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特表2023-513998冷却剤貯蔵器および循環組立体ならびにシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】冷却剤貯蔵器および循環組立体ならびにシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20230329BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230329BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230329BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20230329BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20230329BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20230329BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20230329BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20230329BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20230329BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M50/227
H01M50/231
H01M50/224
H01M10/655
H01M50/296
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531589
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 US2021012217
(87)【国際公開番号】W WO2021138699
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/957,283
(32)【優先日】2020-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515248942
【氏名又は名称】クーランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】チェオン,カイアン
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031EE01
5H031EE04
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AY04
5H040AY06
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
電池冷却剤貯蔵器組立体は、内部空間を画定する内面を有する外部構造体と、マニホールドに結合された可撓性の冷却剤保持パウチと、冷却剤保持パウチ内に配置された電池モジュールと、を含むことができる。冷却剤保持パウチは、外部構造体の内部空間に配置することができる。関連するシステムおよび方法も提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定する内面を有する外部構造体と、
マニホールドに結合された可撓性の冷却剤保持パウチと、
前記冷却剤保持パウチ内に配置された電池モジュールであって、前記冷却剤保持パウチが前記外部構造体の前記内部空間に配置されている、電池モジュールと、
を備える、電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項2】
前記冷却剤保持パウチが多層ライナを含む、請求項1に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項3】
前記多層ライナが、ポリエチレン(PE)の内部層と、ポリエチレンテレフタレート(PET)の外部層と、前記内部層と前記外部層との間に配置されたナイロン層およびアルミニウム層と、を含む、請求項2に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項4】
一対の冷却剤流路パネルをさらに備え、前記冷却剤流路パネルのそれぞれが、冷却剤流体を流すための1つまたは複数の冷却剤流路を有する、請求項1に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項5】
前記一対の冷却剤流路パネルの一方が、前記冷却剤保持パウチ内で、前記電池モジュールの上部に配置されており、前記一対の冷却剤流路パネルの一方が、前記電池モジュールの下方に配置されている、請求項4に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項6】
前記冷却剤保持パウチ内を循環する冷却液をさらに備える、請求項5に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項7】
前記冷却液が誘電性液体である、請求項6に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項8】
前記マニホールドが、冷却剤入口管路および冷却剤出口管路に接続するための複数のポートを含み、少なくとも1つの電池ワイヤポートがその中に配置されている、請求項1に記載の電池冷却剤貯蔵器組立体。
【請求項9】
内部空間を画定する電池収納構造体と、
前記電池収納構造体の前記内部空間に配置された複数の電池冷却剤貯蔵器組立体であって、前記電池冷却剤貯蔵器組立体のそれぞれが、
内部空間を画定する内面を有する外部構造体、および
1つまたは複数の電池モジュールを保持する可撓性の冷却剤保持パウチであり、前記外部構造体の前記内部空間に挿入され、冷却剤入口管路および冷却剤出口管路に接続して使用するための複数のポートを有するマニホールドに結合されている、可撓性の冷却剤保持パウチ、
を含む、複数の電池冷却剤貯蔵器組立体と、
を備え、
前記複数の電池冷却剤貯蔵器組立体が冷却剤接続管路を介して相互接続されている、
電池システム。
【請求項10】
前記可撓性の冷却剤保持パウチが複数の層を含む、請求項9に記載の電池システム。
【請求項11】
前記複数の層が、
ポリエチレンを含む第1の層と、
ナイロンを含む第2の層と、
アルミニウムを含む第3の層と、
ポリエチレンテレフタレートを含む第4の層と、
を含む、請求項10に記載の電池システム。
【請求項12】
前記マニホールドが電池端子を含む、請求項9に記載の電池システム。
【請求項13】
前記複数の冷却剤貯蔵器組立体の前記電池端子のうちの少なくとも一部が、電池ワイヤを介して電気的に結合されている、請求項12に記載の電池システム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の電池モジュールが、空隙を画定するように間隔をあけて配置された複数の電池セルと、前記空隙内に配置された複数の充填材とを含む、請求項9に記載の電池システム。
【請求項15】
前記マニホールドが、冷却剤入口管路および冷却剤出口管路に接続するための複数のポートを含む、請求項9に記載の電池システム。
【請求項16】
第1の多層ライナを用意するステップと、
第2の多層ライナを用意するステップと、
前記第1の多層ライナを前記第2の多層ライナの上に平らに置くステップと、
前記第1の多層ライナの少なくとも一部の縁部を前記第2の多層ライナの縁部と密閉するステップと、
を含む、冷却剤パウチを作製するための方法。
【請求項17】
前記密閉するステップが、
前記第1の多層ライナの近位端を前記第2の多層ライナの近位端と密閉するステップと、
前記第1の多層ライナの2つの横側面を前記第2の多層ライナの2つの横側面と密閉するステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の多層ライナの少なくとも一部の縁部を前記第2の多層ライナの縁部と密閉した後に、マニホールドを前記冷却剤パウチに結合するステップ、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記マニホールドが前記第1の多層ライナおよび前記第2の多層ライナの遠位端に結合されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の多層ライナまたは前記第2の多層ライナのいずれかが、
ポリエチレンを含む第1の層と、
ナイロンを含む第2の層と、
アルミニウムを含む第3の層と、
ポリエチレンテレフタレートを含む第4の層と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱システムに関し、より詳細には、電池などの電子デバイスのための可撓性パウチ筐体を使用する温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン(Li-ion)電池などの高蓄電性充電式電池は、一般に、高温および低温の両方に敏感である。特に、このような電池が極端な温度条件で動作すると、そのような電池の動作性能に影響を与え、または動作寿命を短くする可能性があり、場合によっては、火災などの大惨事を引き起こす可能性がある。したがって、最適な性能および寿命を保証するために、電池パックがさらされる温度範囲を慎重に調節する必要がある。電池パック全体にわたる温度の不均一な分布を低減することも一般に好ましく、温度の不均一な分布によりパックの動作性能が低下する可能性もある。電池パック全体にわたって均一な温度分布を達成することによって、性能を向上および/または最適化することができ、過度の熱によって引き起こされる火災などの潜在的な危険のリスクを低減することができる。電池火災は、電池の物理的損傷または穿刺から引き起こされることもある。
【0003】
これらの問題に対処するために、開発されてきた1つの解決策は、液体冷却剤を使用して、温度および負荷に応じてこのような電池を冷却および加熱することである。この手法は、電池セルを液体冷却剤に浸漬することを伴う場合がある。例えば、米国特許出願公開第2017/0279172号は、このようなシステムの一例を開示している。このような「温度調節」システムに関する1つの例示的な問題は、浸漬された電池およびその液体冷却剤を収容するために、一般に高価な設備投資を必要とする複雑なプラスチック(または金属)構造を採用する場合があることである。このような構造の製造は困難である可能性があり、結果として得られる構造は、スケーラビリティの点でやや制限される可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載される様々な実施形態および実施態様は、小型で、効率的で、ロバストなフォームファクタを有する、電池などの電子デバイスを冷却することができるシステム、方法、装置を提供する。例として、電池冷却剤貯蔵器組立体は、内部空間を画定する内面を有する外部構造体と、マニホールドに結合された可撓性の冷却剤保持パウチと、冷却剤保持パウチ内に配置された電池モジュールと、を含むことができる。冷却剤保持パウチは、外部構造体の内部空間に配置することができる。
【0005】
さらなる例として、電池システムは、内部空間を画定する電池収納構造体と、電池収納構造体の内部空間内に配置された複数の電池冷却剤貯蔵器組立体と、を含むことができる。電池冷却剤貯蔵器組立体のそれぞれは、内部空間を画定する内面を有する外部構造体と、1つまたは複数の電池モジュールを保持する可撓性の冷却剤保持パウチと、を含むことができ、冷却剤保持パウチは、外部構造体の内部空間内に挿入され、冷却剤保持パウチは、冷却剤入口管路および冷却剤出口管路に接続して使用するための複数のポートを有するマニホールドに結合される。さらに、複数の電池冷却剤貯蔵器組立体は、冷却剤接続管路を介して相互接続され得る。
【0006】
さらなる例として、冷却剤パウチを作製するための方法は、第1の多層ライナを用意するステップと、第2の多層ライナを用意するステップと、第1の多層ライナを第2の多層ライナの上に平らに置くステップと、第1の多層ライナの少なくともいくつかの縁部を第2の多層ライナの縁部と密閉するステップと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の例示的な実施形態による、例示的な電池モジュールを示す図である。
図1B】本開示の例示的な実施形態による電池冷却剤貯蔵器組立体の上部冷却剤流路パネルの斜視図である。
図1C】本開示の例示的な実施形態による電池冷却剤貯蔵器組立体の底部冷却剤流路パネルの斜視図である。
図2】本開示の例示的な実施形態による冷却剤保持パウチを示す図である。
図3】本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態による、電池および冷却剤貯蔵器パッケージを示す図である。
図4A】本開示の例示的な実施形態による、例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体を示す図である。
図4B図4Aの電池冷却剤貯蔵器組立体の側断面図である。
図5A】本開示の例示的な実施形態による例示的な電池収納構造体の斜視図であり、説明および図示を明確にするために特定のカバープレートが取り外されている。
図5B】本開示の例示的な実施形態による、管マニホールドの冷却剤接続管路を介して相互接続されている、図5Aに示されるバッテリ収納構造の冷却剤貯蔵器組立体を示す図である。
図5C図5Aの電池収納構造体の側断面図である。
図5D図5Aの電池収納構造体の右側面図である。
図5E図5Aの電池収納構造体の左側面図である。
図6】本開示の例示的な実施形態による、パウチと、パウチ内に配置された電池セルとを含む、例示的な電池および冷却剤貯蔵器パッケージを示す図である。
図7A】本開示の例示的な実施形態による、2つの隣接する電池および冷却剤貯蔵器パッケージの上から見下ろした平面図である。
図7B図7Aに示される2つの隣接する電池および冷却剤貯蔵器パッケージの断面側面図である。
図8図8Aは本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の配置の斜視図である。図8Bは本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の配置の斜視図である。図8Cは本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の配置の斜視図である。
図9A】本開示の例示的な実施形態による、例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体の断面図である。
図9B】線9B-9Bに沿って取られた、図9Aの例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体の断面図である。
図10】本開示の1つまたは複数の実施形態によるパウチの多層ライナを示す図である。
図11】本開示の1つまたは複数の実施形態によるパウチを形成するための準備において平らに置かれている図10の多層ライナを示す図である。
図12A図11のパウチの2つの多層ライナ間に配置され、密閉された本開示の実施形態による冷却剤入口/出口マニホールドの拡大図である。
図12B】本開示の例示的な実施形態による、マニホールドをパウチライナに密閉するための加熱要素によって取り囲まれた、図12Aの冷却剤入口/出口マニホールドを示す図である。
図13】本開示の例示的な実施形態による、電池モジュールを受け入れおよび封入する準備ができている、図12Aの冷却剤入口/出口マニホールドが密閉された図11のパウチを示す図である。
図14】密閉されたパウチを含み、パウチの多層ライナの余剰部分が折り畳まれた、例示的な電池および冷却剤貯蔵器パッケージを示す図である。
図15】本開示の例示的な実施形態による、電池および冷却剤貯蔵器パッケージの斜視図である。
図16A】本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の上面図である。
図16B図16Aの電池収納構造体の側面図である。
図17A】本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の上面図である。
図17B】線17B-17Bに沿って取られた、図17Aの電池収納構造体の正面断面図である。
図17C図17Aの電池収納構造体の側断面図である。
図18A】本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の上面図である。
図18B】線18A-18Aに沿って取られた、図18Aの電池収納構造体の正面断面図である。
図18C図18Bの電池収納構造体の一部の詳細図である。
図18D図18Aの電池収納構造体の側断面図である。
図19A】本開示の例示的な実施形態による電池収納構造体の上面図である。
図19B図19Aの電池収納構造体の正面断面図である。
図19C図19Bの電池収納構造体の一部の詳細図である。
図19D図19Aの電池収納構造体の側面図である。
図20A】本開示の例示的な実施形態による電池冷却剤貯蔵器組立体の側面断面図である。
図20B図20Aの電池冷却剤貯蔵器組立体の一部の詳細図である。
図20C図20Aの電池冷却剤貯蔵器組立体の一部の別の詳細図である。
図21A】キャビネットラックフレーム内に配置された複数の電池収納構造体の上面図である。
図21B図21Aのキャビネットラックフレームの側面図である。
図21C図21Bのキャビネットラックフレームの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示を検討すると、当業者は、本明細書に開示された様々な実施形態が、これらの詳細の多くを伴わずに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、本開示の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかのよく知られている構造および構成材料は詳細に説明されていない。
【0009】
本開示において、「約」および「およそ」という用語が使用される限り、これらは、別段の指示がない限り、示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。本明細書において、本明細書で使用される「a」および「an」という用語は、列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指す。選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の一方、両方、またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」および「備える(comprise)」は同義的に使用され、これらの用語および変形は、非限定的であると解釈されることが意図されている。本段落における定義は、特に明記しない限り、本開示全体にわたって適用されることが意図されている。
【0010】
本開示における様々な実施形態は、リチウムイオン(Li-Ion)電池に関して説明される。しかしながら、本開示を検討した後に当業者によって理解されるように、開示された実施形態は、他のタイプの電池または他のタイプの電子デバイスが極端な熱条件および/または変動する熱条件にさらされ得る環境を含む他の環境での使用に適している可能性がある。
【0011】
本開示の様々な実施形態によると、電池などの電子部品を冷却剤中に浸漬するための可撓性パウチを含む冷却剤貯蔵器および循環組立体ならびにシステムが提供される。特に、一部の実施形態では、可撓性パウチは、冷却液を保持し、誘電性液体などの冷却液中に電池セルを浸漬するために採用され得る。電池セルをこのような流体に浸漬することにより、電池セル全体にわたってより安定した温度制御を提供することができる。さらに、電池セルを誘電性液体に浸漬することは、電池に穴が開いた場合、またはどこか他の場所で火災が発生した場合に、火炎を抑制するという追加の利点を提供することができる。様々な実施形態において、冷却剤を保持するために可撓性パウチを採用することは、従来の電池温度調節システムによって採用されている複雑な構造と関連付けられた大規模な設備投資を最小限に抑えることができる。
【0012】
様々な実施形態によると、電池冷却剤貯蔵器組立体およびシステムは、製造が簡単であり、生産するのに費用効果的であり、高度に拡張可能である。本明細書でさらに説明されるように、電池冷却剤貯蔵器組立体は、液体冷却剤を保持することができる冷却剤保持パウチと、複数の電池セルおよび集電体で構成され得る1つまたは複数の電池パックと、パウチによって保持される1つまたは複数の電池パックの上部および底部に配置され得る上部および底部冷却剤流路パネルと、冷却剤保持パウチおよびその内容物(例えば、1つまたは複数の電池パック、上部および底部集電体、上部および底部冷却剤流路パネル、ならびに液体冷却剤)を保持するための少なくとも固体外部構造体、および本明細書でさらに示され説明されるように、この外部構造体の内側に配置され、この外部構造体の内側と冷却剤保持パウチとの間に配置されたクッション材料を有するケースと、を含むことができる。
【0013】
図1Aは、例示的な実施形態による電池モジュール10を示す。電池モジュール10は、電池パック11と、上部および底部冷却剤流路パネル14a、14bと、を含むことができる。一部の実施形態では、図7に示されるように、電池モジュール10は、一部の実施形態による電池セル(例えば、電池セル12)から電池配線に電流/電気経路を提供する上部集電体16aおよび底部集電体16bを含むことができる。電池パック11は、複数の電池セル12を含む。様々な実施形態において、電池セル12は、リチウムイオン電池セルであってもよい。電池セル12の上部には、上部冷却剤流路パネル14aがあり、電池セル12の下には、底部冷却剤流路パネル14bがある。図1では見えないが、図4Bに示されるように、電池セル12を例えば電池配線に導電的に結合するために、電池セル12と上部冷却剤流路パネル14aとの間に上部集電体16aが配置され、電池セル12と底部冷却剤流路パネル14bとの間に底部集電体16bが配置されている。様々な実施形態において、上部集電体16aおよび底部集電体16bは、本明細書においてさらに図示および説明されるように、電池セル12を電池ワイヤに電気的に結合することができる。図1に示される電池モジュール10は、多数の電池セル12を有するものとして示されているが、一部の代替の実施形態では、電池モジュール12は、2つまたは3つの電池セル12を含んでもよく、他の実施形態では、図1に示される電池セルの数よりも多い数の電池セル12が電池パック11に含まれてもよいことに留意されたい。
【0014】
様々な実施形態において、上部冷却剤流路パネル14aは、本明細書でさらに説明されるように、電池モジュール10を浸漬させることができる冷却剤の循環を促進するために、1つまたは複数の冷却剤流路18aを含むことができる。冷却剤流路18には、冷却剤流路18aを流れる冷却剤を、電池セル12を循環させるための貫通孔が配置されている。図1Aの冷却剤流路18aは、上部冷却剤流路パネル14aの上部で長手方向に延在するものとして示されている。しかしながら、代替の実施形態では、冷却剤流路18aは、横方向にまたは斜めに延在してもよい。上部冷却剤流路パネル14aと同様に、底部冷却剤流路パネル14bは、冷却剤の循環を促進するために1つまたは複数の冷却剤流路18bを含むことができる。例えば、図1Bおよび図1Cは、上部冷却材流路パネル14aおよび底部冷却材流路パネル14bの例示的な実施形態をそれぞれ示す。図1Aおよび図1Bに示されるように、一部の実施形態では、上部冷却材流路パネル14aは、任意選択で、1つまたは複数のスロット開口13aを含むことができる。スロット開口13aは、電池モジュール10の内部へのアクセスを提供するようにサイズ調整され成形されていてもよい。
【0015】
ここで、一部の例示的な実施形態による、1つまたは複数の電池モジュール10および液体冷却剤を保持するための冷却剤保持パウチ(以下、「パウチ20」)を示す図2を参照する。図2において、パウチ20は、少なくとも1つの電池モジュール10を受け入れるために開いている。パウチ20の隣には、開いたパウチ20内に配置することができる電池モジュール10が示されている。様々な実施形態において、パウチ20は、本明細書でさらに説明されるように、1つまたは複数の可撓性/弾性材料から作製される多層ビニルブラダであってもよい。一部の実施形態では、本明細書でさらに説明されるように、パウチ20が構成され得る多層は、例えば、ポリエチレン(PET)シート、ナイロンシート、アルミニウムシート、およびポリエチレンPEシートの組合せであってもよい。
【0016】
図3は、一部の実施形態による電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22を示す。これらの実施形態では、冷却剤貯蔵器パッケージ22は、密閉された、電池モジュール10(図示および説明を明確にするために図示せず)を囲む図1および図2に示されるパウチ20を含むことができる。パウチ20の上部には、冷却剤入口/出口マニホールド32がある。冷却剤入口/出口マニホールド32の中または上に配置されているのは、例えば、冷却剤管継手126(例えば、図4B図6参照)に接続するための2つのポート34であり、この冷却剤管継手は、さらに図示されるように、場合によっては、L字形管であってもよい。冷却剤入口/出口マニホールド32は、1つまたは複数の電池ワイヤが通過することができる1つまたは複数の電池配線ポート35(図4参照)をさらに含むことができる。電池ポート35は、概して、配線コネクタ36を結合可能に受け入れるようにサイズ調整され成形されている。様々な実施形態において、電池配線ポート35を通過することができる電池ワイヤは、冷却剤が漏れるのを回避するために密閉されていてもよい。様々な実施形態において、冷却剤入口/出口マニホールド32は、プラスチックまたはセラミック材料などの剛性または半剛性材料から作製されてもよい。上述されたように、1つまたは複数の電池配線ポート35は、上部集電体16aおよび底部集電体16bを、1つまたは複数の電池配線ポート35に受け入れられた電池ワイヤに電気的に結合するように構成されている。
【0017】
図4Aおよび図4Bは、本開示の一部の例示的な実施形態による例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体40を示す。電池冷却剤貯蔵器組立体40は、ケース42と、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22(パウチ20内に配置された1つまたは複数の電池モジュール10を含む。図示せず)と、を含む。様々な実施形態において、本明細書でより詳細に説明されるように、ケース42は、金属、硬質プラスチック、またはセラミックなどの硬質または固体材料、充填材(例えば、充填材890、891)、および振動減衰クッション材料46から作製され得る、固体または支持外部構造体44から構成されてもよい。図4に示されるように、一部の実施形態における外部構造体44は、箱または直方体の形状を有してもよい。一部の他の代替の実施形態では、他の形状が使用されてもよい。クッション材料は、様々な代替の実施形態において、外部構造体44から取り外し可能であってもよく、そうでなくてもよい。様々な実施形態において、クッション材料または充填材は、エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体、シリコーン、ポリエチレン(PE)、および/または柔らかすぎない同様のものから作製されてもよい。様々な実施形態において、クッション材料または充填材は、パウチ20を形成する可撓性貯蔵器ライナ(多層シートであってもよい)を、外部構造体44からの摩耗、穿刺、衝撃、および振動から保護することができる。クッション材料または充填材は、温度制御の目的でなんらかの断熱を提供することもできる。
【0018】
電池冷却剤貯蔵器組立体40の側断面図である図4Bに示されるように、ケース42は、電池冷却剤貯蔵器組立体40が受け入れられる内部空間を画定する。ケース42は、外部構造体44の内面に配置され得る、外部構造体44から着脱可能であってもなくてもよいクッション材料46を含む。ケース42の内部空間内で、クッション材料46の内側に配置されているのは、図1に示されている電池モジュール10に相当してもよい電池モジュール10を収容するパウチ20を含む電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22である。図4Aには示されていないが、図4Bに示されるように、冷却剤入口/出口マニホールド32は、例えば冷却剤管継手126に接続するための2つのポート34を含む。さらに、冷却剤入口/出口マニホールド32は、1つまたは複数の電池ワイヤ37が通過する電池配線ポート35を含む。電池ポート35は、概して、配線コネクタ36を結合可能に受け入れるようにサイズ調整され成形されている。様々な実施形態において、電池配線ポート35を通過することができる電池ワイヤは、冷却剤が漏れるのを回避するために密閉されていてもよい。様々な実施形態において、冷却剤入口/出口マニホールド32は、プラスチックまたはセラミック材料などの剛性または半剛性材料から作製されてもよい。上述されたように、1つまたは複数の電池配線ポート35は、上部集電体16aおよび底部集電体16bを、1つまたは複数の電池配線ポート35に受け入れられた電池ワイヤに電気的に結合するように構成されている。図4Bには、一実施態様によるパウチ20の内部空間を通って流れることができる、矢印39によって示される冷却剤の方向も示されている。上述されたように、一部の実施形態では、電気配線、タブ、および/またはプレートから構成されてもよい上部集電体16aおよび底部集電体16bが、電池セル12の上部および底部で電池セル12の端子と接触している。
【0019】
図5A図5Eは、複数の電池冷却剤貯蔵器組立体40を保持するための例示的な電池収納構造体50を示す。様々な実施形態において、電池収納構造体50は、電力を貯蔵および放電するために、例えば、電気自動車(EV)または他のタイプの電動機械に全体的に配置されてもよい。図示および説明を明確にするために特定の構成要素が除去されている図5A、および一対の電池冷却剤貯蔵器組立体40を示す電池収納構造体50の側断面図である図5Cに示されるように、電池収納構造体50は、電池冷却剤貯蔵器組立体40を受け入れるようにサイズ調整され成形された1つまたは複数の区画を含むことができる。例えば、本実施形態における電池収納構造体50は、8つの電池冷却剤貯蔵器組立体50を受け入れるようにサイズ調整され成形された8つの区画を含む。
【0020】
図5Bは、冷却剤貯蔵器組立体40が冷却剤接続管路82および管マニホールド72を介してどのように流体的に相互接続され得るかを含む、図5Aの例示的な電池収納構造体50を示す。冷却剤貯蔵器組立体40の上部には、2つのプレート70が配置されている。図5Aおよび図5Bに示される実施形態では、2つのプレート70の下の電池収納構造体50に8つの冷却剤貯蔵器組立体40がある(8つの冷却剤貯蔵器組立体40に対して図5Bに見える8つの冷却剤入口/出口マニホールド32があることに留意されたい)。各プレート70の下には、冷却剤接続管路82および管マニホールド72を介して相互接続された4つの冷却剤貯蔵器組立体40がある。4つの冷却剤貯蔵器組立体40のセットを参照して図5Bに示されるように、冷却剤接続管路82および管マニホールド72は、矢印73によって示されるように、冷却剤貯蔵器組立体40間の冷却剤の流れを促進する。一部の実施形態では、冷却剤接続管路82および管マニホールド72は、並列冷却剤流路、直列冷却剤流路、または直列および並列冷却剤流路の混合体を提供するように相互接続され得て、これにより、冷却剤の流動抵抗を軽減することができる。
【0021】
一部の実施形態では、冷却剤熱膨張補償器が採用されてもよい。例えば、特定の温度範囲にわたる液体冷却剤体積の変動を容易にするために、冷却剤熱膨張補償器は、このような変動を制御し、またはより一般的には、このような変動に対処することができる。
【0022】
一部の実施形態では、すべての冷却剤貯蔵器組立体40を通して冷却剤の流れを提供するために、十分な出力を有するポンプが、システム全体にわたる圧力降下を考慮して、冷却剤貯蔵器組立体40のそれぞれを通して冷却剤を押し動かすために採用されてもよい。様々な実施形態において、電池の上方に位置してもよい一体型ポンプならびに冷却剤の流れを監視するための流量計が流量を制御するのを助けるために採用されてもよい。一部の実施形態では、温度感知センサがシステムに組み込まれてもよい。
【0023】
図5Eおよび図5Dに示されるように、電池収納構造体50は、図5Bに示されるような導管57を受け入れるようにサイズ調整され成形された、いくつかの導管ポート55を含むことができる。導管57は、電池収納構造体50を、他の電池収納構造体50、ポンプ、圧縮機、継手などに流体結合することができる。
【0024】
図6は、一部の例示的な実施形態による、パウチ120と、パウチ120内に配置された複数の電池セル112と、を含む例示的な電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122を示す。パウチ120内に配置された電池セル112は、電池モジュール(例えば、電池モジュール10を参照)の一部であってもよい。パウチ120の上部には、2つの冷却剤管継手126と、密閉されたワイヤであってもよい2つの電池ワイヤ124とが配置され、これらのワイヤは、一部の実施形態では、冷却剤の漏れを防止するために、エポキシまたはガスケット材料で密閉されてもよい。図6は、一部の実施形態において、パウチ120の内部空間を通って流れる、矢印121によって示される冷却流体の方向をさらに示す。電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122は、概して、先に図示され説明された電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22(図3参照)に相当する。
【0025】
様々な実施形態において、本明細書でさらに説明および図示されるように、上述された電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22、122などのいくつかの電池および冷却剤貯蔵器パッケージは、冷却剤が電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22、122間を流れることができるように相互接続されてもよい。図7Aは、一部の例示的な実施形態による、2つの隣接する電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122a、122b(上述の電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22に相当してもよい)の上から見下ろした図または平面図を示す。図示されているように、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122aは、ケース142aを含み、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122bは、ケース142bを含む。様々な実施形態において、各ケース142aおよび142bは、図4Aおよび図4Bに示されるケース42に対応してもよいことに留意されたい。ケース142a、142bのそれぞれの内部には、第1および第2の複数の電池セル12a、12bがそれぞれ配置されている。第1の複数の電池セル12aは、第1のパウチ(例えば、図3のパウチ20と同様のパウチ)に含まれてもよく、第2の複数の電池セル12bは、第2のパウチ(例えば、図3のパウチ20と同様のパウチ)に含まれてもよい。明確にするために、第1および第2のパウチは、図7Aには示されていないことに留意されたい。第1のパウチと第2のパウチを接続するのは、一端で冷却剤管継手126aに結合され、他端で冷却剤管継手126bに結合されている冷却剤接続管路82である。冷却剤接続管路82は、冷却剤が第1のパウチ(電池セル12aを含む)の内部から第2のパウチ(電池セル12bを含む)の内部に流れることができるように構成されている。
【0026】
図7Bは、図7Aに示された2つの電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122a、122bの分割側面図である。図7Bは、第1ならびに第2の電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122a、122bの第1および第2のパウチの内部空間を通って流れる冷却剤の流れ方向をそれぞれ示す。図7Aおよび図7Bでは、2つの電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122a、122bのみが流体的に相互接続されるように示されているが、当業者であれば本開示を検討すると認識するように、様々な代替の実施形態では、3つ以上の電池および冷却剤貯蔵器パッケージ122a、122bが相互接続されてもよいことに留意されたい。
【0027】
図8A図8Cは、本明細書に記載される電池収納構造体50のスケーラビリティを示す。図8A図8Cに示されるように、一部の実施形態では、2つおよび4つの電池収納構造体50が一緒に積み重ねられてもよい。これらの電池収納構造体50を積層して連結することにより、連結された電池収納構造体50のそれぞれに同じ冷却剤を流すことができる。
【0028】
図9Aは、一部の例示的な実施形態による例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体240の側断面図を示す。図9Bは、線9B-9Bに沿って取られた、図9Aの電池冷却剤貯蔵器組立体240の断面図である。図9Aおよび図9Bに示されるように、電池冷却剤貯蔵器組立体240は、本明細書に記載される他の実施形態と概ね同様である。例えば、電池冷却剤貯蔵器組立体240は、ケース242と、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ222(パウチ20内に配置された1つまたは複数の電池モジュール10を含む。図示せず)と、を含む。ケース242は、外部構造体244の内面に配置されてもよいクッション材料246を含む。電池冷却剤貯蔵器組立体240は、冷却剤入口/出口マニホールド232を貫通する端子ポスト125に結合された、冷却剤の漏れを防止するために密閉されてもよい電池ワイヤ124(例えば、密閉されたワイヤ)を含む。マニホールド232を貫通する端子ポスト125の部分は、電池冷却剤貯蔵器組立体240に配置されたパウチの内部に配置された導電線242aおよび242bに結合されてもよい。
【0029】
図10は、前述のパウチ20を形成するために使用されてもよい例示的な多層ライナ300を示す。図示されるように、例示的な多層ライナ300は、第1の層305、第2の層306、第3の層307、および第4の層308を含む、4つの別個の層を含む。一部の実施形態では、第1の層305は、パウチ20が冷却剤で充填されるときに冷却剤と接触することになる内部ポリエチレン(PE)層を含み、第2の層306は、ナイロン層を含み、第3の層307は、アルミニウム層を含み、第4の層308は、外部または外側ポリエチレンテレフタレート(PET)層を含む。図10に示されるように、多層ライナ300の層305~308のそれぞれは、特定の特性を有するように選択されてもよい。例えば、第1の層305、例えば内部ポリエチレン層は、望ましい熱密閉特性を有し、化学物質に反応せず、可撓性および強度を提供することができる。第2の層306、例えば、ナイロン層は、耐摩耗性であってもよく、裂けることなく弾性を有することができる。第3の層307、例えばアルミニウム層は、蒸発、相対的な光から保護することができ、反射性および延性であってもよい。第4の層308、例えば外側PET層は、強度を提供することができ、低い熱変形特性を有することができる。代替の実施形態では、同様の特性を提供することができる他のタイプの材料が使用されてもよいことに留意されたい。
【0030】
図11図14は、一部の実施形態による、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22がどのように組み立てられ得るかを示す。ここで、パウチ20を形成するために互いの上に平らに置かれた2つの多層ライナ300を示す図11を特に参照する。多層ライナは互いの上に平らに置かれているため、図11では多層ライナ300のうちの1つのみが見えていることに留意されたい。2つの多層ライナ300は、近位端311および遠位端314を有する。様々な実施形態において、2つの多層ライナ300は、近位端311および2つの横側面315、316の縁部402に沿って密閉されてもよいが、遠位端314は、密閉されないままであってもよい。一部の実施形態では、3つの側面(例えば、近位端311および2つの横側面315、316)の縁部の密閉は、熱密閉を伴ってもよい。近位端311には、近位端311の縁部に沿って2つの多層ライナ300間に配置され密閉された前述の冷却剤入口/出口マニホールド32が配置されていることに留意されたい。
【0031】
図12Aは、図11に示されるパウチの2つの多層ライナ300間に配置され密閉された冷却剤入口/出口マニホールド32の拡大図である。図12Bは、冷却剤入口/出口マニホールド32を取り囲む材料(例えば、多層ライナ300)を密閉するために採用されてもよい加熱要素68によって取り囲まれた冷却剤入口/出口マニホールド32を示す。
【0032】
図12Aおよび図12Bに示されるように、2つの多層ライナ300の3つの側面(例えば、近位端311および2つの横側面315、316)が密閉されると、部分的に密閉されたパウチ20が形成される。次いで、電池モジュール10は、図13に示されるように、パウチ20の開いた遠位端314を通してパウチ20内に挿入されてもよい。電池モジュール10がパウチ20に挿入されると、パウチ20は、図13に示されるように、例えば線702に沿ってパウチ20の遠位端314に向かって密閉されてもよい。一部の実施形態では、パウチ20は、電池モジュール10と密閉線702との間の内部空隙の量が最小化されるように、遠位端314に向かって選択的に密閉されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、パウチ20は、電池モジュール10と密閉線702との間に形成される内部空隙が、特定の選択可能な基準を満たすのに十分なサイズとなるように(例えば、温度を適切に調節するのに十分な量の冷却剤が確実にパウチ内に存在するように)、遠位端314に向かって選択的に密閉されてもよい。
【0033】
パウチ20の近位端311は、電池および形成される冷却剤貯蔵器パッケージ22(例えば、図3および図4参照)の上部に配置されることに留意されたい。図示されていないが、一部の実施形態では、パウチ20に挿入され得る電池モジュール10は、パウチ20に挿入される前に、既に配線されていてもよい(例えば、図9Bの導電線242aおよび242bで配線されていてもよい)ことにさらに留意されたい。したがって、電池モジュール10のパウチ20への挿入中に、ワイヤは、冷却剤入口/出口マニホールド32の配線ポート(孔)35に通されてもよく、配線ポート35は、冷却剤の漏れを防止するためにマニホールド32で密閉されてもよく、またはワイヤは、端子ポスト125に接続されてもよい。
【0034】
電池モジュール10がパウチ20に挿入され、パウチ20の遠位端または側面314が密閉された後、パウチ20の多層ライナ300の余剰部分は、図14に示されるように、より小型の電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22を提供するように折り畳まれてもよい。例えば、図14では、パウチ20の横側面315、316の、パウチ20の多層ライナ300の余剰部分が、図14に示されるように折り畳まれているだけでなく、図14の電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22の下にある、多層ライナ300の余剰部分が、図13に示されるパウチ20の遠位端314に向かって折り畳まれている。
【0035】
図14に見られるように、2つの冷却剤管継手126は、冷却剤入口/出口マニホールド32の2つのポート34(例えば、ポート34)に挿入され、密閉された電池ワイヤ124は、冷却剤入口/出口マニホールド32の配線ポート35から延出している。様々な実施形態において、冷却剤ホースが、冷却剤管継手126に取り付けられ、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ22に供給するだけでなく、そこから排出することができる。
【0036】
図15は、別の例示的な実施形態による電池および冷却剤貯蔵器パッケージ422の斜視図を示す。電池および冷却剤貯蔵器パッケージ422は、上述の他の実施形態と概ね同様である。例えば、電池冷却剤貯蔵器パッケージ422は、密閉された、電池モジュール410を囲むパウチ420を含む。例えば、図15に示されるように、パウチ420を形成する多層ライナ、例えば、多層ライナ300は、その遠位端414で密閉されている。パウチ420の上部には、一対の冷却剤入口/出口マニホールド432がある。冷却剤入口/出口マニホールド432のそれぞれは、冷却剤管継手426および配線コネクタ436を含む。電池端子437は、配線コネクタ436から外向きに突出し、これに結合されている。上述されたように、配線コネクタ436および電池端子437は、上部集電体、例えば上部集電体16a、および底部集電体、例えば底部集電体16bに電気的に結合されている。冷却剤入口/出口マニホールド432のそれぞれはまた、ハウジング438から突出する任意選択のワイヤを含み、これらのワイヤは、温度センサ、電池状態、または状態報告などの多種多様な目的に使用されてもよい(任意選択のワイヤを有するハウジング438は、以下ではセンサワイヤと呼ばれる)。
【0037】
さらに、電池冷却剤貯蔵器パッケージ422は、1つまたは複数の実施形態による様々な電池収納構造体に受け入れられてもよい。例えば、図16Aおよび図16Bは、それぞれの冷却剤貯蔵器組立体440に受け入れられ得る、一対の隣接する電池冷却剤パッケージ422を示す。冷却剤貯蔵器組立体440は、電池収納構造体450に受け入れられている。
【0038】
図17A図17B、および図17Cは、例示的な実施形態による電池収納構造体550を示す。電池収納構造体550は、本明細書に記載される他の電池収納構造体と概ね同様である。電池収納構造体550は、冷却剤貯蔵器組立体440を含む、本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体と同様の冷却剤貯蔵器組立体540の配列を含む。上述されたように、冷却剤貯蔵器組立体540の上部にはプレート570が配置されている。図17A図17Cに示される実施形態では、プレート570の下の電池収納構造体550に4つの冷却剤貯蔵器組立体540がある。本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体の実施形態と同様に、冷却剤貯蔵器組立体540のそれぞれは、一対の冷却剤入口/出口マニホールド532を有するパウチを含む。冷却剤入口/出口マニホールド532のそれぞれは、冷却剤管継手526と、センサワイヤ538と、電池端子537と、を含む。本実施形態では、冷却剤管継手526、センサワイヤ538、および電池端子537は、プレート570から外向きに離れるように延在する。4つの冷却剤貯蔵器組立体540は、冷却剤接続管路582および冷却剤ポンプ572、例えばインライン冷却剤ポンプを介して相互接続されている。図17Aおよび図17Bに示されるように、本実施形態では、冷却剤は、直列の電池モジュール510を通って流れる。
【0039】
図17Aおよび図17Bに示されるように、電池収納構造体550は、電源ブロック551を含む。電源ブロック551は、概して、それぞれのパウチ520内の電池モジュール510への電力の供給を管理するように構成されている。冷却剤貯蔵器組立体540の電池端子537は、電源ブロック551に電気的に結合され、ワイヤ539を介して互いに相互接続されている。図17Bに詳細に示されるように、電池モジュール510の電池セル512は、仕切り553によって分離され、仕切り553は、矢印555によって示される冷却剤の流れを容易にするようにサイズ調整され成形されている。
【0040】
図18A図18Dは、例示的な実施形態による電池収納構造体650を示す。電池収納構造体650は、本明細書に記載される他の電池収納構造体と概ね同様である。電池収納構造体650は、冷却剤貯蔵器組立体540を含む、本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体と同様の冷却剤貯蔵器組立体640の配列を含む。例えば、電池収納構造体650は、プレート670の内部に配置された冷却剤貯蔵器組立体640を含む。本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体の実施形態と同様に、冷却剤貯蔵器組立体640のそれぞれは、冷却剤入口/出口マニホールド632を有するパウチを含む。冷却剤入口/出口マニホールド632のそれぞれは、冷却剤管継手626と、センサワイヤ638と、電池端子637と、を含む。本実施形態では、冷却剤管継手626、センサワイヤ638、および電池端子537は、外向きに、電池収納構造体650の後部688に向かって延在する。4つの冷却剤貯蔵器組立体640は、冷却剤接続管路682および冷却剤ポンプ672を介して相互接続されている。図18A図18Dに示されるように、電池収納構造体650は、一対の電源ブロック651を含む。電源ブロック651は、概して、それぞれのパウチ620内に電池セル612を有する電池モジュール610への電力の供給を管理するように構成されている。冷却剤貯蔵器組立体640の電池端子637は、電源ブロック651に電気的に結合され、ワイヤ639を介して互いに相互接続されている。図18Cに詳細に示されているように、冷却剤は、例えば、矢印689によって示されるように、冷却剤管継手626へ、およびそこから流れる。
【0041】
図19A図19Dは、例示的な実施形態による電池収納構造体750を示す。電池収納構造体750は、本明細書に記載される他の電池収納構造体と概ね同様である。電池収納構造体750は、冷却剤貯蔵器組立体640を含む、本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体と同様の冷却剤貯蔵器組立体740の配列を含む。例えば、電池収納構造体750は、プレート770の内部に配置された一対の冷却剤貯蔵器組立体740を含む。本明細書に記載される冷却剤貯蔵器組立体の実施形態と同様に、冷却剤貯蔵器組立体740のそれぞれは、冷却剤入口/出口マニホールド732を有するパウチを含む。冷却剤入口/出口マニホールド732のそれぞれは、冷却剤管継手726、電池端子737、およびセンサワイヤ738の対を含む。本実施形態では、冷却剤管継手726、センサワイヤ738、および電池端子737は、外向きに、電池収納構造体750の後部788に向かって延在する。2つの冷却剤貯蔵器組立体740は、冷却剤接続管路782および冷却剤ポンプ772を介して相互接続されている。冷却剤接続管路782および冷却剤ポンプ772は、図示および説明を明確にするために、図19Aおよび図19Bには示されていないことに留意されたい。図19A図19Dに示されるように、電池収納構造体750は、電源ブロック751を含む。電源ブロック751は、概して、それぞれのパウチ720内の電池モジュール710への電力の供給を管理するように構成されている。冷却剤貯蔵器組立体740の電池端子737は、電源ブロック751に電気的に結合され、ワイヤ739を介して互いに相互接続されている。図19Cに詳細に示されているように、冷却剤は、例えば、矢印789によって示されるように、冷却剤管継手726へ、およびそこから流れる。
【0042】
図20A図20Cは、本開示の一部の例示的な実施形態による例示的な電池冷却剤貯蔵器組立体840を示す。電池冷却剤貯蔵器組立体840は、本明細書に記載される電池貯蔵器組立体、例えば、電池貯蔵器組立体40の実施形態と概ね同様であり、ケース842と、電池および冷却剤貯蔵器パッケージ822(パウチ820内に配置された1つまたは複数の電池モジュール10を含む。図示せず)と、を含む。本実施形態では、ケース842は、複数の層を含む。例えば、ケース842は、第1のクッション層または材料846と、ビニル層または材料847と、第2のクッション層848と、を含む。さらに、本実施形態では、電池セル812間に、縁部充填材890および内部充填材891が介在している。縁部充填材890および内部充填材891は、様々な樹脂を含むことができる。図20Bに示されるように、縁部充填材890および内部充填材891は、電池セル812間の空隙または間隔を一部だけ占有して、冷却液が電池セル812間を流れることを可能にする。縁部充填材890および内部充填材891は、全体に、必要な冷却剤の総量を減少させるように構成され、重量およびコストの利点を提供する。上述されたように、冷却剤貯蔵器組立体は、密閉された冷却剤入口/出口マニホールドを含む。一部の実施形態では、図20Cに詳細に示されるように、冷却剤入口/出口マニホールド832は、電池端子837を含む。冷却剤入口/出口マニホールド832は、冷却剤入口/出口マニホールド832を密閉するために、密閉デバイス、例えば、Oリング892を含むこともできる。さらに、図20Cに詳細に示されるように、冷却剤入口/出口マニホールド832は、バスバー839を含むこともできる。バスバー839は、ワイヤの代わりに、電池端子837を結合することができる。バスバー839は、概して、ワイヤにより高い電流量を供給するように構成される。
【0043】
図21A図21Cは、電池モジュールラック911を示す。電池モジュールラック911は、複数の電池収納構造体950を受け入れるようにサイズ調整され成形され、配置されている。電池収納構造体950は、本明細書に記載される実施形態と概ね同様である。電池モジュールラック911は、複数の冷却器912をさらに含んでもよい。冷却器912は、電池収納構造体950に隣接して配置され、概して、電池収納構造体950を冷却するように構成されている。
【0044】
2020年1月5日に出願された米国仮特許出願第62/957,283号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。上述された様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
【国際調査報告】