(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】構成可能なレーダタイルアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20230329BHJP
H01Q 25/00 20060101ALI20230329BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20230329BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230329BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G01S7/02 216
H01Q25/00
H01Q23/00
H01Q21/06
G01S7/03
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540996
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021016581
(87)【国際公開番号】W WO2021201971
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518066415
【氏名又は名称】マコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS, INC.
【住所又は居所原語表記】100 Chelmsford Street, Lowell, MA 01851 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アル‐ラシッド, ヤセル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイガンド, クリストファー ダーク
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, ダニエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アールキスト, ニコラス ジェームス
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021GA02
5J021HA04
5J021JA03
5J070AD10
5J070AD13
5J070AD14
5J070AE04
5J070AE12
5J070AF03
5J070AF05
5J070AF06
5J070AK40
(57)【要約】
複数のアパーチャアセンブリコネクタを持っているアパーチャアセンブリと、複数のバックプレーンアセンブリコネクタを持っているバックプレーンアセンブリと、対応する第1の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第1の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直送信カードとを含む、構成可能なフェーズドアレイタイルが開示される。複数の垂直送信カードが、アパーチャアセンブリに搭載された少なくとも1つの放射素子に電力を供給するための少なくとも1つの大電力送信増幅器を含む複数の送信チャネルを各々含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアパーチャアセンブリコネクタを持っているアパーチャアセンブリと、
複数のバックプレーンアセンブリコネクタを持っているバックプレーンアセンブリと、
対応する第1の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第1の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直送信カードと、
を備え、
前記複数の垂直送信カードが、前記アパーチャアセンブリに接続された少なくとも1つの放射素子に電力を供給するための少なくとも1つの大電力送信増幅器を含む少なくとも1つの送信チャネルを各々含む、
構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項2】
対応する第2の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第2の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直受信カードであって、前記複数の垂直受信カードの各々が複数の受信チャネルを含む、複数の垂直受信カードをさらに備える、請求項1に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項3】
前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む、請求項1に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項4】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記少なくとも1つの大電力送信増幅器から熱を取り去るために前記垂直送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む、請求項1に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項5】
前記複数の垂直送信カードの行同士の間の少なくとも1つの溝を通る空気の流れを強制的に作るように設置された少なくとも1つのファンをさらに含む、請求項4に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項6】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記バックプレーンアセンブリから前記アパーチャアセンブリへの電力信号及び制御信号のための信号ルーティング部を含む、請求項1に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項7】
前記バックプレーンアセンブリが、前記複数の垂直送信カードへの送信信号を分割するための送信分割器回路を含む、請求項1に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項8】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記複数の送信チャネルへの前記送信信号を分割する送信分割器を含む、請求項7に記載の構成可能なフェーズドアレイタイル。
【請求項9】
少なくとも1つのタイルを含む対応するアパーチャ面を有する少なくとも1つのパネルを含むアンテナアセンブリと、
前記アンテナアセンブリを支持するように構成された基部と、
を具備し、
前記少なくとも1つのタイルが、
複数のアパーチャアセンブリコネクタを持っているアパーチャアセンブリと、
複数のバックプレーンアセンブリコネクタを持っているバックプレーンアセンブリと、
対応する第1の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第1の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直送信カードと、
を備え、
前記複数の垂直送信カードが、前記アパーチャアセンブリに接続された少なくとも1つの放射素子に電力を供給するための少なくとも1つの大電力送信増幅器を含む複数の送信チャネルを各々含む、
フェーズドアレイレーダシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのタイルが、対応する第2の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第2の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直受信カードであって、前記複数の垂直受信カードの各々が複数の受信チャネルを含む、複数の垂直受信カードをさらに含む、請求項9に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項11】
前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む、請求項9に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項12】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記少なくとも1つの大電力送信増幅器から熱を取り去るために前記垂直送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む、請求項9に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項13】
前記複数の垂直送信カードの行同士の間の少なくとも1つの溝を通る空気の流れを強制的に作るように設置された少なくとも1つのファンをさらに含む、請求項12に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項14】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記バックプレーンアセンブリから前記アパーチャアセンブリへの電力信号及び制御信号のための信号ルーティング部を含む、請求項9に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項15】
前記バックプレーンアセンブリが、前記複数の垂直送信カードへの送信信号を分割するための送信分割器回路を含む、請求項9に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項16】
前記複数の垂直送信カードの各々が、前記複数の送信チャネルへの前記送信信号を分割する送信分割器を含む、請求項15に記載のフェーズドアレイレーダシステム。
【請求項17】
アパーチャ面に搭載された複数の放射素子と、
前記アパーチャ面に取り外し可能に接続され、前記アパーチャ面に垂直に向けられた複数の送信カードであって、前記複数の送信カードが対応する複数の放射素子へ送信信号を与えるように構成された複数の送信増幅器を各々含む、複数の送信カードと、
前記複数の送信カードへ前記送信信号を与えるように構成されたバックプレーンアセンブリと、
を備える、レーダタイル。
【請求項18】
前記アパーチャ面に取り外し可能に接続され、前記アパーチャ面に垂直に向けられた複数の受信カードであって、前記複数の受信カードが、複数の受信チャネルを各々含む、複数の受信カードをさらに備える、請求項17に記載のレーダタイル。
【請求項19】
前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む、請求項17に記載のレーダタイル。
【請求項20】
前記複数の送信カードの各々が、前記複数の送信増幅器から熱を取り去るために前記送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む、請求項17に記載のレーダタイル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2020年2月4日出願の米国仮特許出願第62/969,951号の利益を主張し、その開示全体は、引用により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、一般には、フェーズドアレイレーダシステムに関し、より詳細には、広範囲のレーダ用途を支援するために構成可能な設計を有するフェーズドアレイレーダシステム用のタイルアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]レーダシステムは、気象モニタリング、航空交通監視及び自国防衛用を含む様々な用途を有する。従来型の回転式ディッシュレーダシステムは、機械的に主ビームを360度回転させ、ビーム経路内の物体により反射された信号を測定することにより目標物(例えば、気象事象、航空機、等)の位置を特定し追跡する。フェーズドアレイレーダシステムは、他方で、多くの場合に、半球をカバーするように異なる方向の4つに向けられた固定されたアンテナアパーチャを使用する。各々のアパーチャは、複数のタイルを含み、各々のタイルが複数の放射素子を有する。アパーチャは、各々の放射素子位相設定を操作することによって主ビームの方向を定めるために電気的に制御され、放射素子は合わせて、数百の又はそれどころか数千の数に達することがある。レーダ送信機からの波形は、各々の素子の送信された波形が望まれる方向の放射光を高める一方で他の方向では相殺するように自由空間において統合されるように、位相進行を用いて個々の放射素子へ供給される。このように、個々の素子からのエネルギーを変え、放出された電波の位相をわずかにシフトさせることによって、各々のパネルについての制御が、アパーチャのカバレッジの領域全体にわたりほぼ瞬時に掃引される重複波を生成する。このようにして、システムの機械的な運動又は回転を必要とせずに、フェーズドアレイレーダは、半球全体の本質的に一定のカバレッジを提供することができる又は対象物が射程範囲内へと入ると対象物から対象物へとほぼ瞬時に向けることができる。
【0004】
[0004]タイルに基づくフェーズドアレイシステムの普及しているアーキテクチャは、層がアレイの面に平行である平坦なプレーナ設計に対して、構成要素の層がアレイの面に垂直に向けられたレンガに基づく構成から発展している。プレーナアーキテクチャは、製造することが容易であり信号ルーティングの必要条件を単純化するという点でよりコスト効率がよい。レンガに基づく構成におけるように、関係する複雑な機械的、RF、電力及びディジタルインターフェースを有し、アレイ面に垂直な多数の送信/受信モジュール(「TRM」)を使用する代わりに、プレーナアーキテクチャは、アパーチャアセンブリの平面内にTRM機能を統合し、アパーチャアセンブリの回路内にRF、ディジタル信号及び電力をルーティングする。
【0005】
[0005]プレーナアーキテクチャが初期の構成に関する改善である一方で、プレーナアーキテクチャは、改善のための機会を依然として提示する。例えば、多層アパーチャアセンブリが信号を様々な構成要素へルーティングするためにアパーチャアセンブリ内に多数の層を必要とするという理由で、多層アパーチャアセンブリは、製造するためにコストがかかることがある。加えて、構成要素とアパーチャアセンブリとの間の多数のはんだ接合部の完全な状態が維持されなければならない。いくつかのケースでは、これらの構成要素は、熱管理のために必要なヒートシンクが温度変動にともなって膨張及び収縮するので、高いレベルの応力を受けることになる。最後に、とりわけ、(例えば、GaAs増幅器からGaN増幅器への)送信増幅器に関する変更が、アパーチャアセンブリに対する再設計を必要とするという理由で、従来型のプレーナアーキテクチャは、異なる用途用に容易には改造されない。したがって、従来の手法にともなうこれらの問題及び他の問題に対処する新たなレーダタイルアーキテクチャに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]1つの実施形態によれば、本開示は、構成可能なフェーズドアレイタイルアーキテクチャを提供し、複数のアパーチャアセンブリコネクタを持っているアパーチャアセンブリと、複数のバックプレーンアセンブリコネクタを持っているバックプレーンアセンブリと、対応する第1の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第1の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直送信カードとを備え、前記複数の垂直送信カードが、前記アパーチャアセンブリに接続された少なくとも1つの放射素子に電力を供給するための少なくとも1つの大電力送信増幅器を含む複数の送信チャネルを各々含む。この実施形態の1つの態様は、対応する第2の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第2の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直受信カードであって、前記複数の垂直受信カードの各々が複数の受信チャネルを含む、複数の垂直受信カードをさらに備える。もう1つの態様では、前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む。さらにもう1つの態様では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記少なくとも1つの大電力送信増幅器から熱を取り去るために前記垂直送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む。この態様の変形形態は、前記複数の垂直送信カードの行同士の間の少なくとも1つの溝を通る空気の流れを強制的に作るように設置された少なくとも1つのファンをさらに備える。さらにもう1つの態様では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記バックプレーンアセンブリから前記アパーチャアセンブリへの電力信号及び制御信号のための信号ルーティング部を含む。この実施形態のもう1つの態様では、前記バックプレーンアセンブリが、前記複数の垂直送信カードへの送信信号を分割するための送信分割器回路を含む。この態様の変形形態では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記複数の送信チャネルへの前記送信信号を分割する送信分割器を含む。
【0007】
[0007]もう1つの実施形態では、本開示は、フェーズドアレイレーダシステムを提供し、少なくとも1つの構成可能なタイルを含む対応するアパーチャ面を有する少なくとも1つのパネルを含むアンテナアセンブリと、前記アンテナアセンブリを支持するように構成された基部とを備え、前記少なくとも1つの構成可能なタイルが、複数のアパーチャアセンブリコネクタを持っているアパーチャアセンブリと、複数のバックプレーンアセンブリコネクタを持っているバックプレーンアセンブリと、対応する第1の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第1の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直送信カードとを備え、前記複数の垂直送信カードが、前記アパーチャアセンブリに接続された少なくとも1つの放射素子に電力を供給するための少なくとも1つの大電力送信増幅器を含む複数の送信チャネルを各々含む。この実施形態の1つの態様では、前記少なくとも1つの構成可能なタイルが、対応する第2の複数のアパーチャアセンブリコネクタ及び対応する第2の複数のバックプレーンアセンブリコネクタに搭載された複数の垂直受信カードであって、前記複数の垂直受信カードの各々が複数の受信チャネルを含む、複数の垂直受信カードをさらに含む。もう1つの態様では、前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む。さらにもう1つの態様では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記少なくとも1つの大電力送信増幅器から熱を取り去るために前記垂直送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む。この態様の変形形態は、前記複数の垂直送信カードの行同士の間の少なくとも1つの溝を通る空気の流れを強制的に作るように設置された少なくとも1つのファンをさらに含む。この態様のもう1つの態様では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記バックプレーンアセンブリから前記アパーチャアセンブリへの電力信号及び制御信号のための信号ルーティング部を含む。さらにもう1つの態様では、前記バックプレーンアセンブリが、前記複数の垂直送信カードへの送信信号を分割するための送信分割器回路を含む。この態様の変形形態では、前記複数の垂直送信カードの各々が、前記複数の送信チャネルへの前記送信信号を分割する送信分割器を含む。
【0008】
[0008]さらにもう1つの実施形態では、本開示は、レーダタイルを提供し、アパーチャ面に搭載された複数の放射素子と、前記アパーチャ面に取り外し可能に接続され、前記アパーチャ面に垂直に向けられた複数の送信カードであって、前記複数の送信カードが対応する複数の放射素子へ送信信号を与えるように構成された複数の送信増幅器を各々含む、複数の送信カードと、前記複数の送信カードへ前記送信信号を与えるように構成されたバックプレーンアセンブリとを備える。この実施形態の1つの態様は、前記アパーチャ面に取り外し可能に接続され、前記アパーチャ面に垂直に向けられた複数の受信カードであって、前記複数の受信カードが、複数の受信チャネルを各々含む、複数の受信カードをさらに備える。もう1つの態様では、前記バックプレーンアセンブリが、コントローラドータカードアセンブリ及び電源ドータカードアセンブリを含む複数の取り外し可能なドータカードアセンブリを含む。さらにもう1つの態様では、前記複数の送信カードの各々が、前記複数の送信増幅器から熱を取り去るために前記送信カードの側面に搭載されたヒートシンクを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ある実施形態による、フェーズドアレイレーダシステムの斜視図である。
【
図2】レーダシステム用の従来型のタイルの斜視図である。
【
図4】
図2のタイルのもう1つの分解立体図である。
【
図5】
図4に描かれたアパーチャアセンブリの一部分の拡大図である。
【
図6】
図2のタイルの構成要素のブロック図である。
【
図7】
図3に描かれたアパーチャアセンブリ及び送信/受信モジュール(「TRM」)の分解立体図である。
【
図9】ある実施形態による、構成可能なフェーズドアレイタイルの側面図である。
【
図10】ある実施形態による、
図9の構成可能なフェーズドアレイタイルで使用されてもよい垂直送信カードの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0019]対応する参照符号は、いくつかの図の全体を通して対応する部品を示す。本明細書において述べられる例示は、開示の例示的な実施形態を図示し、そのような例示は、いかなる方法であろうとも開示の範囲を限定するようには解釈されるべきではない。
【0011】
[0020]本明細書において開示する例示的な実施形態は、網羅的なものでもないし、下記の詳細な説明に開示された正確な形態に開示を限定するものでもない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、当業者がその教示を利用できるように選択され、そして説明されている。
【0012】
[0021]「結合する」、「結合した」という用語及びこれらの変形形態は、2つ以上の構成要素が直接物理的に接触している配置、及び2つ以上の構成要素が互いに直接接触しない(例えば、構成要素が少なくとも第3の構成要素を介して「結合される」)がまだ依然として相互に協働する又は相互作用する配置の両者を含むように使用される。さらにその上、「結合する」、「結合した」という用語及びこれらの変形形態は、限定しないが、ボルト、ねじ、スレッド、磁石、電磁石、接着剤、フリクショングリップ、溶接、スナップ、クリップ、等を用いた接続を含む、この技術で知られている機械部品用の任意の接続を呼ぶ。
【0013】
[0022]本開示全体を通して及び特許請求の範囲では、第1の及び第2のなどの数字で表した用語は、様々な構成要素又は特徴に関連して使用される。このような使用は、構成要素又は特徴の順番を記すものではない。むしろ、数字で表した用語は、参照される構成要素又は特徴を識別する際に読者を助けるために使用され、そして構成要素又は特徴の具体的な順番を与えるように狭く解釈されるべきではない。
【0014】
[0023]
図1は、ある実施形態による、フェーズドアレイレーダシステム10を図説している図である。ある実施形態では、システム10は、Sバンド(例えば、2GHz~4GHz)周波数範囲で動作するように構成されたSバンドレーダシステムである。他の実施形態では、システム10は、例えば、超高周波数(UHF)周波数範囲(例えば、0.3GHzまで低い)からKuバンド周波数範囲(例えば、18GHzまで高い)までの任意の適した周波数範囲などのSバンド周波数範囲とは異なる適した周波数範囲で動作するように構成される。ほんのいくつかの例として、システム10は、いくつかの実施形態では、Cバンド周波数範囲、Xバンド周波数範囲、等で動作するように構成される。システム10は、アンテナアセンブリ12及び基部14を一般に含む。固定された基部14が示されるが、アンテナアセンブリ12が、いくつかの実施形態では、航空機、船舶又は陸上車両などの可動プラットフォーム上に搭載されてもよいことが理解されるはずである。加えて、アンテナアセンブリ12の一部分は、ある種の用途では(例えば、高さ方向を変えるために)機械的に可動であってもよい。アンテナアセンブリ12は、下記に説明するような1つ又は複数のタイルから構成することができる対応するアパーチャ面18を有する少なくとも1つのアパーチャ16を一般に含む。描かれたシステム10では、4つのアパーチャ16(2つだけが示される)が、半球全体の360度ビームカバレッジを与えるために互いに90度の関係で配置される。頂部レーダ構造部20は、4つのパネル16の間に接続される。本技術で知られているような保護エンクロージャ(例えば、レドーム)が、素子に対する保護部を形成するためにアパーチャ16及び頂部レーダ構造部20を覆って配置されてもよいことが理解されるはずである。ある種の実施形態では、各々のアパーチャ面18は、異なる目標物の位置を特定し追跡するために異なる特性を有するビームのクラスタを生成できる。例えば、ある実施形態では、各々のアパーチャ面18からのビーム22の第1のクラスタ(1つのビーム22だけが示される)が、航空機監視用に適していることがあり、ビーム24の第2のクラスタ(1つのビーム24だけが示される)が、気象監視用に適していることがある。他の実施形態では、各々のアパーチャ面18は、2つ以上の異なる目標物の位置を特定し追跡するためにビームの2つ以上のクラスタを生成できる、又は各々のアパーチャ面18は、単一の目標物だけの位置を特定し追跡するために、ビームの単一のクラスタだけを生成できる。
【0015】
[0024]上に示したように、各々のアパーチャ面18は、1つ又は複数のタイルを含み、1つ又は複数のタイルの各々が複数の放射素子を含む。プレーナアーキテクチャの従来型のタイル26が
図2~
図5に描かれる。示したように、タイル26は、アパーチャアセンブリ28、複数のTRM30、複数のスタンドオフ又はスペーサ32、複数の事前設定されていない垂直カード34、バックプレーンアセンブリ36、送信ドライバ38、筐体又はパネル構造物40及び1対のハンドル42を一般に含む。筐体40は、ユニットのための保護及び剛性を与えるためにタイル26の上に記載した構成要素のアセンブリに接続される。ハンドル42は、タイル26の据え付け及び位置変更を容易にするためにパネル構造物40に取り付けられる。アパーチャアセンブリ28は、格子パターンのアパーチャアセンブリ28の外向き表面46に搭載された複数のアンテナ又は放射素子44(例えば、アンテナパッチ素子)を含む。アパーチャアセンブリ28の他の特徴は、下記に詳細に論じられる。
【0016】
[0025]TRM30は、放射素子44の格子パターンに対応して格子状に配置され、アパーチャアセンブリ28の内側表面48に形成されたキャビティ(下記に説明する)内部に搭載される。フィン型ヒートシンク31は、TRM30の裏側に張り付けられ(
図5では2つが省略される)そして下記に説明するように、スペーサ32によってアパーチャアセンブリ28とバックプレーンアセンブリ36との間に作り出された空間へと延びる。スペーサ32は、アパーチャアセンブリ28の内側表面48に一方の端部をしっかりと固定され、そしてバックプレーンアセンブリ36の内側表面50に他方の端部をしっかりと固定される。事前設定されていない垂直カード34は、一方の端部にアパーチャアセンブリコネクタ52を、そしてもう一方の端部にバックプレーンアセンブリコネクタ54を含み、各々のコネクタ52,54がプリント回路基板(PCB)56に接続される。各々の垂直カードアパーチャアセンブリコネクタ52にとっての相手側アパーチャアセンブリコネクタ(図示せず)は、アパーチャアセンブリ28上に搭載され、そして相手側バックプレーンアセンブリコネクタ58が、バックプレーンアセンブリ36上に搭載される。DC信号及び論理信号が、垂直カード34を通ってバックプレーンアセンブリ36とアパーチャアセンブリ28との間にルーティングされ、そしてTRM30へ及びTRM30から与えられる。
【0017】
[0026]バックプレーンアセンブリ36は、DC/DC電力変換、DC電力調整及びスイッチング、アンテナ-パネルインターフェイシング、論理信号及び制御信号生成及びファンアウト、局所ビームステアリング並びに当業者には知られているような組込み型テストを含むいくつかの機能を実行する。
図6に描かれたように、バックプレーンアセンブリ36は、RF電力配電網60、DC電力配電網62及びバックプレーンバス64を一般に含む。送信ドライバ38は、複数のDC/DC変換器66及び少なくとも1つのコントローラ68又はオンアセンブリコンピュータであるように、バックプレーンアセンブリ36に物理的に搭載される。一般に、バックプレーンアセンブリ36は、TRM30へ電力を供給し信号を制御する、このことは順に、放射素子44に電力を供給し、TRM30から受信信号を受信する。
【0018】
[0027]ここで
図7を参照して、TRMアセンブリ70に搭載された複数のTRM30を有する従来型のアパーチャアセンブリ28が示される。
図5に最も良く示されたように、各々のTRM30は、TRM30の背面に搭載されたフィン型ヒートシンク31を含む。この例ではアパーチャアセンブリ28のいくつかの第1の層72が、DC電力制御層及び論理制御層として使用される。層72の各々は、TRMアセンブリ70を受けるために構成されたキャビティ74を共に形成する大きな切り欠きを含む。キャビティ74の下には、Rx及びTxビームフォーマとして一般に機能する複数の追加層76がある。層76の下の2つの層78は、ハイブリッドアンテナ給電部を形成し、少なくとも2つの層80が、放射素子44の二重積層構成を形成する。
【0019】
[0028]ここで
図8を参照して、TRM30の単純化したブロック図が与えられる。TRM30は、複数の集積回路及び搭載された他の構成要素を含む複数の層(図示せず)を有するTRM PCB(「TRMアセンブリ82」)を一般に含む。TRM30は、大電力増幅器98を含む送信チャネル94及び低雑音増幅器104を含む受信チャネル100をさらに含む。大電力増幅器98及び低雑音増幅器104は、垂直偏波(V-pol)ノード112及び水平偏波(H-pol)ノード114に接続された大電力アンテナスイッチ110に接続される。最後に、TRM30は、当業者には知られたような、制御電子機器116及びDC電力調整回路118を含む。
【0020】
[0029]上に示したように、アパーチャアセンブリ28のキャビティ74内に設置されているTRM30のタイル26アーキテクチャは、信号ルーティング部及び他の構成要素のために利用可能なアパーチャアセンブリ28のPCB領域の著しい削減という結果をもたらす。その結果として、アパーチャアセンブリ28は、キャビティ74が形成されなかった場合に必要なはずであるよりも多数の層を必要とする。明らかに、層が多いほど、アパーチャアセンブリ28及びタイル26のコストは上昇する。加えて、TRM30に搭載された多数のヒートシンク31は、取り付けるために費用が掛かり、上にも論じられたように、アパーチャアセンブリ28にTRM30を取り付けるはんだ接合部に応力をかける。
【0021】
[0030]上記から明白であるはずであるように、各々のTRM30は、それぞれ送信チャネル94及び受信チャネル100内に送信構成要素及び受信構成要素の両方を含む。従来型の構成において利用可能なスペースは、各々のシングル偏波使用のために2つの受信チャネルへと又はデュアル偏波構成のために偏波当たり1つの受信チャネルへと設計を本質的に制限する。その上、バックプレーンアセンブリ36からの(例えば、送信増幅器38からの)制御信号は、わざわざバックプレーンアセンブリ36から垂直カード34を通って、電力分割用のアパーチャアセンブリ28の下側層へ、そしてアパーチャアセンブリ28の上側層に最終的に戻りTRM30へとルーティングされる。この信号ルーティング部は、コストをさらに増加させ、他の機能のためのアパーチャアセンブリ28上の利用可能な資産を減少させる。さらに、
図7を参照して上に論じたように、アパーチャアセンブリ28は、送信(及び受信)ビームフォーマ(すなわち、層76)を含む。送信ビームフォーマ機能は、アパーチャアセンブリ28の多数の層を単独で必要とし、その厚さ及び製造のコストを増加させる。実際に、層のある数のところで、増加したアセンブリ厚さは、アセンブリを製造することができる供給者の数を制限する。
【0022】
[0031]他の懸念が、タイル26のアーキテクチャに関して特定されてきている。第1は、アパーチャアセンブリ28上の送信増幅器(例えば、TRM30の送信チャネル94の大電力増幅器98)の場所である。TRM30の増幅器が(例えば、GaAsから大電力用のGaNへ)変えられる場合には、アパーチャアセンブリ28全体が、設計し直される必要があるはずである。第2に、RF信号が、高価なケーブルを使用してバックプレーンアセンブリ36からアパーチャアセンブリ28へルーティングされ、これがタイル26の総合的なコストを上昇させる。第3に、ある種の顧客及びある種の用途に対してアナログタイルを、そして他の顧客及び他の用途に対してディジタルタイルを提供することが望ましい。TRM30がアパーチャアセンブリ28にはんだ付けされるという理由で、異なる設計が、アナログアパーチャアセンブリ及びディジタルアパーチャアセンブリに対して要求される。
【0023】
[0032]上に述べた懸念及び欠点の各々は、本開示によるタイル200のアーキテクチャにより対処される。一般に、タイル200は、タイル26を参照して上に論じた手法に類似した平坦なパネルアセンブリ手法を使用する。しかしながら、タイル200は、上に論じた事前設定されていない垂直カード34を置き換える機能性垂直カード206へと送信機能の多くなどのある種の機能を移し替える。下記に説明するような方式でアーキテクチャを再構成することによって、タイル200は、融通性の大きな増加及びコスト削減を提供する。
【0024】
[0033]
図9は、ある実施形態による、構成可能なタイル200の側面図を図説している図である。ある実施形態では、構成可能なタイル200は、
図1のフェーズドアレイレーダシステム10で利用される。例えば、構成可能なタイル200は、ある実施形態では、
図1のフェーズドアレイレーダシステム10のアパーチャ面18の1つ又は複数のタイルの各々に対応する。他の実施形態では、構成可能なタイル200は、
図1のフェーズドアレイレーダシステム10とは異なるフェーズドアレイレーダシステムで利用される。タイル200は、アパーチャアセンブリ202、バックプレーンアセンブリ204並びに垂直送信カード220及び垂直受信カード222を含む複数の垂直カード206を一般的に含む。アパーチャアセンブリ202は、ある実施形態では、多層PCBなどのPCBを備える。同様に、バックプレーンアセンブリ202及び垂直カード206は、ある実施形態では、それぞれのPCB(例えば、多層PCB)を含んでもよい。タイル200は、タイル26のようにバックプレーンアセンブリ204とアパーチャアセンブリ202との間のスペーサ、筐体、及びハンドルもさらに含んでもよいが、これらの構成要素の1つも、説明を単純化する目的で示されない。下記の説明は、下側レベルアセンブリ(すなわち、アパーチャアセンブリ202、垂直カード206及びバックプレーンアセンブリ204の集合体)のものである。本明細書においては詳細には説明されない上側レベルアセンブリは、ある実施形態では、下側レベルアセンブリ及び冷却ファン、他のシステム用のコネクタを有する筐体、並びにレーダアセンブリへのタイル200の据え付けのためのハンドルを含む。
【0025】
[0034]アパーチャアセンブリ202は、数ある中で、垂直送信カード220上の対応するコネクタ208と結合するように構成された送信アパーチャアセンブリコネクタ、及び垂直受信カード222上の対応するコネクタ210と結合するように構成された受信アパーチャアセンブリコネクタを含む複数のアパーチャアセンブリコネクタを含む。バックプレーンアセンブリ204は、数ある中で、垂直送信カード220上の対応するコネクタ212と結合するように構成された送信バックプレーンアセンブリコネクタ、及び垂直受信カード220上の対応するコネクタ214と結合するように構成された受信バックプレーンアセンブリコネクタを含む、複数のバックプレーンアセンブリコネクタを含む。ある種の実施形態では、送信アパーチャアセンブリコネクタ(及び対応する垂直カードコネクタ208)は、180の位置のエッジコネクタであり、そして移行バックプレーンアセンブリコネクタ(及び対応する垂直カードコネクタ212)は、180の位置のエッジコネクタである。他の実施形態では、他の適したタイプのコネクタが利用される。
【0026】
[0035]バックプレーンアセンブリ204は、描かれた例では、コントローラドータカードアセンブリ216(
図6のコントローラ68などのオンアセンブリコンピュータ及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む)並びに電源ドータカードアセンブリ218(一次電源装置を含む)を含む複数の取り外し可能ドータカードアセンブリもさらに含む。ドータカードアセンブリ216、218を用いるモジュール式手法を使用することによって、組み立て問題の結果として交換を必要とする可能性が最も高い構成要素は組み立ての前に事前に試験されてもよい。加えて、バックプレーンアセンブリ204は、異なる電力必要条件を有する用途に対して設計し直される必要がない。異なる電源ドータカードアセンブリ218が、新たな必要条件のために単純に据え付けられてもよい。
【0027】
[0036]構成可能なタイル200は、様々な実施形態では異なる数の垂直送信カード220及び仮想受信カード222を含んでもよい。例えば、ある実施形態では、構成可能なタイル200は、16個の垂直送信カード220(4個だけが示される)及び3個の垂直受信カード222を含む。他の実施形態では、タイル200は、16個とは異なる適した数の垂直送信カード220及び/又は3個とは異なる適した数の垂直受信カード222を含む。ある実施形態では、各々の垂直送信カード220は、複数の送信チャネルを含む。同様に、各々の垂直受信カード222は、ある実施形態では、複数の受信チャネルを含む。例えば、各々の垂直送信カード220は、4個の送信チャネルを含み、各々の垂直受信カード222は、ある実施形態では、16個の受信チャネルを含む。ある実施形態では、垂直カード220上の各々の送信チャネルは、
図8の送信チャネル94のいくつか又はすべての構成要素(例えば、大電力増幅器98、位相シフタ88、減衰器90)などの送信チャネル構成要素を含む。このように、送信チャネル構成要素(例えば、送信チャネル94の大電力増幅器98、位相シフタ88、減衰器90)は、アパーチャアセンブリ202には含まれない。
【0028】
[0037]ある実施形態では、垂直送信カード220上の各々の送信チャネルは、シングル偏波チャネル又はデュアル偏波チャネルとして構成されてもよい。
図10を手短に参照して、送信垂直カード220のある例の実施形態が図示される。この例の実施形態では、送信垂直カード220は、4つのデュアル偏波送信チャネル230を含む。他の実施形態では、送信垂直カード220は、他の適した数のデュアル偏波送信チャネル230を含む及び/又はシングル偏波送信チャネルを含む。下記により詳細に説明されるように、シングル偏波だけのための送信機チャネル構成要素は、いくつかの実施形態では、シングル偏波チャネルが(例えば、シングル偏波レーダ用途において)望まれるときには送信垂直カード220上の送信チャネル230の各々に対して事前設定されてもよい。
【0029】
[0038]
図9を再び参照して、ある実施形態では、垂直受信カード222上の各々の受信チャネルは、アパーチャアセンブリ202からバックプレーン204へ受信信号を渡すように構成された伝送線(例えば、トレース)を備える。受信チャネル構成要素(例えば、
図8では低雑音増幅器104、位相シフタ88、減衰器90)が、この実施形態では、アパーチャアセンブリ202に含まれる。もう1つの実施形態では、少なくともいくつかの受信チャネル構成要素が、垂直受信カード222に含まれる。いくつかの実施形態では、下記により詳細に説明されるように、垂直受信カード222上の受信チャネルは、バックプレーン224へのディジタル化された出力として信号を与える前に受信信号をディジタル化するためのディジタル化構成要素(例えば、アナログ-ディジタル変換器)を含んでもよい。
【0030】
[0039]ある実施形態では、各々の垂直送信カード220は、数ある中で、垂直送信カード220増幅器(例えば、大電力増幅器98など)から熱を取り去るために一方の側面に取り付けられたヒートシンク224を含む。ヒートシンク224は、ある実施形態では、主板226及び複数のフィン228を含む。他の実施形態では、他の適したヒートシンク構成が利用されてもよい。多数の送信チャネルが垂直送信カード220上に含まれるという理由で、単一のヒートシンク224が多数の送信チャネル(例えば、
図10に図示した例の垂直送信カード220におけるように4つの送信チャネル)に対して使用されてもよく、ヒートシンクの数を(例えば、8×8構成に関して、64個から16個へ)減少させ、これがある実施形態では、ヒートシンクに関する総合的な取り付けコストを削減する。
【0031】
[0040]
図3のアパーチャアセンブリ28のように、この例ではアパーチャアセンブリ202は、64個の放射素子44を含み、そして関係する電気構成要素を用いてビームフォーミングする。アパーチャアセンブリ202は、しかしながら、上に説明したように受信TRM30用のアパーチャアセンブリ28のキャビティ74(
図7)を含まない。このことが、アパーチャアセンブリ28と比較してアパーチャアセンブリ202のPCB層の数の実質的な削減(例えば、50%削減)を可能にし、これがアパーチャアセンブリ202の複雑さ及びコストを削減する。例の実施形態では、アパーチャアセンブリ202は、8枚のPCB層を含む。もう1つの実施形態では、アパーチャアセンブリ202は、アパーチャアセンブリ28と比較して一般に少ないPCB層の別の適した数を含む。
【0032】
[0041]垂直受信カード222は、同じタイルトポロジをすべて使用している、様々な出力構成、ディジタルビーム又はRF信号用に構成されてもよい。例えば、垂直受信カード222は、ディジタルタイルとして構成されたタイル200のために受信信号のディジタル化を提供するように構成されてもよい。アナログタイル200に関して、統合された受信出力が、タイルの外へルーティングされるようにバックプレーンアセンブリ204に接続されてもよい。加えて、信号が(下記に説明されるように)コネクタを使用して垂直受信カード222を通ってルーティングされるので、先の設計の費用のかかるケーブルが削除されることがある。
【0033】
[0042]垂直送信カード220は、バックプレーンアセンブリ204からアパーチャアセンブリ202へ電力信号及び制御信号を与えるための信号ルーティング部(例えば、PCBトレース、図示せず)をさらに含む。ある実施形態では、垂直送信カード220を通ってルーティングされた電力信号及び制御信号は、アパーチャアセンブリ202上の受信チャネル構成要素用の電力信号及び制御信号を含む。少なくともいくつかの実施形態では、(垂直受信カード222よりはむしろ)垂直送信カード220上のバックプレーン204からアパーチャアセンブリ202へ受信チャネル構成要素のための電力信号及び制御信号のルーティングを提供することは、例えば、比較的少数の垂直受信カード222(例えば、3個の垂直受信カード222)と比較して、比較的多数の垂直送信カード220(例えば、16個の垂直送信カード220)を含むシステムでは、アパーチャアセンブリ202上のより多数の受信チャネルのための制御信号及び電力信号のルーティングを可能にできる。
【0034】
[0043]いくつかの実施形態では、垂直送信カード220は、シングル偏波用途又はデュアル偏波用途にとって適切なように一部が事前設定されてもよい。例えば、デュアル偏波送信チャネルを含む垂直送信カード220は、i)シングル偏波用途用の送信チャネルの各々に事前設定されたシングル偏波だけのための送信チャネル構成要素、又はii)デュアル偏波用途用に事前設定されたすべての送信チャネル構成要素を用いて構成されてもよい。同様に、垂直送信カード220は、低電力増幅器(例えば、GaAs増幅器)又は大電力増幅器(例えば、GaN増幅器)を含むように柔軟に構成可能である。いくつかの実施形態では、垂直送信カード220の高さは、用途の高さ必要条件に依存して変わってもよい。例えば、少ないチャネル総数の、シングル偏波用途では、増幅器及びMOSFET以外の構成要素は、バックプレーンアセンブリ204へと移動されてもよい。
【0035】
[0044]
図3のバックプレーンアセンブリ36のようなバックプレーンアセンブリ204は、タイル200のための電力調整及びディジタル制御機能を提供する。バックプレーンアセンブリ204の例示的な実施形態では、しかしながら、より高いレベルの電源が、ドータカードアセンブリ(例えば、電源アセンブリ218)に搭載され、そのため、電源が異なる用途に対して容易に変えられてもよい。バックプレーンアセンブリ204は、ある実施形態では、送信信号を増幅し分割するための電子装置及び様々な垂直送信カード220へ送信信号を配信するための信号ルーティング部もさらに含む。従来型のタイル26では、送信分割器機能は、TRM30がアパーチャアセンブリ28に搭載されたという理由でアパーチャアセンブリ28の層に組み込まれた。タイル200では、送信チャネル機能は、バックプレーンアセンブリ204とアパーチャアセンブリ202との間の垂直送信カード220へ移動される。それはそうとして、送信分割のうちのいくつかは、バックプレーンアセンブリ204上で実行される。また、1つ又は複数の分割器が、垂直送信機カード222に含まれてもよい。例として、各々の垂直送信カード220が4つの送信チャネルを含むある実施形態では、送信チャネルについての4方向分割が、垂直送信カード220上で提供されてもよい。上に説明した方式で分割機能を移動させることは、複雑さそれゆえアパーチャアセンブリ202のコストを低減し、追加の受信チャネル用により多くのスペースを提供する。
【0036】
[0045]熱管理に関して、タイル200は、垂直送信カード220上のヒートシンク224及びタイル200内部に搭載されたファン(図示せず)の組み合わせを介して冷却される。冷却空気は、タイル200当たり5つの溝を通過し、各々のタイル200は、加熱された空気の再循環を避けるために別々の空気取り入れ口及び空気排出口を含む。このようにして、(特に垂直送信カード220上の)能動部品は、最大の許容可能な接合温度よりも低く維持され、そして増幅器同士の間の温度バラツキが最小にされる。バッフル(図示せず)もまた、冷却のバランスをとるため及びホットスポットを防止するためにタイル筐体の内側に設けられる。このように、空気が多数のタイル26を通って吹き込まれ、列の最後のタイル26が冷却空気を受けるために第1のタイル25よりも高い温度で動作するという結果になる先の手法とは違って、ファン及び空気ルーティング部が個々のタイル200に対して設けられる本開示によれば、タイル200は、実質的に同じ温度で動作する。共通の動作温度は、よりバランスのとれたRF出力電力を与える。
【0037】
[0046]タイル200により代表されたアーキテクチャは、異なる垂直カードアセンブリ206を単純に使用することによって異なる用途に対する単純な再構成を可能にする。例えば、放射素子44の8×8アレイを有するSバンドレーダタイルに関して、タイル200は、適切な電源ドータカードを選択し、垂直な送信カード220上の送信部品を事前設定しないことによって、受信だけの用途のために再構成されてもよい(受信制御機能はこれらのカードを依然として通過するはずである)。広範囲の送信電力要件を有する受信及び送信用途は、電源ドータカード218及び垂直送信カード220を取り換えることにより構成されてもよい。或いは、アナログ信号が垂直受信カード222を通過することによって、アナログ信号が直接出力されてもよい、又はアナログ信号は、別の垂直受信カード222上でディジタル化されそしてディジタル化された出力として提供されてもよい。タイル200は、垂直送信カード220、垂直受信カード222及び電源ドータカード218を単純に変えることによってデュアル偏波からシングル偏波へ再構成されてもよい。
【0038】
[0047]この発明が例示的な設計を有するように説明されてきている一方で、本発明は、この開示の思想及び範囲内でさらに修正されてもよい。この出願は、これゆえ発明の一般的な原理を使用している発明の任意の変形形態、使用形態、又は適応形態を包含するものである。さらに、この出願は、この発明が属する技術及び別記の特許請求の範囲の範囲内になる技術において知られている又は慣例的な慣習内になるような本開示からのそのような乖離を包含するものである。
【0039】
[0048]さらにその上、本明細書に含まれた様々な図に示された接続線は、様々な要素同士の間の例示的な機能的関係及び/又は物理的な結合を表すものである。多くの代替の又は追加の機能的な関係又は物理的な接続が実際のシステムにおいて提示されることがあることに留意すべきである。しかしながら、利益、長所、問題に対する解、及び生じる又はより明白になる何らかの利益、長所又は解を生じさせることがある任意の要素は、決定的な、必要な、又は必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。範囲は、したがって、別記の特許請求の範囲以外の何物によっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲では、単数形の要素への言及は、明示的に述べられない限り「1つ及びただ1つ」を意味するものではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味する。
【0040】
[0049]その上、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」に類似の言い回しが特許請求の範囲において使用される場合、上記言い回しは、A単独がある実施形態では存在してもよい、B単独がある実施形態では存在してもよい、C単独がある実施形態では存在してもよいこと、又は要素A、B若しくはCの任意の組み合わせ、例えば、A及びB、A及びC、B及びC、若しくはA及びB及びCが、単一の実施形態において存在してもよいことを意味するものであることが意図される。
【0041】
[0050]システム、方法及び装置が本明細書において提供される。本明細書の詳細な説明では、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「ある例の実施形態」、等への言及は、説明した実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含んでもよいが、すべての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。その上、このような言い回しが、同じ実施形態に言及していることを必ずしも必要としない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が、ある実施形態に関連して説明されるときに明示的に記載されているか否かに拘わらず他の実施形態と関連して本開示の利点を有するこのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことが当業者の知識内であると言われる。説明を読んだ後で、(1つ又は複数の)関連のある技術において、上記開示を代替の実施形態においてどのように実施するかは、当業者には明らかであろう。
【0042】
[0051]さらにその上、本開示の要素、構成要素。又は方法ステップは、上記の要素、構成要素、又は方法ステップが特許請求の範囲に明示的に詳述されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられるものではない。本明細書のクレーム要素は、要素が「のための手段(means for)」という句を使用して明示的に詳述されていない限り、米国特許法112条(f)項の条件の下で解釈されるべきものはない。本明細書において使用したように、「備える」、「備えている」という用語又はこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含関係を包含するものであり、そのため、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品又は装置は、これらの要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されなかった又はこのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。
【国際調査報告】