(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】密閉されたガラス筐体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20230328BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230328BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20230328BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
H01L23/02 D
B81C1/00
B81B1/00
H01L23/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549909
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2021054179
(87)【国際公開番号】W WO2021165478
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020104613.8
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ダム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツェッテラー
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA04
3C081BA21
3C081BA30
3C081CA02
3C081CA15
3C081CA21
3C081CA27
3C081CA29
3C081CA31
3C081CA32
3C081EA01
3C081EA07
3C081EA21
(57)【要約】
周囲に対して機能領域を密閉する筐体であって、筐体は、基部基板と、カバー基板であって、基部基板はカバー基板と共に、筐体の少なくとも一部または筐体を形成する、カバー基板と、さらに、筐体内に配置された少なくとも1つの機能領域と、周囲と機能領域との間の透過を低減する遮蔽装置とを有している、筐体を提案する。筐体は、少なくとも1つのレーザ接合ラインを有していてもよく、筐体の基板は、少なくとも1つのレーザ接合ラインにより、互いに気密にシールされて接合されていてもよく、レーザ接合ラインは、その結合面に対して垂直な高さ(HL)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に対して機能領域(13,13a)を密閉する筐体(1)であって、前記筐体は、
基部基板(3)と、
カバー基板(5)であって、前記基部基板は前記カバー基板と共に、前記筐体の少なくとも一部または前記筐体を形成する、カバー基板(5)と、
前記筐体内に配置された少なくとも1つの前記機能領域と、
周囲と前記機能領域との間の透過を低減する遮蔽装置(6,6a)と
を有している、筐体(1)。
【請求項2】
前記筐体(1)は、少なくとも1つのレーザ接合ライン(8)を有しており、前記筐体の前記基板は、少なくとも1つの前記レーザ接合ラインにより、特に互いに気密にシールされて接合されており、前記レーザ接合ラインは、その結合面に対して垂直な高さ(HL)を有している、請求項1記載の筐体(1)。
【請求項3】
さらに、前記基部基板(3)と前記カバー基板(5)との間に配置された少なくとも1つの中間基板(4)を有しており、かつ/または前記機能領域(13,13a)は、少なくとも1つのキャビティ(12)および/または少なくとも1つの機能層(13a)を有している、請求項1から2までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項4】
前記遮蔽装置(6,6a)は、遮蔽層、特にコーティング層を有しているか、または前記機能領域(13,13a)を少なくとも部分的に取り囲むコーティング層として形成されている、請求項1から3までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項5】
前記遮蔽層(6,6a)は、前記基部基板(3)および/または前記カバー基板(5)および/または前記中間基板(4)のうちの少なくとも1つに配置されており、特に前記機能領域(13,13a)に向けられた内面側に配置されており、かつ/または前記遮蔽層(6,6a)は、前記機能領域(13,13a)を直接に包囲しており、特に前記基板(3,4,5)のうちの少なくとも1つに対して包囲しているか、または完全に包囲している、請求項4記載の筐体(1)。
【請求項6】
前記基部基板(3)は、低い透過率の材料から成り、かつ/または前記カバー基板(5)は、前記基部基板よりも高い透過率を有する材料を含んでいる、請求項1から5までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項7】
前記遮蔽装置(6,6a)は、SiO
2またはSi
3N
4またはAl
2O
3またはAlNを含んでおり、かつ/または前記遮蔽装置(6,6a)は、金属材料を含んでおり、かつ/または前記遮蔽装置(6,6a)は、SiO
xN
yまたはAlO
xN
yを含んでおり、かつ/または前記遮蔽装置(6,6a)は、SiAl
xN
y、SiAl
xO
yまたはSiAl
xO
yN
zを含んでいる、請求項1から6までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項8】
前記遮蔽装置(6,6a)は、1μm以下の厚さ、好適には1μm以下、特に好適には100nm以下、特に好適には50nm以下の厚さを有している、請求項1から7までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項9】
前記遮蔽装置(6,6a)は、前記機能領域(13,13a)と周囲との間の透過率を少なくとも30%だけ低下させるように構成または調整されている、請求項1から8までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項10】
前記遮蔽装置(6,6a)は、水もしくは水素に関して透過率を低下させる、請求項1から9までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項11】
前記遮蔽装置(6,6a)は、該遮蔽装置もしくは前記筐体の前記基板(3,4,5)を通る2つの透過方向において透過率を低下させる、請求項1から10までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項12】
前記遮蔽装置(6,6a)は、第2の遮蔽層を有しており、前記機能領域(13,13a)は、第1の前記遮蔽層と前記第2の遮蔽層との間に配置されている、請求項4から11までのいずれか1項記載の筐体(1)。
【請求項13】
前記基部基板(3)、1つまたは複数の前記中間基板(4)および/または前記カバー基板(5)は、ガラス状材料または多結晶材料、例えばガラス、ガラスセラミック、ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、窒化アルミニウムまたは前記材料の組合せを含んでいる、請求項1から12までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項14】
前記レーザ接合ライン(8)のうちの少なくとも1つは、前記機能領域(12,13,13a)を、間隔(DF)をあけて環状に包囲している、請求項1から13までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項15】
前記機能領域(12,13,13a)は、少なくとも1つの収容物(2)、例えば電子回路、センサまたはMEMS等を収容するように構成されているため、前記筐体(1)の内部には、少なくとも1つの収容物(2)が配置されている、請求項1から14までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記収容物(2)は、パワー半導体チップ、例えばGaN-LED、SiCパワートランジスタ、GaAsパワートランジスタまたはGaNパワートランジスタを含む、請求項15記載の筐体(1)。
【請求項17】
前記収容物(2)は、キャビティ(12)内に配置されており、かつ/または前記筐体は、各1つのキャビティ内に少なくとも1つの前記収容物(2)を収容するために、複数のキャビティ(12)を有している、請求項15または16の少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項18】
前記高さ(HL)を有する前記レーザ接合ライン(8)は、該レーザ接合ラインの上方に配置された前記基板(3,4,5)の材料内に達しており、前記基部基板(3)は、1つまたは複数の前記中間基板(4)および前記カバー基板(5)と融合するように、互いに接合されている、請求項1から17までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項19】
前記筐体(1)は、少なくとも部分的かつ/または領域的に、所定の波長領域に対して透過性である、請求項1から18までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項20】
前記筐体の少なくとも1つの前記機能領域(13,13a)は、10mm×10mm以下のサイズ、好適には5mm×5mm以下、さらに好適には2mm×2mm以下または1mm×1mm以下のサイズの少なくとも1つの収容物(2)を収容するように構成されている、請求項1から19までの少なくとも1項記載の筐体(1)。
【請求項21】
前記筐体の前記基板は、陽極接合、有機接着剤を用いた結合、ガラス-フリット接合またはCO2レーザを用いた溶融により、互いに気密にシールされて接合されている、請求項1から20までの少なくとも1項記載の筐体。
【請求項22】
機能領域(13,13a)、特にキャビティ(12)を包囲する筐体(1)を提供する方法であって、
-基部基板(3)とカバー基板(5)とを準備するステップであって、前記カバー基板(5)は、少なくとも部分的または領域的に少なくとも所定の波長領域に対して透過性でありひいては透明なカバー基板であるステップと、
-前記カバー基板(5)を前記基部基板(3)上にかつ前記機能領域の上方に配置するステップであって、前記基部基板(3)と前記カバー基板(5)との間に少なくとも1つの接触面(25)を形成し、これにより各筐体(1)が少なくとも1つの接触面を有することになるステップと、
-各筐体(1)の少なくとも1つの前記接触面に沿って少なくとも1つのレーザ接合ライン(8)を形成することによりキャビティを気密にシールして閉鎖するステップであって、このとき前記機能領域と前記カバー基板との間かつ/または前記機能領域と前記基部基板との間に遮蔽装置を配置するステップと
を有する、方法。
【請求項23】
さらに、前記カバー基板(5)を前記基部基板(3)上に配置するステップの前に、前記カバー基板上および/または前記機能領域上および/または前記基部基板(3)上に前記遮蔽装置(6,6a)を配置するステップを有する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記カバー基板(5)を準備するステップは、既に前記遮蔽装置(6,6a)が装備された前記カバー基板を準備するステップを含み、かつ/または前記基部基板(3)を準備するステップは、既に前記遮蔽装置(6,6a)が装備された前記基部基板を準備するステップを含む、請求項22から23までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項25】
前記方法を用いて、請求項1から19までのいずれか1項記載の筐体(1)を形成する、請求項22から24までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項26】
前記レーザ接合ライン(8)を形成するために、レーザビーム(9)を、前記機能領域(12,13,13a)の周りを取り囲むように案内し、これにより前記機能領域を、前記接触面(25)に沿って環状に密閉鎖し、場合により、前記レーザビームを複数回、環状に案内してもよく、かつ/または場合により、複数の前記レーザ接合ライン(8)を形成してもよい、請求項22から25までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項27】
請求項20から24までのいずれか1項記載の方法により製造された、内部に封入されて密閉された収容キャビティ(12)を備えた筐体(1)。
【請求項28】
前記方法により製造された、内部に封入されて密閉された収容キャビティ(12)を備えた筐体(1)の、医療用インプラントまたはセンサとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に多層のガラス筐体ならびにこのようなガラス筐体を提供する方法に関する。
【0002】
背景技術および発明の一般的な説明
特に密閉可能な筐体は、例えば、高感度の電子機器、回路、光学部品およびオプトエレクトロニクス部品(例えばOLED)またはセンサを保護するために使用され得る。これにより医療用インプラントが、例えば心臓の範囲、網膜またはバイオプロセッサに適用され得る。チタンから製造されて使用されるバイオプロセッサが周知である。他方では、筐体内に、薬剤またはその他を、特に気密に封止して詰め込むこともできる。この場合、これらのインプラントは体内に植え込まれた状態で、薬剤を比較的長期間にわたり正確に調量して供給することができる。
【0003】
センサは、本発明に基づく筐体により、特に厳しい環境条件から保護され得る。この分野には、例えばMEMS(Mikro-Elektro-Mechanische-Systeme(微小電気機械システム))、気圧計、血液ガスセンサ、グルコースセンサ等も含まれる。本発明による筐体を使用する別の分野は、スマートフォン用カバー、バーチャルリアリティグラスおよび類似の機器の分野にも定着する可能性がある。本発明による筐体は、例えば電気自動車の枠内でのフロー電池の製造にも使用され得る。しかしまた本発明による筐体は、航空宇宙でも、高温用途でも、マイクロオプティクスの分野でも使用可能である。
【0004】
上述した用途に共通しているのは、厳しい使用条件が支配しており、ひいては部品に対して、これらが保護されずにこうした環境の影響に曝されるかのように、その堅牢性に関して高い要求が課されることである。このような外部の影響に耐えることができないと予想され得る前記のような部品の使用をも可能にするために、筐体を使用することができ、これにより、こうした部品を前記のような厳しい環境の影響から保護することができる。
【0005】
さらに場合により、筐体の内部領域、つまり例えば筐体により形成されたキャビティとの交換、つまり例えば特に可視範囲および/またはマイクロ波放射線の範囲内の電磁線との交換が保証されている、つまり筐体は少なくとも部分的に-すなわち少なくとも範囲的にかつ/または少なくとも1つの波長範囲に関して-透過性である、という要求が課されている。この透過性は、キャビティ内に配置された電子機器もしくはセンサによる、これを用いた通信法、データ伝達またはエネルギ伝達、測定を可能にする。特に、光通信法もしくは光データ伝達またはエネルギ伝達が可能にされていてもよい。
【0006】
基本的に、複数の構成部材を組み合わせ、これらの構成部材を、中間スペース内にコンポーネントを収容可能な収容領域が生じるように配置することは周知である。例えば欧州特許第3012059号明細書には、光学構成部材を保護する透過性の構成部材を製造する方法が記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。本明細書では、新規のレーザ法が用いられる。
【0007】
本発明による筐体の改良の枠内では、筐体の形成に使用される材料が、ゼロとは異なる透過率を有している、ということが問題視されている。つまり、キャビティ内に閉じ込められた気体または液体が筐体から外部へ流出するか、またはこのような物質もしくは流体が周囲から筐体内に侵入する恐れがある。例えばこのことは、濃度勾配、すなわち浸透圧の形成、または差圧に起因する場合がある。筐体材料が不透過性であるほど、対応する物質もしくは流体が筐体の材料を透過するために必要とする透過時間は長くなる。
【0008】
ガラスについて想定される時定数は数年というオーダ内であるが、このことは特に、インプラントまたは医療用包装等の長い耐用年数を有する製品にとって重要な場合がある。
【0009】
所定の材料、幾何学形状および環境条件において時定数を計算するための基準としては、例えば、所定の時間が経過した後の、キャビティ内の最初は純粋なガスの汚染濃度が適用される。例えばこのことは、単純な電子装置の場合には、密閉された筐体内で5000ppm未満の値であってもよい。これは、特に水蒸気であり得る。別の用途もしくは気体または流体については、遵守すべき別の限界値が規定されてもよい。
【0010】
筐体用の材料の選択において、これまではまず実質的に、コスト、強度、熱膨張率、成形性および閉じ込められる物質に対する不活性の各要素が極めて重要であった。本出願人により既に発見された優れた材料は、徐々に別の適用分野、例えば長寿命のインプラントにも使用可能であることが望ましいため、本発明の課題は、上述の重要な要素をほとんど損なわない、改善された筐体を提供することにある。
【0011】
したがって本発明は、筐体を改良し、特により抵抗性を有するように形成するという枠内で取り組む。つまり換言すると、本発明は、改良された筐体を提供することに取り組み、そこに到る方法は特に、筐体材料の透過を改良する点に見出された。
【0012】
この場合、周囲に対して機能領域を密閉する本発明による筐体は、基部基板とカバー基板とを有しており、基部基板はカバー基板と共に、筐体の少なくとも一部または筐体を形成する。さらに、筐体により包囲された少なくとも1つの機能領域が、筐体内に配置されている。機能領域は、特に筐体により密閉される。
【0013】
本発明による筐体はさらに、周囲と機能領域との間の透過を低減する遮蔽装置を有している。1つの例において、このような遮蔽装置には、機能領域の周りに配置された遮蔽層が含まれる。
【0014】
本発明による筐体は、確立された新規の接合法により密閉され得る。好適には、筐体の密閉は、SCHOTT社により開発されたレーザ接合法により行われる。択一的には、用途の要件に応じて、ガラス-ガラス結合用の別の方法も利用され得る。これは例えば、陽極接合、ガラス-フリット接合、またはCO2レーザによる溶融である。以下に、適用例を代表するレーザ接合を説明する。
【0015】
筐体はさらに、少なくとも1つのレーザ接合ラインを有していてもよく、これにより、筐体の各基板は、少なくとも1つのレーザ接合ラインにより、互いに気密にシールされて接合されている。この場合、各レーザ接合ラインは、その結合面に対して垂直な高さHLを有している。好適には、レーザ接合ラインは高さHLでもって、レーザ接合ラインの上側に配置された基板の材料内に入り込んでいる。レーザ接合ラインは、反対の側にも位置するように、レーザ接合ラインの下側に位置する基板の材料内に入り込んでいる。換言すると、レーザ接合ラインは、互いに接合されるべきもしくはレーザ接合ラインにより互いに接合された2つの基板内に入り込んでいる。
【0016】
例えば、カバー基板と基部基板とは、互いに融合するように接合される。
【0017】
換言すると、接合ステップにおいてもしくはレーザ接合ラインにおいて、一方の基板の材料が、他方の基板の材料と融合するように混ざり合って、一方の基板と他方の基板との間に、固く解離不能で気密な結合部を形成する。別の例では、基部基板とカバー基板との間に、最初に中間基板が配置されており、この例では、基部基板が、少なくとも1つの第1のレーザ接合ラインにより第1の結合面において中間基板に接合されており、カバー基板は、少なくとも1つの第2のレーザ接合ラインにより第2の結合面において中間基板に接合されている。
【0018】
つまり本発明による筐体は、追加的に遮蔽装置を有していてもよく、遮蔽装置は、例えば直接にキャビティを取り囲むように配置されており、これにより、筐体の透過を低減させ、キャビティ内に配置された構成部材または薬剤または収容物の、より長い寿命を達成することができるようにする。
【0019】
筐体は、好適には基部基板とカバー基板との間に配置された中間基板を有しており、この場合、筐体は、重なり合って配置されかつ互いに接合されたまたは接合される3つの層を有している。筐体の機能領域は、少なくとも1つのキャビティおよび/または少なくとも1つの機能層を有していてもよい。換言すると、筐体内にキャビティが形成され得、キャビティ内に収容物を配置することができるため、収容物は筐体により収容されて保護される。機能領域は、択一的または追加的に、少なくとも1つの機能層、例えば電気的に活性な層またはフォトレジスト層等、例えば、適切な放射線の入射により電気を生成する層、つまり光起電層を有していてもよい。
【0020】
筐体の遮蔽装置は、好適には遮蔽層を有している。遮蔽層は、機能領域を少なくとも部分的に取り囲んでいてもよい。例えば、第1の基板が第2の基板とは異なる材料を有している場合には、キャビティもしくは機能領域を、両基板のうちの一方に対してのみ保護もしくは遮蔽すれば十分であり得る。遮蔽層は、コーティング層を有していてもよく、換言すると、遮蔽層はコーティングとして、いずれにせよ各基板のうちの1つに被着、例えば蒸着されていてもよく、これにより、この基板は、遮蔽層により低下させられた透過率を得ることになる。
【0021】
よって遮蔽層は、特に、基部基板および/またはカバー基板および/または中間基板のうちの少なくとも1つに配置されている。さらに遮蔽層は、好適には機能領域に向けられた内面側に配置されている。
【0022】
遮蔽層は、機能領域を直接に包囲していてもよい、すなわち、遮蔽層はいずれにせよ、機能領域もしくはキャビティの環状の内壁の一部を形成している。遮蔽層は、機能領域を、例えば各基板のうちの少なくとも1つに対して包囲していてもよい、または機能領域を全ての側に対して完全に包囲していてもよい。
【0023】
筐体の基部基板は、好適には低い透過率の材料から成る。カバー基板は、基部基板よりも高い透過率を有する材料を含んでいてもよい。これは、筐体の構造の典型的なケースであり得、このケースでは、キャビティが基部基板にもたらされもしくは組み込まれ、キャビティは、カバー基板を載置するもしくは被せることにより閉じられる。この場合、載置されたもしくは被せられたカバー基板は、特に基部基板とは異なる光学特性を有する別の材料であってもよい。つまり典型的には、レーザ接合ラインを、基板、つまり例えば後に筐体を形成することになる、互いに重ねられて配置された複数のウェハのスタックの上方から、レーザを用いて入射させ、これによりレーザ接合ラインを筐体内にもたらすことが想定されている。つまり、レーザはカバー基板を透過可能である必要があるのに対し、レーザが基部基板を透過可能であるということは必要ない。
【0024】
よってカバー基板用には、場合により基部基板が有していない特性を有する、基部基板用とは異なる材料が使用され得、逆に基部基板用には、場合によりカバー基板が有していない特性を有する、カバー基板とは異なる材料が使用され得る。場合により、このようなユニットではカバー基板のみが、透過に関して遮蔽装置により改良され得る。
【0025】
1つもしくは複数の基板の材料として、例えば、好適には生体適合性である材料もしくは化学的に良好な耐性を有する酸化物材料が使用され得る。例えば、基板、すなわちカバー基板、中間基板および/または基部基板は、ケイ素を基礎とする酸化物および/または窒化物、好適にはSiO2および/またはSi3N4を含んでいてもよく、または/かつアルミニウムを基礎とする酸化物および/または窒化物、好適にはAl2O3および/またはAlNを含んでいてもよい。したがって、ガラスの他に、Al2O3から成る多結晶ウェハ、結晶化された酸化物またはポリシリコンも好適である。このような材料は、既に高い遮蔽機能を有している。例えば、カバー基板は、上述した材料のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、この場合、基部基板は、カバー基板とは異なる基板材料を含んでいるか、もしくは実質的にカバー基板とは異なる基板材料から形成されている。この場合、追加的に遮蔽装置を用いて、基部基板を透過率に関して改善することが有意である。
【0026】
このために遮蔽装置は、例えばやはり、好適には生体適合性であるかもしくは化学的に良好な耐性を有する酸化物材料である材料または材料混合物を含んでいてもよい。例えば、1つもしくは複数の遮蔽装置は、ケイ素を基礎とする酸化物および/または窒化物および/または酸窒化物、好適にはSiO2および/またはSi3N4を含んでいてもよく、または/かつアルミニウムを基礎とする酸化物および/または窒化物または酸窒化物、好適にはAl2O3および/またはAlNを含んでいてもよい。さらに遮蔽層は、ケイ素およびアルミニウムを基礎とする酸化物、窒化物または酸窒化物、つまりSiAlxNy、SiAlxOyまたはSiAlxOyNzを含んでいてもよい。遮蔽装置として、遮蔽装置に隣接する基板に気密に結合もしくは接合された薄膜が機能してもよい。遮蔽装置は、金属材料および/またはSi3N4またはSiOxNy(酸窒化ケイ素)を含んでいてもよく、特にこれらから形成された膜は、例えばプラズマ励起化学気相成膜(PECVD)またはスパッタリング技術または原子層堆積(ALD)により堆積させられてもよい。遮蔽装置は、例えば、1μm以下、さらに好適には500nm以下、さらに好適には100nm以下、特に好適には50nm以下の厚さを有していてもよい。遮蔽層または遮蔽装置は、本発明による効果を得るために、30nm以下の薄さに形成されていてもよい。
【0027】
この場合、遮蔽装置は、機能領域と周囲との間の透過率を少なくとも30%だけ低下させることができる。換言すると、遮蔽装置は、遮蔽層として配置もしくは被着されている基板の基板材料に影響を及ぼし、この基板の透過率を、例えば少なくとも30%だけ低下させる、すなわち改善することができる。
【0028】
遮蔽層は、筐体を通る2つの透過方向における透過率を低下させるように構成されていてもよい。つまり遮蔽層は、キャビティ内に閉じ込められたガス、物質またはガス状混合物の、周辺への流出に関する透過率を低下させ、かつ周辺に存在するガス、物質またはガス状混合物の、キャビティ内への侵入に関する透過率も低下させる。
【0029】
遮蔽装置はさらに、第2の遮蔽層を有していてもよい。この場合、機能領域は、第1の遮蔽層と第2の遮蔽層との間に配置されていてもよい。例えば、第1の遮蔽層は、カバー基板に取り付けられているかまたは被着されていてもよく、この場合、第2の遮蔽層は、基部基板に配置または被着されていてもよく、これにより、機能領域は全ての側を、第1および第2の遮蔽層により包囲されている。好適には、遮蔽層は、機能領域の方に向けられた側に配置されている。
【0030】
第2の遮蔽層は、第1の遮蔽層に配置または被着されていてもよく、これにより、2つの遮蔽層が同一方向においてその作用を補うことになる。これにより、遮蔽層の材料の選択に応じて、選択される材料に関して細分化された保護手段が達成され得る。例えば、遮蔽装置の1つの層はSiO2を含んでいてもよくかつ第2の層はSi3N4を含んでいてもよく、その結果、キャビティの同じ側に2つの遮蔽層を被着することにより、補い合う保護手段が達成される。
【0031】
基部基板、1つまたは複数の中間基板および/またはカバー基板は、ガラス状材料を含んでいてもよい。これは、例えばガラスまたはガラスセラミック、ケイ素、酸化アルミニウム、サファイア、または上述した材料の組合せであってもよい。特にガラスまたはガラス状材料が有利であるということが判った。それというのも、これらは極めて良好な生体適合性を有している、すなわち化学的に人体に適合し、人体との相互作用が知られていないのと同時に、ガラスは優れた断熱特性を提供するからである。さらに、ガラスは放射線に対して透過性に製造され得るため、例えば放射線もしくは電波情報に関する無線の情報交換または場合により筐体内に配置された電子機器またはバッテリの非接触式の充電が保証され得る。基板-特にカバー基板-が、光波長領域において透過性の基板、つまり例えば光学的に透明な基板である場合、筐体へのエネルギ供給は、光学的な方法で、例えば筐体内に配置された光電池または電気エネルギを供給する別の形式の光レセプタを用いて実現され得る。この場合、筐体は、自立型の筐体と表されてもよい。特に機能領域を取り囲むように密閉部を形成するには、特にレーザ接合ラインのうちの1つが、機能領域を、間隔DFをあけて環状に包囲していてもよい。1つの例において、間隔DFは、機能領域の全周にわたり一定であるため、レーザ接合ラインは、全ての側においてほぼ等間隔をあけて機能領域を包囲するように位置している。ただし間隔DFは、用途に応じて変動してもよい。このことは、複数の筐体を同時に1つの作業ステップにおいて接合し、個々の筐体の各接触面に例えば直線的な接合ラインもしくはレーザ接合ラインを形成する場合に、製造技術的に有利であり得る。このことは、機能領域もしくは筐体が例えば円形であるか、または任意の形状を有しており、機能領域を特に密閉するレーザ接合ラインが直線状に引かれる場合にも当てはまることがある。1つの例において、機能領域は、キャビティとして形成されていてもよく、キャビティもやはり、光学的な特性を有していてもよく、例えば集束レンズ等のレンズの形態に加工成形されていてもよく、レーザ接合ラインは、キャビティとは異なるパターンでキャビティを取り囲むように引かれていてもよい。
【0032】
筐体の機能領域は例えば、少なくとも1つの収容物、例えば電子回路、センサまたはMEMS等を収容するように構成されているため、筐体の内部には、少なくとも1つの収容物が配置されている。収容物は、例えばパワー半導体チップ等の電子機器であってもよく、例えばGaN-LED、SiCパワートランジスタ、GaAsパワートランジスタまたはGaNパワートランジスタ等を含んでいてもよい。収容物は、周囲と反応すべきでない、またはいずれにせよ後でまたは所定の時点で周囲と反応すべき薬剤またはそこに配置される流体であってもよい。
【0033】
この場合、収容物は、好適には筐体により全ての側においてもしくは完全に包囲されたキャビティ内に配置されている。機能領域もしくはキャビティは、基部基板にもたらされていてもよい、つまり、例えば基部基板から窪みが、例えば研磨されてくり抜かれており、ひいては機能領域および/または少なくとも1つの収容物が、下側と側方とを基部基板の材料により包囲されていることになる。機能領域もしくはキャビティは、基部基板の上側に、例えば基部基板上に配置されていてもよい。
【0034】
筐体は、例えば複数の収容物をそれぞれ異なるキャビティ内に収容するために、複数のキャビティを有していてもよい。例えばこれにより、場合により設置される、複数の別の構成部材のバッテリまたはメモリセルを、別個に筐体内に収容することができる。例えば、薬剤は第1のキャビティ内に配置されていてもよく、タイマ電子機器等の制御電子機器または供給電子機器は第2のキャビティ内に配置されていてもよく、例えば特定の時点または特定の事象が発生したときに、周囲への薬剤の管理された放出を制御することができる。
【0035】
筐体は、複数のガラスフィードスルーを、例えば少なくとも2つのキャビティを分離する中間基板内に有していてもよい。これらのガラスフィードスルーは、異なるキャビティ内に配置された収容物を互いに電気的に接続することができる。ガラスフィードスルーは、「スルーグラスビア(Through Glass Via)」(TGV)であってもよく、この場合、ビアには導電性材料が充填される。筐体は、例えば中間基板上に配置され得る電気接続層を有していてもよい。この場合、複数の構成部材もしくは収容物を各キャビティ内に配置して電気的に接続することが特に簡単である。電気接続層は、例えば1つもしくは複数のキャビティの下側に配置されており、ガラスフィードスルーに接触接続されていてもよい。
【0036】
キャビティとして形成されていない機能領域の1つの例は、電気的接続層を基板に被着することであり、これにより既に、中空空間無しの機能領域が形成される。このような電気接続層は、例えば2つの異なる機能領域、例えば2つのキャビティを、互いに電気的に接続することができる。
【0037】
1つの基板が複数の層を有しており、ひいては多層複合体であってもよい。例えばこの場合、多層複合体は、筐体の複数の層のうちの1つとして、レーザ接合法により、1つまたは複数の別の基板に結合され得る。つまりこのことは、例えばコーティングを1つの基材に被着し、これにより二層複合体を形成し、この二層複合体もしくは多層複合体全体を筐体の製造プロセスにおいて1つまたは複数の他の層に結合して筐体を製造することにより、多層複合体を予め準備することを意味し得る。
【0038】
筐体に多層複合体を使用することにより、筐体に、単層基板を使用した場合には達成不可能と考えられる別の材料特性を追加することができる。例えば、多層複合体は既に内部応力または予荷重もしくは予荷重方向を有している場合があり、多層複合体を筐体の少なくとも1つの別の層にレーザ接合する際に、内部応力値を改善することができる。例えばこのことは、事前に硬化させられた多層複合体が使用される場合には、筐体の耐久性を改善することができる。その結果、筐体全体が、硬化させられた筐体の特性を享受することになる。
【0039】
追加的または択一的に、多層複合体は、1つまたは複数のコーティング層、つまり例えば、この層をレーザ接合法により接合せねばならない場合には複雑化の原因となり得るコーティングを有していてもよい。換言すると、多層複合体として準備される基板は、既に互いに結合された層を備える「パック」または「スタック」として準備されている。
【0040】
接合には、適用要件に応じて、レーザ接合法とは異なる別の方法が、ガラス-ガラス結合に利用されてもよい。これは例えば、陽極接合、ガラス-フリット接合、またはCO2レーザによる溶融である。以下に、適用例を代表するレーザ接合を説明する。レーザ接合法は局所的に制御され得、これにより、接合過程を通じて機能領域もしくはキャビティ内へは、少量のもしくは無視し得る程度の熱量しか入らない。つまりレーザ接合法は、ほぼ室温で行われる、すなわち、筐体はほぼ室温で接合される。
【0041】
特に高さHLを有するレーザ接合ラインは、レーザ接合ラインの上方に配置された基板の材料内に達している。レーザ接合ライン中で、材料内での局所的な溶融過程が行われ、その結果、レーザ接合ラインの一部が第1の基板内に到達しかつ別の部分が第2の基板内に到達すると、2つの基板が互いに融合して接合される。換言すると、1つもしくは複数のレーザ接合ラインにより、基部基板が、1つまたは複数の中間基板およびカバー基板と融合するように、互いに接合される。
【0042】
換言すると、レーザ接合ラインは、例えば2つの構成部材をレーザ接合ラインにより融合させて互いに接合することで筐体の密閉部におけるギャップを架橋することができるように配置もしくは形成されている。筐体が、機能領域を完全に閉鎖するために基部基板とカバー基板とだけを有している場合には、基部基板とカバー基板との間の接触領域、すなわちカバー基板と基部基板とが隣接し合う箇所もしくは領域もしくは面が、レーザ接合ラインにより架橋もしくは結合される。その結果、筐体は一体成形されたかのように形成され、この場合、各構成部材間の分離箇所も、レーザ接合ラインにより密閉されている。
【0043】
筐体は、好適には少なくとも部分的にかつ/または領域的に、所定の波長領域に対して透過性である。1つの簡単な例において、筐体のカバー基板は、可視波長領域において光学的に透明、つまり透き通っている。しかしまた、例えばUV領域またはIR領域における透明性も有利であり得る。換言すると、例えばカバー基板は、好適には非導電性の、例えば酸化物材料または窒化物材料、例えばガラス状材料または金属ガラスを含んでいる。これによりカバー基板は、少なくとも1つの波長領域に対して好適には透明もしくは透過性であり、例えば光学的に透明である。用途に応じて、例えばカバー基板が不透明に形成されている、すなわち乳白ガラスまたは多結晶酸化物セラミックのように光学的に不透明に形成されている場合も有利であり得る。また、低下させられた透明性もしくは部分透過性も、機能的に十分であり得る。
【0044】
1つの好適な実施形態では、カバー基板は、例えば本出願人の製品ポートフォリオ内の、例えば硬化させられたガラス、特殊ガラスまたは耐熱ガラスから成るガラスプレートである。
【0045】
筐体は、筐体の少なくとも1つの機能領域が少なくとも1つの収容物を収容するように構成され得るように形成されてもよい。少なくとも1つの機能領域内に収容する収容物は、例えば20mm×20mm以下のサイズを有していてもよく、例えば15mm以下の直径を有する円形または楕円形であってもよい。収容物は、10mm×10mm以下のサイズ、好適には5mm×5mm以下のサイズ、さらに好適には2mm×2mm以下のサイズ、または1mm×1mm以下のサイズを有していてもよい。この場合、筐体のサイズは、筐体の機能領域もしくはキャビティ内の収容物のサイズおよび数に合わせられる。
【0046】
例えば、約5mm×5mmのサイズの各1つの収容物を、筐体の複数のキャビティのそれぞれに配置する場合に、例えばキャビティが2つずつ隣り合って配置されかつキャビティが2つずつ重なり合って配置されていると、筐体は、例えば13mm×13mm以上のサイズを有することができ、これにより、キャビティ内での物体の収容が保証されている。
【0047】
基板の厚さは、約1mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.1mm以下であってもよい。換言すると、筐体の基板のうちの1つの基板の厚さは、例えば2mm以下、好適には1mm以下、さらに好適には0.5mm以下または0.1mm以下の範囲にある。
【0048】
好適な製造法に基づくが、それ自体がサイズ制限として理解されるべきではない実際のサイズ表示は、切断されるべきウェハの大きさである。ただし、製造にウェハを使用することは、例としてのみ理解すべきである。例えば、典型的なウェハサイズよりも大きなまたは小さな寸法を有していてもよい透明な筐体を製造するためにガラスプレートを使用することも、十分に可能である。
【0049】
筐体の遮蔽装置は、いずれにせよ遮蔽層、特に機能領域を少なくとも部分的に包囲するコーティング層を有している。換言すると、遮蔽装置は、キャビティと、キャビティを包囲する筐体との間に配置された遮蔽層として形成されていてもよい。
【0050】
遮蔽層は、好適には基部基板、カバー基板または中間基板のうちの少なくとも1つの、しかも例えば機能領域の方に向けられた内面側に配置されている。この場合、遮蔽層も同様に、筐体の材料により保護され得る。このことは、遮蔽層自体が、例えば基部基板またはカバー基板の材料と同じ機械的耐久性または化学的耐久性を有してはいない場合に有利である。
【0051】
つまり遮蔽層は、機能領域を、直接に、特に基板のうちの少なくとも1つに面して、または完全に包囲していてもよい。
【0052】
基部基板は、比較的低い透過率の材料から成っていてもよい。カバー基板は、基部基板よりも高い透過率を有する材料を含んでいてもよい。この場合、遮蔽装置を機能領域とカバー基板との間に配置することが有利であり、この例において、キャビティもしくは機能領域と基部基板との間における遮蔽装置の使用は不要であると考えられる。
【0053】
遮蔽装置は、ケイ素を基礎とする酸化物および/または窒化物および/または酸窒化物、好適にはSiO2および/またはSi3N4を含んでいてもよく、または/かつアルミニウムを基礎とする酸化物および/または窒化物および/または酸窒化物、好適にはAl2O3および/またはAlNを含んでいてもよい。さらに遮蔽層は、ケイ素およびアルミニウムを基礎とする酸化物、窒化物または酸窒化物、つまりSiAlxNy、SiAlxOyまたはSiAlxOyNzを含んでいてもよい。
【0054】
遮蔽装置は、例えば1μm以下、さらに好適には500nm以下、さらに好適には100nm以下、特に好適には50nm以下の厚さを有していてもよい。遮蔽層もしくは遮蔽装置は、本発明による効果を得るために、30nm以下の薄さに形成されていてもよい。
【0055】
遮蔽装置は、機能領域と、筐体を取り囲む周辺環境との間の透過率を少なくとも30%だけ低下させるように製造もしくは構成されていてもよい。好適には、遮蔽装置は、遮蔽装置が透過を少なくとも50%だけ、場合により少なくとも75%だけ低下させるように構成される。例えば、遮蔽装置は水もしくは水蒸気に関して、透過率を低下させることができる。この場合、遮蔽装置は例えば、遮蔽装置を通る2つの透過方向において透過率を低下させることができる。つまり、外部環境から機能領域内に侵入しようとする水蒸気もしくは気体もしくは流体または物質全般も、機能領域から外部環境へ流出しようとする流体もしくは物質も、遮蔽装置により遮られる。この場合、「流体が透過しようとする」ということは、例えば浸透圧によって生じるか、または物理的な差圧もしくは両方の原因の重畳により生じ、これにより透過率が規定される。
【0056】
遮蔽装置が第2の遮蔽層を有している場合、機能領域は、第1の遮蔽層と第2の遮蔽層との間に配置されていてもよい。この例では、第1の遮蔽層は、カバー基板上もしくはカバー基板に配置されていてもよく、第2の遮蔽層は、基部基板に配置されていてもよい。
【0057】
第2の遮蔽層は、他方では第1の遮蔽層に、つまりキャビティと同じ側に、第1の遮蔽層と同様に配置されていてもよい。よって第1の遮蔽層と第2の遮蔽層とは、達成されるその遮蔽効果に関して、互いに補い合うことができる。
【0058】
本発明の注目点は、気密な筐体を提供する方法でもあり、この場合、筐体により機能領域、特にキャビティを包囲する。この方法は、
・少なくとも1つの基部基板とカバー基板とを準備するステップであって、カバー基板は、少なくとも部分的または領域的に少なくとも所定の波長領域に対して透過性でありひいては透明なカバー基板であるステップと、
・カバー基板を基部基板上にかつ機能領域の上方に配置するステップであって、基部基板とカバー基板との間に少なくとも1つの接触面を形成し、これにより各筐体が少なくとも1つの接触面を有することになるステップと、
・各筐体の少なくとも1つの接触面上に少なくとも1つのレーザ接合ラインを形成することによりキャビティを気密にシールして閉鎖するステップであって、このとき機能領域とカバー基板との間かつ/または機能領域と基部基板との間に遮蔽装置を配置するステップと
を有している。
【0059】
好適にはレーザ接合ラインにより、カバー基板と基部基板とを互いに接合する。換言すると、カバー基板を、中間層無しで基部基板上または基部基板内に設置し、1つまたは複数の共通のレーザ接合ラインにより直接、基部基板にじかに互いに接合させる。この場合、カバー基板は基部基板と共に、完全な筐体を形成する。換言すると、筐体を形成もしくは閉鎖するために追加的なまたは別の部品が必要とされるのではなく、基部基板と、少なくとも1つのレーザ接合ラインと、カバー基板とが共に、機能領域もしくはキャビティを完全に気密に閉鎖する。他方では、例えば複数のキャビティを互いに分離するために、1つまたは複数の中間基板を使用すると有利な場合がある。
【0060】
少なくとも2つの基板もしくは基部基板とカバー基板とは、相接して配置されるもしくは取り付けられるため、これらは面状に相接して位置することになり、少なくとも2つの基板の間もしくは基部基板とカバー基板と場合により中間基板との間に、別の膜、層または封入物が存在することはない。技術的な理由から、接触面の領域における層間の、場合により凹凸から生じる極少量のガス封入を回避することはできない可能性がある。例えば、特に加圧等による圧力上昇により、または研削プロセス等の、基板層、特に接触面の表面処理により、面状に載置された接触面の領域内に封入されるガスの量を大幅に低減することができる。予め排気しておくことが有利である。プロセスパラメータおよび使用すべき材料に応じて、一種のガスまたは液体の充填も有利であり得る。
【0061】
基板の間に生じ得る間隙が、5μm以下、さらに好適には1μm以下の厚さであると、特に好適である。この場合、接合ゾーンが10~50μmの厚さを有しておりかつ気密な封止が保証されているように、レーザにより接合することが可能である。
【0062】
接触面は、光学的に透明である必要はない。さらに、透明な基板が、可視波長領域では不透明に形成されていると有利である。接触面に到達するようにレーザが透過する基板だけが少なくとも1つのスペクトルの「窓」を有しているため、少なくとも、使用されるレーザの波長は、基板を少なくとも部分的にまたは少なくとも領域的に透過することができる。接触面は、レーザがこの接触面においてエネルギ導入を実行することができるようになっている。例えば、相接して位置する2つの基板の表面は、光接触結合(angesprengt)されていてもよく、さらに好適には、nm範囲の粗さを有していてもよい。この面において、レーザが少なくとも部分的に吸収され、これにより、そこにエネルギが導入され得る。全体的に本出願の意味での接触面とは、入射するレーザビームがエネルギを導入することができ、これにより接合プロセスが接触面内のラインに沿って実施され得る面を意味する。
【0063】
当該方法はさらに、カバー基板を基部基板上に配置するステップの前に、カバー基板上かつ/または機能領域上に遮蔽装置を配置する別のステップを含んでいてもよい。
【0064】
カバー基板を準備するステップは、既に遮蔽装置が装備されたカバー基板の準備を含んでいてもよく、かつ/または基部基板を準備するステップは、既に遮蔽装置が装備された基部基板の準備を含んでいてもよい。
【0065】
さらに、本発明の枠内には、上述した方法により製造もしくは形成される筐体も存在する。
【0066】
レーザ接合ラインを形成するために、特にレーザビームが、機能領域の周りを取り囲むように案内され、これにより機能領域は、少なくとも1つの接触面に沿って環状に密閉されることになる。場合により、レーザビームは複数回、環状に案内されてもよく、かつ/または場合により、複数のレーザ接合ラインが形成されてもよい。
【0067】
本発明の枠内には、上述した方法により製造された、内部に封入されて密閉された機能領域もしくはキャビティを備えた筐体の、医療用インプラントもしくはバイオインプラントまたはセンサとしての使用も存在する。
【0068】
以下に、本発明を実施例に基づき図面を参照してより詳細に説明する。同一部材および類似部材には部分的に同一の符号が付されており、異なる実施例の特徴は互いに組み合わせられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図4a】
図4と同様の側方断面図であるが、2つの収容物が共に示されている。
【
図5】筐体の1つの別の実施形態を示す側方断面図である。
【
図5a】筐体の1つの別の実施形態を示す側方断面図である。
【
図6】筐体の1つのさらに別の実施形態を示す側方断面図である。
【
図7】筐体の1つのさらに別の実施形態を示す側方断面図である。
【
図8】筐体を製造するステップの例を示す図である。
【0070】
発明の詳細な説明
図1には、本発明による筐体1の平面図が示されており、この場合、周方向に延びるレーザ接合ゾーン8が機能領域13を包囲している。機能領域13は、様々に構成されていてもよい。機能領域13の様々な構成の例は、断面図を示しひいては機能領域13の鉛直方向の構造を解明することができる
図3~
図7にも見られる。この場合、全ての平面図は同様に略示可能であるため、機能領域13の様々な構成は
図3の図にまとめられる。機能領域13は、
図1に示す例では矩形に形成されている。筐体の機能領域13を形成する方法に応じて、機能領域13は、様々な形状をとることができる。例えば、研磨法により形成されたキャビティは、レンズ状に形成され得る。
【0071】
機能領域13は、様々な役割を果たすことができ、例えば機能領域13は、光レセプタとして構成されていてもよく、または機能領域13内に配置された技術的、光学的、電気機械的かつ/または電子的な構成部材2を有していてもよい。機能領域13において、これらの役割のうちの複数が果たされてもよい。筐体1は上面を、上部基板またはカバー基板5により被覆される。この上部基板5の内部には、レーザ接合ゾーン8または少なくとも1つのレーザ接合ゾーン8が到達している。
【0072】
図2を参照すると、基部基板3とカバー基板5とを有する筐体1の第1の実施形態の第1の断面図が示されている。換言すると、筐体1は、2つの層、つまり基部層3とカバー層5とから構成されているまたは組み立てられている。さらに
図2には、一連の複数のレーザパルス衝突領域16から成るレーザ接合ライン8の構成が示されており、レーザパルス衝突領域16は、互いに密着するように設けられており、これにより、基部基板3の材料とカバー基板5の材料とが互いに隙間無く融合しひいては(この図ではレーザ接合ライン8の後ろに配置された)機能領域13もしくはキャビティ12を密閉している。
【0073】
図3には、接合領域の一部が詳細に示されており、この場合、インタフェースゾーン、すなわち接触面25とレーザ接合ゾーン8とが示されている。レーザ接合ゾーン8は、両基板3,5を互いに接合するために、接触面25の領域に配置されている。
【0074】
図4には、
図1に示した線C→Dに沿った、筐体1の1つの実施形態の断面図が示されている。つまり
図4は、例えば筐体1内に一貫した中空空間またはキャビティとして延在する機能領域13,13aの断面を示している。換言すると、キャビティは基部基板3からカバー基板5中にまで延びており、例えば基部基板3および/またはカバー基板5から成る窪みの形態で存在している。機能領域13は、ここでは、例えばサンドブラスト法等のような研磨法を用いて、カバー基板5内の窪みとして形成されており、機能領域13aは基部基板3内の窪みとして形成されている。換言すると、基部基板3は窪み13aを有している。
【0075】
例えば機能領域13aは、活性層、例えば導電層34を含んでいてもよい。機能領域13aの活性層は、例えば光電池の形態の光レセプタを含んでいてもよく、光レセプタは、電力を生成するように構成されている。この場合、筐体1は自立型の筐体1であってもよい。
【0076】
機能領域13aを取り囲むように、機能領域13aの各辺の周囲を閉じるレーザ接合ゾーン8が配置されている。レーザ接合ゾーン8内に、機能領域13aが全周にわたり閉じられてはいない、開いた領域を残し、これにより、例えば周囲との流体接続部をも構成することができる、例えば通信用通路または電気接続用スペースを空けておくということが考えられる。換言すると、予め計画された複数の箇所もしくは位置は、集束させられたレーザビーム9により閉じられるのではなく、そこには別の手段を用いて密閉部を構成する、ということが想定されていてもよい。ただし好適なのは、
図1にも示したように、機能領域13,13aを全ての側において隙間なく閉じることであり、これにより、機能領域13,13aの密閉が保証される。
【0077】
図4にはさらに、遮蔽装置6の第1の実施形態が示されており、この場合、遮蔽装置6はカバー基板5の下面に配置されておりひいては機能領域13aにすぐ隣接している。したがって、
図4に示す実施形態の遮蔽装置は、カバー基板の透過に関する透過率を改善する。この例では、基部基板の材料は、カバー基板の材料よりも低い透過率を有しているため、周方向に延在する遮蔽装置6もしくは全ての側において機能領域13aを閉鎖する遮蔽装置6は不要である。機能領域13aから見てカバー基板5の方向での透過を低減もしくは改善すれば十分である。
【0078】
図4aには、
図4に示した実施形態が示されており、この場合、キャビティ12内に2つの収容物2が配置されている。収容物2は、例えば電子部品であってもよい。活性層34が例えば導電性層34である場合、両構成は互いに組み合わせられてもよい。それというのも、この場合は構成部材2を導電層34上に配置して互いに接続することができるからである。
【0079】
図5を参照すると、筐体1の機能領域13,13aの範囲の別の断面図が示されている。筐体1は2つの基板層、つまり基部基板3とカバー基板5とを有している。基部基板3とカバー基板5との間には機能層13aが全面に配置されており、機能層13aの上側には遮蔽装置6が配置されている。
【0080】
よって、確かにここで機能層13aとして形成された機能領域13aは、2つのもしくはその周方向に延在する狭幅側において保護されてはいないが、ただしこのことは、用途および機能層13aの材料に応じて許容可能であり得る。例えば、機能層が光学的な周波数フィルタまたは反射防止コーティングを成す場合である。
【0081】
これに対して、
図5に類似した実施形態を示す
図5aの場合、機能層13aは、全ての側において筐体により包囲されている。つまりこの場合、基部基板3がカバー基板5に比べてより低い透過率を有する場合には、遮蔽装置6が機能層13aの上側でカバー基板5の方に配置されていれば依然として十分である。機能領域13は、キャビティ12として形成されており、この場合、キャビティ12内には1つまたは複数の構成部材2または任意の収容物2、また所定量の薬剤2が配置されていてもよい。
【0082】
図6には、本発明による筐体の1つの別の実施形態が示されており、この場合、筐体は、3つの基板層、つまり基部基板3と、中間基板4と、カバー基板5とを有している。中間基板4は、例えばスペーサ部材であってもよく、または連続的な基板、つまり内側切抜き部を備えたプレートであってもよい。これはスペーサ4とも呼ばれる。
【0083】
図6に示す実施形態の筐体は、キャビティ12の上側に配置されておりひいてはカバー基板5の下側に配置された第1の遮蔽装置6を有している。筐体1はさらに、基部基板3の上面に配置されたキャビティ12の下側に第2の遮蔽装置6aを有している。閉じ込めようとする機能領域12,13,13aの両面側における、2つの遮蔽装置6,6aのこのような配置は、例えば、基部基板3およびカバー基板5の両方が比較的高い透過率を有する場合に選択され得る。この場合、両基板は遮蔽装置6,6aにより遮蔽され得る、すなわち、各基板の透過率が低下させられる。
図6の例において、遮蔽装置6,6aは中間基板4を取り囲んではいない、つまりこのことは、製造において特に簡単かつ容易に実現され得る簡略化された実施形態を成している。この場合、中間基板の構成の指示に応じて、中間基板を遮蔽装置から省くことが可能な場合があり、これにより、中間基板4に対する複雑な取付け過程または被着過程が不要になる。しかしまた、中間基板が比較的高い透過率を有する場合でさえ、基部基板3およびカバー基板5のみを遮蔽装置6,6aにより遮蔽すれば十分な場合もある。それというのも、中間基板4が機能領域12,13,13aに接触する表面積は、比較的小さいからである。この場合、拡散は、物体の大きさ、つまり流体が通流する気体もしくは流体の大きさに、特に左右される。ただし、表面積が極度に小さい場合には、中間基板4を通って流入する流体も極少量になるため、中間基板4は、用途に応じて遮蔽装置6,6aから解放され得る。他方ではもちろん、機能領域の完全な閉鎖も考えられる(
図7参照)。
【0084】
図6aには、
図6に示した構成を90°回動させた、上から見た断面図が示されている。つまりこの断面は、中間基板4と、キャビティ12として形成された機能領域13とを断面したものである。
【0085】
図7には、本発明の1つのさらに別の実施形態が示されており、この場合、機能領域13は、再びキャビティ12として形成されており、非直線的な下面を有している。例えばキャビティ12は、レンズの形状を有しており、この場合は平凸レンズとして
図7に示されている。換言すると、キャビティ12は、基部基板3において凸状の窪み12が、例えば研磨法によりくり抜かれており、これにより基部基板が凹状の上面を有するように構成されている。これにより、筐体の光学的な特性が生じることになり、キャビティ12の内部に配置された収容物2(例えば
図4a参照)に影響を及ぼすことができる。
図7に示す筐体は、遮蔽層として形成された遮蔽装置6を有している。遮蔽層は、キャビティ12を取り囲む、画一的な環状の遮蔽層として見なされてもしくは形成されてもよく、遮蔽層は、2つの別個の方法ステップにおいて、例えば第1の遮蔽層6ではカバー基板5の下面に形成され得、かつ第2の遮蔽層6aでは基部基板3の上面に被着される。つまりこの場合、遮蔽層は、各基板に被着されるコーティング層であってもよい。他方では、遮蔽装置6は、各々の基板に配置されてもよく、例えばそこに接着されているか、または他の方法で配置されていてもよい。
図7に示す実施例において、機能領域13は完全に、すなわち全ての側において遮蔽装置により包囲されており、これにより、あらゆる空間方向への透過が低減されている。
【0086】
図8を参照すると、複数の筐体1を製造する方法の1つの実施形態が示されている。例えば上述した図に示したような筐体1の製造について説明する。当業者には、プロセス要件に応じて、この方法により単一の筐体1のみを製造することもできる、ということは明らかである。
【0087】
ステップAでは、後のキャビティ12に相当し、例えば研磨法により基部基板3にもたらされた複数の窪み12を有する1つの共通の基部基板3を、いわば支持体基板として準備する。例えば、キャビティ12は、サンドブラスト法により基部基板3にもたらすことができる、つまり一般に研磨法により、基部基板3からくり抜くことができる。また、キャビティ12を基部層3にもたらすには、化学エッチングも可能である。窪み12内には、例えばそれぞれ収容物2、例えばセンサ、アクチュエータ、プロセッサまたは薬剤を配置することができる。
【0088】
基部基板3上-およびカバー基板上および/または場合により中間基板上-には、遮蔽装置6,6aを、例えばコーティング層6の形態で配置することができる。PVDまたはCVDまたはその他の薄膜コーティング技術を用いて、例えば、基板3,4,5の少なくとも1つの面に、好適にはキャビティ側に、薄い遮蔽層6,6aを設けることができる。遮蔽層6,6aはSiO2を含んでいてもよく、これにより、好適には水もしくは水蒸気の浸透を低下させることができる。遮蔽層6,6aは、Si3N4またはAl2O3またはAlも含んでいてもよい。他方では、遮蔽装置6,6aは基板3,4,5において、好適には機能領域13,13aに面した側に配置されていてもよい。例えば、そこに薄膜もしくは薄い素子を載置し、ステップCにおいて残りの基板3,5および場合により4と一緒に接合することができる。
【0089】
ステップBでは、基部基板3上に1つの共通のカバー基板5を取り付ける、すなわち、基部基板3をカバー基板5により被覆することにより、各窪みに対して1つのキャビティ12を形成し、次いで、ステップCを介して気密に接合する。複数の収容物2はそれぞれ、1つの共通のキャビティ12内に収容され得る。
【0090】
ステップCを介して、レーザ接合ライン8により、基板をそれぞれ互いに直接に接合する。例えば、レーザ9を接触面25に沿ってもしくはキャビティ12の外縁に沿って各キャビティ12の周囲を、ただし厳密には同一ではない経路上を2回案内することにより、各2つの閉じられた環状のレーザ接合ゾーン8を形成することができる。むしろレーザ9は、キャビティ12を周回する度に横方向にずらされた経路上を案内されてもよいため、相並んで位置する2つのレーザ接合ゾーン8が生じる。マイクロ接合ゾーン8は、例えば5μm×10μm以下、または10μm×50μm以下の寸法を有していてもよい。
【0091】
つまり、完成した基板スタックはレーザ9により接合されるため、各収容キャビティ12は密閉される、つまり、キャビティ12は全ての側において接触面25に沿って閉鎖され、1つの筐体1当たり少なくとも1つのレーザ接合ライン8がもたらされる。このためにはレーザユニット15を、カバー基板5の上方からカバー基板5の表面にわたり案内し、このとき、集束させられたレーザビーム9を、接合すべきゾーン、すなわち特に接触面25に点状に向ける。製造方法のステップCの終了後には、全てのキャビティ12が密閉されている。個々の筐体1を、ステップCの後で切断法により個別化することが可能であり、これにより、切断された個別の筐体1が得られる。
【0092】
ステップDでは、各構成部材を、分離線もしくは切断線10に沿って互いに分離させる。このためには場合により、ステップCにおけるレーザ接合の場合と同じレーザが使用されてもよい。しかし、有利である場合には、従来の切断法が使用されてもよい。
【0093】
例えば、キャビティ12内の透過性に基づき筐体1の基板3,4,5の方向もしくは筐体1の周りの周囲状況の方向に形成される圧力は、
【数1】
として合成することができ、この場合、DおよびKは温度に依存しており、
-Δρは、キャビティの内部と周囲との間の分圧の差であり、
-Kは透過性を示し、
-Dは拡散係数であり
-Aは、筐体1もしくは対応する基板3,4,5の被浸透表面積(cm
2)であり、
-Vは、キャビティ12の容積(cm
3)であり、
-dは、基板3,4,5もしくは筐体1の壁厚さ(cm)であり、
-tは、時間(秒)である。
【0094】
当業者にとって、上述した実施形態は例示的なものであると理解され、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項の保護範囲を逸脱すること無しに多様に変化させられてもよい、ということは明白である。さらに、各特徴は、これらが明細書、請求項、図面またはその他に開示されているかどうかにかかわらず、他の特徴と共にまとめて説明されている場合でさえ、単独でも本発明の主要な構成部材を規定する、ということも明白である。全ての図面において、同じ符号は同じ特徴を表しており、場合により1つの図面においてのみ言及されたまたはいずれにせよ全ての図面に関しては言及されていない特徴の説明は、この特徴が明細書中で明示的に説明されていない図面にも転用され得る。
【符号の説明】
【0095】
1 特に密閉された筐体
2 収容物、機能デバイス
3 下部基板、層またはウェハ、基部基板もしくは下部カバー
4 中間層
5 上部基板、層またはウェハ、カバー基板もしくは上部カバー
6,6a 遮蔽装置
8 レーザ接合ゾーン
9 集束させられたレーザビーム
10 分離線もしくは切断線
12 収容キャビティ
13 機能領域
13a 第2の機能領域
14 縁部
15 接合および/または切断用レーザユニット
16 レーザパルス衝突領域
18 基板スタック
21 キャビティの縁部
22 キャビティの下側
23 キャビティの上側
25 接触面
【国際調査報告】