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特表2023-513800ヒト4-1BBアゴニスト抗体およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ヒト4-1BBアゴニスト抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230327BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230327BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230327BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230327BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230327BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/28
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549159
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021018276
(87)【国際公開番号】W WO2021167915
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/977,658
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カラン, マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】チン, レニー
(72)【発明者】
【氏名】フォルジェ, マリー-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナチェス, チャンテール
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA06
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA19
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG10
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB64
4C087DA31
4C087MA65
4C087MA66
4C087MA70
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
4-1BBに結合する単離されたモノクローナル抗体または組換えモノクローナル抗体が提供される。いくつかの場合、実施形態の抗体は、癌などのヒト疾患の検出、診断および/または治療的処置のために使用することができる。増えつつある証拠により、抗4-1BBモノクローナル抗体は強い抗腫瘍特性を有することが示されており、これ自体は、その強力なCD8T細胞活性化、IFN-γ産生、および細胞溶解性マーカー誘導能の結果である。しかしながら、改善されたヒト4-1BB抗体のニーズは満たされていない。本開示はこの課題を解決する手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体であって、前記抗体は4-1BBに特異的に結合し、
(a)第1のVCDRは配列番号3と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号5と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号7と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号11と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号13と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号15と同一であるか、または
(a)第1のVCDRは配列番号19と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号21と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号23と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号27と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号29と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号31と同一であるか、または
(a)第1のVCDRは配列番号35と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号37と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号39と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号43と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号45と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号47と同一であるか、または
(a)第1のVCDRは配列番号51と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号53と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号55と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号59と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号61と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号63と同一である
ことを含む、単離されたモノクローナル抗体。
【請求項2】
前記抗体が、
(a)第1のVCDRは配列番号3と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号5と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号7と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号11と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号13と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号15と同一である
ことを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
クローン54のVドメイン(配列番号2)と少なくとも約80%同一のVドメインと、クローン54のVドメイン(配列番号10)と少なくとも約80%同一のVドメインとを含む、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
クローン54のVドメイン(配列番号2)と少なくとも約90%同一のVドメインと、クローン54のVドメイン(配列番号10)と少なくとも約90%同一のVドメインとを含む、請求項2に記載の抗体。
【請求項5】
クローン54のVドメイン(配列番号2)と同一のVドメインと、クローン54のVドメイン(配列番号10)と同一のVドメインとを含む、請求項2に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、
(a)第1のVCDRは配列番号19と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号21と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号23と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号27と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号29と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号31と同一である
ことを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
クローン135BのVドメイン(配列番号18)と少なくとも約80%同一のVドメインと、クローン135BのVドメイン(配列番号26)と少なくとも約80%同一のVドメインとを含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
クローン135BのVドメイン(配列番号18)と少なくとも約90%同一のVドメインと、クローン135BのVドメイン(配列番号26)と少なくとも約90%同一のVドメインとを含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項9】
クローン135BのVドメイン(配列番号18)と同一のVドメインと、クローン135BのVドメイン(配列番号26)と同一のVドメインとを含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、
(a)第1のVCDRは配列番号35と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号37と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号39と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号43と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号45と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号47と同一である
ことを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
クローン138のVドメイン(配列番号34)と少なくとも約80%同一のVドメインと、クローン138のVドメイン(配列番号42)と少なくとも約80%同一のVドメインとを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
クローン138のVドメイン(配列番号34)と少なくとも約90%同一のVドメインと、クローン138のVドメイン(配列番号42)と少なくとも約90%同一のVドメインとを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項13】
クローン138のVドメイン(配列番号34)と同一のVドメインと、クローン138のVドメイン(配列番号42)と同一のVドメインとを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、
(a)第1のVCDRは配列番号51と同一であり、
(b)第2のVCDRは配列番号53と同一であり、
(c)第3のVCDRは配列番号55と同一であり、
(d)第1のVCDRは配列番号59と同一であり、
(e)第2のVCDRは配列番号61と同一であり、かつ
(f)第3のVCDRは配列番号63と同一である
ことを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項15】
クローン49AのVドメイン(配列番号50)と少なくとも約80%同一のVドメインと、クローン49AのVドメイン(配列番号58)と少なくとも約80%同一のVドメインとを含む、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
クローン49AのVドメイン(配列番号50)と少なくとも約90%同一のVドメインと、クローン49AのVドメイン(配列番号58)と少なくとも約90%同一のVドメインとを含む、請求項14に記載の抗体。
【請求項17】
クローン49AのVドメイン(配列番号50)と同一のVドメインと、クローン49AのVドメイン(配列番号58)と同一のVドメインとを含む、請求項14に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が組換えである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が、IgG、IgM、IgAまたはその抗原結合フラグメントである、請求項1に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、一価scFv、二価scFvまたは単一ドメイン抗体である、請求項1から19までのいずれか1項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、ヒト、ヒト化抗体または脱免疫化抗体である、請求項1のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、イメージング剤、化学療法剤、毒素または放射性核種にコンジュゲートされる、請求項1から21までのいずれか1項に記載の抗体。
【請求項23】
薬学的に許容され得る担体中に請求項1から22までのいずれか1項に記載の抗体を含む組成物。
【請求項24】
請求項1から21までのいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項25】
クローン54のVドメインのCDR1~3(配列番号3、5および7)、クローン135BのVドメインのCDR1~3(配列番号19、21および23)、クローン138のVドメインのCDR1~3(配列番号35、37および39)、またはクローン49AのVドメインのCDR1~3(配列番号51、53および55)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチド。
【請求項26】
54のVドメインのCDR1~3(配列番号11、13および15)、135BのVドメインのCDR1~3(配列番号27、29および31)、138のVドメインのCDR1~3(配列番号43、45および47)、または49AのVドメインのCDR1~3(配列番号59、61および63)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチド。
【請求項27】
クローン54のVドメインのCDR1~3(配列番号3、5および7)を含む抗体Vドメインおよび54のVドメインのCDR1~3(配列番号11、13および15)を含む抗体Vドメイン;クローン135BのVドメインのCDR1~3(配列番号19、21および23)を含む抗体Vドメインおよび135BのVドメインのCDR1~3(配列番号27、29および31)を含む抗体Vドメイン;クローン138のVドメインのCDR1~3(配列番号35、37および39)を含む抗体Vドメインおよび138のVドメインのCDR1~3(配列番号43、45および47)を含む抗体Vドメイン;またはクローン49AのVドメインのCDR1~3(配列番号51、53および55)を含む抗体Vドメインおよび49AのVドメインのCDR1~3(配列番号59、61および63)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチド。
【請求項28】
請求項25から27までのいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項29】
請求項1から21までのいずれか1項に記載の抗体または請求項25から27までのいずれか1項に記載の組換えポリペプチドをコードする1またはそれを超えるポリヌクレオチド分子を含む宿主細胞。
【請求項30】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、線毛細胞または昆虫細胞である、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
抗体を製造する方法であって、
(a)請求項1から21までのいずれか1項に記載の抗体のV鎖およびV鎖をコードする1またはそれを超えるポリヌクレオチド分子を細胞において発現させるステップと、
(b)前記細胞から前記抗体を精製するステップと
を含む、方法。
【請求項32】
癌を有する対象を処置する方法であって、有効量の請求項1から21までのいずれか1項に記載の抗体を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項33】
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌または皮膚癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗体が薬学的に許容され得る組成物中にある、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体を全身投与する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記抗体を、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所的に投与する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも第2の抗癌療法を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の抗癌療法が、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法またはサイトカイン療法である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の抗癌療法が養子T細胞療法を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の抗癌療法が免疫療法を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫療法が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体および/または抗PD1抗体である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
免疫チェックポイント阻害剤が、ヒトプログラム細胞死1(PD-1)結合アンタゴニスト、PDL1結合アンタゴニストまたはPDL2結合アンタゴニストである、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記PD-1結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記PD-1結合アンタゴニストが、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、CT-011(ピジリズマブ)、BMS-936559(MDX-1105)、MPDL328OA(アテゾリズマブ)またはAMP-224(PD-L2 Fc融合タンパク質)である、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月17日に出願された米国仮特許出願第62/977,658号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
「UTFCP1467WO_ST25.txt」という名前のファイルに含まれる、23KB(Microsoft Windows(登録商標)で測定)で2021年2月16日に作成された配列表は、電子送信により本明細書と共に提出され、参照により本明細書に組み込まれる。
背景
1.分野
本発明は、概して分子生物学の分野に関する。より具体的には、腫瘍壊死因子スーパーファミリー受容体(TNF-FSFR;4-1BB;CD137)アゴニスト抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである4-1BB(CD137)は、活性化誘導T細胞共刺激分子(Vinay and Kwon,2012)である。4-1BBを介したシグナル伝達は、生存遺伝子を上方制御し、細胞分裂を増強し、サイトカイン産生を誘導し、T細胞における活性化誘導細胞死を防止する。4-1BB経路の重要性は、癌を含む多くの疾患において強調されている。増えつつある証拠により、抗4-1BBモノクローナル抗体は強い抗腫瘍特性を有することが示されており、これ自体は、その強力なCD8T細胞活性化、IFN-γ産生、および細胞溶解性マーカー誘導能の結果である。さらに、抗4-1BBと放射線などの他の抗癌療法との併用療法は、非免疫原性または免疫原性が低い腫瘍に対してロバストな腫瘍退縮能力を有する。さらに、以前に腫瘍処置された動物からの生体外(ex vivo)抗4-1BB活性化CD8T細胞の養子移入は、新鮮な腫瘍が接種されたレシピエントマウスにおける腫瘍の進行を効率的に阻害する。さらに、4-1BBに対する4-1BBLのバリアントによる腫瘍の標的化も、強力な抗腫瘍効果を有する。しかしながら、改善されたヒト4-1BB抗体のニーズは満たされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Vinay and Kwon, Mol Cancer Ther, 11(5): 1062-70, 2012.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
第一の実施形態では、本開示は、単離されたモノクローナル抗体を提供し、この抗体は、4-1BBに特異的に結合し、(a)第1のVCDRは配列番号3と同一であり、(b)第2のVCDRは配列番号5と同一であり、(c)第3のVCDRは配列番号7と同一であり、(d)第1のVCDRは配列番号11と同一であり、(e)第2のVCDRは配列番号13と同一であり、かつ(f)第3のVCDRは配列番号15と同一であるか、または(a)第1のVCDRは配列番号19と同一であり、(b)第2のVCDRは配列番号21と同一であり、(c)第3のVCDRは配列番号23と同一であり、(d)第1のVCDRは配列番号27と同一であり、(e)第2のVCDRは配列番号29と同一であり、かつ(f)第3のVCDRは配列番号31と同一であるか、または(a)第1のVCDRは配列番号35と同一であり、(b)第2のVCDRは配列番号37と同一であり、(c)第3のVCDRは配列番号39と同一であり、(d)第1のVCDRは配列番号43と同一であり、(e)第2のVCDRは配列番号45と同一であり、かつ(f)第3のVCDRは配列番号47と同一であるか、または(a)第1のVCDRは配列番号51と同一であり、(b)第2のVCDRは配列番号53と同一であり、(c)第3のVCDRは配列番号55と同一であり、(d)第1のVCDRは配列番号59と同一であり、(e)第2のVCDRは配列番号61と同一であり、かつ(f)第3のVCDRは配列番号63と同一であることを含む。
【0006】
いくつかの態様では、抗体は、クローン54のVドメイン(配列番号2)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインと、クローン54のVドメイン(配列番号10)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインとを含む。特定の態様では、抗体は、クローン54のVドメイン(配列番号2)と同一のVドメインと、クローン54のVドメイン(配列番号10)と同一のVドメインとを含む。
【0007】
特定の態様では、抗体は、クローン135BのVドメイン(配列番号18)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインと、クローン135BのVドメイン(配列番号26)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインとを含む。特定の態様では、抗体は、クローン135BのVドメイン(配列番号18)と同一のVドメインと、クローン135BのVドメイン(配列番号26)と同一のVドメインとを含む。
【0008】
いくつかの態様では、抗体は、クローン138のVドメイン(配列番号34)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインと、クローン138のVドメイン(配列番号42)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインとを含む。特定の態様では、抗体は、クローン138のVドメイン(配列番号34)と同一のVドメインと、クローン138のVドメイン(配列番号42)と同一のVドメインとを含む。
【0009】
いくつかの態様では、抗体は、クローン49AのVドメイン(配列番号50)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインと、クローン49AのVドメイン(配列番号58)と少なくとも約80%同一、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のVドメインとを含む。特定の態様では、抗体は、クローン49AのVドメイン(配列番号50)と同一のVドメインと、クローン49AのVドメイン(配列番号58)と同一のVドメインとを含む。
【0010】
特定の態様では、抗体は組換えである。いくつかの態様では、抗体は、IgG、IgM、IgAまたはその抗原結合フラグメントである。特定の態様では、抗体は、Fab’、F(ab’)2、F(ab’)3、一価scFv、二価scFv、または単一ドメイン抗体である。特定の態様では、抗体は、ヒト、ヒト化抗体または脱免疫化抗体である。更なる態様では、抗体は、イメージング剤、化学療法剤、毒素または放射性核種にコンジュゲートされる。
【0011】
更なる実施形態は、薬学的に許容され得る担体中に本実施形態の抗体を含む組成物を提供する。本実施形態の抗体をコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子も本明細書で提供される。
【0012】
別の実施形態は、クローン54のVドメインのCDR1~3(配列番号3、5および7)、クローン135BのVドメインのCDR1~3(配列番号19、21および23)、クローン138のVドメインのCDR1~3(配列番号35、37および39)、またはクローン49AのVドメインのCDR1~3(配列番号51、53および55)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチドを提供する。
【0013】
更なる実施形態は、54のVドメインのCDR1~3(配列番号11、13および15)、135BのVドメインのCDR1~3(配列番号27、29および31)、138のVドメインのCDR1~3(配列番号43、45および47)、または49AのVドメインのCDR1~3(配列番号59、61および63)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチドを提供する。
【0014】
なお更なる実施形態では、クローン54のVドメインのCDR1~3(配列番号3、5および7)を含む抗体Vドメインおよび54のVドメインのCDR1~3(配列番号11、13および15)を含む抗体Vドメイン;クローン135BのVドメインのCDR1~3(配列番号19、21および23)を含む抗体Vドメインおよび135BのVドメインのCDR1~3(配列番号27、29および31)を含む抗体Vドメイン;クローン138のVドメインのCDR1~3(配列番号35、37および39)を含む抗体Vドメインおよび138のVドメインのCDR1~3(配列番号43、45および47)を含む抗体Vドメイン;またはクローン49AのVドメインのCDR1~3(配列番号51、53および55)を含む抗体Vドメインおよび49AのVドメインのCDR1~3(配列番号59、61および63)を含む抗体Vドメインを含む組換えポリペプチドが提供される。
【0015】
更なる実施形態は、本実施形態のポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本実施形態の抗体または本実施形態の組換えポリペプチドをコードする1またはそれを超えるポリヌクレオチド分子を含む宿主細胞も本明細書で提供される。いくつかの態様では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、酵母細胞、細菌細胞、線毛細胞または昆虫細胞である。
【0016】
別の実施形態は、抗体を製造する方法であって、(a)本実施形態の抗体のV鎖およびV鎖をコードする1またはそれを超えるポリヌクレオチド分子を細胞において発現させるステップと、(b)細胞から抗体を精製するステップとを含む、方法を提供する。
【0017】
更なる実施形態は、有効量の本実施形態の抗体を対象に投与するステップを含む、癌を有する対象を処置する方法を提供する。
【0018】
一部の態様では、癌は、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌または皮膚癌である。
【0019】
特定の態様では、抗体は薬学的に許容され得る組成物中にある。いくつかの態様では、抗体は全身投与される。いくつかの態様では、抗体は、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下または局所的に投与される。
【0020】
更なる態様では、方法は、少なくとも第2の抗癌療法を対象に投与するステップをさらに含む。いくつかの態様では、第2の抗癌療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法またはサイトカイン療法である。特定の態様では、第2の抗癌療法は、養子T細胞療法を含む。いくつかの態様では、第2の抗癌療法は、免疫療法を含む。特定の態様では、免疫療法は、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体および/または抗PD1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤である。特定の態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、ヒトプログラム細胞死1(PD-1)結合アンタゴニスト、PDL1結合アンタゴニストまたはPDL2結合アンタゴニストである。いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、CT-011、BMS 936559、MPDL328OAまたはAMP-224である。
【0021】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内のさまざまな変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および特定の例は、本発明の特定の実施形態を示すが、単なる例示として与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによってよりよく理解され得る。
【0023】
図1A-1】図1A~1B:複数の高親和性抗ヒト4-1BB抗体が生成された。(図1A)組換えヒト4-1BBに対する最初の融合後抗体上清のELISA結果を示す。(図1B)4-1BBモノクローナル抗体クローンの滴定曲線。
図1A-2】図1A~1B:複数の高親和性抗ヒト4-1BB抗体が生成された。(図1A)組換えヒト4-1BBに対する最初の融合後抗体上清のELISA結果を示す。(図1B)4-1BBモノクローナル抗体クローンの滴定曲線。
図1B図1A~1B:複数の高親和性抗ヒト4-1BB抗体が生成された。(図1A)組換えヒト4-1BBに対する最初の融合後抗体上清のELISA結果を示す。(図1B)4-1BBモノクローナル抗体クローンの滴定曲線。
【0024】
図2A図2A~2B:本クローン54 4-1BB抗体(本明細書ではCurranlumabと呼ぶ)はヒトTILを高効率で増幅する。クローン54の2つのバリアント(Curranlumab)を使用して、患者腫瘍塊からヒト腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を増幅し、純粋な増殖したCD8T細胞産物の生成における各々の効率をウレルマブ(BMS-663513)と比較した。
図2B図2A~2B:本クローン54 4-1BB抗体(本明細書ではCurranlumabと呼ぶ)はヒトTILを高効率で増幅する。クローン54の2つのバリアント(Curranlumab)を使用して、患者腫瘍塊からヒト腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を増幅し、純粋な増殖したCD8T細胞産物の生成における各々の効率をウレルマブ(BMS-663513)と比較した。
【0025】
図3図3:Ig可変ドメインプライマーのいくつかの組み合わせを使用したPCR。アスタリスクは、VH鎖およびVL鎖の正しい抗体転写物を示す。観察された残りのPCRバンドは、配列決定によって確認された異常な転写物である。
【0026】
図4A図4A~4B:神経膠芽腫および結腸直腸癌腫瘍が単離され、腫瘍浸潤T細胞を、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのいずれかとして41BBアゴニスト抗体クローン54を使用して増幅した。増幅の程度、CD8パーセントおよびCD4パーセントを示す。膠芽腫および結腸直腸癌患者の腫瘍からの総TILを、クローン54 IgG1およびクローン54 IgG1で増幅した(図4A)。増殖法によって生成されたCD3+CD8+TILまたはCD3+CD4+TILの百分率(図4B)。
図4B図4A~4B:神経膠芽腫および結腸直腸癌腫瘍が単離され、腫瘍浸潤T細胞を、ヒトIgG1またはマウスIgG2aのいずれかとして41BBアゴニスト抗体クローン54を使用して増幅した。増幅の程度、CD8パーセントおよびCD4パーセントを示す。膠芽腫および結腸直腸癌患者の腫瘍からの総TILを、クローン54 IgG1およびクローン54 IgG1で増幅した(図4A)。増殖法によって生成されたCD3+CD8+TILまたはCD3+CD4+TILの百分率(図4B)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例示的な実施形態の説明
4-1BBおよびCD137としても知られる腫瘍壊死因子スーパーファミリー受容体(TNFSFR)は、T細胞、NK細胞、および抗原提示樹状細胞を含む骨髄細胞の活性化を共刺激する。CD8 T細胞では、4-1BB活性化により、それらの増殖、細胞傷害性、サイトカイン産生、ミトコンドリア質量および生存率が増加する。したがって、本研究では、4-1BBアゴニスト抗体を生成した。ヒト4-1BBを標的とする抗体を生成すべく、マウスを細胞ワクチンと組換えタンパク質ベースのワクチンとで交互に免疫した。多くのリード候補の中で、さまざまなマウスアイソタイプおよびヒトアイソタイプにおいて配列決定および発現されたクローン54 4-1BB抗体を選択した。本研究は、クローン54 4-1BB抗体のIgG2aバージョンが非常に効率的に腫瘍浸潤CD8 T細胞を増幅および成熟させることを見出した。
【0028】
したがって、特定の実施形態では、本開示は、ヒト4-1BBアゴニスト抗体、特に4-1BB IgG2aアゴニストモノクローナル抗体を提供する。本抗体は、GMPに準拠した条件下で製造され得る。本抗体は、単一特異性または二重特異性フォーマットで患者に使用され得る。更なる態様では、本抗体は、免疫療法として単独で、または免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1抗体または抗CTLA4抗体)などの追加の免疫療法と組み合わせて、癌患者に投与され得る。
【0029】
I.定義
本明細書で使用される場合、特定の成分に関して「本質的に含まない」とは、本明細書では、特定の成分のいずれも組成物に意図的に配合されておらず、かつ/または汚染物質としてもしくは微量でのみ存在することを意味するために使用される。したがって、組成物の全く意図しない汚染から生じる特定の成分の総量は、0.05%をはるかに下回り、好ましくは0.01%を下回る。標準的な分析方法で特定の成分の量を検出することができない組成物が最も好ましい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」という単語と組み合わせて使用される時、「a」または「an」という単語は、1つまたは複数を意味し得る。
【0031】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみと「および/または」とを指す定義を支持する。本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2または第3以上を意味し得る。「約」という用語は、一般に、記載された値プラスまたはマイナス5%を意味する。
【0032】
「処置」および「処置する」とは、疾患または健康関連症状の治療的利益を得る目的で、対象への治療剤の投与もしくは適用、または対象に手技もしくはモダリティを実施することを指す。
【0033】
「対象」および「患者」は、ヒトまたは非ヒトのいずれか、例えば霊長類、哺乳動物および脊椎動物を指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0034】
本出願を通して使用される「治療上の利益」または「治療上有効な」という用語は、この症状の医学的処置に関して対象の幸福を促進または増強するものを指す。これには、疾患の徴候または症状の頻度または重症度の低下が含まれるが、これらに限定されない。例えば、癌の処置は、例えば、腫瘍のサイズの縮小、腫瘍の侵襲性の低下、癌の成長速度の低下、または転移の予防を含み得る。癌の処置はまた、癌を有する対象の生存を延長することを指し得る。
【0035】
「抗癌」剤は、例えば、癌細胞の死滅を促進すること、癌細胞のアポトーシスを誘導すること、癌細胞の増殖速度を低下させること、転移の発生率または数を減少させること、腫瘍サイズを減少させること、腫瘍増殖を阻害すること、腫瘍もしくは癌細胞への血液供給を減少させること、癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進すること、癌の進行を予防もしくは阻害すること、または癌を有する対象の寿命を延ばすことによって、対象の癌細胞/腫瘍にマイナスの影響を及ぼすことができる。
【0036】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す限り抗体フラグメントを包含する。
【0037】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、例えば、集団を構成する個々の抗体は、予想される突然変異、例えば、少量で存在し得る自然発生突然変異を除いて同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、抗体の特徴が個別の抗体の混合物ではないことを示す。特定の実施形態では、かかるモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、ここで、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られた。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローンまたは組換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンからのユニークなクローンの選択であり得る。選択された標的結合配列は、例えば、標的に対する親和性を改善するために、標的結合配列をヒト化するために、細胞培養におけるその産生を改善するために、インビボでのその免疫原性を低下させるために、多重特異性抗体を作製するためになど、さらに改変され得ること、および改変された標的結合配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることを理解されたい。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、典型的には他の免疫グロブリンによって汚染されないという点で有利である。
【0038】
「接触させた」および「曝露した」という用語は、細胞に適用された時、治療コンストラクトおよび化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接並置されるプロセスを説明するために本明細書で使用される。細胞死滅を達成するために、例えば、両方の薬剤は、細胞を死滅させるか、または細胞が分裂するのを防ぐのに有効な合計量で細胞に送達される。
【0039】
「免疫チェックポイント」という用語は、免疫系のタンパク質などの分子であって、免疫反応のバランスをとるべく、その成分に阻害シグナルを提供するものを指す。既知の免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA-4、PD1ならびにそのリガンドPD-L1およびPD-L2、さらにLAG-3、BTLA、B7H3、B7H4、TIM 3、KIRを含む。LAG3、BTLA、B7H3、B7H4、TIM3およびKIRを含む経路は、CTLA-4およびPD-1依存性経路と同様の免疫チェックポイント経路を構成することが当該技術分野で認識されている(例えば、Pardoll,2012;Mellmanら、2011を参照されたい)。
【0040】
「免疫チェックポイント阻害剤」は、免疫チェックポイントタンパク質の機能を阻害する任意の化合物を指す。阻害には、機能の低下および完全な遮断が含まれる。特に、免疫チェックポイントタンパク質は、ヒト免疫チェックポイントタンパク質である。したがって、免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、特に、ヒト免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である。
【0041】
II.抗41BB抗体
特定の実施形態では、4-1BBの少なくとも一部に結合し、シグナル伝達を活性化する、例えば免疫応答を刺激する抗体またはそのフラグメントが企図される。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、任意の免疫学的結合剤、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、および遺伝子改変IgG、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドを広く指すことを意図している。抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、もしくは抗原結合抗体フラグメント、または天然もしくは合成リガンドからなる群から選択され得る。好ましくは、抗41BB抗体は、モノクローナル抗体またはヒト化抗体である。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗41BB抗体は、配列番号2の重鎖のCDR1~3(GYSFTDYN(配列番号3)、INPNYGTT(配列番号5)およびARSPVEDYFDY(配列番号7)と、配列番号10の軽鎖のCDR1~3(SSVSSSY(配列番号11)、STS(配列番号13)およびQQYSGYPLIT(配列番号15))とを含む。抗41BB抗体は、配列番号1、2、9または10と少なくとも80%、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有し得る。抗41BB抗体は、配列番号17、18、25または26と少なくとも80%、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有し得る。抗41BB抗体は、配列番号33、34、41または42と少なくとも80%、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有し得る。抗41BB抗体は、配列番号49、50、57または58と少なくとも80%、例えば85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%の配列同一性を有し得る。重鎖配列および軽鎖配列を以下に示す。
フレーム1(FR1)(77-505位)IgG2aから始まるクローン54 4-1BB VHコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
GAGTTCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGCGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGTTACTCATTCACTGACTACAACATGAACTGGGTGAAGCAGAGCAATGGAAAGAGCCTTGAGTGGATTGGAGTAATTAATCCTAACTATGGTACTACTAGCTACAATCAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTTACTGTAGACCAATCTTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAACAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCAGTCTATTACTGTGCAAGATCCCCGGTAGAGGACTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAGCCAAAACAACAGCCCCATCGGTCTATCCACTGGCCCCTGTGTGTGGAGGTACAACTGGCTCCTCGGTGACTCTA(配列番号1)

アミノ酸配列:
EFQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYSFTDYNMNWVKQSNGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATFTVDQSSSTAYMQLNSLTSEDSAVYYCARSPVEDYFDYWGQGTTLTVSSAKTTAPSVYPLAPVCGGTTGSSVTL(配列番号2)

CDR1:
GYSFTDYN(配列番号3)
GGTTACTCATTCACTGACTACAAC(配列番号4)

CDR2:
INPNYGTT(配列番号5)
ATTAATCCTAACTATGGTACTACT(配列番号6)

CDR3:
ARSPVEDYFDY(配列番号7)
GCAAGATCCCCGGTAGAGGACTACTTTGACTAC(配列番号8)

フレーム1(FR1)(91~470位)から始まるVLコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
GAAAATGTGCTCACCCAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAAAAGGTCACCATGACCTGCAGGGCCAGGTCAAGTGTAAGTTCCAGTTACTTGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGTGCCTCCCCCAAACTCTGGATTTATAGCACATCCAACTTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGTGTGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCAGCAGTACAGTGGTTACCCACTCATCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGA
GCTGAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTCCCACCATCCAGTGAGCAGTT(配列番号9)

アミノ酸配列:
ENVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRARSSVSSSYLHWYQQKSGASPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSVEAEDAATYYCQQYSGYPLITFGAGTKLELKRADAAPTVSIFPPSSEQ(配列番号10)

CDR1:
SSVSSSY(配列番号11)
TCAAGTGTAAGTTCCAGTTAC(配列番号12)

CDR2:
STS(配列番号13)
AGCACATCC(配列番号14)

CDR3:
QQYSGYPLIT(配列番号15)
CAGCAGTACAGTGGTTACCCACTCATCACG(配列番号16)

フレーム1(FR1)(45~407位)IgG1から始まるクローン135B 4-1BB VHコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
AGGTGAAGCTGCAGCAGTCAGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGTAAGGCTTCTGGATACACGTTCACTGACTACTACATGAACTGGGTGAAGCAGAGCCATGGAAAGAGCCTTGAGTGGATTGGAGATATTAATCCTAACAATGATGGTACTACCTACTACAACCAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACAAGTCCTCCAGCACAGCCTACATGGAGCTCCGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCAGTCTATTACTGTGCAAGATCCCTCTACGGTAGTAGCTACTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAG(配列番号17)

アミノ酸配列:
VKLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYTFTDYYMNWVKQSHGKSLEWIGDINPNNDGTTYYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARSLYGSSYYFDYWGQGTTLTVSS(配列番号18)

CDR1:
GYTFTDYY(配列番号19)
GGATACACGTTCACTGACTACTAC(配列番号20)

CDR2:
INPNNDGT(配列番号21)
ATTAATCCTAACAATGATGGTACT(配列番号22)

CDR3:
ARSLYGSSYYFDY(配列番号23)
GCAAGATCCCTCTACGGTAGTAGCTACTACTTTGACTAC(配列番号24)

フレーム1(FR1)(46~379位)から始まるVLコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
GATATTGTGATGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGGGCCACCATCTCATACAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTATATGCACTGGAACCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAGACTCCTCATCTATCTTGTATCCAACCTAGAATCTGGGATCCCAGCCAGGTTTAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCTATTACTGTCAGCAAAGTAATGAGGACCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAC(配列番号25)

アミノ酸配列:
DIVMTQSPASLAVSLGQRATISYRASKSVSTSGYSYMHWNQQKPGQPPRLLIYLVSNLESGIPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQQSNEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号26)

CDR1:
KSVSTSGYSY(配列番号27)
AAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTAT(配列番号28)

CDR2:
LVS(配列番号29)
CTTGTATCC(配列番号30)

CDR3:
QQSNEDPWT(配列番号31)
CAGCAAAGTAATGAGGACCCGTGGACG(配列番号32)

フレーム1(FR1)(56~409位)IgG2bから始まるクローン138 4-1BB VHコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
AGGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATGGAATGCACTGGGTTCGTCAGGCTCCAGAGAAGGGGCTGGAGTGGGTTGCATACATTAGTAGTGGCAGTAATTCCATCTACTATGCAGACACAGTGACGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACACCCTGTTCCTGCAAATGACCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCCTCGAATAATGGTTACTTCTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAG(配列番号33)

アミノ酸配列:
VQLQESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSDYGMHWVRQAPEKGLEWVAYISSGSNSIYYADTVTGRFTISRDNAKNTLFLQMTSLRSEDTAMYYCASNNGYFYFDYWGQGTTLTVSS(配列番号34)

CDR1:
GFTFSTYG(配列番号35)
GGATTCACTTTCAGTGACTATGGA(配列番号36)

CDR2:
ISSGSNSI(配列番号37)
ATTAGTAGTGGCAGTAATTCCATC(配列番号38)

CDR3:
ASNNGYFYFDY(配列番号39)
GCCTCGAATAATGGTTACTTCTACTTTGACTAC(配列番号40)

フレーム1(FR1)(63~378位)から始まるVLコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
ATTGTGATCACCCAGTCTCCAGCAATCCTGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACAATGACTTGCAGGGCCAGCTCAAGTGTAAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGCCAGGATCCTCCCCCAAACCCTGGATTTATGCCACATCCAACCTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAGTCAGCAGAGTGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCAGCAGTGGAGTAGTGACCCATTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAAC(配列番号41)

アミノ酸配列:
IVITQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYMHWYQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTVSRVEAEDAATYYCQQWSSDPFTFGSGTKLEIK(配列番号42)

CDR1:
SSVSY(配列番号43)
TCAAGTGTAAGTTAC(配列番号44)

CDR2:
ATS(配列番号45)
GCCACATCC(配列番号46)

CDR3:
QQWSSDPFT(配列番号47)
CAGCAGTGGAGTAGTGACCCATTCACG(配列番号48)

フレーム1(FR1)(65~427位)IgG1から始まるクローン49A4-1BB VHコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
AGGTGAAACTGCAGCAGTCAGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGTAAGGCTTCTGGATACACGTTCACTGACTACTACATGAACTGGGTGAAGGAGAGCCATGGAAAGAGCCTTGAGTGGATTGGAGATATTAATCCTAACAATGGTGGTTCTACCTACTACAACCAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGAGAAGTCCTCCAGCACAGCCTTCATGGAGCTCCGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCAGTCTATTACTGTGCAAGATCCCTCTACGGTAGTACCTACTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCCCTCTCACAGTCTCCTCAG(配列番号49)

アミノ酸配列:
VKLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYTFTDYYMNWVKESHGKSLEWIGDINPNNGGSTYYNQKFKGKATLTVEKSSSTAFMELRSLTSEDSAVYYCARSLYGSTYYFDYWGQGTPLTVSS(配列番号50)

CDR1:
GYTFTDYY(配列番号51)
GGATACACGTTCACTGACTACTAC(配列番号52)

CDR2:
INPNNGGS(配列番号53)
ATTAATCCTAACAATGGTGGTTCT(配列番号54)

CDR3:
ARSLYGSTYYFDY(配列番号55)
GCAAGATCCCTCTACGGTAGTACCTACTACTTTGACTAC(配列番号56)

フレーム1(FR1)(55~388位)から始まるVLコンセンサス配列
ヌクレオチド配列:
GATATTGTGCTGACCCAGTCTCCAGCTTCTTTGGCTGTGTCTCTAGGGCAGAGGGCCACCATCTCCTGCAAGGCCAGCCAAAGTGTTGATTATGATGGTGATAGTTATATGAACTGGTACCAACAGAAGCCAGGACAGCCACCCAAACTCCTCATCTATGCTGCATCCAATCTAGAATCTGGGATCCCAGCCAGGTTTAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGGAACCTATTACTGTCAGCAAAGTAATGACGATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAC(配列番号57)

アミノ酸配列:
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCKASQSVDYDGDSYMNWYQQKPGQPPKLLIYAASNLESGIPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAGTYYCQQSNDDPWTFGGGTKLEIK(配列番号58)

CDR1:
QSVDYDGDSY(配列番号59)
CAAAGTGTTGATTATGATGGTGATAGTTAT(配列番号60)

CDR2:
AAS(配列番号61)
GCTGCATCC(配列番号62)

CDR3:
QQSNDDPWT(配列番号63)
CAGCAAAGTAATGACGATCCGTGGACG(配列番号64)
【0043】
したがって、公知の手段によってかつ本明細書中に記載されるように、4-1BB、そのそれぞれのエピトープの1もしくはそれを超えるもの、または前述のいずれかのコンジュゲートに特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、抗体フラグメント、ならびに結合ドメインおよびCDR(前述のいずれかの操作された形態を含む)を、かかる抗原もしくはエピトープが天然源から単離されるか、または天然化合物の合成誘導体もしくはバリアントであるかどうかとは無関係に作製することができる。
【0044】
本実施形態に適した抗体フラグメントの例としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:(i)V、V、CおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VドメインおよびCH1ドメインからなる「Fd」フラグメント;(iii)単一抗体のVドメインおよびVドメインからなる「Fv」フラグメント;(iv)Vドメインからなる「dAb」フラグメント;(v)単離されたCDR領域;(vi)F(ab’)2フラグメント、2つの連結されたFabフラグメントを含む二価フラグメント;(vii)VドメインおよびVドメインが、2つのドメインが会合して結合ドメインを形成することを可能にするペプチドリンカーによって連結されている、一本鎖Fv分子(「scFv」);(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513号を参照されたい);ならびに(ix)遺伝子融合によって構築されたダイアボディ、多価または多重特異性フラグメント(米国特許出願公開第20050214860号)。Fv、scFv、またはダイアボディ分子は、VおよびVドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定化され得る。CH3ドメインに結合したscFvを含むミニボディも作製され得る(Huら、1996)。
【0045】
抗体様結合ペプチド模倣体も実施形態において企図される。Liuら(2003)は、「抗体様結合ペプチド模倣体」(ABiPs)を記載しており、これはペアードダウン(pared-down)抗体として作用し、より長い血清半減期ならびにそれほど煩雑ではない合成方法の特定の利点を有するペプチドである。
【0046】
4-1BBに特異的な抗体を産生すべく、動物に4-1BB細胞外ドメイン(ECD)タンパク質などの抗原を接種してもよい。多くの場合、抗原は、免疫応答を増強するために別の分子に結合またはコンジュゲートされる。本明細書で使用される場合、コンジュゲートは、動物において免疫応答を誘発するために使用される抗原に結合した任意のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または非タンパク質性物質である。抗原接種に応答して動物において産生される抗体は、Bリンパ球を産生するさまざまな個々の抗体から作製されたさまざまな非同一分子(ポリクローナル抗体)を含む。ポリクローナル抗体は、その各々が同じ抗原上の異なるエピトープを認識し得る抗体種の混合集団である。動物におけるポリクローナル抗体産生のための正しい条件を考慮すると、動物の血清中の抗体のほとんどは、動物が免疫されている抗原化合物上の集合的なエピトープを認識することになる。この特異性は、関心対象の抗原またはエピトープを認識する抗体のみを選択する親和性精製によってさらに増強される。
【0047】
モノクローナル抗体は、すべての抗体産生細胞が単一のBリンパ球細胞株に由来するので、すべての抗体分子が同じエピトープを認識する単一の種の抗体である。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は、一般に、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同じ方針に沿って開始する。いくつかの実施形態では、マウスおよびラットなどの齧歯類は、モノクローナル抗体を生成する際に使用される。いくつかの実施形態では、ウサギ、ヒツジまたはカエル細胞がモノクローナル抗体の生成に使用される。ラットの使用は周知であり、特定の利点を提供し得る。マウス(例えば、BALB/cマウス)は日常的に使用され、一般に高い割合で安定した融合を与える。
【0048】
ハイブリドーマ技術は、4-1BB抗原で予め免疫したマウス由来の単一Bリンパ球と不死性骨髄腫細胞(通常、マウス骨髄腫)との融合を含む。この技術は、同じ抗原またはエピトープ特異性を有する無制限量の構造的に同一の抗体(モノクローナル抗体)が産生され得るように、単一の抗体産生細胞を不特定数の世代にわたって増殖させる方法を提供する。
【0049】
形質B細胞(CD45CD5CD19)を、免疫化ウサギの新たに調製したウサギ末梢血単核細胞から単離し、4-1BB結合細胞についてさらに選択することができる。抗体産生B細胞の濃縮後、全RNAを単離し、cDNAを合成することができる。重鎖および軽鎖の両方からの抗体可変領域のDNA配列を増幅し、ファージディスプレイFab発現ベクターに構築し、大腸菌に形質転換することができる。4-1BB特異的結合Fabは、複数回の濃縮パニングにより選択され、配列決定され得る。選択された4-1BB結合ヒットは、ヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞(Invitrogen社)において哺乳動物発現ベクター系を使用してウサギおよびウサギ/ヒトキメラ形態で完全長IgGとして発現させ、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)分離ユニットを有するプロテインG樹脂を使用して精製され得る。
【0050】
一実施形態では、抗体は、キメラ抗体、例えば、異種の非ヒト、ヒト、またはヒト化配列(例えば、フレームワークおよび/または定常ドメイン配列)に移植された非ヒトドナー由来の抗原結合配列を含む抗体である。モノクローナル抗体の軽鎖定常ドメインおよび重鎖定常ドメインをヒト起源の類似ドメインで置き換え、外来抗体の可変領域をそのままの状態にする方法が開発されている。あるいは「完全ヒト」モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入したマウスで産生される。モノクローナル抗体の可変ドメインをよりヒト型に変換するための方法も、齧歯類、例えばマウスおよびヒトの両方のアミノ酸配列を有する抗体可変ドメインを組換え構築することによって開発されている。「ヒト化」モノクローナル抗体では、超可変CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワークおよび定常領域はヒトアミノ酸配列(米国特許第5,091,513号、同第6,881,557号を参照されたい)に由来する。齧歯類に特徴的な抗体中のアミノ酸配列をヒト抗体の対応する位置に見出されるアミノ酸配列で置き換えることにより、治療的利用中の有害免疫反応の可能性が低減すると考えられる。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞はまた、遺伝子突然変異または他の変化を受ける可能性があり、これによりハイブリドーマが産生される抗体の結合特異性が変化することもあれば、変化しないこともある。
【0051】
さまざまな動物種においてポリクローナル抗体を産生する方法、ならびにヒト化、キメラおよび完全ヒトを含むさまざまなタイプのモノクローナル抗体を産生する方法は、当該技術分野で周知であり、高度に予測可能である。例えば、以下の米国特許および各特許出願は、かかる方法の説明を可能にする。米国特許出願第2004/0126828号および同第2002/0172677号;ならびに米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,196,265号;同第4,275,149号;同第4,277,437号;同第4,366,241号;同第4,469,797号;同第4,472,509号;同第4,606,855号;同第4,703,003号;同第4,742,159号;同第4,767,720号;同第4,816,567号;同第4,867,973号;同第4,938,948号;同第4,946,778号;同第5,021,236号;同第5,164,296号;同第5,196,066号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,420,253号;同第5,565,332号;同第5,571,698号;同第5,627,052号;同第5,656,434号;同第5,770,376号;同第5,789,208号;同第5,821,337号;同第5,844,091号;同第5,858,657号;同第5,861,155号;同第5,871,907号;同第5,969,108号;同第6,054,297号;同第6,165,464号;同第6,365,157号;同第6,406,867号;同第6,709,659号;同第6,709,873号;同第6,753,407号;同第6,814,965号;同第6,849,259号;同第6,861,572号;同第6,875,434号;および同第6,891,024号。本明細書およびその中で引用されるすべての特許、特許出願公開、および他の刊行物は、参照により本出願に組み込まれる。
【0052】
抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物源から産生され得る。好ましくは、抗体は、ヒツジ、マウス(例えば、ネズミおよびラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリである。さらに、より新しい技術は、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリーからのヒト抗体の開発およびスクリーニングを可能にする。例えば、バクテリオファージ抗体発現技術は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,946,546号に記載されているように、動物免疫化の非存在下で特異的抗体を産生することを可能にする。これらの技術は、Marks(1992);Stemmer(1994);Gramら、(1992);Barbasら、(1994);およびSchierら、(1996)にさらに記載されている。
【0053】
4-1BBに対する抗体は、動物種、モノクローナル細胞株、または抗体の他の供給源にかかわらず、4-1BBの効果を中和または打ち消す能力を有することが十分に予想される。特定の動物種は、抗体の「Fc」部分による補体系の活性化に起因するアレルギー反応を引き起こす可能性がより高くなり得るので、治療用抗体を生成するためにあまり好ましくない場合がある。しかしながら、全抗体は、「Fc」(補体結合)フラグメントに、かつ結合ドメインまたはCDRを有する抗体フラグメントに酵素的に消化され得る。Fc部分の除去は、抗原抗体フラグメントが望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性を低下させ、したがって、Fcを含まない抗体は、予防的処置または治療的処置に優先的に用いられ得る。上記のように、抗体はまた、他の種において産生された、または他の種からの配列を有する抗体を動物に投与することから生じる有害な免疫学的結果を低減または排除するために、キメラまたは部分的もしくは完全にヒトであるように構築され得る。
【0054】
置換バリアントは、典型的には、タンパク質内の1またはそれを超える部位で1つのアミノ酸を別のアミノ酸に交換することを含み、他の機能または特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1またはそれを超える特性を調節するように設計され得る。置換は保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が類似の形状および電荷の1つと置き換えられる。保存的置換は当該技術分野で周知であり、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸塩からアスパラギン酸塩;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリンからトレオニン;トレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;バリンからイソロイシンまたはロイシンへの変化が挙げられる。あるいは置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように非保存的であり得る。非保存的変化は、典型的には、残基を化学的に異なる残基、例えば非極性または非荷電アミノ酸の代わりに極性または荷電アミノ酸で置換することを含み、逆もまた同様である。
【0055】
タンパク質は、組換えであってもよく、またはインビトロで合成されてもよい。あるいは非組換えまたは組換えタンパク質を細菌から単離してもよい。かかるバリアントを含有する細菌は、組成物および方法において実現され得ることも企図される。したがって、タンパク質を単離する必要はない。
【0056】
組成物において、約0.001mg~約10mg/mlの総ポリペプチド、ペプチドおよび/またはタンパク質が存在することが企図される。したがって、組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約、または多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml、またはそれを超える(またはその中の導出可能な任意の範囲)であり得る。このうち、約、少なくとも約、または多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%が、4-1BBに結合する抗体であり得る。
【0057】
抗体または好ましくは抗体の免疫学的部分は、他のタンパク質との融合タンパク質に化学的にコンジュゲートされ得るか、または他のタンパク質との融合タンパク質として発現され得る。本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、かかる融合タンパク質はすべて、抗体または抗体の免疫学的部分の定義に含まれる。
【0058】
実施形態は、少なくとも1つの薬剤に連結されて抗体コンジュゲートまたはペイロードを形成する4-1BB、ポリペプチドおよびペプチドに対する抗体および抗体様分子を提供する。診断薬または治療薬としての抗体分子の有効性を高めるために、少なくとも1つの所望の分子または部分を連結または共有結合または複合化することが従来から行われている。かかる分子または部分は、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であり得るが、これらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば細胞傷害活性を有する分子を含む。抗体に付着したエフェクター分子の非限定的な例としては、毒素、治療用酵素、抗生物質、放射性標識ヌクレオチドなどが挙げられる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分として定義される。抗体にコンジュゲートされたレポーター分子の非限定的な例としては、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子またはリガンド、例えばビオチンが挙げられる。
【0059】
抗体をそのコンジュゲート部分に付着またはコンジュゲートさせるためのいくつかの方法が当該技術分野で公知である。いくつかの結合方法は、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド;および/またはテトラクロロ-3-6ージフェニルグリコールウリル-3(tetrachloro-3-6?-diphenylglycouril-3)などの有機キレート剤を採用した金属キレート複合体を抗体に付着させて使用することを含む。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させることもできる。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
【0060】
II.疾患の処置
本実施形態の特定の態様は、4-1BBシグナル伝達に関連する疾患または障害を予防または処理するために使用することができる。本4-1BB抗体は、癌、感染症、炎症性疾患、または自己免疫疾患などの疾患の処置に使用することができる。ワクチンを投与するための更なる方法が提供される。適切なワクチンとしては、例えば、腫瘍細胞ワクチン、DNAワクチン、GM-CSF改変腫瘍細胞ワクチン、または抗原搭載型樹状細胞ワクチンが挙げられる。
【0061】
特定の実施形態では、本実施形態の組成物および方法は、第2または追加の治療と組み合わせて、癌細胞増殖においてその活性を活性化するための4-1BBに対する抗体または抗体フラグメントを含む。
【0062】
したがって、いくつかの実施形態では、有効量の抗41BB抗体を個体に投与するステップを含む、個体において癌を処置するまたは癌の進行を遅延させる方法が本明細書で提供される。処置のために企図される癌の例としては、肺癌、頭頸部癌、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、肺の前癌病変、結腸癌、黒色腫および膀胱癌が挙げられる。
【0063】
いくつかの実施態様では、個体は、1つ以上の抗癌療法に対して耐性である(耐性であることが実証されている)癌を有する。いくつかの実施形態では、抗癌療法に対する耐性には、癌または難治性癌の再発が含まれる。再発は、処置後の元の部位または新しい部位における癌の再出現を指し得る。いくつかの実施形態では、抗癌療法に対する耐性は、抗癌療法による処置中の癌の進行を含む。いくつかの実施形態では、癌は早期段階または末期段階にある。
【0064】
A.医薬製剤
阻害性抗体を含有する治療用組成物の臨床適用が行われる場合、一般に、意図された適用に適切な医薬組成物または治療用組成物を調製することが有益であろう。特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含み得る。他の実施形態では、活性化合物は、単位重量の約2%~約75%、または例えば約25%~約60%、およびその中の導出可能な任意の範囲を含み得る。
【0065】
本実施形態の治療用組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能な組成物の形態で有利に投与される。注射前に液体に溶解または懸濁するのに適した固体形態も調製され得る。これらの調製物は乳化されていてもよい。
【0066】
「医薬的または薬理学的に許容され得る」という語句は、必要に応じてヒトなどの動物に投与した場合に、有害な、アレルギーまたは他の不都合な反応を引き起こさない分子実体および組成物を指す。抗体または更なる活性成分を含む医薬組成物の調製は、本開示に照らして当業者には既知であろう。さらに、動物(例えば、ヒト)投与の場合、製剤は、FDA Office of Biological Standardsによって要求される無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度の基準を満たすべきであることが理解されよう。
【0067】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」としては、当業者に知られているように、任意のおよびすべての水性溶媒(例えば、水、アルコール/水溶液、生理食塩水、非経口賦形剤、例えば塩化ナトリウム、ブドウ糖リンゲル液など)、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチル)、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤または抗真菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガス)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、医薬品添加剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、流体および栄養補給剤、この種の材料およびそれらの組み合わせが挙げられる。医薬組成物中のさまざまな成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメータに従って調整される。
【0068】
「単位用量」または「投与量」という用語は、対象における使用に適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち適切な経路および処置レジメンに関連して上述した所望の応答を生じるように計算された所定量の治療組成物を含有する。投与される量は、処置の回数および単位用量の両方に応じて、所望の効果に依存する。患者または対象に投与される本実施形態の組成物の実際の投与量は、体重、対象の年齢、健康状態および性別、処置されている疾患の種類、疾患の浸透の程度、以前または同時の治療的介入、患者の特発性疾患、投与経路、ならびに特定の治療物質の効力、安定性および毒性などの物理的および生理学的要因によって決定することができる。例えば、用量はまた、投与当たり約1μg/kg/体重~約1000mg/kg/体重(このような範囲には介在用量が含まれる)またはそれ超えるもの、およびその中で導出可能な任意の範囲を含み得る。本明細書に列挙した数から導出可能な範囲の非限定的な例では、約5μg/kg/体重~約100mg/kg/体重、約5μg/kg/体重~約500mg/kg/体重などの範囲を投与することができる。投与を担当する医師は、いずれにしても、組成物中の有効成分の濃度および個々の対象に対する適切な用量を決定する。
【0069】
活性化合物は、非経口投与用に製剤化することができ、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、またはさらには腹腔内経路を介した注射用に製剤化することができる。典型的には、かかる組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製することができる。注射前に液体を添加して溶液または懸濁液を調製するための使用に適した固体形態も調製することができる。製剤を乳化させることもできる。
【0070】
注射使用に適した医薬形態としては、滅菌水溶液または分散液;ゴマ油、落花生油、または水性プロピレングリコールを含む製剤;滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。すべての場合において、形態は無菌でなければならず、容易に注射され得る程度に流動性でなければならない。それはまた、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0071】
タンパク質性組成物は、中性形態または塩形態に製剤化され得る。薬学的に許容され得る塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が挙げられ、これは無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸など、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などで形成される。遊離カルボキシル基で形成された塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。
【0072】
医薬組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒を含むことができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0073】
B.併用処置
特定の実施形態では、本実施形態の組成物および方法は、第2または追加の治療と組み合わせて、その活性を活性化するための4-1BBに対する抗体または抗体フラグメントを含む。例えば、疾患は癌であり得る。
【0074】
併用療法を含む方法および組成物は、治療的効果もしくは保護的効果を増強し、かつ/または別の抗癌療法もしくは抗過剰増殖療法の治療効果を増加させる。治療的および予防的方法ならびに組成物は、癌細胞の死滅および/または細胞過剰増殖の阻害などの所望の効果を達成するのに有効な組み合わせた量で提供することができる。このプロセスは、細胞を抗体または抗体フラグメントと第2の治療薬との両方と接触させることを含み得る。組織、腫瘍または細胞は、1もしくはそれを超える薬剤(すなわち、抗体もしくは抗体フラグメントまたは抗癌剤)を含む1もしくはそれを超える組成物もしくは薬理学的製剤と接触させることができ、または組織、腫瘍および/または細胞を2つもしくはそれを超える異なる組成物もしくは製剤と接触させることによって接触させることができ、1つの組成物は、1)抗体もしくは抗体フラグメント、2)抗癌剤、または3)抗体もしくは抗体フラグメントと抗癌剤との両方を提供する。また、かかる併用療法は、化学療法、放射線療法、外科的療法、または免疫療法と組み合わせて使用することができると企図される。
【0075】
「接触させた」および「曝露した」という用語は、細胞に適用された時、治療コンストラクトおよび化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接並置されるプロセスを説明するために本明細書で使用される。細胞死滅を達成するために、例えば、両方の薬剤は、細胞を死滅させるか、または細胞が分裂するのを防ぐのに有効な合計量で細胞に送達される。
【0076】
阻害性抗体は、抗癌処置の前、間、後、または抗癌処置に対してさまざまな組み合わせで投与され得る。投与は、同時~数分~数日~数週間の範囲の間隔であり得る。抗体または抗体フラグメントが抗癌剤とは別に患者に提供される実施形態では、一般に、2つの化合物が依然として患者に対して有利に組み合わされた効果を発揮することができるように、各送達の時間の間でかなりの期間が経過しないことが保証される。そのような場合、互いに約12~24時間または72時間以内、より具体的には、互いに約6~12時間以内に抗体療法および抗癌療法を患者に提供することができると企図される。いくつかの状況では、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7)~数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)が経過する場合、処置期間を有意に延長することが望ましい場合がある。
【0077】
特定の実施形態では、一連の処置は、1~90日またはそれを超えて続くであろう(このような範囲には介在日数が含まれる)。ある薬剤は、1日目から90日目の任意の日(このような範囲には介在日数が含まれる)またはそれらの任意の組み合わせで投与され得、別の薬剤は、1日目から90日目の任意の日(このような範囲には介在日数が含まれる)またはそれらの任意の組み合わせで投与されることが企図される。1日(24時間)以内に、患者に薬剤を単回または複数回投与することができる。さらに、一連の処置の後、抗癌処置が投与されない期間があることが企図される。この期間は、予後、体力、健康状態などの患者の状態に応じて、1~7日間、および/または1~5週間、および/または1~12ヶ月またはそれを超えて(このような範囲には介在日数が含まれる)継続し得る。処置サイクルは必要に応じて繰り返されることが予想される。
【0078】
さまざまな組み合わせを使用することができる。以下の例では、抗体療法は「A」であり、抗癌療法は「B」である。
【化1】
【0079】
本実施形態の任意の化合物または治療剤の患者への投与は、薬剤の毒性がある場合にはそれを考慮して、かかる化合物の投与のための一般的なプロトコルに従う。したがって、いくつかの実施形態では、併用療法に起因する毒性をモニターするステップが存在する。
【0080】
1.化学療法
本実施形態に従って、多種多様な化学療法剤を使用することができる。「化学療法」という用語は、癌を処置するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の処置において投与される化合物または組成物を含意するために使用される。これらの薬剤または薬物は、例えば、それらが細胞周期に影響を及ぼすかどうか、およびどの段階で影響を及ぼすかなど、細胞内の活性様式によって分類される。あるいは薬剤は、DNAを直接架橋する能力、DNAにインターカレートする能力、または核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体異常および有糸分裂異常を誘導する能力に基づいて特徴付けられ得る。
【0081】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamines)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミドおよびウラシルマスタード;ニトロ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンgammalIおよびカリケアマイシンomegaI1);ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;同様にまた、ネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチンおよびゾルビシン;抗代謝物、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、プテロプテリンおよびトリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリンおよびチオグアニン;ピリミジン誘導体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビンおよびフロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストラクトン;抗アドレナリン、例えばミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトレリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、および上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸または誘導体。
【0082】
2.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広く使用されている他の因子としては、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指向性送達として一般に知られているものが挙げられる。マイクロ波、陽子ビーム照射(米国特許第5,760,395号および同第4,870,287号)、ならびにUV照射などの他の形態のDNA損傷因子も企図される。これらの因子のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の構築および維持に対する広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)にわたる50~200レントゲンの1日線量から2000~6000レントゲンの単回線量までの範囲である。放射性同位元素の線量範囲は広く異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度および種類、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
【0083】
3.免疫療法
当業者は、追加の免疫療法が実施形態の方法と組み合わせてまたは併せて使用され得ることを理解するであろう。癌処置との関連において、免疫療法は、一般に、癌細胞を標的として破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に依存する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体またはキメラ抗原受容体(CAR)を含み得る。更なる態様では、治療は、特定の癌細胞を標的とするT細胞またはNK細胞の投与を含み得る。かかる細胞は、抗癌細胞活性のために操作され得るか、または単に選択され得る。
【0084】
いくつかの態様では、抗体は単独で治療のエフェクターとして機能し得るか、または他の細胞を動員して細胞死滅に実際に影響を及ぼし得る。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲートされ得、標的化剤として機能する。あるいはエフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のいずれかで相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。さまざまなエフェクター細胞としては、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が挙げられる。
【0085】
抗体-薬物コンジュゲートは、癌治療薬の開発への画期的なアプローチとして登場した。癌は、世界における主要な死因の1つである。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞死滅薬に共有結合したモノクローナル抗体(MAb)を含む。このアプローチは、抗原標的に対するMAbの高い特異性を非常に強力な細胞傷害性薬物と組み合わせることで、濃縮されたレベルの抗原を有する腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装型」MAbをもたらす。薬物の標的化送達はまた、正常組織におけるその曝露を最小限に抑え、毒性の減少および治療指数の改善をもたらす。FDAによって2011年にADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)および2013年にKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)の2つのADC薬物が承認されたことは、このアプローチを実証するものであった。現在、癌処置のための臨床試験のさまざまな段階に30を超えるADC薬物候補がある。抗体工学およびリンカー-ペイロード最適化がますます成熟してきているため、新しいADCの発見および開発は、このアプローチおよび標的化MAbの生成に適した新しい標的の同定および検証にますます依存している。ADC標的についての2つの基準は、腫瘍細胞における発現の上方制御/高レベルとロバストな内在化とである。
【0086】
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的化に適した、すなわち他の細胞の大部分に存在しない何らかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも、本実施形態の文脈における標的化に適したものであり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb Bおよびp155が挙げられる。免疫療法の代替的な態様は、抗癌効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNなどのサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8などのケモカイン、およびFLT 3リガンドなどの増殖因子を含む免疫刺激分子も存在する。
【0087】
現在研究中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えばウシ型結核細菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物(米国特許第5,801,005号および同第5,739,169号;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulidesら、1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、IL-1、GM-CSFおよびTNF(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998);遺伝子療法、例えばTNF、IL-1、IL-2およびp53(Qinら、1998;Austin-Ward and Villaseca,1998;米国特許第5,830,880号および同第5,846,945号);モノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2および抗p185(Hollander,2012;Hanibuchiら、1998;米国特許第5,824,311号)である。1またはそれを超える抗癌療法が、本明細書に記載される抗体療法とともに使用され得ることが企図される。
【0088】
いくつかの実施形態では、免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤であり得る。免疫チェックポイントは、シグナルを立ち上げる(例えば、共刺激分子)か、またはシグナルを立ち下げる免疫系の分子である。免疫チェックポイント遮断によって標的とされ得る阻害性チェックポイント分子としては、アデノシンA2A受容体(A2aR)、B7-H3(CD276としても知られる)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CD152としても知られるCTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)ならびにT細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)が挙げられる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0089】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、リガンドまたは受容体の組換え形態などの薬物であり得るか、または特に、ヒト抗体(例えば、国際公開第2015016718号;Pardoll,2012年;両方とも参照により本明細書に組み込まれる)などの抗体である。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の公知の阻害剤が使用され得、特にキメラ化、ヒト化またはヒト型の抗体が使用され得る。当業者であれば理解するように、本開示において言及される特定の抗体については、代替的および/または同等の名称が使用され得る。かかる代替的および/または同等の名称は、本発明の文脈において交換可能である。例えば、ラムブロリズマブは、MK-3475およびペムブロリズマブという代替的および同等の名称でも知られていることが知られている。
【0090】
いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1リガンド結合パートナーはPDL1および/またはPDL2である。別の実施形態では、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PDL1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の実施形態では、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体は、米国特許第8735553号、米国特許第8354509号および米国特許第8008449号に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に提供される方法において使用するための他のPD-1軸アンタゴニストは、米国特許出願第20140294898号、米国特許出願第2014022021号および米国特許出願第20110008369号に記載されるなど当該技術分野で公知であり、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブおよびCT-011からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPDL1またはPDL2の細胞外もしくはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号に記載されている抗PD-1抗体である。ペムブロリズマブは、MK-3475、Merck 3475、ラムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載されている抗PD-1抗体である。hBATまたはhBAT-1としても知られているCT-011は、国際公開第2009/101611号に記載されている抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、国際公開第2010/027827号および国際公開第2011/066342号に記載されているPDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0092】
本明細書で提供される方法で標的とされ得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbank寄託番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞の表面に見出され、抗原提示細胞の表面のCD80またはCD86に結合すると「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上に発現されかつ阻害性シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質CD28に類似しており、両方の分子は、抗原提示細胞上のそれぞれB7-1およびB7-2とも呼ばれるCD80およびCD86に結合する。CTLA4は阻害シグナルをT細胞に伝達し、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA4はまた、制御性T細胞において見出され、それらの機能にとって重要であり得る。T細胞受容体およびCD28によるT細胞活性化は、B7分子の阻害性受容体であるCTLA-4の発現増加をもたらす。
【0093】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0094】
本方法での使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。あるいは当該技術分野で認識されている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、米国特許第8,119,129号、国際公開第01/14424号、国際公開第98/42752号に開示されている抗CTLA-4抗体;国際公開第00/37504号(トレメリムマブとしても知られるCP675,206;以前はチシリムマブ)、米国特許第6,207,156号;Hurwitzら、(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067-10071;Camachoら、(2004)J Clin Oncology 22(145):Abstract No.2505(抗体CP-675206);およびMokyrら、(1998)Cancer Res 58:5301-5304は、本明細書に開示される方法で使用することができる。前述の刊行物の各々の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。CTLA-4への結合に関してこれらの技術分野で認識されている抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願第2001014424号、同第2000037504号および米国特許第8017114号に記載されており、すべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10 D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合フラグメントおよびバリアント(例えば、国際公開第1/14424号を参照されたい)である。他の実施形態では、抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態では、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインと、イピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、上術の抗体と同様に、CTLA-4上の同じエピトープと結合するために競合し、かつ/またはCTLA-4上の同じエピトープに結合する。別の実施形態では、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0096】
CTLA-4を調節するための他の分子としては、米国特許第5844905号、同第5885796号および国際特許出願WO1995001994号および同WO1998042752号(すべて参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているなどのCTLA-4リガンドおよび受容体、ならびに参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8329867号明細書に記載されているなどの免疫接着が挙げられる。
【0097】
4.手術
癌を有する人の約60%は、予防的手術、診断的手術または病期分類手術、治癒的手術および緩和的手術を含む何らかの種類の手術を受けるであろう。治癒的手術としては、癌性組織の全部または一部が物理的に除去、切除および/または破壊される切除が挙げられ、本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法などの他の療法と併せて使用され得る。腫瘍切除術は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除術に加えて、手術による処置としては、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡下手術(モース手術)が挙げられる。
【0098】
癌性細胞、組織または腫瘍の一部または全部を切除すると、体内に空洞が形成され得る。処置は、灌流、直接注射、または追加の抗癌療法による領域の局所適用によって達成され得る。かかる処置は、例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日ごと、または1、2、3、4および5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12ヶ月ごとに繰り返すことができる。これらの処置は、投与量もさまざまであってよい。
【0099】
5.他の薬剤
処置の治療有効性を改善するために、他の薬剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用することができると企図される。これらの追加の薬剤としては、細胞表面受容体およびGAP接合部の上方制御に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導因子に対する過剰増殖性細胞の感受性を増加させる薬剤、または他の生物学的薬剤が挙げられる。GAP接合部の数を増加させることによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団に及ぼす抗過剰増殖効果を増加させるであろう。他の実施形態では、処置の抗過剰増殖効果を改善するために、細胞増殖抑制剤または分化剤を本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用することができる。細胞接着の阻害剤は、本実施形態の有効性を改善するために企図される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増加させる他の薬剤、例えば抗体c225を、処置効力を改善するために本実施形態の特定の態様と組み合わせて使用できることがさらに企図される。
【0100】
III.キットおよび診断
実施形態のさまざまな態様では、治療剤および/または他の治療剤および送達剤を含むキットが想定される。いくつかの実施形態では、本実施形態は、実施形態の治療剤を調製および/または投与するためのキットを企図する。キットは、本実施形態の医薬組成物のいずれかを含有する1またはそれを超える密封バイアルを含み得る。キットは、例えば、少なくとも1つの4-1BB抗体、ならびに実施形態の成分を調製、製剤化および/または投与するための試薬、または本発明による方法の1またはそれを超えるステップを実施するための試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトルまたはチューブなどのキットの構成要素と反応しない容器である適切な容器を含み得る。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から作製されてもよい。
【0101】
キットは、本明細書に記載される方法の手順を概説する説明書をさらに含むことができ、本明細書に記載の実質的に同じ手順に従うか、または当業者に既知である。指示情報は、コンピュータを使用して実行されると、薬学的に有効量の治療剤を送達する実際のまたは仮想の手順を表示させる機械可読命令を含むコンピュータ可読媒体内にあってもよい。
【実施例
【0102】
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することを本発明者が見出した技術を表しており、したがって、その実施のための好ましい形式を構成すると考えられ得ることが当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、同様または類似の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。
【0103】
実施例1-抗41BB抗体の産生および特性評価
マウスを、クローン54(IgG2a)、クローン49A(IgG1)、クローン138(IgG2b)、クローン151(IgG3)およびクローン111A(IgG1)を含むヒト4-1BB(図1)を標的とする抗体を生成すべく、細胞ワクチン(4-1BBを発現するようにレトロウイルス操作されたマクロファージまたは樹状細胞)と組換えタンパク質ベース(FcまたはHISタグを有する組換えヒト4-1BB細胞外領域)ワクチンとで交互に免疫した。クローンの滴定曲線をELISAによって行い、EC50値を決定した(図1B)。
【0104】
RNA抽出:ハイブリドーマ細胞ペレットは、Long Vien(Monoclonal Antibody Core Facility MDACC)によって提供された。ハイブリドーマ細胞ペレットから全mRNAを抽出した。RNA抽出プロトコル(Zymo Research社)を使用して、ハイブリドーマクローン271-54 41-BB細胞ペレットから全RNAを抽出した。
【0105】
RT-PCR:ランダムプライマー(RT SuperscritIII,Life Technologies社)による逆転写によってRNAからcDNAを作製した。可変ドメインプライマーを使用してモノクローナル抗体DNAのVH領域およびVL領域の両方を増幅し、図3のバンドを得るPCR反応。VHおよびVL産物をゲル精製し、配列決定ベクターpCR(商標)2.1-TOPO(登録商標)にクローニングし、DH5a細胞に形質転換した。次に、陽性形質転換体を、M16フォワードおよびリバースプライマー(mFVIjフォワードプライマー(59-76位)配列:ACTGCAGGTGTCCTCTCT(配列番号65);mRevIgG2aリバースプライマー(526-506位)配列:TAACCCTTGACCAGGCATCC(配列番号66);mFVK4/5aフォワードプライマー(47ー67位)配列:TCAGCTTCYTGCTAATCAGTG(配列番号67);1mRKリバースプライマー(491-471位)配列:ACTGAGGCACCTCCAGATGTT(配列番号68))を使用するPCRによってスクリーニングした。ミニプレッププラスミド精製のために選択されたコロニーを選択し、DNA配列決定(MDACC コア施設)によって分析した。
【0106】
多くのリード候補の中で、さまざまなマウスアイソタイプおよびヒトアイソタイプにおいて配列決定および発現されたクローン54 4-1BB抗体を選択した。患者腫瘍塊を腫瘍浸潤リンパ球培地中で培養して、細胞培養におけるそれらの生存および急速な増殖を支援した。本研究は、クローン54 4-1BB抗体のマウスIgG2aバージョンが、抗ヒト4-1BB抗体ウレルマブ(図2B)と同程度に効率的に、ヒト腫瘍浸潤CD8T細胞およびCD4T細胞を増幅および成熟させることを見出した。さらに、クローン54は、膠芽腫または結腸直腸癌を有する患者の腫瘍からの腫瘍浸潤CD8T細胞およびCD4T細胞を効率的に増幅した(図4)。
【0107】
本明細書に開示され特許請求される方法はすべて、本開示に照らして過度の実験をすることなく実施および実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法および方法のステップまたはステップの順序に変形を適用できることは当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連する特定の薬剤を本明細書に記載の薬剤に置き換えてもよいが、同じまたは同様の結果が達成されることは明らかであろう。当業者に明らかなかかるすべての類似の置換および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念内にあると見なされる。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に記載のものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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図1A-1】
図1A-2】
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2022-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023513800000001.app
【国際調査報告】