌(Acidipropionibacterium Acidipropionici)を共培養することによって、プロピオン酸収率を上昇させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機酸は、酸性特性を有する炭素含有化合物である。有機酸の例としては、とりわけ、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、及びプロピオン酸が挙げられる。それらは完全に分解性であるので、有機酸は生分解性ポリマーの生産に使用することができる。それらはまた、主に防腐剤として、食品及び飼料添加物としてなど、他の重要な工業的用途を有する。
【0003】
プロピオン酸(PA)は、かなりの商業的価値を得ていて、いくつかの炭素源からの糖の微生物発酵によって生成することができるカルボン酸である(例えばGonzalez-Garcia et al.,2017及びAhmadi et al.,2017を参照)。プロピオン酸は、歴史的に、経済的に適していると考えられたので、「石油化学」プロセスを用いて商業的に生産されてきた。これは、原油及び石油化学製品のコストが長年にわたって上昇し、消費者が、食品に使用するためのプロピオン酸に天然源を求めるようになるにつれて変化し、その結果、微生物発酵を使用する生成方法に対する関心が高まっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Gonzalez-Garcia et al.,2017
【非特許文献2】Ahmadi et al.,2017
【発明の概要】
【0005】
再生可能でないベース製品の使用及びそれらの環境影響に関する懸念を考慮して、商業規模での再生可能なエネルギー源を使用するプロピオン酸の微生物生合成は、大きな関心を集めている。本明細書に、炭素源としてグルコースを含有する微生物発酵培地における高収率でのプロピオン酸の生成方法を記載する。これらの方法は、プロピオン酸の商業規模の生産に適用することができる。
【0006】
本開示は、共培養を使用することによる有機酸の工業規模生産に適した微生物細胞株、及び最適化培地を使用して有機酸収率を最大化する方法を提供する。
したがって、本明細書において提供されるのは、有機酸の生成方法である。本方法は、(i)酸耐性有機酸排出微生物及び(ii)酸耐性乳酸産生微生物を、培地のpHが約5.8~6.5である培地中で制御された発酵条件下にて培養し、同じ条件下で使用される単一の微生物細胞株と比較してより高収率の有機酸をもたらすことを包含する。
【0007】
いくつかの態様では、酸耐性有機酸排出微生物は、プロピオニバクテリウム属、アネロビブリオ属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フソバクテリウム属、メガスファエラ属、プロピオニスピラ属(Propionispira)、セレノモナス属、又はベイロネラ属生物である。いくつかの態様では、プロピオニバクテリウム属生物はプロピオン酸菌(NFS 2018)である。
【0008】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物は、培養した、又は胞子形成性の乳酸産生生物である。いくつかの態様では、非胞子形成性で酸耐性の乳酸菌は、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、オエノコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、及びビフィドバクテリム属を含む。いくつかの態様では、胞子形成性で酸耐性の乳酸菌は、バシラス属、ラクトバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、又はスポロラクトバチルス属生物を含む。いくつかの態様では、ラクトバシラス属生物はラクトバチルス・カゼイである。
【0009】
いくつかの態様では、培地のpHは約6.0である。
いくつかの態様では、本方法は、グルコース、酵母エキス、MgSO、NaPO、ビタミンB12、及びKPOを含む出発培地を提供し、ここで、出発培地は約6のpHを有し;酸耐性有機酸排出微生物を培地に添加し、6~36時間後、例えば12~24時間後に、乳酸産生微生物を培地に添加し;そして、望ましい量の有機酸を産生するのに十分な時間にわたり培養物を維持する;ことを含む。
【0010】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物は、酸耐性有機酸排出微生物のための炭素を提供する。いくつかの態様では、酸耐性有機酸排出微生物は、乳清(チーズ生産の副産物)、穀物(コムギ、トウモロコシ、若しくはデンプン)、又は植物(マメ)由来の炭素源からのグルコースを消費し、及び/又は1以上の培養した、若しくは胞子形成性の乳酸産生生物によって産生される乳酸を消費する。
【0011】
いくつかの態様では、有機酸は、プロピオン酸;酢酸;乳酸;及び/又はコハク酸を含む。
いくつかの態様では、発酵プロセス中の制御された発酵条件は、好気性条件、嫌気性条件、又はその両方を含む。
【0012】
本明細書では、酸耐性有機酸排出微生物を提供し;酸耐性乳酸産生微生物を提供し;グルコース炭素源及びラクトース炭素源を含み、約5.8~約6.5のpHを有する増殖培地を提供し;酸耐性有機酸排出微生物及び酸耐性乳酸産生微生物を増殖培地に添加し、これにより培養物を生成し;そして、培養物を制御された発酵条件下でインキュベートし、これにより有機酸を生成する;ことを含む、有機酸の生成方法も提供する。
【0013】
いくつかの態様では、酸耐性有機酸排出微生物は、プロピオニバクテリウム属、アネロビブリオ属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フソバクテリウム属、メガスファエラ属、プロピオニスピラ属、セレノモナス属、ベイロネラ属、及びそれらの組合せから成る群より選択される。いくつかの態様では、プロピオニバクテリウム属微生物はプロピオン酸菌(NFS 2018)である。
【0014】
いくつかの態様では、酸耐性有機酸排出微生物は、増殖培養物として提供される。
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物は、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、オエノコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリム属、バシラス属、ラクトバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、スポロラクトバチルス属、及びそれらの組合せから成る群より選択される。
【0015】
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物は、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、オエノコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ビフィドバクテリム属、バシラス属から成る群より選択される。
【0016】
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物は、増殖培養物として提供される。
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物は、バシラス属、ラクトバシラス属、クロストリジウム属、パエニバシラス属、スポロラクトバチルス属、及びそれらの組合せから成る群より選択される。いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物はラクトバチルス・カゼイである。
【0017】
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物は胞子として提供され、所望により、該胞子は炭素源の一部として提供される。
いくつかの態様では、培地のpHは約6.0である。
【0018】
いくつかの態様では、増殖培地は、窒素源、ビタミン、MgSO、NaPO、及びKPOをさらに含む。
いくつかの態様では、グルコース炭素源及びラクトース炭素源は同じである。いくつかの態様では、グルコース炭素源及びラクトース炭素源は異なる。
【0019】
いくつかの態様では、グルコース炭素源は、植物ベースのグルコース炭素源である。いくつかの態様では、植物炭素源は、加水分解コムギ、加水分解トウモロコシ、加水分解マメ、加水分解デンプン、及びそれらの組合せから成る群より選択される。
【0020】
いくつかの態様では、ラクトース炭素源は乳清である。
いくつかの態様では、窒素源は、酵母エキス、ペプチド、硫酸アンモニア、水酸化アンモニア、アミノ酸、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの態様では、窒素源は酵母エキスである。
【0021】
いくつかの態様では、ビタミンはビタミンB12である。
いくつかの態様では、酸耐性乳酸産生微生物を、酸耐性有機酸排出微生物を培地に添加してから6~36時間後、所望により12~24時間後に培地に添加し;そして、培養物を、望ましい量の有機酸を産生するのに十分な時間にわたり維持する。
【0022】
いくつかの態様では、有機酸は、プロピオン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、及びそれらの組合せから成る群より選択される。
「グルコース」及び「デキストロース」という語は、本明細書において互換的に使用される。
【0023】
別途定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者により一般に理解されるのと同じ意味をもつ。方法及び材料は本発明において使用するために本明細書に記載されており、当技術分野において公知の他の適切な方法及び材料を使用することもできる。材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、その全体を援用する。矛盾がある場合、定義を含む本明細書を優先する。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、発酵糖培地を用い、30Lの作業容量中の5%接種物を用い、温度を30℃に維持し、pH6(中和塩基としてNaOH)であるバイオリアクターにおける、プロピオン酸菌(NFS-2018)による有機酸産生を示す。
図2図2は、発酵糖培地を用い、1Lの作業容量中の5%接種物を用い、温度を30℃に維持し、pH6(NaOH、中和塩基)であるバイオリアクターにおける、プロピオン酸菌(NFS-2018)及びラクトバチルス・カゼイによる有機酸産生を示す。
図3図3は、発酵糖培地を用い、30Lの作業容量中の5%接種物を用い、温度を30℃に維持し、pH6(NaOH、中和塩基)であるバイオリアクターにおける、プロピオン酸菌(NFS-2018)及びラクトバチルス・カゼイによる有機酸産生を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
プロピオン酸(PA)は、ベーカリー食品、乳製品、肉、鶏肉、及びペットフードなどの用途において、食品製品中の酵母及びカビの増殖を制御するための抗真菌剤として使用される。プロピオン酸はまた、除草剤、香料、及び他の製品に使用されるさまざまな最終化学製品の生産における中間体として広く使用されている。
【0027】
プロピオン酸の生成は一般に、炭素源及び窒素源含有培地を適切な微生物細胞株で発酵させることによって達成される。典型的には、プロピオニバクテリウム属生物を用いて、培地中の炭素源をプロピオン酸及び他の代謝産物に変換させる。発酵培地中のプロピオニバクテリウム属細胞の増殖速度は、通常、プロピオン酸蓄積の阻害効果及び発酵時間にわたる栄養素の利用可能性に起因して制限される。酸耐性プロピオニバクテリウム属株を開発し、微生物を共培養することにより、プロピオン酸産生を改善する方法が開発されている。しかしながら、微生物のため栄養素の不均衡に起因して、産生収率は依然として限定されていた。本明細書には、炭素源を流加(fed-batching)し、最適化された時間ステップでラクトバチルス・カゼイを添加して(共発酵)、プロピオン酸の産生収率を上昇させるための方法を記載する。
【0028】
他の細菌もプロピオン酸を作ることができるが、プロピオニバクテリウム属はプロピオン酸を排出する最も一般的に使用される細菌であり、広く研究されてきた(Gonzalez-Garcia et al.,2017)。培地製剤の進歩、株の開発、及び発酵パラメーターの最適化は、ブロス(培地)中で25~50g/Lのプロピオン酸産生収率をもたらした(Gonzalez-Garcia et al.,2017;Stower et al.,2014;Wang et al.,2014;2014 Liu et al.,2011;Kagliwal et al.,2013)。発酵中に100+g/Lに達するプロピオン酸産生の報告もあるが、これらの値は発酵を数週間から数カ月間延長することによって生じており、商業的スケールアップに適していなかった(Zhang及びYang,2009;Wang et al.,2014;並びにJiang et al.,2015)。
【0029】
上記の戦略を用いた改善だけでなく、混合培養を用いることによってプロピオン酸の生産性を高める努力もなされてきた。例えば共培養法は、供給原料として乳清を使用してPAを生成するために使用されている(WO85/04901;EP0141642 A1)。WO85/04901号には、ベイロネラ・クリセティの存在下でラクトバチルス・カゼイ亜種ラムノサスを使用して、2段階発酵プロセスを介して乳酸をプロピオン酸に変換することが記載されている。第1段階において炭水化物をラクトバチルス・カゼイによって乳酸に変換し;第2段階において乳酸をベイロネラ・クリセティによってPAに発酵させる。(ラクトバシラス属及びベイロネラ属は両方ともファーミキューテス門に属する一方、プロピオニバクテリウム属はアクチノバクテリア門に属する。)EP0141642号にはまた、発酵収率を最大化するための、乳酸産生菌(ラクトバチルス・カゼイ)及びPA産生菌(プロピオニバクテリウム・シャーマニイ)の混合培養の使用について記載されている。WO85/04901号及びEP0141642号の共培養系は、ラクトースからのPA産生に関して非常に生産的であり、最終収量は20~100g/Lであることが報告されている。しかしながら、そのような共培養系は、プロセスパラメーターとかなり密接な関係を有する。例えば、それらは、系中の各生物の増殖及び代謝活性に対する制御を欠くという問題を有し、これにより、いずれかの生物の増殖不全がもたらされるか、又はいずれかの生物が望ましい生成物の形成に寄与できない可能性がある。再現性の欠如は、共培養系では一般的である。Border et al,1987による研究は、ラクトバシラス属株を発酵に添加した場合、プロピオン酸産生が20g/Lから30g/Lに増加することを示した。混合培養を用いた他のプロセスは、混合培養を用いた場合ブロス中のプロピオン酸が65g/Lまで増加することを示したが、このプロセスは乳清のみを用いて行われた(EP0141642A1号)。
【0030】
本開示では、プロピオン酸産生を最大化するためのプロセスであって、簡易培地を使用し、小麦粉及びデンプンなど複数の炭素源からのグルコースを使用し、このプロセス中に他の有機酸を同時に産生させるプロセスを開発した。このプロセスは、すべてのプロピオン酸及び乳酸産生細菌に使用することができ、発酵は、混合培養発酵中に培地を嫌気性にするための窒素ガスの添加の有無にかかわらず実施することができる。本明細書に示すように、プロピオン酸菌(例えばNFS-2018)を乳酸菌を加えずにグルコースと共に発酵させた場合、168時間以内のプロピオン酸収率は約5.3%であった。乳酸菌を発酵槽に添加すると、共培養法を用いて、プロピオン酸産生は1.4%上昇し、プロピオン酸の最終収率は6.7%であった。
【0031】
本明細書には、有機酸産生を増加させるために微生物細胞株の共培養を使用する方法が記載される。本方法では、有機酸を産生する微生物細胞株(例えばアシディプロピオニバクテリウム属)を、炭素源を添加したpH制御培地中で24時間使用し、別の微生物細胞株(例えばラクトバシラス属)を添加して、有機酸産生をさらに増強させる。いくつかの態様では、発酵期間の全体にわたり、バイオリアクターは30℃の温度に維持される。いくつかの態様では、これらの培養条件下で、pHは6に維持される。いくつかの態様では、微生物細胞株は、すべての発酵槽及びバイオリアクターについて同じ期間培養することができる。いくつかの態様では、微生物細胞株を発酵槽及びバイオリアクターに同時に接種した。
【0032】
いくつかの態様では、プロピオン酸は、ラクトバチルス・カゼイと高酸耐性プロピオン酸菌NFS-2018との共培養によって生成することができる。本明細書に示すように、プロピオン酸収量は、単培養での50g/Lから、本明細書に記載する共培養発酵法を使用して65g/Lに改善された。ラクトバチルス・カゼイを、最適化された時間ステップで微生物発酵に添加して、プロピオン酸収率を最大化した。プロピオン酸以外に、共培養発酵からの発酵ブロスは、7~8g/Lの酢酸及び9~10g/Lのコハク酸を共代謝産物として含有していた。
有機酸排出微生物

本発明の方法は、有機酸産生菌、例えばプロピオン酸菌属の使用を包含する。プロピオニバクテリウム属は、PA(並びにビタミンB12及びスイスチーズ)の生産にもっともよく用いられる微生物である。プロピオニバクテリウム属は、グラム陽性で、非運動性で、非胞子形成性で、桿状で、嫌気性の細菌属であり、プロピオニバクテリウム・フロイデンライシイ、P.acidifaciens、P.cyclohexanicum、P.australiense、プロピオン酸菌、P.jensenii、P.thoenii、P.microaerophilum、P.olivae、P.damnosum、P.propionicum、アクネ菌、プロピオニバクテリウム・アビダム、プロピオニバクテリウム・グラニュローサム、P.humerusii、及びP.lymphophilumの種を包含する。工業的PA生産の場合、もっとも一般的に使用される株は、プロピオン酸菌である。(プロピオニバクテリウム属内の種を3つの新規属:アシディプロピオニバクテリウム属、キューティバクテリウム属、及びシュードプロピオニバクテリウム属に再分類する提案がなされている(Scholz&Kilian,2016))。しかしながら、Propionibacterium acidipropionici及びAcidipropionibacterium Acidipropioniciは、依然としてやや互換的に使用されている。プロピオニバクテリウム属細胞増殖に最適なpH及び温度は、それぞれ約6.0~7.0及び約30~37℃である(Ahmadi et al.,2017)。中性pHで開始された発酵槽はpH4.4に達する可能性があるが、細胞増殖は約5.0未満のpHで阻害される(Rehberger及びGlatz,1998)。Ahmadi et al.は、文献(Ahmadi et al.,2017)に報告されているように、プロピオニバクテリウム属のさまざまな種によるいくつかの炭素源でのPA産生の概要を提供しており、これを本明細書に援用する。 PAはまた、他の嫌気性細菌、例えば、アネロビブリオ属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フソバクテリウム属、メガスファエラ属、プロピオニスピラ属、セレノモナス属、及びベイロネラ属の特定種によって産生され得る。
【0033】
好ましい態様では、有機酸産生微生物は酸耐性であり、例えば5~7.5のpHで増殖することができ、プロピオン酸を産生する。いくつかの態様では、酸産生微生物は、ATCCにPTA-125895として寄託された、WO2019/245985号に記載されているような高酸耐性プロピオン酸菌(NFS-2018)である。いくつかの態様では、酸産生微生物はアシディプロピオニバクテリウム・シャーマニイ(ATCC 39393)ではない(EP0141642A1号参照)。
【0034】
いくつかの態様では、有機酸産生微生物は野生型である。いくつかの態様では、有機酸産生微生物は操作されている。
乳酸産生微生物
本方法は、乳酸産生微生物、例えば乳酸産生菌(LAB)の使用を包含する。いくつかの態様では、微生物はラクトバシラス属、例えばラクトバチルス・カゼイに由来する。
【0035】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物は、乳酸菌(LAB)、バシラス属、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミカム、及びそれらの組合せから選択される。例えば、Abdel-Rahman et al.,“Recent Advances in Lactic Acid Production by Microbial Fermentation Processes,”Biotechnology Advances 31:877-902(2013)参照。
【0036】
いくつかの態様では、LABはホモ発酵性である。いくつかの態様では、LABはヘテロ発酵性である。例えば、Eitman及びRamalingam,“Microbial Production of Lactic Acid,”Biotechnol.Lett.37:955-72(2015)参照。
【0037】
いくつかの態様では、本方法は、LABの混合物の使用を包含する。いくつかの態様では、混合物はホモ発酵性及びヘテロ発酵性LABの両方を包含する。
いくつかの態様では、乳酸産生微生物は野生型である。いくつかの態様では、乳酸産生微生物は操作されている。
炭素源
グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ラクトース、グリセロール、ラクテート、小麦粉加水分解物、糖蜜、乳清、及びそれらの組合せを含む、いくつかの炭素源が微生物PA産生に使用されてきた。
【0038】
いくつかの態様では、加水分解された小麦粉を炭素源として使用する。小麦粉の加水分解方法は当技術分野において公知であり、例えば、Kagliwal et al.,2013に記載されているように、酵素加水分解の使用を包含することができる。いくつかの態様では、酵素加水分解は、90℃/pH6.0で細菌α-アミラーゼ、次いで60℃/pH7.0でグルコアミラーゼ及びプロテアーゼを使用することを包含する。
【0039】
いくつかの態様では、炭素源としてトウモロコシ又は他のデンプンが使用される。
いくつかの態様では、乳製品炭素源、例えばチーズ生産からの乳清が使用される。
いくつかの態様では、供給源の混合物が炭素供給源として使用される。いくつかの態様では、炭素源の混合物は、グルコース炭素源及びラクトース炭素源を含む。
【0040】
いくつかの態様では、グルコース炭素源は、植物炭素源、例えば加水分解された穀物及び/又はマメに由来する。
いくつかの態様では、ラクトース炭素源は、乳製品源、例えばチーズ生産からの乳清に由来する。
窒素源
微生物によるPA産生には、いくつかの窒素源が使用されている。いくつかの態様では、窒素源は酵母エキスである。いくつかの態様では、窒素源は、酵母エキス、ペプチド、硫酸アンモニア、水酸化アンモニア、アミノ酸、及びそれらの組合せから選択される。
培地及び増殖条件
本方法で使用するための代表的な簡易培地は、グルコース、酵母エキス、MgSO、NaPO、ビタミンB12、及びKPOを包含することができ、出発培地は、約6のpHを有する。
【0041】
いくつかの態様では、培地は約5.5~約6.9のpHを有する。いくつかの態様では、培地は、約5.5~約6.8、約5.5~約6.7、約5.5~約6.6、約5.5~約6.5、約5.5~約6.4、約5.5~約6.3、約5.5~約6.2、約5.5~約6.1、約5.5~約6.0、約5.5~約5.9、約5.5~約5.8、約5.5~約5.7、約5.5~約5.6、約5.6~約6.9、5.6~約6.8、約5.6~約6.7、約5.6~約6.6、約5.6~約6.5、約5.6~約6.4、約5.6~約6.3、約5.6~約6.2、約5.6~約6.1、約5.6~約6.0、約5.6~約5.9、約5.6~約5.8、約5.6~約5.7、約5.7~約6.9、5.7~約6.8、約5.7~約6.7、約5.7~約6.6、約5.7~約6.5、約5.7~約6.4、約5.7~約6.3、約5.7~約6.2、約5.7~約6.1、約5.7~約6.0、約5.7~約5.9、約5.7~約5.8、約5.8~約6.9、5.8~約6.8、約5.8~約6.7、約5.8~約6.6、約5.8~約6.5、約5.8~約6.4、約5.8~約6.3、約5.8~約6.2、約 5.8~約6.1、約5.8~約6.0、約5.8~約5.9、約5.9~約6.9、5.9~約6.8、 約5.9~約6.7、約5.9~約6.6、約5.9~約6.5、約5.9~約6.4、約5.9~約6.3、約5.9~約6.2、約5.9~約6.1、約5.9~約6.0、約6.0~約6.9、6.0~約6.8、約6.0~約6.7、約6.0~約6.6、約6.0~約6.5、約6.0~約6.4、約6.0~約6.3、約6.0~約6.2、約6.0~約6.1、約6.1~約6.9、6.1~約6.8、約6.1~約6.7、約6.1~約6.6、約6.1~約6.5、約6.1~約6.4、約6.1~約6.3、約6.1~約6.2、約6.2~約6.9、6.2~約6.8、約6.2~約6.7、約6.2~約6.6、約6.2~約6.5、約6.2~約6.4、約6.2~約6.3、約6.3~約6.9、6.3~約6.8、約6.3~約6.7、約6.3~約6.6、約6.3~約6.5、約6.3~約6.4、約6.4~約6.9、6.4~約6.8、約6.4~約6.7、約6.4~約6.6、約6.4~約6.5、約6.5~約6.9、6.5~約6.8、約6.5~約6.7、約6.5~約6.6、6.6~約6.9、6.6~約6.8、約6.6~約6.7、約6.7~約6.9、6.7~約6.8、又は約6.8~約6.9のpHを有する。
【0042】
いくつかの態様では、培地は、約1~約10重量/体積%の炭素源、例えばグルコースを含む。いくつかの態様では、培地は、約1~約10、約1~約9.5、約1~約9、約1~約8.5、約1~約8、約1~約7.5、約1~約7、約1~約6.5、約1~約6、約1~約5.5、約1~約5、約1~約4.5、約1~約4、約1~約3.5、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1.5~約10、約1.5~約9.5、約1.5~約9、約1.5~約8.5、約1.5~約8、約1.5~約7.5、約1.5~約7、約1.5~約6.5、約1.5~約6.0、約1.5~約5.5、約1.5~約5、約1.5~約4.5、約1.5~約4、約1.5~約3.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.5~約2、約2~約10、約2~約9.5、約2~約9、約2~約8.5、約2~約8、約2~約7.5、約2~約7、約2~約6.5、約2~約6、約2~約5.5、約2~約5、約2~約4.5、約2~約4、約2~約3.5、約2~約3、約2~約2.5、約2.5~約10、約2.5~約9.5、約2.5~約9、約2.5~約8.5、約2.5~約8、約2.5~約7.5、約2.5~約7、約2.5~約6.5、約2.5~約6、約2.5~約5.5、約2.5~約5、約2.5~約4.5、約2.5~約4、約2.5~約3.5、約2.5~約3、約3~約10、約3~約9.5、約3~約9、約3~約8.5、約3~約8、約3~約7.5、約3~約7、約3~約6.5、約3~約6、約3~約5.5、約3~約5.0、約3~約4.5、約3~約4、約3~約3.5、約3.5~約10、約3.5~約9.5、約3.5~約9、約2.5~約8.5、約3.5~約8、約3.5~約7.5、約3.5~約7、約3.5~約6.5、約3.5~約6、約3.5~約5.5、約3.5~約5、約3.5~約4.5、約3.5~約4、約4~約10、約4~約9.5、約4~約9、約4~約8.5、約4~約8、約4~約7.5、約4~約7、約4~約6.5、約4~約6、約4~約5.5、約4~約5、約4~約4.5、約4.5~約10、約4.5~約9.5、約4.5~約9、約4.5~約8.5、約4.5~約8、約4.5~約7.5、約4.5~約7、約4.5~約6.5、約4.5~約6、約4.5~約5.5、約4.5~約5、約5~約10、約5~約9.5、約5~約9、約5~約8.5、約5~約8、約5~約7.5、約5~約7、約5~約6.5、約5~約6、約5~約10、約5~約9.5、約5~約9、約5~約8.5、約5~約8、約5~約7.5、約5~約7、約5~約6.5、約5~約6、約5~約5.5、約5.5~約10、約5.5~約9.5、約5.5~約9、約5.5~約8.5、約5.5~約8、約5.5~約7.5、約5.5~約7、約5.5~約6.5、約5.5~約6、約6~約10、約6~約9.5、約6~約9、約6~約8.5、約6~約8、約6~約7.5、約6~約7、約6~約6.5、約6.5~約10、約6.5~約9.5、約6.5~約9、約6.5~約8.5、約6.5~約8、約6.5~約7.5、約6.5~約7、約7~約10、約7~約9.5、約7~約9、約7~約8.5、約7~約8、約7~約7.5、約7.5~約10、約7.5~約9.5、約7.5~約9、約7.5~約8.5、約7.5~約8、約8~約10、約8~約9.5、約8~約9、約8~約8.5、約8.5~約10、約8.5~約9.5、約8.5~約9、約9~約10、約9~約9.5、又は約9.5~約10重量/体積%の炭素源、例えばグルコースを含む。
【0043】
いくつかの態様では、培地は、約1~約2.5重量/体積%の窒素源、例えば酵母エキスを含む。いくつかの態様では、培地は、約1~約2.4、約1~約2.3、約1~約2.2、約1~約2.1、約1~約2、約1~約1.9、約1~約1.8、約1~約1.7、約1~約1.6、約1~約1.5、約1~約1.4、約1~約1.3、約1~約1.2、約1~約1.1、約1.1~約2.5、約1.1~約2.4、約1.1~約2.3、約1.1~約2.2、約1.1~約2.1、約1.1~約2、約1.1~約1.9、約1.1~約1.8、約1.1~約1.7、約1.1~約1.6、約1.1~約1.5、約1.1~約1.4、約1.1~約1.3、約1.1~約1.2、約1.2~約2.5、約1.2~約2.4、約1.2~約2.3、約1.2~約2.2、約1.2~約2、約1.2~約1.9、約1.2~約1.8、約1.2~約1.7、約1.2~約1.6、約1.2~約1.5、約1.2~約1.4、約1.2~約1.3、約1.3~約2.5、約1.3~約2.4、約1.3~約2.3、約1.3~約2.2、約1.3~約2.1、約1.3~約2、約1.3~約1.9、約1.3~約1.8、約1.3~約1.7、約1.3~約1.6、約1.3~約1.5、約1.3~約1.4、約1.4~約2.5、約1.4~約2.4、約1.4~約2.3、約1.4~約2.2、約1.4~約2.1、約1.4~約2、約1.4~約1.9、約1.4~約1.8、約1.4~約1.7、約1.4~約1.6、約1.4~約1.5、約1.5~約2.5、約1.5~約2.4、約1.5~約2.3、約1.5~約2.2、約1.5~約2.1、約1.5~約2、約1.5~約1.9、約1.5~約1.8、約1.5~約1.7、約1.5~約1.6、約1.6~約2.5、約1.6~約2.4、約1.6~約2.3、約1.6~約2.2、約1.6~約2.1、約1.6~約2、約1.6~約1.9、約1.6~約1.8、約1.6~約1.7、約1.7~約2.5、約1.7~約2.4、約1.7~約2.3、約1.7~約2.2、約1.7~約2.1、約1.7~約2、約1.7~約1.9、約1.7~約1.8、約1.8~約2.5、約1.8~約2.4、約1.8~約2.3、約1.8~約2.2、約1.8~約2.1、約1.8~約2、約1.8~約1.9、約1.9~約2.5、約1.9~約2.4、約1.9~約2.3、約1.9~約2.2、約1.9~約2.1、約1.9~約2、約2~約2.5、約2~約2.4、約2~約2.3、約2~約2.2、約2~約2.1、約2.1~約2.5、約2.1~約2.4、約2.1~約2.3、約2.1~約2.2、約2.2~約2.5、約2.2~約2.4、約2.2~約2.3、約2.3~約2.5、約2.3~約2.4、又は約2.4~約2.5重量/体積%の窒素源、例えば酵母エキスを含む。いくつかの態様では、培地は、約2重量/体積%の窒素源、例えば酵母エキスを含む。
【0044】
いくつかの態様では、培地は、約0.2~約0.8g/LのMgSOを含む。いくつかの態様では、培地は、約0.2~約0.7、約0.2~約0.6、約0.2~約0.5、約0.2~約0.4、約0.2~約0.3、約0.3~約0.8、約0.3~約0.7、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.4、約0.4~約0.8、約0.4~約0.7、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、約0.5~約0.8、約0.5~約0.7、約0.5~約0.6、約0.6~約0.8、約0.6~約0.7、又は約0.7~約0.8g/LのMgSOを含む。いくつかの態様では、培地は約0.4g/LのMgSOを含む。
【0045】
いくつかの態様では、培地は、約0.5~約3.0g/LのNaPOを含む。いくつかの態様では、培地は、約0.5~約2.5、約0.5~約2、約0.5~約1.5、約0.5~約1、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.5~約2、約2~約2.5、又は約2.5~約3g/LのNaPOを含む。いくつかの態様では、培地は約1g/LのNaPOを含む。
【0046】
いくつかの態様では、培地は、約0.0015~約0.004g/Lのビタミン源、例えばビタミンB12を含む。いくつかの態様では、培地は、約0.0020~約0.0040、約0.0020~約0.0035、約0.0020~約0.0030、約0.0020~約0.0025、約0.0025~約0.0040、約0.0025~約0.0035、約0.0025~約0.0030、約0.0030~約0.0040、約0.0030~約0.0035、又は約0.0035~約0.0040g/Lのビタミン源、例えばビタミンB12を含む。
【0047】
いくつかの態様では、培地は、約0.5~約3.0g/LのKPOを含む。いくつかの態様では、培地は、約0.5~約2.5、約0.5~約2、約0.5~約1.5、約0.5~約1、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.5~約2、約2~約2.5、又は約2.5~約3g/LのKPOを含む。いくつかの態様では、培地は約1g/LのKPOを含む。
【0048】
培地の調製方法は当技術分野において公知であり、本明細書において提供される。
いくつかの態様では、生物を培養する培地は、リン酸水素二カリウム;リン酸二水素カリウム;硫酸第一鉄;5,6ジアミノベンゾイミダゾール(diamenobenzimidazole);塩化コバルト;硫酸マンガン(mangenese);酵素;プロテアーゼ;又は炭酸カルシウムのうちの1以上、例えばすべてを包含しない。
【0049】
いくつかの態様では、培地には、約1~約10体積/体積%の有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の培養物を接種する。いくつかの態様では、培地に、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約10、約2~約9、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約10、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約10、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約10、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約10、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約10、約7~約9、約7~約8、約8~約10、約8~約9、又は約9~約10体積/体積%の有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の培養物を接種する。
【0050】
いくつかの態様では、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の培養物は、約5~約7OD/mL(光学濃度)の細胞を含む。いくつかの態様では、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の培養物は、約5~約6.8、約5~約6.6、約5~約6.4、約5~約6.2、約5~約6、約5~約5.8、約5~約5.6、約5~約5.4、約5~約5.2、約5.2~約7、約5.2~約6.8、約5.2~約6.6、約5.2~約6.4、約5.2~約6.2、約5.2~約6、約5.2~約5.8、約5.2~約5.6、約5.2~約5.4、約5.4~約7、約5.4~約6.8、約5.4~約6.6、約5.4~約6.4、約5.4~約6.2、約5.4~約6、約5.4~約5.8、約5.4~約5.6、約5.6~約7、約5.6~約6.8、約5.6~約6.6、約5.6~約6.4、約5.6~約6.2、約5.6~約6、約5.6~約5.8、約5.8~約7、約5.8~約6.8、約5.8~約6.6、約5.8~約6.4、約5.8~約6.2、約5.8~約6、約6~約7、約6~約6.8、約6~約6.6、約6~約6.4、約6~約6.2、約6.2~約7、約6.2~約6.8、約6.2~約6.6、約6.2~約6.4、約6.4~約7、約6.4~約6.8、約6.4~約6.6、約6.6~約7、約6.6~約6.8、又は約6.8~約7OD/mL(光学濃度)の有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)を含む。
【0051】
いくつかの態様では、培地には、約1~約10体積/体積%の乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイの培養物を接種する。いくつかの態様では、培地に、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約10、約2~約9、約2~約8、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約10、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約10、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約10、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約10、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約10、約7~約9、約7~約8、約8~約10、約8~約9、又は約9~約10体積/体積%の乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイを接種する。
【0052】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイの培養物は、約5~約7OD/mL(光学濃度)の乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイを含む。いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイの培養物は、約5~約6.8、約5~約6.6、約5~約6.4、約5~約6.2、約5~約6、約5~約5.8、約5~約5.6、約5~約5.4、約5~約5.2、約5.2~約7、約5.2~約6.8、約5.2~約6.6、約5.2~約6.4、約5.2~約6.2、約5.2~約6、約5.2~約5.8、約5.2~約5.6、約5.2~約5.4、約5.4~約7、約5.4~約6.8、約5.4~約6.6、約5.4~約6.4、約5.4~約6.2、約5.4~約6、約5.4~約5.8、約5.4~約5.6、約5.6~約7、約5.6~約6.8、約5.6~約6.6、約5.6~約6.4、約5.6~約6.2、約5.6~約6、約5.6~約5.8、約5.8~約7、約5.8~約6.8、約5.8~約6.6、約5.8~約6.4、約5.8~約6.2、約5.8~約6、約6~約7、約6~約6.8、約6~約6.6、約6~約6.4、約6~約6.2、約6.2~約7、約6.2~約6.8、約6.2~約6.6、約6.2~約6.4、約6.4~約7、約6.4~約6.8、約6.4~約6.6、約6.6~約7、約6.6~約6.8、又は約6.8~約7OD/mL(光学濃度)の乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイを含む。
【0053】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイは、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)と同時に培地に接種される。いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイは、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の後に培地に接種される。いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイは、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の約6~約36時間後に培地に接種される。
【0054】
いくつかの態様では、乳酸産生微生物、例えば乳酸菌、例えばラクトバチルス・カゼイは、有機酸産生微生物、例えばプロピオン酸産生微生物、例えばプロピオン酸菌、例えばプロピオン酸菌(NFS-2018)の約6~約36、約6~約30、約6~約24、約6~約18、約6~約12、約12~約36、約12~約30、約12~約24、約12~約18、約18~約36、約18~約30、約18~約24、約24~約36、約24~約30、又は約30~約36時間後に培地に接種される。
【0055】
いくつかの態様では、発酵は、約30~約37℃で実施される。いくつかの態様では、発酵は、約30~約36、約30~約35、約30~約34、約30~約33、約30~約32、約30~約31、約31~約37、約31~約36、約31~約35、約31~約34、約31~約33、約31~約32、約32~約37、約32~約36、約32~約35、約32~約34、約32~約33、約33~約37、約33~約37、約33~約36、約33~約35、約33~約34、約34~約37、約34~約36、約34~約35、約35~約37、約35~約36、又は約36~約37℃で実施される。
【0056】
いくつかの態様では、発酵は、約1~約189,000Lの容量で実施される。いくつかの態様では、発酵は、約1~約180,000、約1~約170,000、約1~約160,000、約1~約150,000、約1~約140,000、約1~約130,000、約1~約120,000、約1~約110,000、約1~約100,000、約1~約90,000、約1~約80,000、約1~約70,000、約1~約60,000、約1~約50,000、約1~約40,000、約1~約30,000、約1~約20,000、約1~約10,000、約10,000~約189,000、約10,000~約180,000、約10,000~約170,000、約10,000~約160,000、約10,000~約150,000、約10,000~約140,000、約10,000~約130,000、約10,000~約120,000、約10,000~約110,000、約10,000~約100,000、約10,000~約90,000、約10,000~約80,000、約10,000~約70,000、約10,000~約60,000、約10,000~約50,000、約10,000~約40,000、約10,000~約30,000、約10,000~約20,000、約20,000~約189,000、約20,000~約180,000、約20,000~約170,000、約20,000~約160,000、約20,000~約150,000、約20000~約140,000、約20,000~約130,000、約20,000~約120,000、約20,000~約110,000、約20,000~約100,000、約20,000~約90,000、約20,000~約80,000、約20,000~約70,000、約20,000~約60,000、約20,000~約50,000、約20,000~約40,000、約20,000~約30,000、約30,000~約189,000、約30,000~約180,000、約30,000~約170,000、約30,000~約160,000、約30,000~約150,000、約30,000~約140,000、約30,000~約130,000、約30,000~約120,000、約30,000~約110,000、約30,000~約100,000、約30,000~約90,000、約30,000~約80,000、約30,000~約70,000、約30,000~約60,000、約30,000~約50,000、約30,000~約40,000、約40,000~約189,000、約40,000~約180,000、約40,000~約170,000、約40,000~約160,000、約50,000~約160,000、約50,000~約150,000、約50000~約140,000、約50,000~約130,000、約50,000~約120,000、約50,000~約110,000、約50,000~約100,000、約50,000~約90,000、約50,000~約80,000、約50,000~約70,000、約50,000~約60,000、約60,000~約189,000、約60,000~約180,000、約60,000~約170,000、約60,000~約160,000、約60,000~約150,000、約60,000~約140,000、約60,000~約130,000、約60,000~約120,000、約60,000~約110,000、約60,000~約100,000、約60,000~約90,000、約60,000~約80,000、約60,000~約70,000、約70000~約189,000、約70,000~約180,000、約70,000~約170,000、約70,000~約160,000、約70,000~約150,000、約70,000~約140,000、約70,000~約130,000、約70,000~約120,000、約70,000~約110,000、約70,000~約100,000、約70,000~約90,000、約70,000~約80,000、約80,000~約189,000、約80,000~約180,000、約80,000~約170,000、約80,000~約160,000、約80,000~約150,000、約80,000~約140,000、約80,000~約130,000、約80,000~約120,000、約80,000~約110,000、約80,000~約100,000、約80,000~約90,000、約90,000~約189,000、約90,000~約180,000、約90,000~約170,000、約90,000~約160,000、約90,000~約150,000、約90,000~約140,000、約90,000~約130,000、約90,000~約120,000、約90,000~約110,000、約90,000~約100,000、約100,000~約189,000、約100,000~約180,000、約100,000~約170,000、約100,000~約160,000、約100,000~約150,000、約100,000~約140,000、約100,000~約130,000、約100,000~約120,000、約100,000~約110,000、約110,000~約189,000、約110,000~約180,000、約110,000~約170,000、約110,000~約160,000、約110,000~約150,000、約110,000~約140,000、約110,000~約130,000、約110,000~約120,000、約120,000~約189,000、約120,000~約180,000、約120,000~約170,000、約120,000~約160,000、約120,000~約150,000、約120,000~約140,000、約120,000~約130,000、約130,000~約189,000、約130,000~約180,000、約130,000~約170,000、約130,000~約160,000、約130,000~約150,000、約130,000~約140,000、約140,000~約189,000、約140,000~約180,000、約140,000~約170,000、約140,000~約160,000、約140,000~約150,000、約150,000~約189,000、約150,000~約180,000、約150,000~約170,000、約150,000~約160,000、約160,000~約189,000、約160,000~約180,000、約160,000~約170,000、約170,000~約189,000、約170,000~約180,000、又は約180,000~約189,000Lの容量で実施される。
【0057】
以下の表は、本方法で使用することができる培地及び培養物についての一般的なパラメーターを示す。
【0058】
【表1】
【0059】
発酵アプローチ
いくつかの異なる発酵アプローチが当技術分野で公知であり、本明細書に記載する方法に使用することができる。
【0060】
いくつかの態様では、発酵は、バッチ式、流加式、逐次バッチ式、反復バッチ式、又は連続バッチ式発酵である。
いくつかの態様では、発酵はバイオリアクター中で実施される。いくつかの態様では、バイオリアクターはPEI-Poraverバイオリアクターである。いくつかの態様では、バイオリアクターは繊維床バイオリアクターである。いくつかの態様では、繊維床バイオリアクターは多点繊維床バイオリアクターである。いくつかの態様では、繊維床バイオリアクターは、植物繊維床バイオリアクターである。
【0061】
いくつかの態様では、発酵は固定化細胞発酵である。
いくつかの態様では、発酵は、反応過程中に追加の培地及び/又は培地成分を添加する。
【0062】
いくつかの態様では、培地に、例えば本明細書に記載するような炭素源、窒素源、ビタミン源、硫酸マグネシウム、又は二リン酸ナトリウムのうちの1以上を添加する。
処理
本明細書に記載する方法は、本明細書に記載する発酵中に産生される有機酸、例えばプロピオン酸の処理及び/又は精製を包含することができる。いくつかの態様では、発酵を終了させ、有機酸を培養物から抽出する。いくつかの態様では、培養物の一部を、発酵が終了する前に処理のために取り出す。いくつかの態様では、発酵を、処理のために取り出された培養物の部分内で終了させる。
【0063】
いくつかの態様では、発酵を、加熱殺菌によって終了させる。いくつかの態様では、発酵を、例えば濾過又は他の物理的手段によって、培養培地から細胞を分離することによって終了させる。
【実施例
【0064】
方法
増殖培地を121℃で1時間滅菌した後、放置して30℃まで冷却した。滅菌後にビタミンB12を添加し、ヘッドスペースは、3Lのバイオリアクターを使用する場合は窒素ガスで2時間置換し、30Lの発酵槽を使用する場合は窒素ガスを48時間散布した。あらかじめ48時間増殖させたプロピオン酸菌を、発酵糖培地に0時間目に接種した。使用する場合、12~24時間後に乳酸菌を発酵槽に添加した。発酵を168時間実施した後、さらなる下流処理のために細胞を1時間にわたり加熱殺菌する。このプロセスは、乳酸菌を添加しないNFS-2018の単培養発酵にも使用した。
実施例1. プロピオン酸菌(NFS-2018)のPA産生-30L反応
プロピオン酸菌(NFS‐2018)を、2%グルコースを添加したM24培地中、嫌気性条件下、30℃で、凍結グリセロールストックから培養した。細胞を、新鮮なM24培地10mLで開始し、次いで50mL(2~3OD/mL)にて48時間毎に継代培養して、1Lのバイオリアクター容器の種として使用した。
【0065】
発酵は、42Lの発酵槽中、30Lの作業容量で行った。25LのddHOを含有する発酵槽に、撹拌しつつ以下を加えた:1.8kgのデキストロース(6%)、250g(1%)の酵母エキス+20gのMgSO(0.08%)、0.15gのMnSO(0.0015%)、75gのNaPO(二塩基性:0.3%)、及び25gのKPO(二塩基性:0.1%)。完全に混合した後、121℃で1時間オートクレーブ処理した。温度を30℃に低下させ、15M NaOHを用いてpHを6に低下させた。ビタミンB12溶液を最終濃度2mg/Lで発酵槽に添加した。発酵槽に、1.5L(5~7OD)のあらかじめ48時間増殖させたプロピオン酸菌(NFS-2018)を接種した。グルコース及び有機酸分析のために、YSIアナライザー及びHPLCをそれぞれ用いて、12~24時間毎に試料を取り出した。発酵試験期間全体にわたり、2~3%グルコースを適宜添加した。168時間後、80℃で1時間の加熱殺菌により発酵を終了させた。ブロスは、さらなる下流処理のために回収した。
【0066】
結果は、発酵槽でNFS‐2018を単独で培養すると、最大PAは168時間で53g/Lに達したことを示した。表1参照。
実施例2. ラクトバチルス・カゼイとの共培養を用いる場合のプロピオン酸菌(NFS-2018)のPA産生-1L反応
プロピオン酸菌(NFS‐2018)及びラクトバチルス・カゼイを、2%グルコースを添加したM24培地中、嫌気性条件下、30℃で、凍結グリセロールストックから培養した。細胞を、新鮮なM24培地10mLで開始し、次いで50mL(2~3OD/mL)にて48時間毎に継代培養して、1Lのバイオリアクター容器のための種として使用した。
【0067】
発酵は、3Lの発酵槽中、1Lの容量で行った。1LのddHOを含有する発酵槽に、攪拌しつつ以下を加えた:70gのデキストロース、10g(1%)の酵母エキス+0.4gのMgSO(0.08%)、3gのNaPO(二塩基性:0.3%)、及び1gのKPO(二塩基性:0.1%)。完全に混合した後、121℃で1時間オートクレーブ処理した。温度を30℃に低下させ、15M NaOHを用いてpHを6に低下させた。ビタミンB12溶液を最終濃度2mg/Lで発酵槽に添加した。0時間目に、発酵槽に、1.5L(5~7OD)のあらかじめ48時間増殖させたプロピオン酸菌(NFS-2018)を接種した。発酵24時間の時点で、1.5Lのラクトバチルス・カゼイ(5~7OD/mL)をバイオリアクターに添加した。グルコース及び有機酸分析のために、YSIアナライザー及びHPLCをそれぞれ用いて、12~24時間毎に試料を取り出した。2~3%のグルコース及び別個の1%の酵母エキスを、発酵試験期間全体にわたり適宜添加した。168時間後、80℃で1時間の加熱殺菌により発酵を終了させた。ブロスは、さらなる下流処理のために回収した。
【0068】
結果は、NFS‐2018及びラクトバチルス・カゼイをバイオリアクターでの共培養として行った場合、最大PAは168時間で68g/Lに達したことを示した。表1参照。
実施例3. ラクトバチルス・カゼイとの共培養を用いる場合のプロピオン酸菌(NFS-2018)のPA産生-30L反応
プロピオン酸菌(NFS‐2018)及びラクトバチルス・カゼイを、2%グルコースを添加したM24培地中、嫌気性条件下、30℃で、凍結グリセロールストックから培養した。細胞を、新鮮なM24培地10mLで開始し、次いで50mL(2~3OD/mL)にて48時間毎に継代培養して、1Lのバイオリアクター容器のための種として使用した。
【0069】
発酵は、42Lの発酵槽中、30Lの容量で行った。25LのddHOを含有する発酵槽に、撹拌しつつ以下を加えた:1.8kgのデキストロース(6%)、250g(1%)の酵母エキス+20g(0.08%)のMgSO、0.15gのMnSO(0.0015%)、75gのNaPO(二塩基性:0.3%)、及び25gのKPO(二塩基性:0.1%)。完全に混合した後、121℃で1時間オートクレーブ処理した。温度を30℃に低下させ、15M NaOHを用いてpHを6.0に低下させた。ビタミンB12溶液を最終濃度2mg/Lで発酵槽に添加した。0時間目に、発酵槽に、1.5L(5~7OD)のあらかじめ48時間増殖させたプロピオン酸菌(NFS-2018)を接種した。12時間後に、1.5L(5~7OD)のあらかじめ48時間増殖させたラクトバチルス・カゼイを添加した。グルコース及び有機酸分析のために、YSIアナライザー及びHPLCをそれぞれ用いて、12~24時間毎に試料を取り出した。発酵試験期間全体にわたり、2~3%グルコースを適宜添加した。168時間後、80℃で1時間の加熱殺菌により発酵を終了させた。ブロスは、さらなる下流処理のために回収した。
【0070】
結果は、NFS‐2018及びラクトバチルス・カゼイをバイオリアクターでの共培養として行った場合、最大PAは168時間で63g/Lに達したことを示した。表1参照。
【0071】
【表2】
【0072】
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図1
図2
図3
【国際調査報告】