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特表2023-513826線形変位アブソリュート位置エンコーダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】線形変位アブソリュート位置エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/249 20060101AFI20230327BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G01D5/249 K
G01D5/245 110K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549244
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 CN2021076130
(87)【国際公開番号】W WO2021164632
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202020177471.0
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハオチェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンション
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA27
2F077CC02
2F077NN05
2F077NN06
2F077NN21
2F077PP12
2F077PP14
2F077QQ15
2F077RR03
2F077RR13
2F077RR15
2F077RR22
2F077RR23
2F077TT32
(57)【要約】
【課題】被試験装置の変位を測定するために使用される線形変位アブソリュート位置エンコーダ(10)を提供すること。
【解決手段】線形変位アブソリュート位置エンコーダ(10)は、基部(100)、磁気抵抗センサ・アレイ(300)、符号化ストリップ(200)、および後方磁石を備える。符号化ストリップ(200)は、基部(100)上に固定され、被試験装置のレールの方向に延びる。符号化ストリップは、異なる位置の符号化情報を特定するための凹部および突部を有する磁性材料ブロックである。磁気抵抗センサ・アレイ(300)は、符号化ストリップ(200)と後方磁石との間に接触式で配置される。後方磁石は、符号化ストリップ(200)を磁化するように符号化ストリップ(300)の周りに不均一な磁場を発生させるために使用される。磁気抵抗センサ・アレイ(300)は、符号化ストリップ(200)の磁場情報を検出することによって符号化ストリップ(200)の位置符号化情報を取得するために使用される。エンコーダ(10)は、低コストであり、遠距離をモニタすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験装置の変位を測定するために使用される線形変位アブソリュート位置エンコーダであって、基部、磁気抵抗センサ・アレイ、符号化ストリップ、および後方磁石を備え、
該符号化ストリップは、該基部上に固定され、該被試験装置のレールの方向に延び、該符号化ストリップは、異なる位置の符号化情報を特定するための凹部および突部を有する磁性材料ブロックであり、
該磁気抵抗センサ・アレイは、該符号化ストリップと該後方磁石との間に非接触式で配置され、
該後方磁石は、該符号化ストリップを磁化するように該符号化ストリップの周りに不均一な磁場を発生させるために使用され、
該磁気抵抗センサ・アレイは、磁気抵抗センサをN行およびM列で備え、N≧1、M≧1、ならびにNおよびMは、共に正の整数であり、該磁気抵抗センサ・アレイは、該符号化ストリップの磁場情報を検出することによって該符号化ストリップの位置符号化情報を取得するために使用される、線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項2】
前記符号化ストリップは、前記被試験装置の前記レールの前記方向に配置されたP行の符号化チャンネルを有し、該符号化チャンネルは、行ごとに、M個の符号化ビットを備え、前記符号化ビットは、前記凹部または前記突部によって形成され、該M個の符号化ビットは、それらが位置する該符号化チャンネルの前記位置符号化情報を構成し、それぞれの行における該符号化チャンネルの該位置符号化情報は異なり、ただし、1≦P≦2であり、Pは正の整数である、請求項1記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項3】
行方向において、各行における2つの隣接した磁気抵抗センサ間の間隔は、各行における2つの隣接した符号化ビット間の間隔に等しい、請求項2記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項4】
前記磁気抵抗センサは、線形磁気抵抗センサであり、該線形磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む、請求項1記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項5】
前記磁気抵抗センサは、傾斜磁気抵抗センサであり、該傾斜磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む、請求項1記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項6】
前記符号化ストリップは、前記基部と一体形成される、請求項1記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【請求項7】
前記符号化ストリップの符号化形態は、2進コードまたはグレイ・コードである、請求項1記載の線形変位アブソリュート位置エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、磁気センサの分野に関し、より詳細には、線形変位アブソリュート位置エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
線形変位センサは、精密機器における変位測定、工作機械の作業台の位置制御、エレベータの位置モニタリング等などの位置のモニタリングおよび測定において広く使用されている。
【0003】
光電センサ、容量結合センサ、および磁気グリッド・センサは、通常、長距離変位測定を測定するために使用される。その高い耐汚染特性により、磁気グリッド・センサは、エレベータ、野外のレール等などの過酷な環境における使用により適している。
【0004】
しかしながら、現在、磁気グリッド変位センサの検出距離は、比較的短く、通常、10メートル以内である。磁気グリッド変位センサが長距離変位測定に適用される場合、永久磁石磁気グリッドのコストが高いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態の目的は、線形変位アブソリュート位置エンコーダを提供することであり、このエンコーダは、コストが安く、遠距離をモニタすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本開示の実施形態は、
被試験装置の変位を測定するために使用される線形変位アブソリュート位置エンコーダであって、基部、磁気抵抗センサ・アレイ、符号化ストリップ、および後方磁石を備え、
符号化ストリップは、基部上に固定され、被試験装置のレールの方向に延び、符号化ストリップは、異なる位置の符号化情報を特定するための凹部および突部を有する磁性材料ブロックであり、
磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップと後方磁石との間に非接触式で配置され、
後方磁石は、符号化ストリップを磁化するように符号化ストリップの周りに不均一な磁場を発生させるために使用され、
磁気抵抗センサ・アレイは、磁気抵抗センサをN行およびM列で備え、N≧1、M≧1、ならびにNおよびMは、共に正の整数であり、磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップの磁場情報を検出することによって符号化ストリップの位置符号化情報を取得するために使用される、線形変位アブソリュート位置エンコーダという技術的解決策を採用する。
【0007】
さらに、符号化ストリップは、被試験装置のレールの方向に配置されたP行の符号化チャンネルを有し、符号化チャンネルは、行ごとに、M個の符号化ビットを備え、符号化ビットは、凹部または突部によって形成され、M個の符号化ビットは、それらが位置する符号化チャンネルの位置符号化情報を構成し、それぞれの行における符号化チャンネルの位置符号化情報は異なり、ただし、1≦P≦2であり、Pは正の整数である。
【0008】
さらに、行方向において、各行における2つの隣接した磁気抵抗センサ間の間隔は、各行における2つの隣接した符号化ビット間の間隔に等しい。
【0009】
さらに、磁気抵抗センサは、線形磁気抵抗センサであり、線形磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む。
【0010】
さらに、磁気抵抗センサは、傾斜磁気抵抗センサであり、傾斜磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む。
【0011】
さらに、符号化ストリップは、基部と一体形成される。
【0012】
さらに、符号化ストリップの符号化形態は、2進コードまたはグレイ・コードである。
【0013】
本開示の実施形態によれば、符号化ストリップは、異なる位置の符号化情報を特定するための凹部および突部を有する磁性材料ブロックによって形成され、符号化ストリップは、基部上に固定され、被試験装置のレールの方向に延び、磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップと後方磁石の間に非接触式で配置され、後方磁石は、符号化ストリップの周りに不均一な磁場を発生させるために使用され、磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップの磁場情報を検出することによって符号化ストリップの位置符号化情報を取得するために使用される。このスキームでは、後方磁石は、符号化ストリップを磁化するために使用され、これにより、被試験装置の変位を検出する目的を達成し、線形変位アブソリュート位置エンコーダのコストを大いに削減する。
【0014】
本開示の実施形態または先行技術の技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または先行技術の説明に使用される添付図面が、以下に簡単に導入される。明らかに、以下の説明における添付図面は、いくつかの本開示の実施形態である。当業者にとっては、他の図面は、創作的な努力なしでこれらの図面から得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態によって与えられる線形変位アブソリュート位置エンコーダの全体構造の概略図である。
図2図1の符号化ストリップおよび磁気抵抗センサ・アレイの概略構造図である。
図3図1の符号化ストリップおよび磁気抵抗センサ・アレイの別の概略構造図である。
図4図2または図3の符号化チャンネルの一行の凹部および突部の概略構造図である。
図5】後方磁石の作用下にある図4に示された符号化チャンネルの周りの磁力線の分布の概略図である。
図6図5に対応する符号化チャンネルの一行における符号化ビットに対応する磁場の強さ分布の曲線グラフである。
図7】磁気抵抗センサの特性の曲線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、添付図面および実施形態と共に以下に詳細にさらに説明される。本明細書中に記載される特定の実施形態は、本開示を説明するために使用されるものに過ぎず、本開示を限定するものではないことが理解できる。さらに、説明の便宜のために、図面は、本開示に関連した一部の構造を示すに過ぎず、全部の構造を示すものではないことに留意されたい。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態によって与えられる線形変位アブソリュート位置エンコーダの全体構造の概略図であり。線形変位アブソリュート位置エンコーダ10は、被試験装置の変位を測定するために使用することができ、図1を参照すると、線形変位アブソリュート位置エンコーダ10は、基部100、磁気抵抗センサ・アレイ300、符号化ストリップ200、および後方磁石(図示せず)を備え、符号化ストリップ200は、基部100上に固定され、被試験装置のレールの方向AA’に延び、符号化ストリップ200は、異なる位置の符号化情報を特定するための凹部および突部を有する磁性材料ブロックであり、磁気抵抗センサ・アレイ300は、符号化ストリップ200と後方磁石との間に非接触式で配置され、後方磁石は、符号化ストリップ200を磁化するように符号化ストリップ200の周りに不均一な磁場を発生させるために使用され、磁気抵抗センサ・アレイ300は、磁気抵抗センサをN行およびM列で備え、N≧1、M≧1、ならびにNおよびMは、共に正の整数であり(図1は、磁気抵抗センサのアレイ配置構造を示さず)、磁気抵抗センサ・アレイ300は、符号化ストリップ200の磁場情報を検出することによって符号化ストリップ200の位置符号化情報を取得するために使用される。
【0018】
位置測定の一般的原理は、以下の通り、全測定レンジ内の位置を表す符号化ディスクを配置し(符号化ディスクの位置は固定されている)、次いで、可動部上にセンサを固定し、可動部の相対変位を検出するようになされているというものである。
【0019】
本実施形態では、具体的には、符号化ストリップ200は、磁性材料で作製され、異なる凹部および突部が、符号化ストリップ200の異なる位置に設けられ、異なる位置を特定するための位置符号化情報を形成するようになっている。例示として、図1を参照すると、符号化ストリップ200の第1の位置201および第2の位置202に対応する位置符号化情報は、第1の位置201および第2の位置202に異なる凹部および突部を配置することによって異なるようになされ得る。符号化ストリップ200は、基部100上に固定され、被試験装置のレールの方向に延び、それにより、被試験装置の移動方向の異なる位置は、符号化ストリップ200によって特定することができる。
【0020】
例示として、磁気抵抗センサ・アレイ300および後方磁石は、移動プロセス時に、被試験装置が移動するときに磁気抵抗センサ・アレイ300および後方磁石が移動するように被試験装置上に取り付けることができ、磁場が、後方磁石を用いることによって符号化ストリップ200の周りに形成され、符号化ストリップ200上の磁場分布は、磁気抵抗センサ・アレイ300中の磁気抵抗センサを用いることによって感知される。符号化ストリップ200は、異なる凹部および突部を異なる位置に有するので、符号化ストリップ200の異なる位置における磁場分布は、異なるとともに不均一であり、磁気抵抗センサ・アレイ300は、符号化ストリップ200の異なる位置で磁場分布を検出することによって対応する位置で位置符号化情報を取得し、それによって被試験装置の位置を決定することができる。
【0021】
例示として、後方磁石は、永久磁石であってもよく、号化ストリップ200は、軟磁性材料で作製されてもよく、凹部および突部を有する軟磁性材料のコストは低く、永久磁石で軟磁性材料を磁化することによって、長距離永久磁石磁気グリッドの使用を回避することができ、それによってコストを省く。さらに、永久磁石は、磁石の減磁によって影響を受けず、したがって、線形変位アブソリュート位置エンコーダ10は、長寿命を有することができる。
【0022】
図1は、符号化ストリップ200の凹部および突部構造を示しておらず、その機能は、符号化ストリップに対して後方磁石によって印加される磁場が、異なる位置で凹部および突部構造を通過できないことにより異なる分布状態を有することを可能にすることであり、異なる位置を特定する目的を達成するようになっており、これにより、当業者によって随意に設定することができ、本開示の例によって限定されないことに留意されたい。
【0023】
図1およびそれに続く各図は、後方磁石を示しておらず、実際の製品では、後方磁石は、凹部および突部構造を有する符号化ストリップ200の表面の反対側に配置されると理解することができることも留意されたい。したがって、磁気抵抗センサ・アレイ300は、凹部および突部構造を有する符号化ストリップ200の表面の反対側にやはり配置され、磁気抵抗センサ・アレイ300は、符号化ストリップ200に接触しておらず、被試験装置の位置情報は、符号化ストリップ200の周りの磁場分布を感知することによって取得される。
【0024】
本開示の実施形態によれば、符号化ストリップは、異なる位置の符号化情報を特定するために凹部および突部を有する磁性材料ブロックによって形成され、符号化ストリップは、基部上に固定され、被試験装置のレールの方向に延び、磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップと後方磁石との間に非接触式で配置され、後方磁石は、符号化ストリップの周りに不均一な磁場を発生させるために使用され、磁気抵抗センサ・アレイは、符号化ストリップの磁場情報を検出することによって符号化ストリップの位置符号化情報を取得するために使用される。このスキームでは、後方磁石は、符号化ストリップを磁化するために使用され、これにより、被試験装置の変位を検出する目的を達成し、線形変位アブソリュート位置エンコーダのコストを大いに削減する。
【0025】
図2は、図1の符号化ストリップおよび磁気抵抗センサ・アレイの概略構造図であり、符号化ストリップ200および磁気抵抗センサ・アレイ300の構造は、上記実施形態に基づいてさらに示される。図2を参照すると、任意選択で、符号化ストリップ200は、被試験装置のレールの方向に配置されたP行の符号化チャンネル210を有し、行ごとの符号化チャンネル210は、M個の符号化ビットを備え、符号化ビットは、凹部211または突部212によって形成され、M個の符号化ビットは、それらが位置する符号化チャンネル210の位置符号化情報を構成し、それぞれの行における符号化チャンネル210の位置符号化情報は異なり、ただし、1≦P≦2であり、Pは正の整数である。
【0026】
例示として、図2は、方形グリッドを有する符号化ビットを示し、M=16、すなわち、符号化チャンネル210の一行が16個の符号化ビットを備える符号化ストリップ200の構造を示す。具体的には、符号化ビットは、凹部211または突部212によって形成され、各行における符号化チャンネル210の凹部211および突部212が異なり、したがって、各行における符号化チャンネル210の位置符号化情報は異なり、言い換えれば、各符号化チャンネル210上の符号化情報は一意であり、符号化ストリップ200は、少なくとも2個の位置を特定することができることが図2から理解することができる。
【0027】
このように設定することにより、凹部211および突部212を有する符号化チャンネル210は、磁気グリッドの2次元分布を実現するための磁気グリッド構造として使用することができ、それによって磁気グリッドのサイズを大いに減少させる。
【0028】
図2は、磁気抵抗センサ310を1行および16列で有する磁気抵抗センサ・アレイ300の構造を概略的に示す。M個の磁気抵抗センサ310が符号化チャンネル210の一行のM個の符号化ビットに一対一で対応する状態で行方向に磁気抵抗センサ・アレイ300を配置することによって、各磁気抵抗センサ310が、対応する符号化ビットの磁場の強さを収集することを可能にし、各符号化ビットの符号化情報を決定するようになっており、最終的に、M個の符号化ビットが位置する符号化チャンネル210の位置符号化情報が、M個の符号化ビットの符号化情報によって決定され、被試験装置の位置を決定するようになっていることを可能にする。
【0029】
続けて図2を参照すると、任意選択で、行方向において、各行における2つの隣接した磁気抵抗センサ310間の間隔D1は、各行における2つの隣接した符号化ビット間の間隔D2に等しい。
【0030】
行方向では、各行における2つの隣接した磁気抵抗センサ310間に間隔D1を各行における2つの隣接した符号化ビット間の間隔D2に等しくなるように設定することによって、磁気抵抗センサ310が対応する符号化ビットの磁場強度を検出するときの結果をより正確にすることができ、最終的に得られる位置符号化情報の正確さを確実にするとともに、エンコーダがより優れた性能を有するのを確実にするようになっている。
【0031】
各行における符号化チャンネル210の符号化ビットの個数Mは、当業者によって随意に設定することができ、本開示の実施形態によって限定されないことに留意されたい。図2に示されるように、レールの方向AA’に、符号化チャンネル210の2つ隣接した行間の距離はLであり、Lはエンコーダの分解能を決定し、Lが小さくなるにつれてエンコーダの分解能が高くなることが理解できる。各行における符号化チャンネル210内の符号化ビットの個数は、符号化チャンネル210の個数を決定し、したがって、測定レンジを広くするために、符号化ビットの個数は、できるだけ大きいものとする。
【0032】
例示として、高分解能トンネル磁気抵抗(TMR)センサを一例として挙げると、その最小ユニット・サイズは0.2mmであり、すなわち、D1=D2=0.2mmであり、磁気抵抗センサ・アレイ300が横方向に配置された20個の磁気抵抗センサ310で構成されると仮定すると、各行における符号化チャンネル210の位置符号化情報が一意であることを確実にするために、せいぜい220行の符号化チャンネル210が配置され得、if隣接した符号化チャンネル210間の間隔Lが1mmである場合、測定長は220×lmm=1,048,576mmであり、測定分解能は1mmであり、30個の磁気抵抗センサ310が横方向に配置される場合、せいぜい230個の行の符号化チャンネル210が配置され得、測定長は、1000Kmに到達し得る。エンコーダの分解能を改善することが必要である場合、間隔Lを減少させることが単に必要とされる。
【0033】
図3は、図1の符号化ストリップおよび磁気抵抗センサ・アレイの別の概略構造図である。例示として、磁気抵抗センサ・アレイ300は、複数(N=3)行の磁気抵抗センサ310を含む。このように設定することによって、磁気抵抗センサ310は、隣接したN行の符号化チャンネル210の位置符号化情報を同時に取得することができ、それによって、検出結果の精度を確実にし、エンコーダの信頼性を改善する。
【0034】
図4は、図2または図3の符号化チャンネルの一行の凹部および突部の概略構造図であり、図4を参照すると、任意選択で、符号化ストリップ200の符号化形態は、2進コードまたはグレイ・コードである。
【0035】
図4に示されるように、符号化チャンネル210における凹部211の符号化情報および突部212の符号化情報は、「0」および「1」であり、符号化チャンネル210の位置符号化情報は、「1011 0001 0101 0001」によって一意に決定される。2進コードまたはグレイ・コードの符号化形態を使用することによって、複雑なカーソル計算なしで符号化形態をより簡単にさせることが可能である。当業者は、符号化ストリップを符号化するときに、自然2進コードまたはグレイ2進コードを使用するように選ぶことができる。自然2進コードの符号化形態が単純であるが、隣接した数字間の変換中の複数レベルの逆変換により誤差が容易に引き起こされ得る。グレイ2進コードでは、10進数が変更されるごとに1レベルだけの変換があり、これにより、変換プロセスにおけるノイズを大きく削減すことができ、精度を改善する。
【0036】
図5は、後方磁石の作用下にある図4に示された符号化チャンネルの周りの磁力線の分布の概略図である。図5では、太い矢印は、後方磁石が符号化ストリップ200を磁化する磁化方向を示す。符号化チャンネル210が、後方磁石によって生成される磁場にさらされるとき、磁場は、凹部および突部によりその表面上の凹部および突部のすぐ近くで逸らされる。符号化チャンネル210の凹部における磁力線は、比較的希薄であり、一方、突部における磁力線は、比較的濃密であり、各符号化ビットの磁場強度は、磁気抵抗センサ・アレイ300を用いて検出され、次いで、デジタル処理が各符号化ビットの符号化情報を得るために行われ、それによって対応する符号化チャンネル210の位置符号化情報を得ることが、図5から理解できる。
【0037】
図6は、有限要素解析シミュレーションを使用することによって得られる図5に対応する符号化チャンネルの一行における各符号化ビットに対応する磁場の強さ分布の曲線グラフである。図6から理解できるように、各凹部211における符号化ビットに対応する磁場の強さはより小さく、各突部212における符号化ビットに対応する磁場の強さはより大きい。(図中の破線によって示されるように)それが1100Gsを境界とされる場合、符号化ビット1~16の値は分類することができ、1100Gsよりも小さい値が「0」であり、1100Gsよりも高い値はが「1」であると定められ、曲線から読み取られる位置符号化情報は、図4の位置符号化情報と一致する「1011 0001 0101 0001」であり、したがって、スキームの正しさを与える。
【0038】
任意選択で、磁気抵抗センサは、線形磁気抵抗センサであり、線形磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む。
【0039】
図7は、磁気抵抗センサの特性の曲線グラフであり、横座標Hは磁場の強さを表し、縦座標Voutは、磁気センサの出力電圧を表す。磁場の強さが高いときに磁気抵抗センサが飽和させられ得る、すなわち、磁気抵抗センサの出力電圧は、外部磁場が増加するにつれてもはや増加しないことが特性曲線から理解できる。したがって、エンコーダが使用されるとき、磁場は、磁気抵抗センサが直線領域H1~H2で動作するように最適化されるべきである。
【0040】
さらに、任意選択で、磁気抵抗センサは、巨大磁気抵抗センサであり、巨大磁気抵抗センサは、ホール効果センサ、異方性センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびトンネル磁気抵抗センサのいずれか1つを含む。
【0041】
上述した線形磁気抵抗センサおよび傾斜磁気抵抗センサは共に、良好な磁気誘導能力を有し、当業者は、実際の必要に従って随意に選択を行うことができ、本開示の実施形態は、これを定めない。
【0042】
任意選択で、符号化ストリップ200は、基部100と一体形成される。
【0043】
このように設定することによって、エンコーダのコストは、さらに削減することができ、製造プロセスは、簡単化され得る。
【0044】
本開示の実施形態は、高磁気伝導材料上に横方向に配置された凹部または突部によって形成されたM個の符号化ビットを構築することによって一つの位置の符号化チャンネルを構成し、いくつかの符号化チャンネルは、符号化ストリップを構成するために高磁気伝導材料のレールの方向に配置され、そして、符号化ストリップは、異なる位置を特定するために2進コードまたはグレイ・コードの符号化形態で符号化される。後方磁石は、符号化ストリップを磁化するために使用され、不均一な磁場は、符号化ストリップの周りに形成され、M個の磁気抵抗センサは、符号化ビットに一対一で対応するように横方向に配設および配置され、対応する符号化チャンネルの位置符号化情報を読み取るための磁気抵抗センサ・アレイを形成する。各位置の符号化チャンネルは一意の位置符号化情報を有するので、磁気センサ・アレイは、移動プロセスにおいて被試験装置の異なる位置の位置符号化情報を得るために使用され、その線形変位のアブソリュート位置の測定を実現することができる。線形変位アブソリュート位置エンコーダは、低コスト、小型サイズ、シンプルな符号化モード、長寿命、汚染耐性、耐震性などの利点を有し、とても良い実用性を有する。
【0045】
上述されたものは本開示の好ましい実施形態および用いられる技術的原理に過ぎないことに留意されたい。本開示は、本明細書中に記載された特定の実施形態に限定されず、様々な明らかな変更、再配置、および置換が、本開示の保護範囲から逸脱することなく当業者によってなされてもよいことが当業者によって理解される。したがって、本開示は上記実施形態によって詳細に説明されてきたが、本開示は、上記実施形態のみに限定されるが、本開示の概念から逸脱することなく、より多くの他の均等な実施形態を含むことができ、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】