(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】洗濯機及び洗濯機のドラムのバランス向上方法
(51)【国際特許分類】
D06F 37/22 20060101AFI20230329BHJP
D06F 33/48 20200101ALI20230329BHJP
D06F 34/16 20200101ALI20230329BHJP
【FI】
D06F37/22
D06F33/48
D06F34/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539381
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019087035
(87)【国際公開番号】W WO2021129938
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522254675
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニク・サナイ・ヴェ・ティジャレット・アノニム・シルケティ
【氏名又は名称原語表記】Vestel Elektronik Sanayi ve Ticaret Anonim Sirketi
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】カラゾル,イルファン
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA01
3B165AE02
3B165BA15
3B165BA23
3B165BA24
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3B167JA01
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3B167LD20
3B167LE02
3B167LF07
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本発明は、キャビネット4と、ドラム2であって、その開口端から洗濯物を受け取り、キャビネット4内でその長手方向軸8の周りに回転可能であるドラム2と、質量チャンネル3とバランスウエイト6とを含むバランサ5であって、質量チャンネル3は少なくともドラム2の側面からドラム2の内側への方向に延び、バランスウエイト6を受け入れ、バランスウエイト6は質量チャンネル3の延びる方向に沿って質量チャンネル3内で移動可能であるバランサ5と、を備える洗濯機1に関する。本発明はまた、洗濯機1内で長手方向軸8に沿って回転するドラム2のバランスを向上させる方法であって、ドラム2によって受け取られる洗濯物のアンバランス荷重を決定する工程と、ドラム2の側面と長手方向軸8との間の方向にバランスウエイト5を移動させる工程と、を含む、方法に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-キャビネット(4)と、
-ドラム(2)であって、その開口端から洗濯物を受け取り、前記キャビネット(4)内でその長手方向軸(8)の周りに回転可能であるドラム(2)と、
-質量チャンネル(3)とバランスウエイト(6)とを含むバランサ(5)であって、前記質量チャンネル(3)は少なくとも前記ドラム(2)の側面から前記ドラム(2)の内側への方向に延び、前記バランスウエイト(6)を受け入れ、前記バランスウエイト(6)は前記質量チャンネル(3)の延びる方向に沿って前記質量チャンネル(3)内で移動可能であるバランサ(5)と、
を備える洗濯機(1)。
【請求項2】
前記洗濯機(1)は、前記ドラム(2)内に受け入れられた前記洗濯物のアンバランスな荷重を決定するための感知回路と、
前記感知回路によって決定された前記アンバランスな荷重の決定に応答して、前記質量チャンネル(3)内の前記バランスウエイト(6)の位置を前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)に垂直な第1の距離から前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)に垂直な第2の距離へ変更するポジショナと、
を備える、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記バランスウエイト(6)はフェリ磁性材料を備え、前記ポジショナ(7)が前記質量チャンネル(3)内の前記バランスウエイト(6)の位置を変更するための磁石(M1、M2、M3、M4)を備える、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記ポジショナ(7)は、前記質量チャンネル(3)内の前記バランスウエイト(6)の位置を変更するために前記磁石(M1、M2、M3、M4)を回転させる手段を備える、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記磁石(M1、M2、M3、M4)は、電磁石である、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記感知回路は、前記バランスウエイト(6)が前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)から前記第1の距離にあるとき、第1バランス測定を行い、前記バランスウエイト(6)が前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)から前記第2の距離にあるときに第2バランス測定を行うように配置されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記ポジショナ(7)は、前記バランスウエイト(6)を前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)から、得られたバランス測定値がより高くなる距離移動させる、請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗濯機(1)は、前記バランサ(5)を複数備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
少なくとも2つのバランサ(5)は、前記ドラム(2)の前記開口端から前記長手方向軸(8)に沿って2つの異なる距離に配置されている、請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記バランサ(5)は、前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)に対する前記バランサ(5)間の角度距離が等しくなるように、配置されている、請求項8または9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記バランサ(5)は、前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)に対する前記バランサ(5)間の角度距離が90°となるように配置されている、請求項8、9若しくは10に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記質量チャンネル(3)は、前記側面と前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)との間の方向で垂直に前記ドラム(2)内に延在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項13】
洗濯機(1)内で長手方向軸(8)に沿って回転するドラム(2)のバランスを向上させる方法であって、
前記ドラム(2)によって受け取られる洗濯物のアンバランス荷重を決定する工程と、
前記ドラム(2)の側面と前記長手方向軸(8)との間の方向にバランスウエイト(5)を移動させる工程と、
を含む、ドラムのバランスを向上させる方法。
【請求項14】
前記ドラム(2)内に受け入れた前記洗濯物のアンバランスな荷重の位置を決定する工程は、
前記バランスウエイト(6)が前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)から第1の距離にあるときに第1のバランス測定を行う工程と、
前記バランスウエイト(6)が前記ドラム(2)の前記長手方向軸(8)から第2の距離にあるときに第2のバランス測定を行い工程と、
前記第1のバランス測定と前記第2のバランス測定とを比較する工程と、
を含む、請求項13に記載のドラムのバランスを向上させる方法。
【請求項15】
前記ドラム(2)の前記側面と前記長手方向軸(8)との間の方向に前記バランスウエイト(6)をバランス測定値が高くなる場所に移動させる工程を含む、請求項13に記載のドラムのバランスを向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を受けるドラムを有する洗濯機、および、洗濯機のドラムのバランス向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機は、通常、キャビネットを含み、このキャビネットは、洗濯水及びすすぎ水を収容するための固定された浴槽を収容する。ドラムとも呼ばれる洗濯カゴは、キャビネット内、特に洗濯槽内に回転可能に取り付けられていてよい。駆動アセンブリ及びブレーキアセンブリは、洗濯槽に対して位置決めされ、ドラムに入れられた洗濯物を洗浄できる。例えば、洗濯又は回転サイクルの間、水は、通常、洗濯物を含むドラムを高い回転速度で回転させることによって、洗濯物から抜き取られる。遠心力により、大部分の水が洗濯物から抜き出され、回転ドラムの穿孔を通過する。ポンプアセンブリは、抜き出された水をすすぎ、排水システムに排水するために使用できる。
【0003】
回転ドラムは、通常、回転ドラム内のアンバランスによって引き起こされる並進運動を減衰させるために設計されたサスペンションシステムによって支持されている。通常の洗濯で水を抜き出すために高速回転させる際、ドラムや駆動システム、サスペンションシステムに大きなストレスがかかり、洗濯機内のバランスが崩れることがある。洗濯物の分布(配置)により、洗濯物の質量、ドラムの回転中心までの距離、及びドラムの速度の2乗の積に比例する力が発生する。洗濯物の質量が異なる場所でわずかに異なるだけで、非常に簡単に大きな力が発生し、速い回転速度の結果、バランスが崩れる可能性がある。洗濯物のバランスが崩れると、過剰な振動や騒音が発生することがある。また、洗濯物のバランスが崩れた場合、洗濯機の破損が起こる可能性がある。
【0004】
既知の洗濯機は、洗濯物がバランスよく分布されていない状態で洗濯機が動作しているかどうかを決定するために様々な感知技術を採用できる。ある技術は、電流や荷重の検知、モータ制御におけるアンバランス検知、目標速度と現在速度の差、2D及び3Dモーションセンサなどである。搾り出し回転中にアンバランスな荷重を検知した場合、機械を停止し、アンバランスな荷重を使用者に知らせる信号を発生させる。モータ制御における電流や荷重検出を含むセンシング技術は、洗濯物の分布によるアンバランスで生じる荷重以外のモータへの追加荷重により、不正確な場合がある。
【0005】
振動の原因は、ドラム内の洗濯物のアンバランスな重量である。そのため、振動を減らす、又は、なくすためには、ドラム内のアンバランスな重量を取り除く必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、洗濯機のドラム内の洗濯物のアンバランスな分布によって生じるアンバランスな荷重を補正できる洗濯機を提供することである。
【0007】
本発明によれば、洗濯機の回転工程における振動を減らす、又は、なくすための新しい方法が使用される。本発明は、アンバランスな荷重の遠心力を低減するために、アンバランスな荷重のバランスのとれた反対側を作るという知見に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、
-キャビネットと、
-ドラムであって、その開口端から洗濯物を受け取り、前記キャビネット内でその長手方向軸の周りに回転可能であるドラムと、
-質量チャンネルとバランスウエイトとを含むバランサであって、前記質量チャンネルは少なくとも前記ドラムの横面から前記ドラムの内側への方向に延び、前記バランスウエイトを受け入れ、前記バランスウエイトは前記質量チャンネルの延びる方向に沿って前記質量チャンネル内で移動可能であるバランサと、
を備える洗濯機を提案する。
キャビネットは、洗濯機のドラムが回転可能に取り付けられるケーシングを示す。キャビネットは、ドラムに洗濯物を投入するための開口を前面に有する。キャビネットの開口には、洗濯中にキャビネットを閉じるための扉が設けられている。なお、以下では、洗濯物を衣類とも称する。洗濯機はさらに、ドラムを備える。ドラムは、洗濯物を受け取るための開口端を有する。開口端は、キャビネットの開口とアラインしている。ドラムは、その長手方向軸の周りに回転可能である。従って、ドラムの長手方向軸は、ドラムの回転軸である。ドラムはキャビネットに回転可能に取り付けられ、ドラムは洗濯機内のモータで駆動することができる。
【0009】
本発明によれば、洗濯機は、バランサをさらに備える。好ましくは、バランサは複数個設けられる。バランサは、質量チャンネルと、バランスウエイトと、を備える。
【0010】
質量チャンネルは、ドラムの側面に設けられている。側面は、ドラムの円周上に延び、ドラムの長さに沿って延びるドラムの壁を示す。したがって、側面は、ドラムの内部を囲んでいる。本発明によれば、質量チャンネルは、少なくともドラムの側面からドラムの内部へ向かう方向に延びている。特に、質量チャンネルは、側面の円形断面の割線の方向でドラムの内部に延在してもよい。したがって、好ましい実施形態では、質量チャンネルは、半径方向に延び、つまり、側面とドラムの長手方向軸との間の方向に延びる。別の実施形態では、質量チャンネルは、ドラムの長手方向軸に対してオフセットしている割線の方向にドラムの内部に延在している。質量チャンネルは、例えば、半径方向に対してパラレルオフセットされた方向でドラムの内部に延在してもよい。好ましい実施形態では、質量チャンネルは、側面とドラムの長手方向軸との間の方向に延在する。
【0011】
質量チャンネルは、側面からドラムの内側に向かう方向とは反対の方向に延びてもよい。この場合、質量チャンネルは、側面から内側に延びるだけでなく、側面から外側に延びてもよい。
【0012】
バランスウエイトは、質量チャンネル内で質量チャンネルの延在方向に移動可能である。バランスウエイトは、好ましくは長円形である。この場合、バランスウエイトは、質量チャンネルの長手方向に移動可能である。質量チャンネルが半径方向に延びている場合、バランスウエイトはドラムの半径方向に移動できる。質量チャンネルは、バランスウエイトのガイドとなる。バランスウエイトは、質量チャンネル内に移動可能に保持される。好ましくは、バランスウエイトは、バランスウエイトが質量チャンネルからはずれないように質量チャンネルに保持される。質量チャンネルは、少なくとも1つの開口端を有してもよい。あるいは、質量チャンネルは、両端が閉じていてもよい。バランスウエイトは、質量チャンネル内を移動するのに適した構成要素である。バランスウエイトは、長円形の構成要素であってもよい。この場合、バランスウエイトは、ピンまたはロッドと称することも可能である。しかしながら、本発明によれば、バランスウエイトがボールまたはディスクであってもよい。質量チャンネルには、少なくとも1つのバランスウエイトが設けられる。複数のバランスウエイトが設けられる場合、複数のバランスウエイトは、好ましくは、質量チャンネルの長手方向に沿って互いに隣接して配置される。バランスウエイトの外形寸法、例えば外径は、好ましくは質量チャンネルの内形寸法、特にその内径に対応するように選択される。
【0013】
洗濯機は、ドラム内に収容された洗濯物のアンバランスな荷重を決定するための感知回路をさらに備えていてもよい。感知回路は、ドラムを回転させるためのモータの制御を含む、洗濯機の制御ユニットに備えられていてもよい。しかしながら、感知回路は、別の処理ユニットであってもよい。感知回路は、好ましくは、ドラム内の洗濯物のアンバランスな荷重の位置を決定するために機能する。特に、アンバランスな荷重の位置は、ドラムの側面に沿った第1のセクションとすることができ、そのセクションに存在する洗濯物の重量は、ドラムの側面の第1のセクションと径方向に対向する第2のセクションにおける洗濯物の重量より大きい、又は小さい。感知回路は、ドラムのバランスの値を決定するためにも機能し得る。バランス値が高い場合、アンバランスでない、または僅かなアンバランスであり、これは、ドラムの円周上のアンバランスな荷重の分布が存在しない、または僅かであることを意味する。
【0014】
洗濯機のドラムに少なくとも1つのバランサを設けることによって、ドラムの各部に対して荷重を付すことができる。特に、荷重は、質量チャンネル内の少なくとも1つのバランスウエイトをドラムの長手方向軸に近づけるか、または長手方向軸から遠ざけることによって適合できる。一実施形態では、バランスは、半径方向に移動される。バランスウエイトがドラムの長手方向軸に近い位置にあるほど、遠心力への影響は小さくなる。バランスウエイトがドラムの長手方向軸から離れた位置にあるほど、遠心力への影響は大きくなる。バランサの領域で遠心力を変化させることにより、ドラム内の洗濯物のアンバランスな分布を補正することができる。それにより、ドラムの回転中のアンバランス、ひいては回転中の振動、特に回転中の振動を回避することができる。
【0015】
一実施形態によれば、洗濯機は、感知回路によるアンバランスな荷重の決定に応答して、質量チャンネル内のバランスウエイトの位置を、ドラムの長手方向軸に垂直な第1の距離からドラムの長手方向軸に垂直な第2の距離に変更するポジショナを備える。ポジショナは、アクチュエータまたは移動ユニットと呼ばれることもある。ポジショナは、バランスウエイトの位置を変更するためのものである。特に、バランスウエイトの重心位置は、ポジショナによって変更される。好ましくは、ポジショナは、質量チャンネル内のバランスウエイトの位置を、ドラムの長手方向軸に垂直な第1の半径方向距離からドラムの長手方向軸に垂直な第2の半径方向距離へと変更する。ポジショナは、好ましくは、非接触でバランスウエイトに作用する。特に、ポジショナは、バランスウエイトに物理的に接触することなく、バランスウエイトを移動させる。ポジショナは、好ましくは、感知回路によって検出されたアンバランスな荷重に応答して、バランスウエイトを作用させる。このため、決定されたアンバランス荷重に応じて、ポジショナを作動させたり停止させたり、バランスウエイトに対する影響力を変化させたりすることができる。本実施形態によれば、ドラムのアンバランスな荷重を狙い通りに補正すること確実に実現できる。
【0016】
ポジショナは、ドラムに取り付けることができる。あるいは、ポジショナはドラムに対して別体である。この場合、ポジショナはドラムの周りを回転するか、またはポジショナが固定式かのどちらかである。ポジショナがドラムと別体でありながらドラムの周りを回転する場合、ポジショナをドラムと同じ速度で回転させることができる。ポジショナが固定式である場合、例えば洗浄機のキャビネット内に固定して取り付けることができる。ポジショナがドラムに取り付けられている場合、またはドラムとは別体であるがドラムと同じ速度で移動する場合、ドラムの円周上または円周外のポジショナの位置は、バランスウエイトの位置とアラインする。ポジショナが固定されている場合、ドラムが回転している間にバランスウエイトがポジショナを通過するときのみ、ポジショナはバランスウエイトに作用する。
【0017】
好ましい実施形態によれば、バランスウエイトはフェリ磁性材料からなり、ポジショナは、質量チャンネル内のバランスウエイトの位置を変更するための磁石からなる。本実施形態では、ポジショナは、磁力によってバランスウエイトに作用する。特に、磁石または磁石の向きによって、バランスウエイトは、磁石の方に引き寄せられ、または磁石によって反発され得る。
【0018】
ポジショナが磁石からなる場合、ポジショナは磁石を切り替える手段、特にドラムに対する磁石の極の向きを変更する手段を含むことが好ましい。
【0019】
一実施形態によれば、ポジショナは、質量チャンネル内のバランスウエイトの位置を変更するために磁石を回転させるための手段を備える。特に、磁石は、ドラムの半径に垂直であり、ドラムの円形断面に対する通過線である軸の周りに回転させられる。本実施形態では、磁石は永久磁石であってもよい。磁石を回転させることにより、ドラムひいてはバランサに対向する磁石の極を変更できる。これにより、一方の極がドラムと、ひいてはバランスウエイトと向き合う位置では、バランスウエイトは磁石の方に引き寄せられ、他方の極がドラムと向き合う反対側の位置では、バランスウエイトは磁石に反発し、磁石から遠ざかる。また、磁石は永久磁石を使用した切替式磁石でもよい。
【0020】
磁石を回転させるポジショナを設けることで、質量チャンネルにおけるバランスウエイトの位置を簡易に変更することができる。
【0021】
一実施形態によれば、ポジショナの磁石は、電磁石である。この実施形態は、電磁石の磁場を調整することができ、磁石をオン/オフすることができるため、有利である。これにより、バランスウエイトにかかる力の方向と強さを調整することができる。
【0022】
一実施形態によれば、感知回路は、バランスウエイトがドラムの長手方向軸から第1の距離にあるときに第1のバランス測定を行い、バランスウエイトがドラムの長手方向軸から第2の距離にあるときに第2のバランス測定を行うように配置される。第1の距離及び第2の距離は、好ましくは半径方向距離である。少なくともこれら2つのバランス測定を行うことにより、バランス測定値が高いバランスウエイトの距離、好ましくは半径方向の距離を決定することができ、ドラムのその後の回転のために、ドラムの長手方向軸からこの距離にバランスウエイトを置いて機械を操作することができる。
【0023】
従って、一実施形態によれば、ポジショナは、好ましくは、決定されたバランス測定値がより高くなる、ドラムの長手方向軸からのある距離にバランスウエイトを移動させるように構成される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、洗濯機は、複数の前記バランサを備える。バランサの各々は、質量チャンネルと、バランスウエイトと、を備える。この実施形態は、ドラム内の洗濯物の荷重の分布をより正確に補正することができるため、有利である。バランサは、ドラムの円周上または長さ方向に均等に配置することができる。しかしながら、バランサを不均等に配置することも可能である。特に、2つ以上のバランサを互いに近接して配置することができる。本実施形態では、近接するバランサをバランサグループと呼ぶことがある。
【0025】
一実施形態によれば、少なくとも2つのバランサまたはバランサグループは、ドラムの開口端から長手方向軸に沿って2つの異なる距離に配置されている。この実施形態は、ドラムの長さにわたって、すなわち長手方向軸の方向における洗濯物の荷重の分布の差を考慮することができ、ドラムの長さに沿った異なる位置におけるアンバランスな分布を補正することができるため、有利である。
【0026】
一実施形態によれば、バランサは、2つのバランサ又はバランサのグループが正反対になるように配置される。この実施形態は、アンバランスが2つの位置から影響を受け、それによって補正され得るので、有利である。
【0027】
一実施形態によれば、バランサは、ドラムの長手方向軸に対するバランサまたはバランサグループの間の角度距離が等しくなるように、配置される。つまり、バランサまたはバランサグループは、ドラムの円周上に均等に配置されている。このようにバランサを配置することで、アンバランスを確実に補正することができる。複数のバランサ、例えば3つのバランサがグループ内で互いに隣接して配置され、複数のグループが設けられる場合、ドラムの長手方向軸に対するバランサグループの中心点間の角度距離が等しくなるように、バランサグループを配置することが可能である。
【0028】
一実施形態によれば、バランサ又はバランサグループは、ドラムの長手方向軸に対するバランサ又はバランサグループの間の角度距離が90°となるように配置されている。この場合、バランサまたはバランサグループは、ドラムの円周上の4つの位置に設けられ、そのうちの2組の位置は径方向に対向している。バランサのグループの場合、この実施形態では、ドラムの長手方向軸に対するバランサのグループの中心点間の角度距離が90°となるように、バランサのグループを配置することが可能である。
【0029】
一実施形態によれば、質量チャンネルは、長手方向軸とドラムの側面との間の方向に垂直にドラムの中に延在する。つまり、質量チャンネルは、半径方向に延びている。複数のバランサ、ひいては複数の質量チャンネルが互いに隣接するグループに設けられる場合、グループの質量チャンネルは互いに平行であってもよい。この場合、バランサグループの少なくとも1つの中間質量チャンネルは、半径方向に延びてもよい。
【0030】
ドラムの内側に延びることに加えて、または代替的に、質量チャンネルはドラムの円周から外側に延びてもよい。この場合にも、質量チャンネルまたはバランサグループの少なくとも1つの中間質量チャンネルは、半径方向外側に延在する。
【0031】
さらなる態様によれば、本発明は、洗濯機内でその長手方向軸に沿って回転するドラムのバランスを向上させる方法に関し、該方法は
-ドラムによって受け取られる洗濯物のアンバランスな荷重を決定する工程と、
-ドラムの側面と長手方向軸との間の方向にバランスウエイトを移動させる工程と、
を含む。
【0032】
本発明の洗濯機に関して説明した特徴および利点は、-適用可能な限り-本発明に係る方法にも有効であり、その逆もまた然りである。
【0033】
好ましくは、ドラムによって受け取られた洗濯物のアンバランスな荷重を決定する工程は、洗濯物のアンバランスな荷重の位置を決定する工程である。追加的にまたは代替的に、洗濯物のアンバランスな荷重を決定する工程は、バランスの値を測定する工程を含んでいてもよい。
【0034】
洗濯物のアンバランスな荷重を決定する工程で、そのアンバランスを補正するために必要な移動の方向及び/又は量を決定することができる。アンバランスな荷重の決定する工程は、好ましくはアンバランスな荷重の位置を決定する工程を含むため、使用するバランサの選択が可能である。特に、荷重が偏っている位置またはそれに近いバランサを選択して、アンバランスを補正することができる。
【0035】
本発明によれば、この方法は、ドラムの側面と長手方向軸との間の方向でバランスウエイトを移動させる工程を含む。バランスウエイトを移動させる工程は、アンバランスな荷重を決定する工程と、決定されたアンバランスな荷重を補正する工程と、の両方に使用できる。バランスウエイトの移動は、好ましくは、半径方向への移動である。この移動は、長手方向軸に向かう方向であってもよいし、長手方向軸から離れる方向であってもよい。
【0036】
この方法の好ましい実施形態によれば、洗濯物のアンバランスな荷重の位置を決定する工程は、バランスウエイトが第1の距離にあるときに第1のバランス測定を行う工程と、バランスウエイトが第2の距離にあるときに第2のバランス測定を行う工程と、第1のバランス測定と第2のバランス測定とを比較する工程と、を含む。第1の距離および第2の距離は、好ましくは、長手方向軸からの半径方向の距離である。バランスウエイトのドラム長手方向軸からの距離を変え、それぞれのバランス測定値を比較することで、バランスウエイトの位置が変化したバランスアンサがアンバランスに与える影響を決定することができる。それによって、アンバランスの位置を決定することができる。さらに、この比較によって、そのバランサのドラムの長手方向軸からのバランスウエイトの好ましい距離を決定し、ドラムのその後の回転に使用することができる。
【0037】
複数のバランサが設けられている場合、1つまたは複数のバランサの設定、特にドラムの長手方向軸からのバランスウエイトの距離は、同時にまたは続いて変更することができる。また、アンバランスな荷重を決定する2つのバランサの設定を変更し、追加するバランサの設定は変更しないことも可能である。この場合、好ましくは反対のバランサの設定を変更する。
【0038】
好ましくは、この方法は、ドラムの側面と長手方向軸との間の方向でバランスウエイトをバランス測定値がより高くなる場所まで移動させる工程を含む。バランスウエイトの移動は、好ましくは、半径方向の移動である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、ある時点の衣類が入った洗濯機の模式図である。
【
図2a】
図2aは、本発明に係る洗濯機の一実施形態のドラムを、ドラム回転中の4つの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【
図2b】
図2bは、本発明に係る洗濯機の一実施形態のドラムを、ドラム回転中の4つの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【
図2c】
図2cは、本発明に係る洗濯機の一実施形態のドラムを、ドラム回転中の4つの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【
図2d】
図2dは、本発明に係る洗濯機の一実施形態のドラムを、ドラム回転中の4つの異なる位置のうちの1つを示す概略図である。
【
図3】
図3は、ポジショナを備えた
図2に係る洗濯機である実施形態のドラムの概略斜視図である。
【
図4】
図4は、バランサの一実施形態を示す模式的断面図である。
【
図5】
図5は、バランサの他の実施形態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。図面において、同様の構成要素は同一の参照符号で示され、その繰り返しの説明は冗長性を避けるために省略されることがある。
【0041】
図1において
これらの実施形態および特徴が複数の可能性を例示しているに過ぎないことは、当業者にとって明らかである。それゆえ、本明細書に示された実施形態は、これらの特徴および構成を限定するように理解されるべきではない。説明された特徴のいずれの可能な組み合わせおよび構成は、本発明の範囲に従って選択することができる。
【0042】
図1は、洗濯機1の一実施形態を示している。洗濯機1は、前面開口を有するキャビネット4を備える。キャビネット4の内部には、ドラム2が収納されている。ドラム2は、その長手方向軸8の周りに回転自在である。ドラム2は開口端を有し、開口端はキャビネット4の開口に面している。
図1では、ドラム2の内部に洗濯物が模式的に示されている。洗濯物は、2つの場所に示されている。特に、洗濯物の一部分L1はドラム2の内部の底にあり、他の部分L2はドラム2の内部の上部にある。洗濯物のこのような分布は、ドラム2の回転中、特に高速回転中に生じ得る。
【0043】
図2a~
図2dは、ドラム2の回転状態の違いによる洗濯物の分布を示す図である。特に、
図2bは、
図2aの状態からドラム2が90°回転した後の洗濯物の部分L1、L2の分布を示す。
図2c及び
図2dは、さらに90°回転させたときの状態を示している。
【0044】
図2に示す各状態において、荷重部分L1及び荷重部分L2がドラム2の内側に圧力を生じさせ、生じた遠心力は、ドラム回転中の異なる時点で、異なる。
【0045】
時刻tにおいて、例えば4kgの重量を有する、荷重のより大きい部分L1には遠心力Xが、例えば3kgの重量を有する、荷重のより小さい部分L2には遠心力Yが発生し、遠心力XとXとに差があるとアンバランスが発生する。
【0046】
図2において、バランサ5のグループ50は、ドラム2に設けられている。特に、ドラム2の上部および底部には、3つのバランサのグループ50がそれぞれ設けられている。ドラム2の側面には、2つのバランサ5のグループ50がそれぞれ設けられている。
図2では、バランサ5のバランスウエイトのみが示されている。
【0047】
図2から分かるように、洗濯物がない場所におけるバランサ5のグループ50のバランスウエイトは、初期状態にある。示されている実施形態では、この初期状態において、バランスウエイトは、ドラムの内側および外側に同じ量だけ周方向に延びるように配置される。
【0048】
より大きい荷重部分L1の位置でバランサ5のグループ50のバランスウエイトは、このような初期状態からドラム2の内側に移動される。それにより、ドラム2の長手方向軸8と、グループ50の各バランサ5のバランスウエイトとの間の距離は、初期状態よりも小さくなる。荷重のより大きい部分L2の位置のバランサ5のグループ50のバランスウエイトをドラム2の周面より外側に移動させる。それにより、ドラム2の長手方向軸8と、グループ50の各バランサ5のバランスウエイトと、の間の距離は、初期状態よりも大きくなる。これにより、より小さい部分L2の位置で発生する遠心力は増大し、一方、より大きい部分L1の位置で発生する遠心力は減少し、アンバランスは減少し、好ましくは除去される。
【0049】
図3では、本発明の洗濯機の一実施形態のドラム2がポジショナ7とともに示されている。本実施形態では、ドラム2の円周上にバランサ5のグループ50が4個設けられている。
図2と同様に、
図3においても、バランサ5のバランスウエイトのみが示されている。バランサ5の各グループ50は、2つのバランサ5を有する。バランサ5のグループ50は、ドラム2の長手方向軸8に対して90°の角度距離で設けられている。バランサ5のバランスウエイトは磁性体である。好ましくは、バランスウエイトは、フェリ磁性材料からなる。
【0050】
図3に示す実施形態では、4つのポジショナ7が設けられている。ポジショナ7は、磁石M1,M2,M3,M4である。磁石M1,M2,M3,M4は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。ポジショナ7は、洗濯機1のキャビネット4(
図1参照)に取り付けられてもよい。ポジショナ7は、ドラム2に対して静止していてもよい。特に、ポジショナはドラム2の長手方向軸8の周りを回転しない。しかしながら、図示された実施形態では、ポジショナ7の異なる側面が異なる時点にドラムの外側、すなわちバランサ5に面することができるように、ポジショナ7は、軸を中心に回転させられてもよい。これは
図3に曲線の矢印で模式的に示されている。ポジショナ7の動き、特にポジショナ7の反転は、洗濯機1の制御ユニットまたは別の制御ユニットであってよい制御ユニット(図示せず)により制御され得る。特に、制御ユニットは、マイクロ制御ユニット、MCUである。
【0051】
洗濯サイクルまたは回転サイクルの開始時に、制御ユニットは、ドラム2の内部の底部にある荷重部分L2が、ドラム2の内部の上部にある荷重部分L4よりも大きいことを、認識していない。そのため、制御ユニットは、ドラム2の任意の点またはその点に作用するそれぞれの重量がアンバランスを引き起こすと想定できる。そして、制御ユニットは、その想定した点またはその想定した点に近い位置でポジショナ7を作動させることができる。具体的には、それぞれの磁石M1,M2,M3,M4を回転させて、バランサ5のバランスウエイトを引き寄せるか、反発させる。ドラムのバランスは、感知回路が最も高いバランス測定値、すなわち最も低いアンバランス測定値を検出するまで測定される。アンバランスの原因となる荷重がある点を想定するかわりに、制御ユニットは、各バランサまたはバランサのグループ5の位置を順次変更し、アンバランスを補正するためのバランスウエイトの適切な調整を決定してもよい。
【0052】
例えば、荷重部分L1が集まったバランサ5のバランスウエイトのみを磁石M1の回転によって出し入れし、他の磁石M2,M3,M4は初期位置のままとするような方法で実施することが可能である。本実施形態における制御ユニットは、移動して出た磁石M1に近いバランサ5のバランスウエイトの位置、及び、ドラムへ移動した磁石M1に近いバランサ5のバランスウエイトの位置でドラムのアンバランスを測定することが可能である。そして、最も高いバランス測定値が得られる磁石M1の設定を、その後の回転に使用することができる。他の荷重の部分L2、L3、L4についても同様の測定を行い、磁石M2、M3、M4のそれぞれの設定を決定することができる。
【0053】
次に、本発明に係る方法の別の実施形態を、
図3を参照して説明する。初期状態において、全ての磁石M1,M2,M3,M4は、同じ面がドラム2の円周に向くように配置される。例えば全ての磁石は、その反発面がドラム2、すなわちバランサ5と向き合うように回転される。制御ユニットは、その状態でのドラム2のアンバランスを測定する。ドラム2の回転速度は、例えば、60rpm(rotation per minute)であってもよい。これは、ドラム2が1秒間に1周回転することを意味する。4つの磁石M1,M2,M3,M4が設けられているので、ドラム内の荷重部分L1,L2,L3,L4は、0.25秒ごとに磁石を通過する。
【0054】
始めに、制御ユニットは、例えば、
図3のドラム2の右側に示される荷重部分L3がアンバランスを起こすことを想定する。その際、磁石M2、M4は、引き合う側がドラム2に向く位置に留まってよい。磁石M1は回転し、反発面がドラム2に向き、アンバランス荷重の遠心力を減少させ、磁石M3は引き合う面がドラム2に向く位置のままにしてアンバランスの遠心力を減少させる。0.25秒ごとにアンバランス荷重が位置を変え、それに応じて磁石M1、M2、M3、M4が回転する。この間、制御ユニットはアンバランスを測定する。
【0055】
制御ユニットは上記のステップを繰り返すが、アンバランスの原因となる荷重L1、L2、L3、L4の異なる部分を想定するたびに、それに応じて磁石M1、M2、M3、M4の向きを調整し、制御ユニットはアンバランスを測定する。
【0056】
上記の工程の後、制御ユニットは、荷重L1、L2、L3、L4のどの部分がアンバランスを引き起こすかを決定する。そして、その決定に応じてアンバランスを補正するように磁石M1、M2、M3、M4を調整しながら、回転工程を継続する。
【0057】
図4および
図5には、本発明によるバランサ5の実施形態が示されている。
図4の実施形態では、バランサ5は、その両端が開口している質量チャンネル3を有する。バランスウエイト6は、長方形の形状を有し、棒状であってもよい。バランスウエイト6の長さは、質量チャンネル3の長さより長い。本実施形態では、バランスウエイト6が質量チャンネル3から抜け出るのを防止するために、バランスウエイト6はその長手方向の両端が拡径されている。
図5の実施形態では、質量チャンネル3は両端が閉じられており、バランスウエイト6が質量チャンネル3内に受け入れられている。バランスウエイト6は、バランスウエイト6が質量チャンネル3内で移動できるように、質量チャンネル3よりも短い長さを有している。
【0058】
バランサ5の位置は、質量チャンネル3がドラム2の側面を貫通して延びるようにしてもよいし(
図4参照)、質量チャンネル3がドラム2の側面の内側に取り付けられるようにしてもよい(
図5参照)。
【0059】
本発明の原理は、アンバランス荷重のバランスのとれた反対側を作り、アンバランスを吸収し、アンバランス荷重の遠心力を軽減することである。
【0060】
洗濯機の回転中は、ドラムが高速で回転するため、衣類は遠心力によってドラムの内面に圧力を発生させ得る。この衣類の圧力がアンバランスの原因となる。本発明では、衣服による遠心力が作用する箇所と反対側のドラムに力を発生させることができる。この力によって、衣類によって発生する力を吸収することができるため、アンバランスを軽減することができる。
【0061】
回転中の衣類は、ドラム内でランダムに膨らむ。ドラムのどの位置にも他の位置より多く衣類が集まり、このアンバランスな分布がこの位置への圧力を生み、この位置の反対側にも衣類が集まってくることがあり得る。ある地点の反対側に溜まる洗濯物の分量や量が同じであれば、これらの荷重は互いに吸収し合う。しかしながら、反対側の位置に同じ量の荷重がかかっていなければ、衣類の量が多くなる位置には反対側よりも多くの圧力がかかる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、洗濯機のドラムに、移動ピンとも呼ばれ得る少なくとも1つのバランサが設けられている。このバランサは、ドラムの内側から外側に移動させることができ、またその逆も可能である。この動きは、マイクロコントローラで制御することができる。ドラムの片側が反対側より荷重が少ない場合、この荷重が少ない箇所でピンがドラムの外側に移動し、荷重が少ない箇所の反対側でピンがドラムの内側に移動する。
【符号の説明】
【0063】
1 洗濯機
2 ドラム
3 質量チャンネル
4 キャビネット
5 バランサ
6 バランスウエイト
7 ポジショナ
8 長手方向軸
M1 磁石
M2 磁石
M3 磁石
M4 磁石
L1 洗濯物の荷重部分
L2 洗濯物の荷重部分
L3 洗濯物の荷重部分
L4 洗濯物の荷重部分
【国際調査報告】