(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】オイルフィルタモジュール、特に変速機用オイルフィルタモジュール
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20230328BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20230328BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
F16H57/04 F
B01D35/02 E
F01M11/03 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022548607
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021054298
(87)【国際公開番号】W WO2021185532
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】102020203451.6
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザウペ カイ
【テーマコード(参考)】
3G015
3J063
4D116
【Fターム(参考)】
3G015BG07
3G015BG08
3G015CA06
3G015DA10
3G015EA07
3G015FB04
3G015FB09
3J063AA01
3J063AC03
3J063BA11
3J063XD03
3J063XD62
3J063XD72
3J063XE03
3J063XE41
3J063XF21
4D116AA07
4D116BB01
4D116QA26C
4D116QA26E
4D116QA26G
4D116QA34C
4D116QA34D
4D116QA34F
4D116TT02
4D116TT07
4D116VV03
(57)【要約】
本発明は、オイルフィルタモジュール(1)、特に変速機用のオイルフィルタモジュール、特に電気自動車又はハイブリッド自動車用のオイルを濾過するオイルフィルタモジュールに関する。オイルフィルタモジュール(1)は、ハウジング内部を囲むハウジング(2)と、ハウジング内部に設けられたオイルを濾過するオイルフィルタ装置とを備え、オイルフィルタ装置は交換可能であり、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割するフィルタエレメントを有する。オイルフィルタモジュール(1)はまた、濾過されるべきオイル、又は未処理のオイルを未処理側に導入するための未処理オイル入口(3)を備える。未処理オイル入口(3)に誘導装置(10)が設けられ、未処理オイル入口(3)に入る前にオイルを偏向させる。流れ誘導装置(10)は、濾過されるオイル中の泡の望ましくない形成を妨げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内部を取り囲むハウジング(2)を備え、
前記ハウジング内部に交換可能に配置されたオイルフィルタ装置を備え、
オイルを濾過するための前記ハウジング(2)が、前記ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割するフィルタエレメントを有し、
濾過されるべきオイル又は未処理オイルをそれぞれ未処理側に導入するための未処理オイル入口(3)を有し、
前記未処理オイルが前記未処理オイル入口(3)に入る前に前記未処理オイルの方向を変えるために前記未処理オイル入口(3)に設けられた流れ誘導装置(10)を有する、
特に変速機用のオイルフィルタモジュール、特に電気自動車又はハイブリッド自動車用のオイルを濾過するための、オイルフィルタモジュール(1)。
【請求項2】
前記流れ誘導装置(10)が、流れ誘導板(11)として形成されるか、又は前記流れ誘導板(11)を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項3】
前記未処理オイル入口(3)が、入口開口部(5)を含む管体(4)を有し、前記入口開口部(5)を通ってオイルが前記管体(4)に入ることができ、
前記管体(4)が、前記入口開口部(5)の領域において、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ存在する開口部(6)に挿入される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項4】
前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ設けられた前記開口部(6)が、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ成形され、そこから垂直に突出する開口部カラー(7)によって枠形成される
ことを特徴とする、請求項3に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項5】
前記管体(4)が、軸方向(A)に沿って、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)と実質的に同一平面上にある
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項6】
前記管体(4)が、軸方向(A)に沿って延在し、
前記流れ誘導装置(10)又は流れ誘導板(11)が、それぞれ、前記軸方向(A)に垂直に延びる平面(E)に配置される
ことを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項7】
前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)がそれぞれ、前記未処理オイル入口(3)が開口する混合室/混合領域(12)に配置され、
洗浄されるべきオイルを混合室又は混合領域(12)に導入するためのオイル供給物(13)が、前記混合室/混合領域(12)に開口し、
前記オイル供給物(13)の混合室/混合領域(12)への開口部(8)、流れ誘導装置(10)、及び未処理オイル入口(3)の混合室/混合領域(12)への開口部(9)が、前記オイル供給物(13)から前記混合室/混合領域(12)へ入るオイルが、前記未処理オイル入口(3)に入ることによって前記混合室/混合領域(12)から再び出る前に、それぞれ、前記流れ誘導装置(10)又は流れ誘導板(11)上で少なくとも1回偏向されるように、配置される
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項8】
前記混合室/混合領域(12)内に、前記オイルから粗粒子を分離するための粗粒子分離器(14)が配置されている
ことを特徴とする、請求項7に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項9】
前記粗粒子分離器(14)が、入口開口部(5)からある距離をおいて軸方向に配置され、前記入口開口部(5)上への軸方向(A)に沿って観察方向B)において前記オイルに対して透過性であるように、前記入口開口部(5)を覆う
ことを特徴とする、請求項8に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項10】
前記粗粒子分離器(14)が、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ固定される
ことを特徴とする、請求項8又は9に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項11】
前記オイルフィルタモジュール(1)が、前記オイルフィルタ装置の下流に配置され、前記オイルを冷却するための熱交換器(15)を備える
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の変速機用のオイルフィルタモジュールを備える、自動車用の変速機。
【請求項13】
自動車を駆動するための電気モータを備えると共に、
請求項12に記載の変速機を備えるか、又は請求項1から11のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)を備える、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルフィルタモジュール、特に変速機用のオイルフィルタモジュール、及びそのようなオイルフィルタモジュールを備える変速機に関する。さらに、本発明は、そのような変速機を備えるか、又はそのような変速機用のオイルフィルタモジュール若しくはオイルフィルタモジュールをそれぞれ備える、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能電気モータでは、高いトルクを伝達できるようにするために、追加の変速機を組み込むことが必要とされる場合がある。これにより、通常、変速機のためにオイルによる潤滑が提供される。このタイプの潤滑装置は、オイルフィルタ装置と、オイルリザーバと、変速機オイルを冷却するための熱交換器と、ポンプとを備える潤滑回路を備える。しかしながら、変速機オイルを冷却するためには設けられていないが、他の用途のために設けられている他のオイルフィルタモジュールも、上述のオイルフィルタ装置と、オイルを冷却するための熱交換器とを有することができる。
【0003】
このようなオイルフィルタモジュールでは比較的複雑であることが多い配管のために、従来のオイルフィルタモジュールでは、モジュール内に設けられたオイルフィルタモジュール、特にオイルフィルタ装置の機能性に影響を及ぼし得る、モジュールを通って流れるオイル内に、そこで生じる乱流及び空気導入のため望ましくない泡が、形成されることが起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この課題は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。好ましいさらに有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
したがって、本発明の基本的な考えは、前記オイルがオイルフィルタ装置に入る前に、オイルフィルタモジュールを通って案内されるオイル中の泡の形成を低減することであり、その点で、流れ誘導装置は、フィルタ装置の未処理オイル入口の領域に設けられる。このような流れ誘導装置は、未処理オイル入口に入る前に、したがってフィルタ装置に入る前に、流れ誘導装置によってオイルが少なくとも1回、好ましくは数回偏向されるように形成される。これは、オイルフィルタ装置の上流の領域におけるオイルの滞留時間の延長につながり、その結果、オイル液体中に泡を形成させる気泡は、特に効果的に放出され得る。これは、オイル中の前記泡形成を打ち消す。理想的な場合には、望ましくない発泡体の形成は、このようにして完全に防止さえすることができる。
【0006】
本発明によるオイルフィルタモジュール、特に変速機用の、好ましくは電気自動車又はハイブリッド自動車用のオイルフィルタモジュールは、オイルを濾過する目的に役立つ。モジュールは、ハウジング内部を取り囲むハウジングを備える。オイルを濾過するためのオイルフィルタ装置が、ハウジング内部に交換可能に配置されている。オイルフィルタ装置は、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割する、フィルタ材料製のフィルタ媒体を備えるフィルタエレメントを有する。モジュールはさらに、濾過される、オイル又は未処理オイルを、それぞれハウジング内部の未処理側に導入するための未処理オイル入口を備える。本発明によれば、オイルが未処理オイル入口に入る前にオイルを偏向させるための流れ誘導装置が、未処理オイル入口に設けられる。
【0007】
好ましい実施形態によれば、流れ誘導装置は、流れ誘導板として形成されるか、又はそのような流れ誘導板を備える。そのような流れ誘導板は、特に高い有効断面積を有し、そのため、オイルは、特に、混合室/混合領域から再び出て未処理オイル入口に入る前に、流れ誘導板上で数回偏向され得る。
【0008】
別の好ましい実施形態によれば、未処理オイル入口は、入口開口部を備える管体を備える。この実施形態の場合、管体は、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ存在する開口部内への入口開口部の領域に挿入される。この実施形態は、単純な方法で、未処理オイル入口上の流れ誘導装置又は流れ誘導板のそれぞれの組立体を提供する。
【0009】
特に好ましくは、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ設けられた開口は、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ成形されて流れ誘導装置又は流れ誘導板からそれぞれ垂直に突出する開口カラーによって、枠が形成される。このようにして、流れ誘導装置又は流れ誘導板をそれぞれ未処理オイル入口に機械的に安定して固定することができる。
【0010】
特に好ましくは、管体は、軸方向に沿って延在する。これにより、流れ誘導装置又は流通プレートは、それぞれ、軸方向に対して垂直に延びる平面内に配置される。
【0011】
粗粒子分離器は、入口開口部から距離をおいて軸方向に配置され、入口開口部上の軸方向に沿って観察方向に入口開口部を覆うと有利である。言うまでもなく、入口開口部は、流体密に覆われておらず、逆に、粗粒子分離器は、汚れ粒子のみを保持するが、濾過されるオイル又は未処理オイルは、それぞれ、粗粒子分離器を通って未処理オイル入口に入ることができる。この代替形態は、粗粒子分離器の高い有効断面積を実現する。
【0012】
粗粒子分離器は、それぞれ流れ誘導装置又は流れ誘導板に固定することができると有利である。したがって、粗粒分離器は、その分離効果が摩耗によって消耗したときに、簡単な方法で交換することができる。
【0013】
管体は、軸方向に沿って、本質的に流れ誘導装置又は流れ誘導板とそれぞれ面一であると有利である。これは、未処理オイル入口へのオイルの進入を容易にする。
【0014】
有利なさらなる発展形態によれば、オイルフィルタモジュールは、オイルを冷却するために、オイルフィルタ装置の下流に配置された熱交換器を備えることができる。
【0015】
本発明は、さらに、変速機のための上記に導入されたオイルフィルタモジュールを備える、自動車のための変速機に関する。したがって、オイルフィルタモジュールの上述の利点は、本発明による変速機にも当てはまる。
【0016】
最後に、本発明は、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車に関する。自動車は、自動車を駆動するための、電気モータを備える。本発明による自動車は、本発明による上記の導入された変速機、又は/及び本発明による上記の導入されたオイルフィルタモジュールをさらに備える。したがって、オイルフィルタモジュールの上述の利点は、本発明による自動車にも当てはまる。
【0017】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から、及び図面に基づいた対応する図の説明から、得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】オイルフィルタモジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
なお、以下に説明する上記の特徴及び特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の組合せのみならず、他の組合せ、又は単独で用いることができることは言うまでもない。
【0020】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明でより詳細に説明される。ここで、同一の参照符号は、同一、類似又は機能的に同一の構成を示す。
【0021】
斜視部分図において、唯一の
図1は、電気自動車又はハイブリッド自動車用の、及び変速機用のオイルフィルタモジュールとして使用することができるオイルを濾過するための、本発明によるオイルフィルタモジュールの一例を示す。オイルフィルタモジュール1は、ハウジング内部を取り囲むハウジング2を備える。ハウジング内部には、オイルを濾過するための
図1には図示されていないオイルフィルタ装置が交換可能に配置されている。オイルフィルタモジュール1は、オイルを冷却するためにオイルフィルタ装置の下流に配置された熱交換器15をさらに備えることができる。図示例では、前記熱交換器は、ハウジング2に固定され、積層プレート熱交換器16として形成される。
【0022】
(図示されていない)オイルフィルタ装置は、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割するフィルタエレメントを有する。オイルフィルタモジュール1はさらに、濾過されるべきオイル又は未処理オイルをそれぞれハウジング内部の未処理側に導入するための未処理オイル入口3を備える。未処理オイル入口3は、軸方向Aに沿って延在する入口開口部5を備える管体4をさらに有する。管体4は、ハウジング2上に一体的に成形することができ、すなわち、ハウジング2と管体4とは、一体に形成され、この場合、同じ材料で形成される。しかしながら、ハウジング2と管体4は、2つの部品で形成することもできる。ハウジング2及び管体4は、この場合、異なる材料から構成することもできる。
【0023】
図1から分かるように、未処理オイル入口3へのオイルの進入前にオイルを偏向させるための流れ誘導装置10が未処理オイル入口3に設けられている。
図1に示されるように、流れ誘導装置10は、好ましくは、プレート(以下、「流れ誘導板」11と称する)の様式で形成することができる。流入口5の領域において、未処理オイル流入口3の管体4は、流れ誘導板11に設けられた開口6に挿入されている。流れ誘導板11は、管体4の軸方向Aに垂直に延在する平面Eに配置されると有利である。流れ誘導板11に設けられた開口6は、流れ誘導板11上に成形され、流れ誘導板11から垂直に、したがって軸方向Aに突出する開口カラー7によって構成されている。
【0024】
図1によれば、管体4は、軸方向Aに沿って流れ導通板11と実質的に面一である。
【0025】
さらに
図1に見られるように、流れ誘導装置10又は流れ誘導板11は、それぞれ、未処理オイル入口3が開口する混合室/混合領域12に配置される。さらに、オイル供給部13は、混合室/混合領域12に開口している。オイルフィルタ3は、オイルフィルタ装置内で洗浄されるオイルを混合室/混合領域12内に導入する目的を果たす。混合室/混合領域12を通って流れた後、オイルは、未処理オイル入口3を通って再び混合室/混合領域12から出て、ハウジング内部の未処理側に流れることができる。
【0026】
混合室/混合領域12へのオイル供給部13の開口部8、流れ誘導装置、及び混合室/混合領域12への未処理オイル入口3の開口部9は、互いに相対位置に配置され、その結果、オイル供給部13から混合室/混合領域12に入るオイルは、未処理オイル入口3に入ることによって混合室/混合領域12から再び出る前に、流れ誘導装置10又は流れ誘導板11上でそれぞれ少なくとも1回、好ましくは数回偏向される。
【0027】
図1によれば、オイルから粗粒子を分離するための粗粒子分離器14もまた、混合室/混合領域12内に配置することができる。粗粒分離器14は、軸方向Aに沿って入口開口部5から離れて配置されている。粗粒子分離器14は、軸方向Aに沿って入口開口部5上の観察方向Bにおいて前記入口開口部を覆う。粗粒子分離器14は、流れ誘導板11に固定されると有利である。
【手続補正書】
【提出日】1992-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルフィルタモジュール、特に変速機用のオイルフィルタモジュール、及びそのようなオイルフィルタモジュールを備える変速機に関する。さらに、本発明は、そのような変速機を備えるか、又はそのような変速機用のオイルフィルタモジュール若しくはオイルフィルタモジュールをそれぞれ備える、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能電気モータでは、高いトルクを伝達できるようにするために、追加の変速機を組み込むことが必要とされる場合がある。これにより、通常、変速機のためにオイルによる潤滑が提供される。このタイプの潤滑装置は、オイルフィルタ装置と、オイルリザーバと、変速機オイルを冷却するための熱交換器と、ポンプとを備える潤滑回路を備える。しかしながら、変速機オイルを冷却するためには設けられていないが、他の用途のために設けられている他のオイルフィルタモジュールも、上述のオイルフィルタ装置と、オイルを冷却するための熱交換器とを有することができる。
【0003】
このようなオイルフィルタモジュールでは比較的複雑であることが多い配管のために、従来のオイルフィルタモジュールでは、モジュール内に設けられたオイルフィルタモジュール、特にオイルフィルタ装置の機能性に影響を及ぼし得る、モジュールを通って流れるオイル内に、そこで生じる乱流及び空気導入のため望ましくない泡が、形成されることが起こり得る。
【0004】
上記に鑑みて、特許文献1は、オイルを濾過するためのオイルフィルタモジュールを開示している。オイルフィルタ装置は、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割する、フィルタ材料で作られたフィルタ媒体を含むフィルタエレメントを有する。モジュールはさらに、濾過されるオイル又は未処理オイルをそれぞれハウジング内部の未処理側に導入するための未処理オイル入口を備える。未処理オイルが未処理オイル入口に入る前にオイルを偏向させるための流れ誘導装置が、未処理オイル入口にさらに設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2018 221 052号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この課題は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。好ましいさらに有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
したがって、本発明の基本的な考えは、前記オイルがオイルフィルタ装置に入る前に、オイルフィルタモジュールを通って案内されるオイル中の泡の形成を低減することであり、その点で、流れ誘導装置は、フィルタ装置の未処理オイル入口の領域に設けられる。このような流れ誘導装置は、未処理オイル入口に入る前に、したがってフィルタ装置に入る前に、流れ誘導装置によってオイルが少なくとも1回、好ましくは数回偏向されるように形成される。これは、オイルフィルタ装置の上流の領域におけるオイルの滞留時間の延長につながり、その結果、オイル液体中に泡を形成させる気泡は、特に効果的に放出され得る。これは、オイル中の前記泡形成を打ち消す。理想的な場合には、望ましくない発泡体の形成は、このようにして完全に防止さえすることができる。
【0008】
本発明によるオイルフィルタモジュール、特に変速機用の、好ましくは電気自動車又はハイブリッド自動車用のオイルフィルタモジュールは、オイルを濾過する目的に役立つ。モジュールは、ハウジング内部を取り囲むハウジングを備える。オイルを濾過するためのオイルフィルタ装置が、ハウジング内部に交換可能に配置されている。オイルフィルタ装置は、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割する、フィルタ材料製のフィルタ媒体を備えるフィルタエレメントを有する。モジュールはさらに、濾過される、オイル又は未処理オイルを、それぞれハウジング内部の未処理側に導入するための未処理オイル入口を備える。本発明によれば、オイルが未処理オイル入口に入る前にオイルを偏向させるための流れ誘導装置が、未処理オイル入口に設けられる。
【0009】
さらに好ましい実施形態によれば、流れ誘導装置又は流れ誘導板は、それぞれ、未処理オイル入口が開口する混合室又は混合領域に配置される。この実施形態の場合、オイルフィルタ装置によって洗浄されるオイルを混合室/混合領域に導入するためのオイル供給も、混合室/混合領域にさらに開口している。混合室/混合領域、流れ誘導装置、及び混合室/混合領域への未処理オイル入口の開口部は、未処理オイル入口に入ることによって再び混合室/混合領域から出る前に、それぞれ、流れ誘導装置又は流れ誘導板上で、オイル供給部から混合室/混合領域に入るオイルが少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回又は数回偏向されるように、互いに相対位置に配置される。このようにして、混合室/混合領域内のオイルの滞留時間を長くすることができる。
【0010】
オイルから粗い粒子を分離するための、粗粒子分離器は、特に好ましくは、混合室/混合領域に配置される。混合室/混合領域の下流に配置されたオイルフィルタ装置は、このようにして、オイルに含まれる汚れ粒子によって引き起こされる急速な摩耗から保護することができる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、流れ誘導装置は、流れ誘導板として形成されるか、又はそのような流れ誘導板を備える。そのような流れ誘導板は、特に高い有効断面積を有し、そのため、オイルは、特に、混合室/混合領域から再び出て未処理オイル入口に入る前に、流れ誘導板上で数回偏向され得る。
【0012】
別の好ましい実施形態によれば、未処理オイル入口は、入口開口部を備える管体を備える。この実施形態の場合、管体は、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ存在する開口部内への入口開口部の領域に挿入される。この実施形態は、単純な方法で、未処理オイル入口上の流れ誘導装置又は流れ誘導板のそれぞれの組立体を提供する。
【0013】
特に好ましくは、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ設けられた開口は、流れ誘導装置又は流れ誘導板にそれぞれ成形されて流れ誘導装置又は流れ誘導板からそれぞれ垂直に突出する開口カラーによって、枠が形成される。このようにして、流れ誘導装置又は流れ誘導板をそれぞれ未処理オイル入口に機械的に安定して固定することができる。
【0014】
特に好ましくは、管体は、軸方向に沿って延在する。これにより、流れ誘導装置又は流通プレートは、それぞれ、軸方向に対して垂直に延びる平面内に配置される。
【0015】
粗粒子分離器は、入口開口部から距離をおいて軸方向に配置され、入口開口部上の軸方向に沿って観察方向に入口開口部を覆うと有利である。言うまでもなく、入口開口部は、流体密に覆われておらず、逆に、粗粒子分離器は、汚れ粒子のみを保持するが、濾過されるオイル又は未処理オイルは、それぞれ、粗粒子分離器を通って未処理オイル入口に入ることができる。この代替形態は、粗粒子分離器の高い有効断面積を実現する。
【0016】
粗粒子分離器は、それぞれ流れ誘導装置又は流れ誘導板に固定することができると有利である。したがって、粗粒分離器は、その分離効果が摩耗によって消耗したときに、簡単な方法で交換することができる。
【0017】
管体は、軸方向に沿って、本質的に流れ誘導装置又は流れ誘導板とそれぞれ面一であると有利である。これは、未処理オイル入口へのオイルの進入を容易にする。
【0018】
有利なさらなる発展形態によれば、オイルフィルタモジュールは、オイルを冷却するために、オイルフィルタ装置の下流に配置された熱交換器を備えることができる。
【0019】
本発明は、さらに、変速機のための上記に導入されたオイルフィルタモジュールを備える、自動車のための変速機に関する。したがって、オイルフィルタモジュールの上述の利点は、本発明による変速機にも当てはまる。
【0020】
最後に、本発明は、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車に関する。自動車は、自動車を駆動するための、電気モータを備える。本発明による自動車は、本発明による上記の導入された変速機、又は/及び本発明による上記の導入されたオイルフィルタモジュールをさらに備える。したがって、オイルフィルタモジュールの上述の利点は、本発明による自動車にも当てはまる。
【0021】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から、及び図面に基づいた対応する図の説明から、得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】オイルフィルタモジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
なお、以下に説明する上記の特徴及び特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の組合せのみならず、他の組合せ、又は単独で用いることができることは言うまでもない。
【0024】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明でより詳細に説明される。ここで、同一の参照符号は、同一、類似又は機能的に同一の構成を示す。
【0025】
斜視部分図において、唯一の
図1は、電気自動車又はハイブリッド自動車用の、及び変速機用のオイルフィルタモジュールとして使用することができるオイルを濾過するための、本発明によるオイルフィルタモジュールの一例を示す。オイルフィルタモジュール1は、ハウジング内部を取り囲むハウジング2を備える。ハウジング内部には、オイルを濾過するための
図1には図示されていないオイルフィルタ装置が交換可能に配置されている。オイルフィルタモジュール1は、オイルを冷却するためにオイルフィルタ装置の下流に配置された熱交換器15をさらに備えることができる。図示例では、前記熱交換器は、ハウジング2に固定され、積層プレート熱交換器16として形成される。
【0026】
(図示されていない)オイルフィルタ装置は、ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割するフィルタエレメントを有する。オイルフィルタモジュール1はさらに、濾過されるべきオイル又は未処理オイルをそれぞれハウジング内部の未処理側に導入するための未処理オイル入口3を備える。未処理オイル入口3は、軸方向Aに沿って延在する入口開口部5を備える管体4をさらに有する。管体4は、ハウジング2上に一体的に成形することができ、すなわち、ハウジング2と管体4とは、一体に形成され、この場合、同じ材料で形成される。しかしながら、ハウジング2と管体4は、2つの部品で形成することもできる。ハウジング2及び管体4は、この場合、異なる材料から構成することもできる。
【0027】
図1から分かるように、未処理オイル入口3へのオイルの進入前にオイルを偏向させるための流れ誘導装置10が未処理オイル入口3に設けられている。
図1に示されるように、流れ誘導装置10は、好ましくは、プレート(以下、「流れ誘導板」11と称する)の様式で形成することができる。流入口5の領域において、未処理オイル流入口3の管体4は、流れ誘導板11に設けられた開口6に挿入されている。流れ誘導板11は、管体4の軸方向Aに垂直に延在する平面Eに配置されると有利である。流れ誘導板11に設けられた開口6は、流れ誘導板11上に成形され、流れ誘導板11から垂直に、したがって軸方向Aに突出する開口カラー7によって構成されている。
【0028】
図1によれば、管体4は、軸方向Aに沿って流れ導通板11と実質的に面一である。
【0029】
さらに
図1に見られるように、流れ誘導装置10又は流れ誘導板11は、それぞれ、未処理オイル入口3が開口する混合室/混合領域12に配置される。さらに、オイル供給部13は、混合室/混合領域12に開口している。オイルフィルタ3は、オイルフィルタ装置内で洗浄されるオイルを混合室/混合領域12内に導入する目的を果たす。混合室/混合領域12を通って流れた後、オイルは、未処理オイル入口3を通って再び混合室/混合領域12から出て、ハウジング内部の未処理側に流れることができる。
【0030】
混合室/混合領域12へのオイル供給部13の開口部8、流れ誘導装置、及び混合室/混合領域12への未処理オイル入口3の開口部9は、互いに相対位置に配置され、その結果、オイル供給部13から混合室/混合領域12に入るオイルは、未処理オイル入口3に入ることによって混合室/混合領域12から再び出る前に、流れ誘導装置10又は流れ誘導板11上でそれぞれ少なくとも1回、好ましくは数回偏向される。
【0031】
図1によれば、オイルから粗粒子を分離するための粗粒子分離器14
は、混合室/混合領域12内に配置
される。粗粒分離器14は、軸方向Aに沿って入口開口部5から離れて配置されている。粗粒子分離器14は、軸方向Aに沿って入口開口部5上の観察方向Bにおいて前記入口開口部を覆う。粗粒子分離器14は、流れ誘導板11に固定されると有利である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内部を取り囲むハウジング(2)を備え、
前記ハウジング内部に交換可能に配置されたオイルフィルタ装置を備え、
オイルを濾過するための前記ハウジング(2)が、前記ハウジング内部を未処理側と清浄側とに分割するフィルタエレメントを有し、
濾過されるべきオイル又は未処理オイルをそれぞれ未処理側に導入するための未処理オイル入口(3)を有し、
前記未処理オイルが前記未処理オイル入口(3)に入る前に前記未処理オイルの方向を変えるために前記未処理オイル入口(3)に設けられた流れ誘導装置(10)を有
しており、
前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)がそれぞれ、前記未処理オイル入口(3)が開口する混合室/混合領域(12)に配置され、
洗浄されるべきオイルを混合室又は混合領域(12)に導入するためのオイル供給物(13)が、前記混合室/混合領域(12)に開口し、
前記オイル供給物(13)の混合室/混合領域(12)への開口部(8)、流れ誘導装置(10)、及び未処理オイル入口(3)の混合室/混合領域(12)への開口部(9)が、前記オイル供給物(13)から前記混合室/混合領域(12)へ入るオイルが、前記未処理オイル入口(3)に入ることによって前記混合室/混合領域(12)から再び出る前に、それぞれ、前記流れ誘導装置(10)又は流れ誘導板(11)上で少なくとも1回偏向されるように、配置され、
前記混合室/混合領域(12)内に、前記オイルから粗粒子を分離するための粗粒子分離器(14)が配置されている、
特に変速機用のオイルフィルタモジュール、特に電気自動車又はハイブリッド自動車用のオイルを濾過するための、オイルフィルタモジュール(1)。
【請求項2】
前記流れ誘導装置(10)が、流れ誘導板(11)として形成されるか、又は前記流れ誘導板(11)を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項3】
前記未処理オイル入口(3)が、入口開口部(5)を含む管体(4)を有し、前記入口開口部(5)を通ってオイルが前記管体(4)に入ることができ、
前記管体(4)が、前記入口開口部(5)の領域において、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ存在する開口部(6)に挿入される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項4】
前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ設けられた前記開口部(6)が、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ成形され、そこから垂直に突出する開口部カラー(7)によって枠形成される
ことを特徴とする、請求項3に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項5】
前記管体(4)が、軸方向(A)に沿って、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)と実質的に同一平面上にある
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項6】
前記管体(4)が、軸方向(A)に沿って延在し、
前記流れ誘導装置(10)又は流れ誘導板(11)が、それぞれ、前記軸方向(A)に垂直に延びる平面(E)に配置される
ことを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項7】
前記粗粒子分離器(14)が、入口開口部(5)からある距離をおいて軸方向に配置され、前記入口開口部(5)上への軸方向(A)に沿って観察方向B)において前記オイルに対して透過性であるように、前記入口開口部(5)を覆う
ことを特徴とする、請求項
1から6のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項8】
前記粗粒子分離器(14)が、前記流れ誘導装置(10)又は前記流れ誘導板(11)にそれぞれ固定される
ことを特徴とする、請求項
1から7のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項9】
前記オイルフィルタモジュール(1)が、前記オイルフィルタ装置の下流に配置され、前記オイルを冷却するための熱交換器(15)を備える
ことを特徴とする、請求項1から
8のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の変速機用のオイルフィルタモジュールを備える、自動車用の変速機。
【請求項11】
自動車を駆動するための電気モータを備えると共に、
請求項1
0に記載の変速機を備えるか、又は請求項1から
9のいずれか1項に記載のオイルフィルタモジュール(1)を備える、自動車、特に電気自動車又はハイブリッド自動車。
【国際調査報告】