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特表2023-513959フットウェアミッドソール、その製造方法およびその製造用モールド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(54)【発明の名称】フットウェアミッドソール、その製造方法およびその製造用モールド
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/16 20060101AFI20230328BHJP
   B29D 35/14 20100101ALI20230328BHJP
【FI】
A43B13/16
B29D35/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549915
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 ES2021070113
(87)【国際公開番号】W WO2021165559
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】20382118.6
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522329272
【氏名又は名称】プロインベックス アーバン エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アーバン ブルー,フランシスコ マニュエル
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA11
4F050BA55
4F050HA14
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA85
4F050LA10
4F050NA56
(57)【要約】
フットウェアミッドソール、その製造方法およびその製造用モールドは、フットウェアミッドソール、および、成型により得られるフットウェアミッドソールの製造方法に関する。前記ミッドソールには、第1の本体における周壁を定める窪みまたは凹部を有する前記第1の本体と、周壁の上に延在する中間充填物と、前記第2の材料上に張られたライニングとして機能する第3の材料と、がある。当該方法では、下側部分および上側部分に加えて中間部分を備えた、特殊なモールドが使用される。このため、好ましくはポリウレタンである前記第2の材料の充填層を、上述の複数の壁の間で成型するフェーズが存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットウェアミッドソールであって、
第1の材料で作られた第1の下側本体であって、周壁により画定された窪みを備える第1の下側本体と、
前記窪みを満たし、かつ前記第1の本体の複数の前記壁の上に延在する第2の材料であって、中間層を定める第2の材料と、
前記ミッドソールのライニングとして、前記第2の材料上に張られた第3の材料と、
を備える、フットウェアミッドソール。
【請求項2】
前記第2の材料は、ポリウレタンである、請求項1に記載のフットウェアミッドソール。
【請求項3】
前記第1の材料は、ゴムとコルクとの複合材料、または、ポリウレタンとコルクとの複合材料である、請求項1または2に記載のフットウェアミッドソール。
【請求項4】
a)周壁の周囲にタブを有する当該周壁を有する窪んだ第1の本体を、モールドの下側部分に挿入する工程であって、当該タブは、前記モールドの前記下側部分の上面上に載置される工程と、
b)前記モールドの中間プレートを、前記モールドの前記下側部分上に配置する工程であって、当該中間プレートは、前記タブ上に載置され、前記第1の本体の前記窪みとほぼ一致する中央貫通開口部を備え、前記開口部は、前記ミッドソールの上面を定めることとなる周縁部および側壁を定める工程と、
c)第3の材料の少なくとも1つのライニングを、前記モールドの上側部分上に配置する工程と、
d)前記第2の材料を、前記第1の本体の前記窪みに鋳込む工程と、
e)前記ライニングを有する前記モールドの前記上側部分を、前記中間プレート上に配置する工程であって、前記ライニングは、前記中間プレートの前記周縁部上に載置される工程と、
f)前記第1の本体のモールドの内側部と前記ライニングとの間で、前記第2の材料を膨張および硬化させる工程と、
g)前記中間プレートおよび前記モールドの前記上側部分を開ける工程と、
h)前記ミッドソールを前記下側モールドから抜き取る工程と、
を含む、請求項1~3に記載されたタイプのフットウェアミッドソールの製造方法。
【請求項5】
工程c)において、前記ライニングは、前記モールドの前記上側部分上に配置された少なくとも2つの尖端部において配置され、
工程e)において、当該少なくとも2つの尖端部は、前記中間プレートにおける複数の穴に挿入される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項4~5に記載の方法によりフットウェアミッドソールを製造するためのモールドであって、
製造される前記フットウェアミッドソールの下側部分の形状である凹んだ空間を有する下側部分と、上側部分と、を備え、
前記上側部分と相補的な周縁部および側壁を定める中央貫通開口部を有する中間プレートをさらに備え、
これらの結合が、前記ミッドソールの前記上面を定めることとなる、モールド。
【請求項7】
前記中間プレートは、前記周縁部上に少なくとも2つの穴を備え、
前記上側部分は、少なくとも2つの尖端部を備え、前記中間プレートの前記周縁部の上に前記上側部分が配置されたときに当該少なくとも2つの尖端部が前記周縁部の前記少なくとも2つの穴に適合する、請求項6に記載のモールド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るフットウェアミッドソール、その製造方法およびその製造用モールドは、サンダルまたはクローズドシューズ(closed shoes)等のフットウェアのフットウェアミッドソール、および、成型により得られるフットウェアミッドソールの製造方法に関する。当該ミッドソールは、第1の本体における周壁を定める窪み(hollow)または凹部(recess)を有する当該第1の本体と、その周壁の上に延在する第2の材料の中間充填物と、前記第2の材料上に張られたライニングとして機能する第3の材料と、を有する。前記第1の本体は、第1の材料から作製されており、好ましくは、前記第1の材料は、ゴムとコルクとの混合物、または、ポリウレタンとコルクとの混合物から構成される。第1の材料の複数の壁とライニングとの間にある第2の材料は、ミッドソールのデザインに応じて、可変的な幾何学的デザインまたは幾何学的形状を決定する。当該方法では、下側部分および上側部分に加えて中間部分を備えた、特殊なモールドが使用される。このため、好ましくはポリウレタンである前記第2の材料の充填層を、上述の複数の壁の間で成型するフェーズが存在する。
【0002】
本発明の適用分野は、フットウェア産業の分野に属し、具体的には、サンダルまたはクローズドシューズ等の任意の種類のフットウェア用のミッドソールの製造領域に焦点を当てるものである。
【背景技術】
【0003】
現在の技術水準への言及として、ゴムとコルクとを組み合わせた材料で作られた少なくとも1つの不可欠な部分を有するフットウェアミッドソールであって、当該ミッドソールをより軽くする主要な特徴を有し、通常は夏用フットウェアを対象とするフットウェアミッドソールが知られていることに留意されたい。
【0004】
これらのミッドソールの主な欠点は、ミッドソールの外側領域において密度がより高い、2つの密度を有する上記のコルクを有するゴム材料から、それらが通常、構成されていることである。そのため、ミッドソールに剛性および堅牢性を提供するよう、ミッドソールの外側領域がより硬くなっており、足底を最も支持する部分において弾性および使用者にとっての快適さを提供するよう、ミッドソールの内側領域が前記ミッドソールの外側領域よりも柔らかくなっている。また、前記第1の材料がライニングにより覆われている。2つの密度を有する材料が存在することは、2つの材料が出会う領域に、通常は周囲に、内側領域よりも不快な足底の支持領域が存在することを意味する。ミッドソールの内側領域におけるより柔らかい領域に足は載ることになるが、ミッドソールの外側領域におけるより硬い領域にも足が載ることになるからである。ミッドソールの内側領域と外側領域との間における材料の密度差は変化し得、フットウェアミッドソール上で足底を支持することにより、より大きな快適さが使用者に提供されるが、フットウェアミッドソール上の場所を、その上に載る足にとって不快なものにする、2つの領域間のこの密度差は、常に存在する。足は主に、フットウェアミッドソールの内側領域上で支持されるが、より硬い外側領域上に載っているためより不快となっている足の一部は、どれほどその足の一部が小さくても存在する。あるいは、材料は単一の密度を有するものでもあり得る。この材料は、例えば上述したミッドソールの外側における剛性により、当該ミッドソールの安定性を維持するため、固い必要があるが、結果として、このミッドソールは、上述した剛性のせいで、使用者にとってより不快なものとなってしまう。
【0005】
本発明によって、足底全体が、同じ密度を有する表面上に載ることができるようになる。この結果、より大きな快適さが使用者にもたらされ、この分野における既存の課題が克服される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的のために、フットウェアは、以下のものを有する:
-地面に接触するように意図された下側基部であって、フットウェアのソールとして機能し、したがってフットウェアの底部である、下側基部と、
-使用者が足を乗せたときに少なくともその足の甲をフットウェアに保持するために使用される皮革(スキンまたはフットウェアの上側部分)であって、足全体を覆っていてもよく、フットウェアの上側部分を構成している、皮革(スキンまたはフットウェアの上側部分)と、
-上の2つのもの、すなわち、下側基部またはソールと皮革との間に配置されており、本発明の複数の態様のうちの1つの態様を構成する、ミッドソール。
【0007】
皮革またはフットウェアの上側部分は、種々の手段によってミッドソールに取り付けることができ、また、その種々の部分に取り付けることができる。例えば、サンダルの場合、フットウェアの上側部分として機能し、かつ足の甲を覆う皮革片は、ミッドソールとソールとの間に取り付けてもよく、もしくは、側部に接着させてもよく、または、これらの両方がなされてもよい。
【0008】
本発明の第1の態様は、請求項1に記載のフットウェアミッドソールである。
【0009】
具体的には、このフットウェアミッドソールは、以下のものを備える:
-好ましくは、コルクを有するゴム、または、コルクを有するポリウレタンである第1の材料で作られた、周壁を形成する窪みまたは空所(void)を有する第1の下側本体、すなわち、第2の材料を後に受け入れるための容器または入れ物として機能する周壁を有する下側基部を有する本体と、
-好ましくはポリウレタンであり、当該第1の本体における窪みを満たし、当該第1の本体の壁の上に延在し、かつ、中間の層、領域または本体を形成する、第2の材料と、
-天然材料または合成材料であり、ミッドソールのライニングとしての材料であり、前記第2の材料上に張られており、かつ、その上に使用者の足が載る、第3の材料。
【0010】
上述のミッドソールは、従来技術に係るミッドソールにおける既存の欠点を解決することに加えて、審美的な利点を提供する。第1の本体とライニングとの間の中間層または中間領域における第2の材料により形成されるミッドソールの周囲の幾何学的形状を、所望のデザインに応じて変化させることができるからである。
【0011】
第1の本体の窪みに鋳込むことで導入される第2の材料は、ポリウレタンであることが好ましい。一方、ミッドソールのライニングは、必要に応じて天然材料または合成材料であり得る第3の材料から作られる。第1の本体における窪みは、種々の形状および種々の深さを有してもよい。
【0012】
第1の好ましい材料は、より軽いミッドソールを製造するため、コルクのベースを有するが、前記第1の本体に堅牢性および剛性を与える、他の種類の材料が使用されてもよい。これらの材料は、特に、TPU(thermoplastic polyurethan:熱可塑性ポリウレタン)、TR(thermoplastic rubber:熱可塑性ゴム)、ポリウレタン、ゴムであってもよい。
【0013】
さらに、本明細書は、サンダルまたはクローズドシューズ等の任意の種類のフットウェアであり得るフットウェア用のミッドソールについて言及するものだが、ミッドソールをアウトソールとしての使用に適するようにさせる基部を当該ミッドソールの第1の本体の下に含んでいる場合には、前記ミッドソールは、フットウェアアウトソールを構成してもよい。さらに、ミッドソールは、その上に足が載るミッドソールの上側部分の形状に応じて、身体的構造に基づくものであってもよいし、または、身体的構造に基づくものでなくてもよい。さらに、本発明の一態様に係るミッドソールの製造後に採用される製造の方法に応じて、完全な靴、すなわちアウトソールと、ライニングと、フットウェアの皮革と、を有するミッドソールを得ることができる。
【0014】
第1の本体の壁とライニングとの間のミッドソールの中間領域における第2の材料のデザインは、第1の本体の壁の上側部と、ライニングと一致する第2の材料の上側部との間で変化してもよく、さらに、前記中間領域における第2の材料の側面におけるバリエーションを有してもよい。結果として、周壁の上側部、および、前記中間領域の上側部には、他の形状の中でも特に、直線、曲線、波線またはジグザグ線が組み込まれていてもよい。この中間領域の側面には、例えば、フットウェア製造業者のロゴまたはブランド、および、他の任意のデザイン等の、任意のエンボス形状が組み込まれてもよい。さらに、前述の中間領域の全体が第1の本体の周壁に対して突出し、または、前記周壁に対して凹み得るように、当該中間領域自体がエンボス加工されてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様は、請求項4に記載の、上述したミッドソールのようなミッドソールの製造方法である。
【0016】
具体的には、好ましくは、コルクを有するゴム、または、コルクを有するポリウレタンである第1の材料の窪んだ第1の下側本体と、上側ライニングと、好ましくはポリウレタンである中間充填物と、を有する、成型により得られるフットウェアミッドソールの製造方法には、以下の工程が含まれる:
a)周壁と、その周囲におけるタブ(つまみ)と、を有する窪んだ第1の本体を、モールドの下側部分に密に挿入する工程であって、当該タブは、前記モールドの前記下側部分の上面上に載置されるよう意図される工程と、
b)前記モールドの中間プレートを、前記モールドの前記下側部分上に配置する工程であって、当該中間プレートは、前記第1の本体の前記タブ上に載置され、前記第1の本体の前記窪みまたは空所とほぼ一致する中央貫通開口部を備え、前記開口部は、前記ミッドソールの上面を定めることとなる周縁部および側壁を定める工程と、
c)第3の材料の少なくとも1つのライニングを、前記モールドの上側部分上に配置する工程と、
d)前記第2の材料を、前記第1の本体の前記窪みに鋳込む工程と、
e)所定の位置にある前記ライニングを有する前記モールドの前記上側部分を、前記中間プレート上へと密に配置し、または下ろす工程と、
f)前記モールドの内部で、前記第2の材料を膨張および硬化させる工程と、
g)前記中間プレートおよび前記モールドの前記上側部分を開ける工程と、
h)前記ミッドソールを前記下側モールドから抜き取る工程。
【0017】
前記モールドの前記上側部分上に前記ライニングを配置させることに関しては、すなわち工程c)に関しては、少なくとも2つの代替選択肢が考えられる:
-第1の選択肢は、中間プレートの周縁部の寸法よりも大きい寸法を有するライニングを中間プレート上に配置する工程と、次いで、モールドの上側部分上に配置された少なくとも2つの尖端部または鋭利な釘状要素が、ライニングの材料を突き通り、中間プレートの周縁部上に配置された複数の穴に挿入されるように、当該モールドの上側部分を前記中間プレート上に下ろす工程と、からなる。次に、結合したライニングと共にモールドの上側部分が上げられる。これにより、モールド内にライニングが配置されることが、モールドの上側部分が中間プレート上に配置され、または下ろされる工程e)において保証されるだけでなく、工程d)において第2の材料を第1の本体内に鋳込む前に、保証される。
【0018】
-第1の選択肢に代わる第2の選択肢は、モールドの上側部分上にライニングを手動で配置する工程からなる。このとき、オペレータは、第1の選択肢の例の場合のように、モールドの上側部分上に配置された複数の尖端部を、ライニングが突き通るようにする。次に、工程d)に従って、第2の材料が鋳込まれ、工程e)において、ライニングを有するモールドの上側部分が、前記上側部分の複数の尖端部を中間プレートにおける複数の穴と整合させることによって、中間プレート上に配置される。
【0019】
第2の材料が膨張および硬化した後、第1の本体における周囲タブと、ミッドソールの寸法よりも大きい寸法を有するライニングとを用いて、完成したミッドソールが抜き取られる。その後、この中間的なミッドソールは、ライニングに由来する余剰物、第1の材料のタブに由来する余剰物、および、時に存在し得る第2の材料の余剰物を手動ダイカッティングまたはリファイニング(refining)するプロセスに供される。その結果、ライニング、タブまたは第2の材料の寸法が、ミッドソールの周寸法に調整される。
【0020】
余剰物を除去した後、最終的なミッドソールは、上述した特徴に従って利用可能である。このミッドソールは、クリーニング等の他の処理に供されてもよく、その後、フットウェア、サンダルまたはクローズドシューズに組み込まれてもよい。そのために、皮革およびソールをミッドソールに追加し、これによりフットウェアを構成することが必要となるだろう。ソールは、ミッドソールを製造した後に追加してもよいし、または、ミッドソールの第1の本体をモールドに導入する前に、当該ミッドソールの第1の本体の下面、すなわち穴または凹部の反対側にある表面に取り付けてもよい。その結果、後者の場合には、ソールがすでに組み込まれた状態で、ミッドソールが製造されるだろう。さらに、フットウェアの皮革が、ミッドソールの製造後に、当該ミッドソールに追加される:
-ミッドソールの側部に、フットウェアの皮革を結合または接着する、
-ミッドソールのライニングの表面の一部に、フットウェアの皮革を結合または接着する、
-フットウェアの上側部分として機能する皮革帯等を有するサンダルの場合、ミッドソールの側部に、皮革帯を結合または接着する、
-フットウェアの上側部分として機能する皮革帯等を有するサンダルの場合、ミッドソールの両側において、ミッドソールとソールとの間に、帯の両端部を配置する、または、
-本発明に係るミッドソール等のミッドソールに皮革を結合させるその他の結合方法。
【0021】
本発明の第3の態様は、請求項6に記載のモールドである。上述した方法によりフットウェアミッドソールを製造するための本発明に係るモールドは、以下のものを備える:
-製造されるフットウェアアウトソールの下側部分の形状である凹んだ空間、特に、周壁を定める空所または窪みを有し当該モールドの凹部に導入されることになる第1の本体の形状である凹んだ空間を有する下側部分と、
-製造されるフットウェアミッドソールの表面を提供する表面を有する上側部分と、
-側壁および周縁部を定める中央貫通開口部を有する中間プレートであって、前記縁部は、モールドの上側部分の周囲領域と相補的であり、その結果、モールドの上側部分と前記縁部との間の結合の位置、および、ミッドソールの上面の形状を定める、中間プレート。前記中間プレートは、周縁部上に配置された第2の壁であって、前記側壁よりも高い高さにあり、好ましくは前記周縁部に対して垂直な第2の壁を有してもよい。この第2の壁は、モールドの上側部分を受け入れ、かつ、前記中間プレートを補強するための空間を定めることを助ける。上述した事柄によれば、前記中間プレートは、周縁部のみを有した平坦なものであってもよく、または、第2の壁を有する凹部を含んだものであってもよい。
【0022】
好ましくは、モールドにおけるライニングの配置を容易にするために、中間プレートの縁部は、少なくとも2つの穴を備え、上側部分の突出部は、少なくとも2つの尖端部、鋲または鋭利な要素を備える。また、モールドの上側部分が当該中間プレート上に配置されたときに、少なくとも2つの尖端部、鋲または鋭利な要素が前記プレートの複数の前記穴に挿入されるよう、少なくとも2つの穴と当該少なくとも2つの尖端部、鋲または鋭利な要素とは、互いに対応するように配置されている。
【0023】
ライニングを組み込むことに加えて、フットウェア、シューズまたはサンダルの皮革を、前記ライニングが組み込まれたミッドソールに加えることが必要となるだろう。
【0024】
なお、ミッドソールの周囲のデザイン、特に第2の材料の中間層におけるデザインは、モールドの中間プレートの側壁によって、すなわち、前記プレートの貫通開口部を定める側壁によって決定されることに留意されたい。前記側壁は、滑らかな表面、または、凹状もしくは凸状の表面を有してもよい。さらに、例えば、ミッドソールが対象とするフットウェアのブランドもしくはロゴ、または、動物、花、幾何学的模様等の他の図柄等の、種々のデザインを有する種々の種類のエンボス加工または浅浮き彫り(bas-relief)を、この表面上に配置してもよい。
【0025】
さらに、前記モールドの前記下側部分の上面は、前記中間プレートの下面と相補的であり、これらの表面の形状に応じて、例えば、平坦な線、波線または傾斜した線等の種々の形状が、前記第2の材料の前記中間層の下側部に生ずることとなる。
【0026】
前記第2の材料の前記中間層の高さは、前記中間プレートの壁の高さによって決定される。
【0027】
本発明の主な利点は:
-第2の材料の充填物が第1の本体の材料よりも軽い場合に、ミッドソールはより軽量なものとなる。これは、コルクを有するゴムから作られたミッドソールの場合、特に関係がある。コルクを有するゴムから全体が作られたミッドソールの重量を、第2の材料として導入されたポリウレタンが低減するからである。
【0028】
-記載されたモールドを用いた、新規のミッドソールおよびその製造方法により、ミッドソールに側面装飾を組み込むことができるようになる。当該側面装飾は、エンボス加工されてもよく、かつ、種々のデザインを含んでもよい。
【0029】
-本発明に係る方法およびモールドにより得られるミッドソールは、従来技術に係るコルクを有するゴムのみから作られたミッドソールよりも、可撓性が大きい。従来技術に係るコルクを有するゴムのみから作られた当該ミッドソールは、基部とライニングとの間にいかなる充填物もほとんど組み込んでいないのである。
【0030】
-本発明に係る方法およびモールドにより得られるミッドソールは、他の領域よりも硬い特定の足の支持領域を有しない。これは、従来技術に係るコルクを有するゴムのミッドソールと比較した場合である。ここで、従来技術に係るミッドソールは、(堅牢性をミッドソールに与えるために)より割合の高いコルクを有する、ミッドソール周囲におけるより硬い領域に、(より大きな快適さを最大の足の支持領域に与えるために)コルクよりも割合の高いゴムを有する、ミッドソールの中央部分におけるより柔らかい領域を組み合わせるものである。ミッドソールの中間層を定める第2の材料により、ミッドソールの周囲に通常は位置するより硬い前記領域から、足底が分離される。
【0031】
-最後に、本発明に係る方法およびモールドによって得られる新規のミッドソールによりもたらされる別の利点は、第1の本体のコルク/ゴムの周壁または側壁上に存在し得る任意の潜在的な製造上の欠陥が修正されることである。当該第1の本体がモールド内に配置され、好ましくはポリウレタンである第2の材料が中で成型され、この第2の材料が膨張および硬化するときに、当該第2の材料が第1の本体の周壁をモールドの下側部分の内側部に向かって押し当てる結果、前記の壁における潜在的な欠陥が修正されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の特徴がより容易に理解できるものとなるよう、本発明の説明を補足するものとして、本明細書には、その不可欠な部分を形成する一式の図面が添付されている。当該一式の図面は、限定ではなく例示として、以下の事柄を表す。
図1】ミッドソールの製造方法を実施するための本発明の一態様に係るモールドの例示的な実施形態の一連の斜視図である。当該モールドが備える主要な部分および要素を、当該製造方法の種々の工程において示す。
図2】ミッドソールの製造方法を実施するための本発明の一態様に係るモールドの例示的な実施形態の一連の斜視図である。当該モールドが備える主要な部分および要素を、当該製造方法の種々の工程において示す。
図3】ミッドソールの製造方法を実施するための本発明の一態様に係るモールドの例示的な実施形態の一連の斜視図である。当該モールドが備える主要な部分および要素を、当該製造方法の種々の工程において示す。
図4】ミッドソールの製造方法を実施するための本発明の一態様に係るモールドの例示的な実施形態の一連の斜視図である。当該モールドが備える主要な部分および要素を、当該製造方法の種々の工程において示す。
図5】周囲の余剰材料をトリミングする前の工程における、得られたミッドソールの一例を示す上面図である。
図6】本発明の方法により得られたミッドソールの一例を示す斜視図である。
図7】本発明による、得られたミッドソールの縦断面の斜視図である。ミッドソールを構成する部分、およびその構成を示す。
図8】本発明による、得られたミッドソールの横断面の斜視図である。ミッドソールを構成する部分、およびその構成を示す。
図9】本発明の一態様に係るミッドソールを有するフットウェア、具体的にはサンダルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
前述の図面を参照しつつ、本発明の一態様に係るミッドソール、本発明の一態様に係るモールドおよび本発明の一態様に係る方法の例示的な実施形態について、以下に説明する。
【0034】
図1図4に示されるように、本発明に係る方法によるフットウェアミッドソール(11)を製造するためのモールド(1)は、好ましくはコルクを有するゴムである第1の材料の第1の本体(11)を密に合体させるための凹んだ空間(2a)を有する下側部分(2)を備える。前記第1の本体は、空所または窪みと、前記モールドの前記下側部分の上面の一部を覆う周囲タブと、を有する。
【0035】
モールドは、中間プレート(4)をさらに備える。当該中間プレート(4)は、モールドの下側部分(2)上に配置される。当該中間プレート(4)は、第1の本体(11)の空所または窪みとほぼ一致する貫通開口部(4a)を有する。さらに、前記中間プレートは、貫通開口部(4a)を画定する側壁と、ミッドソール(10)の上面の形状を定めることになる周縁部(4b)と、を有する。中間プレートの下面は、ミッドソール(11)の第1の本体(11)の周囲タブ上に位置する。この好ましい形態では、前記中間プレートはまた、周縁部(4b)の周囲にある第2の壁により画定される当該周縁部(4b)の上の凹部(4c)を有する。あるいは、中間プレートは、その周囲に壁を有する凹部(4c)を含まなくてもよい、すなわち、中間プレートは、前述の凹部を定める前記第2の壁を有しないプレートであってもよい。中間プレート(4)は、空気またはガスの出口のためのスロット(7)を含んでもよい。
【0036】
モールドの最後の部分は、モールドの上側部分(3)であり、好ましくは、中間プレートの凹部(4c)に挿入されるように意図された突出部(3a)を備える。さらに、モールドの上側部分(3)が中間プレート(4)上に下ろされ、または配置されたとき、複数の尖端部(5)、すなわち複数の尖った要素が、前記中間プレート(4)の周縁部(4b)に一致するように作られた複数の穴(6)に適合するように、モールド(1)の上側部分(3)の突出部(3a)は、当該複数の尖端部(5)、すなわち複数の尖った要素を、好ましくは少なくとも2つ有する。中間プレートが第2の側壁を有しない場合、すなわち、中間プレートが凹部を有しない場合、モールドの上側部分は、前述の突出部を含んでいなくてもよい。
【0037】
前述のモールド(1)を用いるために、第1の本体の周囲タブがモールドの下側部分(2)の上面上に載るように、第1の材料の前記第1の本体(11)は、モールドの下側部分(2)の凹み(2a)に密に挿入される。当該第1の本体(11)は、コルクを有するゴムである第1の材料から作られることが好ましい。
【0038】
次に、中間プレート(4)の下面が第1の本体(11)の周囲タブ上に載るように、当該中間プレート(4)は、モールドの下側部分(2)上に下ろされ、または配置される。
【0039】
次いで、天然材料、皮革、合成材料またはマイクロファイバであり得る第3の材料から作製されたフットウェアミッドソールのライニング(13)が、プレート(4)上に配置され、プレートの中央開口部(4a)を覆う。次いで、モールドの上側部分(3)が、中間プレート(4)上に下ろされ、または配置される。その結果、突出部(3a)の尖端部(5)は、ライニング(13)を突き通り、その結果、当該ライニングの位置をモールド内に固定する。突出部(3a)がプレート(4)の凹部(4c)に挿入されている間、前記尖端部(5)は、中間プレートの縁部(4b)上にある複数の穴(6)に挿入されている。この操作の後、中間プレート(4)の上側部分(3)は再び、上げられ、または分離される。
【0040】
次の工程は、中間プレート(4)の開口部(4a)を通じて、第1の本体(11)の内部で、ミッドソール(10)のための充填材料として、好ましくはポリウレタンである第2の材料(12)を成型することである。前記ポリウレタン(12)がひとたび鋳込まれると、モールドの上側部分(3)は、中間プレート(4)上に再び、下ろされ、または配置され、ポリウレタンが膨張および硬化される。
【0041】
ポリウレタン(12)、すなわち第2の材料がひとたび硬化すると、モールド(1)の上側部分(3)および中間プレート(4)が上げられ、フットウェアミッドソール(10)が取り除かれる。当該フットウェアミッドソール(10)は、いくつかの余剰領域(10a)を有する。当該いくつかの余剰領域(10a)は、第1の本体(11)の周囲タブにより生み出され、余剰のライニング(13)に由来して生み出され、そして時には、第2の材料(12)の余剰物に由来して生み出される。これらの余剰領域は、手動ダイカッティングまたはリファイニングにより、除去される。
【0042】
前記ミッドソールは、好ましくはコルクを有するゴム材料である第1の材料の第1の本体(11)であって、前記材料の周壁を有する第1の本体(11)と、第1の本体(11)の周壁の直上に配置された、好ましくはポリウレタンである第2の材料(12)の中間層と、第2の材料(12)上に張られた、好ましくは皮革またはマイクロファイバである第3の材料のライニング(13)と、を有することになる。
【0043】
第2の材料(12)の中間層のデザインは、中間プレート(4)の開口部(4a)の側壁の構成により決定される。この側壁は、例えば、特に、凹状、凸状、平坦であってもよく、さらに、例えば、エンボス加工または浅浮き彫りがこの側壁に組み込まれていてもよい。当該エンボス加工または浅浮き彫りは、動物、商標、花、幾何学模様等の種々のデザインを有し得る。この壁の高さが、第2の材料の中間層(12)の高さを提供することとなる。
【0044】
さらに、中間プレート(4)の下側表面(下面)は、第1の本体(11)の周囲タブの形状に対してだけでなく、下側部分(2)の上側表面(上面)に対しても相補的である。結果として、前記の複数の表面の形状を交互にする(互い違いにする)ことによって、第2の材料の前記中間層(12)の形状が修正される。
【0045】
好ましくは、モールド(1)の全ての部分(2、3および4)は、ジョイント(8)により接合され一緒になっており、さらに、それらは、モールド(1)を封止するための閉鎖要素(9)を備える。モールド(1)は、下側部分(2)と中間プレート(4)との間に鋳込むよりも前に封止され、そしてその後、モールドの上側部分(3)を下ろした後、第2の材料(12)を膨張および硬化させる間に封止される。
【0046】
図5は、ミッドソールから余剰領域(10a)を除去する前の、上述のモールド(1)により得られたミッドソール(10)を示す。
【0047】
図6図8は、本発明の一態様に係る方法により、記載されたモールド(1)内において得られた、ミッドソール(10)の例示的な実施形態を示す。好ましくはコルクを有するゴムである第1の材料から作られた下側基部(11)と、好ましくは皮革またはマイクロファイバである第3の材料から作られた上側ライニング(13)と、好ましくはポリウレタンである第2の材料から作られた中間層または本体(12)と、を備えるミッドソール(10)の構成が示されている。
【0048】
図6は、ミッドソール(10)を構成する種々の層を見ることができる、当該ミッドソール(10)の図である。第2の材料の中間層(12)が、第1の本体(11)の周壁の上または複数の壁の上に、どのように延在するかが示されている。足底が直接、前記複数の壁上で支持されることはなくなっている。この図は、ミッドソールの前部の中間領域(12)における、中間層における、装飾的な、したがって任意選択な印(14)の一装飾例を示している。この印(14)は、浅浮き彫りにおける複数の垂直線に対応するものである。これらの装飾的な垂直線は、中間プレートの側壁にエンボス加工された線に対応しており、製造プロセスの間に、第2の材料の中間層(12)上にその跡がついたものである。さらに、この図面には、この中間層(12)の下側部が、どのような(連続的かつ横方向に平坦な)線であるのかが示されている。上述のように、中間プレートの主に側壁における、および、当該中間プレートの下面における、当該中間プレート(4)の構成に応じて、種々のデザインを、フットウェアミッドソール(10)の中間層(12)上に作り出すことができる。
【0049】
図7は、前述のミッドソール(10)の縦断面を示す。ミッドソール(10)の種々の構成要素が示されており、具体的には、第1の本体(11)の空所または窪みと、当該第1の本体(11)の周壁または複数の壁と、中間層(12)を決定する第2の材料の充填物と、が示されている。
【0050】
図8は、第1の本体(11)の周壁または複数の壁が示された断面図を示す。中間層(12)の第2の材料は、その上に張られている。そのため、フットウェアミッドソール(10)上に足底を載せたとき、第2の材料よりも硬い第1の材料からこれらの周壁が作られていることに、使用者が気付かないようになっている。その結果、使用者の快適さが向上する。
【0051】
図9は、本発明の一態様に係るミッドソールを含むフットウェア、具体的にはサンダルの実施例を示す。このサンダルは、下側本体(11)と、中間層(12)と、使用者の足が載るライニング(13)と、を有するミッドソールから出発して、製造されたものである。当該ミッドソールから出発して、皮革または上側部分(16)が、足をミッドソールへ保持するために追加されている。当該皮革または上側部分(16)は、サンダルの使用者の足の甲の一部を覆うようにデザインされたストリップ(細片)から構成されている。前記皮革(16)は、種々の手段によってミッドソールに取り付けてもよい。図示の場合では、皮革(16)は、ソール(15)とミッドソールの下面との間に配置されている。当該ソール(15)とミッドソールは、好ましくは接着剤によって、互いに接合または結合されている。また、皮革(16)は、ミッドソールの側部に接着してもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】