(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(54)【発明の名称】テブコナゾール配合物
(51)【国際特許分類】
A01N 43/653 20060101AFI20230329BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230329BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
A01N43/653 C
A01P3/00
A01N25/04 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544345
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021015480
(87)【国際公開番号】W WO2021158421
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ツヴァイフェル、ダニエル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァウク-フーズマンス、イヴリン エー.
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB09
4H011BC03
4H011BC05
4H011BC06
4H011DA16
(57)【要約】
配合物は、(a)テブコナゾール、(b)乳化剤、及び(c)溶媒ブレンドを含む。溶媒ブレンドは、(i)第1の溶媒であって、第1の溶媒が水不混和性であり、第1の溶媒が溶解度試験に従って測定した場合に第1のテブコナゾール溶解度を有する、第1の溶媒と、(ii)23℃でASTM D1722に従って測定した場合に5重量%を超える水との混和性を有する第2の溶媒と、を含む。配合物は、溶解度試験に従って測定した場合、第1のテブコナゾール溶解度を超える配合物テブコナゾール溶解度を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物であって、
(a)テブコナゾールと、
(b)乳化剤と、
(c)溶媒ブレンドであって、
(i)第1の溶媒であって、前記第1の溶媒が、水不混和性であり、前記第1の溶媒が、溶解度試験に従って測定される第1のテブコナゾール溶解度を有する、第1の溶媒、及び
(ii)23℃でASTM D1722に従って測定した場合に5重量%を超える水との混和性を有する第2の溶媒であって、前記配合物が、溶解度試験に従って測定した場合に第1のテブコナゾール溶解度を超える配合物テブコナゾール溶解度を有する、第2の溶媒、
を含む、溶媒ブレンドと、
を備える、配合物。
【請求項2】
前記第1の溶媒が、(i)2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、(ii)n-ブチルアセテート、(iii)メチルイソブチルケトン、及び(iv)それらの組合せのうち1つを含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記第2の溶媒が、(i)プロピレングリコールn-プロピルエーテル、(ii)メチルエチルケトン、(iii)メタノール、(iv)1-プロパノール、(v)プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び(vi)の組合せのうち1つを含む、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項4】
前記溶媒ブレンドが、(i)2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート及びメタノール、(ii)メチルイソブチルケトン及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、又は(iii)n-ブチルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項5】
前記配合物が、前記配合物の総重量を基準に、20重量%~30重量%のテブコナゾールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項6】
前記配合物が、前記配合物の総重量を基準に5重量%~15重量%の乳化剤と、前記配合物の総重量を基準に55重量%~75重量%の溶媒ブレンドと、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項7】
前記溶媒ブレンドが、前記配合物の総重量を基準に40重量%~50重量%の前記第1の溶媒と、前記配合物の総重量を基準に15重量%~25重量%の前記第2の溶媒と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項8】
水と、請求項1~7のいずれか一項に記載の配合物と、を含む、エマルジョン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して配合物に関し、より具体的には、テブコナゾールを含む配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
テブコナゾールは、植物病原真菌を治療するために農業的に使用されるトリアゾール殺真菌剤である。植物へのテブコナゾールの噴霧を容易にするために、テブコナゾールを液体中で混合する場合、植物へのテブコナゾール適用の有効性が増加する。テブコナゾールは、20℃で水中1リットル当たり0.1g未満の溶解度を有する。低い溶解度に起因して、テブコナゾールと水との混合物、又は水混和性溶媒ブレンドは、テブコナゾールを沈殿させて、混合物を農業的に役に立たなくする傾向がある。したがって、テブコナゾールを含む水性混合物は、典型的には、テブコナゾール沈殿又は分離に抵抗する安定なエマルジョンを形成するために、水不混和性溶媒、乳化剤、及び添加剤を必要とする。
【0003】
テブコナゾールは弱極性化合物である。テブコナゾールの弱い極性は、水不混和性溶媒を伴わずに農業的に効果的であるには低すぎるが、水不混和性溶媒の選択を複雑にするには充分な極性である水溶性を生じる。結果として、テブコナゾールの欠点に対処するための従来のアプローチは、追加の問題を引き起こす特殊な水不混和性溶媒に依存してきた。例えば、テブコナゾールと共に使用される従来の水不混和性溶媒としては、比較的高価である脂肪酸ジメチルアミドの化学的性質、又は刺激臭を有するシクロヘンキサノール(cyclohenxanol)が挙げられる。テブコナゾールの欠点に対処するための別の従来のアプローチは、特殊なエマルジョン濃縮物を形成することである。例えば、国際公開第2008069822号は、非イオン性乳化剤とアニオン性乳化剤とを組み合わせて特殊なアミド溶媒を用いるテブコナゾールエマルジョン配合物について開示している。国際公開第2008069822号によって説明されるように、テブコナゾール用の乳化剤のコストは、得られる組成物の総コスト、したがって有用性において重要な因子である。
【0004】
上記を考慮すると、単純かつ安価な溶媒系配合物を用いてテブコナゾールエマルジョン濃縮物を発見することは、驚くべきことであり、予想外であろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、単純かつ安価な溶媒系の配合物を用いるテブコナゾールエマルジョン濃縮物を提供する。
【0006】
本発明は、水不混和性溶媒と水混和性溶媒とのある特定の組合せを使用して、テブコナゾールを含む安定なエマルジョン濃縮物を形成することができることを発見した結果である。本明細書で使用される場合、溶媒は、23℃でASTM D1722に従って測定した際に5重量%を超える水との混和性を有する場合、水混和性である。本明細書で使用される場合。「水不混和性」溶媒は、溶媒と水との組合せに混濁及び/又は分離を引き起こすことなく、23℃で溶媒と水との合計重量の5重量%を超える濃度にて、水に添加することができない。本発明は、テブコナゾールが水混和性溶媒中で低い溶解性を有しているにもかかわらず、いくつかの水混和性溶媒の添加が、安定性も維持しながら、実際には水不混和性溶媒へのテブコナゾールの溶解度を増加させることを本発明者らが発見したという点で、驚くべきことである。溶媒の組合せは、従来の配合物と同様のテブコナゾール濃度を配合物が含み得るだけでなく、複数の乳化剤とは対照的に、比較的安価な溶媒の使用がそのような配合物にコスト上の利点を提供するという点で、有利である。
【0007】
本発明は、農業用組成物に対して特に有用である。
【0008】
本開示の第1の特徴によれば、配合物は、(a)テブコナゾール、(b)乳化剤、及び(c)溶媒ブレンドを含む。溶媒ブレンドは、(i)第1の溶媒であって、第1の溶媒が水不混和性であり、第1の溶媒が溶解度試験に従って測定した場合に第1のテブコナゾール溶解度を有する、第1の溶媒と、(ii)23℃でASTM D1722に従って測定した場合に5重量%を超える水との混和性を有する第2の溶媒と、を含む。配合物は、溶解度試験に従って測定した場合、第1のテブコナゾール溶解度を超える配合物テブコナゾール溶解度を有する。本開示の第2の特徴によれば、第1の溶媒は、(i)2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、(ii)n-ブチルアセテート、(iii)メチルイソブチルケトン、及び(iv)それらの組合せのうち1つを含む。本開示の第3の特徴によれば、第2の溶媒は、(i)プロピレングリコールn-プロピルエーテル、(ii)メチルエチルケトン、(iii)メタノール、(iv)1-プロパノール、(v)プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び(vi)の組合せのうち1つを含む。本開示の第4の特徴によれば、溶媒ブレンドは、(i)2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート及びメタノール、(ii)メチルイソブチルケトン及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、又は(iii)n-ブチルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち1つを含む。本開示の第5の特徴によれば、配合物は、配合物の総重量を基準に、20重量%~30重量%のテブコナゾールを含む。本開示の第6の特徴によれば、配合物は、配合物の総重量を基準に5重量%~15重量%の乳化剤と、配合物の総重量を基準に55重量%~75重量%の溶媒ブレンドと、を含む。本開示の第7の特徴によれば、溶媒ブレンドは、配合物の総重量を基準に40重量%~50重量%の第1の溶媒と、配合物の総重量を基準に15重量%~25重量%の第2の溶媒と、を含む。本開示の第8の特徴によれば、エマルジョンは、水と、本開示の第1~第7の特徴のいずれか1つに記載の配合物と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いることができるか、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有するものとして説明されている場合、組成物はAを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを組み合わせて、A及びCを組み合わせて、B及びCを組み合わせて、又はA、B、及びCを組み合わせて、含有することができる。
【0010】
別途記載のない限り、全ての範囲は、終点を含む。百万分率(ppm)は、特に明記されていない限り、水溶液の総重量に基づく重量部分を指す。ポリマー式の添え字値は、ポリマーの指定された成分の1分子当たりのモル平均単位数を指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、成分の「重量%」又は「重量パーセント」又は「重量パーセント」は、特に反対の記載がない限り、成分が含まれる組成物又は物品の総重量に基づく。本明細書で使用される場合、全ての百分率は、特に明記されていない限り、重量による。
【0012】
試験方法は、試験方法番号でハイフン付きの2桁の数字で日付が示されていない限り、この文書の優先日における最新の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。試験方法組織は、以下の略語のうちの1つによって参照され、ASTMは、ASTMインターナショナル(ASTM International)(旧称、米国材料試験協会、American Society for Testing and Materials)を指し、ENは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fuer Normung)を指し、ISOは国際標準化機構(International Organization for Standardization)を指す。
【0013】
配合物
本開示は、配合物を対象とする。配合物は、テブコナゾール、溶媒ブレンド、及び乳化剤を含む。溶媒ブレンドは、第1の溶媒及び第2の溶媒を含む。配合物は、エマルジョン濃縮物として、又はエマルジョンを形成するために有用であり得る。
【0014】
テブコナゾール
配合物は、テブコナゾールを含む。テブコナゾールの国際純正及び応用化学連合(IUPAC)は、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-3-ペンタノールである。テブコナゾールは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから107534-96-3のケミカル・アブストラクツ・サービスのレジストリ(CAS)番号のもとで入手可能である。
【0015】
配合物は、配合物の総重量を基準に、10重量パーセント(重量%)~40重量%のテブコナゾールを含み得る。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、10重量%以上、又は12重量%以上、又は14重量%以上、又は16重量%以上、又は18重量%以上、又は20重量%以上、又は22重量%以上、又は24重量%以上、又は26重量%以上、又は28重量%以上、又は30重量%以上、又は32重量%以上、又は34重量%以上、又は36重量%以上、又は38重量%以上、一方で同時に、40重量%以下、又は38重量%以下、又は36重量%以下、又は34重量%以下、又は32重量%以下、又は30重量%以下、又は28重量%以下、又は26重量%以下、又は24重量%以下、又は22重量%以下、又は20重量%以下、又は18重量%以下、又は16重量%以下、又は14重量%以下、又は12重量%以下のテブコナゾールを含み得る。
【0016】
乳化剤
配合物は、1種以上の乳化剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「乳化剤」とは、2つ以上の低混和相間の界面エネルギーを低減させ、別の相内における1つの相の分散液滴の安定化に寄与する、両親媒性材料として定義される。配合物中での使用に好適な乳化剤の例としては、ヒマシ油エトキシレート(castor oil ethoxylate)、及び第二級アルコールエトキシレートが挙げられる。配合物中での使用に好適な第二級エトキシレートの市販例としては、TERGITOL(商標)15-S-9界面活性剤(CAS番号84133-50-6)及びTERGITOL(商標)15-S-20界面活性剤(CAS番号68131-40-8)が挙げられ、これらはどちらもミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能である。配合物に好適なエトキシル化ヒマシ油の市販例としては、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから、CAS番号61791-12-6のもとで入手可能である。
【0017】
配合物は、配合物の総重量を基準に、5重量%~15重量%の乳化剤を含み得る。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、5重量%以上、又は6重量%以上、又は7重量%以上、又は8重量%以上、又は9重量%以上、又は10重量%以上、又は11重量%以上、又は12重量%以上、又は13重量%以上、又は14重量%以上、一方で同時に、15重量%以下、又は14重量%以下、又は13重量%以下、又は12重量%以下、又は11重量%以下、又は10重量%以下、又は9重量%以下、又は8重量%以下、又は7重量%以下、又は6重量%以下の乳化剤を含み得る。
【0018】
溶媒ブレンド
配合物は、配合物の総重量を基準に、50重量%~80重量%の溶媒ブレンドを含む。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、50重量%以上、又は52重量%以上、又は54重量%以上、又は56重量%以上、又は58重量%以上、又は60重量%以上、又は62重量%以上、又は64重量%以上、又は66重量%以上、又は68重量%以上、又は70重量%以上、又は72重量%以上、又は74重量%以上、又は76重量%以上、又は78重量%以上、一方で同時に、80重量%以下、又は78重量%以下、又は76重量%以下、又は74重量%以下、又は72重量%以下、又は70重量%以下、又は68重量%以下、又は66重量%以下、又は64重量%以下、又は62重量%以下、又は60重量%以下、又は58重量%以下、又は56重量%以下、又は54重量%以下、又は52重量%以下の溶媒ブレンドを含み得る。
【0019】
溶媒ブレンドは、第1の溶媒及び第2の溶媒を含む。第1の溶媒は水不混和性である。本明細書で使用される場合、「水不混和性」という用語は、得られる組合せで混濁及び/又は分離を引き起こすことなく、23℃で溶媒と水との合計重量の5重量%を超える濃度にて、問題の溶媒(例えば、第1の溶媒)を水に添加することができないことを意味すると定義される。混濁及び/又は分離は視覚的に決定される。
【0020】
第1の溶媒は、溶解度試験に従って測定される第1のテブコナゾール溶解度を有する。溶解度試験は、23℃で、実施例のセクションに記載の試験手順に従って行われる。第1のテブコナゾール溶解度は、第1の溶媒とテブコナゾールとの合計重量を基準に、18重量%~24重量%であり得る。第1のテブコナゾール溶解度は、第1の溶媒とテブコナゾールとの合計重量を基準に、18.0重量%以上、又は18.5重量%以上、又は19.0重量%以上、又は19.5重量%以上、又は20.0重量%以上、又は20.5重量%以上、又は21.0重量%以上、又は21.5重量%以上、又は22.0重量%以上、又は22.5重量%以上、又は23.0重量%以上、又は23.5重量%以上、一方で同時に、24.0重量%以下、又は23.5重量%以下、又は23.0重量%以下、又は22.5重量%以下、又は22.0重量%以下、又は21.5重量%以下、又は21.0重量%以下、又は20.5重量%以下、又は20.0重量%以下、又は19.5重量%以下、又は19.0重量%以下、又は18.5重量%以下であり得る。
【0021】
第1の溶媒は、(i)2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、(ii)n-ブチルアセテート、(iii)メチルイソブチルケトン、及び(iv)それらの組合せのうち1つを含み得る。2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号25265-77-4のもとで市販されている。n-ブチルアセテートは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号123-86-4のもとで市販されている。メチルイソブチルケトンは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号108-10-1のもとで市販されている。
【0022】
配合物は、配合物の総重量を基準に、40重量%~50重量%の第1の溶媒を含み得る。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、40重量%以上、又は41重量%以上、又は42重量%以上、又は43重量%以上、又は44重量%以上、又は45重量%以上、又は46重量%以上、又は47重量%以上、又は48重量%以上、又は49重量%以上、一方で同時に、50重量%以下、又は49重量%以下、又は48重量%以下、又は47重量%以下、又は46重量%以下、又は45重量%以下、又は44重量%以下、又は43重量%以下、又は42重量%以下、又は41重量%以下の第1の溶媒を含み得る。
【0023】
第2の溶媒は、23℃でASTM D1722に従って測定した際に、5重量%を超える水との混和性を有する。例えば、第2の溶媒は、10重量%以上若しくは20重量%以上の水との混和性を有してもよく、又は水と完全に混和性であってもよい。
【0024】
第2の溶媒は、(i)プロピレングリコールn-プロピルエーテル、(ii)メチルエチルケトン、(iii)メタノール、(iv)1-プロパノール、(v)プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び(vi)の組合せのうち1つを含む。プロピレングリコールn-プロピルエーテルは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号1569-01-3のもとで入手可能である。メチルエチルケトンは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号78-93-3のもとで入手可能である。メタノールは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号67-56-1のもとで入手可能である。1-プロパノールは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号71-23-8のもとで入手可能である。プロピレングリコールモノメチルエーテルは、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号107-98-2のもとで入手可能である。
【0025】
配合物は、配合物の総重量を基準に、10重量%~30重量%の第2の溶媒を含み得る。例えば、配合物は、配合物の総重量を基準に、10重量%以上、又は12重量%以上、又は14重量%以上、又は16重量%以上、又は18重量%以上、又は20重量%以上、又は22重量%以上、又は24重量%以上、又は26重量%以上、又は28重量%以上、一方で同時に、30重量%以下、又は28重量%以下、又は26重量%以下、又は24重量%以下、又は22重量%以下、又は20重量%以下、又は18重量%以下、又は16重量%以下、又は14重量%以下、又は12重量%以下の第2の溶媒を含み得る。
【0026】
配合物テブコナゾール溶解度
配合物は、配合物テブコナゾール溶解度を有する。本明細書で定義されるように、「配合物テブコナゾール溶解度」とは、溶解度試験に従って測定した、乳化剤、溶媒ブレンド、及びテブコナゾールの合計重量に基づく、配合物中のテブコナゾールの最大溶解度である。配合物テブコナゾール溶解度は、溶解度試験に従って測定した場合、第1の溶媒の第1のテブコナゾール溶解度を超える。このような結果は、水混和性溶媒の添加、典型的には水不混和性溶媒よりも低いテブコナゾール溶解度を有する種類の溶媒の添加が、配合物中のテブコナゾールの溶解度を増加させるとは予想されないので、驚くべきことであり、自明ではない。したがって、配合物テブコナゾール溶解度が第1の溶媒ブレンドの第1のテブコナゾール溶解度を超えることは、驚くべきことである。配合物は、23℃での溶解度試験に従って測定した場合、テブコナゾール、溶媒ブレンド、及び乳化剤の総重量を基準に、19重量%~28重量%の配合物テブコナゾール溶解度を有する。例えば、配合物テブコナゾール溶解度は、溶媒ブレンド、乳化剤、及びテブコナゾールの総重量を基準に、19.0重量%以上、又は19.5重量%以上、又は20.0重量%以上、又は20.5重量%以上、又は21.0重量%以上、又は21.5重量%以上、又は22.0重量%以上、又は22.5重量%以上、又は23.0重量%以上、又は23.5重量%以上、又は24.0重量%以上、又は24.5重量%以上、又は25.0重量%以上、又は25.5重量%以上、又は26.0重量%以上、又は26.5重量%以上、又は27.0重量%以上、又は27.5重量%以上、一方で同時に、28.0重量%以下、又は27.5重量%以下、又は27.0重量%以下、又は26.5重量%以下、又は26.0重量%以下、又は25.5重量%以下、又は25.0重量%以下、又は24.5重量%以下、又は24.0重量%以下、又は23.5重量%以下、又は23.0重量%以下、又は22.5重量%以下、又は22.0重量%以下、又は21.5重量%以下、又は21.0重量%以下、又は20.5重量%以下、又は20.0重量%以下、又は19.5重量%以下である。
【0027】
エマルジョン及びエマルジョン濃縮物
エマルジョン濃縮物は、水に添加された場合、水と共にエマルジョンを自発的に形成する配合物である。水に添加すると、配合物は、自発的に、溶媒ブレンドが複数の別個の液滴として水中に分散されるエマルジョンを形成する。テブコナゾールは、溶媒ブレンドの液滴内に懸濁され、乳化剤は、水中の溶媒ブレンドの液滴を安定化させる。次いで、エマルジョンは、テブコナゾールを分散させるために、作物又は農業環境に対して噴霧される又は他の方法で分注され得る。
【実施例】
【0028】
試験方法
溶解度試験:溶解度試験は、最初に、(1)ニート溶媒又は(2)溶媒ブレンドと乳化剤との混合物のいずれかの7.4グラム(g)を、化学天秤のビーカ中へ適切な比率で秤量することによって実施する。次に、ビーカ内の磁気撹拌棒を作動させて、テブコナゾールを添加しながらビーカの内容物を撹拌する。テブコナゾールを0.05g~0.10gの増分で溶媒又は混合物に添加する。ビーカの内容物が混濁し飽和して見えるまで、テブコナゾールを添加する。溶解度試験は23℃で実施され、材料及び断片の各々は23℃である。溶解度試験の結果は、混濁が観察される前に支持されるであろう、(i)溶媒及びテブコナゾール混合物中、又は(ii)溶媒ブレンド、乳化剤、及びテブコナゾール混合物中における、テブコナゾールの最大重量%として報告される。
【0029】
材料
以下の材料を以下の実施例で用いる。
【0030】
テブコナゾールは、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-3-ペンタノールであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号107534-96-3のもとで入手可能である。
【0031】
TPMは、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号25265-77-4のもとで入手可能である。
【0032】
MIBKは、メチルイソブチルケトンであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号108-10-1のもとで入手可能である。
【0033】
PGPEは、プロピレングリコールフェニルエーテルであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号770-35-4のもとで入手可能である。
【0034】
EGPEは、エチレングリコールフェニルエーテルであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号122-99-6のもとで入手可能である。
【0035】
NBAは、n-ブチルアセテートであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号123-86-4のもとで入手可能である。
【0036】
PGNPEは、プロピレングリコールn-プロピルエーテルであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号1569-01-3のもとで入手可能である。
【0037】
MEKは、メチルエチルケトンであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号78-93-3のもとで入手可能である。
【0038】
MeOHは、メタノールであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号67-56-1のもとで入手可能である。
【0039】
1-Propは、1-プロパノールであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号71-23-8のもとで入手可能である。
【0040】
PGMEは、プロピレングリコールモノメチルエーテルであり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号107-98-2のもとで入手可能である。
【0041】
乳化剤は、エトキシル化ヒマシ油であり、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-AldrichからCAS番号61791-12-6のもとで入手可能である。
【0042】
結果
表1は、各々のテブコナゾール溶解度に加えて、配合物の本発明の実施例(IE)及び比較例(CE)の濃度を提供する。相対的なテブコナゾール溶解度は、(i)第1の溶媒、(ii)第2の溶媒、及び(iii)乳化剤配合物のテブコナゾール溶解度を、第1の溶媒だけのテブコナゾール溶解度によって除算することによって、測定される。テブコナゾール溶解度は上記の溶解度試験手順に従って測定される。
【0043】
【0044】
表1から明らかなように、IE1~IE6は、各々、水混和性である第2の溶媒の添加後の、テブコナゾール溶解度の驚くべき増加を実証する。例えば、IE1~IE4の2溶媒配合物は、各々、比較用の単一の水不混和性溶媒対応物に対して、テブコナゾール溶解度において8%~15%の増加を実証する。5重量%を超える水との混和性を有する溶媒を添加すること、概して、低いテブコナゾール溶解度を有するクラスの溶媒を添加することは、配合物のテブコナゾール溶解度を増加させるであろうと予想されなかったので、このような結果は驚くべきことである。CE3~CE6から分かるように、水混和性溶媒の全ての添加が、水不混和性溶媒のテブコナゾール溶解度を超えるテブコナゾール溶解度を有する配合物をもたらすわけではない。そのような結果は、本発明の予想外の性質を高める。
【国際調査報告】