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特表2023-513844統合型電極を備えたフィードスルーおよび医療装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(54)【発明の名称】統合型電極を備えたフィードスルーおよび医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/362 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61N1/362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549726
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2021054086
(87)【国際公開番号】W WO2021170490
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20159226.8
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンシェル、マルティン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK08
4C053KK10
(57)【要約】
本発明の埋め込み型医療装置は、電気フィードスルーを有するハウジングであって、電気フィードスルーは、絶縁体と、絶縁体を貫通して延在する導電体とを含み、絶縁体は、導電体と接合される、特にろう付けされる、ハウジングと、身体組織に接触するように構成された第1の電極と、第1の電極用の戻り電極として機能するように構成された第2の電極とを含み、第1の電極は、電気フィードスルーの導電体および電極先端部によって形成され、電極先端部は、導電体と接合される、特に溶接される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型医療装置(100)であって、
電気フィードスルー(20)を有するハウジング(10)であって、前記電気フィードスルー(20)は、絶縁体(30)と、前記絶縁体(30)を貫通して延在する導電体(40)とを含み、前記絶縁体(30)は、前記導電体(40)と接合されている、特にろう付けされている、ハウジング(10)と、
身体組織に接触するように構成された第1の電極(40、50)であって、特に前記第1の電極(40、50)は、前記身体組織に電気パルスを送出する、および/または前記身体組織からの電気パルスを感知するようにさらに構成される、第1の電極(40、50)と、
前記第1の電極用の戻り電極として機能するように構成された第2の電極(80)と
を備える、埋め込み型医療装置(100)において、
前記第1の電極(40、50)は、前記電気フィードスルー(20)の前記導電体(40)および電極先端部(50)によって形成され、前記電極先端部(50)は、前記導電体(40)と接合されている、特に溶接されていることを特徴とする、埋め込み型医療装置(100)。
【請求項2】
前記電極先端部(40)は、特にイリジウムまたは窒化チタンでコーティングされ、特に前記コーティングは、1μm~10μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項3】
前記導電体(40)および/または前記電極先端部(50)は、白金、白金/イリジウム、ニオブ、チタン、またはパラジウムでできているか、またはこれらを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項4】
前記導電体(40)は、前記絶縁体(30)に接合された中間部分(42)と、前記絶縁体(30)から突出する遠位部分(43)とを含み、前記遠位部分(43)は、少なくとも部分的に(44)前記中間部分(42)よりも大きい直径を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項5】
前記遠位部分(43)は、
前記中間部分(42)よりも大きい直径を有する円周突出部(44)と、
前記円周突出部(44)よりも小さい直径を有する遠位先端部(45)であって、前記電極先端部(50)は、前記遠位先端部(45)を受け入れるように構成されたレセプタクル(51)を含む、遠位先端部(45)か、または、
前記電極先端部(50)の近位突出部(52)を受け入れるように構成された遠位レセプタクル(47)と
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項6】
前記導電体(40)は、前記ハウジング(10)内に含まれる電子モジュール(90)に接合された、特にはんだ付けされた近位部分(41)を含み、特に前記導電体(40)の前記近位部分(41)は近位先端部(46)を含み、特に前記電子モジュール(90)は、前記近位先端部(46)を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第1の端子要素(61)を介して前記導電体(40)と接合され、特に前記第1の端子要素(61)は、はんだ付け可能であるか、または、
前記中間部分(42)は、導体延長部(48)に接合され、特にろう付けまたは溶接され、前記導体延長部(48)は、前記ハウジング内に含まれる電子モジュール(90)に接合される、特にはんだ付けされ、特に前記導体延長部(48)は近位先端部(49)を含み、前記電子モジュール(90)は、前記近位先端部(49)を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第1の端子要素(61)を介して前記導体延長部(48)と接合され、特に前記第1の端子ブロック(61)は、はんだ付け可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項7】
前記ハウジング(10)に接合された、特に溶接されたフランジ(70)をさらに含み、前記フランジ(70)は、前記電気フィードスルー(20)を受け入れるように構成された開口部を含み、前記フランジ(70)は、前記ハウジング(10)と本質的に同じ直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項8】
前記医療用インプラントは、前記フランジ(70)に接合された、特に溶接またははんだ付けされた、少なくとも1つの接地接点を含むことを特徴とする、請求項7に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項9】
前記フランジ(70)は突出部(71)を含み、前記少なくとも1つの接地接点は、前記突出部(71)を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第2の端子要素(62)を介して前記突出部(71)に接合され、特に前記第2の端子要素(61)ははんだ付け可能であるか、または、
前記フランジ(70)は、第2の端子要素(62)を受け入れるように構成されたレセプタクルを含み、前記少なくとも1つの接地接点は、前記第2の端子要素(62)を介して前記フランジ(70)に接合され、特に前記第2の端子要素(62)は、はんだ付け可能であるか、または、
前記フランジは、フランジ延長部(75)に接合され、特にろう付けされ、前記少なくとも1つの接地接点は、前記フランジ延長部(75)および任意選択で第2の端子要素(62)を介して前記フランジ(70)に接合され、特に前記フランジは、前記フランジ延長部(75)を受け入れるように構成されたレセプタクル(74)を含むか、または、
前記フランジ(70)は、第2の端子要素(62)を介して前記少なくとも1つの接地接点と接合され、特に前記第2の端子要素(62)は、はんだ付け可能であることを特徴とする、請求項8に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項10】
前記フランジ(70)は、前記ハウジング(10)の一部を受け入れるように構成されたレセプタクル(73)を含むことを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項11】
前記ハウジング(10)および前記フランジ(70)は、同じ材料、特にチタンまたはチタン合金のモードであるか、またはそれを含むことを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項12】
前記第2の電極(80)は、前記ハウジング(10)の一部によって形成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項13】
前記埋め込み型医療装置を身体組織、特に心臓組織に固定するように構成されたアンカー構造をさらに含み、特に前記アンカー構造は、複数のタインおよびベースリングを含み、前記複数のタインは、前記ベースリングに配置され、特に固定され、特に前記複数のタインと前記ベースリングは一部品に一体形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項14】
前記アンカー構造は、保持部品によって前記埋め込み型医療装置に取り付けられることを特徴とする、請求項13に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【請求項15】
前記フランジ(70)は、前記保持部品を受け入れるように構成されたレセプタクル(72)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の埋め込み型医療装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合型電極を有するフィードスルー、およびそのフィードスルーを含む埋め込み型医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカーまたはループレコーダなどの現在の電気医療用インプラントでは、通常、電気フィードスルーが密閉されたハウジングに溶接されている。電気フィードスルーを貫通して延在する1つまたは複数のフィードスルーピンが、ハウジング内部の電子部品およびハウジング外部の部品に接合される。1つまたは複数のリードを備えた従来のペースメーカーでは、ヘッダー部品とも呼ばれるこれらの外部部品が、1つまたは複数のリードとインプラントの電子部品との間の電気接続を提供する。
【0003】
しかしながら、上記の電気接続を設けるには、比較的多数の製造ステップが必要であり、したがって高価である。また、電気インプラントの一般的なアーキテクチャは非常にスペースを消費し、これは、特にループレコーダおよび心臓内ペースメーカーなどの新しい小型インプラントでは非常に重要な要素である。
【0004】
特に心臓内ペースメーカーでは、アンカー要素などのヘッダー部品の組み立ては困難で扱いにくいものである。既知の解決策は、それぞれの部品が互いに正確に配置され、動かされなければならない多軸アセンブリを組み込んでいる。部品の寸法が小さいと、部品の自動ハンドリングが複雑になるか、または妨げられることさえある。したがって、現在の解決策は、自動化できないか、または自動化が制限されているか、または組み立てのために接着剤に頼らなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、必要な接続の数が減少し、労力とコストを大幅に削減して製造できる、埋め込み型医療装置の設計を提供することである。特に、ヘッダー部品、特にアンカー要素の安全で、省スペースで、自動化された接合可能な固定を可能にする心臓内ペースメーカーの設計を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の構成を有する埋め込み型医療装置によって達成される。その適切な実施形態は、従属請求項および以下の説明に記載されている。
【0007】
請求項1によれば、埋め込み型医療装置が提供される。医療装置は、
電気フィードスルーを有するハウジングであって、電気フィードスルーは、絶縁体と、絶縁体を貫通して延在する導電体とを含み、絶縁体は、導電体と接合される、特にろう付けされる、ハウジングと、
身体組織に接触するように構成された第1の電極と、
第1の電極用の戻り電極として機能するように構成された第2の電極とを含む。
【0008】
本発明によれば、第1の電極は、電気フィードスルーの導電体および電極先端部によって形成され、電極先端部は、導電体に接合される、特に溶接されることが特に想定される。
【0009】
特に、ハウジングおよび電気フィードスルーは、密閉されている。
【0010】
特に、第1の電極は、身体組織に電気パルスを送出する、および/または身体組織からの電気パルスを感知するようにさらに構成される。好ましくは、第1の電極は、組織に電気パルスを送出し、組織からの電気パルスを感知するように構成される。
【0011】
したがって、本発明の埋め込み型医療装置は、ペースメーカーとして、特に心臓内ペースメーカーとして、または一実施形態ではループレコーダとして設計される。
【0012】
上述のように、第1の電極は2つの部分から形成され、そのうちの1つは本発明の埋め込み型医療装置の電気フィードスルーの導電体であり、医療装置が心臓内ペースメーカーまたはループレコーダとして設計される場合、第1の電極は、ペーシング電極および/または感知電極として機能することができる。有利なことに、提案された設計は、第1の電極が電気フィードスルーの導電体によって部分的に形成されるので、本発明の医療装置の単一軸アセンブリを可能にする。同時に、第1の電極は、例えば電極にコーティングを施すことによって、身体組織に接触する電極の要件に容易に適合させることができる。これは、埋め込み型医療装置のすべての部分をコーティングされないようにする高度なマスキングを必要とする、組み立て後に第1の電極全体をコーティングするのとは対照的に、導電体とは別に電極先端部にコーティングを施し、その後、コーティングされた電極先端部と導電体を接合することによって行うことができる。
【0013】
したがって、電極先端部は、本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態においてコーティングされる。一実施形態では、電極先端部は、フラクタルコーティングでコーティングされる。
【0014】
本明細書の文脈における「フラクタルコーティング」という用語は、特に、フラクタルまたはフラクタルタイプの空間的幾何学形状を有するコーティングを指す。そのようなフラクタルコーティングは、(例えば、ペーシングおよび/または感知に関して)活性表面を数倍から数桁増加させるという利点を有する。特に、フラクタルコーティングによって第1の電極の電気的活性表面を増加させることにより、医療装置は、減少したインピーダンスでペーシングおよび/または感知することができ、それによって電力消費が減少する。
【0015】
さらに、そのようなフラクタルコーティングは、好ましくは、真空技術と、窒化物または貴元素(例えば、白金、パラジウム、またはイリジウム)などの実質的に不活性な材料を使用して、電極先端部に塗布される。特に、コーティング材料の塗布は、電極先端部の表面および塗布された材料の各々の後続の層への画定されたベース構造の反復塗布を含み、好ましくは、各々の後続の層において、塗布された画定されたベース構造はより小さいサイズを有する。
【0016】
一実施形態では、電極先端部は、イリジウムまたは窒化チタンでコーティングされる。一実施形態では、電極先端部は、イリジウムおよび/または窒化チタンによるフラクタルコーティングを含む。一実施形態では、コーティングは、1μm~10μmの範囲の厚さを有する。
【0017】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、導電体および/または電極先端部は、白金、白金/イリジウム、ニオブ、チタン、またはパラジウムでできているか、またはそれを含む。特に、導電体および/または電極先端部は、90重量%の白金および10重量%のイリジウムを含む白金-イリジウム合金でできている。
【0018】
一実施形態では、絶縁体は、セラミックスまたはガラスでできているか、またはそれを含む。一実施形態では、導電体は、絶縁体、好ましくは金をはんだとしてろう付けされる。セラミックス、特にAlは、絶縁体材料として適している。
【0019】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、導電体は、絶縁体に接合された(特に、(好ましくは金をはんだとして)溶接された)中間部分と、絶縁体から突出する遠位部分とを含み、遠位部分は、少なくとも部分的に、中間部分よりも大きい直径を有する。
【0020】
有利なことに、導電体は、導電体の残りの部分と比較して、より広い遠位「頭部」を示し、より広い遠位「ヘッダー」は、より良好な組織接触を可能にし、したがって、より良好なペーシングおよび/または感知能力を可能にする。
【0021】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、遠位部分は、中間部分よりも大きい直径を有する円周突出部と、円周突出部よりも小さい直径を有する遠位先端部とを含み、電極先端部は、遠位先端部を受け入れるように構成されたレセプタクルを含む。別の一実施形態では、遠位部分は、円周突出部と、電極先端部の近位突出部を受け入れるように構成されたレセプタクルとを含む。
【0022】
有利には、導電体の遠位先端部および電極先端部のレセプタクル、または導電体のレセプタクルおよび電極先端部の近位突出部は、導電体および電極先端部の位置合わせおよび/または嵌合を容易にする。同時に、円周突出部は、電極先端部の係止面または位置決め面として機能することができる。
【0023】
好ましくは、第1の電極はくぎの形態に設計され、導電体の遠位部分と電極先端部は、第1の電極の幅広のくぎの頭部を共に形成する。
【0024】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、導電体は、ハウジング内に含まれる電子モジュールに接合された、特にはんだ付けされた近位部分を含む。
【0025】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、導電体の近位部分は近位先端部を含む。一実施形態では、電子モジュールは、近位先端部を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第1の端子要素を介して導電体と接合される。一実施形態では、第1の端子要素は、はんだ付け可能である、すなわち、はんだ付け可能な材料を含むか、または本質的にはんだ付け可能な材料からなる。適切なはんだ付け可能な材料には、銅、ニッケル、およびそれらの合金(例えば、銅-ニッケルまたは青銅)が含まれるが、これらに限定されず、材料は、例えばパラジウムまたはスズでさらにコーティングされ得る。第1の端子要素は、中空円筒、中空円盤、または中実突起の形態で設計することができる。一実施形態では、第1の端子要素は、パラジウムコーティングを施したニッケル製の中空円筒、または追加的に予備錫メッキされたニッケル製の中空ディスクまたは突起の形態で設計される。
【0026】
有利なことに、導電体は、導電体の近位先端部または電極先端部の近位突出部によって、電子モジュールとより容易に位置合わせ、嵌合、および/または接合することができる。
【0027】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、導電体、特に導電体の中間部分は、導電体延長部に接合され、特にろう付けまたは溶接され、導電体延長部は、電子モジュールに接合される、特にはんだ付けされる。一実施形態では、導体延長部は、導電体と実質的に同じ材料でできているか、またはそれを含む。一実施形態では、導体延長部は、第1の端子要素を介して電子モジュールと接合され、特に第1の端子要素は、好ましくは追加的に予備錫メッキされ得るニッケルでできているか、またはそれを含む中実突起の形態で設計される。一実施形態では、導体延長部は、近位先端部を含む。一実施形態では、導体延長部は、導体延長部の近位先端部を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第1の端子要素を介して電子モジュールに接合される。第1の端子要素の適切な実施形態および例は、上述されている。
【0028】
一実施形態では、埋め込み型医療装置は、ハウジング内に含まれる電源、特に電池をさらに含み、電子モジュールは、電源と電気的に接続される。
【0029】
一実施形態では、本発明の埋め込み型医療装置は、ハウジングに接合された、特に溶接されたフランジをさらに含み、フランジは、電気フィードスルーを受け入れるように構成された開口部を含み、フランジは、本質的にハウジングと同じ直径を有する。特に、電気フィードスルーの絶縁体はフランジと接合され、好ましくは金をはんだとしてろう付けされ、特に絶縁体とフランジとの間に密閉接続を形成する。
【0030】
有利なことに、このようなフランジは、本発明の埋め込み型医療装置の長手軸に対して垂直な角度でハウジングと溶接することができる。それにより、埋め込み型医療装置の製造が容易になる。また、必要な溶接スポットは、埋め込み型医療装置の重要な部分、特に導電体と絶縁体の間、絶縁体とフランジの間、および/または導電体と電子モジュールの間の接合部から離すことができる。したがって、フランジとハウジングを溶接することによって導入される熱は、前述の重要な部品の完全性を損なうことはないか、より低い程度しか損なわない。
【0031】
一実施形態では、本発明の埋め込み型医療インプラントは、フランジに接合された、特に溶接またははんだ付けされた少なくとも1つの接地接点を含む。
【0032】
一実施形態では、フランジは、第2の端子要素を有する少なくとも1つの接地接点と接合される。一実施形態では、フランジは突出部を含み、少なくとも1つの接地接点は、突出部を受け入れるように構成されたレセプタクルを有する第2の端子ブロックを介して突出部に接合され、特に第2の端子要素は、中空円筒または円盤の形態で設計される。一実施形態では、フランジは、第2の端子要素を受け入れるように構成されたレセプタクルを含む。一実施形態では、フランジのレセプタクルは、リングの形態で設計された適合する第2の端子要素を受け入れるか、またはそれと嵌合するように構成された円周溝の形態で設計される。一実施形態では、第2の端子ブロックは、はんだ付け可能である、すなわち、はんだ付け可能な材料でできているか、またはそれを含む。適切なはんだ付け可能な材料は、上記に記載されている。
【0033】
有利なことに、フランジは、少なくとも1つの接地接点とより容易に位置合わせ、嵌合、および/または接合することができる。
【0034】
別の一実施形態では、フランジは、フランジ延長部と接合され、特に溶接またはろう付けされ、少なくとも1つの接地接点は、フランジ延長部を介してフランジと接合される。一実施形態では、フランジは、フランジ延長部を受け入れるように構成されたレセプタクルを含む。フランジ延長部は、(中実の)円柱または円盤の形態で設計され得る。一実施形態では、フランジ延長部は、ろう付け可能な材料(例えば、ニッケル、白金、白金/イリジウム、パラジウム、またはそれらの合金)で作られるか、またはそれを含み、特に、好ましくははんだとして銅、銀、金またはそれらの合金で、フランジにろう付けされる。一実施形態では、フランジ延長部は。第2の端子要素によって接地接点に接合され、特に第2の端子要素は、中実突起の形態で設計される。
【0035】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、フランジは、ハウジングの一部を受け入れるように構成されたレセプタクルを含む。そのようなレセプタクルは、ハウジングの周縁部を受け入れるように構成された円周溝の形態で設計され得る。あるいはまた、レセプタクルは、ハウジングの適合する周縁部を受け入れるか、またはそれと嵌合するように構成された形または周縁部で設計され得る。
【0036】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、ハウジングおよびフランジは、同じ材料で作られるか、または同じ材料を含む。一実施形態では、ハウジングおよびフランジは、チタンまたはチタン合金で作られる。
【0037】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、第2の電極は、ハウジングの一部によって形成され、好ましくは、第1の電極と第2の電極との間に位置するハウジングの少なくとも一部は、電気絶縁コーティング(例えば、パリレン)で覆われる。
【0038】
一実施形態では、本発明の埋め込み型医療装置は、体内組織、特に心臓組織内に埋め込み型医療装置を固定するように構成されたアンカー構造をさらに含む。一実施形態では、アンカー構造は、複数のタインおよびベースリングを含み、複数のタインはベースリングに配置され、特に固定される。一実施形態では、複数のタインおよびベースリングは一部品に一体形成される。
【0039】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、アンカー構造は、保持部品によって埋め込み型医療装置に取り付けられる。このような保持部品は、埋め込み型装置の遠位端に配置されるように構成されたヘッダーキャップとして設計することができ、ヘッダーキャップは、第1の電極が貫通して延在する貫通孔を含む。ヘッダーキャップは、2つの部分から形成されてもよいし、一体部品に形成されてもよい。
【0040】
本発明の埋め込み型医療装置の一実施形態では、フランジは、保持部品を受け入れるように構成されたレセプタクルを含む。特に、レセプタクルは、フランジによって形成された円周方向の突出部または縁部を含むことができる。
【0041】
本発明のさらなる利点、特徴、および実施形態は、図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】フランジ、フィードスルー、および電極を含む、本発明の医療装置の一実施形態のヘッダーセクションの断面図を示す。
図2】ヘッダーセクションのいくつかの代替実施形態を示す。
図3】ヘッダーセクションのいくつかの代替実施形態を示す。
図4】ヘッダーセクションのいくつかの代替実施形態を示す。
図5】ヘッダーセクションのいくつかの代替実施形態を示す。
図6】ヘッダーセクションの上面図。
図7】ヘッダーセクションの底面図。
図8】本発明の医療装置の一実施形態の全体図。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0043】
本発明では、電気フィードスルー20内で電気信号を伝導するためのフィードスルーピン40が埋め込み型医療装置100の電極として使用される設計が提案される。この目的のために、ピン40の本体側43は、電極40、50の機能を実現できるように形成され、コーティングされる。電極は、2つの部分40、50によって形成される。コーティングされる電極40、50の遠位部分または先端部50は、フィードスルーピン40に溶接される。それによって、電極の遠位部分または先端部をフィードスルーピン40とは別にコーティングすることができるので、製造コストを大幅に削減することができる。したがって、電極をコーティングするために電気フィードスルー全体をマスキングする必要はない。
【0044】
フィードスルー20のフランジ70は、本質的にインプラント、またはより正確にはインプラントのハウジング10と同じ直径を有する。これにより、フランジ10は、インプラント100の長手軸に対して半径方向に溶接することができる。それにより、溶接位置11は、(例えば、ピン40と絶縁体30の間、絶縁体30とフランジ70の間、またはピン40と電子モジュール90の間の)ろう付けまたははんだ付け位置から最も離れている。また、インプラント100の単純な単軸組立が可能である。
【0045】
フランジ70またはフィードスルー20のインハウス接点(46、48、71、74、61、62)は、はんだ付け可能であるように設計されることが好ましい。特に、フィードスルーピン40の近位(インハウス)部分46、48は、回路90(例えば、プリント回路基板)上に自動配置できるSMT部品として設計される。
【0046】
図1は、金属フランジ70(例えば、チタンまたはチタン合金製)および電気フィードスルー20を有する本発明の埋め込み型医療装置100のヘッダー部分を詳細に示している。電気フィードスルー20は、絶縁体30(例えば、セラミックスまたはガラス製)と、絶縁体30を貫通して延在するフィードスルーピン40(例えば、白金、白金/イリジウム、またはニオブ製)とを含む。特に、ピン40と絶縁体の間、絶縁体30とフランジ70の間に密閉シールを形成するために、フィードスルーピン40は、特に金をはんだとして、絶縁体30とろう付けされ、絶縁体30は金属フランジ70とろう付けされる。
【0047】
フィードスルーピン40は、いくつかの別個の領域:ハウジング10の内側の近位部分41、絶縁体30を貫通して延在する中間部分42、および絶縁体30またはハウジング10の外側の遠位部分43をそれぞれ示す。近位部分41は近位先端部46を含み、これは、本発明の埋め込み型医療装置100の電子モジュール90にはんだ付けされるように構成されたはんだ付け可能な第1の端子要素61のレセプタクルを受け入れる。中間部分42は、密閉シールを形成するために、絶縁体30に少なくとも部分的にろう付けされる。遠位部分43は、円周突出部44と、コーティングされた電極先端部50のレセプタクル51によって受け入れられる遠位先端部45とを含む。円周突出部44は、好ましくは、電極先端部44の係止面または位置決め面として機能する。フィードスルーピン40および電極先端部50は互いに溶接され、本発明の埋め込み型医療装置100の電極40、50を形成する。
【0048】
さらに、金属フランジ70は、インプラント(図示せず)のアンカー構造の保持要素を受け入れるように構成された第1のレセプタクル72と、溝として形成され、ハウジング10の周縁部を受け入れるように構成された第2のレセプタクル73とを含む。金属フランジ70は、はんだ付け可能な第2の端子要素62のレセプタクルによって受け入れられる突出部71をさらに含む。突出部71および第2の端子要素62は、インプラント100の接地接点に接続されるように構成され、意図されている。好ましくは、第1および第2の端子要素は、中空の円筒または円盤の形態で設計され、はんだ付け可能な材料(例えば、任意選択で例えばパラジウムまたはスズでコーティングされ得る、銅ニッケル、青銅)で作られるか、またはそれを含む。
【0049】
フィードスルーピン40と電極先端部50の代替設計を図2に示す。そこでは、フィードスルーピン40の遠位部分43は、上記のような円周突出部44を含むが、電極先端部50の遠位突出部52を受け入れるように構成されたレセプタクル47を含む。
【0050】
図3a、図3c、および図3cは、フランジ70と接地接点との間の接続の代替設計を示す。1つの代替設計(図3aおよび図3b)では、フランジ70は、第2の端子要素62を受け入れるように構成されたレセプタクル74を含む。この設計では、レセプタクル74は、円周溝の形態で設計され、リングの形で設計された適合する第2の端子要素62と嵌合することが好ましい。別の代替設計では、第2の端子要素62は、図3cに示されるように、第2の端子要素62用のレセプタクルなしでフランジ70の内面に接合することができ、第2の端子要素62は、図3bの第2の端子要素と同様のリングの形態で設計されることが好ましい。任意の代替設計において、第2の端子要素62は、上述のように、はんだ付け可能な材料で作られるか、またはそれを含むことが好ましい。
【0051】
図4aおよび図4bは、フランジ70と接地接点との間の接続、およびフィードスルーピン40と電子モジュール90との間の接続の代替設計を示す。そこでは、導体延長部48がフィードスルーピン40の中間部分42にろう付けされ、導体延長部48は、好ましくは突起の形態で設計された第1の端子要素61を含むか、またはそれと接合される(図4aおよび図4b)。さらに、フランジ延長部75がフランジ70とろう付けされ、フランジ延長部75は、図4aに示されるようにフランジ70の内面上に配置されるか、図4bに示されるようにフランジ70のレセプタクル74内に配置される。いずれの場合も、フランジ延長部75は、好ましくは、突起の形態に設計された第2の端子要素62を含むか、それに接合され、第2の端子要素62は、好ましくは、上述のように、はんだ付け可能な材料で作られるか、またはそれを含む。
【0052】
図5は、ハウジング10を受け入れるように構成されたフランジ70、より正確にはレセプタクル73の代替設計を示す。この代替設計では、レセプタクル73は、ハウジング10の適合する周縁部を受け入れるか、またはそれと嵌合するように構成された周縁部の形態で設計される。
【0053】
図6および図7は、本発明の埋め込み型医療装置100の上述のヘッダー部品の上面および下面を示す。図7は、それぞれ電子モジュール90および接地接点にはんだ付けされるように構成された複数のはんだ付け可能な第1の端子要素61および第2の端子要素62を示す。好ましくは、第1の端子要素61および第2の端子要素62の各々は、フィードスルーピン40の近位先端部41およびフランジ70の突出部71をそれぞれ受け入れるように構成されたレセプタクルを有する中空の円筒または円盤の形態で設計される。
【0054】
図8は、本発明の埋め込み型医療装置100の全体図を示す。フランジ70と、フィードスルーピン40および電極先端部50を有するフィードスルー20とを含む上記のヘッダーセクションに加えて、インプラント100は、密閉されたハウジング10を含む。ハウジング10は、フィードスルーピン40に電気的に接続された電子モジュール90と、電子モジュール90に電気的に接続された電池91とを含む。電子モジュール90と電池91の両方は、例えば図8に示す溶接シーム11に沿って、組み立て後にフランジ70と共に溶接される別個のハウジング部品によって収容され得る。ハウジング10は、電極40、50の戻り電極として機能する部分80をさらに含む。
図1
図2
図3a
図3B
図3c
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】