(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】付加製造システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20230329BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20230329BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230329BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20230329BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230329BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230329BHJP
B29C 64/188 20170101ALI20230329BHJP
B29C 70/38 20060101ALI20230329BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B29C64/393
B29C64/321
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/188
B29C70/38
B29C70/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529277
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021019533
(87)【国際公開番号】W WO2021173754
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519444409
【氏名又は名称】コンティニュアス コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ストランバーグ,ネイサン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】スタルク,アンドルー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジャーナー,ブロック アダム
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,スティーブン タイラー
【テーマコード(参考)】
4F205
4F213
【Fターム(参考)】
4F205AA36
4F205AA44
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AR04
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HK03
4F205HK05
4F213AA00
4F213AA36
4F213AA44
4F213AC02
4F213AG03
4F213AR02
4F213AR04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF36
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL15
4F213WL27
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL75
4F213WL85
4F213WL87
(57)【要約】
付加製造システムが、構造物の製作に使用するために開示される。付加製造システムは、支持体と、支持体に動作可能に接続され、かつ支持体によって移動可能な印刷ヘッドと、を含む。印刷ヘッドは、ハウジング(22)と、ハウジングに動作可能に取り付けられ、連続補強材の供給を保持するように構成された供給モジュール(44)と、ハウジングに動作可能に取り付けられ、かつ母材で連続補強材を湿潤させるように構成された含浸モジュール(48)と、印刷ヘッドを通る補強材の移動に対して、供給モジュールの下流のハウジングに動作可能に取り付けられるクランプモジュール(46)と、を含む。クランプモジュールは、連続補強材を選択的にクランプするように構成されている。支持体および印刷ヘッドと通信するコントローラは、支持体および印刷ヘッドの動作を調整して、三次元構造物を製作するように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造システム(10)であって、
支持体(14)と、
前記支持体に動作可能に接続され、かつ前記支持体によって移動可能である印刷ヘッド(16)であって、
ハウジング(22)と、
前記ハウジングに動作可能に取り付けられ、連続補強材(60)の供給を保持するように構成された供給モジュール(44)と、
前記ハウジングに動作可能に取り付けられ、母材で前記連続補強材を湿潤させるように構成された含浸モジュール(48)と、
前記印刷ヘッドを通る補強材の移動に対して前記供給モジュールの下流の前記ハウジングに動作可能に取り付けられたクランプモジュール(46)であって、前記連続補強材を選択的にクランプするように構成される、クランプモジュール(46)と、を含む、印刷ヘッド(16)と、
前記支持体および前記印刷ヘッドと通信し、前記支持体および前記印刷ヘッドの動作を調整して、三次元構造物(12)を製作するように構成された、コントローラ(20)と、を備える、付加製造システム(10)。
【請求項2】
前記クランプモジュールが、前記連続補強材の前記印刷ヘッドへの後退のみを抑制するように構成されている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項3】
前記クランプモジュールが、前記含浸モジュールの上流に位置付けられている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項4】
前記クランプモジュールの上流に位置付けられた張力サブアセンブリ(64)をさらに含む、請求項3に記載の付加製造システム。
【請求項5】
連続補強材内の張力を示す信号を生成するように構成された張力サブアセンブリ(64)をさらに含み、前記コントローラが、前記信号に基づいて、前記供給モジュールの動作を調節するように構成されている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項6】
前記含浸モジュールが、前記母材を方向付けて、前記連続補強材とともに前記印刷ヘッドから吐出されることが所望される量よりも多い量で、前記連続補強材を湿潤させるように構成されている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項7】
前記含浸モジュールが、前記所望の量を超える前記母材の通過を制限するように構成されたノズル(130)を含む、請求項6に記載の付加製造システム。
【請求項8】
前記含浸モジュールが、前記連続補強材にわたって前記母材内に圧力差を生成するように構成されている、請求項6に記載の付加製造システム。
【請求項9】
前記ハウジングに動作可能に取り付けられた切断モジュール(52)および供給モジュール(52)のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項10】
前記切断モジュールおよび前記供給モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記含浸モジュールの下流に取り付けられている、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項12】
前記ハウジングに動作可能に取り付けられた圧縮モジュール(54)および硬化モジュール(15)のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記圧縮モジュール、前記硬化モジュール、および切断モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記ハウジングに対して前記供給モジュールとともに移動するように構成されている、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項13】
前記圧縮モジュールおよび前記硬化モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記連続補強材を圧縮し、前記母材を硬化するように構成された単一のモジュールである、請求項12に記載の付加製造システム。
【請求項14】
前記圧縮モジュールおよび前記硬化モジュールのうちの前記少なくとも1つが、
前記連続補強材を通過し、圧縮するように構成された先行デバイス(400)と、
前記連続補強材を通過し、圧縮するように構成された後続デバイス(402)と、を含む、請求項12に記載の付加製造システム。
【請求項15】
前記圧縮モジュールおよび前記硬化モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記先行デバイスを通して、または前記先行デバイス後方のうちの少なくとも1つに、かつ前記連続補強材を湿潤させる前記母材に向かって、硬化エネルギーを方向付けるように構成された、少なくとも1つのソース(404)をさらに含む、請求項14に記載の付加製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年2月25日に出願された米国仮特許出願第62/981,515号および2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,188号に基づいており、当該米国仮特許出願の優先権の利益を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、製造システムに関し、より具体的には、付加製造システム用の印刷ヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
連続繊維3D印刷(別名、CF3D(登録商標))は、移動可能な印刷ヘッドから吐出する材料内に埋め込まれた連続繊維の使用を含む。母材が、印刷ヘッドに供給され、同時に同じヘッドを通過する1つ以上の連続繊維とともに吐出(例えば、押し出しおよび/または引き抜き)される。母材は、従来の熱可塑性物質、液体熱硬化性物質(例えば、エネルギー硬化性一液型または多液型樹脂)、別のスナップ硬化型液体、またはこれらおよび他の既知の母材のいずれかの組み合わせであり得る。印刷ヘッドを出ると、硬化促進剤(例えば、UV光、レーザ、超音波エミッタ、熱源、触媒供給、など)が活性化されて、母材の硬化を開始、強化、および/または完了する。この硬化は、ほぼ即座に起きるため、支持されていない構造物が自由空間で製作されることを可能にする。繊維、特に連続繊維が構造物内に埋め込まれている場合、構造物の強度は、母材に依存する強度を超えて倍増し得る。この技術の例は、2016年12月6日にTylerに発行された米国特許第9,511,543号において開示される。
【0004】
CF3D(登録商標)は、連続繊維補強材を利用しない製造プロセスと比較して、強度が向上するが、母材による繊維の適切な湿潤、繊維の適切な切断、切断後の自動再始動、吐出後の母材コーティング繊維の適切な圧縮、および圧縮された材料の適切な硬化を確実にするために注意を払う必要がある。これらの機能のうちの少なくともいくつかを提供する例示的な印刷ヘッドは、2019年10月17日に公開された米国特許出願公開第2019/0315057号(「’057公開物」)に開示されている。
【0005】
’057公開物の印刷ヘッドは、多くの用途に対して機能的に適切であり得るが、最適ではない可能性がある。例えば、印刷ヘッドは、他の用途に必要とされる設置、切断、圧縮、および/もしくは硬化における精度ならびに/または制御粒度を欠く可能性がある。開示された印刷ヘッドおよびシステムは、これらの課題および/または従来技術の他の問題のうちの1つ以上に対処することを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な開示された製造システムの概略図である。
【
図2】
図2~5は、
図1のシステムと連動して使用され得る、例示的な開示された印刷ヘッドの分解された概略図である。
【
図3】
図2~5は、
図1のシステムと連動して使用され得る、例示的な開示された印刷ヘッドの分解された概略図である。
【
図4】
図2~5は、
図1のシステムと連動して使用され得る、例示的な開示された印刷ヘッドの分解された概略図である。
【
図5】
図2~5は、
図1のシステムと連動して使用され得る、例示的な開示された印刷ヘッドの分解された概略図である。
【
図6】
図2~
図5の印刷ヘッドと連動して使用され得る、例示的なスレッド(sled)サブアセンブリの分解された概略図である。
【
図7】
図2~
図5の印刷ヘッドと連動して使用され得る、例示的なスレッド(sled)サブアセンブリの分解された概略図である。
【
図8】
図2~
図5の印刷ヘッドと連動して使用され得る、例示的なスレッド(sled)サブアセンブリの分解された概略図である。
【
図9】
図2~
図5の印刷ヘッドと連動して使用され得る、例示的なスレッド(sled)サブアセンブリの分解された概略図である。
【
図10】
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な供給モジュールの概略図である。
【
図11】
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的なクランプモジュールの概略図である。
【
図12】
図12~15は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な湿潤モジュールの概略図および断面図である。
【
図13】
図12~15は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な湿潤モジュールの概略図および断面図である。
【
図14】
図12~15は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な湿潤モジュールの概略図および断面図である。
【
図15】
図12~15は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な湿潤モジュールの概略図および断面図である。
【
図16】
図16~18は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な切断および供給モジュールの概略図ならびに断面図である。
【
図17】
図16~18は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な切断および供給モジュールの概略図ならびに断面図である。
【
図18】
図16~18は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な切断および供給モジュールの概略図ならびに断面図である。
【
図19】
図19~21は、
図16~
図19の切断および供給モジュールと連動して使用され得る、例示的な切断および供給ホイールの概略図ならびに断面図である。
【
図20】
図19~21は、
図16~
図19の切断および供給モジュールと連動して使用され得る、例示的な切断および供給ホイールの概略図ならびに断面図である。
【
図21】
図19~21は、
図16~
図19の切断および供給モジュールと連動して使用され得る、例示的な切断および供給ホイールの概略図ならびに断面図である。
【
図22】
図22~24は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な硬化モジュールの分解された概略図および断面図である。
【
図23】
図22~24は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な硬化モジュールの分解された概略図および断面図である。
【
図24】
図22~24は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な硬化モジュールの分解された概略図および断面図である。
【
図25】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【
図26】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【
図27】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【
図28】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【
図29】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【
図30】
図25~30は、
図6~
図9のスレッドサブアセンブリと連動して使用され得る、例示的な圧縮モジュールの概略図および断面図である。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本開示は、付加製造システムを対象とする。付加製造システムは、支持体、および支持体に動作可能に接続され、支持体によって移動可能な印刷ヘッドを含み得る。印刷ヘッドは、ハウジングと、ハウジングに動作可能に取り付けられ、連続補強材の供給を保持するように構成された供給モジュールと、ハウジングに動作可能に取り付けられ、かつ母材で連続補強材を湿潤させるように構成された含浸モジュールと、印刷ヘッドを通る補強材の移動に対して、供給モジュールの下流のハウジングに動作可能に取り付けられるクランプモジュールと、を含み得る。クランプモジュールは、連続補強材を選択的にクランプするように構成され得る。付加製造システムはまた、支持体および印刷ヘッドと通信し、支持体および印刷ヘッドの動作を調整して、三次元構造物を製作するように構成された、コントローラを含み得る。
【0008】
別の態様では、本開示は、別の付加製造システムを対象とする。この付加製造システムは、支持体、および支持体に動作可能に接続され、支持体によって移動可能な印刷ヘッドを含み得る。印刷ヘッドは、第1の方向に対してほぼ直交する第2の方向における印刷ヘッドの移動中、印刷ヘッドによって吐出された連続補強材を第1の方向に押圧するように構成されたローラおよびシューのうちの少なくとも1つを含み得る。印刷ヘッドは、第1および第2の方向に対して斜角で配向される軌道に沿って、ローラおよびシューのうちの少なくとも1つに連続補強材を方向付けるように構成されたガイドを含み得る。印刷ヘッドはまた、ローラおよびシューのうちの少なくとも1つに後続する場所において、連続補強材に硬化エネルギーを方向付けるように構成されたソースを含み得る。付加製造システムは、支持体、印刷ヘッド、およびソースと通信するコントローラをさらに含み得る。コントローラは、支持体、印刷ヘッド、およびソースの動作を調整して、三次元構造物を製作するように構成され得る。
【0009】
さらなる態様では、ローラおよびシューのうちの少なくとも1つは、先行ローラおよび後続ローラを含み得る。
【0010】
さらなる態様では、先行ローラは、後続ローラとは異なり得る直径を有する。
【0011】
さらなる態様では、先行ローラは、後続ローラよりも大きくなり得る直径を有する。
【0012】
さらなる態様では、ソースは、硬化エネルギーを後続の場所と、ローラおよびシューのうちの少なくとも1つを通る場所に方向付けるように構成されてもよい。
【0013】
さらなる態様では、ローラおよびシューのうちの少なくとも1つを通じて方向付けられる硬化エネルギーは、連続補強材を定位置に留めるのみには十分であり得、後続の場所に方向付けられる硬化エネルギーは、連続補強材を湿潤させる母材を完全に硬化させるのに十分であり得る。
【0014】
さらなる態様では、後続の場所は、先行ローラの後になり、後続ローラを先行する場所であり得る。
【0015】
さらなる態様では、後続の場所は、先行ローラおよび後続ローラの両方の後になる場所であり得る。
【0016】
さらなる態様では、ソースは、第1の方向に対して後方に角度付けされる軌道に沿って硬化エネルギーを方向付けるように構成され得る。
【0017】
さらなる態様では、ソースは、第1の方向に対して前方に角度付けされる軌道に沿って硬化エネルギーを方向付けるように構成され得る。
【0018】
さらなる態様では、ソースは、第1および第2の方向のうちの少なくとも1つに対して傾斜する軌道に沿って硬化エネルギーを方向付けるように構成され得る。
【0019】
さらなる態様では、ソースは、第1および第2の方向の両方に対して傾斜する軌道に沿って硬化エネルギーを方向付けるように構成され得る。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、付加製造の方法を対象とし得る。本方法は、ヘッドに取り付けられた供給モジュールから含浸モジュールを通して連続補強材を方向付けて、連続補強材を母材で湿潤させることを含み得る。この方法はまた、ヘッドの内側の補強材内で所望の非ゼロレベルの張力を維持することと、含浸モジュールの上流の場所で連続補強材を選択的にクランプすることと、クランプ中に、含浸モジュールの下流の場所で、連続補強材を切り離すことと、を含み得る。
【0021】
さらに別の態様では、本開示は、付加製造の別の方法を対象とし得る。この方法は、印刷ヘッドから母材で湿潤された連続補強材を吐出することと、吐出中に母材で湿潤された連続補強材を圧縮することと、を含み得る。本方法はまた、母材で湿潤された連続補強材を第1の場所で硬化エネルギーに選択的に曝露して、母材で湿潤された連続補強材の外部を硬化させることと、母材で湿潤された連続補強材を第2の場所で硬化エネルギーに選択的に曝露して、母材で湿潤された連続補強材の内部を硬化させることと、を含み得る。
【0022】
さらなる態様では、第1の場所において母材で湿潤された連続補強材を硬化エネルギーに選択的に曝露することは、母材で湿潤された連続補強材の軸および圧縮の力の方向のうちの少なくとも1つに対して傾斜する軌道に沿って、硬化エネルギーを母材で湿潤された連続補強材に向かって方向付けることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の目的のために、本明細書で使用される際、「約」という用語は、機器分析によって、またはサンプル処理の結果として測定された数値におけるわずかな変動を合理的に包含または説明するのに役立つ。かかるわずかな変動は、数値のプラスもしくはマイナス0%~10%、プラスもしくはマイナス0%~5%、またはプラスもしくはマイナス0%~1%の数であり得る。本明細書で使用される際、「実質的に」という用語は、大部分の、ほとんどの、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上を指す。
【0024】
図1は、任意の所望の形状、サイズ、構成、および/または材料組成物を有する複合構造物12を製造するために使用され得る、例示的なシステム10を例解する。システム10は、少なくとも支持体14およびヘッド16を含み得る。ヘッド16は、複合材料(Cとして示される)の吐出中に支持体14に結合され得、支持体14によって移動可能であり得る。
図1の開示された実施形態では、支持体14は、構造物12の製作中にヘッド16を複数の方向に移動することができるロボットアームである。代替的に、支持体14は、構造物12の製作中にヘッド16を複数の方向に移動することもできるガントリー(例えば、オーバーヘッドブリッジガントリー、シングルポストガントリーなど)またはハイブリッドガントリー/アームを具体化し得る。支持体14は6軸移動が可能であるように示されるが、同じまたは異なる様式でヘッド16を移動させることができる任意の他のタイプの支持体14もまた利用され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、ドライブまたはカプラ18は、ヘッド16を支持体14に機械的に接合し得、ヘッド16の一部を移動させる、ならびに/または電力および/もしくは材料をヘッド16に供給するために協調する構成要素を含み得る。
【0025】
ヘッド16は、連続補強材(および他の任意の添加剤、充填剤、触媒、開始剤など)とともに、ヘッド16から吐出される複合材料を構成する母材を受容するか、または別様に含有するように構成され得る。母材は、硬化可能である任意のタイプの材料(例えば、ゼロ揮発性有機化合物樹脂などの液状樹脂、粉末金属、など)を含み得る。例示的な樹脂には、熱硬化性物質、一液型または多液型エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、カチオン性エポキシ、アクリル化エポキシ、ウレタン、エステル、熱可塑性樹脂、フォトポリマー、ポリエポキシド、チオール、アルケン、チオール-エンなどが含まれる。一実施形態では、ヘッド16の内側の母材は、例えば、対応する導管(図示せず)を介してヘッド16と流体連通している外部デバイスによって(例えば、押出機、別のタイプのポンプによって-図示せず)加圧され得る。しかしながら、別の実施形態では、圧力は、同様のタイプのデバイスによってヘッド16の完全に内側に生成され得る。さらに他の実施形態では、母材は、ヘッド16内に、および/またはヘッド16を通して重力供給され得る。例えば、母材は、ヘッド16に供給され得、1つ以上の連続補強材とともに、ヘッド16から押下されるか、または引き出され得る。いくつかの場合では、母材内側のヘッド16は、(例えば、未熟な硬化を抑制するために、または別様に吐出後に所望の硬化速度を取得するために)冷却され、かつ/または熱から保護することを利用し得る。他の場合において、母材は、同様の理由で、保温および/または照明される必要があり得る。どちらの状況でも、ヘッド16は、これらの必要性を提供するように特別に構成され得る(例えば、断熱、温度制御、シールドなど)。
【0026】
母材は、任意の数の連続補強材(例えば、別個の繊維、トウ、ロービング、ソックス、および/または連続材料のシート)をコーティングするために使用し得、補強材とともに、複合構造物12の一部分(例えば、壁)を構成し得る。補強材は、内部に(例えば、1つ以上の別個の内部クリール19上に)貯蔵され得るか、または別様にヘッド16を通過させる(例えば、1つ以上の外部スプールから供給される-図示せず)ことができる。複数の補強材が同時に使用される場合、補強材は同じ材料組成であり、同じサイジングおよび断面形状(例えば、円形、正方形、長方形など)、または異なるサイジングおよび/または断面形状を持つ材料組成を有し得る。補強材としては、例えば、炭素繊維、植物繊維、木質繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、金属線、光学管などが挙げられる。「補強材」という用語は、ヘッド16から吐出される母材内に少なくとも部分的に包み込まれる構造的および非構造的タイプの連続材料の両方を包含することを意味することに留意されたい。
【0027】
補強材がヘッド16の内側にある間、補強材がヘッド16に渡されている間、かつ/または補強材がヘッド16から吐出されている間、補強材は、(例えば、少なくとも部分的に母材でコーティングされて)母材に曝露され得る。母材、乾燥した補強材、および/またはすでに母材に曝露されている補強材(例えば、事前に含浸された補強材)は、当業者に明らかな任意の様式でヘッド16に移送され得る。いくつかの実施形態では、充填剤材料(例えば、チョップドファイバ)、添加剤(例えば、ナノ粒子)、触媒、開始剤などは、母材が連続補強材をコーティングする前および/または後に母材と混合され得る。
【0028】
以下でより詳細に説明するように、1つ以上の硬化促進剤(例えば、UV光、超音波エミッタ、レーザ、ヒータ、触媒分配器など)は、ヘッド16に近接して(例えば、内部に、上に、または隣接して)取り付けられ得、ヘッド16から吐出される際の母材の硬化速度および/または品質を強化するように構成され得る。硬化促進剤は、材料の吐出および構造物12の形成中に、構造物12の部分をエネルギー(例えば、UV光、電磁放射線、振動、熱、化学触媒など)に選択的に曝露するように制御され得る。エネルギーは、ヘッド16から母材が吐出される際、母材内で化学反応を引き起こし、化学反応の速度を増加させ、母材を焼結させ、母材を固化させ、または別様に母材を硬化させ得る。硬化促進剤によって生成されるエネルギーの量は、構造物12がヘッド16から所定の長さを超えて軸方向に成長する前に、母材を硬化させるのに十分であり得る。一実施形態では、構造物12は、軸方向成長の長さが母材コーティングされた補強材の外径に等しくなる前に硬化される。
【0029】
母材および/または補強材は、少なくとも2つの異なる動作モードを介してヘッド16から吐出され得る。第1の動作モードでは、母材および/または補強材は、ヘッド16が支持体14によって移動されて、吐出する材料の長手方向軸内に三次元軌道を生成する際に、ヘッド16から押し出される(例えば、圧力および/または機械的力の下で押下される)。第2の動作モードでは、少なくとも補強材がヘッド16から引き出され、それにより吐出中に補強材に引張応力が生み出される。この動作モードでは、母材は、補強材に付着し得、それによってまた補強材とともにヘッド16から引き出され、および/または母材は、引き出された補強材とともに圧力下でヘッド16から吐出され得る。第2の動作モードでは、補強材がヘッド16から引き出されており、その結果、補強材内に生じる張力は、構造物12の強度を増加させ得(例えば、補強材を整列させる、座屈を抑制するなど)、一方でまたより直線的な軌道を有するために、支持されていない構造物12のより長い長さを可能にする。すなわち、母材の硬化後に残っている補強材の張力は、重力に逆らって作用し(例えば、重力に対抗するモーメントを生成することによって直接的および/または間接的に)、構造物12の支持を提供し得る。
【0030】
ヘッド16が支持体14によってアンカーポイント(例えば、印刷ベッド、テーブル、床、壁、構造物12の表面など)から離れるように移動される際、補強材は、ヘッド16から引き出され得る。例えば、構造物形成の開始時に、ある長さの母材含浸補強材が、ヘッド16から引っ張られ、および/または押し出され、アンカーポイント上に積層され、少なくとも部分的に硬化されて、吐出された材料がアンカーポイントに付着する(もしくは、結合する)。その後、ヘッド16は、アンカーポイントから離れて移動し得、相対的な移動は、補強材をヘッド16から引き出させ得る。所望される場合、ヘッド16を通る補強材の移動は、1つ以上の内部供給機構を介して支援され得ることに留意されたい。しかしながら、ヘッド16からの補強材の吐出速度は、主に、ヘッド16とアンカーポイントとの間の相対的な動きの結果である可能性があり、そのため、補強材内に張力が生じる。アンカーポイントは、ヘッド16がアンカーポイントから離れて移動される代わりに、またはそれに加えて、ヘッド16から離れて移動され得る。
【0031】
コントローラ20が提供され得、支持体14、ヘッド16、および任意の数の硬化促進剤と通信可能に結合され得る。各コントローラ20は、システム10の動作を制御するように特別にプログラムされるか、または別様に構成される、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを具体化し得る。コントローラ20は、1つ以上の汎用もしくは特殊目的のプロセッサまたはマイクロプロセッサを含み得る。コントローラ20は、例えば、設計限界、性能特性、動作命令、ツールパス、およびシステム10の各構成要素の対応するパラメータなどのデータを記憶するためのメモリをさらに含み得るか、または関連付けられ得る。電源回路、信号調整回路、ソレノイドドライバ回路、通信回路、および他の適切な回路を含む、他の様々な既知の回路が、コントローラ20と関連付けられ得る。さらに、コントローラ20は、有線および/または無線伝送を介してシステム10の他の構成要素と通信することができ得る。
【0032】
1つ以上のマップが、コントローラ20のメモリ内に記憶され得、構造物12の製作中にコントローラ20によって使用され得る。これらのマップの各々には、ルックアップテーブル、グラフ、および/または方程式の形式でデータの集合が含まれ得る。開示された実施形態では、コントローラ20は、マップを参照し、構造物12の所望のサイズ、形状、および/または輪郭を生成するために必要なヘッド16の移動を判定し、ならびに支持体14、硬化促進剤、およびヘッド16の他の構成要素の動作を応答的に調整するために特別にプログラムされ得る。
【0033】
例示的なヘッド16は、
図2~
図5により詳細に開示される。これらの図に見られ得るように、ヘッド16は、とりわけ、構成要素スレッド(「スレッド」)24に対する取り付けを保持、封入、収容、および/または提供するように構成されているハウジング22を含み得る。ハウジング22は、スレッド24を支持および保護する多面筐体を形成するために互いに接続された任意の数のパネルを含み得る。開示された実施形態では、ハウジング22の筐体は、概して3面(例えば、U形状)であり、その結果、スレッド24は、カプラ18の反対側に配向される前面、背面、および底面からアクセスすることができる。スレッド24は、底面においてハウジング22の末端を越えて延在し得る。
【0034】
ハウジング22は、少なくとも上部分26、第1の側面部分28、および第2の側面部分30を含み得る。第1および第2の側面部分28、30は、各々、伸長され得、上部分26に堅固に接続されたより広い近位端、および近位端から片持ち梁になっているより狭い遠位端を有する。より狭い遠位端は、U形状の中心に向かって角度付けされ得、それにより、(例えば、ヘッド16の吐出端をより狭い空間に嵌合することを可能にすることによって)ヘッド16のフォームファクタを改善する外側テーパを形成する。第1および第2の側面部分28、30は、それらの間にスレッド24のための開口部を形成するために、互いに離間され得る。第1および第2の側面部分28、30のうちの一方または各々は、ヘッド16の1つ以上の機能的および/または制御構成要素を受容するように構成されている、外向き(例えば、互いに横方向に離れて向く)ポケット32を形成し得る。カプラ18は、上部分26に接続され得、ヘッド16を支持体14に迅速かつ解放可能に接続するために使用され得る。1つ以上のラッキング機構(例えば、ハンドル、フック、目など)34は、カプラ18に隣接して位置付けられ得、支持体14に接続されていないときに(例えば、工具交換中に)ヘッド16を掛けるために使用され得る。
【0035】
スレッド24は、第1の側面部分28と第2の側面部分30との間の開口部内に取り付けられ、上部分26に対してほぼ直交する方向(例えば、
図1および
図2に示されるように、ヘッド16の上部と下部との間)において摺動するように構成され得る。開示された実施形態では、スレッド24は、対向する側縁部に位置付けられた任意の数のベアリング38を有する取り付けプレート36を含む。ベアリング38は、ハウジング22の内側に位置付けられた対応するガイド機能(例えば、レール)40と摺動自在におよび/または回転自在に係合する、ローラベアリング、エアベアリング、スライドベアリング、または他のタイプの低摩擦ベアリングを具体化し得る。1つ以上のアクチュエータ(例えば、一対の空気圧シリンダ、空気袋、ショックアブソーバなど)42は、ハウジング22内のスレッド24の移動に影響を与える(例えば、支援する、原因となる、衝撃を和らげるなど)ために、上部分26と取り付けプレート36との間に接続され得る。例えば、アクチュエータ(42)は、選択的にスレッド24を上昇させ、スレッド24を下降させ、ならびに/またはスレッド24を上昇および/もしくは下降させるために必要な外力の大きさを単に変化させる(例えば、増加させるならびに/または減少させる)ことができる。
【0036】
図6、
図7、
図8、および
図9に示されるように、ヘッド16の任意の数の追加の構成要素は、取り付けプレート36および/またはポケット32を介してハウジング22に接続され得る。例えば、補強供給モジュール44、クランプモジュール46、含浸モジュール48、切断/供給モジュール52、および/または圧縮/硬化モジュール54は、取り付けプレート36に接続され得、取り付けプレート36とともに移動し得る。しかしながら、所望の場合、スレッド24の慣性を低減するために、スレッド24に取り付けるモジュールの数を減らしてもよいことが企図される。任意の数の導管、バルブ、アクチュエータ、チラー、ヒータ、マニホルド、ワイヤーハーネス、および他の同様の構成要素は、ポケット32の内側に取り外し可能に取り付けられた1つ以上の共通のパネルに同時に取り付けることができる。
【0037】
以下でより詳細に説明するように、補強材は、印刷表面に対する圧縮、または自由空間への吐出のために、モジュール44から払出され、通過し、モジュール48内の母材で湿潤され、モジュール52によってモジュール54に供給され得る。圧縮前、圧縮中、および/または圧縮後、モジュール54は、硬化を引き起こし、硬化を促進し、かつ/または母材を完全に硬化させるエネルギーに、補強材上の母材コーティングを曝露し得る。選択された時間で、モジュール46は、モジュール52による切り離しに備えて、かつ/または吐出場所間を移動するときに、補強材をクランプし得る。
【0038】
図10に示されるように、供給モジュール44は、とりわけ、クリール19が(例えば、ベアリング58を介して)回転接続される取り付けプレート56、クリール19によって支持される補強材のボビン、スプール、および/または他の供給部60、クリール19の回転を選択的に駆動するように構成されたアクチュエータ(例えば、回転モータおよび/またはギアボックス、回転流体ダンパ、電磁石ブレーキなど)62、ならびに供給部60から受容した補強材内の所望のレベルの張力を監視および/または提供するように構成された張力サブアセンブリ64を含む、サブアセンブリであり得る。供給モジュール44は、スレッド24の取り付けプレート36に取り外し可能に接続され得る。
【0039】
張力サブアセンブリ64は、供給部60からモジュール46に通過する補強材内の張力のレベルを示す信号を生成するために協調する構成要素を含み得る。これらの構成要素は、とりわけ、レールまたは他の同様の支持体68に沿って移動可能(例えば、並進可能、摺動可能、巻回可能、回転可能、枢動可能など)であるアイドラ66と、並進を検出し、対応する信号を応答的に生成するように構成されたセンサ70と、を含み得る。任意の数のリダイレクト(例えば、固定または移動可能なローラ、ピンなど)72は、サブアセンブリ64と関連付けられ、(例えば、ヘッド16を通る補強材の通過に対して)アイドラ66の上流および/または下流に配設され得る。
図10に示されるように、アイドラ66および/またはリダイレクト72は、端部に位置付けられたフランジを有するクラウン付きローラを具体化し得る。一実施形態では、さらに下流のローラ(すなわち、例解された実施形態内のリダイレクト72など、クリール19から最も遠く離れる構成要素)は、補強材を案内するのに役立つより大きい直径のフランジを有し得る。クリール19により近い構成要素は、かかるガイダンスの必要性が少ない可能性があり得る。所望の場合、ローラ以外の、またはローラに加えたガイド機構を利用できることが企図されている。例えば、1つ以上の静止および/または中心に付勢されたアイレット(例えば、セラミックコーティングされたアイレット)71を利用して、補強材をクリール19からリダイレクト72上に中心を置くのを助けることができる。所望の場合、ローラをクラウンなしおよび/またはフランジなしにされ得ることも企図される。
【0040】
一例では、エンコーダ、ポテンショメータ、または他の同様のセンサ73は、張力をかけるサブアセンブリ64の1つ以上のリダイレクト72と関連付けられ得る。例えば、
図10は、下流(すなわち、アイドラ66の下流)リダイレクト72に接続されているエンコーダ73を例解する。この配置では、エンコーダ73は、補強材が母材で湿潤する前に、関連するリダイレクト72を通過する補強材の払出しを示す信号を生成し得る。エンコーダ73のこの場所は、アイドラ66の移動による干渉および母材からの汚染の可能性を低減し得る。エンコーダ73によって生成された信号は、さらなる処理のためにコントローラ20に方向付けられ得る。
【0041】
エンコーダ73は、モジュール44と関連付けられているように示され説明されているが、ヘッド16内の他の場所に位置付けられ得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、エンコーダ73は、モジュール46の下流に位置付けられ得る。この代替的な場所では、エンコーダ73からの信号は、モジュール46内の補強材の破損を検出することができる可能性がある。加えて、補強材は、エンコーダ73と関連するリダイレクト72のごく小さい部分のみを包み込むように示されているが、包みの角度が大きいと、エンコーダ73の信頼性が増加する可能性があることが見出された。すなわち、より大きい角度は、リダイレクト72上で補強材が滑る可能性を低減し得る。一実施形態では、包みの角度は、90°より大きく、180°より大きく、270°より大きく、または360°より大きくてもよい。
【0042】
補強材は、モジュール46(
図6~
図9および
図11を参照)に渡される前に、供給部60からアイドラ66(および任意の含まれるリダイレクト72)の周囲に延在(例えば、蛇行)し得、張力のレベルを補強材内で変化させることは、アイドラ66がリダイレクト72に向かってかつ/またはリダイレクト72から離れる並進を引き起こし得る。例えば、補強材との張力が増加するにつれて、アイドラ66(センサ70の少なくとも一部分とともに)は、補強材によってリダイレクト72に向かって(例えば、スレッド24の並進方向に対してほぼ直交する方向に)引き出され得る。対照的に、補強材との張力が減少するにつれて、アイドラ66は、リダイレクト72から離れるように(例えば、ばね69を介して)付勢され得る。アイドラ66およびセンサ70の移動可能な部分の並進は、アイドラ66の位置、速度、および/または加速度に関連する(例えば、比例する)1つ以上の信号の生成をもたらし得る。これらの信号は、さらなる処理のためにコントローラ20(
図1を参照)に方向付けられ得る。ばね69によって適用される力は、アイドラ66およびセンサ70の組み合わされた重量よりも大きくなり得、その結果、ヘッド16の傾斜方向に関わらず、少なくともいくらかの張力が依然として補強材に提供され得ることに留意されたい。
【0043】
アクチュエータ62は、センサ70によって生成された信号に基づいて、選択的に回転させられ(例えば、コントローラ20によってエネルギーを与えられ)、回転を停止させ、および/またはより速いもしくはより遅い速度で回転させ、それにより、補強材内の張力のレベルを調整し得る。例えば、センサ70によって生成された張力の増加信号に応答して、アクチュエータ62は、より多くの補強材を払出すか、またはより高い速度で補強材を払出すようにされ得る。この調整により、より低い補強材との張力およびアイドラ66がリダイレクト72から離れる方向の並進をもたらし得る。対照的に、センサ70によって生成された張力の減少信号に応答して、アクチュエータ62は、より少ない補強材を払出すか、またはより遅い速度で補強材を払出すようにされ得る。この調整により、より高い補強材との張力およびアイドラ66がリダイレクト72に向かって戻る方向の並進をもたらし得る。この構成を介して、所望のレベルおよび/または張力の範囲が、補強材内に維持され得る。1つの用途では、張力の所望の範囲は、約0~5ポンドであり得る。
【0044】
図11に示されるように、クランプモジュール46は、補強材を選択的にクランプするように協調し、それにより、ヘッド16を通る補強材の移動(例えば、任意の移動、前進のみ、または逆方向の移動のみ)を抑制する構成要素を有するサブアセンブリであり得る。これは、例えば、補強材を構造物12から切り離す間に、張力をかけるサブアセンブリ64が意図せずに補強材をヘッド16を通して引き戻さないようにするのに役立ち得る。換言すると、クランプモジュール46は、逆止弁として選択的に機能し、ヘッド16を通る補強材の一方向の移動を確実にし得る。モジュール46の構成要素は、とりわけ、スレッド24の取り付けプレート36に取り外し可能に接続可能であるアンビル74と、ピン76を介してアンビル74に枢動可能に接続されるシュー75と、アンビル74に取り付けられ、ピン76を中心にシュー75を選択的に枢動させ、それにより、シュー75とアンビル74との間に補強材を挟むように構成されたアクチュエータ(例えば、リニアシリンダ)77と、を含み得る。
【0045】
図11に示されるように、アンビル74は、概して、C形状の断面を有し得、開口部は、C形状の背部を通過する。モジュール44から受容された補強材は、枢動ピン76とC形状のベースまたは取り付け部分との間の場所でこの開口部を通過し得る。アクチュエータ77が延在位置にあるとき(
図11に示される)、シュー75は、補強材およびC形状のベース部分に対して力を加えられ得る。アクチュエータ77が後退位置に移動されるとき、シュー75は、補強材から離れて引き出されてもよく、その結果、アンビル74を通る補強材の移動は、シュー75によって実質的に抑制されない。アクチュエータ77は、延在位置と後退位置との間の任意の位置に移動することができ、それにより、所望の場合、通過する補強材に適用される摩擦の量を変化させることが企図される。
【0046】
開示された実施形態では、シュー75は、ヒール端およびトウ端を含み得る。シュー75のヒール端は、ピン76を介してアンビル74に接続され得、トウ端は、アクチュエータ77が延在位置に向かって移動するときに補強材と選択的に係合するように構成されている丸みを帯びた外面を有し得る。アクチュエータ77は、ヒール端とトウ端との間の場所でシュー75に枢動可能に接続され得、それにより、アクチュエータ77によって生成され、シュー75の丸みを帯びた外面によって補強材に適用された力を増大させる機械的利点を提供する。
【0047】
一実施形態では、シュー75の係合運動は、補強材が(例えば、サブアセンブリ64に張力をかけることによって)アンビル74を通して逆方向に付勢される際に、補強材に適用されたクランプ力を増加させるように機能し得る。例えば、モーメントは、シュー75のトウ端で生成され得、これは、より大きな力でシュー75を下層のアンビル74のベース表面に引き出し、それにより、補強材上により多くの摩擦を生じさせる。その後、補強材が通常の払出し方向に引き出される際、シュー75を補強材から係止解除する逆モーメントが生成され得、補強材上の摩擦レベルの低下をもたらす。一実施形態では、アンビル74および/またはシュー75用に選択される材料は、低摩擦材料(例えば、青銅、PTFE、FEPなど)であり得る。別の実施形態では、アンビル74および/またはシュー75のいずれかは、低摩擦材料でコーティングされてもよい。
【0048】
クランプモジュール46は、所望の場合、クラッチベアリングを有する1つ以上のローラと交換することができることが企図される。補強材は、通常の払出し方向において自由に通過するが、ベアリングは、逆方向における回転が抑制される。この設計は、ヘッド16を通る補強材の移動にある程度の戻り張力を追加しながら、より単純で安価であり、タイミング制御をほとんどまたはまったく必要としない可能性がある。
【0049】
図12に示されるように、含浸モジュール48は、とりわけ、母材リザーバ78と、リザーバ78から母材を引き出すために流体接続された1つ以上のポンプ82と、ポンプ82から加圧された母材を受容するために流体接続された湿潤機構84と、を含む、サブアセンブリであり得る。一実施形態では、2つの循環ポンプ82が含まれ、互いに対して位相シフトされ、その結果、機構84は、加圧母材の一貫した流れ(すなわち、顕著な圧力脈動のない流れ)を提供される。別の実施形態では、単一の定圧ポンプが利用される。
【0050】
開示された実施形態では、リザーバ78は、ヘッド16内に、クリール19に取り付けられたスプール全体または補強材の他の供給部60を湿潤させるのに十分な量の母材を含有するように構成された局所容器である(
図1を参照)。この実施形態では、リザーバ78は、洗浄、交換、および/または補充を可能にするために、迅速に取り外し可能な様式でポンプ82に接続され得る。いくつかの実施形態では、所望される場合、リザーバ78は、残りの含浸モジュール48から遠隔で取り付けることができることが企図される。例えば、リザーバ78は、支持体14上の別の場所に、またはさらには台の外に取り付けられ得、外部導管(図示せず)の手段によって接続され得る。さらに、リザーバ78は、消耗したときに定期的に交換される消耗品カートリッジを具体化することができることが企図される。
【0051】
図12内に見られ得るように、機構84は、湿潤している関連する補強材にわたって、母材内に圧力差を生成するために協調する構成要素のサブアセンブリであり得る。これらの構成要素は、とりわけ、ベース106と、カバー108と、カバー108をベース106に取り外し可能に接続するように構成された任意の数の留め具(例えば、ボルト、留め金、ヒンジ、バックルなど)109と、を含み得る。ベース106およびカバー108のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの圧力表面104を含有し得る。開示された実施形態では、単一の圧力表面104のみが含まれ、ベース106内にだけ位置付けられる。この実施形態では、カバー108は、スレッディング、洗浄などの目的のために圧力表面104へのアクセスを提供し得る。しかしながら、複数の圧力表面104が、代替的に、ベース106内にだけ、カバー108内にだけ、またはベース106およびカバー108の組み合わせ内にだけ含まれ、位置付けられることができることに留意されたい。
【0052】
開示された例では、圧力表面104は、横方向に平坦であり(すなわち、機構84を通る補強材の進行方向に対して)、約90°の弧角を有する縦方向に丸みを帯びた表面である。圧力表面104は、機構84が機能するように設計される、対応する補強材の直径よりも各々大きい幅および高さを有し得る。圧力表面104の角度および/または半径は、補強材の直径の関数、所望の補強材対母材比、および/または補強材が通過する際、および圧力表面104に対する補強材内の張力のレベルであり得ることに留意されたい。補強材の特性(例えば、脆性、補強材の直径、補強材の密度など)が、圧力表面104の角度および/または半径に追加的に影響を及ぼし得ることもまた企図される。最後に、圧力表面104は、所望の場合、代替的または追加的に横方向に丸みを帯びることができることが企図される。
【0053】
ポンプ82によって加圧された母材は、圧力表面104の上流の場所で機構84の内側の補強材を通過し得る。流体の流れを促進するために、通路110は、上流の場所で、ポンプ82からベース106まで(および/または圧力表面104がその中に位置付けられる場合はカバー108から)内部および/または外部に延在し得る。複数の圧力表面104を有する実施形態では、複数の通路110が含まれ得、各々が特定の圧力表面104と別個に関連付けられ得ることが企図される。圧力表面104の側面に1つ以上の封止部112が位置付けられて、そこからの望ましくない漏れを抑制することができる。
【0054】
モジュール48の任意の部品は、母材および/または構造物12の他の特性による補強材の湿潤に選択的に影響を及ぼすように、加温、冷却、または別様に調整され得る。開示された例では、モジュール48は、通路110および/または機構84に関連するヒータ(例えば、1つ以上の加熱された電極-図示せず)の手段によって暖められる。1つ以上のセンサ(図示せず)は、ヒータ(または別の調整デバイス)と対にし、コントローラ20に方向付けられたフィードバック信号を生成するように構成(例えば、位置付けおよびプログラム)することができる。
【0055】
代替的な湿潤機構114が、
図13~
図15に例解される。湿潤機構84と同様に、湿潤機構114は、遠隔ソース(例えば、ポンプ82から)から液体母材を受容し、圧力勾配を生成して、母材を補強材に通すように力を加える、少なくとも1つの圧力表面を含み得る。しかしながら、湿潤機構84の静止した丸みを帯びた表面とは対照的に、湿潤機構114は、複数の回転する円筒形の圧力表面を含み得る。例えば、湿潤機構114は、一次表面116と、一次表面116から下流に位置付けられた任意の数(例えば、3つ)の二次表面118と、を含み得る。補強材は、第1に表面116で湿潤され、異なる側面から表面118の各々の周りを交互に包み込むことができる。
【0056】
ポート120は、補強材が最初に接触する場所の上流で、表面116の外側環状部分上に母材を供給し得る。この母材は、表面116のエンドフランジ122および補強材の第1の側面によって形成されるチャネル内に閉じ込められ得、その結果、補強材の表面116の外側環状部分との係合は、母材の圧力を増加させ、上で説明された勾配を生成する。開示された実施形態では、補強材は、次の表面118に延在する前に、表面116の周囲約170~190°(例えば、約180°)を包み込む。表面116の環状部分は、所望の際、完全に円筒形、凹状、または凸状であり得ることが企図される。凹状表面は、補強材の個々の繊維を分離し、それにより、湿潤を強化するのに役立ち得る。
【0057】
開示された実施形態では、過剰な母材(すなわち、補強材によって取り上げられない母材)は、表面116から収集リザーバ124に滴下し得る。リザーバ124は、三日月形状であり、表面116と同心であり、表面116の下に重力的に位置付けられ、表面116の周囲を越えて半径方向内側に延在してもよく、その結果、リザーバ124は、母材で充填されるときに、収集容器および補強材のための追加の液槽の両方として機能し得る。オーバーフローポート126は、リザーバ124の縁部を越えて母材の望ましくない漏れを抑制するために、リザーバ124の側面に形成され得る。
【0058】
補強材は、補強材の反対側の側面に交互に位置付けられた表面118の各々にわたって通過し得る。これは、表面116およびリザーバ124から取り上げられた液体母材が補強材の幅にわたって均等に分配されることを確実にするのに役立つ、交互の圧力勾配を生成し得る。表面118の各々は、補強材が乗り得るチャネルを形成するために、表面116と同様に成形され得る。表面118の直径は、表面116の直径とほぼ同じか、または表面116の直径より小さくてもよい。
【0059】
いくつかの用途では、湿潤に関する追加の制御が有益な場合がある。これらの用途では、追加の湿潤デバイス130は、機構114の下流に位置付けられ得る。
図12に示されるように、デバイス130は、出口断面積よりも大きい入口断面積を有するノズルを具体化し得る。一実施形態では、入口および/または出口の断面積は、長方形の補強材が、その中を通過中に歪まないように略長方形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、ノズル出口における長方形の形状は、所望の場合、形状を付与するように(例えば、その一定の幅を低減および/または提供するように)設計され得る。しかしながら、他の実施形態では、別の形状(例えば、円形)が、正確に製作するためにより単純かつ/またはより安価であってもよい。
【0060】
ノズル出口における断面積は、所望の繊維体積分率(FVF)または補強材対母材の比を提供するように選択され得る。開示された実施形態では、ノズル出口における断面積は、約30~60%のFVFを提供するように選択され得る。すなわち、ノズル出口における断面積は、その中を通過する補強材の断面積の約0.67~2.5倍であり得る。デバイス130は、いくつかの用途では、その中を通過中の補強材への損傷を低減する低摩擦材料でコーティングされ得る。
【0061】
ノズル出口の断面積は、その中を通過する補強材に付着している過剰な母材をこすり落とすように機能し得、過剰な母材は、ノズル内に蓄積し得る。その後、母材が少なすぎる補強材がデバイス130を通過する際、蓄積された母材の体積は、補強材のための追加の液槽として機能し得、補強材が追加の母材を取り上げることを可能にする。いくつかの用途では、過剰な樹脂が、意図的にデバイス130にポンプで送られ、その結果、少なくともいくつかの樹脂がノズル内に蓄積する。例えば、補強材を完全に飽和させるのに必要な量の2~3倍の樹脂が、デバイス130にポンプで送られ得る。オーバーフローポート132は、デバイス130の上縁部を越えて漏れ得る前に、余分な母材を引き抜くように位置し得る。デバイス130から、湿潤された補強材が、モジュール52に通過し得る。
【0062】
図16、
図17および
図18に示されるように、モジュール52は、ヘッド16を通して補強材を選択的に供給するために協調する構成要素のサブアセンブリであり得る。これらの構成要素は、とりわけ、スイングアーム136と、スイングアーム136の第1の端部に位置付けられた供給ローラ138と、スイングアーム136の中央部分に取り付けられ、(例えば、ベルト141およびプーリ142を介して)供給ローラ138の回転を駆動するために動作可能に接続された回転アクチュエータ140(例えば、モータおよび/またはギアボックスの組み合わせ)を含み得る。スイングアーム136は、概して、枢動ポイント143で(例えば、ピンを介して-図示せず)スレッド24の取り付けプレート36(
図6~
図9を参照)に回転可能かつ取り外し可能に接続可能である直角三角形を具体化し得る。この実施形態では、枢動ポイント143は、対応する斜辺の反対側の三角形の直角部分に位置付けられ、供給ローラ138は、斜辺と最短の脚部との交点に位置付けられる。リニアアクチュエータ(例えば、空気圧ピストン-明確にするために
図17にのみ示されている)144は、スイングアーム136の残りの三角形の角部をプレート36に枢動可能に接続し得る。この構成では、アクチュエータ140の延在または後退は、スイングアーム136、供給ローラ138、および回転アクチュエータ140を、それぞれ、時計回りおよび反時計回りの方向において枢動ポイント143の周囲で回転させるように機能し得る。スイングアーム136は、所望の場合、別の形状(例えば、直角三角形ではない形状)を有することができることに留意されたい。
【0063】
スイングアーム136は、係合位置と係合解除位置との間で枢動し得る。スイングアーム136が(例えば、リニアアクチュエータ144の延在によって引き起こされる)係合位置にあるとき、供給ローラ138は、圧縮モジュール54(
図6~
図9を参照)に対して押圧されて、それらの間に補強材を挟むことができる。このとき、回転アクチュエータ140の駆動回転により、供給ローラ138がヘッド16から補強材を押下し得る。供給ローラ138は、主に、母材で湿潤された補強材の遊端がヘッド16から押下される、新しい印刷事象の開始中に使用され得る。スイングアーム136が(例えば、リニアアクチュエータ144の後退によって引き起こされる)係合解除位置にあるとき、供給ローラ138は、圧縮モジュール54から離れてもよく、補強材の移動にはほとんど、またはまったく影響を及ぼさない。
【0064】
いくつかの用途では、補強材が母材で湿潤されるとき、補強材が供給ローラ138に望ましくなく付着する可能性があることが見出された。別段の要因がない限り、その後、供給ローラ138が係合解除位置に移動されたときでさえ、補強材が供給ローラ138の周りに巻き付く可能性がある。補強材が供給ローラ138に付着することなくヘッド16を通って供給されることを確実とするために、加圧媒体(例えば、空気または不活性ガス)の流れが、供給ローラ138を通過し、かつ補強材に対して通り、補強材を供給ローラ138の表面から半径方向に離れる方向に押下することができる。この媒体は、供給ローラ138の端部に位置付けられたポート146を通って方向付けられ、中空シャフト148を介して供給ローラ138に軸方向に通過し、任意の数のオリフィス150を介して供給ローラ138から半径方向に噴射し得る。シャフト148は、任意の数およびタイプのベアリング152を介してスイングアーム136に取り付けられ得る。
【0065】
図19、
図20および
図21に示されるように、オリフィス150は、約90~250°(例えば、約240°)の円弧αを通って延在する、1つ以上の円周方向の列において配置され得る。この弧の長さは、供給ローラ138の直径と組み合わされて、補強材のタグ端部全体が、供給ローラ138からモジュール54上に押下することができるように、弧の長さαが供給距離にほぼ等しくなることを確実にするために役立ち得る。開示された実施形態では、オリフィス150の5つの円周方向の列が含まれ、オリフィス150は、隣接する列の間でずらされてもよい。供給ローラ138上のオリフィス150の列にわたる外面幅wは、供給ローラ138の軸方向長さlの約1/2であり得る。
【0066】
供給ローラ138および/またはモジュール54の直径は、上で説明された補強材の付着に追加的に影響を及ぼし得ることが見出された。例えば、供給ローラ138のより小さい直径(すなわち、モジュール54の直径よりも小さい)は、湿潤した補強材がモジュール54に付着し、それに続く可能性がより高くなり得る。一例では、供給ローラ138の円周は、供給ローラ138の1回転未満で、補強材を切断の場所からモジュール54のツール中心点(TCP)に前進させるために十分な大きさであり得る。以下の供給ローラ138の説明から理解されるように、この関係は、補強材の意図しない切り離しを防止し得る。概して、供給ローラ138は、モジュール54の直径の約3/4であり得、補強材は、モジュール54の円周の約110°を包み込むことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、供給ローラ138は、切断機構として追加的に機能してもよい。例えば、切断デバイス(例えば、軸方向に延在するブレード)154は、供給ローラ138の外面に取り付けられ、供給ローラ138の外面を超えて半径方向に外側に延在し得る。切断デバイス154は、(例えば、供給ローラ138に凹設された1つ以上の留め具156を介して)供給ローラ138に取り外し可能に接続され得、その結果、切断デバイス154は、定期的に整備および/または交換することができる。切断デバイス154は、アクチュエータ144(
図17を参照)の制御された延在を介して(例えば、コントローラ20によって)選択的に作動し得、これにより、切断デバイス154は、補強材を通して、かつモジュール54の一部分に対して半径方向に押下される(
図6を参照)。
【0068】
切断デバイス154の円周方向の場所は、オリフィス150の場所および供給ローラ138の通常の回転方向(例えば、矢印158によって表現される)に対して戦略的に選択され得る。例えば、切断デバイス154は、オリフィス150を導くように位置し得、オリフィス150の弧αは、切断デバイス154で、または切断デバイス154のすぐ後方で開始し得る。この配置は、切断デバイス154によって切り離された補強材の遊端が、その後の新しい経路を留めるために切断デバイス154から離れ、モジュール54に向かって直ちに押下されることを可能にし得る。
【0069】
供給ローラ138の配向は、センサからのフィードバックに基づいて、コントローラ20によって選択的に調節され得る。開示された実施形態では、センサは、関連する受信機(例えば、電子アイ、カメラ、半導体、電子回路など-
図16にのみ示されている)162によって検出される、1つ以上の要素(例えば、埋め込まれた磁石、スロット付きディスク、光学ストライプなど-
図19にのみ示される)164を有する非接触センサである。割り出し要素164が受信機162の近接内に設置されるとき、受信機は、近接に対応する信号を生成し得る。この信号は、アクチュエータ140および/または144を作動させる際のさらなる処理ならびに使用のためにコントローラ20に方向付けられ得る。
【0070】
図22、
図23、および
図24は、例示的なモジュール54の様々な図を例解する。これらの図に示されるように、モジュール54は、ヘッド16からの吐出中に母材湿潤補強材を選択的に圧縮する、および/または少なくとも部分的に硬化させるように相互作用する複数の構成要素の自己完結型アセンブリであってもよい。これらの構成要素は、とりわけ、離間されたベアリング166の間のスレッド24のプレート36に回転的に取り付けられる中空シャフト165と、エネルギー(例えば、光)をシャフト165に方向付けるように構成されたソース168と、シャフト165の周囲に位置決めされた分配器170と、分配器170上に取り付けられた1つ以上のカバー(例えば、伸展性内側カバー172および/または保護外側カバー174)と、を含み得る。シャフト165の中空内部に軸方向に方向付けられたエネルギーは、シャフト165の内部端部に位置付けられる光学部品(例えば、バッフル、レンズ、鏡、研磨表面など-
図24にのみ示される)176、およびシャフト165の中空内部と交差する1つ以上の半径方向通路177によって分配、集束、および/または半径方向外向きに再度方向付けされ得る。エネルギーは、分配器170の1つ以上の軸方向に延在する円周方向スロット178を通過し得、次いで、エネルギー(例えば、約405nmの波長などの、約350~450nmの波長の光エネルギー)に対して少なくとも部分的に透明(例えば、約70~99%透明)であり得る、関連するカバーを通過し得る。いくつかの実施形態では、スロット178は、各々カバーを支持するために役立つ透明なスペーサ180と嵌合され得る。いくつかの実施形態では、スペーサ180は、エネルギーをさらに集束、増幅、分配、および/または向けるために機能する光学部品であり得る。
【0071】
図6~
図9に示されるように、モジュール54は、吐出端においてヘッド16から他のモジュールよりもさらに延在し得る。換言すると、モジュール54(例えば、カバー174の外面)は、ヘッド16の先端部またはTCPを形成し得る。開示された実施形態では、ヘッド16は、ノズルレスであり得る。したがって、ヘッド16のTCPは、カバー174の外面と構造物12の活性表面(例えば、モジュール54が湿潤補強材を表面上に押下する)との間の、軸方向に配向された接触線に対応し得る。TCPはまた、ヘッド16からモジュール54を通って構造物12の表面上に押圧されている補強材に通過する最大力のベクトルに対応し得る。TCPは、例えば、ヘッド16が印刷表面に対しておよび/または進行方向に対して(例えば、空きスペースに印刷するとき)支持体14(
図1を参照)によって傾斜する際、シフトし得ることに留意されたい。
【0072】
ヘッド16からの材料の吐出中、モジュール52の供給ローラ138は、モジュール54の外側カバー174と定期的に係合し得る。補強材供給中のこの係合により、供給ローラ138は、回転運動を(例えば、逆方向において)外部カバー174、関連する任意の内部カバー172、および分配器170に伝達することが可能になり得る。補強材が供給ローラ138と外側カバー174との間に挟まれている状態で、これらの構成要素の逆回転により、補強材がヘッド16から押下され得る。
【0073】
一実施形態では、モジュール54の供給ローラ138および外側カバー174は、ヘッド16を通して補強材を供給し、補強材の望ましくない付着を抑制するのに役立つ、異なる表面特性を有し得る。例えば、外側カバー174は、より平滑であり、および/または供給ローラ138の外面とは異なる材料で作製され得る。一実施形態では、外側カバーは、低摩擦材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン-PTFE、フッ素化エチレンプロピレン-FEPなど)から製作することができ、一方、供給ローラ138の外面は、高摩擦材料(例えば、アルミニウム)から製作され得る。一例では、FEPは、PTFEと比較するときにその透明性が高いことに起因して、外側カバー174用に利用され得る。供給ローラ138の外面は、所望の場合、その摩擦をさらに増加させるために粗面化(例えば、ビードブラスト)され得る。
【0074】
内側カバー172は、約20~50Aショア(例えば、約40Aショア)の硬度を有し得、外側カバー174は、切断中の寿命を増加させるためにより大きい硬度を有し得る。内側カバー172の結果として生じる伸展性は、モジュール52および54の位置決めにおいて高い精度を必要とすることなく、補強材上の適切な係合および圧縮力を可能にし得る。内側カバー172の伸展性はまた、構造物12との係合領域において平坦なスポット179をもたらし得る(
図1を参照)。平坦なスポット179は、母材湿潤補強材がモジュール54からの係合解除、および構造物12のみに付着することに役立ち、また、補強材が構造物12の下層に対してより平らになることに役立ち得る。加えて、内部カバー172の伸展性は、切断デバイス154がモジュール54への距離を押下することを可能にし、それにより、モジュール52の切り離し性能を改善し得る。外側カバー174は、切断デバイス154との係合に起因して、定期的に交換する必要があり得る。外側カバー174の厚さは、内側カバー172の厚さよりも薄くてもよく、その結果、内側カバー172の伸展性は、より硬い外側カバー174を通して依然として有効であり得る。例えば、内側カバー172は、外側カバー174の厚さの約5~25倍であり得る。
【0075】
エネルギーはモジュール54を通して母材湿潤補強材に方向付けられ得るため、TCPにおける硬化(例えば、直前、真上、および/または直後)が可能であり得る。TCP位置から離れる補強材の、あったとしてもわずかな動きが起こる前に、補強材を留めるのに十分な硬化が起こり得ることが考えられる。これにより、補強材の設置精度が向上し得る。母材は、外面でのみ硬化され得る(例えば、所望の形状を留めるおよび/または維持するのに十分である)、または母材は、(あらゆる外部環境曝露に加えてまたはそれなしに)ソース168からのエネルギーのみへの曝露によって完全硬化され得ることが考えられる。しかしながら、いくつかの用途では、構造物12の完成後に追加のエネルギー曝露(例えば、オーブンベーキング、オートクレーブ加熱など)が必要となる可能性がある。
【0076】
一実施形態では、分配器170の幾何学形状は、TCPでソース168からのエネルギーを集束させるように選択される。例えば、幾何学形状は、エネルギーが他のスロット178を通過するのを抑制しながら、ソース168からのエネルギーが、TCPと角度的に位置合わせされたスロット178のみを通過することを可能にし得る。より狭いスロット178を有するより厚い壁の分配器170は、さらに焦点を合わせた曝露領域を有し得る。開示された例では、スロット178は、分配器170上を通過する補強材の幅の約0~2倍の軸方向長さを有し得る。
【0077】
図25、
図26、および
図27に示されるように、モジュール54の上で説明した機能は、所望の場合、複数の連続して後続する構成要素またはデバイスの間で分配されてもよい。例えば、第1のローラ400は、吐出補強材によって直接係合され、補強材を下層の表面に対して押圧するために位置してもよい。第2のローラ402は、第1のローラ400の後に後続し、後続エネルギー源404による硬化中に補強材を押さえるように機能し得る。
【0078】
第1のローラ400は、ばね406を介して、下層の表面に対して垂直な方向に付勢され得る。
図22および
図23のモジュール54と同様に、
図25~
図27の第1のローラ400は、シャフト165、ベアリング166、内部カバー172、および外部カバー174を含み得る。しかしながら、モジュール54とは対照的に、第1のローラ400は、分配器170を含まないか、またはソース168に接続され得る。加えて、シャフト165は、中空であっても、または中空でなくてもよく、光学部品176または通路177を含まなくてもよい。すなわち、第1のローラ400は、いかなる硬化機能も有さない可能性がある。
【0079】
第2のローラ402は、第1のローラ400の後方の距離に後続し、より小さい直径(例えば、第1のローラ402の直径の1/4~1/2)を有し、硬化機能を備えて構成され得る。第1の実施形態では、第2のローラ402は、ソース168からのエネルギーが第2のローラ402の少なくとも部分的に透明な表面を通って、下層の補強材に半径方向外向きに通過するように、光学部品176および/または通路177を組み込んだシャフト(例えば、シャフト165に類似したシャフト)408上に乗り得る。第2の実施形態では、後続エネルギー源404からのエネルギーは、(例えば、通路177から発する光に加えて、またはその代わりに)第2のローラ402に、および第2のローラ402から(例えば、完全に通過して)そのつかみ点に半径方向に方向付けられ得る。しかしながら、所望の場合、後続エネルギー源404は、第2のローラ402の後方の場所で補強材に衝突するように方向付けることができることが企図される。これらの硬化促進エネルギー配置の任意の組み合わせが可能であり得る。エネルギー源404は、例えば、UV光、および光から所望の硬化場所まで延在する任意の数の光学管を含み得る。第2のローラ402に対して切断が実施されない可能性があるので、第2のローラ402は、カバー172もしくは174のうちの一方または両方を必要としない場合がある。
【0080】
いくつかの実施形態では、後続の硬化源404および/または内部硬化源168からのエネルギーが、第1のローラ400に向かって前方に通過することを抑制され得ることに留意されたい。例えば、光シールド409が、第2のローラ402の前側に設置されて、エネルギーを遮断し得る。このエネルギーの遮断は、第2のローラ400と接触する前に母材が硬化する可能性を低減させ、それにより、補強材の設置精度、層間剪断強度、および構成要素の寿命を改善し得る。
【0081】
開示された実施形態では、第2のローラ402および後続の硬化源404は、それらの相対位置が固定されるように、共通のブラケット411に取り付けられ得る。ブラケット411は、ベアリングレール413に沿って摺動することによって、スレッド24の残りの部分に対して移動するように構成され得る。ブラケット411は、第2のローラ402および後続の硬化源404とともに、下層の材料に向かって(例えば、ばね415を介して)付勢され得る。
【0082】
モジュール54のさらに追加の代替案が、
図28、
図29、および
図30に示され得る。例えば、
図28および
図29に示されるように、第2のローラ402は、シュー410と交換され得る。シュー410は、伸展性材料(例えば、スポンジ状の発泡体)から製作され、ローラ400によって下層の表面上にすでに押圧される湿潤補強材に対して圧縮力を及ぼすように構成され得る。シュー410は、補強材に向かって付勢されても、または付勢されていなくてもよく、エネルギー源404は、シュー410の後方の場所で補強材に向かって向けられ得る。この実施形態では、シュー410は、ソース404からのエネルギーが上流の場所(例えば、第1のローラ400)に到達するのを遮断するためのシールドとして機能し得る。シュー410が補強材に向かって付勢される用途では、シュー410の付勢は、第1のローラ400の付勢未満であり得る。この段階的な付勢は、その軌道に沿って補強材に適用されている圧力の増加をもたらし得、補強材の望ましくないふらつきおよび/または補強材からの母材の絞り込みの可能性が低くなる。
図30の実施形態に示されるように、ローラ400およびシュー410の順序は、ヘッド16の進行方向に対して逆であり得る。
【0083】
図29~
図30の実施形態では、ガイド412は、実施形態に応じて、垂直軸(例えば、スレッド24の摺動軸-
図2を参照、および/もしくはローラ400の圧縮軸)に対して、ならびに/またはヘッド16の進行方向に対して(例えば、進行方向が垂直軸に対して直交するとき)斜角で、第1のローラ400またはシュー410のニップ点(例えば、外面の接線)に、補強材を方向付けるために位置決めされ得る。補強材の場所は、ソース404からのエネルギーに曝露されるまで恒久的に固定されない可能性があるため、この配向は、補強材が所望の場所から離れることをさらに抑制するのに役立ち得る。一実施形態では、ガイド412は、デバイス130のノズルとして機能し得る(例えば、デバイス130は、
図29~
図30に示される位置に位置付けられ得る)。
【0084】
図29に示されるように、ソース404は、硬化エネルギーを、補強材に向かって垂直方向において、ならびに補強材の横側に直接下向きに方向付ける複数(例えば、3つの後続の光学管)を含み得る。
図30に示されるように、1つ以上の光学管は、エネルギーを、ローラ400を通して通過させるために追加的に位置付けられ得る。
【0085】
左右交互に傾斜することに加えて、任意の光学管は、前後方向または進行方向のヘッド16において追加的に傾斜し得ることが企図される。例えば、
図30は、エネルギーが第1のローラ400の下流の場所にのみ衝突するように、光学管が前方向に傾斜していることを例解する。これは、母材が硬化し、ローラ400上に蓄積しないことを確実とするのに役立つ可能性がある。しかしながら、光学管を反対方向に傾斜させると(例えば、
図25に示されるように)、ローラ400のニップ点またはTCPの近くでの硬化をもたらし、それにより、補強材の設置精度を高め得る。光学管の左右交互の傾斜は、垂直方向から水平方向の範囲であり得、(フォームファクタの損失ではあるが)角度が増加するにつれて硬化が向上する。前方向への傾斜は、硬化場所をニップ点にできるだけ近づけながら、上流の硬化を抑制する角度に制限され得る。後方向への傾斜は、フォームファクタによってのみ制限され得る。
【0086】
産業上の利用可能性
開示されたシステムおよび印刷ヘッドは、任意の所望の断面サイズ、形状、長さ、密度、および/または強度を有する複合構造物を製造するために使用され得る。複合構造物は、同じまたは異なるタイプ、径、形状、構成の任意の数の異なる補強材を含むことができ、各々が共通の母材でコーティングされているものからなる。ここで、システム10の動作を、
図1~
図30を参照して詳細に説明する。
【0087】
製造事象の開始時に、所望の構造物12に関する情報は、システム10に(例えば、支持体14および/またはヘッド16の動作の調節を担うコントローラ20に)ロードされ得る。この情報は、とりわけ、サイズ(例えば、径、壁の厚さ、長さなど)、形状、輪郭(例えば、軌道)、表面の特徴(例えば、隆起のサイズ、場所、厚さ、長さ;フランジのサイズ、場所、厚さ、長さなど)および仕上げ、接続幾何学形状(例えば、カプラ、T継手、スプライスなどの場所およびサイズ)、場所固有の母材の規定、場所固有の補強材の規定、圧縮要件、硬化要件などを含み得る。この情報は、代替的または追加的に、所望の場合、製造事象中に異なる時間で、および/または継続的にシステム10にロードされ得ることに留意されたい。
【0088】
構成要素情報に基づいて、1つ以上の異なる補強材および/または母材が、ヘッド16に選択的に装填され得る。例えば、供給部60は、クリール19上に装填され(
図10を参照)、リザーバ78は、母材で充填され得る(
図12を参照)。次に、製造イベントの開始前に、補強材をヘッド16に通すことができる。スレッディングは、リダイレクト72およびアイドラ66の周囲の供給部60から(
図10を参照)、次いでアンビル74の開口部およびシュー75の下を通って(
図11を参照)補強材を通過させることを含み得る。次いで、補強材は、湿潤機構84(例えば、表面104上-
図12を参照)、114(表面116および/もしくは118の周囲)ならびに/または130(例えば、ノズルを通る)を通過し得る。次いで、補強材は、モジュール52の供給ローラ138とモジュール54の外側カバー174との間を通過し得る。
【0089】
このスレッディングのうちのいくつかまたはすべては、手動または自動で遂行されてもよい。例えば、供給ローラ138がアクチュエータ144によってモジュール54から離れるように枢動するときに(
図16~
図17を参照)、補強材は、モジュール52と54との間を同時に通過し得る。別の例では、供給ローラ138がアクチュエータ144によってモジュール54と係合するときに、供給ローラ138は、アクチュエータ140によって駆動されて、同時に他の構成要素を通して補強材を引き出し得る。スレッディングが完了した後、ヘッド16は、母材コーティングされた補強材を吐出する準備ができている可能性がある。
【0090】
ヘッド16に材料(例えば、補強材および母材)が装填されると、始動シーケンスが開始され得る。これは、例えば、センサ160/162から受信した入力に基づいて、供給ローラ138のホーミングを含み得る。例えば、供給ローラ138は、アクチュエータ140によって、切断デバイス154の下流の場所における供給ローラ138の外面および補強材が、オリフィス150の空気流路内にあるという角度まで回転させることができる。次いで、供給ローラ138は、アクチュエータ144によって、モジュール54に向かって移動して、それらの間の補強材をつまむことができ、オリフィス150を通って半径方向外向きの空気(または別の媒体)の流れが、開始し得る。
【0091】
次いで、モジュール54が作動して、硬化エネルギーを、スロット178を通して半径方向外向きに方向付けることができる。モジュール54の作動前に供給ローラ138をホーミングすることによって、切断デバイス154は、モジュール54から離れる方向に配向され、硬化エネルギーから遮蔽され得ることに留意されたい。これは、切断デバイス154上の母材の硬化および蓄積を抑制し得る。モジュール54がアクティブである間、アクチュエータ140は、供給ローラ138を回転させ、モジュール54の周囲の(例えば、切断場所から、モジュール54のTCPおよびニップ点まで、またはそれを超える)補強材の遊端を供給するために通電され得る。次いで、供給ローラ138は、アクチュエータ144の回転を介してモジュール54から離れて後退し得、オリフィス150を通る空気の流れは、停止され得る。次いで、供給ローラ138は、切断デバイス154が再び硬化エネルギーから遮蔽されるように、その開始位置に向かって戻るように回転し得る。その後、ヘッド16は、任意の軌道で移動されて、母材湿潤補強材をヘッド16から既存の表面上および/または自由空間に引き出して、構造物12を形成し得る。
【0092】
ヘッド16からの湿潤補強材の吐出中に、モジュール54は、補強材の上を回転し得る。カバー174の外面によって適用される圧力は、構造物12の隣接する(例えば、下層の)層に対して補強材を押圧し、それにより、材料を圧縮することができる。ソース168は、ヘッド16からの材料吐出中および圧縮中にアクティブのままであり得、その結果、材料の少なくとも外側部分は、下層の層に留められたままであり、ならびに/またはその吐出された形状および場所を維持するのに十分に硬化され固まる。いくつかの実施形態では、母材の大部分(例えば、すべて)は、ソース168からのエネルギーへの曝露によって硬化され得る。
【0093】
モジュール54によって生成される硬化エネルギーの量は、可変であり得ることに留意されたい。例えば、エネルギーは、ヘッド16の他のパラメータ(例えば、進行速度)に関連するレベルで生成することができる。例えば、ヘッド16の進行速度が増加し、ヘッド16からの補強材の吐出速度が比例して増加するにつれて、モジュール54によって生成され、吐出材料に向かって方向付けられるエネルギーの量も同様に増加し得る。これにより、一定のエネルギー単位を、補強材をコーティングする母材によって様々な条件下で受容することが可能になる。所望の場合、特定の条件中(例えば、固定中、自由空間印刷中、構造物12の特定の幾何学的場所など)に、より大きな単位のエネルギーを受容することも可能である。
【0094】
構成要素情報を使用して、システム10の動作を制御することができる。例えば、補強材は、(母材とともに)ヘッド16から吐出され得、一方支持体14は、硬化中に所望の様態でヘッド16を選択的に移動させ、それにより、結果として生じる構造物12の軸は、所望の軌道(例えば、自由空間、非支持、3D軌道)に従う。加えて、モジュール48は、補強材が正確かつ所望の量の母材で湿潤されるように、コントローラ20によって注意深く調節され得る。例えば、ヘッド16を通る補強材の供給速度を示すエンコーダ73によって生成された信号に基づいて、コントローラ20は、アクチュエータ102の速度を選択的に増加または減少させて、湿潤機構84に対応する母材の供給速度を提供し得る。このようにして、ヘッド16の進行速度に関係なく、母材対補強材の所望の比を、常に維持することができる。
【0095】
上で考察したように、ヘッド16からの母材湿潤補強材の払出し中に、サブアセンブリ64は、補強材内の所望のレベルの張力を維持するように機能し得る。いくつかの用途では、張力のレベルが可変であり得ることに留意されたい。例えば、張力レベルは、固定中および/またはその直後に低くして、接着力が低くなり得る時間中に、補強材の引き出しを抑制することができる。張力レベルは、切り離すための準備として、および/または材料の吐出の間の時間中に低下させることができる。吐出材料における安定性を増加させるために、自由空間印刷中、より高いレベルの張力が望ましい場合がある。張力レベルを変化させる他の理由もまた企図される。張力のレベルは、アクチュエータ62がオン/オフされたとき、かつ/またはセンサ70からの信号に応答してアクチュエータ62によって適用される速度および/もしくはトルクに関連する閾値調整を介して調整され得る。
【0096】
材料吐出の期間の後、(例えば、製造事象を完了するため、および/または材料を吐出する新しいトラックの再開に関してヘッド16を構造物12の別の領域に移動させるために)補強材を切り離すことが必要になる場合がある。この時点で、アクチュエータ140(
図16および
図17を参照)は、切断デバイス154(
図19~
図21を参照)をモジュール54に向かって配向された適切な位置に割り出すために、(例えば、コントローラ20によって-
図1を参照)選択的に作動し得る。その後、アクチュエータ140は、供給ローラ138および切断デバイス154をモジュール54に向かって枢動させ、それにより、それらの間に位置付けられた補強材を切り離すように作動し得る。いくつかの用途では、モジュール46は、切り離す前に補強材をクランプするように選択的に作動し得、その結果、切り離しは、(例えば、補強材内の張力によって引き起こされる)ヘッド16を通る補強材の逆方向の移動をもたらさない。モジュール46は、次の吐出事象に備えて、切断された補強材の遊端がTCPにフィードバックされるまで係合されたままであってもよい。供給ローラ138および切断デバイス15dモジュール54の枢動は、補強材の設置精度を維持しながら、補強材の切り離しをその場で完了できるように、ヘッド16の運動および他の動作と同期させられ得ることに留意されたい。
【0097】
一実施形態では、切断デバイス154は、切り離し中に配向されて、残りのタグ端の長さを選択的に増加または減少させてもよい。例えば、切断デバイス154をモジュール54の中心を通して(すなわち、分配器170の軸を通して)半径方向に配向するのではなく、切断デバイス154は、モジュール54の中心と外側カバー174への接線との間の場所に前方または後方にクロッキングされ得る。モジュール54の回転方向に対してさらに前方に切断デバイス154をクロッキングすると、より長いタグ端をもたらし得る。逆に、切断デバイス154を逆方向にクロッキングすると、より短いタグ端をもたらし得る。
【0098】
その後、材料の新しいトラックの吐出を再開するために、(コントローラ20の調節下で)支持体14は、ヘッド16を新しい開始領域に移動させてもよい。供給ローラ138は、アクチュエータ144の作動を介して後退し得、モジュール54は、タグ端にわたって回転し、それにより、新しいトラックの吐出を開始させ得る。
【0099】
開示されたシステムおよびヘッドに様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。他の実施形態は、開示されたシステムおよびヘッドの仕様および実施を考慮すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は単なる例示とみなされ、真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示されることが意図されている。
【国際調査報告】