(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】ナノプラスチック及びマイクロプラスチックの設計、作製及び特性評価
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20230329BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230329BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N33/543 541Z
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542088
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021018695
(87)【国際公開番号】W WO2021168191
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507021506
【氏名又は名称】リサーチ トライアングル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ニネル モルテンセン
(72)【発明者】
【氏名】リア ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー メシャム
【テーマコード(参考)】
2G043
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA04
2G043BA14
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA02
2G043KA02
2G043LA03
2G043NA01
4B063QA01
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ16
4B063QQ18
4B063QQ19
4B063QR66
4B063QX02
(57)【要約】
本発明概念又はナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子、ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を含む参照標準物質、その使用方法、及びその調製方法を提供する。本発明概念のナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子の用途は、環境系及び/又は生体系並びに環境内に存在する生物におけるナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子の分散/分布の追跡を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
ナノプラスチックポリマー若しくはマイクロプラスチックポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックス;及び
蛍光性タグ又は放射性タグ
を含む、ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項2】
前記マイクロプラスチックポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン(PUR)、シリコン、ナイロン又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のうちの少なくとも一つである、請求項1に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項3】
前記ナノプラスチック粒子又は、マイクロプラスチック粒子は蛍光タグを含み、前記蛍光タグは、ローダミン、フルオレセイン、アレクサ蛍光化合物、ナイルレッド、R-フィコエリトリン、パシフィックブルー、カスケードブルー、テキサスレッド、Cy5、Cy3、Cy7、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン又はメトキシクマリンのうちの少なくとも一つである、請求項1又は2に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項4】
前記ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、蛍光タグを含み、前記蛍光タグは、バイオコンジュゲートを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項5】
前記ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、ポリマーマトリックス及び蛍光タグを含み、前記蛍光タグは、前記ポリマーマトリックスの全体に分布している、請求項1から4のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項6】
前記ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、機能性表面及び蛍光タグを含み、前記蛍光タグは前記機能性表面に関連付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項7】
前記機能性表面は、-COOH、-COO
-、-NH
3
+、-NH
2、-OH、PEG、ストレプトアビジン、ストレプトアビジン-ビオチン複合体、及び抗体コンジュゲートよりなる群から選択される化学基を含む、請求項6に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項8】
粒径は、約1ミクロン未満である、請求項1から7のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項9】
粒径は、約500nm未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項10】
粒径は、約100nm未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載のナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子。
【請求項11】
ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を含む参照標準物質であって、前記ナノプラスチック粒子又は前記マイクロプラスチック粒子は、以下:
ナノプラスチック若しくはマイクロプラスチックポリマー、ポリマー複合体、又はポリマーマトリックス;及び
蛍光性タグ又は放射性タグ
を含む、前記参照標準物質。
【請求項12】
前記ナノプラスチック粒子又は前記マイクロプラスチック粒子は、環境中に見出される粒度分布を代表するサイズにされる、請求項11に記載の参照標準物質。
【請求項13】
ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の環境分散を監視するための方法であって、以下:
請求項11又は12に記載の参照標準物質を環境に提供するステップ;及び
前記環境における前記参照物質の分散を監視するステップ
を含み、
前記参照物質の分散を監視するステップは、前記環境からの少なくとも1つのサンプル中における前記参照物質の存在を検出することを含む、
上記方法。
【請求項14】
前記環境は、海洋環境、淡水環境、又は陸上環境を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記環境は、海洋生体系、淡水生体系、又は陸上生体系を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記環境は、水道水、飲料水、及び/又は飲料を含む、請求項請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記環境は、食品を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記食品は、蜂蜜である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象中におけるナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の分散を監視する方法であって、以下:
前記対象を請求項11又は12に記載の参照標準物質に曝露するステップ;及び
前記対象中における前記参照物質の分散を監視するステップ
を含み、
前記参照物質の分散を監視するステップは、前記対象からの少なくとも1つのサンプル中における前記参照標準物質の存在を検出することを含む、
上記方法。
【請求項20】
前記方法は、前記参照標準物質の存在を検出するためのインビトロ、インサイチュ、インビボ、又はエクスビボの方法を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は海洋生物、淡水生物、又は陸上生物である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象は、貝類、軟体動物及び魚類よりなる群から選択される海洋生物である、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象は、哺乳類生命体である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳類生命体は、ヒト生命体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
サンプル中におけるナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の存在を監視するための方法であって、以下:
ポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスと、及び蛍光タグ又は放射性タグとを含む、前記ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を含む参照標準物質を環境に提供するステップ;及び
前記環境から得られたサンプルに前記参照物質が存在するか否かを判断するステップ
を含む、上記方法。
【請求項26】
前記サンプル中における前記参照物質の存在を、蛍光タグによる蛍光の発光によって判断する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプルは、海洋環境、淡水環境若しくは陸上環境、又は海洋生体系、淡水生体系若しくは陸上生体系から得られる、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記サンプルは、海洋生物から得られる、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記海洋生物は、貝類、軟体動物及び魚類よりなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記サンプルは、海塩から得られる、請求項25から27に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプルは、水道水、飲料水及び/又は飲料から得られる、請求項25から27に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプルは、食品から得られる、請求項25から29に記載の方法。
【請求項33】
前記食品は、蜂蜜を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記食品は、魚介類を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子を調製する方法であって、以下:
プラスチックを第1溶媒に溶解してプラスチック溶液を提供するステップ;
前記プラスチック溶液を第2溶媒中に沈殿させるステップ;及び
前記第1溶媒を蒸発させて、前記第2溶媒中に前記ナノプラスチック粒子又は前記マイクロプラスチック粒子の分散液を提供するステップ
を含む、上記方法。
【請求項36】
前記プラスチックは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン(PUR)、シリコン、ナイロン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)よりなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記プラスチックは、PETである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1溶媒は、フェノール、DMSO、ニトロベンゼン、o-クロロフェノール、o-クレゾール、ジフェニルアミン、ジクロロメタン及びHFIP、又はそれらの任意の組み合わせよりなる群から選択される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)である、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記プラスチック溶液は、約0.1~約5重量%のプラスチックを含む、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第2溶媒は、水である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記プラスチック溶液を0.1~5mL/分の速度で前記第2溶媒に添加することによって、前記プラスチック溶液を前記第2溶媒中に沈殿させる、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記プラスチック溶液を約1mL/分の速度で前記第2溶媒第2溶媒に添加することによって、前記プラスチック溶液を前記第2溶媒中に沈殿させる、請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記プラスチック溶液は、約10mLの量を有し、前記第2溶媒は、約50mLから約5000mLの間の量を有する、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第2溶媒は、約0℃から約20℃の間の温度を有する、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記プラスチックを、蛍光タグを有する前記第1溶媒に溶解する、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記蛍光タグは、ローダミン、フルオレセイン、アレクサ蛍光化合物、ナイルレッド、R-フィコエリトリン、パシフィックブルー、カスケードブルー、テキサスレッド、Cy5、Cy3、Cy7、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン及びメトキシクマリンよりなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記調製されたナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、約1ミクロン未満の平均サイズを有する、請求項35から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記調製されたナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、約500nm未満の平均サイズを有する、請求項35から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記調製されたナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、約150nm未満の平均サイズを有する、請求項35から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記調製されたナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、約100nm未満の平均サイズを有する、請求項35から50のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月19日に出願された米国仮出願シリアル番号62/978,499及び2020年10月8日に出願された米国仮出願シリアル番号63/089,210の優先権を主張するものであり、その内容全体を、ここに参照のために取り込む。
【背景技術】
【0002】
環境中及び生体系におけるナノプラスチック及びマイクロプラスチックの存在及び下流への影響を評価することは、非常に重要なニーズである。この問題は深刻化しているにもかかわらず、商業的に入手可能で十分に特性評価されたナノプラスチック及びマイクロプラスチックは極めて限られており(例えば、主にポリスチレン)、このことは人間の健康及び環境への影響を理解する上で重要な前進を阻んでいる。例えば、ナノテクノロジー、医学及び毒性学において、十分に特性評価された基準の重要性は、10年以上にわたって文献で強調されてきた1-5。
【0003】
社会のプラスチックへの依存度は、2016年に3億3,000万トン以上に達した世界の生産量からも明らかである。プラスチックが有益であることは否定できないものの、幅広い利用の結果、ナノプラスチック及びマイクロプラスチックを含む意図しないプラスチック破片が環境中に大量に存在するという、予期せぬ問題が生じている。2010年中に世界の海に流入したプラスチック破片は480万~1270万トンと推定されている。2017年9月には、米国で検査した水道水サンプルの94%からマイクロプラスチックが報告され、2018年3月には検査したボトル水サンプルの93%から検出された。
【0004】
ナノプラスチック及びマイクロプラスチックは、多くの場合は検出されずに、環境を通して生体系及び製品に浸透することができる。マイクロプラスチックは、貝類、ムール貝、魚、並びに蜂蜜及び海塩を含む製品、さらに飲料水及び飲料にも含まれていることが確認されている。また、これらのナノプラスチック及びマイクロプラスチックからは、製剤添加物及び未反応のモノマーなどの外来化学物質が溶出する可能性がある。飲料水及び食品から見つかる多くのプラスチック関連化学物質は、人間の健康への毒性が知られており、ナノプラスチック、マイクロプラスチック及び関連化学物質に意図せずにさらされた人間の健康へのリスクは不明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、生物及び環境中におけるナノプラスチック及びマイクロプラスチックを追跡するための組成物/材料、及びそのような組成物/材料の使用方法の開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明概念の一態様によれば、ナノプラスチックポリマー若しくはマイクロプラスチックポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスと、及び蛍光タグ又は放射性タグと、を含むナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を提供する。
【0007】
本発明概念の別の態様によれば、ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を含む参照標準物質を提供する、前記ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子は、ナノプラスチックポリマー若しくはマイクロプラスチックポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスと、及び蛍光タグ又は放射性タグと、を含む。
【0008】
本発明概念のさらに別の態様によれば、ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の環境分散を監視する方法を提供する、前記方法は、本発明概念の参照標準物質を環境に提供するステップと、及び前記標準物質の前記環境中における分散を監視するステップと、を含む、ここで、前記標準物質の分散を監視するステップは、環境からの少なくとも一つのサンプルにおける前記標準物質の存在を検出することを含む。
【0009】
本発明概念のさらに別の態様によれば、対象におけるナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の分散を監視する方法を提供する、前記方法は、前記対象を本発明概念の参照標準物質に曝露するステップと、及び前記対象における前記標準物質の分散を監視するステップと、を含む、ここで、前記標準物質の分散を監視するステップは、前記対象からの少なくとも一つのサンプルにおける前記標準物質の存在を検出することを含む。
【0010】
本発明概念のさらに別の態様によれば、サンプルにおけるナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の存在を監視する方法を提供する、前記方法は、ポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックス、及び蛍光タグ又は放射性タグを含む、前記ナノプラスチック粒子又は前記マイクロプラスチック粒子を含む標準物質を環境に提供するステップと、及び前記環境から得られたサンプルに前記標準物質が存在するか否かを判断するステップと、を含む。
【0011】
本発明概念のさらに別の態様によれば、ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の調製方法を提供する、前記方法は、プラスチックを第1溶媒に溶解してプラスチック溶液を提供するステップと、前記プラスチック溶液を第2溶媒に沈殿させるステップと、及び、前記第1溶媒を蒸発させて前記第2溶媒中に前記ナノプラスチック粒子又は前記マイクロプラスチック粒子の分散液を提供するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の構造(A)固体、(B)マトリックス、(C-D)トレーサーで機能化されたコアシェル(C)、又は化学基(D)を示す。
【
図2】本発明概念の実施形態によるポリエチレンテレフタレート(PET)ナノプラスチック粒子(148nm)のSEMを示す。
【
図3】ローダミンB(RB)を含むPETナノプラスチック(パネルA)及びフルオレセインを含むPETナノプラスチック(パネルB)をBeWo栄養膜細胞b30細胞上(核は青色に染色)で可視化した蛍光画像を示す。
【
図4】PET-RB及びポリスチレン(PS)アレクサ蛍光体(AF)488ナノ粒子をBeWo栄養膜細胞b30細胞上(核は青色に染色)で可視化した蛍光画像を示す。
【
図5】PETナノプラスチック粒子及びPSナノプラスチック粒子の細胞毒性を調べるMTSアッセイを示す。PETナノプラスチックは、代謝活性を測定するMTSアッセイにより、細胞毒性を示すと判断された。
【
図6】実施例3に記載されるように調製された例示的なPETナノプラスチック粒子を示す。
【
図7】PET-RB NPのSEM画像(パネルA)、TEM画像(パネルB)、及びDLS曲線(パネルC)を示す。
【
図8】PET NP(上)及びPET-RB NP(下)のFT-IRスペクトルを示す。
【
図9】膜統合性(LHD放出)(パネルA)及び代謝活性(MTSアッセイ)(パネルB)で試験したPET-NP(黒)及びPET-RB NP(灰色)の細胞毒性を示す。グラフは、平均値±標準偏差を示す。1つのアスタリスクはP値 < 0.05を示し、2つのアスタリスクはP値 < 0.001を示す。
【
図10】コントロール(パネルA+E)、0.005mg/mL(パネルB+F)、0.05mg/mL(パネルC+G)、及び0.5mg/mLのPET-RB NP(パネルD+H)に暴露したRAW264.7細胞の明視野(パネルA-D)及び蛍光顕微鏡写真(パネルE-H)を示す。個々の蛍光チャンネルからの画像を、
図14に示す。細胞核を青色チャンネルに、細胞の細胞質を緑色チャンネルに、及びPET-RB NPを赤色チャンネルに、それぞれ表示する。
【
図11】PET出発原料のFT-IRスペクトルを示す。
【
図12】PET NP及びPET-RB NPのBSA0.5mg/mL中におけるラマンスペクトルを示す。
【
図13】PET-NP(中)及びPET-RB NP(下)の作製に使用したPET繊維(上)の熱分解GC/MSクロマトグラムを示す。特徴的なピークのうち4つは、(1)安息香酸ビニル、(2)安息香酸、(3)テレフタル酸ジビニル、及び(4)4-(安息香酸ビニロキシカルボニル)であることが確認された。
【
図14】PET-RB NPに曝露したRAW264.7細胞の蛍光顕微鏡写真であって、コントロール(パネルA+E+I+M)、0.005mg/mLのPET-RB NP(パネルB+F+J+N)、0.05mg/mLのPET-RB NP(パネルC+G+K-O)、0.5mg/mLのPET-RB NP(パネルD+H+L+P)における3つの蛍光チャネル(パネルA~D)、PET-RB NP(パネルE~H)、細胞の細胞質(パネルI~L)、及び核(パネルM~P)の重畳画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の前述及び他の態様を、本明細書に記載された他の実施形態に関してより詳細に説明する。本発明は、異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈すべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供されるものである。
【0014】
本明細書の発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみで使用され、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意及びすべての組み合わせを含み、「/」と略記する場合がある。
【0015】
本明細書で使用される「含む(comprise)」という用語は、その通常の意味に加えて、「から本質的になる(consist essentially of)」及び/又は「からなる(consist of)」という表現を含むこともでき、いくつかの実施形態では特にそのように言及することもできる。したがって、「含む(comprise)」という表現は、いくつかの実施形態において、請求項に含まれる具体的に列挙された要素であってさらなる要素を含まないもの、及び、請求項に含まれる具体的に列挙された要素がさらなる要素を包含してもよい及び/又は包含する実施形態、又は特許請求の範囲に記載された要素が、特許請求の範囲に記載された基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えないさらなる要素を包含する可能性がある実施形態も指し得る。例えば、組成物、調合、方法、システムなど、特許請求の範囲に記載された要素がリストされた要素を「含む(comprising)」ということはまた、例えば、組成物、調合、方法、キットなどの特許請求の範囲に記載された要素がさらなる要素を含まない「からなる(consisting of)」という意味と、及び組成物、調合、方法、キットなどの特許請求の範囲に記載された要素が、特許請求の範囲に記載された要素の基本的かつ新規的特性(複数可)に実質的に影響を与えないさらなる要素を含むことができる「から本質的になる(consisting essentially of)」という意味と、を含包する。
【0016】
「約(about)」という用語は、一般に、記載された数値と同等である、又は同じ機能若しくは結果を有すると当業者が考える数値の範囲を指す。例えば、「約(about)」という用語は、記載された数値と同等である、又は同じ機能若しくは結果を有すると当業者が考えるであろう数値に応じて、示された数値の±1%、±2%、±5%、±10%、±15%又は±20%の範囲を指す場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、「約(about)」という用語によって修飾された数値は、言及された数値「ちょうど(exactly)」である数値も場合がある。また、修飾されずに提示されたいずれの数値も、言及された数値の「約(about)」の数値及び言及された数値「ちょうど(exactly)」である数値を含むことが理解されるであろう。同様に、「実質的に(substantially)」という用語は、完全にではないが大部分は同じ形態、方法又は程度を意味し、特定の要素は、当業者が同じ機能又は結果を有すると考えるような構成の範囲を有するであろう。特定の要素が「実質的に(substantially)」という用語の使用によって近似的に表現される場合、その特定の要素は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0017】
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、他に定義されない限り、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0018】
(組成物)
本発明概念の実施形態には、化学的に設計され、参照標準物質として使用できる形状に加工された人工ナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子が含まれる。我々は、これらの材料が生体内で使用できることを実証した。
【0019】
前記ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子の材料は、ポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスであり得る。いくつかの実施形態では、前記ナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン(PUR)、シリコン、ナイロン又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む。いくつかの実施形態では、前記ポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスは、PETを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリマー、ポリマー複合体又はポリマーマトリックスは、PSを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子は、ボトムアップアプローチによって調製される。いくつかの実施形態では、前記ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子は、トップダウンアプローチによって調製される。ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子を調製する方法には、自己集合、凝縮、核形成、コロイド法、ゾル-ゲル処理、油-水のマイクロマルジョン、水熱合成、ポリオール法、ソノケミカル法、乳化重合、分散重合、及びマイクロエマルジョンポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、前記粒子は、連鎖成長重合によって調製される。粒子を調製するための連鎖成長重合の非限定的な例としては、ラジカル連鎖重合、アニオン連鎖重合、及びカチオン連鎖重合を含む。1つの非限定的な例では、前記粒子の材料は、1つ以上のアクリレート又はビニル官能基を含むモノマーのラジカル連鎖重合を使用して調製される。
【0021】
前記粒子は、化学的プロセス、物理化学的プロセス、物理機械的プロセス、又はそれらの組合せを用いて調製することができる。粒子を調製するための化学的プロセスの非限定的な例には、懸濁重合、乳化重合、分散重合、重縮合重合、及びそれらの組み合わせが含まれる。粒子を調製するための物理化学的プロセスの非限定的な例には、コアセルベーション、レイヤーバイレイヤーアセンブリ、ゾルゲルカプセル化、超臨界CO2カプセル化、及びそれらの組み合わせが含まれる。粒子を調製するための物理機械的プロセスの非限定的な例には、噴霧乾燥、多重ノズル乾燥、流動層コーティング、遠心分離技術、真空カプセル化、静電カプセル化、及びこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、コア-シェル粒子は、コアと周囲の溶液との間の界面における2つの非混和性モノマー間の界面反応によって形成される。
【0022】
本発明概念のナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子の調製方法は、プラスチックを第1溶媒に溶解してプラスチック溶液を提供するステップと、前記プラスチック溶液を第2溶媒に沈殿させるステップと、及び、前記第1溶媒を蒸発させて前記第2溶媒中にナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の分散液を提供するステップと、を含んでもよい。溶解、沈殿及び/又は蒸発の方法/技術は特に限定されず、当業者に理解され得る任意の方法/技術を使用して実施してよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記プラスチックは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリウレタン(PUR)、シリコン、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はそれらの任意の組合せのうちの1つであってよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記プラスチックはPETである。いくつかの実施形態において、前記第1溶媒は、フェノール、DMSO、ニトロベンゼン、o-クロロフェノール、o-クレゾール、ジフェニルアミン、ジクロロメタン、HFIP、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかであってよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記溶媒はHFIPである。いくつかの実施形態において、前記プラスチック溶液は、約0.1重量%~約0.5重量%の間の濃度/量でプラスチックを含んでもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、第2溶媒は、水であってよいが、これに限定されない。
【0024】
前記プラスチック溶液の沈殿は、例えば、前記プラスチック溶液を、例えば、約0.1mL/分及び約5mL/分の速度で前記第2溶媒に加えることによって、前記第2溶媒中で前記プラスチック溶液を沈殿させることで行ってもよいが、この速度に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、前記プラスチック溶液は、約1mL/分の速度で前記第2溶媒に添加される。
【0025】
本発明概念のナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子を調製する方法に従って溶解及び/又は沈殿させる際に用いられる前記溶液/溶媒の量及び温度は、本発明概念の方法を実行するために当業者によって想定される任意の量及び/又は温度であってよい。例えば、前記プラスチック溶液は約10mLの量を有していてもよく、前記第2溶媒は約50mL~約5000mLの量を有していてもよく、前記第2溶媒は約0℃~約20℃の温度を有していてもよい。
【0026】
本発明概念の粒子は、生物学的材料を通した前記粒子の監視を可能にするように改変することができる。いくつかの実施形態では、前記プラスチック粒子は、ポリマーマトリックスを通して分散された蛍光タグを含む。蛍光タグの非限定的な例としては、ローダミンB(RB)などのローダミン、フルオレセイン、アレクサ蛍光化合物、ナイルレッド、R-フィコエリトリン、パシフィックブルー、カスケードブルー、テキサスレッド、Cy5、Cy3、Cy7、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリンなどが含まれる。1つの非限定的な例では、前記蛍光化合物は、バイオコンジュゲートである。他の実施形態では、前記粒子は、例えば、14C又は3Hなどの放射性タグ又はラベルを有していてもよいが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載されるように改変された本発明概念の粒子は、例えば、本明細書に記載されるような蛍光タグを有する第1溶媒にプラスチックを溶解させることによって調製することができる。
【0027】
標識粒子システムの構造には、固体、マトリックス、又は表面機能化が含まれる(
図1)。1つの非限定的な例では、前記ナノプラスチック粒子は、ポリマーマトリックス全体に分散された蛍光トレーサーを有するマトリックス様式である。別の非限定的な例では、前記ナノプラスチック粒子は表面機能化されており、前記粒子の前記表面と関連する蛍光トレーサーを有する。表面機能化はまた、化学基を含むことができる。そのような化学基の非限定的な例は、-COOH、-COO
-、-NH
3
+、-NH
2、-OH、-PEG、ストレプトアビジン、ストレプトアビジン・ビオチン複合体、抗体などである。本発明概念の実施形態によるナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子の形態の非限定的な例には、球体、繊維、ロッド及びデンドリマーが含まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、粒子径又は平均粒子径は、約1ミクロン未満、約0.9ミクロン未満、約0.8ミクロン未満、約0.7ミクロン未満、約0.6ミクロン未満、約0.5ミクロン未満、約0.4ミクロン未満、約0.3ミクロン未満、約0.2ミクロン未満、又は約0.1ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、前記粒子径又は平均粒子径は、500nm未満である。いくつかの実施形態では、前記粒子径又は平均粒子径は、200nm未満である。いくつかの実施形態では、前記粒子径又は平均粒子径は、150nm未満である。いくつかの実施形態では、前記粒子径又は平均粒子径は、100nm未満である。いくつかの実施形態では、本発明概念の粒子は、環境中に見出されるナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子の粒径分布を代表するサイズにされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、作製されたナノプラスチック粒子及び/又はマイクロプラスチック粒子、例えば、PETナノプラスチック粒子を提供する。本発明概念のPET粒子システムは、生体系での使用を可能にする水性懸濁液に留まることができる。
【0030】
(方法)
本発明概念の他の実施形態では、例えば、環境、生体系及び/又は生命体に分散したナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子などのナノプラスチック又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散を監視するための方法を提供する。本方法の性質は特に限定されず、当業者によって理解され得る任意の監視方法であってよい。例えば、ナノプラスチック又はマイクロプラスチックを監視する方法は、本開示の精神から逸脱することなく、インビトロ、インサイチュ、インビボ、又はエクスビボの方法であってよい。ナノプラスチック又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散を監視することは、サンプルを提供すること又は環境又は生体系からサンプルを取得すること、及びナノプラスチック又はマイクロプラスチックが前記サンプルに存在するかどうかを定性的又は定量的に決定/検出することを含んでもよい。
【0031】
前記環境系又は生体系の性質は、特に限定されない。例えば、前記環境系又は生体系は、海洋、淡水、又は陸上の環境であってもよく、若しくは海洋、淡水、又は陸上の生体系であってもよい。前記生体系には、生物学的生命体が含まれてもよく、例えば、海洋性、淡水性、又は陸上性の生命体であってもよい。前記生命体は、本発明概念の範囲から逸脱することなく、単細胞又は多細胞であってもよく、植物生命体又は動物生命体であってもよい。いくつかの実施形態では、前記動物生命体は、哺乳類生命体であってもよく、例えば、げっ歯類、霊長類、又はヒトの生命体であってもよいが、これらに限定されない。ナノプラスチック又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散は、当業者に理解されるであろう任意の、例えばインビトロ、インサイチュ、インビボ、若しくはエクスビボの方法、又はそれらの任意の組み合わせによって監視してもよい。いくつかの実施形態では、生命体から採取されるサンプルは、ナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散について分析可能な糞便又は廃棄物サンプル、器官又は組織サンプル及び/又は胎盤サンプルを含み得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、前記環境又は生体系は、サンプルが採取できてナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散について分析可能な土壌、堆積物又は水を含んでもよい。いくつかの実施形態では、食品及び/又は消費者製品からサンプルを採取して、ナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散について分析してもよい。
【0032】
ナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散を監視する方法は、例えば、高分解能熱分解GC-MS等の分析方法を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散の監視は、本明細書に記載のように、蛍光標識されたナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチック参照標準物質によって放射される蛍光を追跡することを含んでもよい。他の実施形態では、ナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチックの存在及び/又は分散の監視は、本明細書に記載されるように、放射性標識されたナノプラスチック及び/又はマイクロプラスチック参照標準物質によって放射された放射能を追跡することを含んでもよい。
【0033】
本発明の様々な態様を説明してきたが、これらを以下の実施例においてさらに詳細に説明する。これらの実施例は、説明のためにのみ本明細書に含まれ、本発明を限定することを意図していない。
【0034】
(実施例1)
(PETナノプラスチック粒子の作製)
PET繊維及びヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)から、PET溶液を作製した。次に、前記溶液を、ビーカー内の0℃に冷却した純水(すなわち、非溶媒と溶媒の比率が7:1)中に沈殿させた。その後、沈殿容器の全内容を37℃の真空下で回転蒸発させて、残存するすべてのHFIPを蒸留除去した。その水分散したPETナノプラスチック粒子を、遠心分離によって回収した。ナノプラスチック粒子又はマイクロプラスチック粒子を、SEM又は明視野顕微鏡で画像化した。流体力学的直径を、動的光散乱(DLS、Malvern Zetasizer Nano-ZS, Malvern Panalytical社製)によって特性評価した。マイクロプラスチック粒子の直径を、Mastersizer 2000(Malvern Zetasizer Nano-ZS、Malvern Panalytical社製)を使用して測定した。本明細書に記載される方法で調製した148nmのPETナノプラスチック粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を、
図2に例示する。
【0035】
(実施例2)
(蛍光トレーサーを内包したPETナノプラスチック粒子の作製)
PET繊維及びヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)からPET溶液を作製した。製剤は、微量のフルオレセイン又はローダミンBを含んでいた。前記溶液を、ビーカー内の0℃に冷却した純水(すなわち、非溶媒と溶媒の比率が7:1)中に沈殿させた。その後、沈殿容器の全内容を37℃の真空下で回転蒸発させて、残存するすべてのHFIPを蒸留除去した。その水分散したPETナノプラスチック粒子を、遠心分離によって回収した。前記PETナノプラスチック粒子を、蛍光顕微鏡によって画像化する(
図3)。
【0036】
(実施例3)
(ナノプラスチック及びマイクロプラスチックの人間の健康に関する生物学的影響)
マイクロプラスチックは、貝類、ムール貝、魚、及び蜂蜜並びに海塩を含む製品、さらには飲料水及び飲料にも含まれていることが確認されている。環境及び消費者製品に存在するマイクロプラスチックの健康への影響は不明である。
【0037】
(目的)
本プロジェクトの目的は、摂取されたナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子(NMPs)、並びにその粒子から放出された付随するプラスチック関連の外因性化学物質(例えば、可塑剤及び汚染物質)が、インビトロ及びインビボでどのように生体系と相互作用するかを調査することである。目標は、これらの複合材料への曝露に関連する人間の健康へのリスクを調査することである。我々は、NMPs及び放出されたプラスチック関連化学物質の両方が、摂取後に生体系に影響を及ぼすと仮定している。したがって、NMPsの暴露研究は、他のナノ材料及びマイクロ材料の暴露研究と異なるが、これは、粒子の結末と関連化学物質の結末とを同等に考慮する必要があるためである。
【0038】
(方法)
(PETナノプラスチック粒子の作製)
0.25gのPET繊維及び15mLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP,CAS#920-66-1)を0.5インチの撹拌子を有するシンチレーションバイアル内にて混合することによって、1.67%(v:v)のPET溶液を調製した。フルオレセイン又はローダミンBを含む製剤を同じ方法で調製して、さらに0.0001重量%の濃度で色素を添加した。次に、前記製剤を600rpmで10分間撹拌して、透明な溶液、又は色素が含まれている場合には着色された溶液を得た。次に、各溶液を、500mLビーカー内の0℃の冷却したDI水105mL(すなわち、非溶媒と溶媒の比率が7:1)中に沈殿させた。前記冷却したDI水を2インチの磁気撹拌子で急速に撹拌し、HFIP溶液を滴下して、粒子の白濁した分散液を生成した。その後、沈殿容器の全内容を37℃の真空下で回転蒸発させて、全ての残存するHFIPを蒸留除去した。その水分散PETナノ粒子を、4000gで10分間遠心分離して、50mlの遠心チューブの底に密集した微粒子のペレットを得た。その後、水の大部分をデカンテーションで取り除き、そのスラリーを走査型電子顕微鏡及びDLS分析で分析して、粒子径及び多分散性を判断した。上記のように調製されたPETナノプラスチック粒子を
図6に示す。
【0039】
(ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子の特性評価)
ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子を、SEM又は蛍光顕微鏡によって画像化した。その流体力学的直径を、動的光散乱(DLS、Malvern Zetasizer Nano-ZS, Malvern Panalytical社製)によって特性評価した。マイクロプラスチック粒子の直径を、Mastersizer 2000(Malvern Zetasizer Nano-ZS、Malvern Panalytical社製)を使用して測定した。
【0040】
(結果)
ナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子のライブラリの作成を、材料の製造及び調達によって開始した。各材料を特性評価して、実験動物への経口投与に適したビヒクルに配合した。
図4は、BeWoのb30細胞上のPET-RB NPの画像を示す。
図5は、PETナノプラスチック粒子及びPSナノプラスチック粒子に曝露された栄養膜細胞における代謝活性を測定するMTSアッセイを示す。PETナノプラスチック粒子は、細胞毒性反応を誘導することが観察されたが、PSナノプラスチック粒子はこれを誘導しなかった。
【0041】
(結論)
(PETの作製及びプラスチック粒子ライブラリ)
・ 造影剤添加及び非添加のPETナノプラスチック粒子及びナノプラスチック繊維の作製に成功した。
【0042】
・ ベンチマークとなる標準物質の生命力を捉えるためのプラスチック粒子ライブラリを開始した。
【0043】
(ナノプラスチック粒子及び関連化学物質の生物学的影響)
・ 蛍光顕微鏡画像は、PETナノプラスチック粒子及びPSナノプラスチック粒子が栄養膜細胞によって取り込まれることを示す(
図4)。
【0044】
・ PETナノプラスチック粒子は、栄養膜細胞において細胞毒性反応を誘発したが、PSナノプラスチック粒子はこれを誘発しなかった(
図5)。
【0045】
(意義)
ナノプラスチック及びマイクロプラスチック、並びにそれらの健康への影響の可能性に対する連邦政府及び国民の関心は急速に高まっている。連邦政府機関は、ナノプラスチック及びマイクロプラスチックの有効な検出方法、特性評価方法並びに基準の必要性を強調している。
【0046】
・ 海洋環境保護の科学的側面に関する合同専門家グループ(GESAMP)、2010年:マイクロプラスチックの分布及び結末に関する知識は、明らかになり始めたばかりである。1
【0047】
・ 欧州食品安全機関(EFSA)、2016年:報告書”Presence of microplastics and nanoplastics in food, with particular focus on seafood(特に魚介類に注目した、食品中のマイクロプラスチック及びナノプラスチックの存在)”を発表して、ヒトの消化(GI)管におけるマイクロプラスチックの分解及びナノプラスチック形成の可能性に関する研究と同様に、GI管における局所的な影響に関する研究を含むトキシコキネティクス及び毒性に関する研究が必要である、と結論付けている。2
【0048】
・ 米国環境保護庁(EPA)、2017年:2017年6月に、1)方法のニーズ、2)マイクロプラスチックの発生源、輸送、結末のニーズ、3)生態評価のニーズ、4)人間の健康評価のニーズ、の4つの分野に焦点を当てたマイクロプラスチック専門家ワークショップを開催した。3
【0049】
・ 世界保健機関(WHO)、2019年:「世界保健機関(WHO)は本日、飲料水中のマイクロプラスチックに関する現在の研究の分析の発表を受け、環境中のマイクロプラスチック及びその人間の健康への影響の可能性についてさらなる評価を行うよう求める」4
【0050】
・ The National Science Foundation (NSF) - Topics for FY 2020 Emerging Frontiers in Research and Innovation (NSF 19-599), 2019: “Engineering the Elimination of End-of-Life Plastics (E3P): …Their inherent durability leads to ever-increasing accumulation in landfills and the environment, where they eventually fragment into microplastics that contaminate waterways, wildlife, and human bodies.(全米科学財団(NSF)-2020年度の研究及びイノベーションの新領域 (NSF 19-599)のトピックス、2019年:「使用済みプラスチックをなくす技術(E3P):・・・その固有の耐久性は、埋立地及び環境での蓄積をますます増大させ、最終的にはマイクロプラスチックに断片化して、水路、野生生物及び人体を汚染する。」)
【0051】
・ National Toxicology Program (NTP, presentation at workshop) Oct. 2019: What nanoplastics are present in the environment and microplastics.(米国国家毒性プログラム(NTP、ワークショップでの発表)2019年10月:環境中に存在するナノプラスチック及びマイクロプラスチックとは。)
【0052】
・ 食品医薬品局(FDA what are we exposed to? If we can detect and analyze nanoplastics we can detect and analyze, presentation at NSF workshop)Dec. 2019: There is a need for validated methods and standards in detection and characterization of microplastics.((FDA、私たちは何にさらされているのか?ナノプラスチックの検出及び分析ができれば、検出及び分析ができる。NSFワークショップでの発表)2019年12月:マイクロプラスチックの検出及び特性評価における有効な方法及び基準が必要である。)
【0053】
現在、ベンチマークとなるナノプラスチック及びマイクロプラスチックが不足しており、このことは有効な検出方法及び特性評価方法の開発という課題を提起している。この限界は、本明細書に記載されているナノプラスチック粒子及びマイクロプラスチック粒子を作製することによって対応される。
【0054】
参考文献
1.GESAMP, Proceedings of the GESAMP International Workshop on Microplastic particles as a vector in transporting persistent, bioaccumulating and toxic substances in the ocean. 2010, The Joint Group of Experts on the Scientific Aspects of Marine Environmental Protection
2.EFSA, Presence of microplastics and nanoplastics in food, with particular focus on seafood. EFSA Journal 2016. 14(6): p. 4501.
3.EPA, Microplastics Expert Workshop Report - Trash Free Waters Dialogue Meeting. 2018.
4.WHO, Microplastics in drinking-water. 2019.
【0055】
(実施例4)
(哺乳類細胞での研究のための蛍光トレーサー付きポリエチレンテレフタレート(PET)ナノ粒子の作製)
ここでは、簡単なボトムアップ作製アプローチを使用した、緻密なサイズ分布を有するPETNPの合成について報告する。さらに、NPに蛍光トレーサーを組み込むことで、哺乳類細胞内におけるこれらのPET NPの可視化及び特性評価が可能になることを示す。
【0056】
(材料及び方法)
(PET NPsの作製)
磁気撹拌子を備えた40mLのシンチレーションバイアルで、PET繊維(IZO Home Goods)0.58g及びヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(Sigma-Aldrich社製,St.Louis,MO,USA)35mLを混合して、PET溶液を調製した。前記PET溶液(10mL)を、Poulten & Graf GmbH社製Fortuna(登録商標)Optima(登録商標)10-mLガラスシリンジ付きシリンジポンプ(Model # NE-300, New Era Pump Systems, Inc社製、Farmingdale, NY, USA)を使用して室温で超純水(75mL、抵抗力18.2MΩ-cm)に1mL/minで滴下して、PET NPsを沈殿させた。沈殿槽の全内容物を250mLの丸底フラスコに移し、55℃の真空下で回転蒸発させて、残留するHFIPを除去した。丸底フラスコ内の容量を減らして(~30mL)、超純水(~75mL)を添加して、前記フラスコの2回目の回転蒸発を行った。粒子の濃縮懸濁液を20mLのシンチレーションバイアルにピペットで注入した。ローダミンB(Sigma-Aldrich社製、St.Louis, MO, USA)を含む粒子を、上記に規定されるものと同様のアプローチを使用して調合した。HFIP中のトレーサー溶液(0.05mg/mL)を、1mg/mLのストック溶液から調製した。次に、0.05mg/mLトレーサー溶液のアリコート(1mL)を、超純粋脱イオン水への沈殿の前にPET溶液に添加した。
【0057】
残留するHFIPを除去するために、粒子の前記懸濁液を遠心分離して再懸濁させた。各洗浄ステップは、前記懸濁液を13.1rpmにて5分間室温で遠心分離すること、上清を除去すること、及び懸濁液中の粒子の濃度を維持するために等量のBovine Serum Albumin (BSA) 0.5mg/mLに再懸濁すること、とを含んだ。前記粒子を、30秒間のボルテックスステップの後、カップホーンソニケーター(Ultrasonic Liquid Processor S-400, Misonic Inc社製、Farmingdale, NY)で合計840J/mLの離散超音波処理を行って再懸濁させた。最初の洗浄ステップでは、最初の遠心分離ステップの前に、初期粒子懸濁液にBSAを添加して、最終濃度を0.5mg/mLにした。前記粒子を3回洗浄した。最後の再懸濁後、前記粒子の流体力学的直径を動的光散乱(DLS)(Malvern Zetasizer Nano-ZS, Malvern Panalytical社製、Westborough, MA)によって測定した。ゼータ電位(Malvern Zetasizer Nano-ZS, Malvern Panalytical社製、Westborough, MA)を、使い捨てのFolded Capillary Zeta Cells(Malvern Panalytical社製、Westborough, MA)を使用して測定した。FT-IR及び熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析(Pyro-GC/MS)に使用した粒子の懸濁液を、BSA0.5mg/mLの代わりに水を用いて洗浄した。粒子の濃度を判定するために、PET粒子のアリコート(1mL)を、テアード2mLエッペンドルフチューブに移して、周囲条件下で真空オーブン内に一晩置いた。翌日、前記チューブの重量を測定して、乾燥粒子重量を判断した。前記粒子内のローダミンBの濃度を判断するために、前記乾燥粒子をその後HFIP(1 mL)に溶解し、その蛍光をSynergy MXマルチモードプレートリーダー(BioTek Instruments, Inc社製、Winooski, VT, USA)を使用して判断した。HFIP中のローダミンBの検量線を、蛍光体の連続希釈によって得た(1.25μg/mLストック溶液、λex = 550nm、λem = 580nm)。
【0058】
(PET NPの特性評価)
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR):乾燥したサンプルを、Smart Orbit(登録商標)シングルバウンスダイヤモンド結晶ATRアクセサリーを備えたNicolet 6700 FTIRで分析した。本装置は、DTGS検出器及びKBrビームスプリッターを備えている。メソッドパラメータを分解能4及び32スキャンに設定し、4000-400cm-1の領域をスキャンした。各サンプルの前に、クリーニングされた結晶上でバックグラウンドを実行した。前記バックグラウンドの取得が完了した後、少量のサンプルをダイヤモンド結晶に加え、圧力をかけて、データを取得した。
【0059】
19F核磁気共鳴分光法(19F-NMR):PET NP内の残留ヘキサフルオロ-2-プロパノールの存在を、19F-NMRによって判断した。フッ素NMR実験を、Nalorac Cryogenics Corporation専用H-F観察プローブ(Martinez社製、CA)を備えたVarian Unity Inova 500 mHz NMR(PaloAlto社製、CA)で実施した。19F-NMRサンプルを、10%のD2Oと混合した。総リサイクル時間は8秒であった。外部参照標準を使用して、0.02mMの検出限界を有するAgilent VnmrJ ver. 4.2ソフトウェア(Santa Clara, CA)で残留フッ素を校正及び定量化した。
【0060】
透過型電子顕微鏡(TEM):PET NPを、液体堆積のためのドロップマウント法を用いて調製した。PET NPを、200メッシュのカーボンコーティングされた銅製透過型電子顕微鏡(TEM)グリッド上にピペッティングした。液体懸濁液を、HEPAフィルター付きヒュームフード内の銅グリッド上で空気乾燥させた。1つのサンプルにつき2枚のTEMグリッドを作成した。前記グリッドを、日立H-7000透過電子顕微鏡を使用して分析した。AMTデジタルカメラを使用して、各サンプルの画像を複数枚撮影した。分析倍率は40,000倍から300,000倍の間であった。
【0061】
走査型電子顕微鏡(SEM):SEMを、Zeiss Auriga電界放出型走査電子顕微鏡(FESEM)(Carl Zeiss Microscopy社製、White Plains, NY)を用いて、加速電圧5kV及びビーム電流10μAで行った。SEM分析の前に、すべてのサンプルをスパッタリングにより金/パラジウムで被覆した。粒子径を、ImageJ (NIH)を用いて測定した。
【0062】
X線光電子分光法(XPS):Escalab Xi+ XPS (Thermo Fisher Scientific社製、Waltham, MA)で測定を行った。すべてのスキャンを電荷補償した。サーベイスキャンを、パスエネルギー200eV,ステップサイズ1.0 eV及び滞留時間10ミリ秒で実施した。一方、単一元素スキャンを、パスエネルギー50eV、ステップサイズ0.1eV及び滞留時間50ミリ秒で行った。
【0063】
ラマン分光法:すべてのサンプルのスペクトルを、Horiba XploRA Raman Confocal Microscope (Horiba Scientific社製、Piscataway, NJ)を用いて、波長励起532nm、1200Lmm-1グレーティングで室温にて測定した。
【0064】
紫外可視分光法(UV-VIS):サンプルを、LabSolutionsソフトウェアversion 1.03(アトランタ、GA)を備えたShimadzu UV-2600 UV-Visible Spectrophotometer(Columbia, MD)を使用して、200~800 nmの波長域で分析した。サンプルをBSAで1:10及び1:100に希釈し、前記BSAをブランクとして使用した。スリット幅2nm及びデータ間隔0.5nmを使用した。
【0065】
熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析(Pyro-GC/MS):熱分解を、Q-Exactive mass spectrometer(Waltham, MA)に結合したThermo Scientific Trace 1310 gas chromatographに接続したCDS Analytical 5250-T Trapping Pyrolysis Autosampler(Oxford, PA)で行った。サンプルバイアルを、上部ヘッドスペースが石英ウールで充填された石英管内の石英棒で構成した。サンプルをマイクログラム単位でバイアルに移して準備した。最初の熱脱着ステップを50℃で60秒間行い、それをGC-MSに送った。その後、350℃で20秒間の洗浄ステップを行って、不要な物質がカラムに到達することを防ぐために、十分に揮発性のあるすべてのサンプル内容物を排気口に送った。最終ステップは50℃で3秒間、その後10℃/ミリ秒で700℃まで昇温し、そして60秒間保持する間にすべてのサンプルを分析のためにカラムに送った。データ解析を、Xcaliburソフトウェアversion4.1.31.9(Thermo)及びNational Institute of Standards and Technology version 17(Gaithersburg, MD)ライブラリを用いて行い、対象のスペクトルピークの特定に役立てた。
【0066】
(哺乳類細胞での研究)
エンドトキシンアッセイ:グルコシールド再構成バッファー及びコントロール標準エンドトキシンを含むPyrochromeテストキット(Associates of Cape Cod Inc社製、East Falmouth, MA)を用いて、製造者のプロトコルに従ってエンドトキシンの検出及び定量を行った。PET-NP及びPET-RB NPの上清を、リムルスアメーバ細胞溶解物(LAL)試薬水(Associates of Cape Cod Inc社製、East Falmouth, MA)で試験した。粒子の洗浄及び懸濁に使用されたBSA溶液もまた試験した。PET NPがアッセイに干渉しないことを確実にするために、最終濃度0.5EU/mLを含むポジティブプロダクトントロール(PPC)を、同じ濃度で並行して試験した。2つのPET NPとアッセイとの間に干渉は検出されなかった。
【0067】
細胞培養:PET NPの毒性を、マウス肺胞マクロファージ細胞RAW264.7(ATCC(登録商標)TIB-71(登録商標), ATCC社製、Manassas, VA)で試験した。RAW264.7細胞を、10%牛胎児血清(FBS)(Gibco、Life Technologies社製、Grand Island, NY)及び100Uペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Gibco、Life Technologies社製、Grand Island, NY)で補充したダルベッコ改変イーグル培地(Gibco、Life Technologies社製、NY)で培養した。前記細胞を、5%加湿CO2中で37℃にて、1×104細胞/mLの濃度で維持し、予め温めたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco, Life Technologies社製、Grand Island, NY)で洗浄して週に2回継代した。RAW264.7細胞は、継代番号41~45の間で使用した。
【0068】
細胞毒性アッセイ:RAW264.7を1 x105セル/mLの濃度で96ウェルプレートに播種し、24時間インキュベートした。新鮮な培地に懸濁したPET NPを2倍希釈で0.0005~0.5mg/mLの濃度で前記細胞に添加した。NPを24時間曝露した後、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出測定のために前記培地を回収した。LDHアッセイ(TOX7、Sigma-Aldrich社製、St.Louis、MO)を、培地に放出されたLDHのレベルを測定するために、製造業者のプロトコルに従って行った。簡単に説明すると、75μLの培地を分析して、細胞膜の完全性の関数として細胞生存率を評価した。LDH測定のために培地を回収した後、単層をPBSで洗浄し、MTSアッセイを用いて、細胞の生存率及び代謝活性を測定した。MTS[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム]アッセイ(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay、Promega社製、Madison, WI)を、メーカープロトコルに従って実施した。簡単に説明すると、細胞試薬溶液を前記細胞に加えて、生体代謝活性細胞が着色ホルマザンに還元するMTSを比色測定することで代謝活性を測定した。データを、その代表的なコントロールに対するパーセンテージで表した。すべての研究を、生物学的二重記録及び少なくとも実験的三重記録で実施した。
【0069】
蛍光顕微鏡観察:細胞をガラス底ペトリ皿(MatTek社製、Ashland, MA)に1x105セル/mLの濃度で播種し、24時間後に0.005 mg/mL, 0.05 mg/mL及び0.5mg/mLの濃度でPET-RB NPに16時間曝露した。PET-RB NPの曝露と同時にCellLight Lysosomes-GFP *BacMam 2.0*(Life Technologies社製、Grand Island, NY)を細胞に加え、1つの細胞につき25粒子の数でリソソームを染色した。その後、細胞を3%パラホルムアルデヒド及び0.1%グルタルアルデヒドで30分間、室温で固定した。前記細胞をPBSで3回洗浄した後、前記細胞を1:200 DAPI(Life Technologies社製、Grand Island, NY)で室温にて15分間染色した。前記細胞をPBSで3回洗浄した後、40倍の対物レンズで明視野イメージング及び蛍光イメージングを行った。前記イメージングは、CCD顕微鏡カメラ(INFINITY3-3URF, 3.0 Megapixel, CoolLED社製)を備えたOlympus IX71倒立顕微鏡を使用して行った。画像処理を、ImageJ(NIH)を用いて行った。
【0070】
データ解析:データを、ソフトウェアPrism(GraphPad 7.4, GraphPad Software社製、 San Diego, CA)を用いて、平均値±標準偏差で表した。統計解析にはStudent’s t-testを用い、統計的有意性はP < 0.05であった。
【0071】
(結果及び考察)
(PET NPの作製及び特性評価)
PET NPを、PET及びHFIPの溶液を超純水にゆっくりと添加してNPを形成させる沈殿法で作製した。NP製剤に残存するHFIP溶媒を除去するために複数回の洗浄を行った結果、
19F-NMRでフッ素のシグナルは検出されなくなった。PET NPを超純水で洗浄する際、粒子が凝集したため、前記粒子の分散を維持するために、0.5mg/mLのBSAタンパク質溶液を代わりに使用した。ここで、BSAの利用は、次のセクションで述べるように、その後の細胞培養での研究にも適合していた。しかし、これらのNPの安定化剤として、種特異的タンパク質又は代替界面活性剤を使用することは、調査中の生体系と整合するように要求される場合がある。細胞内のPET NPの検出を可能にするために、作製中にNPにトレーサーを組み込むことによって、前記粒子をローダミンB(PET-RB)で標識した。PET-RB NPの丸い形態は、SEM(
図7、パネルA)及びTEM(
図7、パネルB)で明らかであり、トレーサーなしのPET NP(
図11)では形態上の違いは明らかではなかった。BSA溶液で前記粒子を洗浄及び再懸濁した後、流体力学的直径は、PET-NPsで170nm±3nm、PET-RB NPsで158nm±2nmであった(
図7、パネルC、
図11)。BSA溶液を用いた洗浄ステップは、未洗浄のサンプルと比較して、流体力学的直径をわずかに増加させたが、平均サイズ分布は200 nm未満にとどまり、多分散性指数はPETについて0.2及びPET-RBについて0.1であった。また、SEM画像から算出したNPの平均直径は、PET NPが95nm±14nm、PET-RB NPが88nm±14nmであった。流体力学的直径とSEM画像から計算された直径との間の相違は予想されることで、粒子懸濁液中のBSAコロナの存在に起因する可能性がある
43。BSA溶液に懸濁したNPのゼータ電位は、PET NPで-37mV、PET-RB NPで-38mVであり、前記粒子の高い分散性及び安定性を裏付けている。例えば、PET NPでは室温で1ヶ月保存した後,164±4 nm (PDI 0.2)を測定した。
【0072】
NPの組成を探るために、FT-IR分析を行った(
図8)。NPのFT-IRプロファイルは、PETバルクポリマーの特徴的な吸収帯を示し(
図11)、また既報
44-46の通り、1715cm
-1(C = O伸縮)、1578cm
-1(環内C=C伸縮)、1505cm
-1(環内C-Hの面内曲げ;環内C=C伸縮)、1240cm
-1(C=O面内曲げ、C-C伸縮、C(=O)-O伸縮)
46及び724cm
-1(エステル基とベンゼン環の相互作用
44)を含んでいた。
図8に示すように、顕著なIR吸収帯は、PETとPET-RB NPとの間で類似していた。興味深いことに、蛍光顕微鏡による蛍光トレーサーの検証にもかかわらず、1690cm
-1(C-C伸縮)などのローダミンBに関連する典型的な帯は、PET-RB NPには存在しなかった。FT-IRにローダミンBの吸収帯がないことは、トレーサーの濃度が低く、IRスペクトルでは検出されなかったためと考えられる。ラマン分光法を用いた追加の試験でも、PET及びPET-RB NP内のさまざまな部位が確認された(
図12)。1612.92cm
-1の主ピークは、PET構造のベンゼン環に起因するラマン散乱に対応した。その他の副次的なピークは、1725.16cm
-1(カルボニル伸縮)、1446.24及び1287.60cm
-1(弱いC-C結合)、並びに1177及び1116.98cm
-1(弱いC-O-C非対称伸縮振動)に位置していた。PET及びPET-RB NPのさらなる分析を、pyro-GC-MSで行った(
図13)。
【0073】
ローダミンBを含む、及び含まないBSA中のPET NPの表面化学状態を、XPS分析で調べた。表1は、サンプル中に存在する全元素の結合エネルギーを示す。C 1s, N 1s, O 1s, Zn 2p及びS 2pスペクトルの結合エネルギーのシフトは、前記元素とPET構造との相互作用の違いに対応する。C 1sの284.4eVを中心とするピークは両サンプルに存在し、PET構造のフェニル炭素と関連している。291eV付近を中心とするサテライトピークは、構造中の芳香環のπ-π*揺らぎ過程に起因するものである。530.5eV付近を中心とするO 1sスペクトルはC=O結合に対応する。また、399.5eV付近を中心に存在するN 1sのピークは、窒素と芳香族PET環のC-N結合によるものである。さらに、2p3/2と2p1/2の2つのスピン軌道分割を持つZn 2pピークが観察され、その結合エネルギーの差は~23eVである。1021.3eVを中心とする2p3/2は、Zn+2化学環境における亜鉛の存在を確認した。両サンプルとも結合エネルギーの顕著なシフトは観察されていない。最後に、S 2pスペクトルにおいて、両サンプルとも163eV付近にS 2p3/2のピークがある。
【0074】
【0075】
(哺乳類細胞におけるPET NPの評価)
哺乳類細胞での評価に先立って、PET NPのエンドトキシン汚染の可能性を確認するために、動粘性濁度LALアッセイを使用した。エンドトキシンのレベルは検出可能であったが、その値は低く、PET-NPで0.1EU/mL、PET-RB NPで0.064EU/mLを示した。マウス肺胞マクロファージRAW264.7を用いて、PET NPの細胞毒性及び取り込みを、用量反応的に評価した。細胞毒性を、細胞膜の完全性(LHD放出量)及び代謝活性(MTS)を判断することによって評価した(
図9)。PET-NPでは0.0625mg/mL(P値 = 0.0016)、PET-RB NPでは0.0010mg/mL(P値 = 0.0034)で、LDH放出量の著しい増加が観察された。両PET NPの0.125mg/mLの濃度(PET NPはコントロールの160±27.5%、PET-RB NPはコントロールの178±18.3%)では、LDH放出量は濃度の上昇とともに増加し続け、0.5mg/mLのLDH放出量はPET-NPはコントロールの506±85%、PET-RB NPはコントロールの447±46.1%となった。一方、MTSアッセイでは、PET NPの最低濃度でわずかな増加が観察された。試験したPET NPsの最高濃度である0.5mg/mLにおいてのみ、MTSアッセイはミトコンドリア活性の低下を示した(PET-NPはコントロールの82.9±8.77%、PET-RBはコントロールの71.3±29.4%)。これらの知見を合わせると、ミトコンドリア活性が変化する前に、より低いNP濃度で細胞膜の完全性が影響を受けていることを示唆している。
【0076】
PET-RB NPsの細胞への取り込み及びその結果としてのRAW264.7細胞における形態変化が、明視野顕微鏡及び蛍光顕微鏡から明らかになった。低濃度の0.005mg/mLのPET-RB NPへの曝露後、個々の粒子が細胞質内で視認可能であったが(
図10、パネルB、パネルF)、0.05mg/mL及び0.5mg/mLのPET-RB NPの濃度では、細胞内におけるNPの大きなクラスタが明視野(
図10、パネルA~D)及び蛍光顕微鏡(
図10、パネルE~H)の両方で観察された。蛍光顕微鏡検査(
図10、パネルE~H)の個々の蛍光チャンネルを
図14に示す。細胞核(青色チャンネル)を
図14のパネルM~Pに示す、細胞の細胞質(緑色チャンネル)を
図14のパネルI~Lに示す、及びPET-RB NP(赤色チャンネル)を
図14のパネルE~Hに示す。より大きなNP凝集体の蛍光強度は、個々のPET-RB NPs粒子の可視化に必要な露出時間において過飽和になり、前記凝集体を明視野画像と比較して蛍光顕微鏡画像においてより大きく見せた。PET-RB NPは、緑色の波長で低レベルの自発蛍光を示したため、PET-RB NPがリソソームと関連しているかどうかを判断することはできなかった。0.05mg/mLのPET-RB NPでは、粒子は貪食体内で観察されたが、いくつかの細胞はNPの周りに堅いファゴソームを形成する一方で、より高い濃度ではNPの周りに大きな空隙を有する空胞が観察された。最高濃度では、ファゴソームが拡大し、細胞周辺に細長い三日月型の核が生じた。0.005mg/mLでは、気泡のような形態学的変化が観察され、細胞膜が皮質細胞骨格構造から剥離することを示した
47。これらの気泡は0.05mg/mLでは増加したが、0.5mg/mLでは増加しなかった。0.5mg/mLでは、核の凝縮と蛍光強度の増加が観察され、この濃度では多くの細胞が死滅していることを示す細胞毒性データを裏付けた。
【0077】
(結論)
高商品性ポリマーに由来する断片化したプラスチックの環境中での存在は、生体系及び人間の健康への影響が不明であることから、新たな懸念材料となっている。重要な高商品性ポリマー及びプラスチック廃棄物の原因として、PETは、様々な報告で示されているように、小さな破片(すなわちマイクロプラスチック)の形態で飲料水、食品及び飲料に浸透している。現在の報告はミクロン単位のプラスチックに焦点が当てられているが、ナノ単位のPETにも環境汚染の可能性がある。
【0078】
流体力学的直径が200nm未満であるPET NPを合成した。細胞モデルでの研究を裏付けるために、ローダミンB蛍光トレーサーをPET NPに組み込み、RAW264.7マクロファージ内の取り込みを測定した。その結果、マクロファージにPET-RB NPが用量反応的に取り込まれることが確認された。この発見は、マクロファージの細胞膜の完全性に影響を与えるために必要なPET NPの濃度(0.0010mg/mL)は、ミトコンドリア活性を変化させるために必要なPET NPの濃度(0.5mg/mL)より低いことを示した。高濃度のPET NP(0.5mg/mL)では明確な形態学的変化が起こり、拡大したファゴソームが核の伸長を引き起こし、おそらく細胞死を引き起こしたことが示された。本研究は、哺乳類のマクロファージ細胞がPETナノプラスチックによって影響を受けることを示すものである。
【0079】
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【0081】
上記は、本発明概念を例示するものであり、それを限定するものとして解釈されるものではない。本発明概念のさらなる実施形態は、以下の特許請求の範囲に例示され、その均等物は特許請求の範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】