(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】医療デバイスにおいて用いるための双方向熱作動コンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20230328BHJP
【FI】
A61F2/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549162
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021018201
(87)【国際公開番号】W WO2021163687
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522322077
【氏名又は名称】テトラビジョン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダブリュ. マラニー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル モーラン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC18
4C097DD14
(57)【要約】
双方向熱作動コンポーネントは、加熱要素及び密閉ハウジング内に設けられたワックス材料を含み、加熱要素が駆動されて、ワックスが溶融し、膨張して、ハウジング又は内部に搭載された要素を移動させる。加熱要素の駆動が停止されると、ワックスが硬化し、収縮して、付勢ばね又は第2のアクチュエータにより提供され得る反対方向への力の印加に基づいて反対方向への移動が可能となる。調整可能な医療デバイスは、デバイスの調整を制御するための熱作動コンポーネントを含んでよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された柔軟性容器要素と、
前記柔軟性容器に収容された熱応答性材料と、
加熱要素であって、前記加熱要素が駆動されたときに前記加熱要素からの熱が前記熱応答性材料を溶融させて、前記柔軟性容器が前記膨張位置まで膨張し、前記加熱要素の駆動が停止されたときに前記熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、前記柔軟性容器が前記収縮位置に戻るように配置された、加熱要素と
を備える熱作動コンポーネント。
【請求項2】
前記熱応答性材料は、共融ワックスである、請求項1に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項3】
前記柔軟性容器は、少なくとも、その内部に形成された第1の開口部を含む、請求項1に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項4】
前記第1の開口部は、前記第1の加熱要素の少なくとも一部分を受け入れるように構成される、請求項3に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項5】
前記熱応答性材料を前記柔軟性容器に保持するように前記第1の開口部に配置されたプラグをさらに備える、請求項4に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項6】
前記プラグは、その内部に形成され、前記加熱要素を受け入れるように構成された通路をさらに含む、請求項5に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項7】
前記柔軟性容器が膨張及び収縮するように前記加熱要素を選択的に駆動するように前記加熱要素に動作可能に接続された少なくとも1つの電源をさらに備える、請求項1に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項8】
前記電源は、誘導電源である、請求項1に記載の熱作動コンポーネント。
【請求項9】
中空本体と、
前記中空本体を通して延び、前記中空本体内で摺動可能なシャフトと、
前記シャフトに係合されたテンションロッドと、
第1の容積を有する第1の空隙と第2の容積を有する第2の空隙との間において前記中空本体内に装着された双方向ポンプであって、前記第1の空隙は、前記双方向ポンプと前記シャフトとの間に設けられ、前記第2の空隙は、前記双方向ポンプとピストンとの間の位置であり、前記第1の空隙及び前記第2の空隙は液体を含む、双方向ポンプと、
前記双方向ポンプに動作可能に接続され、前記ポンプの動作を制御するように構成された制御回路と
を備え、
前記制御回路は、流体を前記第1の空隙から前記第2の空隙へと移動させて前記ピストンを収縮させるように前記ポンプを制御し、
前記制御回路は、前記流体を前記第2の空隙から前記第1の空隙に移動させて前記テンションロッド及び前記シャフトを伸長させるように前記ポンプを制御する、
髄間伸長釘。
【請求項10】
前記双方向ポンプは、
流体を前記第1の空隙から前記第2の空隙に移動させるように配置された第1の熱作動コンポーネントと、
流体を前記第2の空隙から前記第1の空隙に移動させるように配置された第2の熱作動コンポーネントと、
前記第1の熱作動コンポーネントと前記第2の熱作動コンポーネントとの間に配置された中間部分と
をさらに含む、請求項9に記載の髄間伸長釘。
【請求項11】
前記中間部分の周囲に配置され、前記制御回路及び前記双方向ポンプに電気的に接続されて少なくとも前記制御回路及び前記双方向ポンプに電力を提供する第1のコイルをさらに備える、請求項10に記載の髄間伸長釘。
【請求項12】
前記制御回路は、前記中間部分に設けられる、請求項10に記載の髄間伸長釘。
【請求項13】
前記制御回路は、耐水性を提供するためにポッティング材料内に装着される、請求項12に記載の髄間伸長釘。
【請求項14】
前記第1の熱作動コンポーネントは、
膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された第1の柔軟性容器要素と、
前記柔軟性容器に収容された第1の熱応答性材料と、
第1の加熱要素であって、前記第1の加熱要素が駆動されたときに前記第1の加熱要素からの熱が前記熱応答性材料を溶融させて、前記第1の柔軟性容器を前記膨張位置まで膨張させ、前記第1の加熱要素の駆動が停止されると前記熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、前記第1の柔軟性容器が前記収縮位置に戻るように配置され、前記第1の柔軟性容器の膨張及び収縮が、前記流体を前記第1の空隙から前記第2の空隙に圧送するために用いられる、第1の加熱要素と
を備える、請求項11に記載の髄間伸長釘。
【請求項15】
前記第1の加熱要素は、前記制御回路に動作可能に接続され、前記第1の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために前記制御回路により選択的に駆動される、請求項14に記載の髄間伸長釘。
【請求項16】
前記第1の加熱要素は、前記コイルに電気的に接続され、前記コイルに電流が誘導されたときに選択的に駆動される、請求項14に記載の髄間伸長釘。
【請求項17】
前記第2の熱作動コンポーネントは、
膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された第2の柔軟性容器要素と、
前記柔軟性容器に収容された第2の熱応答性材料と、
第2の加熱要素であって、前記第2の加熱要素が駆動されたときに前記第2の加熱要素からの熱が前記熱応答性材料を溶融させて、前記第2の柔軟性容器を前記膨張位置まで膨張させ、前記第2の加熱要素の駆動が停止されると前記熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、前記第2の柔軟性容器が前記収縮位置に戻るように配置され、前記第2の柔軟性容器の膨張及び収縮が、前記流体を前記第2の空隙から前記第1の空隙に圧送するために用いられる、第2の加熱要素と
を備える、請求項11に記載の髄間伸長釘。
【請求項18】
前記第2の加熱要素は、前記制御回路に動作可能に接続され、前記第2の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために前記制御回路により選択的に駆動される、請求項17に記載の髄間伸長釘。
【請求項19】
前記第1の加熱要素は、前記コイルに電気的に接続され、前記コイルに電流が誘導されたときに前記第2の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために選択的に駆動される、請求項18に記載の髄間伸長釘。
【請求項20】
前記中間部分に設けられ、前記第1の空隙と前記第2の空隙との間で移動する流体及び前記第2の空隙から前記第1の空隙に移動する流体が内部に一時的に収容され得るように、前記双方向ポンプ並びに前記第1の空隙及び前記第2の空隙と流体連通する第3の空隙をさらに備える、請求項11に記載の髄間伸長釘。
【請求項21】
本体と、
前記本体内に装着された電源と、
前記本体内に装着され、前記電源に電気的に接続された制御回路と、
前記制御回路と前記本体内の第1の開放空間との間に配置された第1の隔壁と、
前記制御回路とは反対の方向に前記第1の隔壁から離隔された第2の隔壁と、
前記第1の隔壁と前記第2の隔壁との間に配置された共融ワックスと、
前記共融ワックス内に搭載され、前記第2の隔壁を通して延び、前記第2の隔壁を通して伸長及び収縮するように移動可能なピストンと、
加熱要素であって、前記加熱要素が前記制御回路により選択的に駆動されるように前記制御回路に電気的に接続され、前記ピストンが伸長するように前記加熱要素からの熱が前記ワックスを溶融させるように配置された加熱要素と
を備え、
前記ピストンは、前記加熱要素の駆動が停止されて前記共融ワックスが硬化すると前記収縮位置に戻るように収縮位置へと付勢され、
前記ピストンの膨張が伸長ロッドを伸長させるように、前記ピストンに動作可能に接続された伸長ロッド
を備える髄間伸長釘。
【請求項22】
前記伸長ロッドは、前記ピストンの収縮が前記伸長ロッドを収縮させるように前記ピストンに動作可能に接続される、請求項20に記載の髄間伸長釘。
【請求項23】
前記電源は、前記本体の周囲に巻かれた誘導コイルである、請求項20に記載の髄間伸長釘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月14日に出願された、「BIDIRECTIONAL THERMALLY ACTUATED COMPONENT FOR USE IN MEDICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/976,841号の利益及び優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の分野
【0002】
本発明は、医療デバイスにおいて用いるための双方向熱作動コンポーネントに関する。より具体的には、本発明は、医療機器の調整を提供するために予測可能な方式で膨張又は収縮するように熱の印加又は生成により駆動されるアクチュエータコンポーネントに関する。当該コンポーネントは、医療機器において用いられることが好ましいが、他の用途において用いられてもよい。
【背景技術】
【0003】
ある方向における位置合わせを駆動、修正、又は維持する、及び/又は患者に圧迫及び/又は牽引を提供するための様々な医療デバイス及び医療機器が存在する。多くの従来のデバイスは、回転ターンバックル等のような手動で作動される調整要素に限定される。一部のデバイスは、位置合わせを維持する又は圧迫及び牽引を提供するために、電池により給電される電気モータ及びギアを用いる。これらの電動デバイスは通常、複雑で高価である。加えて、これらのデバイスは、制御不能な壊滅的エラーを含むエラーの影響を受けやすい。時としてユーザは、誤った入力又は不完全な入力を提供する場合があり、その結果、不正確な動作が生じ得る。場合によっては、モータ又はギアが故障又は誤動作を起こすおそれがある。ユーザが正しい入力を行った場合であっても、デバイスがそれを受け付けない、又は正しい出力を提供できない場合がある。場合により、デバイスが全く動作しないこともあれば、過動作してしまうこともある。モータは、比較的無制限の移動範囲で動作し続ける(又は動作できない)場合があり、これはユーザに好ましくない影響を与える場合がある。実際、全てが計画通りに進捗しているかどうかを評価するための医師による直接的な視覚化又は一連のx線のいずれによっても、ユーザの次の診察までエラーが特定されない場合がある。
【0004】
人間により駆動される操作装置が用いられる場合、ユーザは、必要な入力を行うことを忘れる、又は誤った入力を行う場合がある。これらのタイプのエラーもまた、次の診察でしか見つからない場合が多い。
【0005】
したがって、これら及びその他の課題を解決する、医療デバイスと共に用いるためのアクチュエータコンポーネント、そのようなアクチュエータを用いる医療デバイス、又は他の適用例を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、安全であり、入力に対して限定された出力を有する双方向熱作動コンポーネントを提供することを目的とする。実施形態において、当該コンポーネントの出力は、有限であり、したがって重大な又は場合によっては壊滅的なエラーの可能性を排除する。
【0007】
実施形態において、双方向熱作動コンポーネントは、温度に基づいて固体と流体との間を遷移する材料を用いてよく、いくつか例を挙げるとクレヨン材料又はパラフィンワックスと同程度に無害であり得る。
【0008】
実施形態において、双方向熱作動コンポーネントは、安全であり、所与の入力が正しい出力をもたらしたことを確認するためにデータ通信を行ってよい。実施形態において、データは、患者の遠隔監視を容易にするために、インターネット又は他の通信システム又はネットワークを介して医師又は他の医療従事者と共有されてよい。それにより、複数回の診察及びx線の必要性及びコストが低減し、調整が可能となり得る。
【0009】
本開示の一実施形態に係る熱作動コンポーネントは、膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された柔軟性容器要素と、柔軟性容器に収容された熱応答性材料と、加熱要素であって、加熱要素が駆動されたときに加熱要素からの熱が熱応答性材料を溶融させて、柔軟性容器を膨張位置まで膨張させ、加熱要素の駆動が停止されると熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、柔軟性容器が収縮位置に戻るように配置された、加熱要素とを備える。
【0010】
実施形態において、熱応答性材料は、共融ワックスである。
【0011】
実施形態において、柔軟性容器は、少なくとも内部に形成された第1の開口部を含む。
【0012】
実施形態において、第1の開口部は、第1の加熱要素の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。
【0013】
実施形態において、熱作動コンポーネントは、第1の開口部に配置されて熱応答性材料を柔軟性容器の中に保持するプラグを備える。
【0014】
実施形態において、プラグは、その内部に形成され、加熱要素を受けるように構成された通路をさらに含む。
【0015】
実施形態において、熱作動コンポーネントは、加熱要素を動作可能に接続され、柔軟性容器が膨張及び収縮するように加熱要素を選択的に駆動する少なくとも1つの電源を備える。
【0016】
実施形態において、電源は、誘導電源である。
【0017】
本開示の一実施形態に係る髄間伸長釘は、中空本体と、中空本体を通して延び、中空本体内で摺動可能なシャフトと、シャフトに係合されたテンションロッドと、第1の容積を有する第1の空隙と第2の容積を有する第2の空隙との間において中空本体内に装着された双方向ポンプであって、第1の空隙は、双方向ポンプとシャフトとの間に設けられ、第2の空隙は、双方向ポンプとピストンとの間の位置にあり、第1の空隙及び第2の空隙は液体を含む、双方向ポンプと、双方向ポンプに動作可能に接続され、ポンプの動作を制御するように構成された制御回路とを備え、制御回路は、ピストンを収縮させるために流体を第1の空隙から第2の空隙へと移動させるようにポンプを制御し、制御回路は、テンションロッド及びシャフトを伸長させるために、流体を第2の空隙から第1の空隙に移動させるようにポンプを制御する。
【0018】
実施形態において、双方向ポンプは、流体を第1の空隙から第2の空隙に移動させるように配置された第1の熱作動コンポーネントと、流体を第2の空隙から第1の空隙に移動させるように配置された第2の熱作動コンポーネントと、第1の熱作動コンポーネントと第2の熱作動コンポーネントとの間に配置された中間部分とを含む。
【0019】
実施形態において、髄間伸長釘は、中間部分の周囲に配置され、少なくとも制御回路及び双方向ポンプに電力を提供するために制御回路及び双方向ポンプに電気的に接続された第1のコイルを備える。
【0020】
実施形態において、制御回路は、中間部分に設けられる。
【0021】
実施形態において、制御回路は、耐水性を提供するためにポッティング材料内に装着される。
【0022】
実施形態において、第1の熱作動コンポーネントは、膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された第1の柔軟性容器要素と、柔軟性容器に収容された第1の熱応答性材料と、第1の加熱要素であって、第1の加熱要素が駆動されたときに第1の加熱要素からの熱が熱応答性材料を溶融させて、第1の柔軟性容器を膨張位置まで膨張させ、第1の加熱要素の駆動が停止されると熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、第1の柔軟性容器が収縮位置に戻るように配置され、第1の柔軟性容器の膨張及び収縮が、流体を第1の空隙から第2の空隙に圧送するために用いられる、第1の加熱要素とを備える。
【0023】
実施形態において、第1の加熱要素は、制御回路に動作可能に接続され、第1の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために制御回路により選択的に駆動される。
【0024】
実施形態において、第1の加熱要素は、コイルに電気的に接続され、コイルに電流が誘導されたときに選択的に駆動される。
【0025】
実施形態において、第2の熱作動コンポーネントは、膨張位置へと第1の方向に膨張可能であり、収縮位置に戻るように付勢された第2の柔軟性容器要素と、柔軟性容器に収容された第2の熱応答性材料と、第2の加熱要素であって、第2の加熱要素が駆動されたときに第2の加熱要素からの熱が熱応答性材料を溶融させて、第2の柔軟性容器を膨張位置まで膨張させ、第2の加熱要素の駆動が停止されると熱応答性材料が冷却するにつれて収縮して、第2の柔軟性容器が収縮位置に戻るように配置され、第2の柔軟性容器の膨張及び収縮が、流体を第2の空隙から第1の空隙に圧送するために用いられる、第2の加熱要素とを備える。
【0026】
実施形態において、第2の加熱要素は、制御回路に動作可能に接続され、第2の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために制御回路により選択的に駆動される。
【0027】
実施形態において、第2の加熱要素は、コイルに電気的に接続され、コイルに電流が誘導されたときに第2の柔軟性容器を膨張及び収縮させるために選択的に駆動される。
【0028】
実施形態において、髄間伸長釘は、中間部分に設けられ、第1の空隙と第2の空隙との間で移動する流体及び第2の空隙から第1の空隙に移動する流体が内部に一時的に収容され得るように、双方向ポンプ並びに第1の空隙及び第2の空隙と流体連通する第3の空隙を備える。
【0029】
本開示の一実施形態に係る髄間伸長釘は、本体と、本体内に装着された電源と、本体内に装着され、電源に電気的に接続された制御回路と、制御回路と本体内の第1の開放空間との間に配置された第1の隔壁と、制御回路とは反対の方向に第1の隔壁から離隔された第2の隔壁と、第1の隔壁と第2の隔壁との間に配置された共融ワックスと、共融ワックス内に搭載され、第2の隔壁を通して延び、第2の隔壁を通して伸長及び収縮するように移動可能なピストンと、加熱要素であって、加熱要素が制御回路により選択的に駆動されるように制御回路に電気的に接続され、加熱要素からの熱がワックスを溶融させてピストンを伸長させるように配置された加熱要素と、ここでピストンは、加熱要素の駆動が停止されて共融ワックスが硬化すると収縮位置に戻るように収縮位置へと付勢されており、ピストンの膨張が伸長ロッドを伸長させるように、ピストンに動作可能に接続された伸長ロッドと、を備える。
【0030】
実施形態において、伸長ロッドは、ピストンの収縮が伸長ロッドを収縮させるようにピストンに動作可能に接続される。
【0031】
実施形態において、電源は、本体の周囲に巻かれた誘導コイルである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
添付の図面と併せて、本発明の例示的ではあるが好適な実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、本開示の上記の及び関連する目的、特徴及び利点がより完全に理解されるであろう。
【0033】
【
図1】本出願の一実施形態に係る双方向熱作動コンポーネントの例示的な断面図を示す。
【0034】
【
図2】本出願の一実施形態に係る
図1の双方向熱作動コンポーネントを用いる液圧システムを示す。
【0035】
【
図3】本出願の別の実施形態に係る双方向熱作動コンポーネントと共に用いるのに好適な例示的な髄間伸長釘を示す。
【0036】
【
図4】本出願の一実施形態に係る
図3の髄間伸長釘の断面図を示す。
【0037】
【
図4A】膨張位置における
図3の髄間伸長釘の例示的実施形態を示す。
【0038】
【
図5】
図4の髄間伸長釘の駆動部のさらなる詳細図を示す。
【0039】
【0040】
【
図7】
図4の髄間伸長釘の別の駆動部のさらなる詳細図を示す。
【0041】
【
図7A】
図7において提供される詳細図の拡張図を示す。
【0042】
【
図8】
図4の髄間伸長釘のジャッキねじ部のさらなる詳細図を示す。
【0043】
【0044】
【
図10】本出願の別の実施形態に係る
図1のコンポーネントを用いる液圧システムを示す。
【0045】
【
図11】本出願の別の実施形態に係る双方向熱作動コンポーネントを示す。
【0046】
【
図12】
図11の髄間伸長釘の部分透視図を示し、そこに含まれる双方向ポンプを示す。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【
図17】
図12の髄間伸長釘において用いられるポンプ機構の詳細図を示す。
【0052】
【0053】
【0054】
【
図20】
図11の双方向熱作動コンポーネントの部分透視図を示す。
【0055】
【
図21A】伸長状態におけるベローズ構造の例示的実施形態を示す。
【0056】
【
図21B】収縮状態におけるベローズ構造の例示的実施形態を示す。
【0057】
【
図22】本開示の一実施形態に係る熱作動要素を含み得る例示的なインプラントデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
実施形態において、双方向熱作動アクチュエータコンポーネントを用いる医療デバイスが、少なくとも2つの実施形態において実施されてよい。第1の実施形態において、医療デバイスは、熱アクチュエータの膨張及びそれによる圧力変化によってピストンアセンブリの2つの側の間で選択的に移送される作動流体を利用して運動及び構造的支持が提供され得る液圧アプローチを利用する熱作動双方向アクチュエータコンポーネントを含んでよい。別の実施形態において、デバイスは、機構が、熱アクチュエータコンポーネントの膨張及び収縮により生じる線形運動及び力を、ねじを作動させるための回転運動に変換する機械的アプローチを有する熱作動アクチュエータコンポーネントを用いてよい。実施形態において、回転運動は、ジャッキねじを回転させるために用いられてよい。両方の実施形態において、捕集された共融ワックスは、ピストンと組み合わせて、ベローズ構造、ブラダ又は任意の密閉容積のいずれかにおいて用いられてよい。
【0059】
図1は、例示的な双方向熱作動アクチュエータコンポーネント10の断面図を示す。実施形態において、双方向熱作動アクチュエータコンポーネント10は、ワックス材料14が受け入れられ収容される金属ベローズ構造12を含んでよい。実施形態において、電気加熱要素16が、ワックス材料14と接触するように金属ベローズ構造12内に設けられてもよい。実施形態において、電気加熱要素16は、ワックス材料に隣接するが、加熱要素による加熱でワックス材料14が溶融しないように、接触せずに設けられてもよい。金属ベローズという用語が用いられるが、実施形態において、ベローズ構造16が金属である必要はない。実施形態において、ベローズ構造12は、柔軟であり膨張可能なブラダであってよい。実施形態において、ベローズ構造12は、膨張可能であり、膨張後に前の状態に戻る弾性を有する任意の好適な容器であってよい。
【0060】
実施形態において、加熱要素16は、抵抗加熱要素であってよい。実施形態において、ワックス材料14をベローズ構造の内部に保持するために、プラグ18が金属ベローズ構造12の基部に設けられてよい。実施形態において、プラグ18は、加熱要素16がベローズ構造12の内部へ通過することを可能とするためにベローズ構造12へのアクセスを提供する開口部を含んでよい。実施形態において、ワックスの漏出を防止しつつ、加熱要素16が通過することを可能とするために、シール18aがプラグ18の開口部の周囲に設けられてよい。実施形態において、プラグ18が用いられなくてもよく、加熱要素16が開口部を介して金属ベローズ構造12に入ってもよい。実施形態において、金属ベローズ構造12の開口部は、漏出を回避するために加熱要素16を固定的に受けるように構成されてよい。実施形態において、加熱要素16は、セラミック又は他のタイプの加熱要素であってよい。実施形態において、加熱要素16は、近接場充電器又は他の誘導電源を用いて通電されてよい。実施形態において、近接場充電器は、誘導結合又は電気変換の原理で動作する。実施形態において、交流電流が、二次コイルにごく近接して配置された一次コイル(不図示)に印加されてよい。
【0061】
実施形態において、一次コイルは、ユーザの体外に配置されてよく、二次コイルは、ユーザの体内におけるアクチュエータコンポーネント10を含むインプラント内に配置されてよい。実施形態において、二次コイルは、アクチュエータコンポーネント10と一体化されてよい。実施形態において、二次コイルは、加熱要素を駆動するための電力を提供するために、加熱要素16であってもよく、又は加熱要素16に電気的に接続されてよい。実施形態において、双方向熱作動アクチュエータコンポーネント10は、ユーザの体内に配置されたインプラントに含まれて、その調整を提供してもよい。実施形態において、一次コイルの配置は、インプラント及び熱作動アクチュエータコンポーネント10を駆動するために用いられ得る電流が二次コイルに誘導されることを確実にするために、ユーザの体内のインプラントの位置に基づいてよい。実施形態において、一次コイル及び二次コイルの向きは、ユーザの体内のインプラントの位置に基づいて誘導結合を最大化するように最適化されてよい。実施形態において、一次コイル及び二次コイルの両方が、携帯電話の充電パッドのように同軸で積層されてよい。実施形態において、一次コイル及び二次コイルは、平行な向きに配置されてよい。いずれの場合においても、インプラントが配置される体内の位置に応じて磁束を集束させるために、磁気材料が用いられてよい。実施形態において、加熱要素16は、いくつか例を挙げると電池又はキャパシタなどの1つ又は複数の他の電力供給部に電気的に接続されてよい。実施形態において、例えばAC線間電圧に、有線の電気接続が設けられてよい。実施形態において、電源は、加熱要素16で用いるのに適した適切な電圧を提供するための変圧器を含んでよい。実施形態において、加熱要素16は、加熱要素を駆動及び非駆動するために用いられ得るプロセッサ、マイクロプロセッサ又は他の制御デバイス又は制御回路に接続されてよい。実施形態において、加熱要素16は、アクチュエータコンポーネント10をアクティブ化するために、選択的に駆動及び非駆動されることが好ましい。
【0062】
実施形態において、金属ベローズ構造12は、例えば、
図1の矢印で示すように、直線方向の膨張を可能とするように構成されてよい。動作中、電流が加熱要素16に誘導され又は他の方法で提供されると、加熱要素16からの熱によってワックス材料14が溶融し、
図1の矢印の方向に金属ベローズ構造12を移動させるように膨張する。
図21Aは収縮位置における金属ベローズ構造12の例示を提供し、
図21Bは伸長位置における金属ベローズ構造を示す。電力がオフになると、加熱要素16及びワックス材料が冷え、ワックス材料が硬化しながら収縮し、ベローズ構造12が元の状態になるように矢印と反対方向に収縮する。実施形態において、金属ベローズ構造12は、ワックス材料が硬化するとベローズ構造が収縮状態に又は実質的に収縮状態に戻るように、収縮状態へと付勢されていてよい。実施形態において、金属ベローズ12は、弾性を有し、ワックスが硬化した後にベローズが元の収縮状態に戻ることを可能とするのに十分なばね定数を有する。実施形態において、より高いばね定数はベローズ構造12が収縮状態により早く戻ることを可能とし得るが、より高いばね定数はまた、ベローズの膨張を可能とするためにさらなる圧力を必要とし得る。実施形態において、膨張に必要な圧力の量を最小化することが好ましい。実施形態において、ベローズ12のばね定数は、それが用いられる用途に応じて変動してよい。実施形態において、往復するように膨張及び収縮の両方が用いられる場合、ばね定数は、正味の力の出力が両方の段階で等しくなるように設定されてよい。ワックスアクチュエータが体積膨張に基づいて100lbFを提供するように用いられる一例では、実施形態において、完全伸長時でも50lbFの初期ばね荷重及び50lbFの利用可能なアクチュエータ出力があるように、ベローズ12のばね力は定数ゼロで50lbFの初期ばね荷重を有してよい。実施形態において、収縮時50lbFのばね荷重があり、再び完全な収縮に至るまでの全体を通して使用することができる。実施形態において、初期ばね荷重及び初期ばね定数は、必要な仕事の維持に関して利用可能な仕事を最大化するように調節されてよく、力と距離と方向とのバランスは、臨床用途及び設計選択の両方に大きく依存し得る。
【0063】
実施形態において、
図2に示す液圧システム50において用いる流体ポンプを提供するために、コンポーネント10のベローズ12内のワックス14の周期的な加熱(膨張)及び冷却(収縮)が用いられてよい。実施形態において、コンポーネント10は、例えば、
図2において見ることができるように、液圧シリンダ20と共に用いられてよい。実施形態において、液圧シリンダ20は、閉じたシリンダ20内に保持されたピストン22を含んでよい。実施形態において、ピストン22は、閉じたシリンダ20の一端部を貫通して延び、ピストンがシリンダ内を移動することに伴い伸長及び収縮するロッド24に接続されてよい。実施形態において、運動用シール26が、シリンダ20を2つの隔離された容積V1、V2に分割するように、ピストン22の周縁及びロッド24が出るシリンダ20の端部の円筒開口部20aの周縁に設けられてよい。実施形態において、流体を一方の容積に移送しつつ他方の容積から除去することにより、シリンダ20の軸に沿ってより圧力の低い容積に向かう方向にピストン22が動く。第1の容積をV1と表記し、第2の容積をV2と表記する。第1の容積V1及び第2の容積V2の各々における作動流体の量は、ピストンの平行運動に応じて増減するが、容積V1はピストン22の掃引領域に位置し、第2の容積V2はピストン22の掃引領域からロッド24の領域を引いた領域に位置するので、それらの増減は異なる速度で生じることになる。合計容積V1+V2は、ロッド24が伸長するにつれて増大し、ロッドが収縮するにつれて減少する。
【0064】
実施形態において、第3の接続された可変容積V3が用いられてもよい。実施形態において、この第3の容積V3は、「ロッドアキュムレータ」と称されてよく、シリンダ内のばね荷重ピストンを用いて形成されてよい。実施形態において、「ロッドアキュムレータ」は、ガスを収容する柔軟な封止されたベローズであってよい。実施形態において、ロッドアキュムレータは、ブラダ又はシリンダ内のピストンであってよい。実施形態において、「ロッドアキュムレータ」は、ロッド24が伸長及び収縮することに伴うV1とV2との間での差分容積変化に適応することを唯一の機能とする受動デバイスであってよい。この差分容積は、ロッド24がV2から伸長及び収縮するときに考慮する必要がある円筒形の容積を有するが、V1はそれを有しないことの結果である。実施形態において、ロッド24を所与の位置に固定するために、容積V1、V2、及びV3は、3つの閉容積を形成するように互いに隔離されてよい。実施形態において、容積V1、V2、V3の隔離は、単純な遮断弁S1を用いて実現されてよい。実施形態において、バルブS1を開くことにより、必要に応じてロッド24を自由な配置を可能とするように流体を流すことが可能となる。
【0065】
実施形態において、ロッド24が伸長又は収縮により運動を行うために、
図1のコンポーネント10により具現化され又はそれを含み得る、ワックス材料(パラフィンワックス又は共融ワックスなど)を用いるアクチュエータを用いて、2つのポンプが構成されてよい。実施形態において、熱作動コンポーネント10は、それぞれの密閉容積V4及びV5の各々に収容されてよい。チェックバルブCV2及びCV5が、容積V5に関して設けられる。チェックバルブCV4及びCV1並びに圧力作動リリースバルブPARV2が、容積V4に関して設けられる。実施形態において、これらのポンプは、「伸長ポンプ」及び「収縮ポンプ」と称される。
【0066】
実施形態において、ピストン24の伸長は、電気的入力V1inの電圧の印加による影響を受けてよい。実施形態において、電圧は、例えば、上述の電気ヒータ16に給電するために用いられてよく、それによりワックスが溶融し、その結果アクチュエータ10が容積V4内で膨張することで、容積V4内の圧力が増大する。実施形態において、電圧V1inは、熱の印加を制御するようにヒータ16を制御するために用いられ得るコントローラ又は制御回路に給電するために用いられてよい。あるいは、コントローラ又は制御回路は、電圧V1をヒータに選択的に提供するために用いられてよい。実施形態において、電圧V1inは、上述の誘導結合などの電源又は直流源などの任意の他の好適な電源から印加されてよい。実施形態において、チェックバルブCV1は、V4における圧力が所定の値を超えたときに流体がシリンダ20内でV4からV1に流れることを可能とする。実施形態において、所定の値は、外部から印加される荷重及び、例えばインプラント医療デバイスで用いられる所与の装置又はデバイスのためのアクチュエータコンポーネント10の断面積に依存する。実施形態において、アクチュエータコンポーネント10などの共融ワックスアクチュエータは、溶融プロセスによる膨張の間、約3000psiまでの圧力を発生させてよい。実施形態において、大きな荷重が印加されていない場合、より低い圧力で膨張が生じる。実施形態において、同時に、V4における増大した圧力が圧力リリーフバルブPARV2に印加され、それにより流体が容積V2から容積V3に流れることが可能となる。実施形態において、流体が容積V4から容積V1に流れ込むことに伴う容積V1における圧力の増大が、流体が容積V2から容積V3に流れることに伴う容積V2における圧力の減少と組み合わさることで、ピストン22が上方に移動してロッド24を伸長させることが可能となる。実施形態において、電圧V1inが取り除かれると、加熱要素が開放されるとともに容積V4におけるアクチュエータ10内のワックスが収縮し始め、容積V4における圧力が低下し、その結果、チェックバルブCV1が閉じ、バルブCV4が開くことで、流体が容積V3から容積V4に流れ込むことが可能となる。容積V4のアクチュエータ10が元の状態まで完全に収縮すると、容積V4における圧力は、容積V3から流体を取り込むことにより、作動サイクルの前の値に戻ってよい。実施形態において、容積V1、V2、V3及びV4の相対的な容積は、コンポーネント10及びそれが設けられるインプラントのサイズ並びに単一の膨張サイクルに必要とされる伸長量に応じて変わってよい。
【0067】
実施形態において、ロッド24の収縮は、電気的入力V2inの電圧の印加による影響を受けてよい。この電圧は、上述の誘導コイルなどの電源を介して、又は他の方法で提供されてよい。実施形態において、電圧V2inは、容積V5内の第2のアクチュエータコンポーネント10の加熱要素16を駆動してよい。実施形態において、上記のようにアクチュエータコンポーネントは、直流電流によって給電されてよい。実施形態において、電圧V2inの印加により、容積V5内に収容される第2のアクチュエータコンポーネント10内の加熱要素16が、ワックスを加熱し、アクチュエータを膨張させることで、容積V5内の圧力を増大させる。実施形態において、チェックバルブCV2は、容積V5における圧力がある値を超えたときに流体が容積V5からシリンダ20の容積V2に流れることを可能とする。実施形態において、具体的な値は所望の用途に応じて変化し、リリーフ圧力は、印加される外部荷重に依存する。実施形態において、チェックバルブは、逆流の可能性を排除するのに十分な非常に低い差圧で動作してよい。実施形態において、同時に、V5における増大した圧力が圧力作動リリーフバルブPARV1に印加され、それにより流体が容積V1から容積V3に流れることが可能となる。実施形態において、この容積V2における圧力の増大及び容積V1における圧力の減少により、ピストン22が下方に移動し、ロッド24を収縮させる。実施形態において、電圧V2inが取り除かれると、容積V5内のアクチュエータコンポーネント10が元の状態に戻るように収縮し始め、V5における圧力が低下し、それによりチェックバルブCV2が閉じ、バルブCV5が開き、流体が容積V3から容積V5に流れ込むことが可能となる。実施形態において、容積V5におけるアクチュエータコンポーネント10が元の状態まで完全に収縮すると、容積V5における圧力は、容積V3から流体を取り込むことにより、作動サイクルの前の値に戻る。様々な容積における圧力は、印加される外部荷重に応じて変化してよい。共融ワックスは、外部から印加される荷重を支持するために所与の所望の断面積に印加され得る3000psiを超える圧力を生成することが可能であることが好ましい。
【0068】
実施形態において、上述の膨張サイクル又は収縮サイクルのいずれも、ロッド24を任意の増分位置に移動させるのに必要な回数繰り返されてよい。これの利点は、そのようなアクチュエータがインプラント又は矯正用医療デバイスにおいて用いられる場合、制御不能又は破壊的な故障が生じにくいように、行われる各調整がロッド24の伸長長さに限定されることである。実施形態において、各移動の増分のサイズは、コンポーネント10がどれだけ膨張するかを制限することに基づいて設定されてよい。上記のように、実施形態において、膨張の量は変動し得る。実施形態において、用途ごとに異なるサイズ又は容積のアクチュエータコンポーネント10が用いられてよい。実施形態において、容積は、コンポーネント10及び/又はインプラント又はそれが用いられるデバイスのサイズ並びに単一の膨張サイクルに必要とされる伸長量に依存してよい。
【0069】
実施形態において、ロッド位置に関するフィードバックが、容積内のロッドアキュムレータ(
図2の容積V3)の状態を測定するために用いられる位置センサ又は圧力センサを用いて提供されてよい。これは、このフィードバックがロッド伸長に関する予測可能な関係に従うためである。実施形態において、抵抗性材料の直線ストリップが摺動コンタクトに結合され得るポテンショメータと同じ原理で動作し得る単純な位置センサが用いられてよい。実施形態において、抵抗は、直線ストリップに沿ったコンタクト位置の既知の関数である。実施形態において、圧力の実施形態について、ロッドアキュムレータ(例えば
図2の容積V3)は、圧縮性ガスの閉容積を含んでよく、その圧力は、閉容積の容積に応じて変化する。この容積が減少するにつれて圧力が増大し、その逆も同様である。この関係は、ロッドの位置がロッドアキュムレータにおける圧力に基づいて決定され得るように、ロッドの伸長に関して特徴付けられてよい。実施形態において、圧力センサがロッドアキュムレータの閉容積内に配置されてよい。そのような圧力センサは、歪みゲージベースの設計から圧電素子に至るまで多数の異なる形態がある。特定の用途に基づいて、異なるセンサタイプが選択されてよい。実施形態において、例えば上記の抵抗センサを用いて、各々の相対位置を決定するために、位置センサ又は測位センサがロッド24とシリンダ20との間に設けられてよい。実施形態において、ロードセルが用いられる場合、センサは、シリンダ壁、ばね及びロッドの間で直列に配置されてよい。ロッド24が移動すると、ロードセルにより検知されるばね力の変化をもたらすばねの長さ。相対位置を測定するために、荷重と移動量との間の相関関係が確立されてよい。実施形態において、上記のように収集される位置情報は、医師又は他の医療従事者に通信され、例えば液圧システム50を用いるデバイスが適切に調整され患者の体に所望の矯正力を提供していることを確認するために用いられてよい。すなわち、実施形態において、液圧システム50は、矯正処置を提供するために、インプラント1000(例えば
図22を参照)又は他の医療デバイスと一体化され、患者の体内に埋め込まれてよい。
【0070】
実施形態において、位置情報は、調整が適切に行われていることを確実にするために用いられ得るフィードバックを提供するために用いられてよい。実施形態において、制御回路又はコントローラが、インプラント1000に設けられ又は協働可能に接続されてよい。
図22は、上述のものなどの2つの熱作動コンポーネント10を含み得る、
図2に示す液圧ポンプシステム50を組み込み得るインプラント1000の例示的なブロック図を示す。実施形態において、上記のように、制御回路1010又は任意の他の好適な制御要素が、インプラント1000に設けられ又は動作可能に接続され、ロッド24の伸長及び収縮を制御してよい。実施形態において、ロッド24は、ブレース又は他の矯正構造であってよく、又はそれに動作可能に接続されてよく、上述の危険性を回避する制御された測定可能な方式でそれに対する調整を行うために用いられてよい。
【0071】
実施形態において、インプラント1000は、インプラント1000の動作に関連する制御信号又は他の情報を受信し、かつ/又はロッド24の位置に関する上述のフィードバック位置情報などのインプラントの動作に関する情報を送信するように構成された1つ又は複数の送受信機(送信機/受信機)又は他の通信デバイス1020を含んでもよい。上記のように、例えば、液圧システム50は、ロッド24の位置に関連するフィードバックを提供するための1つ又は複数のセンサを含んでよい。実施形態において、このフィードバック情報は、適切な位置決め及び調整がインプラント1000により提供され得るように医師又は他の医療従事者に提供されてよい。実施形態において、電源1030が、インプラント1000に設けられ、また、液圧システム50並びに液圧システムに含まれる制御回路1010及び/又は個々のアクチュエータコンポーネント10に動作可能に接続されてよい。実施形態において、電源1030は、上述の二次コイル又は任意の他の誘導電源であってよい。実施形態において、電源1030は、例えば電池又は直流源を含む任意の好適な電力供給要素であってよい。上記のように、アクチュエータコンポーネント10は、例えば制御回路1010により制御されてよい。実施形態において、液圧システム50におけるロッド24の位置を含むインプラント1000の動作に関するフィードバック情報は、医師若しくは医療従事者、又は1つ又は複数のコンピュータシステム若しくはそれに関連付けられた通信デバイスに周期的又は非周期的に送られてよい。実施形態において、医師又は医療従事者は、ロッド24の位置を調整するために、コンピュータシステム又はそれに関連付けられた通信デバイスを介してインプラント1000の動作に関連する指示を、送受信機1030を介して制御回路1010に提供してよい。
【0072】
図10は、インプラント1000において用いられ得る上述のシステム50と同様の液圧システム150の代替的実施形態を示す。実施形態において、
図2と同様に、液圧シリンダ20は、閉じたシリンダ20内に保持されたピストン22を含む。実施形態において、ピストン22は、閉じたシリンダ20の両端部を貫通して延び、ピストンがシリンダ内を移動することに伴って伸長及び収縮するロッド24に接続されてよい。実施形態において、運動用シール26がピストン22の周縁に設けられてよい。実施形態において、追加の運動用シールが、ロッド24が出るシリンダ20の端部における円筒形開口部20aの周囲に設けられてよい。図示のように、シリンダ20は、ピストン及び運動用シール26により2つの隔離された容積V1、V2に分割されてよい。実施形態において、流体を一方の容積に移送しつつ他方の容積から除去することにより、
図2に関して上述したのと同様に、シリンダ20の軸に沿ってより圧力の低い容積に向かう一方向にピストン22が動く。第1の容積をV1と表記し、第2の容積をV2と表記する。第1の容積V1及び第2の容積V2は、ピストンの平行運動に応じて増減する。ロッドは容積V1及び容積V2の両方に延びているので、合計容積V1+V2は、ロッド24が伸長及び収縮することに伴って概ね一定のままである。
【0073】
実施形態において、ピストン24の伸長は、電気的入力V1inの電圧の印加による影響を受けてよい。実施形態において、電圧は、例えば、上述の電気ヒータ16に給電するために用いられてよく、それによりワックスが溶融し、その結果アクチュエータ10が容積V1a内で膨張することで、容積V1a内の圧力が増大する。実施形態において、電圧V1inは、ヒータ16を制御するために用いられ得るコントローラ又は制御回路に給電するために用いられてよい。実施形態において、電圧V1inは、誘導結合を用いて印加されてよく、又は直流源であってよい。実施形態において、チェックバルブCV1は、V1sにおける圧力が所定の値を超えたときに流体がシリンダ20内でV1sからV1に流れることを可能とする。実施形態において、所定の値は、所与の装置についての外部から印加される荷重及びアクチュエータの断面積に依存する。実施形態において、同時に、V1sにおける増大した圧力が圧力リリーフバルブPARV2に印加され、それにより流体が容積V2からアキュムレータと称される容積V3に流れることが可能となる。実施形態において、流体が容積V1sから容積V1に流れ込むことに伴う容積V1における圧力の増大が、流体が容積V2から容積V3に流れることに伴う容積V2における圧力の減少と組み合わさることにより、ピストン22が上方に移動してロッド24を上方に伸長させる。実施形態において、電圧V1inが取り除かれると、容積V4におけるアクチュエータ10内のワックスが収縮し始め、容積V1sにおける圧力が低下し、それにより、チェックバルブCV1が閉じ、バルブCV1aが開き、流体が容積V3から容積V1sに流れ込むことが可能となる。容積V1sにおけるアクチュエータ10が収縮状態まで完全に収縮すると、容積V1sにおける圧力は、必要に応じて容積V3から流体を取り込むことにより作動サイクルの前の値に戻る。実施形態において、相対的な容積は、インプラントのサイズ及び単一の膨張サイクルに必要とされる伸長量に依存する。
【0074】
実施形態において、ロッド24の収縮は、電気的入力V2inの電圧の印加による影響を受けてよい。この電圧は、容積V2sにおけるアクチュエータコンポーネント10に電流を誘導するために提供されてもよく、又は直流電流を提供するために用いられてもよい。実施形態において、電圧の印加により、容積V2s内に収容されるアクチュエータコンポーネント10内の加熱要素16が、ワックスを加熱し、アクチュエータを膨張させることで、容積V2s内の圧力を増大させる。実施形態において、チェックバルブCV2は、容積V2sにおける圧力が所定の値を超えると流体が容積V2sからシリンダ20の容積V2に流れることを可能とする。実施形態において、具体的な値は所望の用途に応じて変化し、リリーフ圧力は、印加される外部荷重に依存する。実施形態において、チェックバルブは、逆流の可能性を排除するのに十分な、非常に低い差圧で動作する。実施形態において、同時に、V2sにおける増大した圧力が圧力作動リリーフバルブPARV1に印加され、それにより流体が容積V1から容積V3に流れることが可能となる。実施形態において、この容積V2における圧力の増大及び容積V1における圧力の減少により、ピストン22が下方に移動し、ロッド24を頂部から収縮させて底部を通して伸長させる。実施形態において、電圧V2inが取り除かれると、容積V2s内のアクチュエータコンポーネント10が元の状態に戻るように収縮し始め、V2sにおける圧力が低下し、それによりチェックバルブCV2が閉じ、バルブCV2aが開き、流体が容積V3から容積V2sに流れ込むことが可能となる。実施形態において、容積V2sにおけるアクチュエータコンポーネント10が元の状態まで完全に収縮すると、容積V2sにおける圧力は、容積V3から流体を取り込むことにより、作動サイクルの前の値に戻る。様々な容積における圧力は、印加される外部荷重のみに応じて変化する。
【0075】
実施形態において、上述の膨張サイクル又は収縮サイクルのいずれも、ロッド24を任意の増分位置に移動させるのに必要な回数繰り返されてよい。実施形態において、各移動の増分のサイズは、コンポーネント10がどれだけ膨張するかを制限することに基づいて設定されてよい。実施形態において、用途ごとに異なるサイズ又は容積のアクチュエータコンポーネント10が用いられてよい。実施形態において、容積は、インプラントのサイズ及び単一の膨張サイクルに必要とされる伸長量に依存する。
図10の実施形態において、ロッド24は、シリンダ20の底部及び頂部の両方から延出するので、ロッドアキュムレータの容積Accは、
図2に関して上述したものよりも小さい場合がある。
図10の実施形態において、ロッド24の伸長又は収縮により、容積V1及びV2の両方に実質的に同一の容積変化が生じ、アキュムレータAccは単一サイクルの容積変化のみを収容すればよい。実施形態において、液圧システム150は、液圧システム50に代えて、上述のインプラント1000に実装されてよい。あるいは、インプラント1000が上述したのと実質的に同じ方式で動作する。
【0076】
図3~
図8は、上述のアクチュエータコンポーネント10に適合して動作する双方向熱作動コンポーネント110を用い得る髄間伸長釘110の一実施形態を示す。実施形態において、インプラント1000は、髄間伸長釘110であってよい。
図3は、熱作動アクチュエータコンポーネントの機械的伸長を利用する髄間伸長釘110の実施形態を示す。
図4は、断面A-Aに沿った髄間伸長釘110の断面図を示す。実施形態において、髄間伸長釘110は、上述のアクチュエータコンポーネント10において用いられるものと同様の方式で加熱要素を用いる1つ又は複数の熱作動アクチュエータ要素の動作に基づいて、典型的なジャッキねじ装置のねじ部分又はナット部分のいずれかを駆動することにより伸長する。実施形態において、駆動機構は、
図4の円B及びDに示すようにデバイス110の両端部に設けられてよい。これらの部分の実施形態が、
図5及び
図7においてより詳細に示されている。例示的なジャッキねじ装置が、
図2の円Cに示されており、
図8においてより詳細に示されている。
【0077】
実施形態において、
図3の円B及びDにおいて強調表示され、
図5及び
図7においてより詳細に示されている駆動部は、カバー物品118の下の誘導ピックアップコイル119を含む本体101を含んでよい。実施形態において、この誘導ピックアップコイル119は、上述の電源1030であってよい。実施形態において、外部の変動する電磁場がピックアップコイル119に接近すると、電流がピックアップコイル内に誘導され得る。実施形態において、外部の変動する電磁場は、上述のように一次コイルによって提供されてよく、IM釘110が埋め込まれ得るユーザの体の外側に提供されてよい。実施形態において、電流は、上述の制御回路1010であり又はそれを含み得る内部制御電子回路121に印加されてよい。実施形態において、制御電子回路121は、加熱要素120の電力をオン及びオフするために用いられてよい。実施形態において、加熱要素120は、隔壁114及び115の間に貯留された共融ワックス材料130を取り囲む。加熱要素120は、上述の加熱要素116と同様の抵抗加熱要素又は任意の他の好適な加熱デバイスであってよい。実施形態において、ピストン116は、ワックス材料130に包み込まれており、隔壁114を通して出ていてよい。実施形態において、シール117は、ワックス材料130が隔壁114、115の間の密閉容積から漏れないように保持し、ピストン116が密閉容積を出入りすることを可能としてよい。実施形態において、加熱要素120がワックス材料130を加熱すると、ワックスが溶融して膨張し、3000psi程度の内圧を生成する。実施形態において、ワックスの膨張により、ピストン116が押されて隔壁114から延出し、雄ヘリカルスプライン103を圧迫する。実施形態において、スプライン103は、本体101に固定された雌ヘリカルスプライン102内で摺動する。実施形態において、スプライン103の螺旋形の結果として、スプラインがピストン116により押されて直線的に移動するにつれて回転する。実施形態において、この回転により、
図6に示すローラクラッチが動作する。実施形態において、ローラクラッチは、シャフト104が内部に配置されたスプライン103内の穿孔を含んでよい。実施形態において、シャフト104は、シャフトに機械加工された傾斜スロット内の配列されたローラ105を含んでよい。実施形態において、ローラ105は、線ばね104aを用いて傾斜スロットの狭い側に付勢されている。実施形態において、クラッチは、反時計回り方向に回転しているときに、駆動スプライン103と連動してシャフト104の回転を駆動する。実施形態において、この回転は、ピストン116が伸長している間に生じる。すなわち、ピストンの直線的伸長が回転に変換される。
【0078】
実施形態において、ピストン116が収縮しているとき、スプライン103は時計回り方向に回転する。実施形態において、これが生じると、シャフト104がスプライン103と係合しなくなる。実施形態において、シャフト104は、一体ナット111(
図8参照)を駆動する。実施形態において、ナット111の反時計回りの回転により、ロッド113が伸長する。実施形態において、ピストン116及び雄ヘリカルスプライン103を元の状態に戻すために、戻しばね107が利用される。実施形態において、戻しばね107は、隔壁112(
図8参照)とピストン116との間で動作する。実施形態において、隔壁112は、本体101に固定される。実施形態において、戻しばね107は、雄スプライン103が前後に直線的に移動することに伴って自由に回転するように、スラストベアリング109、110を介して力を印加する。
【0079】
実施形態において、
図8においてより詳細に見ることができるジャッキねじ機構は、シャフト104、ナット111及びジャッキねじ113を含む。実施形態において、シャフト104は、本体101に固定された一対のスラストベアリング110aの間に支持されてよい。実施形態において、ジャッキねじ113は、直線方向に固定されるが、釘ロッド108に対して自由に回転する。実施形態において、回転を可能とするために、追加のベアリング110aが物品108及び113の間に取り入れられてよい。実施形態において、ベアリングレース123が、釘ロッド108に固定されてよい。釘110の弾丸状先端部126は、
図7aにおいて見ることができる。実施形態において、弾丸状先端部126は、静止部品であってよく、シャフト108に取り付けられてよい。
図7を参照して見ることができるように、例えば、円Dにおいて強調表示され、
図7において詳細に示されている駆動機構は、ピストン116が反対方向に移動すること以外は
図5に示すものと同様の構造及び動作を有する。
【0080】
動作中、髄間伸長釘110は、伸長又は収縮のいずれかを行ってよい。伸長のために、実施形態において、円B及び
図5に示す機構は、ジャッキねじ113に対するシャフト104の反時計回りの回転を提供し、それにより、ジャッキねじがナット111のねじ山ピッチに従ってシャフトから延出する。収縮のために、実施形態において、円D及び
図7に記載の機構は、シャフト104に対するジャッキねじ113の時計回りの回転を提供し、それにより、ジャッキねじがナット111のねじ山ピッチに従ってシャフト4内で収縮する。
図4Aは、伸長位置における髄間伸長釘110を示す。
【0081】
実施形態において、電力及びデータ通信が、髄間伸長釘110により具現化され得るインプラント1000に/から提供されてよい。実施形態において、例えば送受信機1020を介して、携帯電話への直接接続を介して直接通信が提供されてよい。実施形態において、直接接続は、充電ケーブル、USBケーブル又は他の有線接続を利用して提供されてよい。実施形態において、充電ケーブルは、例えば、電力の提供及びピストン124の動作に関する位置データの捕捉又は通信の両方に用いられてよい。実施形態において、電源1030に関して上記で概説したように、近接場誘導結合を用いた誘導に基づいて電力が提供されてよい。実施形態において、誘導結合を介して、指令の伝送及び位置データの交換も行われてよい。実施形態において、この情報は、送受信機1020を介して無線で伝送されてよい。
【0082】
実施形態において、上述の制御回路1010に対応し得る内部制御電子回路121は、直接又は誘導結合を介してのいずれかで、位置情報を通信するために用いられてよい。実施形態において、制御電子回路121は、1つ又は複数のプロセッサ又はマイクロプロセッサ又は他の制御回路を含んでよい。実施形態において、制御電子回路121は、携帯電話又は他のモバイルデバイスへの直接接続を可能とするためのポート又はプラグを含み又はそれに接続されてよい。実施形態において、制御電子回路1020は、情報を無線で送受信するための上述の送受信機1020などの送受信機を含んでよい。実施形態において、上記のように、誘導結合を介して通信が実現されてよい。実施形態において、例えば送受信機1020を介して実装され得る任意の好適な無線プロトコル又はネットワークを用いて、無線通信が行われてよい。
【0083】
図11は、上述のアクチュエータコンポーネント10と同様の双方向熱作動コンポーネントを用いる髄間(IM)伸長釘210の別の実施形態を示す。実施形態において、釘本体201は、IM釘210の主要な構造的要素であってよく、本体に摺動可能に係合され一対のOリング205により封止された釘シャフト202を収容するように中空状であってよい。実施形態において、他の封止構造がOリングに代えて用いられてよい。実施形態において、本体201及びシャフト202は、共通の曲率を共有してよく、ブッシュ206を用いて回転を回避するように構成されてよい。実施形態において、本体201及びシャフト202は、実質的に円筒形の形状を有してよい。実施形態において、双方向ポンプ要素207は、釘本体201に設けられ、本体201に対するポンプの移動を防止するために固定されてよい。実施形態において、流体が第1の容積V1と第2の容積V2との間を通過することを防止するために、シール209が設けられてよい。実施形態において、シール209(
図14参照)は、静止用シールであってよく、この流体の移送を防止するために用いられてよい。実施形態において、テンションロッド211は、釘シャフト202と係合されてよく、ポンプ207を通して連続し、Oリング205により封止され得るピストン211に接続してよい。
【0084】
図12は、釘本体201に含まれるポンプ207及びシリンダ容積V1、V2を示す。実施形態において、ポンプ207は、上記のようにテンションロッド211がポンプ207を通して延びている状態で本体201に配置されてよい。容積V1は、ポンプ207と釘シャフト202との間の空間に設けられてよい。容積V2は、ポンプ207とピストン212との間に設けられてよい。実施形態において、ポンプ207は、ピストン212を収縮させるために、流体を容積V1から容積V2に移動させてよい。ポンプ207はまた、ロッド211を伸長させるために、流体を容積V2から容積V1に移動させてよい。実施形態において、ロッド内のカニューレ203が、シャフト202に摺動可能に係合されたテンションロッド211を通して延びる。実施形態において、カニューレ203は、患者の体内にIM釘を埋め込むために用いられる一般的技法であるガイドワイヤを介した挿入を容易にするために用いられてよい。実施形態において、IM釘210は、上述のインプラント1000の一例であってよい。
【0085】
図13~
図14は、双方向ポンプ207のコンポーネントを示す。実施形態において、ポンプ207は、3つの主要部分を含んでよい。段間部分221は、電源、電子回路及びアキュムレータ容積を含んでよい。実施形態において、一対の熱ポンプ機構207a、207bが段間部分221の両端部に設けられてよい。実施形態において、ポンプ機構207a、207bは、伸長及び収縮を行うために、流体をポンプ207から容積V1、V2に押し込むために用いられてよい。実施形態において、液圧作動流体は、物質の中でも特に、ポンプ機構207a、207b内の密閉された熱ワックスアクチュエータから隔離された滅菌水であってよく、シリンダ容積V1、V2内に収容されてよい。実施形態において、電圧V1in又は電圧V2inの印加により、ポンプ機構207a、207bにおいて用いられるワックスアクチュエータ内の上述の加熱要素16などの加熱要素が通電し、その結果、固体から液体への相変化及びワックスアクチュエータの付随する膨張が生じる。実施形態において、上述のアクチュエータコンポーネント10と同様である熱作動アクチュエータのこの膨張により、作動流体が変位して加圧され、その結果、ポンプ207内の作動流体圧力が増大する。
【0086】
図15~
図16は、段間部分221の断面図及び分解組立図をそれぞれ示す。段間本体221aは、その他の構成要素のためのハウジングとして機能してよい。実施形態において、一対の流体通路221bがハウジング221aに設けられてよい。実施形態において、電子回路221cは、空隙内にポッティングされ、作動流体から隔離されてよい。実施形態において、電子回路221cは、例えば、上述の制御回路1010及び送受信機1030を含んでよい。実施形態において、ブラダ221eは、第2の空隙に設けられてよく、流体が容積V1、V2間で移送されることに伴って縮小する容積V1、V2からの流体の変位を収容するためのアキュムレータとして機能してよい。実施形態において、一方の容積V1の容積が低減すると、他方の容積V2は、それに対応するように増大し、それにより釘シャフト202の運動が生じる。実施形態において、コイル221fが本体221aの周囲に設けられてよい。実施形態において、コイル221fは、ワイヤのコイルであってよく、電子回路221cに電力を供給するための誘導ピックアップとして機能してよい。実施形態において、コイル221fは、上述の電源1030であってよい。実施形態において、コイル221fは、上述の二次コイルであってよい。実施形態において、電子回路221cは、ポンプ207の動作を制御し、医師、医療従事者又は管理者(不図示)に関連付けられた外部コントローラ又はコンピュータデバイスに信号を送信してよい。実施形態において、Bluetoothなどの近接場無線充電及び通信プロトコルが、例えば電子回路221cに組み込まれ得る上述の電源1030及び送受信機1020を用いて電力を提供するため及び通信のために用いられてよい。実施形態において、外部コントローラと通信する能力により、位置フィードバック、荷重検知、圧力及び温度検知などの情報を送出及び監視することが可能となる。
【0087】
図17~
図18は、それぞれポンプ機構207a、207bの断面図及び分解組立図を示す。実施形態において、本体208aは、その他の構成要素を収容し、伸縮ポンプ機構間の流体通路の隔離を可能とする。実施形態において、静止用Oリング208bは、ポンプ207a、207bの内部容積をシリンダ容積V1、V2から隔離してよい。実施形態において、運動用Oリング208cは、ポンプ機構207a、207bとテンションロッド212との間の運動用シールを提供してよい。実施形態において、テンションロッド212は、ロッドアキュムレータの必要性が排除され得るように、シリンダ容積V1、V2の間のポンプアセンブリ207を完全に横断していてよい。実施形態において、各ポンプ機構207a、207bは、作動流体容積内に封入されたワックスカプセル又はベローズWを含んでよい。実施形態において、カプセルWは、上述のベローズ12であってよく、その形状は本体201の湾曲に合致するように調整される。実施形態において、一対のチェックバルブCV1、CV2は、ポペット301、座部302、ばね303及び止め部304を含んでよく、ワックスカプセル又はベローズWの膨張及び収縮の期間中にポンプ機構207a、207bを出入りする流れを制御するために用いられてよい。実施形態において、ばね303は、ポペット301を座部302に付勢し、流体シールをもたらしてよい。実施形態において、チェックバルブのうちの一方であるCV1は、ポンプがワックスカプセルWの正の膨張を受けているときに、ポンプ207からの流体が対応するシリンダ容積V1、V2に流れ込むことを可能とし、第2のチェックバルブCV12は、流れがワックスカプセルWの収縮の期間中に段間部分221に設けられたブラダ221fからポンプに入ることを可能とする。実施形態において、圧力作動リリーフバルブPARV1は、上述のバルブのものと同様に形成されてよく、圧力作動ベローズPABを含む。実施形態において、ベローズPABは、内圧が、対向するポンプ容積から段間部分221をわたって伝達されることを可能とする。実施形態において、バルブPARV1は、容積が増大しているそれぞれのシリンダ容積V1又は容積V2がブラダにより提供される収容部へと延びる余地を有するように、容積が減少しているシリンダ容積V1又はV2からの流体がブラダ221eに流れ込むことを可能とする。実施形態において、様々なブッシュ305及び306が、ポンプ機構207a,207bの各々を段間部分221に接続するように機能する。実施形態において、ポンプコンポーネントの製造及び組立てが可能となるように一時的に流路を封止するプラグ308が設けられてよい。実施形態において、チェックバルブCV1、CV1a及び圧力リリーフバルブPARV1は、必要に応じて異なるように構成されてよい。実施形態において、チェックバルブCV1、CV1a及び圧力リリーフバルブPARV1は、磁気付勢バルブ、フラッパバルブ又は流れの制御を提供する任意の他の機械的装置であってよい。
【0088】
図19は、適切な温度で溶融するように配合されたパラフィンワックスが設けられるが上述のワックスカプセルWとして用いられ得るベローズBの詳細図を示す。上記のように、カプセルWは、上述のベローズ12であってよい。実施形態において、加熱要素316は、ワックスを溶融させるためのエネルギー入力を提供してよく、電子回路221cにより制御されてよい。実施形態において、ワックスは、溶融中に20%までの体積膨張を受ける。実施形態において、この膨張の間に生成される圧力は、適切な制約を受ける場合、3000psiに近づく。
図18に示すように、ベローズBは、典型的なエッジ溶接ベローズアセンブリとして示されているが、いくつか例を挙げるとシリコーンブラダ又はシリンダ内のピストンなど、ワックス封入のための他の構造が用いられてもよい。実施形態において、ワックスの封入により、ワックスが作動流体から隔離され、加熱要素316への近接が維持される。加熱要素316は、上述の加熱要素16と同様であってよい。実施形態において、電力が加熱要素316から取り除かれると、ワックスが熱を作動流体に放散し、固化して、ベローズの収縮を生じさせる。実施形態において、ベローズBは、ワックスが溶融及び固化することに伴い膨張及び収縮するように柔軟性のセグメント化されたダイヤフラムDが間に配置された2つの対向するエンドキャップB1、B2を含んでよい。実施形態において、他の柔軟性構造がベローズBとして用いられてもよい。
【0089】
図20は、一部分が切り取られた液圧ポンプ部分207を示す。実施形態において、ピストン212は、閉じたシリンダ201(
図12参照)内に保持されてよい。実施形態において、シリンダの外側の運動を生じさせるために、ピストンが、閉じたシリンダ容積V1、V2の各々の端部を通して延びるロッドに接続されてよい。実施形態において、運動用シールが、シリンダCを2つの隔離されたシリンダ容積V1及びV2に分割するように、ロッドRが出るシリンダ容積V1、V2の端部においてピストンの周縁部の周わり及び円筒形開口部の周わりに設けられる。実施形態において、作動流体を一方の容積V1、V2に移送しつつ他方の容積から除去することにより、シリンダCの軸に沿って一方向にピストンPが動く。実施形態において、V1と表記される第1の容積及びV2と表記される第2の容積は、ピストンの平行運動に応じて増減する。実施形態において、そのようなアクチュエータを閉じた流体サイクルにおいて用いることは、流体が増大している容積に圧送されている間に減少している容積から流れ出る流体を収容するための第3の接続された可変容積V3を含む。この第3の容積Accは、アキュムレータと称され、示したように密閉容積における、いくつか例を挙げるとシリンダ内のばね荷重ピストン、柔軟性ベローズ、又はガス充填ブラダを用いて形成されてよい。実施形態において、このアキュムレータAccの第2の機能は、ワックスカプセルが冷却し体積が減少している期間中にポンプ207への再供給を行い、それにより流体をAccから吸引することで、次の作動サイクルのためにポンプを準備することを可能とすることであってよい。
【0090】
ここまで本発明の実施形態を示し詳細に説明してきたが、当業者には、様々な修正及び改善が容易に明らかとなり得る。したがって、上記で述べた本発明の例示的実施形態は、限定ではなく例示を意図したものである。本発明の趣旨及び範囲は、広義に解釈されるべきである。
【国際調査報告】