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特表2023-513803要求呼応型ピル・キャニスタ製作システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】要求呼応型ピル・キャニスタ製作システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230327BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230327BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230327BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230327BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20230327BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20230327BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
B33Y50/00
B33Y80/00
B33Y30/00
B29C64/386
B29C64/124
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549174
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021017090
(87)【国際公開番号】W WO2021162991
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/976,564
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】522322240
【氏名又は名称】イン タッチ ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ガフィガン,リチャード・ミッチ
【テーマコード(参考)】
4C047
4F213
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ12
4F213AH56
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
本発明は、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムであり、特定のピルまたはタブレットの形状、サイズ、重量等のような詳細を入力として受け入れ、分配するためにピルを適正に整列させる自動ピル・ディスペンサのピル・キャニスタ内で使用する部品(part)を製作する機械を提供する。一旦設計され検証されたなら、デバイスは、薬局による即座の使用のために、その部品を急速に製作する。これによって、薬局は、新たな薬物を彼らの自動ピル・ディスペンサ内に、最小限の遅れで、導入する(install into)ことが可能になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムであって、
少なくとも1つの中央処理ユニットと、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットと電子的に導通する寸法入力デバイスと、
前記中央処理ユニットによってアクセス可能であり、複数の電子テンプレートを収容する第1データベースであって、前記複数の電子テンプレート内における各電子テンプレートが、ピル・キャニスタ・アダプタの三次元形状についての第1データと、前記三次元形状を使用することができるピルの種類およびサイズを指定する第2データとを収容する、第1データベースと、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットと電子的に導通する急速製作デバイスと、
を備え、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、前記寸法入力デバイスを使用して、目標ピルについて指定された1組の寸法を受け取り、前記指定された寸法が、選択された電子テンプレートの第2データと一致するように、前記第1データベース内から選択電子テンプレートを選択し、前記急速製作デバイスが、前記選択された電子テンプレートの第1データによって指定された三次元形状に基づいて、急速ピル・キャニスタ・アダプタを製作するための1組の命令を決定するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項2】
請求項1記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記急速製作デバイスが、ステレオリトグラフィック・プリンタである、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項3】
請求項1記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記急速製作デバイスが、コンピュータ数値制御(CNC)切削機である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記寸法入力デバイスがタッチ・スクリーンまたはキーボードである、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記寸法入力デバイスが、1組のデジタル・カリパスである、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項6】
請求項1、2、3または4のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記寸法入力デバイスが、寸法スキャナである、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記急速製作デバイスが、前記少なくとも1つの中央処理ユニットに電子的に接続され、少なくともこれによって制御される、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、更に、前記急速製作デバイスを動作させて、前記1組の命令を実行し、前記急速ピル・キャニスタ・アダプタを製作するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、更に、前記ピル・キャニスタ・アダプタの三次元形状を修正するための電子入力に基づいて、前記選択された電子テンプレートの第1データを修正するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記第1データベースが、更に、電子テンプレート毎に適合する1組のピル・ディスペンサを示す第3データを含む、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項11】
請求項10記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、更に、前記目標ピルを分配するために指定された機械の種類を受け取り、続いて、前記第3データが前記指定された機械の種類に応ずるように、前記第1データベースから、前記選択電子テンプレートを選択するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項12】
急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムであって、
少なくとも1つの中央処理ユニットと、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットと電子的に導通する電子ピル寸法測定デバイスと、
前記中央処理ユニットによってアクセス可能であり、複数の電子テンプレートを収容する第1データベースであって、各電子テンプレートが、ピル・キャニスタ・アダプタの三次元形状についての第1データと、前記三次元形状を使用することができるピルの種類およびサイズを指定する第2データと、電子テンプレート毎に1組の適合するピル・ディスペンサを示す第3データとを収容する、第1データベースと、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットと電子的に導通する急速製作デバイスと、
を備え、
前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、前記寸法測定デバイスから目標ピルについて指定された寸法と、前記目標ピルを分配するために指定された機械の種類を示すユーザ入力とを受け取り、前記指定された寸法が、前記選択された電子テンプレートの第2データと一致し、前記第3データが前記指定された機械の種類に応ずるように、第1データベースから選択電子テンプレートを選択し、前記急速製作デバイスが、前記選択された電子テンプレートの第1データによって指定された三次元形状と一致する急速ピル・キャニスタ・アダプタを製作するための1組の命令を決定し、前記急速製作デバイスを動作させて、前記1組の命令にしたがって、急速ピル・キャニスタ・アダプタを製作するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項13】
請求項12記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記急速製作デバイスが、三次元プリンタ、または三次元コンピュータ数値制御(CNC)切削機である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項14】
請求項12または13記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、更に、前記ピル・キャニスタ・アダプタの三次元形状を修正するための電子入力に基づいて、前記選択された電子テンプレートの第1データを修正するように動作可能である、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【請求項15】
請求項12、13または14のいずれか1項記載の急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システムにおいて、前記少なくとも1つの中央処理ユニットが、前記選択された電子テンプレートの少なくとも1つの部品を調整することによって、前記選択された電子テンプレートの第1データを修正する、急速ピル・キャニスタ・アダプタ製作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
本願は、2020年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/976,564号の権利を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容は矛盾しない範囲で本願にも含まれるものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的には、医薬品調剤および注文処理(order fulfillment)の自動化において使用するための、要求呼応型ピル・キャニスタ・アダプタの設計および製作システムならびに方法に関する。更に特定すれば、本発明は、調剤すべきピルに関する入力パラメータを受け取り、信頼性高くこのピルを分配するためにピル・キャニスタを設計し、その後自動医薬品調剤機における迅速な使用のためにそのピル・キャニスタの製作を可能にするシステムおよび方法に関する。
【従来技術】
【0003】
米国における薬局は、ドラッグ・ストア内に位置する従前からのカウンタから著しく発展した。薬局は、これらの小売店における立地(retail locations)に加えて、多数の異なる形態を採用してきた。例えば、コストを低減する努力において、多くの医療保険会社は、それらの関係者(participant)に、定期的な処方を処理するために、公認のオンラインまたは通信販売薬局を利用することを推奨、奨励(encourage)、または要求する。加えて、介護付き生活施設、ホスピス、矯正施設等のような健康管理施設のために、処方を処理する特殊な密室薬局も存在する。これらの薬局は、多くの場合、短周期薬局(short-cycle pharmacies)と呼ばれる。何故なら、これらは、規制にしたがって14日未満の期間に使用される薬物(medication)を調剤するからである。多くの場合、これらの期間が僅か数日になることもあり得る。
【0004】
大量の処方を処理するために、離れたところにある薬局は、(1)医薬品の利用を管理し、(2)運用コストを低減し、(3)精度および効率を高めるために、通例、あるレベルの薬局自動化システムを利用する。薬局の自動化とは、薬局または他の医療現場)において行われる作業の自動化である。薬局の作業であればいずれもが関与する可能性があり、小さな物体(例えば、タブレット、カプセル)の計数、データベースにおける顧客情報の追跡および更新(例えば、個人識別可能情報(PII:personally identifiable information)、既往症、薬物相互作用の危険性検出)、医薬品の表示および包装、検証、ならびに在庫管理が含まれる。
【0005】
薬局自動化システムの速度、信頼性、および精度は著しく進展したが、所与の薬物を正確に調合するように容易に適応させるためには、ピル・キャニスタ(pill canister)として一般に知られている特殊部品に従前から頼っている。これらは、通例、ピル・キャニスタ本体または筐体と、所与のピル種の種類に合わせてピル・キャニスタを個別加工する(customize)ピル・キャニスタ・アダプタとを含む。これらの機械は、薬物パンチ・カード(medication punch card)、バイアル、ストリップ等に応ずるように出力することもできる。異なる薬物は、異なる構造および寸法を有し、タブレット、カプセル、および他の形態を含み、これらは全てサイズが異なることもあり得る。これまでは、新薬を補充および処理する用意をするとき、自動化薬局は、特殊なピル・キャニスタ・アダプタを製造業者に発注しなければならず、この製造業者が薬局に選択した薬局自動化機器を供給していた。理想的な状況ならば、処理のために薬物が受け取られる前にこれらのキャニスタが入手できるであろう。しかしながら、しばしば起こるのは、製造業者における遅れ、特に馴染みの薄い薬物に対する遅れであり、また薬局においても、遅れが生じ、および/またはキャニスタが適時に届くことを確保するために十分に早く注文しようとして、見逃しが起こる。更に、ときとして、薬局がピル・キャニスタ・アダプタを破壊することや、紛失することもあり、またそれ以外でも、選択した薬物に合わせて追加のピル・キャニスタ・アダプタに交換しなければならないもしくは追加のピル・キャニスタ・アダプタ入手しなければならないこともある。これが起こると、所望のピル・キャニスタ・アダプタを注文し受け取るまでに時間がかかってしまう。加えて、これらのキャニスタおよびそれらの迅速な配達にかかるコストも、多くの場合相当高くなる(substantial)。尚、ピル(pill)という用語は、本明細書では、ピル、タブレット、およびその他の薬物の全ての形態に集合的に言及するために使用されること、そしてピル・キャニスタ(pill canister)という用語は、分配の前にこれらのピルを収納するために自動医薬品調剤システムにおいて使用されるコンテナを指すことは認められてしかるべきである。ピル・キャニスタ・アダプタ(pill canister adapter)という用語は、ピル・キャニスタにおいて、選択したピルまたはピルのサイズおよび形状で使用するのに適合させる、個別加工可能な部分を指すこととする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
注文処理の分野では、薬物を分配するのに適したキャニスタを準備し損ねることは、多くの場合、事実上薬物が在庫切れになることに等しい。必要になれば手作業の調合もときには行うことができるが、要求に呼応してキャニスタを供給する(source)より良い方法が求められている。本発明は、以下に続く説明において例示するように、多数のこれらの問題を解決するだけでなく、医薬品処理業界に存在する他の問題も解決し、医薬品注文の自動処理にこれらを応用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
医薬品注文を処理するときに使用する自動処理機械(processing machinery)を装備する(equip)プロセスを最適化するための種々の技術および技法を開示する。一実施形態では、選択された医薬品、薬物、またはピルのサイズ、形状、および寸法に関する種々のパラメータを入力として取り込む三次元設計システムを提供する。種々のロジックおよび情報を使用して、種々の市販されている自動医薬品調剤システムと関連付けられた既知の判断基準に基づいて、適したピル・キャニスタ・アダプタを設計する。設計は、必然的に、1組の溝、リード(lead)、調節板(baffle)、セパレータ等を含み、キャニスタ内部の大量自由流動供給源(bulk free flowing supply)から、整然として予測可能な流体に変えて、指定された機械に合わせた所望の開口にピルを整列させる。結果的に得られたピル・キャニスタ・アダプタ・モデル、またはその仕様は、三次元製粉機、または三次元プリンタのような他の適した急速製作デバイス(rapid production device)に供給される。次いで、決定されたモデルと一致するピル・キャニスタ・アダプタに加工する(process)ために、未完成品のキャニスタを機械内に装填する。次いで、このピル・キャニスタ・アダプタを取り外すことができ、指定された自動医薬品調剤システム内において使用し、指定されたピルを分配するのに適したものとなる。
【0008】
この摘要は、本明細書に含まれる詳細な説明および図面において更に詳しく説明する概念から選択したものを、簡略化した形態で紹介するために設けられている。この摘要は、特許請求する主題の主要な特徴または必須の特徴を識別することを意図するのではなく、特許請求する主題の範囲を決定するときに補助として使用されることを意図するのでもない。本発明の更に他の形態、実施形態、目的、利点、便益、特徴、および態様は、本明細書に含まれる詳細な説明および図面から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施態様のコンピュータ・システムの模式図である。
図2図1に示す本システムおよび方法の一実施形態において、指定されたピルと共に使用するピル・キャニスタ・アダプタの設計を受け取り、検証し、処理するときに関わるステップの一例を示すプロセス流れ図である。
図3図1に示すシステムおよび図2に概要を示すプロセスを使用して製作されたピル・キャニスタ・アダプタが、ピル・キャニスタ筐体内に位置付けられたときの斜視図である。
図4図1に示すシステムおよび図2に概要を示すプロセスを使用して製作されたピル・キャニスタ・アダプタが、ピル・キャニスタ筐体内に位置付けられたときの正面図である。
図5図1に示すシステムおよび図2に概要を示すプロセスを使用して製作されたピル・キャニスタ・アダプタをピル・キャニスタ筐体から取り外し、その装着構造を分離させたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の原理の理解を促進する目的で、これより図面に示す実施形態を参照し、具体的な文言を使用してこれを説明する。しかしながら、これによって発明の範囲の限定を意図するのではないことは理解されよう。説明する実施形態におけるあらゆる改変および更なる変更、ならびに本明細書において説明する発明の原理の更なる応用はいずれも、本発明が関係する技術における当業者には、通常に想起されるものであることを意図している。
【0011】
米国では、毎年約45億もの処方薬が調剤される。場合によっては、個々の患者が同時に10種類以上の処方薬の薬物治療を受けることもある。多くの場合、併用投薬を受ける患者の殆どは、ホスピス、老人ホーム等のような、介護付き生活施設内で生活している。その結果、これらの設備では、処方薬の正確で適時の調剤が増々必要になりつつある。更に、必要とされる医薬品の分量を考えると、これらの設備事業(business)の競争は厳しく、このため更なるコスト削減が進められ、利ざやが減少する。したがって、競争力のある価格設定を提供するために、医薬品調剤プロセスにおける全てのステップを最適化しなくてはならない。
【0012】
現在、プロセスを自動化することによって医薬品調剤の速度および精度を高める種々のシステムが存在する。しかしながら、市販の自動医薬品調剤システムに合わせて、薬物特定部品の入手可能性を最適化することによって、更なる改良およびコスト節約を得ることができよう。したがって、所与の医薬品、薬物、および/またはピルに合わせたピル・キャニスタ・アダプタの要求呼応型設計ならびに製作を可能にする代表的なシステムおよび方法について説明し、更には指定医薬品調剤システムについて説明する。尚、本発明の範囲から逸脱することなく、このシステムの多くのコンポーネントを、同等の機能の他のコンポーネント(手動および自動、またはその組み合わせを含む)で置き換えてもよいことは認められてしかるべきである。更に、介護付き生活設備等に配給する薬局のような、大量医薬品流通業者が、本明細書において説明するような薬局自動化の初期採用層となるとして差し支えないが、開示するシステムおよび方法は、小売り薬局、病院等を含む他の現場においても等しく適用できることは認められてしかるべきである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の急速ピル・キャニスタ・アダプタ設計および展開システム20の模式図である。この実施形態によれば、急速製作デバイス40と共に、1つ以上のコンピュータ22が設けられ(図示を簡単にするために、1つのみを示す)、急速製作デバイス40はこれらのコンピュータ22の内少なくとも1つに動作可能に接続されている。接続は、USB、LAN、Bluetooth(登録商標)等のような有線またはワイヤレス接続でもよく、あるいはUSBサム・ドライブまたは他の移転可能な電子媒体のような、他のデータを共有する既知の形態によるものでもよい。尚、代わりに、コンピュータ22の内1つ以上を急速展開製作デバイス24と組み合わせて、特殊および/または専用ユニットを形成してもよいことは認められてしかるべきである。また、図1には、システム20を利用することができる1つ以上の自動医薬品調剤システム50を示すが、これらのデバイスは実際のシステム20の必要なコンポーネントを形成しないことも認められてしかるべきである。
【0014】
図示する形態では、1つ以上のコンピュータ22は、デスクトップ、ワークステーション、ラップトップ、オールインワン、タブレット、移動体電話機等のような、多くの形態のコンピュータの内の1つでよい。また、コンピュータ22は、1つ以上のプロセッサまたはCPU24と、1つ以上の種類のメモリ26も含む。各メモリ26は、好ましくは、リムーバブル・メモリ・デバイスを含む。各プロセッサ24は、1つのユニットとして構成された1つ以上のコンポーネントで構成することができる。マルチコンポーネント形態である場合、プロセッサ24は、他に対して離れて位置付けられた1つ以上のコンポーネントを有することができる。各プロセッサ24の1つ以上のコンポーネントは、デジタル回路、アナログ回路、または双方を定める様々な電子回路としてもよい。一実施形態では、各プロセッサ24は、1AMD Place、Sunnyvale、California94088、USAのADVANCED MICRO DEVICES Corporationによって供給される1つ以上のRYZANプロセッサのような、従来の集積回路のマイクロプロセッサ構成である。各メモリ26(リムーバブル、固定、または双方)は、コンピュータ読み取り可能デバイスの一形態である。各メモリは、数例をあげると、1つ以上の種類のソリッド・ステート電子メモリ、磁気メモリ、または光メモリを含むことができる。
【0015】
図示しないが(明瞭さを保つため)、コンピュータ22の内1つ以上をディスプレイに結合してもよく、および/または一体型ディスプレイ28を含んでもよい。コンピュータ22は、同じ形式であってもよく、または異なるコンピューティング・デバイスの異質な組み合わせであってもよい。同様に、ディスプレイも、同じ形式であってもよく、または異なる視覚デバイスの異質な組み合わせであってもよい。再度明瞭さを保つために図示しないが、各コンピュータ22は、ほんの数例をあげると、キーボード、マウス、トラック・ボール、ライト・ペン、タッチ・スクリーン、および/またはマイクロテレコミュニケータというような、1つ以上の操作者入力デバイスも含んでもよい。また、コンピュータ22は、カメラ、バーコード・リーダ、またはQRコード・リーダというような、追加の入力スキャナ30も含む。また、ディスプレイ28の他に、ラウドスピーカまたはプリンタ32というような、1つ以上の他の出力デバイスも含んでもよい。種々のディスプレイおよび入力デバイスの構成が可能である。図示する形態では、コンピュータ22はラップトップ・コンピュータである。他の形態では、ラップトップ・コンピュータは、各々、タッチスクリーン・ディスプレイ28を含む。代替実施形態では、コンピュータ22の内1つ以上は、iOS、Android、または任意の他のオペレーティング・システムを利用する移動体デバイスというような、移動体デバイスでもよい。これは、具体的には、iPhone(登録商標)およびiPad(登録商標)(1Infinite Loop Cupertino、CA95014に所在するApple, Inc.によって製造される)、Fire Tablet(1200 12th Avenue South、Suite1200、Seattle、WA98144-2734に所在するAmazon.com, Inc.によって製造される)、Android電話機/タブレット(種々の製造業者によって製造される)、および他の同能のデバイスを含む。
【0016】
図示する実施形態では、分配しようとするピルに関する情報を収集し、分配しようとするピルのサイズおよび形状に関する入力に基づいて、ピル・キャニスタ・アダプタに適正な設計を決定するアプリケーション・ビジネス・ロジック34が、ローカルにインストールされるか、そうでなければコンピュータ22の少なくとも1つにおいてアクセス可能である。アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、更に、最終的な設計を急速製作デバイス40に伝達し、および/または急速製作デバイス40を(全体的または部分的に)制御して、設計通りに部品を製作するように動作可能である。これは、1つ以上の指定粉砕ヘッド(milling head)を利用して、三次元設計を一連の移動に変換し、標準的な既知のブランク(blank)を所望の設計構造(design)に、または三次元印刷デバイスによって実行される移動および押出に変換することを含んでもよい。アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、インストール可能なアプリケーションであればよく、随意に、CADソフトウェア、および工具経路生成器(tool path generator)、クラウド・ベース・サービス、移動体アプリケーション等を含む。
【0017】
ピル・キャニスタ・アダプタに要求される設計に到達するために、アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、ユーザからの入力を受け取るか、そうでなければ、ピル・キャニスタによって分配されるピルに関する入力を受け取る。1つの形態では、この入力は、ピルの形状、長さ、幅、および高さを含む。あるいはまたは加えて、アプリケーション・ビジネス・ロジック34に入力される情報が、バーコード、QRコード(登録商標)(等)のスキャナ30への入力による、ピルの識別を含んでもよく、あるいはピル画像のインテリジェント処理のみ(just)によって、そのサイズ、形状、および/または要求表示(required markings)からピルを認識する、あるいは画像または他のスキャニング技法を利用してピルの形状および寸法を自動的に判定する、というようにしてもよい。
【0018】
図示する形態では、図2に関して本明細書において説明するように、アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、ディスプレイ28を通じてというようにして、視覚表示を行い(provide)、入力することが要求されるデータに関する入力、および所与のピルを分配する際に使用するためのピル・キャニスタ・アダプタを製作するプロセスを完了するための命令をユーザに促す。また、コンピュータ22の内少なくとも1つに存在する、またはアクセス可能なのは、使用可能なピル・キャニスタ・アダプタを設計する際に使用するピルの寸法および判断基準のデータベース36である。他の形態では、データベースは、代わりにまたは加えて、識別されたピルを分配するために使用可能な設計計画を含むこともできる。これらの設計は、ピルの供給業者によって、1つ以上の自動医薬品調剤システムの製造業者によって、またはシステム20の供給業者もしくは他のユーザによって公開されてもよく、好ましくは、新たな薬物が発売されるとき、または他の形態がおそらく見直されるときに、周期的に更新される。データベース36は、ローカルにまたはリモート・サーバに格納され、インターネットを通じてアクセスされるプライベート・データベースでもよく、または多数のエンド・ユーザによってアクセス可能であり共有されるパブリック・サーバ(public server)であってもよい。
【0019】
急速製作デバイス40は、特定の実施形態では、3-Dプリンタ、ステレオリトグラフィック・プリンタ、切削機(milling machine)、または「CNC」機とも呼ばれることがあるコンピュータ数値制御デバイスであってもよい。急速製作デバイス24として使用するのに適したデバイスの一例に、Pocket NC (www.pocketnc.com)から入手可能なPocket NC5軸CNC切削機がある。しかしながら、1つの形態では、急速製作デバイス40は専用機であり、他の形態では、急速製作デバイス40およびスキャナ30の組み合わせというように、システム20の1つ以上のコンポーネントを1つのデバイスに統合してもよいことは認められてしかるべきである。
【0020】
これより、自動医薬品調剤システム50に移ると、図示する実施形態と共に、1つ以上の自動医薬品調剤システム50が示されている。自動医薬品調剤システム50は、関連付けられた薬局情報システム(図示せず)によって命令される通りに、選択された医薬品の単位投与量(unit dose)を自動的に分配し封入する(package)役割を果たす。自動医薬品調剤システム50は、医薬品の安全で、確実な、自動収納および取り出しに備える。これらのデバイスの多くは、必要な医薬品が現在収納在庫内にあるときには、人間の介入を必要としないが、追加の医薬品を供給するために、時折人手の介入を必要とする場合もある。
【0021】
1つの形態では、これらの医薬品調剤システム50は、それらの安全外装(secure outer housing)内に収納され、ロボットによって取り出し可能なスマート・コンテナの一覧表を内蔵する。個々のコンテナは、各々、その中に収容されている薬物がわかっており、収容するその薬物の量に関して正確なカウントを維持する。この情報から、内部に収容されている各医薬品の現在の量、その説明、ならびに各ユーザによって取り出された各医薬品の量、およびいつそれが取り出されたかについての記録を維持することができる。更に、これらのコンテナは、その底面にシリアライゼーション・メカニズムを有する。このメカニズムは、取り出しおよび起動(activation)時に、コンテナが自動的に所望量の薬物を分配することを可能にする。このメカニズムはピル・コンテナを含む。自動医薬品調剤システムの一例に、800N.Twin Oaks Valley Rd.Suite 101、San Marcos、CA92069に所在するRxSafe,LLCが現在販売するRxSafe1800がある。他の供給源には、JVM、Tosho、Sanyo、Panasonic、およびPHCDHが含まれる。尚、システム20は、1つ以上の自動医薬品調剤システム50の効率的動作および適時動作を可能にする目的のために機能すればよいことは認められてしかるべきである。
【0022】
引き続き図1を参照しながら、図2に移り、システム20を使用して指定ピルに合わせたピル・キャニスタ・アダプタを設計および製作するプロセス200を例示するフローチャートを示す。このプロセスは、開始点202において開始し、ユーザがアプリケーション・ビジネス・ロジック34に新たなピル・キャニスタ・アダプタが望まれることを示す(ステージ204)。これは、コンピュータ22およびディスプレイ28上に提示されるユーザ・インターフェース内において選択肢を選択することによって、またそうでなければアプリケーション・ビジネス・ロジック34によって、専用ボタンを押下することによって、あるいは当業者には知られている何らかの他の手段によって行うことができる。ある形態では、ピル・コンテナを製作しようとする自動医薬品調剤システム50の形式を入力するように、ユーザに要求してもよいが、使用するときに、ユーザの設備によって使用されている既知のシステム50、およびそこに存在することが知られている自動医薬品調剤システム(1つまたは複数)50の形式(1つまたは複数)に基づいて、これを予め設定することもできる。1つの形態では、ユーザは、次に、製作されるピル・キャニスタ・アダプタによって分配されるピル(またはその包装または他の識別情報)をスキャンする(ステージ206)。これは、スキャナ30、あるいはカメラまたは専用スキャニング機器もしくは撮像機器のような、何らかの他の入力デバイスを使用して行えばよい。あるいは、他の形態では、ピルの刻印、色、サイズ、形状、UPC番号、商標、名称、または当業者には知られている他の識別情報というような、ピルについての情報を、ユーザが単に入力してもよい。
【0023】
図2に示すプロセスは、データベース36によってというように、システム20にピルの寸法(または正確なピル・キャニスタ・アダプタの設計)が既に知られているという場合も含むことができる。このような場合、ステージ208において、ピルの寸法および/またはこのピルを分配するためのピル・キャニスタ・アダプタの設計が、更なるユーザ入力を行わずに、アプリケーション・ビジネス・ロジック34に供給される。一旦ピルの識別情報(identity)が、データベース36内において知られているものとして確認されたなら、プロセスはステージ218に進む。
【0024】
新たな薬物または余り一般的でない薬物の場合に生じそうな、ピルの寸法(または正確なピル・キャニスタ・アダプタの設計)が未だシステム20に知られていない状況では、システム20は、必要となるステップが多くなるが、そのピルを分配するためのピル・キャニスタ・アダプタを同様に(equally)設計し製作することができる。ステージ210において、図示する形態では、コンピュータ22はディスプレイ28上に一般的なピル形状の一連の画像を提示する。次いで、ユーザはディスプレイ28のタッチ・スクリーンを利用して、現在分配しようとしているピルの形状に最も似ている形状を選択する。表示される形状は、タブレット、カプセル、およびその他の形態を含むことができ、その各々は、薬包、カプセル、クローバ形、菱形、二重円、自由形状、歯車、七角形、六角形、八角形、楕円、五角形、矩形、円形、半円、正方形、涙形、台形、三角形の形態、または当業者に知られている任意の他の形状をなしてもよい。他の形態では、コンピュータ22によって、分配するピルの形状を定めるために、キーボードを使用して、一連のはい/いいえの質問等に答えるように、ユーザに促してもよい。
【0025】
ピルの形状を選択した後、次に、ユーザは、ステージ212において、ピルの所要寸法を入力する。あるいは、これらの寸法は、スキャナ30または追加のコンポーネントの機能のような、寸法スキャナ等によって供給することも可能である。図示する実施形態では、コンピュータ22が、アプリケーション・ビジネス・ロジック34を使用して、選択された形状に対してどのような測定値が必要とされるか判断し、ユーザにその情報を催促する。例えば、円の場合、直径および高さが要求される全てであるとして差し支えないが、矩形、カプセル、または楕円のような他の形状では、長さ、幅、および高さが必要となるのはもっともである。加えて、湾曲についての推定値を要求し利用してもよい。更に他の形態では、システム20は、これらの測定値を判定するおよび/または伝達する目的でコンピュータ22と通信するように動作可能な、従前からの1組のカリパス、または1組の電子式カリパスを含むこともできる。システム20と共に使用するのに適した標準的な1組のデジタル・カリパスの一例に、Mitutoyo 500-196-30 Advanced Onsite Sensor (AOS) Absolute Scale Digital Caliperがある。これは、20-1、Sakado 1-Chome、Takatsu-ku、Kawasaki-shi、Kanagawa213-8533、Japanに所在するMitutoyoから入手可能である。他の形態では、較正を終えたカメラ・システムまたはスキャナ(レーザ・スキャナのような)をシステム20内に含ませ、これらの測定値の一部または全部を供給してもよい。一旦所要寸法が決定されたなら、ユーザはこれらをコンピュータ22およびアプリケーション・ビジネス・ロジック34に、ユーザ入力によって供給することができる。または、他の適当な自動通信手段によってこれらを供給してもよい。
【0026】
分配するピルの形状および寸法が得られると、アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、図示する形態では、複数の既定のピル・コンテナ形状プロファイルから選択するロジックを利用する(ステージ216)。これらのプロファイルはデータベース36に格納することができる。一形態では、既定のピル・コンテナ形状プロファイルは、各々、ある程度の柔軟性を有するが、1つのピルまたは特定の形状およびサイズの範囲を扱うのに総合的に適した設計を提供する。例えば、既定のピル・コンテナ形状プロファイルを、1および10ミリメートルの間の直径を有する円形ピルに適用することができる。他のプロファイルは、深さ対幅の比率が0.9および1.1の間である場合のように、一方の寸法の他方に対する比率に基づいて選択されてもよい。他の既定のピル・コンテナ形状プロファイルは、特定のサイズ範囲を有するカプセル形状ピルに適用することができる。これら既定のピル・コンテナ形状テンプレートの大きな集合体によって、全てのピル形状およびサイズの大半に及ぶ広い適用範囲が得られる。また、各テンプレートは、1つ以上の自動医薬品調剤システム50と関連付けられる。何故なら、製造業者によっては、これらの各々が異なる寸法および特性を有する場合があり、要求されるピル・コンテナのサイズ、形状、および設計に影響を及ぼすからである。極端な場合(edge case)が発生したときのために、人工知能モデリング・アルゴリズムを設けてもよく、既存の既定のピル・コンテナ形状テンプレートを利用して、現在検討しているピルに合ったテンプレートを解明する。このアルゴリズムは、図示する形態では、成功のために既定の発見的手法を有する汎用アルゴリズムである。他の形態では、システム20によってベンダーに通知させ、新たな薬物のために迅速な方法で、既定のピル・コンテナ形状テンプレートを手作業で作り出すことによってというように、極端な場合も包含する代わりの方法を利用してもよい。しかしながら、システム20の目標は、既定のピル・コンテナ形状テンプレートを使用して設けられた広い適用範囲によって、極端な場合には滅多に遭遇しないようにすること、そして公開した(release)ままの既存のテンプレートでは対応できない新たな薬物のためには、新たなテンプレートを用意することである。
【0027】
一旦基準線モデルまたはテンプレートが選択されたなら、アプリケーション・ビジネス・ロジック34はピルのサイズに適合するように設計を調節することができる(ステージ216)。例えば、ユーザによって入力された寸法に基づいて、ピル整列傾斜(aligning slope)の幅を広げるまたは狭めることもでき、最終的にピル・キャニスタ・アダプタからピルを配出する構造または開口の形状、サイズ、および/または位置を調節することもできる。続いて、アプリケーション・ビジネス・ロジック34は、ピル・キャニスタ・アダプタの三次元モデルに到達するように、調節した設計を変換する(ステージ218)。これは、スケーリング・アルゴリズムによって容易に実行される(permed)。スケーリング・アルゴリズムは、自動医薬品調剤システム50によって要求されるピル・コンテナ空間要求の制限内で作用しつつ、ピルの入力寸法の大きさ(scale)に調和するように、関連する部品を調整する(scale)。検証のために、コンピュータ22のディスプレイ28上で、最終的な三次元モデルをユーザに提示することができる。続いて、確認されたなら、この三次元モデルを利用して、設計構造を製作するための一連の機械ステップ、または工具移動(tool movements)を展開する(develop)(ステージ220)。1つの形態では、設計構造は所定のブランクから作成される。所定のブランクとは、プラスチック製の円盤形ブランクであり、急速展開デバイス40に嵌め込むことができる。ブランクは、種々の形状および/またはサイズで入荷されることもあり、装填すべきものがコンピュータ22によってユーザに提示される。三次元印刷のような他の形態では、設計構造が最初から作られるので、ブランクがなくてもよい。最後にアプリケーション・ビジネス・ロジックおよび/または急速展開デバイス40は、所望のピル・キャニスタ・アダプタを製作するための一連の工具移動または命令が、実行可能であることを確認する。例えば、特定の工具経路がブランクと衝突する場合、十分な中間剛性(intermediate rigidity)が得られず、またはデバイス40の動作範囲から外れるので、拒絶してやり直さなければならない。
【0028】
最終的な製作プロセスが確認されたなら、図示する形態では、ユーザは次に急速製作デバイス40を動作のために準備しなければならない(ステージ224)。これは、安全外装を開き、適正なブランクを急速製作デバイス40に取り付け、正しい工具をデバイス40に取り付ける等を含むことができる。あるいはまたは代わりに、デバイス40によって摩耗インディケータが始動された(trip)場合、同様の種類の工具交換を求めることもできる。また、急速製作デバイス40は、その内部におけるブランクの容易で検証可能な実装、ならびにその適正な種類および位置付けを可能にするために、特定の取り付け具およびセンサも含む。尚、これらのステップは、急速製作デバイス40が三次元プリンタである場合には異なる(vary)ことは認められてしかるべきである。
【0029】
最後のステップにおいて、急速製作デバイス40は所望のピル・キャニスタ・アダプタを製作する(ステージ226)。本明細書において説明したように、このステップは、ピル・キャニスタ・アダプタをブランクから削り出すステップ、ピル・キャニスタ・アダプタの三次元印刷、何らかの他の適した方法、またはこれらの方法の組み合わせを含んでもよい。完成時に、ピル・キャニスタ・アダプタを取り出し、それを洗浄し、その意図する機能についてそれを検査するように、ユーザを促す。種々の形態では、ピル・キャニスタ・アダプタの底面は、実装アダプタ(mounting adapter)を受け入れるように構成することもでき、これによって、ピル・キャニスタ・アダプタが、選択されたピル・キャニスタ内において実装面と連動することが可能になる。これらは製造業者によって変更することができる。この随意の実装アダプタは、切削されたピル・キャニスタ・アダプタをキャニスタ本体内部に保持することを可能にし、座面を定め(provide)、機械的回転を分配デバイスからピル・キャニスタ・アダプタに、意図する通りに、伝達する。更に別の形態では、選択された製造業者に合わせてそれを個別加工するために、ピル・キャニスタ・アダプタのこの部分に第2の切削プロセスが必要になってもよい。このプロセスは終了時点228において終了する。
【0030】
図2のプロセスに続いて、機能を検証するためにピル・キャニスタ・アダプタを検査する。キャニスタが頻繁に詰まる場合、モデルにおける許容度を高めることができ、新たな寸法で別のロータを作ることができる。特定のプロファイルは、他の選択肢を有する(例えば、細長い楕円形のピルの場合、表面粗さに応じて代わりのプロファイルを使用することができ、より良い結果を得ることができる)。キャニスタが要求されるよりも多いピルを分配する場合、代わりのブラシ(brush)を推奨することができる。ピルの分配が遅い場合、プロファイルの他のパラメータ(ピルを分配チャネルに入れるように設計された構造の角度および半径を制御する)を調節することができ、更にロータを切り直すことができる。
【0031】
1つの形態では、ピル・キャニスタ100の一例は、図3の部分切り取り図に示す形態の外観を呈する。中央に示す円錐構造は、システム20によって製作されたピル・キャニスタ・アダプタ102である。外装104は、ピルの多くの異なるサイズおよび形状に合わせた標準的な部品(component)であり、自動医薬品調剤システム50の製造業者によって供給される。ピル・キャニスタ・アダプタ102の上面106の形状およびサイズ、ならびに表面処理によって、ピル・キャニスタ100内において、その上に収納されるピルが、所望通りに決まる。加えて、溝108のような溝およびその他の形成体が、更に、ピルの所望の秩序ある分配を補助する。図4に示すように、ピル・キャニスタ・アダプタ102のこの部分は、通例、支持板110上に載り、ロータおよびそれが取り付けられるスプライン・アセンブリ112によって回転(または駆動)させられる。その取り付けを確実にするために、サークリップ114、コッター・ピン、または他のメカニズムを使用してもよい。加えて、プリンタ32を利用して、ピル・キャニスタ・アダプタ上に貼るラベル(図示せず)を出力し、その製作日、意図する薬物等を明示する(identify)こともできる。
【0032】
図5に示すのは、システム20によって製作されたピル・キャニスタ・アダプタ102のその部分の代表的な一例である。見てわかるように、仕上げ前の(blank)ピル・キャニスタ・アダプタはアダプタ120を含む。アダプタ120は、最初に急速製作デバイス40にそれを固定し、続いて、そのロータおよびスプライン・アセンブリによってというように、ピル・キャニスタに接続することを可能にする。このアダプタは、この移行を容易にするために、通孔122または他の単純な取り付け手段を貫通するねじによってピル・キャニスタに固定することができる。加えて、ピル・キャニスタ・アダプタ102をピル・キャニスタ(図示せず)に離脱可能に固定するために、サークリップ114を利用することができる。
【0033】
以上、図面および以上の説明において本発明について図示し詳細に説明したが、これは、性質上限定ではなく例示として解釈されるものであり、好ましい実施形態だけを示し説明したに過ぎないこと、そして本明細書においておよび/または以下の特許請求の範囲によって記載される発明の主旨に該当する全ての均等、変更、および修正も保護されることが望まれることは理解されよう。
【0034】
したがって、本発明の適正な範囲は、図面において図示し明細書において説明したものと均等な全てのこのような修正および関係も包含するように、添付する特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ決定されてしかるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】