IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アビリティ ファーマシューティカルズ エス.エル.の特許一覧

特表2023-514036がんの治療のための薬学的組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】がんの治療のための薬学的組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/201 20060101AFI20230329BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230329BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20230329BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A61K31/201
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K31/202
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K31/337
A61K31/282
A61K31/4745
A61K31/513
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022541844
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021053162
(87)【国際公開番号】W WO2021160650
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】20382089.9
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519409280
【氏名又は名称】アビリティ ファーマシューティカルズ エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペレス モントヨ,ヘクター
(72)【発明者】
【氏名】イエステ-ベラスコ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス ガーディオラ,パウ
(72)【発明者】
【氏名】アルホン コリアト,ホセ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ドメネク ガルシア,カルレス
(72)【発明者】
【氏名】ヨルディ サリナス,ギリェルモ
(72)【発明者】
【氏名】リズカノ デ ラ ベガ,ホセ ミゲール
(72)【発明者】
【氏名】セグラ ギナード,ミゲール フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】パリス-コデルヒ,ライア
(72)【発明者】
【氏名】フェストゥッチア,クラウディオ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC43
4C086CB09
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA04
4C206DA05
4C206JB16
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
ヒト患者のがんの治療におけるABTL0812の使用であって、がん治療が、化学療法、標的療法治療、免疫療法治療、または放射線療法治療に関する、使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B3):免疫療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、前記治療が、がんの免疫療法治療であり、
(B3)が、チェックポイント阻害剤である免疫療法剤化合物である、免疫療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【請求項2】
化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)
【請求項3】
化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項4】
化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項3に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項5】
前記がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん
【請求項6】
化合物(B3)が、
チェックポイント阻害剤抗体であって、特に前記チェックポイント阻害剤抗体が抗PD1抗体、抗PDL1抗体、または抗CTLA4抗体である、チェックポイント阻害剤抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項7】
化合物(B3)が、
-抗PD1抗体であって、特に前記抗PD1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブである、抗PD1抗体、
-抗PDL1抗体であって、特に前記抗PDL1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、抗PDL1抗体、
-抗CTLA4抗体であって、特に前記抗CTLA4抗体が、イピリムマブである、抗CTLA4抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、請求項6に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項8】
化合物(B3)が、抗PD1抗体であり、前記抗PD1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項7に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項9】
化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項6~8のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項10】
化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、前記がんが、肺がんである、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項11】
前記薬学的組み合わせが、化合物(A)および化合物(B3)の両方を含む単一の組成物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項12】
化合物(A)が、経口投与され、化合物(A)の前記投与される量が、200mg~7000mgの1日用量、より具体的には1500mg~5000mgの1日用量、さらにより具体的には3000mg~4700mgの1日用量、より具体的には3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項13】
化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項12に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項14】
ABTL0812が、免疫療法剤化合物(B3)の投与の前に投与される、請求項13に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項15】
化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、それが注入溶液を介して静脈内投与される、請求項13または14に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項16】
前記薬学的組み合わせが、少なくとも1つの化合物(B1)をさらに含み、化合物(B1)が、化学療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項17】
化合物(B1)が、以下からなる群から選択される、請求項16に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
シスプラチン、
カルボプラチン、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
ブレオマイシン、
カペシタビン、
マイトマイシンB、
パクリタキセル、
ナブ-パクリタキセル、
ドセタキセル、
ゲムシタビン、
メトトレキサート、
ペメトレキセド、
シタラビン、
メルカプトプリン、
グルホスファミド、
イクサベピロン、
ニムスチン、
カルムスチン、
ロムスチン、
ミトキサントロン、
エトポシド、
ビンクリスチン、
ビンブラスチン、および
タモキシフェン
【請求項18】
化合物(B1)が、以下からなる群から選択される、請求項16に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
カルボプラチン、および
パクリタキセル
【請求項19】
化合物(B1)が、パクリタキセルおよびカルボプラチンである、請求項18に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項20】
化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルである、請求項18に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項21】
化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項16~20のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項22】
化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、パクリタキセルおよびカルボプラチンであり、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項21に記載の薬学的組み合わせ。
【請求項23】
化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項21に記載の薬学的組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト患者のがんの治療におけるABTL0812の使用に関し、がん治療は、化学療法、標的療法治療、免疫療法治療、または放射線療法治療に関する。
【背景技術】
【0002】
EP2409963B1(Lipopharma-2010年に出願)は、がんの治療のための多価不飽和脂肪酸(D-PUFAと呼ばれる)化合物の1,2-誘導体の使用について記載している。
記載されている脂肪酸誘導体化合物は、以下の式を有する。
COOR-CHR-(CH2)a-(CH=CH-CH)b-(CH)c-CH
好ましい化合物の例は、以下の通りである。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(182A1)
【0003】
論文“Erazo, et al.;Clinical Cancer Research;22(10)May 15,2016”では、上記の化合物(182A1)についてさらに詳しく記載しており、この論文では、「ABTL0812」と呼ばれるこの化合物であり、この用語は本明細書で使用される。
【0004】
当該技術分野で既知であるように、がんの薬理学的治療は、一般に、化学療法、標的療法、ホルモン療法、および免疫療法を含む4つの主要な薬物群に基づいている。
さらに、放射線療法はまた、薬物療法と一緒に何度も投与されるがん治療の基礎でもある。
【0005】
WO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)は、例えば、第一選択療法に関して、化学療法剤であるドセタキセル、パクリタキセル、カルボプラチン、またはシスプラチンとのABTL0812の薬学的組み合わせなど、がんの治療における他の化学療法剤と組み合わせたABTL0812化合物の使用について記載している。
【発明の概要】
【0006】
最も関連した先行技術文書(いわゆる最も近い先行技術文書)としてWO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)から始めて、本発明によって解決される問題は、がんの治療の改善をもたらし得るABTL0812の代替使用の提供とみなされ得る。
【0007】
上で議論されるように、化合物COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CHは、本明細書ではABTL0812と呼ばれる。
【0008】
上で議論されるように、WO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)は、例えば、第一選択療法に関して、化学療法剤であるドセタキセル、パクリタキセル、カルボプラチン、またはシスプラチンとのABTL0812の薬学的組み合わせなど、がんの治療における他の化学療法剤と組み合わせたABTL0812化合物の使用について記載している。
【0009】
WO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)は、がんの治療の第二選択療法におけるABTL0812の使用を直接的かつ明確に記載しておらず、例えば、第二選択療法に関する「第二選択(second-line)」または「第二選択(second line)」という用語は、WO2018/210830A1で言及されてさえいない。
【0010】
本明細書の実施例は、例えば、ヒト患者のがんの第二選択療法治療のための他の化学療法剤と組み合わせた上で議論されるABTL0812化合物の使用に関して、有意な相乗効果を実証する妥当な詳細な実験データを提供する。
【0011】
ABTL0812化合物は、上で議論されるEP2409963B1に記載されるように、多価不飽和脂肪酸(D-PUFA)化合物の他の1,2-誘導体と構造的および機能的に類似している。
したがって、一見したところでは、EP2409963B1の実質的なすべての脂肪酸誘導体化合物が、化学療法剤および/または本明細書で議論される他の好ましいがん治療と組み合わせて、本明細書に関連する相乗効果を有するであろうことは妥当である。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様は、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの第二選択療法治療である、化学療法剤化合物と、を含む薬学的組み合わせに関する。
【0013】
当該技術分野で既知であるように、第一選択療法は、所与のタイプおよび病期のがんの初期治療のために医療機関によって一般的に受け入れられている治療レジメン(複数可)である。それは一次治療または療法とも呼ばれる。第一選択療法の目的は、可能な場合、がんを治すことである。導入療法とも呼ばれるこの一次療法は、悪性腫瘍に対する化学療法薬物の最初の攻撃である。
【0014】
当業者の普遍的かつ一般的な知識と一致して、第1の態様の「第二選択療法」という用語は、第一選択療法が適切に機能しないときに試みられる第二選択療法治療に関連する。がん症例の管理には、治療の定期的な評価と必要に応じた調整が必要である。一次療法治療の中断と新しいレジメンの採用は、「第二選択療法」治療の兆しである。
【0015】
現在の状況で当業者によって理解されるように、「第二選択療法」という用語は、第一選択療法の患者が、「第二選択療法」のがん薬剤(複数可)のプロファイル/混合物とは異なるがん薬剤のプロファイル/混合物で治療されていることを必要とする。
【0016】
第二選択療法のがん薬剤(複数可)のプロファイル/混合物が満足のいくように機能した(すなわち、患者のがんを治した)場合、おそらくそれは「第二選択療法」を使用する必要はないであろうと言われ得る。
【0017】
単なる例として、現在の状況では、第一選択療法は、例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、およびおそらくABTL0812の使用も伴うことができ、次いで、第二選択療法は、例えば、本明細書の実施例1.1で議論されるように、例えば、テモゾロミドと組み合わせたABTL0812であり得る、異なるプロファイル/混合物のがん薬剤(複数可)であり得る。
【0018】
当該技術分野によれば、化学療法は、標準化された化学療法レジメンの一部として1つ以上の抗がん剤(化学療法剤)を使用するがん治療の一種である。化学療法という用語は、有糸分裂、細胞分裂を阻害するための細胞内毒性化合物の非特定の使用を暗示するようになり、すなわち、化学療法剤化合物は、細胞複製を妨害する化合物であると理解されている。DNA/細胞の複製は、すべての細胞がそれら自身のより多くのコピーを作りたいときに使用する一般的なプロセスであるため、化学療法ではがん細胞と正常細胞を区別できない。したがって、古典的な化学療法には重大な副作用があり得る。
【0019】
上で議論されるように、WO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)は、がんの治療における他の化学療法剤と組み合わせたABTL0812化合物の使用について記載しており、したがって、この文書は、がんの治療のための標的療法、免疫療法、および/または放射線療法におけるABTL0812の使用を直接的かつ明確に記載していない。
【0020】
本明細書の実施例は、ヒト患者のがんの治療のための標的療法、免疫療法、または放射線療法における、上で議論されるABTL0812化合物の使用に関して、有意なプラスの効果を実証する妥当な詳細な実験データを提供する。
【0021】
したがって、本発明の第2の態様は、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B2):標的療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの標的療法治療である、標的療法剤化合物と、を含む薬学的組み合わせに関する。
【0022】
第2の態様の「標的療法」という用語は、当該技術分野に従って理解されるべきである。
当該技術分野で既知であるように、標的療法または分子標的療法は、がんの医学的治療(薬物療法)の主要な様式の1つであり、他のものは、例えば、細胞毒性化学療法である。分子医学の一形態として、標的療法は、単にすべての分裂細胞を妨害するのではなく(例えば、従来の化学療法により)、発がんおよび腫瘍増殖に必要な特定の標的分子を妨害することによって、がん細胞の増殖を遮断する。
【0023】
本発明の第3の態様は、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B3):免疫療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの免疫療法治療である、免疫療法剤化合物と、を含む薬学的組み合わせに関する。
【0024】
第3の態様の「免疫療法」という用語は、当該技術分野に従って理解されるべきである。
【0025】
当該技術分野で既知であるように、免疫療法は、免疫系を活性化または抑制することによる疾患の治療である。免疫応答を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法として分類されるが、一方で、低減または抑制する免疫療法は抑制免疫療法として分類される。近年、免疫療法は、特に様々な形態のがんを治療するというその見込みにおいて、研究者、臨床医、および製薬会社にとって大きな関心が持たれている。
【0026】
本発明の第4の態様は、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHであり、
ヒト患者のがんの治療における使用のためのものであり、治療が、がんの放射線療法治療である、化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせ、を含む、薬学的組成物に関する。
【0027】
第4の態様の「放射線療法」という用語は、当該技術分野に従って理解されるべきである。
当該技術分野で既知であるように、放射線療法(radiotherapy)(放射線療法(radiation therapy)とも呼ばれる)は、高用量の放射線を使用してがん細胞を殺し、腫瘍を縮小させるがん治療である。
【0028】
本発明の第5の態様は、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、化合物(B1)が、
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシンからなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、化学療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせに関する。
【0029】
本明細書で一般的に化合物(B)と称される場合、それは化合物(B1)、化合物(B2)、および/または化合物(B3)のうちのいずれかを指すと理解される。
【0030】
現在の状況で当業者によって理解されるように、上記の関連する態様の化合物(B)の薬剤は、当然、上記の関連する態様の化合物(A)の範囲内の化合物ではない。
【0031】
現在の状況で当業者によって理解されるように、本明細書で議論される併用治療に関して、2つの化合物(A)および(B)が、例えば、単一の組成物として同時に、または例えば、2つの別個の組成物として逐次的に投与されるかどうかは重要ではない。重要な問題は、最初に投与された有効量の化合物/薬剤が患者の体内にあること、および/または第2の化合物/薬剤が投与されたときに患者の体内でその効果を発揮したことである。
【0032】
現在の状況で当業者によって理解されるように、本発明の態様は、化合物(A)および少なくとも1つの化合物(B)の組み合わせ、例えば、化合物(A)+化合物(B1)、化合物(A)+化合物(B2)、化合物(A)+化合物(B3)、または化合物(A)+化合物(B1)+化合物(B3)の組み合わせに関する。化合物(A)は、本発明の第4の態様による放射線療法と組み合わせて投与され得るため、放射線療法はまた、任意の化合物(B)との上記の組み合わせと組み合わせて投与され得ることも理解される。
【0033】
したがって、上記の関連する態様の「組み合わせ」という用語は、本明細書において、例えば、単一の薬学的組成物における、「タンクミックス」などの単一の活性化合物の別個の薬学的製剤/組成物から構成される組み合わされた混合物における、および逐次的な様式で、すなわち、数時間もしくは数日などの適度に短い期間で順々に、または同時投与で適用される場合の単一の活性成分の組み合わされた使用における、化合物(A)および(B)の様々な組み合わせに関する。化合物(A)および(B)を適用する順序は重要ではない。
化合物(A)および(B)の組み合わせは、その同時、別個、または逐次的な投与のために製剤化され得る。特に、投与が同時でない場合、化合物は、互いに比較的近い時間で投与される。さらに、化合物は、同じもしくは異なる剤形で、または同じもしくは異なる投与経路によって投与され、例えば、一方の化合物は静脈内投与され得、他方の化合物は経口投与され得る。2つの化合物の組み合わせは、例えば、以下として投与され得る。
-2つの化合物が常に同時に投与される、同じ医薬製剤の一部である組み合わせとして;
-各々が同時、逐次的、または別個の投与の可能性を生じさせる物質のうちの1つを含む、2つのユニット/組成物の組み合わせとして
例えば、化合物(A)は、化合物(B)から独立して(すなわち、2つのユニットで)投与されるが、同時に投与される。
【0034】
別の好適な例では、化合物(A)は、最初に投与され、次いで、化合物(B)は、別個にまたは逐次的に投与され、あるいは、化合物(B)は、最初に投与され、次いで、化合物(A)は、別個にまたは逐次的に投与される。
【0035】
2つの化合物(B)が投与される場合の別の好適な例では、化合物(A)は、最初に投与され、第1の化合物(B)は、第二に別個にまたは逐次的に投与され、次いで、第2の化合物(B)は、第三に別個にまたは逐次的に投与される。あるいは、第1の化合物(B)は、最初に投与され、第2の化合物(B)は、第二に別個にまたは逐次的に投与され、次いで、化合物(A)は、第三に別個にまたは逐次的に投与される。あるいは、第1の化合物(B)は、最初に投与され、化合物(A)は、第二に別個にまたは逐次的に投与され、次いで、第2の化合物(B)は、第三に別個にまたは逐次的に投与される。
【0036】
例えば、「薬学的組成物」に関連する「薬学的」という用語は、当該技術分野に従って理解されるべきであり、すなわち、それは、活性成分の生物学的活性が効果的であり、かつ生理学的に許容される、すなわち、すなわち、組成物が投与される対象に対して許容できないほど毒性のある追加の構成成分を含まないことを可能にするような形態である調製物/組成物を指す。特に、「薬学的に許容される」という用語は、それが州もしくは連邦政府の規制当局によって承認されているか、または動物、およびより具体的にはヒトで使用するために米国薬局方もしくは他の一般的に認められている薬局方に含まれていることを意味する。
【0037】
本発明の実施形態は、例としてのみ以下に記載されている。
【0038】
本明細書に記載される好ましい実施形態と、本明細書に記載される別の好ましい実施形態との組み合わせは、さらにより好ましい実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
この説明では、ABTL0812およびABTLが区別なく使用される。
【0040】
図1】LA1-5SおよびSK-N-BE(2)細胞におけるABTL0812(ABTL)およびテモゾロミド(TMZ)の細胞毒性。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図2】LA1-5SにおけるABTL0812およびトポテカンの細胞毒性。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図3】LA1-5SにおけるABTL0812およびイリノテカンの細胞毒性。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図4】LA1-5SにおけるABTL0812およびシクロホスファミドの細胞毒性。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図5】ABTL0812およびボルテゾミブは、多発性骨髄腫細胞株JJN-3およびOPM2においてインビトロで強力な相乗効果を有する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図6】ABTL0812は、ヌードマウスに移植されたMiaPaca2細胞を用いたヒト膵臓がん異種移植モデルにおいて、毒性を増加させることなく、フォルフィリノックス抗がん効果を有意に増強する。結果は、併用治療が膵臓がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図7】ABTL0812は、ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がん異種移植モデルにおいて、毒性を増加させることなくドキソルビシン抗がん効果を有意に増強する。結果は、ABTL0812+ドキソルビシンの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図8】ABTL0812は、膠芽腫腫瘍を有するマウスの無病生存期間を増加させ、テモゾロミドの抗腫瘍活性を増強する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図9-1】ABTL0812は、膠芽腫腫瘍(U87MG、T98G細胞)の増殖を減少させ、放射線療法の抗腫瘍活性を増強する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図9-2】同上。
図10】ABTL0812は、膠芽腫腫瘍を有するマウスの無病生存期間を増加させ、放射線療法の抗腫瘍活性を増強する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図11】ABTL0812は、ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がん異種移植モデルにおいて、毒性を増加させることなくオラパリブ抗がん効果を有意に増強する。結果は、ABTL0812+オラパリブの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図12】ABTL0812は、ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がん異種移植モデルにおいて、毒性を増加させることなくベバシズマブ抗がん効果を有意に増強する。結果は、ABTL0812+ベバシズマブの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図13】ABTL0812は、IL-1BおよびTNF-a遺伝子発現を有意に増加させることにより、M1炎症誘発性抗腫瘍表現型に対してマクロファージ極性化を増強する。重要なことに、ABTL0812は、免疫抑制の主要な調節因子の1つであるIL10遺伝子発現を劇的に阻害することにより、抗炎症腫瘍促進性表現型に対してM2分極化を抑制する。TBPは、TATAボックス結合タンパク質である。NTは、非分極化マクロファージを意味する。ABTL50uMは、50μMのABTL0812で処理された非極性化マクロファージを意味する。M1は、M1表現型への極性化マクロファージを意味する。M1+ABTL50は、50μMのABTL0812で処理されたM1表現型への極性化マクロファージを意味する。ABTL100uMは、100μMのABTL0812で処理された非極性化マクロファージを意味する。M1+ABTL100は、100μMのABTL0812で処理されたM1表現型への極性化マクロファージを意味する。M2は、M2表現型への極性化マクロファージを意味する。M2+ABTL50は、50μMのABTL0812で処理されたM2表現型への極性化マクロファージを意味する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図14】ABTL0812は、子宮内膜がんおよび膵臓がん細胞株でPDL1発現を誘導し、ABTL0812媒介PDL1発現は、PDL1発現のマスター調節因子である、IFNγによって誘導されるPDL1発現レベルよりも著しく劣っている。これらの結果は、媒介されるPDL1レベルの誘導により、がん細胞が免疫チェックポイント阻害剤に対して標的化可能となるため、ABTL0812と免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図15】ABTL0812は、ヒト膵臓MiaPaca2がん細胞の免疫原性がん細胞死を促進し、それは、IL-1bおよびTNF-a持続的遺伝子発現を著しく誘導することにより、M1炎症誘発性および抗腫瘍性表現型への極性化とともに、マクロファージの持続的活性化を促進する免疫原性因子の放出を誘導する。これらのデータは、図13とともに、ABTL0812がヒトマクロファージへのその直接効果に加えて、がん細胞へのその抗がん効果によって腫瘍微小環境を免疫調節することができることを示唆しており、したがって、免疫チェックポイント阻害剤とのその潜在的な組み合わせが抗がん有効性を増強することを強調する。RPMIまたはNTは、初期馴化培地(対照)に関する。MiaPACA-2 NTまたはMiaPACA-2 CM NTは、未処理のMiaPaca2細胞からの馴化培地に関する。MiaPACA-2 40UM ABTLは、ABTL0812で処理したMiaPaca2細胞(40μMのABTL0812)からの馴化培地に関する。MiaPACA-2 CM 70uMは、ABTL0812で処理したMiaPaca2細胞(70μMのABTL0812)からの馴化培地に関する。TBPは、TATAボックス結合タンパク質である。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図16】ABTL0812を単独で投与すると、C57BL6マウスに皮下移植されたLLC1細胞による肺がんの同系マウスモデルの生存率が増加する。抗PD1と組み合わせたABTL0812は、抗PD1、ABTL0812、およびビヒクル治療と比較して、生存率のより高い増加を示した。データは、ABTL0812による抗PD1治療の増強を示唆しており、マウスの生存率の増加につながる。この結果は、ヒト患者において抗PD1およびABT10812を組み合わせることの潜在的な利益を示す。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図17】単独で投与されたABTL0812は、抗PD1+カルボプラチン/パクリタキセル治療と同様の腫瘍体積の低減を示し、両方の治療は、C57BL6マウスに皮下移植されたLLC1細胞による肺がんのビヒクル群同系マウスモデルと比較して腫瘍体積を有意に低減している。ABTL0812+抗PD1+カルボプラチン/パクリタキセル治療の3つの組み合わせは、最も高い腫瘍体積低減を誘導し、残りの治療を大幅に改善する。このより高い抗がん有効性は、腫瘍内のCD8/CD4遺伝子発現レベルの増加と相関し、インビボで以前のインビトロ観察を検証した(図15および13)。CD8/CD4の比率は、薬物治療時に細胞毒性抗腫瘍Tリンパ球を分析するために一般的に評価される。結果は、肺がん患者のための標準治療である、ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの併用療法が、肺がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図18】抗PD1+カルボプラチン/パクリタキセル治療と組み合わせたABTL0812は、C57BL6マウスに腹腔内移植されたLLC1細胞による肺がんの同系マウスモデルで最も高い腫瘍体積低減を誘導した。結果は、肺がん患者のための標準治療である、ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの併用療法が、肺がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図19-1】ABTL0812は、インビトロで子宮内膜がんおよび膵臓がん細胞株でPDL1発現を誘導する。これらの結果は、PDL1レベルの誘導により、がん細胞が免疫チェックポイント阻害剤に対して標的化可能となるため、ABTL0812と免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図19-2】同上。
図20】ABTL0812は、活性化および非活性化ヒト初代T細胞におけるPD1の発現を阻害する。PD1は、T細胞活性の抑制シグナルを媒介するため、ABTL0812によるその低減は、T細胞の活性化を促進して、その抗がん活性を誘発し得る。RFUは相対蛍光単位を意味する。WBはウエスタンブロットを意味する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図21】ABTL0812は、ヒトのがん細胞における免疫抑制性ケモカインの放出の阻害を促進し、炎症誘発性環境の促進につながる。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図22-1】ABTL0812は、ICDマーカーの細胞外Hmgb1およびATP、表面カルレティキュリン、ならびに活性化カスパーゼ3および8の用量依存的増加を誘導することにより、ヒト膵臓がん細胞の免疫原性細胞死(ICD)を誘導する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図22-2】同上。
図23】ABTL0812は、発がん性の進行の阻害および腫瘍性病変(EIN、子宮内膜上皮内腫瘍)の減少に付随して、子宮内膜発がんを起こしているPTEN-KOマウスの腫瘍病変内のCD3 T細胞の浸潤を促進する。UNは未処理である。
図24-1】ABTL0812は、IL-1βおよびTNF-α遺伝子発現を有意に増加させることにより、M1炎症誘発性抗腫瘍表現型に対して不死化THP-1およびヒト一次マクロファージ極性化を増強する。重要なことに、ABTL0812は、免疫抑制の主要な調節因子の1つであるIL10遺伝子発現を劇的に阻害することにより、抗炎症腫瘍促進性表現型に対してM2分極化を抑制する。これらのデータは、抗腫瘍表現型に対するマクロファージにおけるABTL0812の免疫調節効果を示唆しており、潜在的に免疫療法と相乗作用している。
図24-2】同上。
【数1】
は、ビヒクルを意味する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図25-1】ABTL0812は、ヒト初代マクロファージおよび不死化THP1マクロファージにおいて炎症性サイトカインの放出および免疫抑制性サイトカインの分泌の阻害を促進し、それは炎症誘発性環境の促進につながる。これらの結果は、免疫療法との潜在的な相乗効果を支持している。CTRLは対照を意味する。さらなる詳細については、本明細書の実施例を参照されたい。
図25-2】同上。
図26】ABTL0812は、両方の細胞型をインビトロで共培養すると、がん細胞に対する活性化T細胞の細胞毒性効果を増強する。
図27】ABTL0812単剤療法は、抗PD1と同様の腫瘍体積低減を示し、両方の治療は、C57BL6マウスに皮下移植されたMT5膵臓がん細胞の同系マウスモデルにおいて、ビヒクル群と比較して腫瘍体積を有意に低減している。ABTL0812は、抗PD1治療よりも効率的に炎症誘発性抗腫瘍環境を促進し、腫瘍内の骨髄およびNK抗がん細胞の増加、ならびに脾臓のTh1/Th2比の増加をもたらす。
図28】抗PD1およびフォルフィリノックスと組み合わせて投与されたABTL0812は、抗PD1単独およびABTL0812+フォルフィリノックスを含む残りの群と比較して最も高い腫瘍体積低減を示し、腫瘍内の骨髄およびCD8抗がん細胞浸潤の増加を伴う炎症誘発性抗腫瘍環境を促進する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
関連する側面の化合物(A)
好ましい実施形態では、
(i)aは、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bは、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cは、1~5の任意の整数値であり得る。
【0042】
好ましくは、Rは、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり得る。
好ましくは、Rは、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHであり得る。
【0043】
好ましい実施形態では、Rは、Hであり、Rは、OHである。
【0044】
別の好ましい実施形態では、Rは、Naであり、Rは、OHである。
【0045】
好ましくは、化合物(A)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である:
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0046】
最も好ましくは、化合物(A)は、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)である。
【0047】
化合物(A)の薬学的に許容される塩は、化合物(A)の任意の薬学的に許容される塩を指す。当該技術分野で既知であるように、多くの既知の薬学的に許容される塩が存在する。薬学的に許容される塩の例には、これらに限定されないが、ナトリウム(Na)、カリウム、酢酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩(bisulfites)、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ホルマール(formales)、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩(propiolates)、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩(phylacetates)、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、アルカンスルホン酸塩(例えば、メタン-スルホン酸塩またはメシル酸塩)、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、化合物(A)の塩は、ナトリウム塩である。
【0048】
現在の状況で当業者によって理解されるように、本明細書において、例えば、ABTL0812などの化合物(A)の好ましい式が言及される場合、それは、例えば、本明細書で化合物(A)がCOOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが言及され、またABTL0812の塩が言及される場合、その塩としても含まれることが本明細書において理解される。
【0049】
好ましくは、化合物(A)は、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である。
【0050】
化学療法剤-第1の態様の化合物(B1)
いくつかの実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル(5-フルオロウラシル、5-FU)、
シスプラチン、
カルボプラチン、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
ブレオマイシン、
カペシタビン、
マイトマイシンB、
パクリタキセル、
ナブ-パクリタキセル、
ドセタキセル、
ゲムシタビン、
メトトレキサート、
ペメトレキセド、
シタラビン、
メルカプトプリン、
グルホスファミド、
イクサベピロン、
ニムスチン、
カルムスチン、
ロムスチン、
ミトキサントロン、
エトポシド、
ビンクリスチン、
ビンブラスチン、および
タモキシフェン。
【0051】
現在の状況で理解されるように、化合物(B1)の好ましい列挙された例のうちのいずれかに関連して、化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが最も好ましい。
【0052】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシン。
【0053】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0054】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
イリノテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0055】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
カルボプラチン、および
パクリタキセル。
【0056】
第1の態様の化合物(B1)が、2つ以上の異なる化学療法剤を含むことが好ましい場合がある(特に、化合物(A)がCOOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)である場合)-例えば、好ましくは、第1の態様の化合物(B1)は、以下を含む:
イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシル、または
イリノテカン、トポテカン、およびシクロホスファミド。
【0057】
現在の状況で当業者によって理解されるように、化合物(B1)の使用を、例えば、1つ以上の標的療法剤(複数可)(B2)などの他のがん治療関連薬剤/化合物と組み合わせてもよい。
【0058】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がテモゾロミドであることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例1.1を参照されたい)。
【0059】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がトポテカンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.2を参照されたい)。他の実施形態では、特にがんが膵臓がんまたは膠芽腫である場合、化合物(A)はABTL0812であり、化合物(B1)はトポテカンである。
【0060】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がイリノテカンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.3を参照されたい)。他の実施形態では、特にがんが膵臓がんまたは膠芽腫である場合、化合物(A)はABTL0812であり、化合物(B1)はイリノテカンである。
【0061】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がシクロホスファミドであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.4を参照されたい)。
【0062】
特にがんが膵臓がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がイリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであることが特に好ましい。(例えば、この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.1を参照されたい)。
【0063】
特にがんが子宮内膜細胞がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がドキソルビシンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.2を参照されたい)。
【0064】
特にがんが膠芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がテモゾロミドであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.3を参照されたい)。
【0065】
特にがんが肺がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がペメトレキセドであることが特に好ましい。
【0066】
特にがんが肺がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がメトトレキサートであることが特に好ましい。
【0067】
好ましくは、本明細書で議論されるような薬学的組み合わせは、化合物(A)がABTL0812であり、
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、トポテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、シクロホスファミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、がんが膵臓がんであり、
-化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、がんが、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、膠芽腫である。
【0068】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0069】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0070】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0071】
標的療法剤-第2の態様の化合物(B2)
好ましくは、化合物(B2)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である:
イマチニブ、
ゲフィチニブ、
エルロチニブ、
ソラフェニブ、
スニチニブ、
ダサチニブ、
ラパチニブ、
ニロチニブ、
プロテアソーム阻害剤(好ましくは、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはボルテゾミブ)、
タモキシフェン、
ヤヌスキナーゼ阻害剤(好ましくは、トファシチニブ)、
ALK阻害剤(好ましくは、クリゾチニブ)、
Bcl-2阻害剤(好ましくは、オバトクラックス、ナビトクラックス、またはゴシポール)、
PARP阻害剤(好ましくは、イニパリブまたはオラパリブ)、
PI3K阻害剤(好ましくは、ペリホシン)、
アパチニブ、
Braf阻害剤(好ましくは、ベムラフェニブまたはダブラフェニブ)、
MEK阻害剤(好ましくは、トラメチニブ)、
CDK阻害剤、
Hsp90阻害剤、
サリノマイシン、
VAL-083(ジアンヒドロガラクチトール)、
ビンタフォリド、
セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤(好ましくは、テムシロリムス、エベロリムス、ベムラフェニブ、トラメチニブ、またはダブラフェニブ)、および
モノクローナル抗体(好ましくは、抗VEGF mAb、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、またはベバシズマブ)。
【0072】
現在の状況で理解されるように、化合物(B2)の好ましい列挙された例のうちのいずれかに関連して、化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが最も好ましい。
【0073】
他の実施形態では、化合物(B2)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である:
プロテアソーム阻害剤(好ましくは、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはボルテゾミブ)、
PARP阻害剤(好ましくは、イニパリブまたはオラパリブ)、および
モノクローナル抗体(好ましくは、抗VEGF mAb、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、またはベバシズマブ)。
【0074】
他の実施形態では、化合物(B2)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である:
ボルテゾミブ、
オラパリブ、および
ベバシズマブ。
【0075】
第2の態様の化合物(B2)は、2つ以上の異なる標的療法剤を含むことが好ましい場合がある(特に、化合物(A)がCOOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)である場合)。
【0076】
現在の状況で当業者によって理解されるように、化合物(B2)の使用を、例えば、1つ以上の化学療法剤化合物(複数可)などの他のがん治療関連薬剤/化合物と組み合わせてもよい。
【0077】
特にがんが多発性骨髄腫がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B2)がボルテゾミブであることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例2.1を参照されたい)。
【0078】
ボルテゾミブは、プロテアソーム阻害剤であり、異なるプロテアソーム阻害剤が同様のメカニズムに基づいてがんを治療すると言ってもよく、したがって、本明細書で議論されるボルテゾミブの陽性実験データは、例えば、カルフィルゾミブまたはイキサゾミブなどのボルテゾミブよりも他のプロテアソーム阻害剤の使用により同様の陽性結果も得ることができることを妥当にすると考えられる。
【0079】
特にがんが子宮内膜がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B2)がオラパリブであることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例5.1を参照されたい)。
【0080】
オラパリブは、PARP阻害剤であり、異なるPARP阻害剤が同様のメカニズムに基づいてがんを治療すると言ってもよく、したがって、本明細書で議論されるオラパリブの陽性実験データは、例えば、イニパリブなどのオラパリブよりも他のPARP阻害剤の使用により同様の陽性結果も得ることができることを妥当にすると考えられる。
【0081】
特にがんが子宮内膜がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B2)がベバシズマブであることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例5.2を参照されたい)。
【0082】
ベバシズマブは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を阻害することにより、新しい血管の成長を遅らせることによって機能し、すなわち、抗VEGF mAbの例としてみられ得る。
【0083】
したがって、ベバシズマブは、抗VEGF mAbの例としてみられることができ、異なる抗VEGF mAbが同様のメカニズムに基づいてがんを治療すると言ってもよく、したがって、本明細書で議論されるベバシズマブの陽性実験データは、ベバシズマブよりも抗VEGF mAbの使用により同様の陽性結果も得ることができることを妥当にすると考えられる。
【0084】
好ましくは、本明細書で議論されるような薬学的組み合わせは、化合物(A)がABTL0812であり、
-化合物(B2)は、ボルテゾミブであり、がんは、多発性骨髄腫がんであり、
-化合物(B2)は、オラパリブであり、がんは、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B2)は、ベバシズマブであり、がんは、子宮内膜がんである。
【0085】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0086】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0087】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0088】
免疫療法剤-第3の態様の化合物(B3)
当該技術分野で既知であるように、チェックポイント阻害剤療法は、がん免疫療法の一形態である。療法は、刺激されると免疫刺激に対する免疫応答を弱めることができる免疫系の主要な調節因子である免疫チェックポイントを標的とする。チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質を遮断することができる分子である。その結果、チェックポイント阻害剤は、免疫応答を増強し、がん細胞の排除を促進する。
【0089】
現在承認されているチェックポイント阻害剤は、一般に抗体であり、分子CTLA4、PD-1、およびPD-L1を標的とし、これらのチェックポイント阻害剤は、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA4チェックポイント阻害剤と呼ばれ得る。
【0090】
以下の実施例6.1の結論は以下を示す。
「これらの結果は、ABTL0812は、腫瘍細胞に対するその抗がん効果とは別に、免疫系を炎症誘発性表現型に刺激し、腫瘍微小環境を変化させて、細胞毒性Tリンパ球として他の免疫細胞の動員を促進し、したがって、免疫系抑制を誘導する「冷たい」を腫瘍を「熱い」免疫原性腫瘍にすることを示唆しており、炎症誘発性および抗腫瘍微小環境を促進することにより抗がん有効性を増強する、ABTL0812と特定の免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調している。」
【0091】
以下の実施例7の結論は以下を示す。
「...インビボでのABTL0812の免疫調節効果は、腫瘍病変内のTリンパ球の浸潤をどのように誘導するかを示し、がん細胞を殺すために免疫細胞の浸潤を促進する炎症誘発性抗腫瘍微小環境の存在を示す。…抗がん有効性を増強する特に免疫チェックポイント阻害剤とのその潜在的な組み合わせを強調する。」
【0092】
したがって、本明細書の実験データ(実施例6~8を参照されたい)は、ABTL08112自体が、がんなどの免疫療法治療に関して、特に免疫チェックポイント阻害剤の使用に関して、プラスの免疫調節効果を有することが妥当であるという証拠を提供する。
【0093】
腫瘍は、PD-1/PD-L1免疫チェックポイント経路を操作して、がん標的化T細胞を閉鎖することができる。したがって、いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、T細胞ががん細胞を排除することを可能にすることができるPD-1/PD-L1経路を標的とするチェックポイント阻害剤であり、抗PD-1または抗PD-L1とも呼ばれる。
【0094】
CTLA-4は、CTLA-4受容体を遮断することができるチェックポイント阻害剤によって標的とされ得る別の経路である。いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、CTLA-4を標的とするチェックポイント阻害剤である。
【0095】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体ベースの薬剤または非抗体ベースの薬剤(例えば、小分子またはペプチド)であり得る。
【0096】
特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、チェックポイント阻害剤抗体である。PD-1/PDL-1経路を標的とするチェックポイント阻害剤の例は、アテゾリズマブ、アベルマブ、セミプリマブ、デュルバルマブ、ニボルマブ、およびペムブロリズマブである。イピリムマブは、CTLA-4経路を標的とするチェックポイント阻害剤の一例である。
【0097】
別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、非抗体ベースの薬剤(例えば、小分子またはペプチド)である。小分子チェックポイント阻害剤の例は、ペプチドベースの免疫調節因子である。特に、ある特定の大環状ペプチドは、PD-1およびPDL-1を阻害することが実証されている。さらに、耐加水分解性DペプチドもPD-L1に拮抗することが証明されている。チェックポイント阻害剤として特徴付けられる免疫調節小分子の他の例は、スルファモノ-メトキシンおよびスルファメチゾール誘導体(スルファミド)、ビアリール誘導体化合物、ならびにペプチド模倣またはアミノ酸に触発された小分子に変換された非ペプチド分子である。
【0098】
他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、腫瘍免疫回避およびがん進行において役割を果たす、VISTAおよびCD47/SIRPαシグナル伝達経路を標的とすることができる。これらの経路を標的とする非抗体ペプチドは、抗腫瘍効果を有する免疫調節因子小分子の例である。
【0099】
好ましくは、化合物(B3)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である:
チェックポイント阻害剤抗体(好ましくは、抗PD1、抗PDL1、または抗CTLA4チェックポイント阻害剤抗体)。
【0100】
現在の状況で理解されるように、化合物(B3)の好ましい列挙された例のうちのいずれかに関連して、化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが最も好ましい。
【0101】
好ましい抗PD1チェックポイント阻害剤抗体の例は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブである。
【0102】
本明細書の実施例では、ペムブロリズマブに対応するとみられ得る抗PD1チェックポイント阻害剤抗体でプラスの結果が得られた。要するに、ペムブロリズマブはヒトに使用するためのものであり、本明細書の実施例では、本明細書の実施例で使用されるマウスモデルでの使用に最適化された修正版が使用された。
【0103】
したがって、好ましい実施形態では、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体はペムブロリズマブである。
【0104】
好ましい抗PDL1チェックポイント阻害剤抗体の例は、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである。
【0105】
好ましい抗CTLA4チェックポイント阻害剤抗体の例は、イピリムマブである。
【0106】
本明細書の実施例8は、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体の使用に関してプラスの結果を示し、したがって、好ましい実施形態は、化合物(B3)が抗PD1チェックポイント阻害剤抗体(好ましくはニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブ)であり、特に化合物(A)がABTL0812である場合に関する。
【0107】
第3の態様の化合物(B3)は、2つ以上の異なるチェックポイント阻害剤抗体を含むことが好ましい場合がある(特に、化合物(A)がCOOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)である場合)。
【0108】
現在の状況で当業者によって理解されるように、化合物(B3)の使用を、例えば、1つ以上の化学療法剤化合物(複数可)などの他のがん治療関連薬剤/化合物と組み合わせてもよい。
【0109】
特にがんが肺がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B3)が抗PD1チェックポイント阻害剤抗体(最も好ましくはペムブロリズマブ)であることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例8.1を参照されたい)。
【0110】
特にがんが肺がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B3)が抗PD1チェックポイント阻害剤抗体(最も好ましくはペムブロリズマブ)であり、それらは少なくとも1つの化合物(B1)、例えば、パクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせてさらに投与されることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例8.2および8.3を参照されたい)。
【0111】
好ましくは、本明細書で議論されるような薬学的組み合わせは、化合物(A)がABTL0812であり、
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、がんが、肺がんであるか、または
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体(最も好ましくはペムブロリズマブ)であり、少なくとも1つの化合物(B1)、特にパクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせて投与され、がんが肺がんである。
【0112】
実施例6.7の結論は以下を示す(強調を追加)。
「ABTL0812は、腫瘍においてICD(免疫原性細胞死)を誘導し、免疫系に対してそれらをより免疫原性および標的化可能にし、免疫系の抑制を誘導する「冷たい」腫瘍を「熱い」免疫原性腫瘍にするのに役立つ...」
【0113】
実施例6.9の結論は以下を示す(強調を追加)。
「ABTL0812は、がん細胞において、炎症誘発性因子の分泌を促進し、免疫抑制因子の放出を抑制する。これらのデータは、M1マクロファージ表現型の増強およびM2表現型の抑制と組み合わせて、ABTL0812が免疫細胞に対するその作用に対して炎症誘発性抗腫瘍環境を促進することができ、腫瘍、特に、膵臓がんなどの免疫抑制性の高い腫瘍に対する有効性を増加させる他の免疫療法との潜在的な組み合わせを強調している。
【0114】
したがって、本明細書の実験データ(実施例6~8を参照されたい)は、ABTL0812自体が、チェックポイント阻害剤以外の免疫系応答およびその調節(例えば、サイトカイン)と相互作用する治療の抗がん有効性を増強するプラスの免疫調節効果を有することが妥当であるという証拠を提供する。したがって、当業者には、ABTL0812が免疫調節因子の抗がん効果を増強することができることは明らかである。
【0115】
したがって、いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、抗がん免疫調節剤化合物である。「抗がん免疫調節剤化合物」(「抗がん免疫調節因子剤化合物」とも呼ばれる)という用語は、免疫系の活性を調節する経路を標的とし、がん細胞を攻撃および排除するその能力を改善することができる分子としての免疫調節因子を指すために本明細書で使用される。免疫調節因子は、がん免疫療法剤内の既知の群の分子であり、例えば、チェックポイント阻害剤、サイトカイン、アゴニスト、およびアジュバントを含むことができる。免疫系の調節は、免疫系のメカニズムの刺激または阻害を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、サイトカインである抗がん免疫調節剤化合物である免疫療法剤化合物である。サイトカインは、免疫細胞の成熟、増殖、および応答性を調節するメッセンジャー分子である。免疫調節因子サイトカインの例は、IL-2/IL-2R経路を標的とするサイトカインならびにIFNAR1および/またはIFNAR2経路を標的とするサイトカインである。アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))は、IL-2/IL-2R経路を標的とする免疫調節因子サイトカインの例である。IFNAR1および/またはIFNAR2経路を標的とする免疫調節因子サイトカインの例は、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b(Intron AA(登録商標))、およびペグインターフェロンアルファ-2b(Sylatron(登録商標)/PEG-Intron(登録商標))である。サイトカインの他の例は、神経芽腫の治療のための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、アゴニストである抗がん免疫調節剤化合物である免疫療法剤化合物である。アゴニストは、適応免疫応答を促進する経路を活性化することができる分子である。例えば、免疫調節剤アゴニストは、「キラー」T細胞の活性化を増強するか、または自然免疫細胞(例えば、樹状細胞)の活性を刺激することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、アジュバントである抗がん免疫調節剤化合物である免疫療法剤化合物である。アジュバントは、一般的な免疫応答を刺激し、かつ最終的に適応免疫応答を促進することができる自然免疫系に関与する経路を活性化することができる分子である。免疫調節剤アジュバントの例は、トール様受容体(例えば、TLR7またはTLR3)を標的とするものである。イミキモドおよびポリICLC(Hiltonol(登録商標))は、がんの治療のためのトール様受容体を標的とするアジュバントの例である。
【0119】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0120】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0121】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0122】
放射線療法治療-第4の態様
好ましくは、放射線療法治療は、例えば、5~100Gy、またはより好ましくは15~85Gyなど、2~200Gyの放射線量で行われる。
【0123】
リンパ腫の場合、放射線療法治療が15~45Gyの放射線量で行われることが好ましい。
【0124】
固体腫瘍の場合、放射線療法治療が55~85Gyの放射線量で行われることが好ましい。
【0125】
好ましくは、放射線量は、例えば、化合物(A)(好ましくはABTL0812)の最初の投与の少なくとも1日後など、化合物(A)(好ましくはABTL0812)の投与後に投与される。
【0126】
現在の状況で理解されるように、本明細書に記載される放射線療法治療の任意の実施形態に関して、化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが最も好ましい。
【0127】
現在の状況で当業者によって理解されるように、放射線療法治療を、例えば、1つ以上の化学療法剤化合物(複数可)などの関連するがん治療関連薬剤/化合物の使用と組み合わせてもよい。
【0128】
第4の態様の放射線療法の使用に関連して、好ましくは、がんは、膠芽腫がんである。
【0129】
第4の態様の放射線療法の使用に関して、特にがんが膠芽腫がんである場合、化合物(A)がABTL0812であることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例4を参照されたい)。
【0130】
第4の態様の放射線療法の使用に関して、化合物(A)が、少なくとも1つの化合物(B1)(化学療法剤化合物)と組み合わせて投与されるABTL0812であることが特に好ましい。特に、化合物(B1)は、テモゾロミドまたはトポテカンである。特に、がんは、膠芽腫がんである。
【0131】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0132】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0133】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0134】
好ましい化学療法剤-第5の態様
上で議論される第5の態様に関連して、好ましくは、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0135】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
イリノテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0136】
他の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤である:
カルボプラチン、および
パクリタキセル。
【0137】
現在の状況で理解されるように、化合物(B1)の好ましい列挙された例のうちのいずれかに関連して、化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)であることが最も好ましい。
【0138】
第5の態様の化合物(B1)が、2つ以上の異なる化学療法剤を含むことが好ましい場合がある(特に、化合物(A)がCOOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)である場合)-例えば、好ましくは、第1の態様の化合物(B1)は、以下を含む:
イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシル、または
イリノテカン、トポテカン、およびシクロホスファミド。
【0139】
現在の状況で当業者によって理解されるように、化合物(B1)の使用を、例えば、1つ以上の標的療法剤(複数可)などの他のがん治療関連薬剤/化合物と組み合わせてもよい。
【0140】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がテモゾロミドであることが特に好ましい(この好ましい実施形態の例については、実施例1.1を参照されたい)。
【0141】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がトポテカンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.2を参照されたい)。他の実施形態では、特にがんが膵臓がんまたは膠芽腫である場合、化合物(A)はABTL0812であり、化合物(B1)はトポテカンである。
【0142】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がイリノテカンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.3を参照されたい)。他の実施形態では、特にがんが膵臓がんまたは膠芽腫である場合、化合物(A)はABTL0812であり、化合物(B1)はイリノテカンである。
【0143】
特にがんが神経芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がシクロホスファミドであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例1.4を参照されたい)。
【0144】
特にがんが膵臓がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がイリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであることが特に好ましい。(例えば、この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.1を参照されたい)。
【0145】
特にがんが子宮内膜細胞がんである場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がドキソルビシンであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.2を参照されたい)。
【0146】
特にがんが膠芽腫である場合、化合物(A)がABTL0812であり、化合物(B1)がテモゾロミドであることが特に好ましい。(この好ましい実施形態の例については、本明細書の実施例3.3を参照されたい)。
【0147】
好ましくは、本明細書で議論されるような薬学的組み合わせは、化合物(A)がABTL0812であり、
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)がトポテカンであり、がんが神経芽腫であり、
-化合物(B1)がイリノテカンであり、がんが神経芽腫であり、
-化合物(B1)がシクロホスファミドであり、がんが神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、がんが膵臓がんであり、
-化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、がんが、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、膠芽腫である。
【0148】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0149】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0150】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0151】
本明細書のすべての態様に関連する他の特定の組み合わせ
本明細書の実施例では、化合物(A)、化合物(B1)、および化合物(B3)の組み合わせ、すなわち3つの組み合わせで陽性の結果が得られた。
【0152】
したがって、本発明はまた、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物と、
(B3):免疫療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものである、免疫療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせに関する。
【0153】
特定の実施形態では、(i)aは、5から7の任意の整数値であり得、(ii)bは、2~4の任意の整数値であり得、(iii)cは、1~5の任意の整数値であり得る。別の実施形態では、Rは、Hであり、Rは、OHである。
【0154】
特定の実施形態では、化合物(A)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である:
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0155】
特に、化合物(A)は、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である。より具体的には、化合物(A)は、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である。
【0156】
いくつかの実施形態では、がんは、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである:
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0157】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、抗がん免疫調節剤化合物である免疫療法剤化合物である。特定の実施形態では、化合物(B3)は、チェックポイント阻害剤である。特定の実施形態および例は、この説明のセクション「免疫療法剤-第3の態様の化合物(B3)」に記載されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、以下:チェックポイント阻害剤、好ましくはチェックポイント阻害剤抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である。好ましくは、チェックポイント阻害剤抗体は、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、または抗CTLA4抗体である。
【0159】
いくつかの実施形態では、化合物(B3)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である:
-抗PD1抗体であって、好ましくは抗PD1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブである、抗PD1抗体、
-抗PDL1抗体であって、好ましくは抗PDL1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、抗PDL1抗体、
-抗CTLA4抗体であって、好ましくは抗CTLA4抗体が、イピリムマブである、抗CTLA4抗体。
【0160】
特に、化合物(B3)は、抗PD1抗体であり、好ましくは抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0161】
いくつかの実施形態では、
-化合物(B3)は、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、がんは、肺がんであるか、または
-化合物(B3)は、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、好ましくはペムブロリズマブであり、少なくとも1つの化合物(B1)、好ましくはパクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせて投与され、がんは、肺がんである。
【0162】
いくつかの実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
シスプラチン、
カルボプラチン、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
ブレオマイシン、
カペシタビン、
マイトマイシンB、
パクリタキセル、
ナブ-パクリタキセル、
ドセタキセル、
ゲムシタビン、
メトトレキサート、
ペメトレキセド、
5-フルオロウラシル、
シタラビン、
メルカプトプリン、
グルホスファミド、
イクサベピロン、
ニムスチン、
カルムスチン、
ロムスチン、
ミトキサントロン、
エトポシド、
ビンクリスチン、
ビンブラスチン、および
タモキシフェン。
【0163】
特定の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシン。
【0164】
特に、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0165】
別の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
イリノテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0166】
別の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
カルボプラチン、および
パクリタキセル。
【0167】
別の実施形態では、化合物(B1)は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である:
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
カルボプラチン、および
パクリタキセル。
【0168】
特に、化合物(B1)は、パクリタキセルおよびカルボプラチンである。
【0169】
別の実施形態では、化合物(B1)は、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルである。
【0170】
特定の実施形態では、化合物(A)は、ABTL0812であり、化合物(B1)は、パクリタキセルおよびカルボプラチンであり、化合物(B3)、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である。
【0171】
一実施形態では、化合物(A)は、ABTL0812であり、化合物(B1)は、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、化合物(B3)は、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である。特に、化合物(B3)は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびスパルタリズマブ、好ましくはペムブロリズマブから選択される抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である。
【0172】
化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、パクリタキセル/カルボプラチンを含み、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体であることが特に好ましい。特定の実施形態では、がんは、肺がんである(この好ましい実施形態の例については、実施例8.2および8.3を参照されたい)。
【0173】
化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルを含み、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体であることが特に好ましい。特定の実施形態では、がんは、膵臓がんである(この好ましい実施形態の例については、実施例8.5を参照されたい)。
【0174】
化合物(B1)の種類に応じて、それは、例えば、静脈内(例えば、抗体の場合)または経口(例えば、小分子の場合)投与され得る。特に、化合物(3)は、注入溶液を介して静脈内投与される。
【0175】
特に、化合物(A)は、経口投与される。特定の実施形態では、化合物(A)の投与される用量は、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0176】
本明細書のすべての態様に関連するがん
本明細書の第1~第5の態様のうちのいずれかに関して、より好ましくは、がんは、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである:
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0177】
より好ましくは、がんは、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである:
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
子宮内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
乳がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0178】
より具体的には、がんは、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである:
肺がん、
子宮内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
乳がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0179】
特定の実施形態では、がんは、固体腫瘍である。「固体腫瘍」または固体がんは、血液、骨髄、またはリンパ球以外の体組織細胞の異常な増殖によって形成される新生物(細胞の新たな増殖)または病変(解剖学的構造の損傷または生理学的機能の障害)である。固体腫瘍は、肝臓、結腸、乳房、または肺などの異なる組織の種類に由来し得る異常な細胞塊からなり、それは最初はその細胞起源の臓器で増殖する。しかし、そのようながんは、疾患の進行した段階での転移性腫瘍の成長を通じて他の臓器に広がり得る。
【0180】
特定の実施形態では、がんは、がん腫、肉腫、胚腫、または芽細胞腫である。
【0181】
特定の実施形態では、がんは、がん腫である。がん腫は、上皮細胞に由来するがんであり、上皮組織が体内で最も豊富にみられるため、すべてのがん症例の80%~90%を占める。特定の実施形態では、がんは、最も一般的ながんの多く、特に、例えば、肺がん、大腸がん、膵臓がん、喉頭がん、舌がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、頭頸部がん、食道がん、腎がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、膀胱がん、または胃がんを含む。
【0182】
がんには、腺がんおよび扁平上皮がんの2種類がある。腺がんは上皮細胞または腺で発生し、扁平上皮がんは扁平上皮で起源を発する。腺がんは粘膜に影響し得、最初は肥厚したプラークの様な白い粘膜としてみられる。これらは急速に広がっているがんである。
【0183】
特定の実施形態では、がんは、腺がんである。
【0184】
特定の実施形態では、がんは、肺がん、子宮内膜がん、または膵臓がんである。
【0185】
特定の実施形態では、がんは、肺がん、より具体的には非小細胞肺がんである。
【0186】
特定の実施形態では、がんは、扁平上皮がんである。
【0187】
特定の実施形態では、がんは、子宮内膜がん、より具体的には類内膜がんまたは漿液性子宮内膜がんである。
【0188】
特定の実施形態では、がんは、膵臓がんである。より具体的には、膵臓がんは、外分泌膵臓がん(最も一般的なもの)または神経内分泌膵臓がんである。
【0189】
特定の実施形態では、がんは、胆管がんである。
【0190】
特定の実施形態では、がんは、乳がんであり、より具体的には耐性再発乳がんである。
【0191】
特定の実施形態では、がんは、頭頸部がんである。
【0192】
特定の実施形態では、がんは、肉腫である。肉腫は、筋肉、骨、軟骨、および脂肪などの結合組織から発生するがんである。特定の実施形態では、肉腫は、例えば、(骨の)骨肉腫、(軟骨の)軟骨肉腫、平滑筋肉腫(平滑筋)、横紋筋肉腫(骨格筋)、中皮肉腫もしくは中皮腫(体腔の内膜)、線維肉腫(線維組織)、血管肉腫もしくは血管内皮腫(血管)、脂肪肉腫(脂肪または脂肪組織)、神経膠腫もしくは星細胞腫(脳にみられる神経原性結合組織)、粘液肉腫(原始胚性結合組織)、または間葉性もしくは混合中胚葉性腫瘍(混合結合組織型)である。
【0193】
特定の実施形態では、がんは、脳がんである。特に、脳がんは、神経膠腫である。より具体的には、神経膠腫は、膠芽腫である。
【0194】
特定の実施形態では、がんは、胚腫である。胚腫は、多能性細胞に由来する胚細胞腫瘍を指し、ほとんどの場合、精巣または卵巣に存在する(それぞれ、精上皮腫および未分化胚細胞腫)。
【0195】
特定の実施形態では、がんは、芽細胞腫である。芽細胞腫は、未熟な前駆細胞または胚性組織に由来するがんである。芽細胞腫は、高齢の成人よりも子供においてより一般的である。特定の実施形態では、芽細胞腫は、例えば、肝芽腫、神経芽腫、髄芽腫、腎芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽細胞腫、または多形膠芽腫である。特定の実施形態では、がんは、神経芽細胞腫である。
【0196】
本発明の薬学的組み合わせによって治療され得るがんは、固体腫瘍、例えば、肺がん、大腸がん、膵臓がん、喉頭がん、舌がん、乳がん、卵巣がん、前立腺癌、肝臓がん、頭頸部がん、食道がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、膀胱がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫である。
【0197】
特定の実施形態では、がんは、転移性または進行性のがんである。
【0198】
特定の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍である。「血液悪性腫瘍」という用語は、血液、骨髄、およびリンパ節に影響を与えるがんの一種を指し、リンパ腫、骨髄腫、および白血病を含む。歴史的に、科学者および医師は、これらの疾患を体内のそれらの位置、顕微鏡下での病的細胞の外観、および疾患の自然な進行によって分類してきた。白血病では、がん細胞が血液および骨髄を循環していることが発見されるが、一方で、リンパ腫では、細胞が凝集してリンパ組織に塊または腫瘍を形成する傾向がある。骨髄腫は骨髄の腫瘍であり、独自のタンパク質を産生する白血球の特定のサブセットが関与している。
【0199】
特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である。
【0200】
特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。より具体的には、白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、および急性単球性白血病(AMoL)である。
【0201】
特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。より具体的には、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫(HL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0202】
特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫としても知られる骨髄腫(すなわち、通常は抗体を産生する形質細胞、通常は白血球のがん)である。
【0203】
別の特定の実施形態では、血液悪性腫瘍は、前がん段階にある。本明細書で使用される「前がん段階」という用語は、がんに発展し得る1つの過剰増殖性障害または前がん状態を指す。
【0204】
本明細書のすべての態様に関連する化合物(A)および/または化合物(B)の投与:
上で議論されるように、かつ本明細書の第1~第5の態様のうちのいずれかに関連して、本明細書で議論される併用治療に関して、2つの化合物(A)および(B)が、例えば、単一の組成物として同時に、または例えば、2つの別個の組成物として逐次的に投与されるかどうかは重要ではない。重要な問題は、最初に投与された有効量の化合物/薬剤が患者の体内にあること、および/または第2の化合物/薬剤が投与されたときに患者の体内でその効果を発揮したことである。
【0205】
本明細書で一般的に化合物(B)と称される場合、それは化合物(B1)、化合物(B2)、および/または化合物(B3)のうちのいずれかを指すと理解される。
【0206】
本明細書で議論されるような薬学的組み合わせは、化合物(A)および化合物(B)の両方を含む単一の組成物であることが好ましい場合がある。
【0207】
化合物(A)(特にABTL0812)は、好ましくは経口投与される。
【0208】
化合物(A)(特にABTL0812)の投与される用量は、好ましくは200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である。
【0209】
好ましくは、化合物(A)(特にABTL0812)の1日用量は、1日3回、最も好ましくは1200~1400mgの3回投与される1日用量である。
【0210】
本明細書では、ABTL0812を用いた関連するヒトの臨床試験は、3回の1300mgとして投与される3900mgの1日用量で無事に行われた。
【0211】
したがって、化合物(A)がABTL0812であり、特に3回の1300mgとして投与される場合、投与される用量が3800mg~4000mg(最も好ましくは3900mg)であることが最も好ましい。
【0212】
化合物(B)に関して、好ましい投与経路は、一般に、化合物(B)の利益に依存するであろう。
当業者は、特定の化合物(B)の利益のための好ましい投与経路を日常的に決定してもよい。
【0213】
好ましい化合物(B)の好ましい投与経路を以下に簡単に記載する。
テモゾロミド;-好ましくは、経口カプセルまたは錠剤を介して投与される;
トポテカン;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
イリノテカン;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
シクロホスファミド;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
フルオロウラシル;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
オキサリプラチン;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
ロイコボリン;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
ドキソルビシン;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
ボルテゾミブ;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;
オラパリブ;-好ましくは、経口カプセルまたは錠剤を介して投与される;
ベバシズマブ;-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される;抗PD1チェックポイント阻害剤抗体-好ましくは、注入溶液を介して静脈内投与される。
【0214】
いわゆる請求項形式の本発明の態様/実施形態:
この「請求項形式」のセクションは、本明細書で議論されるように、第1~第5の態様およびその実施形態を個別に対象とした6つのサブセクションに分割される。
【0215】
第1の態様および関連する実施形態-(B1):化学療法剤化合物-がんの第二選択療法治療
1.薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの第二選択療法治療である、化学療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【0216】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
【0217】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0218】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0219】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0220】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組み合わせ。
【0221】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0222】
8.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
シスプラチン、
カルボプラチン、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
ブレオマイシン、
カペシタビン、
マイトマイシンB、
パクリタキセル、
ナブ-パクリタキセル、
ドセタキセル、
ゲムシタビン、
メトトレキサート、
ペメトレキセド、
5-フルオロウラシル、
シタラビン、
メルカプトプリン、
グルホスファミド、
イクサベピロン、
ニムスチン、
カルムスチン、
ロムスチン、
ミトキサントロン、
エトポシド、
ビンクリスチン、
ビンブラスチン、および
タモキシフェン
【0223】
9.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項8に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシン
【0224】
10.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン
【0225】
11.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8~10のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0226】
12.
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、トポテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、シクロホスファミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、がんが膵臓がんであり、
-化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、がんが、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、膠芽腫である、請求項11に記載の薬学的組み合わせ。
【0227】
13.薬学的組み合わせが、化合物(A)および化合物(B1)の両方を含む単一の組成物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0228】
14.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0229】
15.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0230】
16.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項14または15に記載の薬学的組み合わせ。
【0231】
17.
化合物(B1)が、テモゾロミドであり、それが経口カプセルもしくは錠剤を介して投与され、
化合物(B1)が、トポテカンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、イリノテカンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、シクロホスファミドであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、フルオロウラシルであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、オキサリプラチンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、ロイコボリンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、または
化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与される、請求項16に記載の薬学的組み合わせ。
【0232】
第2の態様および関連する実施形態-(B2):標的療法剤化合物-がんの標的療法治療
1.薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B2):標的療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの標的療法治療である、標的療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【0233】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
【0234】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0235】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0236】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0237】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組み合わせ。
【0238】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0239】
8.化合物(B2)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
イマチニブ、
ゲフィチニブ、
エルロチニブ、
ソラフェニブ、
スニチニブ、
ダサチニブ、
ラパチニブ、
ニロチニブ、
プロテアソーム阻害剤(好ましくは、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはボルテゾミブ)、
タモキシフェン、
ヤヌスキナーゼ阻害剤(好ましくは、トファシチニブ)、
ALK阻害剤(好ましくは、クリゾチニブ)、
Bcl-2阻害剤(好ましくは、オバトクラックス、ナビトクラックス、またはゴシポール)、
PARP阻害剤(好ましくは、イニパリブまたはオラパリブ)、
PI3K阻害剤(好ましくは、ペリホシン)、
アパチニブ、
Braf阻害剤(好ましくは、ベムラフェニブまたはダブラフェニブ)、
MEK阻害剤(好ましくは、トラメチニブ)、
CDK阻害剤、
Hsp90阻害剤、
サリノマイシン、
VAL-083(ジアンヒドロガラクチトール)、
ビンタフォリド、
セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤(好ましくは、テムシロリムス、エベロリムス、ベムラフェニブ、トラメチニブ、またはダブラフェニブ)、および
モノクローナル抗体(好ましくは、抗VEGF mAb、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、またはベバシズマブ)。
【0240】
9.化合物(B2)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である、請求項8に記載の薬学的組み合わせ。
プロテアソーム阻害剤(好ましくは、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはボルテゾミブ)、
PARP阻害剤(好ましくは、イニパリブまたはオラパリブ)、および
モノクローナル抗体(好ましくは、抗VEGF mAb、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、またはベバシズマブ)。
【0241】
10.化合物(B2)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの標的療法剤化合物である、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
ボルテゾミブ、
オラパリブ、および
ベバシズマブ。
【0242】
11.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8~10のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0243】
12.
-化合物(B2)が、ボルテゾミブであり、がんが、多発性骨髄腫がんであり、
-化合物(B2)が、オラパリブであり、がんが、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B2)が、ベバシズマブであり、がんが、子宮内膜がんである、請求項11に記載の薬学的組み合わせ。
【0244】
13.薬学的組み合わせが、化合物(A)および化合物(B2)の両方を含む単一の組成物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0245】
14.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0246】
15.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0247】
16.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項14または15に記載の薬学的組み合わせ。
【0248】
17.
化合物(B2)が、ボルテゾミブであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B2)が、オラパリブであり、それが経口カプセルもしくは錠剤を介して投与され、または
化合物(B2)が、ベバシズマブであり、それが注入溶液を介して静脈内投与される、請求項16に記載の薬学的組み合わせ。
【0249】
第3の態様および関連する実施形態-(B3):免疫療法剤化合物-がんの免疫療法治療
1.薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B3):免疫療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、治療が、がんの免疫療法治療である、免疫療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【0250】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
【0251】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0252】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0253】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0254】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組み合わせ。
【0255】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0256】
8.化合物(B3)が、
チェックポイント阻害剤抗体であって、好ましくは、チェックポイント阻害剤抗体が抗PD1抗体、抗PDL1抗体、または抗CTLA4抗体である、チェックポイント阻害剤抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0257】
9.化合物(B3)が、
-抗PD1抗体であって、好ましくは抗PD1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブである、抗PD1抗体、
-抗PDL1抗体であって、好ましくは抗PDL1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、抗PDL1抗体、
-抗CTLA4抗体であって、好ましくは抗CTLA4抗体が、イピリムマブである、抗CTLA4抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、請求項8に記載の薬学的組み合わせ。
【0258】
10.化合物(B3)が、抗PD1抗体であり、抗PD1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
【0259】
11.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8~10のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0260】
12.
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、がんが、肺がんであるか、または
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、好ましくはペムブロリズマブであり、少なくとも1つの化合物(B1)、好ましくはパクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせて投与され、がんが、肺がんである、請求項11に記載の薬学的組み合わせ。
【0261】
13.薬学的組み合わせが、化合物(A)および化合物(B3)の両方を含む単一の組成物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0262】
14.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0263】
15.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0264】
16.化合物(A)(特にABTL0812)が、免疫療法剤化合物(B3)の投与の前に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0265】
17.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項14~16のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0266】
18.
化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、好ましくは、ペムブロリズマブであり、それが注入溶液を介して静脈内投与される、請求項17に記載の薬学的組み合わせ。
【0267】
第4の態様および関連する実施形態-がんの放射線療法治療
1.薬学的組成物であって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHであり、
ヒト患者のがんの治療における使用のためのものであり、治療が、がんの放射線療法治療である、化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせ、を含む、薬学的組成物。
【0268】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組成物。
【0269】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0270】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0271】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0272】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【0273】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0274】
8.放射線療法治療が、2~200Gy、好ましくは、5~100Gy、またはより好ましくは15~85Gyの放射線量で行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0275】
9.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8に記載の薬学的組成物。
【0276】
10.放射線量が、化合物(A)の投与後、好ましくは、化合物(A)の最初の投与の少なくとも1日後に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0277】
11.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【0278】
12.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0279】
13.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0280】
14.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項12または13に記載の薬学的組成物。
【0281】
15.がんが、膠芽腫である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【0282】
16.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【0283】
第5の態様および関連する実施形態-好ましい(B1)化学療法剤化合物-一般的ながんの治療
1.薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、
化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものであり、化合物(B1)が、
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシンからなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、化学療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【0284】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
【0285】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0286】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0287】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0288】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組み合わせ。
【0289】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0290】
8.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0291】
9.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8に記載の薬学的組み合わせ。
【0292】
10.
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、トポテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカンであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、シクロホスファミドであり、がんが、神経芽腫であり、
-化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、がんが膵臓がんであり、
-化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、がんが、子宮内膜がんであり、または
-化合物(B1)が、テモゾロミドであり、がんが、膠芽腫である、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
【0293】
11.薬学的組み合わせが、化合物(A)および化合物(B1)の両方を含む単一の組成物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0294】
12.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0295】
13.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0296】
14.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項12または13に記載の薬学的組み合わせ。
【0297】
15.
化合物(B1)が、テモゾロミドであり、それが経口カプセルもしくは錠剤を介して投与され、
化合物(B1)が、トポテカンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、イリノテカンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、シクロホスファミドであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、フルオロウラシルであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、オキサリプラチンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、
化合物(B1)が、ロイコボリンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与され、または
化合物(B1)が、ドキソルビシンであり、それが注入溶液を介して静脈内投与される、請求項14に記載の薬学的組み合わせ。
【0298】
本明細書のすべての態様に関連する他の特定の組み合わせ-(A)と2つ以上の化合物(B)との組み合わせ.
1.薬学的組み合わせであって、
(A):式COOR-CHR-(CH)a-(CH=CHCH)b-(CH)c-CHの多価不飽和脂肪酸である化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせであって、
(i)aが、0~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~7の任意の整数値であり得、
(iii)cが、0~7の任意の整数値であり得、
(iv)Rが、H、Na、K、CH、CH-CH、またはPO(O-CH-CHであり、
(v)Rが、OH、OCH、O-CHCOOH、CH、Cl、CHOH、OPO(O-CH-CH、N(OH)、F、HCOO、またはN(OCHCHである、化合物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせと、
(B1):化学療法剤化合物と、
(B3):免疫療法剤化合物であって、
ヒト患者のがんの治療における同時、別個、または逐次的な使用のためのものである、免疫療法剤化合物と、を含む、薬学的組み合わせ。
【0299】
2.
(i)aが、5~7の任意の整数値であり得、
(ii)bが、2~4の任意の整数値であり得、
(iii)cが、1~5の任意の整数値であり得る、請求項1に記載の薬学的組み合わせ。
【0300】
3.Rが、Hであり、Rが、OHである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0301】
4.化合物(A)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(183A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(183A2)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(204A1)、
COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-CH(205A1)、および
COOH-CHOH-CH-(CH=CH-CH-CH(226A1)。
【0302】
5.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0303】
6.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)のナトリウム塩である、請求項5に記載の薬学的組み合わせ。
【0304】
7.がんが、以下からなる群から選択される少なくとも1つのがんである、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
肺がん、
非小細胞肺がん、
扁平上皮がん、
腺がん、
子宮内膜がん、
漿液性子宮内膜がん、
類内膜がん、
膵臓がん、
膠芽腫、
耐性再発乳がん、
頭頸部がん、
多発性骨髄腫がん、
神経芽腫、および
胆管がん。
【0305】
8.化合物(B3)が、
チェックポイント阻害剤抗体であって、好ましくは、チェックポイント阻害剤抗体が抗PD1抗体、抗PDL1抗体、または抗CTLA4抗体である、チェックポイント阻害剤抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0306】
9.化合物(B3)が、
-抗PD1抗体であって、好ましくは抗PD1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはスパルタリズマブである、抗PD1抗体、
-抗PDL1抗体であって、好ましくは抗PDL1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである、抗PDL1抗体、
-抗CTLA4抗体であって、好ましくは抗CTLA4抗体が、イピリムマブである、抗CTLA4抗体からなる群から選択される少なくとも1つの免疫療法剤化合物である、請求項8に記載の薬学的組み合わせ。
【0307】
10.化合物(B3)が、抗PD1抗体であり、好ましくは、抗PD1抗体が、ペムブロリズマブである、請求項9に記載の薬学的組み合わせ。
【0308】
11.化合物(A)が、COOH-CHOH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-CH(ABTL0812)またはその薬学的に許容される塩である、請求項8~10のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0309】
12.
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、特にペムブロリズマブであり、がんが、肺がんであるか、または
-化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体、好ましくはペムブロリズマブであり、少なくとも1つの化合物(B1)、好ましくはパクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせて投与され、がんが、肺がんである、請求項11に記載の薬学的組み合わせ。
【0310】
13.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
シスプラチン、
カルボプラチン、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、
ドキソルビシン、
ブレオマイシン、
カペシタビン、
マイトマイシンB、
パクリタキセル、
ナブ-パクリタキセル、
ドセタキセル、
ゲムシタビン、
メトトレキサート、
ペメトレキセド、
5-フルオロウラシル、
シタラビン、
メルカプトプリン、
グルホスファミド、
イクサベピロン、
ニムスチン、
カルムスチン、
ロムスチン、
ミトキサントロン、
エトポシド、
ビンクリスチン、
ビンブラスチン、および
タモキシフェン。
【0311】
14.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項13に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
イリノテカン、
シクロホスファミド、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、
ロイコボリン、および
ドキソルビシン。
【0312】
15.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項13に記載の薬学的組み合わせ。
テモゾロミド、
トポテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0313】
16.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項13に記載の薬学的組み合わせ。
イリノテカン、
フルオロウラシル、
オキサリプラチン、および
ロイコボリン。
【0314】
17.化合物(B1)が、以下からなる群から選択される少なくとも1つの化学療法剤化合物である、請求項13に記載の薬学的組み合わせ。
カルボプラチン、および
パクリタキセル。
【0315】
18.化合物(B1)が、パクリタキセルおよびカルボプラチンである、請求項17に記載の薬学的組み合わせ。
【0316】
19.化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルである、請求項16に記載の薬学的組み合わせ。
【0317】
20.化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、パクリタキセルおよびカルボプラチンであり、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0318】
21.化合物(A)が、ABTL0812であり、化合物(B1)が、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、およびフルオロウラシルであり、化合物(B3)が、抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0319】
22.化合物(B3)が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびスパルタリズマブ、好ましくはペムブロリズマブから選択される抗PD1チェックポイント阻害剤抗体である、請求項20または21に記載の薬学的組み合わせ。
【0320】
23.化合物(B1)が、注入溶液を介して静脈内投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0321】
24.化合物(A)が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0322】
25.化合物(A)の投与される用量が、200mg~7000mgの1日用量、より好ましくは1500mg~5000mgの1日用量、さらにより好ましくは3000mg~4700mgの1日用量、および最も好ましくは3500mg~4300mgの1日用量である、先行請求項のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0323】
26.化合物(B3)が、抗がん免疫調節剤化合物である、請求項1~7、13~19、および23~25のいずれか一項に記載の薬学的組み合わせ。
【0324】
27.化合物(B3)が、サイトカイン、チェックポイント阻害剤、アゴニスト、およびアジュバントからなる群から選択される抗がん免疫調節剤化合物である、請求項26に記載の薬学的組み合わせ。
【実施例
【0325】
実施例1:異なる/追加の化学療法剤と組み合わせたABTL0812:インビトロアッセイ
1.1:神経芽腫におけるABTL0812単独またはテモゾロミドとの組み合わせでの細胞生存率アッセイ
目的:神経芽腫細胞株SK-N-BE(2)およびLA1-5Sにおけるテモゾロミドに添加した場合の、ABTL0812の潜在的な相乗効果を研究すること。テモゾロミドは、例えば、高リスク神経芽腫の第二選択治療バックボーンなどで使用される一般的な化学療法剤である。したがって、ABTL0812とテモゾロミドとの間に増強効果があるかどうかを知ることは興味深いことである。
【0326】
方法:LA1-5SおよびSK-N-BE(2)細胞を、増加する濃度のテモゾロミド(500μM、1000μM、および1500μM)、およびsubIC50固定濃度のABTL0812とともにインキュベートした。(SK-N-BE(2)の場合は30μM、LA1-5Sの場合は40μM)。細胞を、0.5%FBSを含むIMDMで48時間処理した。クリスタルバイオレットアッセイにより細胞生存率を評価した。異なる用量を6回の反復で評価し、示される結果は、2回の独立した実験の平均である。統計分析を、GraphPad Prism(登録商標)5.0ソフトウェアを用いてT検定の原理に従って行った。
【0327】
結果:30μMまたは40μMでABTL0812を添加すると、テモゾロミドの細胞毒性が増加した。この増加は、すべての濃度で統計的に有意であった(**p<0.01、***p<0.001)-本明細書の図1を参照されたい。
【0328】
結論:ABTL0812は、神経芽腫細胞株SK-N-BE(2)およびLA1-5Sにおいてインビトロでテモゾロミドの細胞毒性効果を増強する。これらの結果は、両方の薬物の組み合わせのインビボ研究を支持する。
【0329】
1.2:神経芽腫におけるABTL0812単独またはトポテカンとの組み合わせでの細胞生存率アッセイ
目的:神経芽腫細胞株LA1-5Sにおけるトポテカンに添加した場合の、ABTL0812の潜在的な相乗効果を研究すること。トポテカンは、例えば、高リスク神経芽腫の第二選択治療バックボーンなどで使用される一般的な化学療法剤である。したがって、ABTL0812とトポテカンとの間に増強効果があるかどうかを知ることは興味深いことである。
【0330】
方法:LA1-5S細胞を、増加する濃度のトポテカン(0.5μM、1μM、および2μM)および固定濃度のABTL0812(30μM)とともにインキュベートした。細胞を、0.5%FBSを含むIMDMで72時間処理した。クリスタルバイオレットアッセイにより細胞生存率を評価した。データは、3回の独立した実験の平均±SEMとして表される。統計分析を、GraphPad Prism(登録商標)5.0ソフトウェアを用いてT検定の原理に従って行った。
【0331】
結果:30μMでABTL0812を添加すると、トポテカンの細胞毒性が著しく増加した。(ビヒクルと比較して、*p<0.05、**p<0.01;単剤としての各薬物の一致する濃度と比較してp<0.05)。本明細書の図2を参照されたい。
【0332】
結論:ABTL0812は、神経芽腫細胞株SLA1-5Sにおいてインビトロでトポテカンの細胞毒性効果を増強する。これらの結果は、両方の薬物の組み合わせのインビボ研究を支持する。
【0333】
1.3:神経芽腫におけるABTL0812単独またはイリノテカンとの組み合わせでの細胞生存率アッセイ
目的:神経芽腫細胞株LA1-5Sにおけるイリノテカンに添加した場合の、ABTL0812の潜在的な相乗効果を研究すること。イリノテカンは、例えば、高リスク神経芽腫の第二選択治療バックボーンなどで使用される一般的な化学療法剤である。したがって、ABTL0812とイリノテカンとの間に増強効果があるかどうかを知ることは興味深いことである。
【0334】
方法:LA1-5S細胞を、増加する濃度のイリノテカン(4μM、8μM、および16μM)および固定濃度のABTL0812(30μM)とともにインキュベートした。細胞を、0.5%FBSを含むIMDMで72時間処理した。クリスタルバイオレットアッセイにより細胞生存率を評価した。データは、3回の独立した実験の平均±SEMとして表される。統計分析を、GraphPad Prism(登録商標)5.0ソフトウェアを用いてT検定の原理に従って行った(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【0335】
結果:30μMでABTL0812を添加すると、イリノテカンの細胞毒性が著しく増加した。(ビヒクルと比較して、*p<0.05、**p<0.01;単剤としてのABTL0812と比較して、p<0.05;単剤としての各薬物の一致する濃度と比較してp<0.05)。本明細書の図3を参照されたい。
【0336】
結論:ABTL0812は、神経芽腫細胞株SLA1-5Sにおいてインビトロでイリノテカンの細胞毒性効果を増強する。これらの結果は、両方の薬物の組み合わせのインビボ研究を支持する。
【0337】
1.4:神経芽腫におけるABTL0812単独またはシクロホスファミドとの組み合わせでの細胞生存率アッセイ
目的:神経芽腫細胞株LA1-5Sにおけるシクロホスファミドに添加した場合の、ABTL0812の潜在的な相乗効果を研究すること。シクロホスファミドは、例えば、高リスク神経芽腫の第二選択治療バックボーンなどで使用される一般的な化学療法剤である。したがって、ABTL0812とシクロホスファミドとの間に増強効果があるかどうかを知ることは興味深いことである。
【0338】
方法:LA1-5S細胞を、増加する濃度のシクロホスファミド(1μM、1.5μM、および2μM)およびsubIC50固定濃度のABTL0812(30μM)とともにインキュベートした。細胞を、0.5%FBSを含むIMDMで72時間処理した。クリスタルバイオレットアッセイにより細胞生存率を評価した。データは、3回の独立した実験の平均±SEMとして表される。統計分析を、GraphPad Prism(登録商標)5.0ソフトウェアを用いてT検定の原理に従って行った(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
【0339】
結果:30μMでABTL0812を添加すると、1μMでのシクロホスファミドの細胞毒性が著しく増加した。(単剤としての各薬物の一致する濃度と比較してp<0.05)。本明細書の図4を参照されたい。
【0340】
結論:ABTL0812は、神経芽腫細胞株SLA1-5Sにおいてインビトロでシクロホスファミドの細胞毒性効果を増強する。これらの結果は、両方の薬物の組み合わせのインビボ研究を支持する。
【0341】
実施例2:標的療法と組み合わせたABTL0812:インビトロアッセイ
2.1:多発性骨髄腫におけるABTL0812単独またはボルテゾミブとの組み合わせでの細胞生存率アッセイ
目的:多発性骨髄腫細胞株JJN-3およびOPM2におけるボルテゾミブに追加した場合の、ABTL0812の潜在的な相乗効果を研究すること。ボルテゾミブは、多発性骨髄腫患者の治療に承認されたファーストインクラスのプロテアソーム阻害剤である標的療法である。したがって、両方の薬物の間に相加効果があるかどうかを知ることは興味深いことである。
【0342】
方法:JJN-3およびOPM2細胞を、24ウェルプレートに播種し、ABTL0812(5μM)、ボルテゾミブ(それぞれ、0.5および1nM)、または両方の薬物の組み合わせで処理し、インキュベーターに48時間置いた(0.5%FBS)。細胞生存率をMTTアッセイによって研究し、可能な相乗効果を評価するために組み合わせ指数を決定した。
【0343】
結果:JJN-3細胞を、5μM(Sub IC50濃度)のABTL0812および0.5nM(Sub IC50濃度)のボルテゾミブとともにインキュベートし、これは、それぞれ約10%および15%の細胞死を誘導する。両方の薬物を組み合わせると、細胞死が増強され、約40%の細胞死が誘導される。細胞生存率を、すべての場合でMTTアッセイによって評価し、相乗効果を評価するための組み合わせ指数(CI)を、Chou and Talalay(Chou 2006;Chou 2010)の方法に従って次のように計算した:CI=(D)1/(Dx)1+(D)2/(Dx)2(式中、CI<1、=1、および>1は、それぞれ相乗効果、相加効果、および拮抗作用を示す)。分母では、(Dx)1は、システムx%を阻害するD1「単独」を表し、(Dx)2は、システムx%を阻害するD2「単独」を表す。分子では、(D)1および(D)2の「組み合わせ」もx%阻害する。この組み合わせのCIは0.049であり、これは非常に高い相乗効果を示す。OPM2細胞の場合、それらを、5μM(Sub IC50濃度)のABTL0812および5nM(Sub IC50濃度)のボルテゾミブとともにインキュベートし、これは、それぞれ約20%および10%の細胞死を誘導する。両方の薬物を組み合わせると、細胞死が増強され、約55%の細胞死が誘導される。組み合わせ指数は0.50であり、これは相乗効果を示す-本明細書の図5を参照されたい。
【0344】
結論:ABTL0812およびボルテゾミブは、多発性骨髄腫細胞株JJN-3およびOPM2においてインビトロで強力な相乗効果を有する。両方の薬物をsub IC50の濃度で組み合わせると、抗がん活性の増強があり、したがって、両方の薬物間の相乗効果が示される。これらの結果は、両方の薬物のインビボでの組み合わせの機会を広げる。
【0345】
実施例3:異なる化学療法剤と組み合わせたABTL0812:インビボアッセイ
3.1:ヌードマウスに移植されたMiaPAca2細胞を用いたヒト膵臓がん異種移植モデルにおける、ABTL0812単独またはフォルフィリノックス(5-FU、ロイコボリン、イリノテカン、およびオキサリプラチン)との組み合わせの抗がん活性
試験システム:Nu/nu雌マウス。
【0346】
目的:ABTL0812単独、および膵臓がんを治療するための標準的な治療法であるフォルフィリノックスとの組み合わせの抗腫瘍活性を調査する。
【0347】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの片横腹に5x10MiaPaca2細胞を注射した。腫瘍の体積が約100mmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を120mg/kg/日で経口経路によって投与した。フォルフィリノックス化学療法の組み合わせを、週1回、合計4回の投与で腹腔内投与した。30mg/kgの5-FU、50mg/kgのロイコボリン、50mg/kgのイリノテカン、および2.5mg/kgのオキサリプラチンを異なる2日間で腹腔内投与した。5-FUおよびロイコボリンを火曜日に投与し、イリノテカンおよびオキサリプラチンを木曜日に投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。
【0348】
結果:ABTL0812およびフォルフィリノックスの併用は、化学療法の治療可能性を劇的に増加させ、フォルフィリノックス、ABTL0812、およびビヒクル群と比較して最も高い腫瘍体積低減を示した。統計分析は、併用療法が、進行膵臓がんを治療するための標準的な治療であるフォルフィリノックス単独と比較して、腫瘍増殖の低減を有意に改善することを示した(t検定によって、p<0.001)。さらに、ABTL0812がフォルフィリノックスとともに投与される場合を含め、治療群のうちのいずれでも体重または血液学的計数の減少は観察されず(図示せず)、この組み合わせに毒性作用がなかったことを示唆した。本明細書の図6を参照されたい。
【0349】
結論:ABTL0812は、ヌードマウスに移植されたMiaPaca2細胞を用いたヒト膵臓がん異種移植モデルにおいて、毒性を増加させることなく、フォルフィリノックス抗がん効果を有意に増強する。フォルフィリノックスは、進行膵臓がん患者を治療するための標準的な治療であるため、これらの結果は、ABTL0812+フォルフィリノックスの併用療法が、膵臓がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0350】
3.2:ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がん異種移植モデルにおける、ABTL0812単独またはドキソルビシンとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独、および子宮内膜がんの治療のための参照第二選択治療薬物であるドキソルビシンとの組み合わせの抗腫瘍活性を調査する。
【0351】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの片横腹に4×10Ishikawa細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を120mg/kg/日で経口経路によって投与した。ドキソルビシン5mg/kgを週1回腹腔内投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。
【0352】
結果:ABTL0812およびドキソルビシンは、対照動物と比較して腫瘍体積を有意に低減した(ANOVAとそれに続くt検定)。ABTL0812の有効性は、ドキソルビシン治療で観察された有効性と実際に同様であった。興味深いことに、ABTL0812は、ドセタキセルの抗腫瘍効果を増強した。統計分析は、この併用療法が、ドキソルビシン単独と比較して腫瘍増殖の低減を有意に改善することを示した(t検定によって、*p<0.05)。さらに、ABTL0812がドキソルビシンとともに投与される場合を含め、治療群のうちのいずれでも体重または血液学的計数の減少は観察されず(図示せず)、この組み合わせに毒性作用がなかったことを示唆した。本明細書の図7を参照されたい。
【0353】
結論:ABTL0812は、Ishikawa細胞に由来する子宮内膜がんの異種移植モデルにおける腫瘍増殖を低減する。このモデルでは、ABTL0812は、SOCドキソルビシンと同様の有効性を有する。ABTL0812は、毒性効果なしにドキソルビシンの抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+ドキソルビシンの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0354】
3.3:ヌードマウスの脳に移植されたU87MG細胞を用いたヒト膠芽腫同所性異種移植モデルにおける、ABTL0812単独またはテモゾロミドとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独、および膠芽腫の治療のための参照薬物であるテモゾロミドとの組み合わせの抗腫瘍活性を調査することである。
【0355】
方法:マウスに、ルシフェラーゼをトランスフェクトしたU87MG細胞を脳内注射した。細胞接種および治療開始の5日後に動物を無作為化した。ABTL0812を、240mg/kgで、5日/週で経口投与し、最初の5日間は32mg/Kgでテモゾロミドを経口投与した。腫瘍を、目的の領域の生物発光強度(BLI)の定量化によって測定した。
【0356】
結果:単剤としてのABTL0812およびテモゾロミドは、脳に膠芽腫腫瘍を有する動物の無病生存期間を有意に増加させた。興味深いことに、ABTL0812とテモゾロミドとの併用は、単一治療よりも有意により有効であった。本明細書の図8を参照されたい。
【0357】
結論:単剤としてのABTL0812は、腫瘍を有するマウスの無病生存期間を増加させ、テモゾロミドの抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+テモゾロミドの併用療法が、膠芽腫の治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0358】
実施例4:放射線療法と組み合わせたABTL0812:インビボアッセイ
4.1:ヌードマウスの脳に移植されたU87MG細胞を用いたヒト膠芽腫皮下異種移植モデルにおける、ABTL0812単独または放射線療法との組み合わせの抗がん活性
目的:膠芽腫の主な治療戦略である、ABTL0812単独および放射線療法との組み合わせの抗腫瘍活性を調査すること。
【0359】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの各脇腹に1x10U87MGまたはT98G細胞を皮下注射した。腫瘍の体積が0.8~1.3cmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を、240mg/kgで、5日/週で経口投与し、放射線療法は3日目に4Gyの単回用量として投与した。
【0360】
結果:単剤としてのABTL0812は、膠芽腫皮下腫瘍の増殖を有意に減少させた。さらに、ABTL0812と放射線療法の併用は、単一治療としてのABTL0812または放射線療法よりも有意により有効であった。本明細書の図9を参照されたい。
【0361】
結論:単剤としてのABTL0812は、膠芽腫腫瘍の増殖を減少させ、放射線療法の抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+放射線療法の併用療法が、膠芽腫の治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0362】
4.2:ヌードマウスの脳に移植されたU87MG細胞を用いたヒト膠芽腫同所性異種移植モデルにおける、ABTL0812単独または放射線療法との組み合わせの抗がん活性
目的:膠芽腫の主な治療戦略である、ABTL0812単独および放射線療法との組み合わせの抗腫瘍活性を調査すること。
【0363】
方法:マウスに、ルシフェラーゼをトランスフェクトしたU87MG細胞を脳内注射した。細胞接種および治療開始の5日後に動物を無作為化した。ABTL0812を、240mg/kgで、5日/週で経口投与し、放射線療法は10日目に4Gyの単回用量として投与した。腫瘍を、目的の領域の生物発光強度(BLI)の定量化によって測定した。
【0364】
結果:単剤としてのABTL0812および放射線療法は、脳に膠芽腫腫瘍を有する動物の無病生存期間を有意に増加させた。興味深いことに、ABTL0812と放射線療法との併用は、単一治療よりも有意により有効であった。本明細書の図10を参照されたい。
【0365】
結論:単剤としてのABTL0812は、腫瘍を有するマウスの無病生存期間を増加させ、放射線療法の抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+放射線療法の併用療法が、膠芽腫の治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0366】
実施例5:標的療法と組み合わせたABTL0812:インビボアッセイ
5.1:ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がんモデルにおける、ABTL0812単独またはオラパリブとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独、および子宮内膜がんの治療のための参照薬物であるオラパリブとの組み合わせの抗腫瘍活性を調査する。
【0367】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの片横腹に4×10Ishikawa細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を120mg/kg/日で経口経路によって投与した。オラパリブを50mg/kg/日で経口経路によってした。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。
【0368】
結果:ABTL0812およびオラパリブは、対照動物と比較して腫瘍体積を有意に低減した(ANOVAとそれに続くt検定)。ABTL0812の有効性は、オラパリブ治療で観察された有効性と実際に同様であった。興味深いことに、ABTL0812は、ドセタキセルの抗腫瘍効果を増強した。統計分析は、この併用療法が、オラパリブ単独と比較して腫瘍増殖の低減を有意に改善することを示した(t検定によって、**p<0.01)。さらに、ABTL0812がオラパリブとともに投与される場合を含め、治療群のうちのいずれでも体重または血液学的計数の減少は観察されず(図示せず)、この組み合わせに毒性作用がなかったことを示唆した。本明細書の図11を参照されたい。
【0369】
結論:ABTL0812は、Ishikawa細胞に由来する子宮内膜がんの異種移植モデルにおける腫瘍増殖を低減する。このモデルでは、ABTL0812は、オラパリブ治療と同様の有効性を有する。ABTL0812は、毒性効果なしにオラパリブの抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+オラパリブの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0370】
5.2:ヌードマウスに移植されたIshikawa細胞を用いたヒト子宮内膜がんモデルにおける、ABTL0812単独またはベバシズマブとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独、および子宮内膜がんにおいて潜在的な有効性を示しているベバシズマブとの組み合わせの抗腫瘍活性を調査する。
【0371】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの片横腹に4×10Ishikawa細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を120mg/kg/日で経口経路によって投与した。ベバシズマブを、100μg/用量で4日毎に4回投与まで腹腔内投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。
【0372】
結果:ABTL0812およびベバシズマブは、対照動物と比較して腫瘍体積を有意に低減した(ANOVAとそれに続くt検定)。ABTL0812の有効性は、ベバシズマブ治療で観察された有効性と実際に同様であった。興味深いことに、ABTL0812は、ドセタキセルの抗腫瘍効果を増強した。統計分析は、この併用療法が、ベバシズマブ単独と比較して腫瘍増殖の低減を有意に改善することを示した(t検定によって、*p<0.05)。さらに、ABTL0812がベバシズマブとともに投与される場合を含め、治療群のうちのいずれでも体重または血液学的計数の減少は観察されず(図示せず)、この組み合わせに毒性作用がなかったことを示唆した。本明細書の図12を参照されたい。
【0373】
結論:ABTL0812は、Ishikawa細胞に由来する子宮内膜がんの異種移植モデルにおける腫瘍増殖を低減する。このモデルでは、ABTL0812は、ベバシズマブ治療と同様の有効性を有する。ABTL0812は、毒性効果なしにベバシズマブの抗腫瘍活性を増強する。これらの結果は、ABTL0812+ベバシズマブの併用療法が、子宮内膜がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0374】
実施例6:ABTL0812の免疫調節効果:インビトロアッセイ
6.1:M1炎症誘発性の増強およびM2抗炎症性表現型の抑制によるヒトTHP-1ヒトマクロファージ細胞に対するABTL0812の免疫調節効果
目的:ABTL0812治療時に腫瘍微小環境に影響を及ぼす、M1表現型(炎症誘発性および抗腫瘍性)およびM2表現型(抗炎症性腫瘍促進性)へのマクロファージの分極化に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0375】
方法:懸濁液中で増殖するTHP-1単球を、PMAとともに24時間インキュベートすることによりマクロファージに分化し、プレートへのそれらの付着を誘導する。THP-1がマクロファージに分化すると、ABTL0812(50または100μM)の存在下でLPSとともに6時間または24時間インキュベートすることにより、これらはM1に極性化される。並行して、分化したマクロファージは、ABTL0812(50μM)の存在下でIL-4およびIL-13とともに24時間インキュベートすることにより、M2に極性化される。次いで、極性化マクロファージを溶解し、全RNAを抽出し、cDNAに逆転写し、IL1β、TNFα(M1マーカー)、およびIL-10(M2マーカー)のmRNAレベルを特定のプローブを使用するRT-qPCRによって評価した。
【0376】
結果:ABTL0812免疫調節効果は、マクロファージがM1に極性化されている場合、IL-1βおよびTNFαのmRNAレベルを有意に増強し、マクロファージがM2に極性化されている場合、IL-10のmRNAレベルを有意に抑制する。(t検定**p<0.01および***p<0.001)。分化したマクロファージを分極化せずにABTL0812のみとともにインキュベートすると、ABTL0812は、IL-1βの発現を有意に誘導することができ、ヒトTHP-1細胞に対するその免疫調節効果を強調する。本明細書の図13を参照されたい。
【0377】
結論:ABTL0812は、ヒトTHP-1単球のM1への極性化を増強し、IL-1βおよびTNFαの遺伝子発現を有意に増加させ、これは、抗腫瘍効果を発揮する炎症誘発性環境を促進する。さらに、ABTL0812は、ヒトTHP-1単球のM2への極性化を抑制し、IL-10の遺伝子発現を有意に減少させ、腫瘍細胞が免疫系を回避するために使用する一般的なメカニズムであるM2マクロファージによって媒介される免疫抑制を回避する。「これらの結果は、ABTL0812は、腫瘍細胞に対するその抗がん効果とは別に、免疫系を炎症誘発性表現型に刺激し、細胞毒性Tリンパ球として他の免疫細胞の動員し、したがって、免疫系抑制を誘導する「冷たい」腫瘍を「熱い」免疫原性腫瘍にすることを示唆しており、炎症誘発性および抗腫瘍微小環境を促進することにより抗がん有効性を増強する、ABTL0812と特定の免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調している。
【0378】
6.2:ABTL0812で処理されたがん細胞におけるPDL1発現の誘導
目的:単独で、またはPDL1発現の十分に説明されているマスター調節因子であるIFNγと組み合わせた、がん細胞におけるPDL1の発現に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0379】
方法:ヒトがん細胞株を、100μMのABTL0812とともに48時間インキュベートし、フルオロフォアで標識した抗PDL1抗体で染色するために収集した。細胞を抗PDL1抗体で染色した後、細胞をフローサイトメトリー(Facs Canto)で解析し、がん細胞のPDL1レベルを分析した。さらに、Panc-1細胞を、ABTL0812(50μM)、IFNγ(2.5ng/ml)、PDL1発現のマスター調節因子、または両方の組み合わせとともにインキュベートした。次いで、細胞を収集し、抗PDL1抗体で染色し、フローサイトメトリーによってPDL1の発現を分析した。
【0380】
結果:ABTL0812は、基礎レベルから34%(MiaPaca2細胞)~86%増加(Capan-2細胞)の範囲で、その中でも同様の効力で試験されたすべてのがん細胞株におけるPDL1の発現を誘導する(T検定*p<0.05、**p<0.01)。ABTL0812ありまたはなしでIFNγとともにインキュベートしたPanc-1細胞でPDL1レベルを分析した場合、IFNγは、ABTL0812と比較して有意により高いレベルのPDL1を誘導する(T検定**p<0.01)。興味深いことに、ABTL0812およびIFNγとともにインキュベートした細胞は、ABTL0812媒介効果およびIFNγ媒介効果の合計と同様のPDL1レベルを誘導した。IFNγと組み合わせたABTL0812は、ABTL0812治療と比較して有意により高いPDL1レベルを誘導するが(T検定***p<0.001)、この増加は、IFNγ治療と比較して有意ではなく、両方の薬物を一緒に投与した場合のPDL1発現に対する相加効果を示唆している。本明細書の図14を参照されたい。
【0381】
結論:ABTL0812は、ヒト膵臓がんおよび子宮内膜がん細胞でPDL1発現を誘導する。PDL1発現のマスター調節因子であるIFNγは、ABTL0812と比較してより高いPDL1レベルを誘導するが、両方の薬物を一緒に投与した場合、PDL1発現レベルに相加効果があり、より高いレベルを誘導する。ABTL0812は、がん細胞に対して細胞毒性があり、炎症誘発性表現型に対してマクロファージを刺激し、これは、とりわけ、高レベルのIFNγを産生する。これらの結果は、媒介されるPDL1レベルの誘導により、がん細胞が免疫チェックポイント阻害剤に対して標的化可能となるため、ABTL0812と免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調する。
【0382】
6.3:マクロファージにおける炎症誘発性環境の誘導
目的:ヒトマクロファージに対するABTL0812の免疫調節効果を評価した後、がん細胞に対するABTL0812の効果と、このABTL0812で処理したがん細胞の馴化培地がヒトマクロファージの生存率および極性化にどのように影響するかとを調査した。
【0383】
方法:MiaPaca2細胞を、40μMのABTL0812とともに72時間インキュベートし、これらのABTL0812で処理した細胞の馴化培地(RPMI)を収集した。並行して、PMA(ホルボールミリステートアセテート)とともに24時間インキュベートすることにより、ヒトTHP-1細胞をマクロファージに分化し、プレートへのそれらの付着を誘導した。次に、ABTL0812で処理したMiaPaca2細胞の馴化培地を、PMA活性化THP-1マクロファージに移し、M1表現型マーカーIL-1βおよびTNF-αのRT-qPCR分析では24時間、またはMTTアッセイを使用する細胞生存率研究では48時間インキュベートした。M1マーカー分析では、細胞を収集し、RNAを抽出し、逆転写してIL-1βおよびTNF-αのcDNAおよびmRNAレベルをRT-qPCRによって評価した。
【0384】
結果:以前の結果は、ABTL0812が、MiaPaca2細胞に対して細胞毒性を示し、IC50が50μMであり、これも培養培地への異なる因子の放出を誘導することを示している。ABTL0812で処理したMiaPaca2細胞のこの培地が活性化THP-1マクロファージに移されると、これはそれらの代謝活性化を誘導し、THP-1細胞の生存率を有意に増加させる。さらに、ABTL0812馴化培地は、炎症誘発性抗腫瘍表現型に対するTHP-1マクロファージの極性化を誘導し、IL-1βおよびTNF-αの遺伝子発現を有意に増加させ、したがって、がん細胞に対するその効果により媒介されるABTL0812の免疫調節効果を確認する。本明細書の図15を参照されたい。
【0385】
結論:ABTL0812は、マクロファージ極性化への直接効果だけでなく、がん細胞へのその効果による免疫調節効果を示し、これは、MiaPaca2細胞からのABTL0812馴化培地が、ヒトTHP-1マクロファージの生存率および代謝活性を増加させるだけでなく、また、これらのマクロファージにおけるIL-1βおよびTNF-αの発現を増加させることにより、M1への極性化を誘導することができるためである。これらのデータは、ICDの誘導(実施例6.7)および免疫抑制因子の分泌の阻害(実施例6.6)と組み合わせて、ABTL0812がヒトマクロファージへのその直接効果に加えて、順に「冷たい」腫瘍を「熱い」腫瘍に変換し、免疫系に対して標的化可能にする、がん細胞へのその抗がん効果によって腫瘍微小環境を免疫調節することができることを強く示唆しており、したがって、免疫チェックポイント阻害剤とのその潜在的な組み合わせが抗がん有効性を増強することを強調する。
【0386】
6.4:ABTL0812で処理されたがん細胞におけるPDL1発現の誘導
目的:がん細胞を免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法に潜在的に曝露する、がん細胞におけるPDL1の発現に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0387】
方法:ヒト膵臓がん細胞株(MiaPaca2、Panc-1、Capan-2、およびSU.86.86)およびヒト子宮内膜がん細胞株(Ishikawa、ANC3、Hec-1A、Ark1、およびArk2)を、ABTL0812とともに0~80μMの範囲の用量で24時間インキュベートした。その後、PDL1陽性細胞の割合をフローサイトメトリーで分析するために、細胞を収集し、抗PDL1抗体で染色した。
【0388】
結果:ABTL0812は、膵臓がん細胞で34%~86%増加の範囲、および子宮内膜がん細胞で10~35%の範囲で試験されたすべてのがん細胞株でPDL1の発現を誘導する(T検定*p<0.05、**p<0.01)。本明細書の図19を参照されたい。
【0389】
結論:ABTL0812は、ヒト膵臓がんおよび子宮内膜がん細胞でPDL1発現を誘導し、免疫チェックポイント阻害剤によって標的化可能ながん細胞を潜在的に作る。これらの結果は、がんを治療するためのABTL0812および免疫療法の潜在的な相乗効果を支持する。
【0390】
6.5:エクスビボでABTL0812により治療された健康なドナーの末梢血からの初代ヒトCD4およびCD8T細胞におけるPD1発現の阻害
目的:CD3およびCD28で活性化されたまたはされていない初代ヒトT細胞におけるPD1の発現に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0391】
方法:ヒトPBMCは、Ficollを使用して健康なドナーの末梢血から精製され、インビトロで培養した。ヒトT細胞は、IL-2ならびにCD3およびCD28抗体との10日間のインキュベーションによって活性化され、次いで、ABTL0812で6時間処理した。最後に、T細胞の膜で発現されるPD1のレベルを、特定の抗体を使用するフローサイトメトリーによって分析した。結果は、陽性細胞の%として示され、3回の独立した実験の平均を示す(t検定**p<0.01および***p<0.001)。
【0392】
結果:ABTL0812は、非活性化および活性化ヒト初代CD4およびCD8Tリンパ球でPD1発現の阻害を誘導する。本明細書の図20を参照されたい。
【0393】
結論:ABTL0812は、健康なドナーの血液から精製された、活性化および非活性化初代ヒトCD4およびCD8T細胞の両方でPD1発現の阻害を誘導する。これは、PD1によって媒介される免疫抑制およびT細胞不活性化を遮断することにより、がん細胞に対する免疫系を強化するのに潜在的に役立つ。
【0394】
6.6:ヒト膵臓がん細胞のセクレトームに対するABTL0812の免疫調節効果
目的:最大38の異なるケモカインを検出するタンパク質マイクロアレイを使用して培地中の分泌された因子を分析することにより、がん細胞のセクレトームに対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0395】
方法:ヒト膵臓がん細胞を、100uMのABTL0812で24時間処理し、RayBio C-シリーズヒトケモカイン抗体アレイC1(RayBiotec)を使用して、そのインキュベーションのために培養培地を収集した。培養培地を、38の異なるケモカインに対する抗体を含む膜とともにインキュベートした。その後、膜を二次抗体とともにインキュベートし、HRP基質を使用してさらに現像した。シグナルの強度を、デンシトメトリーを使用して評価し、画像は3つの異なる生物学的複製の結果を示す。
【0396】
結果:ABTL0812免疫調節効果は、免疫抑制ケモカインCXCL6(免疫抑制、浸潤、および予後不良に関連する)、CXCL16(腫瘍の浸潤を促進し、それは膵臓がんにおいて上方制御される)、アンギオゲニン(免疫抑制および血管新生を促進する)、およびCCL5(Treg腫瘍浸潤および免疫抑制を促進する)の減少を誘導する。本明細書の図21を参照されたい。
【0397】
結論:ABTL0812は、ヒト膵臓がん細胞における免疫抑制因子の放出の阻害を促進する。これらのデータは、がん細胞のセクレトームに対するABTL0812の効果が、腫瘍の微小環境をより炎症誘発性および抗腫瘍性の表現型に調節し、免疫抑制因子の分泌を阻害することを示唆している。
【0398】
6.7:免疫原性細胞死の誘導によるヒト膵臓がん細胞に対するABTL0812の免疫調節効果
目的:免疫原性細胞死(ICD)誘導の評価により、がん細胞に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0399】
方法:ヒト膵臓がん細胞を、増加する濃度のABTL0812(0~150μMの範囲)で24時間処理し、ICDの特徴である細胞外Hmgb1およびATP、表面カルレティキュリン、ならびにカスパーゼ3および8の活性化を、ELISA(Hmgb1およびATP)、フローサイトメトリー(カルレティキュリン)、およびイムノブロッティング(カスパーゼ3および8)によって評価した。細胞外Hmgb1およびATPの場合、ABTL0812で処理した細胞からの培養培地を収集し、比色アッセイを使用してさらに検出するために特定の抗体とともにインキュベートした。表面カルレティキュリンの場合、がん細胞を収集し、フローサイトメトリーを使用してさらに検出するために特定の抗体とともにインキュベートした。カスパーゼ3および8の活性化の場合、がん細胞を収集し、タンパク質溶解物を得て、イムノブロッティングを使用してさらに検出するために特定の抗体とともにインキュベートし、最後にデンシトメトリーを使用して定量化した。
【0400】
結果:ABTL0812免疫調節効果は、ELISA、ルシフェラーゼアッセイ、フローサイトメトリー、および蛍光ベースの基質アッセイによってそれぞれ検出された場合、すべてのICDの特徴:細胞外Hmgb1およびATP、表面カルレティキュリン、ならびにカスパーゼ3および8の活性化の用量依存的増加を誘導する(t検定**p<0.01および***p<0.001)。本明細書の図22を参照されたい。異なるヒト膵臓がん細胞株で同様の結果が得られ、図23に、MiaPaca2細胞での結果を代表的な実験として示す。
【0401】
結論:ABTL0812は、ICDマーカー:細胞外Hmgb1およびATP、表面カルレティキュリン、ならびにカスパーゼ3および8の活性化の用量依存的増加によって示されるように、ヒト膵臓がん細胞でICDを誘導する。これらの結果は、ABTL0812が、腫瘍においてICDを誘導し、免疫系に対してそれらをより免疫原性および標的化可能にし、免疫系の抑制を誘導する「冷たい」腫瘍を「熱い」免疫原性腫瘍にするのに役立つことを示唆している。これらのデータは、抗がん効果を増強するための免疫療法とABTL0812の潜在的な組み合わせを支持する。
【0402】
6.8:M1炎症誘発性の増強およびM2抗炎症性表現型の抑制によるヒト不死化THP-1およびヒト初代マクロファージ細胞に対するABTL0812の免疫調節効果
目的:ABTL0812治療時に腫瘍微小環境に影響を及ぼす、M1表現型(炎症誘発性および抗腫瘍性)およびM2表現型(抗炎症性腫瘍促進性)への不死化および初代マクロファージの分極化に対するABTL0812の免疫調節効果を調査すること。
【0403】
方法:懸濁液中で増殖するTHP-1単球を、PMAとともに24時間インキュベートすることによりマクロファージに分化し、プレートへのそれらの付着を誘導した。単球は、20ng/mLのM-CSF1とともに7日間インキュベートしてマクロファージに分化した。並行して、健康なドナーから全血を採取し、免疫磁気分離を使用して循環単球を精製した。単球を、磁気ビーズに結合した抗CD14抗体を使用して選択し、それを磁気カラムに保持し、インビトロでの培養のためにさらに溶出した。活性化マクロファージ(不死化および初代)を得た後、100μMのABTL0812の存在下でLPS+IFNγとともに6時間インキュベートすることにより、これらをM1に極性化した。並行して、分化したマクロファージは、ABTL0812(100μM)の存在下でIL-4およびIL-13とともに24時間インキュベートすることにより、M2に極性化した。その後、極性化マクロファージを溶解し、全RNAを抽出し、cDNAに逆転写し、IL1β、TNFα(M1マーカー)、およびIL-10(M2マーカー)のmRNAレベルを特定のプローブを使用するRT-qPCRによって評価した。
【0404】
結果:ABTL0812免疫調節効果は、マクロファージがM1に極性化されている場合、IL-1βおよびTNFαのmRNAレベルを有意に増強し、マクロファージがM2に極性化されている場合、IL-10のmRNAレベルを有意に抑制する(t検定**p<0.01および***p<0.001)。分化したマクロファージを分極化せずにABTL0812のみとともにインキュベートすると、ABTL0812は、IL-1βの発現を有意に誘導し、ヒトTHP-1細胞に対するその免疫調節効果を強調する。本明細書の図24を参照されたい。
【0405】
結論:ABTL0812は、ヒトTHP-1およびヒト初代マクロファージの両方のM1への極性化を増強し、IL-1βおよびTNFαの遺伝子発現を有意に増加させ、これは、抗腫瘍効果を発揮する炎症誘発性環境を促進する。さらに、ABTL0812は、ヒトTHP-1単球のM2への極性化を抑制し、IL-10の遺伝子発現を有意に減少させ、腫瘍細胞が免疫系を回避するために使用する一般的なメカニズムであるM2マクロファージによって媒介される免疫抑制を回避する。「これらの結果は、ABTL0812は、腫瘍細胞に対するその抗がん効果とは別に、免疫系を炎症誘発性表現型に刺激し、細胞毒性Tリンパ球として他の免疫細胞の動員し、したがって、免疫系抑制を誘導する「冷たい」腫瘍を「熱い」免疫原性腫瘍にすることを示唆している。これらの結果は、炎症誘発性および抗腫瘍性微小環境を促進することにより、抗がん効果を増強するための免疫療法とABTL0812の潜在的な組み合わせを支持する。
【0406】
6.9:タンパク質マイクロアレイによるヒト不死化THP1マクロファージおよびヒト初代マクロファージのセクレトームに対するABTL0812の免疫調節効果
目的:ABTL0812による処理後、最大42の異なるサイトカインを検出するタンパク質マイクロアレイを使用して培地中の分泌された因子を分析することにより、不死化および初代マクロファージのセクレトームに対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0407】
方法:健康なドナーから全血を採取し、免疫磁気分離を使用して循環単球を精製した。単球を、磁気ビーズに結合した抗CD14抗体を使用して選択し、それを磁気カラムに保持し、インビトロでの培養のためにさらに溶出した。単球は、20ng/mLのM-CSF1とともに7日間インキュベートしてマクロファージに分化した。初代単球がマクロファージに分化すると、ABTL0812(50または100μM)の存在下でLPSとともに6時間または24時間インキュベートすることにより、これらはM1に極性化された。並行して、分化したマクロファージは、ABTL0812(50μM)の存在下でIL-4およびIL-13とともに24時間インキュベートすることにより、M2に極性化した。懸濁液中で増殖するTHP-1単球を、PMAとともに24時間インキュベートすることによりマクロファージに分化し、プレートへのそれらの付着を誘導した。THP-1がマクロファージに分化すると、ABTL0812(50μM)の存在下でLPSとともに6時間または24時間インキュベートすることにより、これらはM1に極性化された。並行して、分化したマクロファージは、ABTL0812(50μM)の存在下でIL-4およびIL-13とともに24時間インキュベートすることにより、M2に極性化した。ABTL0812で処理したM1、M2、および分化したマクロファージ(M0)の培養培地を、RayBio C-シリーズヒトサイトカイン抗体アレイC3(RayBiotec)を使用してインキュベートした。培養培地を、42の異なるサイトカインに対する抗体を含むPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜とともにインキュベートした。培地のインキュベーション後、膜を二次抗体とともにインキュベートし、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)基質を使用してさらに現像した。シグナルの強度を、デンシトメトリーを使用して評価し、画像は3つの異なる生物学的複製の結果を示す。
【0408】
結果:ABTL0812免疫調節効果は、免疫抑制ケモカインの減少、ならびにIL-1βおよびTNF-αなどの異なる炎症誘発性因子の上方制御を誘導する。ABTL0812治療で阻害されるすべての免疫抑制性サイトカインの中でも、そのうちの5つは、不死化THP1細胞ならびに初代マクロファージ:IL-10(異なるがんにおける免疫抑制、浸潤、おおよび予後不良に関連する)、CCL22(異なるがんにおける免疫抑制、浸潤、および予後不良に関連する)、CCL17(異なるがんにおける免疫抑制、浸潤、および予後不良に関連する)、CCL8(免疫抑制、増殖、および浸潤に関連する)、およびCCL7(免疫抑制および浸潤に関連する)で多くみられた。本明細書の図25を参照されたい。
【0409】
結論:ABTL0812は、がん細胞において、炎症誘発性因子の分泌を促進し、免疫抑制因子の放出を抑制する。これらのデータは、M1マクロファージ表現型の増強およびM2表現型の抑制と組み合わせて(実施例6.8)、ABTL0812が免疫細胞に対するその作用に対して炎症誘発性抗腫瘍環境を促進することができる。これらの結果は、腫瘍、特に膵臓がんなどの免疫抑制性の高い腫瘍に対する治療効果を増加させるための、免疫療法とABTL0812の潜在的な組み合わせを支持する。
【0410】
6.10:ABTL0812免疫調節効果は、がん細胞におけるT細胞の細胞毒性を増加させる
目的:活性化T細胞とのがん細胞の共培養物に対するABTL0812の免疫調節効果を調査する。
【0411】
方法:ヒトPBMCは、Ficollを使用して健康なドナーの末梢血から精製され、インビトロで培養した。ヒトT細胞は、IL-2ならびにCD3およびCD28抗体との10日間のインキュベーションによって活性化された。並行して、Ishikawa子宮内膜がん細胞を、50μMのABTL0812で6時間処理し、次いで、活性化Tリンパ球で24時間共培養した。次いで、細胞生存率をMTTアッセイによって評価した。未処理のIshikawa細胞を対照として使用した。結果は、3つの異なる実験の平均を示す(t検定*p<0.05)。
【0412】
結果:がん細胞に対するABTL0812の効果は、ABTL0812で処理されていないがん細胞と比較して、活性化T細胞の細胞毒性効果を増強し、これはがん細胞に対するABTL0812によって媒介される炎症誘発性環境の促進と相関する。本明細書の図26を参照されたい。
【0413】
結論:がん細胞に対するABTL0812の効果は、免疫系の活性化を促進し、がん細胞に対する活性化初代細胞の細胞毒性効果を増強する。
【0414】
実施例7:ABTL0812の免疫調節効果:インビボアッセイ
7.1:H157細胞を移植したヒト肺がん異種移植モデルおよびMiaPaca2細胞を移植したヒト膵臓がんモデルにおける、ABTL0812で処理したがん細胞におけるPDL1発現の誘導
目的:ヌードマウスに移植されたヒト扁平上皮NSLC細胞株H157およびヒト膵臓がん細胞株MiaPAca2を使用した2つのインビボモデルで、インビトロで観察されたABTL0812によるPDL1発現の誘導を検証する。
【0415】
方法:腫瘍形成を誘導するために、マウスの片横腹に4x10H157細胞または5x10MiaPAca2細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を、3週間、120mg/kg/日で経口経路によって投与した。治療後、動物を屠殺し、腫瘍を抽出し、がん細胞のPDL1のタンパク質レベルをウエスタンブロットによって分析した。
【0416】
結果:ABTL0812は、インビボで腫瘍のPDL1のタンパク質レベルを増加させ、以前のインビトロでの結果をさらに検証する(図14)。これらの結果は、媒介されるPDL1レベルの誘導により、がん細胞が免疫チェックポイント阻害剤に対して標的化可能となるため、ABTL0812と免疫チェックポイント阻害剤との潜在的な組み合わせを強調する。
【0417】
7.2:ABTL0812で治療された子宮内膜がんを有する雌マウスからの子宮の腫瘍病変内でのT細胞浸潤の誘導
目的:最終的に類内膜上皮内腫瘍につながる過形成の発生をもたらす、上皮細胞におけるPTENの欠失によって誘導される子宮内膜発がんの同系モデルにおいて、ABTL0812の抗がん効果および免疫調節効果を検証する。
【0418】
方法:PTENの欠失を誘導するために、マウスにタモキシフェンを注射した。タモキシフェン投与の3週間後、動物に過形成が発生した場合、動物にABTL0812を毎日120mg/kgで、またはビヒクルを3週間投与した。その時点で、ビヒクルで治療された動物(タモキシフェン注射の6週間後)は新生物を発症し、これは抽出された子宮の免疫組織化学によって定量化される。ABTL0812治療の後、動物を屠殺し、発がん評価のためのヘマトキシリン-エオジン染色または腫瘍病変内のTリンパ球浸潤を評価するための抗CD3によるさらなる免疫組織化学的分析のためにパラフィン包埋で子宮を抽出し、腫瘍微小環境免疫調節を示した。
【0419】
結果:ABTL0812で治療された子宮内膜発がんのあったマウスは、類内膜上皮内腫瘍(EIN)の発症の有意な低減を示し、過形成における発がんの進行を停止する(ビヒクルで治療されたマウスが、ヘマトキシリン-エオシン染色によって分析された、過形成を伴うABTL0812で治療された動物の80%と比較して、EINを有する動物の80%を示した場合)。治療された子宮がCD3Tリンパ球の発現について分析された場合、ABTL0812は、腫瘍病変内にCD3 Tリンパ球の浸潤を誘導するが、一方で、ビヒクルで治療された動物は、腫瘍内に浸潤することなく、腫瘍病変内周囲のストロマにCD3 Tリンパ球を示した。本明細書の図23を参照されたい。
【0420】
結論:インビボでのABTL0812の免疫調節効果は、腫瘍病変内のTリンパ球の浸潤をどのように誘導するかを示し、がん細胞を殺すために免疫細胞の浸潤を促進する炎症誘発性抗腫瘍微小環境の存在を示す。これらのデータは、ABTL0812が過形成における子宮内膜発がんの進行を止めることができるが、ビヒクルで治療された動物は上皮内腫瘍を示す場合、優れた有効性の結果と相関し、抗がん有効性を増強する免疫チェックポイント阻害剤とのその潜在的な組み合わせを強調している。
【0421】
実施例8:免疫療法剤と組み合わせたABTL0812:インビボアッセイ
8.1:C57BL6マウスに移植されたLLC1細胞を使用した肺がんのマウスモデルにおけるABTL0812単独または抗PD1との組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独、および肺がん治療のための参照薬物である抗PD1抗体との組み合わせの抗腫瘍活性を、生存率の観点から、800mmを超える腫瘍および毒性もしくは苦痛の臨床的兆候の特定に焦点を当てたエンドポイント基準に基づいて調査する。ペムブロリズマブは、ヒトに使用するための抗PD1チェックポイント阻害剤であり、この実施例では、この実施例で使用されたマウスモデルでの使用に最適化された対応する修正版を使用した。
【0422】
方法:ルイス肺がん細胞(LLC1)は、原発性ルイス肺がんを移植したC57BLマウスの肺に最初に由来する造腫瘍性の高いマウス細胞株である。これらの細胞は、同系C57BL6マウスで皮下増殖させることができ、非常に攻撃的な腫瘍を発症し、免疫療法治療の評価に使用することができる。腫瘍形成を誘導するために、C57BL6マウスの片脇腹に0.25x10LLC1細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を治療群(n=7)に均一に無作為化し、異なる治療を開始した。ABTL0812を120mg/kg/日で経口経路によって投与した。抗PD1抗体を、合計4回投与で、3日毎に100ug/用量で腹腔内投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。エンドポイント基準は、800mmを超える腫瘍、または動物の安楽死を示唆する毒性、苦悩、または苦痛の臨床的兆候に基づいていた。
【0423】
結果:ABTL0812を単独で投与すると、ビヒクルおよび抗PD1治療群と比較してマウスの生存率をわずかに増加させることができ、ビヒクルおよび抗PD1群の0%の生存率と比較して、14日間の治療後の15%の生存率を示す。興味深いことに、ABTL0812+抗PD1抗体の2つの組み合わせは、14日間の治療後に38%の生存率で、最高の生存率を示す。治療の9日後、ビヒクル群は生存率の29%の生存率、抗PD1群は15%の生存率、ABTL0812群は43%の生存率、およびABTL0812+抗PD1治療は62%の生存率を示す。本明細書の図16を参照されたい。
【0424】
結論:抗PD1治療(免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせたABTL0812は、ビヒクル、抗PD1、およびABTL0812治療と比較して、マウスの生存率を有意に増加させる。ABTL0812を単独で投与すると、14日間の治療後のマウスの生存率がわずかに増加したが、単独で投与した場合のその効果はより短い時間でより高い。これらのデータは、ABTL0812と抗PD1治療との相乗効果を示唆しており、マウスの生存率を増加させ、ヒト患者にとってのその潜在的な組み合わせを強調している。
【0425】
8.2:C57BL6マウスに移植されたLLC1細胞を使用した肺がんのマウスモデルにおけるABTL0812単独または抗PD1/パクリタキセル/カルボプラチンとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独および抗PD1抗体およびカルボプラチン/パクリタキセルとの組み合わせでの抗腫瘍活性を調査し、皮下で増殖するLLC1異種移植片の腫瘍体積低減に関して、ABTL0812および抗PD1+カルボプラチン/パクリタキセル治療間の潜在的な相乗作用を評価する。
【0426】
方法:ルイス肺がん細胞(LLC1)は、原発性ルイス肺がんを移植したC57BLマウスの肺に最初に由来する造腫瘍性の高いマウス細胞株である。これらの細胞は、同系C57BL6マウスで皮下増殖させることができ、非常に攻撃的な腫瘍を発症し、免疫療法治療の評価に使用することができる。腫瘍形成を誘導するために、C57BL6マウスの片脇腹に0.25x10LLC1細胞を注射した。腫瘍移植の翌日、動物を治療群に分け、治療を開始した(n=5)。ABTL0812を、120mg/kg/日で経口経路により投与し、抗PD1抗体を、合計5回投与で、3日毎に100μg/用量で腹腔内(ip)投与し、カルボプラチンおよびパクリタキセルを、合計3、4回投与で、週1回、それぞれ15および5mg/kgで腹腔内投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。
【0427】
結果:ABTL0812および抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチン治療は、対照動物と比較して腫瘍体積を有意に低減した(ANOVAとそれに続くt検定*p<0.05)。ABTL0812の有効性は、ドセタキセル治療で観察された有効性と実際に同様であった。興味深いことに、ABTL0812は、ドセタキセルの抗腫瘍効果を増強した。統計分析は、この併用療法が、ドセタキセル単独と比較して腫瘍増殖の低減を有意に改善することを示した(t検定によって、p<0.001)。さらに、ABTL0812がドセタキセルとともに投与される場合を含め、治療群のうちのいずれでも体重または血液学的計数の減少は観察されず(図示せず)、この組み合わせに毒性作用がなかったことを示唆した。本明細書の図17を参照されたい。
【0428】
結論:LLC1異種移植片に関する文献は、これらの腫瘍では抗PD1治療は効果的ではないが、パクリタキセル/カルボプラチンとの組み合わせは、抗PD1抗体によって増強される、腫瘍細胞を免疫原性にし、免疫系により認識可能とする化学療法による治療により、ビヒクル対照群と比較して、有意な腫瘍体積低減を示すことが記載されている。単独で投与されたABTL0812は、抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンと同様の有効性を示すが、ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの3つの組み合わせを投与した場合、それは抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンと比較して有意な腫瘍体積低減を誘導し免疫チェックポイント阻害剤と相乗作用してより高い腫瘍体積低減を誘導する炎症誘発性抗腫瘍腫瘍微小環境を誘導する免疫調節因子としても作用する、ABTL0812間の潜在的な相乗作用をさらに示す。これらの結果は、肺がん患者のための標準治療である、ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの併用療法が、肺がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0429】
8.3:C57BL6マウスに腹腔内注射されたLLC1細胞を使用した肺がんのマウスモデルにおけるABTL0812単独または抗PD1/パクリタキセル/カルボプラチンとの組み合わせの抗がん活性
目的:ABTL0812単独および抗PD1抗体およびカルボプラチン/パクリタキセルとの組み合わせでの抗腫瘍活性を調査し、腹腔内で増殖するLLC1腫瘍の腫瘍体積低減に関して、ABTL0812および抗PD1+カルボプラチン/パクリタキセル治療間の潜在的な相乗作用を評価する。
【0430】
方法:ルイス肺がん細胞(LLC1)は、原発性ルイス肺がんを移植したC57BLマウスの肺に最初に由来する造腫瘍性の高いマウス細胞株である。これらの細胞は、同系C57BL6マウスで腹腔内増殖させることができ、腸に付着した非常に攻撃的な腫瘍を発症し、免疫療法治療の評価に使用することができる。腫瘍形成を誘導するために、C57BL6マウスの腹膜に1x10LLC1細胞を注射した。腫瘍移植の翌日、動物を治療群に分け、治療を開始した(n=2)。ABTL0812を、120mg/kg/日で経口経路により投与し、抗PD1抗体を、合計5回投与で、3日毎に100ug/用量で腹腔内投与し、パクリタキセルおよびカルボプラチンを、合計3、4回投与で、週1回、それぞれ15および5mg/kgで腹腔内投与した。治療の14日後に動物を安楽死させ、腸内で増殖している腫瘍を収集した。
【0431】
結果:抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンと組み合わせたABTL0812は、C57BL6マウスで腹腔内に増殖するLLC1細胞の異種移植モデルにおいて、対照、ABTL0812、および抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチン治療と比較して、腫瘍体積を有意に低減し、約半分のサイズを示した。本明細書の図18を参照されたい。
【0432】
結論:LLC1細胞は、C57BL6マウスの腹腔内で増殖し、腸に付着した非常に攻撃的な腫瘍を発生させ得る。ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの3つの組み合わせは、ビヒクル、ABTL0812、および抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチン治療と比較して、腫瘍増殖を低減する。これらの結果は、肺がん患者のための標準治療である、ABTL0812+抗PD1+パクリタキセル/カルボプラチンの併用療法が、肺がんの治療の臨床的関心を有し得ることを示唆している。
【0433】
8.4:C57BL6マウスに移植されたMT5細胞を使用した膵臓がんのマウスモデルにおけるABTL0812によって媒介される抗がん活性および腫瘍微小環境免疫調節

目的:ABTL0812単独の抗腫瘍活性および腫瘍免疫調節インビボ効果を調査し、異なるヒトのがんタイプの治療のための参照薬物である抗PD1抗体と比較する。抗がん有効性は、腫瘍体積低減によって評価され、腫瘍微小環境の免疫調節は、腫瘍免疫細胞浸潤分析によって評価される。ペムブロリズマブは、ヒトに使用するための抗PD1チェックポイント阻害剤であり、この実施例では、この実施例で使用されたマウスモデルでの使用に最適化された対応する修正版を使用した。
【0434】
方法:MT5細胞は、膵管腺がんを有するトリプルトランスジェニックKRAS-p53-Cre(KPC)マウスの膵臓に最初に由来する、KRASおよびp53で変異した造腫瘍性の高いマウス細胞株である。これらの細胞は、同系C57BL6マウスで皮下増殖させることができ、非常に攻撃的な腫瘍を発症し、免疫療法治療の評価に使用することができる。腫瘍形成を誘導するために、C57BL6マウスの片脇腹に2x10MT5細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を治療群(n=9)に均一に無作為化し、異なる治療を開始した。治療群は、ビヒクル、ABTL0812、および抗PD1であった。ABTL0812を480mg/kg/日で経口経路によって投与した。抗PD1抗体を、3日毎に200μg/用量で腹腔内投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。治療の最後に、マウスを安楽死させ、腫瘍を収集し、単一細胞懸濁液を、コラゲナーゼおよびリパーゼを含む消化培地を使用して腫瘍を消化し、さらにトリプシンおよびDNAseで処理することによって得た。さらに、治療されたマウスから脾臓を収集し、ストレーナーを使用して細かく切り刻み、トリプシンおよびDNAseで処理した後に単一細胞を得た。細胞懸濁液が得られた後、腫瘍内に浸潤したがん細胞および免疫細胞を、異なる免疫細胞サブセットに対する特定の抗体を使用して染色し、フローサイトメトリーを使用してさらに分析した。使用した組み合わせは、Th1細胞=CD45+ CD4+ CCR4- CXCR3+、Th2細胞=CD45+ CD4+ CCR4+ CXCR3-、骨髄細胞=CD45+ CD11b+ Ly6C+、およびNK細胞=CD45+ NK1.1+であった。
【0435】
結果:ABTL0812を単独で投与すると、MT5腫瘍に対する抗がん有効性が示され、ビヒクル治療群と比較して有意に腫瘍体積を減少させ、単独で投与した抗PD1治療と同様の有効性を示す。どの治療も、マウスの体重の変化または動物の毒性、苦悩、もしくは苦痛の臨床的兆候を示していない。さらに、ABTL0812は、腫瘍内の骨髄細胞の増加を誘導し、インビトロでM1表現型を増強するその能力と相関し、これは、抗がん活性を有する細胞である腫瘍内のNK細胞の割合の増加に付随する。さらに、ABTL0812で治療したマウスの脾臓は、Th1/Th2比を示し、増加し、これは炎症誘発性免疫系の応答を示す(***p<0.001)。本明細書の図27を参照されたい。
【0436】
結論:ABTL0812は、腫瘍微小環境をより炎症誘発性および抗腫瘍性環境に調節することにより、MT5細胞を使用したマウス膵臓がんモデルにおける抗がん有効性を示す。ABTL0812は、脾臓のTh1/Th2比を増加させ、これは、脾臓の炎症誘発性環境を示し、一般的に指標またはマウス免疫系の活性化として使用される。結果として、ABTL0812は、腫瘍内の骨髄細胞およびNK細胞の増加を誘導し、これは、炎症誘発性抗腫瘍免疫浸潤を示す。重要なことに、ABTL0812によって媒介されるこの免疫調節効果は、抗PD1治療と比較して有意により高い。膵臓がんは、免疫抑制性が高く免疫原性の低い腫瘍とみなされており、免疫療法を単独で投与しても、非常に楽観的な効果は示されない。これらのデータは、ABTL0812が、抗PD1よりも効率的に、冷たい膵臓腫瘍の熱いより免疫原性の腫瘍への変換を促進することができることを示唆しており、したがって、抗がん有効性を増加するための免疫療法および化学療法のその潜在的な組み合わせを強調する。
【0437】
8.5:C57BL6マウスに移植されたMT5細胞を使用した膵臓がんのマウスモデルにおける抗PD1およびフォルフィリノックスと組み合わせたABTL0812によって媒介される抗がん活性および腫瘍微小環境免疫調節
目的:抗PD1およびフォルフィリノックスと組み合わせて投与されたABTL0812の抗腫瘍活性および腫瘍免疫調節インビボ効果を調査する。以前の研究では、ヌードマウスに移植されたMiaPaca2細胞を使用したヒト膵臓がんの異種移植モデルにおいて、ヒト進行膵臓がん患者の標準治療であるフォルフィリノックスの抗がん有効性を増強するABTL0812の能力が示されている(実施例3.1)。インビボでのABTL0812によって媒介される腫瘍微小環境調節の結果(実施例8.4)に基づいて、腫瘍体積低減におけるその効率を評価するために3つの組み合わせを試験することが決定された。ペムブロリズマブは、ヒトに使用するための抗PD1チェックポイント阻害剤であり、この実施例では、この実施例で使用されたマウスモデルでの使用に最適化された対応する修正版を使用した。
【0438】
方法:実施例8.4のように、腫瘍形成を誘導するために、C57BL6マウスの片脇腹に2x10MT5細胞を注射した。腫瘍の体積が約50mmになると、動物を治療群(n=9)に均一に無作為化し、異なる治療を開始した。治療群は、ビヒクル、抗PD1、ABTL0812+フォルフィリノックス、およびABTL0812+抗PD1+フォルフィリノックスの3つの組み合わせであった。ABTL0812を480mg/kg/日で経口経路によって投与した。抗PD1抗体を、3日毎に200μg/用量で腹腔内投与した。フォルフィリノックス化学療法の組み合わせを、週1回、合計4回の投与で腹腔内投与した。30mg/kgの5-FU、50mg/kgのロイコボリン、50mg/kgのイリノテカン、および2.5mg/kgのオキサリプラチンを異なる2日間で腹腔内投与した。5-FUおよびロイコボリンを火曜日に投与し、イリノテカンおよびオキサリプラチンを木曜日に投与した。腫瘍体積および体重を週3回モニタリングした。治療の最後に、マウスを安楽死させ、腫瘍を収集し、単一細胞懸濁液を、コラゲナーゼおよびリパーゼを含む消化培地を使用して腫瘍を消化し、さらにトリプシンおよびDNAseで処理することによって得た。細胞懸濁液が得られた後、腫瘍内に浸潤したがん細胞および免疫細胞を、異なる免疫細胞サブセットに対する特定の抗体を使用して染色し、フローサイトメトリーを使用してさらに分析した。使用した組み合わせは、骨髄細胞=CD45+ CD11b+ Ly6C+およびCD8細胞=CD45+ CD3- CD8+であった。
【0439】
結果:ABTL0812、抗PD1、およびフォルフィリノックスの3つの併用治療は、他の治療と比較して最も有意な腫瘍体積低減を伴う最高の抗腫瘍効果を示す。どの治療も、マウスの体重の変化または動物の毒性、苦悩、もしくは苦痛の臨床的兆候を示さなかった。腫瘍免疫浸潤を分析すると、MT5腫瘍に対する抗がん有効性は、腫瘍内の骨髄細胞およびCD8細胞の有意な増加と関連しており、抗がん活性を示し、炎症誘発性表現型を促進した。他の治療法のいずれも、CD8抗がん細胞の有意な増加を示さなかった(****p<0.001)。本明細書の図28を参照されたい。
【0440】
結論:抗PD1およびフォルフィリノックスと組み合わせたABTL0812は、腫瘍微小環境をより炎症誘発性および抗腫瘍性環境に調節することにより、MT5細胞を使用したマウス膵臓がんモデルにおける抗がん有効性の増強を示す。ABTL0812は、腫瘍内の骨髄細胞を増加させ、CD8抗がん免疫細胞の増加に関連し、これは、より炎症誘発性および抗がん環境に変換され得る。膵臓がんは、免疫抑制性が高く免疫原性の低い腫瘍とみなされており、免疫療法を単独で投与しても、非常に楽観的な効果は示されない。これらのデータは、ABTL0812+抗PD1およびフォルフィリノックスの3つの組み合わせが、このタイプのがんを治療するためのより有効な代替手段を提供し得ることを示唆している。
【0441】
参考文献
1:EP2409963B1(Lipopharma-2010年に出願)
2:Erazo,et al.;Clinical Cancer Research;22(10)May 15,2016
3:WO2018/210830A1(Ability Pharmaceuticals)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
図20
図21
図22-1】
図22-2】
図23
図24-1】
図24-2】
図25-1】
図25-2】
図26
図27
図28
【国際調査報告】