(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】ブドウ球菌感染症を処置するためのバクテリオファージ組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 7/00 20060101AFI20230328BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230328BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230328BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230328BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230328BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230328BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230328BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/545 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/43 20060101ALI20230328BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20230328BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230328BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
C12N7/00
A61K35/76
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/19
A61P31/04
A61K48/00
A61K31/7088
A61K45/00
A61K31/497
A61K31/407
A61K31/545
A61K31/43
A61K31/65
A61K9/12
C12N15/33 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549462
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021018623
(87)【国際公開番号】W WO2021168147
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519291618
【氏名又は名称】アルマタ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】コラール,ステイシー・リン
(72)【発明者】
【氏名】バーナム,ブライアン・シー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA98X
4B065AC20
4B065BA21
4B065CA44
4C076AA06
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4C087ZB35
4C087ZC75
(57)【要約】
本開示は、ブドウ球菌に感染してそれを死滅させることができるバクテリオファージおよび組成物、ならびにブドウ球菌、例えば黄色ブドウ球菌による細菌感染症を処置するためのそれらの使用に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージ。
【請求項2】
配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージ。
【請求項3】
配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージ。
【請求項4】
配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージ。
【請求項5】
血中補体不活性化に耐性である、請求項1から4のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項6】
配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数のバクテリオファージを含む、バクテリオファージ組成物。
【請求項7】
配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される2つ以上のバクテリオファージを含み、標的細菌範囲が、組成物における個々のバクテリオファージの有効性の合計よりも効果的である、請求項6に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項8】
バクテリオファージが黄色ブドウ球菌に感染してそれを死滅させる、請求項6または7に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項9】
8℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地をさらに含む、請求項6から8のいずれかに記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項10】
バクテリオファージが血中補体不活性化に耐性である、請求項6から9のいずれか一項に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項11】
1つまたは複数のバクテリオファージがシルビアウイルス属に属する、請求項6から10のいずれか一項に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項12】
配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列と、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列とを含むバクテリオファージを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージと、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むゲノムを有するバクテリオファージとを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
細菌成分を実質的に含まない、請求項6から17のいずれかに記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項19】
細菌成分が細菌宿主タンパク質を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項6から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
液体、半液体、固形、凍結、または凍結乾燥製剤である、請求項6から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
バクテリオファージが、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうちの1つまたは複数を標的とする、請求項6から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
バクテリオファージが、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうちの1つまたは複数に感染してそれを死滅させる、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
1×10
8~1×10
11PFUの間の各バクテリオファージを含む、請求項6から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
1ミリリットル当たりの総バクテリオファージが少なくとも1×10
9PFUである投薬量で投与される、請求項6から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
2~8℃で保存される、請求項6から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1つのバクテリオファージが偏性溶菌性である、請求項6から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1つのバクテリオファージの配列が遺伝子修飾される、請求項1から27のいずれか一項に記載のバクテリオファージまたは組成物。
【請求項29】
細菌感染症を処置する方法であって、請求項1から28のいずれかに記載のバクテリオファージまたは組成物を、処置を必要とする対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
対象における黄色ブドウ球菌感染症の処置における、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物の使用であって、組成物を黄色ブドウ球菌感染症に罹患している対象に投与するステップを含む、使用。
【請求項31】
黄色ブドウ球菌細菌感染症を有する対象の処置における、黄色ブドウ球菌を標的とする1つまたは複数の別個のバクテリオファージを含む組成物の使用であって、組成物を前記対象に投与するステップを含み、前記1つまたは複数のバクテリオファージのうちの少なくとも1つが、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される、使用。
【請求項32】
バクテリオファージが血中補体不活性化に耐性である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
バクテリオファージを含む細菌宿主製造株であって、前記バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、細菌宿主製造株。
【請求項34】
細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、血中補体不活性化に対する耐性に基づいてバクテリオファージを選択するステップ、および前記バクテリオファージを対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項35】
補体C3タンパク質媒介不活性化に対する耐性に基づいてバクテリオファージを選択するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法。
【請求項38】
細菌感染症が少なくとも部分的に黄色ブドウ球菌に起因する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
1つまたは複数の別個のバクテリオファージが黄色ブドウ球菌に感染してそれを死滅させる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象における微生物叢を改変する方法であって、前記対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、前記バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、方法。
【請求項41】
バクテリオファージが血中補体不活性化に耐性である、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
1つまたは複数のファージが、補体C3タンパク質媒介不活性化に対する耐性に基づいて選択される、請求項37から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
別個のバクテリオファージがシルビアウイルス属に属する、請求項34から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
バクテリオファージが、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
バクテリオファージが、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
バクテリオファージが、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
バクテリオファージが、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
バクテリオファージが、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含み、別のバクテリオファージが、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージと、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージとを投与するステップを含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも約80%のバクテリオファージが、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する、請求項34から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
時間期間が約10分~約90分である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
細菌感染症が、肺感染症、副鼻腔炎、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚感染症、皮膚組織感染症、菌血症、敗血症、心内膜炎、またはインプラント感染症を含む、請求項34から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
インプラント感染症が、心臓インプラント感染症(例えば、補助人工心臓感染症、ペースメーカー感染症)、人工関節感染症、または人工弁心内膜炎を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
細菌感染症が菌血症である、請求項34から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
細菌感染症が抗生物質に耐性である、請求項34から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
バクテリオファージが、1×10
8~1×10
11プラーク形成単位(PFU)の総バクテリオファージで投与される、請求項34から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
バクテリオファージが1×10
8~1×10
11PFUの各バクテリオファージで投与される、請求項34から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
バクテリオファージが、2×10
9PFUの総バクテリオファージを含む1ミリリットルの投薬量において投与される、請求項34から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
抗生物質の投与をさらに含む、請求項34から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
抗生物質が、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシド、アンサマイシン、セファロスポリン、ペニシリン、ベータラクタム、ベータラクタマーゼ阻害薬、葉酸経路阻害薬、フシダン、グリコペプチド、グリシルサイクリン、リンコサミド、リポペプチド、マクロライド、オキサゾリジノン、フェニコールホスホン酸、ストレプトグラミン、およびテトラサイクリンからなる群から選択される抗生物質クラスからのものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
バクテリオファージが静脈内投与される、請求項34から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
バクテリオファージが関節内注射により投与される、請求項34から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
バクテリオファージが吸入により投与される、請求項34から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
バクテリオファージが噴霧により投与される、請求項34から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
バクテリオファージが少なくとも6時間ごとに投与される、請求項34から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
バクテリオファージが少なくとも12時間ごとに投与される、請求項34から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
バクテリオファージが少なくとも24時間ごとに投与される、請求項34から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
バクテリオファージが少なくとも7日間投与される、請求項34から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
対象がヒトである、請求項34から68のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年2月18日に出願された米国仮出願第62/978,006号の利益を主張し、これは、その全体があらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
配列表
[0002]本出願は、ASCIIフォーマットにおいて電子的に提出され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2020年2月18日に作成された前記ASCIIコピーは、054249-519P01US_SEQUENCE_LISTING_ST25.txtという名称であり、377,606バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
[0003]従来の低分子抗生物質処置レジメンに耐性のある細菌株の数がより多くなるにつれて、代替的な抗生物質に対する需要が高まっている。バクテリオファージ療法は、細菌のウイルス、またはファージを使用して、様々な感染部位における細菌を標的とし、破壊する。バイオテクノロジーにおける近年の進歩は、目的の細菌を標的とし、破壊することができる強力かつ特異的なバクテリオファージを生成するための天然に存在するファージのライブラリーの急速な増幅を可能にした。抗生物質耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、SA)は、病院および免疫不全患者が過ごす場所において典型的に見出される。SA二次感染症は、これらの患者に共通の脅威となる潜在的に致死的な感染症である(20%超)。実際、米国のみで毎年、100,000人の集団当たりおよそ50のSA菌血症の症例が診断されている。従来の抗生物質耐性機構を避けることができ、従来の低分子療法の有毒な副作用を回避することができ、バイオフィルムに対して効果的となることができ、かつ天然腸内細菌叢の破壊を回避することができるバクテリオファージ処置手法は、とりわけ魅力的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]したがって、今日、SA感染症を処置するために現在使用されている従来の低分子抗生物質に取って代わるかまたはそれを強化する、より効率的で、強力で、かつ特異的な抗SA療法に対する満たされていない大きな必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]バクテリオファージ、バクテリオファージの組成物、ならびに医学的および非医学的応用のためのそれらの使用が本明細書に記載される。
[0006]一態様では、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
【0005】
[0007]一態様では、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。一態様では、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
【0006】
[0008]一態様では、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
[0009]一態様では、配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。一態様では、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
【0007】
[0010]一態様では、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数のバクテリオファージを含む、バクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。一態様では、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数のバクテリオファージを含む、バクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。
【0008】
[0011]一態様では、黄色ブドウ球菌細菌感染症を有する対象の処置における、黄色ブドウ球菌を標的とする1つまたは複数の別個のバクテリオファージを含む組成物の使用が本明細書において提供される。使用は、組成物を対象に投与するステップを含み、1つまたは複数のバクテリオファージのうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される。別の態様では、1つまたは複数のバクテリオファージのうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される。
【0009】
[0012]一態様では、バクテリオファージを含む細菌宿主製造株であって、バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、細菌宿主製造株が本明細書において提供される。別の態様では、バクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0010】
[0013]一態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、血中補体不活性化に対する耐性に基づいてバクテリオファージを選択するステップ、およびバクテリオファージを対象に投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0011】
[0014]一態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。別の態様では、処置の方法は、対象に、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む。
【0012】
[0015]一態様では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。別の態様では、バクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0013】
[0016]次に、添付の図面を参照して、実施形態を単に例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0017]
図1は、播種効率およびプラーク形態を示す図である。等力価のファージを段階希釈し、2μLを黄色ブドウ球菌の菌叢に播種した。ファージの効力を、プラークの透明度および播種効率によって評価した。
【
図2】[0018]
図2は、血漿への曝露後のSa87活性に対するコンプスタチンの効果を示すグラフである。Sa87を、補体阻害薬であるコンプスタチンの存在下または非存在下において、3名のドナーから単離した新鮮血漿に60分間曝露し、ファージ力価を、二層寒天法を使用して測定した。Dはドナーを示す。
【
図3】[0019]
図3は、血漿への曝露後のリードファージ活性を示すグラフである。リードファージ候補を、6名のドナー由来の新鮮血漿に希釈し、感染性を90分間モニタリングした。
【
図4】[0020]
図4は、AP-SA02がSAバイオフィルム量を著しく減少させることを示すグラフである。バイオフィルムを、AP-SA02(96ウェルプレートのウェル1つ当たり10
7個のファージ)を用いて5時間処理し、根絶されたバイオフィルムの算出された百分率を、ビヒクルを用いて処理した同じ株に対するパーセントとして報告する。NRS100は陰性対照である。
【
図5】[0021]
図5A~5Bは、バンコマイシンの存在下におけるAP-SA02活性を示す図である。
図5Aは、チェッカーボードアッセイにおける、AP-SA02およびバンコマイシンの存在下での濁度(600nmにおける吸光度)によって測定した細菌増殖を示す。灰色の四角は、
図5Bに示すグラフの線を示す。AP-SA02はVRSA株に対して活性である。バンコマイシン、16μg/mL;AP-SA02、0.1pg/mL。
【
図6】[0022]
図6A~6Bは、バンコマイシンとAP-SA02との相乗的活性を示す図である。
図6Aは、チェッカーボードアッセイにおける、AP-SA02およびバンコマイシンの存在下での濁度(600nmにおける吸光度)によって測定した細菌増殖を示すデータである。灰色の四角は、
図6Bに示すグラフの線を示す。AP-SA02とバンコマイシンとはVRSA株に対して相乗的活性を示す。バンコマイシン、2μg/mL。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0023]本開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然、変更可能であることが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0016】
[0024]本開示の詳細な説明は、読者の便宜のために様々な節に分けられ、任意の節において見出される開示は、別の節におけるものと組み合わせることができる。別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
定義
[0025]本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上別段の指示が明確にない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「バクテリオファージ組成物(a bacteriophage composition)」への言及は、複数のそのような候補物質を含み、「バクテリオファージ(the bacteriophage)」への言及は、1つまたは複数のバクテリオファージおよび当業者に公知のその均等物への言及を含む、等となる。
【0017】
[0026]「から本質的になる」という用語は、本明細書において使用される場合、明示的に示されるバクテリオファージ(複数可)のみがバクテリオファージ組成物に存在するが、前記組成物がまた、さらなる非バクテリオファージ構成要素、例えば、薬学的に適切な担体、希釈剤、賦形剤、抗生物質(例えば化学抗生物質)等、またはそれらの組合せを含有する場合もあることを意味する。
【0018】
[0027]本明細書において使用される場合、「約」という用語は、範囲を含む数字表示、例えば、温度、時間、量、濃度等の前に使用される場合、(+)または(-)10%、5%、または1%変動し得る近似値を示す。
【0019】
[0028]範囲(例えば投薬量範囲)が本明細書に列挙される場合、その値には、端点を含む記載される範囲内における任意の個々の値または範囲が含まれ得ることが理解されるべきである。
【0020】
[0029]本明細書において使用される場合、「突然変異体」という用語は、ARSA0001またはARSA0002と遺伝子的には異なるが、黄色ブドウ球菌標的細菌に感染してそれを死滅させる能力を依然として保持するバクテリオファージを指す。突然変異体は典型的には、例えば遺伝子材料のサイレント突然変異、保存的突然変異、わずかな欠失、および/またはわずかな複製を有するバクテリオファージを含み、参照バクテリオファージの表現型形質を保持する。ある実施形態では、突然変異体は、本明細書に記載されるバクテリオファージのゲノムに依存する任意の観察可能な特徴または特性、すなわち、前記バクテリオファージの表現型形質および/またはブドウ球菌種に対する溶菌活性を保持する。好ましい突然変異体は、黄色ブドウ球菌標的細菌に感染してそれを死滅させる能力を保持し、参照バクテリオファージのゲノムと比較して10%未満、より一層好ましくは7%未満、より好ましくは1%未満の核酸変異を有する。代替的にまたは組み合わせて、突然変異体は、コードされるポリペプチド配列において、参照バクテリオファージのポリペプチドと比較して好ましくは7%未満のアミノ酸変異を有する。
【0021】
[0030]本明細書において使用される場合、核酸またはアミノ酸配列に関する「同一性%」、「配列同一性%」、および「同一性パーセント」という用語は、前記配列間の同一性または相同性のレベルを示し、当技術分野で公知の技法によって決定することができる。限定されないが、グローバル法、ローカル法、およびハイブリッド法、例えばセグメントアプローチ法を含む様々な配列アラインメント方法のいずれも、同一性パーセントを決定するために使用することができる。同一性パーセントを決定するためのプロトコルは、当業者の範囲内の慣例的な手順である。グローバル法は、分子の最初から最後までの配列をアラインメントし、最適なアラインメントを、個々のヌクレオチド対のスコアを加算し、ギャップペナルティを課すことによって決定する。非限定的な方法としては、例えば、CLUSTAL W(例えば、Julie D.Thompsonら、CLUSTAL W:Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting,Position- Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice、22(22)Nucleic Acids Research 4673~4680(1994)を参照のこと)、および反復改良が挙げられる。非限定的な方法としては、例えば、BLAST、Match-box(例えば、Align-M(例えば、Ivo Van Walleら、Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences、Bioinformatics 20(9):1428~1435(2004)を参照のこと)を参照のこと)が挙げられる。この定義は、試験配列の相補体(compliment)も指すか、またはそれに適用することもできる。定義には、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列も含まれる。以下に記載されるように、好ましいアルゴリズムはギャップ等を説明することができる。好ましくは、同一性は、少なくとも約100ヌクレオチド長の領域にわたって、より好ましくは100~1000ヌクレオチド長またはそれよりも長い領域にわたって存在する。
【0022】
[0031]本明細書において使用される場合、「細菌相補(bacterial complementation)」という用語は、特定のゲノムを有するバクテリオファージの、異なるゲノムを有する異なる別個のバクテリオファージを補う能力を指す。より具体的には、バクテリオファージ非感受性突然変異コロニー(標的細菌の)は、特定のバクテリオファージに対して生じ得るが、異なるバクテリオファージに対しては依然として感受性である場合がある。換言すれば、あるファージに対して生じるバクテリオファージ耐性突然変異細菌は、別のファージに対しては依然として感受性である。
【0023】
[0032]本明細書において使用される場合、「普遍形質導入」という用語は、バクテリオファージを介して任意の細菌DNAが別の細菌に移され得るプロセスを指す。これは珍しい事象であり、10,000のうちおよそ1つのファージという非常に小さい百分率のファージ粒子が偶発的にドナー細菌のDNAを保有する。本質的には、これは細菌DNAのウイルスエンベロープへのパッケージングである。
【0024】
[0033]本明細書において使用される場合、「処置する」または「処置すること」という用語は、予防的処置、および矯正処置(疾患にすでに罹患している対象の処置)を包含することが意図される。これには、疾患、病的状態、または障害を治療、改善、安定化、または防止する意志を有する対象の医療管理が含まれ得る。この用語には、積極的処置、すなわち、疾患、病的状態、または障害の好転を明確に対象とする処置が含まれ、また、原因処置、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の原因の除去を対象とする処置も含まれる。加えて、この用語には、対症処置、すなわち、疾患、病的状態、または障害の治療ではなく症状の緩和のために設計された処置;防止的処置、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の発生を最小限にするかまたは部分的もしくは完全に阻害することを対象とする処置;および支持的処置、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の好転を対象とする別の特異的療法を補足するために用いられる処置が含まれる。処置は、疾患、病的状態、または障害を治療、改善、安定化、または防止することが意図されているが、治療、改善、安定化、または防止を実際にもたらす必要はないことが理解される。処置の効果は、関与する疾患、病的状態、または障害に好適となるように、本明細書に記載されるようにおよび当技術分野で公知であるように測定または評価することができる。そのような測定および評価は、定性的および/または定量的に行うことができる。したがって、例えば、疾患、病的状態、もしくは障害、および/または疾患、病的状態、もしくは障害の症状の特徴または特色は、任意の効果または任意の量に換算することができる。
【0025】
[0034]本明細書において使用される場合、「溶菌性」または「溶菌活性」という用語は、バクテリオファージの、細菌細胞の溶解を引き起こす特性を示す。バクテリオファージの溶菌活性は、細菌(例えば黄色ブドウ球菌株)に対して、当技術分野で公知の技法に従って試験することができる。溶菌サイクルは、ファージが細胞に感染し、新たなファージ粒子を複製し、宿主細胞膜を貫通して放出される場合に生じるプロセスに対して命名される。一部のファージは、バクテリオファージプロセスの積極的な抑制のためにバクテリオファージDNAが事実上休眠状態のままとなる溶原サイクルを呈する。細菌が分裂するたびに、ファージのDNAもコピーされる。このように、ウイルスは、その宿主を溶菌することなく、宿主内で複製し続けることができる。ある特定の時点で、状態が変化する場合があり、ファージは溶菌サイクルに入る。「偏性溶菌性」とは、溶原サイクルを経ることができないファージを指す。
【0026】
[0035]本明細書において使用される場合、「補体系」または「血中補体系」という用語は、バクテリオファージを含む異物の食作用、炎症、および膜破壊を惹起する自然免疫系の部分を指す。補体系は、古典経路、副経路、およびレクチン経路からなる。古典経路は、C1と呼ばれる多タンパク質複合体がIgGまたはIgMによる抗原認識時に形成される場合に開始する。C1多タンパク質複合体は、1分子のC1q、2分子のC1r、および2分子のC1sから構成される。いくつかの内部タンパク質分解ステップを経た後、サブユニットC4およびC2が生成され、これらはさらにプロセシングされて、C2a、C2b、C4a、およびC4bを形成する。C2bとC4bとは組み合わされて古典形態のC3転換酵素を形成する。C3はさらにプロセシングされて、C3aおよびC3bを形成する。次いで、C3bはC3に連結してC5転換酵素を形成する。補体副経路において、低レベルのC3は、抗原の存在を伴わずにC3bに転換することができ、他のプロテアーゼと組み合わされて副経路由来の複合体(alternative complex)を形成することができる。レクチン経路は、C1由来のC1qタンパク質の代わりに、マンノース結合レクチン(MBL)を含むレクチン結合タンパク質を使用する。
【0027】
[0036]本明細書において使用される場合、「C3」または「補体成分C3」という用語は、補体経路:古典、副、またはレクチンに関与するタンパク質のいずれかを指す。活性化C3の形態の1つは、活性化C2およびC4タンパク質のヘテロ二量体、すなわちC3転換酵素としても公知のC4b2aである。活性化C3の形態の1つは、活性化C3bと活性化B因子であるBbとのヘテロ二量体であり、これはC3bBbを形成する。
【0028】
[0037]本明細書において使用される場合、「バクテリオファージ標的」という用語は、特定のバクテリオファージによって感染され得る任意の細菌種を指す。バクテリオファージは標的細菌細胞表面を認識し、結合し、遺伝子材料を細菌宿主の内部に注入する。感染ファージからの遺伝子材料は細菌ゲノムに組み込むことができる。バクテリオファージは溶原性となる場合があり、その場合、ウイルスゲノムは細菌宿主ゲノムにおいて、引き金となる事象まで休眠状態のままとなる。バクテリオファージは溶菌性となる場合もあり、この場合、感染ファージの多くのコピーは感染した細菌の機構によって産生され、その後、コピーは、細菌溶菌、押出し、または出芽によって放出される。
【0029】
[0038]本明細書において使用される場合、「細菌宿主製造株」または「製造株」という用語は、バクテリオファージを増殖させるために使用される細菌を指す。バクテリオファージ産生のための方法は、少なくとも2つの操作単位、すなわち、宿主細菌の増殖とバクテリオファージ増幅(または感染)とを伴う産生プロセスを必要とし得る。細菌増殖およびファージ感染のための基本パラメータ、例えば、細菌のための選択される基質、および細菌増殖とファージ感染の両方のための至適温度を考慮することは、これらの因子がファージの感染性に影響を及ぼし得るため、重要である。
【0030】
[0039]本明細書において使用される場合、「菌血症」という用語は、血流における細菌の存在を指す。細菌は、歯磨きを含む通常の活動によって血流に導入される場合も、重度の損傷の部位または長期間のデバイス留置の部位における、手術、一時的医療機器の留置、尿路感染によって導入される場合もある。
【0031】
[0040]本明細書において使用される場合、「敗血症」という用語は、血流に侵入する身体のあらゆる場所における細菌感染症を指し、細菌による血液中毒としても公知である。
[0041]本明細書において使用される場合、「シルビアウイルス(Silviavirus)」という用語は、界(Regum):ウイルス、第1群:dsDNA、目:カウドウイルス目、科:ヘレレウイルス科(Herelleviridae)、亜科:トウォートウイルス亜科(Twortvirinae)、属:シルビアウイルスに属するウイルスを指す。シルビアウイルス属の種としては、限定されないが、ブドウ球菌ウイルスRemus、ブドウ球菌ウイルスSA11、ブドウ球菌ウイルスRomulus、ブドウ球菌ウイルスQdsa001、ブドウ球菌ウイルスMR003、ブドウ球菌ウイルスStAP1、およびブドウ球菌ウイルスStsau2が挙げられる。
【0032】
[0042]使用または方法は、典型的には、本明細書に記載されるバクテリオファージまたはバクテリオファージ組成物を対象に投与するステップを含む。本明細書において使用される場合、「対象」は、ヒトまたは他の動物等の哺乳動物である。好ましくは、対象はヒトである。
【0033】
[0043]「処置を必要とする」という用語は、本明細書において使用される場合、介護者(例えば、ヒトの場合は、医師、看護師、診療看護師、または個人;非ヒト哺乳動物を含む動物の場合は獣医師)によってなされる、対象が処置を必要とするかまたは処置から恩恵を受け得るという判断を指す。この判断は、介護者の専門的知識の範囲内の様々な因子であって、本発明の組成物によって処置可能な状態の結果として対象が病気であるかまたは病気になるおそれがあるという認識を含む、様々な因子に基づいてなされる。
【0034】
[0044]本明細書において使用される場合、「単離された」という用語は、バクテリオファージが、それが天然に存在する本来の環境から取り出されることを示す。特に、単離されたバクテリオファージは、例えば、それが天然に位置する環境から離れて育成、すなわち培養される。
【0035】
[0045]本明細書において使用される場合、「精製された」という用語は、バクテリオファージが製造宿主細菌から取り出されることを示す。特に、精製されたバクテリオファージは、細菌成分等の産生不純物がその製造または産生環境から除去されている。細菌成分としては、これらに限定されないが、細菌宿主タンパク質、脂質、および/または細菌内毒素が挙げられる。「精製された」という用語はまた、バクテリオファージの株が遺伝子的に同種となる遺伝子精製を指すことができる。
【0036】
[0046]本明細書において使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、1%未満、0.1%未満、0.001%未満、または検出不能な量の汚染物質、例えば宿主細菌タンパク質または内毒素を含有する組成物を指す。また、本明細書において使用される場合、「実質的に純粋」という用語は、バクテリオファージ株を説明するために使用される場合、その株が1つの特定のゲノム配列の99%超、99.9%超、99.999%超、または100%であるような組成物の遺伝子純度を指す。
【0037】
[0047]典型的には、組成物は、試料における総材料の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%(容量、湿もしくは乾燥重量、またはモルパーセントもしくはモル分率で)が不純物も遺伝子バリアントも含まない場合、実質的に純粋である。
【0038】
[0048]本明細書において使用される場合、「対象」または「患者」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物を指す。好ましくは、対象または患者は、本明細書に記載される組成物を用いる処置を必要とし、例えば、組成物を用いる処置に感性の細菌感染症を有する。
【0039】
[0049]本明細書において使用される場合、「相乗量」とは、相乗効果(すなわち相加効果よりも大きい効果)をもたらす第1の量(例えばバクテリオファージ)と第2の量(例えば異なるバクテリオファージ)との合計を指す。したがって、本明細書において交換可能に使用される「相乗」、「相乗作用」、「相乗的」、「組み合わせた相乗量」、および「相乗治療効果」という用語は、組合せで投与される化合物の測定された効果であって、本明細書において提供される、単剤として単独で投与される化合物のそれぞれの個々の効果の合計よりも大きい、測定された効果を指す。
【0040】
[0050]本明細書において使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、あるものが、含まないと考えられている物質を10%未満有することを指す。例えば、その中の任意の一部の値および部分範囲を含む、端点を含む0.01%~10%の物質を含む。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%。
【0041】
[0051]本明細書において使用される場合、本明細書において使用される「取得可能」という用語は、「取得された」という用語も包含する。一実施形態では、「取得可能」という用語は、取得されたことを意味する。
【0042】
[0052]追加の用語および語句は以下に定義される。
バクテリオファージ組成物
[0053]一態様では、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
【0043】
[0054]一態様では、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
[0055]複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99.0%、または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも98.9%、98.8%、98.7%、98.6%、98.5%、98.4%、98.3%、98.2%、98.1%、98.0%、または98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも97.9%、97.8%、97.7%、97.6%、97.5%、97.4%、97.3%、97.2%、97.1%、97.0%または97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも96.9%、96.8%、96.7%、96.6%、96.5%、96.4%、96.3%、96.2%、96.1%、96.0%、または96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも95.9%、95.8%、95.7%、95.6%、95.5%、95.4%、95.3%、95.2%、95.1%、95.0%、または95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも94.9%、94.8%、94.7%、94.6%、94.5%、94.4%、94.3%、94.2%、94.1%、94.0%、または94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも93.9%、93.8%、93.7%、93.6%、93.5%、93.4%、93.3%、93.2%、93.1%、93.0%、または93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも92.9%、92.8%、92.7%、92.6%、92.5%、92.4%、92.3%、92.2%、92.1%、92.0%、または92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも91.9%、91.8%、91.7%、91.6%、91.5%、91.4%、91.3%、91.2%、91.1%、91.0%、または91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも90.9%、90.8%、90.7%、90.6%、90.5%、90.4%、90.3%、90.2%、90.1%、90.0%、または90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも89.9%、89.8%、89.7%、89.6%、89.5%、89.4%、89.3%、89.2%、89.1%、89.0%、または89%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも88.9%、88.8%、88.7%、88.6%、88.5%、88.4%、88.3%、88.2%、88.1%、88.0%、または88%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも87.9%、87.8%、87.7%、87.6%、87.5%、87.4%、87.3%、87.2%、87.1%、87.0%、または87%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも86.9%、86.8%、86.7%、86.6%、86.5%、86.4%、86.3%、86.2%、86.1%、86.0%、または86%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも85.9%、85.8%、85.7%、85.6%、85.5%、85.4%、85.3%、85.2%、85.1%、85.0%、または85%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも84.9%、84.8%、84.7%、84.6%、84.5%、84.4%、84.3%、84.2%、84.1%、84.0%、または84%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも83.9%、83.8%、83.7%、83.6%、83.5%、83.4%、83.3%、83.2%、83.1%、83.0%、または83%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも82.9%、82.8%、82.7%、82.6%、82.5%、82.4%、82.3%、82.2%、82.1%、82.0%、または82%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも81.9%、81.8%、81.7%、81.6%、81.5%、81.4%、81.3%、81.2%、81.1%、81.0%、または81%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも80.9%、80.8%、80.7%、80.6%、80.5%、80.4%、80.3%、80.2%、80.1%、80.0%、または80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
複数の実施形態では、バクテリオファージゲノムはポリヌクレオチドを含む。
【0044】
[0056]一態様では、配列番号2として同定されるポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。
[0057]一態様では、配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。別の態様では、精製されたバクテリオファージは、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0045】
[0058]複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99.0%、または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも98.9%、98.8%、98.7%、98.6%、98.5%、98.4%、98.3%、98.2%、98.1%、98.0%、または98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも97.9%、97.8%、97.7%、97.6%、97.5%、97.4%、97.3%、97.2%、97.1%、97.0%、または97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも96.9%、96.8%、96.7%、96.6%、96.5%、96.4%、96.3%、96.2%、96.1%、96.0%、または96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも95.9%、95.8%、95.7%、95.6%、95.5%、95.4%、95.3%、95.2%、95.1%、95.0%、または95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも94.9%、94.8%、94.7%、94.6%、94.5%、94.4%、94.3%、94.2%、94.1%、94.0%、または94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも93.9%、93.8%、93.7%、93.6%、93.5%、93.4%、93.3%、93.2%、93.1%、93.0%、または93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも92.9%、92.8%、92.7%、92.6%、92.5%、92.4%、92.3%、92.2%、92.1%、92.0%、または92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも91.9%、91.8%、91.7%、91.6%、91.5%、91.4%、91.3%、91.2%、91.1%、91.0%、または91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも90.9%、90.8%、90.7%、90.6%、90.5%、90.4%、90.3%、90.2%、90.1%、90.0%、または90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも89.9%、89.8%、89.7%、89.6%、89.5%、89.4%、89.3%、89.2%、89.1%、89.0%、または89%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも88.9%、88.8%、88.7%、88.6%、88.5%、88.4%、88.3%、88.2%、88.1%、88.0%、または88%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも87.9%、87.8%、87.7%、87.6%、87.5%、87.4%、87.3%、87.2%、87.1%、87.0%、または87%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも86.9%、86.8%、86.7%、86.6%、86.5%、86.4%、86.3%、86.2%、86.1%、86.0%、または86%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも85.9%、85.8%、85.7%、85.6%、85.5%、85.4%、85.3%、85.2%、85.1%、85.0%、または85%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも84.9%、84.8%、84.7%、84.6%、84.5%、84.4%、84.3%、84.2%、84.1%、84.0%、または84%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも83.9%、83.8%、83.7%、83.6%、83.5%、83.4%、83.3%、83.2%、83.1%、83.0%、または83%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも82.9%、82.8%、82.7%、82.6%、82.5%、82.4%、82.3%、82.2%、82.1%、82.0%、または82%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも81.9%、81.8%、81.7%、81.6%、81.5%、81.4%、81.3%、81.2%、81.1%、81.0%、または81%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも80.9%、80.8%、80.7%、80.6%、80.5%、80.4%、80.3%、80.2%、80.1%、80.0%、または80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離され、精製されたバクテリオファージが本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージゲノムはポリヌクレオチドを含む。
【0046】
[0059]一態様では、1つまたは複数のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。
[0060]複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態に記載の2つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態に記載の2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態に記載の3つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態に記載の4つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの実施形態に記載の5つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。
【0047】
[0061]複数の実施形態では、組成物は、血液中での不活性化に耐性のあるバクテリオファージを1つまたは複数含む。複数の実施形態では、組成物は、血液中での不活性化に耐性のあるバクテリオファージを2つ以上含む。複数の実施形態では、組成物は、血液中での血中補体不活性化に耐性のあるバクテリオファージを3つ以上含む。複数の実施形態では、組成物は、血液中での血中補体C3タンパク質媒介不活性化に耐性のあるバクテリオファージを1つまたは複数含む。複数の実施形態では、組成物は、血液中での血中補体C3タンパク質媒介不活性化に耐性のあるバクテリオファージを2つ以上含む。複数の実施形態では、組成物は、血液中での血中補体C3タンパク質媒介不活性化に耐性のあるバクテリオファージを3つ以上含む。
【0048】
[0062]複数の実施形態では、組成物は、ブドウ球菌細菌を標的とするバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、黄色ブドウ球菌を標的とするバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、および/またはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうちの1つまたは複数を標的とするバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)を標的とするバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)を標的とするバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を標的とするバクテリオファージを含む。
【0049】
[0063]複数の実施形態では、組成物は、ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、黄色ブドウ球菌に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、VISA、VRSA、および/またはMRSAのうちの1つまたは複数に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、VISAに感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、VRSAに感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、組成物は、MRSAに感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。
【0050】
[0064]複数の実施形態では、シルビアウイルス属に属する1つまたは複数のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、シルビアウイルス属のバクテリオファージ由来の株を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、MR003(受託番号AP019522.1)、Qdsa001(受託番号KY779848.1)、Remus(受託番号NC_022090.1)、Romulus(受託番号NC_020877.1)、SA11(受託番号NC_019511.12)、StAP1(受託番号KC532239.1)、およびStsau2(受託番号NC_030933.1)から選択されるバクテリオファージを含む。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスRemusである。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスSA11である。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスRomulusである。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスQdsa001である。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスMR003である。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスStAP1である。バクテリオファージ組成物の一部の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスStsau2である。
【0051】
[0065]一態様では、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数のバクテリオファージを含む、バクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。別の態様では、組成物は、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも9%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数のバクテリオファージを含む。
【0052】
[0066]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99.0%、または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも98.9%、98.8%、98.7%、98.6%、98.5%、98.4%、98.3%、98.2%、98.1%、98.0%、または98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも97.9%、97.8%、97.7%、97.6%、97.5%、97.4%、97.3%、97.2%、97.1%、97.0%、または97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも96.9%、96.8%、96.7%、96.6%、96.5%、96.4%、96.3%、96.2%、96.1%、96.0%、または96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも95.9%、95.8%、95.7%、95.6%、95.5%、95.4%、95.3%、95.2%、95.1%、95.0%、または95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも94.9%、94.8%、94.7%、94.6%、94.5%、94.4%、94.3%、94.2%、94.1%、94.0%、または94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも93.9%、93.8%、93.7%、93.6%、93.5%、93.4%、93.3%、93.2%、93.1%、93.0%、または93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも92.9%、92.8%、92.7%、92.6%、92.5%、92.4%、92.3%、92.2%、92.1%、92.0%、または92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも91.9%、91.8%、91.7%、91.6%、91.5%、91.4%、91.3%、91.2%、91.1%、91.0%、または91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも90.9%、90.8%、90.7%、90.6%、90.5%、90.4%、90.3%、90.2%、90.1%、90.0%、または90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも89.9%、89.8%、89.7%、89.6%、89.5%、89.4%、89.3%、89.2%、89.1%、89.0%、または89%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも88.9%、88.8%、88.7%、88.6%、88.5%、88.4%、88.3%、88.2%、88.1%、88.0%、または88%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも87.9%、87.8%、87.7%、87.6%、87.5%、87.4%、87.3%、87.2%、87.1%、87.0%、または87%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも86.9%、86.8%、86.7%、86.6%、86.5%、86.4%、86.3%、86.2%、86.1%、86.0%、または86%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも85.9%、85.8%、85.7%、85.6%、85.5%、85.4%、85.3%、85.2%、85.1%、85.0%、または85%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも84.9%、84.8%、84.7%、84.6%、84.5%、84.4%、84.3%、84.2%、84.1%、84.0%、または84%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも83.9%、83.8%、83.7%、83.6%、83.5%、83.4%、83.3%、83.2%、83.1%、83.0%、または83%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも82.9%、82.8%、82.7%、82.6%、82.5%、82.4%、82.3%、82.2%、82.1%、82.0%、または82%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも81.9%、81.8%、81.7%、81.6%、81.5%、81.4%、81.3%、81.2%、81.1%、81.0%、または81%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1と少なくとも80.9%、80.8%、80.7%、80.6%、80.5%、80.4%、80.3%、80.2%、80.1%、80.0%、または80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージゲノムはポリヌクレオチドを含む。
【0053】
[0067]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99.0%、または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも98.9%、98.8%、98.7%、98.6%、98.5%、98.4%、98.3%、98.2%、98.1%、98.0%、または98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも97.9%、97.8%、97.7%、97.6%、97.5%、97.4%、97.3%、97.2%、97.1%、97.0%、または97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも96.9%、96.8%、96.7%、96.6%、96.5%、96.4%、96.3%、96.2%、96.1%、96.0%、または96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも95.9%、95.8%、95.7%、95.6%、95.5%、95.4%、95.3%、95.2%、95.1%、95.0%、または95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも94.9%、94.8%、94.7%、94.6%、94.5%、94.4%、94.3%、94.2%、94.1%、94.0%、または94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも93.9%、93.8%、93.7%、93.6%、93.5%、93.4%、93.3%、93.2%、93.1%、93.0%、または93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも92.9%、92.8%、92.7%、92.6%、92.5%、92.4%、92.3%、92.2%、92.1%、92.0%、または92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも91.9%、91.8%、91.7%、91.6%、91.5%、91.4%、91.3%、91.2%、91.1%、91.0%、または91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも90.9%、90.8%、90.7%、90.6%、90.5%、90.4%、90.3%、90.2%、90.1%、90.0%、または90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも89.9%、89.8%、89.7%、89.6%、89.5%、89.4%、89.3%、89.2%、89.1%、89.0%、または89%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも88.9%、88.8%、88.7%、88.6%、88.5%、88.4%、88.3%、88.2%、88.1%、88.0%、または88%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも87.9%、87.8%、87.7%、87.6%、87.5%、87.4%、87.3%、87.2%、87.1%、87.0%、または87%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも86.9%、86.8%、86.7%、86.6%、86.5%、86.4%、86.3%、86.2%、86.1%、86.0%、または86%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも85.9%、85.8%、85.7%、85.6%、85.5%、85.4%、85.3%、85.2%、85.1%、85.0%、または85%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも84.9%、84.8%、84.7%、84.6%、84.5%、84.4%、84.3%、84.2%、84.1%、84.0%、または84%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも83.9%、83.8%、83.7%、83.6%、83.5%、83.4%、83.3%、83.2%、83.1%、83.0%、または83%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも82.9%、82.8%、82.7%、82.6%、82.5%、82.4%、82.3%、82.2%、82.1%、82.0%、または82%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも81.9%、81.8%、81.7%、81.6%、81.5%、81.4%、81.3%、81.2%、81.1%、81.0%、または81%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、配列番号2と少なくとも80.9%、80.8%、80.7%、80.6%、80.5%、80.4%、80.3%、80.2%、80.1%、80.0%、または80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージゲノムはポリヌクレオチドを含む。
【0054】
[0068]複数の実施形態では、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、標的細菌範囲が、組成物における個々のバクテリオファージの累積範囲よりも広い、バクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。別の態様では、バクテリオファージ組成物は、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される2つ以上のバクテリオファージを含んでもよく、ここで、組成物の標的細菌範囲は、組成物における個々のバクテリオファージの累積範囲よりも広い。
【0055】
[0069]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は1つまたは複数の追加のバクテリオファージを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加のバクテリオファージは、細菌感染症、特にブドウ球菌感染症を処置するのに好適である。複数の実施形態では、追加の1つまたは複数のファージは天然に存在していても天然に存在していなくてもよい。複数の実施形態では、1つまたは複数の追加のファージは、本明細書に記載されるファージのいずれかと少なくとも80%の核酸配列同一性を有するファージであり得る。複数の実施形態では、1つまたは複数の追加のファージは、配列番号1と少なくとも80%の核酸配列同一性を有するファージであり得る。複数の実施形態では、1つまたは複数の追加のファージは、配列番号2と少なくとも80%の核酸配列同一性を有するファージであり得る。複数の実施形態では、バクテリオファージは、配列番号1または配列番号2のいずれか1つと、少なくとも80%だが100%ではない同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0056】
[0070]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物の標的細菌の範囲は、組成物に含まれる任意の単一のバクテリオファージの標的細菌の範囲よりも広い。そのような活性は、組成物の効果(標的死滅範囲)が各成分としてのバクテリオファージの個々の効果(標的死滅範囲)の合計よりも大きい場合、相乗的と見なすことができる。複数の実施形態では、標的細菌範囲が個々のバクテリオファージの実効性の合計よりも大きい実効性を有し得るバクテリオファージ組成物が本明細書において提供される。
【0057】
[0071]複数の実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、配列番号1のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号1のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする、組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、配列番号1に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号1に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする、組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、組成物は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする。複数の実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、配列番号2のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号2のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする、組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、配列番号2に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号2に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする、組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含み、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージよりも多くの黄色ブドウ球菌株を標的とする、組成物が本明細書において提供される。複数の実施形態では、組成物は、配列番号1および配列番号2のポリヌクレオチド配列の任意の組合せを有することができる。
【0058】
[0072]2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、遺伝子修飾されている少なくとも1つのバクテリオファージを含む、組成物が本明細書において提供される。2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、少なくとも1つの天然に存在するファージを含む、組成物が本明細書において提供される。2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、天然に存在するファージを含まない、組成物が本明細書において提供される。2つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であって、血中補体系による不活性化に耐性のある1つまたは複数のバクテリオファージを含む、組成物が本明細書において提供される。
【0059】
[0073]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、およびそれらの組合せから選択される追加の成分を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は薬学的に許容される担体を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は希釈剤を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は賦形剤を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤の組合せを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、薬学的に許容される担体と希釈剤との組合せを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、薬学的に許容される担体と賦形剤との組合せを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、希釈剤と賦形剤との組合せを含む。
【0060】
[0074]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、8℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、7℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、6℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、5℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、4℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、3℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、2℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、0℃またはそれ未満の温度での保存のための保存培地を含む。
【0061】
[0075]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、液体、半液体、固形、凍結、または凍結乾燥製剤である。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は液体製剤である。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は半液体製剤である。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は固形製剤である。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は凍結製剤である。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は凍結乾燥製剤である。
【0062】
[0076]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、約1ml~約5mlの注射用溶液を含有する容器に保存される。一部の実施形態では、これには、単回使用のための単回用量容器が含まれる。他の実施形態では、これには、本明細書に記載されるバクテリオファージ組成物の複数回用量を提供する注射溶液を含有する複数回用量容器が含まれ得る。組成物はまた、必ずしもこれらに限定されるわけではないが、バイアル、キュベット、カートリッジ、充填済みシリンジ、プラスチックバッグ、アンプル、瓶、パウチ、ポンプ、スプレイヤー、ストッパー、針、プランジャー、キャップ、ステント、カテーテル、インプラント、またはブリスターパッケージを含む様々な好適な容器に保存されてもよい。一部の実施形態では、前述の容器は、ガラスまたはプラスチック製であっても、プラスチック被覆されていても、様々な他の好適な材料で製造されていてもよい。容器は、透明であっても、アンバー色または様々な他の色で着色されることによって遮光を実現していても、アルミニウム箔に包まれていてもよい。
【0063】
[0077]一部の実施形態では(代替的にまたは付加的に)、「突然変異体」バクテリオファージは、ARSA0001および/もしくはARSA0002のうちの1つもしくは複数と同じ標的細菌株の一部もしくは全てを溶菌することができる、ならびに/または1つもしくは複数の追加の細菌株をさらに溶菌することができる。一実施形態では、突然変異体は、ARSA0001およびARSA0002のうちの1つまたは複数の核酸配列と少なくとも90、91、92、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し得る。一部の実施形態では、突然変異体またはバリアントは、ARSA0001およびARSA0002のゲノム配列のうちの1つまたは複数と比較した場合、そのゲノム配列全体にわたって少なくとも90、91、92、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し得る。一実施形態では、突然変異体は、配列番号1と比較した場合、そのゲノム配列全体にわたって少なくとも90、91、92、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し得る。一実施形態では、突然変異体は、配列番号2と比較した場合、そのゲノム配列全体にわたって少なくとも90、91、92、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し得る。
【0064】
[0078]複数の実施形態では、「突然変異体」はバクテリオファージ子孫であり得る。バクテリオファージ子孫は、本明細書に記載されるバクテリオファージ(すなわち「親バクテリオファージ」)を使用してブドウ球菌(例えば黄色ブドウ球菌)標的細菌を溶菌した後に取得可能なバクテリオファージであり得る。換言すれば、バクテリオファージ子孫は第2(またはそれ以降の)世代のバクテリオファージであり得る。
【0065】
[0079]複数の実施形態では、「遺伝子修飾された」とは、ポリヌクレオチド配列が遺伝子改変技法によって変更されたバクテリオファージであり得る。ポリヌクレオチド配列の遺伝子改変は、相同組換え、バクテリオファージ改変、CRISPR-Casに基づく操作、裸の全長ファージの宿主細菌への形質転換、およびそれらの技法の任意の組合せを含むがこれらに限定されない、当技術分野で周知の任意の現代分子生物学技法によって達成することができる。
【0066】
[0080]複数の実施形態では、バクテリオファージ子孫は、例えばARSA0001またはARSA0002から選択されるものを含む、本明細書に記載される1つまたは複数のバクテリオファージを、ブドウ球菌標的細菌と、1つまたは複数のバクテリオファージが標的細菌に感染してそれを溶菌するように接触させ、標的細菌の溶菌後に放出されるバクテリオファージを取得することによって取得可能である。バクテリオファージ子孫は、典型的には、関連する親バクテリオファージと比較した場合、1つまたは複数のヌクレオチド突然変異を含み得る。
【0067】
[0081]複数の実施形態では、バクテリオファージは、単一の治療組成物の形態において、またはそれぞれが組成物の1つもしくは複数のバクテリオファージ成分を含むいくつかの別々の組成物として提供することができる。バクテリオファージがいくつかの別々の組成物において提供される複数の実施形態では、バクテリオファージは、対象に逐次または同時に(好適には同時に)投与することができる。
【0068】
[0082]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1ml当たり1×105~1×1011PFUの間のバクテリオファージ濃度の各バクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1ml当たり1×106~1×1011PFUの間のバクテリオファージ濃度の各バクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1ml当たり1×107~1×1011PFUの間のバクテリオファージ濃度の各バクテリオファージを含む。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1ml当たり1×108~1×1011PFUの間のバクテリオファージ濃度の各バクテリオファージを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物1ml当たり1×108~1×109PFU、1×108~1×1010PFU、1×108~1×1011PFU、1×109~1×1010PFU、1×109~1×1011PFU、または1×1010~1×1011PFUの各ファージを含む。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物1ml当たり、各ファージが少なくとも約1×108PFU、各ファージが少なくとも約1×109PFU、各ファージが少なくとも約1×1010PFU、または各ファージが少なくとも約1×1011PFUである投薬量で対象に投与される。複数の実施形態では、1つまたは複数のバクテリオファージは、組み合わされて、組成物1ml当たり1×108、1×109、または1×1010、または1×1011PFUの各ファージを含む組成物を形成することができる。濃度は、端点を含む記載される範囲内における任意の値または範囲を含む。具体的な実施形態では、組成物は、1ミリリットル当たりの総バクテリオファージが少なくとも1×108PFUである投薬量で投与され得る。具体的な実施形態では、組成物は、1ミリリットル当たりの総バクテリオファージが少なくとも1×109PFUである投薬量で投与され得る。
【0069】
[0083]一部の実施形態では、総投薬量は製剤および保存容器に応じて変動し得る。一部の実施形態では、総投薬量は、患者に投与される場合、それが単回用量充填済みシリンジから送達されるか、または複数回用量容器から送達されるかに応じて低くまたは高くなり得る。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、基礎投与量またはボーラス量で投与され得る。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物はIV点滴によって投与され得る。
【0070】
[0084]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~8℃の範囲で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~3℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~4℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~5℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~6℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は2~7℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は3~4℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は3~5℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は3~6℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は3~7℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は3~8℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は4~5℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は4~6℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は4~7℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は4~8℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は5~8℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は5~6℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は5~7℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は6~8℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は6~7℃の間で保存される。一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は7~8℃の間で保存される。
一部の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、2、3、4、5、6、7、または8℃で保存される。温度は、端点を含む記載される範囲内における任意の値または部分範囲であり得る。
【0071】
[0085]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は室温で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約20~30℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約20~25℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約20~22℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約20℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約21℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は約22℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は23℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は24℃で保存される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は25℃で保存される。温度は、端点を含む記載される範囲内における任意の値または部分範囲であり得る。
【0072】
[0086]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、対象の免疫系による不活性化に耐性である。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象の単核食作用系(mononuclear phagocytosis system)による不活性化に耐性である。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象の補体系による不活性化に耐性である。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象の血中補体系による不活性化に耐性である。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象のタンパク質の血中補体C3複合体による不活性化に耐性である。
【0073】
[0087]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも1つの溶菌性バクテリオファージを含む。一部の実施形態では、バクテリオファージには、細菌を死滅させ、細胞溶解を介してファージ子孫を放出させることができる少なくとも1つの溶菌性ファージが含まれる。
【0074】
[0088]一態様では、バクテリオファージを含む細菌宿主製造株であって、バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、細菌宿主製造株が本明細書において提供される。別の態様では、バクテリオファージを含む細菌宿主製造株であって、バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、細菌宿主製造株が本明細書において提供される。
【0075】
[0089]複数の実施形態では、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。他の実施形態では、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。複数の実施形態では、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。複数の実施形態では、本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかに記載のバクテリオファージを含む細菌宿主製造株が本明細書において提供される。
【0076】
[0090]複数の実施形態では、対象における黄色ブドウ球菌感染症の処置における、本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかに記載の組成物の使用が本明細書において提供される。複数の実施形態では、使用は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載の組成物を黄色ブドウ球菌感染症に罹患している対象に投与するステップを含む。
【0077】
[0091]複数の実施形態では、黄色ブドウ球菌細菌感染症を有する対象の処置における、黄色ブドウ球菌を標的とする1つまたは複数の別個のバクテリオファージを含む組成物の使用が本明細書において提供される。使用は、組成物を前記対象に投与するステップを含み、バクテリオファージのうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される。使用は、組成物を前記対象に投与するステップを含み、バクテリオファージのうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2のポリヌクレオチド配列、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択されてもよい。
使用方法
[0092]一態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、血中補体不活性化に対する耐性に基づいてバクテリオファージを選択するステップ、およびバクテリオファージを対象に投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0078】
[0093]複数の実施形態では、バクテリオファージを選択するステップには、血液/血清耐性アッセイを実施すること、および血液/血清中での所定の時間量にわたる生存に基づいてバクテリオファージを選択することが含まれる。
【0079】
[0094]一態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。別の態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージから選択される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。一態様では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、本明細書のいずれかの実施形態に記載される1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0080】
[0095]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、細菌感染症は、ブドウ球菌を少なくとも部分的に含む。一部の実施形態では、細菌感染症は、黄色ブドウ球菌を少なくとも部分的に含む。一部の実施形態では、細菌感染症は、化学抗生物質に耐性のある黄色ブドウ球菌株を含む。一部の実施形態では、細菌株には、薬剤耐性および/または多剤耐性黄色ブドウ球菌株が含まれる。一部の実施形態では、細菌株は、薬剤耐性株であるバンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)である。一部の実施形態では、細菌株は、薬剤耐性株であるバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)である。一部の実施形態では、細菌株は、薬剤耐性株であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)である。
【0081】
[0096]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、血液中での不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、血中補体系による不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージは本明細書に記載されるいかなるバクテリオファージであってもよい。
【0082】
[0097]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0083】
[0098]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のうちの1つまたは複数に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0084】
[0099]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、1つまたは複数のバクテリオファージは、細菌感染症、特にブドウ球菌感染症を処置するのに好適である。複数の実施形態では、バクテリオファージは、1つまたは複数の追加のファージを含み、本明細書に記載されるファージのいずれかと93%~100%の核酸配列同一性を有するファージであり得る。バクテリオファージは、配列番号1または配列番号2のいずれか1つと、少なくとも93%だが100%ではない同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を有し得る。複数の実施形態では、バクテリオファージは、1つまたは複数の追加のファージを含み、本明細書に記載されるファージのいずれかと90%~100%の核酸配列同一性を有するファージであり得る。バクテリオファージは、配列番号1または配列番号2のいずれか1つと、少なくとも90%だが100%ではない同一性を有するポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を有し得る。同一性パーセントは、端点を含む記載される範囲内における任意の値または部分範囲であり得る。
【0085】
[0100]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、1つまたは複数のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物であり、標的細菌範囲が、組成物における任意の個々のバクテリオファージもしくはファージ全体の範囲よりも広い可能性があるか、または個々のバクテリオファージの実効性の合計よりも大きい実効性を有する可能性がある、バクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1に対して少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0086】
[0101]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2のポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも91%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも92%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも96%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも97%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号2に対して少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を有するバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、配列番号1および配列番号2のポリヌクレオチド配列の任意の組合せを有するバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0087】
[0102]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、遺伝子修飾されている少なくとも1つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、少なくとも1つの天然に存在するファージを含むかまたは天然に存在するファージを含み得ないバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、少なくとも1つの溶菌性ファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、血中補体系による不活性化に耐性のある少なくとも1つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0088】
[0103]一態様では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。別の態様では、バクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、および配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列から選択されるポリヌクレオチド配列を含み得る。
【0089】
[0104]複数の実施形態では、微生物叢を改変することには、微生物叢における大部分の特定の細菌株を死滅させること、微生物叢における特定の細菌株の増殖を限定すること、および/または微生物叢における特定の細菌株の増殖を遅らせることが含まれる。複数の実施形態では、微生物叢を改変することには、微生物叢における大部分の特定の細菌株を死滅させることが含まれる。複数の実施形態では、微生物叢を改変することには、微生物叢における特定の細菌株の増殖を限定することが含まれる。複数の実施形態では、微生物叢を改変することには、微生物叢における特定の細菌株の増殖を遅らせることが含まれる。
【0090】
[0105]複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とするバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。
【0091】
[0106]複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させるバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させる少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させる少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させる少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2と少なくとも93%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させる少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、黄色ブドウ球菌細菌に感染してそれを死滅させる少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含み、バクテリオファージが配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、方法が本明細書において提供される。
【0092】
[0107]複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、遺伝子修飾されているバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、少なくとも1つの天然に存在するバクテリオファージまたは天然に存在し得ないファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、少なくとも1つの溶菌性ファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、対象における微生物叢を改変する方法であって、対象に、血中補体系による不活性化に耐性のある少なくとも1つのバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0093】
[0108]複数の実施形態では、バクテリオファージを対象に投与するための方法であって、バクテリオファージが、1ml当たり1×108~1×1011PFUのバクテリオファージ濃度範囲の各バクテリオファージを含む、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、バクテリオファージ濃度は、各ファージについて組成物1ml当たり1×108~1×109PFU、1×108~1×1010PFU、または1×108~1×1011PFUである。一部の実施形態では、バクテリオファージ濃度は、各ファージについて組成物1ml当たり1×109~1×1010PFU、または1×109~1×1011PFUである。一部の実施形態では、バクテリオファージ濃度は、各ファージについて組成物1ml当たり1×1010~1×1011PFUである。一部の実施形態では、バクテリオファージは、組成物1ml当たり、各ファージが少なくとも約1×108PFU、各ファージが少なくとも約1×109PFU、各ファージが少なくとも約1×1010PFU、または各ファージが少なくとも約1×1011PFUである投薬量で対象に投与される。複数の実施形態では、1つまたは複数のバクテリオファージは、組み合わされて、組成物1ml当たり1×108、1×109、1×1010、または1×1011PFUの各ファージの総濃度を形成することができる。濃度は、端点を含む記載される範囲内における任意の値または範囲を含む。
【0094】
[0109]複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約80%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約81%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約82%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約83%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約84%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約85%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約86%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約87%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約88%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約89%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約90%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約90%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約92%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約93%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約94%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約95%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約96%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約97%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約98%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約99%のバクテリオファージは、約10分~約120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。
具体的な実施形態では、時間期間は約10分~約90分である。
【0095】
[0110]複数の実施形態では、本明細書において提供される方法は、バクテリオファージを投与するステップを含み、ここで、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~20分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~30分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~40分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~50分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~60分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、10~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~30分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~40分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~50分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~60分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、20~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~40分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~50分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~60分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、30~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~50分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~60分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。
一部の実施形態では、バクテリオファージは40~100分の時間にわたって対象に投与される。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、40~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~60分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、50~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~70分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、60~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、70~80分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、70~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、70~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、70~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、70~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、80~90分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、80~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、80~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、80~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、90~100分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、90~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、90~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、100~110分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、100~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。一部の実施形態では、少なくとも約80%のバクテリオファージは、110~120分の時間期間にわたるヒト血漿への曝露後、溶菌活性を保持する。
時間量は、端点を含む記載される範囲内における任意の値または部分範囲であり得る。バクテリオファージ組成物は、その時点の最後に、少なくとも80%超の溶菌活性をヒト血漿において保持する。
【0096】
[0111]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、投与される対象の免疫系による不活性化に少なくとも部分的に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、投与される対象の単核食作用系による不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、投与される対象の補体系による不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、投与される対象の血中補体系による不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、投与される対象のタンパク質の血中補体C3複合体による不活性化に耐性のあるバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0097】
[0112]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、シルビアウイルス属に属する1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、シルビアウイルス属のバクテリオファージ由来のバクテリオファージ株を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージは、MR003(受託番号AP019522.1)、Qdsa001(受託番号KY779848.1)、Remus(受託番号NC_022090.1)、Romulus(受託番号NC_020877.1)、SA11(受託番号NC_019511.12)、StAP1(受託番号KC532239.1)、およびStsau2(受託番号NC_030933.1)から選択されるバクテリオファージを含む。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスRemusである。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスSA11である。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスRomulusである。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスQdsa001である。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスMR003である。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスStAP1である。複数の実施形態では、バクテリオファージは、シルビアウイルスのブドウ球菌ウイルスStsau2である。
【0098】
[0113]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、静脈内投与される1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、関節内注射により投与される1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、吸入により投与される1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、噴霧により投与される1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に、鼻腔内、経口、吸入、経膣、直腸、または非経口により、例えば、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、直腸内、動脈内、リンパ腺内、静脈内、関節内、髄腔内、および気管内経路により投与される1つまたは複数のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。非経口投与は、使用される場合、全般に注射によって特徴付けられる。
【0099】
[0114]複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症は、菌血症、敗血症、肺感染症、副鼻腔炎、尿路感染症、腹腔内感染症、皮膚感染症、皮膚組織感染症、心内膜炎、およびインプラント感染症から選択される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が菌血症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が敗血症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が肺感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が副鼻腔炎である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が尿路感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が腹腔内感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が皮膚感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が皮膚組織感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が心内膜炎である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症がインプラント感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が心臓インプラント感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が補助人工心臓によって引き起こされる心臓インプラント感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症がペースメーカーによって引き起こされる心臓インプラント感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が人工関節感染症である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症を有する対象を処置する方法であって、対象に1つまたは複数の別個のバクテリオファージを投与するステップを含み、細菌感染症が人工弁心内膜炎である、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、細菌感染症は1つまたは複数の抗生物質に耐性である。
【0100】
[0115]複数の実施形態では、本明細書に記載されるいずれかのバクテリオファージ組成物を抗生物質と組み合わせて投与することによって細菌感染症を処置するための方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、抗生物質は、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシド、アンサマイシン、セファロスポリン、ペニシリン、ベータラクタム、ベータラクタマーゼ阻害薬、葉酸経路阻害薬、フシダン、グリコペプチド、グリシルサイクリン、リンコサミド、リポペプチド、マクロライド、オキサゾリジノン、フェニコールホスホン酸、ストレプトグラミン、およびテトラサイクリンからなる群から選択される。
【0101】
[0116]複数の実施形態では、対象に、本明細書に記載されるバクテリオファージのいずれかを投与する方法であって、投与が約6~約24時間の範囲にわたる、方法が本明細書において提供される。複数の実施形態では、バクテリオファージは対象に6時間ごとに投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは対象に12時間ごとに投与される。複数の実施形態では、バクテリオファージは対象に18時間ごとに投与される。複数の実施形態では、バクテリオファージは対象に24時間ごとに投与される。
【0102】
[0117]複数の実施形態では、対象に、本明細書に記載されるバクテリオファージのいずれかを最大7日間投与する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大1用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大2用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大3用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大4用量(1日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大5用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大6用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大7用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大8用量(2日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大9用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大10用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大11用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大12用量(3日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大13用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大14用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大15用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大16用量(4日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大17用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大18用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大19用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大20用量(5日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大21用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大22用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大23用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大24用量(6日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大25用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大26用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大27用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に6時間ごとに最大28用量(7日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは対象に12時間ごとに投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大1用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大2用量(1日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大3用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大4用量(2日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大5用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大6用量(3日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大7用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大8用量(4日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大9用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大10用量(5日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大11用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大12用量(6日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大13用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に12時間ごとに最大14用量(7日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは対象に18時間ごとに投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大1用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大2用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大3用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大4用量(3日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大5用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大6用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大7用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大8用量(6日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に18時間ごとに最大9用量投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは対象に24時間ごとに投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大1用量(1日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大2用量(2日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大3用量(3日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大4用量(4日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大5用量(5日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに最大6用量(6日間)投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは、対象に24時間ごとに7の最大持続期間(7日間)にわたり投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも7日間投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも14日間投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも21日間投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも28日間投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも1か月間投与される。一部の実施形態では、バクテリオファージは少なくとも2か月間投与される。
【0103】
[0118]複数の実施形態では、バクテリオファージ組成物の対象への投与の方法であって、対象がヒトである、方法が存在する。
【実施例】
【0104】
[0119]実施例1:AP-SA02産物最適化
[0120]複数の実験を行って、以下の基準を満たすバクテリオファージ療法を考案した:1)細菌遺伝子の特殊形質導入を回避するために偏性溶菌性である、2)実証的試験および/またはゲノム研究からの推論によって、普遍形質導入を起こしやすいことが知られていない、ならびに3)抗生物質耐性を保有することが知られている遺伝子または細菌の病原性遺伝子を有するファージを回避するために完全に配列決定されている。
【0105】
[0121]全体として、対象を処置するために一緒に使用されるファージは、1)潜在的な有用性を最大にし、オフターゲット効果を最小にするために、標的病原体に対しては広い活性を有するべきであるが、他の種に対しては有するべきでなく、かつ2)あるファージに対して生じる耐性突然変異体が別のファージに対して感受性となる相補が可能であるべきである。
【0106】
[0122]ファージ自体の特徴に加えて、臨床使用のための材料は、最終産物がこれらの特徴を保持し(すなわち、依然として同じファージであり)、内毒素または宿主細胞タンパク質等の潜在的に有害な(または有害な量の)不純物を含有しないという確信が得られるような方法で作製されるべきである。
【0107】
[0123]ファージのそれぞれは、MRSA分離株およびいくつかのVRSA株の多様なパネルを獲得し、次いでこれを様々なファージに対してスクリーニングして、広い宿主範囲網羅性と強い効力の両方を呈したファージを同定することによって同定された。抗生物質と同様に、細菌は、最小発育阻止濃度が、0.1pg/mLのタンパク質に対応する103ファージ/mLの感性ブレイクポイント未満であるかまたはそれに等しい場合、ファージに感性であると見なされる。
【0108】
[0124]次いで、ファージ候補のそれぞれに、配列決定、バイオインフォマティクス、および比較ゲノミクスを含む一連の選択基準および種々の方法を適用して、潜在的な受容体、ファージ同一性を同定し、溶菌活性を確認した。このプロセスによって、産物候補に関する所望の特質、すなわち、治療カクテルの堅牢性および効力に寄与する不可欠で本質的な特質である、広い宿主範囲、相補性、適合性、および種々の細菌受容体の標的化を有するより小さな候補ファージプールを得た。相補性は、臨床分離株が、耐性の出現を限定する1つよりも多いファージによって確実に標的とされることを目的とする。細菌の表面における種々の受容体の標的化もまた耐性防止に寄与し、この標的化はまた、細菌の病原性および適応度を低下させる可能性も有する。多ファージ産物の種々の成分間の適合性は、あるファージの活性が別のファージの感染性に干渉しないことを保証する。
【0109】
[0125]次いで、ファージ候補を有効性および効力に関して検証した。具体的には、これには、死滅動態アッセイを実施して、協同性、体液中でのおよびin vitroにおける現在の抗ブドウ球菌療法の存在下での活性、ならびにバイオフィルム不活性化を実証することが含まれた。
【0110】
[0126]また、十分なファージ力価を維持すると同時に宿主細胞タンパク質および他の汚染物質を含まない高品質ファージ産物を達成することを目標とする、製造実現性とプロセス最適化の取組みとに基づいてファージを選択した。複数のファージ成分を、長期安定性を可能にし得る吸入および静脈内(IV)送達に好適な同じ希釈剤に製剤化できるかどうかが選択プロセスにおける重要な考慮事項であることは、等しく重要である。
【0111】
[0127]実施例2:産物AP-SA02の最適化のためのファージ成分の選択
[0128]宿主範囲および効力。SAファージの宿主範囲は全般に80%超であるが(表1)、その効力は一定ではない。Sa87等のカイウイルス(Kayvirus)科に属するファージは、広い宿主範囲を有するが、その効力は理想的ではない。対照的に、プラーク濁度によって例示されるように、ARSA0001等のシルビアウイルスは、非常に強力であり、細菌を完全に排除し、結果として、透明なプラークの形成および非常に高い播種効率をもたらす(
図1)。ARSA0001効力は、ファージ耐性細菌を取得する試みの失敗によってさらに実証された。
【0112】
【0113】
[0129]関連する生体液との適合性。リード候補選択の基準は、感染性が局所的にも全身的にも阻害されないことを保証する、体液におけるファージ活性である。in vivo有効性を保証するために、ヒト血液および血漿への曝露後の個々のファージの生存性を評価した。ファージを10
7ファージ/mLの濃度まで、3名の健康なボランティアから取得した血漿またはファージ緩衝液に希釈し、37℃でインキュベートした。各ファージ成分の活性を、標準的な二重寒天層プラークアッセイを使用することによって評価した。十(10)種類の黄色ブドウ球菌ファージをスクリーニングし、大半は、血液または血漿への曝露から60分以内に、ファージ希釈液と比較して部分的に不活性化した(表2)。血液への曝露後の回復の欠如は、血清および補体阻害薬であるコンプスタチンの熱不活性化によって消失し、これらのファージが補体によって阻害されることを示唆した(
図2)。ファージ力価の著しい喪失は、2つのリード候補、すなわちARSA0001およびARSA0002においては観察されなかった。
【0114】
[0001]表2
【0115】
【0116】
[0130]次に、阻害がドナー特異的ではないことを保証するために、Sa87、ARSA0001、およびARSA0002の活性を、6名の対象から取得した血漿への曝露の90分後に評価した(
図3)。AP-SA01由来の全てのファージは高度に関連するため、Sa87をカイウイルスの一例として選択した。活性の著しい喪失はSa87の場合にのみ観察された。近年公開されたデータもまた、黄色ブドウ球菌ファージがヒト血液において完全な活性を保持しない場合があることを示唆した。本明細書におけるデータは、ARSA0001およびARSA0002の抗菌活性が血液成分によって阻害されず、これらのウイルスが好適な治療薬候補であることを実証する。
【0117】
[0131]実施例3:AP-SA02特徴付け:バイオフィルム活性
[0132]AP-SA02特徴付け:バイオフィルム適合性。いくつかの異なる黄色ブドウ球菌臨床分離株によって形成されたバイオフィルムを、AP-SA02を用いて5時間処理した。残存したバイオフィルム生物量を、クリスタルバイオレットを用いて染色し、定量した(
図4)。NRS100は、AP-SA02の成分ファージのいずれによっても感染せず、陰性対照として役立つ。AP-SA02の1回の濃縮により達成されるバイオフィルム根絶の程度は60%~90%の範囲であった。これらのデータは、AP-SA02が既存のバイオフィルムに浸透し、付着した生物量を低減できることを示す。
【0118】
[0133]実施例4:AP-SA02特徴付け:現在の抗ブドウ球菌療法との適合性
[0134]黄色ブドウ球菌感染症を有する対象に対する標準療法としてはバンコマイシンおよびダプトマイシンが挙げられる。AP-SA02を受ける対象はこれらの療法を継続中である可能性が高いため、これらの抗生物質に対するAP-SA02の効果およびその逆を評価した。標準的なチェッカーボードアッセイを使用し、各抗菌薬単独の、または互いとの組合せにおける最小発育阻止濃度を使用して、2つの抗菌薬が相乗的か、拮抗的か、または無関係かを算出した(表3)。AP-SA02は、バンコマイシンとの組合せにおいて、試験された全ての黄色ブドウ球菌株を死滅させることにおける相加、無関係、または相乗効果を示した。バンコマイシンとの組合せにおけるAP-SA02の拮抗効果は認められなかった。バンコマイシンに耐性のあるいくつかの株もまた試験した(16μg/mL超のMIC)。バンコマイシンはこれらの株に対する抗菌効果を有しないが、1pg/mL未満のファージは増殖を阻害することができた(
図5AおよびB)。ファージの存在下において、バンコマイシンのブレイクポイントが耐性または中等度耐性から感受性範囲(0.5~2μg/mL)に変化したことが観察された(
図6AおよびB)。加えて、これらのデータは、阻止濃度以下(100pg/mL)のAP-SA02を阻止濃度以下のバンコマイシン(2μg/mL)に添加することがSA増殖の完全な阻害をもたらすため、バンコマイシンとAP-SA02とが相乗的に作用することを示す。VRSAの阻害は、より高い濃度(10ng/mL)のAP-SA02を単独で用いても達成することができる。AP-SA02臨床候補は、MRSA株とVRSA株の両方に対する堅牢な活性を実証し、現在の標準的な抗ブドウ球菌療法の存在下においてその活性を維持する。
【0119】
【0120】
[0135]実施例5:AP-SA02の製造
[0136]AP-SA02製造には、ファージおよび宿主細菌の選択、ならびに精製プロセスにおける堅牢性の向上が含まれる。バクテリオファージ増殖および製造のためのさらなる情報およびプロトコルは、例えば、PCT/US19/12113(国際公開第2019/136108号)、PCT/US19/12114(国際公開第2019/136109号)、PCT/GB17/50376(国際公開第2019/136109号)、および米国特許第10,517,908号明細書に見出すことができ、これらのそれぞれは、そこに開示されている全てに関して、全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0121】
[0137]全てのプロセスは、製造、製品の保存、品質管理(QC)原材料、分析および安定性試験、ならびに品質保証(QA)に基づく製品の販売を含むcGMP条件下で行われる。細菌発酵、濾過、およびクロマトグラフィーは、ISO8認証クリーンルームにおいて実施される。無菌充填は、ISO7認証クリーンルーム内に設置されたISO5認証アイソレーターにおいて実施される。QC分析および安定性試験は、制御環境において実施される。可能な場合、製造プロセス中の汚染のリスクを低減するために、単回使用の使い捨て部材(フィルター、チューブ、容器等)が使用される。
【0122】
[0138]上述の明細書において言及された全ての刊行物は、参照によって本明細書に組み込まれる。本発明の範囲および趣旨から逸脱していない、記載された本発明の方法およびシステムの様々な修正形態および変形形態は、当業者には明らかだろう。本発明は具体的な好ましい実施形態と関連して記載されているが、特許請求される本発明はそのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野における当業者には明白である、本発明を実行するための記載された形態の様々な修正形態は、特許請求の範囲内であることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】